JP2018108691A - 液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】部分的に有機材料を用いた無機ノズルを有する場合であっても、様々なインク種に対してオリフィスプレート表面を安定的に維持できる、ワイピング特性の良い液体吐出ヘッドの提供。【解決手段】エネルギー発生素子を有する基板の上に流路型材を形成する工程と、該流路型材を覆い該流路型材の間隙を全て充填しない膜厚で第一の無機材料を成膜する工程と、該第一の無機材料の膜上に樹脂材料層を形成し流路型材間の残りの間隙を充填する工程と、該第一の無機材料の膜及び該樹脂材料層を該流路型材の表面が露出するまで研磨する工程と、研磨面の上に第二の無機材料を成膜し該第二の無機材料の膜に吐出口を形成する工程と、該流路型材の少なくとも一部を除去して該吐出口に連通する流路を形成する工程とを有する液体吐出ヘッドの製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドの製造方法に関する。
インクジェット記録装置等の液体吐出記録装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッドを有する。液体吐出ヘッドは、通常、液体を吐出するエネルギーを発生するエネルギー発生素子を有する基板と、液体を吐出する吐出口及び前記吐出口に連通する流路を有するノズル層とを有する。そして、このノズル層は、前記吐出口が形成されたオリフィスプレートと、前記流路を形成するための流路壁部材とから構成されることができる。なお、この流路壁部材は、上記基板と、オリフィスプレートとの間に配される。
このようなノズル層は、例えば、樹脂等の有機材料で形成されたものがある。その一方で、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素等の無機材料で形成されたノズル層がある(特許文献1、2参照)。このような無機材料で形成されたノズル層を有する液体吐出ヘッドは、無機ノズルを有する液体吐出ヘッドとして知られている。
液体吐出ヘッドは、通常、吐出する液体を保持する空間として、上記流路(液室)が設けられ、その空間をどのように製造するかが、液体吐出ヘッドの製造方法の特徴の一つとなる。
特許文献1においては、以下の方法が提案されている。即ち、まず、二酸化ケイ素等の誘電材料で流路壁となる流路外部分(図11の符号301)を先に形成し、空間である流路部分(図11の符号302)は犠牲材料を埋込んで平坦化処理を行う。その後、この平坦面に、流路外部分と同様に、誘電材料を成膜し、ノズル層(図11の符号303)を設ける方法が提案されている。
しかし、この方法では、最終的に空間となる流路部分は犠牲材料で埋込むものの、流路壁となる流路外部分を含むノズル層を全て、二酸化ケイ素等の無機材料で形成する必要がある。ここで、吐出する液体の体積が多い場合には、液体を発生させるための圧力が高くなり、流路壁の破損予防の観点から、流路壁として用いる無機材料の膜厚を厚くする必要がある。特許文献1のように、無機材料のみでノズル層を形成する場合、その厚みを厚くすることは困難を伴い、その後の平坦化処理と合わせて製造負荷が増大することが分かっている。
通常の無機材料は、成膜製法のため、薄く均一にコンフォーマルに形成されるものの、成膜レートが遅い特徴がある。それに対して、通常の有機材料は、塗布製法のため、薄く均一に形成はしにくいものの、段差部の埋込み性が高く、厚膜塗布が可能である特徴がある。
そのため、特許文献1のような無機材料のみでノズル層を形成した無機ノズルから、無機材料のデメリットを補う形で、特許文献2のように、部分的に有機材料を使った無機ノズルや、構造部材として残す部分に有機材料を用いた無機ノズルが考えられる。
液体吐出ヘッドは、近年様々なインク種であっても良好に吐出することが求められる。そのため、様々なインク種に対して、オリフィスプレート表面(ノズル層表面)を安定的に維持することが求められる。
その手段として、オリフィスプレート表面をブレードで拭く、ワイピングと呼ばれる方法で、ゴミ、異物、及び、変質したインク等を除去する方法が採られている。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、特許文献2に記載されているような無機ノズルを有する液体吐出ヘッドを用いた場合には、以下のことが分かった。即ち、このような液体吐出ヘッドに対して、ワイピングを行っても、(チャンバ側の)流路壁の溝部分(図10の符号213)にゴミ、異物、及び、変質したインク等が除去できずに残る場合があることが分かった。
本発明は、これらの従来の製造方法を発展させ、部分的に有機材料を用いた無機ノズルを有する場合であっても、上記流路壁の溝を無くすことにより、以下のことを目的とする。即ち、本発明は、様々なインク種に対して、オリフィスプレート表面を安定的に維持でき、ワイピング特性の良い液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
上記課題は、以下の本発明によって解決される。
即ち、本発明は、液体を吐出する吐出口を有するオリフィスプレートと、
該吐出口から液体を吐出するためのエネルギー発生素子を有する基板と、
該基板及び該オリフィスプレートの間に配され、該吐出口に連通する流路を形成するための流路壁部材と、
を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
エネルギー発生素子を有する基板の上に、流路の型となる流路型材を形成する工程と、
該流路型材を覆い、該流路型材の間隙を全て充填しない膜厚で第一の無機材料を成膜する工程と、
該第一の無機材料の膜上に樹脂材料層を形成し、該流路型材間の残りの間隙を充填する工程と、
該第一の無機材料の膜及び該樹脂材料層を、該流路型材の表面が露出するまで研磨する工程と、
研磨面の上に第二の無機材料を成膜し、該第二の無機材料の膜に吐出口を形成する工程と、
該流路型材の少なくとも一部を除去して、該吐出口に連通する流路を形成する工程と、
を有する液体吐出ヘッドの製造方法である。
即ち、本発明は、液体を吐出する吐出口を有するオリフィスプレートと、
該吐出口から液体を吐出するためのエネルギー発生素子を有する基板と、
該基板及び該オリフィスプレートの間に配され、該吐出口に連通する流路を形成するための流路壁部材と、
を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
エネルギー発生素子を有する基板の上に、流路の型となる流路型材を形成する工程と、
該流路型材を覆い、該流路型材の間隙を全て充填しない膜厚で第一の無機材料を成膜する工程と、
該第一の無機材料の膜上に樹脂材料層を形成し、該流路型材間の残りの間隙を充填する工程と、
該第一の無機材料の膜及び該樹脂材料層を、該流路型材の表面が露出するまで研磨する工程と、
研磨面の上に第二の無機材料を成膜し、該第二の無機材料の膜に吐出口を形成する工程と、
該流路型材の少なくとも一部を除去して、該吐出口に連通する流路を形成する工程と、
を有する液体吐出ヘッドの製造方法である。
本発明によれば、部分的に有機材料を用いた無機ノズルを有する場合であっても、様々なインク種に対して、オリフィスプレート表面を安定的に維持できる、ワイピング特性の良い液体吐出ヘッドを提供することができる。
<液体吐出ヘッド>
本発明より得られる液体吐出ヘッドは、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサ等の装置、更には、各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に搭載可能である。
本発明より得られる液体吐出ヘッドは、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサ等の装置、更には、各種処理装置と複合的に組み合わせた産業記録装置に搭載可能である。
なお、本発明より得られる液体吐出ヘッドは、液体を吐出する吐出口を有するオリフィスプレートと、該吐出口から液体を吐出するためのエネルギー発生素子を有する基板と、該基板及び該オリフィスプレートの間に配され、該吐出口に連通する流路を形成するための流路壁部材と、を有する。また、前記流路壁部材は、前記流路に面する側面と前記基板に接する底面を備える凹部空間を構成する第一の無機材料の境界部材と、該凹部空間に充填される樹脂材料とを含む。さらに、前記オリフィスプレートは、第二の無機材料を含み、前記境界部材と前記樹脂材料とに接している。
以下に、本発明より得られる液体吐出ヘッドについて、図を用いて詳しく説明する。
図1(a)は、本発明より得られる液体吐出ヘッドの一例を一部破断した状態の模式的斜視図であり、図1(b)は、この液体吐出ヘッドの模式的断面図である。図1(b)に示す断面図は、図1(a)に示す液体吐出ヘッドの断面部を正面から見た際の断面図である。また、図2A〜図7は、本発明の実施形態を説明するための図である。
図1(a)は、本発明より得られる液体吐出ヘッドの一例を一部破断した状態の模式的斜視図であり、図1(b)は、この液体吐出ヘッドの模式的断面図である。図1(b)に示す断面図は、図1(a)に示す液体吐出ヘッドの断面部を正面から見た際の断面図である。また、図2A〜図7は、本発明の実施形態を説明するための図である。
図1では、液体を吐出する吐出口(液体吐出口)3を紙面上側に、液体を供給する液体供給口8を紙面下側に記載している。
図1に示す液体吐出ヘッドは、エネルギー発生素子1を有する基板(素子基板)2と、吐出口3を有するオリフィスプレート4と、この吐出口に連通する流路(液体流路)5を形成するための流路壁部材6とを有する。この流路壁部材6は、素子基板2と、オリフィスプレート4との間に配される。
図1に示す液体吐出ヘッドは、エネルギー発生素子1を有する基板(素子基板)2と、吐出口3を有するオリフィスプレート4と、この吐出口に連通する流路(液体流路)5を形成するための流路壁部材6とを有する。この流路壁部材6は、素子基板2と、オリフィスプレート4との間に配される。
(素子基板)
素子基板に用いる基板7としては、例えば、シリコン基板を用いることができる。エネルギー発生素子1は、液体吐出ヘッドの吐出口から液体(例えば、インク等の記録液)を吐出するためのエネルギーを発生できるものであればよい。エネルギー発生素子1としては、例えば、液体を沸騰させる電気熱変換素子(発熱抵抗体素子、ヒータ素子)や、体積変化や振動により液体に圧力を与える素子(ピエゾ素子、圧電素子)などを用いることができる。なお、エネルギー発生素子1の数や配置は、作製する液体吐出ヘッドの構造に応じて適宜選択することができ、例えば、この素子を複数、所定のピッチで1列に並べて、素子基板のおもて面に設けることができる。なお、基板のおもて面とは、基板の対向する2つの面のうちの、流路壁部材が形成される側の面を意味し、このおもて面に対向する面が裏面となる。
素子基板に用いる基板7としては、例えば、シリコン基板を用いることができる。エネルギー発生素子1は、液体吐出ヘッドの吐出口から液体(例えば、インク等の記録液)を吐出するためのエネルギーを発生できるものであればよい。エネルギー発生素子1としては、例えば、液体を沸騰させる電気熱変換素子(発熱抵抗体素子、ヒータ素子)や、体積変化や振動により液体に圧力を与える素子(ピエゾ素子、圧電素子)などを用いることができる。なお、エネルギー発生素子1の数や配置は、作製する液体吐出ヘッドの構造に応じて適宜選択することができ、例えば、この素子を複数、所定のピッチで1列に並べて、素子基板のおもて面に設けることができる。なお、基板のおもて面とは、基板の対向する2つの面のうちの、流路壁部材が形成される側の面を意味し、このおもて面に対向する面が裏面となる。
また、素子基板2には、流路5と連通しかつ液体を供給するための液体供給口8を有することができる。図1(a)に示す液体吐出ヘッドでは、このヘッドの長手方向に沿って吐出口を等間隔に配置することにより形成した吐出口列を1列配置しており、この吐出口列の両側に液体供給口8が設けられている。なお、この液体供給口8は、素子基板を、基板面に対して垂直な方向に貫通しており、素子基板のおもて面及び裏面において開口している。
また、基板7上には、電極パッド(不図示)や、エネルギー発生素子と電極パッドとを接続する配線(不図示)を有することもできる。さらに、この素子基板は、エネルギー発生素子1の上に、この素子をインク等の液体から保護する保護膜9を有することができる。この保護膜は、例えば、窒化ケイ素等の無機材料からなることができ、この無機材料を素子基板のおもて面にプラズマCVD(Chemical vapor deposition)法等で成膜することで形成することができる。
(オリフィスプレート)
オリフィスプレート4が有する吐出口3は、液体を吐出するためのものであり、例えば、図1(b)に示すように、エネルギー発生素子1の上方(紙面上方)のオリフィスプレート部分に形成することができ、通常、1つの液体吐出ヘッドに複数形成される。
オリフィスプレート4は、無機材料(第二の無機材料)を含み、第二の無機材料を用いて形成する。この第二の無機材料としては、例えば、酸化ケイ素及び酸化タンタル等の酸化物、窒化ケイ素等の窒化物、並びに、炭窒化ケイ素等の炭窒化物を挙げることができる。
また、オリフィスプレートは、境界部材(流路壁境界部材)11と、樹脂材料(流路壁埋め込み材)10とに接している。
オリフィスプレート4が有する吐出口3は、液体を吐出するためのものであり、例えば、図1(b)に示すように、エネルギー発生素子1の上方(紙面上方)のオリフィスプレート部分に形成することができ、通常、1つの液体吐出ヘッドに複数形成される。
オリフィスプレート4は、無機材料(第二の無機材料)を含み、第二の無機材料を用いて形成する。この第二の無機材料としては、例えば、酸化ケイ素及び酸化タンタル等の酸化物、窒化ケイ素等の窒化物、並びに、炭窒化ケイ素等の炭窒化物を挙げることができる。
また、オリフィスプレートは、境界部材(流路壁境界部材)11と、樹脂材料(流路壁埋め込み材)10とに接している。
(流路壁部材)
流路壁部材6は、図1に示すように流路壁12を有し、この流路壁は、図2B及び図3に示すように、流路112の外側に配される(流路112を囲う)流路壁116aと、流路内部に配される流路壁116bとを有することができる。さらに、流路壁部材は、流路内部に配される第一の柱(図5及び図7の符号116c)、及び、流路壁中に配される第二の柱(図7の符号116dや116e)を有することもできる。第二の柱は、符号116dのように流路壁内部に形成されても良いし、符号116eのように流路壁の壁面部分に(壁面に沿って)形成されていても良い。なお、図5及び図7では、流路壁として、流路112の外側に配される流路壁116aのみが形成されている。
これらの流路壁、並びに、第一及び第二の柱は、それぞれ、図1〜図7に示すように、樹脂材料(図1では符号10、図2B〜図7では符号107a〜e)と、(第一の無機材料の)境界部材(図1では符号11、図2B〜図7では符号106a〜e)とを有することができる。また、これらの流路壁部材は、流路に面する側面と、基板(素子基板)に接する底面を備える凹部空間を構成する第一の無機材料の境界部材と、この凹部空間に充填される樹脂材料とを含むことができる。
さらに、流路壁は、図7に示すように、樹脂材料及び境界部材の他に、残存する(流路壁内部に残る)流路型材117を有することもでき、これらの部材からなることができる。図7では、円柱状の第二の柱116dは、流路外に形成され、除去されずに残った流路型材(残存する流路型材117)で囲まれている。
これらの流路壁、並びに、第一及び第二の柱の形状は、いずれも適宜設定することができ、図1〜図7に示すような、例えば、円柱形状、楕円柱形状、及び、四角柱(例えば直方体)等の角柱形状とすることができる。
このように、流路壁と、第一及び第二の柱とは、同じ構成(同一の形態)をとることができる。第一の柱は、図5及び図7に示すように、流路壁を外側に有する(流路壁に囲まれた)流路内部に配されるが、図1〜図3に示すように、流路内部に例えば円柱形状の流路壁を形成することもできる。即ち、流路内部に形成された、流路壁と、第一の柱とは同一の形態をとることができ、両者は区別されなくても良い。つまり、流路壁部材が、流路壁と、流路内部に配される第一の柱とを有する場合とは、以下の場合であっても良く、以下の場合を含むものである。即ち、図5及び図7のように、流路の外側に配される流路壁116aと、流路内部に配される第一の柱116cとを有する場合であっても良い。また、図3のように、流路の外側に配される流路壁116aと、流路内部に配される流路壁116bとを有する場合であっても良い。
なお、図5及び図7に示すように、第一の柱116cは、液体供給口111の上方に形成することもできる。
流路壁部材6は、図1に示すように流路壁12を有し、この流路壁は、図2B及び図3に示すように、流路112の外側に配される(流路112を囲う)流路壁116aと、流路内部に配される流路壁116bとを有することができる。さらに、流路壁部材は、流路内部に配される第一の柱(図5及び図7の符号116c)、及び、流路壁中に配される第二の柱(図7の符号116dや116e)を有することもできる。第二の柱は、符号116dのように流路壁内部に形成されても良いし、符号116eのように流路壁の壁面部分に(壁面に沿って)形成されていても良い。なお、図5及び図7では、流路壁として、流路112の外側に配される流路壁116aのみが形成されている。
これらの流路壁、並びに、第一及び第二の柱は、それぞれ、図1〜図7に示すように、樹脂材料(図1では符号10、図2B〜図7では符号107a〜e)と、(第一の無機材料の)境界部材(図1では符号11、図2B〜図7では符号106a〜e)とを有することができる。また、これらの流路壁部材は、流路に面する側面と、基板(素子基板)に接する底面を備える凹部空間を構成する第一の無機材料の境界部材と、この凹部空間に充填される樹脂材料とを含むことができる。
さらに、流路壁は、図7に示すように、樹脂材料及び境界部材の他に、残存する(流路壁内部に残る)流路型材117を有することもでき、これらの部材からなることができる。図7では、円柱状の第二の柱116dは、流路外に形成され、除去されずに残った流路型材(残存する流路型材117)で囲まれている。
これらの流路壁、並びに、第一及び第二の柱の形状は、いずれも適宜設定することができ、図1〜図7に示すような、例えば、円柱形状、楕円柱形状、及び、四角柱(例えば直方体)等の角柱形状とすることができる。
このように、流路壁と、第一及び第二の柱とは、同じ構成(同一の形態)をとることができる。第一の柱は、図5及び図7に示すように、流路壁を外側に有する(流路壁に囲まれた)流路内部に配されるが、図1〜図3に示すように、流路内部に例えば円柱形状の流路壁を形成することもできる。即ち、流路内部に形成された、流路壁と、第一の柱とは同一の形態をとることができ、両者は区別されなくても良い。つまり、流路壁部材が、流路壁と、流路内部に配される第一の柱とを有する場合とは、以下の場合であっても良く、以下の場合を含むものである。即ち、図5及び図7のように、流路の外側に配される流路壁116aと、流路内部に配される第一の柱116cとを有する場合であっても良い。また、図3のように、流路の外側に配される流路壁116aと、流路内部に配される流路壁116bとを有する場合であっても良い。
なお、図5及び図7に示すように、第一の柱116cは、液体供給口111の上方に形成することもできる。
上述した、第一の柱、第二の柱、及び、流路壁の配置はいずれも、適宜設定することができる。例えば、円柱形状の第一の柱を複数、流路内部に部分的に配置しても良いし、流路内部全体に間隔をあけて(例えば等間隔で)万遍なく配置しても良い。同様に、円柱形状の第二の柱を複数、流路壁内部に部分的に配置しても良いし、流路壁内部全体に間隔をあけて(例えば等間隔で)万遍なく配置しても良い。また、流路壁は、流路の外側を囲うように配置しても良いし、流路内部に部分的に配置しても良い。
しかしながら、オリフィスプレート表面(ノズル層表面)の平坦性の向上の観点から、隣り合う柱(第一の柱や第二の柱)同士の間の距離、及び、隣り合う柱と流路壁壁面との間の距離は、30μm以下にすることが好ましく、20μm以下にすることがより好ましい。なお、流路内部に円柱形状の流路壁を形成する場合は、この円柱形状の流路壁同士の間の距離も同様の理由から30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
また、オリフィスプレート表面の平坦性の向上の観点から、図5及び図7に示すように、第一の柱及び第二の柱はそれぞれ、流路内及び流路壁内に万遍なく配置されることが好ましい。また、上述したように、流路内部に配される柱(第一の柱や円柱形状の流路壁)は、図5及び図7に示すように、液体供給口111上にも配置することができる。
しかしながら、オリフィスプレート表面(ノズル層表面)の平坦性の向上の観点から、隣り合う柱(第一の柱や第二の柱)同士の間の距離、及び、隣り合う柱と流路壁壁面との間の距離は、30μm以下にすることが好ましく、20μm以下にすることがより好ましい。なお、流路内部に円柱形状の流路壁を形成する場合は、この円柱形状の流路壁同士の間の距離も同様の理由から30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
また、オリフィスプレート表面の平坦性の向上の観点から、図5及び図7に示すように、第一の柱及び第二の柱はそれぞれ、流路内及び流路壁内に万遍なく配置されることが好ましい。また、上述したように、流路内部に配される柱(第一の柱や円柱形状の流路壁)は、図5及び図7に示すように、液体供給口111上にも配置することができる。
なお、図7に示す、流路壁の壁面部分に配される第二の柱116eのように、柱同士は接していても良いが、流路内や流路壁内に配される(例えば円柱形状の)柱(符号116cや116d)は、間隔をあけて配置されることが好ましい。
例えば、流路内部に第一の柱(又は円柱形状の流路壁)を複数配置する場合は、以下のようにすることが好ましい。即ち、1つの柱からの距離が30μm以下(より好ましくは20μm以下)の範囲内で間隔をあけて、他の柱を少なくとも1本以上配置するようにし、流路内全体に第一の柱を万遍なく配置することが好ましい。同様に、例えば、流路壁内部に第二の柱を複数配置する場合は、以下のようにすることが好ましい。即ち、1つの柱からの距離が30μm以下(より好ましくは20μm以下)の範囲内で間隔をあけて、他の柱を少なくとも1本以上配置するようにし、流路壁内全体に第二の柱を万遍なく配置することが好ましい。この際、流路壁壁面(図7のように、流路壁壁面に沿って第二の柱116eが配される場合は第二の柱の側面)からのこれらの柱までの距離も同様に30μm以下(より好ましくは20μm以下)にすることが好ましい。
なお、第一及び第二の柱、並びに、流路壁の各間の距離は、各側面同士(例えば、第一の柱の側面と流路壁の壁面)の最短距離を意味する。
例えば、流路内部に第一の柱(又は円柱形状の流路壁)を複数配置する場合は、以下のようにすることが好ましい。即ち、1つの柱からの距離が30μm以下(より好ましくは20μm以下)の範囲内で間隔をあけて、他の柱を少なくとも1本以上配置するようにし、流路内全体に第一の柱を万遍なく配置することが好ましい。同様に、例えば、流路壁内部に第二の柱を複数配置する場合は、以下のようにすることが好ましい。即ち、1つの柱からの距離が30μm以下(より好ましくは20μm以下)の範囲内で間隔をあけて、他の柱を少なくとも1本以上配置するようにし、流路壁内全体に第二の柱を万遍なく配置することが好ましい。この際、流路壁壁面(図7のように、流路壁壁面に沿って第二の柱116eが配される場合は第二の柱の側面)からのこれらの柱までの距離も同様に30μm以下(より好ましくは20μm以下)にすることが好ましい。
なお、第一及び第二の柱、並びに、流路壁の各間の距離は、各側面同士(例えば、第一の柱の側面と流路壁の壁面)の最短距離を意味する。
流路壁等を構成する境界部材は、図2A〜図7に示すように、以下の境界部分に位置することができる。即ち、流路壁(符号116aや116b)、第一の柱116c及び第二の柱(符号116dや116e)からなる群から選ばれるいずれかの部材と、素子基板114との境界部分;第一の柱116cと液体供給口111の開口部分との境界部分;流路壁、第一の柱及び第二の柱からなる群から選ばれるいずれかの部材と、流路112との境界部分;並びに、残存する流路型材117と第二の柱(符号116dや符号116e)との境界部分に位置することができる。また、図7に示す第二の柱116eのように柱同士が接する場合は、境界部材を介して柱同士は接触することができる。
流路112や液体供給口111の開口部との境界部分に位置する境界部材は、最終的に、流路を流れるインク等の液体に接触する部材となる。境界部材を構成する材料は適宜設定することができるが、用いる液体に耐性を有する材料を用いて形成することが好ましい。即ち、例えば、液体として、インクを用いる場合は、耐インク性を有する材料を用いて、境界部材を形成することが好ましい。
本発明では、この境界部材を、無機材料(第一の無機材料)を用いて形成する。この第一の無機材料としては、上記第二の無機材料と同様に、例えば、酸化ケイ素及び酸化タンタル等の酸化物、窒化ケイ素等の窒化物、並びに、炭窒化ケイ素等の炭窒化物を挙げることができる。
境界部材の厚みは、適宜設定することができるが、詳細は後述するが、オリフィスプレート表面の平坦性の向上の観点から、100nm以下にすることが好ましく、20nm以下(特に20nm程度)がより好ましい。
流路112や液体供給口111の開口部との境界部分に位置する境界部材は、最終的に、流路を流れるインク等の液体に接触する部材となる。境界部材を構成する材料は適宜設定することができるが、用いる液体に耐性を有する材料を用いて形成することが好ましい。即ち、例えば、液体として、インクを用いる場合は、耐インク性を有する材料を用いて、境界部材を形成することが好ましい。
本発明では、この境界部材を、無機材料(第一の無機材料)を用いて形成する。この第一の無機材料としては、上記第二の無機材料と同様に、例えば、酸化ケイ素及び酸化タンタル等の酸化物、窒化ケイ素等の窒化物、並びに、炭窒化ケイ素等の炭窒化物を挙げることができる。
境界部材の厚みは、適宜設定することができるが、詳細は後述するが、オリフィスプレート表面の平坦性の向上の観点から、100nm以下にすることが好ましく、20nm以下(特に20nm程度)がより好ましい。
凹部空間等に充填される樹脂材料(図1の符号10)は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。また、樹脂材料は、感光性樹脂であってもよく、感光性樹脂の場合はポジ型感光性樹脂であることが好ましい。なお、この樹脂材料は、後述する流路の型となる流路型材と同一の材料で構成されることができる。なお、同一の材料とは、例えばポリイミドとポリイミド、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂というように、基本的な骨格部分が同じ材料という意味であり、分子量まで全く同一である必要はない。
流路壁内部に残存する流路型材117は、ポリイミド等の樹脂材料を用いて形成することができる。
流路112は、素子基板のおもて面と、流路壁部材(例えば、流路壁及び第一の柱)の壁面(境界部材の表面)と、オリフィスプレートの裏面(流路壁部材側の面)とで囲まれた空間部分であることができる。そして、流路112は、この空間部分に液体を保持する液室として利用される。
<液体吐出ヘッドの使用方法>
この液体吐出ヘッドを用いて、紙等の記録媒体に記録を行う場合、このヘッドの吐出口が形成された面(吐出口面)を記録媒体の記録面に対面するように配置する。そして、液体供給口から素子基板内に流入し、ノズル層内の流路内に充填された液体が、エネルギー発生素子から発生するエネルギーによって、吐出口から吐出され、記録媒体にこの液体が着弾することにより印字(記録)を行うことができる。
この液体吐出ヘッドを用いて、紙等の記録媒体に記録を行う場合、このヘッドの吐出口が形成された面(吐出口面)を記録媒体の記録面に対面するように配置する。そして、液体供給口から素子基板内に流入し、ノズル層内の流路内に充填された液体が、エネルギー発生素子から発生するエネルギーによって、吐出口から吐出され、記録媒体にこの液体が着弾することにより印字(記録)を行うことができる。
<液体吐出ヘッドの製造方法>
以下に、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法について、複数の実施形態を例に挙げ、詳しく説明する。なお、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
以下に、本発明の液体吐出ヘッドの製造方法について、複数の実施形態を例に挙げ、詳しく説明する。なお、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
(第一の実施形態)
図2A及び図2Bは、本発明の第一の実施形態の一例の各工程を時系列に説明するための模式的断面図であり、以下、この図に従って説明を行う。なお、この第一の実施形態より作製される液体吐出ヘッドの一部の模式的平面図を図3に示す。
図2A及び図2Bは、本発明の第一の実施形態の一例の各工程を時系列に説明するための模式的断面図であり、以下、この図に従って説明を行う。なお、この第一の実施形態より作製される液体吐出ヘッドの一部の模式的平面図を図3に示す。
まず、図2A(a)に示すように、エネルギー発生素子101を有する基板を用意する。例えば、通常の半導体デバイスと同じように、基板(例えば、シリコン基板)102上に、半導体素子を作り込み、エネルギー発生素子(例えば、ヒータ素子)101と、この素子を保護する保護膜103とを形成する。これらの形成は、例えばフォトリソグラフィを用いた多層配線技術によって形成する。
次に、図2A(b)に示すように、エネルギー発生素子を有する基板のおもて面(ここでは、保護膜103の表面)を、流路型材形成用材料で被覆し、層104を形成する。続いて、図2A(c)に示すように、フォトリソグラフィ等の方法で、流路の型となる流路型材(流路形成部材)105を形成する。例えば、この層104の上にレジスト(不図示)を塗布し、レジストを露光、現像し、さらに、レジストパターンをマスクに反応性イオンエッチング(RIE)等によりエッチングを行う。
ここで、流路型材105は、最終的には除去され、空洞の液体流路(図1の符号5)を形成するための型材として働くため、流路型材形成用材料には、除去が可能な材料を選択して用いる。なお、後述する第三の実施形態では、この流路型材は残存し、流路壁を構成する一部材となることから、流路型材形成用材料には、除去が可能かつ残存しても良い材料を選択して用いることが好ましい。
この流路型材形成用材料としては、例えば、ポリイミドやポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。また、流路型材形成用材料は、感光性樹脂であってもよく、感光性樹脂の場合はポジ型感光性樹脂であることが好ましい。
また、流路型材の除去方法としては、適宜選択できるが、例えば、酸素ガスを導入し、マイクロ波でプラズマを励起してエッチングする等方性ドライエッチングにより除去する方法を用いることができる。
ここで、流路型材105は、最終的には除去され、空洞の液体流路(図1の符号5)を形成するための型材として働くため、流路型材形成用材料には、除去が可能な材料を選択して用いる。なお、後述する第三の実施形態では、この流路型材は残存し、流路壁を構成する一部材となることから、流路型材形成用材料には、除去が可能かつ残存しても良い材料を選択して用いることが好ましい。
この流路型材形成用材料としては、例えば、ポリイミドやポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。また、流路型材形成用材料は、感光性樹脂であってもよく、感光性樹脂の場合はポジ型感光性樹脂であることが好ましい。
また、流路型材の除去方法としては、適宜選択できるが、例えば、酸素ガスを導入し、マイクロ波でプラズマを励起してエッチングする等方性ドライエッチングにより除去する方法を用いることができる。
次に、図2A(d)に示すように、流路型材105を有する基板のおもて面を、第一の無機材料で成膜し、流路型材を覆い、境界部材となる第一の無機材料の膜106を形成する。第一の無機材料は基板上の全面に形成することが好ましい。第一の無機材料としては、例えば炭窒化ケイ素や酸化タンタルを用いることができる。また、第一の無機材料の膜の成膜方法は、コンフォーマルに安定して所定の膜厚の無機材料の膜を形成できる点から、原子層堆積(ALD:Atomic LayerDeposition)法、又は、プラズマCVD法を用いることが好ましい。第一の無機材料の膜106は、流路型材を覆うので流路型材間の間隙に一部入るが、間隙の全てを充填するものではない。
第一の無機材料の膜厚は流路型材105の間隙を全て充填しない膜厚で適宜設定することができ、例えば、5nm以上300nm以下とすることができる。5nm以上であれば、安定して第一の無機材料の膜を形成することができる。300nm以下であれば、特に狭い流路型材の間隙でも充填しない膜厚となる。なお、オリフィスプレートの平坦性向上の観点から、第一の無機材料の膜厚は、100nm以下とすることが好ましく、20nm以下とすることがより好ましい。
続いて、図2A(e)に示すように、流路型材間の残りの間隙を充填して、第一の無機材料の膜上に樹脂材料層107を形成する。この際、樹脂材料層は、スピンコート法などの塗布法で上記間隙を埋め、さらに第一の無機材料で覆われた流路型材の上面にも形成される。樹脂材料層を構成する材料は適宜設定することができ、樹脂材料層107と、流路型材105とは、同一の材料で形成することもできる。
この後、図2B(f)に示すように、第一の無機材料の膜106及び樹脂材料層107を、流路型材105の表面が露出するまで研磨(平坦処理)を実施する。研磨は、例えば、化学機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)処理により行う。この化学機械的研磨処理による平坦処理により、流路型材105を覆う第一の無機材料の膜106の端面が露出する。
CMPによる平坦処理では、流路型材105及び樹脂材料層107の研磨面(図2B(f)の符号108)に第一の無機材料との研磨速度等の違いによりディッシングと呼ばれる凹みが形成されることがある。特に無機材料が研磨する部分にない領域が広くなるほど凹みが深くなる傾向にある。平坦性向上の観点から、第一の無機材料の研磨時間を短くする、すなわち、第一の無機材料の膜厚は薄くすることが好ましく、具体的には100nm以下とすることが好ましく、20nm以下とすることがより好ましい。
CMPによる平坦処理では、流路型材105及び樹脂材料層107の研磨面(図2B(f)の符号108)に第一の無機材料との研磨速度等の違いによりディッシングと呼ばれる凹みが形成されることがある。特に無機材料が研磨する部分にない領域が広くなるほど凹みが深くなる傾向にある。平坦性向上の観点から、第一の無機材料の研磨時間を短くする、すなわち、第一の無機材料の膜厚は薄くすることが好ましく、具体的には100nm以下とすることが好ましく、20nm以下とすることがより好ましい。
次に、図2B(g)に示すように、研磨面の上に、オリフィスプレートとなる、第二の無機材料を成膜し、第二の無機材料の膜109を形成する。この際、第二の無機材料の膜109は、研磨により表面に露出した第一の無機材料の膜106の端面を覆うことになる。
次に、図2B(h)に示すように、第二の無機材料の膜109の上に、レジスト(不図示)を塗布し、露光、現像、及び反応性イオンエッチング等によりエッチングを行い、吐出口110を形成する。
次に、図2B(i)に示すように、基板102を基板裏面からのドライエッチング等により、液体供給口111となる貫通孔を形成する。なお、この際、エッチングは、基板102のおもて面に配される保護膜103が残った状態で一端止まり、流路型材105までは到達しない。このため、保護膜103を基板裏面から基板102と選択比のとれるエッチング法等によって除去することにより、液体供給口となる貫通孔を完成する。
最後に、図2B(j)に示すように、除去することを前提に予め形成していた流路型材105を除去し、吐出口に連通する、空洞の流路112を形成する。
以上により、液体吐出ヘッド内に液体供給口から液体吐出口に抜ける液体の通り道ができ、オリフィスプレート113と、流路壁部材115と、素子基板114とを有する液体吐出ヘッドが完成する。この液体吐出ヘッドでは、流路112の外側に配される流路壁116aと、流路内部に配される流路壁116bとを有する。流路壁116aは、境界部材(第一の無機材料)106aと、樹脂材料107aとから構成され、流路壁116bは、境界部材106bと樹脂材料107bとから構成される。
この第一の実施形態より得られる液体吐出ヘッドでは、特許文献2のような従来技術で形成される溝(図10の符号213)を無くすことができ、それによりワイピング特性を向上させることができる。
なお、本発明では、前記エネルギー発生素子を有する基板を貫通する液体供給口を形成する工程を、例えば、吐出口を形成する工程の後に有することができる。また、流路型材を形成する工程の前に、基板上に、エネルギー発生素子を形成する工程を有することもできる。
(第二の実施形態)
図4A及び図4Bは、本発明の第二の実施形態の一例の各工程を時系列に説明するための模式的断面図であり、以下、この図に従って説明を行う。なお、この第二の実施形態より作製される液体吐出ヘッドの一部の模式的平面図を図5に示す。
図4A及び図4Bは、本発明の第二の実施形態の一例の各工程を時系列に説明するための模式的断面図であり、以下、この図に従って説明を行う。なお、この第二の実施形態より作製される液体吐出ヘッドの一部の模式的平面図を図5に示す。
まず、第一の実施形態の図2A(a)及び(b)に示した方法と同じ方法で、図4A(a)及び(b)に示すように、エネルギー発生素子101及び保護膜103等を有する基板102を用意し、保護膜表面に流路型材形成用材料を被覆し、層104を形成する。
続いて、図2A(c)に示した方法と同じ方法で、図4A(c)に示すように、流路の型となる流路型材(流路形成部材)105を形成する。ここで、第二の実施形態では、オリフィスプレート表面の平坦性向上の観点から、図5に示すように、流路内部に、(例えば円柱形状の)第一の柱を複数配置する。上述したように、この第一の柱(の側面)と、流路壁(の壁面)との間の距離、並びに、柱同士の間の距離が、30μm以下(より好ましくは20μm以下)となるように、流路内全体に万遍なく第一の柱を配置することが好ましい。流路内部に配される第一の柱は、オリフィスプレートを支える柱となり、また、ノズルフィルタ及び流路抵抗素子として働くことができる。
即ち、第二の実施形態では、流路型材105が、図5に示すように、流路壁116a及び第一の柱116cの型ともなり、この流路型材を除去することによって、流路壁116aに囲まれた、第一の柱116cを内部に有する流路112が形成される。
即ち、第二の実施形態では、流路型材105が、図5に示すように、流路壁116a及び第一の柱116cの型ともなり、この流路型材を除去することによって、流路壁116aに囲まれた、第一の柱116cを内部に有する流路112が形成される。
流路型材105を形成した後は、第一の実施形態の図2A(d)〜図2B(j)と同様にして、図4B(j)に示す液体吐出ヘッドを得ることができる。この液体吐出ヘッドでは、図5に示すように、流路壁部材が、流路壁116aと、流路内部に配される第一の柱116cとを有する。
この第二の実施形態より得られる液体吐出ヘッドでは、従来技術で形成される溝を無くすことができ、それによりワイピング特性を向上させることができる。また、第一の柱を流路内部に複数配置することにより、オリフィスプレートの平坦性を一層向上させることができる。
(第三の実施形態)
図6A及び図6Bは、本発明の第三の実施形態の一例の各工程を時系列に説明するための模式的断面図であり、以下、この図に従って説明を行う。なお、この第三の実施形態より作製される液体吐出ヘッドの一部の模式的平面図を図7に示す。
図6A及び図6Bは、本発明の第三の実施形態の一例の各工程を時系列に説明するための模式的断面図であり、以下、この図に従って説明を行う。なお、この第三の実施形態より作製される液体吐出ヘッドの一部の模式的平面図を図7に示す。
まず、第一の実施形態の図2A(a)及び(b)に示した方法と同じ方法で、図6A(a)及び(b)に示すように、エネルギー発生素子101及び保護膜103等を有する基板102を用意し、保護膜表面に流路型材形成用材料を被覆し、層104を形成する。
続いて、図2A(c)に示した方法と同じ方法で、図6A(c)に示すように、流路の型となる流路型材(流路形成部材)105を形成する。ここで、第三の実施形態では、オリフィスプレート表面の平坦性向上の観点から、図7に示すように、流路内部に(例えば円柱形状の)第一の柱を複数配置し、流路壁内部に(例えば円柱形状や楕円柱形状の)第二の柱を複数配置する。また、流路壁内部には残存する流路型材も配される。上述したように、これらの柱と、流路壁との間の距離、並びに、柱同士の間の距離は、30μm以下(より好ましくは20μm以下)となるように、流路内全体に万遍なく第一の柱を配置することが好ましい。同様に、上述した距離範囲内となるように、流路壁内全体に万遍なく(例えば円柱形状の)第二の柱を配置することが好ましい。第三の実施形態では、流路型材105が、図7に示すように、流路壁116aと、第一の柱116cと、第二の柱(符号116d及び116e)との型ともなる。この流路型材のうちの少なくとも一部(流路に相当する部分)を除去することによって、第二の柱(と残存する流路型材と)を有する流路壁に囲まれた、第一の柱を内部に有する流路112が形成される。
流路型材105を形成した後は、第一の実施形態の図2A(d)〜図2B(j)と同様にして、図6B(j)に示す液体吐出ヘッドを得ることができる。この液体吐出ヘッドでは、図7に示すように、流路壁部材が、流路壁116aと、流路内部に配される第一の柱116cとを有し、流路壁116aは、第二の柱(符号116d及び116e)と、残存する流路型材117とを有する。
この第三の実施形態より得られる液体吐出ヘッドでは、従来技術で形成される溝を無くすことができ、それによりワイピング特性を向上させることができる。また、柱を流路内部及び流路壁内部に複数配置することにより、ヘッド全体でオリフィスプレートの平坦性を一層向上させることができる。
このように、本発明の実施形態では、特許文献2とは異なり、流路壁の壁面に沿って配される溝を有さない流路壁部材を形成することができ、これによりワイピング特性の良い液体吐出ヘッドを作製することができる。
以下、本実施例と、従来技術の延長である比較例とを比較することで、本発明の各実施形態の特徴をより詳しく述べる。
〔比較例1〕
特許文献2に記載の部分的に有機材料を使った無機ノズルを有する液体吐出ヘッドに相当する液体吐出ヘッドを以下の手順により作製した。なお、図9は、比較例1で作製した液体吐出ヘッドの一部の模式的平面図であり、図10は、特許文献2に記載の液体吐出ヘッドに相当する模式的断面図である。
特許文献2に記載の部分的に有機材料を使った無機ノズルを有する液体吐出ヘッドに相当する液体吐出ヘッドを以下の手順により作製した。なお、図9は、比較例1で作製した液体吐出ヘッドの一部の模式的平面図であり、図10は、特許文献2に記載の液体吐出ヘッドに相当する模式的断面図である。
まず、図8(a)に示すように、厚さ625μmのシリコン基板202に、半導体素子(不図示)を作り込み、ヒータ素子201及びヒータ素子を保護する保護膜203となる厚さ0.5μmの窒化ケイ素膜をプラズマCVDにより成膜形成した。
次に、図8(b)に示すように、この保護膜を有する基板上に、ポリイミド(HDマイクロシステムズ社製)をスピンコートし、厚さが5μmの層204を形成した。更に、この層上にレジスト(不図示)を塗布し、フォトリソグラフィ(レジストの露光、現像及びRIEによるポリイミドのエッチング)により、図8(c)に示すように、流路の型となる流路型材205を形成した。
続いて、図8(d)に示すように、流路型材205を覆うように、炭窒化ケイ素をプラズマCVDにより成膜し、膜厚3μmの炭窒化ケイ素膜206を形成した。
次に、図8(e)に示すように、この炭窒化ケイ素膜206上に、レジスト(不図示)を塗布し、フォトリソグラフィ(レジストの露光、現像及び炭窒化ケイ素膜のRIEによるエッチング)により、直径15μmの液体吐出口210を形成した。
次に、図8(f)に示すように、シリコン基板202の裏面側からエッチングし、シリコン基板のみを貫通する(保護膜203は貫通していない)20×40μmの貫通孔を形成した。この際、エッチングガスとしてはSF6とC4F8を用い、エッチングと成膜を交互に行うDeep−RIE法を用いた。その後、この貫通孔の紙面上部に位置する保護膜203をRIEによりエッチング除去し、シリコン基板202及び保護膜203を貫通し、流路型材205に至る貫通孔である液体供給口211を形成した。
次に、図8(g)に示すように、予め形成していた流路型材205を、酸素ガスを導入し、マイクロ波でプラズマを励起してエッチングする等方性ドライエッチングにより除去し、空洞の流路212を形成した。
以上により、液体吐出ヘッド内に、液体供給口から液体吐出口に抜ける液体の通り道ができ、液体吐出ヘッドが完成した。この液体吐出ヘッドでは、図8〜図10に示すように、液体供給口211から供給された液体(例えばインク)は流路212を通って、ヒータ素子201上の流路部分(液室)に充満される。そして、ヒータ素子201の発泡によって液体吐出口210から液体の吐出が行われる。
比較例1より得られる液体吐出ヘッドでは、溝(溝部)213が形成される。この溝213は、図9に示すように、流路212の外側部分(残存する流路型材205より構成される流路壁の壁面に沿った部分)や、等間隔に配されたヒータ素子201周辺に配されている。上述したように、この溝を有する液体吐出ヘッドのオリフィスプレート表面をブレードで拭くワイピングを行うと、この溝部に、ゴミ、異物及び変質したインク等がトラップされ、除去が困難になることがあった。
〔実施例1〕
上記比較例1の図8(a)及び(b)と同じ方法で、図2A(a)に示す、エネルギー発生素子(ヒータ素子)101と、保護膜(窒化ケイ素膜)103とを有する基板102を形成し、図2A(b)に示す、厚み5μmの層(ポリイミド)104を形成した。次に、この層104上に、レジスト(不図示)を塗布し、比較例1と同様にフォトリソグラフィにより、図2A(c)に示す流路型材105を形成した。
上記比較例1の図8(a)及び(b)と同じ方法で、図2A(a)に示す、エネルギー発生素子(ヒータ素子)101と、保護膜(窒化ケイ素膜)103とを有する基板102を形成し、図2A(b)に示す、厚み5μmの層(ポリイミド)104を形成した。次に、この層104上に、レジスト(不図示)を塗布し、比較例1と同様にフォトリソグラフィにより、図2A(c)に示す流路型材105を形成した。
次に、図2A(d)に示すように、流路型材105の上に、耐インク性を有する炭窒化ケイ素300nmをプラズマCVDにより成膜し、境界部材となる第一の無機材料の膜106を形成した。
続いて、図2A(e)に示すように、第一の無機材料の膜106で覆われた流路型材105を覆い、段差を埋込むように、樹脂材料を塗布し、流路壁埋め込み材となる樹脂材料層107を形成した。その際、樹脂材料としては、流路型材を形成した材料と同じ材料であるポリイミド(HDマイクロシステムズ社製)を用いた。なお、この樹脂材料層の厚み(最も厚い部分の厚み)は8μmであった。
この後、CMPによる平坦処理を実施し、第一の無機材料の膜106及び樹脂材料層107を流路型材105の表面が露出するまで研磨し、図2B(f)に示すように、研磨面108を作製した。
次に、図2B(g)に示すように、炭窒化ケイ素をプラズマCVDにより3μm厚に成膜し、第二の無機材料の膜109を形成した。
次に、図2B(h)に示すように、この第二の無機材料の膜109上に、レジスト(不図示)を塗布し、露光、現像及びRIEによりエッチングを行い、直径15μmの液体吐出口110を形成した。
次に、比較例1の図8(f)及び(g)と同じ方法で、図2B(i)に示すように、液体供給口111を形成し、図2B(j)に示すように、流路型材105を除去し、流路112を形成した。
以上により、流路壁116a及び116bを有する液体吐出ヘッドを作製した。この液体吐出ヘッドでは、図3に示すように、液体供給口111から供給された液体(例えばインク)は流路112を通って、ヒータ素子101上の流路部分(液室)に充満される。そして、ヒータ素子101の発泡によって液体吐出口110から液体の吐出が行われる。この実施例1より得られる液体吐出ヘッドの特徴は、比較例1にあった溝が無くなったことであり、そのことからワイピング特性が向上した。
〔実施例2〕
本実施例では、酸化タンタルを原子層堆積法により、20nm厚に成膜し、第一の無機材料の膜106を形成した以外は、実施例1と同様にして液体吐出ヘッドを作製した。
本実施例では、酸化タンタルを原子層堆積法により、20nm厚に成膜し、第一の無機材料の膜106を形成した以外は、実施例1と同様にして液体吐出ヘッドを作製した。
この実施例2より得られる液体吐出ヘッドの特徴の1つは、比較例1にあった溝が無くなったことであり、そのことからワイピング特性が向上した。また、この液体吐出ヘッドでは、オリフィスプレート表面上の湾曲した凹凸(段差)の発生を一層少なくするために、工夫を行った。具体的には、第一の無機材料の膜106の薄化によりオリフィスプレート表面の凹凸を緩和した。
ここで、オリフィスプレート表面上の湾曲した凹凸は、CMP処理時のディッシングに起因する。具体的には、ウエハ研磨時のパターン構造の違いによる押し付け力の差と、材料の違いによる削れ量の差とによってディッシングが発生する。
ここで、オリフィスプレート表面上の湾曲した凹凸は、CMP処理時のディッシングに起因する。具体的には、ウエハ研磨時のパターン構造の違いによる押し付け力の差と、材料の違いによる削れ量の差とによってディッシングが発生する。
実施例2では、この湾曲した凹凸を少なくするために、第一の無機材料の膜の研磨時間を短くすることを行った。なお、研磨時間を短くできるのは本発明の特徴の1つである。本発明の製造方法より得られる液体吐出ヘッドの構成において、第一の無機材料の膜(境界部材)は境界のみの機能であることから、薄く成膜することで、CMP処理における研磨時間を短くすることができる。
オリフィスプレート表面上の湾曲した凹凸の発生を抑える効果は、第一の無機材料の膜の膜厚を100nm以下にすると次第に小さくなり、好ましくは20nm程度にすればよいことが分かった。そこで、実施例2では、第一の無機材料の膜の厚みを20nmに設定した。
その結果、実施例1と比較して、オリフィスプレート表面上の凹凸の発生が一層見えなくなり、オリフィスプレート表面の平坦性が一層向上した。
〔実施例3〕
上記実施例1の図2A(a)及び(b)と同じ方法で、図4A(b)に示す、厚み5μmのポリイミド層(層104)を有する基板を作製した。次に、図4A(c)に示すように、ポリイミド層上にレジスト(不図示)を塗布し、露光、現像及びRIEによりエッチングを行い、流路の型となる流路型材105を形成した。なお、この流路型材は、図5に示すように、流路壁116a及び流路内部に配される第一の柱116cの型ともなる。詳細についは後述するが、隣り合う柱同士の間の距離、及び、隣り合う流路壁及び柱の間の距離が20μmになるように、流路型材の形状を設定した。
上記実施例1の図2A(a)及び(b)と同じ方法で、図4A(b)に示す、厚み5μmのポリイミド層(層104)を有する基板を作製した。次に、図4A(c)に示すように、ポリイミド層上にレジスト(不図示)を塗布し、露光、現像及びRIEによりエッチングを行い、流路の型となる流路型材105を形成した。なお、この流路型材は、図5に示すように、流路壁116a及び流路内部に配される第一の柱116cの型ともなる。詳細についは後述するが、隣り合う柱同士の間の距離、及び、隣り合う流路壁及び柱の間の距離が20μmになるように、流路型材の形状を設定した。
次に、図4A(d)に示すように、流路型材105の上に、第一の無機材料として耐インク性を有する炭窒化ケイ素をプラズマCVDにより厚み200nmで成膜し、境界部材となる第一の無機材料の膜106を形成した。
次に、図4A(e)に示すように、流路型材に用いた材料と同じ材料であるポリイミド(HDマイクロシステムズ社製)を樹脂材料として用いて、基板上の段差を埋込み、流路壁埋め込み材となる樹脂材料層107を形成した。その際、樹脂材料層の厚み(最も厚い部分の厚み)は8μmとした。
この後、実施例1の図2B(f)〜(i)と同じ方法で、CMP処理、第二の無機材料の成膜、吐出口110及び液体供給口111の形成を行った。次いで、実施例1の図2B(j)と同じ方法で、流路型材を除去し、図4B(j)及び図7に示す、流路壁116aを外側に有し(流路壁に囲まれた)、第一の柱116cを内部に有する流路112を含む液体吐出ヘッドを作製した。
この実施例3より得られる液体吐出ヘッドの特徴の1つは、比較例1にあった溝が無くなったことであり、そのことからワイピング特性が向上した。また、この液体吐出ヘッドでは、オリフィスプレート表面上の湾曲した凹凸(段差)の発生を一層少なくするために、工夫を行った。
具体的には、実施例3では、この湾曲した凹凸を少なくするために、流路(液室)内に円柱形状の第一の柱を多数配置した。なお、隣り合う柱と柱の間の空間距離、並びに、隣り合う柱と流路壁(液室壁)間の空間距離は湾曲した凹凸の発生に影響していることが、本発明者らの検討により分かった。これらの距離を30μm以下にすると、オリフィスプレート表面の凹凸が次第に小さくなり、20μm程度(20μm±3μm)が好ましいことが更に分かった。そこで、実施例3では、隣り合う柱同士の間の距離、及び、隣り合う柱と流路壁壁面の間の距離が、20μmになるように、第一の柱及び流路壁を設置した。
流路内に円柱形状の第一の柱を配置することにより、オリフィスプレート表面上の凹凸の発生はほとんど見えなくなり、オリフィスプレート表面の平坦性、特に、印字品位に影響する吐出口近傍のオリフィスプレート表面の平坦性が、実施例1と比較して一層向上した。
流路内に円柱形状の第一の柱を配置することにより、オリフィスプレート表面上の凹凸の発生はほとんど見えなくなり、オリフィスプレート表面の平坦性、特に、印字品位に影響する吐出口近傍のオリフィスプレート表面の平坦性が、実施例1と比較して一層向上した。
〔実施例4〕
上記実施例1の図2A(a)及び(b)と同じ方法で、図6A(b)に示す、厚み5μmのポリイミド層(層104)を有する基板を作製した。次に、図6A(c)に示すように、ポリイミド層上にレジスト(不図示)を塗布し、露光、現像及びRIEによりエッチングを行い、流路の型となる流路型材105を形成した。なお、この流路型材は、図7に示すように、流路壁116aと、第一の柱116cと、第二の柱(符号116d及び116e)の型ともなる。詳細についは後述するが、隣り合う柱同士の間の距離、及び、隣り合う流路壁壁面及び柱の間の距離が20μmになるように、流路型材の形状を設定した。
上記実施例1の図2A(a)及び(b)と同じ方法で、図6A(b)に示す、厚み5μmのポリイミド層(層104)を有する基板を作製した。次に、図6A(c)に示すように、ポリイミド層上にレジスト(不図示)を塗布し、露光、現像及びRIEによりエッチングを行い、流路の型となる流路型材105を形成した。なお、この流路型材は、図7に示すように、流路壁116aと、第一の柱116cと、第二の柱(符号116d及び116e)の型ともなる。詳細についは後述するが、隣り合う柱同士の間の距離、及び、隣り合う流路壁壁面及び柱の間の距離が20μmになるように、流路型材の形状を設定した。
この後、実施例3の図4A(d)〜図4B(i)と同じ方法で、第一の無機材料の膜106の成膜、樹脂材料層107の形成、CMP処理、第二の無機材料の膜109の成膜、吐出口110及び液体供給口111の形成を行った。続いて、実施例3の図4B(j)と同じ方法で、流路型材のうちの流路112に相当する部分を除去し、図6B(j)及び図7に示す、第二の柱を有する流路壁を外側に有し(流路壁に囲まれた)、第一の柱を内部に有する流路112を含む液体吐出ヘッドを作製した。
この実施例4より得られる液体吐出ヘッドの特徴の1つは、比較例1にあった溝が無くなったことであり、そのことからワイピング特性が向上した。また、この液体吐出ヘッドでは、オリフィスプレート表面上の湾曲した凹凸(段差)の発生を一層少なくするために、工夫を行った。
具体的には、実施例4では、この湾曲した凹凸を少なくするために、液室内外、即ち、流路内部及び流路壁内部に、円柱形状の柱を万遍なく多数配置した。また、流路壁の壁面部分に、楕円柱形状の柱を多数配置した。この際、上述したように、隣り合う柱と柱の間の空間距離、並びに、隣り合う柱と流路壁(液室壁)間の空間距離は、20μm程度が好ましいことから、20μmになるように、円柱形状の第一及び第二の柱、並びに、流路壁を設置した。
液室内外に第一及び第二の柱を設置することにより、オリフィスプレート表面上の凹凸の発生はほとんど見えなくなり、オリフィスプレート表面の平坦性が実施例1と比較して一層向上した。なお、実施例4では、円柱形状の柱の配置を液室内にとどまらず、液室外に及ぶ部分まで万遍なく配置したため、ヘッド全体でオリフィスプレート表面の平坦性が更に向上した。
液室内外に第一及び第二の柱を設置することにより、オリフィスプレート表面上の凹凸の発生はほとんど見えなくなり、オリフィスプレート表面の平坦性が実施例1と比較して一層向上した。なお、実施例4では、円柱形状の柱の配置を液室内にとどまらず、液室外に及ぶ部分まで万遍なく配置したため、ヘッド全体でオリフィスプレート表面の平坦性が更に向上した。
1、101:エネルギー発生素子
2、114:素子基板
3、110:吐出口(液体吐出口)
4、113:オリフィスプレート
5、112:流路(液体流路)
6、115:流路壁部材
7、102:基板
8、111:液体供給口
9、103:保護膜
10、107a〜e:樹脂材料(流路壁埋め込み材)
11、106a〜e:境界部材(流路壁境界部材)
12、116a、116b:流路壁
105:流路型材(流路形成部材)
106:第一の無機材料の膜
107:樹脂材料層
108:研磨面
109:第二の無機材料の膜
116c:第一の柱
116d、116e:第二の柱
117:残存する流路型材
213:溝(溝部)
2、114:素子基板
3、110:吐出口(液体吐出口)
4、113:オリフィスプレート
5、112:流路(液体流路)
6、115:流路壁部材
7、102:基板
8、111:液体供給口
9、103:保護膜
10、107a〜e:樹脂材料(流路壁埋め込み材)
11、106a〜e:境界部材(流路壁境界部材)
12、116a、116b:流路壁
105:流路型材(流路形成部材)
106:第一の無機材料の膜
107:樹脂材料層
108:研磨面
109:第二の無機材料の膜
116c:第一の柱
116d、116e:第二の柱
117:残存する流路型材
213:溝(溝部)
Claims (8)
- 液体を吐出する吐出口を有するオリフィスプレートと、
該吐出口から液体を吐出するためのエネルギー発生素子を有する基板と、
該基板及び該オリフィスプレートの間に配され、該吐出口に連通する流路を形成するための流路壁部材と、
を有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
エネルギー発生素子を有する基板の上に、流路の型となる流路型材を形成する工程と、
該流路型材を覆い、該流路型材の間隙を全て充填しない膜厚で第一の無機材料を成膜する工程と、
該第一の無機材料の膜上に樹脂材料層を形成し、該流路型材間の残りの間隙を充填する工程と、
該第一の無機材料の膜及び該樹脂材料層を、該流路型材の表面が露出するまで研磨する工程と、
研磨面の上に第二の無機材料を成膜し、該第二の無機材料の膜に吐出口を形成する工程と、
該流路型材の少なくとも一部を除去して、該吐出口に連通する流路を形成する工程と、
を有する液体吐出ヘッドの製造方法。 - 前記第一の無機材料の膜厚を、100nm以下にする、請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 前記流路壁部材が、流路壁と、流路内部に配される第一の柱とを有し、
前記流路型材が、該流路壁及び該第一の柱の型となり、該流路型材の少なくとも一部を除去することにより、該流路壁に囲まれた、該第一の柱を内部に有する流路が形成される、請求項1または2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。 - 前記流路壁部材が、流路壁と、流路内部に配される第一の柱とを有し、該流路壁は、第二の柱を有し、
前記流路型材が、該流路壁と、該第一の柱と、該第二の柱との型となり、該流路型材のうちの前記流路に相当する部分を除去することにより、該第二の柱を有する該流路壁に囲まれた、該第一の柱を内部に有する流路が形成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。 - 隣り合う柱同士の間の距離、及び、隣り合う柱と流路壁壁面との間の距離を、30μm以下にする、請求項3または4に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 前記第一の無機材料の膜及び前記樹脂材料層を、前記流路型材の表面が露出するまで研磨する工程は、化学機械的研磨処理により行う、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 前記第一の無機材料を成膜する工程は、原子層堆積法、又は、プラズマCVD法で成膜する工程である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
- 前記樹脂材料層と、前記流路型材とを、同一の材料で形成する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
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Cited By (1)
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US11724495B2 (en) | 2020-06-11 | 2023-08-15 | Canon Kabushiki Kaisha | Liquid ejection module and liquid ejection head |
-
2017
- 2017-01-04 JP JP2017000191A patent/JP2018108691A/ja active Pending
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JP7463196B2 (ja) | 2020-06-11 | 2024-04-08 | キヤノン株式会社 | 液体吐出モジュール及び液体吐出ヘッド |
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