JP2018104995A - 建物構造、及び、既存の柱梁架構の補強方法 - Google Patents
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このような場合、従来、柱梁架構の構面内方向におけるパネルゾーンの内側領域(以下、単にパネルゾーンの内側領域と略称する。)に変位拘束部材等の補強部材を付設することで、パネルゾーンのせん断耐力を向上させて、柱梁架構の耐力を向上させることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
(1)既存の柱梁架構のパネルゾーンの内側領域には、梁を接合するためのガゼットプレートやリブプレートなどが存在するため、複雑な形状となっていることが多い。そのため、パネルゾーンの内側領域に補強部材を付設する作業が難しいものとなる。
(2)建物の外壁に隣接するパネルゾーンを補強する場合、パネルゾーンから外壁に沿って延びる梁が邪魔となり、パネルゾーンの内側領域における当該梁の裏側の部位にアクセスすることができない。そのため、パネルゾーンの内側領域を適切に補強するには、外壁を撤去しなければならない。
これらのことから、上記従来の技術では、既存の柱梁架構を補強する場合等に工事の長期化やコストアップを招く問題があった。
前記柱梁架構のパネルゾーンを構面内方向に沿って拡張するパネルゾーン拡張手段が備えられている点にある。
しかも、パネルゾーンの拡張作業は、当初のパネルゾーンの外側領域に対する作業にて行うことが可能であるので、パネルゾーンの形状やパネルゾーンから外壁に沿って伸びる梁の存在等によりパネルゾーンの内側領域に対する作業が困難な場合でも、パネルゾーンの拡張を容易に行うことができる。
よって、パネルゾーンの内側領域の状況にかかわらず、パネルゾーンのせん断耐力を簡単に向上させることができ、柱梁架構の耐力の向上を短工期且つ低コストで実現できる。
前記第1拡張部と前記第2拡張部と前記第3拡張部が、前記パネルゾーンの拡張ラインに沿って連続する状態で配置されている点にある。
既存の前記柱梁架構のパネルゾーンを構面内方向に沿って拡張するパネルゾーン拡張工程を備える点にある。
しかも、パネルゾーンの拡張作業は、当初のパネルゾーンの外側領域に対する作業にて行うことが可能であるので、パネルゾーンの形状やパネルゾーンから外壁に沿って伸びる梁の存在等によりパネルゾーンの内側領域に対する作業が困難な場合でも、パネルゾーンの拡張を容易に行うことができる。
よって、パネルゾーンの内側領域の状況にかかわらず、パネルゾーンのせん断耐力を簡単に向上させることができ、既存の柱梁架構の耐力の向上を短工期且つ低コストで実現できる。
まず、本発明の基本的な考え方を説明し、次いで、本発明の建物構造、及び、柱梁架構の補強方法の詳細を説明する。
なお、柱梁架構のパネルゾーンは、柱と梁の接合部における柱のヒンジ部と梁のヒンジ部の間の領域であり、柱と梁の接合部に存在する数は1つであるが、便宜上、拡張前のパネルゾーンをPとし、拡張後のパネルゾーンをP´として説明する。
本実施形態では、既存の柱梁架構KのパネルゾーンP(図1参照)を拡張して拡張パネルゾーンP´(図2参照)とするパネルゾーン拡張工程を備えた柱梁架構Kの補強方法を実行することにより、拡張パネルゾーンP´を備えた建物構造を構成する場合について説明する。
図4(b)に示すように、既存の柱梁架構Kの柱1は、例えば、縦方向に延びるウェブ1Aの左右端にフランジ1Bを一体的に備えたH型鋼にて構成されている。
また、既存の柱梁架構Kの梁2は、例えば、横方向に延びるウェブ2Aの上下端にフランジ2Bを一体的に備えたH型鋼にて構成されている。
パネルゾーンPは、柱梁架構Kの構面内方向において、柱1のヒンジ部Hと梁2のヒンジ部Hの間の矩形状の領域、具体的には、柱1と梁2との接合部で柱1の一対のフランジ2Aと一対の水平スチフナ2aとで囲まれた矩形状の領域にて構成されている。このパネルゾーンPの内側領域には、柱梁架構Kの構面外方向の一例であるパネルゾーンPの板厚方向(図中の奥行き方向)に延びる梁2等が接合されている。
第1パネルゾーン拡張手段F1は、図2に示すように、例えば、既設の柱梁架構Kにおける最上部の外周側等に設けられる。この第1パネルゾーン拡張手段F1は、図4(a)に示すように、柱梁架構Kの構面内方向に沿って、柱1が隣接する下側、梁2が隣接する左側、斜め左下側に向かって第1パネルゾーンP1の面積を拡大するように構成されている。
このようにすることで、第1拡張パネルゾーンP1´の頑強な外縁部を構成することができ、第1パネルゾーンP1に隣接する柱1と梁2のヒンジ部Hを拡張ラインLまで適切に移動させて、第1パネルゾーンP1を拡張ラインLまで拡張した第1拡張パネルゾーンP1´を適切に形成することができる。
拡張ラインLは、例えば、パネルゾーンPに隣接する柱1の端部から柱1の延在方向中央側に移動した位置と、柱梁架構Kの内部の隅側の空間と、パネルゾーンPに隣接する梁2の端部から梁2の延在方向中央側に移動した位置とを通るように設定されている。
第2パネルゾーン拡張手段F2は、図2に示すように、例えば、既存の柱梁架構Kにおける柱1を上下に有した上下中間部の外周側等に設けられる。この第2パネルゾーン拡張手段F2は、図5に示すように、柱梁架構Kの構面内方向に沿って、梁2が隣接する左側、上下の柱1が隣接する上下両側、斜め左下側、斜め左上側の夫々に向かって第2パネルゾーンP2の面積を拡大するように構成されている。
第3パネルゾーン拡張手段F3は、図2に示すように、第2パネルゾーン拡張手段F2と同様、例えば、既設の柱梁架構Kの上下中間部の外周側等に設けられるが、特に、上側の柱1と下側の柱1とで負担応力が異なる箇所に設けられる。図示の例では、下側の柱1が、上側の柱1よりも負担応力が大きくて大断面に構成されている。
(1)前述の実施形態では、パネルゾーン拡張手段Fが、柱梁架構Kの構面内方向において、左右方向の一方側(図中、左側)に梁2が接続されている外周側のパネルゾーンPを拡張する場合を例に示したが、柱梁架構Kの適宜の箇所のパネルゾーンPを拡張することが可能である。
この場合、図7に示すように、パネルゾーン拡張手段Fが、柱梁架構Kの構面内方向に沿って、左右の梁2が隣接する左右両側、上下の柱1が隣接する上下両側、斜め左下側、斜め左上側、斜め右下側、斜め右上側の夫々に向かってパネルゾーンPの面積を拡大するように構成されている。
2 梁
3 第1拡張部
4 第2拡張部
5 第3拡張部
K 柱梁架構
F パネルゾーン拡張手段
L 拡張ライン
P パネルゾーン
Claims (5)
- 柱と梁とで構成される柱梁架構を備えた建物構造であって、
前記柱梁架構のパネルゾーンを構面内方向に沿って拡張するパネルゾーン拡張手段が備えられている建物構造。 - 前記パネルゾーン拡張手段が、前記パネルゾーンに隣接する柱、及び、パネルゾーンに隣接する梁の少なくとも一方の延在方向中央側に向かって、パネルゾーンを拡張するように構成されている請求項1記載の建物構造。
- 前記パネルゾーン拡張手段には、前記パネルゾーンに隣接する柱を横断する状態で当該柱に接合された第1拡張部と、前記パネルゾーンに隣接する梁を横断する状態で当該梁に接合された第2拡張部と、前記柱と前記梁との間に設けられた第3拡張部とが備えられ、
前記第1拡張部と前記第2拡張部と前記第3拡張部が、前記パネルゾーンの拡張ラインに沿って連続する状態で配置されている請求項2記載の建物構造。 - 前記第3拡張部が、前記柱梁架構の内部の隅側において、前記柱に接合された前記第1拡張部材の端部と前記梁に接合された前記第2拡張部の端部とを斜め姿勢で接続するように構成されている請求項3記載の建物構造。
- 柱と梁とで構成される既存の柱梁架構の補強方法であって、
既存の前記柱梁架構のパネルゾーンを構面内方向に沿って拡張するパネルゾーン拡張工程を備える既存の柱梁架構の補強方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112942782A (zh) * | 2021-02-01 | 2021-06-11 | 浙江城建建设集团有限公司 | 一种改进的悬挑脚手架承力构件 |
CN112942800A (zh) * | 2021-02-02 | 2021-06-11 | 浙江城建建设集团有限公司 | 一种在建筑物平面部位的承力支座及设立方法 |
Citations (4)
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JPH08151686A (ja) * | 1994-11-30 | 1996-06-11 | Takenaka Komuten Co Ltd | エネルギ吸収機構を備えた柱梁接合部 |
JP2012057449A (ja) * | 2010-09-13 | 2012-03-22 | Arcreate:Kk | ハンチ加工された鉄骨柱梁接合部構造 |
JP2013204270A (ja) * | 2012-03-28 | 2013-10-07 | Grape Co Ltd | 建物の補強構造 |
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2016
- 2016-12-27 JP JP2016252510A patent/JP6971026B2/ja active Active
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