JP2018111626A - セメント混和剤およびセメント組成物 - Google Patents

セメント混和剤およびセメント組成物 Download PDF

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Hirokatsu Kawakami
宏克 川上
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Abstract

【課題】セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るセメント混和剤。また、硬化物の強度が長期にわたって顕著に向上し得るセメント組成物。【解決手段】ポリオキシアルキレン化合物(A)とアルカノールアミン化合物(B)と分散剤(C)を含むセメント混和剤であって、該ポリオキシアルキレン化合物(A)が、(i)特定のポリカルボン酸系共重合体(A1)、(ii)ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体(A2)、から選ばれる少なくとも1種であり、該分散剤(C)が、ポリカルボン酸系分散剤(C−a)およびポリカルボン酸系分散剤(C−b)から選ばれる少なくとも1種と、スルホン酸系分散剤(C2)およびリン酸系分散剤(C3)から選ばれる少なくとも1種との組み合わせたセメント混和剤。【選択図】なし

Description

本発明は、セメント混和剤およびセメント組成物に関する。
モルタルやコンクリートなどのセメント組成物は、一般に、セメントと骨材と水を含んでおり、流動性を高めて減水させるために、好ましくはセメント混和剤がさらに含まれる。
最近、セメント組成物に対し、減水性能の向上に加えて、硬化物の強度性能の向上の要求が多くなってきている。例えば、セメント組成物の用途によっては、早期の強度発現が望まれており、各種検討がなされている(例えば、特許文献1)。
他方、セメント組成物の用途によっては、セメント組成物の硬化物の長期にわたっての強度向上(例えば4週間レベルでの強度向上など)が求められるようになっている。
特開2011−84459号公報
本発明の課題は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るセメント混和剤を提供することにある。また、硬化物の強度が長期にわたって顕著に向上し得るセメント組成物を提供することにある。
本発明のセメント混和剤は、
ポリオキシアルキレン化合物(A)とアルカノールアミン化合物(B)と分散剤(C)を含むセメント混和剤であって、
該ポリオキシアルキレン化合物(A)が、
(i)一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)由来の構造単位(I)と不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構造単位(II)とを有する共重合体であって、該共重合体を構成する全構造単位に対する該構造単位(II)の含有割合が37モル%未満であり、質量平均分子量が3000以上である、ポリカルボン酸系共重合体(A1)、
(ii)ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体(A2)、
から選ばれる少なくとも1種であり、
該分散剤(C)が、ポリカルボン酸系分散剤(C−a)およびポリカルボン酸系分散剤(C−b)から選ばれる少なくとも1種と、スルホン酸系分散剤(C2)およびリン酸系分散剤(C3)から選ばれる少なくとも1種との組み合わせである。
ポリカルボン酸系分散剤(C−a)は、一般式(3):YO(AO)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(c)(一般式(3)中、Yは、炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、Rは、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、nは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、nは2〜300である。)由来の構造単位(III)と不飽和カルボン酸系単量体(d)由来の構造単位(IV)とを有する、ポリカルボン酸系共重合体である。
ポリカルボン酸系分散剤(C−b)は、一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)由来の構造単位(I)と不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構造単位(II)とを有するポリカルボン酸系共重合体であって、該共重合体を構成する全構造単位に対する該構造単位(II)の含有割合が37モル%以上である。
Figure 2018111626
(一般式(1)中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、mは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、mは2〜300である。)
本発明のセメント組成物は、
ポリオキシアルキレン化合物(A)とアルカノールアミン化合物(B)と分散剤(C)とセメントを含むセメント組成物であって、
該ポリオキシアルキレン化合物(A)が、
(i)一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)由来の構造単位(I)と不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構造単位(II)とを有する共重合体であって、該共重合体を構成する全構造単位に対する該構造単位(II)の含有割合が37モル%未満であり、質量平均分子量が3000以上である、ポリカルボン酸系共重合体(A1)、
(ii)ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体(A2)、
から選ばれる少なくとも1種であり、
該分散剤(C)が、ポリカルボン酸系分散剤(C−a)およびポリカルボン酸系分散剤(C−b)から選ばれる少なくとも1種と、スルホン酸系分散剤(C2)およびリン酸系分散剤(C3)から選ばれる少なくとも1種との組み合わせである。
ポリカルボン酸系分散剤(C−a)は、一般式(3):YO(AO)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(c)(一般式(3)中、Yは、炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、Rは、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、nは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、nは2〜300である。)由来の構造単位(III)と不飽和カルボン酸系単量体(d)由来の構造単位(IV)とを有する、ポリカルボン酸系共重合体である。
ポリカルボン酸系分散剤(C−b)は、一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)由来の構造単位(I)と不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構造単位(II)とを有するポリカルボン酸系共重合体であって、該共重合体を構成する全構造単位に対する該構造単位(II)の含有割合が37モル%以上である。
Figure 2018111626
(一般式(1)中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、mは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、mは2〜300である。)
本発明によれば、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るセメント混和剤を提供することができる。また、硬化物の強度が長期にわたって顕著に向上し得るセメント組成物を提供することができる。
本明細書中で「(メタ)アクリル」との表現がある場合は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との表現がある場合は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アリル」との表現がある場合は、「アリルおよび/またはメタリル」を意味し、「(メタ)アクロレイン」との表現がある場合は、「アクロレインおよび/またはメタクロレイン」を意味する。また、本明細書中で「酸(塩)」との表現がある場合は、「酸および/またはその塩」を意味する。
≪≪セメント混和剤≫≫
本発明のセメント混和剤は、ポリオキシアルキレン化合物(A)とアルカノールアミン化合物(B)と分散剤(C)を含む。
ポリオキシアルキレン化合物(A)は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
アルカノールアミン化合物(B)は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
分散剤(C)は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明のセメント混和剤は、ポリオキシアルキレン化合物(A)とアルカノールアミン化合物(B)と分散剤(C)を含むことにより、セメント組成物の分散性の向上により寄与し得るとともに、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得るという効果を発現する。
本発明のセメント混和剤中の、ポリオキシアルキレン化合物(A)とアルカノールアミン化合物(B)と分散剤(C)の合計量の含有割合は、好ましくは50質量%〜100質量%であり、より好ましくは70質量%〜100質量%であり、さらに好ましくは90質量%〜100質量%であり、特に好ましくは95質量%〜100質量%であり、最も好ましくは実質的に100質量%である。すなわち、最も好ましくは、本発明のセメント混和剤は、ポリオキシアルキレン化合物(A)とアルカノールアミン化合物(B)と分散剤(C)のみからなる。本発明のセメント混和剤中の、ポリオキシアルキレン化合物(A)とアルカノールアミン化合物(B)と分散剤(C)の合計量の含有割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
本発明のセメント混和剤中のポリオキシアルキレン化合物(A)の含有割合は、好ましくは0.5質量%〜80質量%であり、より好ましくは1質量%〜70質量%であり、さらに好ましくは3質量%〜60質量%であり、特に好ましくは5質量%〜50質量%であり、最も好ましくは10質量%〜40質量%である。本発明のセメント混和剤中のポリオキシアルキレン化合物(A)の含有割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。本発明のセメント混和剤中のポリオキシアルキレン化合物(A)の含有割合が0.5質量%未満の場合は、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって向上させ難いおそれがある。
本発明のセメント混和剤中のアルカノールアミン化合物(B)の含有割合は、好ましくは0.2質量%〜60質量%であり、より好ましくは0.5質量%〜50質量%であり、さらに好ましくは1質量%〜40質量%であり、特に好ましくは3質量%〜30質量%である。本発明のセメント混和剤中のアルカノールアミン化合物(B)の含有割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。本発明のセメント混和剤中のアルカノールアミン化合物(B)の含有割合が0.2質量%未満の場合は、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって向上させ難いおそれがある。
本発明のセメント混和剤中の分散剤(C)の含有割合は、好ましくは25質量%〜99質量%であり、より好ましくは30質量%〜97質量%であり、さらに好ましくは35質量%〜95質量%であり、特に好ましくは40質量%〜93質量%であり、最も好ましくは45質量%〜90質量%である。本発明のセメント混和剤中の分散剤(C)の含有割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の分散性を向上させ得る。本発明のセメント混和剤中の分散剤(C)の含有割合が25質量%未満の場合は、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の分散性を向上させ難いおそれがある。
本発明のセメント混和剤中のポリオキシアルキレン化合物(A)の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.005質量%〜0.3質量%であり、より好ましくは0.01質量%〜0.25質量%であり、さらに好ましくは0.02質量%〜0.2質量%であり、特に好ましくは0.02質量%〜0.15質量%であり、最も好ましくは0.05質量%〜0.1質量%である。本発明のセメント混和剤中のポリオキシアルキレン化合物(A)の含有割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。本発明のセメント混和剤中のポリオキシアルキレン化合物(A)の含有割合が、セメントに対して0.005質量%未満の場合は、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって向上させ難いおそれがある。
本発明のセメント混和剤中のアルカノールアミン化合物(B)の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.002質量%〜0.2質量%であり、より好ましくは0.005質量%〜0.15質量%であり、さらに好ましくは0.01質量%〜0.1質量%であり、特に好ましくは0.015質量%〜0.07質量%であり、最も好ましくは0.02質量%〜0.05質量%である。本発明のセメント混和剤中のアルカノールアミン化合物(B)の含有割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。本発明のセメント混和剤中のアルカノールアミン化合物(B)の含有割合が、セメントに対して0.002質量%未満の場合は、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって向上させ難いおそれがある。
本発明のセメント混和剤中の分散剤(C)の含有割合は、セメントに対して、好ましくは0.01質量%〜1質量%であり、より好ましくは0.03質量%〜0.8質量%であり、さらに好ましくは0.05質量%〜0.6質量%であり、特に好ましくは0.1質量%〜0.5質量%であり、最も好ましくは0.15質量%〜0.4質量%である。本発明のセメント混和剤中の分散剤(C)の含有割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の分散性をより顕著に向上させ得る。本発明のセメント混和剤中の分散剤(C)の含有割合が、セメントに対して0.01質量%未満の場合は、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の分散性を向上させ難いおそれがある。
本発明のセメント混和剤中の、ポリオキシアルキレン化合物(A)に対するアルカノールアミン化合物(B)の割合は、好ましくは1質量%〜10000質量%であり、より好ましくは5質量%〜1000質量%であり、さらに好ましくは10質量%〜500質量%であり、さらに好ましくは15質量%〜300質量%であり、さらに好ましくは20質量%〜200質量%であり、特に好ましくは30質量%〜150質量%であり、最も好ましくは50質量%〜100質量%である。本発明のセメント混和剤中の、ポリオキシアルキレン化合物(A)に対するアルカノールアミン化合物(B)の割合を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
≪ポリオキシアルキレン化合物(A)≫
ポリオキシアルキレン化合物(A)は、
(i)一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)由来の構造単位(I)と不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構造単位(II)とを有する共重合体であって、該共重合体を構成する全構造単位に対する該構造単位(II)の含有割合が37モル%未満であり、質量平均分子量が3000以上である、ポリカルボン酸系共重合体(A1)、
(ii)ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体(A2)、
から選ばれる少なくとも1種である。
Figure 2018111626
(一般式(1)中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、mは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、mは2〜300である。)
不飽和モノカルボン酸系単量体(b)は、一般式(2)で表される。
Figure 2018111626
(一般式(2)中、R〜Rは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、Xは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、有機アンモニウム基、または有機アミン基を表す。)
ポリオキシアルキレン化合物(A)は、主として、本発明のセメント混和剤において、セメント組成物の硬化物の強度増進作用の向上に寄与し得る。
<ポリカルボン酸系共重合体(A1)>
一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)由来の構造単位(I)とは、具体的には、下記式で表される。
Figure 2018111626
一般式(2)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構造単位(II)とは、具体的には、下記式で表される。
Figure 2018111626
一般式(1)および構造単位(I)中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表す。
一般式(1)および構造単位(I)中、Rは、炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜30のアルキル基(脂肪族アルキル基や脂環式アルキル基)、炭素原子数1〜30のアルケニル基、炭素原子数1〜30のアルキニル基、炭素原子数6〜30の芳香族基などが挙げられる。本発明の効果を一層発現させ得る点で、Rは、好ましくは、炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、より好ましくは、炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、さらに好ましくは、炭素原子数1〜6の炭化水素基であり、特に好ましくは、炭素原子数1〜3のアルキル基である。
一般式(1)および構造単位(I)中、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基であり、好ましくは炭素原子数2〜8のオキシアルキレン基であり、より好ましくは炭素原子数2〜4のオキシアルキレン基である。また、AOが、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基等の中から選ばれる任意の2種類以上の場合は、AOの付加形態は、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの形態であってもよい。なお、親水性と疎水性とのバランス確保のため、オキシアルキレン基中にオキシエチレン基が必須成分として含まれることが好ましく、オキシアルキレン基全体の50モル%以上がオキシエチレン基であることがより好ましく、オキシアルキレン基全体の90モル%以上がオキシエチレン基であることがさらに好ましく、オキシアルキレン基全体の100モル%以上がオキシエチレン基であることが特に好ましい。オキシアルキレン基は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
一般式(1)および構造単位(I)中、mは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数(「鎖長」と称することがある)を表し、2〜300であり、好ましくは5〜150であり、より好ましくは10〜100であり、さらに好ましくは15〜75であり、特に好ましくは20〜50である。mが上記範囲内にあることにより、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)としては、例えば、炭素数1〜20の飽和脂肪族アルコール類に、炭素数2〜18のアルキレンオキシドを付加することによって得られるアルコキシポリアルキレングリコール類と、(メタ)アクリル酸またはクロトン酸とのエステル化物;(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、オレイルアルコールなどの炭素数3〜20の不飽和脂肪族アルコール類に、炭素数2〜18のアルキレンオキシドを付加することによって得られるアルコキシポリアルキレングリコール類と、(メタ)アクリル酸またはクロトン酸とのエステル化物;シクロヘキサノールなどの炭素数3〜20の脂環式アルコール類に、炭素数2〜18のアルキレンオキシドを付加することによって得られるアルコキシポリアルキレングリコール類と、(メタ)アクリル酸またはクロトン酸とのエステル化物;炭素数6〜20の芳香族アルコール類に、炭素数2〜18のアルキレンオキシドを付加することによって得られるアルコキシポリアルキレングリコール類と、(メタ)アクリル酸またはクロトン酸とのエステル化物;などが挙げられる。
一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)としては、本発明の効果を一層発現させ得る点で、好ましくは、(メタ)アクリル酸のアルコキシポリアルキレングリコール類のエステルである。
一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
一般式(2)および構造単位(II)中、R〜Rは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表す。
Xは、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基、有機アンモニウム基、または有機アミン基を表す。
一般式(2)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体(b)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、またはこれらの塩などが挙げられる。ここでいう塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩、有機アミン塩などが挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。有機アンモニウム塩としては、例えば、メチルアンモニウム塩、エチルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、ジエチルアンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩などが挙げられる。有機アミン塩としては、例えば、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、トリイソプロパノールアミン塩等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。
一般式(2)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体(b)としては、本発明の効果を一層発現させ得る点で、好ましくは、(メタ)アクリル酸である。
一般式(2)で表される不飽和モノカルボン酸系単量体(b)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
ポリカルボン酸系共重合体(A1)中の、構造単位(I)と構造単位(II)との合計の含有割合は、共重合体を構成する構造単位の中で主成分となるようにすることが好ましく、好ましくは51質量%〜100質量%であり、より好ましくは70質量%〜100質量%であり、さらに好ましくは90質量%〜100質量%であり、特に好ましくは95質量%〜100質量%であり、最も好ましくは実質的に100質量%である。ポリカルボン酸系共重合体(A1)中の構造単位(I)と構造単位(II)との合計の含有割合が上記範囲内にあることにより、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得る。
ポリカルボン酸系共重合体(A1)中には、構造単位(I)と構造単位(II)以外に、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(c)由来の構造単位(III)、構造単位(II)以外の不飽和カルボン酸系単量体(d)由来の構造単位(IV)、他の単量体(e)由来の構造単位(V)のいずれかを含んでいてもよい。構造単位(II)以外の不飽和カルボン酸系単量体(d)由来の構造単位(IV)としては、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのジカルボン酸系単量体またはこれらの塩由来の構造単位;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのジカルボン酸系単量体の無水物またはこれらの塩由来の構造単位;などが挙げられる。不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(c)の具体例は、後述の通りである。
他の単量体(e)は、単量体(a)、単量体(b)、単量体(c)、単量体(d)と共重合可能な単量体である。他の単量体(e)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
他の単量体(e)としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;メチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアルコールとのエステル類;(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアルコールとのハーフエステル類;(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアルコールとのジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのハーフアミド類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのジアミド類;上記アルコールやアミンに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均1〜500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのハーフエステル類;上記アルコールやアミンに炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均1〜500モル付加させたアルキル(ポリ)アルキレングリコールと上記不飽和ジカルボン酸類とのジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2〜18のグリコールまたはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフエステル類;上記不飽和ジカルボン酸類と炭素原子数2〜18のグリコールまたはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのジエステル類;マレアミド酸と炭素原子数2〜18のグリコールまたはこれらのグリコールの平均付加モル数2〜500のポリアルキレングリコールとのハーフアミド類;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;ポリエチレングリコールジマレート等の(ポリ)アルキレングリコールジマレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸(塩)類;メチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和モノカルボン酸類と炭素原子数1〜30のアミンとのアミド類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族類;1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類;ブタジエン、イソプレン等のジエン類;(メタ)アクリル(アルキル)アミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和シアン類;酢酸ビニル等の不飽和エステル類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ビニルピリジン等の不飽和アミン類;ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;(メタ)アリルアルコール、グリシジル(メタ)アリルエーテル等のアリル類;などが挙げられる。
ポリカルボン酸系共重合体(A1)を構成する全構造単位に対する該構造単位(II)の含有割合(「酸量」と称することがある)は37モル%未満であり、好ましくは0モル%〜35モル%であり、より好ましくは1モル%〜33モル%であり、さらに好ましくは5モル%〜30モル%であり、特に好ましくは10モル%〜25モル%である。ポリカルボン酸系共重合体(A1)を構成する全構造単位に対する該構造単位(II)の含有割合が上記範囲内にあることにより、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得る。
ポリカルボン酸系共重合体(A1)中の各構造単位の含有割合は、例えば、該ポリカルボン酸系共重合体(A1)の各種構造解析(例えば、NMRなど)によって知ることができる。また、上記のような各種構造解析を行わなくても、ポリカルボン酸系共重合体(A1)を製造する際に用いる各単量体の使用量と重合率に基づいて算出される該単量体由来の構造単位の含有割合をもって、ポリカルボン酸系共重合体(A1)中の各構造単位の含有割合としてもよい。
ポリカルボン酸系共重合体(A1)中の構造単位の含有比率を求める場合には、構造単位がカルボキシル基を有する場合には、それが完全に中和されたもの(ナトリウム塩)として計算を行う。
ポリカルボン酸系共重合体(A1)の質量平均分子量(Mw)は3000以上であり、好ましくは4000〜1000000であり、より好ましくは5000〜500000であり、さらに好ましくは10000〜300000であり、特に好ましくは20000〜250000であり、最も好ましくは30000〜200000である。ポリカルボン酸系共重合体(A1)の質量平均分子量(Mw)が上記範囲内にあることにより、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたって顕著に向上させ得る。
ポリカルボン酸系共重合体(A1)は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な方法によって製造し得る。ポリカルボン酸系共重合体(A1)は、好ましくは、不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)と不飽和モノカルボン酸系単量体(b)とを含む単量体成分の重合を重合開始剤の存在下で行って製造し得る。
ポリカルボン酸系共重合体(A1)の製造に用い得る不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)、不飽和モノカルボン酸系単量体(b)、および、必要に応じて、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(c)、不飽和モノカルボン酸系単量体(b)以外の不飽和カルボン酸系単量体(d)、他の単量体(e)の使用量は、ポリカルボン酸系共重合体(A1)を構成する全構造単位中の各単量体由来の構造単位の割合が前述したものとなるように、適宜調整すればよい。
単量体成分の重合は、任意の適切な方法で行い得る。例えば、溶液重合、塊状重合が挙げられる。溶液重合の方式としては、例えば、回分式、連続式が挙げられる。溶液重合で使用し得る溶媒としては、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等の芳香族または脂肪族炭化水素;酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル化合物;等が挙げられる。
単量体成分の重合を行う場合は、重合開始剤として、水溶性の重合開始剤、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;2,2′−アゾビス−2−メチルプロピオンアミジン塩酸塩等のアゾアミジン化合物、2,2′−アゾビス−2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン塩酸塩等の環状アゾアミジン化合物、2−カルバモイルアゾイソブチロニトリル等のアゾニトリル化合物等の水溶性アゾ系開始剤;等を使用し得る。これらの重合開始剤は、亜硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩、メタ二亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウム、モール塩等のFe(II)塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム二水和物、ヒドロキシルアミン塩酸塩、チオ尿素、L−アスコルビン酸(塩)、エリソルビン酸(塩)等の促進剤を併用することもできる。これらの併用形態の中でも、過酸化水素とL−アスコルビン酸(塩)等の促進剤との組み合わせが好ましい。これらの重合開始剤や促進剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
低級アルコール、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、エステル化合物、またはケトン化合物を溶媒とする溶液重合を行う場合、または、塊状重合を行う場合には、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ナトリウムパーオキシド等のパーオキシド;t−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシド;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;などを用い得る。このような重合開始剤を用いる場合、アミン化合物等の促進剤を併用することもできる。さらに、水−低級アルコール混合溶媒を用いる場合には、上記の種々の重合開始剤または重合開始剤と促進剤の組み合わせの中から適宜選択して用いることができる。
単量体成分の重合の際の反応温度としては、用いられる重合方法、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤により適宜定められる。このような反応温度としては、好ましくは0℃以上であり、より好ましくは30℃以上であり、さらに好ましくは50℃以上であり、また、好ましくは150℃以下であり、より好ましくは120℃以下であり、さらに好ましくは100℃以下である。
単量体成分の反応容器への投入方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。このような投入方法としては、例えば、全量を反応容器に初期に一括投入する方法、全量を反応容器に分割若しくは連続投入する方法、一部を反応容器に初期に投入し、残りを反応容器に分割若しくは連続投入する方法等が挙げられる。具体的には、単量体(a)の全量と単量体(b)の全量とを反応容器に連続投入する方法、単量体(a)の一部を反応容器に初期に投入し、単量体(a)の残りと単量体(b)の全量とを反応容器に連続投入する方法、単量体(a)の一部と単量体(b)の一部とを反応容器に初期に投入し、単量体(a)の残りと単量体(b)の残りとをそれぞれ反応容器に交互に数回に分けて分割投入する方法などが挙げられる。さらに、反応途中で各単量体の反応容器への投入速度を連続的又は段階的に変えて、各単量体の単位時間あたりの投入質量比を連続的又は段階的に変化させることにより、構造単位(I)と構造単位(II)との比率が異なる2種以上の共重合体を重合反応中に同時に合成するようにしてもよい。なお、重合開始剤は反応容器に初めから仕込んでも良く、反応容器へ滴下しても良く、また目的に応じてこれらを組み合わせてもよい。
単量体成分の重合の際には、好ましくは、連鎖移動剤を用い得る。連鎖移動剤を用いると、得られる共重合体の分子量調整が容易となる。連鎖移動剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
連鎖移動剤としては、任意の適切な連鎖移動剤を採用し得る。このような連鎖移動剤としては、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤;イソプロパノール等の第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸、およびその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、およびその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)の低級酸化物およびその塩;などが挙げられる。
製造されたポリカルボン酸系共重合体(A1)は、そのままでも本発明のセメント混和剤に含まれ得るポリカルボン酸系共重合体(A1)として用いることもできるが、取り扱い性の観点から、ポリカルボン酸系共重合体(A1)の製造後の反応溶液のpHを5以上に調整しておくことが好ましい。しかしながら、重合率向上のため、pH5未満で重合を行い、重合後にpHを5以上に調整することが好ましい。pHの調整は、例えば、1価金属または2価金属の水酸化物や炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アミン;などのアルカリ性物質を用いて行うことができる。
製造されたポリカルボン酸系共重合体(A1)は、製造によって得られた溶液に対して、必要に応じて、濃度調整を行うこともできる。
製造されたポリカルボン酸系共重合体(A1)は、溶液の形態でそのまま使用してもよいし、あるいは、カルシウム、マグネシウム等の2価金属の水酸化物で中和して多価金属塩とした後に乾燥させたり、シリカ系微粉末等の無機粉体に担持して乾燥させたりすることにより粉体化して使用してもよい。
<ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体(A2)>
ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体(A2)とは、ポリエチレンイミンが有するアミノ基に結合している活性水素にアルキレンオキシドが任意の適切な平均付加モル数で付加した付加体をいう。
アルキレンオキシドとしては、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは炭素数2〜10のアルキレンオキシドであり、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキレンオキシドであり、より好ましくは炭素数2〜6のアルキレンオキシドであり、特に好ましくは炭素数2〜4のアルキレンオキシドであり、最も好ましくは炭素数2〜3のアルキレンオキシド(すなわち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド)である。また、アルキレンオキシドは、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
アルキレンオキシドの平均付加モル数は、好ましくは1モル〜1000モルであり、より好ましくは2モル〜500モルであり、さらに好ましくは3モル〜300モルであり、さらに好ましくは4モル〜200モルであり、さらに好ましくは5モル〜100モルであり、さらに好ましくは10モル〜75モルであり、特に好ましくは15モル〜50モルであり、最も好ましくは20モル〜40モルである。アルキレンオキシドの平均付加モル数を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体(A2)の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは4000〜10000000であり、より好ましくは5000〜5000000であり、さらに好ましくは10000〜3000000であり、特に好ましくは20000〜700000であり、最も好ましくは50000〜300000である。ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体(A2)の質量平均分子量(Mw)を上記範囲内に調整することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の硬化物の強度を長期にわたってより顕著に向上させ得る。
≪アルカノールアミン化合物(B)≫
アルカノールアミン化合物(B)としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なアルカノールアミン化合物を採用し得る。このようなアルカノールアミン化合物としては、例えば、低分子型のアルカノールアミン化合物、高分子型のアルカノールアミン化合物などが挙げられる。
低分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、メチルジイソプロパノールアミン、ジエタノールイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールエタノールアミン、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−プロパノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−N−(ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、トリス(2−ヒドロキシブチル)アミン、などが挙げられる。これらの中でも、低分子型のアルカノールアミン化合物としては、好ましくは、トリイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ジイソプロパノールエタノールアミンが挙げられる。他の低分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、トリイソプロパノールアミンの骨格を有するモノマーなども挙げられる。
高分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、アルカノールアミンの一部がポリマーと結合している構造のアルカノールアミンが挙げられる。このような高分子型のアルカノールアミン化合物としては、例えば、トリイソプロパノールアミンの骨格を有するポリマーが挙げられる。
≪分散剤(C)≫
分散剤(C)は、ポリカルボン酸系分散剤(C−a)およびポリカルボン酸系分散剤(C−b)から選ばれる少なくとも1種と、スルホン酸系分散剤(C2)およびリン酸系分散剤(C3)から選ばれる少なくとも1種との組み合わせである。
分散剤(C)は、本発明のセメント混和剤において、セメント組成物の分散性および流動保持性の向上に寄与し得る。
ポリカルボン酸系分散剤(C−a)は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
ポリカルボン酸系分散剤(C−b)は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
スルホン酸系分散剤(C2)は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
リン酸系分散剤(C3)は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
<ポリカルボン酸系分散剤(C−a)>
ポリカルボン酸系分散剤(C−a)は、一般式(3):YO(AO)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(c)由来の構造単位(III)と不飽和カルボン酸系単量体(d)由来の構造単位(IV)とを有するポリカルボン酸系共重合体である。
ポリカルボン酸系分散剤(C−a)は、それを構成する全構造単位に対する、カルボキシル基またはその塩を有する構造単位の含有割合が、好ましくは37モル%以上であり、好ましくは40モル%〜90モル%であり、より好ましくは40モル%〜85モル%であり、さらに好ましくは45モル%〜85モル%であり、特に好ましくは50モル%〜80モル%である。ポリカルボン酸系分散剤(C1)を構成する全構造単位に対するカルボキシル基またはその塩を有する構造単位の含有割合が上記範囲内にあることにより、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の分散性および流動保持性をより顕著に向上させ得る。ここでいう「カルボキシル基またはその塩」とは、−COOMで表される基であり、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、有機アンモニウム基、または有機アミン基である。
一般式(3):YO(AO)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(c)由来の構造単位(III)とは、具体的には、一般式(3)表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(c)においてYが有する不飽和二重結合(C=C)が重合反応によって−C−C−となった構造単位である。
一般式(3)中、Yは、炭素原子数2〜8のアルケニル基を表す。
Yとしては、例えば、ビニル基(CH=CH−基)、1−メチル−1−ビニル基(CH=C(CH)−基)、2−プロペニル基(アリル基)(CH=CHCH−基)、2−メチル−2−プロペニル基(メタリル基)(CH=C(CH)−CH−基)、3−メチル−3−ブテニル基(イソプレニル基)(CH=C(CH)−CHCH−基)などが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ビニル基、2−プロペニル基(アリル基)、2−メチル−2−プロペニル基(メタリル基)、3−メチル−3−ブテニル基(イソプレニル基)が挙げられる。
一般式(3)中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表す。炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜30のアルキル基(脂肪族アルキル基や脂環式アルキル基)、炭素原子数1〜30のアルケニル基、炭素原子数1〜30のアルキニル基、炭素原子数6〜30の芳香族基などが挙げられる。本発明の効果を一層発現させ得る点で、Rは、好ましくは、水素原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、より好ましくは、水素原子または炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、さらに好ましくは、水素原子または炭素原子数1〜6の炭化水素基であり、特に好ましくは、水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基である。
一般式(3)中、AOは炭素数2〜18のオキシアルキレン基を表す。オキシアルキレン基の炭素数は、好ましくは2〜8であり、より好ましくは2〜4である。
Oとしては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシスチレン基が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基であり、より好ましくは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基である。なお、2以上の異なるAO構造が存在する場合、これらの異なるAO構造は、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの形態で存在していてもよい。なお、親水性と疎水性とのバランス確保のため、オキシアルキレン基中にオキシエチレン基を必須成分として含むことが好ましい。より具体的には、全オキシアルキレン基100モル%に対し、50モル%以上がオキシエチレン基であることが好ましく、80モル%以上がオキシエチレン基であることがさらに好ましく、90モル%以上がオキシエチレン基であることが特に好ましく、100モル%がオキシエチレン基であることが特に好ましい。
一般式(3)中、nはAOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、2〜300である。nは、好ましくは5〜150であり、より好ましくは10〜100であり、さらに好ましくは15〜75であり、特に好ましくは20〜50である。なお、「平均付加モル数」とは、化合物1モル中において付加しているオキシアルキレン基のモル数の平均値を意味する。
不飽和カルボン酸系単量体(d)は、一般式(4)で表される。
Figure 2018111626
一般式(4)で表される不飽和カルボン酸系単量体(d)由来の構造単位(IV)とは、具体的には、下記式で表される。
Figure 2018111626
一般式(4)および構造単位(IV)中、R〜Rは、同一または異なって、水素原子、メチル基、または−(CHCOOM基を表す。−(CHCOOM基は−COOX基または他の−(CHCOOM基と無水物を形成していても良い。zは0〜2の整数である。
Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、有機アンモニウム基、または有機アミン基を表す。
Xは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム基、有機アンモニウム基、または有機アミン基を表す。
一般式(4)で表される不飽和カルボン酸系単量体(d)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸系単量体またはこれらの塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのジカルボン酸系単量体またはこれらの塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などのジカルボン酸系単量体の無水物またはこれらの塩;などが挙げられる。ここでいう塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アンモニウム塩、有機アミン塩などが挙げられる。
アルカリ金属塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。
有機アンモニウム塩としては、例えば、メチルアンモニウム塩、エチルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、ジエチルアンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩などが挙げられる。
有機アミン塩としては、例えば、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、ジイソプロパノールアミン塩、トリイソプロパノールアミン塩、ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン塩、ジヒドロキシエチルイソプロパノールアミン塩、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ペンタキス(2-ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ジイソプロパノールアミン塩、トリイソプロパノールアミン塩、ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン塩、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン塩、ペンタキス(2-ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン塩であり、より好ましくは、トリイソプロパノールアミン塩、ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン塩である。
一般式(4)で表される不飽和カルボン酸系単量体(d)としては、本発明の効果を一層発現させ得る点で、好ましくは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸であり、より好ましくは、アクリル酸、マレイン酸である。
一般式(4)で表される不飽和カルボン酸系単量体(d)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
ポリカルボン酸系分散剤(C−a)中の、構造単位(III)と構造単位(IV)との合計の含有割合は、共重合体を構成する構造単位の中で主成分となるようにすることが好ましく、好ましくは51質量%〜100質量%であり、より好ましくは70質量%〜100質量%であり、さらに好ましくは90質量%〜100質量%であり、特に好ましくは95質量%〜100質量%であり、最も好ましくは実質的に100質量%である。ポリカルボン酸系分散剤(C−a)中の構造単位(III)と構造単位(IV)との合計の含有割合が上記範囲内にあることにより、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の分散性および流動保持性の向上により寄与し得る。
ポリカルボン酸系分散剤(C−a)中には、構造単位(III)と構造単位(IV)以外に、不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)由来の構造単位(I)および/または他の単量体(e)由来の構造単位(V)を含んでいてもよい。
他の単量体(e)は、単量体(a)、単量体(c)、単量体(d)と共重合可能な単量体である。単量体(e)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
他の単量体(e)、構造単位(V)については、<ポリカルボン酸系共重合体(A1)>の項における説明を援用し得る。
ポリカルボン酸系分散剤(C−a)中の各構造単位の含有割合は、例えば、該ポリカルボン酸系分散剤(C−a)の各種構造解析(例えば、NMRなど)によって知ることができる。また、上記のような各種構造解析を行わなくても、ポリカルボン酸系分散剤(C−a)を製造する際に用いる各単量体の使用量と重合率に基づいて算出される該単量体由来の構造単位の含有割合をもって、ポリカルボン酸系分散剤(C―a)中の各構造単位の含有割合としてもよい。
ポリカルボン酸系分散剤(C−a)中の構造単位(III)の含有割合は、好ましくは60質量%〜99質量%であり、より好ましくは65質量%〜97質量%であり、さらに好ましくは70質量%〜95質量%であり、特に好ましくは75質量%〜90質量%であり、最も好ましくは80質量%〜85質量%である。
ポリカルボン酸系分散剤(C−a)中の構造単位(IV)の含有割合は、好ましくは1質量%〜40質量%であり、より好ましくは3質量%〜35質量%であり、さらに好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは10質量%〜25質量%である。
ポリカルボン酸系分散剤(C−a)中の構造単位の含有比率を求める場合には、構造単位がカルボキシル基を有する場合には、それが完全に中和されたもの(ナトリウム塩)として計算を行う。
ポリカルボン酸系分散剤(C−a)の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは1000以上であり、より好ましくは3000〜500000であり、さらに好ましくは5000〜300000であり、さらに好ましくは10000〜250000であり、さらに好ましくは20000〜200000であり、特に好ましくは30000〜150000であり、最も好ましくは40000〜100000である。ポリカルボン酸系分散剤(C−a)の質量平均分子量(Mw)が上記範囲内にあることによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の分散性および流動保持性の向上により寄与し得る。
ポリカルボン酸系分散剤(C−a)は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な方法によって製造し得る。好ましくは、ポリカルボン酸系分散剤(C−a)の製造方法としては、上述したポリカルボン酸系共重合体(A1)の製造方法を援用し得る。
<ポリカルボン酸系分散剤(C−b)>
ポリカルボン酸系分散剤(C−b)は、一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)由来の構造単位(I)と不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構造単位(II)とを有するポリカルボン酸系共重合体であって、該共重合体を構成する全構造単位に対する該構造単位(II)の含有割合が37モル%以上である。ポリカルボン酸系分散剤(C−b)がこのような構造を有することによって、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の分散性および流動保持性の向上により寄与し得る。
Figure 2018111626
(一般式(1)中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、mは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、mは2〜300である。)
一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)由来の構造単位(I)、不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構造単位(II)については、<ポリカルボン酸系共重合体(A1)>の項における説明を援用し得る。
ポリカルボン酸系分散剤(C−b)中には、構造単位(I)と構造単位(II)以外に、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(c)由来の構造単位(III)および/または他の単量体(e)由来の構造単位(V)を含んでいてもよい。
他の単量体(e)は、単量体(a)、単量体(b)、単量体(c)と共重合可能な単量体である。他の単量体(e)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
他の単量体(e)、構造単位(V)については、<ポリカルボン酸系共重合体(A1)>の項における説明を援用し得る。
ポリカルボン酸系分散剤(C−b)は、それを構成する全構造単位に対する構造単位(II)の含有割合(「酸量」と称することがある)が、好ましくは37モル%以上であり、好ましくは40モル%〜90モル%であり、より好ましくは40モル%〜85モル%であり、さらに好ましくは45モル%〜85モル%であり、特に好ましくは50モル%〜80モル%である。ポリカルボン酸系分散剤(C−b)を構成する全構造単位に対する構造単位(II)の含有割合が上記範囲内にあることにより、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の分散性および流動保持性をより顕著に向上させ得る。
ポリカルボン酸系分散剤(C−b)中の構造単位(I)の含有割合は、ポリカルボン酸系共重合体を構成する構造単位の中で主成分となるようにすることが好ましく、好ましくは51質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、特に好ましくは65質量%以上、最も好ましくは70質量%以上である。ただし、上記の「構造単位(II)の含有割合(「酸量」と称することがある)が、37モル%以上」という条件の範囲内である。
ポリカルボン酸系分散剤(C−b)中の構造単位の含有比率を求める場合には、構造単位がカルボキシル基を有する場合には、それが完全に中和されたもの(ナトリウム塩)として計算を行う。
ポリカルボン酸系分散剤(C−b)の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは1000以上であり、より好ましくは3000〜500000であり、さらに好ましくは5000〜300000であり、さらに好ましくは10000〜250000であり、さらに好ましくは20000〜200000であり、特に好ましくは30000〜150000であり、最も好ましくは40000〜100000である。ポリカルボン酸系分散剤(C−b)の質量平均分子量(Mw)が上記範囲内にあることにより、本発明のセメント混和剤は、セメント組成物の分散性および流動保持性をより顕著に向上させ得る。
ポリカルボン酸系分散剤(C−b)中の各構造単位の含有割合は、例えば、該ポリカルボン酸系分散剤(C−b)の各種構造解析(例えば、NMRなど)によって知ることができる。また、上記のような各種構造解析を行わなくても、ポリカルボン酸系分散剤(C−b)を製造する際に用いる各単量体の使用量と重合率に基づいて算出される各単量体由来の構造単位の含有割合をもって、ポリカルボン酸系分散剤(C−b)中の構造単位の含有割合としてもよい。
ポリカルボン酸系分散剤(C−b)は、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な方法によって製造し得る。好ましくは、ポリカルボン酸系分散剤(C−b)の製造方法としては、上述したポリカルボン酸系共重合体(A1)の製造方法を援用し得る。
<スルホン酸系分散剤(C2)>
スルホン酸系分散剤(C2)は、主にスルホン酸基によってもたらされる静電的反発によりセメントに対する分散性を発現する分散剤であって、任意の適切なスルホン酸系分散剤を用いることができ、分子中に芳香族基を有する化合物であることが好ましい。具体的には、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、メチルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アントラセンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等の、ポリアルキルアリールスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等の、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等の、芳香族アミノスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;リグニンスルホン酸塩、変性リグニンスルホン酸塩等のリグニンスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;ポリスチレンスルホン酸塩系スルホン酸系分散剤;などが挙げられる。なお、水/セメント比が高いコンクリートの場合にはリグニンスルホン酸塩系の分散剤が好適に用いられ、一方、より高い減水性能が要求される水/セメント比が中程度のコンクリートの場合には、ポリアルキルアリールスルホン酸塩系、メラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系、芳香族アミノスルホン酸塩系、ポリスチレンスルホン酸塩系等の分散剤が好適に用いられる。
<リン酸系分散剤(C3)>
リン酸系分散剤(C3)としては、分子中にリン酸基を有する任意の適切なリン酸系分散剤を用いることができ、例えば、特開2006−52381号公報に記載のリン酸系分散剤、特表2008−517080号公報に記載のリン酸系分散剤などが挙げられる。
≪≪セメント組成物≫≫
本発明のセメント組成物は、ポリオキシアルキレン化合物(A)とアルカノールアミン化合物(B)と分散剤(C)とセメントを含むセメント組成物である。
本発明のセメント組成物は、好ましくは、水と骨材を含む。
骨材としては、細骨材(砂等)や粗骨材(砕石等)などの任意の適切な骨材を採用し得る。このような骨材としては、例えば、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材が挙げられる。また、このような骨材として、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材も挙げられる。
本発明のセメント組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なセメント添加剤(材)を含有することができる。このようなセメント添加剤(材)としては、例えば、以下の(1)〜(12)に例示するようなセメント添加剤(材)が挙げられる。セメント添加剤(材)の配合量は、用いるセメント添加剤(材)の種類や目的に応じて、任意の適切な配合量を採用し得る。
(1)水溶性高分子物質:メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1.3グルカン類等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド等。
(2)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物等。
(3)硬化遅延剤:グルコン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸、クエン酸等のオキシカルボン酸もしくはその塩;糖及び糖アルコール;グリセリン等の多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸及びその誘導体等。
なお、化合物(A)に対する硬化遅延剤の割合としては、好ましくは1質量%〜1000質量%であり、より好ましくは2質量%〜700質量%であり、さらに好ましくは5質量%〜500質量%であり、特に好ましくは10質量%〜300質量%であり、最も好ましくは20質量%〜200質量%である。
(4)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
(5)オキシアルキレン系消泡剤:ジエチレングリコールヘプチルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシアルキレンアセチレンエーテル類;(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンラウリルアミン(プロピレンオキシド平均1〜20モル付加物、エチレンオキシド平均1〜20モル付加物等)、アルキレンオキシドを付加させた硬化牛脂から得られる脂肪酸由来のアミン(プロピレンオキシド平均1〜20モル付加物、エチレンオキシド1〜20モル付加物等)等のポリオキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等。
(6)オキシアルキレン系以外の消泡剤:鉱油系、油脂系、脂肪酸系、脂肪酸エステル系、アルコール系、アミド系、リン酸エステル系、金属石鹸系、シリコーン系等の消泡剤。
(7)AE剤:樹脂石鹸、飽和又は不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、タンパク質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等。
(8)その他界面活性剤:各種アニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤等。
(9)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコーン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
(10)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
(11)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル等。
(12)膨張材;エトリンガイト系、石炭系等。
その他の公知のセメント添加剤(材)としては、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、着色剤、防カビ剤等を挙げることができる。これら公知のセメント添加剤(材)は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明のセメント組成物に含まれるセメントとしては、任意の適切なセメントを採用し得る。このようなセメントとしては、例えば、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)などが挙げられる。さらに、本発明のセメント組成物には、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏が添加されていても良い。本発明のセメント組成物に含まれるセメントは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明のセメント組成物においては、その1mあたりの単位水量、セメント使用量、および水/セメント比としては任意の適切な値を設定し得る。このような値としては、好ましくは、単位水量が100kg/m〜185kg/mであり、使用セメント量が250kg/m〜800kg/mであり、水/セメント比(質量比)=0.1〜0.7であり、より好ましくは、単位水量が120kg/m〜175kg/mであり、使用セメント量が270kg/m〜800kg/mであり、水/セメント比(質量比)=0.12〜0.65である。このように、本発明のセメント組成物は、貧配合〜富配合まで幅広く使用可能であり、単位セメント量の多い高強度コンクリート、単位セメント量が300kg/m以下の貧配合コンクリートのいずれにも有効である。
本発明のセメント組成物は、レディーミクストコンクリート、コンクリート2次製品用のコンクリート、遠心成形用コンクリート、振動締め固め用コンクリート、蒸気養生コンクリート、吹付けコンクリート等に有効であり得る。本発明のセメント組成物は、中流動コンクリート(スランプ値が22〜25cmのコンクリート)、高流動コンクリート(スランプ値が25cm以上で、スランプフロー値が50〜70cmのコンクリート)、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材等の高い流動性を要求されるモルタルやコンクリートにも有効であり得る。
本発明のセメント組成物は、構成成分を任意の適切な方法で配合して調整すれば良い。例えば、構成成分をミキサー中で混練する方法などが挙げられる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、特に明記しない限り、部とある場合は質量部を意味し、%とある場合は質量%を意味する。
<質量平均分子量分析条件>
・使用カラム:東ソー株式会社製、TSKguardcolumnα+TSKgelα−5000+TSKgelα−4000+TSKgelα−3000を各1本ずつ連結して使用した。
・溶離液:リン酸二水素ナトリウム・2HO:62.4g、リン酸水素二ナトリウム・12HO:143.3gを、イオン交換水:7794.3gに溶解させた溶液に、アセトニトリル:2000gを混合した溶液を用いた。
・検出器:Viscotek社製のトリプル検出器「Model302光散乱検出器」、直角光散乱として90°散乱角度、低角度光散乱として7°散乱角度、セル容量として18μL、波長として670nm。
・標準試料:東ソー株式会社製、ポリエチレングリコールSE−8(Mw=l07000)を用い、そのdn/dCを0.135ml/g、溶離液の屈折率を1.333として装置定数を決定した。
・打ち込み量
標準試料:ポリマー濃度が0.2vol%になるように上記溶離液で溶解させた溶液を100μL注入した。
サンプル:ポリマー濃度が1.0vol%になるように上記溶離液で溶解させた溶液を100μL注入した。
・流速:0.8ml/min
・カラム温度:40℃
<コンクリート試験>
セメントとして普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)、細骨材として大井川水系産陸砂、粗骨材として青海産砕石、混練水として水道水を用い、セメント:301kg/m、水:160kg/m、細骨材:821kg/m、粗骨材:1002kg/m、細骨材率(細骨材/細粗骨材+粗骨材)(容積比):47%、水/セメント比(質量比)=0.53の配合にてコンクリート組成物を調製した。なお、コンクリート組成物の温度が20℃の試験温度になるように、試験に使用する材料、強制練りミキサー、測定器具類を上記の試験温度雰囲気下で調温し、混練および各測定は上記の試験温度雰囲気下で行った。また、コンクリート組成物中の気泡がコンクリート組成物の流動性に及ぼす影響を避けるために、必要に応じて空気量調整剤を用い、空気量が4.0±0.5%となるように調整した。
上記条件下に強制練りミキサーを用いて混練時間90秒間でコンクリートを製造し、スランプ値及び空気量を測定した。なお、スランプ値および空気量の測定は、日本工業規格(JIS−A−1101、1128)に準拠して行った。また、セメント混和剤の添加量は、スランプ値が8〜15cmになる添加量とした。
<圧縮強度の測定>
混練後、フロー値と空気量を測定し、圧縮強度試験用試料を作成し、以下の条件にて、28日後の圧縮強度を測定した。
供試体作成:100mm×200mm
供試体養生(28日):温度約20℃、湿度60%、恒温恒湿空気養生を24時間行った後、27日間水中で養生
供試体研磨:供試体面研磨(供試体研磨仕上げ機使用)
圧縮強度測定:自動圧縮強度測定器(前川製作所)
〔製造例A−1〕
温度計、撹拌機、滴下ロート、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に、イオン交換水120.5gを仕込み、撹拌下に反応装置を窒素置換し、80℃に昇温した。次に、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数:20モル)129.6g、メタクリル酸5.43g、3−メルカプトプロピオン酸0.41gをイオン交換水33.75gで溶解させた水溶液を4時間かけて滴下した。それと同時に、イオン交換水8.6gに過硫酸アンモニウム1.35gを溶解させた水溶液を5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃にて1時間攪拌を続け重合反応を終了し、質量平均分子量(Mw)が50000であるポリカルボン酸系共重合体の水溶液を得た。得られたポリカルボン酸系共重合体水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH7まで中和した。このようにして、ポリカルボン酸系共重合体(A−1)を得た。得られた共重合体のメトキシポリエチレングリコールメタクリレートの重合率は94%、メタクリル酸の重合率は98%であった。各原料の重合率から、ポリカルボン酸系共重合体(A−1)の共重合体組成比を算出した。具体的には、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートの使用量129.6gに対する重合率94%とメタクリル酸5.43gに対する重合率98%から重合体のメトキシポリエチレングリコールメタクリレート含有割合は、129.6×0.94/(129.6×0.94+5.43×0.98×108/86)=95%と算出できる(メタクリル酸はナトリウム塩換算)。得られたポリカルボン酸系共重合体(A−1)の共重合体組成比(質量%)、共重合体組成比(モル%)、質量平均分子量を表1に示した。
〔製造例A−2、A−3、C−1〜C−5〕
特表2004−519406号公報記載の方法に準じて共重合反応を行い、表1および表3に記載の通りの共重合組成比、質量平均分子量の、ポリカルボン酸系共重合体A−2、A−3、C−1〜C−5の水溶液を得た。
〔製造例A−4〕
分子量1800のポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素にエチレンオキシドを平均50モル付加させ、付加体(A−4)(質量平均分子量が96000)を得た。結果を表2に示した。
〔製造例A−5〕
表2に記載のように変更した以外は、製造例A−4と同様に行い、付加体(A−5)(質量平均分子量が3500)を得た。結果を表2に示した。
〔製造例A−6〕
表2に記載のように変更した以外は、製造例A−4と同様に行い、付加体(A−6)(質量平均分子量が13000)を得た。結果を表2に示した。
〔製造例D−1〕
特開2006−52381号公報記載の方法に準じて共重合反応を行い、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数:23モル)、リン酸モノ(2−ヒドロキシエチル)メタクリル酸エステル、リン酸ジ−[2−(ヒドロキシエチル)メタクリル酸]の共重合組成比が30/47/23(モル%)、質量平均分子量(Mw)が20000の共重合体を含有するリン酸系分散剤(D−1)の水溶液を得た。
〔製造例D−2〕
特表2008−517080号公報記載の方法に準じて縮合反応を行い、ポリエチレングリコール(エチレンオキシドの平均付加モル数:20モル)モノフェニルエーテルとフェノキシエタノールホスフェートのホルムアルデヒドによる縮合によって、ポリエチレングリコール(エチレンオキシドの平均付加モル数:20モル)モノフェニルエーテルとフェノキシエタノールホスフェートの比率が30/70(モル%)、質量平均分子量(Mw)が25000の縮合体を含有するリン酸系分散剤(D−2)の水溶液を得た。
Figure 2018111626
Figure 2018111626
Figure 2018111626
〔実施例1〕
ポリオキシアルキレン化合物(A)としてポリカルボン酸系共重合体(A−1)、アルカノールアミン化合物(B)としてEDIPA(ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン、アルドリッチ社製)、分散剤(C)としてポリカルボン酸系分散剤(C−1)とマスターポゾリスNo.8(BASFジャパン社製)を用い、表4のように配合して、セメント混和剤(1)を調製した。結果を表4に示した。
〔実施例2〕
ポリオキシアルキレン化合物(A)としてポリカルボン酸系共重合体(A−2)、アルカノールアミン化合物(B)としてTIPA(トリイソプロパノールアミン、和光純薬工業社製)、分散剤(C)としてポリカルボン酸系分散剤(C−2)とマスターポゾリスNo.8(BASFジャパン社製)を用い、表4のように配合して、セメント混和剤(2)を調製した。結果を表4に示した。
〔実施例3〕
ポリオキシアルキレン化合物(A)としてポリカルボン酸系共重合体(A−3)、アルカノールアミン化合物(B)としてTHEDA(N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、東京化成社製)、分散剤(C)としてポリカルボン酸系分散剤(C−3)とマスターポゾリスNo.8(BASFジャパン社製)を用い、表4のように配合して、セメント混和剤(3)を調製した。結果を表4に示した。
〔実施例4〕
ポリオキシアルキレン化合物(A)としてポリカルボン酸系共重合体(A−4)、アルカノールアミン化合物(B)としてEDIPA(ヒドロキシエチルジイソプロパノールアミン、アルドリッチ社製)、分散剤(C)としてポリカルボン酸系分散剤(C−4)とリン酸系分散剤(D−1)を用い、表4のように配合して、セメント混和剤(4)を調製した。結果を表4に示した。
〔実施例5〕
ポリオキシアルキレン化合物(A)としてポリカルボン酸系共重合体(A−5)、アルカノールアミン化合物(B)としてTHEDA(N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、東京化成社製)、分散剤(C)としてポリカルボン酸系分散剤(C−4)とリン酸系分散剤(D−2)を用い、表4のように配合して、セメント混和剤(5)を調製した。結果を表4に示した。
〔実施例6〕
ポリオキシアルキレン化合物(A)としてポリカルボン酸系共重合体(A−6)、アルカノールアミン化合物(B)としてTIPA(トリイソプロパノールアミン、和光純薬工業社製)、分散剤(C)としてポリカルボン酸系分散剤(C−5)とマスターポゾリスNo.8(BASFジャパン社製)を用い、表4のように配合して、セメント混和剤(6)を調製した。結果を表4に示した。
〔比較例1〕
表4のように、ポリカルボン酸系分散剤(C−1)をセメント混和剤(C1)とした。結果を表4に示した。
〔比較例2〕
表4のように、ポリカルボン酸系分散剤(C−5)をセメント混和剤(C2)とした。結果を表4に示した。
〔比較例3〕
表4のように、ポリカルボン酸系分散剤(C−1)とマスターポゾリスNo.8(BASFジャパン社製)をセメント混和剤(C3)とした。結果を表4に示した。
〔比較例3〕
表4のように、ポリカルボン酸系分散剤(C−5)とマスターポゾリスNo.8(BASFジャパン社製)をセメント混和剤(C3)とした。結果を表4に示した。
Figure 2018111626
表4に示すように、実施例1〜6のセメント組成物は、分散性、流動保持性に優れ、かつ28日圧縮強度は顕著に優れた効果を示した。
本発明のセメント混和剤は、モルタルやコンクリートなどのセメント組成物に好適に用いられる。

Claims (2)

  1. ポリオキシアルキレン化合物(A)とアルカノールアミン化合物(B)と分散剤(C)を含むセメント混和剤であって、
    該ポリオキシアルキレン化合物(A)が、
    (i)一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)由来の構造単位(I)と不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構造単位(II)とを有する共重合体であって、該共重合体を構成する全構造単位に対する該構造単位(II)の含有割合が37モル%未満であり、質量平均分子量が3000以上である、ポリカルボン酸系共重合体(A1)、
    (ii)ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体(A2)、
    から選ばれる少なくとも1種であり、
    該分散剤(C)が、ポリカルボン酸系分散剤(C−a)およびポリカルボン酸系分散剤(C−b)から選ばれる少なくとも1種と、スルホン酸系分散剤(C2)およびリン酸系分散剤(C3)から選ばれる少なくとも1種との組み合わせである、
    セメント混和剤。
    ポリカルボン酸系分散剤(C−a)は、一般式(3):YO(AO)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(c)(一般式(3)中、Yは、炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、Rは、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、nは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、nは2〜300である。)由来の構造単位(III)と不飽和カルボン酸系単量体(d)由来の構造単位(IV)とを有する、ポリカルボン酸系共重合体である。
    ポリカルボン酸系分散剤(C−b)は、一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)由来の構造単位(I)と不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構造単位(II)とを有するポリカルボン酸系共重合体であって、該共重合体を構成する全構造単位に対する該構造単位(II)の含有割合が37モル%以上である。
    Figure 2018111626
    (一般式(1)中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、mは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、mは2〜300である。)
  2. ポリオキシアルキレン化合物(A)とアルカノールアミン化合物(B)と分散剤(C)とセメントを含むセメント組成物であって、
    該ポリオキシアルキレン化合物(A)が、
    (i)一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)由来の構造単位(I)と不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構造単位(II)とを有する共重合体であって、該共重合体を構成する全構造単位に対する該構造単位(II)の含有割合が37モル%未満であり、質量平均分子量が3000以上である、ポリカルボン酸系共重合体(A1)、
    (ii)ポリエチレンイミンのアミノ基に結合している活性水素へのアルキレンオキシド付加体(A2)、
    から選ばれる少なくとも1種であり、
    該分散剤(C)が、ポリカルボン酸系分散剤(C−a)およびポリカルボン酸系分散剤(C−b)から選ばれる少なくとも1種と、スルホン酸系分散剤(C2)およびリン酸系分散剤(C3)から選ばれる少なくとも1種との組み合わせである、
    セメント組成物。
    ポリカルボン酸系分散剤(C−a)は、一般式(3):YO(AO)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(c)(一般式(3)中、Yは、炭素原子数2〜8のアルケニル基を表し、Rは、水素原子または炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、nは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、nは2〜300である。)由来の構造単位(III)と不飽和カルボン酸系単量体(d)由来の構造単位(IV)とを有する、ポリカルボン酸系共重合体である。
    ポリカルボン酸系分散剤(C−b)は、一般式(1)で表される不飽和ポリアルキレングリコールエステル系単量体(a)由来の構造単位(I)と不飽和モノカルボン酸系単量体(b)由来の構造単位(II)とを有するポリカルボン酸系共重合体であって、該共重合体を構成する全構造単位に対する該構造単位(II)の含有割合が37モル%以上である。
    Figure 2018111626
    (一般式(1)中、RおよびRは、同一または異なって、水素原子またはメチル基を表し、Rは、炭素原子数1〜30の炭化水素基を表し、AOは、炭素原子数2〜18のオキシアルキレン基を表し、mは、AOで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、mは2〜300である。)
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JP2009161428A (ja) * 2007-12-12 2009-07-23 Kao Corp 水硬性組成物用添加剤組成物
JP2016138019A (ja) * 2015-01-28 2016-08-04 株式会社日本触媒 アルカノールアミン系セメント添加剤、並びにセメント組成物
JP2016536247A (ja) * 2013-10-30 2016-11-24 ハンツマン ペトロケミカル エルエルシーHuntsman Petrochemical LLC セメント硬化体の強度を改善するための混和材組成物

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