JP2018118633A - 液圧制動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】例えば、アキュムレータの加圧力をホイールシリンダへより急速に伝達することができる液圧制動装置を得る。
【解決手段】液圧制動装置は、ホイールシリンダに液圧を伝達する液圧伝達回路と、ポンプによってホイールシリンダのブレーキ液を液圧伝達回路に送る、戻り液圧回路と、ポンプを通らない経路を介して液圧伝達回路に接続されるとともに、ポンプの吸入側に接続されたアキュムレータと、アキュムレータと液圧伝達回路および戻り液圧回路との間に介在した弁部と、ポンプを介さずにアキュムレータによるホイールシリンダ内のブレーキ液の加圧が必要であると判定した場合に、弁部を制御して、アキュムレータと液圧伝達回路との間を連通しかつアキュムレータと戻り液圧回路との間を遮断する制御部と、を備えている。
【選択図】図1
【解決手段】液圧制動装置は、ホイールシリンダに液圧を伝達する液圧伝達回路と、ポンプによってホイールシリンダのブレーキ液を液圧伝達回路に送る、戻り液圧回路と、ポンプを通らない経路を介して液圧伝達回路に接続されるとともに、ポンプの吸入側に接続されたアキュムレータと、アキュムレータと液圧伝達回路および戻り液圧回路との間に介在した弁部と、ポンプを介さずにアキュムレータによるホイールシリンダ内のブレーキ液の加圧が必要であると判定した場合に、弁部を制御して、アキュムレータと液圧伝達回路との間を連通しかつアキュムレータと戻り液圧回路との間を遮断する制御部と、を備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、液圧制動装置に関する。
従来、マスタシリンダからホイールシリンダに液圧を伝達する液圧伝達回路と、ポンプによってホイールシリンダのブレーキ液を液圧伝達回路に送る、戻り液圧回路と、アキュムレータと、を備え、アキュムレータによって、液圧伝達回路中および戻り液圧回路中のブレーキ液を同時に加圧することにより、ホイールシリンダの液圧を増加させる液圧制動装置が知られている。
この種の液圧制動装置では、アキュムレータの加圧力をホイールシリンダへより急速に伝達できれば、好ましい。
そこで、本発明の課題の一つは、アキュムレータの加圧力をホイールシリンダへより急速に伝達することができる液圧制動装置を得ることである。
実施形態の液圧制動装置は、マスタシリンダからホイールシリンダに液圧を伝達する液圧伝達回路と、ポンプによって前記ホイールシリンダのブレーキ液を前記液圧伝達回路に送る、戻り液圧回路と、前記ポンプを通らない経路を介して前記液圧伝達回路に接続されるとともに、前記戻り液圧回路における前記ポンプの吸入側に接続され、前記液圧伝達回路中と前記戻り液圧回路中との少なくとも一方の前記ブレーキ液を加圧可能なアキュムレータと、前記アキュムレータと前記液圧伝達回路および前記戻り液圧回路との間に介在し、前記アキュムレータと前記液圧伝達回路および前記戻り液圧回路との間の連通状態を変更する弁部と、前記ポンプを介さずに前記アキュムレータによる前記ホイールシリンダ内の前記ブレーキ液の加圧が必要であると判定した場合に、前記弁部を制御して、前記アキュムレータと前記液圧伝達回路との間を連通しかつ前記アキュムレータと前記戻り液圧回路との間を遮断する制御部と、を備えている。
前記液圧制動装置によれば、例えば、制御部が、ポンプを介さずにアキュムレータによるホイールシリンダ内のブレーキ液の加圧が必要であると判定した場合に、ポンプを介さずにアキュムレータによるホイールシリンダ内のブレーキ液の加圧が行われる。よって、例えば、ポンプを介さない経路およびポンプを介した経路の両方でアキュムレータによるホイールシリンダ内のブレーキ液の加圧が行われる構成に比べて、ホイールシリンダ内のブレーキ液の加圧を急速に行うことができる。
また、前記液圧制動装置は、例えば、前記ブレーキ液の粘度に影響を与える温度を取得する第一取得部を備え、前記制御部は、ポンプが動作する場合に、前記温度が第一閾値以下のときには、前記弁部を制御して、前記アキュムレータと前記液圧伝達回路との間を遮断しかつ前記アキュムレータと前記戻り液圧回路との間を連通し、前記ポンプを介さずに前記アキュムレータの力による前記ホイールシリンダ内の前記ブレーキ液の加圧が必要であると判定した場合には、前記温度に関わらず、前記弁部を制御して、前記アキュムレータと前記液圧伝達回路との間を連通しかつ前記アキュムレータと前記戻り液圧回路との間を遮断する。
前記液圧制動装置によれば、例えば、温度が第一閾値以下の場合には、アキュムレータによってポンプの吸入側の加圧(ブレーキ液の供給)が行われるので、ブレーキ液の粘度が比較的高い場合でも、ポンプの吸い込み動作がしやすい。
また、前記液圧制動装置は、例えば、前記アキュムレータによって加圧される対象部の液圧を取得する第二取得部を備え、前記制御部は、前記アキュムレータと前記液圧伝達回路との間を連通しかつ前記アキュムレータと前記戻り液圧回路との間を遮断した後、前記対象部の液圧が第二閾値以上になったと判定した場合に、前記ポンプを動作させる。
前記液圧制動装置によれば、例えば、制御部が対象部の液圧が第二閾値以上になったと判定した場合に、ポンプが動作するので、対象部の液圧が第二閾値以上になった場合でもポンプを動作させない構成に比べて、アキュムレータが供給するブレーキ液の液量を必要最低限に留めることができるため、アキュムレータの小型化がしやすい。
また、前記液圧制動装置は、例えば、前記アキュムレータによって加圧される対象部の液圧を取得する第二取得部を備え、前記制御部は、前記アキュムレータと前記液圧伝達回路との間を遮断しかつ前記アキュムレータと前記戻り液圧回路との間を連通した後、前記対象部の液圧が第三閾値以上になったと判定した場合に、前記弁部を制御して、前記アキュムレータと前記戻り液圧回路との間を遮断する。
前記液圧制動装置によれば、例えば、制御部が、対象部の液圧が第三閾値以上になったと判定した場合には、アキュムレータによる戻り液圧回路の加圧が終了するので、対象部の液圧が第三閾値以上になった場合でもアキュムレータによる戻り液圧回路の加圧を終了させない構成に比べて、アキュムレータが供給するブレーキ液の液量を必要最低限に留めることができるため、アキュムレータの小型化がしやすい。
また、前記液圧制動装置では、例えば、前記アキュムレータは、ガスの圧力を蓄圧し、前記アキュムレータと前記弁部との間に、前記アキュムレータから前記弁部への前記ガスの進入を制限した状態で、前記ガスの圧力を前記弁部中の前記ブレーキ液に伝達する力伝達部が設けられている。
前記液圧制動装置によれば、例えば、アキュムレータと弁部との間に、アキュムレータから弁部へのガスの進入を制限した状態で、ガスの圧力を弁部中のブレーキ液に伝達する力伝達部が設けられているので、アキュムレータのガスが漏れた場合でも、当該ガスが弁部に進入するのを抑制できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
図1は、実施形態のブレーキ装置の概略的構成を示した例示的な構成図である。このブレーキ装置は、たとえば四輪の車両に設けられる。なお、実施形態の技術は、四輪の車両以外の一般的な車両にも適用可能である。
図1に示されるように、実施形態のブレーキ装置は、前輪である車輪2FLおよび2FRと、後輪である車輪2RLおよび2RRと、の両方に制動力(摩擦制動トルク)を付与することが可能に構成された液圧制動装置1を備えている。液圧制動装置1は、圧力発生部32と、ホイールシリンダ38FL,38FR,38RL,38RRと、圧力調整部34FL,34FR,34RL,34RRと、還流機構37と、加圧部50と、を備えている。なお、以下では、簡単化のため、車輪2FL,2FR,2RL,2RRを総称して車輪2と記載し、ホイールシリンダ38FL,38FR,38RL,38RRを総称してホイールシリンダ38と記載し、圧力調整部34FL,34FR,34RL,34RRを総称して圧力調整部34と記載する場合がある。液圧制動装置1は、液圧制御装置とも称される。
圧力発生部32は、車両の運転者によるブレーキペダル31の操作に応じた圧力(液圧)を発生させる機構である。ホイールシリンダ38FL,38FR,38RL,38RRは、それぞれ、摩擦制動部材を加圧することで車輪2FL,2FR,2RL,2RRに制動力を付与する機構である。圧力調整部34FL,34FR,34RL,34RRは、それぞれ、ホイールシリンダ38FL,38FR,38RL,38RRに与えられる液圧を調整する機構である。還流機構37は、液圧を発生させる媒体としてのブレーキ液(作動流体)を上流側に、すなわちホイールシリンダ38側から圧力発生部32側に還流させる機構である。また、加圧部50は、ホイールシリンダ38を加圧可能な機構である。
圧力発生部32は、マスタシリンダ32aと、リザーバタンク32bと、を備えている。マスタシリンダ32aは、ブレーキペダル31の操作(踏み込み)に伴って押し込まれることで、リザーバタンク32bから補充されるブレーキ液を2つの吐出ポートに吐出する。これら2つの吐出ポートは、それぞれ、開状態と閉状態とを電気的に切り替え可能な電磁弁33を介して、フロント側の圧力調整部34FRおよびリヤ側の圧力調整部34RLと、フロント側の圧力調整部34FLおよびリヤ側の圧力調整部34RRと、に接続される。電磁弁33は、ブレーキ制御装置100(後述する図2参照)の制御に基づいて開閉する。
圧力調整部34は、開状態と閉状態とを電気的に切り替え可能な電磁弁35および36を有している。電磁弁35および36は、電磁弁33と、リザーバ41と、の間に設けられている。電磁弁35は、電磁弁33に接続され、電磁弁36は、リザーバ41に接続されている。
電磁弁35および36は、ブレーキ制御装置100(後述する図2参照)の制御に基づいて開閉することで、ホイールシリンダ38で発生する圧力を、昇圧したり、維持したり、減圧したりすることが可能である。なお、ホイールシリンダ38FLは、圧力調整部34FLの電磁弁35および36の間に接続され、ホイールシリンダ38FRは、圧力調整部34FRの電磁弁35および36の間に接続されている。また、ホイールシリンダ38RLは、圧力調整部34RLの電磁弁35および36の間に接続され、ホイールシリンダ38RRは、圧力調整部34RRの電磁弁35および36の間に接続されている。
還流機構37は、リザーバ41と、ポンプ39と、モータ40と、を備えている。リザーバ41は、ブレーキ液(フルード)を一時的に貯蔵する。ポンプ39は、モータ40によって駆動されることで、ブレーキ液をホイールシリンダ38側からマスタシリンダ32a側に送る。なお、図1の例では、リザーバ41およびポンプ39は、圧力調整部34FRおよび34RLの組み合わせと、圧力調整部34FLおよび34RRの組み合わせと、に対応してそれぞれ1つずつ設けられている。
加圧部50は、アキュムレータ51と、弁部52と、力伝達部53と、を備えている。
図3は、実施形態のアキュムレータ51および力伝達部53を示した例示的な断面図である。図3に示されるように、アキュムレータ51は、ガスの圧力を蓄圧するベローズ式である。アキュムレータ51は、容器51aと容器51aに収容されたベローズ51bとを有している。容器51aとベローズ51bとの間には、ブレーキ液(液体)が収容され、ベローズ51b内には、ガスが収容されている。なお、アキュムレータ51は、ばね式であってもよい。
弁部52は、それぞれ開状態と閉状態とを電気的に切り替え可能な第一電磁弁54および第二電磁弁55を有している。第一電磁弁54および第二電磁弁55は、ブレーキ制御装置100(後述する図2参照)の制御に基づいて開閉する。
図4は、実施形態の力伝達部53の図3のIV-IV線に沿った断面図である。図5は、実施形態の力伝達部53の連通路の構成を示す構成図である。図3に示されるように、力伝達部53は、アキュムレータ51と連結されている。図3,4に示されるように、力伝達部53は、シリンダ部材53aと、ピストン53bと、コイルばね53fと、を有している。シリンダ部材53aには、シリンダ室53cが設けられている。シリンダ室53cの一端部は、アキュムレータ51の容器51a内と連通している。また、シリンダ室53cの他端部は、閉塞部材53eによって閉じられている。閉塞部材53eとシリンダ部材53aとの間は、Oリング53dによって液密かつ気密に塞がれている。ピストン53bは、往復動可能にシリンダ室53cに収容されている。ピストン53bとシリンダ部材53aとの間は、Oリング53dによって液密かつ気密に塞がれている。コイルばね53fは、シリンダ室53cに収容され、ピストン53bを閉塞部材53eに向けて押している。また、シリンダ部材53aには、第一電磁弁54および第二電磁弁55が組み込まれている。具体的には、第一電磁弁54および第二電磁弁55は、シリンダ部材53aに設けられた孔53mに入れられている。
また、シリンダ部材53aには、第一電磁弁54および第二電磁弁55とシリンダ室53cとを連通した流路53i,53jが設けられている。また、シリンダ部材53aには、ポート53g,53hが設けられている。ポート53g,53hは、それぞれ流路53kを介して第一電磁弁54および第二電磁弁55と連通している。
上記構成では、例えば、アキュムレータ51が蓄圧した状態で、第一電磁弁54または第二電磁弁55が開弁すると、アキュムレータ51の放圧によって、ピストン53bが、閉塞部材53eに向かって移動する。これにより、閉塞部材53eとピストン53bの間のブレーキ液が、流路53iまたは53jと、第一電磁弁54または第二電磁弁55と、流路53kと、を介して、ポート53gまたは53hから流出する。また、アキュムレータ51に蓄圧する場合には、例えば、ブレーキ液が、ポート53g,53hから、流路53k、第一電磁弁54、第二電磁弁55、および流路53i,53jを介して、シリンダ室53cに流入して、ピストン53bが、コイルばね53fの弾性力に抗してアキュムレータ51に向かって移動する。これにより、シリンダ室53c内のブレーキ液がアキュムレータ51の容器51a内に流入して、アキュムレータ51のガスが圧縮される。
図5から分かるように、流路53iと流路53jとは、例えば、一直線上に形成される。また、流路53iおよび流路53jを形成する際に形成された開口部は、栓53nによって閉じられている。また、流路53kを形成する際に形成された開口部も、栓53nによって閉じられている。
また、液圧制動装置1は、液圧伝達回路71FL,71FR,71RL,71RRと、戻り液圧回路72FL,72FR,72RL,72RRと、を備えている。なお、以下では、簡単化のため、液圧伝達回路71FL,71FR,71RL,71RRを総称して、液圧伝達回路71と記載し、戻り液圧回路72FL,72FR,72RL,72RRを総称して、戻り液圧回路72と記載する場合がある。
液圧伝達回路71FL,71FR,71RL,71RRは、マスタシリンダ32aからホイールシリンダ38FL,38FR,38RL,38RRに液圧を伝達する。具体的に、代表として液圧伝達回路71FLを例に説明すると、液圧伝達回路71FLは、少なくとも、マスタシリンダ32aと、電磁弁35と電磁弁36との間の第一部分P1とを、電磁弁33と電磁弁35とを介して結んでいる。
また、戻り液圧回路72FL,72FR,72RL,72RRは、ポンプ39によってホイールシリンダ38FL,38FR,38RL,38RRのブレーキ液を液圧伝達回路71FL,71FR,71RL,71RRに送る(戻す)。具体的に、代表として戻り液圧回路72FLを例に説明すると、戻り液圧回路72FLは、少なくとも、液圧伝達回路71FLの第一部分P1と液圧伝達回路71FLの第二部分P2とを、電磁弁36とポンプ39とを介して結んでいる。液圧伝達回路71FLの第二部分P2は、電磁弁33と電磁弁35との間に位置している。なお、ホイールシリンダ38と第一部分P1との間は、液圧伝達回路71および戻り液圧回路72に接続された部分と言うこともできるし、液圧伝達回路71および戻り液圧回路72の重複部分(共通部分)と言うこともできる。
さらに、液圧制動装置1は、第一接続回路73と、第二接続回路74と、を備えている。第一接続回路73は、第一電磁弁54と、液圧伝達回路71の第二部分P2とを結んでいる。また、第二接続回路74は、第二電磁弁55と、戻り液圧回路72の第一部分P3とを結んでいる。戻り液圧回路72の第一部分P3は、ポンプ39の吸入側に位置している。
また、液圧制動装置1には、車両の各種状態量を検出するセンサとして、圧力センサ61と、温度センサ62(図2)と、が設けられている。圧力センサ61は、アキュムレータ51によって加圧される対象部56の液圧を検出する。本実施形態では、対象部56は、弁部52と力伝達部53(アキュムレータ51)との間に設けられた流路である。また、温度センサ62は、ブレーキ液の粘度に影響を与える温度を検出する。例えば、温度センサ62は、ブレーキ液の温度を直接検出してもよいし、液圧制動装置1が設置された環境の温度を検出してもよい。
図2は、実施形態のブレーキ制御装置100の機能的構成を示した例示的なブロック図である。液圧制動装置1は、ブレーキ制御装置100を備えている。ブレーキ制御装置100は、たとえば、プロセッサやメモリなどといった通常のコンピュータと同様のハードウェアを備えたブレーキECU(Electronic Control Unit)の一部を構成する。
ブレーキ制御装置100には、圧力センサ61、温度センサ62、および衝突検出用装置63が接続されている。衝突検出用装置63は、液圧制動装置1が設けられた車両と車両前方の障害物との距離を計測する距離センサや、車両の車速を検出する車速センサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、車両の前方を撮像するカメラなどである。
図2に示されるように、ブレーキ制御装置100は、制御部101と、取得部102と、を備えている。これらの機能的構成は、たとえば、ブレーキ制御装置100のプロセッサがメモリに格納された種々のプログラムを実行した結果として実現される。なお、実施形態では、これらの機能的構成の一部または全部が専用のハードウェア(回路)によって実現されてもよい。
制御部101は、各種のブレーキ制御を行う。例えば、アンチロックブレーキ制御や、トラクションコントロール制御、衝突回避をするための緊急ブレーキ制御などを行う。取得部102は、上述した圧力センサ61や、温度センサ62、衝突検出用装置63などの出力値(出力情報)を取得する。すなわち、取得部102は、複数の情報を取得可能に構成されている。取得部102は、第一取得部および第二取得部の一例である。
以下に、制御部101が行う制御を具体的に説明する。
制御部101は、緊急ブレーキ制御においては、ポンプ39を介さずにアキュムレータ51によるホイールシリンダ38内のブレーキ液の加圧が必要であるかを判定する。この判定は、例えば、衝突検出用装置63からの出力に基づいて、車両が障害物と衝突する可能性があるかを公知の方法で判定する。制御部101は、車両が障害物と衝突する可能性がある場合に、ポンプ39を介さずにアキュムレータ51によるホイールシリンダ38内のブレーキ液の加圧が必要であると判定する。制御部101は、ポンプ39を介さずにアキュムレータ51によるホイールシリンダ38内のブレーキ液の加圧が必要であると判定した場合に、弁部52を制御して、アキュムレータ51と液圧伝達回路71との間を連通しかつアキュムレータ51と戻り液圧回路72との間を遮断する。具体的には、第一電磁弁54を開状態にして、第二電磁弁55を閉状態にする。
また、制御部101は、上記の制御において、アキュムレータ51と液圧伝達回路71との間を連通しかつアキュムレータ51と戻り液圧回路72との間を遮断した後、対象部56の液圧が第二閾値以上になったと判定した場合に、ポンプ39を動作させる。
また、制御部101は、例えば、アンチロックブレーキ制御やトラクションコントロール制御において、ポンプ39が動作する場合(ポンプ39を動作させる場合)に、取得部102によって取得された温度が第一閾値以下のときには、弁部52を制御して、アキュムレータ51と液圧伝達回路71との間を遮断しかつアキュムレータ51と戻り液圧回路72との間を連通する。具体的には、第一電磁弁54を閉状態にして、第二電磁弁55を開状態にする。また、制御部101は、この制御を行っているときに、緊急ブレーキが必要である、すなわち、ポンプ39を介さずにアキュムレータ51の力によるホイールシリンダ38内のブレーキ液の加圧が必要であると判定した場合には、上記温度に関わらず、弁部52を制御して、第一電磁弁54を開状態にして、第二電磁弁55を閉状態にする。すなわち、制御部101は、アキュムレータ51と液圧伝達回路71との間を連通しかつアキュムレータ51と戻り液圧回路72との間を遮断する。
また、制御部101は、例えば、アンチロックブレーキ制御やトラクションコントロール制御において、アキュムレータ51と液圧伝達回路71との間を遮断しかつアキュムレータ51と戻り液圧回路72との間を連通した後、対象部56の液圧が第三閾値以上になったと判定した場合に、弁部52を制御して、アキュムレータ51と戻り液圧回路72との間を遮断する。第三閾値は、第二閾値と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
以上説明したように、本実施形態では、例えば、制御部101は、ポンプ39を介さずにアキュムレータ51によるホイールシリンダ38内のブレーキ液の加圧が必要であると判定した場合に、弁部52を制御して、アキュムレータ51と液圧伝達回路71との間を連通しかつアキュムレータ51と戻り液圧回路72との間を遮断する。よって、本実施形態によれば、例えば、ポンプ39を介さない経路およびポンプ39を介した経路の両方でアキュムレータ51によるホイールシリンダ38内のブレーキ液の加圧が行われる構成に比べて、ホイールシリンダ38内のブレーキ液の加圧を急速に行うことができる。
また、本実施形態では、例えば、制御部101は、ポンプ39が動作する場合に、取得部102によって取得された温度が第一閾値以下のときには、弁部52を制御して、アキュムレータ51と液圧伝達回路71との間を遮断しかつアキュムレータ51と戻り液圧回路72との間を連通する。よって、本実施形態によれば、例えば、温度が第一閾値以下の場合には、アキュムレータ51によってポンプ39の吸入側の加圧が行われるので、ブレーキ液の粘度が比較的高い場合でも、ポンプ39の吸い込み動作がしやすい。また、ポンプ39は、動作の初期段階(立ち上がり段階)では吐出量が少ないが、その吐出量をアキュムレータ51によって補うことができる。
また、本実施形態では、例えば、制御部101は、アキュムレータ51と液圧伝達回路71との間を連通しかつアキュムレータ51と戻り液圧回路72との間を遮断した後、対象部56の液圧が第二閾値以上になったと判定した場合に、ポンプ39を動作させる。よって、本実施形態によれば、例えば、対象部56の液圧が第二閾値以上になった場合でもポンプ39を動作させない構成に比べて、アキュムレータ51が供給するブレーキ液の液量を必要最低限に留めることができるため、アキュムレータ51の小型化がしやすい。
また、本実施形態では、例えば、制御部101は、アキュムレータ51と液圧伝達回路71との間を遮断しかつアキュムレータ51と戻り液圧回路72との間を連通した後、対象部56の液圧が第三閾値以上になったと判定した場合に、弁部52を制御して、アキュムレータ51と戻り液圧回路72との間を遮断する。よって、本実施形態によれば、例えば、制御部101が、対象部56の液圧が第三閾値以上になったと判定した場合には、アキュムレータ51による戻り液圧回路の加圧が終了するので、対象部56の液圧が第三閾値以上の場合でもアキュムレータ51による戻り液圧回路72の加圧を終了させない構成に比べて、アキュムレータ51が供給するブレーキ液の液量を必要最低限に留めることができる。したがって、アキュムレータ51の小型化がしやすい。
また、本実施形態では、例えば、アキュムレータ51と弁部52との間に、アキュムレータ51から弁部52へのガスの進入を制限した状態で、ガスの圧力を弁部52中のブレーキ液に伝達する力伝達部53が設けられている。よって、本実施形態によれば、例えば、アキュムレータ51のガスが漏れた場合でも、当該ガスが弁部52に進入するのを抑制できる。
なお、上述した実施形態では、弁部52が二つの第一電磁弁54および第二電磁弁55を有する構成を例示したが、これに限られない。例えば、弁部52は、二つの第一電磁弁54および第二電磁弁55に替えて、一つの三方弁によって構成されていてもよい。
また、上記した実施形態では緊急ブレーキに於ける使用を説明したが、通常ブレーキの際の補助としてアキュムレータ51による加圧を用いてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、または変更を行うことができる。また、上述した実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…液圧制動装置、32a…マスタシリンダ、38,38FL,38FR,38RL,38RR…ホイールシリンダ、39…ポンプ、51…アキュムレータ、52…弁部、53…力伝達部、56…対象部、71,71FL,71FR,71RL,71RR…液圧伝達回路、72,72FL,72FR,72RL,72RR…戻り液圧回路、101…制御部、102…取得部(第一取得部、第二取得部)。
Claims (5)
- マスタシリンダからホイールシリンダに液圧を伝達する液圧伝達回路と、
ポンプによって前記ホイールシリンダのブレーキ液を前記液圧伝達回路に送る、戻り液圧回路と、
前記ポンプを通らない経路を介して前記液圧伝達回路に接続されるとともに、前記戻り液圧回路における前記ポンプの吸入側に接続され、前記液圧伝達回路中と前記戻り液圧回路中との少なくとも一方の前記ブレーキ液を加圧可能なアキュムレータと、
前記アキュムレータと前記液圧伝達回路および前記戻り液圧回路との間に介在し、前記アキュムレータと前記液圧伝達回路および前記戻り液圧回路との間の連通状態を変更する弁部と、
前記ポンプを介さずに前記アキュムレータによる前記ホイールシリンダ内の前記ブレーキ液の加圧が必要であると判定した場合に、前記弁部を制御して、前記アキュムレータと前記液圧伝達回路との間を連通しかつ前記アキュムレータと前記戻り液圧回路との間を遮断する制御部と、
を備えた液圧制動装置。 - 前記ブレーキ液の粘度に影響を与える温度を取得する第一取得部を備え、
前記制御部は、ポンプが動作する場合に、前記温度が第一閾値以下のときには、前記弁部を制御して、前記アキュムレータと前記液圧伝達回路との間を遮断しかつ前記アキュムレータと前記戻り液圧回路との間を連通し、前記ポンプを介さずに前記アキュムレータの力による前記ホイールシリンダ内の前記ブレーキ液の加圧が必要であると判定した場合には、前記温度に関わらず、前記弁部を制御して、前記アキュムレータと前記液圧伝達回路との間を連通しかつ前記アキュムレータと前記戻り液圧回路との間を遮断する請求項1に記載の液圧制動装置。 - 前記アキュムレータによって加圧される対象部の液圧を取得する第二取得部を備え、
前記制御部は、前記アキュムレータと前記液圧伝達回路との間を連通しかつ前記アキュムレータと前記戻り液圧回路との間を遮断した後、前記対象部の液圧が第二閾値以上になったと判定した場合に、前記ポンプを動作させる請求項1または2に記載の液圧制動装置。 - 前記アキュムレータによって加圧される対象部の液圧を取得する第二取得部を備え、
前記制御部は、前記アキュムレータと前記液圧伝達回路との間を遮断しかつ前記アキュムレータと前記戻り液圧回路との間を連通した後、前記対象部の液圧が第三閾値以上になったと判定した場合に、前記弁部を制御して、前記アキュムレータと前記戻り液圧回路との間を遮断する、請求項2に記載の液圧制動装置。 - 前記アキュムレータは、ガスの圧力を蓄圧し、
前記アキュムレータと前記弁部との間に、前記アキュムレータから前記弁部への前記ガスの進入を制限した状態で、前記ガスの圧力を前記弁部中の前記ブレーキ液に伝達する力伝達部が設けられた、請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の液圧制動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017011639A JP2018118633A (ja) | 2017-01-25 | 2017-01-25 | 液圧制動装置 |
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JP2017011639A JP2018118633A (ja) | 2017-01-25 | 2017-01-25 | 液圧制動装置 |
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JP (1) | JP2018118633A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112373452A (zh) * | 2020-11-24 | 2021-02-19 | 湖北塞弗精工科技有限公司 | 一种液压制动装置 |
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2017
- 2017-01-25 JP JP2017011639A patent/JP2018118633A/ja active Pending
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