JP2018102527A - テンションバンドワイヤリング法に使用されるバンド固定用ピン - Google Patents

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Junji Yano
純二 矢野
内田 正志
Masashi Uchida
正志 内田
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【課題】バンド挿入部の位置調節が可能であり、1つの線径とバンド挿入部の孔の数の組み合わせに対して、1種類の長さのバンド固定用ピンだけストックすることを可能にし、低コストを実現しうる、テンションバンドワイヤリング法に使用されるバンド固定用ピンを提供する。
【解決手段】所定の線径及び所定の長さを有し、先端が刃状に形成されたピン本体部2と、テンションバンド8が挿入される、正面視で少なくとも1つの孔3dを有し、ピン本体部2の軸方向に摺動可能に嵌合され、加圧変形されることによってピン本体部2に固定されるバンド挿入部3と、ピン本体部2の軸方向において、バンド挿入部3の両側にほぼ密着するように、ピン本体部2の軸方向に沿って摺動可能に嵌合された2つの摩擦部材4を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般的にキルシュナー鋼線と呼ばれ、テンションバンドワイヤリング法に使用されるバンド固定用ピンに関する。
例えば特許文献1の従来例として記載されているように、尺骨肘頭部や膝、足首、手首などの関節に近接した骨、または関節から遠い骨の骨折など、多くの骨折を治療・処置する場合の方法としてテンションバンドワイヤリング法が広く行われている。このテンションバンドワイヤリング法に使用される従来のバンド固定用ピン101は、所定の線径及び所定に長さを有するピン本体部102と、ピン本体部102の後端部102bからピン本体部102の軸方向に所定の長さの位置に設けられたバンド挿入部103とで構成され、バンド挿入部103には、テンションバンド104を挿入するための孔103aが設けられている。
このテンションバンドワイヤリング法の標準的な方法としては、図9(a)に示すように、まず骨折部分を骨鉗子でぴったり合わせ、キルシュナー鋼線と呼ばれるバンド固定用ピン101を骨折線Bにほぼ直角に2本平行に刺入する。次に、図9(b)に示すように、骨に横向きの孔を同様のピン105で開け、テンションバンド104をその孔に通す。そして、図9(c)に示すように、テンションバンド104を、8の字になるように、バンド固定用ピン101に設けられているバンド挿入部103の孔103aに通し、引き締める。さらに、図9(d)に示すように、テンションバンド104を引き締めながらよじって止める。最後に、図9(e)に示すように、バンド固定用ピン101のピン本体部102のうちバンド挿入部103よりも後ろにはみ出している部分102cをニッパー107などで切断する。このバンド固定用ピン101は、ピン本体部102の先端102aがドリルの刃先のようになった手術用鋼線で、例えばステンレスやチタン合金などで製造されており、電動工具106などを使ってピン101を回転させながら、刺入する。
従来のバンド固定用ピン101は、使用される部位(骨折箇所)などに応じて、線径や有効長(ピン本体部102の先端102aから、バンド挿入部103までの長さ)、バンド挿入部103の孔103aの数などが異なる複数種類のものが用意されており、例えば10本単位で市販されている。ところが、線径やバンド挿入部の孔の数が異なる場合は仕方ないけれども、同じ線径でありながら有効長の異なる複数種類のバンド固定用ピン101を常時一定数ストックしておくのは、経済的な面でも、保管スペースの面でも、効率が悪いという問題を有している。また、バンド固定用ピン101のピン本体部102の先端102aがドリルの刃先のように形成されているので、有効長の長いピンの先端部を切断して、有効長の短いバンド固定用ピンの代用にすることは不可能であった。さらに、孔103aを有するピン本体部102の途中に形成しているため、バンド固定用ピン101の製造工程が複雑になり、コストアップの原因となっていた。
特開2012−217552号公報
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、バンド挿入部の位置調節が可能であり、1つの線径とバンド挿入部の孔の数の組み合わせに対して、1種類の長さのバンド固定用のピンだけストックすることを可能にし、低コストを実現しうる、テンションバンドワイヤリング法に使用されるバンド固定用ピンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係るテンションバンドワイヤリング法に使用されるバンド固定用ピンは、
所定の線径及び所定の長さを有し、先端が刃状に形成されたピン本体部と、
テンションバンドが挿入される、正面視で少なくとも1つの孔を有し、前記ピン本体部の軸方向に摺動可能に嵌合され、加圧変形されることによって前記ピン本体部に固定されるバンド挿入部と、
前記ピン本体部の軸方向において、前記バンド挿入部の両側にほぼ密着するように、前記ピン本体部の軸方向に沿って摺動可能に嵌合された2つの摩擦部材と、
を備えたことを特徴とする。
前記摩擦部材は、それぞれ前記ピン本体部の線径よりも小さい内径を有する樹脂チューブに、前記樹脂チューブの軸方向にスリットが形成されたものであってもよい。
前記バンド挿入部は、その内径が前記ピン本体部の線径とほぼ同じで、且つ、所定公差分だけ大きく、前記ピン本体部の軸方向に所定の長さを有する筒状部と、前記筒状部から前記ピン本体部の軸に垂直な方向に突出し、前記ピン本体部の軸方向に前記筒状部と同じ幅を有する突出部を有し、前記孔は前記突出部の自由端部近傍に形成されているものであってもよい。
さらに、前記突出部は、前記筒状部から、前記ピン本体部の軸に対して対称となるように両側に設けられていてもよい。
前記バンド挿入部は、前記ピン本体部の軸方向に所定の幅を有し、両端部近傍に予め孔が形成された金属帯板の中央部分を円筒状に丸めて前記筒状部を形成すると共に、前記金属帯板の両端部を密着させて前記突出部を形成するようにしてもよい。
または、前記バンド挿入部は、前記ピン本体部の軸方向に所定の幅を有し、両端部近傍に予め孔が形成された金属帯板を、前記ピン本体部の軸に垂直な方向の断面が略U状又は水滴状となるように折り曲げたものとしてもよい。
または、前記バンド挿入部は、前記ピン本体部の軸方向に所定の幅を有し、前記ピン本体部の軸に垂直な方向に所定の長さを有する金属帯板の両端及び中央からそれぞれ所定の距離の位置に4つの円形孔を、その両端及び中央からそれぞれ等距離の位置に2つの半円筒状の凹部を、それぞれ形成し、前記2つの半円筒状の凹部を重ねて略円筒状をなすように、且つ、折り曲げられた2つの辺の内面同士が密着するように、前記金属帯板の中央部から折り曲げたものであってもよい。
上記構成によれば、バンド挿入部がピン本体部に固定される前にピン本体部の軸方向に摺動可能であり、且つ、バンド挿入部の両側にほぼ密着するように、ピン本体部の軸方向に摺動可能に嵌合された2つの摩擦部材によって挟まれているので、これら2つの摩擦部材と共に、ピン本体部の軸方向における位置を変化させることができる。そのため、ピン本体部の有効長を、このバンド固定用ピンと同じ線径のピンの中で最も長いものと同じにしておけば、1種類のピン本体部を用意しておくだけで、その線径と同じ全ての有効長の従来のバンド固定用ピンに対応することができる。また、バンド挿入部を、例えばクリッパーなどの工具を用いて、加圧変形されることによって簡単にピン本体部に固定することができる。さらに、バンド挿入部がピン本体部に一体的に固定されている従来のバンド固定用ピンに比べて構造及び製造工程が簡単であり、バンド固定用ピンの製造コストの低減も可能である。
本発明の一実施形態に係るテンションバンドワイヤリング法に使用されるバンド固定用ピンの構成を示す図。 (a)は上記バンド固定用ピンを構成するバンド挿入部の正面図、(b)はその平面図、(c)はバンド挿入部の変形例の平面図。 (a)〜(d)は、それぞれ上記バンド固定用ピンの有効長調節工程を示す図。 (a)は上記バンド固定用ピンを骨折部に刺入する工程を示す図、(b)はバンド固定用ピンのバンド挿入部の孔にテンションバンドを挿入して固定し、ピン本体部の余分な部分を切断する工程を示す図。 (a)はバンド挿入部の変形例の正面図、(b)はその平面図。 (a)〜(d)はそれぞれ上記バンド挿入部の変形例を用いたバンド固定用ピンの有効長調節工程を示す図。 テンションバンドが挿入される孔が2つ形成されたバンド挿入部の変形例を用いたバンド固定用ピンの構成を示す図。 (a)は上記テンションバンドが挿入される孔が2つ形成されたバンド挿入部の変形例の正面図、(b)はその平面図、(c)はバンド挿入部のさらなる変形例の平面図。 (a)〜(e)はそれぞれ従来のバンド固定用ピンを用いたテンションバンドワイヤリング法の行程を示す図。
本発明の一実施形態に係るテンションバンドワイヤリング法に使用されるバンド固定用ピンについて図1を参照しつつ説明する。図1に示すように、本実施形態のバンド固定用ピン1は、所定の線径及び所定の長さ(全長)を有し、先端が刃状に形成されたピン本体部2と、テンションバンドが刺入される1つの孔3dを有し、ピン本体部2の軸方向に沿って摺動可能に嵌合されたバンド挿入部3と、ピン本体部2の軸方向において、バンド挿入部3の両側にほぼ密着するように、ピン本体部2の軸方向に嵌合された2つの摩擦部材4を備えている。
ピン本体部2の線径は、従来のものと同様に、例えば1.6mm、2.0mmなど、複数種類が用意されている。一方、ピン本体部2の長さに関しては、ピン本体部2の先端2aから後端2bまでの全長が、例えば180mmなどの1種類しか用意されていない。また、バンド固定用ピン1を骨に刺入する際に、ピン本体部2の後端2bの近傍を工具にチャッキングする必要があるため、ピン本体部2の全長が180mmの場合、バンド固定用ピン1の有効長は100mm程度になる。そして、ピン本体部2のうち骨に刺入される部分には、長さ調節の目安となるように、先端2aから、例えば50mm、70mm、90mmなどの箇所にマーキング2cが施されている。ピン本体部2の先端2aは、ピン本体部2を回転させながら骨に刺入するために、刃状に形成されている。ピン本体部2の先端2aの刃の形状は、例えばドリルの先端のように、溝の稜線が螺旋を描くようなものであってもよいし、ダイヤモンドカットのように、中心から放射状に溝が形成されているようなものであってもよい。
図2(a)及び(b)に示すように、バンド挿入部3は、その内径がピン本体部2の線径とほぼ同じで、且つ、所定公差分だけ大きく、ピン本体部2の軸方向に所定の長さを有する筒状部3aと、筒状部3aからピン本体部2の軸に垂直な方向に突出し、ピン本体部2の軸方向に筒状部3aの長さと同じ幅を有する突出部3bを有し、突出部3bの自由端部3cの近傍にバンドが挿入される孔3dが形成されている。また、突出部3bの自由端部3cは、正面視で半円状に丸められている。図2(b)に示すような継ぎ目のないバンド挿入部3は、金属材料を鍛造によって、孔を除いたほぼ同型状に成形し、追加工によってピン本体部2に嵌合される嵌合孔3k及びバンドが挿入される孔3dを開けるのが一般的であるが、図2(c)に示すように、ピン本体部2の軸方向に所定の幅を有し、両端部近傍に予め孔3dが形成された金属帯板の中央部分を円筒状に丸めて筒状部3aを形成すると共に、金属帯板の両端部3f及び3gを密着させて突出部3bを形成するようにしてもよい。金属帯板の両端部近傍に形成された2つの孔は正面視で重なり合い、突出部3bの自由端部3c近傍には、テンションバンドが挿入される1つの円形の孔3dが形成される。
摩擦部材4は、それぞれピン本体部2の線径よりも小さい内径を有する、例えばシリコン樹脂などの樹脂チューブに、この樹脂チューブの軸方向にスリット4aが形成されたものである。摩擦部材4は、ピン本体部2に嵌合されると、摩擦部材4の内径とピン本体部2の線径の差により外向きに押し広げられるので、樹脂の弾性によりピン本体部2を押しつけるように反力が働く。そのため、摩擦部材4とピン本体部2との間に生じる摩擦力よりも大きな力を加えない限り、摩擦部材4はピン本体部2の軸方向に固定される。一方、摩擦部材4とピン本体部2との間に生じる摩擦力よりも大きな力を加えることによって、摩擦部材4をピン本体部2の軸方向に移動させることができる。
図1に示すように、バンド固定用ピン1が使用される前の状態では、ピン本体部2の軸方向において、バンド挿入部3の両側にほぼ密着するように2つの摩擦部材が嵌合されているので、バンド挿入部3は、これら2つの摩擦部材4に挟まれて、ピン本体部2の軸方向には摺動できない(但し、ピン本体部2の軸を中心として回転することはできる)。
次に、バンド固定用ピン1の長さ調節について説明する。図3(a)は、図1と同様にバンド固定用ピン1が使用される前の状態を示しており、バンド固定用ピン1の有効長が最大の状態に設定されている。図3(b)は、接合される骨に合わせてバンド固定用ピン1の長さを調節した状態を示しており、例えばバンド挿入部3を図中下側の摩擦部材4に押しつけてピン本体部2の軸方向の所望する位置まで移動させ、さらに、図中上側の摩擦部材4をピン本体部2の軸方向に摺動させて、ピン本体部2の軸方向におけるバンド挿入部3の位置を固定した状態にある。図3(c)は、ピン本体部2の軸方向におけるバンド挿入部3の位置を固定した状態で、バンド挿入部3の筒状部3aをクリッパーなどの工具5で挟んで加圧変形させ(いわゆる「かしめ」)、筒状部3aをピン本体部2に押しつけ、バンド挿入部3をピン本体部2に固定している状態を示す。図3(d)は、ピン本体部2に嵌合されている2つの摩擦部材4を取り除いた、バンド固定用ピン1の使用可能状態を示す。
次に、図4(a)に示すように、有効長が調節されたバンド固定用ピン1のピン本体部2の後端2bの近傍を、例えば電動工具6などにチャッキングし、バンド固定用ピン1を回転させながら、骨折線Bにほぼ直角になるように、骨にバンド固定用ピン1を1本平行に刺入する。そして、図9に示したような手順でテンションバンド8を、8の字になるように、バンド挿入部3の孔3dに通し、テンションバンド8を引き締めながらよじって止める。そして、図4(b)に示すように、バンド固定用ピン1のピン本体部2のうちバンド挿入部3よりも後ろにはみ出している部分2dをニッパー7などで切断する。
このように、本実施形態に係るバンド固定用ピン1によれば、バンド挿入部3がピン本体部2の軸方向に摺動可能であり、且つ、バンド挿入部3の両側にほぼ密着するように、ピン本体部2の軸方向に摺動可能に嵌合された2つの摩擦部材4によって挟まれているので、バンド挿入部3がピン本体部2に対して加圧変形(かしめ)により固定されていない状態でも、ピン本体部2の軸方向におけるバンド挿入部3の位置が不用意に変化することはない。一方、これら2つの摩擦部材4と共にバンド挿入部3をピン本体部の軸方向に摺動させることにより、ピン本体部2の軸方向におけるバンド挿入部3の位置を変化させることができる。そのため、ピン本体部2の有効長を、このバンド固定用ピン1と同じ線径のピンの中で最も長いものと同じにしておけば、1種類のピン本体部2を用意しておくだけで、その線径と同じ全ての有効長の従来のバンド固定用ピンに対応することができる。また、バンド挿入部3はピン本体部2とは別の部材で構成されているため、見かけ上バンド固定用ピン1の部品点数は増加するが、従来のバンド固定用ピンでも、別に成型した部品を溶接しているので、むしろ溶接工程を不要にする分、バンド固定用ピン1の構造及び製造工程が簡単になり、バンド固定用ピンの製造コストの低減も可能である。
次に、バンド挿入部3の変形例について説明する。図5(a)及び(b)に示すように、バンド挿入部3の変形例は、ピン本体部2の軸方向に所定の幅を有し、両端部近傍に予め孔3dが形成された金属帯板を、ピン本体部2の軸に垂直な方向の断面が略U状又は水滴状となるように折り曲げたものである。金属帯板の両端部近傍に形成された2つの孔は正面視で重なり合い、略U状又は水滴状の自由端部3cの近傍に、テンションバンドが挿入される1つの円形の孔3dが形成される。バンド挿入部3の略U状の湾曲部分3hの内径はピン本体部2の線径とほぼ同じで、且つ、所定公差分だけ大きく、略U状又は水滴状の開口部3jの幅はピン本体部2の線径よりも狭い。そのため、バンド挿入部3は、ピン本体部2の軸方向に摺動可能であるが、軸に垂直な方向の動きが制限される。図5に示すように、バンド挿入部3が加圧変形されていない状態では、まだ筒状部3a及び突出部3bは形成されていない。
図6は、図5に示すバンド挿入部3の変形例を用いたバンド固定用ピン1の長さ調節を示す。図6(a)は、図1又は図3(a)と同様にバンド固定用ピン1が使用される前の状態を示しており、バンド固定用ピン1の有効長が最大の状態に設定されている。図6(b)は、図3(b)と同様に、接合される骨に合わせてバンド固定用ピン1の長さを調節した状態を示している。このバンド挿入部3の変形例は、図2に示すバンド挿入部3に比べてピン本体部2の軸に垂直な方向における隙間が大きいので、同方向におけるピン本体部2に対するバンド挿入部3の位置は不定である。図6(c)は、ピン本体部2の軸方向におけるバンド挿入部3の位置を固定した状態で、バンド挿入部3の略U状を形成する金属帯板の両端部3f及び3gをクリッパーなどの工具5で挟んで、金属帯板の両端部3f及び3gの対向する面が密着するように、且つ、バンド挿入部3の略U状の湾曲部分3hの内周面がピン本体部2の外周面に密着するように加圧変形させ、バンド挿入部3をピン本体部2に固定している状態を示す。このとき、バンド挿入部3が加圧変形されることにより、筒状部3a及び突出部3bが形成され、バンド挿入部3のピン本体部2の軸に垂直な方向の断面が、おおむね、図2(c)に示すものと同様になる。図6(d)は、図3(d)と同様に、ピン本体部2に嵌合されている2つの摩擦部材4を取り除いた、バンド固定用ピン1の使用可能状態を示す。このようなバンド挿入部3の変形例によっても、同様に、バンド固定用ピン1の構造及び製造工程が簡単になり、バンド固定用ピンの製造コストの低減も可能である。
図7は、バンド固定用ピン1の変形例を示す。この変形例では、正面視及び平面視で、バンド挿入部3の形状がピン本体部2の軸に対して略対称となるように、突出部3bが筒状部3aから両側に突出するように設けられている。バンド固定用ピン1の構成のうち、バンド挿入部3以外は図1に示すバンド固定用ピン1と同じである。
図8(a)及び(b)に示すように、バンド挿入部3は、その内径がピン本体部2の線径とほぼ同じで、且つ、所定公差分だけ大きく、ピン本体部2の軸方向に所定の長さを有する筒状部3aと、ピン本体部2の軸に対して略対称となるように筒状部3aからピン本体部2の軸に垂直な方向の両側に突出し、ピン本体部2の軸方向に筒状部3aの長さと同じ幅を有する2つの突出部3bを有し、各突出部3bの自由端部3c近傍にバンドが挿入される孔3dが形成されている。また、各突出部3bの自由端部3cは、正面視で半円状に丸められている。図8(b)は、金属材料を鍛造することによって形成された継ぎ目のないバンド挿入部3を示し、図8(c)は、金属帯板を折り曲げて形成されたバンド挿入部3を示す。この金属帯板を折り曲げて形成されたバンド挿入部3は、ピン本体部2の軸方向に所定の幅を有し、ピン本体部2の軸に垂直な方向に所定の長さを有する金属帯板を用意し、その両端及び中央からそれぞれ所定の距離の位置に4つの円形孔を、その両端及び中央からそれぞれ等距離の位置に2つの半円筒状の凹部を、プレス可能によりほぼ同時に形成する。さらに、2つの半円筒状の凹部を重ねて略円筒状をなすように、且つ、折り曲げられた2つの辺の内面同士が密着するように、金属帯板の中央部から折り曲げて形成される。その結果、金属帯板の両端近傍に形成された2つの孔同士と、中央付近に形成された2つの孔同士が、それぞれ正面視で重なり合い、2つの突出部3bの自由端部3c近傍には、それぞれテンションバンドが挿入される1つの円形の孔3dが形成される。
このように、本発明によれば、テンションバンドワイヤリング法に使用されるバンド固定用ピンの各線径ごとに、それぞれその線径のバンド固定用ピンのうち最も有効長が長い1種類のピン本体部のみを用意し、このピン本体部の軸方向に摺動可能なバンド挿入部を嵌合させ、さらに、ピン本体部の軸方向のバンド挿入部の両側にほぼ密着するように2つの摩擦部材をピン本体部に嵌合させる、という簡単な構成により、最大有効長以下で様々な長さのバンド固定用ピンの代用が可能な汎用性の高いバンド固定用ピンを提供することができる。また、バンド挿入部を、例えばクリッパーなどの工具を用いて、加圧変形されることによって簡単にピン本体部に固定することができる。さらに、ピン本体部に嵌合されるバンド挿入部の形状を変更することによって、様々な用途に対応することができる。さらに、バンド固定用ピンの製造工程において溶接工程が無く、部品を嵌合させるだけで製造することができ、製造工程が簡略化され、バンド固定用ピンの製造コストの低減も可能である。さらに、バンド固定用ピンの有効長を調節することができるので、医療機関などにおいて、1つの線径とバンド挿入部の孔の数の組み合わせに対して、1種類の長さのバンド固定用ピンだけストックすることを可能にする。
1 バンド固定用ピン
2 ピン本体部
2a (ピン本体部の)先端
2b (ピン本体部の)後端
2c マーキング
2d ピン本体部のうちバンド挿入部よりも後ろにはみ出している部分
3 バンド挿入部
3a 筒状部
3b 突出部
3c (突出部の)自由端部
3d (バンド挿入部の)孔
3f、3g 金属帯板の両端部
3h (バンド挿入部の略U状又は水滴状の)湾曲部分
3j (バンド挿入部の略U状又は水滴状の)開口部
3k (バンド挿入部の)嵌合孔
4 摩擦部材
4a スリット
5 (クリッパーなどの)工具
6 電動工具
7 ニッパー
8 テンションバンド




Claims (7)

  1. テンションバンドワイヤリング法に使用されるバンド固定用ピンであって、
    所定の線径及び所定の長さを有し、先端が刃状に形成されたピン本体部と、
    テンションバンドが挿入される、正面視で少なくとも1つの孔を有し、前記ピン本体部の軸方向に摺動可能に嵌合され、加圧変形されることによって前記ピン本体部に固定されるバンド挿入部と、
    前記ピン本体部の軸方向において、前記バンド挿入部の両側にほぼ密着するように、前記ピン本体部の軸方向に沿って摺動可能に嵌合された2つの摩擦部材と、
    を備えたことを特徴とするバンド固定用ピン。
  2. 前記摩擦部材は、それぞれ前記ピン本体部の線径よりも小さい内径を有する樹脂チューブに、前記樹脂チューブの軸方向にスリットが形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のバンド固定用ピン。
  3. 前記バンド挿入部は、その内径が前記ピン本体部の線径とほぼ同じで、且つ、所定公差分だけ大きく、前記ピン本体部の軸方向に所定の長さを有する筒状部と、前記筒状部から前記ピン本体部の軸に垂直な方向に突出し、前記ピン本体部の軸方向に前記筒状部と同じ幅を有する突出部を有し、前記孔は前記突出部の自由端部近傍に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバンド固定用ピン。
  4. 前記突出部は、前記筒状部から、前記ピン本体部の軸に対して対称となるように両側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のバンド固定用ピン。
  5. 前記バンド挿入部は、前記ピン本体部の軸方向に所定の幅を有し、両端部近傍に予め孔が形成された金属帯板の中央部分を円筒状に丸めて前記筒状部を形成すると共に、前記金属帯板の両端部を密着させて前記突出部を形成したことを特徴とする請求項3に記載のバンド固定用ピン。
  6. 前記バンド挿入部は、前記ピン本体部の軸方向に所定の幅を有し、両端部近傍に予め孔が形成された金属帯板を、前記ピン本体部の軸に垂直な方向の断面が略U状又は水滴状となるように折り曲げたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバンド固定用ピン。
  7. 前記バンド挿入部は、前記ピン本体部の軸方向に所定の幅を有し、前記ピン本体部の軸に垂直な方向に所定の長さを有する金属帯板の両端及び中央からそれぞれ所定の距離の位置に4つの円形孔を、その両端及び中央からそれぞれ等距離の位置に2つの半円筒状の凹部を、それぞれ形成し、前記2つの半円筒状の凹部を重ねて略円筒状をなすように、且つ、折り曲げられた2つの辺の内面同士が密着するように、前記金属帯板の中央部から折り曲げたものであることを特徴とする請求項4に記載のバンド固定用ピン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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