JP2018103233A - 複合金属線およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Pt基合金を放電部に備え耐久性を維持しつつ、非放電部は安価なNi基合金とし、高い耐久性と低コストとを両立する新たな複合金属線を提供する。【解決手段】Ni基合金からなる断面が略四角形の基材素線と、該基材素線の側面4面のうち1面とその両隣接面各々の一部又は全部を被覆するPt基合金からなる被覆層を備える複合金属線。その製造方法は、基材素線に被覆層を設ける被覆工程と、該素線と該被覆層とを接合する接合工程と、接合された線の断面を略四角形に成形する成形工程と、を含む。【選択図】図2
Description
本発明は、複合金属線およびその製造方法に関するものである。
内燃機関等に用いられるスパークプラグの放電電極は高温にさらされ、かつ、高エネルギーの火花放電の電撃にもさらされている。電極材料は、高温酸化による酸化消耗及び電撃による局所的な溶融飛散などの火花消耗によって放電部が徐々に消耗し、極間距離すなわち放電ギャップが拡大する。
近年は、PtやIrを主成分とする貴金属合金からなる放電電極(中心電極及び接地電極)が数多く提案されており、普及が進んでいる。貴金属合金は高温でも耐酸化性が高く、かつ、高融点であるために耐酸化消耗及び耐火花消耗の両面で優れており、スパークプラグの耐久性向上に不可欠となっている。また、耐久性向上に伴って細径の電極が利用できるようになり、電界強度が増したため着火性能も向上した。
一方で、主成分である貴金属は、その資源価格が高止りしており、コスト負担が高まっている。
近年は、PtやIrを主成分とする貴金属合金からなる放電電極(中心電極及び接地電極)が数多く提案されており、普及が進んでいる。貴金属合金は高温でも耐酸化性が高く、かつ、高融点であるために耐酸化消耗及び耐火花消耗の両面で優れており、スパークプラグの耐久性向上に不可欠となっている。また、耐久性向上に伴って細径の電極が利用できるようになり、電界強度が増したため着火性能も向上した。
一方で、主成分である貴金属は、その資源価格が高止りしており、コスト負担が高まっている。
特許文献1には、内燃機関等に用いられる点火プラグ用の接地電極のための、卑金属層と貴金属層とがクラッドされた電極チップが開示されている。
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、Pt基合金を放電部に備え耐久性を維持しつつ、非放電部は安価なNi基合金とし、高い耐久性と低コストとを両立する新たな複合金属線とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、Ni基合金からなる断面が略四角形の基材素線(基材角線)と、該基材素線の側面4面のうち1面を被覆するとともにその両隣接面各々の一部又は全部を被覆するPt基合金からなる被覆層を備える複合金属線である。ここでいう側面とは、基材素線(基材角線)の両端面を除く四面をいう。
Ni基合金は、耐酸化性が高いことが好ましく、例えば、NiCr系合金やスペシャルメタル社のインコネルシリーズに相当する合金が適する。このNi基合金からなる基材角線は、その軸線と垂直な断面(以下、単に断面という。)の形状が略四角形である。略四角形とは、四辺が必ずしも正確な直線でなくてよく、又、四隅がC面取り又はR付きであってもよい。さらに略四角形とは、正方形、長方形に限定されず、各辺の長さ、各隅の角度は任意であってよい。
Pt基合金からなる被覆層は、特徴的に基材角線の3面を被覆する構造となっている。その1面はスパークプラグ用放電電極として用いられるとき、他方の電極と対抗する放電面として機能する。他の2面は放電面の隣接面となり、電極の側面を保護する。
ところで、Ni基合金の主成分であるNiは線膨張係数(以下、CTEという。)が高く約16×10−6K−1であり、Pt基合金の主成分であるPtはCTEが低く約9×10−6K−1である。スパークプラグの放電電極は、運転中は放電及び燃焼により加熱され、この2材質間に大きな熱応力を生じる。停止中は外気温程度にまで冷却されるため、ライフサイクルの全期間において強い繰返し応力を受け、基材と被覆層との界面は常にはく離するリスクがある。
さらには、高温酸化に強いNi基合金を基材に採用しても、基材と被覆層との界面は高温酸化しやすい。界面に酸化が生じるとこれが亀裂の原因となり、前記繰返し応力と相まって基材と被覆層との界面がはく離するリスクがある。
電極温度は先端(放電ギャップ側)が高く先端から離れれば低下する。よって、この界面は先端から遠くに位置すると熱応力が低減し、はく離のリスクも低減する。本発明は、電極側面の2面、すなわち放電面の両隣接面の一部又は全部を被覆するPt基合金からなる被覆層が備わっており、該側面の界面を電極先端から遠くに配置することができ、はく離のリスクが低い。
また、本発明では、3面で基材と被覆層が接合されているので接合面積が広く、この点も剥離リスクの低減に寄与する。
Pt基合金は、放電部となる材料であり比較的高融点で耐酸化性が高いことが望ましく、例えば、PtNi合金、PtIr合金、PtRh合金などスパークプラグ用放電電極として公知の合金が適する。
また、本発明は、基材素線に被覆層を設ける被覆工程と、該素線と該被覆層とを接合する接合工程と、接合された線(基材素線と被覆層を接合してなる線)の断面を略四角形に成形する成形工程とを含む前記複合金属線の製造方法である。
基材素線は形状寸法に限定はなく丸線、角線、必要によっては異形線などを用いることができ、目的とする複合金属線の長さ、太さ及び形状によって任意に設定し得る。Pt基合金からなる被覆層の形状寸法も同様に任意に設定し得る。
被覆工程は基材に被覆層を被覆する工程であり、被覆手段は、基材素線の3方向を被覆するような手段であればよく、例えば、溝ロール圧延やカセットローラーダイス、三方ロールなどの塑性加工によって、あらかじめ被覆層を断面コの字形やCの字形に成形し、その溝に基材素線をはめ込む手段によってもよい。図1は接合工程後の外形の例を示す。図1Aは、被覆層を断面コの字形にした場合を示す。図1Bは、被覆層を断面Cの字形にした場合を示す。図1Cは、基材の側面4面のうち1面とその両隣接面各々の一部が被覆されている場合を示す。図1において、黒色部分は基材素線を、白色部分は被覆層を示す。
接合工程は、基材及び被覆層を接合する工程であり、接合手段は、基材と被覆層とを実質的に一体化する手段であればよく、例えば、熱処理による固相拡散接合法や熱間圧接法、ろう付けなどの手段が適する。
成形工程は、最終製品の形状に加工する工程であり、成形手段は、所望の断面形状が得られる手段であればよく、例えば、引抜加工用ダイス(四角形穴)、溝ロール圧延やカセットローラーダイス、三方ロールなどの塑性加工手段が適する。このとき、目的や必要に応じて冷間、温間又は熱間を採用でき、また、多段階の成形工程とすることもできる。図2に成形工程後の外形の例を示す。図2A、図2B、図2Cは、それぞれ、図1A、図1B、図1Cの被覆工程を経た場合を示す。図2Cは基材素線の側面4面のうち1面を被覆するとともにその両隣接面各々の一部を被覆した一例である。また、図2において、黒色部分は基材素線を、白色部分は被覆層を示す。
また、本発明は、Ni基合金からなる基材素線の一端(具体的には、基材素線の一端側の外周面)にPt基合金の帯材を被覆し接合する部分被覆工程と、ダイスに設けられた穴から該一端(帯材が被覆してある側の一端)を引抜き、Ni基合金の全長にわたってPt基合金を被覆し被覆線を得る引抜工程と、該Ni基合金と該Pt基合金とを該被覆線の全長にわたり、接合手段によって接合する接合工程と、溝付圧延ロール等によって外形を成形する成形工程とを含む複合金属線の製造方法である。
本発明によれば、Pt基合金を放電部に備え耐久性を維持しつつ、非放電部は安価なNi基合金とし、高い耐久性と低コストとを両立する複合金属線を得ることができる。耐久性については、少なくとも電極側面の2面の一部又は全部を被覆するPt基合金からなる被覆層が備わっており、該側面の界面を電極先端から遠くに配置することができ、はく離のリスクが低く、さらに、3面で基材と被覆層が接合されている構造も剥離リスクを低減している。本発明の複合金属線をスパークプラグ用放電電極部材として利用すれば、高耐久・高着火性能なスパークプラグを安価で提供することができ、エミッション低減に資する。
本発明の製造方法の、具体的実施形態としては、例えば、断面コの字形又はCの字形に成形されたPt基合金材の溝にNi基合金からなる基材素線をはめ込むことにより前記基材素線に前記Pt基合金材の被覆層を設ける工程と、該素線と該被覆層とを接合する接合工程と、接合された線の断面を略四角形に成形する成形工程と、を含む。
また、本発明の製造方法の、別の実施形態としては、例えば、Ni基合金からなる基材素線の一端にPt基合金の帯材を被覆し接合する部分被覆工程と、ダイスに設けられた穴から該一端を引抜き、Ni基合金の全長にわたってPt基合金を被覆し被覆線を得る引抜工程と、該Ni基合金と該Pt基合金とを該被覆線の全長にわたり、接合手段によって接合する接合工程と、外形を成形する成形工程と、を含む。
本発明の製造方法の、別の実施形態をさらに説明する。基材素線は、Ni基合金としてインコネル600丸線(以下、丸線という。)とPt基合金として90mass%PtNi帯材(以下、帯材という。)を例として説明する。
(部分被覆工程)
帯材の一端は半丸溝を備えた金型内で半丸形状に成形する。丸線は、帯材一端の半丸部内側にはめ込み(部分被覆)、スポット溶接機で外れないよう仮着する。図3は部分被覆工程後の外形の例を示す。図3において、黒色部分は基材素線を、白色部分は帯材(被覆層)を示す。
帯材の一端は半丸溝を備えた金型内で半丸形状に成形する。丸線は、帯材一端の半丸部内側にはめ込み(部分被覆)、スポット溶接機で外れないよう仮着する。図3は部分被覆工程後の外形の例を示す。図3において、黒色部分は基材素線を、白色部分は帯材(被覆層)を示す。
(引抜工程)
次にその一端の外径を口付け機とヤスリを用いて減径し、丸穴を備えた引抜ダイスに挿入する。ドローベンチを用いてこれを引抜き、帯材が丸線を被覆するように加工する。より小さい穴径の引抜ダイスに取り換えて引抜加工を繰返し、全長にわたり帯材を丸線に密着させ、被覆線を得る。
次にその一端の外径を口付け機とヤスリを用いて減径し、丸穴を備えた引抜ダイスに挿入する。ドローベンチを用いてこれを引抜き、帯材が丸線を被覆するように加工する。より小さい穴径の引抜ダイスに取り換えて引抜加工を繰返し、全長にわたり帯材を丸線に密着させ、被覆線を得る。
(接合工程)
被覆線は、Ar雰囲気の電気炉を用いて全長を熱処理し、基材と被覆層とを固相拡散接合させる。
被覆線は、Ar雰囲気の電気炉を用いて全長を熱処理し、基材と被覆層とを固相拡散接合させる。
(成形工程)
接合された被覆線は、矩形溝を彫り込んだ溝付圧延ロールを用いて冷間圧延を繰返し、所定寸法の複合金属線が得られる。
接合された被覆線は、矩形溝を彫り込んだ溝付圧延ロールを用いて冷間圧延を繰返し、所定寸法の複合金属線が得られる。
こうして製造された複合金属線は,直線矯正された後、例えばワイヤソー等の切断手段で切断され、例えば、略6面体の電極チップの製造に用いられる。この電極チップは、1面の全部とこの面に隣接する2面の一部又は全部が被覆層で形成されている。全部が被覆された1面の反対面が、抵抗溶接又はレーザ溶接等の接合手段でスパークプラグの接地電極に接合される。
Claims (3)
- Ni基合金からなる断面が略四角形の基材素線と、該基材素線の側面4面のうち1面とその両隣接面各々の一部又は全部を被覆するPt基合金からなる被覆層を備える複合金属線。
- 基材素線に被覆層を設ける被覆工程と、
該素線と該被覆層とを接合する接合工程と、
接合された線の断面を略四角形に成形する成形工程と、
を含む請求項1に記載の複合金属線の製造方法。 - Ni基合金からなる基材素線の一端にPt基合金の帯材を被覆し接合する部分被覆工程と、
ダイスに設けられた穴から該一端を引抜き、Ni基合金の全長にわたってPt基合金を被覆し被覆線を得る引抜工程と、
該Ni基合金と該Pt基合金とを該被覆線の全長にわたり、接合手段によって接合する接合工程と、
外形を成形する成形工程と、
を含む複合金属線の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016253311A JP2018103233A (ja) | 2016-12-27 | 2016-12-27 | 複合金属線およびその製造方法 |
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JP2016253311A Pending JP2018103233A (ja) | 2016-12-27 | 2016-12-27 | 複合金属線およびその製造方法 |
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- 2016-12-27 JP JP2016253311A patent/JP2018103233A/ja active Pending
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