JP2018100328A - 潤滑油組成物、内燃機関、及び内燃機関の潤滑方法 - Google Patents

潤滑油組成物、内燃機関、及び内燃機関の潤滑方法 Download PDF

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【課題】低温での省燃費性やエンジンの低温始動性といった低温粘度特性が良好であると共に、ピストンの高温清浄性に優れた潤滑油組成物、並びに、当該潤滑油組成物を用いた内燃機関及び内燃機関の潤滑方法を提供する。【解決手段】下記要件(I)〜(III)を満たす鉱油系基油と、オレフィン系共重合体とを含有する、潤滑油組成物を提供する。・要件(I):100℃における動粘度が2mm2/s以上7mm2/s未満である。・要件(II):粘度指数が100以上である。・要件(III):回転型レオメータを用いて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1〜100%の条件下で計測した、−10℃と−25℃の2点間における複素粘度の温度勾配Δ|η*|が、60Pa・s/℃以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油組成物、並びに、当該潤滑油組成物を用いた内燃機関及び内燃機関の潤滑方法に関する。
近年、ハイブリッド車やアイドリングストップ機構を搭載した車両が増加しているが、これらの車両では、エンジン油の油温が上昇し難い環境である。そのため、これらの車両で使用されるエンジン油には、一段と低温での省燃費性やエンジンの低温始動性といった、低温粘度特性の更なる向上が特に求められている。
また、エンジン油には、このような低温粘度特性だけでなく、粘度−温度特性や低蒸発性等が良好であることも要求される。
このような各種特性をバランス良く向上したエンジン油として、このようなエンジン油の要求性能に対応し得る、エンジン油として使用される潤滑油基油の開発も盛んに行われているおり、
特許文献1〜4には、特定の物性値を所定の範囲に調整した潤滑油基油が開示されている。
特開2008−274237号公報 特開2012−153906号公報 特開2007−016172号公報 特開2006−241436号公報
ところで、低温粘度特性の向上のために、潤滑油基油に、流動点降下剤や粘度指数向上剤として、重合体成分を配合して、エンジン油の低温粘度特性の向上を図ることが一般的に行われている。
しかしながら、流動点降下剤や粘度指数向上剤として配合される重合体成分の存在は、エンジン油のピストンの高温清浄性を低下させる要因ともなる。
特許文献1〜4に記載の潤滑油基油を用いたエンジン油は、ピストンの高温清浄性に問題があると共に、低温粘度特性についても更なる向上し得る余地がある。
そのため、低温粘度特性及びピストンの高温清浄性を共にバランス良く向上させたエンジン油として使用し得る潤滑油組成物が求められている。
本発明は、低温での省燃費性やエンジンの低温始動性といった低温粘度特性が良好であると共に、ピストンの高温清浄性に優れた潤滑油組成物、並びに当該潤滑油組成物を用いた内燃機関及び内燃機関の潤滑方法を提供することを目的とする。
本発明者は、所定の動粘度及び粘度指数を有すると共に、−10℃と−25℃の2点間における複素粘度の温度勾配Δ|η*|を所定値以下に調整した鉱油系基油と、オレフィン系共重合体とを含有する潤滑油組成物が、上記課題を解決し得ることを見出した。
本発明は、この知見を元に、完成されたものである。
すなわち本発明は、下記[1]〜[3]を提供する。
[1]下記要件(I)〜(III)を満たす鉱油系基油と、オレフィン系共重合体とを含有する、潤滑油組成物。
・要件(I):100℃における動粘度が2mm/s以上7mm/s未満である。
・要件(II):粘度指数が100以上である。
・要件(III):回転型レオメータを用いて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1〜100%の条件下で計測した、−10℃と−25℃の2点間における複素粘度の温度勾配Δ|η*|が、60Pa・s/℃以下である。
[2]ピストンリング及びライナーを備えた摺動機構を有し、且つ、上記[1]に記載の潤滑油組成物を含む、内燃機関。
[3]ピストンリング及びライナーを備えた摺動機構を有する内燃機関の潤滑方法であって、当該ピストンリング及びライナーを、上記[1]に記載の潤滑油組成物を用いて潤滑する、内燃機関の潤滑方法。
本発明の潤滑油組成物は、低温での省燃費性やエンジンの低温始動性といった低温粘度特性が良好であると共に、ピストンの高温清浄性に優れる。
実施例2の鉱油系基油(2)、比較例1の鉱油系基油(a)、及び比較例2の鉱油系基油(b)について、温度と複素粘度η*との関係を示したグラフである。 ピストンリング及びライナーを備えた摺動機構の構成の概略を示す模式図である。
本明細書において、所定の温度における動粘度及び粘度指数は、JIS K2283:2000に準拠して測定された値を意味する。
本明細書において、所定の温度における複素粘度η*は、回転型レオメータを用いて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1〜100%の条件下で計測した値であり、より具体的には実施例に記載の方法により測定された値を意味する。なお、上記の「歪み量」は、0.1〜100%の範囲で測定温度に応じて適宜設定される測定条件パラメータである。
本明細書において、各成分の質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には実施例に記載の方法により測定された値を意味する。
本明細書において、−35℃におけるCCS粘度(低温粘度)は、JIS K2010:1993(ASTM D 2602)に準拠して測定した値を意味する。
本発明の潤滑油組成物は、鉱油系基油とオレフィン系共重合体とを含有するが、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに合成油やオレフィン系共重合体以外の潤滑油用添加剤を含有してもよい。
ただし、本発明の一態様の潤滑油組成物において、鉱油系基油とオレフィン系共重合体との合計含有量としては、当該潤滑油組成物の全量基準で、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは75質量%以上である。
以下、本発明の一態様の潤滑油組成物に含まれる各成分について説明する。
〔鉱油系基油〕
本発明の潤滑油組成物に含まれる鉱油系基油としては、例えば、パラフィン系鉱油、中間系鉱油、ナフテン系鉱油等の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油;当該常圧残油を減圧蒸留して得られる留出油;当該留出油を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化仕上げ、溶剤脱ろう、接触脱ろう、異性化脱ろう、減圧蒸留等の精製処理の一つ以上の処理を施した鉱油又はワックス(GTLワックス等);等が挙げられる。
これらの鉱油系基油は、単独で又は2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様の潤滑油組成物中に含まれる鉱油系基油の含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、通常50質量%以上、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは65質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上であり、また、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99質量%以下、更に好ましくは95質量%以下である。
本発明の潤滑油組成物に含まれる鉱油系基油は、下記要件(I)〜(III)を満たす。
・要件(I):100℃における動粘度が2mm/s以上7mm/s未満である。
・要件(II):粘度指数が100以上である。
・要件(III):回転型レオメータを用いて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1〜100%の条件下で計測した、−10℃と−25℃の2点間における複素粘度の温度勾配Δ|η*|が60Pa・s/℃以下である。
また、本発明の一態様で用いる鉱油系基油は、さらに下記要件(IV)を満たすことが好ましい。
・要件(IV):回転型レオメータを用いて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1%の条件下で計測した、−35℃における複素粘度η*が、60,000Pa・s以下である。
なお、本発明の一態様で用いる鉱油系基油が、2種以上の鉱油を組み合わせた混合油である場合、当該混合油が、上記要件を満たすものであればよい。
以下、上記の要件(I)〜(IV)について説明する。
<要件(I)>
要件(I)は、鉱油系基油の蒸発損失と燃費改善効果とのバランスを規定したものである。
つまり、本発明の鉱油系基油の100℃における動粘度が2mm/s未満であると、蒸発損失が大きくなるため好ましくない。一方、100℃における動粘度が7mm/s以上であると、粘性抵抗による動力損失が大きくなり、燃費改善効果の点で問題を有する。
本発明の一態様で用いる鉱油系基油の100℃における動粘度は、鉱油系基油の蒸発損失を小さくする観点から、好ましくは2.1mm/s以上、より好ましくは2.2mm/s以上、更に好ましくは2.5mm/s以上であり、鉱油系基油の燃費改善効果を向上させる観点から、好ましくは6mm/s以下、より好ましくは5.5mm/s以下、更に好ましくは5mm/s以下、より更に好ましくは4.7mm/s以下である。
<要件(II)>
要件(II)は、粘度−温度特性や省燃費性を良好な鉱油系基油とするための規定である。
つまり、本発明で用いる鉱油系基油の粘度指数が100未満であると、粘度−温度特性や省燃費性の低下が顕著になり、当該鉱油系基油を用いた潤滑油組成物は、燃費性能の点で問題を有する。
当該観点から、本発明の一態様で用いる鉱油系基油の粘度指数は、好ましくは105以上、より好ましくは110以上である。
また、本発明で用いる鉱油系基油は、後述の要件(III)を満たしているため、比較的、粘度指数が高くなくても、低温での省燃費性やエンジンの低温始動性といった低温粘度特性が良好となる潤滑油組成物を提供し得る。
そのため、本発明の一態様で用いる鉱油系基油の粘度指数は、好ましくは145以下、より好ましくは140以下、更に好ましくは135以下、より更に好ましくは130未満である。
<要件(III)>
本発明で用いる鉱油系基油は、要件(III)で規定するとおり、回転型レオメータを用いて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1〜100%の条件下で計測した、−10℃と−25℃の2点間における複素粘度の温度勾配Δ|η*|(以下、特に断りが無い限り、単に「複素粘度の温度勾配Δ|η*|」ともいう)が60Pa・s/℃以下であることを要する。
なお、要件(III)における、上記の「歪み量」の値は、0.1〜100%の範囲で、温度に応じて適宜設定される。
上記の「複素粘度の温度勾配Δ|η*|」は、−10℃における複素粘度η*の値と、−25℃における複素粘度η*の値とを、それぞれ独立に、もしくは、−10℃から−25℃又は−25℃から−10℃まで温度を連続的に変化させながら測定し、当該値を温度−複素粘度の座標平面においた際、−10℃と−25℃の2点間における複素粘度の単位あたりの変化量(傾きの絶対値)を示す値である。より具体的には、下記計算式(f1)から算出される値を意味する。
・計算式(f1):複素粘度の温度勾配Δ|η*|=|([−25℃における複素粘度η*]−[−10℃における複素粘度η*])/(−25−(−10))|
本発明者は、鉱油系基油の複素粘度と温度に特定の関係をもたせることにより、低温での省燃費性やエンジンの低温始動性といった低温粘度特性、及びピストン清浄性に優れる効果が得られること、並びに、この複素粘度と温度との関係には、鉱油系基油の成分、組成、状態、製造条件等が大きく影響することを見出した。
図1は、後述の実施例2の鉱油系基油(2)、比較例1の鉱油系基油(a)、及び比較例2の鉱油系基油(b)について、温度と複素粘度η*との関係を示したグラフである。
ここでいう「複素粘度の温度勾配Δ|η*|」は、温度範囲が−25℃から−10℃における複素粘度の変化量、つまり図1に示すグラフの傾きである。
一般的に、低温粘度特性の評価指標の一つとして、鉱油系基油が凝固する直前の温度である「流動点」が用いられる。
本発明者は、複素粘度が急激に増加する温度と「流動点」がほぼ一致することと、図1のグラフのように、「流動点」が近似する鉱油であっても、流動点から更に温度を低下させた低温環境下においては、複素粘度の増減は異なることを見出した。
その見地に基づき、本発明者らは、流動点から更に温度を低下させた低温環境下において、鉱油系基油の複素粘度と温度に特定の関係を考慮することで、低温粘度特性が改善された鉱油系基油を得ることができると考え、本発明を完成させた。
また、他の一般的に、低温粘度特性の評価方法としては、CCS粘度、BF粘度等の各種粘度の値によってなされる場合があるが、これらの評価方法では、鉱油系基油の低温環境下での低温粘度特性を必ずしも正確に特定しているとはいえない。
つまり、鉱油系基油にはワックス分が含まれており、流動点以下の低温環境下では、このワックス分が析出するとゲル状構造を形成する。このゲル状構造は、壊れ易く、機械的な作用で粘度が変化してしまう。そのため、CCS粘度による低温粘度特性の評価方法においても、所定の条件下での低温見かけ粘度に過ぎず、低温環境下での粘度特性を十分に表現し得る物性ではない。
加えて、例えば、ボトム油を含む原料油を精製して得られる鉱油系基油は、例えば、BF粘度等の測定に際し、測定値が不安定となり易い等の影響を与えることがあり、低温粘度特性を正確に評価することができない場合がある。
そこで、本発明者らは、様々な検討を重ねた結果、上記の「複素粘度の温度勾配Δ|η*|」に着目することで、CCS粘度やBF粘度等では把握できない鉱油系基油中に含まれるワックス分の析出速度を加味し、ワックス分の析出に伴う摩擦係数の変化を考慮した、低温粘度特性の改善された鉱油系基油を得られることを見い出し、本発明を完成させたものである。
本発明者らの検討によれば、上記の複素粘度の温度勾配Δ|η*|が60Pa・s/℃を超える鉱油系基油は、ワックス分の析出速度が速く、摩擦係数の上昇を引き起こしやすい。その結果、当該鉱油系基油を用いた潤滑油組成物は、低温環境下での省燃費性能が劣ることを見出した。
さらに、本発明者らは、複素粘度の温度勾配Δ|η*|が小さい鉱油系基油を用いることで、ピストンの高温清浄性を各段に向上させた潤滑油組成物(エンジン油)を調製することができることも見出した。
つまり、後述の実施例にも示されたとおり、複素粘度の温度勾配Δ|η*|を60Pa・s/℃以下とした鉱油系基油を用いた潤滑油組成物は、ピストンの高温清浄性が良好となることがわかった。また、複素粘度の温度勾配Δ|η*|を60Pa・s/℃以下とした鉱油系基油と共に、デポジット発生の要因ともなり得る流動点降下剤等の重合体成分を添加した潤滑油組成物とした場合であっても、当該潤滑油組成物は、デポジットの増加量も少なく、ピストン清浄性が良好となる。
上記観点から、本発明の一態様で用いる鉱油系基油において、要件(III)で規定する複素粘度の温度勾配Δ|η*|は、好ましくは50Pa・s/℃以下、より好ましくは20Pa・s/℃以下、更に好ましくは15Pa・s/℃以下、より更に好ましくは10Pa・s/℃以下、特に好ましくは5Pa・s/℃以下である。
また、本発明の一態様で用いる鉱油系基油において、要件(III)で規定する複素粘度の温度勾配Δ|η*|は、下限値については特に制限は無いが、好ましくは0.001Pa・s/℃以上、より好ましくは0.01Pa・s/℃以上、更に好ましくは0.02Pa・s/℃以上である。
<要件(IV)>
要件(IV)では、要件(III)とは独立した、鉱油系基油の低温環境下での低温粘度特性を示す指標の一つである。
なお、要件(IV)で規定する−35℃における複素粘度η*が低い鉱油系基油は、パラフィン分が低い傾向がある。そのため、当該鉱油系基油を用いることで、低温での省燃費性やエンジンの低温始動性といった低温粘度特性が良好であると共に、ピストンの高温清浄性の向上した潤滑油組成物を製造し得る。
上記観点から、本発明の一態様で用いる鉱油系基油において、要件(IV)で規定する−35℃における複素粘度η*としては、好ましくは60,000Pa・s以下であるが、より好ましくは40,000Pa・s以下、より好ましくは10,000Pa・s以下、更に好ましくは6,000Pa・s以下、より更に好ましくは2,000Pa・s以下、特に好ましくは500Pa・s以下である。
また、要件(IV)で規定する−35℃における複素粘度η*は、下限値については特に制限は無いが、好ましくは0.1Pa・s以上、より好ましくは1Pa・s以上、更に好ましくは2Pa・s以上である。
本発明の一態様で用いる鉱油系基油のナフテン分(%C)としては、好ましくは10〜30、より好ましくは13〜30、より好ましくは15〜30、更に好ましくは16〜30、より更に好ましくは20〜30である。
一般的に、鉱油系基油に含まれるナフテン分は、粘度指数の低下を引き起こすことが知られている。エンジン油において使用される鉱油系基油は、広い温度範囲で良好な粘度特性が要求されるため、ナフテン分の低いものが好適とされている。
しかしながら、本発明で用いる鉱油系基油は、特に上記要件(III)を満たすものであるため、低温粘度特性が良好であり、ナフテン分に起因する粘度特性の低下を十分に抑制し得る。
さらに、本発明者らの検討によれば、ナフテン分は、高温環境下で生じ得るコーキングを溶解する作用があることが判明した。そのため、ナフテン分の高い鉱油系基油を用いることで、ピストンの高温清浄性をより向上させた潤滑油組成物を製造することもできる。
また、本発明の一態様で用いる鉱油系基油の芳香族分(%C)としては、ピストンの高温清浄性に優れた潤滑油組成物となり得る鉱油系基油とする観点から、好ましくは1.0未満、より好ましくは0.1以下である。
なお、本明細書において、鉱油系基油のナフテン分(%C)及び芳香族分(%C)は、ASTM D−3238環分析(n−d−M法)により測定した、ナフテン分及び芳香族分の割合(百分率)を意味する。
本発明の一態様で用いる鉱油系基油の硫黄分としては、ピストンの高温清浄性に優れた潤滑油組成物を製造し得る鉱油系基油とする観点から、好ましくは500質量ppm未満、より好ましくは100質量ppm未満である。
なお、本明細書において、鉱油系基油の硫黄分は、JIS K2541−6:2003「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」に準拠して測定した値である。
ピストンの高温清浄性に優れた潤滑油組成物を製造し得る鉱油系基油とする観点から、本発明の一態様で用いる鉱油系基油は、芳香族分(%C)が0.1以下であり、且つ硫黄分が100質量ppm未満であることが好ましい。
<要件(I)〜(IV)を満たす鉱油系基油の調製例>
上記要件(I)〜(IV)、特に上記要件(III)及び(IV)を満たすような鉱油系基油は、例えば、以下の事項を適宜考慮することで、容易に調製することができる。なお、以下の事項は調製法の一例であって、これら以外の事項を考慮することによっても調製可能である。
(1)鉱油系基油の質量平均分子量の調製
鉱油系基油の質量平均分子量(Mw)は、上記要件(I)〜(IV)で規定の性状(特に、上記要件(III)及び(IV)で規定の性状)に影響を及ぼす物性である。
本発明の一態様で用いる鉱油系基油の質量平均分子量(Mw)は、上記要件(I)〜(IV)、特に要件(I)、(III)及び(IV)を満たす鉱油系基油とする観点から、好ましくは450以下であり、また、好ましくは150以上である。
(2)鉱油系基油の原料となる原料油の選択
本発明の一態様で用いる鉱油系基油は、原料油を精製して得られたものであることが好ましい。
当該原料油としては、上記要件(I)〜(IV)、特に要件(III)及び(IV)を満たす鉱油系基油とする観点から、石油由来のワックスを含む原料油、並びに、石油由来のワックス及びボトム油を含む原料油であることが好ましい。また、溶剤脱ろう油を含む原料油を用いてもよい。
石油由来のワックス及びボトム油を含む原料油を用いる場合、当該原料油中のワックスとボトム油との含有量比〔ワックス/ボトム油〕としては、要件(III)及び(IV)を満たす鉱油系基油とする観点から、質量比で、好ましくは30/70〜95/5、より好ましくは55/45〜95/5、更に好ましくは70/30〜95/5、より更に好ましくは80/20〜95/5である。
なお、上記原料油中のボトム油の割合が多くなると、要件(III)で規定する複素粘度の温度勾配Δ|η*|の値が上昇する傾向にあり、また、要件(IV)で規定する−35℃における複素粘度η*の値も上昇し易い。
一方、ボトム油にはナフテン分が多く含まれるため、ボトム油を含む原料油を用いることで、ナフテン分(%C)が高い鉱油系基油を調製することができ、潤滑油組成物のピストンの高温清浄性に寄与する。
ボトム油としては、原油を原料とした通常の燃料油の製造工程において、減圧蒸留装置から得られた重質燃料油を含む油を、水素化分解し、ナフサ及び灯軽油を分離除去した後に残るボトム留分が挙げられる。
また、ワックスとしては、上記のボトム留分を溶剤脱ろうして分離されるワックスのほか、パラフィン系鉱油、中間系鉱油、ナフテン系鉱油等の原油を常圧蒸留して、ナフサ及び軽油を分離除去した後に残る常圧残油を溶剤脱ろうして得られるワックス;当該常圧残油を減圧蒸留して得られる留出油を溶剤脱ろうして得られるワックス;当該留出油を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化仕上げしたものを溶剤脱ろうして得られるワックス;フィッシャー・トロプッシュ合成により得られるGTLワックス等が挙げられる。
一方、溶剤脱ろう油としては、上述のボトム留分等を溶剤脱ろうし、上記のワックスを分離除去した後の残油が挙げられる。また、溶剤脱ろう油は、溶剤脱ろうの精製処理が施されており、上述のボトム油とは異なるものである。
溶剤脱ろうによりワックスを得る方法としては、例えば、ボトム留分をメチルエチルケントンとトルエンとの混合溶媒を混合し、低温領域下で撹拌しながら、析出物を取り除いて得る方法が好ましい。
なお、要件(III)及び(IV)を満たす鉱油系基油とする観点から、溶剤脱ろうにおける低温環境下の具体的な温度としては、一般的な溶剤脱ろうでの温度よりも低いことが好ましく、具体的には、−25℃以下であることが好ましく、−30℃以下であることがより好ましい。
原料油の油分としては、要件(III)及び(IV)を満たす鉱油系基油とする観点から、好ましくは5〜55質量%、より好ましくは7〜45質量%、更に好ましくは10〜35質量%、より更に好ましくは15〜32質量%、特に好ましくは21〜30質量%である。
原料油の100℃における動粘度としては、要件(I)を満たす鉱油系基油とする観点から、好ましくは2.0〜7.0mm/s、より好ましくは2.3〜6.5mm/s、更に好ましくは2.5〜6.0mm/sである。
原料油の粘度指数としては、要件(II)を満たす鉱油系基油とする観点から、好ましくは100以上、より好ましくは110以上、更に好ましくは120以上である。
(3)原料油の精製条件の設定
上記の原料油に対して、精製処理を施して、上記(I)〜(IV)を満たす鉱油系基油に調製することが好ましい。
精製処理としては、水素化異性化脱ろう処理及び水素化処理の少なくとも一方を含むことが好ましい。なお、使用する原料油の種類に応じて、精製処理の種類や精製条件は適宜設定されることが好ましい。
より具体的には、要件(III)及び(IV)を満たす鉱油系基油とする観点から、使用する原料油の種類に応じて、以下のように精製処理を選択することが好ましい。
・石油由来のワックスとボトム油とを上述の含有量比で含む原料油(α)を用いる場合、当該原料油(α)に対して、水素化異性化脱ろう処理及び水素化処理の双方を含む精製処理を行うことが好ましい。
・溶剤脱ろう油を含む原料油(β)を用いる場合、当該原料油(β)に対して、水素化異性化脱ろう処理を行わず、水素化処理を含む精製処理を行うことが好ましい。
上述の原料油(α)は、ボトム油を含むため、芳香族分、硫黄分、及び窒素分の含有量が多くなる傾向にある。芳香族分、硫黄分、及び窒素分の存在は、潤滑油組成物とした際のデポジット発生の要因となり、ピストンの高温洗浄性の低下を引き起こす。
水素化異性化脱ろう処理によって、芳香族分、硫黄分、及び窒素分を除去し、これらの含有量の低減を図ることができる。
水素化異性化脱ろう処理は、ワックス中の直鎖パラフィンを分岐鎖のイソパラフィンへとすることで、要件(III)及び(IV)を満たす鉱油系基油とすることができる。
一方、上述の原料油(β)は、ワックスを含むものであるが、溶剤脱ろう処理によって、低温環境下で直鎖パラフィンを析出させ分離除去しているため、要件(III)及び(IV)で規定する複素粘度の値に影響を与える直鎖パラフィンの含有量が少ない。そのため、「水素化異性化脱ろう処理」を行う必要性は低い。
(水素化異性化脱ろう処理)
水素化異性化脱ろう処理は、上述のとおり、原料油中に含まれる直鎖パラフィンを分岐鎖のイソパラフィンへとする異性化、芳香族分を開環させパラフィン分の変換、並びに硫黄分や窒素分等の不純物の除去等を目的に行われる精製処理である。特に、直鎖パラフィンの存在は、要件(III)で規定する複素粘度の温度勾配Δ|η*|の値を大きくする要因の一つとなるため、本処理では、直鎖パラフィンを分岐鎖のイソパラフィンへと異性化をし、複素粘度の温度勾配Δ|η*|の値を低く調整している。
水素化異性化脱ろう処理は、水素化異性化脱ろう触媒の存在下で行われることが好ましい。
水素化異性化脱ろう触媒としては、例えば、シリカアルミノフォスフェート(SAPO)やゼオライト等の担体に、ニッケル(Ni)/タングステン(W)、ニッケル(Ni)/モリブデン(Mo)、コバルト(Co)/モリブデン(Mo)等の金属酸化物や、白金(Pt)や鉛(Pd)等の貴金属を担持した触媒が挙げられる。
水素化異性化脱ろう処理における水素分圧としては、要件(III)及び(IV)を満たす鉱油系基油とする観点から、好ましくは2.0〜220MPa、より好ましくは2.5〜100MPa、更に好ましくは3.0〜50MPa、より更に好ましくは3.5〜25MPaである。
水素化異性化脱ろう処理における反応温度としては、要件(III)及び(IV)を満たす鉱油系基油とする観点から、一般的な水素化異性化脱ろう処理での反応温度よりも高めに設定されることが好ましく、具体的には、好ましくは320〜480℃、より好ましくは325〜420℃、更に好ましくは330〜400℃、より更に好ましくは335〜370℃である。
当該反応温度が高温であることで、原料油中に存在する直鎖パラフィンを分岐鎖のイソパラフィンへ異性化を促進させることができ、要件(III)及び(IV)を満たす鉱油系基油の調製が容易となる。
また、水素化異性化脱ろう処理における液時空間速度(LHSV)としては、要件(III)及び(IV)を満たす鉱油系基油とする観点から、好ましくは5.0hr−1以下、より好ましくは2.0hr−1以下、更に好ましくは1.0hr−1以下、より更に好ましくは0.6hr−1以下である。
また、生産性の向上の観点から、水素化異性化脱ろう処理におけるLHSVは、好ましくは0.1hr−1以上、より好ましくは0.2hr−1以上である。
水素化異性化脱ろう処理における水素ガスの供給割合としては、供給する原料油1キロリットルに対して、好ましくは100〜1000Nm、より好ましくは200〜800Nm、更に好ましくは250〜650Nmである。
なお、水素化異性化脱ろう処理に行った生成油に対して、軽質留分を除去するために、減圧蒸留を施してもよい。
(水素化処理)
水素化処理は、原料油中に含まれる芳香族分の完全飽和化、及び、硫黄分や窒素分等の不純物の除去等を目的に行われる精製処理である。
水素化処理は、水素化触媒の存在下で行われることが好ましい。
水素化触媒としては、例えば、シリカ/アルミナ、アルミナ等の非晶質やゼオライト等の結晶質担体に、ニッケル(Ni)/タングステン(W)、ニッケル(Ni)/モリブデン(Mo)、コバルト(Co)/モリブデン(Mo)等の金属酸化物や、白金(Pt)や鉛(Pd)等の貴金属を担持した触媒が挙げられる。
水素化処理における水素分圧としては、要件(III)及び(IV)を満たす鉱油系基油とする観点から、一般的な水素化処理での圧力よりも高めに設定されることが好ましく、具体的には、好ましくは16MPa以上、より好ましくは17MPa以上、更に好ましくは20MPa以上であり、また、好ましくは30MPa以下、より好ましくは22MPa以下である。
水素化処理における反応温度としては、要件(III)及び(IV)を満たす鉱油系基油とする観点から、好ましくは200〜400℃、より好ましくは250〜350℃、更に好ましくは280〜330℃である。
水素化処理における液時空間速度(LHSV)としては、要件(III)及び(IV)を満たす鉱油系基油とする観点から、好ましくは5.0hr−1以下、より好ましくは2.0hr−1以下、更に好ましくは1.0hr−1以下であり、また、生産性の観点から、好ましくは0.1hr−1以上、より好ましくは0.2hr−1以上、更に好ましくは0.3hr−1以上である。
水素化処理における水素ガスの供給割合としては、処理対象とする供給油1キロリットルに対して、好ましくは100〜1000Nm、より好ましくは200〜800Nm、更に好ましくは250〜650Nmである。
なお、水素化処理を行った生成油に対して、軽質留分を除去するために、減圧蒸留を施してもよい。減圧蒸留の諸条件(圧力、温度、時間等)としては、鉱油系基油の100℃における動粘度が所望の範囲内となるように、適宜調整される。
<鉱油系基油の各種物性>
本発明の一態様で用いる鉱油系基油の−35℃におけるCCS粘度(低温粘度)としては、好ましくは5,000mPa・s以下、より好ましくは4,000mPa・s以下、更に好ましくは3,000mPa・s以下、より更に好ましくは2,500mPa・s以下である。
〔合成油〕
本発明の一態様の潤滑油組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の鉱油系基油と共に、合成油を含有してもよい。
当該合成油としては、例えば、ポリα−オレフィン(PAO)、エステル系化合物、エーテル系化合物、ポリグリコール、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等が挙げられる。
これらの合成油は、単独で又は2種以上を併用してもよい。
なお、本発明の一態様の潤滑油組成物中の合成油の含有量は、当該潤滑油組成物中の鉱油系基油の全量100質量部に対して、好ましくは0〜30質量部、より好ましくは0〜20質量部、更に好ましくは0〜15質量部、より更に好ましくは0〜10質量部、特に好ましくは0〜5質量部である。
〔オレフィン系共重合体〕
本発明の潤滑油組成物に含まれるオレフィン系共重合体は、粘度指数向上剤の機能を有し、潤滑油組成物に粘度−温度特性及び省燃費性を向上させるために添加される。
ところで、粘度指数向上剤として添加されるオレフィン系共重合体やポリメタクリレート等の重合体成分は、ピストンの高温清浄性の低下の原因となるコーキングを生じさせる要因となる。
そのため、粘度−温度特性及び省燃費性の向上のために、これら重合体成分を添加した潤滑油組成物は、ピストンの高温清浄性の低下という問題を有している。
一方で、本発明の潤滑油組成物では、上記要件(I)〜(III)(特に、要件(III))を満たす鉱油系基油を用い、且つ、粘度指数向上剤として、オレフィン系共重合体を含有することで、上記の問題の解決を図っている。
つまり、本発明の潤滑油組成物では、基油として、上述の要件(III)を満たす鉱油系基油を用いているため、粘度指数向上剤からコーキングが生じても、ピストンの高温清浄性を良好に保つことができる。
そして、本発明の潤滑油組成物において、粘度指数向上剤として用いるオレフィン系共重合体は、上記鉱油系基油と併用した場合、オレフィン系共重合体の存在に起因したコーキングが析出し難い。
そのため、本発明の潤滑油組成物は、粘度−温度特性及び省燃費性を向上させ、良好なピストンの高温清浄性を有するものとなり得る。
本発明の一態様で用いるオレフィン系共重合体としては、アルケニル基を有するモノマーに由来の構成単位を有する共重合体であり、炭素数2〜20(好ましくは2〜16、より好ましくは2〜14)のα−オレフィンの共重合体が挙げられ、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとからなるエチレン−α−オレフィン共重合体が好ましく、エチレン−プロピレン共重合体がより好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンの炭素数としては、好ましくは3〜20であるが、より好ましくは3〜16、更に好ましくは3〜14、より更に好ましくは3〜6である。
なお、本発明の一態様で用いるオレフィン系共重合体は、非分散型オレフィン系共重合体であってもよく、分散型オレフィン系共重合体であってもよい。
分散型オレフィン系共重合体としては、上述のエチレン−α−オレフィン共重合体に対して、マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、グリシジルアクリレート等をグラフト重合してなる共重合体が挙げられる。
また、本発明の一態様で用いるオレフィン系共重合体は、脂肪族炭化水素に由来の構成単位のみを有する共重合体であってもよく、脂肪族炭化水素に由来の構成単位のみを有する共重合体の主鎖に芳香族炭化水素基が結合した共重合体であってもよい。
脂肪族炭化水素に由来の構成単位のみを有する共重合体の主鎖に芳香族炭化水素基が結合した共重合体としては、スチレン系共重合体(例えば、スチレン−ジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等)が挙げられる。
本発明の一態様で用いるオレフィン系共重合体の質量平均分子量(Mw)としては、粘度−温度特性及び省燃費性の向上させた潤滑油組成物とする観点から、好ましくは1万〜100万、より好ましくは5万〜80万、更に好ましくは10万〜70万、より更に好ましくは20万〜60万である。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、オレフィン系共重合体の含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.01〜15.0質量%、より好ましくは0.1〜10.0質量%、更に好ましくは0.5〜6.0質量%、より更に好ましくは1.0〜4.0質量%である。
なお、オレフィン系共重合体は希釈油に溶解して溶液の形態で用いられる場合もあるが、上記の「オレフィン系共重合体の含有量」は、希釈油の質量は除外した、オレフィン系共重合体の固形分量を指す。後述の「重合体成分の含有量」についても同様である。
〔オレフィン系共重合体以外の重合体成分〕
本発明の一態様の潤滑油組成物において、本発明の効果を損なわない範囲で、オレフィン系共重合体以外の重合体成分を含有してもよい。
なお、上記の「重合体成分」とは、コーキングを生じさせる要因となる成分であって、質量平均分子量(Mw)が1000以上であり、少なくとも1種の繰り返し単位を有する化合物を意味し、潤滑油用添加剤である、粘度指数向上剤や流動点降下剤として添加される成分が挙げられる。そのため、前記鉱油系基油や合成油は、ここでいう「重合体成分」には該当しない。
粘度指数向上剤として用いられる前記重合体成分としては、例えば、ポリメタクリレート(非分散型ポリメタクリレート、分散型ポリメタクリレート)等が挙げられる。
潤滑油用添加剤である流動点降下剤として用いられる前記重合体成分としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化パラフィンとナフタレンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリメタクリレート、ポリアルキルスチレン等が挙げられる。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、良好なピストンの高温清浄性を有する潤滑油組成物とする観点から、これらのオレフィン系共重合体以外の重合体成分の含有量は、当該潤滑油組成物中に含まれる前記オレフィン系共重合体の全量100質量部に対して、好ましくは80質量部未満、より好ましくは70質量部未満、更に好ましくは60質量部未満、より更に好ましくは50質量部未満である。
ところで、粘度指数向上剤や流動点降下剤として使用されるポリメタクリレートは、重合体成分の中でもコーキングの発生の要因となり易い。
特に、粘度指数向上剤として用いられる場合が多い、質量平均分子量が20万以上のポリメタクリレート(α)は、一般的にコーキングが生じ易い成分であり、その含有量は少ないほど好ましい。
ただし、本発明の潤滑油組成物においては、上述の要件(III)を満たす鉱油系基油を用いているため、少量のポリメタクリレート(α)であれば、コーキングの発生を抑制し、ピストンの高温清浄性を良好に保つことができる。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、ポリメタクリレート(α)の含有量としては、当該潤滑油組成物中に含まれる前記オレフィン系共重合体の全量100質量部に対して、好ましくは60質量部未満、より好ましくは50質量部未満、更に好ましくは45質量部未満である。
ポリメタクリレート(α)の含有量が60質量部未満であれば、コーキングの発生を抑制し、ピストンの高温清浄性を良好に保つことができる。
また、流動点降下剤として用いられる場合が多い、質量平均分子量が20万未満のポリメタクリレート(β)についても、ピストンの高温清浄性を良好に保つ観点から、その含有量は調製されていることが好ましい。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、ポリメタクリレート(β)の含有量としては、前記オレフィン系共重合体の全量100質量部に対して、ピストンの高温清浄性を良好に保つ観点から、好ましくは80質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは60質量部以下、より更に好ましくは50質量部以下であり、また、低温流動性をより良好とする観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.7質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上である。
〔潤滑油用添加剤〕
また、本発明の潤滑油組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、さらに一般的に用いられる、上述の粘度指数向上剤及び流動点降下剤以外の潤滑油用添加剤を含有してもよい。
このような潤滑油用添加剤としては、例えば、金属系清浄剤、分散剤、耐摩耗剤、極圧剤、酸化防止剤、消泡剤、摩擦調整剤、防錆剤、金属不活性化剤等が挙げられる。
なお、当該潤滑油用添加剤として、API/ILSAC SN/GF−5規格等に適合した、複数の添加剤を含有する市販品の添加剤パッケージを用いてもよい。
また、上記の添加剤としての機能を複数有する化合物(例えば、耐摩耗剤及び極圧剤としての機能を有する化合物)を用いてもよい。
さらに、各潤滑油用添加剤は、単独で又は2種以上を併用してもよい。
これらの潤滑油用添加剤の各含有量は、それぞれ、本発明の効果を損なわない範囲内で、適宜調整することができるが、潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、通常0.001〜15質量%、好ましくは0.005〜10質量%、より好ましくは0.01〜8質量%である。
なお、本発明の一態様の潤滑油組成物において、これらの潤滑油用添加剤の合計含有量は、当該潤滑油組成物の全量(100質量%)基準で、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜25質量%、更に好ましくは0〜20質量%、より更に好ましくは0〜15質量%である。
(金属系清浄剤)
金属系清浄剤としては、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる金属原子を含有する有機酸金属塩化合物が挙げられ、具体的には、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる金属原子を含有する、金属サリシレート、金属フェネート、及び金属スルホネート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「アルカリ金属」としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、及びフランシウムを指す。
また、「アルカリ土類金属」としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムを指す。
金属系清浄剤に含まれる金属原子としては、高温での清浄性の向上の観点から、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、又はバリウムが好ましく、カルシウムがより好ましい。
金属サリシレートとしては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましく、当該金属フェネートとしては、下記一般式(2)で表される化合物が好ましく、当該金属スルホネートとしては、下記一般式(3)で表される化合物が好ましい。
上記一般式(1)〜(3)中、Mは、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる金属原子であり、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、又はバリウムが好ましく、カルシウムがより好ましい。また、M’は、アルカリ土類金属であり、カルシウム、マグネシウム、又はバリウムが好ましく、カルシウムがより好ましい。pはMの価数であり、1又は2である。Rは、水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基である。qは、0以上の整数であり、好ましくは0〜3の整数である。
Rとして選択し得る炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のアルケニル基、環形成炭素数3〜18のシクロアルキル基、環形成炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアルキルアリール基、炭素数7〜18のアリールアルキル基等が挙げられる。
本発明の一態様において、これらの金属系清浄剤は、単独で又は2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、高温での清浄性の向上の観点、及び基油への溶解性の観点から、カルシウムサリシレート、カルシウムフェネート、及びカルシウムスルホネートから選ばれる1種以上であることが好ましい。
なお、本発明の一態様において、金属系清浄剤は、中性塩、塩基性塩、過塩基性塩及びこれらの混合物のいずれであってもよい。
金属系清浄剤の全塩基価としては、好ましくは0〜600mgKOH/gである。
なお、本発明の一態様において、金属系清浄剤が塩基性塩又は過塩基性塩である場合には、当該金属系清浄剤の全塩基価としては、好ましくは10〜600mgKOH/g、より好ましくは20〜500mgKOH/gである。
なお、本明細書において、「塩基価」とは、JIS K2501「石油製品および潤滑油−中和価試験方法」の7.に準拠して測定される過塩素酸法による塩基価を意味する。
(分散剤)
分散剤としては、例えば、コハク酸イミド、ベンジルアミン、コハク酸エステル又はこれらのホウ素変性物等が挙げられる。
コハク酸イミドとしては、例えば、数平均分子量が300〜4,000のポリブテニル基等のポリアルケニル基を有するコハク酸と、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリエチレンポリアミンのモノイミド又はビスイミド、又はこれらのホウ素変性物;ポリアルケニル基を有するフェノールとホルムアルデヒドとポリエチレンポリアミンのマンニッヒ反応物等が挙げられる。
(耐摩耗剤)
耐摩耗剤としては、例えば、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)、リン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸モリブデン、ジチオリン酸モリブデン、ジスルフィド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類、硫化エステル類、チオカーボネート類、チオカーバメート類、ポリサルファイド類等の硫黄含有化合物;亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、ホスホン酸エステル類、及びこれらのアミン塩又は金属塩等のリン含有化合物;チオ亜リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、チオホスホン酸エステル類、及びこれらのアミン塩又は金属塩等の硫黄及びリン含有耐摩耗剤が挙げられる。
これらの中でも、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)が好ましく、第1級アルキル型ジアルキルジチオリン酸亜鉛と第2級アルキル型ジアルキルジチオリン酸亜鉛とを併用することがより好ましい。
(極圧剤)
極圧剤としては、例えば、スルフィド類、スルフォキシド類、スルフォン類、チオホスフィネート類等の硫黄系極圧剤、塩素化炭化水素等のハロゲン系極圧剤、有機金属系極圧剤等が挙げられる。また、上述の耐摩耗剤の内、極圧剤としての機能を有する化合物を用いることもできる。
本発明の一態様において、これらの極圧剤は、単独で又は2種以上を併用してもよい。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、従来潤滑油の酸化防止剤として使用されている公知の酸化防止剤の中から、任意のものを適宜選択して用いることができ、例えば、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、モリブデン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、ジフェニルアミン、炭素数3〜20のアルキル基を有するアルキル化ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系酸化防止剤;α−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、炭素数3〜20のアルキル基を有する置換フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン系酸化防止剤;等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系酸化防止剤;4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)等のジフェノール系酸化防止剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤;等を挙げられる。
モリブデン系酸化防止剤としては、例えば、三酸化モリブデン及び/又はモリブデン酸とアミン化合物とを反応させてなるモリブデンアミン錯体等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネイト等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、ホスファイト等が挙げられる。
本発明の一態様において、これらの酸化防止剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよいが、2種以上を組み合わせて使用するのが好ましい。
(消泡剤)
消泡剤としては、例えば、シリコーン油、フルオロシリコーン油及びフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
(摩擦調整剤)
摩擦調整剤としては、例えば、ジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)、ジチオリン酸モリブデン(MoDTP)、モリブテン酸のアミン塩等のモリブデン系摩擦調整剤;炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、脂肪族アミン、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル等の無灰摩擦調整剤;油脂類、アミン、アミド、硫化エステル、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩等が挙げられる。
(防錆剤)
防錆剤としては、例えば、脂肪酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル、脂肪酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸アミン、酸化パラフィン、アルキルポリオキシエチレンエーテル等が挙げられる。
(金属不活性化剤)
金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリルトリアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピリミジン系化合物等が挙げられる。
本発明の一態様において、これらの金属不活性化剤は、単独で又は2種以上を併用してもよい。
<潤滑油組成物の製造方法>
本発明の潤滑油組成物の製造方法としては、特に制限は無いが、上述のオレフィン系共重合体を含む各種添加剤を含有する潤滑油組成物の製造方法としては、鉱油系基油に、、必要に応じて合成油を配合した基油に、オレフィン系共重合体を含む各種添加剤を配合する工程を有する方法であることが好ましい。
なお、上記工程において、配合する各種添加剤の好適な化合物や、各成分の含有量は、上述のとおりである。
そして、鉱油系基油に、必要に応じて合成油を配合した基油に対して、オレフィン系共重合体を含む各種添加剤を配合した後、公知の方法により、撹拌して、基油中に、オレフィン系共重合体を含む各種添加剤を均一に分散させることが好ましい。
また、各種添加剤を均一に分散させる観点から、鉱油系基油を含む基油を40〜70℃まで昇温した後に、オレフィン系共重合体を含む各種添加剤を配合し、撹拌して均一に分散させることがより好ましい。
なお、鉱油系基油を含む基油に、オレフィン系共重合体を含む各種添加剤を配合後に、鉱油系基油を含む基油や、オレフィン系共重合体を含む各種添加剤の一部が変性したり、2成分が互いに反応し、別の成分を生成したとしても、得られる潤滑油組成物は、本発明の潤滑油組成物の製造方法によって得られる潤滑油組成物に該当し、本発明の技術的範囲に属するものである。
<潤滑油組成物の各種物性>
本発明の一態様の潤滑油組成物の100℃における動粘度としては、好ましくは4mm/s以上、より好ましくは5mm/s以上、更に好ましくは6mm/s以上、より更に好ましくは7mm/s以上であり、また、好ましくは15mm/s未満、より好ましくは12.5mm/s未満、更に好ましくは11mm/s未満、より更に好ましくは10mm/s未満である。
本発明の一態様の潤滑油組成物の粘度指数としては、好ましくは140以上、より好ましくは150以上、更に好ましくは160以上、より更に好ましくは165以上である。
本発明の一態様の潤滑油組成物の上述の要件(III)と同様に規定される、−10℃と−25℃の2点間における複素粘度の温度勾配Δ|η*|としては、好ましくは60Pa・s/℃以下、より好ましくは20Pa・s/℃以下、更に好ましくは15Pa・s/℃以下、より更に好ましくは10Pa・s/℃以下、特に好ましくは5Pa・s/℃以下である。
また、本発明の一態様の潤滑油組成物において、上述の要件(III)と同様に規定される、複素粘度の温度勾配Δ|η*|は、下限値については特に制限は無いが、好ましくは0.001Pa・s/℃以上、より好ましくは0.01Pa・s/℃以上である。
本発明の一態様の潤滑油組成物の上述の要件(IV)と同様に規定される、−35℃における複素粘度η*としては、好ましくは45,000Pa・s以下、より好ましくは35,000Pa・s以下、更に好ましくは6,000Pa・s以下、より更に好ましくは2,000Pa・s以下、特に好ましくは500Pa・s以下である。
また、本発明の一態様の潤滑油組成物において、上述の要件(IV)と同様に規定される、−35℃における複素粘度η*は、下限値については特に制限は無いが、好ましくは0.1Pa・s以上、より好ましくは1Pa・s以上、更に好ましくは2Pa・s以上である。
本発明の一態様の潤滑油組成物の−35℃におけるCCS粘度(低温粘度)としては、良好な低温粘度特性を有する潤滑油組成物とする観点から、好ましくは9,000mPa・s以下、より好ましくは8,600mPa・s以下、更に好ましくは7,500mPa・s以下、より更に好ましくは7,000mPa・s以下である。
本発明の一態様の潤滑油組成物の150℃におけるHTHS粘度(高温高せん断粘度)としては、好ましくは1.4mPa・s以上3.5mPa・s未満、より好ましくは1.6mPa・s以上3.2mPa・s未満、更に好ましくは1.7mPa・s以上3.0mPa・s未満、より更に好ましくは2.0mPa・s以上2.8mPa・s未満である。
150℃におけるHTHS粘度が1.4mPa・s以上であれば、潤滑性能が良好な潤滑油組成物となり得る。一方、150℃におけるHTHS粘度が3.5mPa・s未満であれば、低温での粘度特性の低下を抑え、省燃費性能が良好な潤滑油組成物とすることができる。
上記の150℃におけるHTHS粘度は、エンジンの高速運転時の高温領域下での粘度として想定することもできる。つまり、潤滑油組成物の150℃におけるHTHS粘度が上記範囲に属していれば、当該潤滑油組成物はエンジンの高速運転時を想定した高温領域下での粘度等の各種性状が良好であるといえる。
なお、上記の潤滑油組成物の150℃におけるHTHS粘度は、ASTM D4741に準拠して測定した値であり、より詳しくは実施例に記載の方法により測定した値を意味する。
本発明の一態様において、100℃における動粘度が12.5mm/s未満であり、且つ、150℃におけるHTHS粘度が3.5mPa・s未満である潤滑油組成物が好ましい。
当該潤滑油組成物は、上記要件を充足することで、流体摩擦が低減でき、省燃費性能を向上させたものとすることができる。
本発明の一態様の潤滑油組成物の15℃における密度としては、好ましくは0.80〜0.90g/cm、より好ましくは0.82〜0.87g/cmである。
なお、上記の潤滑油組成物の15℃における密度は、JIS K2249:2011に準拠して測定した値を意味する。
本発明の一態様の潤滑油組成物において、実施例に記載の条件下でのパネルコーキング試験により測定されたデポジット量としては、好ましくは100mg未満、より好ましくは90mg未満、更に好ましくは85mg未満、より更に好ましくは80mg未満である。
<潤滑油組成物の用途>
本発明の潤滑油組成物は、低温での省燃費性やエンジンの低温始動性といった低温粘度特性が良好であると共に、添加剤として重合体成分を配合した場合においても、当該重合体成分に起因したピストンの高温清浄性の低下の抑制効果に優れる。
そのため、本発明の潤滑油組成物を充填したエンジンとしては、自動車、電車、航空機等の車両用エンジン等が挙げられるが、自動車用エンジンが好ましく、ハイブリッド機構やアイドリングストップ機構を搭載した自動車用エンジンがより好ましい。
なお、本発明の一態様の潤滑油組成物は、自動車、電車、航空機等の車両等に使用される内燃機関用潤滑油組成物(内燃機関用エンジンオイル)としての用途が好適であるが、他の用途にも適用し得る。
本発明の一態様の潤滑油組成物について考え得る他の用途としては、例えば、パワーステアリングオイル、自動変速機油(ATF)、無段変速機油(CVTF)、油圧作動油、タービン油、圧縮機油、工作機械用潤滑油、切削油、歯車油、流体軸受け油、転がり軸受け油等が挙げられる。
本発明の潤滑油組成物は、ピストンリング及びライナーを備えた摺動機構を有する装置におけるピストンリング及びライナーを備えた摺動機構、特に、内燃機関(好ましくは自動車の内燃機関)におけるピストンリング及びライナーを備えた摺動機構の潤滑に適するものである。
本発明の潤滑油組成物を適用するピストンリング及びシリンダーライナーの形成材料については特に制限はない。シリンダライナーの形成材料としては、例えば、アルミニウム合金や鋳鉄合金等が挙げられる。
ピストンリングの形成材料としては、例えば、Si−Cr鋼や11〜17質量%のクロム含有のマルテンサイト系ステンレス鋼等が挙げられる。なお、ピストンリングは、このような形成材料に、さらにクロムめっき処理、窒化クロム処理又は窒化処理及びこれらの組合せに係る下地処理をすることが好ましい。
〔内燃機関〕
本発明は、ピストンリング及びライナーを備えた摺動機構を有し、且つ、上述の本発明の潤滑油組成物を含む内燃機関も提供する。
本発明の一態様において、前記摺動機構の摺動部に、本発明の潤滑油組成物が適用された内燃機関が好ましい。
なお、本実施形態の潤滑油組成物及びピストンリング及びライナーを備えた摺動機構については、前述の通りであり、具体的な摺動機構の構成としては、図2に示すものが挙げられる。
図2に示す摺動機構1は、ピストン運動路2a及びクランクシャフト収容部2bを有するブロック2、ピストン運動路2aの内壁に沿って配置されたライナー12、ライナー12内に収容されたピストン4、ピストン4に外嵌されたピストンリング6、クランクシャフト収容部2b内に収容されたクランクシャフト10、クランクシャフト10とピストン4とを連結するコンロッド9、並びに、ライナー12とピストン運動路2aとによって挟まれた構造を有する。
このクランクシャフト10は、図示しないモータによって回転駆動され、コンロッド9を介してピストン4を往復運動させることができる。
このように構成の摺動機構1において、本発明の潤滑油組成物20は、クランクシャフト収容部2b内に、クランクシャフト10の中心軸の中心よりも上位、且つ中心軸の最上端よりも下位の液位になるまで充填される。このクランクシャフト収容部2b内の潤滑油組成物20は、回転するクランクシャフト10によるはねかけ式で、ライナー12とピストンリング6との間に供給される。
〔内燃機関の潤滑方法〕
本発明は、ピストンリング及びライナーを備えた摺動機構を有する装置を潤滑する内燃機関の潤滑方法であって、当該ピストンリング及びライナーを、上述の本発明の潤滑油組成物を用いて潤滑する、内燃機関の潤滑方法も提供する。
本実施形態の潤滑油組成物及びピストンリング及びライナーを備えた摺動機構については、前述の通りである。
本発明の内燃機関の潤滑方法においては、本実施形態の潤滑油組成物を、ピストンリングとシリンダライナー間の摺動部分に潤滑油として使用することにより、流体潤滑、混合潤滑のいずれにおいても、その摩擦を大きく低減させ、省燃費性の向上に資することができる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、各種物性の測定法又は評価法は、下記のとおりである。
<鉱油系基油又は潤滑油組成物の各種物性の測定法>
(1)40℃及び100℃における動粘度
JIS K2283:2000に準拠して測定した。
(2)粘度指数
JIS K2283:2000に準拠して測定した。
(3)−35℃におけるCCS粘度
JIS K2010:1993(ASTM D 2602)に準拠して測定した。
(4)−25℃、−10℃、及び−35℃における複素粘度η*
Anton Paar社製レオメータ「Physica MCR 301」を用いて、以下の手順で測定した。
まず、−25℃、−10℃、及び−35℃のいずれかの測定温度に調整したコーンプレート(直径50mm、傾斜角1°)に、測定対象の鉱油系基油もしくは潤滑油組成物を挿入し、同じ温度で10分間保持した。なお、この際、挿入した溶液に歪みを与えないように留意した。
そして、所定の測定温度にて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1〜100%の範囲で測定温度に応じて適宜設定した値の条件下にて、振動モードで、各測定温度における複素粘度η*を測定した。なお、−35℃における複素粘度η*の測定においては、歪み量は「0.1%」とした。
そして、−25℃及び−10℃における複素粘度η*の値から、前記計算式(f1)から、「複素粘度の温度勾配Δ|η*|」を算出した。
(5)質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)
ゲル浸透クロマトグラフ装置(アジレント社製、「1260型HPLC」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「Shodex LF404」を2本、順次連結したもの。
・カラム温度:35℃
・展開溶媒:クロロホルム
・流速:0.3mL/min
<鉱油系基油の各種物性の測定法>
(6)芳香族分(%C)、ナフテン分(%C
ASTM D−3238環分析(n−d−M法)により測定した。
(7)硫黄分
JIS K2541−6:2003に準拠して測定した。
(8)窒素分
JIS K2609:1998 4.に準拠して測定した。
<潤滑油組成物の各種物性の測定法>
(8)150℃におけるHTHS粘度(高温高せん断粘度)
ASTM D4741に準拠して、測定対象の潤滑油組成物を、150℃で、せん断速度10/sにて、せん断した後の粘度を測定した。
実施例及び比較例において使用した「ボトム油」及び「スラックワックス」の製造法は、以下のとおりである。
製造例1(ボトム油の製造)
通常の燃料油の製造工程において、減圧蒸留装置から得られた重質燃料油を含む油を、水素化分解し、ナフサ及び灯軽油を分離除去した後に残るボトム留分を取り出した。当該ボトム留分を「ボトム油」として、以下の製造で使用した。
なお、当該ボトム油は、油分が75質量%であり、硫黄分が82質量ppm、窒素分が2質量ppm、100℃における動粘度が4.1mm/s、粘度指数が134であった。
製造例2(溶剤脱ロウ油及びスラックワックスの製造)
上述のとおり得られたボトム油を、メチルエチルケトン及びトルエンの混合溶剤を用いて、−35℃〜−30℃の低温領域で溶剤脱ロウしてワックスを分離し、「溶剤脱ロウ油」を得た。そして、分離したワックスを「スラックワックス」とした。
なお、当該溶剤脱ろう油は、油分が100質量%であり、硫黄分が70質量ppm、窒素分が2質量ppm、100℃における動粘度が4.1mm/s、粘度指数が121であった。
また、当該スラックワックスは、油分が15質量%であり、硫黄分が12質量ppm、窒素分が1質量ppm未満、100℃における動粘度が4.2mm/s、粘度指数が169であった。
実施例1(鉱油系基油(1)の製造)
製造例2で得た溶剤脱ろう油を原料油(i)として使用した。
上記原料油(i)を、ニッケルタングステン系触媒を用い、水素分圧20MPa、反応温度280〜320℃、LHSV1.0hr−1の条件下で水素化処理を施した。
水素化処理された生成油を、減圧蒸留し、100℃における動粘度が4.2〜4.4mm/sの範囲となる留分を回収し、鉱油系基油(1)を得た。
鉱油系基油(1)について、芳香族分(%C)=0.0、ナフテン分(%C)=26.5、硫黄分=100質量ppm未満、質量平均分子量=150〜450であった。
実施例2(鉱油系基油(2)の製造)
製造例2で得たスラックワックス75質量部と、製造例1で得たボトム油25質量部とを混合したものを原料油(ii)として使用した。なお、当該原料油(ii)は、油分が30質量%であり、硫黄分が30質量ppm、窒素分が1質量ppm未満、100℃における動粘度が4.2mm/s、粘度指数が160であった。
上記原料油(ii)を、水素化異性化脱ロウ触媒を用い、水素分圧4MPa、反応温度335℃、LHSV1.0hr−1、の条件下で水素化異性化脱ロウを施した。
次いで、水素化異性化脱ロウされた生成油を、ニッケルタングステン系触媒を用い、水素分圧20MPa、反応温度280〜320℃、LHSV1.0hr−1の条件下で水素化処理を施した。
水素化処理された生成油を、減圧蒸留し、100℃における動粘度が4.2〜4.4mm/sの範囲となる留分を回収し、鉱油系基油(2)を得た。
鉱油系基油(2)について、芳香族分(%C)=0.0、ナフテン分(%C)=18.3、硫黄分=100質量ppm未満、質量平均分子量=150〜450であった。
実施例3(鉱油系基油(3)の製造)
製造例2で得たスラックワックス90質量部と、製造例1で得たボトム油10質量部とを混合したものを原料油(iii)として使用した。なお、当該原料油(iii)は、油分が21質量%であり、硫黄分が19質量ppm、窒素分が1質量ppm未満、100℃における動粘度が4.2mm/s、粘度指数が166であった。
上記原料油(iii)を、水素化異性化脱ロウ触媒を用い、水素分圧4MPa、反応温度340℃、LHSV0.5hr−1の条件下で水素化異性化脱ロウを施した。
次いで、水素化異性化脱ロウされた生成油を、ニッケルタングステン系触媒を用い、水素分圧20MPa、反応温度280〜320℃、LHSV1.0hr−1の条件下で水素化処理を施した。
水素化処理された生成油を、減圧蒸留し、100℃における動粘度が4.2〜4.4mm/sの範囲となる留分を回収し、鉱油系基油(3)を得た。
鉱油系基油(3)について、芳香族分(%C)=0.0、ナフテン分(%C)=16.7、硫黄分=100質量ppm未満、質量平均分子量=150〜450であった。
実施例4(鉱油系基油(4)の製造)
実施例2の製造方法において、水素化処理された生成油を、減圧蒸留し、100℃における動粘度が2.5〜3.0mm/sの範囲となる留分を回収した以外は、実施例2と同様の方法にて、鉱油系基油(4)を得た。
鉱油系基油(4)について、芳香族分(%C)=0.1、ナフテン分(%C)=20.2、硫黄分=100質量ppm未満、質量平均分子量=150〜450であった。
比較例1(鉱油系基油(a)の製造)
通常の燃料油の製造工程において減圧蒸留装置から得られた重質燃料油を、フルフラール溶剤を用いて溶剤比1.0〜2.0の条件下で溶剤抽出し、ラフィネートを得た。
そして、当該ラフィネートを、水素化異性化脱ロウ触媒を用い、水素分圧4MPa、反応温度260〜280℃、LHSV1.0hr−1の条件下で水素化異性化脱ロウを施した。
次いで、水素化異性化脱ロウされた生成油を、ニッケルタングステン系触媒を用い、水素分圧4〜5MPa、反応温度280〜320℃、LHSV1.0hr−1の条件下で水素化処理を施した。 水素化処理された生成油を減圧蒸留し、100℃における動粘度が4.0〜4.5mm/sの範囲となる留分を回収し、鉱油系基油(a)を得た。
鉱油系基油(a)について、芳香族分(%C)=2.8、ナフテン分(%C)=27.3、硫黄分=1000質量ppm、質量平均分子量=150〜450であった。
比較例2(鉱油系基油(b)の製造)
比較例1の製造方法において、水素化処理された生成油を、減圧蒸留し、100℃における動粘度が2.0〜3.0mm/sの範囲となる留分を回収した以外は、比較例1と同様の方法にて、鉱油系基油(b)を得た。
鉱油系基油(b)について、芳香族分(%C)=4.7、ナフテン分(%C)=28.7、硫黄分=2000質量ppm、質量平均分子量=150〜450であった。
比較例3(鉱油系基油(c)の製造)
製造例2で得たスラックワックス20質量部と、製造例1で得たボトム油80質量部とを混合したものを原料油(iv)として使用した。なお、当該原料油(iv)は、油分が62.5質量%であり、硫黄分が68質量ppm、窒素分が2質量ppm、100℃における動粘度が4.1mm/s、粘度指数が141であった。
そして、実施例2の製造方法において、原料油として、原料油(ii)に代えて、上述の原料油(iv)を用い、水素化処理された生成油を、減圧蒸留し、100℃における動粘度が6.0〜7.0mm/sの範囲となる留分を回収した以外は、実施例2と同様な方法にて、鉱油系基油(c)を得た。
鉱油系基油(c)について、芳香族分(%C)=0.0、ナフテン分(%C)=21.4、硫黄分=100質量ppm未満、質量平均分子量=450超であった。
実施例及び比較例で製造した鉱油系基油の各種性状を表1に示す。また、実施例2の鉱油系基油(2)、比較例1の鉱油系基油(a)、及び比較例2の鉱油系基油(b)について、温度と複素粘度η*との関係を示したグラフを図1に示す。
実施例5〜12、比較例4〜9
表2及び表3に示す種類の実施例及び比較例で製造した鉱油系基油(1)〜(4)及び(a)〜(c)のいずれかを用いて、表2及び表3に示す種類及び配合量の潤滑油用添加剤を配合して、潤滑油組成物(i)〜(viii)及び(A)〜(F)をそれぞれ調製した。
なお、表2及び表3中の潤滑油用添加剤の詳細は以下のとおりである。
・OCP(1):Mwが50万のオレフィン系共重合体。
・OCP(2):Mwが30万のオレフィン系共重合体(エチレン−プロピレン共重合体)。
・PMA(1):Mwが40万のポリメタクレート。
・PMA(2):Mwが50万のポリメタクレート。
・金属系清浄剤(1):過塩基性カルシウムサリシレート、塩基価(過塩素酸法)=350mgKOH/g、カルシウム原子含有量=12.1質量%。
・金属系清浄剤(2):過塩基性カルシウムサリシレート、塩基価(過塩素酸法)=225mgKOH/g、カルシウム原子含有量7.8質量%。
・耐摩耗剤(1):第1級アルキル型ジアルキルジチオリン酸亜鉛、亜鉛含有量=8.9質量%、リン原子含有量=7.4質量%。
・耐摩耗剤(2):第2級アルキル型ジアルキルジチオリン酸亜鉛、亜鉛含有量=9.0質量%、リン原子含有量=8.2質量%。
・酸化防止剤(1):アミン系酸化防止剤。
・酸化防止剤(2):フェノール系酸化防止剤。
・分散剤(1):ポリブテニルコハク酸ビスイミド、ポリブテニル基のMn=2000、塩基価(過塩素酸法)=11.9mgKOH/g、窒素原子含有量=0.99質量%。
・分散剤(2):ポリブテニルコハク酸モノイミドホウ素化物、ポリブテニル基のMn=1000、塩基価(過塩素酸法)=25mgKOH/g、窒素原子含有量=1.23質量%、ホウ素原子含有量=1.3質量%。
・防錆剤、消泡剤
・流動点降下剤:Mwが6.9万のポリメタクリレート。
そして、調製した潤滑油組成物(i)〜(viii)及び(A)〜(F)について、上述の測定法に従い各種性状を測定した。また、以下に示す方法に基づき、パネルコーキング試験を実施し、デポジット量を測定した。なお、流動点降下剤を含む潤滑油組成物(vi)〜(viii)及び(E)〜(F)については、デポジット量の増加率Pも算出した。それらの結果を表2及び表3に示す。
[パネルコーキング試験]
(1)デポジット量の測定
調製した潤滑油組成物300mLを加熱槽に入れ、100℃まで加熱した。そして、加熱槽の上部に設置された300℃に加熱されたアルミ板に対して、速度1000rpmで連続して回転させた羽によって、100℃まで加熱した潤滑油組成物を跳ね掛ける動作を、1サイクルが「羽を15秒間回転した後45秒間停止」として、3時間継続した。3時間後にアルミ板に付着したデポジットの質量(デポジット量)を測定した。
(2)デポジット量の増加率Pの算出
上記(1)で算出したデポジット量を基づき、流動点降下剤を含まない実施例5の潤滑油組成物(i)のデポジット量(W)に対する、流動点降下剤を含む実施例10〜12の潤滑油組成物(vi)〜(viii)のデポジット量(W)の増加率Pを下記計算式(f2)に基づいて、それぞれ算出した。
・計算式(f2):P(単位:%)=(W−W)/W×100
また、同様に、流動点降下剤を含まない比較例4の潤滑油組成物(A)のデポジット量(W)に対する、流動点降下剤を含む比較例8〜9の潤滑油組成物(E)〜(F)のデポジット量(W)の増加率Pも、上記計算式(f2)からそれぞれ算出した。
表2より、実施例1〜4で得た鉱油系基油(1)〜(4)を用い、オレフィン系共重合体を含む、実施例5〜11の潤滑油組成物(i)〜(viii)は、低温粘度特性が良好であり、また、パネルコーキング試験によるデポジット量も少なく、ピストンの高温清浄性に優れた結果となった。
一方、表3より、比較例1〜3で得た鉱油系基油(a)〜(c)のいずれかを用いた、比較例4〜6及び8〜9の潤滑油組成物(A)〜(C)及び(E)〜(F)は、低温粘度特性が劣る結果となり、デポジット量が多く、ピストンの高温清浄性に問題がある結果となった。
また、比較例7の潤滑油組成物(D)は、デポジット量が非常に多く、ピストンの高温清浄性に問題がある。そのため、低温粘度特性に関する評価を行っていない。
1:摺動機構
2:ブロック
2a:ピストン運動路
2b:クランクシャフト収容部
4:ピストン
6、8:ピストンリング
9:コンロッド
10:クランクシャフト
12:ライナー
20:潤滑油組成物

Claims (13)

  1. 下記要件(I)〜(III)を満たす鉱油系基油と、オレフィン系共重合体とを含有する、潤滑油組成物。
    ・要件(I):100℃における動粘度が2mm/s以上7mm/s未満である。
    ・要件(II):粘度指数が100以上である。
    ・要件(III):回転型レオメータを用いて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1〜100%の条件下で計測した、−10℃と−25℃の2点間における複素粘度の温度勾配Δ|η*|が、60Pa・s/℃以下である。
  2. 前記オレフィン系共重合体の含有量が、前記潤滑油組成物の全量基準で、0.01〜15.0質量%である、請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. 前記オレフィン系共重合体の質量平均分子量(Mw)が、1万〜100万である、請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
  4. 質量平均分子量が20万以上のポリメタクリレート(α)の含有量が、前記オレフィン系共重合体の全量100質量部に対して、60質量部未満である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  5. 質量平均分子量が20万未満のポリメタクリレート(β)の含有量が、前記オレフィン系共重合体の全量100質量部に対して、0.5〜80質量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  6. 前記鉱油系基油が、さらに下記要件(IV)を満たす、請求項1〜5のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
    ・要件(IV):回転型レオメータを用いて、角速度6.3rad/s、歪み量0.1%の条件下で計測した、−35℃における複素粘度η*が、60,000Pa・s以下である。
  7. 前記鉱油系基油のナフテン分(%C)が10〜30である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  8. 前記鉱油系基油のナフテン分(%C)が15〜30である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  9. 前記鉱油系基油の芳香族分(%C)が0.1以下であり、且つ硫黄分が100質量ppm未満である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  10. 100℃における動粘度が4mm/s以上15mm/s未満であり、粘度指数が140以上である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  11. 100℃における動粘度が12.5mm/s未満であり、且つ、150℃における高温高せん断粘度(HTHS粘度)が3.5mPa・s未満である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  12. ピストンリング及びライナーを備えた摺動機構を有し、且つ、請求項1〜11のいずれか一項に記載の潤滑油組成物を含む、内燃機関。
  13. ピストンリング及びライナーを備えた摺動機構を有する内燃機関の潤滑方法であって、当該ピストンリング及びライナーを、請求項1〜11のいずれか一項に記載の潤滑油組成物を用いて潤滑する、内燃機関の潤滑方法。
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