JP2018118312A - チャタマーク防止方法及びチャタマーク防止装置 - Google Patents

チャタマーク防止方法及びチャタマーク防止装置 Download PDF

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【課題】長手方向の材質変動を伴いやすい鋼種の鋼板であっても、微小なチャタマークの発生を確実に検知し防止することのできるチャタマーク防止方法及びチャタマーク防止装置を提供すること。【解決手段】圧延機のチャタリングによる鋼板のチャタマークの発生を防止するチャタマーク防止方法であって、圧延機のワークロールの圧下位置を調節する圧下シリンダの圧力に基づいて圧延荷重を算出する荷重算出器を用いて、圧延機の圧延荷重を経時的に測定し、経時的に測定された圧延荷重をFFT周波数解析して、周波数毎の圧延荷重の振幅を抽出し、所定の周波数帯域に位置する振幅の最大値が、予め定めた閾値よりも大きい場合に、圧延機にチャタリングが発生していると判断し、チャタリングの回避処置を行うチャタマーク防止方法。【選択図】図2

Description

本発明は、圧延機のチャタリングに起因して起こる、鋼板のチャタマークの発生を防止することのできるチャタマーク防止方法及びチャタマーク防止装置に関する。
一般に、冷間圧延等で用いられる圧延機においては、チャタリングと呼ばれる圧延機の共振現象が起こることで、鋼板にチャタマークと称される縞状の疵が発生することがある。圧延機のチャタリングが発生する原因としては、ライナーの磨耗等の圧延設備のガタツキ、ワークロール及びバックアップロール等の圧延ロールの表面損傷、圧延油の潤滑性の過不足、並びにストリップの板面温度の変動等が上げられる。
鋼板にチャタマークが発生すると、鋼板には板厚変動や表面の縞模様の発生等の形状不良が生じ、形状不良が発生した部分を製品とすることができなくなる。よって、チャタマークの発生した形状不良部は、後工程で確実に除去される必要があり、製品歩留りの大きな低下に繋がってしまう。さらに、形状不良部が完全に除去されない場合には、鋼板のユーザーにおいて品質トラブル等を招く危険性もある。
以上の理由により、圧延機におけるチャタリングの発生を精度よく検出し、チャタリングが発生した場合にはその情報を後工程に伝達して確実に形状不良部を除去するとともに、圧延速度の減速に代表されるチャタリングの回避策を速やかに講じることで、鋼板におけるチャタマークの発生を早期に防ぐことが求められる。
近年、ユーザーにおける品質要求の高まりに伴い、鋼板に要求される形状不良の程度が厳格化されている。これにより、従来は問題とされていなかった程度の軽微なチャタマークの発生を防止することが必要となってきている。
従来、チャタマークと呼ばれる縞模様の程度は、鋼板の板厚変動によって評価される。図5には、従来から問題とされているチャタマークの板厚チャートの一例を示す。図5には、横軸に鋼板の長手方向位置、縦軸に板厚の大きさをとったグラフを示す。長手方向において最も板厚の厚い箇所と薄い箇所との板厚差により、板厚変動値が求められる。図5では、約16μmの板厚変動が記録されている。このように、従来は、10μm以上の大きさの板厚変動を対象とし、その検出及び防止が図られてきた。
一方で、図6には、近年問題となってきているチャタマークの板厚チャートの一例を示す。図6では、約1μm(0μmを基準とした際に±0.5μm)の板厚変動が記録されている。このように、近年は、従来問題となっていたチャタマークよりも更に小さい、1μmオーダーの板厚変動を検知し、防止することが求められている。
従来、圧延機におけるチャタリングの発生を検出する方法を開示した文献として、特許文献1及び2が挙げられる。特許文献1には、圧延機のハウジング及びロールチョック等に振動センサを設置し、検出された振動をもとにチャタリングの発生を検出する方法が挙げられている。特許文献2には、圧延中におけるワークロール両端部の圧延荷重を読み込み、両端の圧延荷重の差分を求め、該差分の変動量をもとに異常振動を検出する方法が開示されている。
特開平08−108205号公報 特開平08−132110号公報
しかし、特許文献1のように、圧延機の振動をもとにチャタリングの発生を検出する方法では、10μm(±5μm)以上という比較的大きな板厚変動を検知することはできるものの、微小な板厚変動を検知することは難しいという問題がある。特に、昨今問題となっている±0.5μm程度の板厚変動を、圧延機の振動を用いた検出方法で現実的に検知することは極めて難しい。
特許文献2に開示された方法は、幅方向及び長手方向で材質変動を伴いやすい材質及び規格等の鋼板においては、チャタリングが実際には発生していない場合であっても圧延荷重値の差分の変動が大きくなる場合があり、やはり検出精度の点で問題がある。特に、近年需要が増加している高張力鋼板(ハイテン)や高炭素鋼等は、圧延時や酸洗時等の冷却履歴によって幅方向及び長手方向の材質が変化しやすく、特許文献2に開示された方法ではチャタマークの検出が難しい。
本発明は、上記の問題点に鑑みて完成されたものであり、長手方向の材質変動を伴いやすい鋼種の鋼板であっても、微小なチャタマークの発生を確実に検知し防止することのできるチャタマーク防止方法及びチャタマーク防止装置を提供することを課題とする。
本発明の手段は、次の通りである。
[1]圧延機のチャタリングによる鋼板のチャタマークの発生を防止するチャタマーク防止方法であって、圧延機のワークロールの圧下位置を調節する圧下シリンダの圧力に基づいて圧延荷重を算出する荷重算出器を用いて、圧延機の圧延荷重を経時的に測定し、経時的に測定された圧延荷重をFFT周波数解析して、周波数毎の圧延荷重の振幅を抽出し、所定の周波数帯域に位置する振幅の最大値が、予め定めた閾値よりも大きい場合に、圧延機にチャタリングが発生していると判断し、チャタリングの回避処置を行うチャタマーク防止方法。
[2]前記荷重算出器は、前記圧延機のワークロールのロール軸方向両端の圧下位置をそれぞれ調節する複数の圧下シリンダの圧力に基づいて、ワークロールのロール軸方向両端の圧延荷重の和を算出し、該圧延荷重の和を用いて、チャタリング発生の判断を行う[1]に記載のチャタマーク防止方法。
[3]前記荷重算出器は、前記圧延機のワークロールのロール軸方向両端の圧下位置をそれぞれ調節する複数の圧下シリンダの圧力に基づいて、ワークロールのロール軸方向両端の圧延荷重をそれぞれ算出し、該圧延荷重を用いて、チャタリング発生の判断をワークロールのロール軸方向両端それぞれについて行う[1]に記載のチャタマーク防止方法。
[4]前記周波数帯域、及び前記閾値は、圧延する鋼板の鋼種、板幅、及び板厚のうち少なくともいずれか一種以上に応じて変更可能とする[1]から[3]までのいずれか一つに記載のチャタマーク防止方法。
[5]鋼板を圧延する圧延機と、該圧延機に設けられ、圧延機のワークロールの圧下位置を調節する圧下シリンダの圧力に基づいて、鋼板を圧延する際の圧延荷重を経時的に算出する荷重算出器と、該荷重算出器で得られたデータを処理し、圧延機においてチャタリングが発生しているか否かを判定する演算装置と、該演算装置においてチャタリングが発生していると判定された場合に、チャタリングの回避処置を行うように指示を出す制御装置と、を有するチャタマーク防止装置であって、前記演算装置は、経時的に測定された圧延荷重をFFT周波数解析して、周波数毎の圧延荷重の振幅を抽出し、所定の周波数帯域に位置する振幅の最大値が、予め定めた閾値よりも大きい場合に、圧延機にチャタリングが発生していると判定するチャタマーク防止装置。
[6]前記荷重算出器は、前記圧延機のワークロールのロール軸方向両端の圧下位置をそれぞれ調節する複数の圧下シリンダの圧力に基づいて、ワークロールのロール軸方向両端の圧延荷重の和を算出し、前記演算装置は、前記圧延荷重の和を用いて、チャタリングが発生しているか否かを判定する[5]に記載のチャタマーク防止装置。
[7]前記荷重算出器は、前記圧延機のワークロールのロール軸方向両端の圧下位置をそれぞれ調節する複数の圧下シリンダの圧力に基づいて、ワークロールのロール軸方向両端それぞれの圧延荷重を算出し、前記演算装置は、前記ワークロールのロール軸方向両端それぞれにおいて、チャタリングが発生しているか否かを判定する[5]に記載のチャタマーク防止装置。
[8]前記周波数帯域、及び前記閾値は、圧延する鋼板の鋼種、板幅、及び板厚のうち少なくともいずれか一種以上に応じて変更可能とする[5]から[7]までのいずれか一つ
に記載のチャタマーク防止装置。
本発明により、長手方向の材質変動を伴いやすい高張力鋼及び高炭素鋼等の鋼板であっても、板厚変動が±0.5μm程度の微小なチャタマークの発生を確実に検知し防止することができる。
図1は、本発明が適用された冷間圧延装置の概略図である。 図2は、演算装置にて行われる演算処理の過程を示すフロー図である。 図3は、本発明例における周波数解析結果を示すグラフであり、(a)はチャタリングが発生している状態での結果であり、(b)はチャタリングの回避処置を行った後の結果である。 図4は、比較例における周波数解析結果を示すグラフであり、(a)はチャタリングが発生している状態での結果であり、(b)はチャタリングの回避処置を行った後の結果である。 図5は、従来問題となっていたチャタマークの板厚チャートである。 図6は、本発明で検知可能なチャタマークの板厚チャートである。 図7は、本発明で用いられる荷重算出器について説明する説明図である。
本発明を実施するための形態について、図面に基づいて以下に説明を行う。
図1は、本発明に係るチャタマーク防止方法及びチャタマーク防止装置を適用した、冷間圧延装置の一例を示す概略図である。本例では、入側から出側に向かって第1スタンド1、第2スタンド2、第3スタンド3、第4スタンド4という4つの圧延機が設けられる。各スタンドのワークロール間に鋼板9が連続的に通板されることにより、圧延が行われる。圧延機におけるロールのうち、鋼板9に接するロールをワークロール(WR)と称し、ワークロールを支持する、鋼板9と接しないロールをバックアップロール(BR)と称する。尚、圧延機の数、配置等の構成は図1の例に限定されるものではない。
各スタンドには、荷重算出器5〜8が設けられる。荷重算出器5〜8は、鋼板9を圧延する際のワークロール(及びバックアップロール)にかかる荷重(圧延荷重)を測定することができる。荷重算出器5〜8は、圧延機においてワークロールの圧下位置を調節する圧下シリンダにおける圧力に基づいて、圧延荷重を算出する。具体的には、図7を用いて説明する。圧延機では、圧延荷重を調節する際に、片方のワークロール(及びバックアップロール)の位置は固定され、もう片方のワークロール(及びバックアップロール)の圧下位置が圧下シリンダによって調節される。荷重算出器は、鋼板を圧延中の圧下シリンダの圧力から荷重を算出する装置であり、圧力変換器(Pressure Transducer)及び圧力/荷重変換回路からなる。圧力変換器では、圧下シリンダ及び圧下シリンダに加えられる圧力を調節するサーボ弁の挙動から、圧下シリンダにかかる圧力が算出される。圧力変換器で得られた圧力信号は、圧力/荷重変換回路において圧延荷重に変換され、演算装置(例えば、PLC)へと出力される。
上述のように、圧下シリンダの圧力から荷重を算出する荷重算出器5〜8を用いることで、長期に亘って安定的に荷重測定及びチャタマーク発生の検出を行うことができる。例えば従来は、圧延機の圧延荷重を測定するのに、ハウジング等に取り付けられたロードセルを用いることが広く用いられている。ロードセルは、長期間使用している間に摩擦等により劣化しやすく、これにより正確な圧延荷重の測定が難しくなる。特に、本発明の課題として挙げた±0.5μm程度の板厚変動を検知するためには、正確な圧延荷重の測定が望まれるが、ロードセルは計器の劣化等により早期に故障を起こす可能性があり、圧延荷重測定が不可能となる場合がある。一方で、本発明のように圧下シリンダの圧力から荷重を算出する方法では、計器の劣化が起こりにくく、長期間に亘って正確な圧延荷重の測定が可能である。よって、±0.5μm程度の微小な板厚変動を長期に亘って検知可能である。
荷重算出器5〜8は、経時的に圧延荷重を測定し、測定したデータを演算装置10へと出力する。荷重算出器5〜8は、連続的に圧延荷重の測定を行ってもよいし、極めて短いインターバルを設けて断続的に圧延荷重の測定を行ってもよい。一例として、0.1秒〜0.5秒毎に一回程度、圧延荷重の測定を行えばよい。
荷重算出器5〜8で測定された圧延荷重のデータは、それぞれ演算装置10に送られて演算処理が行われる。演算装置10における演算処理の結果、チャタリングが発生していると判定された場合に、演算装置10から制御装置11へと信号が出力される。制御装置11は該信号を受けて、チャタリングの回避処置を行うように各種の指示を出す。具体的には、作業者へ注意を喚起する警報を出力する、或いは圧延装置へチャタリングを回避するように制御信号を出力する、といった例が挙げられる。尚、演算装置10と制御装置11とを別体とするのではなく、演算装置10の機能と制御装置11の機能とを一体化した装置を用いることもできる。
次に、図2のフロー図を用いて、演算装置10において行われる演算処理について説明する。
Step1では、荷重算出器5〜8からの圧延荷重の変動信号の収集が行われる。より具体的には、現在から過去の所定の時間までの間における圧延荷重の測定値を蓄積し、蓄積データを用いて以下のFFT周波数解析を行う。尚、チャタマークの検知は圧延機毎に行う。よって、複数の圧延機を対象とする場合、各圧延機に設けられた荷重算出器からの信号は、それぞれ別々に演算処理される。
Step2では、周波数解析を行う。即ち、所定時間の圧延荷重の測定値に対して高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform、略してFFTと称する。)方式の周波数解析を行う。これにより、圧延荷重の変動信号から、周波数毎に分けられた振幅(スペクトル値)が抽出される。
Step3では、FFT周波数解析により得られたスペクトル値から、圧延荷重が異常か否かの判定が行われる。具体的には、特定の周波数帯域に観察されるスペクトル値の最大値(最も大きいピークのスペクトル値)が、予め定めた閾値を越えているか否かを判断する。スペクトル値の最大値が閾値を越えていた場合にはチャタリングが発生していると判定し、スペクトル値の最大値が閾値を越えていなかった場合にはチャタリングが発生していないと判定される。
前述した周波数帯域は、チャタリング時の圧延機に生じる振動の推定振動数と、該推定振動数の前後に設定された所定の振動数の幅とで形成される範囲をいう。前記推定振動数としては、例えば圧延機の固有振動数を採用することができる。また、推定振動数は、圧延速度及びチャタリングの発生間隔等から計算することもできる。推定振動数の前後に設定される幅としては、例えば推定振動数±50Hz〜±100Hz程度とすることができる。
前述した周波数帯域におけるスペクトル値の閾値を設定するにあたっては、過去に収集したデータ、及び過去に発生したチャタマークの検査結果を考慮して、適宜閾値の調節及び改良等を行うことができる。また、周波数帯域を複数箇所設定する場合には、一般的に高周波数になる程振動は減衰しやすいことから、高周波数側の周波数帯域よりも低周波側の周波数帯域において、閾値をより高く設定することが好ましい。
前述した周波数帯域、及び周波数帯域におけるスペクトル値の閾値は、圧延する鋼板の鋼種(例えば、材質及び規格等)、板幅、及び板厚の少なくとも一種以上に応じて変更可能することが好ましい。これにより、圧延する鋼板の種類や大きさに応じて、確実にチャタリングを検出することができる。具体的には、鋼鈑の材質が軟質である場合、板幅が大きい場合、及び/又は板厚が小さい場合には閾値を低く(厳格に設定)し、材質が硬質である場合、板幅が小さい場合、及び/又は板厚が大きい場合には閾値を高く(非厳格に設定)することが好ましい。
Step3でYesと判定された場合、つまり振幅の最大値が閾値よりも大きい場合、圧延機にチャタリングが発生していると判断し、チャタリングの回避処置が行われる。図2の例では、Step4において制御装置によりオペレーター室の作業員等にアラーム(警報)が発せられ、このアラームを受けてStep5にてチャタリングの回避処置が行われる。チャタリングの回避処置の具体例としては、圧延速度の低下、圧延ロールの交換、及びハウジングとロールチョックとの間の隙間の解消等を挙げることができる。尚、これらチャタリングの回避処置は、制御装置から発せられたアラームを受けて作業員により行われてもよいし、制御装置が圧延装置に指示を出すことで、自動で回避処置(例えば圧延速度を下げること)を行ってもよい。
また、Step3でYesと判定された場合に、前述したチャタリングの回避処置の他に、後工程へ既にチャタマークが発生した旨を伝え、形状不良箇所を確実に除去することも有効である。
Step3でNoと判定された場合には、チャタリングが発生していないと判定し、コイルの当該箇所における測定及び判定を終了する。具体的に、鋼鈑は連続的に通板されていることから、通板速度に応じて断続的に、鋼鈑の先端部側の領域から尾端部側の領域に向かって、順番に圧延荷重の測定及びチャタマークの検出が行われる。図2におけるEndとなった場合、当該領域における圧延荷重の測定及びチャタマークの検出は終了し、尾端部側の次の領域において図2と同様のフローにより圧延荷重の測定及びチャタマークの検出が行われる。尚、図2のフローを用いたチャタリングの検出は、鋼板の通板速度にもよるが、約0.08秒〜0.12秒毎に1回行えばよい。
上記の演算処理によって、圧延機にかかる圧延荷重のうち、チャタリングの原因となる周波数成分を抽出し、これに基づいて鋼板におけるチャタマークの発生の危険性を確実に検出することができる。
本発明は、1基以上の圧延機を備えた圧延装置に適用することができる。尚、図1では、4つの圧延機の全てに荷重算出器5〜8を設置し、全ての圧延機におけるチャタリングの発生を検知しているが、少なくともいずれか一つの圧延機に荷重算出器を設置し、該圧延機におけるチャタリングの発生を検知する態様としてもよい。
本発明では、圧延荷重をFFT解析することにより、材質変動の大きい鋼板において生じる微小な板厚変動についても検出が可能となる。例えば、高張力鋼板及び高炭素鋼板等について、±0.5μm程度の板厚変動を検出可能となる。尚、対象とする鋼板の板厚は、0.5mm〜2.3mm程度とすることができる。
1基の圧延機に設けられる荷重算出器の数は特に制限されないが、複数の荷重算出器を設けることが好ましい。具体的に図7に示す圧下シリンダは、ワークロールのロール軸方向の両端部に複数(好ましくは2個)設けられることがあり、当該複数の圧下シリンダにおけるそれぞれの圧力に基づいて圧延荷重を算出できるように、同数(好ましくは2個)の荷重算出器を設けることが好ましい。
複数の圧下シリンダで得られた複数の圧力信号を足し合わせて荷重算出器に入力することにより、圧延荷重の和を用いてチャタリングの発生の判定を行うことができる。より具体的には、圧延荷重の和について上述と同様の方法でFFT周波数解析、振幅の抽出、及び閾値との比較を行うことで圧延機におけるチャタリングの発生を判定することができる。このように、複数の圧延荷重の和を用いて判定することにより、各種トラブルでいずれかの圧延荷重信号が得られない場合であってもチャタリングの検出を継続することができるという効果が得られる。
また、複数の圧延荷重について、それぞれFFT周波数解析等を行い、圧下シリンダが設けられるそれぞれの位置でのチャタリング発生の有無を独立して判断することもできる。実際の操業では、ロールの軸方向片側のロールベアリングのみが損傷する等することにより、ロールの片側のみでチャタリングが起こることがある。複数の圧延荷重を和算、減算等する方法では、このような局所的なチャタリングの発生を十分に精度よく検知することができない。それに対して、それぞれの圧下シリンダ位置でのチャタリング発生を独立して判断することで、局所的に起こるチャタリングについても精度よく検知することができる。
(本発明例)
本発明例として、図1の冷間圧延装置を用いて鋼板の通板を行い、通板中の第3スタンド3におけるチャタリングの検出を行った。尚、圧延荷重の測定は、図7に示すような荷重算出器を用いた。尚、ロールの軸方向の両端に設けられた2つの圧下シリンダの圧力信号の和から圧延荷重の和を算出し、当該圧延荷重の和を用いてチャタリングの判定を行った。
具体的に、通板中における圧延荷重の周波数解析を行ったのが、図3(a)である。図3(a)では、所定の周波数帯域(500〜700Hz)に該当する箇所に、2つのピークが検出された。これらのピークの振幅は閾値(0.15t)よりも大きく、第3スタンド3ではチャタリングが発生していると判定された。尚、生産された鋼板には、板厚が0.7mmであるのに対して±0.5μmの板厚変動が生じていた。
その後、チャタマークの回避処理、具体的には第3スタンドにおけるハウジングとロールチョックとの間の隙間の調整を行い、同様に圧延荷重の周波数解析を行った結果が図3(b)である。図3(b)では、500〜700Hzの範囲にピークが検出されず、チャタリングの発生が抑えられたことが分かる。
一方、図3(a)及び(b)を得た実験と同時に、第3スタンド3に設置した振動計を用いて圧延機の振動速度を測定し、該データの周波数解析を行った結果が図4(a)及び(b)である。図4(a)では、500〜700Hzの範囲でピークが観察されず、チャタリングの発生を検出できていないことが分かる。
以上の結果より、圧延機における圧延荷重を周波数解析することによって、圧延機の振動を周波数解析する場合には検知できなかった微小なチャタリングを検知することが示された。
1 第1スタンド
2 第2スタンド
3 第3スタンド
4 第4スタンド
5、6、7、8 荷重算出器
10 演算装置
11 制御装置

Claims (8)

  1. 圧延機のチャタリングによる鋼板のチャタマークの発生を防止するチャタマーク防止方法であって、
    圧延機のワークロールの圧下位置を調節する圧下シリンダの圧力に基づいて圧延荷重を算出する荷重算出器を用いて、圧延機の圧延荷重を経時的に測定し、
    経時的に測定された圧延荷重をFFT周波数解析して、周波数毎の圧延荷重の振幅を抽出し、
    所定の周波数帯域に位置する振幅の最大値が、予め定めた閾値よりも大きい場合に、圧延機にチャタリングが発生していると判断し、チャタリングの回避処置を行うチャタマーク防止方法。
  2. 前記荷重算出器は、前記圧延機のワークロールのロール軸方向両端の圧下位置をそれぞれ調節する複数の圧下シリンダの圧力に基づいて、ワークロールのロール軸方向両端の圧延荷重の和を算出し、
    該圧延荷重の和を用いて、チャタリング発生の判断を行う請求項1に記載のチャタマーク防止方法。
  3. 前記荷重算出器は、前記圧延機のワークロールのロール軸方向両端の圧下位置をそれぞれ調節する複数の圧下シリンダの圧力に基づいて、ワークロールのロール軸方向両端の圧延荷重をそれぞれ算出し、
    該圧延荷重を用いて、チャタリング発生の判断をワークロールのロール軸方向両端それぞれについて行う請求項1に記載のチャタマーク防止方法。
  4. 前記周波数帯域、及び前記閾値は、圧延する鋼板の鋼種、板幅、及び板厚のうち少なくともいずれか一種以上に応じて変更可能とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のチャタマーク防止方法。
  5. 鋼板を圧延する圧延機と、
    該圧延機に設けられ、圧延機のワークロールの圧下位置を調節する圧下シリンダの圧力に基づいて、鋼板を圧延する際の圧延荷重を経時的に算出する荷重算出器と、
    該荷重算出器で得られたデータを処理し、圧延機においてチャタリングが発生しているか否かを判定する演算装置と、
    該演算装置においてチャタリングが発生していると判定された場合に、チャタリングの回避処置を行うように指示を出す制御装置と、を有するチャタマーク防止装置であって、
    前記演算装置は、経時的に測定された圧延荷重をFFT周波数解析して、周波数毎の圧延荷重の振幅を抽出し、
    所定の周波数帯域に位置する振幅の最大値が、予め定めた閾値よりも大きい場合に、圧延機にチャタリングが発生していると判定するチャタマーク防止装置。
  6. 前記荷重算出器は、前記圧延機のワークロールのロール軸方向両端の圧下位置をそれぞれ調節する複数の圧下シリンダの圧力に基づいて、ワークロールのロール軸方向両端の圧延荷重の和を算出し、
    前記演算装置は、前記圧延荷重の和を用いて、チャタリングが発生しているか否かを判定する請求項5に記載のチャタマーク防止装置。
  7. 前記荷重算出器は、前記圧延機のワークロールのロール軸方向両端の圧下位置をそれぞれ調節する複数の圧下シリンダの圧力に基づいて、ワークロールのロール軸方向両端それぞれの圧延荷重を算出し、
    前記演算装置は、前記ワークロールのロール軸方向両端それぞれにおいて、チャタリングが発生しているか否かを判定する請求項5に記載のチャタマーク防止装置。
  8. 前記周波数帯域、及び前記閾値は、圧延する鋼板の鋼種、板幅、及び板厚のうち少なくともいずれか一種以上に応じて変更可能とする請求項5から7までのいずれか一項に記載のチャタマーク防止装置。
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