上述した目的、特徴、及び長所は、添付された図面に関する以下の詳細な説明により更に明確になるはずであり、それにより、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明の技術思想を容易に実施することができる。また、本発明の説明において、本発明に係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明確にする可能性があると判断される場合、その詳細な説明を省略する。以下、添付された図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。このとき、同じ参照符号は、同じ構成要素を表す。
図1は、本発明の第1実施形態に係る周波数選択反射器(FSS:Frequency Selective Surface)を示す図である。
同図に示すように、本発明に係る周波数選択反射器には、薄い誘電体層11の上部に、導体で構成された単位セル12が周期的に配列される。そして、薄い誘電体層11の下部及び単位セル12の上部は、誘電体コーティング層13からなる。このとき、単位セル12は、三角ポール(tri−pole)と三角枝状のループ(ternary tree shape loop)とが互いに重ならないように結合した構造であって、以下の実施形態で詳細に説明する。
一方、本発明に係る周波数選択反射器を設計し、周波数特性に関する実験のためのパラメータを定義する。同図において、h1は誘電体層11の厚さを意味し、ε1は誘電体層11の比誘電率(relative permittivity)を意味し、h2は誘電体コーティング層13の厚さを意味し、ε2は誘電体コーティング層13の比誘電率を意味し、tは単位セル12の導体部分の厚さを意味する。
図2は、本発明の第1実施形態に係る周波数選択反射器の単位セルの配列構造を示す図であり、図3は、図2の単位セルの構成を詳細に示す図である。
図2に示すように、本発明に係る周波数選択反射器には、三角ポール21と三角枝状のループ22とが互いに重ならないように結合した単位セル12が誘電体層11の上部に周期的に配列される。このような本発明に係る周波数選択反射器は、三角ポール21と三角枝状のループ22とが結合することにより、電磁波の偏波に影響されない。
一方、周波数選択反射器は、三角ポール21のみを単位セルとして用いるか、三角枝状のループ22のみを単位セルとして用いることができる。しかし、図3のように、三角枝状のループ22の内部に三角ポール21が重ならないように配置された単位セル12を採用した場合、三角ポール21及び三角枝状のループ22の長さ、三角ポール21と三角枝状のループ22との間隔などの変化によって共振周波数特性が変化し、遮断周波数帯域を決定することができる。
図4は、図2の隣り合う単位セルを詳細に示す図である。同図の参照符号400は2つの単位セルの接合部分を拡大したものであって、1つの単位セルの端部分401が他の単位セルの曲がった部分402と正確に噛み合う。また、1つの単位セルにおいて、三角ポールの最端部分403と三角枝状のループの内側最端部分404とが正確に噛み合う。
一方、本発明に係る周波数選択反射器を設計し、周波数特性実験のためのパラメータを定義する。同図において、dyは2つの単位セルの中心距離における縦方向の距離、dxは2つの単位セルの中心距離における横方向の距離を意味する。gは単位セルの間隔、aは三角ポールの幅、wは三角枝状のループをなす導体の幅、bは三角枝状のループの幅、angleは2つの単位セルを結ぶ中心線が水平方向に対して傾いた角度、l1は単位セルの中心から三角枝状のループの最端部分までの距離、l2は単位セルの中心から三角ポールの最端部分までの距離、c1は三角ポールと三角枝状のループとの間の距離を意味する。
このとき、単位セルの内部における構造の間隔c1、c2、c3及び単位セルの間隔gは、最小値「0」から始まるようにする。このような間隔の最小値は、周波数選択反射器の設計工程のステップにおいて共振周波数の微細チューニングの可能範囲を広くする。
図5は、単位セルの構造に応じた周波数選択反射器の共振周波数特性を示すグラフであって、周波数選択反射器の単位セルが三角ポールの場合510、三角枝状のループの場合520、そして、本発明に係る三角ポールと三角枝状のループとを併せて用いた場合530の各々に対する共振周波数特性を示すグラフである。
本発明に係る周波数選択反射器の設計条件は、[表1]のとおりである。
周波数選択反射器の単位セルが三角ポールの場合510、1つの共振周波数511が現れ、単位セルが三角枝状のループの場合520、2つの共振周波数521、522が現れる。反面、本発明に係る単位セルとして三角ポールと三角枝状のループとを併せて用いた場合530には、3つの共振周波数531、532、533が現れる。
同図に示すように、単位セルとして三角ポール又は三角枝状のループのみを用いた場合に比べ、本発明に係る単位セルを用いた場合、共振周波数が軒並み低下する。すなわち、三角ポールと三角枝状のループとの静電容量が増加し、全体的な共振周波数は低下する。このような特性は、単位セルの大きさをより小さくし、全体的な周波数選択反射器の大きさを減らすことができる長所を提供する。
上述のように、本発明に係る周波数選択反射器は、3つの共振周波数を発生させる。以下、第1実施形態において、前記3つの共振周波数のうち、三角枝状のループによって発生する1次共振周波数及び2次共振周波数を参照符号61及び62で表し、三角ポールによって発生する1次共振周波数を63で表す。
図6は、本発明の第1実施形態に係る周波数選択反射器の誘電体コーティング層の厚さに応じた共振周波数の変化を示すグラフである。
同図に示すように、本発明の第1実施形態に係る周波数選択反射器は、誘電体コーティング層の厚さh2が増加するにつれ、共振周波数が急激に低下した後、緩やかに低下する。
図7は、本発明の第1実施形態に係る周波数選択反射器の単位セルの間隔に応じた共振周波数の変化を示すグラフである。
同図に示すように、本発明の第1実施形態に係る周波数選択反射器は、単位セルの間隔gが拡大するにつれ、共振周波数の間隔が減少する。
図8は、本発明の第1実施形態に係る周波数選択反射器の三角ポールの幅に応じた共振周波数の変化を示すグラフである。
同図に示すように、本発明の第1実施形態に係る周波数選択反射器は、三角ポールの幅aが増加するにつれ、三角枝状のループによる1次共振周波数61及び2次共振周波数62の大きさが小さくなる。
図6〜図8のような結果に基づき、単位セル内の三角ポールと三角枝状のループとの静電容量を類推することにより、本発明に係る周波数選択反射器の遮断周波数を正確に予測することができる。
図9は、移動通信サービスの周波数帯域に応じて製作された本発明に係る周波数選択反射器の解析結果を示すグラフである。
同図の解析結果に対する設計パラメータは、[表2]のとおりである。このとき、タイプIは、誘電体コーティング層13がない場合であり、タイプIIは、誘電体コーティング層13の厚さh
2が1.6mmの場合である。
一方、遮断対象の移動通信サービスの周波数帯域は、[表3]のとおりである。
[表3]を参照すると、移動電話(セルラー)サービスの中心周波数は859MHz、個人携帯通信(PCS)サービスの中心周波数は1,810MHz、無線LANサービスの中心周波数は2,442MHzである。
図9に示すように、[表2]のパラメータを有する本発明の第1実施形態に係る周波数選択反射器はf1(859MHz)、f2(1,810MHz)、f3(2,442MHz)の共振周波数を有し、このような共振周波数は、前記のような遮断する帯域の中心周波数と一致する。
図10は、誘電体コーティング層のない本発明の第1実施形態に係る周波数選択反射器の周波数特性の予測値及び実験値を示すグラフである。すなわち、上記[表2]のタイプIとして設計された本発明に係る周波数選択反射器の周波数特性の予測値及び実験値を比較した結果である。
同図の参照符号110は、誘電体コーティング層のない本発明に係る周波数選択反射器の周波数特性の予測値である。また、参照符号120(H,H)は、送受信アンテナの偏波が軒並み水平偏波(horizontal polarization)となっている場合における、本発明に係る周波数選択反射器の周波数特性の実験値であり、参照符号130(V,V)は、送受信アンテナの偏波が軒並み垂直偏波(vertical polarization)となっている場合における、本発明に係る周波数選択反射器の周波数特性の実験値である。
同図に示すように、上記[表2]のタイプIとして設計された本発明に係る周波数選択反射器の周波数特性の予測値は、実際に測定した実験値と比較的正確に一致する。したがって、図6〜図8のような解析結果を基に定められた遮断周波数に正確に共振する周波数選択反射器を設計することができる。
また、同図に示すように、本発明に係る周波数選択反射器は、電磁波の偏波に影響されない。
以下、本発明の第2実施形態に係る周波数選択反射器の設計方法を説明する。
図11は、本発明の第2実施形態に係る単一周波数フィルタリングのための周波数選択反射器の単位セルの配列を示す図である。
幾何学的に単位セルを構成する図形の長さが単位面積に対して最大限長くなるように設計(それは、長さが長くなるほど、共振周波数が低下するためである)するためには、ループの形状が複雑に曲がって互いに重なるようなことがあってはならない。
したがって、本発明の周波数選択反射器は、図11のように、蛇行状に曲がった方形ループ1110からなる単位セル1100の配列で構成される(幾何学的に同じ単位構造の配列である)。すなわち、単位セル1100内のループを長くするために(すなわち、共振周波数を下げるために)、方形ループを蛇行状に複数回曲げることにより、蛇行状に曲がった方形ループ1110によって単位セル1100を構成する。
そして、各単位セル1100は、蛇行状に曲がった方形ループ1110と、当該ループ1110を除いた部分1120とで構成される。
仮に、単位セル1100において、蛇行状に曲がった方形ループ1110が導体、残りの部分1120が誘電体の場合、本発明の周波数選択反射器は、帯域阻止フィルタ(bandstop filter)として動作し、蛇行状に曲がった方形ループ1110が誘電体、残りの部分1120が導体の場合、本発明の周波数選択反射器は、帯域通過フィルタ(bandpass filter)として動作する。
このとき、遮断対象の周波数帯域は、蛇行状に曲がった方形ループ1110の全長を変化(ループを曲げる回数に応じて全長を変化)させ、ループの間隔、単位セル1100の間隔、誘電体及び導体の電気的特性(材質、誘電率など)などを変化させることによって調整可能(共振周波数のチューニング)である。各単位セル1100内の蛇行状に曲がった方形ループ1110は、正確に左右対称の構造であって、入射電磁波の偏波に影響されない。すなわち、周波数選択反射器の単位セル1100を構成する蛇行状に曲がった方形ループ1110の長さ及び間隔、単位セル1100の間隔、そして、誘電体の厚さ及び誘電率(permittivity)などを変化させることにより、フィルタリング対象の周波数帯域の調整が可能である。
ここで、単位セル1100を構成する蛇行状に曲がった方形ループ1110が横方向及び縦方向に全て対称となるようにすることにより、共振周波数が入射偏波の変化に影響されないようにする。このとき、蛇行状に曲がった方形ループ1110の幅及びループ1110を曲げる回数を変化させることにより、単位セル1100の面積を調整することもできる。
同図の各単位セル1100は、図12及び図13に示すように構成可能である。図12及び図13の周波数選択反射器の単位セル1200、1300を帯域阻止フィルタとして設計する場合、図14は、周波数選択反射器の単位セル1200、1300(1400)の断面を示す。
図14の周波数選択反射器の単位セル1400は、共振周波数が中心の帯域阻止フィルタであって、蛇行状に曲がった方形ループ1410が導体、残りの部分1420、1430が誘電体の場合である。
同図に示すように、周波数選択反射器の単位セル1400が帯域阻止フィルタとして動作する場合、それは誘電体基板(ε1)1420上の導体1410をエッチングして構成される。このとき、誘電体基板1420及び導体1410を、誘電体でコーティングすることもできる(誘電体層(ε2)1430)。
仮に、周波数選択反射器の単位セル1400が帯域通過フィルタとして動作する場合には、誘電体基板(ε1)1420と導体1410とが互いに入れ替わる。ただし、この場合も、誘電体コーティング層(ε2)1430には変化がない。
何よりも、周波数選択反射器の単位セル1400の共振周波数を下げるためには、蛇行状に曲がった方形ループ1410を長くしなければならず(すなわち、ループを曲げる回数を多くしなければならない。もちろん、左右対称構造などの制約はあり得る。)、また、誘電体層(ε2)1430のε2を高くしなければならない。
以下、図12及び図13を参照して、周波数選択反射器の単位セル1200、1300についてより詳細に説明する。
図12において、参照符号「1200」は単位セル、「1210」は蛇行状に曲がった方形ループ、そして、「1220」は単位セル1200においてループ1210を除いた部分を意味する。
同図の単位セル1200において、蛇行状に曲がった方形ループ1210が導体、残りの部分1220(厳密には、図14の誘電体基板(ε1)1420)が誘電体の場合、同図の周波数選択反射器の単位セル1200は、共振周波数が中心の帯域阻止フィルタとして動作する。逆に、同図の単位セル1200において、蛇行状に曲がった方形ループ1210が誘電体、残りの部分1220(厳密には、図14の誘電体基板(ε1)1420に該当する部分)が導体の場合、同図の周波数選択反射器の単位セル1200は、共振周波数を中心に帯域通過フィルタとして動作する。ただし、周波数帯域の阻止又は通過のための周波数選択フィルタとして動作するいかなる場合でも、蛇行状に曲がった方形ループ1210以外の部分1220のうち、図14の誘電体コーティング層(ε2)1430には変化がない。
上記図12の周波数選択反射器の単位セル1200を帯域阻止フィルタとして設計した場合、周波数選択反射器の共振周波数特性は、図15に示すとおりである。
図12に示すように、蛇行状に曲がった方形ループ1210を有する周波数選択反射器の単位セル1200は、単に方形ループを有する第1先行技術の単位セルの面積と同じ大きさの場合、ループ1210の長さが長くなるため、上記第1先行技術よりも共振周波数を下げることができる。したがって、仮に、同図の周波数選択反射器の単位セル1200が上記第1先行技術の単位セルと同じ共振周波数を有すると、単位セルの大きさはより縮小する。
図15では、上記図12の周波数選択反射器の単位セル1200を帯域阻止フィルタとして設計し、シミュレーション結果と実際に実験した結果とを互いに比較して示している。このとき、周波数選択反射器の単位セル1200を帯域阻止フィルタとして設計する際に用いられた詳細パラメータは、[表4]のとおりである。図15において、周波数選択反射器の帯域遮断中心周波数は、韓国国内PCS帯域の中心周波数1.81GHzに合わせられている。
一方、上記図12の周波数選択反射器の単位セル1200の蛇行状に曲がった方形ループ1210の幅及びループ1210を曲げる回数を変化させることにより、図13に示すように、周波数選択反射器の単位セル1200の面積を調整することができる。すなわち、蛇行状に曲がった方形ループ1210の幅及びループ1210を曲げる回数をより多くすることにより、周波数選択反射器の単位セル1200の大きさを減らすことができる。したがって、仮に、図13の周波数選択反射器の単位セル1300が上記図12の単位セル1200と同じ大きさを有すると、共振周波数をより下げることができる。
図13において、参照符号「1300」は単位セル、「1310」は蛇行状に曲がった方形ループ、そして、「1320」は単位セル1300においてループ1310を除いた部分を意味する。
同図の周波数選択反射器の単位セル1300は、上記図12の周波数選択反射器の単位セル1200と同じ共振周波数を維持しつつ、単位セルの大きさをより小さく構成したものである。すなわち、同図の周波数選択反射器の単位セル1300は、上記図12の周波数選択反射器の単位セル1200と同じ形状を維持しつつ、蛇行状に曲がった方形ループ1310の幅がより縮小し、更にもう一回曲がった形状330を有する。こうすることにより、同図の周波数選択反射器の単位セル1300の大きさを、上記図12の周波数選択反射器の単位セル1200より小さく構成することができる。仮に、同図の周波数選択反射器の単位セル1300の大きさと、上記図12の周波数選択反射器の単位セル1200の大きさとが同じであれば、同図の周波数選択反射器の単位セル1300は、上記図12の周波数選択反射器の単位セル1200よりも共振周波数を下げることができる。
図13の単位セル1300も、蛇行状に曲がった方形ループ1310が導体、残りの部分1320(厳密には、図14の誘電体基板(ε1)1420)が誘電体の場合、図13の周波数選択反射器の単位セル1300は、共振周波数が中心の帯域阻止フィルタとして動作する。逆に、図13の単位セル1300において、蛇行状に曲がった方形ループ1310が誘電体、残りの部分1320(厳密には、図14の誘電体基板(ε1)1420に該当する部分)が導体の場合、図13の周波数選択反射器の単位セル1300は、共振周波数を中心に帯域通過フィルタとして動作する。ただし、周波数帯域阻止又は通過のための周波数選択フィルタとして動作するいかなる場合でも、蛇行状に曲がった方形ループ1310以外の部分1320のうち、図14の誘電体コーティング層(ε2)1430には変化がない。
上記図13の周波数選択反射器の単位セル1300を帯域阻止フィルタとして設計した場合、周波数選択反射器の共振周波数特性は、図16に示すとおりである。
同図では、上記図13の周波数選択反射器の単位セル1300を帯域阻止フィルタとして設計し、シミュレーション結果と実際に実験した結果とを互いに比較して示している。このとき、周波数選択反射器の単位セル1300を帯域阻止フィルタとして設計する際に用いられた詳細パラメータは、[表5]のとおりである。図16も、周波数選択反射器の帯域遮断中心周波数は、韓国国内PCS帯域の中心周波数1.81GHzに合わせられている。
上記図15及び図16から明らかなように、本発明の周波数選択反射器の周波数特性が実際に測定したデータとも比較的よく一致しており、実際の設計においても有効であることを確認することができる。
以上、本発明は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者にとって、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形、及び変更が可能であるため、上述した実施形態及び添付された図面により限定されるものではない。