JP2018115255A - 硬化性樹脂、硬化性樹脂組成物および積層体 - Google Patents

硬化性樹脂、硬化性樹脂組成物および積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】日常の使用に十分耐えうる防曇性能を発現するだけの親水性骨格を有し、軽微な傷が付かない硬度を有し、変形に耐えうる十分な伸張性を有し、基材への良好な密着性を示すような、硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】成分(a1)を20〜75質量%、成分(a2)を20〜45質量%、および成分(a3)を10〜35質量%含有するウレタン(メタ)アクリレート(A)であって、式(1)で表されるポリエチレングリコール含量PAが60〜100であるウレタン(メタ)アクリレート(A)を含有する、硬化性樹脂。(a1)ポリエチレングリコール骨格を有する数平均分子量300〜1,000のポリオール(a2)多価イソシアネート(a3)数平均分子量100〜450のポリエチレングリコール(メタ)アクリレートPA=Pa1+2×Pa3 ・・・・・式(1)(Pa1=[(成分(a1)由来のポリエチレングリコール骨格の質量)/(ウレタン(メタ)アクリレート(A)の数平均分子量)]×100: Pa3=[(成分(a3)由来のポリエチレングリコール骨格の質量)/(ウレタン(メタ)アクリレート(A)の数平均分子量)]×100)【選択図】 なし

Description

本発明は、活性エネルギー線の照射などの方法により直ちに硬化し、優れた物理的特性を示す硬化物を作製可能な硬化性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、本発明の硬化性樹脂組成物を活性エネルギー線の照射などの方法により硬化させることで、優れた表面硬度をはじめとする、様々な物理的特性を有する硬化物を得ることができる。また、本発明の硬化性樹脂組成物は、分子内にポリエチレングリコール骨格を有していることから、得られる硬化物は高い親水性を持ち、防曇性などの効果を発揮する。
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)などの樹脂は、透明性が高い、加工が容易、軽量性に優れる、割れにくいなどの利点から、各種フィルム、ガラス代替材料として幅広い分野で使用されている。例えば、窓ガラス、採光用ガラスなどの建材用途や、液晶ディスプレイカバー、メーターカバーなどの電子機器用途、安全メガネ、フェイスシールド、ヘルメットシールド、ゴーグルなどの保護具用途などに使用される。
これらの用途で用いられる樹脂は、そのままでは表面に擦り傷が付きやすく、傷が付くと耐久性が低下したり、意匠性が低下したりするなどの不具合が起こることから、樹脂の表面を傷の付きにくい素材でコーティングするなどして保護することが一般的に行われる。特に、硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線などの照射により直ちに硬化し、擦り傷、凹み傷などを防ぐための物理的強度を有する硬化膜を形成することから、各種基材の表面を保護する目的で用いられている。
また、上記用途で用いられる樹脂は、高温高湿の環境、急激な温度変化の生じる環境、人の息がかかりやすい環境などにおいて、微小な水滴が表面につき、曇りを生じる場合がある。曇りが生じると、視認性が悪くなるなどの不具合が生じる課題があった。
上記の如く、透明性を保ちながら基材となる樹脂を保護するコーティング層を形成できる硬化性樹脂組成物には、物理的な耐擦傷性の向上、および防曇性の付与が求められている。これらの欠点を解消するために、従来様々な方法が検討されてきた。
例えば、特許文献1では、基材表面に界面活性剤を主成分とする組成物を塗布し、防曇被膜とする方法が行われている。しかしこの方法では、長期間の使用で徐々に界面活性剤が溶出してしまい、防曇性が失われてしまうという欠点があった。
そこで、防曇性が経時的に失われることを解消し、防曇性を向上させるべく、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの親水性ポリマーを用い、熱硬化により防曇被膜を形成する方法が、例えば特許文献2で提示されている。しかしこの方法で形成された防曇被膜も、耐擦り傷性がいまだ十分ではなく、また熱成型時の熱により防曇性が低下するといった問題がある。
さらに別の手段として、硬化性樹脂組成物は、耐擦り傷性などの耐久性に優れた硬化膜を形成できるため、各種基材に耐傷つき性を付与するために有用である。また、硬化性樹脂組成物中に親水性の構造、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンなどの構造を組み込むことにより、同時に防曇性も付与することが出来る。
しかし、特許文献3に記載のように、親水性構造の割合が大きい組成の場合、耐久性が不十分となる傾向にあった。また、親水性構造の割合を大きくすることにより樹脂組成物の重量平均分子量も大きくなるため、樹脂組成物の粘度が著しく高くなる。このような場合、実使用においてハンドリング性が悪くなるという課題があり、ハンドリング性を改善するためには有機溶剤を多く用いて希釈する必要があり、作業環境が悪くなるという課題が生じる。
さらに、特許文献4に記載のように、親水性の構造を有していても、耐久性を発揮するために重合性基の割合が多く設計されている場合、親水性の構造の割合が不十分であるために、防曇性能は期待できなかった。
特開昭56−090876号 特開2005−314495号 特開平5−17740号 特開2005−162908号
このように、長期にわたって日常の使用に十分耐えうる防曇性を示し、軽微な傷が付かない硬度を有し、変形に耐えうる十分な伸張性を有し、基材への良好な密着性を示すような、硬化性樹脂組成物が要望されている。
本発明の課題は、親水性骨格を的確に導入することにより日常の使用に十分耐えうる防曇性能を発現し、軽微な傷が付かない硬度を有し、変形に耐えうる十分な伸張性を有し、基材への良好な密着性を示すような、硬化性樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ウレタン(メタ)アクリレートの原料であるポリオールおよび水酸基含有(メタ)アクリレートの構造に着目し、ポリエチレングリコール骨格を一定の割合で有する原料を用いて合成設計を行うことにより、防曇性能を発現するだけの高い親水性を持たせることができ、さらに活性エネルギー線の照射などの手段により直ちに硬化し、長期間の使用に耐える高い耐傷つき性を示す硬化膜を形成可能な硬化性樹脂を得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のものである。
(1) 下記成分(a1)を20〜75質量%、成分(a2)を20〜45質量%、および成分(a3)を10〜35質量%含有するウレタン(メタ)アクリレート(A)であって、下記式(1)で表されるポリエチレングリコール含量PAが60〜100であるウレタン(メタ)アクリレート(A)からなることを特徴とする、硬化性樹脂。

(a1) ポリエチレングリコール骨格を有する数平均分子量300〜1,000のポリオール
(a2) 多価イソシアネート
(a3) 数平均分子量100〜450のポリエチレングリコール(メタ)アクリレート

PA=Pa1+2×Pa3 ・・・・・式(1)

(式(1)において、
Pa1=[(前記成分(a1)由来のポリエチレングリコール骨格の質量)/(ウレタン(メタ)アクリレート(A)の数平均分子量)]×100
Pa3=[(前記成分(a3)由来のポリエチレングリコール骨格の質量)/(ウレタン(メタ)アクリレート(A)の数平均分子量)]×100)
(2) (1)の硬化性樹脂100質量部に対し、ポリエチレングリコール骨格を持ち、1分子あたりのアクリロイル官能基数が2以上である(メタ)アクリレート(B)を5〜150質量部含有することを特徴とする、(1)の硬化性樹脂組成物。
(3)基材、および前記基材上に設けられた、(1)の硬化性樹脂または(2)の硬化性樹脂組成物の硬化物を有することを特徴とする、積層体。
本発明の硬化性樹脂は、ポリエチレングリコール骨格を豊富に有するウレタン(メタ)アクリレートを含有しているために、硬化性が良好でべた付きの無い硬化膜を形成することができ、その硬化膜は親水性と各種物理的特性を高い水準で両立するために、人間の呼吸や、温水から発生する蒸気による曇りの発生を抑えることができる。さらに、ウレタン(メタ)アクリレートの原料であるポリオールと水酸基含有アクリレートに由来するポリエチレングリコール骨格の分子量を特定範囲内に収めるべく設計することにより、軽微な傷が付かない硬度を有し、変形に耐えうる十分な伸張性を有し、プラスチック基材への良好な密着性を示す効果を奏する。
以下、本発明を実施するための形態について、更に詳細に説明する。
本発明の硬化性樹脂は、下記成分(a1)を20〜75質量%、成分(a2)を20〜45質量%、および成分(a3)を10〜35質量%含有するウレタン(メタ)アクリレート(A)であって、下記式(1)で表されるポリエチレングリコール含量PAが60〜100であるウレタン(メタ)アクリレート(A)からなることを特徴とする。
(a1) ポリエチレングリコール骨格を有する数平均分子量300〜1,000のポリオール
(a2) 多価イソシアネート
(a3) 数平均分子量100〜450のポリエチレングリコール(メタ)アクリレート

PA=Pa1+2×Pa3 ・・・・・式(1)

(式(1)において、
Pa1=[(前記成分(a1)由来のポリエチレングリコール骨格の質量)/(ウレタン(メタ)アクリレート(A)の数平均分子量)]×100
Pa3=[(前記成分(a3)由来のポリエチレングリコール骨格の質量)/(ウレタン(メタ)アクリレート(A)の数平均分子量)]×100)
<ウレタン(メタ)アクリレート(A)>
以下、ウレタン(メタ)アクリレート(A)を得るために用いる各成分の詳細について記述する。
ポリエチレングリコール骨格を有する数平均分子量300〜1,000のポリオール(a1)は、本発明の組成物に親水性を付与し、さらに適度な柔軟性、伸張性を持たせるために用いられる。ポリオール(a1)の数平均分子量が300未満の場合、得られる硬化性樹脂組成物を用いて作製した硬化膜は、防曇性が十分でないだけでなく、変形の余地が小さくなるために柔軟性に乏しく、伸張性が十分で無くなる。このため、ポリオール(a1)の数平均分子量を300以上とするが、400以上とすることが更に好ましい。一方、ポリオール(a1)の数平均分子量が1,000を越えると、柔軟性、伸張性は十分であるが、変形の余地が大きくなりすぎるために表面硬度が低下し、作製した硬化膜は傷つきやすくなる。このため、ポリオール(a1)の数平均分子量を1,000以下とするが、800以下であることが好ましく、600以下であることがさらに好ましい。
ポリオール(a1)の1分子あたりの水酸基数は、二官能以上であれば特に限定されるものではないが、四官能以下とすることが好ましい。
ポリオール(a1)の入手可能な市販品としては、ポリエチレングリコール#300、ポリエチレングリコール#400、ポリエチレングリコール#600、ポリエチレングリコール#1000、ユニオックスG−450、ユニオックスG−750(以上、日油社製)や、トリメチロールプロパンポリオキシエチレンエーテル、ペンタエリスリトールポリオキシエチレンエーテル(以上、日本乳化剤社製)などが挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用して用いることもできる。
多価イソシアネート(a2)は、成分(a1)および成分(a3)の水酸基と所定の条件で反応させることにより、成分(A)にウレタン結合を導入するために用いられる。分子構造中にウレタン結合を導入することにより、本発明の硬化性樹脂組成物を用いて形成される硬化膜に適度な弾力性を発現することができ、物理的特性を向上させることができる。
多価イソシアネート(a2)としては、例えばペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4‘−ジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどの脂環式イソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、あるいはこれらイソシアネートの2量体化合物、3量体化合物、又はそれ以上の多量体化合物、すなわちウレトジオン体、イソシアヌレート体、ビウレット体、アダクト体、アロファネート体などが挙げられる。
これらの中でも、耐黄変性に優れることから、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4‘−ジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどの脂環式イソシアネート、およびこれらの2量体以上の化合物を用いることが好ましい。また、より強靭性に優れた硬化膜が得られることから、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4‘−ジイソシアネートを用いることが特に好ましい。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用して用いることもできる。
水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)は、成分(a2)と反応して分子構造中にウレタン結合を導入するとともに、不飽和二重結合を導入することで、主に紫外線などの活性エネルギー線の照射により直ちに硬化し、優れた物理的特性を有する硬化物を作製可能な樹脂組成物を得るために用いられる。
水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の数平均分子量は100〜450とする。親水性、伸張性が両立して優れる硬化物が得られるという観点から、水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)の数平均分子量を200以上とすることが更に好ましく、また300以下とすることが更に好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)は、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート(平均分子量116)、および2−ヒドロキシエチルアクリレートのポリエチレングリコール変性体が挙げられる。
本発明において特に重要となるのが、ウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造において、成分(a1)〜成分(a3)の分子量や反応比を規定の範囲内に収まるようにすること、および(A)成分中のポリエチレングリコール構造の割合を、規定の範囲内に収まるようにすることにある。これにより、得られる硬化性樹脂組成物を用いて作製した硬化膜が良好な防曇性を発揮するだけでなく、優れた表面硬度と、伸張性を両立することが可能となる。
すなわち、ポリエチレングリコール骨格を有する数平均分子量300〜1,000のポリオール(a1)の配合比は20〜75質量%であり、30〜60質量%であることが好ましい。成分(a1)の配合比が小さすぎると、樹脂に親水性が十分に付与されず、防曇性が発揮されない。成分(a1)の配合比が大きすぎると、防曇性は十分に発揮されるが、樹脂が柔らかくなりすぎ、硬度が低下する。
多価イソシアネート(a2)の配合比は20〜45質量%であり、30〜40質量%であることが好ましい。成分(a2)の配合比が小さすぎると、ウレタン架橋が十分に形成されず、硬度や伸張性などの物性が不十分となる。成分(a2)の配合比が大きすぎると、ウレタン架橋の密度が大きくなりすぎ、ウレタン(メタ)アクリレートの合成中にゲル化などの不具合が生じたり、得られるウレタン(メタ)アクリレートの粘度が高く、ハンドリング性が悪くなったりする。
数平均分子量100〜450のポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(a3)の配合比は10〜35質量%であり、15〜35質量%であることが好ましく、20〜30質量%であることがより好ましい。成分(a3)の配合比が小さすぎると、重合性不飽和基の密度が小さくなり、硬化膜形成時にアクリル架橋が不十分となり、硬度が低下する。成分(a3)の配合比が大きすぎると、重合性不飽和基の密度が大きくなり、硬化膜形成時にアクリル架橋密度が高くなりすぎ、硬度は十分だが伸張性が不十分となる。また、防曇性も不十分となる傾向にある。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(A)は、式(1)で表されるポリエチレングリコール含量PAが60〜100である。PAは、(A)成分中のポリエチレングリコール構造の割合を示す指標である。PAが60未満であると、樹脂に十分な親水性を付与することができず、防曇性が不十分となる。このためPAを60以上とするが、70以上とすることが更に好ましい。また、PAが100を超えると、防曇性は十分であるが樹脂が柔らかくなりすぎ、硬度が不十分となる。このためPAを100以下とするが、90以下とすることが更に好ましく、85以下とすることが特に好ましい。
以下に式(1)について説明する。ここで、式(1)において、Pa1は、[(前記成分(a1)由来のポリエチレングリコール骨格の質量)/(ウレタン(メタ)アクリレート(A)の数平均分子量)]×100である。
また、Pa3は、[(前記成分(a3)由来のポリエチレングリコール骨格の質量)/(ウレタン(メタ)アクリレート(A)の数平均分子量)]×100である。
Pa1およびPa3を求めるには、ウレタン(メタ)アクリレート(A)における、(a1)および(a3)由来の構成単位のモル数をそれぞれ求める必要がある。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(A)は、代表構造として、(a1)と(a2)との反応によりウレタン結合を介した繰り返し構造を有し、その両末端にウレタン結合を介して(a3)が結合した構造であると推測される。
したがって、式(A)の代表構造は、(a1)と(a2)との繰り返しモル数をkとすると、次のように表しうる。

(a3)×(a2)×{(a1)×(a2)}k×(a3)
上述の構造式より、式(A)における(a1)由来の構成単位のモル数はkモルで、(a3)由来の構成単位のモル数は2モルであることが分かる。したがって、(a1)由来のポリエチレングリコール骨格の質量は、「(a1)のポリエチレングリコールの数平均分子量×2」で求められる。
一方、(a3)由来のポリエチレングリコール骨格の質量は、「(a3)の水酸基含有(メタ)アクリレート中のポリエチレングリコール骨格の数平均分子量×k」で求められる。
なお、繰り返しモル数kは、ポリエチレングリコールを標準試料としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した、ウレタン(メタ)アクリレート(A)の重量平均分子量から算出することができる。
ウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造において、成分(a1)〜成分(a3)を反応させるにあたっては、成分(a1)と成分(a3)に含まれる水酸基のモル数の合計と、成分(a2)に含まれるイソシアネート基のモル数が同数程度となるように設計する。通常、「(水酸基のモル数の合計)/(イソシアネート基のモル数)」で表される値の範囲が0.9〜1.1程度で設計されることが多い。
好ましくは上記の値を1.0、すなわち水酸基のモル数の合計とイソシアネート基のモル数を同数とすることである。
ウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造において、ウレタン化反応は一般的には公知の方法に従って行うことが出来る。例えば、反応容器中に成分(a1)〜成分(a3)を投入し、ウレタン化触媒、重合禁止剤、黄変防止剤、有機溶剤を投入して反応させることができる。また、反応中の温度制御をし易くし、さらに得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)の分子量分布を制御しやすくなることから、まず成分成分(a1)(a2)、およびウレタン化触媒、重合禁止剤、黄変防止剤、有機溶剤を投入して、30〜100℃にて反応させてイソシアネート基の割合が一定値以下に下がったことを確認したのち、さらに成分(a3)を投入して30〜100℃にて反応させ、目的のウレタン(メタ)アクリレートを製造する方法が好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造において、反応時間を短縮できることから、ウレタン化触媒を用いることが好ましい。ウレタン化触媒としては、ジブチルスズジラウレートなどの有機スズ化合物、ジブチルビスマスジラウレートなどの有機ビスマス化合物、トリエチルアミンなどの3級アミン、テトラアルキルアンモニウムブロマイドなどの4級アンモニウムなどを用いることができる。これらのウレタン化触媒は、反応原料の総量に対して0.005〜1.0質量%の量で用いられる。
また、安定的に反応を進行させ、また製造後の保存安定性を高めるために重合禁止剤を併用しても良い。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、モノ−t−ブチルハイドロキノンなどが挙げられる。これらの重合禁止剤は、通常、反応原料の総量に対して0.005〜1.0質量%の量で用いられる。
ウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造時、および製造後の経時的な黄変を防止するために酸化防止剤を併用しても良い。酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、4,4−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)などのフェノール系酸化防止剤、亜りん酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ジフェニルイソデシルホスファイトなどのホスファイト系酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤は、通常、反応原料の総量に対して0.005〜1.0質量%の量で用いられる。
ウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造において、ハンドリング性を向上させるために有機溶剤を配合して粘度を調節することも出来る。かかる有機溶剤としては、例えばアセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類などが挙げられる。これらの有機溶剤は単独で用いても良く、2種以上を併用して用いることもできる。
<(メタ)アクリレートモノマー(B)>
本発明の硬化性樹脂組成物は、1分子あたりのアクリロイル官能基数が2以上である(メタ)アクリレートモノマー(B)を配合することにより、硬化膜の親水性、表面硬度、および伸張性のバランスを調整し、より良好な物性とすることが出来る。
また、(メタ)アクリレートモノマー(B)1分子あたりのアクリロイル官能基数は、6以下とすることが好ましい。
上記(メタ)アクリレートモノマー(B)としては、汎用のものを用いることができる。例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性グリセリンジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレートなどの2官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの4官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。また、ポリイソシアネート化合物と1個以上の水酸基を含有する(メタ)アクリレート系化合物を反応させてなるウレタン(メタ)アクリレート系化合物を用いても良い。
上記の中でも、分子中にポリエチレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートモノマーを配合することで、硬化膜の親水性を高めつつ、表面硬度と伸張性のバランスをとりやすくなり、好ましい。すなわち、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとポリイソシアネート化合物を反応させてなるウレタン(メタ)アクリレートなどを用いることが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート(A)と(メタ)アクリレートモノマー(B)の質量比は、(A)100質量部に対し、(B)5〜150質量部であり、好ましくは25〜70質量部である。(B)がこの範囲にあると、未硬化のモノマーが残らず、硬化性の低下起こさず、十分な架橋構造を形成して硬度、伸張性が十分なものが得られる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を逸脱しない範囲で、任意成分として単官能(メタ)アクリレートを配合しても良い。単官能(メタ)アクリレートを配合することにより、硬化物の可とう性や基材への密着性をさらに向上させることができ、また親水性のアクリレートモノマーを選定した場合には、硬化性樹脂組成物の親水性をも向上させることができる。
かかる単官能(メタ)アクリレートとしては、公知のものを用いることができ、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどの脂環式骨格を有するモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化o−フェニルフェノールアクリレートなどの芳香族環骨格を有するモノ(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェートなどの複素環骨格を有するモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、光重合開始剤を配合しても良い。前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインまたはベンゾインアルキルエーテル;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸等の芳香族ケトン;ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等のベンジルケタール;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン等のアセトフェノン;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド等のアシルフォスフィンオキシドが挙げられる。
さらに、任意成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、表面調整剤、レベリング剤、充填剤、顔料、シランカップリング剤、帯電防止剤、消泡剤、防汚剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などを配合することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物を用いて硬化物を作製するにおいては、様々な塗装方法より適切な方法を選ぶことができ、例えばディップコーティング、スプレーコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ロールコーティングなどの塗装方法を選択できる。塗装方法に応じて、有機溶剤で希釈し、粘度を調整して使用することができる。
有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等のアルコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類などが挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明の硬化性樹脂組成物を用いて、各種の樹脂成型物や無機材料の表面に硬化膜を形成し、硬化膜積層体を形成することができる。より具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、アクリロニトリル−スチレン、ポリアミド、ガラスなどを選定することができる。これらのうちでも、透明性が高く、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布して良好な効果を得られることから、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ガラスなどを用いることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートを用いることがより好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させる方法としては、例えば活性エネルギー線として、赤外線、可視光線、紫外線、X線、γ線、および電子線などの群より選ばれる光線を選択することが出来る。照射方法は、通常の硬化性樹脂組成物の硬化方法を用いることが出来る。照射装置として紫外線を用いる場合、波長が200〜450nmの領域にスペクトル分布を有するフュージョンUVシステムズ(株)製Hバルブ等の無電極ランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。活性エネルギー線の照射量は、積算光量として通常10〜3,000mJ/cmであり、100〜2,500mJ/cmが好ましく、200〜2,000mJ/cmがより好ましい。照射時の雰囲気は空気中でも良く、窒素やアルゴン等の不活性ガス中で硬化しても良い。
以下に実施例を示す。なお、以下において特に規定しない限り、「部」は質量部、「%」は質量%を示す。

<重量平均分子量>
以下の装置および条件を使用するGPCによって、合成したウレタンアクリレートの重量平均分子量を測定した。
装置:Shodex GPC−101
測定カラム:shodex KF−804L
ガードカラム:shodex KF−G
溶剤:THF
流速:1mL/min
カラムオーブン温度:40℃
標準試料:ポリエチレングリコール
<合成例1:ウレタン(メタ)アクリレート(UA−1)の製造>
撹拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量400のポリエチレングリコール(日油(株)製ポリエチレングリコール#400)を95.5g(0.239mol)、イソホロンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株))製デスモジュールI)を79.5g(0.358mol)、酢酸ブチルを60.0g、ジブチルヒドロキシトルエンを0.03g、ジブチルスズジラウレートを0.06g投入し、空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が4.51%以下であることを確認した。次に、ポリエチレングリコールモノアクリレート(日油(株)製ブレンマーAE−200)を65.0g(0.239mol)、メトキシハイドロキノンを0.06g投入した。空気を吹き込みながら内温を75℃に保持して5時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.20%以下であることを確認し、重量平均分子量3,170のウレタンアクリレート(UA−1)を294.2g得た。
<合成例2:ウレタン(メタ)アクリレート(UA−2)の製造>
撹拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量400のポリエチレングリコール(日油(株)製ポリエチレングリコール#400)を90.1g(0.225mol)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株))製デスモジュールW)を88.6g(0.338mol)、酢酸ブチルを60.0g、ジブチルヒドロキシトルエンを0.03g、ジブチルスズジラウレートを0.06g投入し、空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が4.14%以下であることを確認した。次に、ポリエチレングリコールモノアクリレート(日油(株)製ブレンマーAE−200)を61.3g(0.225mol)、メトキシハイドロキノンを0.06g投入した。空気を吹き込みながら内温を75℃に保持して5時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.20%以下であることを確認し、重量平均分子量4,530のウレタンアクリレート(UA−2)を293.7g得た。
<合成例3:ウレタン(メタ)アクリレート(UA−3)の製造>
撹拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量1,000のポリエチレングリコール(日油(株)製ポリエチレングリコール#1000)を154.3g(0.154mol)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株))製デスモジュールW)を60.7g(0.232mol)、酢酸ブチルを60.0g、ジブチルヒドロキシトルエンを0.03g、ジブチルスズジラウレートを0.06g投入し、空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が3.15%以下であることを確認した。次に、ポリエチレングリコールモノアクリレート(日油(株)製ブレンマーAE−90)を25.0g(0.154mol)、メトキシハイドロキノンを0.06g投入した。空気を吹き込みながら内温を75℃に保持して5時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.20%以下であることを確認し、重量平均分子量5,860のウレタンアクリレート(UA−3)を292.8g得た。
<合成例4:ウレタン(メタ)アクリレート(UA−4)の製造>
撹拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量400のポリエチレングリコール(日油(株)製ポリエチレングリコール#400)を107.3g(0.268mol)、イソホロンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株))製デスモジュールI)を89.3g(0.402mol)、酢酸ブチルを60.0g、ジブチルヒドロキシトルエンを0.03g、ジブチルスズジラウレートを0.06g投入し、空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が5.98%以下であることを確認した。次に、ポリエチレングリコールモノアクリレート(日油(株)製ブレンマーAE−90)を43.4g(0.268mol)、メトキシハイドロキノンを0.06g投入した。空気を吹き込みながら内温を75℃に保持して5時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.20%以下であることを確認し、重量平均分子量3,100のウレタンアクリレート(UA−4)を291.5g得た。
<比較合成例1:ウレタン(メタ)アクリレート(UA‘−1)の製造>
撹拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量1,500のポリエチレングリコール(日油(株)製ポリエチレングリコール#1500)を171.0g(0.114mol)、イソホロンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株))製デスモジュールI)を38.0g(0.171mol)、酢酸ブチルを60.0g、ジブチルヒドロキシトルエンを0.03g、ジブチルスズジラウレートを0.06g投入し、空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が2.39%以下であることを確認した。次に、ポリエチレングリコールモノアクリレート(日油(株)製ブレンマーAE−200)を31.0g(0.114mol)、メトキシハイドロキノンを0.06g投入した。空気を吹き込みながら内温を75℃に保持して5時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.20%以下であることを確認し、重量平均分子量4,820のウレタンアクリレート(UA‘−1)を292.2g得た。
<比較合成例2:ウレタン(メタ)アクリレート(UA‘−2)の製造>
撹拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量300のポリエチレングリコール(日油(株)製ポリエチレングリコール#300)を62.9g(0.210mol)、イソホロンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株))製デスモジュールI)を69.8g(0.314mol)、酢酸ブチルを60.0g、ジブチルヒドロキシトルエンを0.03g、ジブチルスズジラウレートを0.06g投入し、空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が6.92%以下であることを確認した。次に、ポリエチレングリコールモノアクリレート(2−HEAのEO9モル付加物)を107.3g(0.210mol)、メトキシハイドロキノンを0.06g投入した。空気を吹き込みながら内温を75℃に保持して5時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.20%以下であることを確認し、重量平均分子量3,590のウレタンアクリレート(UA‘−2)を296.5g得た。
<比較合成例3:ウレタン(メタ)アクリレート(UA‘−3)の製造>
撹拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量200のポリエチレングリコール(日油(株)製ポリエチレングリコール#200)を73.0g(0.365mol)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株))製デスモジュールW)を127.5g(0.487mol)、酢酸ブチルを60.0g、ジブチルヒドロキシトルエンを0.03g、ジブチルスズジラウレートを0.06g投入し、空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が5.32%以下であることを確認した。次に、ポリエチレングリコールモノアクリレート(日油(株)製ブレンマーAE−90)を39.4g(0.243ol)、メトキシハイドロキノンを0.06g投入した。空気を吹き込みながら内温を75℃に保持して5時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.20%以下であることを確認し、重量平均分子量2,910のウレタンアクリレート(UA‘−3)を291.8g得た。
<比較合成例4:ウレタン(メタ)アクリレート(UA‘−4)の製造>
撹拌装置、空気導入管、温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量400のポリエチレングリコール(日油(株)製ポリエチレングリコール#400)を133.8g(0.334mol)、イソホロンジイソシアネート(住化コベストロウレタン(株))製デスモジュールI)を83.5g(0.376mol)、酢酸ブチルを60.0g、ジブチルヒドロキシトルエンを0.03g、ジブチルスズジラウレートを0.06g投入し、空気を吹き込みながら内温を60℃に保持して4時間反応させた後、JIS K 7301の方法でイソシアネート基含有量が1.69%以下であることを確認した。次に、ポリエチレングリコールモノアクリレート(日油(株)製ブレンマーAE−200)を22.7g(0.084mol)、メトキシハイドロキノンを0.06g投入した。空気を吹き込みながら内温を75℃に保持して5時間反応させた後、イソシアネート基含有量が0.20%以下であることを確認し、重量平均分子量9,180のウレタンアクリレート(UA‘−4)を282.3g得た。
合成例1〜4、比較合成例1〜4で使用した原料と、仕込み重量比、分子設計、および合成結果を表1に示す。
Figure 2018115255

<実施例1〜7、比較例1〜5>
UA−1〜UA−4、およびUA‘−1〜UA’−4と、表2または表3に記載の(メタ)アクリレート(B)を、樹脂組成物の固形分が計10gとなるよう50mL褐色スクリュー管に量りとり、さらにイルガキュア184を0.3g、BYK−UV3570を0.02g、酢酸ブチルを10g、それぞれ量りとり上記の50mL褐色スクリュー管に加えた。ボルテックスミキサーにて均一に混合するまで攪拌し、硬化性樹脂組成物の塗布溶液を得た。
硬化性、防曇性、硬度の評価を行う試験片を、以下の方法で作製した。得られた硬化性樹脂組成物を、100μmPETフィルム(東洋紡績(株)製コスモシャインA4300)に乾燥膜厚が25μmとなるよう塗工し、60℃の恒温槽内に5分間静置し、有機溶剤を除去した。続いて、80W/cmの無電極UVランプ(Hバルブ)を用いて積算光量1,000mJ/cmのエネルギー量を照射することで硬化物を得た。
伸張性の評価を行う試験片を、以下の方法で作製した。得られた硬化性樹脂組成物を、脱脂処理を行ったガラス基板上に乾燥膜厚が100μmとなるよう塗工し、60℃の恒温槽内に5分間静置し、有機溶剤を除去した。続いて、80W/cmの無電極UVランプ(Hバルブ)を用いて積算光量1,000mJ/cmのエネルギー量を照射することで硬化物を得た。得られた硬化物を静かにガラス基板から剥離したのち、型抜き器を用いてダンベル型試験片を作製した。
密着性の評価を行う試験片を、以下の方法で作製した。得られた硬化性樹脂組成物を、2mm厚PC板(密着性試験のみ)に乾燥膜厚が25μmとなるよう塗工し、60℃の恒温槽内に5分間静置し、有機溶剤を除去した。続いて、80W/cmの無電極UVランプ(Hバルブ)を用いて積算光量1,000mJ/cmのエネルギー量を照射することで硬化物を得た。
(評価方法)
<ハンドリング性>
合成例1〜4、比較合成例1〜4で得たUA−1〜UA−4、およびUA‘−1〜UA’−4の25℃における取り扱い易さを官能的に判定した。

○: 容器を傾けると緩やかに流れ落ちる程度の流動性があり、扱いやすい
×: 容器を傾けても流れ落ちず、流動性が無いために扱いにくい
<硬化性>
得られた硬化物の表面を指でなぞり、タック感の有無で判定した。

◎: タック感なし
○: ややタック感あり
×: タックが強く、ベタ付きがある
<防曇性>
温度25℃、相対湿度60RH%の雰囲気下、半分の高さまで40度のお湯が入った100mLガラスビーカー上に、硬化物積層面が内側を向くようにフィルムをセットし、蒸気を当てて、曇りが生じるまでの時間で判定した。

◎: 250秒経過時に曇りが生じない
○: 150秒以上〜250秒未満経過の間に曇りが生じる
△: 50秒以上〜150秒未満経過の間に曇りが生じる
×: 50秒未満で曇りが生じる
<硬度>
JIS K 5600に準拠して、荷重750gの条件で引掻き硬度(鉛筆法)を測定し、傷がつかない中で最も硬い鉛筆硬度を結果とし、下記の基準で評価した。

◎: 鉛筆硬度がHB以上
○: 鉛筆硬度がB
△: 鉛筆硬度が2B
×: 鉛筆硬度が3B以下
<伸張性>
オートグラフAGX−J(島津製作所社製)で50mm/minを用いて測定した。引張速度50mm/min、チャック間距離50mmの条件で引張試験を行い、測定した破断伸度を下記の基準で評価した。

◎: 破断伸度が150%以上
○: 破断伸度が100%以上150%未満
△: 破断伸度が50%以上100%未満
×: 破断伸度が50%未満
<密着性>
JIS K 5600に準拠して、碁盤目剥離試験を行い、下記の基準で評価した。

◎: 残存面積が100%
○: 残存面積が70%以上100%未満
△: 残存面積が50%以上70%未満
×: 残存面積が50%未満
Figure 2018115255

Figure 2018115255
なお、表2、表3に示した実施例および比較例における略称にて示した化合物は下記を意味する。

ADE−200:ポリエチレングリコールジアクリレート(日油社製ブレンマーADE−200、平均分子量344)
V#360:EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(大阪有機化学社製ビスコート360)
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
AE−200:ポリエチレングリコールモノアクリレート(日油社製ブレンマーAE−200、平均分子量272)
表2に示すように、実施例1〜7は硬化性、防曇性、硬度、伸張性、密着性がいずれも良好である。
一方、表3に示すように、本発明の範囲外となる比較例1〜4のような場合には、いずれかの物性を十分に満足することが出来ない。
比較例1は、成分(a1)の分子量が範囲を超えて大きいため、防曇性は良好であるが、硬度が不足し、引張への耐久性が低下するため伸張性も不十分である。また、極性が大きくなるために基材との親和性が低下し、各種プラスチック基材への密着性も不十分となる。
比較例2は、成分(a3)の分子量が範囲を超えて大きいため、硬化性が不足し、硬化膜にべた付きが生じる。防曇性は良好であるが、硬度と伸張性、および密着性が不足する。
比較例3はPAの値が範囲を超えて小さいため、防曇性が不足する。また、各原料の分子量が小さいために伸張性も不十分である。
比較例4は、成分(a3)の原料仕込み質量比が範囲を超えて小さいため、成分(a1)と成分(a2)の繰り返し単位が大きくなり、分子量が大幅に増大する。そのため、硬化性が低下する。また、硬度と密着性も低下する。
本発明の硬化性樹脂は、例えば、窓ガラス、採光用ガラスなどの建材用途や、液晶ディスプレイカバー、メーターカバーなどの電子機器用途、安全メガネ、フェイスシールド、ヘルメットシールド、ゴーグルなどの保護具用途などに有用である。

Claims (3)

  1. 下記成分(a1)を20〜75質量%、成分(a2)を20〜45質量%、および成分(a3)を10〜35質量%含有するウレタン(メタ)アクリレート(A)であって、下記式(1)で表されるポリエチレングリコール含量PAが60〜100であるウレタン(メタ)アクリレート(A)からなることを特徴とする、硬化性樹脂。

    (a1) ポリエチレングリコール骨格を有する数平均分子量300〜1,000のポリオール
    (a2) 多価イソシアネート
    (a3) 数平均分子量100〜450のポリエチレングリコール(メタ)アクリレート

    PA=Pa1+2×Pa3 ・・・・・式(1)

    (式(1)において、
    Pa1=[(前記成分(a1)由来のポリエチレングリコール骨格の質量)/(ウレタン(メタ)アクリレート(A)の数平均分子量)]×100
    Pa3=[(前記成分(a3)由来のポリエチレングリコール骨格の質量)/(ウレタン(メタ)アクリレート(A)の数平均分子量)]×100)
  2. 請求項1記載の硬化性樹脂100質量部に対し、ポリエチレングリコール骨格を持ち、1分子あたりのアクリロイル官能基数が2以上である(メタ)アクリレート(B)を5〜150質量部含有することを特徴とする、硬化性樹脂組成物。
  3. 基材、および前記基材上に設けられた、請求項1記載の硬化性樹脂または請求項2記載の硬化性樹脂組成物の硬化物を有することを特徴とする、積層体。
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