JP2018118548A - 乗物用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】織物製の面状体において、袋織組織で構成された挿通部における過度の目開きを極力阻止することにある。【解決手段】面状体20が、シートフレームの枠内の一辺に沿って配置されている第一構成糸31と、第一構成糸31に交差状に配置されている第二構成糸32とが交絡状態とされて構成された織物であるとともに、シートパッドを支持可能な一重組織の本体部24と、保持体の少なくとも一部(11)が挿通されている袋織組織の挿通部(21)とを有し、挿通部(21)に配置された第一構成糸31(YT)が、本体部24に配置された第一構成糸31(Y1)よりも太くされている。【選択図】図4

Description

本発明は、シート骨格をなすシートフレームと、乗員を弾性的に支持可能なシートパッドと、シートパッドを裏側から支持する面状体と、面状体を支持した状態でシートフレームに取付けられる保持体とを備えた乗物用シートに関する。
この種の乗物用シートとして、シートフレームと、シートパッドと、支持部材を備えた乗物用シートが公知である(特許文献1を参照)。シートフレームは、上方視で略矩形の金属枠体であり、シートパッドは、シートフレーム上に配置される発泡樹脂製の部材である。そして支持部材は、シートフレームの枠内でシートパッドを裏側から支持する部材であり、シートフレームに掛止されている枠状体と、枠状体の枠内に張設されている面状体を有する。枠状体は、本発明の保持体に相当する略矩形の枠体であり、シートフレームの前部と後部にそれぞれ掛止可能である。また面状体は、シートパッドを裏側から支持可能な面材であり、シートパッドの荷重によって適度に撓み変形することができる。公知技術では、枠状体上に面状体を配置したのち、枠状体の適宜の位置で、面状体の末端部を筒状に折り返しながらミシンなどで面状体の裏側に縫合する。こうして面状体の末端部が枠状体を巻き込みながら筒状に縫製されることで、面状体が、適度に張った状態で枠状体に取付けられる。そしてシートフレームの枠内に枠状体を掛止することにより、面状体を、シートフレームの枠内でシートパッドを支持可能な位置に配置しておくことができる。
ところで上述の構成では、面状体と枠状体の取付け作業に際して、面状体の末端部を筒状に折り返しながら縫合する必要があるため、作業性にやや劣る構成となりがちであった。またミシン針によって面状体の構成糸が破断されるなどして、面状体の強度が低下するおそれがあった。そこで特許文献2の技術に開示の椅子では、本発明の面状体に相当する薄シート体が、椅子の外形形状をなしている枠状のフレーム材に張り渡されている。この薄シート体は、緯編地を備えた編物で構成されており、本発明の挿通部に相当する筒部が編み込み形成されている。そこで面状体を、薄シート体のように緯編地で構成し、末端側に筒部を編み込み形成する。そして面状体の筒部(挿通部)に枠状体を挿通して取付けることで、枠状体に面状体を取付ける際の縫製作業を省略することができる。
しかし特許文献2のように編物で構成された面状体は、連続したループで構成されて伸長しやすいのであるが、伸びきった後に元の形状に戻りにくい(キックバックが少なくセット率が悪い)という構造的な弱点を有している。また編物は、モジュラスが織物と比較して低い傾向があり、着座時に尻下がり量が多すぎる場合があった。
特開2010−253242号公報 特許第5675946号公報
そこで高モジュラスである織物製の面状体を使用し、さらに袋織組織で筒状の挿通部を形成することにより、枠状体に面状体を取付ける際の縫製作業を省略することが考えられる。しかし典型的な袋織組織では、袋織組織を構成する二枚の一重組織部分に構成糸が均等に割り付けられてしまう。このため袋織組織においては、通常の織物部分に比して構成糸の密度が低下するため、構成糸同士が離間する目開きが生じやすく、過度の目開きが生じた場合には面状体の意匠性や耐久性が低下することが懸念される。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、織物製の面状体において、袋織組織で構成された挿通部における過度の目開きを極力阻止することにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の乗物用シートは、シート骨格をなす枠状のシートフレームと、乗員を弾性的に支持可能なシートパッドと、シートフレームの枠内に配置するシートパッドを裏側から支持している面状体と、面状体を保持した状態でシートフレームに取付けられている保持体とを備えている。そして面状体が、シートフレームの枠内の一辺に沿って配置されている第一構成糸と、第一構成糸に交差状に配置されている第二構成糸とが交絡状態とされて構成された織物であるとともに、シートパッドを支持可能な一重組織の本体部と、保持体の少なくとも一部が挿通されている袋織組織の挿通部を有する。本発明では、面状体に袋織組織の挿通部を設け、この挿通部に保持体を簡便に取付けるのであるが、このとき挿通部に、第一構成糸の減数に伴う過度の目開きが生ずることが懸念される。そこで本発明では、挿通部に配置された第一構成糸が、本体部に配置された第一構成糸よりも太くされている。本発明では、挿通部の第一構成糸を相対的に太くすることで、挿通部における過度の目開きを極力阻止することができる。
第2発明の乗物用シートは、第1発明の乗物用シートにおいて、本体部の目付量を1とした場合において、挿通部に配置されている第一構成糸を、本体部に配置されている第一構成糸よりも太くすることにより、挿通部の目付量を2/3以上とした。本発明では、挿通部の第一構成糸を相対的に太くして、挿通部の目付量が本体部に比して極端に減少しないように調整することで、挿通部における過度の目開きをより確実に阻止することができる。
第3発明の乗物用シートは、第1発明又は第2発明の乗物用シートにおいて、挿通部に配置されている全ての第一構成糸が、本体部に配置されている第一構成糸よりも高繊度である。本発明では、相対的に高繊度で太い第一構成糸を挿通部の全域に配置するシンプルな構成によって、挿通部における過度の目開きを極力阻止することができる。
本発明に係る第1発明によれば、織物製の面状体において、袋織組織で構成された挿通部における過度の目開きを極力阻止することができる。また第2発明によれば、挿通部における過度の目開きをより確実に阻止することができる。そして第3発明によれば、比較的シンプルな構成によって、挿通部における過度の目開きを極力阻止することができる。
乗物用シートの斜視図である。 シートクッションの分解斜視図である。 面状体と保持体の上面図である。 図3のIV−IV線断面に相当する面状体と保持体の断面図である。 変形例にかかる挿通部一部の概略図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図5を参照して説明する。各図には、乗物用シートの前後方向と上下方向と左右方向を示す矢線を適宜図示する。また図4では、便宜上、第一構成糸31を太く図示し、第二構成糸32を細く図示しているが、これら各構成糸の実際の太さを示しているわけではない。
図1の乗物用シート2は、シートクッション4と、シートバック6と、ヘッドレスト8を有する。これらシート構成部材は、各々、シート骨格をなすシートフレーム(4F,6F,8F)と、乗員を弾性的に支持可能なシートパッド(4P,6P,8P)と、シートパッドを被覆するシートカバー(4S,6S,8S)を有する。そしてシートクッション4(詳細後述)の後部には、シートバック6の下部が起倒可能に連結されているとともに、起立状態のシートバック6の上部には、ヘッドレスト8が配設されている。またシートクッション4の下部にはアッパレール9aが取付けられている。このアッパレール9aが、車室床面に取付けられているロアレール9bに摺動可能に組付けられることで、シート構成部材を、ロアレール9bに沿ってスライド移動させることができる。
[シートクッション]
シートクッション4は、図2を参照して、上述の基本構成4F,4P,4Sと、複数の保持体11〜14と、面状体20を備えている(各部材の詳細は後述)。そしてシートクッション4においては、シートパッド4Pを、後述するように枠状のシートフレーム4F上に配設してシートカバー4Sで被覆する。このときシートフレーム4Fの枠内には、各保持体11〜14が取付けられており、これら各保持体11〜14に保持されている面状体20によって、シートパッド4Pが裏側から支持されている。本実施例では、後述する織物製の面状体20を用いることにより、乗員着座時などにおいてシートパッド4Pを面状体20が適度に伸縮しながら支持することができる。さらに面状体20には、後述する袋織組織の各挿通部21,22が設けられている。そして各挿通部21(22)に枠状体の一部11、12(13,14)が取付けられるのであるが、この種の構成においては、袋織組織の各挿通部21,22に、後述する図3の第一構成糸31の減数に伴う過度の目開き(第一構成糸同士の離間)が生ずることが懸念される。そこで本実施例では、後述の構成にて、織物製の面状体20において、袋織組織で構成された各挿通部21,22における過度の目開きを極力阻止することとした。以下、各構成について詳述する。
[基本構成]
シートカバー4Sは、図2を参照して、シートパッド4Pを被覆可能な袋状の部材であり、例えば布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)で構成できる。またシートパッド4Pは、シート外形をなす部材であり、例えばポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)などの発泡樹脂で構成できる。そしてシートフレーム4Fは、上方視で略矩形の金属枠体であり、フロントフレーム4aと、一対のサイドフレーム4bと、補強フレーム4cと、リアフレーム4dを有する。フロントフレーム4aは、シートフレーム前部を構成する平板状の部材である。また一対のサイドフレーム4bは、それぞれシートフレーム側部を構成する平板状の部材であり、シート左右で互いに対面状に配置する。また補強フレーム4cは、シート幅方向に長尺なパイプ状の部材であり、一対のサイドフレーム4bの前部側に橋渡し状に設けられている。この補強フレーム4cは、本発明におけるシートフレームの枠内の一辺を構成している。またリアフレーム4dは、シート幅方向に長尺なパイプ状の部材であり、一対のサイドフレーム4bの後部でこれらの間に橋渡し状に設けられている。そして補強フレーム4cは、フロントフレーム4aの近傍に配置されて、リアフレーム4dから前後方向に適宜の間隔で離間しており、これら両フレーム4c,4dの間に後述する面状体20が配設されることとなる。
[保持体]
複数の保持体(第一保持体11〜第四保持体14)は、図2及び図3を参照して、それぞれ後述の面状体20を保持しつつシートフレーム4Fの補強フレーム4cとリアフレーム4dに取付けられる部材である。第一保持体11と第二保持体12は、本発明の保持体に相当する部材であり、略同一の基本構成を有して、面状体20の前端部に左右対称となるように配置される。例えば右側に配置される第一保持体11は、シート幅方向に延長している棒状の部材であり、左右一対の掛止部11a,11bを有している。右側の掛止部11aは、略逆U字状をなすように上方に湾曲している部位であり、第一保持体11の右端から前方に向けて突出している。また左側の掛止部11bは、略逆U字状をなすように上方に湾曲している部位であり、第一保持体11の左端から前方に向けて突出している。そして各掛止部11a,11bは、第一保持体11を後述の面状体20に取付けた状態において、それぞれ前側に向けて突出して補強フレーム4cに上方から掛止可能な位置に配置される。また左側に配置される第二保持体12も、シート幅方向に延長している棒状の部材であり、左右一対の掛止部12a,12bを有している。
また第三保持体13と第四保持体14は、本発明の他の保持体に相当する部材であり、略同一の基本構成を有して、前端部とは反対の面状体20の後端部に左右対称となるように配置される。例えば右側に配置される第三保持体13は、シート幅方向に長尺とされた略矩形の枠体であり、前枠部13aと、後枠部13bと、これら両枠部をつなぐ左右の側枠部13c,13dを有している。そして両側枠部13c,13dは、それぞれ略半円状をなすように上方に湾曲した状態で前後方向に延長しており、対応する前枠部13aの端部と後枠部13bの端部につながっている。また後枠部13bには、後述する第二挿通部22に挿通する必要上、一部に分断されている箇所(図示省略)が設けられている。そして後述するように前枠部13aを後述の面状体20に取付けた状態においては、各側枠部13c,13dから後枠部13bにかけての部分が、それぞれ後側に向けて突出してリアフレーム4dに上方から掛止可能な位置に配置される。また左側に配置される第四保持体14も、シート幅方向に長尺とされた略矩形の枠体であり、前枠部14aと、後枠部14bと、左右の側枠部14c,14dを有している。
[面状体]
面状体20は、図2及び図3を参照して、シートフレーム4Fの枠内に配置するシートパッド4Pを裏側から支持する面材であり、一対の挿通部21,22と、本体部24と、一対の末端部26,28と、融着部40を有している。この面状体20は、無縫製の織物(詳細後述)で構成された上面視で略矩形の面材であり、図3を参照して、前縁20aと後縁20bと右縁20cと左縁20dを有している。ここで前縁20aは、シートフレーム4Fの枠内に面状体20が取付けられている状態を基準として、面状体20の前端をなして左右に延長している縁である。また同状態を基準として、後縁20bは、面状体20の後端をなして左右に延長している縁であり、右縁20cは、面状体20の右端をなして前後に延長している縁であり、左縁20dは、面状体20の左端をなして前後に延長している縁である。
[挿通部]
一対の挿通部(第一挿通部21,第二挿通部22)は、図3を参照して、それぞれ対応する保持体11〜14を挿通可能な筒状の部位である。これら各挿通部21,22は、二重織組織の一種である袋織組織で形成されており、図4に示すように後述する一対の一重組織51,52で構成されている。そして第一挿通部21は、第一保持体11と第二保持体12を挿通可能な部位であり、面状体20の前縁20a付近に設けられて左右方向に延長している。この第一挿通部21のシート幅方向における略中央には、前側に開口している第一開口部21aが設けられており、この第一開口部21aからは、対応する保持体11,12の一部(掛止部11b,12a)を露出させておくことができる。また第二挿通部22は、第三保持体13と第四保持体14を挿通可能な部位であり、面状体20の後縁20b付近に設けられて左右方向に延長している。この第二挿通部22のシート幅方向における略中央には、後側に開口している第二開口部22aが設けられており、この第二開口部22aからは、対応する保持体13,14の一部(側枠部13d,14c)を露出させておくことができる。
[本体部・末端部]
本体部24は、図3を参照して、一対の挿通部21,22の間に配置されている一重組織部分であり、実質的にシートパッド4Pを下支えすることができる。この本体部24は、着座側から押圧されたシートパッド4Pを適度に撓みながら受け止める必要上、適度な伸縮性を有していることが望ましい。また一対の末端部(前側末端部26,後側末端部28)は、それぞれ対応する挿通部21,22よりもシートフレーム4F側に配置されている一重組織部分である。すなわち前側末端部26は、第一挿通部21から前方に延長している一重組織部分であり、面状体20の前縁20aをなして第一挿通部21よりも補強フレーム4c側に配置されている。また後側末端部28は、第二挿通部22から後方に延長している一重組織部分であり、面状体20の後縁20bをなして第二挿通部22よりもリアフレーム4d側に配置されている。
[面状体の形成作業]
面状体20の製織に際しては、図3及び図4を参照して、後述する複数の第一構成糸31と複数の第二構成糸32を交差状に適宜交絡させて織地を形成する(図3では、便宜上、各構成糸自体ではなく、各構成糸の向きを示す矢線を図示する)。この面状体20の製織では、経糸としての第一構成糸31を整経したのち、緯糸としての第二構成糸32を打ち込むことで、一重組織の本体部24及び各末端部26,28と、袋織組織の各挿通部21,22を順次形成していく。この面状体20の織組織として、基本組織(平織,斜文織,朱子織)やその変化組織を例示できる。本実施例では、シートフレーム4Fの枠内に面状体20が配置されている状態を基準として、各第一構成糸31が、左右方向を向いて補強フレーム4cに沿って配置される。また各第二構成糸32が、前後方向を向いて各第一構成糸31に対して交差状(本実施例では略直交方向)に配置される。
そして本実施例においては、製織後の面状体20に対して各種の仕上げ処理を行うことができる。この種の仕上げ処理として、精練工程と、染色工程と、熱セット工程と、風合い出し工程と、後加工剤付与工程と、仕上げセット工程を例示でき、これら上述の工程を全て行うこともでき、1又は複数の工程を省略することもできる。そして各工程では、面状体20に熱処理(乾熱処理又は湿熱処理)を施すことが多く、例えば90〜185℃前後の熱処理が施されることが多い。この加熱処理によって面状体20中の各構成糸31,32を面方向に収縮させることにより、面状体20に適度な伸び性を付与したり、面状体20に地厚感を出したり、面状体20の仕立て栄えを向上させたりすることができる。特に織物製の面状体20は、加熱によって十分に収縮させることが可能であり(所望のセット率とすることができ)、仕上がり後の面状体20がヘタって弛むことを極力阻止することができる。
[構成糸]
ここで各構成糸31,32として、動物系又は植物系の天然繊維、合成繊維又はこれらの混紡繊維の糸(通常糸Y1)を適宜用いることができる。合成繊維として、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、セルロース系繊維又はこれらの混紡繊維のフィラメントを例示できる。なかでもポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリトリメチレンテレフタレート(PTT),ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリ乳酸など)のフィラメントや、ポリアミド系繊維(ナイロン6,ナイロン66など)のフィラメントは、使用時の耐久性に優れるため通常糸Y1として好適に使用できる。そして通常糸Y1の繊度(太さ)は特に限定しないが、例えば30dtex〜3000dtex程度に設定できる。
また後述する各挿通部21,22の第一構成糸31として他の通常糸YTを用いることができる。この他の通常糸YTは、図4を参照して、通常糸Y1よりも断面積の大きい糸であり、通常糸Y1と同材質の場合(又は重量が同一とみなせる異材質の場合)には通常糸Y1よりも高繊度の糸である。そして太さを繊度で規定できる場合、他の通常糸YTの繊度は、例えば45dtex〜6000dtex程度に設定でき、後述する各挿通部21,22の目付量を考慮すると通常糸Y1の概ね2倍の繊度(1.8倍〜2.2倍)であることが好ましい。なお他の通常糸YTは、通常糸Y1と相似した断面形状を有していてもよく、通常糸YT1とは異なる異形断面形状を有していてもよく、いずれの断面形状においても繊度又は断面積を基準に太さを規定できる。
さらに各構成糸31,32として、通常糸Y1や他の通常糸YTよりも伸縮しやすい高伸縮糸Y2や、加熱により溶融したのち固化可能な融着糸Y3を適宜用いることができる。例えば高伸縮糸Y2として、ゴム弾性を有する各種の弾性糸を用いることができ、この種の弾性糸として、ポリエステル系エラストマ繊維、ポリエステル繊維(PTT,PBT)、ポリウレタン系繊維、ポリアミド系エラストマ繊維、ポリエーテル系エラストマ繊維、合成ゴム系繊維、ブタジエン系繊維を例示できる。また高伸縮糸として、構造的に伸縮しやすい捲縮糸などの仮撚加工糸や座屈糸を使用することもできる。また融着糸Y3として、他の構成糸(Y1,Y2、YT)の融点よりも低い融点の糸を用いることが望ましく、他の構成糸の融点より20℃以下の融点を有する糸を用いることが更に好ましい。例えばポリエチレンテレフタレートの通常糸Y1等を用いる場合、240℃以下の融点を有する融着糸Y3(例えばポリアミド系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ナイロン系の融着糸)を用いることができる。また融着糸Y3は、その一部が溶融及び固化可能であればよく、この種の融着糸Y3として、全溶融型や混繊型、芯鞘型の融着糸Y3を例示できる。混繊型の融着糸Y3とは、比較的高融点の繊維と、比較的低融点の繊維(融着部分)が混在する合成繊維の糸である。また芯鞘型の融着糸Y3とは、比較的高融点の芯材部分と、比較的低融点の鞘部分(融着部分)とを有する合成繊維の糸である。
[本体部の形成(高伸縮糸の使用例)]
本体部24の製織に際しては、各構成糸31,32を通常糸Y1としてもよいが、本体部24に好適な伸縮性を持たせるべく、図4に示すように第二構成糸32を高伸縮糸Y2とすることが望ましい。こうすることで乗員着座時のシートパッド4Pの荷重によって、第二構成糸32としての高伸縮糸Y2が前後方向に適度に伸長することにより、本体部24がスムーズに下方に撓み変形することとなる。そして面状体20においては、全ての第二構成糸32を高伸縮糸Y2としてもよく、一部の第二構成糸32だけを高伸縮糸Y2とすることもできる。例えば本体部24の右縁20cと左縁20d付近は、シート幅方向における本体部24の中央部分に比してあまり撓み変形させる必要がない。このため面状体20の中央部分の第二構成糸32を高伸縮糸Y2で構成し、面状体20の右縁20cと左縁20d付近の第二構成糸32を通常糸Y1で構成することもできる。
[挿通部の形成(相対的に太い他の通常糸の使用)]
図3に示す各挿通部21,22の製織に際しては、各挿通部21,22をなしている部分を、図4に示すように袋織組織で形成する。ここで各挿通部21,22の基本構成は略同一であることから、専ら第一挿通部21を一例に詳細を説明する。この袋織組織からなる第一挿通部21では、図4を参照して、一対の一重組織(表側一重組織51,裏側一重組織52)が重なるように配置されている。そして表側一重組織51と裏側一重組織52では、本体部24に比して第一構成糸31(経糸)の本数が半減することを考慮して、第一挿通部21の全ての第一構成糸31を、本体部24の第一構成糸31よりも太くしている。すなわち本実施例では、本体部24の全ての第一構成糸31を通常糸Y1とし、第一挿通部21の全ての第一構成糸31を相対的に太い高繊度の他の通常糸YTとしている。そして他の通常糸YTと通常糸Y1は同材質であるとともに、他の通常糸YTの繊度は、通常糸Y1の繊度の概ね2倍に設定されている(図4では、便宜上、他の通常糸の太さを誇張して図示している)。
[挿通部の目付量]
ここで面状体20の単位面積当たりの重量で示される目付量(mg/cm2)は、面状体20に求められる性能(強度性、耐久性、意匠性など)に応じて適宜設定される。そして各挿通部21,22の目付量は、本体部24の目付量に対して極端に減少しないように設定することが好ましい。例えば本体部24の目付量を1とした場合に、各挿通部21,22の第一構成糸31を本体部24の第一構成糸31よりも太くして、第一挿通部21と第二挿通部22の目付量をそれぞれ2/3以上に設定することが好ましい。このように各挿通部21,22の目付量を調整して本体部24に比して第一構成糸量が極端に減少しないように調整することで、各挿通部21,22における過度の目開きをより確実に阻止できる。なお各挿通部21,22と本体部24の目付量は、これら各部の平均目付量で規定することができる。例えば本体部24の任意の位置から複数(好ましくは3以上)の試験サンプルを得る。そして試験サンプルごとに目付量を算出し、これら目付量の平均値を本体部24の目付量とすることができる。
そして目開き防止の観点から各挿通部21,22の目付量の上限値を設ける必要はないが、面状体20全体のセット率を均一化する観点から各挿通部21,22の目付量の上限値を設定することが望ましい。すなわち本体部24の目付量を1とした場合に、挿通部21(又は第二挿通部22)の目付量の上限値を2以下(又は2未満)に設定することが望ましく、3/2に設定することが好ましく、11/10以下(概ね1)に設定することが更に好ましい。そして本体部24の目付量と第一挿通部21(又は第二挿通部22)の目付量との比を、過度の目開き防止とセット率均一化の観点から3:2〜2:3の範囲に設定でき、1.1:1〜1:1.1(概ね1:1)に設定することが更に好ましい。例えば本実施例では、上述のように各挿通部21,22の第一構成糸31の繊度を本体部24の第一構成糸31の概ね2倍としている。こうすることで本体部24の目付量を1とした場合に、第一挿通部21と第二挿通部22の目付量をそれぞれ2/3以上(概ね1)に設定できる。
[末端部及び融着部の形成(融着糸の使用例)]
図3に示す各末端部26,28の製織に際しては、第一構成糸31を通常糸Y1としてもよいが、図4に示すように第一構成糸31の少なくとも一部を融着糸Y3とすることが望ましい。そして面状体20の仕上げ工程時の加熱によって融着糸Y3を溶融固化させて融着部40を形成し、この融着部40によって、各末端部26,28の構成糸同士を融着しておく。そして各末端部26,28の融着部40にて、各構成糸31,32の目開きや第一構成糸31の滑落を防止又は低減することにより、各挿通部21,22のシートフレーム側の端部がしっかりと閉じられた状態とされる。こうすることで各挿通部21,22における各保持体11〜14の取付け安定性をより向上させることができる。ここで各末端部26,28における融着糸Y3の配置位置や配置本数は特に限定しないが、融着糸Y3を、図4に示すように表側一重組織51と裏側一重組織52を連結している末端部部分(JP)に配置することが特に好ましい。このように融着糸Y3を、各挿通部21,22の閉じ目となる箇所に配置しておくことにより、各挿通部21,22をより確実にしっかりと閉じておくことができる。なお熱処理にて、融着糸Y3を全て溶融させて不定形状とすることもできるが、融着糸Y3を部分的に溶融させるなどして糸としての形状を適度に維持しておくこともできる。なお各末端部26,28の目付量は特に限定しないが、典型的には本体部24と概ね同一に設定することができ、また各挿通部21,22と概ね同一に設定することもできる。
[シートクッションの組付け作業]
図2及び図3を参照して、各保持体11〜14に面状体20を取付けたのち、この保持体11〜14を、後述するようにシートフレーム4Fの適宜の位置に取付ける。この種のシート構成では、伸縮性に優れる面状体20を各保持体11〜14に簡便に取付けておくことが望まれる。そこで本実施例では、面状体20が、上述の通り無縫製の織物であるとともに、筒状の第一挿通部21と第二挿通部22を有している。そこで図3を参照して、第一保持体11と第二保持体12を、それぞれ面状体20の第一挿通部21に挿通しつつ左右対称となるように配置する。こうすることで各保持体11,12に面状体20の前側を、縫製作業を要することなく取付けることができる。そして右側の第一保持体11は、第一挿通部21右側に挿通された状態となり、さらに右端の掛止部11aが第一挿通部21の右端から露出するとともに、左側の掛止部11bが第一開口部21aから露出する。また左側の第二保持体12は、第一挿通部21左側に挿通された状態となり、さらに右端の掛止部12aが第一開口部21aから露出するとともに、左側の掛止部12bが第一挿通部21の左端から露出する。
また図3を参照して、第三保持体13と第四保持体14を、それぞれ面状体20の第二挿通部22に挿通しつつ左右対称となるように配置する。こうすることで各保持体13,14に面状体20の後側を、縫製作業を要することなく取付けることができる。そして右側の第三保持体13の前枠部13aは、第二挿通部22右側に挿通された状態となり、さらに右端の側枠部13cが第二挿通部22の右端から露出するとともに、左側の側枠部13dが第二開口部22aから露出する。また左側の第四保持体14の前枠部14aは、第二挿通部22左側に挿通された状態となり、さらに右端の側枠部14cが第二開口部22aから露出するとともに、左側の側枠部14dが第二挿通部22の左端から露出する。こうして本実施例では、各保持体11〜14の少なくとも一部が対応する挿通部21,22に挿通された状態とされることにより、各保持体11〜14に面状体20が取付けられている。特に本実施例では、面状体20の前後に設けられている各挿通部21,22に、対応する保持体11〜14がそれぞれ挿通される。これにより面状体20を、前後方向にバランスよく各保持体11〜14に取付けておくことができる。
つぎに面状体20を面方向に張引しつつ、各保持体11〜14を、シートフレーム4Fの適宜の位置に取付ける。このとき図3を参照して、面状体20の前縁20aを補強フレーム4c側に向けて、第一挿通部21に挿通されている各保持体11,12の双方を、補強フレーム4cに掛止可能な位置に配置する。そして第一保持体11の各掛止部11a,11bと、第二保持体12の各掛止部12a,12bをそれぞれ補強フレーム4cに上側から掛止する。また面状体20の後縁20bをリアフレーム4d側に向けて、第二挿通部22に挿通されている各保持体13,14の双方を、リアフレーム4dに掛止可能な位置に配置する。そして第三保持体13の各側枠部13c,13dと、第四保持体14の各側枠部14c,14dをそれぞれリアフレーム4dに上側から掛止する。こうして各保持体11〜14をシートフレーム4Fの枠内に取付けることにより、面状体20を、適度なテンションをかけながらシートパッド4Pを支持可能な位置に配置することができる。そして図2を参照して、シートパッド4Pを、シートフレーム4F上に配置して面状体20で下支えした状態とし、さらにシートパッド4Pをシートカバー4Sで被覆する。
[乗員着座時における面状体の挙動]
図2を参照して、乗員着座時においては、シートパッド4Pにて乗員を弾性的に支持するとともに、このシートパッド4Pの荷重を、織物製の面状体20が適度に撓みながら受け止める。このとき図4を参照して、乗員着座時のシートパッド4Pの荷重によって、前後方向に延長する第二構成糸32としての高伸縮糸Y2が適度に伸長することにより、本体部24がスムーズに下方に撓み変形することとなる。このため本実施例では、織物製の面状体20によって、シートパッド4Pが乗員臀部とともに過度に沈み込むことが好適に阻止され、尻下がり量を想定内に収めることが可能となる。
ところで上述の構成では、図3を参照して、乗員の着座と離席に応じた第二構成糸32の伸縮によって、各挿通部21,22に過度の目開きが生じるなどして、各保持体11〜14の取付け安定性が低下するおそれがある。例えば図4を参照して、第二構成糸32が前後に伸縮する際に、左右方向に延長している第一構成糸31が、第二構成糸32に対して前後に若干ズレてしまうことがある。このとき第一挿通部21では、表側一重組織51と裏側一重組織52の第一構成糸31の本数が本体部24よりも少なくされている。このため第一挿通部21では、第一構成糸31の前後のズレが大きくなるなどして、過度の目開きが生じるおそれがあった。
そこで本実施例では、図3に示す各挿通部21,22の全ての第一構成糸31が、図4に示すように他の通常糸YTで構成されて、本体部24の第一構成糸31よりも太くされている。そして各挿通部21,22の第一構成糸31を相対的に太くすることにより、第二構成糸32に対する第一構成糸31の相対移動が抑制され、さらに第一構成糸同士を密に配置してこれらの間を詰めておくことができる。こうすることで第二構成糸32に対する第一構成糸31のズレようとする動きが適度に抑制されて、各挿通部21,22の略全域における第一構成糸31の目開き(構成糸同士の離間)を極力阻止できる。さらに各挿通部21,22の第一構成糸31を太くすることにより摩耗強度の向上が見込まれ、シートパッド4Pや各保持体11〜14との接触時に破損しにくくなる。さらに本実施例では、本体部24の目付量を1とした場合に、各挿通部21,22の目付量を2/3以上に設定している。このように各挿通部21,22の目付量を調整して本体部24に比して極端に第一構成糸量が減少しないように調整することで、各挿通部21,22における過度の目開きをより確実に阻止できる。さらに各挿通部21,22の目開きを阻止することで耐久性が向上し、これにより面状体20が各種の耐久試験(常態、高湿度、高温、低温の条件下での耐久試験)をクリアしやすくなる。
また上述の構成では、図3を参照して、面状体20が下方に撓み変形する際に、各保持体11〜14に対して各挿通部21,22が相対的に移動することで、各挿通部21,22に過度の負荷がかかるおそれがある。すなわち第一挿通部21が、対応する保持体11,12に対して後方に相対移動することで、第一挿通部21の補強フレーム4c側の前端部21Eが各保持体11,12で過度に押圧されることがある。また同様に第二挿通部22も、対応する保持体13,14に対して前方に相対移動することで、第二挿通部22のリアフレーム4d側の後端部22Eが各保持体13,14で過度に押圧されることがある。そこで本実施例では、各末端部26,28にて、各挿通部21,22の対応するフレーム側の端部21E,22Eがしっかりと閉じられた状態とされている。更に各末端部26,28に設けられている融着部40によって、各挿通部21,22の端部21E,22Eが更にしっかりと閉じられている。このとき図4を参照して、例えば前側末端部26の融着部40が、各第一構成糸31(融着糸Y3)によって構成されており、さらに表側一重組織51と裏側一重組織52を連結している末端部部分JPに設けられている。このように最も負荷のかかりやすい表側一重組織51と裏側一重組織52を連結している末端部部分JPに融着部40を形成することで、第一挿通部21の端部21Eをより確実にしっかりと閉じておくことができる(なお図示は省略するが、第二挿通部も同様である)。こうして本実施例では、各末端部26,28によって各挿通部21,22の閉じ状態を維持する(耐久性を向上させる)ことにより、着座が繰り返される際においても、各保持体11〜14の取付け安定性を好適に維持しておくことができる。
以上説明したとおり本実施例では、各挿通部21,22の第一構成糸31を相対的に太くすることで、各挿通部21,22における過度の目開きを極力阻止することができる。さらに各挿通部21,22の第一構成糸31を相対的に太くして、各挿通部21,22の目付量が本体部24に比して極端に減少しないように調整することで、各挿通部21,22における過度の目開きをより確実に阻止することができる。そして相対的に高繊度で太い第一構成糸31を各挿通部21,22の全域に配置するシンプルな構成によって、各挿通部21,22における過度の目開きを極力阻止することができる。このため本実施例によれば、織物製の面状体20において、袋織組織で構成された各挿通部21,22における過度の目開きを極力阻止することができる。
[変形例]
ここで挿通部の構成は、上述の構成のほか、各種の構成を取り得る。例えば本変形例の第一挿通部21においても、図5に示す表側一重組織51と、裏側一重組織(図示省略)が重なるように配置されている。そして表側一重組織51と裏側一重組織では、本体部に比して第一構成糸31の本数が少なくなることを考慮して、第一挿通部21の第一構成糸31を、本体部の第一構成糸よりも太くする。このとき本変形例では、第一挿通部21の第一構成糸31に、二本の通常糸Y1a,Y1bを撚り合わせた撚糸を用いて相対的に太くしておく。これら二本の通常糸Y1a,Y1bは、それぞれ実施例1の図4に示す通常糸Y1と同一繊度の糸である。そして第一挿通部21の織製に際しては、第一構成糸31をなしている二本の通常糸Y1a,Y1bが第二構成糸32に適宜交絡した絡み組織を形成する。このように第一挿通部21の第一構成糸31を、相対的に太い二本の通常糸Y1a,Y1bの撚糸とし、さらに第一挿通部21を絡み組織で構成することにより、各挿通部21,22における過度の目開きを好適に阻止することができる。
本実施形態の乗物用シートは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。例えば本実施形態では、面状体20の構成(形状,寸法,挿通部の構成、末端部の構成、融着部の構成など)を例示したが、面状体の構成を限定する趣旨ではない。例えば面状体は、シートフレームの枠内に配置されるシートパッドを支持可能である限り、各種の形状と寸法を取り得る。また融着部は、面状体の表裏面に設けられた樹脂層で構成することができ、この場合には樹脂層が面状体に含浸した状態で硬化(固化)していることが望ましい。また融着部を、第二構成糸としての融着糸で構成することもでき、この場合には、面状体の形成後に、末端部のみを加熱して同部に融着部を形成することとなる。なお必要に応じて面状体から末端部又は融着部を省略することもできる。また保持体の構成に応じて、前縁と後縁と右縁と左縁の少なくとも一つの部位に挿通部を設けることができる。また挿通部には、複数の開口部を設けることができ、開口部を省略することもできる。
また本実施形態では、第一構成糸31を太くする手法を例示したが、第一構成糸を太くする手法として各種の手法を取り得る。例えば織組織を絡み組織にするか否かにかかわらず、第一構成糸として、複数の他の通常糸を撚り合わせた撚糸や、通常糸と他の通常糸を撚り合わせた撚糸を用いて相対的に太くすることもでき、この場合には3本以上の各通常糸を撚り合わせることができる。また第一構成糸として、複数の通常糸又は他の通常糸の引き揃え糸を用いることもできる。また挿通部に配置されている複数の第一構成糸全てを太くする場合のほか、一部の第一構成糸のみを太くして、その他の第一構成糸を本体部の第一構成糸と同一の太さとすることもできる。さらに挿通部の第一構成糸として、高繊度の他の通常糸と撚糸と引き揃え糸を適宜組み合わせて用いることができる。
また本実施形態では、保持体11〜14の構成(形状,寸法,配置位置,配置数など)を例示したが、保持体の構成を限定する趣旨ではない。例えば第一挿通部や第二挿通部に、それぞれ単数の長尺な保持体を挿通しておくこともできる。また面状体の周縁を縁取るように保持体を設けることができ、この場合には、枠状の単数の保持体を用いることができ、複数の保持体を並列して用いることができる。またシートフレームに対する保持体の取付け手法として、掛止や係止や嵌装や締結などの直接的な取付け手法や、バネ材などの他部材を介した間接的な取付け手法を例示できる。また保持体は、フロントフレーム、サイドフレーム、補強フレーム、リアフレームの少なくとも一つに取付けることができ、枠内の一辺をなす他のフレーム(本願では図示省略)に取付けることもできる。なお保持体は、面状体を保持可能な剛性を有している限り、棒材やワイヤ材やパイプ材や板材などの各種部材で形成することができる。なお本実施例では、面状体の外形形状を維持して(各構成糸が略直交状に交差している状態を維持して)、各保持体を対応するシートフレームに取付ける例を説明した。これとは異なり略矩形の面状体を例えば平行四辺形状となるように変形させて(各構成糸が斜めに交差するように配置して)各保持体を対応するシートフレームに取付けることもできる。
また本実施形態では、乗物用シート2の構成(形状,寸法,構成部材など)を例示したが、乗物用シートの構成を限定する趣旨ではない。また本実施形態の構成は、シートクッション4のほか、シートバック6等の各種シート構成部材に適用できる。そして本実施形態の構成は、車両や航空機や電車などの乗物用シート全般に適用できる。
2 乗物用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
9a アッパレール
9b ロアレール
4S シートカバー
4P シートパッド
4F シートフレーム
4a フロントフレーム
4b サイドフレーム
4c 補強フレーム(本発明のシートフレームの枠内の一辺)
4d リアフレーム
11 第一保持体
12 第二保持体
13 第三保持体
14 第四保持体
20 面状体
20a 前縁
20c 右縁
20d 左縁
20b 後縁
21 第一挿通部
21a 第一開口部
22 第二挿通部
22a 第二開口部
24 本体部
26 前側末端部
28 後側末端部
31 第一構成糸
32 第二構成糸
40 融着部
51 表側一重組織
52 裏側一重組織
Y1 通常糸
Y2 高伸縮糸
Y3 融着糸
YT 他の通常糸

Claims (3)

  1. シート骨格をなす枠状のシートフレームと、乗員を弾性的に支持可能なシートパッドと、前記シートフレームの枠内に配置する前記シートパッドを裏側から支持している面状体と、前記面状体を保持した状態で前記シートフレームに取付けられている保持体とを備えた乗物用シートにおいて、
    前記面状体が、前記シートフレームの枠内の一辺に沿って配置されている第一構成糸と、前記第一構成糸に交差状に配置されている第二構成糸とが交絡状態とされて構成された織物であるとともに、前記シートパッドを支持可能な一重組織の本体部と、前記保持体の少なくとも一部が挿通されている袋織組織の挿通部とを有し、
    前記挿通部に配置された第一構成糸が、前記本体部に配置された第一構成糸よりも太くされている乗物用シート。
  2. 前記本体部の目付量を1とした場合において、前記挿通部に配置されている第一構成糸を、前記本体部に配置されている第一構成糸よりも太くすることにより、前記挿通部の目付量を2/3以上とした請求項1に記載の乗物用シート。
  3. 前記挿通部に配置されている全ての第一構成糸が、前記本体部に配置されている第一構成糸よりも高繊度である請求項1又は2に記載の乗物用シート。
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