JP2018099095A - 栽培装置、栽培システム及び栽培方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】作物を着生させる培地へ容易かつ確実に水を供給できる栽培装置、栽培システム及び栽培方法を提供する。【解決手段】栽培装置1は、作物を着生させる培地2と、上記培地中又は上記培地表面に配設される管路3とを備え、上記管路の壁面の少なくとも一部が、水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜である。【選択図】図1
Description
本発明は、栽培装置、栽培システム及び栽培方法に関する。
近年、砂漠等の乾燥地帯においても作物の栽培が試みられている。砂漠等の乾燥地帯は寒暖差が激しく、また栽培用の水を確保するのが難しい。
一方、砂漠等で飲用水を得ることを目的として海水等から淡水を回収できる造水システムが知られている(特許文献1)。この造水システムでは、水蒸気を透過させ、液体の水を透過させない疎水性多孔質膜を用いて淡水を得ている。具体的には、この造水システムは、内部が気密系で、外皮が疎水性多孔質膜からなる中空糸を海水中に浸し、中空糸の外部から内部へ透過した水蒸気を冷却して凝結水を得る。
特許文献1に開示された造水システムは、海水又は汚水等からきれいな水を回収可能とするが、得られた水を作物の栽培用とする場合には、培地に対して的確に水を供給する仕組みが必要である。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、作物を着生させる培地へ容易かつ確実に水を供給できる栽培装置、栽培システム及び栽培方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る栽培装置は、作物を着生させる培地と、上記培地中又は上記培地表面に配設される管路とを備え、上記管路の壁面の少なくとも一部が、水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜である。
また、本発明の一態様に係る栽培システムは、上記栽培装置と、温水を貯留する温水タンクとを備え、上記温水タンクの温水を上記管路内に流通させる。
また、本発明の一態様に係る栽培方法は、作物を着生させる培地と、上記培地中又は上記培地表面に配設される管路とを備え、上記管路の壁面の少なくとも一部が、水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜である栽培装置を用い、上記管路内に上記培地の温度より高い温度の水を流通させる。
当該栽培装置、当該栽培システム及び当該栽培方法は、作物を着生させる培地へ容易かつ確実に水を供給できる。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
本発明の一態様に係る栽培装置は、作物を着生させる培地と、上記培地中又は上記培地表面に配設される管路とを備え、上記管路の壁面の少なくとも一部が、水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜である。ここで「管路」とは、内部を流体が流通可能な管状の経路を意味する。また「疎水性多孔質膜」とは、水蒸気を透過させ、液体の水を透過させない膜状の部材を意味する。
当該栽培装置は、培地中又は培地表面に管路を備えるので、水が管路内を流通すると、管路内外の蒸気圧差により水の一部が水蒸気となって疎水性多孔質膜を透過し、管路外へ放出される。この水蒸気は培地に吸収されて培地が加湿される。つまり、当該栽培装置は、水を管路内に流通させることで、作物を着生させる培地へ容易かつ確実に水を供給できる。
また、別の本発明の一態様に係る栽培システムは、上記栽培装置と、温水を貯留する温水タンクと、上記温水タンクの温水を上記管路内に流通させる流通機構とを備える。
当該栽培システムは、蒸気圧の高い温水を管路内に流通させるので、管路外へ水蒸気を多く放出させることができ、作物を着生させる培地へ容易かつ確実に水を供給できる。また、当該栽培システムは、水蒸気が培地に吸収される際の凝縮熱及び管路外壁からの放射熱によって培地を加温できる。特に、夜等の気温が低下した条件において温水を管路内に流通させると、これらの効果が顕著になる。
当該栽培システムは、屋根上に水が流通可能な流路を有する温室を備え、太陽光により上記流路で加温された温水を上記温水タンクに貯留するとよい。当該栽培システムがこのような構成であると、太陽光により温水を生成できる。また、当該栽培システムは、砂漠等の昼間が高温になる乾燥地帯で採用されると、屋根において水が吸熱するので温室内の温度上昇を低減させることができる。
当該栽培システムは、上記温水タンクの壁面の少なくとも一部が、水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜であり、上記温水タンクの疎水性多孔質膜から透過した水蒸気を凝縮させる冷却器と、上記冷却器で凝縮された水を貯留する蒸留水タンクとをさらに備えているとよい。当該栽培システムがこのような構成であると、温水タンクに貯留された温水の一部が水蒸気となって疎水性多孔質膜から透過する。そして温水タンクの疎水性多孔質膜を透過した水蒸気は冷却器において凝縮し、水となって蒸留水タンクに貯留される。これにより、農業用水を得ることができる。
また、さらに別の本発明の一態様に係る栽培方法は、作物を着生させる培地と、上記培地中又は上記培地表面に配設される管路とを備え、上記管路の壁面の少なくとも一部が、水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜である栽培装置を用い、上記管路内に上記培地の温度より高い温度の水を流通させる栽培方法である。
当該栽培方法は、培地中又は培地表面の管路内に培地の温度より高い温度の水を流通させるので、作物を着生させる培地へ容易かつ確実に水を供給できる。また、当該栽培方法は、管路外へ水蒸気を多く放出させることができ、水蒸気が培地に吸収される際の凝縮熱及び管路外壁からの放射熱によって培地を加温できる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施形態に係る栽培装置、栽培システム及び栽培方法を説明する。
以下、適宜図面を参照しつつ本発明の実施形態に係る栽培装置、栽培システム及び栽培方法を説明する。
図1に示す栽培装置1は、作物を着生させる培地2と、培地2中及び培地2表面に配設される管路3とを備えている。管路3の壁面は、水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜である。また、当該栽培装置1は、栽培液4を底部に収容する水槽5と、この水槽5の底部に配設される土台6と、この土台6上に配設され、培地2の底部に栽培液4を供給する栽培液供給機構7とを備えている。また、培地2は、遮根透水シート8上に形成されている。
当該栽培装置1は、培地2中及び培地2表面に管路3を備えるので、水が管路3内を流通すると、管路3内外の蒸気圧差により水の一部が水蒸気となって疎水性多孔質膜を透過し、管路3外へ放出される。この水蒸気は培地2に吸収されて培地2が加湿される。つまり、当該栽培装置1は、水を管路3内に流通させることで、作物を着生させる培地2へ容易かつ確実に水を供給できる。
また、図2に示す栽培システムは、当該栽培装置1と、温水を貯留する温水タンク9と、温水タンク9の温水を管路3内に流通させる流通機構とを備える。当該栽培システムは、屋根10上に水が流通可能な流路11を有する温室12を備え、太陽光により流路11で加温された温水を温水タンク9に貯留する。この温水タンク9の壁面の一部は、水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜9aである。また、当該栽培システムは、温水タンク9の疎水性多孔質膜9aから透過した水蒸気を凝縮させる冷却器13と、冷却器13で凝縮された水を貯留する蒸留水タンク14とをさらに備えている。
当該栽培システムは、温水を管路3内に流通させるので、管路3外へ水蒸気を多く放出させることができ、作物を着生させる培地2へ容易かつ確実に水を供給できる。また、当該栽培システムは、水蒸気が培地2に吸収される際の凝縮熱及び管路3外壁からの放射熱によって培地2を加温することができる。当該栽培システムは、特に、夜等の気温が低下した条件において温水を管路3内に流通させると、これらの効果が顕著になる。
また、当該栽培システムは、温水タンク9に貯留された温水の一部が水蒸気となって疎水性多孔質膜9aから透過する。そして温水タンク9の疎水性多孔質膜9aを透過した水蒸気は冷却器13において凝縮し、水となって蒸留水タンク14に貯留される。これにより、農業用水を得ることができる。
<栽培装置>
当該栽培システムは、温室10内に栽培装置1を配置している。栽培装置1は、毛管水耕栽培に用いられる栽培装置である。なお、図1及び図2では省略されているが、栽培装置1から周囲へ水蒸気及び熱が拡散するのを防止するために、栽培装置1全体がビニール製のカバー等で覆われていると好ましい。
当該栽培システムは、温室10内に栽培装置1を配置している。栽培装置1は、毛管水耕栽培に用いられる栽培装置である。なお、図1及び図2では省略されているが、栽培装置1から周囲へ水蒸気及び熱が拡散するのを防止するために、栽培装置1全体がビニール製のカバー等で覆われていると好ましい。
(培地)
培地2は、作物を着生させる培地である。培地2は、密に充填されることで毛管現象を発現可能な粒子で構成されており、特に限定されないが、例えば土壌、パミスサンド等の微粒軽石、多孔性の火山岩の粉砕粒、粒状のロックウール、コーラルサンド、サンゴ、木炭等を採用することができる。
培地2は、作物を着生させる培地である。培地2は、密に充填されることで毛管現象を発現可能な粒子で構成されており、特に限定されないが、例えば土壌、パミスサンド等の微粒軽石、多孔性の火山岩の粉砕粒、粒状のロックウール、コーラルサンド、サンゴ、木炭等を採用することができる。
(管路)
管路3は、壁面が水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜で構成され、培地2中及び培地2表面に複数配設されている。管路3は、筒状の管であり、培地2中において略等間隔に間隔をあけて略平行に配設され、培地2表面において略等間隔に間隔をあけて略平行に配設されている。管路3の上流側は、後述する流路15に接続されており、管路3の下流側は、図示しない排出口へと接続されている。
管路3は、壁面が水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜で構成され、培地2中及び培地2表面に複数配設されている。管路3は、筒状の管であり、培地2中において略等間隔に間隔をあけて略平行に配設され、培地2表面において略等間隔に間隔をあけて略平行に配設されている。管路3の上流側は、後述する流路15に接続されており、管路3の下流側は、図示しない排出口へと接続されている。
管路3の壁面を構成する疎水性多孔質膜の材質としては、特に限定されないが、例えばポリテトラフルオロエチレン(四フッ化エチレン樹脂、以降PTFEとも記す)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)等の疎水性の樹脂を採用することができる。これらは2種以上を混合して用いてもよいし、変性樹脂を用いてもよい。これらの材質のうち、疎水性、機械的強度、及び化学的耐久性(耐薬品性)に優れるとともに、容易に均一孔径を形成できる観点から、PTFEが好ましい。
培地2中における管路3間の平均間隔の下限としては、1cmが好ましく、5cmがより好ましい。一方、上記平均間隔の上限としては、15cmが好ましく、10cmがより好ましい。培地2中における管路3間の平均間隔が上記下限より小さいと、管路3を多く配設する必要が生じ、コストが大きくなるおそれがある。逆に、上記平均間隔が上記上限を超えると、管路3間の培地2を十分に加湿できないおそれがある。
培地2表面における管路3間の平均間隔の下限としては、1cmが好ましく、5cmがより好ましい。一方、上記平均間隔の上限としては、15cmが好ましく、10cmがより好ましい。培地2表面における管路3間の平均間隔が上記下限より小さいと、管路3を多く配設する必要が生じ、コストが大きくなるおそれがある。逆に、上記平均間隔が上記上限を超えると、管路3間の培地2を十分に加湿できないおそれがある。
管路3の上流端から下流端までの長さの下限としては、100cmが好ましく、200cmがより好ましい。一方、上記長さの上限としては、5000cmが好ましく、3000cmがより好ましい。管路3の上流端から下流端までの長さが上記下限より短いと、管路3を多く配設する必要が生じ、コストが大きくなるおそれがある。逆に、上記長さが上記上限を超えると、管路3の途中で温水が冷却されてしまい、培地2を十分に加湿できないおそれがある。
培地2の温度に対する管路3の入口における温水の温度の差の下限としては、0℃が好ましく、+10℃がより好ましい。一方、上記温度差の上限としては、+50℃が好ましく、+30℃がより好ましい。培地2の温度に対する管路3の入口における温水の温度の差が上記下限より小さいと、培地2を十分に加湿できないおそれがある。逆に、上記温度差が上記上限を超えると、管路3に高温の温水が進入することになり、培地2を加温し過ぎて作物の成長に影響を与えるおそれがある。
(栽培液)
栽培液4は、水を主成分とし、肥料を含むと好ましい。肥料は、水槽5において雑菌が繁殖することを抑制できる観点から、化学肥料を含むと好ましい。なお、肥料は、栽培液4により与えられるものに限定されず、培地2内に直接的に与えられるものであってもよい。
栽培液4は、水を主成分とし、肥料を含むと好ましい。肥料は、水槽5において雑菌が繁殖することを抑制できる観点から、化学肥料を含むと好ましい。なお、肥料は、栽培液4により与えられるものに限定されず、培地2内に直接的に与えられるものであってもよい。
(水槽)
水槽5は、断面に垂直な方向を長手方向とする溝型の樋状に形成されており、栽培液4及び土台6を底部に収容している。なお、土台6は、断面に垂直な方向を長手方向とする略長方体形状であって、断面に垂直な上部の2辺が角丸に形成されている。
水槽5は、断面に垂直な方向を長手方向とする溝型の樋状に形成されており、栽培液4及び土台6を底部に収容している。なお、土台6は、断面に垂直な方向を長手方向とする略長方体形状であって、断面に垂直な上部の2辺が角丸に形成されている。
(栽培液供給機構)
栽培液供給機構7は、水槽5の底部に貯留されている栽培液4を培地2の底部を構成する遮根透水シート8に供給する機構である。栽培液供給機構7は、毛管現象を利用して揚水する機構であり、具体的には、内部に毛管現象を発現可能な間隙を有する略矩形のシート体を用いて構成される。シート体としては、特に限定されないが、例えば、不織布、ロックウールシート、フェルトシート、ウレタンシート等のシート体を採用できる。これらのうち、吸水速度が速く、揚水力が高く、耐久性が高いものを得やすいという観点から、不織布が好ましい。シート体は、土台6の上面、上部の2辺の角丸及び側面に沿うように配設されている。そして、土台6の側面に位置するシート体の両端が水槽5内の栽培液4に浸されることで、栽培液4がシート体の両端から中央へ向けて揚水されて遮根透水シート8の底部に導かれる。
栽培液供給機構7は、水槽5の底部に貯留されている栽培液4を培地2の底部を構成する遮根透水シート8に供給する機構である。栽培液供給機構7は、毛管現象を利用して揚水する機構であり、具体的には、内部に毛管現象を発現可能な間隙を有する略矩形のシート体を用いて構成される。シート体としては、特に限定されないが、例えば、不織布、ロックウールシート、フェルトシート、ウレタンシート等のシート体を採用できる。これらのうち、吸水速度が速く、揚水力が高く、耐久性が高いものを得やすいという観点から、不織布が好ましい。シート体は、土台6の上面、上部の2辺の角丸及び側面に沿うように配設されている。そして、土台6の側面に位置するシート体の両端が水槽5内の栽培液4に浸されることで、栽培液4がシート体の両端から中央へ向けて揚水されて遮根透水シート8の底部に導かれる。
(遮根透水シート)
培地2は、遮根透水シート8上に形成されている。遮根透水シート8は、栽培液供給機構7により供給された栽培液4を底部から取り込み、毛管現象を利用してこの栽培液4を培地2へ揚水する機能と、上部から延伸する作物の根が下部に向けて通過するのを遮断する機能とを有している。遮根透水シート8は、内部に毛管現象を発現可能な間隙を有する略矩形のシートであり、シートの中央部分が培地2の底部となり、シートの中央部分より高い位置にある水槽5の縁にシートの対向する2辺が固定されることで溝型の樋状に形成されている。これにより、遮根透水シート8の中央部分は、培地2及び栽培液供給機構7間に挟まれるようにこれらと密着し、遮根透水シート8の両側部分は、空中で空気に触れている構成となっている。遮根透水シート8としては、特に限定されないが、例えば紙、織布、不織布等を採用できる。これらのうち、根が栽培液供給機構7や栽培液4に向かって進展するのを防止する目的及び耐久性が高いものを得やすいという観点から、遮根透水シート8が織布であると好ましい。
培地2は、遮根透水シート8上に形成されている。遮根透水シート8は、栽培液供給機構7により供給された栽培液4を底部から取り込み、毛管現象を利用してこの栽培液4を培地2へ揚水する機能と、上部から延伸する作物の根が下部に向けて通過するのを遮断する機能とを有している。遮根透水シート8は、内部に毛管現象を発現可能な間隙を有する略矩形のシートであり、シートの中央部分が培地2の底部となり、シートの中央部分より高い位置にある水槽5の縁にシートの対向する2辺が固定されることで溝型の樋状に形成されている。これにより、遮根透水シート8の中央部分は、培地2及び栽培液供給機構7間に挟まれるようにこれらと密着し、遮根透水シート8の両側部分は、空中で空気に触れている構成となっている。遮根透水シート8としては、特に限定されないが、例えば紙、織布、不織布等を採用できる。これらのうち、根が栽培液供給機構7や栽培液4に向かって進展するのを防止する目的及び耐久性が高いものを得やすいという観点から、遮根透水シート8が織布であると好ましい。
<温水タンク>
温水タンク9は、保温機能を有し、内部に温水を貯留するタンクである。温水タンク9の入口には、流路11が接続されており、温水タンク9の出口には、栽培装置1の管路3の上流側に通じる流路15が接続されている。また、温水タンク9の壁面の一部は、水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜9aで構成されている。疎水性多孔質膜9aの材質としては、管路3に用いられる疎水性多孔質膜の材質と同じものを採用できる。
温水タンク9は、保温機能を有し、内部に温水を貯留するタンクである。温水タンク9の入口には、流路11が接続されており、温水タンク9の出口には、栽培装置1の管路3の上流側に通じる流路15が接続されている。また、温水タンク9の壁面の一部は、水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜9aで構成されている。疎水性多孔質膜9aの材質としては、管路3に用いられる疎水性多孔質膜の材質と同じものを採用できる。
<屋根上の流路>
温室12の屋根10上には、樋状に形成された流路11が配設されている。流路11の上流側には、図示しないポンプで流路11に向けて水を送出する貯水タンク16が接続されており、流路11の下流には、温水タンク9が接続されている。この流路11は、太陽光を吸収して発熱する図示しない発熱体を有しており、流路11内を流通する水がこの発熱体の発熱により加温されて温水となる。発熱体は、例えば、透明な樋状の流路11の内表面の一部に形成された受光面に対してカーボンや黒色塗料等の光熱変換物質が塗布されて形成される。
温室12の屋根10上には、樋状に形成された流路11が配設されている。流路11の上流側には、図示しないポンプで流路11に向けて水を送出する貯水タンク16が接続されており、流路11の下流には、温水タンク9が接続されている。この流路11は、太陽光を吸収して発熱する図示しない発熱体を有しており、流路11内を流通する水がこの発熱体の発熱により加温されて温水となる。発熱体は、例えば、透明な樋状の流路11の内表面の一部に形成された受光面に対してカーボンや黒色塗料等の光熱変換物質が塗布されて形成される。
<冷却器>
冷却器13は、温水タンク9の疎水性多孔質膜9aを透過した水蒸気を冷却して凝縮させる冷却器である。冷却器13としては、水蒸気を冷却して凝縮させることが可能であればよく、例えば、凝縮用の壁面を有し、この壁面を冷却する熱交換器を採用できる。なお、冷却器13として、貯水タンク16と同じ温まっていない水を溜めたタンクを採用してもよい。この場合、この水を溜めたタンクと温水タンクとの水の温度差が無くなった時点で水蒸気及び熱の移動は停止するが、冷却器のタンク内の加温された水を温水タンク9の温水としてさらに利用することも可能である。
冷却器13は、温水タンク9の疎水性多孔質膜9aを透過した水蒸気を冷却して凝縮させる冷却器である。冷却器13としては、水蒸気を冷却して凝縮させることが可能であればよく、例えば、凝縮用の壁面を有し、この壁面を冷却する熱交換器を採用できる。なお、冷却器13として、貯水タンク16と同じ温まっていない水を溜めたタンクを採用してもよい。この場合、この水を溜めたタンクと温水タンクとの水の温度差が無くなった時点で水蒸気及び熱の移動は停止するが、冷却器のタンク内の加温された水を温水タンク9の温水としてさらに利用することも可能である。
図2では省略されているが、疎水性多孔質膜9aを透過した水蒸気及び熱が周囲に拡散するのを防止するために、温水タンク9及び冷却器13間の隙間は密閉されている。この隙間の下部には、後述する蒸留水タンク14に導くための配管が接続され、この配管の接続位置に開閉弁が設けられていると好ましい。冷却器13の凝縮用の壁面で凝縮した水は、温水タンク9及び冷却器13間の隙間の下部に貯まるが、このような構成であれば、適当な時期に開閉弁が開かれることで、この隙間に貯まった蒸留水が蒸留水タンク14に導かれる。
<蒸留水タンク>
蒸留水タンク14は、冷却器13で凝縮した水を貯留するタンクである。蒸留水タンク14に貯留された水は、農業用水として利用できる。
蒸留水タンク14は、冷却器13で凝縮した水を貯留するタンクである。蒸留水タンク14に貯留された水は、農業用水として利用できる。
<流通機構>
流通機構は、温水タンク9の温水を管路3内に流通させる機構であり、流路15を用いて構成されている。流路15は、上流から下流に向けて傾斜しており、図示しない流路15の途中に設けられたバルブを操作することで、流路15内を流通する温水の量を調整可能となっている。
流通機構は、温水タンク9の温水を管路3内に流通させる機構であり、流路15を用いて構成されている。流路15は、上流から下流に向けて傾斜しており、図示しない流路15の途中に設けられたバルブを操作することで、流路15内を流通する温水の量を調整可能となっている。
[栽培方法]
当該栽培方法は、図1の当該栽培装置1を用いて実行される。当該栽培方法は、作物を着生させる培地2と、培地2中及び培地2表面に配設される管路3とを備え、管路3の壁面の少なくとも一部が、水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜である栽培装置1を用い、管路3内に培地2の温度より高い温度の水を流通させる。
当該栽培方法は、図1の当該栽培装置1を用いて実行される。当該栽培方法は、作物を着生させる培地2と、培地2中及び培地2表面に配設される管路3とを備え、管路3の壁面の少なくとも一部が、水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜である栽培装置1を用い、管路3内に培地2の温度より高い温度の水を流通させる。
当該栽培方法は、培地2中及び培地2表面の管路3内に培地2の温度より高い温度の水を流通させるので、作物を着生させる培地2へ容易かつ確実に水を供給できる。また、当該栽培方法は、管路3外へ水蒸気を多く放出させることができ、水蒸気が培地2に吸収される際の凝縮熱及び管路3外壁からの放射熱によって培地2を加温できる。
当該栽培方法は、管路3内に培地2の温度より高い温度の水を流通させる工程を少なくとも備えるが、これに加え、屋根10上の流路11に水を流通させて温水を得る工程及び温水から蒸留水を得る工程を備えていてもよい。
管路3内に培地2の温度より高い温度の水を流通させる工程は、温水タンク9に貯留された温水を管路3内に流通させることで実現される。具体的には、温水タンク9に貯留された温水を流路15に送出し、流路15に送出された温水を管路3内に流通させる。温水は、管路3内を流通して冷却された後、管路3から排出される。
屋根10上の流路11に水を流通させて温水を得る工程は、貯水タンク16から送出された水を屋根10上の流路11に流通させることで実現される。具体的には、太陽光が降り注ぐ昼の時間帯に屋根10上の流路11に水を送出し、太陽光による熱をこの水に吸収させる。そして熱を吸収した水は温水となって温水タンク9に導かれ貯留される。
温水から蒸留水を得る工程は、温水タンク9の疎水性多孔質膜9aから透過した水蒸気を冷却器13で凝縮し、凝縮された水を蒸留水タンク14に貯留することで実現される。
[利点]
当該栽培システムの栽培装置1は、培地2中又は培地2表面に配設される管路3を備え、この管路3内に温水を滞留させずに流通させるので、培地2を容易かつ確実に加湿及び加温できる。また、当該栽培システムは、屋根10上の流路11において自然エネルギーにより温水を得るので、温水を得るためのエネルギーを用意する必要がない。
当該栽培システムの栽培装置1は、培地2中又は培地2表面に配設される管路3を備え、この管路3内に温水を滞留させずに流通させるので、培地2を容易かつ確実に加湿及び加温できる。また、当該栽培システムは、屋根10上の流路11において自然エネルギーにより温水を得るので、温水を得るためのエネルギーを用意する必要がない。
また、当該栽培システムは、昼夜の寒暖差が激しい砂漠等の乾燥地帯で採用すると特に好適である。すなわち、当該栽培システムは、気温の高い昼の時間帯において、屋根10上の流路11において自然エネルギーにより温水を生成し、気温の低い夜の時間帯において、管路3内に温水を流通させて培地2を加湿及び加温できる。また、当該栽培システムは、気温の高い昼の時間帯において、屋根10上の流路11において水に熱を吸収させることで、温室12内の温度上昇を低減でき、気温の低い夜の時間帯において、屋根10上の流路11において水を滞留させることで、温室12内の温度低下を抑制できる。
[他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
上記実施形態では、管路3の壁面の全てが水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜で構成されるものについて説明したが、壁面の少なくとも一部が疎水性多孔質膜であってもよい。
上記実施形態では、管路3が、培地2中及び培地2表面に配設されているものについて説明したが、管路3は、培地2中又は培地2表面の少なくともいずれかに配設されていればよい。
また、管路3は、筒状の経路であればどのような形状であってもよい。例えば、管路3の垂直断面が円形状、楕円形状、矩形状、又は角丸矩形状であってもよく、管路3の途中で上記垂直断面の断面積が異なっていてもよい。また、平面視における管路3の経路は直線状に限定されず、例えば、波状又はジグザグ状となっていてもよい。
また、複数の管路3は、平行に配設されていなくてもよく、管路3毎に培地2中の深さ又は培地2表面からの高さが異なっていてもよい。
上記実施形態では、栽培システムが、温水タンク9を備えるものについて説明したが、このようなものに限定されず、温水タンク9を備えない構成であってもよい。例えば、栽培システムが、常温の水を管路3に流通させるものであってもよいし、化石燃料の燃焼を利用して水を加温しつつこの水を管路3に送出するものであってもよい。
上記実施形態では、温水タンク9が、太陽光により加温された温水を貯留するものについて説明したが、このようなものに限定されず、例えば化石燃料の燃焼により加温された温水を貯留するように構成してもよい。
上記実施形態では、温水タンク9の壁面の少なくとも一部が、水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜9aで構成されているものについて説明したが、温水タンクはこのようなものに限定されない。例えば、栽培システムが、保温機能のみを有する温水タンクを備える構成であってもよいし、保温機能のみを有する温水タンクと、壁面の少なくとも一部が、水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜9aで構成された温水タンクとを同時に備える構成であってもよい。
上記実施形態では、温室12の屋根10上に樋状の流路11が配設されるものについて説明したが、流路11は樋状に形成されていればよく、例えば、筒状又は溝状の形状に形成されてもよい。また、流路11の経路はどのような形状であってもよく、例えば、屋根面全体を直線的に流下する幅広い経路であってもよいし、屋根面を蛇行して流下する細い経路であってもよい。
上記実施形態では、栽培システムが温室10を備え、温室10内に栽培装置1が配置されるものについて説明したが、栽培システムが温室10を備えていなくてもよいし、栽培装置1が温室10内に配置されていなくてもよい。
上記実施形態では、栽培装置1が、毛管水耕栽培に用いられる栽培装置であるものについて説明したが、栽培装置はこのようなものに限定されない。例えば、土壌栽培に用いられる栽培装置であってもよい。
本発明の栽培装置、栽培システム及び栽培方法は、作物を着生させる培地へ水を容易かつ確実に供給可能とする。
1 栽培装置
2 培地
3 管路
4 栽培液
5 水槽
6 土台
7 栽培液供給機構
8 遮根透水シート
9 温水タンク
9a 疎水性多孔質膜
10 屋根
11 流路
12 温室
13 冷却器
14 蒸留水タンク
15 流路
16 貯水タンク
2 培地
3 管路
4 栽培液
5 水槽
6 土台
7 栽培液供給機構
8 遮根透水シート
9 温水タンク
9a 疎水性多孔質膜
10 屋根
11 流路
12 温室
13 冷却器
14 蒸留水タンク
15 流路
16 貯水タンク
Claims (5)
- 作物を着生させる培地と、
上記培地中又は上記培地表面に配設される管路と
を備え、
上記管路の壁面の少なくとも一部が、水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜である栽培装置。 - 請求項1に記載の栽培装置と、
温水を貯留する温水タンクと、
上記温水タンクの温水を上記管路内に流通させる流通機構と
を備える栽培システム。 - 屋根上に水が流通可能な流路を有する温室を備え、
太陽光により上記流路で加温された温水を上記温水タンクに貯留する請求項2に記載の栽培システム。 - 上記温水タンクの壁面の少なくとも一部が、水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜であり、
上記温水タンクの疎水性多孔質膜から透過した水蒸気を凝縮させる冷却器と、
上記冷却器で凝縮された水を貯留する蒸留水タンクと
をさらに備える請求項3に記載の栽培システム。 - 作物を着生させる培地と、上記培地中又は上記培地表面に配設される管路とを備え、上記管路の壁面の少なくとも一部が、水蒸気を透過可能な疎水性多孔質膜である栽培装置を用い、
上記管路内に上記培地の温度より高い温度の水を流通させる栽培方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016248140A JP2018099095A (ja) | 2016-12-21 | 2016-12-21 | 栽培装置、栽培システム及び栽培方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016248140A JP2018099095A (ja) | 2016-12-21 | 2016-12-21 | 栽培装置、栽培システム及び栽培方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=62713715
Family Applications (1)
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JP2016248140A Pending JP2018099095A (ja) | 2016-12-21 | 2016-12-21 | 栽培装置、栽培システム及び栽培方法 |
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Country | Link |
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-
2016
- 2016-12-21 JP JP2016248140A patent/JP2018099095A/ja active Pending
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