以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<第1の実施の形態>
[釘打機100の構成例]
図1は、第1の実施の形態に係る釘打機100の側面断面図である。図2は、第1の実施の形態に係るトリガバルブ50及びスイッチバルブ70の側面断面図である。図3は、第1の実施の形態に係るタイマーバルブ80及び制御バルブ40の側面断面図である。
釘打機100は、空気圧工具の一例であり、ノーズ部2を有する本体1、作業者が把持するグリップ部4及び被打込部材に打ち込む釘が装填されるマガジン部6を備えている。本体1及びグリップ部4の筐体は、例えばハウジング1aによって一体的に形成されている。また、釘打機100は、ヘッドバルブ30と、トリガ機構10と、トリガバルブ50と、スイッチバルブ70と、タイマーバルブ80と、制御バルブ40とを備えている。
なお、本実施の形態において、釘打機100のノーズ部2側を釘打機100の下側とし、その反対側を釘打機100の上側とする。また、釘打機100の本体1側を釘打機100の前側とし、釘打機100のグリップ部4側を釘打機100の後側とする。
本体1の内部は中空であり、本体1の内部には圧縮空気の空気圧によって駆動する打撃機構(駆動機構)20が配置されている。打撃機構20は、ドライバ22と、ピストン24と、シリンダ26とを有している。ドライバ22は、シリンダ26内を上下方向(軸方向)に往復移動し、マガジン部6から送り出された釘の頭部に打撃を与えることで釘を被打込部材に打ち込む。ピストン24は、ドライバ22の上端部に連結され、シリンダ26の上方側に設けられたピストン上室24a内に流入する圧縮空気に応じてシリンダ26内を往復移動する。シリンダ26は、円筒体であって、本体1を構成するハウジング1aの内部に配置され、ドライバ22及びピストン24を上下方向に往復可能に収容する。ピストン24とヘッドバルブ30との間には、ピストン24の上方側への移動を規制する環状の係止部25が設けられている。
本体1の下端部には、ノーズ部2が設けられている。ノーズ部2は、本体1の下端部から下方側に所定の長さだけ突出している。ノーズ部2には、ドライバ22により送り出された釘を外部に打ち出す射出口3が形成されている。射出口3は、ドライバ22及びシリンダ26と同軸上に配置される。
本体1の上部側の内壁とシリンダ26の上部側の外周部との間、及びグリップ部4の内部には、圧縮空気が充填されるメインチャンバ5が設けられている。本体1の下部側の内壁とシリンダ26の下部側の外周部との間には、ピストン24を上死点にリターンさせるためのブローバックチャンバ28が設けられている。ブローバックチャンバ28には、スイッチバルブ70に連通する第1接続路29の一端部が接続されている。
シリンダ26の軸方向の略中間位置であってシリンダ26の円周方向には、複数の小孔27が所定間隔を空けて形成されている。複数の小孔27は、シリンダ26に設けられた逆止弁27aを介してブローバックチャンバ28に連通している。なお、ピストン24が小孔27より下方側の下死点に位置するときにブローバックチャンバ28の内部にシリンダ26の圧縮空気が小孔27を介して流入し、ピストン24が上死点に位置するときにブローバックチャンバ28の内部の圧縮空気は大気に放出されて、ブローバックチャンバ28内の大気圧となる。
ヘッドバルブ30は、シリンダ26への圧縮空気の供給及び遮断を行い、メインチャンバ5から供給される圧縮空気を用いて打撃機構20を駆動する。ヘッドバルブ30は、基部32と、可動部34とを有している。基部32は本体1内の上端側に配置され、可動部34は基部32の下方側に配置されている。可動部34は、基部32と可動部34との間に介在された付勢バネ36によって、基部32とは所定の隙間を空けた状態でシリンダ26側に付勢されている。可動部34の下面は付勢状態(ヘッドバルブ30がオフ状態)において係止部25の上面に当接しており、メインチャンバ5とピストン上室24aとの間が遮断された構造となっている。
基部32と可動部34との間の隙間は、メインチャンバ5内の圧縮空気が供給されるヘッドバルブチャンバ38として機能する。ヘッドバルブチャンバ38には第2接続路39の一端部が連通し、第2接続路39の他端側は制御バルブ40に連通している。可動部34は、ヘッドバルブチャンバ38内の圧縮空気の状態に応じて、本体1を構成するハウジング1aの内壁に沿ってスライドし、ピストン上室24aとメインチャンバ5との間を開閉操作する。ピストン上室24aは、ハウジング1aに形成された開口部1bを介して外部に連通している。
グリップ部4は、本体1の後方側の側部に本体1の延在方向(打撃機構20の移動方向)に対して略直交する方向に取り付けられている。グリップ部4の後端部には、エアプラグ8が設けられている。エアプラグ8には、図示しないエアホースの一端部が接続され、エアホースの他端部が図示しないコンプレッサに接続される。エアコンプレッサは、打撃機構20を駆動するための圧縮空気を生成し、エアホース及びエアプラグ8を経由して生成した圧縮空気をメインチャンバ5の内部に供給する。
トリガ機構10は、トリガレバー11と、コンタクトレバー12と、コンタクトアーム14と、押圧部材15とを有している。トリガレバー11は、スイッチバルブ70をオン(作動)させるレバーであり、本体1の後方側の側面であってグリップ部4の下方側に軸部を支点として回動可能に取り付けられている。コンタクトレバー12は、トリガレバー11の内部に配置され、トリガレバー11に連動して後方側を支点に回動する。コンタクトレバー12の前端部は、後端側に設けられた例えばバネによって下部側に付勢され、押圧部材15の上端面に当接する。なお、コンタクトレバー12においてバネによる付勢は無くても良い。
コンタクトアーム14は、ノーズ部2の下端部から下方側に突出した状態でノーズ部2の外周部に取り付けられている。コンタクトアーム14は、図示しないバネによって下方側に付勢され、被打込部材への押し付け動作に伴ってノーズ部2に対して相対的に上下方向に往復移動する。押圧部材15は、コンタクトアーム14に連結され、コンタクトアーム14の上方側への移動に伴って、コンタクトレバー12の前端側を押し上げる。トリガレバー11を引いた状態であれば、これによってトリガバルブ50のトリガバルブステム58が押し上げられ、トリガバルブ50を作動(オン)する。
マガジン部6は、連結された一連の連結釘を装填可能に構成され、グリップ部4の下方側に設けられている。マガジン部6の前端側はノーズ部2に連結され、マガジン部6の後端側は取付アーム部7を介してグリップ部4に連結されている。マガジン部6に装填された連結釘は、ノーズ部2に対してスライド可能に設けられた送り爪によってノーズ部2の射出口3に案内され、下降するドライバ22によって被打込部材に打ち込まれる。
トリガバルブ50は、トリガレバー11の操作とコンタクトアーム14の押し付けに基づいてヘッドバルブ30を作動させる。図1及び図2に示すように、トリガバルブ50は、グリップ部4の前端側であって、スイッチバルブ70に隣接して配置されている。トリガバルブ50は、ハウジング52と、パイロットバルブ54と、キャップ56と、トリガバルブステム58とを有している。
ハウジング52は、上下方向の略中間部に通路53を有している。通路53は、ヘッドバルブ30とトリガバルブ50とを接続する第3接続路49の一端部に連通している。また、通路53は、トリガバルブ50のオン時に排気路59に連通可能となっている。
パイロットバルブ54は、ハウジング52の内側に隙間S1を空けて配置されている。パイロットバルブ54の下部側の周縁部には、Oリング54a,54bが上下方向に所定間隔を空けて取り付けられている。Oリング54aは、トリガバルブ50のオフ時に、通路53と排気路59との間の通路を遮断し、ヘッドバルブチャンバ38の内部の圧縮空気が通路53から外部に漏れ出すことを防止する。また、Oリング54aはハウジング52の内壁に押し当てられ、パイロットバルブ54の上方側への移動が規制される。Oリング54bは、後述する空室55と排気路59との間を遮断する。
キャップ56は、上方側のパイロットバルブ54との間に空室55を空けてハウジング52の内側に取り付けられている。空室55は、トリガバルブ50の非作動時にパイロットバルブ54とトリガバルブステム58との隙間S2及びパイロットバルブ54の通路54cを介してメインチャンバ5に連通し、圧縮空気が充填されるチャンバとして機能する。
トリガバルブステム58は、パイロットバルブ54及びキャップ56の内側に配置され、キャップ56を起点として上下方向に移動可能に設けられている。トリガバルブステム58の上端側は、圧縮バネ57によってコンタクトレバー12側(下方側)に付勢されている。圧縮バネ57は、パイロットバルブ54とトリガバルブステム58との間に介在され、トリガバルブステム58の押圧に応じて伸縮する。トリガバルブステム58の下端部はキャップ56の下面から所定の長さだけ突出しており、コンタクトレバー12に当接可能である(図1参照)。トリガバルブステム58の上下方向の略中間位置の周縁部には、Oリング58a,58bが上下方向に所定間隔を空けて取り付けられている。Oリング58a,58bは、トリガバルブ50の非作動時に、空室55の圧縮空気がトリガバルブステム58とキャップ56との隙間S3から外部に漏れ出すことを防止する。
ハウジング52とキャップ56との間には、排気路59が設けられている。排気路59は、トリガバルブ50の作動時にトリガバルブステム58の押し上げにより空室55が閉じた場合に通路53に連通し、ヘッドバルブチャンバ38内の圧縮空気を大気中に排気する。
スイッチバルブ70は、図1及び図2に示すように、トリガバルブ50の後方側に隣接して配置され、トリガレバー11の操作に基づいてタイマーバルブ80を作動させる。スイッチバルブ70は、シリンダ72と、スイッチバルブステム74とを有している。
シリンダ72は、上下方向に延びる中空を有する円筒体であって、スイッチバルブステム74を上下方向にスライド可能に収容する。シリンダ72の上部側には、通路72aが形成されている。通路72aは、メインチャンバ5に連通し、通路72aを介してシリンダ72の内部にメインチャンバ5内の圧縮空気を流入させる。
シリンダ72の略中間位置には第4接続路79の一端部が連通し、第4接続路79の他端部がタイマーバルブ80に連通している。第4接続路79は、スイッチバルブ70とタイマーバルブ80との間を接続し、第4接続路79を介してタイマーバルブ80に対して圧縮空気の供給又は排気が可能となっている。シリンダ72の第4接続路79よりも下方側には第1接続路29の一端部が連通し、第1接続路29の他端部がブローバックチャンバ28に連通している。第1接続路29は、スイッチバルブ70とブローバックチャンバ28との間を接続し、第1接続路29を介してスイッチバルブ70に圧縮空気の供給又はスイッチバルブ70からの圧縮空気の排気が可能となっている。
スイッチバルブステム74は、シリンダ72内に収容され、圧縮バネ76によってトリガレバー11側(下側)に向かって付勢されている。圧縮バネ76は、スイッチバルブステム74の上端面とシリンダ72内の天面との間に介在され、トリガレバー11の引き操作に応じて伸縮する。スイッチバルブステム74の下端部はシリンダ72の下面から下方側に突出しており、トリガレバー11(図1参照)の引き操作時にその下端部がコンタクトレバー12に当接する。
スイッチバルブステム74の略中間位置の周縁部には、シリンダ72の内壁との間の密着を図るOリング74aが装着されている。スイッチバルブステム74は、トリガレバー11の非引き操作時に、Oリング74aにより第4接続路79と第1接続路29との間の経路を閉じると共に通路72aと第4接続路79とを連通する。一方、スイッチバルブステム74は、トリガレバー11の引き操作時に、コンタクトレバー12によって圧縮バネ76の弾性力に抗して押し上げられ、Oリング74aにより通路72aと第4接続路79との間の経路を閉じると共に、第4接続路79と第1接続路29とを連通する。
タイマーバルブ80は、図1及び図3に示すように、トリガレバー11を引き操作した状態で規定時間が経過した後であって、コンタクトアーム14が被打込部材に押し付けられた場合に制御バルブ40を作動させてヘッドバルブ30の動作を無効にすることで打ち込み動作を制限する。タイマーバルブ80は、シリンダ81と、タイマーピストン84と、ピストン軸部85とを有している。
シリンダ81は、前後方向に延びる中空を有する円筒体であって、タイマーピストン84を前後方向にスライド可能に収容する。本実施の形態では、シリンダ81の一部は、ハウジング1aの一部を共有した構造となっている。
タイマーピストン84は、シリンダ81の内径と略同一の径を有する円筒体であって、シリンダ81の内壁に沿ってスライド可能に配置されている。タイマーピストン84の周縁部には、その円周方向に沿って凹部84aが形成されている。凹部84aには、シリンダ81の内壁との間の密着を図るためのOリング86が装着されている。これにより、シリンダ81の内部は、Oリング86よりも後方側の第1空間81aと、Oリング86よりも前方側の第2空間81bとに仕切られる。第1空間81aと第2空間81bとは、Oリング86により互いに遮断される。タイマーピストン84は、圧縮バネ89によって制御バルブ40側(前方側)に付勢されている。圧縮バネ89は、その基端側に形成された凹部とシリンダ81内の後壁との間に介在されている。圧縮バネ89は、シリンダ81の第2空間81bに供給される圧縮空気により圧縮すると共に、シリンダ81の第1空間81aに供給される大気に応じて伸長する。
シリンダ81の下面側であって第2空間81bには、第4接続路79の一端部が連通しており、第4接続路79を介してタイマーバルブ80に圧縮空気の供給及びタイマーバルブ80からの圧縮空気の排気が可能となっている。
シリンダ81の後部側には、前後方向に延びる第1通路82a及び第2通路82bが上下に並んで設けられている。第1通路82aの一端部はシリンダ81内に連通し、第1通路82aの他端部は第3通路82cに連通している。第2通路82bの一端部はシリンダ81内に連通し、第2通路82bの他端部は第3通路82cに連通している。第3通路82cは、ハウジング側に開口を有し、開口を介してハウジング1aの外部に連通している。このように、タイマーバルブ80のタイマーピストン84を、圧縮空気ではなく、第3通路82cから供給される大気を用いて作動させるので、常に安定した圧力状態にてタイマーバルブ80を動作させることができる。なお、本実施の形態では、第1通路82a及び第2通路82bが共通する第3通路82cに連通する構成としたが、第1通路82a及び第2通路82b毎に別々の通路を設けても良い。また、第3通路82cの開口にフィルタを設けることもできる。これにより、大気にゴミや埃等が含まれる場合でも、フィルタによりゴミや埃等を除去した後の空気をシリンダ81の内部に流入させることができ、タイマーピストン84の移動速度の安定化をより向上させることができる。
第1通路82aの経路途中には、逆止弁87が設けられている。逆止弁87は、例えば、第1通路82aを開閉するボール87aと、ボール87aの後方側に設けられ、ボール87aをタイマーピストン84側に付勢するバネ87bとを有している。タイマーピストン84がシリンダ81内を後退する場合には、大気によりボール87aがバネ87bの弾性力に抗して付勢されることで第1通路82aが開き、シリンダ81内から外部に大気が流れる。一方、タイマーピストン84がシリンダ81内を前進する場合には、外部からの大気及びバネ87bによりボール87aが前方側に付勢されることでボール87aにより第1通路82aが閉じられ、外部からシリンダ81内への大気の逆流が防止される。
第2通路82bの経路途中には、絞り部88が設けられている。絞り部88は、第2通路82bの一部の経路の断面積を小さく(幅を狭く)することで構成され、外部からシリンダ81の内部に流入する大気の単位時間当たりの流量を一定に制限する。これにより、ピストン軸部85が制御バルブ40の制御バルブステム44を押圧するまでの移動速度を制御することができる。
また、タイマーピストン84がシリンダ81の内部の初期位置から制御バルブ40を作動させる作動位置まで移動する際の規定時間は、タイマーバルブ80の絞り部88を通過する流量及び圧縮バネ89のバネ係数等によって決定される。本実施の形態において規定時間は、例えば3秒~10秒である。本実施の形態では、制御バルブ40が作動位置からヘッドバルブチャンバ38とトリガバルブ50との間の通路を遮断する位置まで移動する時間は、規定時間よりも大幅に短い時間に設定される。そのため、規定時間が経過すると、その直後にヘッドバルブ30とトリガバルブ50との間の通路が制御バルブ40により遮断される。また、本実施の形態において、初期位置とはタイマーピストン84のセット又はリセット時にタイマーピストン84がシリンダ81の内部で最も後退する位置であり、作動位置とはトリガレバー11の引き操作後にタイマーピストン84がシリンダ81の内部の前端側であって制御バルブ40を押圧する位置である。
ピストン軸部85は棒状の円柱体であって、その後端部がタイマーピストン84の前端部に一体形成されている。ピストン軸部85は、シリンダ81と制御バルブ40との間に形成された貫通孔4aにスライド可能に配置されると共に、制御バルブ40を構成するシリンダ42内に出没可能である。ピストン軸部85は、タイマーバルブ80における規定時間が経過し、タイマーピストン84が作動位置に到達する際に、制御バルブステム44の後端面を押圧することで制御バルブ40を作動させる。
制御バルブ40は、図1及び図3に示すように、トリガバルブ50の作動に伴って作動するヘッドバルブ30の作動を無効にする。具体的には、制御バルブ40は、タイマーバルブ80の制御によってヘッドバルブチャンバ38とトリガバルブ50との間の通路を連通状態から遮断状態に切り替えることでヘッドバルブ30の作動を無効にする。制御バルブ40は、タイマーバルブ80の前方側のタイマーバルブ80に隣接する位置であって、ヘッドバルブチャンバ38とトリガバルブ50との間に配置されている。制御バルブ40は、シリンダ42と、制御バルブステム44とを有している。なお、シリンダ42の一部は、ハウジング1aの一部を共有した構造となっている。
シリンダ42は、前後方向に延びる中空を有する円筒体であって、制御バルブステム44を前後方向にスライド可能に収容する。シリンダ42の上面側には、ヘッドバルブチャンバ38に連通する第2接続路39の一端部が連通している。シリンダ42の下面側には、トリガバルブ50に連通する第3接続路49の一端部が連通すると共に、メインチャンバ5に連通する通路42cが形成されている。
制御バルブステム44は、前後方向に延びる円筒体であって、シリンダ42内に配置されている。制御バルブステム44は、圧縮バネ46によってタイマーバルブ80(後方側)に付勢されている。圧縮バネ46は、シリンダ42内の前壁と制御バルブステム44の前端面との間に介在され、タイマーバルブ80による押圧に応じて伸縮する。制御バルブステム44の前後方向の略中間位置の周縁部には、シリンダ42の内壁との密着を図るためのOリング44a,44bが前後方向に所定間隔を空けて装着されている。
制御バルブステム44は、タイマーバルブ80の非押圧時、つまりタイムアウト前に、シリンダ42内の後端側に位置し、Oリング44bによって第2接続路39と通路42cとの間の経路を閉じる一方で第2接続路39と第3接続路49との間の経路を開く。これにより、ヘッドバルブチャンバ38とトリガバルブ50とが接続される。これに対し、制御バルブステム44は、タイマーバルブ80の押圧時、つまりタイムアウト後に、シリンダ42内の前端側に移動し、第2接続路39と通路42cとの間の経路を開く一方でOリング44aによって第2接続路39と第3接続路49との間の経路を閉じる。これにより、ヘッドバルブチャンバ38とトリガバルブ50との間が遮断される。
タイマーバルブ80は、図1及び図3に示すように、タイマーピストン84の移動方向がシリンダ26の軸方向(ドライバ22の移動方向)とは異なる向き、本実施の形態では直交する方向となるように、グリップ部4の内部に配置されている。また、タイマーバルブ80は、タイマーピストン84の移動方向がグリップ部4の延在方向に沿った方向、すなわちグリップ部4の延在方向と平行となるように、グリップ部4の内部に配置されている。
[釘打機100の動作例]
次に、第1の実施の形態に係る釘打機100の打ち込み動作の一例について説明する。図4~図10は、第1の実施の形態に係る釘打機100における打ち込み動作を示す図である。
釘打機100を使用して打ち込み動作を行う場合、図1に示したエアプラグ8にエアホースが接続されると、図4に示すように、メインチャンバ5の内部に圧縮空気が供給される。メインチャンバ5の内部に供給された圧縮空気は、スイッチバルブ70の内部及び第4接続路79を経由してタイマーバルブ80の第2空間81bに供給される。
これに伴い、タイマーピストン84の前面側が圧縮空気により後方側に押され、タイマーピストン84及びピストン軸部85が圧縮バネ89の弾性力に抗して後退する。このとき、第1空間81aの大気が圧縮され、圧縮された大気が第1通路82aに流入する。逆止弁87のボール87aは、流入した大気によりバネ87bの弾性力に抗して押され、第1通路82aを開く。これにより、第1通路82a内に流入した大気は、逆止弁87及び第3通路82cを通過し、ハウジング1aの外部に排気される。なお、第2通路82bでは、絞り部88の流動抵抗が高くなるため、圧縮空気は第1通路82aと比べてほとんど通過しない。
図5に示すように、タイマーバルブ80の第2空間81bへの圧縮空気の供給が続くと、圧縮バネ89の圧縮によりタイマーピストン84がシリンダ81の内部の初期位置、具体的にはタイマーピストン84の基端部が第1空間81aの後端部に到達する。これにより、タイマーバルブ80がスタンバイ状態となる。
図6に示すように、作業者によりトリガレバー11が引き操作されると、コンタクトレバー12によりスイッチバルブ70のスイッチバルブステム74が押し上げられ、スイッチバルブ70が作動する。スイッチバルブステム74の押し上げによりOリング74a(図2参照)も上方側に移動し、スイッチバルブ70の通路72aと第4接続路79との連通状態が遮断される一方で、第4接続路79と第1接続路29とが連通する。これに伴い、タイマーバルブ80の第2空間81bの圧縮空気が、第4接続路79、スイッチバルブ70の内部及び第1接続路29を経由して、大気圧のブローバックチャンバ28に排気される。
また、シリンダ81内の第2空間81b内の圧縮空気が排気されると、タイマーピストン84に圧縮バネ89の付勢力が作用する。これに伴い、タイマーバルブ80の第1空間81aには、第3通路82c、第2通路82b及び絞り部88を通過して大気が流入する。第1空間81aに供給される大気の流量は、絞り部88により一定に制限される。圧縮バネ89は、第1空間81aに流入する大気の流量に応じて伸長していく。これに伴い、タイマーピストン84はシリンダ81の内部の初期位置からゆっくり前進してき、タイマーバルブ80のタイマー(計時)がスタートする。なお、第1通路82aはボール87aによって閉じられるため、大気が第1通路82aを介してシリンダ81の内部に流入することはない。
図7に示すように、トリガレバー11が引かれた状態で、かつタイマーバルブ80のタイムアウト前に、コンタクトアーム14が被打込部材に押し当てられると、押圧部材15が押し上げられる。これに伴って、コンタクトレバー12の前端側が押し上げられると、トリガバルブ50のトリガバルブステム58が押し上げられ、トリガバルブ50が作動する。トリガバルブステム58が押し上げられると、図2に示したように、Oリング58a,58bも上方側に移動し、空室55の圧縮空気がキャップ56とトリガバルブステム58との隙間S3から外部に排気される。パイロットバルブ54は、メインチャンバ5内の圧縮空気により圧縮バネ57の弾性力に抗して押し下げられ、パイロットバルブ54の下面がキャップ56の上面に当接する。これにより、通路53と排気路59とが連通し、ヘッドバルブチャンバ38の圧縮空気が第2接続路39、制御バルブ40、第3接続路49、トリガバルブ50の内部及び排気路59を経由して大気中(外部)に排気される。
ヘッドバルブチャンバ38の内部の圧縮空気が排気されると、ヘッドバルブ30の可動部34がメインチャンバ5内の圧縮空気により押し上げられ、可動部34と係止部25との間が開くことで、ピストン上室24a内にメインチャンバ5内の圧縮空気が流入し、ピストン24がシリンダ26内を急速に降下していく。
図8に示すように、ピストン24がさらに降下すると、ピストン24に連結されたドライバ22により釘が被打込部材に打ち込まれる。また、ピストン24がシリンダ26内の下部側まで降下すると、シリンダ26内の圧縮空気が小孔27を介してブローバックチャンバ28内に流入する。流入した圧縮空気は、第1接続路29、スイッチバルブ70の内部及び第4接続路79を経由してタイマーバルブ80の第2空間81bに供給される。これにより、タイマーバルブ80が再びシリンダ81の内部の初期位置に後退し、タイマーバルブ80がリセットされる。タイマーバルブ80の後退に伴い、第1空間81a内の大気は、第1通路82a及び第3通路82cを介してハウジング1aの外側に排気される。
図9に示すように、図6に示したスイッチバルブ70が作動した時点から規定時間以内に、コンタクトアーム14が被打込部材に押し付けられない場合、つまり打ち込み動作が実行されない場合、タイマーバルブ80がタイムアウトする。具体的には、タイマーバルブ80のタイマーピストン84が、シリンダ81の内部の前端側の制御バルブ40を押圧する作動位置まで移動する。
制御バルブ40の制御バルブステム44は、ピストン軸部85により押され、シリンダ42の前端側に移動する。制御バルブステム44が前進すると、Oリング44a,44bも前進し、第2接続路39と第3接続路49とを連通する経路が遮断される一方で、隙間S4が形成される。これにより、ヘッドバルブチャンバ38は、トリガバルブ50に対する連通状態から、第2接続路39、隙間S4及び制御バルブ40の通路42aを経由してメインチャンバ5に連通する連通状態に切り替わる。
図10に示すように、図6に示したスイッチバルブ70が作動状態でタイマーバルブ80がタイムアウトした後に、コンタクトアーム14が被打込部材に押し付けられると、これに連動して押圧部材15が押し上げられる。押圧部材15によりコンタクトレバー12の前端側が押し上げられ、押し上げられたコンタクトレバー12によりトリガバルブ50のトリガバルブステム58が押し上げられる。これにより、トリガバルブ50が作動する。トリガバルブステム58の押し上げられると、図2に示したように、Oリング58a,58bが上方側に移動し、空室55の圧縮空気がキャップ56とトリガバルブステム58との隙間S3から外部に排気される。パイロットバルブ54は、メインチャンバ5の内部の圧縮空気により圧縮バネ57の弾性力に抗して押し下げられ、パイロットバルブ54の下面がキャップ56の上面に当接する。これにより、通路53と排気路59とが連通する。
しかしながら、タイマーバルブ80がタイムアウトした状態では、図9に示した制御バルブ40により第2接続路39と第3接続路49との間の経路が遮断される一方で、第2接続路39とメインチャンバ5とが連通している。そのため、ヘッドバルブチャンバ38の圧縮空気が、トリガバルブ50に設けられた排気路59を介して外部に排気されることはなく、ヘッドバルブチャンバ38の内部に残ったままの状態となる。これにより、タイマーバルブ80がタイムアウトした場合には、作業者がトリガレバー11を引き操作した状態でコンタクトアーム14を被打込部材に押し付けたときでも、ヘッドバルブ30は作動しない。従って、タイマーバルブ80のタイムアウト後は打ち込み動作が実行されることはない。
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、ハウジング1aの外部の圧力変動のない大気を絞り部88により一定の流量に制限してシリンダ81に流入させ、この大気と圧縮バネ89とを用いてタイマーピストン84を前進(作動)させる。これにより、タイマーバルブ80の移動速度を、圧力の変動がある圧縮空気を利用することなく制御できるので、制御バルブ40を作動させるまでの規定時間のばらつきを防止できる。つまり、釘打機100において使用する圧縮空気の圧力が変動した場合でも、タイマーバルブ80の計時を一定に維持することができる。これにより、タイマーバルブ80の動作の安定化を図ることができる。また、第1の実施の形態では、タイマーバルブ80のタイムアウト後に、トリガレバー11から作業者の指が離されると、メインチャンバ5の圧縮空気によりタイマーバルブ80がリセットされるので、再度の打ち込みが可能となる。また、通常の打ち込み動作後には、ブローバックチャンバ28から流入する圧縮空気によりタイマーバルブ80がリセットされるので、トリガレバー11を押圧した状態でのコンタクトアーム14の押し付けにより再度の打ち込みが可能となる。
また、本実施の形態によれば、タイマーバルブ80のタイマーピストン84の移動方向が、打撃機構20の移動方向とは直交する方向となるように、タイマーバルブ80をグリップ部4の内部に配置するので、タイマーバルブ80が打撃機構20の打ち込み動作時に発生する衝撃を受けてしまうことを防止できる。これにより、タイマーバルブ80の誤作動を防止でき、タイマーバルブ80の動作の安定化を図ることができる。
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態のタイマーバルブ280では、第1の実施の形態のタイマーバルブ80とは異なる機械式の構成を採用している。なお、その他の釘打機200の構成、機能及び動作は、第1の実施の形態の釘打機100の構成等を共通するため、詳細な説明については省略し、第2の実施の形態のタイマーバルブ280の構成等についてのみ説明する。
[釘打機200の構成例]
図11は、第2の実施の形態に係る釘打機200の側面断面図である。図12は、第2の実施の形態に係るタイマーバルブ280の側面断面図である。
釘打機200は、図11に示すように、空気圧工具の一例であり、シリンダ26の内部をスライド可能なピストン24と、ピストン24に取り付けられて被打込部材に釘を打ち込むドライバ22とを有する打撃機構20と、メインチャンバ5から供給される圧縮空気を用いて打撃機構20を駆動するヘッドバルブ30と、ヘッドバルブ30を作動させるトリガバルブ50と、トリガバルブ50の作動に伴って作動するヘッドバルブ30の作動を無効にする制御バルブ40とを備えている。
また、釘打機200は、トリガレバー11が押された状態で一定時間経過した場合に、制御バルブ40を作動させてヘッドバルブ30の作動を無効にすることで打ち込み動作を制限するためのタイマーバルブ280を備えている。タイマーバルブ280は、第1シリンダ281と、第1タイマーピストン284と、第1ピストン軸部285と、第2シリンダ291と、第2タイマーピストン294と、第2ピストン軸部295と、を有している。
第1シリンダ281は、前後方向に延びる中空を有する円筒体であって、第1タイマーピストン284を前後方向にスライド可能に収容する。第1シリンダ281の内部には、第1タイマーピストン284の移動速度を減衰させるためのオイルOが充填されている。第1シリンダ281及びオイルOは、オイル式のダンパ機構の一例を構成している。本実施の形態では、第1シリンダ281はハウジング1aを構成する第2シリンダ291に嵌合され、その前端側が第2シリンダ291の内部と連通している。
なお、ダンパ機構としては、オイル式のダンパ機構に限定されることはない。例えば、
固体部材同士の摩擦抵抗を利用したダンパ機構や、ゴム等の弾性変形する部材の減衰力を利用したダンパ機構等の公知の技術を適宜採用することができる。
第1タイマーピストン284は、第1シリンダ281の内径と略同一の径を有する円筒体であって、第1シリンダ281の内部を前後方向にスライドする。第1タイマーピストン284は、オイルOの粘性等による抵抗によって前後方向の移動速度が制御される。第1タイマーピストン284の周縁部には、厚み(前後)方向に貫通する環状の貫通孔284aが形成されている。貫通孔284aの前面には、貫通孔284aの開口を開閉する逆止弁284bが設けられている。逆止弁284bは、圧縮バネ284cによって第1タイマーピストン284側(後方側)に付勢され、第1タイマーピストン284の移動方向に応じて第1タイマーピストン284に対して接近又は離間する。
第1タイマーピストン284は、圧縮バネ289によって制御バルブ40側(前方側)に付勢されている。圧縮バネ289は、第1タイマーピストン284の後端面と第1シリンダ281の内部の後部側に設けられたバネ押さえ板286との間に介在され、第1タイマーピストン284の位置に応じて伸縮する。
第1ピストン軸部285は棒状の円柱体であって、その後端部が第1タイマーピストン284に取り付けられている。第1ピストン軸部285は、第1シリンダ281の内部から第2シリンダ291の内部に延出し、延出した第1ピストン軸部285の前端部が第2タイマーピストン294の後端部に取り付けられている。これにより、第1タイマーピストン284の動作を第1ピストン軸部285を介して第2タイマーピストン294に伝達できるようになっている。第1ピストン軸部285は、タイマーバルブ280の計時がスタートすると、第2タイマーピストン294を前方側に押圧する。
第1シリンダ281の内壁の後部側には、第1タイマーピストン284が第1シリンダ281の内部を移動する際の負荷を低減する第1流路281aが形成されている。第1流路281aは、第1タイマーピストン284の移動範囲の始端である初期位置周辺であって、第1シリンダ281の内壁を円周方向に凹面状に切り欠いて形成される。第1流路281aが位置する第1シリンダ281の内径は、後述する第2流路281bが位置する第1シリンダ281の内径よりも大きくなっている。
第1シリンダ281の内壁の第1流路281aと後述する第3流路281cとの間には、第1タイマーピストン284が第1シリンダ281の内部を移動する際の負荷を増加させる第2流路281bが形成されている。第2流路281bは、第1シリンダ281の内壁の円周方向に凸面状に構成される。第2流路281bが位置する第1シリンダ281の内径は、第1流路281aが位置する第1シリンダ281の内径よりも小さくなっている。
第1シリンダ281の内壁の前部側には、第1タイマーピストン284が第1シリンダ281の内部を移動する際の負荷を低減する第3流路281cが形成されている。第3流路281cは、第1タイマーピストン284の移動範囲の終端である作動位置周辺であって、第1シリンダ281の内壁を円周方向に凹面状に切り欠いて形成される。第3流路281cが位置する第1シリンダ281の内径は、第2流路281bが位置する第1シリンダ281の内径よりも大きくなっている。
ダイヤフラム287は、バネ押さえ板286と第1シリンダ281の内部の後壁との間に配置されている。ダイヤフラム287は、弾性変形可能なゴム等の樹脂材料からなり、第1シリンダ281の内部に配置される第1ピストン軸部285の長さに応じて変形する。これにより、第1シリンダ281の内部に配置される第1ピストン軸部285の体積分、第1シリンダ281の内部の体積が変化した場合でも、第1シリンダ281の内部の体積を一定に保持できる。
第2シリンダ291は、前後方向に延びる中空を有する円筒体であって、第2タイマーピストン294を前後方向にスライド可能に収容する。本実施の形態において、第2シリンダ291の一部は、ハウジング1aの一部を共有した構造となっている。
第2タイマーピストン294は、第2シリンダ291の内径と略同一の径を有する円筒体であって、第1ピストン軸部285による押圧に応じて第2シリンダ291の内部を前進又は後退する。第2タイマーピストン294の周縁部には、第2シリンダ291の内壁との間を密閉するためのOリング296が装着されている。これにより、第2シリンダ291は、Oリング296よりも後方側の第1空間291aと、Oリング296よりも前方側の第2空間291bとにさらに仕切られる。
第1空間291aには、ハウジング1aの外部に連通する通路290aが形成されている。第2空間291bにはスイッチバルブ70に連通する第4接続路79の一端部が接続されており、第4接続路79を介してタイマーバルブ280への圧縮空気の供給又はタイマーバルブ280から圧縮空気の排気が可能となっている。
第2ピストン軸部295は棒状の円柱体であって、第2ピストン軸部295の後端部が第2タイマーピストン294の前端部に取り付けられている。第2ピストン軸部295は、第2タイマーピストン294と制御バルブ40との間に形成された貫通孔290bの内部を前後方向に移動可能である。第2ピストン軸部295の前端部は、制御バルブ40のシリンダ42の内部に出没可能に設けられ、制御バルブ40を構成する制御バルブステム44の後端面を押圧することで制御バルブ40を作動させる。
タイマーバルブ280は、図11及び図12に示すように、第1タイマーピストン284の移動方向がシリンダ26の軸方向(ドライバ22の移動方向)とは異なる向き、本実施の形態では直交する方向となるように、グリップ部4の内部に配置されている。また、タイマーバルブ280は、第1タイマーピストン284の移動方向がグリップ部4の延在方向に沿った方向、すなわちグリップ部4の延在方向と平行となるように、グリップ部4の内部に配置されている。
[釘打機200の動作例]
次に、釘打機200の打ち込み動作の一例について図11及び図12等を参照して説明する。釘打機100を使用して打ち込み動作を行う場合、図11に示したエアプラグ8にエアホースが接続されると、メインチャンバ5の内部に圧縮空気が供給される。メインチャンバ5の内部に供給された圧縮空気は、スイッチバルブ70の内部及び第4接続路79を経由してタイマーバルブ280の第2空間291bに供給される。
これに伴い、第2タイマーピストン294が圧縮空気により後方側に付勢されることで、第1タイマーピストン284が第1シリンダ281の内部の初期位置まで後退する。
この場合、後退する第1タイマーピストン284に対して後方側から前方側にオイルOが流れる。そのため、オイルOが貫通孔284aの前方側から流入し、流入したオイルOにより逆止弁284bが前方側に押圧され、圧縮バネ284cが圧縮する。これに伴い、逆止弁284bが第1タイマーピストン284の前面から離れ、貫通孔284aが開く。そのため、オイルOが貫通孔284aを通過可能となり、第1タイマーピストン284が移動する際のオイルOによる抵抗が減少し、第1タイマーピストン284が比較的速い速度で第1シリンダ281の内部の初期位置まで後退する。
続けて、作業者によりトリガレバー11が引き操作されると、コンタクトレバー12によりスイッチバルブ70のスイッチバルブステム74が押し上げられ、スイッチバルブ70が作動する。これにより、タイマーバルブ280の内部の圧縮空気が、第4接続路79、スイッチバルブ70の内部及び第1接続路29を経由して、大気圧のブローバックチャンバ28に排気される。
第2シリンダ291の第2空間291bの圧縮空気が排気されると、第1タイマーピストン284は、圧縮バネ289の付勢により、オイルO等の抵抗を受けながら前進する。
具体的には、第1タイマーピストン284が前進する場合、第1タイマーピストン284に対して前方側から後方側にオイルOが流れる。このとき、オイルOは、逆止弁284bの前面に当たるので、貫通孔284aが逆止弁284bにより閉じられる。そのため、第1タイマーピストン284が前進する際、第1タイマーピストン284に対するオイルOの当たる面積が大きくなり、オイルOによる抵抗が増加する。これにより、第1タイマーピストン284は、オイルOによる抵抗を受けながらゆっくりと前進する。
また、第1タイマーピストン284が第1シリンダ281の内部の第1流路281aに位置する場合、第1シリンダ281の内周面と第1タイマーピストン284の外周面との間隔が広い第1間隔となる。そのため、第1流路281aを流れる際のオイルOによる抵抗が低減され、第1タイマーピストン284が前進する際の負荷も低減される。以下では、この場合における第1タイマーピストン284の移動速度を第1速度という。
続けて、第1タイマーピストン284が第1シリンダ281の内部の第1流路281aから第2流路281bに対向する位置に移動する。この場合、第1シリンダ281の内周面と第1タイマーピストン284の外周面との間隔は第1間隔よりも狭い第2間隔となる。そのため、第3流路281cを流れる際のオイルOの抵抗が若干増加し、第1タイマーピストン284が前進する際の負荷も若干増加する。これにより、第1タイマーピストン284は、オイルOによる抵抗を受けながら、第1速度よりも若干遅い第2速度で移動する。
続けて、第1タイマーピストン284が第1シリンダ281の内部の第2流路281bから第3流路281cに対向する位置に移動する。第1シリンダ281の内周面と第1タイマーピストン284の外周面との間隔は第2間隔よりも広い第1間隔となる。そのため、第3流路281cを流れる際のオイルOの抵抗が低減され、第1タイマーピストン284が前進する際の負荷も低減される。これにより、第1タイマーピストン284は、オイルOによる抵抗を受けながら、第2速度よりも若干速い第1速度でゆっくり移動する。
このように、第1タイマーピストン284が移動する際の負荷を制御バルブ40の作動直前に軽くすることで、第1タイマーピストン284等の移動速度を速くすることができ、第2ピストン軸部295により制御バルブステム44を強い力で押すことができる。これにより、制御バルブ40を確実かつ高精度に作動させることができる。
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、第1シリンダ281の内部に充填されたオイルOを用いたダンパ機構により第1タイマーピストン284の移動速度を制御するので、制御バルブ40を作動させるまでの規定時間のばらつきを防止でき、タイマーバルブ80の作動の安定化を図ることができる。つまり、釘打機100の打撃機構20の駆動に利用する圧縮空気の圧力が変動した場合でも、タイマーバルブ80の計時を一定に維持することができる。これにより、タイマーバルブ80の動作の安定化を図ることができる。
また、タイマーバルブ280の第1タイマーピストン284の移動方向が、打撃機構20の移動方向とは直交する方向となるように、タイマーバルブ280をグリップ部4の内部に配置するので、タイマーバルブ280が打撃機構20の打ち込み動作時に発生する衝撃を受けてしまうことを防止できる。これにより、タイマーバルブ280の誤作動を防止でき、タイマーバルブ80の動作の安定化を図ることができる。
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。具体的には、上記実施の形態では、空気圧工具の一例として、釘打機100,200について説明したが、これに限定されることはない。例えば、空気圧工具として、ネジ締め工具やネジ打ち工具等についても本発明を適用することができる。
また、上記第1及び第2の実施の形態では、制御バルブ40をヘッドバルブ30とトリガバルブ50との間に配置した例について説明したが、これに限定されることはない。例えば、制御バルブ40をトリガバルブ50の内部に配置することもできる。また、上記第1及び第2の実施の形態では、ヘッドバルブ30とトリガバルブ50との間の通路を制御バルブ40により遮断する構造としたが、これに限定されることはない。例えば、制御バルブ40,240によりヘッドバルブ30の作動を機械的に無効にする構造を採用することもできる。また、上記第1及び第2の実施の形態では、タイマーバルブ80による規定時間の経過時にタイマーバルブ80により制御バルブ40を押圧して作動させ、所定時間の経過時にヘッドバルブ30とトリガバルブ50との間の通路を完全に遮断する構成としたが、これに限定されることはない。例えば、タイマーバルブ80により最初の段階から制御バルブ40を押圧した状態で作動させ、所定時間の経過時にヘッドバルブ30とトリガバルブ50との間の通路を完全に遮断する構成を採用することもできる。さらに、上記第1及び第2の実施の形態では、制御バルブ40を押圧して作動させる構成としたが、これに限定されることはなく、制御バルブ40を引くことで作動させる構成としてもよい。