JPH06173237A - 塩水による潅漑設備 - Google Patents

塩水による潅漑設備

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JPH06173237A
JPH06173237A JP32971892A JP32971892A JPH06173237A JP H06173237 A JPH06173237 A JP H06173237A JP 32971892 A JP32971892 A JP 32971892A JP 32971892 A JP32971892 A JP 32971892A JP H06173237 A JPH06173237 A JP H06173237A
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JP
Japan
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groove
salt water
water
roof
temperature
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Withdrawn
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JP32971892A
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Masami Shiraishi
雅美 白石
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Shimizu Construction Co Ltd
Kubota Corp
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Construction Co Ltd
Kubota Corp
Shimizu Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 乾燥地域において、海水や塩分を含む井戸水
を用い、農地に安価に淡水を供給することができると共
に、保守管理の容易な塩水による潅漑設備を提供する。 【構成】 農地1に溝3を形成し、該溝3の内面に蒸気
透過性及び疎水性を有する膜4を敷設し、この溝3に農
地の土の温度より高い温度の温塩水5を流すようにす
る。すなわち、開放状態で、蒸気透過性及び疎水性の膜
4を介して、農地に温塩水5から発生する蒸気を供給
し、農地1内において蒸気を凝縮させ、淡水とする潅漑
設備である。そして、潅漑設備が開放状態であることに
より、その保守管理を容易なものとしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、淡水を得ることが困難
な地域において、塩水を用いて潅漑用の水を供給する塩
水による潅漑設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、砂漠のような乾燥した地域で
は、河川からの淡水を得難く、また、井戸水は塩分を含
んでいる場合が多い。そのため、植物の成育は、困難で
あった。砂漠地帯においては、飲料水等の供給のために
海水淡水化装置が設けられる場合があるが、海水淡水化
装置により製造された淡水は、コストが高く、農業用水
として用いた場合に、農作物のコストが高くなり、農業
用には不向きであった。
【0003】そこで、従来、特開昭62−236429
号公報「土地給水方法及び装置」に示されるような塩水
を用いた給水方法が提案されていた。前記給水方法は、
蒸気透過性及び疎水性を有するパイプ(もしくは中空構
造物)を地中に埋設し、パイプの周囲より高い温度の塩
水を、パイプ中に配水することにより、パイプ中の塩水
から発生する蒸気だけをパイプから透過させ、地中で凝
縮させることにより、地中に淡水を供給するものであ
る。以上のように塩水から潅漑用の淡水を供給するもの
とすれば、塩水淡水化装置に比較して低コストで塩水を
用いて農業用水を供給することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来の
給水方法では、パイプを地中に埋設するために、パイプ
の破損や目詰まりが生じても、破損、目詰まりの発見及
びその位置の特定及びその補修が困難であった。また、
パイプ中に塩水を配水するためには、塩水に若干の圧力
をかける必要があるが、蒸気透過性及び疎水性を有する
パイプは、一般に耐圧性(おおよそ0.5kgf/cm
2)が低く、従って、前記パイプを用いて長距離の配水
を行うことが困難であった。
【0005】また、パイプの耐圧の限界を越える圧がか
った場合は、パイプから直接塩水が吹き出す可能性があ
る。そして、パイプから塩水が吹き出した場合には、上
述のようにパイプの破損及び破損箇所を発見しずらいの
で、多量の塩水が漏出する可能性があり、田畑に致命的
な塩害を及ぼす可能性がある。また、パイプによる配水
は、基本的に密閉構造なので、パイプを管理する上で、
エアー抜きが必要となる。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、塩水により容易かつ
低コストで農地の潅漑を行うことができると共に、保守
管理も容易な塩水による潅漑設備を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、土地に溝を形
成し、該溝に蒸気透過性及び疎水性を有する膜を前記溝
内面を覆うように敷設し、前記溝に、周囲の土砂よりも
高い温度を有する塩水を流すことを前記課題の解決手段
とした。前記膜を敷設するに際し、前記溝の形状を維持
する透水性の支持枠を前記溝内面に沿って配置し、該支
持枠に沿って前記溝内面を覆うように前記膜を敷設する
ことが好ましい。
【0008】そして、前記膜を筒状に形成し、前記筒状
の膜を該膜の下部側が前記溝内面を覆うように敷設し、
前記筒状の膜の上部側を、前記筒状の膜内に配置された
内枠により支持することが好ましい。また、前記溝の上
に、該溝に沿って、該溝の開口部分を覆う屋根を設ける
ことが好ましい。
【0009】さらに、前記屋根を、前記溝に沿った中空
部を有する構造とし、前記屋根の中空部内に塩水を流す
ことが好ましい。また、前記屋根の内面に結露する水
を、前記溝の周囲の土砂に供給することが好ましい。
【0010】また、前記土地に複数の溝を配置し、該溝
のうちの一部の溝には、高温の塩水を流し、残りの溝に
は、低温の塩水を流し、前記一部の溝の周囲の土砂の温
度が上昇した段階で、高温の塩水を流す溝と低温の塩水
を流す溝とを切り替えることが好ましい。
【0011】
【作用】上記構成によれば、塩水を配水する配水系が開
放状態となっているので、膜にかかる圧力は、水の静水
圧だけであり、溝内が陰圧もしくは陽圧になることがな
く、溝の底面の傾斜もしくは動力による給水及び排水に
より、塩水を配水することができる。また、配水系が開
放状態なので、容易に保守管理を行うことができる。
【0012】また、溝の内面に沿って透水性の枠を設け
ることで、溝の内壁の崩落等により膜が損傷したり流路
が閉ざされるのを防止できる。さらに、屋根を設けるこ
とにより、溝の開放された部分から土砂等が流路に混入
するのを防止できる。
【0013】また、屋根を設けることにより、溝内の塩
水の開放面から蒸発する水を、屋根内面に結露させるこ
とができ、この結露水を淡水として土地に供給すること
ができる。さらに、屋根を中空とし、屋根内部に塩水を
流すことにより、上記屋根内面の結露による蒸発した水
の回収の回収率を向上することができると共に、太陽光
により屋根内の塩水を暖めることができ、溝に流す塩水
を、溝周囲の土砂の温度より高くすることが可能であ
り、さらに塩水を何等かの加温装置で加温する構成とし
ても、加温装置の簡略化を図ることができる。
【0014】また、複数の溝のうちの一部の溝に、高温
の塩水を流し、残りの溝に低温の塩水を流す構成とし、
高温の塩水と低温の塩水とを切り替えられるようにすれ
ば、一部の溝の周囲の土砂が高温の塩水を流すことによ
り温度が上がり、高温の塩水と土砂の温度差が小さくな
ったところで、低温の塩水を流すことで、土砂の温度を
下げることができると共に、低温の塩水を温めることが
できる。一方、低温の塩水を流すことで溝の周囲の土砂
を冷やし、冷やされた溝に高温の塩水を流すことによ
り、塩水と土砂との温度差が大きくなり、土砂に淡水を
供給しやすくなる。
【0015】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は、本発明の第1実施例の塩水による潅漑設
備を示すものであって、植物Pを育成するための土地1
を示すものである。土地1には、断面略U字状の防水透
湿側溝2が形成されている。該防水透湿側溝2は、前記
土地1に断面U字状の溝3を形成し、該溝3の表面に、
蒸気透過性及び疎水性を有する膜4を敷設したものであ
る。そして、防水透湿側溝2の両側方の土地には、育成
すべき植物Pが植えられている。
【0016】そして、膜4が敷設された溝3には、後述
する給排水設備により加温された温塩水5が流されてい
る。前記溝2は、深さ30〜50cmに形成されたもの
である。また、溝2は、その底面に水勾配が形成され、
溝2内に供給される温塩水5が一方向に流れるようにな
っている。
【0017】前記膜4は、周知のものであって、該膜4
は、液体を通過させることはないが、蒸気等の気体を透
過することができるものである。このような膜4は、例
えば、微小孔構造を有するポリプロピレン、ポリビニリ
デンフルオロライドもしくはポリテトラフルオロエチレ
ン等で構成することができる。そして、膜4は、帯状に
形成され、前記溝3の内面を覆いつくすように、溝3内
面に取付けられている。
【0018】前記溝3内に流される塩水は、溝3周囲の
土砂の温度に対して10〜30℃高い温度に加温されて
から給水されるようになっている。前記植物Pは、野
菜、穀物、果物、生花、樹木などの一般に栽培されるも
のである。上記構成の防水透湿側溝2によれば、加温さ
れた塩水5から発生する蒸気の一部が、前記膜2を透過
して、周囲の土砂に浸透すると共に、該土砂に熱を奪わ
れて土砂内で凝縮し、淡水となり、土砂に水分を供給す
ることになる。そして、土砂内において蒸気が凝縮され
てしまうことにより、土砂と塩水との間に温度差があれ
ば、土砂に連続的に蒸気を供給していくことができる。
【0019】したがって、防水透湿側溝2によれば、塩
水を蒸留する程のエネルギーを必要とせず、太陽エネル
ギーによる運転が容易に可能である。また、潅漑設備と
しては、この防水透湿側溝2と、塩水を加温する設備
と、塩水を給排水する設備とがあれば良く、逆浸透濾過
膜を用いた海水淡水化装置に比較して、設備投資及び運
転コストを極めて低くすることができる。
【0020】また、塩水を土地に配水する防水透湿側溝
2は、溝状であり開放状態となっているので、膜4の破
損や溝3内に異物が入り込むことによる流れの阻害を容
易に発見することができる。また、上述のようなトラブ
ルに対する補修や清掃を容易に行うことができ、さらに
膜4の設置や交換も容易に行うことができる。また、溝
3に塩水を排水するのに、加圧する必要がなく、膜4に
かかる圧力は静水圧(水深50cmで0.05kgf/
cm2、約4903Pa)だけであり、膜4で配管を構
成した場合のように内圧により、膜が破損する可能性が
ない。すなわち、第1実施例の潅漑設備によれば、塩水
の配水設備を埋設配管のような密閉構造とした場合に比
較して、保守管理を容易に行うことができる。
【0021】前記第1実施例においては、溝3の形状を
U字状としたが、本発明において、特に溝3の形状は限
定されるものではなく、例えば、V字状や逆台形状等の
形状としても良い。なお、溝3を形成した際に溝3の側
面がなるべく崩れないように、斜面となっていることが
好ましいが、後述するように溝3の内面に崩れ止めの枠
を設けた場合は、溝3の側面の形状も限定されるもので
はない。
【0022】図2は、本発明の第2実施例を示すもので
あって、第2実施例の塩水による潅漑設備は、第1実施
例の防水透湿側溝2に溝3の側面を支持する支持枠6と
溝3の上面開口を覆う屋根7を設けたものであり、前記
第1実施例と同様の構成要素については、同一の符号を
付してその説明を省略する。
【0023】第2実施例の潅漑設備における防水透湿側
溝2aは、前記溝3と、前記膜4と、前記溝3の形状を
維持する支持枠6と、前記溝3の上部開口を覆う屋根7
とから構成されている。防水透湿側溝2aには、上述の
第1実施例と同様に加温した温塩水5が流されている。
【0024】前記支持枠6は、前記溝3の内面の形状に
沿って設けられた網状のものであり、水を透水すること
ができると共に、溝3の側面の土砂が崩れるのを防止す
るようになっている。そして、この支持枠6の内面に支
持枠6に沿って前記膜4が敷設されている。
【0025】前記屋根7は、溝3に沿って、溝3の上部
開口を覆うように形成されたもので、その断面形状は、
中央部が高く、両側縁に向かうにつれて低くなるような
傾斜が設けられている。そして、屋根7の両側縁は、溝
3上部の開口部分よりも外側にでるようになっている。
また、屋根7の両側縁には、該両側縁に沿って側板部7
a、7aが垂設されている。
【0026】そして、上記構成の屋根7においては、温
塩水から発生する蒸気が屋根7の下面に結露した場合
に、屋根7の下面において、前記屋根7の傾斜により、
結露水が屋根7の両側縁側に流れるようになっている。
そして、溝3上部の開口部分より外側の屋根7の両側縁
において、側板部7aを伝って下に落下し、溝3の両側
方の土砂に淡水を供給するようになっている。
【0027】このような構成の第2実施例の潅漑設備の
防水透湿側溝2aによれば、上記第1実施例の潅漑設備
が奏する効果に加えて、支持枠6が溝3側面の土砂が崩
れるのを防止し、屋根7が溝3内に異物が侵入するのを
防止する。したがって、溝3に土砂等が入って温塩水の
流れが阻害されるのを防止することができる。
【0028】また、上記屋根7の構成によれば、温塩水
5の上面から大気中に逃げてしまう蒸気の一部が、屋根
7に結露として補足され、溝3の周囲の土砂に供給され
ることになり、温塩水5から土砂に供給される淡水の量
を高めることができる。
【0029】なお、上記第2実施例において、支持枠6
は網状のものとしたが、特に網状に限定されるものでは
なく、溝3側面の土砂の崩れを防止し、かつ、水及び水
蒸気を抵抗なく透過させることができるものであればよ
く、例えば、板状のものに多数の孔を設けたものや、細
板状の部材を格子状等に組んだものでも良い。
【0030】図3は、本発明の第3実施例を示すもので
あって、前記第2の実施例の膜4を筒状のものに代える
と共に、屋根7の内部を空洞としたものである。なお、
前記第1及び第2の実施例と同様の構成要素について
は、同一の符号を付してその説明を省略する。第3実施
例の防水透湿側溝2bにおいては、図3に示すように、
断面が逆台形状に形成された溝9の両側面に段差10、
10が形成されている。そして、前記溝9は、幅広く形
成された第1の溝9aと、該第1の溝9aの底面に形成
された第2の溝9bとから形成されている。前記溝9
は、その深さが30〜50cmに形成され、前記第2の
溝9bの幅が、10〜30cmに形成されている。な
お、この幅及び深さは、送られる塩水の量により適宜変
更するものであり、例えば、上記範囲以上に広くしても
良い。
【0031】また、第1の溝9aの底面の両側縁すなわ
ち段差10、10には、後述するように結露した淡水を
土砂に浸透させるための側溝10a、10aが形成され
ている。そして、前記第2実施例の支持枠6と同様の材
質の支持枠11が、前記段差10及び側溝10aを含む
前記溝9内面に沿って配置されている。第3実施例の膜
12は、筒状に形成され、その下部側が、前記第2の溝
9aの内面に沿って、前記支持枠11の内面に取付けら
れている。また、筒状の膜12の上部は、膜12内部に
配置された内枠13により支持されている。なお、前記
筒状の膜12は、一枚のシート状の膜12を内枠13に
余裕を持たせて巻き込むように形成したもので良く、第
3実施例の防水透湿側溝2bは、筒状の膜12内を密閉
構造として圧をかけて塩水を流通するものではなく、あ
くまでも第2の溝9a内を自然落下により塩水を流通さ
せるものである。
【0032】前記内枠13は、前記第2の溝9bの上部
開口に沿って設けられると共に、その断面形状が略3角
形とされている。なお、内枠13の形状は、内枠13の
上面の中央部を高く、両側部を低くして、後述するよう
に、内枠13上面に落下する水を内枠13の左右両側に
流せるものならば良く、例えば、内枠13の上面が半円
状や円弧状に形成されたものでも良い。そして、内枠1
3の両側縁が前記溝9の段差10に係止されることで、
内枠13が第2の溝9b上に支持されると共に、前記筒
状の膜12の上部を支持している。そして、第2の溝9
bにおいて、筒状の膜12内部に加温された温塩水が流
されている。
【0033】第3実施例の屋根14は、前記第1の溝9
aの上部開口に沿って厚板状に設けられると共に、その
内部に中空部14aを有する屋根本体部14bと、屋根
本体部14bの両側縁から側方に突出するフランジ部1
4c、14cとから形成されている。そして、屋根14
は、前記フランジ部14cが第1の溝9aの上部の両側
縁にそれぞれ支持されることで、第1の溝9a上に配置
されている。そして、屋根本体部14bの中空部14a
には、加温する前の冷塩水が流されている。
【0034】上記構成によれば、第1及び第2の実施例
の潅漑設備と同様に、筒状の膜12の第2の溝9bの内
面に沿った部分において温塩水から発生した蒸気が透過
し、溝9の両側方の土砂に淡水が供給される。
【0035】また、第2の溝9b内部の温塩水の上面か
ら発生した蒸気は、筒状の膜12の上部を透過して第1
の溝9a内部に溜まることになる。そして、第1の溝9
a内部に溜まった蒸気は、内部に加温していない比較的
冷たい冷塩水を流された屋根14の底面により冷やされ
て、屋根14の底面に結露して水滴を形成する。そし
て、該水滴は、下方に滴下し、三角形をした内枠13に
支持された筒状の膜12の上面を内枠13の斜面に沿っ
て流れ、第1の溝9aの底面(段差10)に流れること
になる。
【0036】そして、水滴は、第1の溝9aの底面の側
溝10aに淡水として溜まることになる。そして、側溝
10aに溜まった淡水が溝9の両側方の土砂に浸透する
ことになり、土砂に淡水が供給されることになる。上記
第3の実施例の潅漑設備によれば、第1及び第2の実施
例と同様に、低コストで土地に淡水を供給でき、また、
屋根13を取り外して膜12を引き上げることにより、
埋設された配管に比較して容易に保守管理を行うことが
できる。
【0037】さらに、屋根13内部に加温していない冷
塩水を流すことにより、屋根13が冷却器としての機能
を果たし、第2の溝9a内部を流れる温塩水の上面から
発生する蒸気の多くを凝縮させることができ、前記蒸気
を最終的に土砂に淡水として供給することができる。し
たがって、温塩水から発生する蒸気を効率良く利用する
ことができ、しいては、潅漑装置の熱効率を向上するこ
とができる。
【0038】また、屋根14内部を流れる冷塩水は、前
記蒸気の凝縮熱により温められると共に、太陽光がある
間は、太陽光により温められることになる。したがっ
て、屋根内部に流した塩水を、溝9に流す温塩水に用い
れば、塩水を加温するエネルギーを節約することがで
き、さらに潅漑装置の熱効率を向上することができる。
【0039】なお、第3実施例においては、膜12を筒
状とし、中枠13を設ける構成としたが、略第2実施例
と同様の構成要素において、屋根7の内部を中空とし
て、屋根7内に冷塩水を流す構成としても良い。
【0040】図4は、上記第1ないし第3の実施例の潅
漑装置の防水透湿側溝2、2a、2bのうちのいずれか
一つと、該防水透湿側溝2(ここでは、防水透湿側溝
2、2a、2bを代表して防水透湿側溝2を用いる)に
対して塩水を給排水する設備とを示すものである。すな
わち、防水透湿側溝2及び塩水の給排水機構を含む潅漑
設備全体を示すものである。
【0041】該潅漑設備は、塩水汲み上げ用のポンプ2
0aを含む塩水取水部20と、ソーラー式塩水加温装置
21と、農地となる土地1に互いに平行に配置された複
数の防水透湿側溝2…と、該防水透湿側溝2…からの排
水を受ける排水路22と、この排水を貯水する貯水タン
ク23と、該貯水タンク23の塩水を循環もしくは排水
するためのポンプ24と、これらをつなぐ配管25…と
からなる。
【0042】前記塩水取水部20は、農地の近傍におい
て、海水もしくは塩分を含む地下水を取水するためのも
のであり、取水口20aを有する配管25に取水用ポン
プ20bとバルブ20cとが設けられている。海水取水
部20からの配管25は、2つの配管25a、25bに
分岐している。そして、一方の配管25aは、バルブ2
1aを有するとともに加温装置21に接続されている。
他方の配管25bは、バルブ21bを有するとともに、
各防水透湿側溝2…に分岐する分岐配管部26に接続さ
れている。
【0043】該加温装置21は、太陽光を用いて水を加
温する周知のものである。そして、加温装置21の出水
側の配管も二つの配管25c、25dに分岐し、一方の
配管は25cは、バルブ21cを有し、前記配管25b
を介して分岐配管部25に接続されたバイパスとなって
いる。他方の配管25dは、さらに、2つの配管25
e、25fに分岐し、前記分岐配管部25に接続されて
いる。
【0044】前記配管分岐部26は、前記配管25bか
ら分岐した二つの配管25g、25hと、配管25gを
平行に配列された防水透湿側溝2…のうちの一つおきの
防水透湿側溝2…に接続するa系列配管25iと、配管
25hを残りの防水透湿側溝2…に接続するb系列配管
25jとからなる。また、配管25gには、配管25e
が接続され、その接続部分に三方バルブ26aが設けら
れている。一方、配管25hには、配管25fが接続さ
れ、その接続部分に三方バルブ26bが設けられてい
る。
【0045】このような構成のもとに、分岐配管部26
においては、二つの三方バルブ26a、26bを切り替
えることにより、一つおきの防水透湿側溝2…に温塩水
もしくは冷温水を流し、残りの防水透湿側溝2…に冷温
水もしくは温塩水を流すことができるようになってい
る。また、三方バルブ26a、26bにより、温塩水を
流す防水透湿側溝2…と冷温水を流す防水透湿側溝2…
とを切り替えることができるとともに、全ての防水透湿
側溝2…に温塩水もしくは冷塩水を流すことができるよ
うになっている。
【0046】前記農地に設けられた防水透湿側溝2…
は、上述のように平行に配置されるとともに、防水透湿
側溝2…同士の間には、農作物を植えるための畝(図示
略)が防水透湿側溝2…と平行に設けられている。すな
わち、防水透湿側溝2…の圃状配置は、防水透湿側溝2
…を、畝を挟んで平行に配置したものとなっている。前
記排水路22は、互いに平行に配置された防水透湿側溝
2…の一方の端部側に、防水透湿側溝2…に対して直角
に配置されている。
【0047】図5は、第1及び第2の防水透湿側溝2、
2aに対する給排水構造を示すものであり、防水透湿側
溝2、2aの一方の端部にa系列配管25iもしくはb
系列配管25jの出水口25kが配置され、他方の端部
に排水路22が配置されている。このような構成のもと
に、防水透湿側溝2、2aにおいては、一方の端部から
他方の端部に塩水が流され、他方の端部から溢れでた塩
水が排水路22に排出されるようになっている。
【0048】また、図6は、第3実施例に示す防水透湿
側溝2bにおける給排水構造を示すものである。防水透
湿側溝2bにおいては、前記a系列配管25iもしくは
b系列配管25jが屋根14の中空部14aに接続さ
れ、防水透湿側溝2bの一方の端部に屋根14の出水口
14dが配置され、他方の端部に排水路22が配置され
ている。このような構成のもとに、防水透湿側溝2bに
おいては、一方の端部から他方の端部に塩水が流され、
他方の端部から溢れでた塩水が排水路22に排出される
ようになっている。なお、防水透湿側溝2bにおいて
は、屋根14内部において冷温水を温め、これを温塩水
として防湿側溝2bに流す構成としても良い。
【0049】そして、上記潅漑設備においては、塩水取
水部20において海水もしくは塩分を含む塩水が取水さ
れ、取水された塩水が加温装置21に送られ、前記農地
の土砂の温度に対して10〜30℃高い温度に加温され
る。そして、加温された温塩水は、分岐配管部26及び
A系列配管21iもしくはB系列配管25jを通過し
て、平行に配列された各防水透湿側溝2…のうちの一つ
おきの防水透湿側溝2…に流される。そして、残りの防
水透湿側溝2…には、取水されたままの冷塩水が流され
る。
【0050】そして、防水透湿側溝2を流された塩水
は、排水路22に流され、集水され、貯水タンク23に
溜められるようになっている。貯水タンク23に溜めら
れた塩水は、余熱を有するので、ポンプ24により加温
装置21に送られ、塩水の加温の能率を向上するように
なっている。また、また、貯水タンク23に貯水された
塩水の一部は、塩水の塩分濃度が高くならないように、
排水される。
【0051】また、分岐配管部26においては、温塩水
の流される防水透湿側溝2…の周囲の土砂の温度が上昇
し、温塩水との温度差が減少した段階で、温塩水を流す
防水透湿側溝2…と冷塩水を流す防水透湿側溝2…とを
入れ替える。上記のように温塩水と冷塩水とを入れ替え
ることにより、冷塩水を流して温度が低下した防水透湿
側溝2…に温塩水を流すことで、温塩水と土砂との温度
差をひろげることができる。
【0052】一方、温塩水を流すことにより熱伝導と凝
縮熱で温度が上昇した防水透湿側溝2の周囲の土砂の温
度を、冷塩水を流すことにより下げることができ、上述
のように、温塩水と土砂との温度差を確保することがで
きる。また、冷塩水が温度の上昇した溝により温めら
れ、溝に流した塩水を循環して用いる場合に、冷塩水を
予め余熱することができ、潅漑装置のエネルギー効率を
上げることができる。
【0053】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、蒸気透過性及び疎水性を有する膜を敷設した溝に
温塩水を流すことにより、塩水を用いて、低コストで農
地に淡水を供給することができるとともに、保守管理を
容易に行うことができる。また、前記膜に静水圧以上の
圧がかかることがなく、内圧により膜が破損するおそれ
がない。また、溝の内面に支持枠を設けることにより、
溝の側面が崩れるのを防止することができる。また、溝
の上に屋根を設けることにより、溝内に異物が侵入する
のを防止することができるとともに、溝内の温塩水の上
面から発生する蒸気を屋根の内面に結露させ、これを淡
水として農地に供給することができ、潅漑設備の熱効率
を上げることができる。
【0054】また、前記屋根に中空部を設け、該中空部
に冷塩水を流す構成とすれば、屋根内面に効率良く蒸気
を結露させることができ、潅漑設備の熱効率を上げるこ
とができる。さらに、冷温水を蒸気凝縮熱及び太陽光に
より余熱することができ、これを温塩水として用いれ
ば、潅漑設備の熱効率を上げることができる。また、複
数の溝を互いに略平行に配置し、一部の溝に温塩水を流
し、残りの溝に冷温水を流すとともに、温塩水を流した
溝の周囲の土砂の温度が上昇した段階で、温塩水を流す
溝と冷塩水を流す溝とを切り替えることにより、温塩水
を流すことで温度の上昇した溝に冷塩水を流して温度を
下げ、一方、冷塩水を流すことにより温度の低下した溝
に温塩水を流すことができ、常に溝の周囲の土砂と温塩
水の温度差を確保することができる。また、温塩水を流
した溝に冷塩水を流すことにより、溝に流した塩水を循
環して用いる場合に、冷塩水を予め余熱することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の塩水による潅漑設備を示
す断面斜視図である。
【図2】本発明の第2実施例の塩水による潅漑設備を示
す断面斜視図である。
【図3】本発明の第3実施例の塩水による潅漑設備を示
す断面斜視図である。
【図4】上記第1ないし第3実施例の塩水による潅漑設
備の防水透湿側溝に塩水を給排水する設備を示す概略図
である
【図5】上記第1ないし第2実際例の防水透湿側溝に塩
水を給排水した状態を示す側面図である。
【図6】上記第3実施例の防水透湿側溝に塩水を給排水
した状態を示す側面図である。
【符号の説明】 1 土地 2 防水透湿側溝 2a 防水透湿側溝 2b 防水透湿側溝 3 溝 4 蒸気透過性及び疎水性を有する膜 5 塩水 6 支持枠 7 屋根 9 溝 9a 第1の溝 9b 第2の溝 11 支持枠 12 蒸気透過性及び疎水性を有する膜 13 内枠 14 屋根 14a 屋根の中空部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土地に溝を形成し、該溝に蒸気透過性及
    び疎水性を有する膜を前記溝内面を覆うように敷設し、
    前記溝に、周囲の土砂よりも高い温度を有する塩水を流
    すことを特徴する塩水による潅漑設備。
  2. 【請求項2】 前記膜を敷設するに際し、前記溝の形状
    を維持する透水性の支持枠を前記溝内面に沿って配置
    し、該支持枠に沿って前記溝内面を覆うように前記膜を
    敷設することを特徴とする請求項1記載の塩水による潅
    漑設備。
  3. 【請求項3】 前記膜を筒状に形成し、前記筒状の膜を
    該膜の下部側が前記溝内面を覆うように敷設し、前記筒
    状の膜の上部側を、前記筒状の膜内に配置される内枠に
    より支持することを特徴とする請求項1または請求項2
    記載の塩水による潅漑設備。
  4. 【請求項4】 前記溝の上に、該溝に沿って、該溝の開
    口部分を覆う屋根を設けることを特徴とする請求項1な
    いし3のいずれか一つに記載の塩水による潅漑設備。
  5. 【請求項5】 前記屋根を、前記溝に沿った中空部を有
    する構造とし、前記屋根の中空部内に塩水を流すことを
    特徴とする請求項4記載の塩水による潅漑設備。
  6. 【請求項6】 前記屋根の内面に結露する水を、前記溝
    の周囲の土砂に供給することを特徴とする請求項4また
    は5記載の塩水による潅漑設備。
  7. 【請求項7】 前記土地に複数の溝を配置し、該溝のう
    ちの一部の溝には、高温の塩水を流し、残りの溝には、
    低温の塩水を流し、前記一部の溝の周囲の土砂の温度が
    上昇した段階で、高温の塩水を流す溝と低温の塩水を流
    す溝とを切り替えることを特徴とする請求項1ないし6
    のいずれか一つに記載の塩水による潅漑設備。
JP32971892A 1992-12-09 1992-12-09 塩水による潅漑設備 Withdrawn JPH06173237A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105230167A (zh) * 2015-10-12 2016-01-13 潍坊友容实业有限公司 一种滨海重度盐碱地土壤改良及植被构建体系
CN110820889A (zh) * 2019-11-21 2020-02-21 中国水利水电科学研究院 一种区域水土环境综合治理方法

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