JP2018104734A - 被処理金属の防錆皮膜形成剤及び防錆皮膜付き被処理金属の製造方法。 - Google Patents

被処理金属の防錆皮膜形成剤及び防錆皮膜付き被処理金属の製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】高い耐食性を有し、また、オーバーコート皮膜との密着性が良好な皮膜を安定して形成させる被処理金属の防錆皮膜形成剤及び防錆皮膜付き被処理金属の製造方法を提供すること。【解決手段】(A)三価クロム、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Ce、Co、Ni、Fe、Al、Mn及びアルカリ土類金属からなる群から選択した1種以上、(B)表面を金属アルコキシド及びシランカップリング剤からなる群から選択した1種以上で修飾した無機コロイド、(C)塩化物イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンよりなる群から選択した1種以上を含有し、pHが1.5〜4であることを特徴とする被処理金属の防錆皮膜形成剤。【選択図】なし

Description

本発明は、種々の被処理金属の防錆皮膜形成剤及び防錆皮膜付き被処理金属の製造方法に関する。特に、亜鉛又は亜鉛合金、並びにこれらのめっきを施した鉄等の金属材料の防錆皮膜形成剤及び防錆皮膜付き被処理金属の製造方法に関する。
一般的に鉄系材料・部品の防錆方法として亜鉛あるいは亜鉛系合金めっき(以下亜鉛めっきと称す)は最も広く一般的に利用されている。しかし、亜鉛めっきされた鉄系材料・部品は、そのまま使用すると亜鉛の錆である白錆がすぐに発生してしまうため、通常は更に保護皮膜を形成させることが一般的である。亜鉛めっきに通常施される保護皮膜としてクロメート皮膜処理は一般的であり、クロメート皮膜処理は更に電解クロメート処理、塗布型クロメート処理、反応型クロメート処理の3種類に分類される。クロメート処理は亜鉛に限らずアルミニウムやカドミウム、マグネシウムなどにも施される。
クロメート皮膜は安価で容易に実用的な耐食性を得られるため広く使用されている。しかし、クロメート処理はいずれも有害な六価クロムを使用しており、処理液のみならず、処理品から溶出する六価クロムが人体や環境へ悪影響があるとして、近年、六価クロムの使用が規制されるようになってきた。六価クロメートの代替技術の一つとして三価クロムを使用した耐食性皮膜があり、種々の発明が出願されている。
例えば、特開昭61−587号公報(特許文献1)では、三価クロムイオン、ケイ酸塩、フッ化物及び酸を含有する処理液が記載されているが、この組成物によって得られる皮膜の耐食性は従来のクロメートに比較して十分ではない。また、この組成物はフッ化物を使用しているため、環境的に問題がある。
特許第4493930号公報(特許文献2)では、三価クロム塩と有機酸、コバルトなどの金属塩を含む処理液を使用して処理する方法が記載されており、良好な耐食性が得られるとされているが、三価クロム濃度が高く、また、処理温度も高温であるため、安定して緻密な皮膜を形成することが難しく、安定した耐食性を得ることができない。また、有機酸を使用する組成物は、安定性に乏しく、処理外観や液のpHが数日〜数週間で変化するという問題や排水処理が困難になるという問題を抱えている。
特許第4529208号公報(特許文献3)では、三価クロム化合物とチタン化合物、タングステン化合物及びケイ素化合物からなる化成処理液、特許第3332374号公報(特許文献4)では、三価クロムイオン、シュウ酸、コバルト及びシリコン化合物を含有する処理液が記載されているが、処理外観が曇ったような外観となる場合や、耐食性が不十分な場合があるなど工業的に実用するにはばらつきが大きい。
以上のように、従来技術は処理外観及び耐食性の安定性の不足、コストパフォーマンス(処理条件に対する得られる性能)の低さという問題を抱えていた。
ここに、本発明者らは、特許第4090780号公報(特許文献5)において、上述のような従来技術の問題を解決できる防錆皮膜形成剤を開示した。しかし、ケイ素化合物を含有した処理液から得られた皮膜にオーバーコート皮膜を施す場合、耐食性の向上は見られるものの、オーバーコートの種類によっては密着性が不十分でオーバーコート皮膜がはく離して外観が損なわれるという問題が確認された。
特開昭61−587号公報 特許第4493930号公報 特許第4529208号公報 特許第3332374号公報 特許第4090780号公報
本発明の目的は、金属、特に亜鉛又は亜鉛合金表面に保護皮膜を形成するにあたり、有害な六価クロムを使用せず、均一で良好な外観と耐食性を兼ね備えた皮膜を安定して生成させることにあり、より具体的には上記特許第4090780号公報に開示された防錆皮膜形成剤による防錆皮膜より、高い耐食性を有し、また、オーバーコート皮膜との密着性が良好な皮膜を安定して形成させる被処理金属の防錆皮膜形成剤及び防錆皮膜付き被処理金属の製造方法を提供することである。
本発明者らが鋭意研究した結果、種々の金属を主体とし、金属アルコキシド及びシランカップリング剤で表面を修飾した無機コロイドを配合することにより、上記課題を解決することができることを見出した。
すなわち、本発明は、(A)三価クロム、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Ce、Co、Ni、Fe、Al、Mn及びアルカリ土類金属からなる群から選択した1種以上、(B)表面を金属アルコキシド及びシランカップリング剤からなる群から選択した1種以上で修飾した無機コロイド、(C)塩化物イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンよりなる群から選択した1種以上を含有し、pHが1.5〜4であることを特徴とする被処理金属の防錆皮膜形成剤である。
また、前記無機コロイドがコロイダルシリカであることが好ましい。
また、更に(D)界面活性剤、有機酸、過酸化水素、尿素類、脂肪族アミン、アンモニウム塩よりなる群から選択した1種以上である安定剤を含むことができる。
また、本発明は、上記防錆皮膜形成剤を被処理金属に接触させることにより防錆皮膜を形成することを特徴とする防錆皮膜付き被処理金属の製造方法である。
また、上記防錆皮膜形成剤を被処理金属に接触させることにより防錆皮膜を形成した後、更にSi、樹脂、ワックス、固体潤滑剤からなる群のうちの1種以上を含有する液体組成物に接触させ、オーバーコートすることができる。
本発明において、被処理金属が、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、銅、ニッケル、クロム、鉄、錫及びこれらの合金とすることができる。
また、本発明は、上記被処理金属の防錆皮膜形成剤とSi、樹脂、ワックス、固体潤滑剤からなる群のうちの1種以上を含有する液体組成物との組み合わせよりなる、被処理金属の防錆皮膜形成用液体組成物の組み合わせである。
本発明の防錆皮膜形成剤を用いて得られる防錆皮膜は、従来の有色クロメートや三価クロム化成皮膜と同等かそれ以上の耐食性が得られるだけでなく、非常に均一な外観も得られる。また、オーバーコート皮膜を施した場合に、従来問題となっていたはく離も改善し、更なる耐食性、意匠性の向上、および摩擦係数の制御を可能にした。
更に、本発明の防錆皮膜形成剤を用いて得られる防錆皮膜は、皮膜損傷時の耐食性低下抑制能力も付加された実用的なものが得られる。この耐食性低下抑制能力は、例えば自動車部品などにおける飛び石などによる皮膜損傷時の錆発生を抑制するものであり、工業上非常に重要な性能である。実際の生産ラインでは、ボルトなど適度の重量のものが大量に落下したり、ぶつかり合ったりし(処理中の共ズレ)、多くの傷がつく可能性がある。本発明によれば、皮膜損傷時の耐食性低下抑制能力も従来技術と比較して大幅に向上させることを可能とした。
本発明によれば、高い耐食性を有し、また、オーバーコート皮膜との密着性が良好な皮膜を安定して形成させる被処理金属の防錆皮膜形成剤及び防錆皮膜付き被処理金属の製造方法を提供することができる。
(被処理金属)
本発明の被処理金属としては、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、銅、ニッケル、クロム、鉄、錫及びこれらの合金が挙げられる。本発明の防錆皮膜形成剤は、特に亜鉛めっき、亜鉛系合金めっき、亜鉛ダイキャスト、アルミニウム、ダイキャストを含むアルミニウム合金、マグネシウム、ダイキャストを含むマグネシウム合金に対し効果的に作用する。
(防錆皮膜形成剤)
本発明の防錆皮膜形成剤は、(A)三価クロム、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Ce、Co、Ni、Fe、Al、Mn及びアルカリ土類金属からなる群から選択した1種以上、(B)表面を金属アルコキシド及びシランカップリング剤からなる群から選択した1種以上で修飾した無機コロイド、(C)塩化物イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンよりなる群から選択した1種以上を含有し、pHが1.5〜4である。
(A)三価クロム、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Ce、Co、Ni、Fe、Al、Mn及びアルカリ土類金属からなる群から選択した1種以上は、その供給方法は特に指定は無く、塩化物、硫酸塩、硝酸塩などの無機系の塩のほかに有機酸塩やオキソ酸、オキソ酸塩などで供給すれば、他の必要成分、例えば酸イオンなども供給できるため都合がよく、特に硫酸化合物や硝酸化合物は耐食性が良い。(A)三価クロム、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Ce、Co、Ni、Fe、Al、Mn及びアルカリ土類金属からなる群から選択した1種以上の濃度は、0.01〜100g/L、好ましくは0.01〜50g/L、より好ましくは0.01〜10g/Lとすることができる。
(B)表面を金属アルコキシド及びシランカップリング剤からなる群から選択した1種以上で修飾した無機コロイドは種々の金属酸化物を用いることができるが、特に、一次粒子径が1〜200nm、好ましくは1〜100nm、より好ましくは1〜50nmの範囲の水分散コロイド溶液が望ましい。金属アルコキシド及びシランカップリング剤からなる群から選択した1種以上は、0.001〜10g/L、好ましくは0.01〜5g/Lであるが、更に加えるならば、金属アルコキシド及びシランカップリング剤による表面修飾は、無機コロイドの表面積に対して1〜50%、好ましくは1〜30%とすると、より優れた耐食性の皮膜を安定して得ることができる。この範囲より少ないと効果が得られず、反対に過剰であると無機コロイドの電気的反発が損なわれる、又は、余剰のシランカップリング剤が反応することにより凝集あるいはゲル化を生じることになる。(B)表面を金属アルコキシド及びシランカップリング剤からなる群から選択した1種以上で修飾した無機コロイドの濃度は、0.01〜100g/L、好ましくは0.1〜50g/L、より好ましくは0.1〜30g/Lとすることができる。
表面を金属アルコキシド及びシランカップリング剤からなる群から選択した1種以上で修飾した無機コロイドは、金属アルコキシド及びシランカップリング剤を加水分解した水溶液と無機コロイド溶液を混合縮合反応させることで得られるが、より安定した縮合体を得るには1時間以上攪拌することが望ましい。
ここでは種々の金属アルコキシド及びシランカップリング剤を用いることができる。例えば、樹脂を含有するオーバーコート皮膜を施す場合、有機材料と反応結合する官能基で分類すれば、ビニルシラン、エポキシシラン、アミノシラン、メタクリロキシシラン等がその代表としてあげられ、これらシランカップリング剤の1種又は2種以上を使用することができる。本発明の目的を達することができる範囲内で、上記シランカップリング剤以外のシランカップリング剤を用いることもできる。
(C)塩化物イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンの供給源としては、塩酸、硫酸、硝酸や塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム等の各無機酸塩が利用できる。硫酸クロム、塩化クロム、硝酸クロム、硫酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等のクロム化合物やジルコニウム化合物に含有される各種アニオンも供給源として利用できる。塩化物イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンの化合物であれば、上記以外の物質も塩化物イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンの供給源として利用できる。塩化物イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンは、1種または2種以上を使用することができる。塩化物イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンの濃度は、0.001〜200g/Lが好ましく、0.01〜100g/Lがより好ましく、0.1〜100g/Lであるのがより好ましい。塩化物イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンの濃度が上記範囲内であれば、良好な化成皮膜が形成でき、均一な処理外観、耐食性、オーバーコート皮膜との密着性が安定して得られる。塩化物イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンの濃度が0.001g/Lより低下すると耐食性とオーバーコート皮膜との密着性の低下を招き、200g/Lを超えるとコストメリットの低下と共に、処理外観でムラが発生しやすくなり好ましくない。
また、本発明の防錆皮膜形成剤中に安定剤を添加することは耐食性や意匠性の安定のために有効である。安定剤としては、0.01〜100g/L、好ましくは0.01〜50g/Lの界面活性剤、有機酸、過酸化水素、尿素類、脂肪族アミン、アンモニウム塩よりなる群から選択した前記液体組成物の安定化剤が好ましい。
上記液体組成物を亜鉛または亜鉛系合金めっきに接触させることにより防錆皮膜を形成するが、皮膜形成の好ましい条件としては、処理時間15〜120秒、処理温度15〜40℃、pH1.5〜4である。
上記液体組成物より得られた防錆皮膜に、更に、Si、樹脂、ワックス、固体潤滑剤からなる群のうち少なくとも1種を含有する液体組成物によりオーバーコート皮膜を形成してもよい。オーバーコート皮膜形成用のSi含有量としては、0.01〜500g/L、好ましくは1〜300g/Lが適当であり、不足の場合は効果が得られなくなり、過剰の場合は白色の外観不良を生ずることがある。ケイ素化合物としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウム、コロイダルシリカが好ましい。
樹脂としては特に限定は無く、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、アルキド樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネートなどの樹脂を用いることができる。耐食性や外観(艶、液たまり、ムラ)などにより適当な濃度を選択する必要があり、1〜800g/L、好ましくは10〜500g/Lが高い耐食性を得やすい。
ワックスとしては特に限定は無く、カルナバワックスや石油系ワックスに代表される天然ワックス、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックスに代表される合成ワックス、アマイドワックスやモンタンワックスに代表される半合成ワックスが好ましい。また、PTFE微粒子、二硫化モリブデン、有機モリブデン、グラファイトのような固体潤滑剤を使用することもできる。求められる特性(摩擦係数など)により一概には特定できないが、一般的に0.01〜200g/Lの範囲であれば、他の特性にほとんど影響せずに使用できる。
Si、樹脂、ワックス、固体潤滑剤からなる群のうち少なくとも1種を含有する液体組成物によりオーバーコート皮膜を形成する条件は、例えば、処理時間が1〜60秒、好ましくは10〜40秒、処理温度が5〜80℃、好ましくは15〜60℃であり、更に加えるならば使用する樹脂のガラス転移点以上であることが望ましい。処理pHは、使用する樹脂の安定性が保てる範囲で使用することができるが、一般的には7.5〜14である。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明の説明をする。
試験片(M8フランジボルト)を脱脂、酸活性などの適当な前処理を行った後、市販の薬剤(日本表面化学(株)製)を用いて亜鉛めっき(Zn)、亜鉛−鉄合金めっき(Zn/Fe)、亜鉛−ニッケル合金めっき(Zn/Ni)のいずれかを施してめっきの膜厚8〜9μmとした後、表1〜3に示す防錆皮膜形成剤に浸漬し、次いで水洗し乾燥を行い、防錆皮膜を形成した。オーバーコート処理を施す場合は、防錆皮膜形成後、表2、表3に示す液体組成物に浸漬した後、遠心乾燥機にて80℃、10分間乾燥を行った。表中、コロイダルシリカとして日産化学(株)製スノーテックス20、アルミナゾルとして日産化学(株)製アルミナゾル520、チタニアゾルとして富士チタン工業(株)製DC−Ti、ジルコニアゾルとして第一稀元素化学工業(株)製ZSL−10Lを使用した。金属アルコキシド又はシランカップリング剤による無機コロイドの修飾は、表1〜3に示す金属アルコキシド又はシランカップリング剤を加水分解した水溶液と無機コロイド溶液とを混合し、1時間攪拌することにより行った。比較例として、従来の組成及び金属アルコキシド又はシランカップリング剤を含有していない組成を使用して防錆皮膜を形成した。そして、比較例2及び比較例8において、無機コロイド表面を金属アルコキシド又はシランカップリング剤を用いて修飾する工程を経ず、防錆皮膜形成剤に単純に3−グリシドキシプロピルメチルトリメトキシランを添加したのみの組成を使用して防錆皮膜を形成した。
耐食性の評価はJIS Z 2301に従う塩水噴霧試験において、白錆が5%発生した時間を示す。皮膜損傷時の耐食性については、試験片をポリ瓶に入れ、1mの高さから10回落下させた後、JIS Z 2301に従う塩水噴霧試験において評価を行った。
摩擦係数は、JIS B 1084に従う締め付け試験において測定を行った。サンプル数は10本で、平均値及び標準偏差を算出し、そのばらつきを評価した。
オーバーコート皮膜の密着性は、下記の手順で評価を行った。試験面にカッターナイフを用いて、素地に達する1mm間隔の切込みを11本入れた後、90°向きを変えて更に11本引く。カットした皮膜面にセロハンテープを強く圧着させ、テープの端を皮膜面に垂直に保ち、瞬間的に引きはがす。評価は、どの格子の目もはがれがない場合をA、皮膜がカットの線に沿って部分的、全面的にはがれている(15%未満)場合をB、15%以上はがれている場合をCとした。
(評価)
実施例の結果から、(A)三価クロム、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Ce、Co、Ni、Fe、Al、Mn及びアルカリ土類金属からなる群から選択した1種以上、(B)表面を金属アルコキシド及びシランカップリング剤からなる群から選択した1種以上で修飾した無機コロイド、(C)塩化物イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンよりなる群から選択した1種以上を含有し、pHが1.5〜4である防錆皮膜形成剤を形成することにより、優れた耐食性、皮膜損傷時の耐食性、ばらつきの少ない摩擦係数及びオーバーコート皮膜との良好な密着性が得られることが確認された。一方、比較例の結果からは、上記成分(A)〜(C)のうちどれか一つが不足しても上記効果が得られないことが確認された。特に、比較例2及び8では、シランカップリング剤を単純に添加するのみで、無機コロイド表面を修飾する工程を経ていないため、比較例2については耐食性に対する効果が得られず、比較例8については耐食性及びオーバーコート皮膜との密着性に対する効果が得られなかった。

Claims (7)

  1. (A)三価クロム、Mo、W、V、Nb、Ta、Ti、Zr、Ce、Co、Ni、Fe、Al、Mn及びアルカリ土類金属からなる群から選択した1種以上、
    (B)表面を金属アルコキシド及びシランカップリング剤からなる群から選択した1種以上で修飾した無機コロイド、
    (C)塩化物イオン、硫酸イオン及び硝酸イオンよりなる群から選択した1種以上を含有し、
    pHが1.5〜4であることを特徴とする被処理金属の防錆皮膜形成剤。
  2. 前記無機コロイドがコロイダルシリカであることを特徴とする請求項1に記載の被処理金属の防錆皮膜形成剤。
  3. 更に(D)界面活性剤、有機酸、過酸化水素、尿素類、脂肪族アミン、アンモニウム塩よりなる群から選択した1種以上である安定剤を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の被処理金属の防錆皮膜形成剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の防錆皮膜形成剤を被処理金属に接触させることにより防錆皮膜を形成することを特徴とする防錆皮膜付き被処理金属の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の防錆皮膜形成剤を被処理金属に接触させることにより防錆皮膜を形成した後、更にSi、樹脂、ワックス、固体潤滑剤からなる群のうちの1種以上を含有する液体組成物に接触させ、オーバーコートすることを特徴とする防錆皮膜付き被処理金属の製造方法。
  6. 前記被処理金属が、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、銅、ニッケル、クロム、鉄、錫及びこれらの合金である請求項4又は5に記載の防錆皮膜付き被処理金属の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の被処理金属の防錆皮膜形成剤とSi、樹脂、ワックス、固体潤滑剤からなる群のうちの1種以上を含有する液体組成物との組み合わせよりなる、被処理金属の防錆皮膜形成用液体組成物の組み合わせ。
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