<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1、図2、図3は第1実施形態の送風機の正面断面図、底面図及び分解斜視図を示している。送風機1は取付部材2aを介して天井面Lに取り付けられるベース部2を有している。取付部材2aには例えば一般的な引掛シーリングが用いられる。ベース部2は後述する照明部5及び電動ファン10の電源基板や駆動基板を内装し、円錐台形状のベースカバー2bにより覆われて外周部が傾斜面に形成される。
ベース部2の中央部の下面には電動ファン10が取り付けられる。電動ファン10は軸流ファンにより形成され、モータ12(図5参照)を内装するモータ部11と羽根車20とを有している。羽根車20は中央のボス部20aの外周面に複数の羽根が設けられる。羽根車20はボス部20aをモータ12のモータ軸12aに挿通し、モータ軸12aに形成したネジ部に固定ネジ21を螺合して取り付けられる。固定ネジ21は後述する羽根車20の回転方向(矢印G)に対して逆ネジに形成される。
これにより、羽根車20の上方にはベース部2の下面と羽根車20の上端との間に空気が流通する空間6が形成される。羽根車20はモータ12の駆動によってベース部2の取付面(天井面L)に垂直な回転軸Cを中心に矢印Gに示すように下面から見て時計回りの正方向に回転して下方に気流を送出する。羽根車20の半径Rは160mm程度が望ましく、羽根車20の翼断面高さは50mm程度が望ましい。
ベース部2の周部には複数の支柱3が延び、支柱3間に空気の流通口3aを形成して照明部5が支柱3の下端に取り付けられる。照明部5はLED等の光源(不図示)を内装して照明カバー5aにより覆われ、筒状の空洞部5bを有した環状の環状部を構成する。照明カバー5aは光透過性の樹脂等により形成され、下面が平面の断面多角形状に形成される。
羽根車20は上下端を照明部5の上下面に略一致して空洞部5bに配される。照明部5を環状に形成して空洞部5bに羽根車20を配置することにより、送風機1の薄型化及び軽量化を図ることができるとともにデザイン性を向上することができる。尚、照明部5を周方向に分割して環状に配置してもよい。
空洞部5bの下端の開口部5cには複数のブレード41を有するファンガード40が設けられる。ファンガード40によって羽根車20と異物との接触を防止するとともに、開口部5cを所望の風速に応じた開口率に形成する。
ブレード41はファンガード40の外周端のリング部40aと、ボス部20aを覆う円形部40bとを橋架する放射状に配される。ブレード41の周方向の両端面は回転軸Cに垂直な中心線に沿った直線状の鉛直面に形成される。円形部40bの半径は羽根車20の半径をRとして例えば、0.25Rに形成される。
尚、ファンガード40の開口率はブレード41上の水平断面において、開口部5cのボス部20aよりも外周側の環状領域を外周領域として、(外周領域の面積−ファンガード40による外周領域の遮蔽面積)/(外周領域の面積)で定義される。
また、図1に示すように、羽根車20の半径をR、回転軸Cから径方向にR/2の位置の空間6の取付面(天井面L)に対して垂直な方向の長さをD1、回転軸Cから径方向にR/2よりも外周側の空間6の取付面(天井面L)に対して垂直な方向の長さをD2、羽根車20の下端とファンガード40の上面との距離をD3とする。この時、式(1)、式(2)、式(3)を満たすようにベース部2、羽根車20及びファンガード40が配置される。
D1/R≧0.07 ・・・(1)
D2≧D1 ・・・(2)
D3/R≦0.08 ・・・(3)
ベース部2の周部が傾斜面に形成されるため長さD2は外周側になるに従って増加し、式(2)を満たすことは明らかである。尚、図1において、傾斜面から成るベース部2の周部によって長さD2が変化するため、長さD2の最大値(D2max)を記載している。
図4はベース部2及びモータ部11の分解斜視図を示している。図5はモータ部11を上方から見た斜視図を示している。モータ部11はモータカバー13内にモータ12を内装し、モータカバー13の上面に複数のダルマ穴13bを有したフランジ部13aが形成される。フランジ部13aの上面にはゴム等の制振部材(不図示)が配される。ベース部2の下面にはダルマ穴13bに挿通される複数の係止ボルト2cが取り付けられる。
モータ部11を取り付ける際には、モータ12から導出されるリード線12bがベース部2の所定位置に配した端子(不図示)に接続される。次に、ダルマ穴13bに係止ボルト2cを挿通し、モータ部11をモータ軸12aの回りに回転して係止ボルト2cにより係止する。そして、フランジ部13aを貫通する固定ネジ14をベース部2の下面に螺合し、モータ部11が固定される。
これにより、モータ部11が固定される前に係止ボルト2cにより仮止めされる。このため、モータ部11の取付作業の途中で作業者が手を離してもモータ部11の脱落を防止することができる。従って、送風機1の組立工数及び解体性を向上することができる。
尚、図6に要部の正面断面図を示すように、スナップ錠15によりモータ部11を仮止めしてもよい。即ち、ベース部2及びフランジ部13aにそれぞれスナップ錠15のフック部15a及びリング部15bを設け、フック部15aの挿通孔13cをフランジ部13aに設ける。そして、挿通孔13cにフック部15aを挿通し、フック部15aとリング部15bとの係合によりモータ部11を仮止めする。
これにより、モータ部11を回転させないため制振部材とベース部2との摩擦による作業性の低下を防止し、モータ部11の取付性をより向上することができる。この時、スナップ錠15がモータ部11を保持可能なバネ性を有する場合には、固定ネジ14を省いてスナップ錠15によりモータ部11を固定してもよい。
また、図7に要部の正面断面図を示すように、モータ12とベース部2との電気的な接続をコンプレッションコネクタ16により行ってもよい。即ち、モータ12のリード線12b(図5参照)を接続した端子板12cをモータカバー13に設け、ベース部2にコンプレッションコネクタ16を取り付ける。
モータ部11をベース部2に取り付けると、端子板12cがコンプレッションコネクタ16の弾性体の端子16aに接触する。これにより、リード線12bによりモータ部11が垂れ下がった状態での取付作業を回避し、モータ部11の取付性をより向上することができる。
上記構成の送風機1において、照明部5が点灯されると室内の照明が行われる。モータ12の駆動により羽根車20が矢印Gに示す正方向に回転すると、矢印K1(図1参照)に示すように室内の空気が流通口3aを介して羽根車20の吸気側に供給される。該空気は羽根車20によって矢印K2(図1参照)に示すようにファンガード40を通過して開口部5cから下方に送出される。これにより、室内の空気循環が行われる。
<第2実施形態>
次に、図8は第2実施形態の送風機1の正面断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1〜図7に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態はベース部2の形状が第1実施形態と異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
ベース部2は羽根車20よりも小径の円筒形状のベースカバー2bにより覆われる。このため、羽根車20の上方の空間6は内周部ではベース部2の下面と羽根車20の上端との間に形成され、外周部では天井面Lと羽根車20の上端との間に形成される。この時、第1実施形態と同様に、前述の式(1)、式(2)、式(3)を満たすようにベース部2、羽根車20及びファンガード40が配置される。
本実施形態の送風機1は第1実施形態と同様に、照明部5が点灯されると室内の照明が行われる。また、モータ12(図5参照)の駆動により羽根車20が回転し、室内の空気循環が行われる。
<第3実施形態>
次に、図9は第3実施形態の送風機1の正面断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1〜図7に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態はベース部2の形状が第1実施形態と異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
ベース部2は羽根車20よりも大径の円筒形状のベースカバー2bにより覆われる。このため、羽根車20の上方の空間6はベース部2の下面と羽根車20の上端との間に形成される。この時、第1実施形態と同様に、前述の式(1)、式(2)、式(3)を満たすようにベース部2、羽根車20及びファンガード40が配置される。
本実施形態の送風機1は第1実施形態と同様に、照明部5が点灯されると室内の照明が行われる。また、モータ12(図5参照)の駆動により羽根車20が回転し、室内の空気循環が行われる。
次に、図10は第1、第2、第3実施形態の送風機1の羽根車20の上方の空間6と風量との関係を示す図である。図10において縦軸は風量(単位:m3/min)を示し、横軸はD1/R(単位なし)を示している。図中、S1、S2、S3はそれぞれ第1、第2、第3実施形態を示し、ファンガード40の開口率は約100%、距離D3は2mmである。また、JIS C9601−1990に基づいて風量を計測している。
図11は第1、第2、第3実施形態の送風機1の羽根車20の上方の空間6とファンガード40の最小開口率との関係を示す図である。図11において縦軸は最小開口率(単位:%)を示し、横軸はD1/R(単位なし)を示している。図中、P1、P2、P3はそれぞれ第1、第2、第3実施形態を示し、距離D3は2mm(D3/R=0.0125)である。
ブレード41による遮蔽面積が大きくファンガード40の圧力損失が大きくなると、羽根車20が正方向(矢印G)に回転した状態で開口部5cから流通口3aに向かって空気が流通する逆流現象が発生する。この時、逆流現象が発生する時の開口率を最小開口率としている。尚、最小開口率は扇状の遮蔽治具によって開口部5cを所定間隔で遮蔽していき、逆流現象の発生時の開口率を計測している。
図10によると、風量はD1/Rが大きくなるに従って増加し、0.16以上になると略飽和して最大値をとる。また、風量は第3実施形態S3、第1実施形態S1、第2実施形態S2の順に大きくなる。図11によると、最小開口率はD1/Rが大きくなるに従って減少する。また、最小開口率は第3実施形態P3、第1実施形態P1、第2実施形態P2の順に小さくなる。
この時、D1/Rを0.07(図中、E1)以上にすると、最大風量の約85%以上の大きい風量を得ることができる。この時、最小開口率は最も条件の悪い第3実施形態P3で約75%よりも低くなっている。
ファンガード40の開口率は所望の風量及び風速を得るために80%以上に設定される。このため、前述の式(1)及び式(2)を満たすことによって風量が大きく逆流現象を防止できる送風機1を実現することができる。
図12は第1実施形態の羽根車20の下方の距離D3と、最小開口率及び風量との関係を示す図である。図12において縦軸は最小開口率(単位:%)及び風量(単位:m3/min)を示し、横軸はD3/R(単位なし)を示している。D1/Rは0.16、風量計測時の開口率は約100%である。
同図によると、風量はD3/Rに対して殆ど変化がなく、最小開口率は距離D3が大きくなるに従って増加する。前述の図11において、D3/Rが0.0125の時に最小開口率は最も条件の悪い第3実施形態P3で約75%よりも低い。ファンガード40の開口率が80%以上とすると、D3/Rが0.0125の時に比して最小開口率が5ポイント程度大きくなっても逆流現象を防止できる。このため、前述の式(3)を満たしてD3/Rを0.08(図中、E2)以下にすることにより、逆流現象を確実に防止することができる。
<第4実施形態>
次に、図13は第4実施形態の送風機1の底面図を示している。説明の便宜上、前述の図1〜図7に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態はファンガード40のブレード41の形状が第1実施形態と異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
ブレード41はファンガード40の外周端のリング部40aと、ボス部20aを覆う円形部40bとを橋架する放射状に配される。ブレード41の周方向の両端面は外周側を正方向(矢印G方向)の回転方向前方に湾曲した曲線状(以下、「順螺旋状」という場合がある)の鉛直面に形成される。円形部40bの半径は羽根車20の半径をRとして例えば0.25Rに形成される。
一般的に電動ファン10により開口部5cから吹き出される風向の垂直成分は回転軸Cに対して下方が拡がり、水平成分は回転方向(矢印G)に対して遠心する方向に拡がる。ブレード41は風向に沿って湾曲した順螺旋状に形成されるため、第1実施形態に比してファンガード40の圧力損失を小さくすることができる。
従って、ファンガード40の最小開口率を第1実施形態よりも低くすることができ、逆流現象の発生リスクに対するマージンを大きくすることができる。
<第5実施形態>
次に、図14は第5実施形態の送風機1の底面図を示している。説明の便宜上、前述の図1〜図7に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態はファンガード40のブレード41の形状が第1実施形態と異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
ブレード41はファンガード40の外周端のリング部40aと、ボス部20aを覆う円形部40bとを橋架する放射状に配される。ブレード41の周方向の両端面は外周側を正方向(矢印G方向)の回転方向後方に湾曲した曲線状(以下、「逆螺旋状」という場合がある)の鉛直面に形成される。円形部40bの半径は羽根車20の半径をRとして例えば0.25Rに形成される。
ブレード41は風向に沿って逆方向に湾曲した逆螺旋状に形成されるため、第1実施形態に比してファンガード40の圧力損失が大きくなる。従って、第1実施形態よりも逆流現象の発生リスクに対するマージンが小さくなるが、開口率を大きく形成することによって逆流現象を防止することができる。
図15は第4実施形態及び第5実施形態の送風機1の中心からの距離と風速との関係を示している。同図において、縦軸は風速(単位:m/s)を示し、横軸は中心(回転軸C)からの距離(単位:mm)を示している。図中、「順螺旋状」は第4実施形態を示し、「逆螺旋状」は第5実施形態と示している。また、図中、「ファンガードなし」は比較のためファンガード40を省いた状態を示している。
風速はファンガード40の下面から下方に960mmの位置で計測しており、ブレード41の垂直方向の厚みは8mm、D1/R1=0.16、D3=2mmである。
同図によると、ブレード41が順螺旋状(第4実施形態)及び逆螺旋状(第5実施形態)で最大風速は同等である。また、ブレード41が順螺旋状及び逆螺旋状の場合はファンガード40の整流作用によってファンガード40を省いた状態よりも最大風速が大きくなっている。
このため、ファンガード40を設けることにより、気流の到達距離を延ばすことができる。この時、ファンガード40が100%に近い開口率の場合はファンガード40を省いた状態と同等になるため、所望の風速を得られる開口率のファンガード40が配される。
また、この時の風量は、ブレード41が順螺旋状の場合に47m3/min、ブレード41が逆螺旋状の場合に26m3/minになっている。このため、最小開口率だけでなく風量確保の観点からも逆螺旋状の場合よりも順螺旋状の場合がより望ましい。
<第6実施形態>
次に、図16は第6実施形態の送風機1のファンガードの要部を示す底面図である。また、図17は図16のA−A断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1〜図7に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態はファンガード40のブレード41の形状が第1実施形態と異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
放射状に配されるブレード41の周方向の両端面41a、41bは回転軸Cに垂直な中心線に沿った直線状に形成される。また、端面41a、41bは鉛直面に対して下方が正方向(矢印G方向)の回転方向前方に傾斜角α1で傾斜した傾斜面に形成される。
これにより、羽根車20の回転によって下流側を回転方向前方に導かれる気流(矢印K3)に沿ってブレード41の端面41a、41bが形成される。このため、第1実施形態よりもファンガード40の圧力損失を小さくすることができる。従って、風量をより増加するとともに逆流現象の発生リスクに対するマージンをより大きくすることができる。尚、前述の図14、図15に示す第4、第5実施形態においても同様に、ブレード41の両端面を傾斜面に形成してもよい。
<第7実施形態>
次に、図18は第7実施形態の送風機1のファンガードの要部を示す底面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図7に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態はファンガード40のブレード42の形状が第1実施形態のブレード41と異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
ブレード42はファンガード40のリング部40aと円形部40bとを橋架する橋架部40c上に回転軸Cを中心とした同心円状に複数設けられる。ブレード42の径方向の両端面は鉛直面に形成される。円形部40bの半径は羽根車20の半径をRとして例えば0.25Rに形成される。
ブレード42が同心円状に配されるため、正方向(矢印G)に回転する羽根車20により形成される旋回気流がブレード42に沿って送出される。このため、第1実施形態に比してファンガード40の圧力損失を小さくすることができる。従って、ファンガード40の最小開口率を第1実施形態よりも低くすることができ、逆流現象の発生リスクに対するマージンを大きくすることができる。
<第8実施形態>
次に、図19は第8実施形態の送風機1のファンガードの要部を示す底面図である。また、図20は図19のB−B断面図を示している。説明の便宜上、前述の図18に示す第7実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態はファンガード40のブレード42の形状が第7実施形態と異なっている。その他の部分は第7実施形態と同様である。
同心円状に配されるブレード42の径方向の両端面42a、42bは鉛直面に対して下方が外周側に傾斜角α2で傾斜した傾斜面に形成される。
これにより、羽根車20の回転により遠心力によって下流側を外周側に導かれる気流(矢印K4)に沿ってブレード42の端面42a、42bが形成される。このため、第7実施形態よりもファンガード40の圧力損失を小さくすることができる。従って、風量をより増加するとともに逆流現象の発生リスクに対するマージンをより大きくすることができる。
表1は第1、第4、第5、第7実施形態の送風機1のファンガード40による特性比較をまとめている。比較のため、ファンガード40を省いた状態を並記している(比較例1)。表1において、交差角は水平面内における旋回気流とブレード41、42とが交差する角度を示している。また、最小開口率はいずれもD1/R=0.16、D3=2mmの場合を示している。
同表によると、ブレード41、42が順螺旋状及び同心円状の場合に風量が大きく最小開口率が小さいため良好な特性を有する。次に、ブレード41が直線状の場合に風量及び最小開口率の特性が高い。また、ブレード41が逆螺旋状の場合は直線状、順螺旋状及び同心円状に比して風量及び最小開口率の特性が低くなっている。
<第9実施形態>
次に、図21、図22は第9実施形態の送風機1のファンガード40を示す底面図及び正面断面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図7に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態はファンガード40の構成が第1実施形態と異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
ファンガード40は照明部5(図1参照)に固定される固定部43と、固定部43に対して回転軸Cを中心に回転可能な可動部44とを備えている。固定部43及び可動部44はそれぞれ放射状に配されるブレード41、45を有している。ブレード41、45の周方向の両端面は回転軸Cに垂直な中心線に沿った直線状に形成される。
可動部44の回転によってブレード41とブレード45との重なり状態が変化し、ファンガード40の開口率が可変される。この時、開口率はブレード41とブレード45とが重なると最小開口率よりも大きく、ブレード41間にブレード45が配されると最小開口率よりも小さくなっている。
これにより、羽根車20(図1参照)を正方向に回転させた状態で逆流現象を意図的に発生させることができる。例えば、室温が低い場合には送風機1の直下に送風すると使用者に直接風が当たるため快適性が低下する。この時、モータ12(図5参照)の回転方向を逆転可能な仕様にすると、モータ制御のコストが増加する。また、固定ネジ21(図3参照)が緩みによって脱落する危険があるため、羽根車20の固定構造が複雑化する。従って、可動部44の回転によって逆転現象を発生させることにより、送風機1の吹出し方向を安価な構成で可変して快適性を向上することができる。
<第10実施形態>
次に、図23、図24、図25は第10実施形態の送風機1の羽根車20(図1参照)のボス部20aを含む取付部22を示す斜視図、正面断面図及び側面断面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図7に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は固定ネジ21(図3参照)が省かれ、羽根車20の取り付け構造が第1実施形態と異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。尚、これらの図において記載を省いているが、ボス部20aの外周面には複数の羽根が設けられる。
モータ12のモータ軸12aには軸方向に垂直に突出するピン23が取り付けられる。ボス部20aの回転軸C上にはモータ軸12aが嵌合する嵌合孔(不図示)が貫通する。ボス部20aの上面には一方向に延びるV字状のテーパ溝20dが形成される。ボス部20aの下面には平面視矩形の凹部20bが形成される。凹部20bの座面には嵌合孔の周囲の4箇所に羽根固定部材24が挿通される貫通孔24cが設けられる。
羽根固定部材24は一対設けられ、互いに接近する方向に延びる延出部24eから水平方向に突出する軸部24dを有している。凹部20bの内壁に形成した孔部(不図示)と軸部24dとの嵌合によって羽根固定部材24が回動自在に配される。羽根固定部材24の下端はボス部20aの下面から突出し、外側に延びる摘持部24aが設けられる。両摘持部24a間には摘持部24aを外周側に付勢する圧縮バネ25が配される。羽根固定部材24は延出部24eの上面が凹部20bの座面に当接することにより、摘持部24aが離れる方向への回動が規制される。
また、羽根固定部材24には摘持部24aの内周端から上方向に延びるレバー部24bが設けられる。レバー部24bは各羽根固定部材24に対してそれぞれテーパ溝20dと平行な方向に並ぶ2箇所に設けられ、各レバー部24bが貫通孔24cに挿通される。レバー部24bの上端には内側に屈曲した係合爪24cが設けられる。係合爪24cの上面は外側が上方に傾斜する傾斜面に形成される。
上記構成の送風機1において、羽根車20の取り付け時にピン23の方向とテーパ溝20dの方向を合わせた状態で嵌合孔内にモータ軸12aが挿通される。図26に示すようにピン23が係合爪24cに当接すると、係合爪24cの上面が傾斜面に形成されるため両係合爪24cが離れる方向に羽根固定部材24が回動する。
そして、図24に示すようにピン23がテーパ溝24dの下端に当接すると圧縮バネ25の付勢によって係合爪24cがピン23と係合する。これにより、ボス部20aが圧縮バネ25によってピン23に押しつけられる方向に付勢され、羽根車20がモータ軸12aに保持される。モータ12の駆動によってモータ軸12aと一体に羽根車20が回転する。
また、両摘持部24aを圧縮バネ25の付勢力に抗して接近する方向に摘持すると、係合爪24cとピン23との係合が解除される。そして、摘持部24aを摘持した状態で羽根車20を下方に引き抜いて取り外すことができる。
本実施形態によると、ピン23はテーパ溝20dに掛るように位置決めされ、モータ12の回転力をテーパ溝20dで受けるため係合爪24cに力が掛らない構造になっている。また、羽根車20の揚力は係合爪24cの先端面で押さえるため、水平方向に配される圧縮バネ25に対して力が直接働かない。このため、モータ12の回転力を羽根車20に確実に伝えるとともに、羽根車20の固定の信頼性を向上させることができる。
また、使用者が片手で羽根車20を容易に着脱することができ、羽根車20の着脱時の作業性を向上することができる。加えて、モータ12を矢印G(図2参照)に示す正方向と逆方向に回転しても羽根車20の脱落を防止することができ、室内の環境に応じて送風方向を可変することができる。
<第11実施形態>
次に、図27、図28、図29は第11実施形態の送風機1の羽根車20(図1参照)のボス部20aを含む取付部32を上方から見た斜視図、下方から見た斜視図及び分解斜視図を示している。説明の便宜上、前述の図1〜図7に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。
本実施形態は固定ネジ21(図3参照)が省かれ、羽根車20の取り付け構造が第1実施形態と異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。尚、これらの図において記載を省いているが、ボス部20aの外周面には複数の羽根が設けられる。
ボス部20aには軸方向に貫通する貫通孔20hが設けられ、貫通孔20hの内面には軸方向に延びる複数のリブ20jが周方向に並設される。リブ20jの上面は内側が下がる傾斜面に形成され、リブ20jの下面はボス部20aの下面よりも上方に配される。ボス部20aの下端には径方向に突出したフランジ部20kが形成される。
ボス部20aの貫通孔20hにはシャフト支持部34が挿通される。シャフト支持部34はモータ軸12a(図30参照)が嵌合する嵌合孔34aを有し、周面には軸方向に延びる複数のリブ34bが周方向に並設される。リブ34bはボス部20aのリブ20j間に配される。
シャフト支持部34の下端には径方向に突出するフランジ部34eが設けられる。フランジ部34eの上面とボス部20aのリブ20jの下面との間に圧縮バネ35が配される。これにより、ボス部20aはシャフト支持部34に対して上方に付勢される。シャフト支持部34の上端には環状の溝部34dが形成され、溝部34dに配される拘束リング37がリブ20jの上面に当接してボス部20aが抜け止めされる。
シャフト支持部34のリブ34b間の周面にはボール36が嵌合する複数のテーパ孔34cが開口する。テーパ孔34cは嵌合孔34a側が狭いテーパ形状に形成され、ボール36が嵌合孔34a内に脱落しない大きさになっている。また、テーパ孔34cに配されるボール36はボス部20aのリブ20jによって外側への脱落が防止される。
図30は取付部32の正面断面図を示している。モータ12(図5参照)のモータ軸12aには環状の溝部12eが凹設され、軸方向に垂直な方向に突出するピン(不図示)が設けられる。また、ボス部20aの上面にはモータ軸12aのピンに係合する溝部(不図示)が設けられる。
上記構成の送風機1において、羽根車20の取り付け時にボス部20a及びシャフト支持部34のフランジ部20k、34eが摘持され、圧縮バネ35の付勢力に抗して互いに近づけられる。これにより、ボール36がリブ20jの上面よりも上方に配される。次にモータ軸12aを嵌合孔34aに挿通すると、ボール36が外周側に退避してモータ軸12aの下端がボール36の下方に配される。
次に、フランジ部34eから手指を離すと圧縮バネ35によりボス部20aがフランジ部34eに対して上方に付勢される。この時、ボール36はモータ軸12aに当接するためテーパ孔34cから外周側に突出し、リブ20j上に配された状態を維持する。そして、図30に示すように嵌合孔34aに挿入されるモータ軸12aの溝部12eがボール36に対向すると、ボール36がリブ20jの上面を転がり、溝部12eに嵌合する。この時、リブ20jの内周面によってボール36の脱落が防止される。
そして、モータ軸12aに設けたピンとボス部20aに設けた溝部とが係合し、モータ12の駆動によってモータ軸12aと一体に羽根車20が回転する。
また、羽根車20を取り外す際にはボス部20aのフランジ部20kを下方に引くと、ボール36がリブ20jよりも上方に配される。更にボス部20aを引くとモータ軸12aによりボール36が外周側に押し出され、モータ軸12aから羽根車20を引き抜いて取り外すことができる。
本実施形態によると、使用者が片手で羽根車20を容易に着脱することができ、羽根車20の着脱時の作業性を向上することができる。加えて、モータ12を矢印G(図2参照)に示す正方向と逆方向に回転しても羽根車20の脱落を防止することができ、室内の環境に応じて送風方向を可変することができる。
<第12実施形態>
次に、図31は第12実施形態の送風機1の正面断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1〜図7に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態はファンガード40の上方に風向板7が設けられる。また、本実施形態の羽根車20は矢印G(図2参照)に示す正方向と逆方向(下方から見て反時計回り)とに回転可能になっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
風向板7は回動可能に設けられる。モータ12(図5参照)の駆動により羽根車20が正方向に回転すると、室内の空気が矢印K1に示すように流通口3aを介して羽根車20に供給される。風向板7を鉛直に対して小さい角度で傾斜させると、矢印K2に示すように開口部5cから下方に送風される下方吹出し状態となる。また、風向板7を鉛直に対して大きい角度で傾斜させると、開口部5cから略水平方向に送風する水平吹出し状態となる。
また、羽根車20が逆方向に回転すると、室内の空気が矢印K11に示すように開口部5cを介して羽根車20に供給される。該空気は矢印K12に示すように流通口3aから上方に送風され、上方吹出し状態となる。
図32は下方吹出し時の室内の気流の状態を示している。送風機1は部屋Rの天井面Lの中央部に取り付けられる。送風機1の開口部5cから下方に送出された気流は矢印K5に示すように、床面Zに到達すると床面Zに沿って流通する。そして、気流は側壁Wに沿って上方に移動し、流通口3a(図31参照)に導かれる。この時、気流が床面Zに沿って流通するため、床面Z付近の空気を効率良く拡散させることができる。
例えば、夏期にエアコン等により冷房運転をした場合に、冷たい空気が床面Zに溜まり易くなる。このため、室内の使用者は上半身に暑さを感じ不快である。この時、送風機1により下方に送風することで、冷たい空気が拡散されて部屋全体の温度が均一となるため室内が快適な環境となる。また、使用者が送風による風を感じることで体感温度が低くなり、冷房の設定温度を高く設定あるいは冷房が不必要となる。これにより、省エネルギー化を図ることができる。
しかしながら、送風機1から送出される気流の風速が大きすぎると、室内の使用者が風を感じて不快となる虞がある。一方で、気流の風速が小さすぎると、室内の温度分布のムラが解消しないため快適な環境を得ることが困難となる。従って、適切な風速に設定することが必要となる。
この時、温度分布及び使用者に当たる風の影響は部屋Rの大きさや送風方向も影響する。このため、吹出し時の風速をv(m/s)、吹出口(開口部5c)から床面Zまでの距離をb(m)、水平面に対する気流の送出角度をθ(゜)とし、設置関数Fを式(4)に示すように定義した。ここで、下方吹出しであるため、送出範囲H1は30°<θ≦90°の範囲としている。送出角度θは風向板7の配置によって設定される。
F(b,θ,v)=v3/b2×tan(θ−30) ・・・(4)
この時、0.1≦F≦100を満たすように送風機1を設置及び運転した場合に、温度分布測定及び体感試験の結果から使用者の不快感を防止して快適な室内環境が得られることが見出された。
図33は下方吹出し時の温度分布を計測した一例を示し、設置関数Fと室内の温度差ΔT(℃)との関係を示している。同図において、縦軸は温度差ΔTであり、横軸は設置関数Fである。距離b=2m、送出角度θ=70°として風速vの可変によって設置関数Fを可変している。
また、部屋Rの広さは8畳であり、エアコンによる暖房運転時の温度を測定している。温度の測定点は各側壁Wからそれぞれ5cmを最外として室内に複数設け、最高温度と最低温度との差を温度差ΔTとしている。送風機1の電動ファン10の駆動前の状態で天井付近が最大温度で床面付近が最低温度となっており、この時の温度差は約9℃であった。
同図によると、設置関数Fが0.1よりも低いと、温度差ΔTが3℃を超えて温度分布のムラが解消されていない。即ち、F<0.1の場合は、風速vが小さいことまたは距離bが大きいことまたは送出角度θが小さいことが理由で、風が床面Zまで到達せず、温度ムラが解消しない。
また、設置関数Fが100を超えると、使用者に当たる風が強くなるため、使用者が不快に感じる環境であった。即ち、F≧100の場合は、風速vが大きいことまたは距離bが小さいことまたは送出角度θが大きいことが理由で、使用者の足元に風が強く吹き、不快な環境となる。従って、0.1≦F≦100を満たすことにより、快適な環境を得ることができる。
図34は上方吹出し時の室内の気流の状態を示している。モータ12を下方吹出し時と逆回転して羽根車20が逆方向に回転すると、送風機1から上方に送出された空気は矢印K15に示すように天井面Lに沿って流通する。そして、気流は側壁Wに沿って下方に移動して床面Z上を流通し、部屋Rの中央部を上昇して開口部5c(図31参照)に導かれる。これにより、天井面Lの空気を効率良く拡散することができる。
例えば、冬期にエアコン等により暖房運転をした場合に、暖かい空気が天井面Lに溜まり易くなる。この時、送風機1により上方に送風することで、暖かい空気を室内の下方に届けることができる。その結果、部屋Rの下部の空気が温まり、室内の使用者の快適性を向上することができる。
また、床面Zや側壁Wの下部を含む部屋Rの全体が暖められるため、温度設定を低く設定することができる。これにより、省エネルギー化を図ることができる。加えて、室内の使用者に直接風が当たることがないため、不快感がなく、温度分布のムラを解消することが可能となる。
また、通常夏期には心地よい風により涼しさを感じさせる下方吹出しが行われる。しかし、冷房運転時に室内の使用者が冷えを感じた場合に上方吹出しとすることで、風を感じさせずに空気を効率的に循環させることもできる。
上記構成の送風機1において、送風機1から送出される気流の風速が小さすぎると空気が循環しないため室内の温度分布のムラが解消しない。一方で、気流の風速が大きすぎると、室内の使用者が風を感じて不快となる虞がある。
このため、吹出し時の風速をv(m/s)、開口部5cから天井面Lまでの距離をd(m)、水平面に対する気流の送出角度をθ(゜)とし、設置関数Fを式(5)に示すように定義した。ここで、上方吹出しであるため、送出範囲H2は30°<θ≦90°の範囲としている。
F(d,θ,v)=v/d2×tan(θ−30) ・・・(5)
この時、1≦F≦100を満たすように送風機1を設置及び運転した場合に、上記と同様の温度分布測定及び体感試験の結果により、使用者の不快感を防止して快適な室内環境が得られる。
図35は水平吹出し時の室内の気流の状態を示している。水平吹出し時は下方吹出し時に対して風向板7の配置を可変し、送風機1の開口部5cから略水平方向に気流が送出される。開口部5cから送出された気流は矢印K6に示すように、側壁Wに到達すると側壁Wに沿って下方に流通する。そして、気流は床面Z上を流通し、部屋Rの中央部を上昇して流通口3aに導かれる。
水平吹出しでは使用者に直接風が当たりにくくなるため、使用者が女性、高齢者、病人、乳幼児等の場合に適している。また、冬期の暖房運転時に室内の温度分布のムラをなくすことで、快適性を高めつつ省エネルギー化を図ることができる。また、下方吹出しのように床面Zに局所的に強い風を吹き付けないため床面の埃が飛散しにくく、上方吹出しのように天井面に風を吹き付けないため天井面Lの埃が飛散しにくい。
また、上方吹出しと水平吹出しとを切り替えてもよい。例えば、日射により天井部が熱せられた場合に冬期では天井部の熱せられた空気を撹拌することで室内温度がより高くなるため上方吹出しが好ましい。一方、夏期では天井部の熱せられた空気が撹拌されることで室内温度が高くなるため、水平吹出しが好ましい。
また、夏期の冷房運転時にも使用者は直接風が当たり難いがソフトな風を感じることができ、冷えすぎ対策に効果的である。また、冷房運転時に下方吹出しを行い、使用者が冷えを感じた場合に水平吹出しとすることで風を感じさせず空気を効率的に循環させることもできる。従って、冬期及び夏期を含む通年で良好な室内環境とすることができる。
上記構成の送風機1において、送風機1から送出される気流の風速が小さすぎると空気が循環しないため室内の温度分布のムラが解消しない。一方で、気流の風速が大きすぎると、室内の使用者が風を感じて不快となる虞がある。
このため、吹出し時の風速をv(m/s)、開口部5cから床面Zまでの距離をb(m)、水平面に対する気流の送出角度をθ(゜)とし、設置関数Fを式(6)に示すように定義した。送出角度θは下方を正、上方を負にしている。ここで、水平吹出しであるため、送出範囲H3は−30°<θ≦30°の範囲としている。
F(b,θ,v)=v/b2×cosθ ・・・(6)
この時、0.5≦F≦100を満たすように送風機1を設置及び運転した場合に、上記と同様の温度分布測定及び体感試験の結果により、使用者の不快感を防止して快適な室内環境が得られる。
本実施形態において、送風機1が下方吹出し、上方吹出し及び水平吹出しをいずれも行うことができるが、いずれか一または二を行う送風機1において設置関数Fに基づいて設置及び運転を行ってもよい。
また、風向板7により下方吹出しと水平吹出しとを切り替えているが、他の構成により切り替えてもよい。例えば、ファンガード40を二重に設け、一方をリニアガイド等によって開口部5cの外側と開口部5cの直下との間を可動にしてもよい。この時、送出角度θは例えば、前述の図20に示すようにファンガード40のブレード42の端面42a、42bの傾斜によって設定することができる。また、扇風機のように電動ファン10自体が送出方向を変えるように回動可能に形成してもよい。
また、本実施形態において、羽根車20を正方向と逆方向とに回転させるため、前述の図23〜図30に示す第10、第11実施形態の取付部22、32により羽根車20を取り付けてもよい。
<第13実施形態>
次に、図36は第13実施形態の送風機1の正面断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1〜図7に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態はイオン発生装置50が設けられる。また、ファンガード40(図1参照)が省かれ、照明部5の形状が第1実施形態と異なっている。その他の部分は第1実施形態と同様である。
照明部5の照明カバー5aは内周面が円筒面に形成され、断面形状が略楕円形に形成される。イオン発生装置50はベース部2を覆うベースカバー2bの下面の周部に形成した傾斜面に設置される。イオン発生装置50を複数設けてもよい。
イオン発生装置50は交流波形またはインパルス波形から成る電圧が印加される一対の電極(不図示)を有する。一方の電極には正電圧が印加され、コロナ放電により空気中の水分子が電離して水素イオンが生成される。この水素イオンが溶媒和エネルギーにより空気中の水分子とクラスタリングする。これにより、H+(H2O)m(mは0または任意の自然数)から成る空気イオンの正イオンが放出される。
他方の電極には負電圧が印加され、コロナ放電により空気中の酸素分子または水分子が電離して酸素イオンが生成される。この酸素イオンが溶媒和エネルギーにより空気中の水分子とクラスタリングする。これにより、O2 -(H2O)n(nは任意の自然数)から成る空気イオンの負イオンが放出される。
H+(H2O)m及びO2 -(H2O)nは空気中の浮遊菌や臭い成分の表面で凝集してこれらを取り囲む。そして、式(8)〜(10)に示すように、衝突により活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH2O2(過酸化水素)を微生物等の表面上で凝集生成して浮遊菌や臭い成分を破壊する。ここで、m’、n’は任意の自然数である。従って、イオン発生装置50から空間6に向けて放出されるプラスイオン及びマイナスイオンを含む気流を開口部5cから送出することにより室内の殺菌及び臭い除去を行うことができる。
H+(H2O)m+O2 -(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n)H2O ・・・(8)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2 -(H2O)n+O2 -(H2O)n’
→ 2・OH+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(9)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2 -(H2O)n+O2 -(H2O)n’
→ H2O2+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(10)
この時、ベースカバー2bの下面の周部に設置されるイオン発生装置50から略鉛直下方にイオンが放出される。イオンの放出方向は電極が平面の場合には該平面に直交する方向であり、電極が針状の場合には電極が延びる方向に平行な方向である。イオン発生装置50から放出されたイオンは矢印K1に示すように流通口3aに流入する空気に含まれる。これにより、開口部5cから送出される気流にイオンを容易に含むことができる。
<第14実施形態>
次に、図37は第14実施形態の送風機1の正面断面図を示している。説明の便宜上、前述の図36に示す第13実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態はベース部2の形状が第13実施形態と異なっている。その他の部分は第13実施形態と同様である。
ベース部2は第3実施形態と同様の羽根車20よりも大径の円筒形状のベースカバー2bにより覆われる。イオン発生装置50はベース部2の周部に配され、略鉛直下方にイオンを放出する。これにより、第13実施形態と同様に開口部5cから送出される気流にイオンを容易に含むことができる。
<第15実施形態>
次に、図38は第15実施形態の送風機1の正面断面図を示している。説明の便宜上、前述の図37に示す第14実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態はイオン発生装置50の配置が第14実施形態と異なっている。その他の部分は第14実施形態と同様である。
イオン発生装置50は支柱3に取り付けられ、流通口3aから流入する気流に沿った方向にイオンを放出する。これにより、開口部5cから送出される気流にイオンを容易に含むことができる。尚、イオン発生装置50から水平方向と鉛直下方との間の任意の方向にイオンを放出してもよい。この時、流通口3aから羽根車20に導かれる気流に対して平行な方向にイオンを放出すると、イオンの衝突による消滅を低減できるためより望ましい。
<第16実施形態>
次に、図39は第16実施形態の送風機1の正面断面図を示している。説明の便宜上、前述の図37に示す第14実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態はイオン発生装置50の配置が第14実施形態と異なっている。その他の部分は第14実施形態と同様である。
イオン発生装置50は照明部5の周部の上面に取り付けられ、略鉛直上方にイオンを放出する。これにより、開口部5cから送出される気流にイオンを容易に含むことができる。
次に、第14〜第16実施形態の送風機1において流通口3aを通る気流の風速を測定した。羽根車20の半径Rは160mm、開口部5cの直径は365mm、ベース部2の下面と天井面Lとの距離は50mmである。その結果、ベース部2の下面での風速は2.2m/sであった。支柱3の鉛直方向の中間点での風速は1.8m/sであった。照明部5の上面での風速は1.1m/sであった。
一般的に、イオンは空気の流速が大きい箇所に放出されると、広く拡散することが知られている。このため、イオン発生装置50を照明部5の上面に配置した場合(第16実施形態)よりも支柱3に配置した場合(第15実施形態)の方がイオンを均一に送出できるためより望ましい。また、イオン発生装置50を支柱3に配置した場合(第15実施形態)よりもベース部2の下面周部に配置した場合(第14実施形態)の方がイオンを均一に送出できるためより望ましい。
本実施形態において、送風機1からプラスイオン及びマイナスイオンを含む気流を送出しているが、いずれか一方のイオンを含む気流を送出してもよい。これにより、イオンが有する電荷によって、室内の空間に浮遊する付着対象である物体の電位を除去することができる。また、室内の空間のイオンバランスを調整することができる。
また、イオン発生装置50が例えばラジカル成分を含む帯電微粒子水を生成する機器であってもよい。
第1〜第16実施形態において、環状の照明部5を備えた送風機について説明しているが、羽根車20が配される空洞部5bを有した環状の環状部を備えた送風機1について同様の構成によって同様の効果を得ることができる。
〔付記事項〕
本発明の一態様は、室内の天井面に取り付けられるベース部と、前記ベース部に固定されるモータと前記モータにより前記ベース部の取付面に対して垂直な回転軸で回転する羽根車とを有する電動ファンと、前記羽根車が配される筒状の空洞部を有した環状に形成されるとともに天井面との間に空気の流通口を形成して配される環状部と、複数のブレードを有して前記空洞部の下端面に配されるファンガードとを備え、前記羽根車が所定の正方向に回転した際に下方に送風する送風機において、前記羽根車の上下端が前記環状部の上下面に略一致して配されるとともに、前記羽根車の半径をR、前記回転軸から径方向にR/2の位置の前記羽根車の上方の空間の前記取付面に対して垂直な方向の長さをD1、前記回転軸から径方向にR/2よりも外周側の前記羽根車の上方の空間の前記取付面に対して垂直な方向の長さをD2としたときに、D1/R≧0.07及びD2≧D1を満たすことを特徴としている。
上記構成によると、羽根車の半径をR、回転軸から径方向にR/2の位置の羽根車の上方の空間の前記取付面に対して垂直な方向の長さをD1、回転軸から径方向にR/2よりも外周側の羽根車の上方の空間の前記取付面に対して垂直な方向の長さをD2としたときに、D1/R≧0.07及びD2≧D1を満たす。これにより、大きな風量が得られるとともに逆流現象を防止し、室内の空気循環を正常に行うことができる。
また本発明の一態様は、上記構成の送風機において、前記羽根車の下端と前記ファンガードの上面との距離をD3としたときに、D3/R≦0.08を満たすことを特徴としている。これにより、逆流現象を防止し、室内の空気循環を正常に行うことができる。
また本発明の一態様は、上記構成の送風機において、複数の前記ブレードが放射状に配され、前記ブレードの周方向の両端面が直線状または外周側を前記正方向の回転方向前方に湾曲した曲線状に形成されることを特徴としている。
また本発明の一態様は、上記構成の送風機において、複数の前記ブレードが同心円状に配されることを特徴としている。
また本発明の一態様は、上記構成の送風機において、前記環状部が照明を行う照明部から成ることを特徴としている。
また本発明の一態様は、室内の天井面に取り付けられるベース部と、前記ベース部に固定されるモータと前記モータにより前記ベース部の取付面に対して垂直な回転軸で回転する羽根車とを有する電動ファンと、前記羽根車が配される筒状の空洞部を有した環状に形成されるとともに天井面との間に空気の流通口を形成して配される環状部と、複数のブレードを有して前記空洞部の下端面に配されるファンガードとを備え、前記羽根車が正回転した際に下方に送風する送風機において、前記羽根車の上下端が前記環状部の上下面に略一致して配されるとともに、前記羽根車の半径をR、前記羽根車の下端と前記ファンガードの上面との距離をD3としたときに、D3/R≦0.08を満たすことを特徴としている。