以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用空調装置1の概略構成図である。この車両用空調装置1は、例えば自動車等の車両に搭載されるものであり、車室内の空気(内気)と車室外の空気(外気)との一方または両方を導入して温度調節した後、車室の各部に供給するように構成されている。車両の車室内には、図示しないが、運転席及び助手席からなる前席と、前席の後方に配設される後席とが設けられている。
車両用空調装置1は、空調ケーシング10と制御装置(図2に示す)30とを備えている。空調ケーシング10は、例えば車室の前端部に配設されたインストルメントパネル(図示せず)の内部に収容されている。空調ケーシング10は、空気流れ方向上流側から下流側に向かって順に、送風ケーシング11と、温度調節部12と、吹出方向切替部13とを備えている。送風ケーシング11には、外気導入口11aと内気導入口11bとが形成されている。外気導入口11aは、例えば図示しないインテークダクトを介して車室外と連通しており、車室外の空気(外気)を導入するようになっている。内気導入口11bは、インストルメントパネルの内部で開口しており、車室内の空気(内気)を導入して車室内に循環させるようになっている。外気導入口11aから導入する外気の量が外気導入量となる。内気導入口11bから導入する内気の量が内気循環量となる。
送風ケーシング11の内部には、外気導入口11a及び内気導入口11bを開閉する内外気切替ダンパ11cが配設されている。内外気切替ダンパ11cは、例えば板状の部材で構成することができ、送風ケーシング11の側壁に対して回動可能に支持されている。内外気切替ダンパ11cは、内外気切替アクチュエータ(内外気切替ダンパ駆動手段)11dによって任意の回動角度となるように駆動される。これによりインテークモードが切り替えられる。内外気切替アクチュエータ11dは、制御装置30によって後述するように制御される。
例えば、図1に実線で示すように外気導入口11aを全閉にし、かつ、内気導入口11bを全開にするまで内外気切替ダンパ11cを回動させると、インテークモードが内気循環モードとなる。このときの内外気切替ダンパ11cの開度は100%とする。一方、図1に仮想線で示すように外気導入口11aを全開にし、かつ、内気導入口11bを全閉にするまで内外気切替ダンパ11cを回動させると、インテークモードが外気導入モードとなる。このときの内外気切替ダンパ11cの開度は0%とする。そして、内外気切替ダンパ11cの開度が1%〜99%の間にあるときには、外気導入口11aと内気導入口11bの両方が開状態となり、内気と外気の両方が温度調節部12に導入される。このインテークモードが内外気混入モードである。内外気混入モード時には、内外気切替ダンパ11cの開度によって内気と外気の導入比率が変更され、これにより、外気導入量及び内気循環量が変化する。インテークモードの切替制御の詳細は後述する。
また、内外気混入モード時には外気導入口11aと内気導入口11bの両方が開状態になるので、例えば走行風の勢いが強いと、走行風が外気導入口11aから送風ケーシング11内に入った後、その一部が内気導入口11bから車室内に流入することがある。このときに例えば雪が降っていると、走行風に乗った雪が外気導入口11aから送風ケーシング11内に入り、内気導入口11bから車室内に入ることが考えられるが、この実施形態では後述するように図4に示すフローチャートのステップSB11において雪が車室内に入るのを抑制している。
図1に示すように、送風ケーシング11には、送風機15が設けられている。送風機15は、ファン15aと、ファン15aを駆動するブロアモータ15bとを備えている。ファン15aが回転することによって内気及び外気の少なくとも一方が送風ケーシング11に導入された後、送風ケーシング11の下流側に設けられている温度調節部12に送風される。ブロアモータ15bは、印加される電圧を変更することで単位時間当たりの回転数を調整することができるように構成されている。このブロアモータ15bの回転数によって送風量が変化するようになっている。ブロアモータ15bは、制御装置30によって制御される。
温度調節部12は、送風ケーシング11から導入された空調用空気の温度調節を行うための部分である。温度調節部12の内部には、冷却用熱交換器16と加熱用熱交換器17とエアミックスドア18とが配設されている。すなわち、温度調節部12の内部には、空気流れ方向上流側に冷風通路R1が形成され、この冷風通路R1に冷却用熱交換器16が収容されている。また、冷風通路R1の下流側は温風通路R2とバイパス通路R3とに分岐しており、温風通路R2に加熱用熱交換器17が収容されている。
冷却用熱交換器16は、例えばヒートポンプ装置の冷媒蒸発器等で構成することができるが、これに限られるものではなく、空気を冷却することができるものではあればよい。また、加熱用熱交換器17は、例えば車両のエンジンルームに搭載されているエンジン(図示せず)の冷却水が供給されるヒータコア等で構成することができるが、これに限られるものではなく、例えば電気式ヒータ等、空気を加熱することができるものではあればよい。また、電気式ヒータを補助熱源として付加することもできる。
エアミックスドア18は、冷却用熱交換器16と加熱用熱交換器17の間に配設されており、温風通路R2の上流端とバイパス通路R3の上流端とを開閉するものである。エアミックスドア18は、例えば板状の部材で構成することができ、温度調節部12の側壁に対して回動可能に支持されている。エアミックスドア18は、エアミックスアクチュエータ18aによって任意の回動角度となるように駆動される。エアミックスアクチュエータ18aは、制御装置30によって制御される。
エアミックスドア18が温風通路R2の上流端を全開にし、かつ、バイパス通路R3の上流端を全閉にすると、冷風通路R1で生成された冷風の全量が温風通路R2に流入して加熱されるので、吹出方向切替部13には温風が流入する。一方、エアミックスドア18が温風通路R2の上流端を全閉にし、かつ、バイパス通路R3の上流端を全開にすると、冷風通路R1で生成された冷風の全量がバイパス通路R3に流入するので、吹出方向切替部13には冷風が流入する。エアミックスドア18が温風通路R2の上流端及びバイパス通路R3の上流端を開く回動位置にあるときには、冷風及び温風が混合した状態で吹出方向切替部13に流入することになる。エアミックスドア18の回動位置によって吹出方向切替部13に流入する冷風量と温風量とが変更されて所望温度の調和空気が生成される。尚、エアミックスドア18は、上記した板状のドアに限られるものではなく、冷風量と温風量とを変更することができる構成であればその構成はどのような構成であってもよい。例えばロータリドアやフィルムドア、ルーバーダンパ等であってもよい。また、温度調節の構成は上記した構成でなくてもよく、冷風量と温風量とを変更することができる構成であればよい。
吹出方向切替部13は、温度調節部12で温度調節された調和空気を車室の各部に供給するための部分である。吹出方向切替部13には、デフロスタ吹出口21と、ベント吹出口22と、ヒート吹出口23とが形成されている。デフロスタ吹出口21は、インストルメントパネルに形成されたデフロスタノズル24に接続されている。このデフロスタ吹出口21は、フロントウインドガラス(窓ガラス)Gの車室内面に調和空気を供給するためのものである。デフロスタ吹出口21の内部には、デフロスタ吹出口21を開閉するためのデフロスタドア21aが設けられている。
ベント吹出口22は、インストルメントパネルに形成されたベントノズル25に接続されている。ベントノズル25は、前席の乗員の上半身に調和空気を供給するためのものであり、インストルメントパネルの車幅方向中央部と、左右両側にそれぞれ設けられている。ベント吹出口22の内部には、ベント吹出口22を開閉するためのベントドア22aが設けられている。
ヒート吹出口23は、乗員の足元近傍まで延びるヒートダクト26に接続されている。ヒートダクト26は、乗員の足元に調和空気を供給するためのものである。ヒート吹出口23の内部には、ヒート吹出口23を開閉するためのヒートドア23aが設けられている。
デフロスタドア21a、ベントドア22a及びヒートドア23aは吹出方向切替アクチュエータ27によって駆動されて開閉動作する。吹出方向切替アクチュエータ27は、制御装置30によって制御される。デフロスタドア21a、ベントドア22a及びヒートドア23aは、図示しないがリンクを介して連動するようになっており、例えば、デフロスタドア21aが開状態で、ベントドア22a及びヒートドア23aが閉状態となるデフロスタモード、デフロスタドア21a及びヒートドア23aが閉状態で、ベントドア22aが開状態となるベントモード、デフロスタドア21a及びベントドア22aが閉状態で、ヒートドア23aが開状態となるヒートモード、デフロスタドア21a及びベントドア22aが開状態で、ヒートドア23aが閉状態となるデフベントモード、デフロスタドア21a及びヒートドア23aが開状態で、ベントドア22aが閉状態となるデフヒートモード等の複数の吹出モードの内、任意の吹出モードに切り替えられる。
図2に示すように、車両用空調装置1は、外気温度センサ(外気温度検出手段)31、内気温度センサ32、日射量センサ(日射量検出手段)33、冷却水温センサ34、エバポレータセンサ35、フロントウインド近傍温湿度センサ37、操作スイッチ39、乗員センサ40、車速センサ(車速検出手段)41、ワイパースイッチ42及びエンジン水温センサ43を備えている。これらセンサ31〜35、37、40、41、43は制御装置30に接続され、制御装置30へ信号を出力している。また、操作スイッチ39は制御装置30に接続されており、乗員による操作状態を制御装置30が検出できるようになっている。また、ワイパースイッチ42は制御装置30に接続されている。
外気温度センサ31は、例えば車室外において車両前部や側部等に配設されており、車両の周囲の空気温度(外気温度)を検出するものである。内気温度センサ32は、例えば車室内においてインストルメントパネルの近傍等に配設されており、車室内の空気温度(内気温度)を検出するものである。日射量センサ33は、例えば車室内においてインストルメントパネルの近傍等に配設されており、車室に照射される日射量を検出するものである。
内気温度センサ32、外気温度センサ31及び日射量センサ33は、乗員が感じる冷熱に関連する情報を検出することができるものである。すなわち、内気温度センサ32から出力される内気温度は、乗員の雰囲気温度と略等しい温度であり、内気温度が高いということは乗員が暖かいと感じ、内気温度が低いということは乗員が寒いと感じる。また、外気温度センサ31から出力される外気温度が高いと乗員が暖かいと感じ、外気温度が低いと乗員が寒いと感じる。さらに、日射量センサ33から出力される日射量が多いと乗員が暖かいと感じ、日射量が少ないと乗員が寒いと感じる。
冷却水温センサ34は、車両に搭載されているエンジンの冷却水の温度(エンジン水温)を検出するエンジン水温検出手段である。この冷却水温センサ34により、加熱用熱交換器17に流入するエンジンの冷却水の温度を推定することができる。また、冷却水温センサ34により、エンジンの暖気状態を推定することができるとともに、暖房熱源の温度を得ることができる。エバポレータセンサ35は、冷却用熱交換器16の空気流れ方向下流側に配設されており、冷却用熱交換器16の表面温度を検出するものである。
フロントウインド近傍温湿度センサ37は、フロントウインドガラスGの車室内面から離れ、かつ、該内面近傍に配設されており、フロントウインドガラスGの車室内面近傍の温度を検出する温度センサ(図示せず)及びフロントウインドガラスGの車室内面近傍の湿度を検出する湿度センサ(図示せず)を備えたものである。温度センサ及び湿度センサは基板(図示せず)に実装されている。このフロントウインド近傍温湿度センサ37は、例えば樹脂材等からなるカバー(図示せず)によって覆われている。
操作スイッチ39は、例えばインストルメントパネル等に配設されており、例えば、空調装置1のON/OFFの切替スイッチ、送風量を増減させる風量切替スイッチ、車室の温度を設定する温度設定スイッチ、内気循環、外気導入及び内外気混入モードを切り替える内外気切替スイッチ、オートエアコン制御とするか否かを選択するオートスイッチ、吹出方向を切り替える吹出モード切替スイッチ、デフロスタスイッチ等で構成されている。
乗員センサ40は、前席に乗員が着座しているか否かを検出するとともに、後席に乗員が着座しているか否かも検出することができるものである。具体的には、例えば前席及び後席のシートクッション部にそれぞれ感圧センサを内蔵しておき、この感圧センサによって乗員が着座しているか否かを検出することができる。また、前席及び後席のシートベルトが装着状態にあるか否かを検出するセンサが一般の車両に設けられているので、このセンサを利用してシートベルトが装着状態にあれば乗員が着座していることを検出できる。車速センサ41は、車両の速度を検出することができるものであり、従来から周知のセンサ類を使用することができる。この乗員センサ40から出力される信号は本実施形態に係る制御に使用してもよいし、使用しなくてもよい。
ワイパースイッチ(ワイパー作動状態検出手段)42は、車両に設けられているワイパーを作動させるためのものであり、ワイパーを作動状態にするONポジションと、ワイパーを停止状態にするOFFポジションとを少なくとも有している。また、ONポジションでは、ワイパーの作動速度を高速、中速、低速に切り替えることができるとともに、間欠動作をさせることもできるように構成されている。このワイパースイッチ42は制御装置30に接続されているので、制御装置30はワイパースイッチ42によって車両のワイパーの作動状態を検出することができる。
制御装置30は、上記センサ31〜35、37、40、41、43から出力される信号(出力値)と、操作スイッチ39及びワイパースイッチ42の操作状態とに基づいて、内外気切替アクチュエータ11d、エアミックスアクチュエータ18a、吹出方向切替アクチュエータ27及びブロアモータ15bを制御する。すなわち、操作スイッチ39のオートスイッチによってオートエアコン制御が選択された場合には、車室外の温度、車室内の温度、日射量、エンジン冷却水温度、冷却用熱交換器16の表面温度、設定温度等に基づいて、車室内に供給する調和空気の目標吹出温度を決定するとともに、この目標吹出温度となるようにエアミックスドア18の開度を演算し、エアミックスドア18がこの開度となるようにエアミックスアクチュエータ18aを制御してエアミックスドア18を回動させる。これにより、調和空気の温度が目標吹出温度となる。
また、制御装置30は、冷房時には吹出モードが主にベントモードとなるように吹出方向切替アクチュエータ27を制御し、暖房時には吹出モードが主にデフロスタモードやヒートモードとなるように吹出方向切替アクチュエータ27を制御する。また、冷房時や暖房時であっても弱めの場合には、バイレベルモードやデフベントモードとなるように吹出方向切替アクチュエータ27を制御する。さらに、操作スイッチ39が有するデフロスタスイッチがONにされると、吹出モードがデフロスタモードとなるように吹出方向切替アクチュエータ27を制御する。
例えば冬季に長時間放置された車両で暖房を行う場合や、夏季で長時間放置された車両で冷房を行う場合には、目標吹出温度と内気温度との差が大きくなる。このような場合には、制御装置30は、風量が多くなるようにブロアモータ15bを制御するが、乗員が風量切替スイッチを操作して好みの風量にすることもできるようになっている。また、オートエアコン制御では、目標吹出温度と内気温度との差が小さくなるにつれて風量が少なくなるようにブロアモータ15bを制御する。ブロアモータ15bの制御は印加電圧の変更によって行われるが、これに限られるものではなく、ブロアモータ15bの回転数を変更できればよい。
制御装置30によるブロアモータ15bの制御及び吹出モードの切替制御によって乗員の上半身への送風量を検出することができる。すなわち、吹出モードがベントモードである場合には、主に乗員の上半身へ調和空気が送風されることになり、このベントモード時におけるブロアモータ15bへの印加電圧を検出することで乗員の上半身への送風量を検出することができる。また、ヒートモード時には、ベントモード時に比べて全体的に乗員の上半身への送風量が少なくなり、このことも制御装置30によって検出できる。
また、制御装置3は、図3に示すフローチャートの手順に従って内外気切替アクチュエータ27を制御する。この内外気切替アクチュエータ27の制御は、車両のイグニッションスイッチがONで、かつ、車両用空調装置1がONとされて制御装置3が暖房を行う必要があると判断した場合に、所定のタイミングで繰り返されている。尚、冷房時には、基本的には乗員が選択したモード(外気導入モードか内気循環モード)となるように内外気切替アクチュエータ27を制御する。
スタート後のステップSA1では、各センサ31〜35、37、40、41、43の出力値を読み込むとともに、操作スイッチ39及びワイパースイッチ42の操作状態を読み込む。各センサ31〜35、37、40、41、43は、イグニッションスイッチがOFF状態からONされた時、及びその後、継続して各値を検出し、出力している。
ステップSA1に続くステップSA2では、フロントウインドガラス露点温度を計算する。フロントウインドガラス露点温度は、基本的には、フロントウインド近傍温湿度センサ37から出力されるフロントウインドガラスGの車室内面近傍の温度と、フロントウインドガラスGの車室内面近傍の湿度とに基づいて得られる。フロントウインドガラス露点温度は、イグニッションスイッチがOFF状態からONされた時、及びその後、継続して計算される。
ステップSA2に続くステップSA3では露点温度補正を行う。露点温度補正は、ステップSA2で計算したフロントウインドガラス露点温度に、露点温度補正値(℃)を加える制御である。この露点温度補正値(℃)には、湿り露点温度補正値(℃)と乾き露点温度補正値(℃)とがあり、これら補正値の求め方は後述する。
ステップSA3に続くステップSA4では、目標露点温度を計算する。目標露点温度は、フロントウインド近傍温湿度センサ37から出力されるフロントウインドガラスGの車室内面近傍の温度よりも低い温度とする。例えば、フロントウインドガラスGの車室内面近傍の温度が10℃の場合、それよりも2〜3℃程度低い温度を目標露点温度とする。目標露点温度は、周知の手法に従って得ることができる。その後、ステップSA5ではインテーク制御を行う。尚、吹出モード、風量(ファン駆動モーター15bへの印加電圧)も周知の制御手法に基づいて決定する。
(インテーク制御の内容)
ステップSA5で行われるインテーク制御の具体的な内容は図4のフローチャートに示す。図4のフローチャートのステップSB1において、オート制御であるか否か、即ち、オートエアコン制御と乗員によるマニュアル操作とのいずれが選択されているかを判定する。オートエアコン制御であるか否かは、操作スイッチ39のうち、オートスイッチが押されているか否かで判定できる。ステップSB1においてNOと判定されてオートエアコン制御でなく、マニュアル操作が選択されている場合にはステップSB2に進み、インテークモードが外気導入モードであるか否かを判定する。尚、マニュアル操作では内外気混入モードを選択できないので、ステップSB2では、外気導入モードと内気循環モードとのうち、いずれのモードであるかを判定することになる。
ステップSB2においてYESと判定されて外気導入モードにある場合には、乗員が外気導入モードを積極的に選択しているということであることからステップSB3に進み、内外気切替ダンパ11cの目標開度を外気導入開度とする。外気導入開度は、外気導入口11aを全開にし、かつ、内気導入口11bを全閉にする開度であり、0%である。一方、ステップSB2において、NOと判定されて内気循環モードにある場合には、乗員が内気循環モードを積極的に選択しているということであることからステップSB4に進み、内外気切替ダンパ11cの目標開度を内気循環開度とする。内気循環開度は、外気導入口11aを全閉にし、かつ、内気導入口11bを全開にする開度であり、100%である。
上記ステップSB1においてYESと判定されてオートエアコン制御である場合にはステップSB5に進む。ステップSB5では、図3に示すフローチャートのステップSA3を経た後の補正後のフロントウインドガラス露点温度を使用する。そして、ステップSA4で計算した目標露点温度となるように、内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)を計算する。
例えば、ステップSB5でフロントウインドガラス露点温度が目標露点温度よりも高い場合には、外気導入量を増やすように内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)を計算し、フロントウインドガラス露点温度が目標露点温度よりも低い場合には、内気循環量を増やすように内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)を計算する。フロントウインドガラス露点温度が目標露点温度よりも高い場合に、その差が大きくなるほど、外気導入量を増やし、また、フロントウインドガラス露点温度が目標露点温度よりも低い場合に、その差が大きくなるほど、内気循環量を増やす。
つまり、制御装置30は、フロントウインドガラスGの曇り易さをフロントウインド近傍温湿度センサ37の出力値に基づいて検出し、基本的には、この検出結果に基づいてフロントウインドガラスGが曇り易い場合には外気導入量を増やす一方、フロントウインドガラスGが曇り難い場合には内気循環量を増やすように構成されている。このように、オートエアコン制御では、基本的に、フロントウインドガラスGの曇り易さに基づいて外気導入量及び内気循環量を変更する内外気混入モードが選択される。
ステップSB5において内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)を計算した後、ステップSB6に進んで外気温度センサ31で検出された現在の外気温度が所定温度以下であるか否かを判定する。ステップSB6における所定温度とは、雪が降る程度に低い温度であり、例えば3℃以下、2℃以下、1℃以下、0℃以下、氷点下とすることができる。
ステップSB6においてNOと判定されて現在の外気温度が所定温度よりも高く、雪が降りそうにない温度である場合にはステップSB7に進む。ステップSB7では、ステップSB5で得られた開度(f)を内外気切替ダンパ11cの目標開度として設定する。
ステップSB6においてYESと判定されて現在の外気温度が雪が降る程度に低い温度である場合には、ステップSB8に進んで日射量センサ33により検出された現在の日射量が所定量以下であるか否かを判定する。ステップSB8における所定量とは、仮に雪が降っていても雪が降っている途中で殆ど溶けるくらいの強めの日射量である。ステップSB8においてNOと判定されて日射量が多く、雪が日射によって溶けそうな場合にはステップSB7に進む。
ステップSB8においてYESと判定されて現在の日射量が雪を溶かす程度に高い場合には、ステップSB9に進んでワイパースイッチ42がONであるか否かを判定する。ワイパースイッチ42がONである場合には、雪がフロントウインドガラスGの表面に付着するくらい降っているということであり、この場合にはステップSB10に進む。一方、ステップSB10でNOと判定されて雪は降っているがフロントウインドガラスGの表面に付着する程でない場合にはステップSB7に進む。
ステップSB10では、車速センサ41で検出された車速が所定車速以上であるか否かを判定する。ステップSB10における所定車速とは、車両が高速走行しているか否かを判定する基準となる速度であり、例えば60km/h以上80km/h以下の範囲で設定することができる。また、ステップSB10では、判定基準速度を下げて、車両が走行しているか否かを判定するようにしてもよい。ステップSB10でYESと判定されて車両が高速走行している場合にはステップSB11に進む。ステップSB11では内外気切替ダンパ11cの目標開度をステップSB5で計算した開度に関わらず、外気導入開度を目標開度とする。
一方、ステップSB10でNOと判定されて車両が高速走行していない場合には雪が降っていても走行風の勢いが弱く、雪が走行風に乗って車室内にまで入る可能性が低い。この場合には、ステップSB7に進む。
(フロントウインドガラス露点温度補正制御)
次に、フロントウインドガラス露点温度補正制御について、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。フロントウインドガラス露点温度補正制御は、外気導入量が増える補正を行う湿り補正制御と、内気循環量が増える補正を行う乾き補正制御とを含んでおり、状況に応じて切り替えられる。
図5に示すフローチャートのステップSC1では、車両のイグニッションがOFFからONにされたか否かを判定する。ステップSC1でYESと判定されて車両のイグニッションがOFFからONにされた場合にはステップSC2に進む。一方、ステップSC1でNOと判定されて車両のイグニッションがON状態(IG ON中)である場合にはステップSC15に進む。
ステップSC2では、フロントウインド近傍温湿度センサ37で検出されたフロントウインドガラスGの車室内面近傍の温度が、外気温度センサ31で検出された現在の外気温度に所定値を加えた値以上であるか否かを判定する。すなわち、フロントウインド近傍温湿度センサ37で検出されたフロントウインドガラスGの車室内面近傍の温度から外気温度センサ31で検出された現在の外気温度を差し引いた値(差)が所定値以上であるか否かを判定する。
ステップSC2で用いられる所定値は、常に一定ではなく、外気温度センサ31で検出された現在の外気温度が低くなるほど大きな値となるように変化する。例えば、外気温度センサ31で検出された現在の外気温度が−20℃以下であれば所定値を3とし、−20℃よりも高く、かつ、−10℃以下であれば所定値を2.5とし、−10℃よりも高く、かつ、0℃以下であれば所定値を2とし、0℃よりも高ければ所定値を2とすればよい。この所定値は一例であり、挙げた数値に限定されるものではない。
ステップSC2でYESと判定されてフロントウインド近傍温湿度センサ37で検出されたフロントウインドガラスGの車室内面近傍の温度と、外気温度センサ31で検出された現在の外気温度との差が所定値以上である場合には、ステップSC3に進む。一方、ステップSC2でNOと判定されてフロントウインド近傍温湿度センサ37で検出されたフロントウインドガラスGの車室内面近傍の温度と、外気温度センサ31で検出された現在の外気温度との差が所定値未満である場合には、フロントウインドガラスGの車室内面近傍の温度と現在の外気温度との差が小さく、フロントウインドガラスGが曇り難い状況であり、ステップSC8に進む。
ステップSC3では、エンジン水温センサ43で検出されたエンジン水温が所定水温以下であるか否かを判定する。ステップSC3の判定で用いられる所定水温の値は、例えば60℃に設定することができるが、これに限られるものではなく、エンジンが完全に暖機されていないと判定できる値であればよい。
ステップSC3でYESと判定されてエンジン水温センサ43で検出されたエンジン水温が所定水温以下である場合には、ステップSC4に進む。一方、ステップSC3でNOと判定されてエンジン水温センサ43で検出されたエンジン水温が所定水温よりも高い場合にはエンジンの暖機がほぼ完了している状況であり、ステップSC8に進む。
ステップSC4では、湿り補正制御を行うとともに、湿り補正フラグF1を1とする。湿り補正制御では、図6に示すグラフに基づいて湿り露点温度補正値(℃)を得る。図6のグラフの横軸は、フロントウインド近傍温湿度センサ37で検出されたフロントウインドガラスGの車室内面近傍の温度Tow(℃)から外気温度センサ31で検出された現在の外気温度Ta(℃)を差し引いた値であり、縦軸は湿り露点温度補正値(℃)である。横軸のSTP2及びSTP3は、常に一定ではなく、外気温度センサ31で検出された現在の外気温度が低くなるほど大きな値となるように変化する。例えば、外気温度センサ31で検出された現在の外気温度が−20℃以下であればSTP2及びSTP3をそれぞれ3及び12とし、−20℃よりも高く、かつ、−10℃以下であればSTP2及びSTP3をそれぞれ2.5及び11.5とし、−10℃よりも高く、かつ、0℃以下であればSTP2及びSTP3をそれぞれ2及び11とし、0℃よりも高ければSTP2及びSTP3をそれぞれ2及び11とすればよい。この所定値は一例であり、挙げた数値に限定されるものではない。
そして、Tow(℃)−Ta(℃)の値がSTP2であれば、露点温度補正値(℃)は0となり、Tow(℃)−Ta(℃)の値がSTP2を超えてSTP3までは、Tow(℃)−Ta(℃)の値と正比例の関係で湿り露点温度補正値(℃)が高くなるように設定されている。この実施形態では、Tow(℃)−Ta(℃)の値がSTP3となったときに、湿り露点温度補正値(℃)が4となるように設定しているが、これに限られるものではない。また、Tow(℃)−Ta(℃)の値がSTP3を超えたとしても、湿り露点温度補正値(℃)が4を超えることはないように上限値を設定している。
ステップSC4に続くステップSC5では、湿り補正制御を終わらせる湿り補正制御解除条件判定処理を行う。具体的には、ステップSC1でYESと判定されてから、即ちイグニッションがOFFからONにされてからの経過時間を計測する処理を行う。
ステップSC5に続くステップSC6では、湿り補正制御解除条件が成立したか否かを判定する。具体的には、イグニッションがOFFからONにされてからの経過時間が例えば20分を経過すると車室内の温度が上昇してきてフロントウインドガラスGが曇り難い状況になると考えられるので、湿り補正制御解除条件が成立した(YES)と判定してステップSC7に進む。一方、イグニッションがOFFからONにされてからの経過時間が例えば20分を経過していない場合には、フロントウインドガラスGが曇り難い状況になると考えられるので、湿り補正制御解除条件が成立しない(NO)と判定してステップSC7を飛ばす。ステップSC7では、湿り補正制御を終わらせて湿り補正フラグF1を0とする。
一方、ステップSC2でNOと判定され、また、ステップSC3でNOと判定されて進んだステップSC8では、外気温度センサ31で検出された現在の外気温度が所定範囲内であるか否かを判定する。このステップSC8では、例えば、外気温度センサ31により検出された外気温度が−15℃以上、かつ、10℃以下の範囲(所定範囲)であるか否かを判定する。すなわち、外気温度が−15℃未満であるか、10℃よりも高い場合には、NOと判定されてステップSC14に進むことになるので、ステップSC11の乾き補正制御が禁止されることになる。一方、外気温度センサ31により検出された外気温度が−15℃以上、かつ、10℃以下の範囲内であればYESと判定されてステップSC9に進む。
ステップSC9では、エンジン水温が所定閾値A以下であるか否かを判定する。すなわち、OFF状態にあるイグニッションスイッチがONにされた時のエンジン水温を冷却水温センサ34から得ておき、それを制御装置30に一旦記憶させておき、この制御装置30に記憶されているエンジン水温に基づいてステップSC9で上記判定を行う。
ステップSC4における所定閾値Aは第1閾値であり、図7に示すグラフに基づいて得られる。図7のグラフの横軸は外気温度センサ31により検出された外気温度(℃)であり、縦軸は閾値A(℃)である。外気温度が−15℃のときには閾値Aを5℃とし、外気温度が10℃のときには閾値Aを20℃とする。外気温度が−15℃〜10℃の範囲では、閾値Aが外気温度の増加に比例して高くなる。つまり、制御装置30は、外気温度センサ31により検出された外気温度が高くなるほど閾値Aを高くするように構成されている。尚、図7のグラフにおいて外気温度及び閾値Aは例示であり、具体的な温度については本実施形態による効果が奏される範囲内で変更することができる。
図5に示すフローチャートのステップSC9でYESと判定されてOFF状態にあるイグニッションスイッチがONにされた時のエンジン水温が所定閾値A以下である場合にはステップSC10に進む。ステップSC9でNOと判定されてOFF状態にあるイグニッションスイッチがONにされた時のエンジン水温が所定閾値Aよりも高い場合にはステップSC14に進むことになるので、ステップSC11の露点温度補正処理が禁止されることになる。
ステップSC10では、車両のイグニッションスイッチがOFF(IG OFF)状態からON(IG ON)された時のフロントウインドガラス露点温度が所定閾値B以下であるか否かを判定する。すなわち、OFF状態にあるイグニッションスイッチがONにされた時に計算されたフロントウインドガラス露点温度を制御装置30に一旦記憶させておき、この制御装置30に記憶されているフロントウインドガラス露点温度に基づいてステップSC10で上記判定を行う。
ステップSC10における所定閾値Bは第2閾値であり、図8に示すグラフに基づいて得られる。図8のグラフの横軸は外気温度センサ31により検出された外気温度(℃)であり、縦軸は閾値B(℃)である。外気温度が−15℃のときには閾値Bを−16.5℃とし、外気温度が10℃のときには閾値Bを12.5℃とする。外気温度が−15℃〜10℃の範囲では、閾値Bが外気温度の増加に比例して高くなる。つまり、制御装置30は、外気温度センサ31により検出された外気温度が低くなるほど閾値Bを低くするように構成されている。尚、図8のグラフにおいて外気温度及び閾値Bは例示であり、具体的な温度については本実施形態による効果が奏される範囲内で変更することができる。
ステップSC10でYESと判定されてOFF状態にあるイグニッションスイッチがONにされた時のフロントウインドガラス露点温度が所定閾値B以下である場合にはステップSC11に進む。ステップSC10でNOと判定されてOFF状態にあるイグニッションスイッチがONにされた時のフロントウインドガラス露点温度が所定閾値Bよりも高い場合にはステップSC14に進むことになるので、ステップSC11の露点温度補正処理が禁止されることになる。
ステップSC11では、乾き補正制御を行うとともに、乾き補正フラグF2を1とする。乾き補正制御では、図9に示すグラフに基づいて乾き露点温度補正値(℃)を得る。図9のグラフの横軸は、外気温度センサ31により検出された外気温度(℃)であり、縦軸は乾き露点温度補正値(℃)である。外気温度が−15℃のときには乾き露点温度補正値(℃)を−2℃とし、外気温度が10℃のときには乾き露点温度補正値(℃)を−1℃とする。外気温度が−15℃〜10℃の範囲では、乾き露点温度補正値(℃)が外気温度の増加に比例して高くなる。
ステップSC11に続くステップSC12では、乾き補正制御を終わらせる乾き補正制御解除条件判定処理を行う。具体的には、エンジン水温センサ43で検出されたエンジン水温を随時読み込む処理を行う。
ステップSC12に続くステップSC13では、乾き補正制御解除条件が成立したか否かを判定する。具体的には、エンジン水温センサ43で検出されたエンジン水温が例えば70℃を超えると乾き補正制御解除条件が成立した(YES)と判定してステップSC14に進む。一方、エンジン水温センサ43で検出されたエンジン水温が例えば70℃を超えていない場合には、乾き補正制御解除条件が成立しない(NO)と判定してステップSC14を飛ばす。ステップSC14では、乾き補正制御を終わらせて乾き補正フラグF2を0とする。
また、ステップSC1でNOと判定されてイグニッションがON状態である場合に進んだステップSC15では、湿り補正フラグF1が1であるか否かを判定する。ステップSC15でYESと判定されて湿り補正フラグF1が1である場合には、ステップSC5に進んで湿り補正制御解除条件判定処理を行う。一方、ステップSC15でNOと判定されて湿り補正フラグF1が0である場合には、ステップSC16に進む。
ステップSC16では、乾き補正フラグF2が1であるか否かを判定する。ステップSC16でYESと判定されて乾き補正フラグF2が1である場合には、ステップSC12に進んで乾き補正制御解除条件判定処理を行う。一方、ステップSC16でNOと判定されて乾き補正フラグF2が0である場合には、エンドに進む。この露点温度補正制御は所定のタイミングで繰り返されている。
(内外気切替ダンパの開度)
図4に示すフローチャートに従って内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)を決定した後、図3に示すフローチャートにおけるステップSA6に進んで内外気切替アクチュエータ11dの駆動処理を行うが、内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)と、内外気切替ダンパ11cの実開度とは、互いに一致する開度領域と一致しない開度領域とが設定されている。
具体的には、内外気切替ダンパ11cの実開度と目標開度との関係は、図10に示すように設定されている。図10の横軸は内外気切替ダンパ11cの目標開度であり、図4に示すフローチャートのステップSB3、SB4、SB7、SB11で得られた開度(f)である。図10の縦軸は内外気切替ダンパ11cの実開度である。内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)が0%以上20%以下を外気導入側微小開度域としている。内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)が80%以上100%以下を内気循環側微小開度域としている。外気導入側微小開度域と内気循環側微小開度域との間の領域を中間開度域としている。
仮に、内外気切替ダンパ11cの実開度が外気導入側微小開度域にある場合を想定すると、内外気切替ダンパ11cと内気導入口11bの周縁部との隙間が狭く、空気が内外気切替ダンパ11cと内気導入口11bの周縁部との隙間を流れる際に、車室の乗員に聞こえやすい風切り音が発生し易くなる。また、仮に、内外気切替ダンパ11cの実開度が内気導入側微小開度域にある場合を想定すると、内外気切替ダンパ11cと外気導入口11cの周縁部との隙間が狭く、空気が内外気切替ダンパ11cと外気導入口11cの周縁部との隙間を流れる際に、車室の乗員に聞こえやすい風切り音が発生し易くなる。外気導入側微小開度域と内気循環側微小開度域は、車室の乗員に聞こえやすい風切り音が発生する領域であり、送風ケーシング11等の構造によって異なる場合があるので、上述した数値は一例である。
内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)が0%以上25%以下の領域にある場合には、内外気切替ダンパ11cの実開度を0%のまま保持しておき、内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)が25%を超えると、内外気切替ダンパ11cの実開度を同じ開度、即ち、25%を超える値にし、そこから内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)が80%までの領域では、内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)と実開度とを一致させている。
また、内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)が75%以上100%以下の領域にある場合には、内外気切替ダンパ11cの実開度を100%のまま保持しておき、内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)が75%未満になると、内外気切替ダンパ11cの実開度を同じ開度、即ち、75%未満の値にし、そこから内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)が20%までの領域では、内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)と実開度とを一致させている。
つまり、制御装置30は、内外気混入モードが選択されている場合に、内外気切替ダンパ11cが全閉状態にある内気導入口11bを開くときには、内気導入口11bの微小開度域(外気導入側微小開度域)を超えるまで開くように、内外気切替アクチュエータ11dを制御する。また、制御装置30は、内外気混入モードが選択されている場合に、内外気切替ダンパ11cが全閉状態にある外気導入口11aを開くときには、外気導入口11aの微小開度域(内気循環側微小開度域)を超えるまで開くように、内外気切替アクチュエータ11dを制御する。
従って、内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)が外気導入側微小開度域と内気循環側微小開度域に入っている場合には、内外気切替ダンパ11cの実開度が外気導入側微小開度域及び内気循環側微小開度域に入らないように、内外気切替ダンパ11cの実開度を設定することができる。これにより、車室の乗員に聞こえやすい風切り音の発生を抑制している。
また、一般に、内外気切替ダンパ11cの開度が外気導入開度(0%)である場合には、内気導入口11bを閉じているので、内気導入口11bを全開状態にしている場合に比べてブロア騒音が車室の乗員に届きにくい。これはブロア騒音が内気導入口11bを介して車室に届きにくくなるためである。
一方、内外気切替ダンパ11cの開度が内気導入開度(100%)である場合には、内気導入口11bを開いているので、内気導入口11bを全閉状態にしている場合に比べてブロア騒音が車室の乗員に届きやすい。つまり、ブロアモータ15bの回転数が同一であるという条件で比較すると、内外気切替ダンパ11cの開度が外気導入開度(0%)である場合の方が車室内は静かであり、その差は、車両構造やブロア構造等によって異なるが、3dB程度の差になることもある。これは乗員が聞き分けることのできるレベルである(図11参照)。
このため、例えば、内外気混入モード時に、内外気切替ダンパ11cが内気導入口11bを閉じている状態から外気導入側微小開度域を超えるまで内気導入口11bを開くと、車室内のブロア騒音が急に大きくなるので、乗員に違和感を与えてしまう恐れがある。
また、内外気混入モード時に、内外気切替ダンパ11cが内気導入口11bを、外気循環側微小開度域を超えるまで開いている状態から内気導入口11bを全閉状態にすると、車室内のブロア騒音が急に小さくなるので、乗員に違和感を与えてしまう恐れがある。
このことに対し、本実施形態では、図3に示すフローチャートにおけるステップSA6で内外気切替アクチュエータ11dの駆動処理を行うとともに、ステップSA7に進んでブロア騒音の風量補正制御を行うことにより、内外気切替ダンパ11cの動作に起因する車室内のブロア騒音の変化を緩やかにして乗員に違和感を与えないようにする。
また、例えば、内外気混入モード時に、内外気切替ダンパ11cが外気導入口11aを閉じている状態から内気循環側微小開度域を超えるまで外気導入口11aを開くと、内気導入口11bの開度が小さくなって車室内のブロア騒音が急に小さくなるので、乗員に違和感を与えてしまう恐れがある。
また、内外気混入モード時に、内外気切替ダンパ11cが外気導入口11aを、内気導入側微小開度域を超えるまで開いている状態から外気導入口11aを全閉状態にすると、内気導入口11bの開度が大きくなって車室内のブロア騒音が急に大きくなるので、乗員に違和感を与えてしまう恐れがある。
このことに対し、本実施形態では、図3に示すフローチャートにおけるステップSA6で内外気切替アクチュエータ11dの駆動処理を行うとともに、ステップSA7に進んでブロア騒音の風量補正制御を行うことにより、内外気切替ダンパ11cの動作に起因する車室内のブロア騒音の変化を緩やかにして乗員に違和感を与えないようにする。
(風量補正制御)
次に、風量補正制御について図12〜図15に基づいて説明する。まず、図15に示すフローチャートのステップSD1において内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)が0%(外気導入開度)から外気導入側微小開度域に変化したか否かを判定する。ステップSD1においてYESと判定されて内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)が0%(外気導入開度)から外気導入側微小開度域に変化した場合には、ステップSD2に進み、ブロアモータ15bに印加する電圧(ブロア電圧 Vout)を所定の補正量(nV)だけマイナス側に補正する回転数低下制御を行う。これにより、ブロアモータ15bの回転数が、内気導入口11bが全閉状態にあるときよりも低下するので、ブロア騒音が小さくなる。従って、内外気切替ダンパ11cが内気導入口11bの微小開度域(外気導入側微小開度域)を超えるまで開いても、車室内のブロア騒音が急に大きくなってしまうことはなく、ブロア騒音の変化が緩やかになる。ステップSD2における補正量(nV)は、図13に示すように、補正前のブロア電圧が高いほど多くなるように設定されている。
ステップSD2に続くステップSD3では、内外気切替ダンパ11cの実開度が開度(f)になったか、即ち、内外気切替アクチュエータ11dによる内外気切替ダンパ11cの駆動が完了したか否かを判定する。これは、例えば、内外気切替アクチュエータ11dの作動量をセンサ等によって検出することによって判定することができる。ステップSD3でNOと判定されて内外気切替アクチュエータ11dによる内外気切替ダンパ11cの駆動が完了していない場合には、内外気切替アクチュエータ11dによる内外気切替ダンパ11cの駆動が完了するまで待つ。
ステップSD3でYESと判定されて内外気切替アクチュエータ11dによる内外気切替ダンパ11cの駆動が完了したらステップSD4に進み、ステップSD2で補正した補正量を徐々に減らしていき、0にする(図12参照)。つまり、制御装置30は、回転数低下制御を行った後、ブロアモータ15bの回転数を増加させる制御を行う。この実施形態では、1秒経過する毎に0.1Vだけ補正量を減らすようにしているが、これに限られるものではない。
また、ステップSD1においてNOと判定された場合にはステップSD5に進み、内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)が内気循環側微小開度域から100%(内気循環開度)に変化したか否かを判定する。ステップSD5においてYESと判定されて内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)が内気循環側微小開度域から100%(内気循環開度)に変化した場合にはステップSD2に進む。これにより、制御装置30は、内外気混入モードが選択されている場合に、内外気切替ダンパ11cが内気導入口11bを全開状態にするときには、ブロアモータ15bの回転数を、内気導入口11bが全閉状態にあるときよりも低下させる回転数低下制御を行うことになる。すなわち、内外気切替ダンパ11cが内気導入口11bを全開状態にするときには、車室内のブロア騒音が大きくなってしまうが、この実施形態では、ブロアモータ15bの回転数を、内気導入口11bが全閉状態にあるときよりも低下させるように構成されているので、ブロア騒音が小さくなる。従って、内外気切替ダンパ11cが内気導入口11bを全開状態にしても、そのことで車室内のブロア騒音が急に大きくなってしまうことはなく、ブロア騒音の変化が緩やかになる。
ステップSD5においてNOと判定された場合にはステップSD6に進み、内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)が外気導入側微小開度域から0%(外気導入開度)に変化したか否かを判定する。ステップSD6においてYESと判定されて内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)が外気導入側微小開度域から0%(外気導入開度)に変化した場合には、ステップSD8に進み、ブロアモータ15bに印加する電圧(ブロア電圧 Vout)を所定の補正量(nV)だけプラス側に補正する回転数増加制御を行う。これにより、ブロアモータ15bの回転数が、外気導入口11aが全閉状態にあるときよりも増加するので、ブロア騒音が大きくなる。従って、外気導入口11aが全開状態になっても、車室内のブロア騒音が急に小さくなってしまうことはなく、ブロア騒音の変化が緩やかになる。ステップSD8における補正量(nV)は、図13に示すように、補正前のブロア電圧が高いほど多くなるように設定されている。
ステップSD8に続くステップSD9では、内外気切替ダンパ11cの実開度が開度(f)になったか、即ち、内外気切替アクチュエータ11dによる内外気切替ダンパ11cの駆動が完了したか否かを判定する。これは、例えば、内外気切替アクチュエータ11dの作動量をセンサ等によって検出することによって判定することができる。ステップSD9でNOと判定されて内外気切替アクチュエータ11dによる内外気切替ダンパ11cの駆動が完了していない場合には、内外気切替アクチュエータ11dによる内外気切替ダンパ11cの駆動が完了するまで待つ。
ステップSD9でYESと判定されて内外気切替アクチュエータ11dによる内外気切替ダンパ11cの駆動が完了したらステップSD10に進み、ステップSD10で補正した補正量を徐々に減らしていき、0にする(図12参照)。つまり、制御装置30は、回転数増加制御を行った後、ブロアモータ15bの回転数を低下させる制御を行う。この実施形態では、1秒経過する毎に0.1Vだけ補正量を減らすようにしているが、これに限られるものではない。
また、ステップSD6においてNOと判定された場合にはステップSD7に進み、内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)が100%(内気循環開度)から内気循環側微小開度域に変化したか否かを判定する。ステップSD7においてYESと判定されて内外気切替ダンパ11cの目標開度(f)が100%(内気循環開度)から内気循環側微小開度域に変化した場合にはステップSD8に進む。これにより、制御装置30は、内外気混入モードが選択されている場合に、内外気切替ダンパ11cが全閉状態にある外気導入口11aを開くときには、外気導入口11aの微小開度域(内気循環側微小開度)を超えるまで開くように内外気切替アクチュエータ11dを制御するとともに、ブロアモータ15bの回転数を、外気導入口11aが全閉状態にあるときよりも増加させる回転数増加制御を行うことになる。
すなわち、内外気切替ダンパ11cが外気導入口11aの微小開度域を超えるまで開くと、外気導入口11aの開度が急に大きくなる、即ち、内気導入口11bの開度が急に小さくなるので、車室内のブロア騒音が急に小さくなってしまい、乗員に違和感を与えることが考えられる。この実施形態では、ブロアモータ15bの回転数を、外気導入口11aが全閉状態にあるときよりも増加させるように構成されているので、ブロア騒音が大きくなる。従って、内外気切替ダンパ11cが外気導入口11aの微小開度域を超えるまで開いても、車室内のブロア騒音が急に小さくなってしまうことはなく、ブロア騒音の変化が緩やかになる。
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態に係る車両用空調装置1によれば、内外気混入モードが選択されているときには、フロントウインドガラスGの曇り易さに基づいて外気導入量及び内気循環量が変更されるので、フロントウインドガラスGが曇らない範囲で内気循環量を高めることが可能になり、これにより換気量が減少して暖房に要するエネルギ消費量が少なくなる。
また、内外気混入モードが選択されている場合に、内外気切替ダンパ11cが全閉状態にある内気導入口11bを開くときには、内気導入口11bの微小開度域を超えるまで開くように制御されるので、風切り音の発生を抑制できる。そして、内外気切替ダンパ11cが内気導入口11bの微小開度域を超えるまで開くときに、ブロアモータ15bの回転数を低下させてブロア騒音を小さくすることができるので、車室内のブロア騒音が急に大きくなってしまうことはなく、ブロア騒音の変化が緩やかになり、乗員に違和感を与えないようにすることができる。
また、内外気混入モードが選択されている場合に、内外気切替ダンパ11cが全閉状態にある外気導入口11aを開くときには、外気導入口11aの微小開度域を超えるまで開くように制御されるので、風切り音の発生を抑制できる。そして、内外気切替ダンパ11cが外気導入口11aの微小開度域を超えるまで開くときに、ブロアモータ15bの回転数を増加させることで車室内のブロア騒音が急に小さくなってしまうことはなく、ブロア騒音の変化が緩やかになり、乗員に違和感を与えないようにすることができる。
また、内外気切替ダンパ11cが内気導入口11bを全開状態にするときにブロアモータ15bの回転数を低下させるように、制御装置30がブロアモータ15bに印加する電圧を制御する。これにより、ブロア騒音の変化を緩やかにすることができる。
また、内外気切替ダンパ11cが外気導入口11aを全開状態にするときにブロアモータ15bの回転数を増加させるように、制御装置30がブロアモータ15bに印加する電圧を制御する。これにより、ブロア騒音の変化を緩やかにすることができる。
また、エンジン水温が低く且つ外気温度が低い時は、フロントウインド近傍温湿度センサ37が低温で保冷されている状態と推定できる。そこからエンジンを始動すると、エンジン水温の上昇に伴ってデフロスタ吹出口21から吹出す空気温度が上昇し、フロントウインドガラスGの温度は急激に上昇するが、フロントウインド近傍温湿度センサ37は低温で保冷されている状態で且つカバーで覆われているのでデフロスタ吹出口21から吹出す温風が当たりにくく更に温度が上昇し難くなり、フロントウインド近傍温湿度センサ37は実際のフロントウインドガラスGの温度よりも低い温度を出力してしまうことが考えられる。
この実施形態では、外気温度が所定温度以下の低外気時であり、かつ、エンジン水温が第1閾値以下で冷間始動時であることが検出された場合には、内気循環量が増えるように乾き補正処理を行うことができるので、フロントウインドガラスGの温度の変化に対してフロントウインド近傍温湿度センサ37が対応できないような状況であっても内気循環量を増やすことができる。
また、フロントウインドガラス露点温度が低い時は乗員が少なく窓が曇り難く、フロントウインドガラス露点温度が高い時は乗員が多く窓が曇りやすくなることが考えられる。通常、フロントウインド近傍温湿度センサ37がカバーと共に低温で保冷されている状態の時はフロントウインドガラス露点温度が低く、乗員の乗車後に露点温度が急激に上昇することになる。特に複数の乗員が一度に乗車した場合にはフロントウインドガラス露点温度の急激な上昇が顕著に現れる。一方、乗員数が少ない場合はフロントウインドガラス露点温度が上がりにくく窓も曇りにくいが、乗員数が多いとフロントウインドガラス露点温度が上がりやすく窓も曇りやすい。この実施形態では、乾き補正処理を行うことにより、フロントウインドガラス露点温度が低く窓が曇りにくい状況の時に内気循環量を増やすことができる。
さらに、本実施形態では、車両のイグニッションがOFFからONにされたときにフロントウインドガラスG近傍の温度と外気温度との差が所定値以上(ステップSC2でYES)で、エンジン水温が低温である(ステップSC3でYES)場合に、ステップSC4で湿り補正制御が行われる。この湿り補正制御では、図6に示すように湿り露点温度補正値(℃)として正の値を得る。そして、図3に示すフローチャートにおけるステップSA3では、ステップSA2で計算したフロントウインドガラス露点温度に、湿り露点温度補正値(℃)を加える。これにより、外気導入量が増える方向に制御されるので、フロントウインドガラスGに曇りが発生するのが抑制される。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。