JP2018103314A - ホールソー - Google Patents
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Abstract
【課題】切削加工が困難な難削材、例えば、ハニカム材などに対してのホールソーによる穴あけ加工を行う際に、芯ずれをおこさず、かつ、切削抵抗を少なくし、さらに、ばり、ピール、デラミ、むしれなどの仕上げの美麗さを損なうものの発生を抑えること。
【解決手段】ホールソーであって、弧状外刃と、センタードリルと、センタードリルと一体構造のさらい刃とを有し、更に、センタードリルの先端が、弧状外刃及びさらい刃よりも被削材側に突出しており、弧状外刃の弧の中央部と、さらい刃とが、センタードリルの中心軸に対して略対称に設けられること。
【選択図】図1
【解決手段】ホールソーであって、弧状外刃と、センタードリルと、センタードリルと一体構造のさらい刃とを有し、更に、センタードリルの先端が、弧状外刃及びさらい刃よりも被削材側に突出しており、弧状外刃の弧の中央部と、さらい刃とが、センタードリルの中心軸に対して略対称に設けられること。
【選択図】図1
Description
本発明は、素材の切削加工、特に丸穴加工を行うホールソーに関し、特にハニカム材やCFRPなどの加工が困難な素材の加工に好適な、弧状外刃とセンタードリルとさらい刃とを有するホールソーに関する。
近年、航空機、自動車などに使用される、様々な素材が実用化されている。その中でも、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の板材、ハニカム材、及びそれらを組み合わせたもの、その他、繊維質を含むものが、軽量で強度の高い素材として注目されている。しかしながら、これらの素材は、繊維質などの影響で、切削加工が極めて難しく、特に丸穴加工の場合には、ばり、ピール(表層の剥がれ)、デラミ(層間の剥がれ)、むしれなどを生じやすかった。
そのために、従来から、特許文献1に示すように、先端ドリル部、内側くり抜き刃、先端切刃を有するドリルヘッドがスリーブにねじ込まれた構造の回転穴あけ具(ホールソー)が用いられてきた。
この回転穴あけ具を、電動ドリルやエアドリルなどの固定されない工具本体に連結して使用し、合成樹脂やゴムなどの軟質性の材料で製造された部材、特に合成樹脂性のサッシ用等の成形品の穴あけ加工に用いると、バリや芯残りが発生することなく、正確な位置精度と真円度で穴加工を行うことができるという利点があった。
しかしながら、ドリルヘッドが一体構造であり、その形状が複雑になり、製造が難しく、コストも高くなるという問題点があった。
また、軟質性の材料以外の、例えばハニカム材、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)などの難削材の加工においては、固定されない工具を用いると、芯ずれを起こすほか、材質の違いにより、バリなどの発生が抑制できない可能性も高い。
解決しようとする問題点は、切削加工が困難な難削材、例えば、ハニカム材などに対してのホールソーによる穴あけ加工を行う際に、芯ずれをおこさず、かつ、切削抵抗を少なくし、さらに、ばり、ピール、デラミ、むしれなどの仕上げの美麗さを損なうものの発生を抑えることが難しい点である。
本発明は、上記課題を解決するために、ホールソーであって、弧状外刃と、センタードリルと、センタードリルと一体構造のさらい刃とを有することを特徴とする。
ここで、弧状外刃は、薄い円筒状のスリーブの一部であって、スリーブの先端部分の円周の一部に弧状に形成されたものであり、その外径が、所望の穴あけの穴径と等しくなっている。
なお、弧状外刃は、スリーブの先端に形成される場合に限定されず、別部材で製作し、スリーブの先端にロー付けなどで固着するようにしてもよいし、スリーブのような形態を取らなくてもよい。
センタードリルは、穴あけ加工の中心点を切削加工するもので、先端が尖ったドリル形状をしており、中心の芯ずれを起こさない効果を有する。
さらい刃は、センタードリルから外周方向に延伸して形成され、その最も外側の端は、弧状外刃とほぼ等しい円周上にまで達している。
このさらい刃は、弧状外刃と等しい角速度で回転し、弧状外刃によって切削された切屑、及び中心から弧状外刃までの内側部分の切削による切屑をさらうことのできる形状を有するものである。
なお、さらい刃の形状、寸法は、これに限定されるものでなく、また、枚数も1枚が好適ではあるが、2枚以上設けることが有効な場合もあり得る。
ここで、さらい刃は、センタードリルと一体構造になっている。すなわち、さらい刃とセンタードリルとが同じ素材から削り出されることが好適であるが、さらい刃がセンタードリルに溶接されている場合や、ねじや嵌合によって固定されている場合など、方法によらず一体に構成されている場合を含むものとする。
このさらい刃によって、弧状外刃による切屑が速やかに排除されと同時に、中心から弧状外刃までの内側部分の切削による切屑も排除されるため、切屑詰まりによる加工状態の悪化を防止することができる。
また、本発明は、更に、弧状外刃と、センタードリルとが、別部材であることを特徴としてもよい。
すなわち、センタードリルと、弧状外刃あるいは弧状外刃を有するスリーブとは、別部材で構成されているが、使用時は、ホールソーを装置に装着するためのシャンクなどを介して、一体に連結されており、同一角速度で回転するようになっている。
このように、弧状外刃あるいは弧状外刃を有するスリーブと、さらい刃付きのセンタードリルとが、別部材、すなわち、分離・再組立が容易な構造となっていることから、両方とも、構造が比較的シンプルになり、切刃部の再研磨も容易になるという利点がある。
また、本発明は、更に、ホールソーであって、センタードリルの先端が、弧状外刃及びさらい刃よりも被削材側に突出していることを特徴としてもよい。
このようにすると、まず、被削材にセンタードリルの先端が押し付けられ、センター位置が確定したのちに弧状外刃による丸穴外周の加工が開始されるため、高い位置精度で加工を行うことができる。
また、本発明は、ホールソーであって、弧状外刃を含むスリーブに開口部を有していることを特徴としてもよい。ここで、開口部とはホールソーの円筒状の胴体部分を平面または曲面で斜めに切り取った形状や、ホールソーの円筒部に開けた長穴など、形状や位置を問わないものとする。
このようにすると、弧状外刃及びさらい刃によって加工され、排除された切屑が、この開口部を通って、ホールソーの外部の広い空間へと排出されるため、切屑詰まりによる加工状態の悪化を更に減少することができる。
また、本発明は、ホールソーであって、弧状外刃の、切削時の回転方向の先端部分に、すくい面を有することを特徴としてもよい。ここで、すくい面は、弧状外刃の切削方向の先頭部分に、切削方向から見て凹状で、幅のある円弧状(円筒形の外周の一部)になるような曲面で形成される。なお、すくい面の形状はこれに限定されるものではなく、また、すくい面は弧状外刃を構成する複数の単体刃の先頭のみに設け、他の単体刃はストレート刃とすることが望ましいがそれに限定するものではない。
このように、弧状外刃の先頭部分の外側にすくい面を有することで、弧状外刃による丸穴切削加工時に、切屑が、このすくい面によってすくわれて、排除されるため、切屑詰まりによる加工状態の悪化を更に減少することができる。
また、本発明は、ホールソーであって、さらい刃の切刃が略V字形であることを特徴としてもよい。
このようにすると、特に、貫通穴の場合には、さらい刃先端部分に鋭い切刃が形成でき、切削抵抗を減じることができるとともに、中心から弧状外刃外周までの内側部分の切削及び切屑の排出を効率よく行うことができる。
なお、ここで、略V字形としたのは、頂点を有するV字形が好適ではあるが、それに限定せず、頂点を有しないU字形なども含み、直線状ではなく、くぼみがある形状を含むことを意味している。
あるいは、本発明は、ホールソーであって、さらい刃の切刃が略直線状であることを特徴としてもよい。このようにすると、特に、非貫通穴(めくら穴)の場合には、さらい刃全体で、軸中心から弧状外刃外周までの内側部分の切削を行うことができ、非貫通穴の底部を美麗に仕上げることができる。
特に、切刃がホールソー軸部と直角方向に略直線状に形成されている場合は、水平な底部を有する非貫通穴の加工に適し、ホールソー軸部と直角以外の方向に略直線状に形成されている場合は、円錐状の底部を有する非貫通穴を加工することができる。
なお、ここで、略直線状としたのは、一部に直線でない部分を含む場合や、細かい鋸状の刃などの、完全な直線状でない場合も含むことを意味している。
また、本発明は、ホールソーであって、さらい刃の切刃にすくい面を有することを特徴としてもよい。ここで、すくい面は、切刃の進行方向から見て凹状となるような曲面で形成されるが、その形状は限定されず、すくいの効果があるような形状であればよい。
このようにすると、さらい刃による切削加工の切屑が、さらい刃にすくい面を有することで、更に効率よく排出され、切屑詰まりによる加工状態の悪化を減少することができ、先に述べたさらい刃形状により、加工の抜け側面のバリ、ピール、デラミなどの発生を抑制することができる。
また、本発明は、ホールソーであって、弧状外刃の弧の中央部と、さらい刃とが、センタードリルの中心軸に対して略対称に設けられることを特徴としてもよい。ここで、略対称とは、完全な対称位置から、両側10度の角度以内であればよいものとする。
このようにすると、弧状外刃によって生じた切屑をさらい刃が排除するのに効率がよく、更に、ホールソーの回転時にバランスが取れることから、異常な振動の発生が抑えられる。
また、本発明は、ホールソーであって、先端に弧状外刃を有するスリーブと、さらい刃を有するセンタードリルとを保持するシャンクを有することを特徴としてもよい。
このシャンクによって、工作機械にホールソーが装着される。ここで、シャンクとスリーブとは、ロー付けによって固定されることが好適であるが、それに限定されるものではない。また、シャンクとセンタードリルとは、シャンクの中心軸部に形成した穴部にセンタードリルを嵌合し、ねじ締結で固定することが好適であるが、それに限定されるものではない。
このようにすると、高価な超硬合金などで製作されたスリーブを、安価な鋼鉄製のシャンクに固定することによって、一体で形成するよりも安価に構成することができる。
但し、状況によっては、別構造とせず、スリーブとシャンクとを同一部材としてもよい。全体の構成や寸法から別構造にする必要がない場合もあり得る。
また、本発明は、ホールソーであって、センタードリルがシャンクの中心部を貫通する穴部に嵌合し、センタードリルの軸部に設けた平面部をシャンク外周からの止めねじで固定することを特徴としてもよい。
このようにすると、センタードリルの軸方向位置を可変にできるため、弧状外刃との位置関係、すなわち、センタードリルの弧状外刃からの突出度合などを最適位置に調整することができる。
また、本発明は、ホールソーであって、弧状外刃を構成する複数の単体刃の高さが、切削方向、すなわち、弧状外刃の回転方向の先頭が最も突出量が少なく、それから徐々に多くなっていることを特徴としてもよい。
このようにすると、まず、弧状外刃の最後尾の単体刃が被削材に接触し、切削を開始した後に、引き続きその手前の単体刃が更に切削を深めるようになり、切削抵抗を減じて、切削の効率を向上することができる。また、これにより、先頭の単体刃に大きな負担をかけることなく、単体刃全体の摩耗を均一に抑制することができる。
また、本発明は、ホールソーであって、弧状外刃を構成する単体刃の、刃先と反対側の終端に段差を有することを特徴としてもよい。
このような逃げを形成することで、弧状外刃の切削により発生した切屑の排出を滑らかにする効果がある。さらに、被削材の穴入口部のバリ、ピール、デラミなどの発生を抑制することができる。
本発明のホールソーでは、切削加工が困難な難削材、例えば、ハニカムパネルなどについてのホールソーによる穴あけ加工を行う際に、芯ずれをおこさず、かつ、切削抵抗を少なくし、さらに、ばり、ピール、デラミ、むしれなどの仕上げの美麗さを損なうものの発生を抑えることができる。
本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態のホールソーの斜視図、図2は同じくホールソーの正面図、図3は同じくホールソーの平面図、図4は同じくホールソーの左側面図である。
ホールソー1は、シャンク10、シャンク10と結合するスリーブ20、スリーブ20の一部であってスリーブ20の先端部に形成される弧状外刃21、センタードリル30、センタードリル30と一体構造のさらい刃31を有している。
図6は、本発明の一実施形態のホールソーのシャンク部の斜視図であり、シャンク10は、略円筒状をなし、ホールソー1の切刃側を先端とすると、シャンク10の後端は、ホールソー1を図示しないマシニングセンタなどの装置に取り付ける部分であり、シャンク10の先端は、スリーブ20の内径に嵌合するように、より小径の円筒部13となっている。
更に、シャンク10には、中心部に貫通する丸穴部12が設けられており、後端部ではその穴径が広がるように段付きの形状になっている。
シャンク10の材質は、好適にはS45C調質材のような比較的低コストの汎用の素材でよく、特に超硬素材である必要はないが、これに限定されるものではない。
図7は、本発明の一実施形態のホールソーのスリーブの斜視図であり、スリーブ20は、薄い円筒状をなし、後端の部分は、シャンク10の外径の大きな部分とほぼ等しい外径を有し、内径部には、シャンク10の先端部(外径の小さな部分)が嵌合されるようになっている。
また、スリーブ20の円筒形状は、先端に向けて斜めの平面で切断されたような形状となっており、先端部の残された円周部分に、弧状切刃21が形成されている。残存円周部は、円周の約1/3程度が好適であるが、この数値には限定されない。
図4などに図示されるように、弧状外刃21は、4枚の単一刃211、212、213、214からなっており、おのおのが、ホールソー1の回転方向(図4の中に矢印で示す)の先頭部に切刃を有している。
図5は、本発明の一実施形態のホールソーの弧状外刃の展開図であり、弧状外刃を直線に引き伸ばした形で展開した図面である。ここで、図中に点線及び記号Hで示すように、弧状外刃21の4枚の単体刃は、ホールソー1の回転方向(切削方向)の先頭の単体刃211が、ホールソー1先端方向への突出量が最も少なく、2番目(212)、3番目(213)と突出量を増し、4番目の単体刃214が最も突出量が多くなっている。
特に、先頭の単体刃211には、図7に示すようにすくい面25を設ける。ここですくい面25は、弧状外刃21の切削方向の先頭部分に、切削方向から見て凹状で、幅のある円弧状(円筒形の外周の一部)になるような曲面で形成される。更に、弧状外刃21の先頭部分の内側には、すくい角を形成することが望ましい。
なお、すくい面25は、弧状外刃21を構成する複数の単体刃の先頭211のみに設け、他の単体刃はストレート刃とすることが望ましいが、それに限定するものではなく、先頭の単体刃211以外にもすくい面25を設けてもよい。
また、各単体刃211−214の根元の部分には、スリーブ20との間に段差22を設けている。
なお、スリーブ20は、先端に向けて斜めの平面で切断されたような形状の開口部23を有するほかに、この開口部23の裏側にも、長穴状の開口部24を有している。
スリーブ20の素材は、好適には超硬合金Z種(超微粒子超硬合金)のZ20であるが、これに限定されず、ドリルなどに用いられる超硬合金や炭素工具鋼(SK材)であれば用いることができる。
ここで、シャンク10とスリーブ20は、嵌合された後、強固に固定されている。固定の方法としては、ロー付けが望ましいが、それ以外の方法であってもよい。
図8は本発明の一実施形態のホールソーのセンタードリルの斜視図である。センタードリル30は、後端がシャンク10の中心部の設けられた丸穴部12に嵌合するようになっており、先端はドリル状に形成され、突端が尖った状態となっている。
さらい刃31は、センタードリル30から、外周方向に延伸して形成されており、その最も外側の端311は、弧状外刃21とほぼ等しい円周上にまで達している。
さらい刃31の延伸方向は、センタードリル30の中心点に対して、弧状外刃21が張る円弧部分の方向とほぼ対称の方向とする。
更に、さらい刃31は、ホールソー1の後端方向に頂点を有するV字形の切刃313と、刃の進行方向から見て凹状となるような曲面であるすくい面312とを有することが好ましいが、切刃はV字形に限定されず、U字形などのようにくぼみを有するもの(略V字形)であればよいし、更には、直線状、櫛刃状などであってもよい。
このようにすると、さらい刃31の先端部分に鋭い切刃が形成でき、切削抵抗が減じるとともに、ピール、デラミ、むしれなどの発生を抑制することができ、中心から弧状外刃外周までの内側部分の切削及び切屑の排出を効率よく行うことができる。
なお、このすくい面312は、切削条件によっては設けなくてもよい場合もあり得る。
また、さらい刃31は、センタードリル30と同じ素材から削り出して製作する。これにより、さらい刃31とセンタードリル30とは一体構造となっている。
このように、弧状外刃21を有するスリーブ20と、さらい刃31付のセンタードリル30とが、独立した別部材となっている、すなわち、分離・再組立が容易な構造となっていることから、両方とも構造が比較的シンプルで、切刃部の再研磨も容易であるという利点がある。
なお、センタードリル30とさらい刃31とを別部材で製作し、その後に溶接、ロー付け、ねじ止めなどの方法で一体構造としてもよい。製作が容易になる、あるいは、製作コストが安価になる場合もあり得る。
さらい刃31を含むセンタードリル30は、スリーブ20の中心部から、シャンク10の方向へ挿入され、シャンク10の丸穴部12に挿入された後、シャンク10に設けられた雌ねじ(ねじ穴)11に雄ねじ32をねじ込むことにより、センタードリル30の軸部に形成された平面部33を締め付けて、回転方向及び軸方向の移動をできないように固定される。
なお、センタードリル30の位置は、シャンク10との固定位置を変えることによって調整できるため、弧状外刃21からの突出量を調節することができる。好適には、図示するように、センタードリル30の先端は、弧状外刃21の先端よりも、突出した状態に固定される。
固定方法としては、これまで述べた方法に限定せず、円周方向と軸方向の位置を固定することができるものであれば、どのような方法でもよく、例えば、キーとキー溝を用いる方法や、ピンなどを用いる固定方法であっても、条件によっては用いることができる。
この構成によるホールソー1の動作について説明する。ホールソー1は、図示しないマシニングセンタにシャンク10の部分によって固定される。マシニングセンタの駆動により、ホールソー1が回転しながら前進することによって、通常はセンタードリル30の軸方向と直交するように固定された被削材に穴あけ加工がなされる。
なお、本発明の対象とする被削材は、主に、ハニカムコアを面板ではさんだ構造であるハニカム材であり、ハニカムコアの素材としては、アルミ、ペーパーハニカム(紙にレジンを含侵したもの)、FRP、アラミドハニカム(アラミド紙に樹脂を含侵させたもの)などが用いられ、面板の素材としては、アルミ、ステンレス、FRP、CFRP、GFRP、鉄板などが用いられる。
例えば、宇宙衛星用には面板がアルミ板またはCFRPで、ハニカムコアがアルミの組み合わせが実用化されており、航空機用の主翼には、面板がアルミ板で、ハニカムコアがアルミ、動翼には、面板がGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)で、ハニカムコアがアラミドの組み合わせも実用化されている。
これらのハニカム材は、ハニカム構造であることや、構成する素材自身が多様であり、かつ、繊維質のものも多いことから、切削加工においては、美麗に仕上げることが難しい難削材である。
また、被削材としては、ハニカム材に限定せず、ハニカム材を形成する個々の素材や、腰の弱い形状や、柔らかい材料、毛羽立ちやバリが出やすい材料、例えば種々のプラスチック、アクリル、セルロース樹脂、アラミド樹脂、アセテート樹脂などの、美麗に仕上げることが難しい素材も対象となる。
具体的な穴あけ加工手順としては、ホールソー1が前進すると、まず、最も突出しているセンタードリル30の先端が被削材に押し付けられ、穴あけの中心点が確定し、ホールソーの回転により中心点の切削が開始される。
少し切削が進むと、最も突出している弧状外刃21の4番目の単体刃214が被削材に当接し、穴の外周加工が開始される。弧状外刃21は、4番目の単体刃214に引き続き、3番目の単体刃213、2番目の単体刃212、先頭の単体刃211が加工を継続する。
ここで、単体刃211−214は、切刃部分が、最後尾の単体刃214が最も突出量が多く、先頭に向かって突出量を減じていることから、加工の難しい被削材であっても、切刃の食い込み(食い付き)が良好に行われ、円滑に穴の外周加工が行われる。
特に、先頭の単体刃211には、すくい面を設けたので、加工が更にスムーズになる。なお、先頭の単体刃211以外にもすくい面を設けてもよい。よりスムーズになる場合もあり得る。
また、弧状外刃21の単体刃211−214の根元の部分は、スリーブ20と段差22を有するように構成されており、この部分においても切屑の排出をスムーズにしている。
次に、弧状外刃21とは円周上で反対側に位置するさらい刃31が、弧状外刃21によって穴部の外径を削られた、その内側の被削材を切削し、かつ、切削によって生じた切屑をさらっていく。特に、さらい刃31にV字形の切刃313を設けたので、さらい刃31の先端部分に鋭い切刃が形成でき、切削抵抗が減じる。更に、すくい面311を設けたので、より円滑に切屑の除去が可能となる。
これによって、弧状外刃21の切削の障害となる、穴部内側の被削材部分の除去と、切屑の排出がなされるため、弧状外刃21による外周切削加工、特に、被削材の表側加工時に、ばり、ピール、デラミ、むしれなどの発生を抑えた加工が可能となる。
ここで、弧状外刃21とさらい刃31とを、円周上の概ね対称の位置に設けたことにより、ホールソー1の回転の際に発生する恐れのある異常振動を抑えることができ、滑らかな回転が期待できる。
また、弧状外刃21及びさらい刃31によって生じた切屑は、その後、スリーブ20の、先端に向けて斜めの平面で切断されたような形状の大きな開口部23、及び、この開口部23の裏側の長穴状の開口部24を介して、ホールソー1の外部へと排出され、その後の加工に支障がないようになっている。
なお、開口部の位置、大きさ、形状、個数については、図示の例に限定されず、適宜、切屑排出に有効なように設ければよい。
引き続き、切削を続行し、被削材がハニカム材である場合は、面板からハニカムコアへと進行するが、この場合でも、弧状外刃21とさらい刃31との組み合わせにより、スムーズな外周加工が継続する。
更に、ハニカムコアから裏面の面板に加工が移っても、同様に、弧状外刃21とさらい刃31の組み合わせにより、円滑に加工が進行し、加工終了時においても、ばり、ピール、デラミ、むしれなどの発生を抑えた加工が可能となる。この際には、特に、さらい刃31が、ばりなどの発生の抑制に大きな効果を奏する。
次に、本発明の別の実施形態の構成を説明する。図9は、本発明の別の実施形態のホールソーのセンタードリルの斜視図であり、ここでは、さらい刃31の切刃315は、ホールソー1の軸方向に対して、直角方向で直線状に形成されている。
それ以外のシャンク10、スリーブ20、弧状外刃21、センタードリル30については、これまでの説明と同様であるので、説明を省略する。
このようなさらい刃31を有するホールソー1の動作を説明する。ホールソー1が前進すると、まず、最も突出しているセンタードリル30の先端が被削材に押し付けられ、穴あけの中心点が確定し、ホールソー1の回転により中心点の切削が開始される。
少し切削が進むと、弧状外刃21による外周加工が行われるとともに、直線状切刃315を有するさらい刃31が、弧状外刃21によって穴部の外径を削られた、その内側の被削材を切削し、かつ、切削によって生じた切屑をさらっていく。
ここで、さらい刃31の切刃形状が、ホールソー1の軸方向に直角方向に直線状になっていることから、穴の深さを均一にさらっていくことができる。このことから、直線状切刃315を有するさらい刃31による加工では、貫通穴以外に、底面が平面の非貫通穴(めくら穴)についても美麗に加工することができる。
また、ホールソー1の軸方向と直角以外の方向に直線状に形成されている場合は、円錐状の底部を有する非貫通穴を加工することができる。
なお、ここで、切刃は直線状としたが、一部に直線でない部分を含む場合や、細かい鋸状の刃などの、完全な直線状でない場合も含んでいてもよい。
この実施形態によれば、例えば、ハニカム材の加工において、上部の面板及びハニカムコアまでを穴加工し、下部の面板は加工せずに、非貫通の穴部を形成することが可能となる。
なお、センタードリルの突出量は、できるだけ少なくすることが、非貫通穴の底部の仕上がりのためには望ましい。
本発明のホールソーは、特に難削材の加工に有効なことから、航空機産業、自動車産業などの幅広い産業での利用可能性を有する。
1 ホールソー
10 シャンク
20 スリーブ
21 弧状外刃
30 センタードリル
31 さらい刃
10 シャンク
20 スリーブ
21 弧状外刃
30 センタードリル
31 さらい刃
Claims (13)
- 弧状外刃と、前記弧状外刃とは別部材であるセンタードリルと、前記センタードリルと一体構造のさらい刃とを有するホールソー。
- 前記弧状外刃と、センタードリルとが、別部材であること特徴とする請求項1に記載のホールソー。
- 前記センタードリルの先端が、前記弧状外刃及び前記さらい刃よりも被削材側に突出していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホールソー。
- 前記弧状外刃を含むスリーブに開口部を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホールソー。
- 前記弧状外刃の、切削時の回転方向の先端部分に、すくい面を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホールソー。
- 前記さらい刃の切刃が略V字形であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホールソー。
- 前記さらい刃の切刃が略直線状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホールソー。
- 前記さらい刃にすくい面を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホールソー。
- 前記弧状外刃の弧の中央部と、前記さらい刃とが、前記センタードリルの中心軸に対して略対称に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホールソー。
- 先端に前記弧状外刃を有する前記スリーブと、前記さらい刃を有する前記センタードリルとを保持するシャンクを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホールソー。
- 前記センタードリルが前記シャンクの中心部を貫通する穴部に嵌合し、前記センタードリルの軸部に設けた平面部を、前記シャンク外周からの止めねじで固定することを特徴とする請求項10に記載のホールソー。
- 前記弧状外刃を構成する複数の単体刃の高さが、切削方向の先頭が最も突出量が少なく、それから徐々に多くなっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホールソー。
- 前記弧状外刃を構成する単体刃の、刃先と反対側の終端に段差を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホールソー。
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2016
- 2016-12-27 JP JP2016252326A patent/JP2018103314A/ja active Pending
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