JP2018111766A - 熱可塑性炭素繊維樹脂基材及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性炭素繊維樹脂基材及びその製造方法 Download PDF

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和彦 冨岡
是高 芹沢
Koretaka Serizawa
是高 芹沢
忠雄 杉山
Tadao Sugiyama
忠雄 杉山
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Abstract

【課題】 温かい印象を与える意匠性のよい成形品となる熱可塑性炭素繊維樹脂基材を提供する。【解決手段】 少なくとも片面に凸凹面を有する熱可塑性炭素繊維樹脂基材であって、凸凹を有する同一の面の少なくとも1部分を、各辺が10cmである面積が100cm2の正方形に分け、さらに、面積が100cm2の正方形を、各辺が1cmである面積が1cm2の正方形に分けた時、面積が1cm2の正方形の表面平均粗さRaの最大値S2が、面積が1cm2の正方形の表面平均粗さRaの最小値S1の2〜100倍である熱可塑性炭素繊維樹脂基材。【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂および炭素繊維を含む熱可塑性炭素繊維樹脂基材に関する。本発明は、特に、意匠性のよい成形品となる熱可塑性炭素繊維樹脂基材に関する。
従来の炭素繊維樹脂基材は、炭素繊維と熱硬化樹脂の複合材であり、表面にはきれいな織物上の炭素繊維基布と、透明な熱硬化樹脂からなるものであった。従来の炭素繊維樹脂基材は、成形品としたとき、強度が鉄よりもはるかに高く、軽量であった。
しかしながら、熱硬化樹脂を使用する従来の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、コストが高く、さらに一旦硬化したのちは熱による成形ができないので、後加工が困難であった。そこで、価格が安く、熱加工などの後加工性に優れた熱可塑樹脂を用いた熱可塑性炭素繊維樹脂基材が、開発されている。
熱可塑性炭素繊維樹脂基材を成形品としたとき、成形にともなう外観不良が発生する場合がある。成形にともなう外観不良を塗装しないで改良する方法として、熱可塑炭素繊維樹脂基材に人工的に凸凹面を付与する方法がとられていた(引用文献1、2参照)。しかし、引用文献1、2に記載の方法は、均一的な細かな凸凹面の付与であり、成形にともなう外観不良の防止には効果があったが、意匠性のよい成形品となる熱可塑性炭素繊維樹脂基材では、なかった。
価格が安く、熱加工などの後加工性に優れた熱可塑樹脂を用いた熱可塑性炭素繊維樹脂基材であって、例えば、自動車の内装材などに使用した時、温かい印象を与える熱可塑性炭素繊維樹脂基材の開発が求められていた。
特開2003−71884号公報 特開2004−195890号公報
本発明はかかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、温かい印象を与える意匠性のよい成形品となる熱可塑性炭素繊維樹脂基材および当該成形品の製造方法を提供することにある。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、少なくとも片面に凸凹面を有する熱可塑性炭素繊維樹脂基材であって、凸凹を有する同一の面の少なくとも1部分を、各辺が10cmである面積が100cmの正方形に分け、さらに、面積が100cmの正方形を、各辺が1cmである面積が1cmの正方形に分けた時、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最大値S2が、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最小値S1の2〜100倍である。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、粗度の細かい凸凹と粗度の大きな凸凹が顕著にあることによって、規則正しいシートの意匠性が異なり、手で触ったときの感触や、未塗装や、塗装やメッキ時を加えることで光の乱反射を起こす。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、たとえば、自動車の内装材などに用いた場合、凹凸を付けることで温かい印象になる。さらに塗装した際、光の陰影ができることで、つるつるした面とは異なった外観となり、たとえば、外装品のレンガ・ブロックを作った場合は、凹凸があることにより、より実際のブロックに近い外観となる。本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、特に表面の凸凹が不規則でアンダーカットのある意匠性の高いシートを得ることできる。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、つるつるした面とは表面の面積が大きく異なるので、塗料などとの密着性がよい。本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、軽量かつ高剛性で、熱曲げ加工が可能である。
本発明に係る熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、高い強度と優れた加工性が要求されるあらゆる用途に好適であり、緩衝材、断熱材、補強材、シートベルト、パイプなどの量産品としての用途のみならず、金型製造前のサンプルや半導体産業向けの製品など、高精度が要求される多品種少量生産品としての用途にも好適である。本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、フィルター、梱包体、断熱材、防振材、防音材などに好適である。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材の断面図の例示である。S1は、面積が100cmの正方形を、各辺が1cmである面積が1cmの正方形に分けた時、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最小値であり、S2は、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最大値を示す。 本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材の上面図の例示である。100cmを1cm間隔で分割し、表面平均粗さRaを測定する単位を示した図である。 表面平均粗さRaを求める式を示した。 最大高さRyについて、図示した。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、少なくとも片面に凸凹面を有する熱可塑性炭素繊維樹脂基材であって、凸凹を有する同一の面の少なくとも1部分を、各辺が10cmである面積が100cmの正方形に分け、さらに、面積が100cmの正方形を、各辺が1cmである面積が1cmの正方形に分けた時、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最大値S2が、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最小値S1の2〜100倍である熱可塑性炭素繊維樹脂基材である。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、面積が100cmの正方形を、各辺が1cmである面積が1cmの正方形に分けた時、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最大値S2が、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最小値S1の2〜100倍であることによって、例えば、自動車の内装材などに使用した時、温かい印象を与える意匠となる。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、好ましくは、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最大値S2が、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最小値S1の10〜60倍が好ましく、さらに、20〜40倍がより好ましい。
本発明で用いた熱可塑性炭素繊維樹脂基材の表面粗さの指標は、JIS B0601(1994)、JIS B 0031(1994)からなる以下のものを指す。
表面平均粗さRaは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線を y=f(x) で表したときに、図3に記載の式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
最大高さRyは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の山頂線と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定し、この値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう(備考Ryを求める場合には、きずとみなされるような並みはずれて高い山及び低い谷がない部分から、基準長さだけ抜き取る。)。最大高さRyについて、図4に記載した。
Raに代えて、Ryを用いるときは凸凹の差が大きく意匠性に顕著に表す際に用いることができる。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、好ましくは、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最小値S1が、10μm〜100μmである。表面平均粗さRaの最小値S1は、より好ましくは、20μm〜80μmである。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、好ましくは、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最大値S2が、200μm〜1500μmである。表面平均粗さRaの最大値S2は、より好ましくは、500μm〜1300μmである。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、さらにより好ましくは、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最小値S1が、10μm〜100μmであり、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最大値S2が、200μm〜1500μmである。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、さらにより好ましくは、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最小値S1が、20μm〜80μmであり、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最大値S2が、500μm〜1300μmである。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、好ましくは、凸凹を有する同一の面の少なくとも1部分を、各辺が10cmである面積が100cmの正方形に分けた時、面積が100cmの正方形の表面に、平均ピッチが20μm〜2000μmである凸凹を有する。
凸凹を有する同一の面の少なくとも1部分を、各辺が10cmである面積が100cmの正方形に分けた時、面積が100cmの正方形の表面に、平均ピッチが20μm〜2000μmである凸凹を有することにより、例えば、自動車の内装材などに使用した時、より一層、温かい印象を与える意匠となる。ピッチは、凸凹の凸の頂上または中心と隣の凸の頂上または中心の間の距離を測定する。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、より好ましくは、平均ピッチが20μm〜2000μmである凸凹が不規則に存在している。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、より好ましくは、凸凹を有する同一の面の少なくとも1部分を、各辺が10cmである面積が100cmの正方形に分けた時、面積が100cmの正方形の表面に、平均ピッチが20μm〜2000μmである凸凹の左右に1μm〜100μmのアンダーカットを有する。アンダーカットは、凸凹の側面からえぐれた深さを測定する。
凸凹を有する同一の面の少なくとも1部分を、各辺が10cmである面積が100cmの正方形に分けた時、面積が100cmの正方形の表面に、平均ピッチが20μm〜2000μmである凸凹の左右に1μm〜100μmのアンダーカットを有することにより、例えば、自動車の内装材などに使用した時、さらにより一層、温かい印象を与える意匠となる。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、さらにより好ましくは、凸凹を有する同一の面の少なくとも1部分を、各辺が10cmである面積が100cmの正方形に分けた時、面積が100cmの正方形の表面に、平均ピッチが5μm〜50μmのアンダーカットを有し、さらに、7μm〜30μmのアンダーカットを有することがより好ましい。アンダーカットは、凸凹の側面からえぐれた深さを測定する。
このようなアンダーカットは、意匠の複雑性を表すことができる。アンダーカットによって、シートの意匠性がことなり、手で触ったときの感触が異なる。アンダーカットを有する未塗装の熱可塑性炭素繊維樹脂基材に、塗装やメッキ時を加えることで光の乱反射を起こす。また、アンダーカットを有する熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、表面の面積が大きく異なるので、接着後の風合いも異なる。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、さらにより好ましくは、不規則な凸凹を有しており、その不規則な凸凹表面は、凸凹の平均ピッチが20μm〜2000μmでかつ、表面平均粗さRaが10μm〜1500μmの範囲で、かつ標準偏差が10μm〜400μmあることが好ましい。さらに好ましくは、凸凹の平均ピッチが50μm〜1000μmでかつ、表面平均粗さ Raが10μm〜1000μmの範囲で、かつ標準偏差が20μm〜200μmあることが好ましい。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、熱可塑性樹脂と炭素繊維を含有する。
熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン、ポリスチレン)、またはポリアミド(例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、芳香族ナイロン)、またはポリイミド、ポリアミドイミド、またはポリカーボネート、またはポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルフォキサイド、ポリテトラフルオロエチレン、アクロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエーテル・エーテル・ケトン、ポリオキシメチレンが好ましい。また、上記熱可塑性樹脂の誘導体や、上記熱可塑性樹脂の共重合体、さらにそれらの混合物でもよい。
熱可塑性樹脂は、より好ましくは、ポリアミド、ポリオレフィン、アクロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリフェニレンサルファイドである。
ポリアミドは、ナイロン6、ナイロン66、それらの誘導体もしくは共重合体、または、ナイロン6、ナイロン66、それらの誘導体もしくは共重合体のいずれかを含む混合物がより好ましく、ナイロン6、ナイロン66がさらに好ましい。
また、ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらの誘導体もしくは共重合体、または上記のいずれかを含む混合物が好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレンがさらに好ましい。
さらに、アクロニトリルブタジエンスチレン共重合体は、アクロニトリルブタジエンスチレン共重合体の誘導体もしくは共重合体、または、アクロニトリルブタジエンスチレン共重合体、アクロニトリルブタジエンスチレン共重合体の誘導体もしくは共重合体のいずれかを含む混合物も好ましい。
さらに、ポリフェニレンサルファイドは、ポリフェニレンサルファイドの誘導体もしくは共重合体、または、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンサルファイドの誘導体もしくは共重合体のいずれかを含む混合物も好ましい。
本発明における熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、好ましくは、少なくとも粘度の異なる第1と第2からなり、熱可塑性樹脂の融点から20〜50℃の高い所定温度において、第2の熱可塑性樹脂の粘度が第1の熱可塑性樹脂の粘度の3〜70倍であり、さらに好ましくは5〜50倍、さらにより好ましくは10〜30倍である。
粘度の異なる樹脂の比率は、高粘度樹脂に対し、低粘度樹脂は、重量比で、0.3〜5倍が好ましい。より好ましくは0.5〜2倍が好ましい。
本発明では、炭素繊維の含有率は、好ましくは、5%〜50%含有し、より好ましくは5%〜40%含有し、好ましくは10%〜30%含有する。炭素繊維の含有率は、炭素繊維の重量を樹脂基材全体の重量で割ったものに100をかけたものである。
本発明では、炭素繊維の繊維長は、好ましくは、1.0〜0.05mmであり、より好ましくは、0.5〜0.1mmである。
本発明では、炭素繊維の平均直径は、10〜5μmであり、さらに好ましくは、8〜6μmである。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材では、好ましくは、繊維長が0.01〜0.5mmである炭素繊維を、炭素繊維全体の60%以上含有する。本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材では、より好ましくは、繊維長が0.01〜0.5mmである炭素繊維を、炭素繊維全体の65〜80%含有する。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材の厚さは、好ましくは、0.1mm〜10mmであり、より好ましくは0.2〜5mmである。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材には、結晶化遅延剤や結晶性熱可塑性樹脂、炭素繊維以外のものが含まれていてもよい。また、シランカップリング剤や、チタネート系カップリング剤、またはこれらの混合物が含まれていてもよい。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材には、必要に応じて、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物またはこれらの混合物が、熱安定剤、酸化防止剤、強化材、顔料、着色防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤などの添加剤として添加されていてもよい。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、好ましくは、融点まで基材を加熱することで、樹脂中のフィラーである炭素繊維が、強固な剛性を持つために、流動性の高まった樹脂ごとを押しのけて動き出す。その結果、その状態で冷却することで、不規則に樹脂が盛り上ったり凹んだりし、その状態で冷却されるので、複材な凸凹面を有し、さらにアンダーカットを有する不規則な凸凹面を有する熱可塑炭素繊維樹脂基材となる。
本発明における熱可塑性炭素繊維樹脂基材の製造は、好ましくは、熱可塑性炭素繊維複合基材を真空成形機において、一旦融点近くまで加熱して、炭素繊維と樹脂のマトリックスを動きやすい状態にして、金型面に吸引することで、金型面以外が冷却される。本発明における熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、金型面以外が徐冷することにより製造されることが、より好ましい。金型面以外が徐冷されることで炭素繊維がその剛性により自由に動き出すスプリングバックを起こしながら、冷却される。この結果、熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、不規則で凸凹の深さが大きなアンダーカットをも有する凸凹面を有することができる。
また、本発明の熱可塑性炭素繊維複合基材の製造方法では、好ましくは、溶融押出シートにおいて、ダイスから押出された樹脂がロールに接触することで真空成形と同じ効果で金型面以外が徐冷になることで炭素繊維がその剛性により自由に動き出すスプリングバックを起こしながら、冷却される。この結果、不規則で凸凹の深さが大きなアンダーカットをも有する凸凹面を有することができる。
本発明の熱可塑性炭素繊維複合基材の製造方法では、ブロー成形や溶融異形押出も溶融された樹脂が、一面を金型面で冷却されることで、残る面の炭素繊維がスプリングバックした状態で固化されて、複材な凸凹面を有しさらにアンダーカットを有する不規則な凸凹面を有する熱可塑性炭素繊維樹脂基材が得られる製造法が好ましい。
本発明における熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、好ましくは、加熱・冷却において、特に片側に金型面があり急冷することで、残る面において、スプリングバックした状態で固化されて、複材な凸凹面を有しさらにアンダーカットを有する不規則な凸凹面を有する熱可塑性炭素繊維樹脂基材が得られる製造法が好ましい。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、各実施例および比較例において、使用した材料、および、表面平均粗さRa、最大高さRy、破壊強度の測定方法は以下の通りである
(1)使用した材料
(A)炭素繊維
繊維径が7μmの炭素繊維を使用した。0.01〜0.5mmの長さにカットされた炭素繊維を、65%以上(重量比)含有する炭素繊維を使用した。
(B)熱可塑性樹脂
B1:ナイロン6(融点225℃、275℃における粘度:80poise)
C1:ナイロン6(融点:225℃、275℃における粘度:1,100poise)
B2:ナイロン66(融点:255℃、305℃における粘度:250poise)
C2:ナイロン66(融点:255℃、305℃における粘度:5,500poise)
B3:PP(融点:170℃、220℃における粘度:70poise)
B4:ABS(ガラス転移点(軟化点):190℃、240℃における粘度:120poise)
B5:PPS(融点:285℃、335℃における粘度:260poise)
C3:PP(融点:170℃、220℃における粘度:1,770poise)
C4:ABS(軟化点:190℃、240℃における粘度:2,520poise)
C5:PPS(融点:255℃、335℃における粘度:8,060poise)
(2)表面平均粗さRa、最大高さRy、アンダーカット、ピッチの測定方法
表面平均粗さRa、最大高さRyの測定、アンダーカット、ピッチの測定は、下記の3つ設備のセットにて同時に測定した。キーエンス製 16bit形状解析レーザ顕微鏡、コントローラ部 VK−X250、測定部 VK−X260を用いた。
(3)S3とσ(標準偏差)の計算方法
100m中のシートの粗さ(1m×100個)の平均をS3の粗さとした。
またそのバラつきは標準偏差σで求められる。σ(標準偏差)が下記の式で求めた。
[実施例1]
シート重量当たりAの炭素繊維を25%含有し、B1のナイロン6とC1のナイロン6をそれぞれ50%と25%含有しているシートD1を用いて、真空成形機にて、250℃まで加熱し、60℃の金型に接触吸引させ、凸凹面を有する熱可塑性炭素繊維樹脂素材を得た。炭素繊維の繊維長は0.25mmであり、シートの厚さは0.8mmであった。
凸凹を有する同一の面を、各辺が10cmである面積が100cmの正方形に分けて、表面平均粗さRaを測定した。面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最小値S1は、28μmであった。面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最大値S2は、650μmであった。1cmのRaが28μmの粗さの凸凹面のS1面を1としたときに、凸凹面のS2面の1cmのRaが650μmと23倍の粗さを有していた。面積が1cmの正方形100個の表面平均粗さRaの平均は340μmであり、標準偏差は59μmであった。凸凹のピッチは80μmであった。さらにアンダーカットは、70μmであった。またその時の最大高さRyはS1面で20μmであり、S2面で960μmであった。
[実施例2]
シート重量当たりAの炭素繊維を35%含有し、B1のナイロン6とC1のナイロン6をそれぞれ25%と40%含有しているシートD2を用いて、真空成形機にて、280℃まで加熱し、60℃の金型に接触吸引させて、凸凹面を有する熱可塑性炭素繊維樹脂素材を得た。炭素繊維の繊維長は0.08mmであり、シートの厚さは1.0mmであった。
凸凹を有する同一の面を、各辺が10cmである面積が100cmの正方形に分けて、表面平均粗さRaを測定した。面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最小値S1は、25μmであった。面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最大値S2は、280μmであった。1cmのRaが25μmの粗さの凸凹面のS1面を1としたときに、凸凹面のS2面の1cmのRaが280μmと11.2倍の粗さを有していた。また、面積が1cmの正方形100個の平均Raは206μmであり、標準偏差は52μmであった。凸凹のピッチは21μmであった。さらに、アンダーカットは、25μmであった。またその時の最大高さRyはS1面で30μmであり、S2面で1830μmであった。
[実施例3]
シート重量当たりAの炭素繊維を20%含有し、B2のナイロン66とC2のナイロン66をそれぞれ65%と15%含有しているシートD3を用いて、真空成形機にて、250℃まで加熱し、70℃の金型に接触吸引させて、凸凹面を有する熱可塑性炭素繊維樹脂素材を得た。炭素繊維の繊維長は0.45mmであり、シートの厚さは3.5mmであった。
凸凹を有する同一の面を、各辺が10cmである面積が100cmの正方形に分けて、表面平均粗さRaを測定した。面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最小値S1は、12μmであった。面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最大値S2は、1150μmであった。1cmのRaが12μmの粗さの凸凹面のS1面を1としたときに、凸凹面のS2面の1cmのRaが1150μmと95.8倍の粗さを有していた。
また、面積が1cmの正方形100個の平均Raは375μmであり、標準偏差は127μmであった。凸凹のピッチは1300μmであった。さらに、アンダーカットは、8μmであった。その時の最大高さRyはS1面で29μmであり、S2面で1830μmであった。
[実施例4]
シート重量当たりAの炭素繊維を15%含有し、B3のPPとC3のPPをそれぞれ20%と65%含有しているシートD4を用いて、真空成形機にて、200℃まで加熱し、70℃の金型に接触吸引させて、凸凹面を有する熱可塑性炭素繊維樹脂素材を得た。炭素繊維の繊維長は0.5mmであり、シートの厚さは5.5mmであった。
凸凹を有する同一の面を、各辺が10cmである面積が100cmの正方形に分けて、表面平均粗さRaを測定した。面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最小値S1は、95μmであった。面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最大値S2は、1350μmであった。1cmのRaが95μmの粗さの凸凹面のS1面を1としたときに、凸凹面のS2面の1cmのRaが1350μmと14.2倍の粗さを有していた。
また、面積が1cmの正方形100個の平均Raは485μmであり、標準偏差は186μmであった。凸凹のピッチは210μmであった。さらに、アンダーカットは、35μmであった。その時の最大高さRyはS1面で29μmであり、S2面で1830μmであった。その時の最大高さRyはS1面で150μmであり、S2面で1530μmであった。
[実施例5]
シート重量当たりAの炭素繊維を40%含有し、B4のABSとC4のABSをそれぞれ20%と40%含有しているシートD5を用いて、真空成形機にて、200℃まで加熱し、50℃の金型に接触吸引させて、凸凹面を有する熱可塑性炭素繊維樹脂素材を得た。炭素繊維の繊維長は0.2mmであり、シートの厚さは1.5mmであった。
凸凹を有する同一の面を、各辺が10cmである面積が100cmの正方形に分けて、表面平均粗さRaを測定した。面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最小値S1は、98μmであった。面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最大値S2は、252μmであった。1cmのRaが98μmの粗さの凸凹面のS1面を1としたときに、凸凹面のS2面の1cmのRaが252μmと2.6倍の粗さを有していた。
また、面積が1cmの正方形100個の平均Raは154μmであり、標準偏差は33μmであった。凸凹のピッチは80μmであった。さらに、アンダーカットは、58μmであった。その時の最大高さRyはS1面で29μmであり、S2面で1830μmであった。その時の最大高さRyはS1面で30μmであり、S2面で70μmであった。
[実施例6]
シート重量当たりAの炭素繊維を30%含有し、B5のPPSとC5のPPSをそれぞれ30%と40%含有しているシートD6を用いて、真空成形機にて、300℃まで加熱し、80℃の金型に接触吸引させて、凸凹面を有する熱可塑性炭素繊維樹脂素材を得た。炭素繊維の繊維長は0.4mmであり、シートの厚さは0.5mmであった。
凸凹を有する同一の面を、各辺が10cmである面積が100cmの正方形に分けて、表面平均粗さRaを測定した。面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最小値S1は、31μmであった。面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最大値S2は、260μmであった。1cmのRaが31μmの粗さの凸凹面のS1面を1としたときに、凸凹面のS2面の1cmのRaが260μmと8.3倍の粗さを有していた。
また、面積が1cmの正方形100個の平均Raは123μmであり、標準偏差は29μmであった。凸凹のピッチは46μmであった。さらに、アンダーカットは、98μmであった。その時の最大高さRyはS1面で29μmであり、S2面で1830μmであった。その時の最大高さRyはS1面で39μmであり、S2面で290μmであった。
[比較例1]
シート重量当たりAの炭素繊維を25%含有し、B1のナイロン6を75%含有しているシートE1を用いて、真空成形機にて、250℃まで加熱したところ、シートが破れた。
[比較例2]
シート重量当たりAの炭素繊維を25%含有し、C1のナイロン6を75%含有しているシートE1を得ようとしたが、シートにボイドがあり、250℃まで加熱したところ、シートが破れた。
1 不規則な凸凹面を有する熱可塑性炭素繊維樹脂基材
2 シート母材
3 凸凹面
4 アンダーカット
S1 細かい表面平均粗さRaの凸凹面を有する面
S2 粗い表面平均粗さRaの凸凹面を有する面

Claims (10)

  1. 少なくとも片面に凸凹面を有する熱可塑性炭素繊維樹脂基材であって、
    凸凹を有する同一の面の少なくとも1部分を、各辺が10cmである面積が100cmの正方形に分け、さらに、面積が100cmの正方形を、各辺が1cmである面積が1cmの正方形に分けた時、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最大値S2が、面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最小値S1の2〜100倍である熱可塑性炭素繊維樹脂基材。
  2. 面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最小値S1が、10μm〜100μmである請求項1に記載の熱可塑性炭素繊維樹脂基材。
  3. 面積が1cmの正方形の表面平均粗さRaの最大値S2が、200μm〜1500μmである請求項1または2に記載の熱可塑性炭素繊維樹脂基材。
  4. 面積が100cmの正方形の表面に、平均ピッチが20μm〜2000μmである凸凹を有する請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性炭素繊維樹脂基材。
  5. 面積が100cmの正方形の表面に、平均ピッチが20μm〜2000μmである凸凹の左右に1μm〜100μmのアンダーカットを有する請求項4に記載の熱可塑性炭素繊維樹脂基材。
  6. 平均ピッチが20μm〜2000μmである凸凹が不規則に存在している請求項4または5に記載の熱可塑性炭素繊維樹脂基材。
  7. 炭素繊維の含有率が5〜50%であり、繊維長が0.01〜0.5mmである炭素繊維を、炭素繊維全体の60%以上含有する請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性炭素繊維樹脂基材。
  8. 熱可塑性炭素繊維樹脂基材の厚さが0.1mm〜10mmである請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性炭素繊維樹脂基材。
  9. 熱可塑性樹脂が、少なくとも粘度の異なる第1と第2からなり、熱可塑性樹脂の融点から20〜50℃の高い温度において、第2の熱可塑性樹脂の粘度が、第1の熱可塑性樹脂の粘度の5〜50倍である請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性炭素繊維樹脂基材。
  10. 熱可塑性炭素繊維複合基材を真空成形機において、一旦融点近くまで加熱して、炭素繊維と樹脂のマトリックスを動きやすい状態にして、金型面に吸引し、金型面以外を冷却して、請求項1〜9のいずれかに記載の熱可塑性炭素繊維樹脂基材を製造する熱可塑性炭素繊維複合基材の製造方法。
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