JP2018115702A - シール付転がり軸受 - Google Patents

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Seiya Marugame
聖也 丸亀
中尾 吾朗
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Abstract

【課題】内圧上昇によるシール密封性の低下を防止する好適なシール付転がり軸受を提供する。【解決手段】シール付転がり軸受は、内輪1と外輪2が同期回転する軸受である。シール付転がり軸受は、内輪1と外輪2との間に充填された潤滑油aと、内輪1と外輪2との間を封止するシール5とを備える。シール5は、その内径端の近傍に内外面が凹んだくびれ部5aと、内輪1の外側肩部外周面1bに面するダストリップ5bと、内輪1の周溝8の壁面に面するメインリップ5cと、内輪1の内側肩部外周面1aに面するグリースリップ5dと、を有する。グリースリップ5dは、内側肩部外周面1aに接触し、メインリップ5cは周溝8の壁面8aに接触し、ダストリップ5bは外側肩部外周面1bに非接触状態となっている。【選択図】図1

Description

この発明は、内輪と外輪との間を封止する弾性体のシールを有するシール付転がり軸受に関する。
この種の転がり軸受は、例えば、図3に示すように、内輪1と外輪2の間に、保持器4を介して複数の転動体3を介在させ、その両側にシール5を設けて、内外輪1、2の間に充填された潤滑剤(グリース)aを封止した構成が一般的である。
このシール付転がり軸受において、シール5の内径端(同図において下端)の近傍に内外面(同図左右面)が凹んだくびれ部5aが設けられ、内輪1の周溝8から幅方向(同図において左右方向)内側へ続く肩部外周面1aに面して非接触の密封部を形成するグリースリップ5dが前記くびれ部5aよりも外径側部分に設けられたものがある(特許文献1参照)。また、特許文献1のシール付転がり軸受では、内輪1の周溝8のうち内側壁面8aに接触するメインリップ5cと、内輪1の外側肩部外周面1bに面して非接触の密封部を形成するダストリップ5bとが、前記くびれ部5aの内外面に設けられている。
特開平8−226449号公報
前記シール付転がり軸受において、潤滑油a漏れの原因として、軸受の温度上昇により内外輪1、2内の潤滑油圧力(内圧)が上昇し、その圧力によって各リップ5b、5c、5dと内輪1外径周面との接触部(対向部)に隙間が生じたり、対向間隔が大きくなったりする点などが挙げられる。
このような潤滑油漏れの原因において、従来のシール付転がり軸受では、シール5が外輪2の周溝7に固定される(組み付けられる)際、メインリップ5cは内輪1の外周面(溝8の内側壁面8a)と締め代を持たせるように設計しているため、その締め代によって変形する。このとき、グリースリップ5dは、メインリップ5cが変形しても、内輪1の外周面と隙間を持つように設定されている。
このため、前記内圧が上昇すると、その内圧が前記グリースリップ5dと内輪1の外周面1aとの隙間を介してメインリップ5cに影響し、メインリップ5cが変形して内輪1の外周面(溝内側壁面8a)との間に隙間が生じる恐れがある。すなわち、メインリップ5cが溝内側壁面8aから離れて密封性が低下する恐れがある(密封性に課題がある)。密封性が低下すれば、潤滑油aの漏れが生じる。
この発明は、内圧上昇によるシール密封性の低下を防止する好適なシール付転がり軸受を提供することを課題とする。
この発明は、前記課題を達成するため、常時、グリースリップを内輪外周面に接触させ、内圧が上昇してもグリースリップでその内圧がメインリップに影響することを極力少なくするようにしたのである。このとき、グリースリップの外周面が内側に向かって下り勾配になっていれば、その下り傾斜の外周面が前記内圧を受けてグリースリップが内輪外周面にさらに強く接触して、その内圧上昇をメインリップに極力影響しないように作用する。
具体的には、外輪と、内輪と、前記外輪と内輪の間に充填された潤滑油と、前記外輪の周溝に固定され、内輪と外輪との間を封止する弾性体のシールとを備え、前記内輪と前記外輪が同期回転するシール付転がり軸受であって、前記シールは、その内径端の近傍に内外面が凹んだくびれ部と、前記くびれ部の内面外径側部分に位置して内輪の周溝から幅方向内側へ続く内側肩部外周面に面するグリースリップと、前記くびれ部の内面内径側部分に位置して前記内輪周溝の壁面に面するメインリップと、前記くびれ部の外面内径側部分に位置して内輪の端面付近の外側肩部外周面に面するダストリップと、を有し、前記グリースリップは前記内側肩部外周面に接触し、前記メインリップは周溝の壁面に接触し、前記ダストリップは前記外側肩部外周面に非接触状態となっている構成を採用したのである。
この構成の軸受は、自動車等の電磁クラッチ、デカップラ、フライホイールダンパ等の内外輪が同期回転する軸受として使用する。この内外輪が同期回転する軸受は、内外輪が相対回転しないため、グリースリップが内輪外周面に接触していても、その接触によるシールトルクの影響は極めて少ない。因みに、内外輪の一方が固定、他方が回転する軸受であると、内外輪が相対回転するため、グリースリップが内輪外周面に接触していると、そのグリースリップと内輪外周面とは少なからず摺動するため、シールトルクの影響が大きくなる。
前記メインリップと内輪の周溝の壁面との接触態様は、ラジアル接触(アキシアル方向に移動しても締め代が一定の接触)やアキシアル接触(ラジアル方向に移動しても締め代が一定の接触)を採用することができる。前者であれば、アキシアル方向に移動量が大きい場合に有効であり、後者であれば、ラジアル方向に移動量が大きい場合に有効である。
この発明は、以上のように構成して、常時、グリースリップを内輪外周面に接触させ、内圧が上昇してもグリースリップでその内圧を阻止してメインリップにその内圧上昇が極力影響しないようにしたので、軸受の内圧が上昇しても、密封性が低下して潤滑油漏れが生じる恐れが極めて少ない軸受とし得る。
この発明に係るシール付転がり軸受の一実施形態の切断上部部分正面図 同実施形態のシール取付説明用拡大断面図 従来のシール付転がり軸受の一例の切断上部部分正面図
この発明の一実施形態を図1、図2に示し、この実施形態はシール付深溝玉軸受(以下、「シール付軸受」と呼ぶ。)に適用したものである。同図に示すように、この実施形態のシール付軸受では、内輪1と外輪2の間に、保持器4に保持された転動体3を介在させ、転動体3の配列の両側にシール5、5が設けられている。この実施形態のシール付軸受は、自動車等の電磁クラッチ、デカップラ、フライホイールダンパ等における内外輪1、2が同期回転する態様で使用される。内輪1と外輪2との間には、潤滑油aが充填されている。ここで、両側のシール5、5及びその取付構造は左右対称形状であるため、図1において、右側のシール5について説明し、左側のシール等の説明は省略する。なお、以下の説明では、シール付軸受の中心軸に沿った方向を「軸方向」、当該中心軸に対して直角な方向を「径方向」と呼ぶ。また、説明の便宜上、「軸方向」を「幅方向」と呼ぶこともある。
内輪1の外周面は、周溝8から幅方向内側(図2において紙面左側)へ続く肩部外周面1aを、周溝8から端面側(外側)へ続く肩部外周面1bよりも大径としてある。周溝8は、その断面がU字状であり、前記幅方向内側の壁面8aおよび同外側の壁面8bがそれぞれ内側又は外側に傾斜する傾斜面となっている。肩部外周面1aは、保持器4と径方向に重なっている。シール5は、その外径端部が外輪2の周溝7に圧入状態に固定され、その内径端が内輪1の周溝8に対向して、内輪1と外輪2との間を密封する平のリング状のシールであって、ゴムまたは合成樹脂からなる弾性体で形成され、かつ内面に芯金6が埋め込み状態に設けられている。芯金6の内径端は、保持器4の内径端面よりも径方向外側に位置している。
シール5は、その内径端の近傍に内外面が凹んだくびれ部5aと、このくびれ部5aの内面外径側部分に位置するグリースリップ5dと、くびれ部5aの内面内径側部分に位置するメインリップ5cと、くびれ部5aの外面内径側部分に位置するダストリップ5bとを有する。くびれ部5aは、シール5のうち芯金6の内径端を覆う部分よりも幅寸法が小さい。くびれ部5aは、芯金6の内径端よりも径方向内側に位置している。グリースリップ5dは、肩部外周面1aに面し(径方向に対向し)、くびれ部5aと軸方向に重なっている。グリースリップ5dの外周面5d’は、軸方向内側に向かって下り勾配となっている。メインリップ5cは、内側壁面8aに面する。ダストリップ5bは、内輪1の肩部外周面1bに面する。ダストリップ5b及びメインリップ5cは、グリースリップ5dよりも径方向内側に位置している。
このシール5は、図2(a)の組み付け前から同図(b)の組み付け後に示すように、外輪2の周溝7に固定される(組み付けられる)際、メインリップ5cは内輪外周面(溝8の内側壁面8a)と締め代を持たせるように設計しており、同図(b)の鎖線状態から実線状態に変形して、内側壁面8aにアキシアル接触する。一方、グリースリップ5dは、前記メインリップ5cが変形する前は内側肩部外周面1aに接触しておらず、メインリップ5cが変形すると、同図(b)の鎖線状態から実線状態に変形して内側肩部外周面1aにラジアル接触する。また、ダストリップ5bは、メインリップ5cの変形に伴い、内輪1の外側肩部外周面1bに鎖線状態から実線状態に変形して非接触状態となる。
シール5が外輪2の周溝7に固定されると、常時、グリースリップ5dが内側肩部外周面1aに接触している。内外輪1、2が同期回転する使用態様において、軸受内圧が上昇すると、グリースリップ5dは、その外周面5d’が内側に向かって下り勾配になっているため、その内圧を受けて内側肩部外周面1aにさらに強く接触して、その内圧上昇をメインリップ5cに極力影響しないように作用する。このため、メインリップ5cの内輪1の周溝8の内側壁面8aとの接触が担保され、軸受内圧が上昇しても、密封性の低下はなく、潤滑油aが漏れ出ることを防ぐことができる。
なお、前記実施形態においては、メインリップ5cを周溝8の内側壁面8aにアキシアル接触するようにしたが、ラジアル接触するようにしたり、さらに周溝8の底面にラジアル接触するようにしたりすることができる。
また、前記実施形態は深溝玉軸受に適用した場合について説明したが、この発明は他の形式の玉軸受や、ころ軸受など、転がり軸受一般に適用することができることは勿論である。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 内輪
1a 内側肩部外周面
1b 外側肩部外周面
2 外輪
3 転動体
4 保持器
5 シール
5a くびれ部
5b ダストリップ
5c メインリップ
5d グリースリップ
6 芯金
7 外輪の周溝
8 内輪の周溝
8a 内側壁面
8b 外側壁面
a 潤滑油(グリース)

Claims (4)

  1. 外輪(2)と、内輪(1)と、前記外輪(2)と内輪(1)の間に充填された潤滑油(a)と、前記外輪(1)の周溝(7)に固定され、内輪(1)と外輪(2)との間を封止する弾性体のシール(5)とを備え、前記内輪(1)と前記外輪(2)が同期回転するシール付転がり軸受であって、
    前記シール(5)は、その内径端の近傍に内外面が凹んだくびれ部(5a)と、前記くびれ部(5a)の内面外径側部分に位置して内輪(1)の周溝(8)から幅方向内側へ続く内側肩部外周面(1a)に面するグリースリップ(5d)と、前記くびれ部(5a)の内面内径側部分に位置して前記内輪周溝(8)の壁面(8a)に面するメインリップ(5c)と、前記くびれ部(5a)の外面内径側部分に位置して内輪(1)の端面付近の外側肩部外周面(1b)に面するダストリップ(5b)と、を有し、
    前記グリースリップ(5d)は前記内側肩部外周面(1a)に接触し、前記メインリップ(5c)は周溝(8)の壁面(8a)に接触し、前記ダストリップ(5b)は前記外側肩部外周面(1b)に非接触状態となっているシール付転がり軸受。
  2. 前記グリースリップ(5d)は、その外周面(5d’)が軸方向内側に向かって下り勾配になっている請求項1に記載のシール付転がり軸受。
  3. 前記メインリップ(5c)は、前記壁面(8a)にラジアル接触する請求項1又は2に記載のシール付転がり軸受。
  4. 前記メインリップ(5c)は、前記壁面(8a)にアキシアル接触する請求項1又は2に記載のシール付転がり軸受。
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