JP2018111763A - 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルムの製造方法 - Google Patents

導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水系分散媒に含まれる導電性複合体の固形分濃度が従来よりも高められ、優れた導電性及び良好な外観を有する導電層の形成に適した、導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】[1]π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、前記導電性複合体を分散させる水系分散媒とを含有する導電性高分子分散液であって、前記導電性高分子分散液の総質量に対する前記導電性複合体の固形分の含有量が2.4質量%以上であり、前記π共役系導電性高分子と前記ポリアニオンの重量比が1:3以上1:5以下である、導電性高分子分散液。[2]前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[1]に記載の導電性高分子分散液。[3]前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、[1]又は[2]に記載の導電性高分子分散液。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルムの製造方法に関する。
導電性フィルムは、電子部品を包装する際に、電子部品の故障の原因となる静電気の発生を防止する帯電防止フィルムとして広く使用されている。
従来の帯電防止フィルムの製造方法として、フィルム基材の少なくとも一方の面に、π共役系導電性高分子及びポリアニオンの導電性複合体を含む帯電防止層を設け、必要に応じて延伸する方法が提案されている(例えば特許文献1)。
特開2016−047501号公報
特許文献1の帯電防止フィルムの製造方法では、有機溶剤に溶解し難いポリビニルアルコールを水系の導電性高分子分散液(導電性複合体の水系分散液)に混合することが必須であり、この混合液をフィルム基材に塗工してなる塗膜から水分を乾燥させるプロセスが必要となる。水分は有機溶剤と比べて乾燥が遅いので、製造効率を高める観点から、有機溶剤を分散媒として用いることが望まれている。
しかしながら、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体の有機溶剤に対する分散性は低いため、導電性複合体の合成時及び保存時には水系分散媒が用いられる。その後、導電性複合体の水系分散液をフィルム基材に塗工する前に、この水系分散液に有機溶剤を加えて、分散液中の水分率(及び導電性複合体の固形分濃度)を低下させる。有機溶剤が加えられた有機系分散液について、高圧ホモジナイザー等を用いて高分散化処理を行い、導電性複合体の分散性を辛うじて維持した有機系分散液を得て、その分散性が低下しないうちに塗工することができる。
上記のように、導電性複合体の水系分散液に有機溶剤を加えることによって分散液中の水分率を低下させ、導電性複合体の有機系分散液を得る場合、予め水系分散液に含まれる導電性複合体の固形分濃度を高くしておくことが望ましい。固形分濃度が高い水系分散媒を用いる方が、次に有機溶剤で希釈して得られる有機系分散液に含まれる導電性複合体の濃度を高くすること、及び有機系分散液に含まれる水分率を低下させることが、容易になるからである。
ところが、導電性複合体の水系分散媒に対する分散性は必ずしも高くなく、水系分散液の総質量に対する導電性複合体の固形分濃度(含有率)は、従来、1質量%前後とされていた(特許文献1の調製例2では1.2質量%)。また、導電性複合体の固形分濃度を闇雲に高めると、導電性複合体がゲル化する問題があった(後述の比較例6を参照)。
本発明は、水系分散媒に含まれる導電性複合体の固形分濃度が従来よりも高められ、優れた導電性及び良好な外観を有する導電層の形成に適した、導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに導電性フィルムの製造方法を提供する。
本発明者が鋭意検討したところ、導電性複合体を構成するπ共役系導電性高分子とポリアニオンの重量比を特定の範囲とすることにより、水系分散媒に対する導電性複合体の分散性が向上し、その固形分濃度を高められることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の各態様を以下に示す。
[1] π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、前記導電性複合体を分散させる水系分散媒とを含有する導電性高分子分散液であって、前記導電性高分子分散液の総質量に対する前記導電性複合体の固形分の含有量が2.4質量%以上であり、前記π共役系導電性高分子と前記ポリアニオンの重量比が1:3以上1:5以下である、導電性高分子分散液。
[2] 前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[1]に記載の導電性高分子分散液。
[3] 前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、[1]又は[2]に記載の導電性高分子分散液。
[4] 前記導電性高分子分散液の総質量に対する水分の含有量が80質量%以上である、[1]から[3]のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
[5] ポリアニオンを含む水系分散媒中でπ共役系導電性高分子のモノマーを重合し、前記π共役系導電性高分子及び前記ポリアニオンを含む導電性複合体が分散された導電性高分子分散液を製造する方法であって、前記水系分散媒に前記モノマー及び前記ポリアニオンを、前記モノマーと前記ポリアニオンの重量比が1:3以上1:5以下となるように添加した反応液を調製し、前記反応液において前記重合を行い、前記導電性複合体を前記水系分散媒に分散させた導電性高分子分散液を得る反応工程を有し、前記反応工程で得た前記導電性高分子分散液の総質量に対する、前記導電性複合体の固形分の濃度が2.4質量%以上である、導電性高分子分散液の製造方法。
[6] [1]から[4]のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液に有機溶剤を加えて、せん断力を付与しながら分散化処理する、導電性高分子分散液の製造方法。
[7] 前記有機溶剤がアルコールである、[6]に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
[8] 前記有機溶剤がメタノールである、[6]又は[7]に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
[9] 前記分散化処理を経た導電性高分子分散液の総質量に対する水分の含有量が20質量%以下である、[6]から[8]のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
[10] 前記分散化処理を経た前記導電性高分子分散液にさらにバインダ成分を添加する、[6]から[9]のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
[11] 前記バインダ成分が紫外線硬化型アクリル化合物である、[10]に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
[12] 前記バインダ成分を添加した後に得られた導電性高分子分散液の総質量に対する水分の含有量が1質量%以下である、[10]又は[11]に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
[13] [6]から[12]のいずれか一項に記載の製造方法によって得た導電性高分子分散液をフィルム基材の少なくとも一方の面に塗工し、前記フィルム基材上に塗膜を形成する工程と、前記塗膜を乾燥し、前記塗膜から前記有機溶剤を除去する工程と、を有する導電性フィルムの製造方法。
[14] [11]に記載の製造方法によって得た導電性高分子分散液をフィルム基材の少なくとも一方の面に塗工し、前記フィルム基材上に塗膜を形成する工程と、前記塗膜に紫外線を照射し、前記紫外線硬化型アクリル化合物を硬化させる工程と、を有する導電性フィルムの製造方法。
本発明の導電性高分子分散液は、水系分散媒に含まれる導電性複合体の固形分濃度が高いにも関わらず、良好な分散性を示す。この導電性高分子分散液を有機溶剤で希釈した塗料(有機系分散液)を用いることにより、フィルム基材に塗工する塗料の水分率を低減できるため、乾燥プロセスが容易になり、導電性フィルムの製造効率を高められる。
本発明の導電性高分子分散液の製造方法によれば、水系分散媒中の導電性複合体の固形分濃度が高い導電性高分子分散液(水系分散液)を容易に得ることができる。また、この水系分散液を有機溶剤で希釈して高分散化処理することにより、水分率が低い有機系分散媒に導電性複合体が分散された導電性高分子分散液(有機系分散液)を容易に得ることができる。
本発明の導電性フィルムの製造方法によれば、前記塗料(有機系分散液)を用いているため、フィルム基材に形成する塗膜の水分率を低減することができ、乾燥プロセスが容易になり、導電性フィルムの製造効率を高めることができる。また、優れた導電性及び良好な外観を有する導電性フィルムを製造することができる。
《導電性高分子分散液》
本発明の第一態様は、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、前記導電性複合体を分散させる水系分散媒とを含有する導電性高分子分散液であって、前記導電性高分子分散液の総質量に対する前記導電性複合体の固形分の含有量が2.4質量%以上であり、前記π共役系導電性高分子と前記ポリアニオンの重量比が1:3以上1:5以下である、導電性高分子分散液である。
以下、第一態様の導電性高分子分散液を導電性高分子水系分散液ということがある。
前記導電性高分子水系分散液は、必要に応じて、バインダ成分、高導電化剤、その他の添加剤を含有してもよい。
<導電性高分子>
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば本発明の効果を有する限り特に制限されず、例えば、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン系導電性高分子、ポリアセチレン系導電性高分子、ポリフェニレン系導電性高分子、ポリフェニレンビニレン系導電性高分子、ポリアニリン系導電性高分子、ポリアセン系導電性高分子、ポリチオフェンビニレン系導電性高分子、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール系導電性高分子、ポリチオフェン類及びポリアニリン系導電性高分子が好ましく、透明性の面から、ポリチオフェン系導電性高分子がより好ましい。
ポリチオフェン系導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)が挙げられる。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
上記π共役系導電性高分子のなかでも、分散性、導電性、透明性、耐熱性等の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
前記導電性複合体を形成するπ共役系導電性高分子は1種でもよいし、2種以上でもよい。
ポリアニオンとは、アニオン基を有するモノマー単位を、分子内に2つ以上有する重合体である。ポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能し、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。
ポリアニオンのアニオン基としては、スルホ基、またはカルボキシ基であることが好ましい。
ポリアニオンの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリメタクリルオキシベンゼンスルホン酸等のスルホン酸基を有する高分子や、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等のカルボン酸基を有する高分子が挙げられる。
ポリアニオンは単一種類のモノマーからなる重合体であってもよいし、2種以上のモノマーからなる共重合体であってもよい。
上記のポリアニオンのなかでも、分散性、導電性をより高くできることから、スルホン酸基を有する高分子が好ましく、ポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
前記導電性複合体を形成するポリアニオンは1種でもよいし、2種以上でもよい。
前記ポリアニオンの質量平均分子量は2万以上100万以下であることが好ましく、10万以上50万以下であることがより好ましい。
本明細書における質量平均分子量は、特に明記しない限り、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定し、標準物質をポリスチレンとして求めた値である。
本態様の導電性高分子分散液において、前記水系分散に分散された前記導電性複合体の固形分の含有量は、前記導電性高分子分散液の総質量(100質量%)に対して、2.4質量%以上である。ここで、前記含有量は、小数点第2位を四捨五入した値である。
前記含有量が高いほど、後段で有機溶剤を添加して希釈した導電性高分子分散液に含まれる導電性複合体の濃度を高めることができる。
前記含有量の上限値は特に限定されないが、分散性を高める観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
導電性複合体中のπ共役系導電性高分子:ポリアニオンの重量比の範囲は、1:3以上1:5以下である。
上記重量比が1:3以上1:5以下であると、導電性高分子水系分散液における導電性複合体の分散性が高くなり、比較的高濃度で分散させることができる。また、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が高まり、導電性が向上する。
<水系分散媒>
本態様における水系分散媒は、前記導電性複合体を分散させる液体であり、水、又は水と有機溶剤との混合液である。
水系分散媒における水の含有割合は、水系分散媒の総質量(100質量%)に対して、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。水系分散媒における水の含有割合が前記下限値以上であると、導電性高分子分散液における導電性複合体等の分散性がより向上する。
ここで、後述するバインダ成分が導電性高分子分散液に含まれ、前記バインダ成分が水分を含む場合、前記バインダ成分に含まれる水分と前記導電性複合体を分散する水分とは区別されない。つまり、導電性高分子分散液に含まれる水分は全て水系分散媒を構成する。また、その水系分散媒がバインダ成分に含まれ、エマルションを形成していても構わない。
前記有機溶剤としては、例えば、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
前記有機溶剤は1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、アリルアルコール等が挙げられる。
エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロプレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン等が挙げられる。
<高導電化剤>
前記導電性高分子分散液は高導電化剤を含んでもよい。高導電化剤は、前記導電性高分子分散液を用いて形成される導電層の導電性を向上させる化合物である。前述した導電性複合体は、高導電化剤に分類されない。ただし、前記有機溶剤が高導電化剤に該当していても構わない。
高導電化剤は、糖類、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基および1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
前記導電性高分子分散液に含まれる前記高導電化剤は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
導電性高分子分散液が高導電化剤として塩基性化合物を含むと、前記導電性がさらに向上するため好ましい。
ここで「塩基性化合物」とは、プロトンを結合可能な孤立電子対(ローンペア)を有する炭素原子以外の原子(ヘテロ原子)を含む化合物をいう。
塩基性化合物としては、窒素含有化合物が好ましく、窒素含有芳香族性環式化合物がより好ましい。
窒素含有芳香族性環式化合物としては、例えば、一つの窒素原子を含有するピリジン類及びその誘導体、二つの窒素原子を含有するイミダゾール類及びその誘導体、ピリミジン類及びその誘導体、ピラジン類及びその誘導体、三つの窒素原子を含有するトリアジン類及びその誘導体等が挙げられる。溶媒溶解性等の観点からは、ピリジン類及びその誘導体、イミダゾール類及びその誘導体、ピリミジン類及びその誘導体が好ましい。
ピリジン類及びその誘導体の具体的な例としては、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、4−エチルピリジン、N−ビニルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、3−シアノ−5−メチルピリジン、2−ピリジンカルボン酸、6−メチル−2−ピリジンカルボン酸、4−ピリジンカルボキシアルデヒド、4−アミノピリジン、2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノ−4−メチルピリジン、4−ヒドロキシピリジン、4−ピリジンメタノール、2,6−ジヒドロキシピリジン、2,6−ピリジンジメタノール、6−ヒドロキシニコチン酸メチル、2−ヒドロキシ−5−ピリジンメタノール、6−ヒドロキシニコチン酸エチル、4−ピリジンメタノール、4−ピリジンエタノール、2−フェニルピリジン、3−メチルキノリン、3−エチルキノリン、キノリノール、2,3−シクロペンテノピリジン、2,3−シクロヘキサノピリジン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)プロパン、2−ピリジンカルボキシアルデヒド、2−ピリジンカルボン酸、2−ピリジンカルボニトリル、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3−ピリジンスルホン酸等が挙げられる。
イミダゾール類及びその誘導体の具体的な例としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ウンデジルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N−ビニルイミダゾール、N−アリルイミダゾール、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール(N−ヒドロキシエチルイミダゾール)、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−アセチルイミダゾール、4,5−イミダゾールジカルボン酸、4,5−イミダゾールジカルボン酸ジメチル、ベンズイミダゾール、2−アミノベンズイミダゾール、2−アミノベンズイミダゾール−2−スルホン酸、2−アミノ−1−メチルベンズイミダゾール、2−ヒドロキシベンズイミダゾール、2−(2−ピリジル)ベンズイミダゾール等が挙げられる。
ピリミジン類及びその誘導体の具体的な例としては、2−アミノ−4−クロロ−6−メチルピリミジン、2−アミノ−6−クロロ−4−メトキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン、2−アミノピリミジン、2−アミノ−4−メチルピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジヒドロキシピリミジン−5−カルボン酸、2,4,6−トリアミノピリミジン、2,4−ジメトキシピリミジン、2,4,5−トリヒドロキシピリミジン、2,4−ピリミジンジオール等が挙げられる。
ピラジン類及びその誘導体の具体的な例としては、ピラジン、2−メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、ピラジンカルボン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸、5−メチルピラジンカルボン酸、ピラジンアミド、5−メチルピラジンアミド、2−シアノピラジン、アミノピラジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、2−エチル−3−メチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,3−ジエチルピラジン等が挙げられる。
トリアジン類及びその誘導体の具体的な例としては、1,3,5−トリアジン、2−アミノ−1,3,5−トリアジン、3−アミノ−1,2,4−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリ−2−ピリジン−1,3,5−トリアジン、3−(2−ピリジン)−5,6−ビス(4−フェニルスルホン酸)−1,2,4―トリアジン二ナトリウム、3−(2−ピリジン)−5,6−ジフェニル−1,2,4−トリアジン、3−(2−ピリジン)−5,6−ジフェニル−1,2,4―トリアジン−ρ,ρ’−ジスルホン酸二ナトリウム、2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
2個以上のヒドロキシ基を有する化合物としては、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、D−グルコース、D−グルシトール、イソプレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、チオジエタノール、グルコース、酒石酸、D−グルカル酸、グルタコン酸等の多価脂肪族アルコール類;セルロース、多糖、糖アルコール等の高分子アルコール;1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、2,3−ジヒドロキシ−1−ペンタデシルベンゼン、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,6−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,5−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルフォン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、ヒドロキシキノンカルボン酸及びその塩類、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、1,4−ヒドロキノンスルホン酸及びその塩類、4,5−ヒドロキシベンゼン−1,3−ジスルホン酸及びその塩類、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン−2,6−ジカルボン酸、1,6−ジヒドロキシナフタレン−2,5−ジカルボン酸、1,5−ジヒドロキシナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、4,5−ジヒドロキシナフタレン−2,7−ジスルホン酸及びその塩類、1,8−ジヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸及びその塩類、6,7−ジヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸及びその塩類、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン(ピロガロール)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、5−メチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−エチル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、5−プロピル−1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシアセトフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾアルデヒド、トリヒドロキシアントラキノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシ−p−ベンゾキノン、テトラヒドロキシアントラキノン、ガーリック酸メチル(没食子酸メチル)、ガーリック酸エチル(没食子酸エチル)等の芳香族化合物、ヒドロキノンスルホン酸カリウム等が挙げられる。
1個以上のヒドロキシ基及び1個以上のカルボキシ基を有する化合物としては、酒石酸、グリセリン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロパン酸、D−グルカル酸、グルタコン酸等が挙げられる。
アミド基を有する化合物は、−CO−NH−(COの部分は二重結合)で表されるアミド結合を分子中に有する単分子化合物である。すなわち、アミド化合物としては、例えば、上記結合の両末端に官能基を有する化合物、上記結合の一方の末端に環状化合物が結合された化合物、上記両末端の官能基が水素である尿素及び尿素誘導体などが挙げられる。
アミド化合物の具体例としては、アセトアミド、マロンアミド、スクシンアミド、マレアミド、フマルアミド、ベンズアミド、ナフトアミド、フタルアミド、イソフタルアミド、テレフタルアミド、ニコチンアミド、イソニコチンアミド、2−フルアミド、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、プロピオンアミド、プロピオルアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド、パルミトアミド、ステアリルアミド、オレアミド、オキサミド、グルタルアミド、アジプアミド、シンナムアミド、グリコールアミド、ラクトアミド、グリセルアミド、タルタルアミド、シトルアミド、グリオキシルアミド、ピルボアミド、アセトアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ベンジルアミド、アントラニルアミド、エチレンジアミンテトラアセトアミド、ジアセトアミド、トリアセトアミド、ジベンズアミド、トリベンズアミド、ローダニン、尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、ビウレット、ブチル尿素、ジブチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素及びこれらの誘導体等が挙げられる。
また、アミド化合物として、アクリルアミドを使用することもできる。アクリルアミドとしては、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどが挙げられる。
アミド化合物の分子量は46以上10,000以下であることが好ましく、46以上5,000以下であることがより好ましく、46以上1,000以下であることが特に好ましい。
アミド化合物としては、導電性がより高くなることから、イミド結合を有する単分子化合物(以下、イミド化合物という。)が好ましい。イミド化合物としては、その骨格より、フタルイミド及びフタルイミド誘導体、スクシンイミド及びスクシンイミド誘導体、ベンズイミド及びベンズイミド誘導体、マレイミド及びマレイミド誘導体、ナフタルイミド及びナフタルイミド誘導体などが挙げられる。
また、イミド化合物は両末端の官能基の種類によって、脂肪族イミド、芳香族イミド等に分類されるが、溶解性の観点からは、脂肪族イミドが好ましい。
さらに、脂肪族イミド化合物は、分子内の炭素間に不飽和結合を有さない飽和脂肪族イミド化合物と、分子内の炭素間に不飽和結合を有する不飽和脂肪族イミド化合物とに分類される。
飽和脂肪族イミド化合物は、R−CO−NH−CO−Rで表される化合物であり、R,Rの両方が飽和炭化水素である化合物である。具体的には、シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシイミド、アラントイン、ヒダントイン、バルビツル酸、アロキサン、グルタルイミド、スクシンイミド、5−ブチルヒダントイン酸、5,5−ジメチルヒダントイン、1−メチルヒダントイン、1,5,5−トリメチルヒダントイン、5−ヒダントイン酢酸、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、セミカルバジド、α,α−ジメチル−6−メチルスクシンイミド、ビス[2−(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、α−メチル−α−プロピルスクシンイミド、シクロヘキシルイミドなどが挙げられる。
不飽和脂肪族イミド化合物は、R−CO−NH−CO−Rで表される化合物であり、R,Rの一方又は両方が1つ以上の不飽和結合である化合物である。具体例は、1,3−ジプロピレン尿素、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ヒドロキシマレイミド、1,4−ビスマレイミドブタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、1,8−ビスマレイミドオクタン、N−カルボキシヘプチルマレイミドなどが挙げられる。
イミド化合物の分子量は60以上5,000以下であることが好ましく、70以上1,000以下であることがより好ましく、80以上500以下であることが特に好ましい。
ラクタム化合物とは、アミノカルボン酸の分子内環状アミドであり、環の一部が−CO−NR−(Rは水素又は任意の置換基)である化合物である。ただし、環の一個以上の炭素原子が不飽和やヘテロ原子に置き換わっていてもよい。
ラクタム化合物としては、例えば、ペンタノ−4−ラクタム、4−ペンタンラクタム−5−メチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリジノン、ヘキサノ−6−ラクタム、6−ヘキサンラクタム等が挙げられる。
グリシジル基を有する化合物としては、例えば、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、グリシジルフェニルエーテル、ビスフェノールA、ジグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジルエーテル等のグリシジル化合物などが挙げられる。
前記導電性高分子分散液における前記高導電化剤の含有割合は、導電性複合体の100質量部に対して、例えば、10質量部以上10000質量部以下が挙げられる。
高導電化剤の含有割合が前記10質量部以上であると、高導電化剤添加による導電性向上効果が充分に発揮され、前記10000質量部以下であると、導電性複合体の含有率の低下を抑制し、良好な導電性が得られる。
導電性高分子分散液には、公知の添加剤が含まれてもよい。
添加剤としては、本発明の効果が得られる限り特に制限されず、例えば、界面活性剤、無機導電剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられるが、保存安定性の面からノニオン系が好ましい。また、ポリビニルピロリドンなどのポリマー系界面活性剤を添加してもよい。
無機導電剤としては、金属イオン類、導電性カーボン等が挙げられる。なお、金属イオンは、金属塩を水に溶解させることにより生成させることができる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基等を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
導電性高分子分散液が上記添加剤を含有する場合、その含有割合は、添加剤の種類に応じて適宜決められるが、通常、導電性複合体の固形分100質量部に対して、0.001質量部以上5質量部以下の範囲内であることが好ましい。
導電性高分子分散液の総質量(100質量%)において、前述した導電性複合体を除いた残部は、その他の任意成分を含んでいてもよい分散媒であることが好ましい。導電性高分子分散液の総質量(100質量%)に対する、前記水系分散媒の含有量は、例えば、90質量%以上99質量%以下が好ましい。90質量%以上であると、導電性複合体の分散性がより良好となる。
《導電性高分子分散液の製造方法》
本発明の第二態様は、ポリアニオンを含む水系分散媒中でπ共役系導電性高分子のモノマーを重合し、前記π共役系導電性高分子及び前記ポリアニオンを含む導電性複合体が分散された導電性高分子分散液を製造する方法である。
本態様は、前記水系分散媒に前記モノマー及び前記ポリアニオンを、前記モノマーと前記ポリアニオンの重量比が1:3以上1:5以下となるように添加した反応液を調製し、前記反応液において前記重合を行い、前記導電性複合体を前記水系分散媒に分散させた導電性高分子分散液を得る反応工程を有する。
本態様において、前記反応工程で得た前記導電性高分子分散液の総質量に対する、前記導電性複合体の固形分の濃度が2.4質量%以上である。ここで、前記固形分濃度は、小数点第2位を四捨五入した値である。
第二態様の製造方法によって、第一態様の導電性高分子分散液(導電性高分子水系分散液)を製造することができる。
導電性高分子水系分散液は、前記反応液中で前記モノマー同士を、前記重量比とすること以外は公知の反応条件で重合することによって得られる。重合してなるπ共役系導電性高分子とポリアニオンは、前記反応液中で自然に結合し、導電性複合体を形成する。形成された導電性複合体を含む反応液を穏やかに撹拌することにより、前記水系分散媒に前記導電性複合体を分散した導電性高分子分散液が得られる。
前記反応液に仕込む前記ポリアニオンと前記モノマーの重量比を1:3以上1:5以下となるように調製することによって、形成される導電性複合体を構成するπ共役系導電性高分子とポリアニオンの重量比は1:3以上1:5以下、すなわち仕込みと同じ重量比になる。
前記反応液に仕込んだ前記ポリアニオンと前記モノマーの合計の含有量は、前記反応液の総質量に対して、2.4質量%以上(小数点第2位を四捨五入)となるように、前記反応液を調製することが好ましい。このように調製すると、仕込み量と同じ含有量の導電性複合体を反応液中に形成することができる。前記合計の含有量の上限値は特に限定されないが、前記反応液中の前記導電性複合体の分散性を考慮して、例えば10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
前記反応液を構成する水系分散媒としては、第一態様の水系分散媒と同じものを例示できる。形成される導電性複合体の分散性を向上させる観点から、水であることが好ましい。
前記π共役系導電性高分子及び前記ポリアニオンは、第一態様のπ共役系導電性高分子及びポリアニオンと同じである。π共役系導電性高分子を形成する重合に用いられる前記モノマーとしては、公知のモノマーを適用することができる。
前記重合には、公知の触媒を適用してもよい。例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の酸化剤を触媒として用いることができる。
前記重合の触媒として鉄イオンを添加してもよい。反応液中に添加する鉄イオンの量としては、反応液の総質量に対して、例えば、0.001質量%以上0.100質量%以下が好ましく、0.010質量%以上0.050質量%以下がより好ましい。ここで、鉄イオンの量の数値は、小数点第四位を四捨五入した値である。
前記鉄イオンの量が0.001質量%以上であると、触媒効果による重合反応が充分に促進されるので好ましい。前記鉄イオンの量が0.100質量%以下であると、重合反応が適度な速度で進行し、反応液のゲル化や不均一化の発生を抑制することができる。本発明の導電性高分子分散液は、従来よりも高い濃度の導電性複合体を含むため、これを形成する重合反応を適度な速度で進行させることは重要である。
前記鉄イオンは3価の鉄イオンであることが好ましい。3価の鉄イオンを反応液に添加する方法としては、例えば、反応液に硫酸第二鉄(硫酸鉄(III))もしくは塩化第二鉄を添加する方法が挙げられる。
本発明の第三態様は、第一態様の導電性高分子分散液(導電性高分子水系分散液)に有機溶剤を加えて、せん断力を付与しながら分散化処理する導電性高分子分散液の製造方法である。
本態様で得られる導電性高分子分散液の水分率(含水率)は、前記導電性高分子分散液の総質量に対して、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下が特に好ましい。前記水分率は0質量%であっても構わない。前記導電性高分子分散液を構成する分散媒から水分を除いた残部は、前記有機溶剤であることが好ましい。
以下、前記水分率が20質量%以下の導電性高分子分散液を導電性高分子有機系分散液ということがある。
第三態様の製造方法において、例えば、導電性高分子水系分散液の20質量部に対して、前記有機溶剤の80質量部を加えて希釈することにより、導電性高分子有機系分散液を得ることができる。加える有機溶剤の質量部を大きくするほど(希釈率を高めるほど)、得られる導電性高分子有機系分散液の水分率を低下させることができる。ただし、水分率の低下とともに、導電性複合体の固形分濃度も低下する。導電性複合体の固形分濃度が低下すると、その分散性は高まるが、後述のようにフィルム基材上に形成する導電層の導電性が低下することがある。つまり、水分率を低下させる目的と、優れた導電性を得る目的とはトレードオフの関係にある。
前記水分率を低下させる目的を達成するために、前記有機溶剤を加える他に、水以外の任意材料(水分を実質的に含まない任意の材料)を加えてもよい。任意材料としては、例えば、前述した高導電化剤、後述するバインダ成分等が挙げられる。
前記水分率を低下させる目的と優れた導電性を得る目的の両方のバランスを取る観点から、(導電性高分子水系分散液/前記有機溶剤及び水以外の任意材料)で表す混合割合は、質量基準で、(0.1/99.9)以上(20/80)以下が好ましく、(0.5/99.5)以上(10/90)以下がより好ましく、(1/99)以上(5/95)以下がさらに好ましい。
本態様で用いる前記有機溶剤としては、水に対する溶解性が高い有機溶剤が好ましく、例えば、溶解度パラメータ(SP値)が10以上の有機溶剤が好ましい。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホルトリアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等の窒素原子含有極性溶媒、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール溶媒、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール等の多価脂肪族アルコール溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル溶媒、ジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル溶媒、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、アセトニトリル、グルタロニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤としては、導電性複合体の分散性が比較的良好である観点から、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、及びジメチルスルホキシドからなる群より選択される少なくとも1つが好ましい。
導電性高分子水系分散液に前記有機溶剤を加えて、せん断力を付与しながら分散処理する方法としては、例えば、一般に高分散化処理と呼ばれる方法が挙げられる。
高分散化処理においては、分散機を用いることが好ましい。分散機としては、例えば、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ビーズミル等が挙げられる。
高圧ホモジナイザーは、例えば、高分散化処理する導電性高分子水分散液などを加圧する高圧発生部と、分散を行う対向衝突部、オリフィス部又はスリット部とを備える装置が挙げられる。高圧発生部としては、プランジャーポンプ等の公知の高圧ポンプが用いられる。高圧ホモジナイザーの具体例としては、例えば、吉田機械興業製の商品名ナノマイザー、マイクロフルイディスク製の商品名マイクロフルイダイザー、スギノマシン製のアルティマイザーなどが挙げられる。
<バインダ成分>
前記バインダ成分は、前記導電性複合体以外の成分であり、導電性高分子分散液を塗工して形成する導電層の機械的強度や硬度を向上させ得る成分である。
バインダ成分としては、樹脂、熱硬化性化合物、活性エネルギー線硬化型化合物が挙げられる。前記導電性高分子分散液に熱硬化性化合物が含有される場合には、熱重合開始剤も含有されることが好ましく、活性エネルギー線硬化型化合物が含有される場合には、光重合開始剤も含有されることが好ましい。
バインダ成分として使用できる樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、酢酸ビニル樹脂などが用いられる。
熱硬化性化合物及び活性エネルギー線硬化型化合物としては、ビニル基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物、オキセタン基を有する化合物等が挙げられる。これらは、モノマーでもよいし、オリゴマーでもよい。
バインダ成分としては、硬化が容易であることから、アクリル化合物が好ましく、活性エネルギー線硬化型アクリル化合物がより好ましい。
活性エネルギー線硬化型アクリル化合物としては、例えば、アクリレート、メタクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、カルボン酸ビニルエステル等が挙げられる。前記活性エネルギー線硬化型アクリル化合物がその分子中に有するラジカル重合性官能基の数は、1つでもよいし、複数でもよい。
前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、可視光線等が挙げられる。
アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールA・エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート等が挙げられる。
メタクリレートとしては、例えば、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、メタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロイルモルホリン、アクリロイルピペリジン等が挙げられる。
ビニルエーテルとしては、例えば、2−クロロエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
カルボン酸ビニルエステルとしては、例えば、酪酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げられる。
また、前記アクリル化合物は、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリアクリルアクリレート等の、アクリルモノマーと他の化合物とを反応させて得たアクリレートであってもよい。
前記導電性高分子有機系分散液に混合するバインダ成分は、1種でもよいし、2種以上でもよい。
バインダ成分の固形分の含有割合は、前記導電性複合体1質量部に対して、例えば、10質量部以上100000質量部以下であることが好ましく、100質量部以上10000質量部以下であることがより好ましく、1000質量部以上5000質量部以下であることがさらに好ましい。バインダ成分の含有割合が前記1質量部以上であると、得られる導電層の強度及び硬度をさらに向上させることができ、前記10万質量部以下であると、導電性複合体の含有率の低下を抑制し、良好な導電性を確保できる。
《導電性フィルムの製造方法》
本発明の第四態様は、第三態様の製造方法によって得た導電性高分子分散液(導電性高分子有機系分散液)をフィルム基材の少なくとも一方の面に塗工し、前記フィルム基材上に塗膜を形成する工程(塗工工程)と、前記塗膜を乾燥し、前記塗膜から前記有機溶剤を除去する工程(乾燥工程)と、を有する導電性フィルムの製造方法である。
[塗工工程]
フィルム基材の少なくとも一方の面に前記導電性高分子分散液を塗工することにより、その塗工面に塗膜(導電層)を形成することができる。
塗工工程において使用するフィルム基材としては、プラスチックフィルムが挙げられる。
プラスチックフィルムを構成するフィルム基材用樹脂としては、例えば、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。これらのフィルム基材用樹脂の中でも、安価で機械的強度に優れる点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
また、前記導電性高分子分散液をフィルム基材に塗工することによって形成される導電層の密着性を向上させるために、フィルム基材には、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の表面処理を施してもよい。
フィルム基材の平均厚みとしては、10μm以上1000μm以下であることが好ましく、20μm以上500μm以下であることがより好ましい。フィルム基材の平均厚みが前記下限値以上であれば、破断しにくくなり、前記上限値以下であれば、フィルムとして充分な可撓性を確保できる。
本明細書における厚さは、任意の10箇所について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
前記導電性高分子分散液を塗工する方法としては、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファウンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等のコーターを用いた塗工方法、エアスプレー、エアレススプレー、ローターダンプニング等の噴霧器を用いた噴霧方法、ディップ等の浸漬方法等を適用することができる。
上記のうち、簡便に塗工できることから、バーコーターを用いることがある。バーコーターにおいては、種類によって塗工厚が異なり、市販のバーコーターでは、種類ごとに番号が付されており、その番号が大きい程、厚く塗工できるものとなっている。
前記導電性高分子分散液のフィルム基材への塗工量は特に制限されないが、固形分として、0.1g/m以上10.0g/m以下の範囲であることが好ましい。
塗工工程において、フィルム基材の片面のみに前記導電性高分子分散液を塗工して片面のみに塗膜を形成してもよいし、フィルム基材の両面に前記導電性高分子分散液を塗工して両面に塗膜を形成してもよい。フィルム基材上に塗膜が形成されたものを塗工フィルムと称する。
塗工フィルムを乾燥する方法としては、加熱乾燥、真空乾燥等が挙げられる。加熱乾燥としては、例えば、熱風加熱や、赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。
加熱乾燥を適用する場合、加熱温度は、使用する分散媒に応じて適宜設定されるが、通常は、50℃以上150℃以下の範囲内である。ここで、加熱温度は、乾燥装置の設定温度である。
前記塗膜に熱重合開始剤が含まれている場合は、加熱乾燥によって前記熱硬化性化合物の重合を開始させることができる。この重合によって硬化した導電層を形成することができる。
前記塗膜に光重合開始剤が含まれている場合は、前記塗工フィルムを乾燥する方法に替えて、又は前記塗工フィルムを乾燥する方法に加えて、前記塗工フィルムに活性エネルギー線を照射する光照射工程を有していてもよい。この光照射によって前記活性エネルギー線硬化型化合物の重合を開始させることができる。この重合によって硬化した導電層を形成することができる。光照射工程は、乾燥工程の途中に行ってもよいし、乾燥工程の前又は後に行ってもよい。
前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、可視光線等が挙げられる。紫外線の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプなどが挙げられる。
紫外線照射の照度は100mW/cm以上であることが好ましく、積算光量は50mJ/cm以上であることが好ましい。これらの好適な照射条件であると、前記アクリル化合物をより容易に硬化させ、架橋を形成することができる。
ここで例示した照度、積算光量は、トプコン社製UVR−T1(工業用UVチェッカー、受光器;UD−T36、測定波長範囲;300nm以上390nm以下、ピーク感度波長;約355nm)を用いて測定した値である。
塗膜が硬化してなる前記導電層の平均厚さとしては、10nm以上5000nm以下であることが好ましく、20nm以上1000nm以下であることがより好ましく、30nm以上500nm以下であることがさらに好ましい。導電層の平均厚さが前記10nm以上であると、良好な導電性が得られ、前記5000nm以下であると、導電層を容易に形成することができる。
(製造例1)ポリスチレンスルホン酸の製造
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃にて攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した6.18gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、その溶液を12時間攪拌した。
得られたポリスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に、10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、得られたポリスチレンスルホン酸含有溶液の1000mlの溶媒を除去した。次いで、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去して、ポリスチレンスルホン酸を水洗した。この水洗操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形物としてポリスチレンスルホン酸を得た。
得られたポリスチレンスルホン酸についてGPC(ゲル濾過クロマトグラフィー)カラムを用いたHPLC(高速液体クロマトグラフィー)システムを用いて、昭和電工製プルランを標準物質として重量平均分子量を測定した結果、分子量は20万であった。
(製造例2)ハードコート溶液の製造
ペンタエリスリトールトリアクリレート300gと、アートレジンUN-904M(根上工業社製、ウレタンアクリレート、固形分80%、MEK溶液)100gと、ヒドロキシエチルアクリルアミド20gと、チオジプロピオン酸5gと、エチルカルビトール50gと、イルガキュア184(BASF社製、光ラジカル開始剤)16gと、を混合してハードコート溶液を得た。
(実施例1)
5gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、15gのポリスチレンスルホン酸を724.5gのイオン交換水に溶かした溶液とを混合した。
得られた混合溶液を30℃に保ち、攪拌しながら、48.5gの水と1.5gの硫酸第二鉄(硫酸鉄(III))の混合液を添加した。次に、40gの水と10gの過硫酸アンモニウムの混合液を添加し、4時間撹拌して反応させた。この反応液中の3価の鉄イオン濃度は0.050質量%であった。
得られた反応液に100gの陽イオン交換樹脂と100gの陰イオン交換樹脂を添加して24時間静置した後、濾過により陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を除去した。
以上の操作により、PEDOT:PSS重量比1:3のPEDOT−PSSを含む、固形分2.4質量%(小数点第2位を繰り上げた値)の導電性高分子水系分散液を得た。
(実施例2)
ポリスチレンスルホン酸を25g、イオン交換水を1131.5gに変えた事以外は、実施例1と同様にして、PEDOT−PSSを形成する反応を行った。この反応液中の3価の鉄イオン濃度は0.033質量%であった。
以上の操作により、PEDOT:PSS重量比1:5のPEDOT−PSSを含む、固形分2.4質量%(小数点第2位を繰り上げた値)の導電性高分子水系分散液を得た。
(実施例3)
5gの3,4―エチレンジオキシチオフェンと、15gのポリスチレンスルホン酸を446.6gのイオン交換水に溶かした溶液とを混合させた。
得られた混合溶液を30℃に保ち、攪拌しながら49.0gの水と1.0gの硫酸第二鉄の混合液を添加した。次に、40gの水と10gの過硫酸アンモニウムの混合液を添加し、4時間撹拌して反応させた。この反応液中の3価の鉄イオン濃度は0.050質量%であった。
得られた反応液に100gの陽イオン交換樹脂と100gの陰イオン交換樹脂を添加して24時間静置した後、濾過により陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を除去した。
以上の操作により、PEDOT:PSS重量比1:3のPEDOT−PSSを含む、固形分3.6質量%(小数点第2位を繰り上げた値)の導電性高分子水系分散液を得た。
(実施例4)
ポリスチレンスルホン酸を25g、イオン交換水を714.3gに変えた事以外は、実施例3と同様にして、PEDOT−PSSを形成する反応を行った。この反応液中の3価の鉄イオン濃度は0.033質量%であった。
以上の操作により、PEDOT:PSS重量比1:5のPEDOT−PSSを含む、固形分3.6質量%(小数点第2位を繰り上げた値)の導電性高分子水系分散液を得た。
(比較例1)
ポリスチレンスルホン酸を37.5g、イオン交換水を1639.8gに変えた事以外は、実施例1と同様にして、PEDOT−PSSを形成する反応を行った。この反応液中の3価の鉄イオン濃度は0.024質量%であった。
以上の操作により、PEDOT:PSS重量比1:7.5のPEDOT−PSSを含む、固形分2.4質量%(小数点第2位を繰り上げた値)の導電性高分子水系分散液を得た。
(比較例2)
ポリスチレンスルホン酸を37.5g、イオン交換水を1049.1gに変えた事以外は、実施例4と同様にして、PEDOT−PSSを形成する反応を行った。この反応液中の3価の鉄イオン濃度は0.023質量%であった。
以上の操作により、PEDOT:PSS重量比1:7.5のPEDOT−PSSを含む、固形分3.6質量%(小数点第2位を繰り上げた値)の導電性高分子水系分散液を得た。
(比較例3)
5gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、15gのポリスチレンスルホン酸を1559.7gのイオン交換水に溶かした溶液とを混合させた。
得られた混合溶液を30℃に保ち、攪拌しながら47.0gの水と3.0gの硫酸第二鉄の混合液を添加した。次に、40gの水と10gの過硫酸アンモニウムの混合液を添加し、4時間撹拌して反応させた。この反応液中の3価の鉄イオン濃度は0.050質量%であった。
得られた反応液に100gの陽イオン交換樹脂と100gの陰イオン交換樹脂を添加して24時間静置した後、濾過により陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を除去した。
以上の操作により、PEDOT:PSS重量比1:3のPEDOT−PSSを含む、固形分1.2質量%(小数点第2位を繰り上げた値)の導電性高分子水系分散液を得た。
(比較例4)
ポリスチレンスルホン酸を25g、イオン交換水を2383.0gに変えた事以外は、比較例1と同様にして、PEDOT−PSSを形成する反応を行った。この反応液中の3価の鉄イオン濃度は0.024質量%であった。
以上の操作により、PEDOT:PSS重量比1:5のPEDOT−PSSを含む、固形分1.2質量%(小数点第2位を繰り上げた値)の導電性高分子水系分散液を得た。
(比較例5)
5gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、10gのポリスチレンスルホン酸を521.5gのイオン交換水に溶かした溶液とを混合させた。
得られた混合溶液を30℃に保ち、攪拌しながら48.5gの水と1.5gの硫酸第二鉄の混合液を添加した。次に、40gの水と10gの過硫酸アンモニウムの混合液を添加し、4時間撹拌して反応させた。この反応液中の3価の鉄イオン濃度は0.066質量%であった。
得られた反応液に100gの陽イオン交換樹脂と100gの陰イオン交換樹脂を添加して24時間静置した後、濾過により陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を除去した。
以上の操作により、PEDOT:PSS重量比1:2のPEDOT−PSSを含む、固形分2.4質量%(小数点第2位を繰り上げた値)の導電性高分子水系分散液を得た。
(比較例6)
5gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、10gのポリスチレンスルホン酸を312.7gのイオン交換水に溶かした溶液とを混合させた。
得られた混合溶液を30℃に保ち、攪拌しながら49.0gの水と1.0gの硫酸第二鉄の混合液を添加した。次に、40gの水と10gの過硫酸アンモニウムの混合液を添加し、4時間撹拌して反応させた。この反応液中の3価の鉄イオン濃度は0.065質量%であった。反応液がゲル化して攪拌できなくなったところで撹拌を中止した。
以上の操作により、PEDOT:PSS重量比1:2のPEDOT−PSSを含む、固形分3.5質量%(小数点第2位を繰り上げた値)の導電性複合体を含むゲルを得た。得られたゲルは、フィルムに塗工する用途には不適当であったので、以降の試験では使用しなかった。
(実施例5)
実施例1の導電性高分子水系分散液20gにメタノール80gを添加し、高圧ホモジナイザーを用いて高分散化した。得られた導電性高分子有機系分散液5gとメタノール45.9gと前記ハードコート溶液49.1gを混合して、水分率1質量%未満の塗料(導電性高分子有機系分散液)を作成した。得られた塗料を#8のバーコーターを用いてPETフィルム上に塗布し、100℃で1分間乾燥し、400mJの紫外線照射を行った。
得られた導電性フィルムの表面抵抗値を測定した結果と、目視で塗膜の状態を観察した結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1の導電性高分子水系分散液を実施例2の導電性高分子水系分散液に変えたこと以外は、実施例5と同様にして、導電性フィルムを作製して検討した。その結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1の導電性高分子水系分散液を実施例3の導電性高分子水系分散液に変えたこと以外は、実施例5と同様にして、導電性フィルムを作製して検討した。その結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1の導電性高分子水系分散液を実施例4の導電性高分子水系分散液に変えたこと以外は、実施例5と同様にして、導電性フィルムを作製して検討した。その結果を表1に示す。
(比較例7)
実施例1の導電性高分子水系分散液を比較例1の導電性高分子水系分散液に変えたこと以外は、実施例5と同様にして、導電性フィルムを作製して検討した。その結果を表1に示す。
(比較例8)
実施例1の導電性高分子水系分散液を比較例2の導電性高分子水系分散液に変えたこと以外は、実施例5と同様にして、導電性フィルムを作製して検討した。その結果を表1に示す。
(比較例9)
実施例1の導電性高分子水系分散液を比較例3の導電性高分子水系分散液に変えたこと以外は、実施例5と同様にして、導電性フィルムを作製して検討した。その結果を表1に示す。
(比較例10)
実施例1の導電性高分子水系分散液を比較例4の導電性高分子水系分散液に変えたこと以外は、実施例5と同様にして、導電性フィルムを作製して検討した。その結果を表1に示す。
(比較例11)
実施例1の導電性高分子水系分散液を比較例5の導電性高分子水系分散液に変えたこと以外は、実施例5と同様にして、導電性フィルムを作製して検討した。その結果を表1に示す。
(比較例12)
比較例3の導電性高分子水系分散液20gにメタノール80gを添加し、高圧ホモジナイザーを用いて分散した。得られた導電性高分子有機系分散液10gとメタノール40.9gと前記ハードコート溶液49.1gを混合して、水分率2質量%未満の塗料(導電性高分子有機系分散液)を作成した。この塗料を用いたこと以外は実施例5と同様にして、導電性フィルムを作製して検討した。その結果を表1に示す。
(比較例13)
比較例4の導電性高分子水系溶液20gにメタノール80gを添加し、高圧ホモジナイザーを用いて分散した。得られた導電性高分子有機系分散液10gとメタノール40.9gと前記ハードコート溶液49.1gを混合して、水分率2質量%未満の塗料(導電性高分子有機系分散液)を作成した。この塗料を用いたこと以外は実施例5と同様にして、導電性フィルムを作製して検討した。その結果を表1に示す。
<評価>
[表面抵抗値の測定]
作製した導電性フィルムの導電層の表面抵抗値(単位:Ω/□)を、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリティック製ハイレスタMCP−HT450)を用い、印加電圧10Vの条件で測定した。
[導電性フィルムを目視で観察]
導電性フィルムを透かして見た透過像について、フィルム基材と同様の見え方である場合を「問題なし」と評価し;真っ直ぐに見えず、ムラやゆらぎが観察された場合を「うねりが見られる」と評価した。
Figure 2018111763
<考察>
実施例1〜4、比較例1〜5の導電性高分子水系分散液における導電性複合体の分散性は良好であった。比較例6においては、導電性複合体の固形分濃度が高く、且つπ共役系導電性高分子に対するポリアニオンの重量比(PEDOT:PSS重量比)が低かったため、導電性複合体が互いに凝集してゲル化した。実施例3〜4を参照すると、導電性複合体の固形分濃度が高い場合、ポリアニオンの含有割合が高いと分散性が向上することが分かる。
実施例1〜4の導電性高分子水系分散液を用いて製造した実施例5〜8の導電性フィルムは、優れた導電性と良好な外観(光透過性)を有していた。
しかし、比較例1〜2の導電性高分子水系分散液を用いて製造した比較例7〜8の導電性フィルムは、導電性が優れなかった。これらの結果から、ポリアニオンの含有割合が高過ぎると、導電性が向上しないことが分かる。また、比較例3〜4の導電性高分子水系分散液を用いて製造した比較例9〜10の導電性フィルムにおいてもその導電性は低かった。この理由は、導電性複合体の固形分濃度が実施例よりも低いためである。さらに、比較例5の導電性高分子水系分散液を用いた比較例11の導電性フィルムにおいてもその導電性は低かった。この理由は、導電性複合体におけるポリアニオンの含有割合が低いためである。これらの結果から、導電層中の導電性複合体の含有量が低い場合、並びにポリアニオンの含有割合が低過ぎる場合及び高過ぎる場合に、導電性が向上しないことが分かる。
比較例12〜13の導電性フィルムは、比較例9〜10の導電性フィルムよりも2倍多い導電性複合体を含んでいる。この理由は、フィルム基材に塗布する塗料に含まれる導電性高分子水系分散液の含有量を2倍に増量したからである。比較例12〜13の導電性フィルムは導電性複合体を多く含んでいるため、実施例と同等の導電性を示しているが、外観不良の問題がある。この理由として、導電層中に含まれる導電性複合体の分布にムラがあり、導電層の組成分布が不均一になっていることが考えられる。この不均一な組成分布が生じた原因として、塗膜に含まれる水分量が他の実施例及び比較例よりも2倍多く、乾燥プロセスに時間を要したことが考えられる。
以上から、本発明の導電性高分子分散液は、良好な分散性を示すとともに、優れた導電性と良好な外観を備えた導電性フィルムを製造するために適した組成を有することが明らかである。

Claims (14)

  1. π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む導電性複合体と、前記導電性複合体を分散させる水系分散媒とを含有する導電性高分子分散液であって、
    前記導電性高分子分散液の総質量に対する前記導電性複合体の固形分の含有量が2.4質量%以上であり、
    前記π共役系導電性高分子と前記ポリアニオンの重量比が1:3以上1:5以下である、導電性高分子分散液。
  2. 前記π共役系導電性高分子がポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、請求項1に記載の導電性高分子分散液。
  3. 前記ポリアニオンがポリスチレンスルホン酸である、請求項1又は2に記載の導電性高分子分散液。
  4. 前記導電性高分子分散液の総質量に対する水分の含有量が80質量%以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
  5. ポリアニオンを含む水系分散媒中でπ共役系導電性高分子のモノマーを重合し、前記π共役系導電性高分子及び前記ポリアニオンを含む導電性複合体が分散された導電性高分子分散液を製造する方法であって、
    前記水系分散媒に前記モノマー及び前記ポリアニオンを、前記モノマーと前記ポリアニオンの重量比が1:3以上1:5以下となるように添加した反応液を調製し、
    前記反応液において前記重合を行い、前記導電性複合体を前記水系分散媒に分散させた導電性高分子分散液を得る反応工程を有し、
    前記反応工程で得た前記導電性高分子分散液の総質量に対する、前記導電性複合体の固形分の濃度が2.4質量%以上である、導電性高分子分散液の製造方法。
  6. 請求項1から4のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液に有機溶剤を加えて、せん断力を付与しながら分散化処理する、導電性高分子分散液の製造方法。
  7. 前記有機溶剤がアルコールである、請求項6に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
  8. 前記有機溶剤がメタノールである、請求項6又は7に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
  9. 前記分散化処理を経た導電性高分子分散液の総質量に対する水分の含有量が20質量%以下である、請求項6から8のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
  10. 前記分散化処理を経た前記導電性高分子分散液にさらにバインダ成分を添加する、請求項6から9のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
  11. 前記バインダ成分が紫外線硬化型アクリル化合物である、請求項10に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
  12. 前記バインダ成分を添加した後に得られた導電性高分子分散液の総質量に対する水分の含有量が1質量%以下である、請求項10又は11に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
  13. 請求項6から12のいずれか一項に記載の製造方法によって得た導電性高分子分散液をフィルム基材の少なくとも一方の面に塗工し、前記フィルム基材上に塗膜を形成する工程と、前記塗膜を乾燥し、前記塗膜から前記有機溶剤を除去する工程と、を有する導電性フィルムの製造方法。
  14. 請求項11に記載の製造方法によって得た導電性高分子分散液をフィルム基材の少なくとも一方の面に塗工し、前記フィルム基材上に塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜に紫外線を照射し、前記紫外線硬化型アクリル化合物を硬化させる工程と、を有する導電性フィルムの製造方法。
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