以下、実施形態について図面を参照して説明する。ただし、図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、図面の相互間で同じ部分を表す場合においても、互いの寸法の関係や比率が異なって表される場合もある。特に、以下に示す幾つかの実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための装置および方法を例示したものであって、構成部品の形状、構造、配置等によって、本発明の技術思想が特定されるものではない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
[第1実施形態]
[1]液晶表示装置の全体構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置10のブロック図である。液晶表示装置10は、表示パネル11、バックライト(照明装置)12、走査ドライバ(走査線駆動回路)13、信号ドライバ(信号線駆動回路)14、共通電極ドライバ(共通電極駆動回路)15、電圧発生回路16、及び制御回路17を備える。
表示パネル11は、複数の画素がマトリクス状に配列された画素アレイを備える。表示パネル11には、それぞれがロウ方向(X方向)に延びる複数の走査線GLと、それぞれがカラム方向(Y方向)に延びる複数の信号線SLとが配設される。走査線GLと信号線SLとの交差領域には、画素が配置される。
バックライト12は、表示パネル11の背面に光を照射する面光源である。バックライト12としては、例えば、直下型又はサイドライト型(エッジライト型)のLEDバックライトが用いられる。
走査ドライバ13は、複数の走査線GLに接続される。走査ドライバ13は、制御回路17から送られる垂直制御信号に基づいて、画素に含まれるスイッチング素子をオン/オフするための走査信号を表示パネル11に送る。
信号ドライバ14は、複数の信号線SLに接続される。信号ドライバ14は、制御回路17から水平制御信号、及び表示データを受ける。信号ドライバ14は、水平制御信号に基づいて、表示データに対応する階調信号(駆動電圧)を表示パネル11に送る。
共通電極ドライバ15は、共通電圧Vcomを生成し、これを表示パネル11内の共通電極に供給する。電圧発生回路16は、液晶表示装置10の動作に必要な各種電圧を生成して各回路に供給する。
制御回路17は、外部から画像データを受ける。制御回路17は、画像データに基づいて、各種制御信号を前述した各回路に送る。
[2]画素の回路構成
次に、表示パネル11に含まれる画素の回路構成について説明する。図2は、表示パネル11の回路図である。図2では、4つの画素を抽出して示している。
画素18は、スイッチング素子(アクティブ素子)19、液晶容量(液晶素子)Clc、及び蓄積容量Csを備える。スイッチング素子19としては、例えばTFT(Thin Film Transistor)が用いられ、またnチャネルTFTが用いられる。
TFT19のソースは、信号線SLに電気的に接続され、そのゲートは、走査線GLに電気的に接続され、そのドレインは、液晶容量Clcに電気的に接続される。液晶素子としての液晶容量Clcは、画素電極と、共通電極と、これらに挟まれた液晶層とにより構成される。
蓄積容量Csは、液晶容量Clcに並列接続される。蓄積容量Csは、画素電極に生じる電位変動を抑制するとともに、画素電極に印加された駆動電圧を次の信号に対応する駆動電圧が印加されるまでの間保持する機能を有する。蓄積容量Csは、画素電極と、蓄積電極(蓄積容量線)と、これらに挟まれた絶縁膜とにより構成される。共通電極及び蓄積電極には、共通電極ドライバ15により共通電圧Vcomが印加される。
[3]表示パネル11の構成
次に、表示パネル11の構成について説明する。本実施形態では、半透過型表示パネルを例に挙げて説明する。半透過型表示パネルは、外光を反射することによって画像を表示する反射領域と、バックライト光を透過することによって画像を表示する透過領域とを1画素内に有する。
図3は、第1実施形態に係る表示パネル11の平面図である。図4は、TFT基板20側の電極構造を主として示した表示パネル11の平面図である。図5は、CF基板21側の電極構造を主として示した表示パネル11の平面図である。図4及び図5を重ね合わせることで、図3が得られる。図6は、図3のA−A´線に沿った表示パネル11の断面図である。図7は、図3のB−B´線に沿った表示パネル11の断面図である。なお、図3には、1つの画素18を抽出して示しており、実際には、図3の画素18がX方向及びY方向にマトリクス状に複数個配置される。
表示パネル11は、スイッチング素子(TFT)及び画素電極等が形成されるTFT基板20と、カラーフィルタ等が形成されかつTFT基板20に対向配置されるカラーフィルタ基板(CF基板)21とを備える。TFT基板20及びCF基板21の各々は、透明基板(例えば、ガラス基板、又はプラスチック基板)から構成される。TFT基板20は、バックライト12に対向配置され、バックライト12からの照明光は、TFT基板20側から表示パネル11に入射する。
液晶層22は、TFT基板20及びCF基板21間に充填される。具体的には、液晶層22は、TFT基板20及びCF基板21と、シール材(図示せず)とによって包囲された表示領域内に封入される。シール材は、例えば、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、又は紫外線・熱併用型硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFT基板20又はCF基板21に塗布された後、紫外線照射、又は加熱等により硬化させられる。
液晶層22を構成する液晶材料は、TFT基板20及びCF基板21間に印加された電界に応じて液晶分子の配向が操作されて光学特性が変化する。本実施形態では、液晶層22としては、正の誘電率異方性を有するポジ型(P型)のネマティック液晶が用いられる。液晶分子は、無電圧(無電界)時には基板面に対してほぼ垂直に配向する。すなわち、無電圧(無電界)時に液晶分子の長軸(ダイレクタ)が垂直に配向し、電圧印加(電界印加)時に液晶分子のダイレクタが電界方向に向かって傾く。
TFT基板20の液晶層22側には、複数の画素18に対応するようにして、複数のTFT19が設けられる。後述するように、TFT19は、走査線に電気的に接続されるゲート電極と、ゲート電極上に設けられたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に設けられた半導体層と、半導体層上に互いに離間して設けられたソース電極及びドレイン電極とを備える。ソース電極は、信号線SLに電気的に接続される。
TFT基板20上には、それぞれがX方向に延びる複数のゲート電極23が設けられる。X方向に並んだ1行分の複数の画素18は、1本のゲート電極23を共有する。ゲート電極23は、走査線GLとして機能する。また、TFT基板20上には、それぞれがX方向に延びる複数の蓄積電極24が設けられる。蓄積電極24は、例えば、ゲート電極23に隣接して配置される。蓄積電極24には、後述する共通電極に印加される共通電圧と同じ電圧が印加される。ゲート電極23及び蓄積電極24上かつTFT基板20上には、ゲート絶縁膜25が設けられる。
ゲート絶縁膜25上には、複数の画素18に対応した数の複数の半導体層26が設けられる。半導体層26としては、例えばアモルファスシリコン層が用いられる。
1つの半導体層26上及びゲート絶縁膜25上には、Y方向において互いに離間したソース電極27A及びドレイン電極28Aが設けられる。具体的には、ソース電極27Aは、半導体層26の一部に重なるようにして、Y方向に延びるように形成される。ドレイン電極28Aは、半導体層26の一部に重なるようにして、ソース電極27Aと反対方向に延びるように形成される。図4に示すように、例えば、ソース電極27Aは、Y方向に延びる延在部に比べて半導体層26と重なる端部の幅が太いT字形状を有し、同様に、ドレイン電極28Aは、逆T字形状を有する。
ゲート絶縁膜25上には、それぞれがY方向に延びる複数の信号線SLが設けられる。信号線SLは、X方向に隣接する画素18の境界部分に配置される。Y方向に並んだ1列分の複数の画素18は、1本の信号線SLに共通接続される。接続電極27Bは、X方向に延びるようにしてゲート絶縁膜25上に設けられ、ソース電極27Aと信号線SLとを電気的に接続する。
ゲート絶縁膜25上には、ドレイン電極28Aの端部に電気的に接続された接続電極28Bが設けられる。接続電極28BのX方向の長さは、ドレイン電極28AのX方向の長さより長い。接続電極28Bは、例えば製造工程における合わせズレが発生した場合でも、画素電極32との電気的接続が確実に補償するために、その面積が大きくなっている。ソース電極27A、接続電極27B、信号線SL、ドレイン電極28A、及び接続電極28B上、かつゲート絶縁膜25上には、絶縁膜29が設けられる。
絶縁膜29上には、それぞれがX方向に延びる複数の反射膜30が設けられる。画素のうち反射膜30が設けられた領域が反射領域となり、それ以外の領域が透過領域となる。反射膜30は、液晶層22側から入射する光を反射する。反射膜30は、TFT19を覆うように配置される。これにより、TFT19は、反射膜30によって遮光されるため、TFT19が誤動作するのを抑制できる。反射膜30には、共通電極に印加される共通電圧と同じ電圧が印加される。反射膜30及び絶縁膜29上には、絶縁膜31が設けられる。
絶縁膜31上には、Y方向に延びる画素電極32が設けられる。画素電極32(部材32−1、32−2、32A、及び32Bからなる)の具体的な構成は、後述する。画素電極32は、コンタクトプラグ33を介して、接続電極28Bに電気的に接続される。
絶縁膜31上には、共通電極34が設けられる。共通電極34は、画素電極32を囲むように構成される。共通電極34(部材34−1〜34−4、34A、及び34Bからなる)の具体的な構成は、後述する。
画素電極32、共通電極34、及び絶縁膜31上には、液晶層22の配向を制御する配向膜35が設けられる。配向膜35は、液晶層22の初期状態において、液晶分子を垂直に配向させる材料で構成される。
次に、CF基板21側の構成について説明する。CF基板21の液晶層22側には、遮光用のブラックマトリクス(ブラックマスク、遮光膜ともいう)40が設けられる。ブラックマトリクス40は、画素18の境界部に配置され、網目状に形成される。ブラックマトリクス40は、TFT19を遮光する機能と、色の異なるカラーフィルタ間の不要な光を遮蔽することで、コントラストを向上させる機能とを有する。
CF基板21上及びブラックマトリクス40上には、複数のカラーフィルタ41が設けられる。複数のカラーフィルタ(カラー部材)41は、複数の赤フィルタ41−R、複数の緑フィルタ41−G、及び複数の青フィルタ41−Bを備える。一般的なカラーフィルタは光の三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)で構成される。隣接したR、G、Bの三色のセットが表示の単位(画素)となっており、1つの画素中のR、G、Bのいずれか単色の部分はサブピクセル(サブ画素)と呼ばれる最小駆動単位である。TFT19及び画素電極32は、サブピクセルごとに設けられる。本明細書の説明では、画素とサブ画素との区別が特に必要な場合を除き、サブ画素を画素と呼ぶものとする。カラーフィルタの配列としては、ストライプ配列、モザイク配列、及びデルタ配列を含む任意の配列を適用可能である。
カラーフィルタ41及びブラックマトリクス40上には、共通電極42が設けられる。すなわち、共通電極42は、共通電極34と対向するように、すなわち、平面視において、共通電極34を覆うように構成される。共通電極42(部材42−1〜42−4、42A、及び42Bからなる)の具体的な構成は、後述する。共通電極42には、共通電極ドライバ15から共通電圧Vcomが印加される。なお、カラーフィルタ41及びブラックマトリクス40上には、平坦性を向上させるために、透明な絶縁材料からなるオーバーコート膜(平坦化膜)が設けられていてもよい。
カラーフィルタ41、及び共通電極42上には、液晶層22の配向を制御する配向膜43が設けられる。配向膜43は、液晶層22の初期状態において、液晶分子を垂直に配向させる材料で構成される。
TFT基板20の液晶層22と反対側には、位相差板44、及び偏光板46が順に積層される。CF基板21の液晶層22と反対側には、位相差板45、拡散部材48、及び偏光板47が順に積層される。位相差板44及び偏光板46は、円偏光板を構成し、位相差板45及び偏光板47は、円偏光板を構成する。
偏光板(直線偏光子)46、47の各々は、光の進行方向に直交する平面内において、互いに直交する透過軸及び吸収軸を有する。偏光板46、47の各々は、ランダムな方向の振動面を有する光のうち、透過軸に平行な振動面を有する直線偏光(直線偏光した光成分)を透過し、吸収軸に平行な振動面を有する直線偏光(直線偏光した光成分)を吸収する。偏光板46、47は、互いの透過軸が直交するように、すなわち直交ニコル状態で配置される。
位相差板44、45の各々は、屈折率異方性を有しており、光の進行方向に直交する平面内において、互いに直交する遅相軸及び進相軸を有する。位相差板44、45の各々は、遅相軸と進相軸とをそれぞれ透過する所定波長の光の間に所定のリタデーション(λを透過する光の波長としたとき、λ/4の位相差)を与える機能を有する。すなわち、位相差板44、45は、1/4波長板(λ/4板)から構成される。位相差板44の遅相軸は、偏光板46の透過軸に対して概略45°の角度をなすように設定される。位相差板45の遅相軸は、偏光板47の透過軸に対して概略45°の角度をなすように設定される。
なお、前述した偏光板及び位相差板を規定する角度は、所望の動作を実現可能な誤差、及び製造工程に起因する誤差を含むものとする。例えば、前述した概略45°は、45°±5°の範囲を含むものとする。例えば、前述した直交は、90°±5°の範囲を含むものとする。
拡散部材48は、透過光をランダムな方向に拡散(散乱)することで、透過光を均一化する機能を有する。拡散部材48は、拡散粘着材、拡散フィルム、又は拡散板などから構成される。拡散部材48として拡散粘着材を用いた場合、拡散粘着材は、入射光を拡散する機能に加えて、この両側の部材を接着する機能を有する。なお、拡散部材48と位相差板45との積層順序は逆でもよい。拡散部材48は、特に、反射膜30で反射された反射光を拡散し、この拡散された反射光が観察者に観察される。拡散部材48を用いることで、反射領域における反射表示に関して、視野角を向上させることができる。
なお、偏光板46のバックライト側には、拡散部材、及び輝度向上フィルムが順に積層されていてもよい。輝度向上フィルムは、バックライト12からの光の利用効率を向上させ、液晶表示装置10の輝度を向上させる機能を有する。輝度向上フィルムは、反射型偏光フィルム、又はプリズムシートなどから構成される。
(材料の例示)
ゲート電極23、蓄積電極24、ソース電極27A、接続電極27B、信号線SL、ドレイン電極28A、及び接続電極28Bとしては、例えば、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タングステン(W)のいずれか、又はこれらの1種類以上を含む合金等が用いられる。反射膜30としては、例えばアルミニウム(Al)が用いられる。画素電極32、コンタクトプラグ33、及び共通電極34、42は、透明電極から構成され、例えばITO(インジウム錫酸化物)が用いられる。ゲート絶縁膜25、絶縁膜29、及び絶縁膜31は、透明な絶縁材料から構成され、例えばシリコン窒化物(SiN)が用いられる。
[3−1]画素電極32の詳細
次に、画素電極32の具体的な構成について説明する。図4に示すように、画素電極32は、電極32−1、電極32−2、複数の突起部32A、及び複数の突起部32Bを備える。
電極32−1は、Y方向に延びる。複数の突起部32Aはそれぞれ、電極32−1からX方向に延びる。複数の突起部32Aは、Y方向において例えば等間隔に配置される。複数の突起部32Bはそれぞれ、電極32−1からX方向(突起部32Aと反対方向)に延びる。複数の突起部32Bは、Y方向において例えば等間隔に配置される。
1つの突起部32Aと1つの突起部32Bとは、直線状、すなわち、Y方向における同じ位置に配置される。換言すると、電極32−1、突起部32A、及び突起部32Bは、T字形、又は十字形を構成する。なお、突起部32Aと突起部32Bとが直線状に配置される構成例に限定されず、突起部32Aと突起部32BとがY方向において異なる位置に配置されていてもよい。
図4の構成例では、5個の突起部32Aを有する構成例を示しているが、突起部32Aの数は、5個に限定されない。突起部32Aは、2個であってもよいし、5個以外で3個以上の数であってもよい。同様に、突起部32Bは、2個であってもよいし、5個以外で3個以上の数であってもよい。
電極32−2は、画素電極32とコンタクトプラグ33との接続をより確実に行う機能と、蓄積電極24との間で蓄積容量をより大きくする機能とを有する。電極32−2の幅(X方向の長さ)は、電極32−1の幅より太い。電極32−2は、平面視において、蓄積電極24と重なるように配置される。電極32−2は、蓄積電極24との間で蓄積容量を構成する。蓄積容量を大きくするためには、電極32−2の面積は、より大きいことが望ましい。
[3−2]共通電極34の詳細
次に、TFT基板20側に設けられた共通電極34の具体的な構成について説明する。図4に示すように、共通電極34は、電極34−1〜34−4、複数の突起部34A、及び複数の突起部34Bを備える。
電極34−1〜34−4は、画素電極32を囲むように構成される。電極34−1、34−2は、Y方向に延びる。電極34−3、34−4は、X方向に延び、電極34−1、34−2を電気的に接続する。電極34−1〜34−4は、画素の境界部分に配置される。電極34−1〜34−4はそれぞれ、X方向及びY方向に隣接する4つの画素に共有される。
複数の突起部34Aはそれぞれ、電極34−1からX方向に延びる。複数の突起部34Aは、Y方向において例えば等間隔に配置される。1つの突起部34Aは、隣接する2つの突起部32Aの間に配置される。すなわち、複数の突起部32Aと複数の突起部34Aとは、交互に配置される。換言すると、平面視において、画素電極32と共通電極34との隙間(スペース)は、ジグザグ形状である。突起部34Aの端は、X方向において、突起部32Aの端と同じか、突起部32Aの端より電極32−1側に配置される。突起部34Aの数は、例えば、突起部32Aの数と同じに設定される。
複数の突起部34Bはそれぞれ、電極34−2からX方向(突起部34Bと反対方向)に延びる。複数の突起部34Bは、Y方向において例えば等間隔に配置される。1つの突起部34Bは、隣接する2つの突起部32Bの間に配置される。すなわち、複数の突起部32Bと複数の突起部34Bとは、交互に配置される。突起部34Bの端は、X方向において、突起部32Bの端と同じか、突起部32Bの端より電極32−1側に配置される。突起部34Bの数は、例えば、突起部32Bの数と同じに設定される。
[3−3]共通電極42の詳細
次に、CF基板21側に設けられた共通電極42の具体的な構成について説明する。図5に示すように、共通電極42は、電極42−1〜42−4、複数の突起部42A、及び複数の突起部42Bを備える。大まかには、CF基板21側に設けられた共通電極42は、TFT基板20側に設けられた共通電極34と同じ形状を有する。共通電極42は、平面視において、共通電極34を覆うように構成される。
電極42−1〜42−4は、画素電極32を囲むように構成される。電極42−1、42−2は、Y方向に延びる。電極42−3、42−4は、X方向に延び、電極42−1、42−2を電気的に接続する。電極42−1〜42−4は、画素の境界部分に配置される。電極42−1〜42−4はそれぞれ、X方向及びY方向に隣接する4つの画素に共有される。
電極42−1〜42−4は、平面視において、電極34−1〜34−4を覆うように構成される。電極42−1の端は、電極34−1の端と同じか、電極34−1の端より画素電極32側に配置される。電極42−2の端は、電極34−2の端と同じか、電極34−2の端より画素電極32側に配置される。電極42−3の端は、電極34−3の端と同じか、電極34−3の端より画素電極32側に配置される。電極42−4の端は、電極34−4の端と同じか、電極34−4の端より画素電極32側に配置される。
複数の突起部42Aはそれぞれ、電極42−1からX方向に延びる。複数の突起部42Aは、Y方向において例えば等間隔に配置される。図3に示すように、1つの突起部42Aは、隣接する2つの突起部32Aの間に配置される。すなわち、複数の突起部32Aと複数の突起部42Aとは、交互に配置される。換言すると、平面視において、画素電極32と共通電極42との隙間は、ジグザグ形状である。突起部42Aの端は、X方向において、突起部34Aの端と同じか、突起部34Aの端より電極32−1側に配置される。突起部42Aの数は、突起部34Aの数と同じに設定される。突起部42Aは、平面視において、突起部34Aを覆うように構成される。突起部42Aの幅(Y方向の長さ)は、突起部34Aの幅と同じかそれ以上に設定される。
複数の突起部42Bはそれぞれ、電極42−2からX方向に延びる。複数の突起部42Bは、Y方向において例えば等間隔に配置される。図3に示すように、1つの突起部42Bは、隣接する2つの突起部32Bの間に配置される。すなわち、複数の突起部32Bと複数の突起部42Bとは、交互に配置される。突起部42Bの端は、X方向において、突起部34Bの端と同じか、突起部34Bの端より電極32−1側に配置される。突起部42Bの数は、突起部34Bの数と同じに設定される。突起部42Bは、平面視において、突起部34Bを覆うように構成される。突起部42Bの幅(Y方向の長さ)は、突起部34Bの幅と同じかそれ以上に設定される。
[4]動作
次に、上記のように構成された液晶表示装置10の動作について説明する。
まず、オフ状態における液晶表示装置10の動作について説明する。オフ状態では、画素電極32と共通電極34、42とに同じ電圧(例えば0V)が印加され、液晶層22に電界が印加されていない。
図8は、オフ状態における表示パネル11の動作を説明する図である。図9は、図8のA−A´線に沿った表示パネル11の断面図である。図9では、偏光板及び位相差板の図示を省略している。図8及び図9には、液晶分子22Aを模式的に示している。
オフ状態では、液晶層22に電界が印加されず、液晶層22は、初期配向を維持する。すなわち、液晶層22は、全体的に垂直配向となり、液晶分子22Aの長軸は、基板に対して垂直方向を向く。このオフ状態において、バックライト12からの照明光は、偏光板46を透過した後、リタデーションがほぼゼロの状態の液晶層22を透過し、さらに、液晶層22を透過した光は、偏光板47に吸収される。これにより、液晶表示装置10は、黒表示となる。
次に、オン状態における液晶表示装置10の動作について説明する。オン状態では、画素電極32と共通電極34、42とに異なる電圧が印加され、液晶層22に電界が印加される。すなわち、オン状態では、画素電極32に正電圧が印加され、共通電極34、42に0V(=共通電圧Vcom)が印加される。なお、画素電極32と共通電極34、42とに印加される電圧は、周期的に極性が反転されることが望ましい。すなわち、画素電極32と共通電極34、42とには、0Vと正電圧とが所定周期ごとに交互に印加されることが望ましい。
図10は、オン状態における表示パネル11の動作を説明する図である。図11は、図10のA−A´線に沿った表示パネル11の断面図である。
オン状態では、液晶層22には、画素電極32と共通電極34との間に生じる横電界と、画素電極32と共通電極42との間に生じる斜め電界とが印加される。これにより、液晶層22は、ハーフベンド配向(ベンド配向の片側半分)をとり、液晶分子は、画素電極32を通る垂線に対して共通電極34、42の方向に向かって傾く。具体的には、画素電極32及び共通電極34に近いほど液晶分子の傾きが大きくなり、画素電極32から共通電極42に近づくにつれて液晶分子の傾きが小さくなる。また、共通電極42を画素電極32から斜め方向に配置したことで、液晶層22に斜め電界をより大きく印加できる。これにより、画素電極32の上方の液晶分子も傾けることができるため、透過率を向上させることができる。
また、図10に示すように、複数の液晶分子を全方位に傾けることができる。これにより、透過率が不均一になるのを抑制できる。
このオン状態において、バックライト12からの照明光は、偏光板46を透過した後、液晶層22を透過して所定のリタデーションが付与され、さらに液晶層22を透過した光は、偏光板47を透過する。これにより、液晶表示装置10は、白表示(実際には、カラーフィルタに対応したカラー表示)となる。
本実施形態の開口率は、図10において、1つの画素領域のうち、画素電極32、共通電極34(又は共通電極42)、及び蓄積電極24で囲まれた領域(表示に有効な領域)の面積比率として定義される。
[5]変形例
次に、第1実施形態の変形例について説明する。
図12は、変形例に係る表示パネル11の動作を説明する図である。図12は、オフ状態の動作を示している。図13は、図12のA−A´線に沿った表示パネル11の断面図である。
変形例では、製造工程において、TFT基板20とCF基板21との合わせズレが発生している。一例として、図12及び図13では、TFT基板20に対してCF基板21が、ずれ量Δだけ右側にずれている。この合わせズレに起因して、共通電極42の突起部42Aが画素電極32により近づき、共通電極42の突起部42Bが画素電極32からより離れている。
図14は、変形例に係る表示パネル11の動作を説明する図である。図14は、オン状態の動作を示している。図15は、図14のA−A´線に沿った表示パネル11の断面図である。
オン状態においても、所望のハーフベンド配向が維持され、複数の液晶分子は、全方位に傾いている。これにより、透過率が不均一になるのを抑制できる。
[6]比較例
次に、比較例に係る表示パネルについて説明する。図16は、第1比較例に係る表示パネルの平面図である。図17は、図16のA−A´線に沿った表示パネルの断面図である。
画素電極32は、Y方向に延びる電極32−1と、電極32−1より幅の太い電極32−2とを備える。すなわち、比較例の画素電極32は、突起部を有していない。
共通電極34は、長方形の枠から構成される。すなわち、共通電極34は、Y方向に延びる第1及び第2電極と、これら第1及び第2電極の両端を接続しかつX方向に延びる第3及び第4電極とから構成される。同様に、共通電極42は、長方形の枠から構成される。すなわち、比較例の共通電極34、42は、突起部を有していない。共通電極34、42はそれぞれ、画素電極32を囲むように構成される。その他の構成は、第1実施形態と同じである。
図18は、第2比較例に係る表示パネルの平面図である。図19は、図18のA−A´線に沿った表示パネルの断面図である。第2比較例では、TFT基板20とCF基板21との合わせズレが発生している。一例として、図18及び図19では、TFT基板20に対してCF基板21が、ずれ量Δだけ右側にずれている。この合わせズレに起因して、画素電極32(電極32−1)と共通電極42との距離が、左右で異なっている。
また、図18及び図19は、オン状態の動作も示している。比較例では、画素のうち画素電極32より左側の領域(概略画素の半分の領域)では、複数の液晶分子は、概略同じ方向に傾く。同様に、画素のうち画素電極32より右側の領域(概略画素の他の半分の領域)では、複数の液晶分子は、概略同じ方向に傾く。
ここで、合わせズレが発生していない状態(図16及び図17)において、CF基板21側の共通電極42とTFT基板20側の画素電極32との最短の水平距離をt、TFT基板20の共通電極34と画素電極32との最短距離をL、共通電極34と共通電極42との垂直方向の間隔(セルギャップ)をd、共通電極34(及び共通電極42)と画素電極32との電圧差をVとする。斜め電界Ea、及び横電界Ebはそれぞれ、以下の式(1)、(2)で表される。
Ea=V/(t2+d2)1/2 ・・・(1)
Eb=V/L ・・・(2)
図19に示すように、TFT基板20とCF基板21とが水平方向にずれ量Δだけ合わせずれが発生したものとすると、画素電極32−1より左側の斜め電界Ea1及び横電界Eb1と、画素電極32より右側の斜め電界Ea2及び横電界Eb2とは、以下の式(3)〜(5)で表される。
Ea1=V/{(t−Δ)2+d2}1/2 ・・・(3)
Ea2=V/{(t+Δ)2+d2}1/2 ・・・(4)
Eb1=Eb2=V/L ・・・(5)
このように、画素電極32の右側の斜め電界Ea2が左側の斜め電界Ea1より低くなり、画素電極32の左右で電界のアンバランスが発生してしまう。これにより、画素内の透過率が画素電極32の左右で不均一になってしまい、表示ムラが発生してしまう。表示ムラ(輝度ムラ及び/又は色ムラ)とは、領域に応じて色や輝度が異なることを意味する。また、透過率が左右不均一になることで、視角依存性が大きくなってしまう。視角依存性とは、視角(画面を見る角度)によって見え方(コントラスト比及び/又は色)が異なる性質である。
一方、本実施形態では、液晶分子が全方位に傾くので、透過率が不均一な領域を低減できる。特に、本実施形態では、前述した合わせズレが発生した場合でも、表示ムラを低減できるとともに、視角依存性を低減できる。
[7]第1実施形態の効果
以上詳述したように第1実施形態では、液晶表示装置10は、TFT基板20と、CF基板21と、TFT基板20及びCF基板21間に充填され、電界を印加しない状態で垂直配向をとる液晶層22とを備える。また、液晶表示装置10は、TFT基板20に設けられ、スイッチング素子19に電気的に接続された画素電極32と、TFT基板20に設けられ、画素電極32を囲む共通電極34と、CF基板21に設けられ、平面視において共通電極34を覆う共通電極42とを備える。画素電極32は、第1方向に延びる電極32−1と、電極32−1から第1方向に交差する第2方向に延びる複数の突起部32Aと、電極32−1から第2方向と反対の第3方向に延びる複数の突起部32Bとを含む。共通電極34は、第1方向に延びる電極34−1、34−2と、電極34−1から第3方向に延びる複数の突起部34Aと、電極34−2から第2方向に延びる複数の突起部34Bとを含む。共通電極42は、第1方向に延びる電極42−1、42−2と、電極42−1から第3方向に延びる複数の突起部42Aと、電極42−2から第2方向に延びる複数の突起部42Bとを含む。複数の突起部32Aと、複数の突起部42Aとは、第1方向に沿って交互に配置される。複数の突起部32Bと、複数の突起部42Bとは、第1方向に沿って交互に配置される。平面視において、突起部42Aは突起部34Aを覆い、突起部42Bは突起部34Bを覆う。
従って第1実施形態によれば、複数の液晶分子を全方位に傾けることができる。これにより、画素内における透過率が不均一になるのを抑制できる。この結果、表示ムラを低減することができる。また、画面を見る角度によって表示が不均一になるのを抑制できるため、視角依存性を低減できる。結果として、液晶表示装置10の表示特性を向上させることができる。
また、表示に有効な領域(画素電極32と共通電極42との隙間)がジグザグ形状となるので、この領域の行路長を長くできる。これにより、画素の透過率を向上させることができるとともに、開口率を向上させることができる。
また、液晶層22に電界を印加した場合、液晶分子がベンド配向(具体的には、ハーフベンド配向)をとるようになるため、VA(Vertical Alignment)モード、及びIPS(In-Plane Switching)/FFS(Fringe Field Switching)モードなどに比べて、表示パネル11の応答速度を向上させることができる。
また、CF基板21側の共通電極42上に、従来のTBA(Transverse Bend Alignment)モードで必要とされる、液晶層に印加される電界を調整するための誘電体膜を形成する必要がない。これにより、DC(direct current)アンバランスに起因して発生していた残像(いわゆる、焼き付き)を抑制できる。
また、CF基板21側の共通電極42を、TFT基板20側の共通電極34と平面投影において重なるように配置したことにより、TFT基板20側の画素電極32とCF基板21側の共通電極42との間で斜め電界がより強くなる。これにより、所望のハーフベンド配向になるように液晶分子を傾けることができるため、透過率を向上させることができる。
また、TBAモードでは透過率が低いために、セルギャップを小さくすることが困難であった。しかし、本実施形態の構造を採用することで、セルギャップをより小さくすることが可能となり、さらなる応答速度の高速化が可能となる。
また、セルギャップを小さくすることが可能であるため、視野角を劣化させることなく、円偏光板を使用することができる。また、円偏光板を表示パネル11に配置することで、直線偏光板では取り出せなかった偏光板の軸方向に倒れている液晶分子が存在する領域の光も取り出すことができ、透過率のさらなる向上が可能となる。さらに、反射表示の光学設計の最適化が可能となるため、半透過型表示パネルに対応できるようになる。
[第2実施形態]
第2実施形態は、TFT基板20側の共通電極34に突起部を設けず、共通電極34を長方形の枠で構成する。そして、CF基板21側の共通電極42のみ、複数の突起部42A、42Bを設けるようにしている。
図20は、本発明の第2実施形態に係る表示パネル11の平面図である。図21は、TFT基板20側の電極構造を主として示した表示パネル11の平面図である。図22は、図20のA−A´線に沿った表示パネル11の断面図である。なお、共通電極42の平面図は、第1実施形態で示した図5と同じである。図20のB−B´線に沿った断面図は、第1実施形態で示した図7と同じである。図21及び図5を重ね合わせることで、図20が得られる。
共通電極34は、長方形の枠から構成され、画素電極32を囲むように構成される。すなわち、共通電極34は、Y方向に延びる第1及び第2電極34−1、34−2と、これら第1及び第2電極34−1、34−2の両端を接続しかつX方向に延びる第3及び第4電極34−3、34−4とを備える。電極34−1〜34−4は、画素の境界部分に配置される。電極34−1〜34−4はそれぞれ、X方向及びY方向に隣接する4つの画素に共有される。
電極42−1の端は、電極34−1の端と同じか、電極34−1の端より画素電極32側に配置される。電極42−2の端は、電極34−2の端と同じか、電極34−2の端より画素電極32側に配置される。電極42−3の端は、電極34−3の端と同じか、電極34−3の端より画素電極32側に配置される。電極42−4の端は、電極34−4の端と同じか、電極34−4の端より画素電極32側に配置される。その他の構成は、第1実施形態と同じである。
第2実施形態においても、第1実施形態と同じ動作を実現できる。第2実施形態の効果は、第1実施形態と同じである。
なお、上記各実施形態では、反射領域と透過領域とを含む半透過型表示パネルの構成例を示している。しかし、反射領域を含まない透過型表示パネルに本実施形態を適用することも可能である。透過型表示パネルは、半透過型表示パネルの構成から反射膜を除いて構成される。
本明細書において、板やフィルムは、その部材を例示した表現であり、その構成に限定されるものではない。例えば、位相差板は、板状の部材に限定されるものではなく、明細書で記載した機能を有するフィルムやその他の部材であってもよい。偏光板は、板状の部材に限定されるものではなく、明細書で記載した機能を有するフィルムやその他の部材であってもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、構成要素を変形して具体化することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、1つの実施形態に開示される複数の構成要素の適宜な組み合わせ、若しくは異なる実施形態に開示される構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を構成することができる。例えば、実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、これらの構成要素が削除された実施形態が発明として抽出されうる。