JP2018113558A - 電磁界バンドフィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 無線通信性能を損なうことなく漏えい電磁波の放射を抑制可能な電磁界バンドフィルタを省サイズで提供すること。【解決手段】 本発明の一態様によれば、電磁界バンドフィルタが提供される。この電磁界バンドフィルタは、電磁波の周波数に対して選択的に応答する単位セルを具備する。この単位セルは、導体板と、この導体板に形成され電磁波により誘起された磁流の電磁的経路となるスロットとを備える。このスロットは、電磁的経路の実効長を延長する延長部を有する。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、無線通信機器などに利用可能な電磁界バンドフィルタに関する。
電磁界バンドフィルタはあらゆる電子機器に用いられている。例えば以下に説明するように、近年では情報漏えい防止の観点からも高性能のフィルタが求められている。
電子機器から放射される微弱な電磁波から情報を盗み取る、電磁的盗聴の脅威が従来から指摘されている。例えばデスクトップPC(パーソナルコンピュータ)のモニタケーブルから漏れ出る電磁波を解析すればディスプレイの表示を再現することができ、種々の対策が検討されている(非特許文献1)。
デスクトップPCやプリンタなど、位置を固定された電子機器から漏えいする電磁波への対策は比較的容易である。例えばビルや室内の壁などに導電性シールドを設置すれば建物外に電磁波が漏れ出ることを防げるし、EMC(electromagnetic compatibility)設計のため筐体内に設置されるシールド部材によっても筐体外への電磁漏えいを防止できるからである。通信機器においても、有線で通信する固定端末については同様の対策を採ることができる。筐体内外での電磁波の伝搬をブロックしても通信には影響しないからである。
しかしながら、モバイル端末においては電磁波で無線通信するという性質上、通信性能の確保と電磁漏えい対策との両立が格段に難しい。小型化、高性能化の進んだ近年のモバイル端末においてはなおさらであり、特に急峻な性能を持つ小型のフィルタが求められる。モバイル端末はパブリックスペースで頻繁に利用されるし、他人との距離が至近な状態で利用される機会も多い。特に、多人数の集まる場所ではクラッカーの特定が困難であるし、機密情報・個人情報を取り扱う機会も固定端末に劣らず増えてきているので、モバイル端末においても電磁漏えいに関するセキュリティの脅威が懸念される(非特許文献2)。
このように、モバイル端末においても電磁漏えいによるセキュリティ脅威を回避することが求められている。そこで、「電磁漏えいの防止」と「無線通信の保護」とを両立可能とする電磁制御材料が求められており、電磁界バンドフィルタ(周波数選択板(FSS:Frequency Selective Surface))の利用が検討されている。
FSSは、電磁波の周波数に対して選択的に応答する単位セルを、少なくとも一つ有する。複数の単位セルを備えるFSSにおいては、単位セルは二次元的に周期配列される。単位セルは電磁界に応答し共振する導体と開口部分(スロット)とを含む。FSSの周波数特性は単位セルの構造に支配される(非特許文献3)。FSSの共振器の構造は、リング型共振器とスロット型共振器とに大別することができる。これらの共振器は、特定の帯域を反射または通過させる、バンドフィルタ特性を示す。
図27は、リング型共振器およびスロット型共振器の一例を示す図である。図27(a)に示されるリング型共振器は、特定の周波数帯を反射するバンドストップ型の特性を示し、リングが電界の電磁的経路になる特徴を有する。図29(b)に示されるスロット型共振器は、特定の周波数帯を通過させるバンドパス型の特性を示し、スロット(開口部分)が磁流の電磁的経路となる。両者の共通点は、それぞれの電磁的経路の長さがちょうど波長と一致する周波数の近傍で共振する構造になっていることである。しかしながらこの性質のため、共振させたい周波数によって構造のサイズが限定されてしまう(非特許文献4)。
NTT技術ジャーナル(2008.8月号)p11−15 伊丹ほか、2016 信学全大、B-4-60,Mar. 2016 牧野滋 著2015 信学技報、A・P 2015-5,Apl. 2015 BEN A. MUNK, Frequency Selective Surfaces Theory and Design, 2000
モバイル端末からの電磁漏えい防止の用途で用いられるFSSには、通信周波数を通過させ、かつその他の周波数を遮断する性能を持たせる必要がある。モバイル端末の通信では通信周波数帯の中にキャリア周波数が含まれ、占有帯域における最低周波数は700MHz近傍でありその波長はおよそ43cmである。このような制約下において既存のスロット型共振器構造で所期の性能を実現するには、単位セルのサイズは最小でもおよそ7cm以上になってしまう。誘電体被覆による低周波化を講じても、モバイル端末のサイズに収まる範囲に複数の単位セルを周期的に配列することは望めない。このためFSSに所望の周波数特性を持たせることができず、モバイル端末の電磁環境を周波数的に制御することが難しいことから解決策が望まれていた。
この発明は上記事情によりなされたもので、目的は、無線通信性能を損なうことなく漏えい電磁波の放射を抑制可能な電磁界バンドフィルタを省サイズで提供することにある。
本発明の一態様によれば、電磁界バンドフィルタが提供される。この電磁界バンドフィルタは、電磁波の周波数に対して選択的に応答する単位セルを具備する。この単位セルは、導体板と、この導体板に形成され電磁波により誘起された磁流の電磁的経路となるスロットとを備える。このスロットは、電磁的経路の実効長を延長する延長部を有する。
この発明によれば、無線通信性能を損なうことなく漏えい電磁波の放射を抑制可能な、省サイズの電磁界バンドフィルタを提供することができる。
図1は、本発明の電磁界バンドフィルタに係わる単位セルの第1の実施形態を示す外観図である。 図2は、図1に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。 図3は、一般的なスロット型共振器の一例を示す図である。 図4は、図3に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。 図5は、図2の周波数特性を示す単位セルの諸元の一例を示す図である。 図6は、図4の周波数特性を示す単位セルの諸元の一例を示す図である。 図7は、本発明の電磁界バンドフィルタに係わる単位セルの第2の実施形態を示す外観図である。 図8は、図7に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。 図9は、一般的なスロット型共振器の他の例を示す図である。 図10は、図9に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。 図11は、図8の周波数特性を示す単位セルの諸元の一例を示す図である。 図12は、図10の周波数特性を示す単位セルの諸元の一例を示す図である。 図13は、本発明の電磁界バンドフィルタに係わる単位セルの第3の実施形態を示す外観図である。 図14は、図13に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。 図15は、スロット型共振器の他の例を示す図である。 図16は、図15に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。 図17は、付随ループ型構造のスロット型共振器の他の例を示す図である。 図18は、図17に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。 図19は、本発明の電磁界バンドフィルタに係わる単位セルの第4の実施形態を示す外観図である。 図20は、図19に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。 図21は、屈折経路の繰り返しのサイズが規則的なスロット型共振器の一例を示す図である。 図22は、図21に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。 図23は、本発明の電磁界バンドフィルタに係わる単位セルの第5の実施形態を示す外観図である。 図24は、図23に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。 図25は、副ループのサイズが規則的なスロット型共振器の一例を示す図である。 図26は、図25に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。 図27は、リング型共振器およびスロット型共振器の一例を示す図である。
以下に、この発明の実施の形態について説明する。最初に、スロット型共振器の原理について前置きする。スロット型共振器に共振周波数の電磁波が入射すると、スロット(開口部分)の外側の導体と内側の導体との間に電界が生じ、その垂直方向に磁流が発生する。この現象によりスロット(開口部分)が電磁的な経路となり、スロットの一周分に相当する波長で波の位相が整合する。これにより共振周波数の電磁波を透過させるフィルタ効果を得るのが、スロット型共振器の原理である。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の電磁界バンドフィルタに係わる単位セルの第1の実施形態を示す外観図である。図1に示される単位セルはスロット型共振器の一例であり、導体板と、この導体板に形成され、電磁波により誘起された磁流の電磁的経路となるスロットとを備える。以下、各図において導体部分を斜線のハッチングで示し、スロットをハッチング無しで示す。スロットに符号2を付し、スロット2の外側の導体に符号1を、内側の導体に符号3を付して示す。
図1に示される単位セルは、スロット型共振器の電磁的な経路となる開口部分、つまりスロットに導体の障壁を配置した構造となっている。このような構造を実施形態では(屈折経路型)と称する。屈折経路型の構造は、ジグザグ状に繰り返し形成される屈折経路、いわば直線経路と屈折経路とを足し合わせた経路により共振器内にループを形成する構造である。
スロット(開口部分)のジグザグ構造により、内側の導体と外側の導体との間に発生する電界ベクトルは蛇行しながら進行する。他方、一般的なスロット型共振器(図27(b))では、電界ベクトルがスムースに進行する。すなわち図1の屈折経路型構造は、電磁的経路の実効長を延長(拡張)する延長部として作用する。これにより、共振する電磁波の波長を一般的なスロット型共振器に比べて長くすることができ、従って共振周波数を低下させることができる。
図2は、図1に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。図2(a)および図2(b)の各グラフによれば、2.2ギガヘルツ[GHz]近傍に共振周波数の現れることが示される。
図3は、比較のため一般的なスロット型共振器の一例を示す図である。図4は、図3に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。図4(a)および図4(b)の各グラフにおいて3.2ギガヘルツ[GHz]近傍に共振周波数が現れている。従って、屈折経路型構造による共振周波数の低下作用が裏付けられることが分かる。
図5は、図2の周波数特性を示す単位セルの諸元の一例を示す図である。図5(a)および図5(b)に示されるように、図1の単位セルは例えば30mm平方の銅板(厚み0.5mm)に、外枠26mm平方、内枠23mm平方のサイズで形成されるスロットを有する。
図6は、図4の周波数特性を示す単位セルの諸元の一例を示す図である。図6(a)および図6(b)に示されるように、図3の単位セルの諸元は図1の単位セルの諸元と多くの点で共通する。しかし実施形態に係る図1の単位セルは、スロットに、1.1mm×0.5mmサイズの障壁を有する。これにより、先に述べたように共振周波数を1GHz程度低下させることができる。
以上説明したように第1の実施形態では、スロット型共振器のスロットに、ジグザグ状に繰り返し形成される屈折経路を形成し、電界ベクトルへの障壁として作用させて電磁的経路の実効長を延長させるようにした。つまり第1の実施形態の電磁界バンドフィルタは、特定の周波数帯域において反射または透過等の周波数特性を示す特定のパターンを施された導体板(単位セル)を有する。そして、単位セルの導体板に、電磁的経路上の任意の点に対し始点と終点とが同一の、いわば一筆書き状のスロットを構成する。そして、直線経路と屈折経路との足し合わせでスロットを形成するようにした。このとき、nを3以上の自然数として、正n角形状の単位平面内に少なくともn+1個以上の経路が存在するようにしてもよい。
これにより第1の実施形態によれば、無線通信性能を損なうことなく漏えい電磁波の放射を抑制可能な、省サイズの電磁界バンドフィルタを提供することができる。よって、例えばモバイル端末などの小型の電子デバイスからの漏えい電磁波の放射抑制と、通信周波数での電磁波の送受信の保護を両立する、小型の電磁界バンドフィルタを実現できるなどの効果を得ることができる。
[第2の実施形態]
図7は、本発明の電磁界バンドフィルタに係わる単位セルの第2の実施形態を示す外観図である。図7に示される単位セルは、導体板に穿たれたスロットを有する、スロット型共振器の一例である。
図7に示される単位セルのスロットは、曲線経路で形成される第1ループ(主ループ)と、この第1ループに内接する第2ループ(副ループ)とを含む。このような構造を実施形態では(付随ループ型)と称する。付随ループ型の構造は、曲線経路と曲線経路とを足し合わせた経路により共振器内にループを形成する構造である。なお直線経路と曲線経路とを組み合わせて同様の構造を形成することもできる。
付随ループ型の共振器においては、主ループの内側の導体と外側の導体との間に電界分布が発生する。これに加えて副ループにおいても、その内側の導体と外側の導体との間に電界分布が発生する。これにより電界ベクトルの電磁的経路を、一般的なスロット型共振器に比べて長くすることができる。すなわち図7の付随ループ型構造は、電磁的経路の実効長を延長(拡張)する延長部として作用する。これにより第1の実施形態と同様に、共振波長を長くして共振周波数を低下させることができる。
図8は、図7に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。図8(a)および図8(b)の各グラフによれば、2.8ギガヘルツ[GHz]近傍に共振周波数の現れることが示される。
図9は、比較のため一般的なスロット型共振器の他の例を示す図である。図10は、図9に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。図10(a)および図10(b)の各グラフにおいて共振周波数は3.8ギガヘルツ[GHz]近傍に現れている。これは、付随ループ型構造による共振周波数の低下作用の裏付けとなる。
図11は、図8の周波数特性を示す単位セルの諸元の一例を示す図である。図11(a)および図11(b)に示されるように、図7の単位セルは例えば30mm平方の銅板(厚み0.5mm)に、外枠26mm平方、内枠25mm平方のサイズの開口部1(主ループ)を有する。さらに、外枠6mm平方、内枠5mm平方のサイズの8個の開口部2(副ループ)が、45°間隔で主ループに内接する。
図12は、図10の周波数特性を示す単位セルの諸元の一例を示す図である。図12(a)および図12(b)に示されるように、図9の単位セルは図11の主ループしか有していないので、図8の構造に比べて、共振周波数が1GHz程度高い。
以上説明したように第2の実施形態では、スロット型共振器のループ状のスロットに、サイズの小さいループ状のスロットを内接させて電界ベクトルの電磁的経路の実効長を延長させるようにした。つまり第2の実施形態の電磁界バンドフィルタは、特定の周波数帯域において反射または透過等の周波数特性を示す特定のパターンを施された導体板(単位セル)を有する。そして、少なくとも2つ以上のループを有する一筆書き状のスロットを単位セルの導体板に形成した。これにより第2の実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第3の実施形態]
図13は、本発明の電磁界バンドフィルタに係わる単位セルの第3の実施形態を示す外観図である。図13に示される単位セルは、いわゆるスロット型共振器の一例であり、屈折する一筆書き状のスロットを備える。図13のスロットは直線経路と曲線経路とを組み合わせた、屈折経路型の他の例である。この構成により第1の実施形態と同様に共振周波数を低下させる効果を得ることができる。
図14は、図13に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。図14(a)および図14(b)の各グラフによれば、3.6ギガヘルツ[GHz]近傍に共振周波数の現れることが示される。
図15は、比較のためスロット型共振器の他の例を示す図である。図15に示されるスロット(無ハッチング部分)は、図13の単位セルのスロットと同様の条件を満たしている。つまり図15のスロットも、直線経路と曲線経路とを組み合わせた屈折経路型と言える。しかしながら図15の構造は、電磁的経路の幅が均一でない点で図13の構成と異なる。電磁的経路の幅が変化すると共振をもたらす波長の範囲が広がってしまい、結果的に周波数特性が安定しなくなる。
図16は、図15に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。図16(a)および図16(b)の各グラフにおいても、3.6ギガヘルツ[GHz]近傍に共振周波数が現れている。しかし図14と比較すると、図14のグラフのほうが、より急峻な特性を示していることが分かる。以上から、電磁的経路の幅が一定の構造を足し合わせた構造にすることにより、共振帯域を狭め、急峻で安定した周波数特性を得ることができる。
図17は、比較のため付随ループ型構造のスロット型共振器の他の例を示す図である。図17の単位セルは図7と似た構造を持つが、主ループの幅に比べて副ループの幅が広い。つまりスロットの電磁的経路の幅が均一でない。よって共振帯域が広がり、図18のグラフ(a)、(b)に示されるように、周波数特性は図8よりも緩慢になってしまうことが分かる。
第1および第2の実施形態の構成によれば、共振周波数を低下させる効果を得られる。しかし共振時の反射量または透過量が小さくなったり、共振周波数と異なる周波数帯での反射または透過量が不安定となるなどの、実用的な観点から好ましくない特性が現れることもある。
そこで第3の実施形態では、スロットを構成する電磁的経路の幅を一定にすることで共振波長の範囲を狭め、周波数特性を安定させるようにした。例えば付随ループ型構造のスロット型共振器では、主ループの幅と副ループの幅とを揃えることで共振波長の範囲を狭め、安定かつ急峻な周波数特性を得ることができる。
なお、基本モードの共振に限っては、電磁的経路長が構造内の全経路に対応するので、経路幅が比較的広くても安定した周波数特性を得やすい。一般的には、経路幅を広げることで共振する波長の範囲が広がってしまい、共振時の反射または透過量が大きくなる代わりに緩やかな周波数特性になるトレードオフが存在する。
[第4の実施形態]
図19は、本発明の電磁界バンドフィルタに係わる単位セルの第4の実施形態を示す外観図である。図19のスロット型共振器は、ジグザグ状の屈折経路の繰り返しのサイズを不規則にしたものである。第4の実施形態の電磁界バンドフィルタは、図19に示されるような構成の単位セルを少なくとも1つ、有する。
図20は、図19に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。図20(a)および図20(b)の各グラフによれば、2.6ギガヘルツ[GHz]近傍に共振周波数の現れることが示される。
図21は、比較のため、ジグザグ状の屈折経路の繰り返しのサイズが規則的なスロット型共振器の一例を示す図である。図22(a)、(b)のグラフに示されるように、共振周波数を低下させるという点では図20と同等の特性を得られていることが分かる。
しかしながら図21の単位セルを複数配列すると、屈折経路が単体で共振器として作用してしまい、意図しない周波数での共振が発生する可能性がある。そこで第4の実施形態では、屈折経路を異なるパターンで構成することで、各々が共振器として作用したときの周波数帯を分離させるようにする。これにより意図しない周波数での共振効果を小さくでき、共振特性を広帯域で安定化させることができる。
[第5の実施形態]
図23は、本発明の電磁界バンドフィルタに係わる単位セルの第5の実施形態を示す外観図である。図23のスロット型共振器は、副ループ(第2ループ)のサイズを不規則にしたものである。第5の実施形態の電磁界バンドフィルタは、図23に示されるような構成の単位セルを少なくとも1つ、有する。
図24は、図23に示される単位セルの周波数特性の一例を示すグラフである。図24(a)および図24(b)の各グラフによれば、4.0ギガヘルツ[GHz]近傍に共振周波数の現れることが示される。
図25は、比較のため、副ループのサイズが規則的なスロット型共振器の一例を示す図である。図26(a)、(b)のグラフに示されるように、共振周波数の点では図24と同等の特性を得られていることが分かる。
しかしながら副ループのサイズが規則的な単位セルを複数配列すると、副ループが単体で共振器として作用してしまい、意図しない周波数での共振が発生する可能性がある。よって第5の実施形態では副ループのサイズを不規則にし、各々が共振器として作用したときの周波数帯を分離させるようにする。これにより意図しない周波数での共振効果を小さくでき、共振特性を広帯域で安定化させることができる。
以上述べたように本発明によれば、同じ周波数で比較した場合、既存の電磁界バンドフィルタよりも省サイズで、同等の効果を奏する電磁界バンドフィルタを実現することができる。すなわち、最低周波での共振特性を安定化し、いわば低周波集約型安定化FSSを提供することができる。従って、モバイル端末などの小型の電子デバイスから電磁波が無用に放射されることを抑制でき、また、通信周波数においては電磁波の送受信の保護できるという、二律背反の要請を両立可能な電磁制御材料を実現することができる。
本発明に係わる電磁界バンドフィルタは、室内電磁波環境を守る材料として使用することもできる。例えば、通信周波数のみを反射するFSSを例えば窓の室内側に貼り、無線LAN(Local Area Network)等の電磁波が室外に漏れることを防ぐ技術が知られている。本発明によればFSSの単位セルの一つ一つを小型化することができるので、同じ面積に配列できる単位セルの数を増やすことができる。これにより、貼付エリア端でのFSSのフィルタ機能の低下を抑制できる。
また、無線環境の整備が進み基地局の数が増えることで、一つの基地局あたりのアンテナやその反射板の所要スペースの効率化が問題となっている。特に、反射板の占める所要スペースの割合が比較的大きい。本発明に係わる電磁界バンドフィルタを用いれば、この種の反射板(FSSの場合)のサイズを小型化できるので、これまで配置が困難であった場所にも基地局を配置できるようになる。
また、通信局舎やデータセンタ等においては、サーバからの電磁漏えいを防ぐためのシールドにより排熱機構が妨げられるという問題がある。本発明に係わる電磁界バンドフィルタを用いれば、比較的小さなスペースにもFSSを配置することが可能になる。そこで、例えば電磁漏えい周波数帯のみを反射しそれ以外の周波数を透過させるFSSを用いれば、穴あき構造(スロット)から熱を効果的に排除できる。これにより、電磁漏えい防止と排熱とを両立できるという効果も得られる。
なお、この発明は以上の実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態ではスロット型共振器について説明した。これに代えて、スロット型共振器の導体部分とスロット(真空部分)とを反転させた双対構造となる、リング型共振器においても同様の効果を得ることができる。ただし、バビネの原理から透過特性と反射特性が反転する。
各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
1…外側導体、2…スロット、3…内側導体。

Claims (8)

  1. 電磁波の周波数に対して選択的に応答する単位セルを具備し、
    前記単位セルは、
    導体板と、
    前記導体板に形成され、前記電磁波により誘起された磁流の電磁的経路となるスロットとを備え、
    前記スロットは、
    前記電磁的経路の実効長を延長する延長部を有する、電磁界バンドフィルタ。
  2. 前記延長部は、ジグザグ状に繰り返し形成される屈折経路を含む、請求項1に記載の電磁界バンドフィルタ。
  3. 前記屈折経路の繰り返しのサイズが不規則な少なくとも一つの単位セルを含む複数の単位セルを具備する、請求項2に記載の電磁界バンドフィルタ。
  4. 前記延長部は、
    曲線経路で形成される第1ループと、
    前記第1ループに内接する第2ループとを含む、請求項1に記載の電磁界バンドフィルタ。
  5. 前記第2ループのサイズが不規則な少なくとも一つの単位セルを含む複数の単位セルを具備する、請求項4に記載の電磁界バンドフィルタ。
  6. 前記延長部は、
    ジグザグ状に繰り返し形成される屈折経路と、
    曲線経路で形成される第1ループと、
    前記第1ループに内接する第2ループとを含む、請求項1に記載の電磁界バンドフィルタ。
  7. 前記電磁的経路の幅が一定である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電磁界バンドフィルタ。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電磁界バンドフィルタにおける前記導体板と前記スロットとを互いに反転させた双対構造を有する、電磁界バンドフィルタ。
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