上記したような従来の構造では、エアダスタを使用中にバネ力に逆らって操作ボタンを操作する必要があるため、操作している指が痛くなり、疲労しやすいという問題があった。
なお、操作ボタンを復帰させるバネ力を小さくしたり、バネ力を弱めるような工夫をすれば、操作荷重は小さくなる。しかしながら、バネ力が弱くなると、操作ボタンを復帰させる力も弱くなってしまうため、非操作時のエア漏れを防止できなくなる可能性があった。このため、バネ力を弱くすることにも限界があった。
そこで、本発明は、操作部を復帰させるバネ力を弱めなくても操作荷重を小さくすることができ、操作している指の痛みや疲れを軽減することができるエアダスタ構造を提供することを課題とする。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
請求項1記載の発明は、圧縮空気を噴出し口から噴き出すエアダスタ構造であって、外部操作に応じて移動可能な弁体と、前記弁体に作用可能に設けられた第1の蓄圧室及び第2の蓄圧室と、前記第2の蓄圧室の上流に配置された第1の絞り部と、前記第2の蓄圧室の下流に配置された第2の絞り部と、を備え、前記弁体の移動によって、前記第1の絞り部または前記第2の絞り部を通過する圧縮空気の流量を変化させて、前記噴出し口からの噴出し量を調整可能に構成されており、前記弁体は、前記第1の蓄圧室において受圧面積の差によって開く方向に押されるように構成されるとともに、前記第2の蓄圧室において受圧面積の差によって閉じる方向に押されるように構成され、前記弁体が、閉じた位置から完全に開いた位置に移動する間の所定の切替位置を通過すると、前記第2の蓄圧室が減圧して前記弁体を閉じる方向の荷重が減少するように構成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、前記弁体が前記所定の切替位置を通過する前後において、前記第1の絞り部と前記第2の絞り部との流路面積の大小関係が逆転することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、前記弁体が前記所定の切替位置を通過する前後において、前記第1の絞り部と前記第2の絞り部との流路抵抗の大小関係が逆転することを特徴とする
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、前記第2の蓄圧室は、前記第1の蓄圧室の下流に設けられ、前記第1の絞り部は、前記第1の蓄圧室と前記第2の蓄圧室とを連通させるように設けられていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、前記弁体が前記所定の切替位置を通過する直前において瞬間的に操作荷重が増加するように構成したことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエアダスタ構造を備え、前記圧縮空気を使用してファスナーを打ち出すことを特徴とする。
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、弁体は、第1の蓄圧室において開く方向に押されるとともに、第2の蓄圧室において閉じる方向に押されるように構成され、弁体が、閉じた位置から完全に開いた位置に移動する間の所定の切替位置を通過すると、第2の蓄圧室が減圧して弁体を閉じる方向の荷重が減少するように構成されている。
このような構成によれば、弁体が閉じた状態においては、第2の蓄圧室において弁体が受ける閉じる方向の力と、バネ力によって、シール性を高めることができる。また、弁体が開いていくことで第2の絞り部が大きくなっていき、第2の絞り部からのエアの流出量が第1の絞り部からのエアの流入量を上回ると、第2の蓄圧室から流出する空気量に流入する空気量が追いつかなくなり、結果として第2の蓄圧室は減圧する。このように、所定の切替位置を通過したときに、第2の蓄圧室が減圧して前記弁体を閉じる方向の荷重が減少するように構成されている。よって、弁体が開いていって所定の切替位置を通過すると、第2の蓄圧室において弁体が受ける閉じる方向の力を減少させることによって操作荷重を小さくすることができる。言い換えると、操作部を復帰させるバネ力を弱めなくても操作荷重を小さくすることができ、操作している指の痛みや疲れを軽減することができる。
なお、バネ力は押し込み量(圧縮量)に比例して増加するため、弁体が開いていく後半において弁体が受ける閉じる方向の荷重を減少させることで、操作荷重の最大値を小さくすることができる。また、操作部を一度奥まで押し込んでしまえば操作荷重が軽くなるので、操作部を押し込み続けることによる指の痛みや疲れといった問題を有効に解消することができる。
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、弁体が所定の切替位置を通過する前後において、第1の絞り部と第2の絞り部との流路面積の大小関係が逆転する。このような構成によれば、流路面積を変化させることで圧力のバランスを変化させることができる。具体的には、弁体が閉じた位置から開いていくときに、所定の切替位置に移動するまでは、第2の絞り部でエアの流れが絞られるため、第2の絞り部よりも上流にある第2の蓄圧室の圧力はエアの流れによる影響を受けにくい。一方、弁体が所定の切替位置から更に開いたときには、第1の絞り部でエアの流れが絞られるため、第2の蓄圧室に流入するエアよりも流出するエアが多くなる。それによって第2の蓄圧室の圧力が低下し、弁体を閉じる方向へ作用する力が減少する。
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、弁体が所定の切替位置を通過する前後において、第1の絞り部と第2の絞り部との流路抵抗の大小関係が逆転する。このような構成によれば、流路抵抗を変化させることで圧力のバランスを変化させることができる。具体的には、弁体が閉じた位置から開いていくときに、所定の切替位置に移動するまでは、第2の絞り部でエアの流れが絞られるため、第2の絞り部よりも上流にある第2の蓄圧室の圧力はエアの流れによる影響を受けにくい。一方、弁体が所定の切替位置から更に開いたときには、第1の絞り部でエアの流れが絞られるため、第2の蓄圧室に流入するエアよりも流出するエアが多くなる。それによって第2の蓄圧室の圧力が低下し、弁体を閉じる方向へ作用する力が減少する。
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、第2の蓄圧室は、第1の蓄圧室の下流に設けられ、第1の絞り部は、第1の蓄圧室と第2の蓄圧室とを連通させるように設けられている。このような構成によれば、弁体が閉じた位置から開いていくときに、所定の切替位置に移動するまでは、第2の絞り部でエア流路が絞られるため、第2の絞り部よりも上流にある第1の蓄圧室と第2の蓄圧室とがほぼ同圧となる。一方、弁体が所定の切替位置から更に開いたときには、第1の絞り部でエア流路が絞られるため、上流の第1の蓄圧室の方が第2の蓄圧室よりも気圧が高くなる。よって、ある地点を境に、第1の蓄圧室の気圧が相対的に高圧となり、弁体を開く方向に力が作用するように構成することができる。
また、請求項5に記載の発明は上記の通りであり、弁体が所定の切替位置を通過する直前において瞬間的に操作荷重が増加するように構成した。このような構成によれば、瞬間的に操作荷重が増加することで、所定の切替位置の通過を使用者に認識させることができる。すなわち、使用者は心の準備ができるので、急に操作荷重が軽くなって操作し過ぎてしまうことを防止できる。
また、請求項6に記載の発明は上記の通りであり、エアダスタ構造を備えた打ち込み工具を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態においては、エアダスタ構造の使用例として、エアダスタ構造を備えた打ち込み工具10を例に挙げるが、これに限らず他の工具等に本実施形態に係るエアダスタ構造を適用してもよい。例えば、エアダスタガンに本実施形態に係るエアダスタ構造を適用してもよい。
本実施形態に係る打ち込み工具10は、外部から供給された圧縮空気を使用してファスナーを打ち出すものであり、この外部から供給された圧縮空気を使用して噴出し口17bからエアを噴き出すエアダスタ構造を備えている。このように打ち込み工具10がエアダスタ構造を備えることで、工具を持ち替えなくても、ファスナーによる打ち込みと、エアダスタによる清掃とを行うことができる。
この打ち込み工具10は、図1に示すように、内部に打撃機構を備えた工具本体11と、工具本体11から直交方向に突出するように設けられたグリップ12と、グリップ12に操作可能に設けられたトリガ13と、工具本体11の先端に突出するように設けられたノーズ部14と、ノーズ部14の後方に接続されたマガジン15と、エアダスタ構造を作動させるために押下操作可能に設けられた操作部30と、を備える。
工具本体11に内蔵された打撃機構は、圧縮空気の力を利用してドライバを作動させる。ドライバは、ファスナーを打ち出すためにノーズ部14の方向へと移動可能となっており、打撃機構が衝撃的な力を発生させたときにファスナーの打ち込み方向に移動する。打ち込み方向に移動したドライバは、ノーズ部14内にセットされたファスナーを打ち出す。ドライバによって打ち出されたファスナーは、ノーズ部14の先端に開口する射出口14aから射出される。
この打ち込み工具10を使用するときには、グリップ12を握り込んで把持し、射出口14aを打込部材に押し付けた後、トリガ13を引き操作する。この操作により上記した打撃機構が作動してファスナーが打ち出される。
なお、マガジン15内には、連結ファスナーが収容されており、この連結ファスナーの先頭のファスナーがノーズ部14の方向(打ち込み動作前のドライバの真下)へと順次供給されるようになっている。
上記した打撃機構及びエアダスタ構造を作動させるための圧縮空気は、エアコンプレッサ等のエア供給源から供給される。具体的には、コンプレッサ等に接続されたエア供給用のエアホースが、グリップ12の後端に設けられたエンドキャップ部16に接続され、このエアホースを介して圧縮空気が供給される。エンドキャップ部16から供給された圧縮空気は、グリップ12の内部に形成された給気経路を通過して、打撃機構またはエアダスタ構造に供給される。
打撃機構においては、トリガ13が操作されたときに、圧縮空気が打撃シリンダ内へ供給され、この圧縮空気が打撃ピストンに作用して打撃ピストンが駆動し、打撃ピストンに結合されたドライバが釘を打撃する。
エアダスタ構造においては、操作部30が操作されたときに、ノーズ部14付近で開口する噴出し口17bから圧縮空気が噴き出すようになっている。なお、本実施形態に係る操作部30は、図1に示すように、作業者がグリップ12を把持したときに、グリップ12を把持した手で操作可能な位置に配置されている。具体的には、グリップ12を右手で握ったときに、右手の親指で操作可能な位置に配置されている。
上記したエアダスタ構造は、図3及び図4に示すように、工具本体11のハウジングの内部に設けられた流量調節機構を備える。この流量調節機構の下流側には、ハウジングの外部にエアを取り出すためのエア取り出し口40が設けられている。このエア取り出し口40には、工具本体11の先端方向(すなわちノーズ部14の方向)へと延びるダスタ配管42が接続されている。より詳しくは、ダスタ配管42は、エア取り出し口40との間に回転可能に設けられた継手部品41を介して接続されている。
なお、エア取り出し口40は、操作部30とは反対側の工具本体11の側面に配置されている。このエア取り出し口40に接続されたダスタ配管42及び継手部品41は、工具本体11のハウジングの外に配置されているが、図2に示すように、工具本体11の先端を覆う先端カバー部材17、及び、エア取り出し口40を覆う位置に配置された側部カバー部材18によって覆われている。
先端カバー部材17の裏面側には、図5に示すように、ダスタ配管42の先端部42aを保持する配管保持部17aが設けられており、これにより、ダスタ配管42の先端部42aが先端カバー部材17によって固定されている。なお、ダスタ配管42は樹脂等で形成されたフレキシブルチューブであり弾性変形可能であるため、配管保持部17aへの組み付けも容易となっている。
また、先端カバー部材17の表面側には、図5及び図6に示すように、エアの噴出し口17bが開口している。このエアの噴出し口17bは、上記した配管保持部17aと連通している。このように先端カバー部材17にダスタ配管42と連通するエアの噴出し口17bが設けられることで、操作部30が操作されたときにこの噴出し口17bからエアが噴き出すように構成されている。
上記した流量調節機構は、噴出し口17bから噴き出すエアの量を調整するためのものであり、図7〜9に示すように、エアを流通させるための管路23を形成する管路形成部20と、管路23内に配置されて移動可能な弁体31と、弁体31の先端に操作可能に配置された操作部30と、弁体31を突出方向に付勢する弁体付勢部材36と、を備える。この流量調節機構は、上流側から圧縮空気を導入可能となっており、エアコンプレッサ等のエア供給源が接続されたときに、上流側に圧縮空気が常時供給されるようになっている。また、この流量調節機構の下流側には、ダスタ配管42(継手部品41)を接続可能なエア取り出し口40が開口している。
管路形成部20は、管路23を形成する中空部を有しており、上流側に開口する上流開口部21から管路23内に圧縮空気を取り込むように構成されている。具体的には、上流開口部21から流入した圧縮空気は、第1流入口25及び第2流入口26の2つの開口部を通過して弁体31の周囲へと流れ込む。第2流入口26から管路23内に流れ込んだ圧縮空気は、後述するテーパ開口部27を通過し、エア取り出し口40へと流れていくようになっている。
なお、テーパ開口部27は、上流開口部21よりも下流側に設けられており、弁体31が移動したときに管路23と弁体31とのクリアランス量を徐々に変化させて管路23内のエアの流量を制御するためのものである。このテーパ開口部27は、下流に行くに従って次第に開口が大きくなるテーパ形状で形成されており、弁体31が管路23を開放する方向に移動したときに、クリアランス量を増加させるように構成されている。
弁体31は、操作部30の押下操作に連動して摺動するように構成されている。自然状態においては、弁体31は弁体付勢部材36によって突出方向に付勢されているが、この弁体付勢部材36の付勢力に抗して操作部30が押し込み操作されたときに、弁体31が管路23を開放する方向に移動するようになっている。本実施形態においては、弁体31の先端にOリング等で形成された先端シール部材32が取り付けられており、自然状態においては、この先端シール部材32が上記したテーパ開口部27に当接することで管路23が閉じられた状態となっている。また、弁体31が管路23を開放する方向に移動すると、先端シール部材32とテーパ開口部27との間にクリアランスが生じ、このクリアランスによって管路23内のエアの流量が制御されるようになっている。そして、弁体31が管路23を開放すると、エア取り出し口40からエアが放出され、噴出し口17bからエアが噴き出す。なお、本実施形態においては、弁体31及びエア取り出し口40が操作部30の押し込み方向に沿って配置されているため、ハウジングの内部にダスタ配管42を配置しなくてもよい構成となっている。
ところで、この管路形成部20の内部には、図7〜9に示すように、弁体31に作用可能に設けられた第1の蓄圧室R1と、弁体31に作用可能かつ第1の蓄圧室R1よりも下流に設けられた第2の蓄圧室R2と、第1の蓄圧室R1と第2の蓄圧室R2とを連通させる第1の絞り部S1と、第2の蓄圧室R2の下流に配置された第2の絞り部S2と、が設けられている。
なお、本実施形態においては、第2の蓄圧室R2が第1の蓄圧室R1の下流に設けられており、第1の絞り部S1が第1の蓄圧室R1と第2の蓄圧室R2とを連通させるとして説明するが、本発明の実施形態としてはこれに限らない。例えば、図14に示すように、第1流入口25で区切られた空間を第1の蓄圧室R1として定義することも可能である。この場合、第1の蓄圧室R1と第2の蓄圧室R2とは上流下流の関係にはなく、また、第1の絞り部S1は第1の蓄圧室R1と第2の蓄圧室R2とを連通させるものでもない。
第1の蓄圧室R1は、上流開口部21と第1の絞り部S1との間に設けられた空間である。この第1の蓄圧室R1は、第1流入口25を含んで構成されている。言い換えると、第1の蓄圧室R1内の圧縮空気は、第1流入口25を通過して弁体31の周囲へと流れ込むようになっている。このため、第1の蓄圧室R1内の圧縮空気の圧力が弁体31に作用するようになっている。
この第1の蓄圧室R1は、圧縮空気が弁体31に作用する面積を調整することによって、圧縮空気が導入されたときに、第1の蓄圧室R1内における弁体31の受圧面積の差によって弁体31が開く方向に押されるように構成されている。言い換えると、弁体31は、第1の蓄圧室R1に圧縮空気が導入されたときに、受圧面積の差によって開く方向に押されるように構成されている。
具体的には、第1の蓄圧室R1において、中間シール部材33の径を基部シール部材34の径よりも大きくすることにより、両者の受圧面積差を利用して、弁体31が開方向(図7〜9の下方向)に荷重を受けるようにしている。
第2の蓄圧室R2は、第1の絞り部S1と第2の絞り部S2の間に設けられた空間である。この第2の蓄圧室R2内の圧縮空気は、第2流入口26を通過して弁体31の周囲へと流れ込んでおり、このため、第2の蓄圧室R2内の圧縮空気の圧力が弁体31に作用するようになっている。なお、この第2の蓄圧室R2は、弁体31の外周に取り付けられた中間シール部材33によって第1の蓄圧室R1と区切られている。言い換えると、第1の蓄圧室R1と第2の蓄圧室R2とは、弁体31の外周面において、中間シール部材33を隔てて隣り合って配置されている。
この第2の蓄圧室R2は、圧縮空気が弁体31に作用する面積を調整することによって、圧縮空気が導入されたときに、第2の蓄圧室R2内における弁体31の受圧面積の差によって弁体31が閉じる方向に押されるように構成されている。言い換えると、弁体31は、第2の蓄圧室R2に圧縮空気が導入されたときに、受圧面積の差によって閉じる方向に押されるように構成されている。
具体的には、第2の蓄圧室R2において、中間シール部材33の径を先端シール部材32の径よりも大きくすることにより、両者の受圧面積差を利用して、弁体31が閉方向(図7〜9の上方向)に荷重を受けるようにしている。
第1の絞り部S1は、第2の蓄圧室R2の入り口部に設けられるものであり、第1の蓄圧室R1及び第2の蓄圧室R2よりも流路面積が小さくなるように絞られた形状となっている。本実施形態においては、第2流入口26が第1の絞り部S1を形成しており、第1の蓄圧室R1と第2の蓄圧室R2との間に第1の絞り部S1が設けられている。
第2の絞り部S2は、第2の蓄圧室R2の出口に設けられるものであり、本実施形態においては、上述した先端シール部材32とテーパ開口部27とで形成されるクリアランスによって第2の絞り部S2を形成している。よって、この第2の絞り部S2は、クリアランス量が可変となるように構成されている。
上記した第1の絞り部S1及び第2の絞り部S2は、弁体31が所定の切替位置を通過するまで(弁体31の操作量(移動量)が所定量となるまで)は、第1の絞り部S1の流路面積が第2の絞り部S2の流路面積よりも大きくなるように構成され、弁体31が所定の切替位置を通過した後は、第1の絞り部S1の流路面積が第2の絞り部S2の流路面積よりも小さくなるように構成されている。
ここで、所定の切替位置とは、弁体31が閉じた位置から完全に開いた位置に移動するまでの間に通過する所定の位置であり、上記したような絞り(流路面積)の大小関係が逆転するタイミングにおける弁体31の位置である。
所定の切替位置を弁体31が通過する際の変化について詳しく説明すると、弁体31が図7に示すような閉じた位置から所定の切替位置に到達するまでは、図8に示すように、第1の絞り部S1の流路面積が第2の絞り部S2の流路面積よりも大きくなっている。このため、第1の絞り部S1では、第2の絞り部S2よりも、多くのエアを流すことが可能となっており、エアの流れは第2の絞り部S2で最も絞られることとなる。この状態では、第1の蓄圧室R1と第2の蓄圧室R2とがほぼ同圧となっており、第1の蓄圧室R1の圧縮空気によって弁体31を開方向に押すための荷重と、第2の蓄圧室R2の圧縮空気によって弁体31を閉方向に押すための荷重とが、ほぼ同等である。
一方、弁体31が所定の切替位置を通過すると、図9に示すように、第2の絞り部S2の流路面積が増加することにより、第1の絞り部S1の流路面積が第2の絞り部S2の流路面積よりも小さくなる。このため、エアの流れは第1の絞り部S1で最も絞られることとなる。この状態では、第1の絞り部S1より下流側である第2の蓄圧室R2が減圧するため、第1の蓄圧室R1の圧力よりも低くなり、すなわち、弁体31を開方向に押すための荷重が、弁体31を閉方向に押すための荷重よりも、大きくなる。
このような構成によれば、図10に示すように、所定の切替位置(P)を通過すると、弁体31を開方向へと移動させる空気圧が大きくなるため、操作荷重が低減する。なお、このような構成を備えない従来の構造では、図10の「従来」のグラフが示すように、操作量に比例してバネ荷重が増加するため、最も奥まで操作部30を操作したときに操作荷重がピークとなる。
本実施形態によれば、弁体31が閉じた位置から開いていくときに、所定の切替位置に移動するまでは、第2の絞り部S2でエア流路が絞られるため、第2の絞り部S2よりも上流にある第1の蓄圧室R1と第2の蓄圧室R2とがほぼ同圧となる。一方、弁体31が所定の切替位置から更に開いたときには、第1の絞り部S1でエア流路が絞られるため、上流の第1の蓄圧室R1の方が第2の蓄圧室R2よりも気圧が高くなる。よって、操作部30を操作していったときに、ある地点を境に、第1の蓄圧室R1と第2の蓄圧室R2との圧力のバランスが急激に変化する。具体的には、ある地点を境に、第1の蓄圧室R1の気圧が相対的に高圧となり、弁体31を開く方向に力が作用する。
このような構成によれば、所定の切替位置を通過する前には弁体31を開く方向に押す力が弱く、所定の切替位置を通過した後には弁体31を開く方向に押す力が強く作用するように荷重を与えることができる。よって、弁体31が閉じた位置に近いときには、バネ力を打ち消さずにシール性を高めるとともに、弁体31が開いた位置に近いときには、バネ力を打ち消して操作荷重を小さくすることができる。言い換えると、操作部30を復帰させるバネ力を弱めなくても操作荷重を小さくすることができ、操作している指の痛みや疲れを軽減することができる。
なお、弁体31を閉じる方向に作用するバネ力は押し込み量(圧縮量)に比例して増加するため、弁体31を開くほど操作荷重が高くなる。このため、弁体31を閉じる方向に働いている荷重が、弁体31が開いていく後半で減少するように構成することで、操作荷重の最大値を小さくすることができる。また、操作部30を一度奥まで押し込んでしまえば操作荷重が軽くなるので、操作部30を押し込み続けることによる指の痛みや疲れといった問題を有効に解消することができる。
なお、上記した実施形態においては、弁体31が所定の切替位置を通過する前後において、第1の絞り部S1と第2の絞り部S2との流路面積の大小関係が逆転するようにし、これによって第1の蓄圧室R1と第2の蓄圧室R2との圧力のバランスが急激に変化するようにしたが、これに限らない。例えば、第1の絞り部S1及び第2の絞り部S2の相対的な長さや開口部形状を調整することにより、弁体31が所定の切替位置を通過する前後において、第1の絞り部S1と第2の絞り部S2との流路抵抗の大小関係が逆転するようにしてもよい。
また、弁体31が所定の切替位置を通過する直前において瞬間的に操作荷重が増加するように構成してもよい。例えば、図11及び図12に示すように、管路23内に突起24を設け、弁体31が所定の切替位置を通過するときに、この突起24を乗り越えるようにしてもよい。なお、この突起24は一例に過ぎず、瞬間的に操作荷重を増加させる構成は、公知のスナップフィット形状など、種々の構成を使用可能であることは言うまでもない。このような構成によれば、図13に示すように、所定の切替位置(P)を通過するときに瞬間的に操作荷重が増加するので、所定の切替位置の通過を使用者に認識させることができる。すなわち、使用者は心の準備ができるので、急に操作荷重が軽くなって操作し過ぎてしまうことを防止できる。