JP2018097796A - 画像解析装置、画像解析方法及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】受精卵の撮影画像を経時的に解析し、前核の状態を解析する手法を提供する。【解決手段】画像解析装置は、受精卵を時系列に撮影した複数の撮影画像から、前核の候補領域を検出し、次に前記候補領域内に存在する前核候補の数である前核候補数を検出する。そして、前記前核候補数の経時変化に基づいて、前記受精卵における前核の数を判定する。【選択図】図3

Description

本発明は、受精卵における前核の状態を判定する技術に関する。
不妊治療分野では、治療率や患者のQOL(Quality Of Life)の観点から、胚の着床率を予測し、移植対象の胚を選別することが行われている。従来、胚を非侵襲的に評価する手法として、顕微鏡による形態観察と、その際の形態から発育状況を判定することが行われてきた。
近年、タイムラプス装置の普及により、上記に加えて経時的な変化をも捉えることが可能となり、ある工程中・ある工程間の形態の時間的長さを指標とする試みもなされてきた。このような発育予測指標としては、これまで、胚の形態、卵割球の数や断片化の程度、これらの時間的関係性などが報告されている。また、形態以外の指標としては、胚の呼吸量(酸素消費量)や代謝物濃度などが知られている。この種の手法は、例えば特許文献1、2などに記載されている。
特許第5481696号公報 特許第5807288号公報
従来は、上記のような様々な指標が提案されてきたが、胚の発育の最も初期のイベントである受精の確認については、確立された方法がない状況であった。本発明は、受精卵の撮影画像を経時的に解析し、前核の状態を解析する手法を提供することを主な目的とする。
本発明の1つの観点では、画像解析装置は、受精卵を時系列に撮影した複数の撮影画像から、前核の候補領域を検出する第1検出手段と、前記候補領域内に存在する前核候補の数である前核候補数を検出する第2検出手段と、前記前核候補数の経時変化に基づいて、前記受精卵における前核の数を判定する判定手段と、を備える。
上記の画像解析装置は、受精卵を時系列に撮影した複数の撮影画像から、前核の候補領域を検出し、次に候補領域内に存在する前核候補の数である前核候補数を検出する。そして、前核候補数の経時変化に基づいて、受精卵における前核の数を判定する。こうして、時系列に撮影した複数の撮影画像の画像解析により、受精卵における前核の数を判定することができる。
上記の画像解析装置の一態様では、前記判定手段は、前記複数の撮影画像毎に前記候補領域のうちの1つを前核領域と判定する第1判定手段と、当該前核領域内に存在する前核候補数の経時変化に基づいて前記前核の数を判定する第2判定手段と、を備える。この態様では、撮影画像毎に前核領域を決定し、その前核領域について前核数の判定を行う。
好適には、前記第1判定手段は、前記候補領域のうち、経時変化において前核候補数が2つになった期間を有する候補領域を前記前核領域と判定する。
上記の画像解析装置の他の一態様では、前記判定手段は、各候補領域内に存在する前核候補数の経時変化に基づいて、前記候補領域のうちの1つを前核領域と判定する第1判定手段と、当該前核領域内における前核候補数の経時変化に基づいて前記前核の数を判定する第2判定手段と、を備える。この態様では、候補領域の1つを前核領域と決定し、その前核領域内における前核候補数の経時変化を見て前核の数を判定する。
好適には、前記第1判定手段は、経時変化において前記前核候補領域内における前核候補数が2つになった期間を有する場合、当該前核候補領域を前記前核領域と判定する。また、好適には、前記第1判定手段は、各候補領域において、異なる前核候補数毎の尤度を算出し、尤度が最も高い前核候補数を当該候補領域の前核候補数とする。
本発明の他の観点では、画像解析装置により実行される画像解析方法は、受精卵を時系列に撮影した複数の撮影画像から、前核の候補領域を検出する第1検出工程と、前記候補領域内に存在する前核候補の数である前核候補数を検出する第2検出工程と、前記前核候補数の経時変化に基づいて、前記受精卵における前核の数を判定する判定工程と、を備える。この方法によっても、時系列に撮影した複数の撮影画像の画像解析により、受精卵における前核の数を判定することができる。
本発明のさらに他の観点では、コンピュータを備える画像解析装置により実行されるプログラムは、受精卵を時系列に撮影した複数の撮影画像から、前核の候補領域を検出する第1検出工程、前記候補領域内に存在する前核候補の数である前核候補数を検出する第2検出工程、前記前核候補数の経時変化に基づいて、前記受精卵における前核の数を判定する判定工程、を前記コンピュータに実行させる。このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記の画像解析装置を実現することができる。
本発明のさらに他の観点では、画像解析装置は、受精卵を時系列に撮影した複数の撮影画像から検出された前核の候補領域内に存在する前核候補の数である前核候補数を取得する取得手段と、前記前核候補数の経時変化に基づいて、前記受精卵における前核の数を判定する判定手段と、を備える。この画像解析装置によれば、時系列に撮影した複数の撮影画像の画像解析により、受精卵における前核の数を判定することができる。
本発明のさらに他の観点では、画像解析装置により実行される画像解析方法は、受精卵を時系列に撮影した複数の撮影画像から検出された前核の候補領域内に存在する前核候補の数である前核候補数を取得する取得工程と、前記前核候補数の経時変化に基づいて、前記受精卵における前核の数を判定する判定工程と、を備える。この画像解析方法によれば、時系列に撮影した複数の撮影画像の画像解析により、受精卵における前核の数を判定することができる。
本発明のさらに他の観点では、コンピュータを備える画像解析装置により実行されるプログラムは、受精卵を時系列に撮影した複数の撮影画像から検出された前核の候補領域内に存在する前核候補の数である前核候補数を取得する取得工程、前記前核候補数の経時変化に基づいて、前記受精卵における前核の数を判定する判定工程、を前記コンピュータに実行させる。このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記の画像解析装置を実現することができる。
実施形態に係る受精卵の画像解析システムの構成を示す。 受精卵の撮影画像の例を示す。 第1実施形態による前核状態解析処理のフローチャートである。 第1実施形態による前核の解析方法を説明する図である。 第2実施形態による前核状態解析処理のフローチャートである。 第2実施形態による前核の解析方法を説明する図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
[背景]
これまでは、受精後一定の時刻に前核の数を観察し、その数によって受精結果を判定してきていた。通常、前核の数は2個(2PN)であり、前核の数が0,1,3,4以上のような数の場合は異常と見なされてきたが、2個以外の数的異常が観察手法によるアーティファクトなのか、実際上の異常なのかの切り分けが難しかった。
しかし、最近、タイムラプス装置を用いて前核の出現パターンを詳細に調べた結果が報告されている。その報告によると、前核が0個や1個の場合には異常である場合と正常だが観察漏れしている場合の2種類が混在していること、前核が3個以上の場合には正常胚はなく、異常と見なして良いこと、などがわかってきた。これにより、受精のイベントを正確に診断へ活かすための方法として、前核の数を判定すれば良いことがわかってきた。そこで、本実施形態では、受精卵の時系列的な撮影画像を解析することにより、前核の数を判定する。
[システム構成]
図1は、実施形態に係る受精卵の画像解析システムの構成を示す。図示のように、画像解析システムは、大別して撮影装置2と、画像解析装置3とを備える。撮影装置2は、例えば電子顕微鏡などであり、培養容器10内の受精卵の画像を撮影し、撮影画像を画像解析装置3へ出力する。具体的には、撮影装置2は、受精後一定の期間において、同一の受精卵について所定時間間隔で時系列的に複数の撮影画像を生成し、画像解析装置3に出力する。
画像解析装置3は、PC(Personal Computer)などにより構成され、同一の受精卵についての異なる時刻の撮影画像を解析することにより、受精卵に存在する前核の数を判定する。培養容器10内には複数の受精卵が載置されており、撮影装置2は必要に応じて、受精卵を識別するための識別情報、例えば、受精卵が収容されているウェルの識別情報などと対応付けて撮影画像を画像解析装置3へ出力する。
[撮影画像]
図2は、培養容器10及び受精卵の撮影画像の例を示す。培養容器10は円形の容器であり、中央部に収容部11が形成されている。収容部11内には、複数(図2の例では5×5=25個)のウェル12が形成されている。ウェル12は受精卵を収容するための窪みであり、1つのウェル12に1つの受精卵が収容されている。図1に示すように、収容部11は培養液13で満たされている。
図2には、1つのウェル12の部分の撮影画像20が示されている、撮影画像20は、ウェル12と、ウェル12内にある受精卵30とを含んでいる。撮影装置2は、同一の受精卵(即ち、同一のウェル12)についての撮影画像を所定時間間隔で複数生成し、画像解析装置3へ出力する。なお、撮影装置2は、ウェル12毎に1枚の画像を撮影してもよく、多数のウェル12を含む画像を撮影した後、それをウェル12毎に分割して個々のウェル12に対応する撮影画像としても良い。
[前核状態解析処理]
(第1実施形態)
図3は、第1実施形態に係る前核状態解析処理のフローチャートである。この処理は、撮影装置2から同一の受精卵についての複数の撮影画像を受信した画像解析装置3により実行される。まず、画像解析装置3は、受精卵の撮影画像の画像解析により、ウェル12の領域(以下、「ウェル領域」と呼ぶ。)を検出する(ステップS11)。画像解析装置3は、例えばエッジ抽出処理によりウェル領域を検出する。なお、ウェル12のサイズは既知であるので、画像解析装置3はウェル領域を検出する際に、ウェル12のサイズも考慮することができる。
次に、画像解析装置3は、撮影画像に基づいて、受精卵30の領域(以下、「受精卵領域」と呼ぶ。)を検出する(ステップS12)。画像解析装置3は、例えばウェル領域の内側の領域における色の違いに着目して受精卵領域を検出する。通常、ウェル12の内側の領域において、受精卵以外の領域は白であり、受精卵30の領域には多少の色がある。よって、画像解析装置3は、色の違いにより受精卵領域を検出することができる。
次に、画像解析装置3は、撮影画像に基づいて、受精卵領域内にある前核候補領域32を検出する(ステップS13)。ここで、「前核候補領域」とは、前核の可能性があると考えられる領域であり、受精卵領域内において周囲と輝度や色が異なる領域である。画像解析装置3は、例えば受精卵領域における輝度勾配を算出したり、輪郭を抽出したりすることにより前核候補領域を検出する。図2に例示する撮影画像20では、受精卵30の内側に4つの前核候補領域32a〜32dが検出されている。
次に、画像解析装置3は、各前核候補領域32について、前核候補の数を解析する(ステップS14)。ここで、「前核候補」とは、その撮影画像における形状、色などの特徴から、前核らしきもの、前核の可能性があると認められる部分を指し、「前核候補の数」(以下、「前核候補数」とも呼ぶ。)は、前核候補領域32内に存在する前核候補の数を指す。
図2に示す撮影画像20における前核候補数を図4(A)に示す。図2に示されるように、前核候補領域32aには前核候補を2つ見つけることができ、前核候補領域32bには前核候補を1つ見つけることができ、前核候補領域32cには前核候補を1つ見つけることができ、前核候補領域32dには前核候補を3つ見つけることができる。このように、画像解析装置3は、各前核候補領域32a〜32dについて、そこに含まれる前核候補の数を検出する。
次に、画像解析装置3は、撮影画像毎に前核領域を決定する(ステップS15)。即ち、画像解析装置3は、撮影画像に含まれる1又は複数の前核候補領域32から、そのうちの1つを前核領域と決定する。前核候補領域32内で検出される前核候補は、本当に前核である場合もあるが、実際には前核ではなく、撮影画像上に表れるノイズその他のアーティファクトであることもある。そこで、画像解析装置3は、各前核候補領域32内の前核候補を解析し、最も確からしい(尤度が高い)前核候補を含む前核候補領域を前核領域と決定する。
具体的には、前述のように正常な受精卵の前核数は2個であるので、基本的には2個の前核候補が検出された前核候補領域32が前核領域として決定されることになる。一方、いずれの前核候補領域32においても2個の前核候補が検出されなかった場合には、検出された前核候補数が0個、1個などであっても、その撮影画像において検出された複数の前核候補領域32のうち最も尤度が高い前核候補領域32が前核領域として決定される。図4(A)は、図2の例における前核候補領域32a〜32dについての前核領域の判定結果を示す。この例では、4つの前核候補領域32a〜32dのうち、2個の前核候補が検出された前核候補領域32aが前核領域と判定されている。こうして、画像解析装置3は、1つ以上の前核候補領域32が検出された撮影画像については、1つの前核領域を決定する。また、画像解析装置3は、決定された前核領域に含まれる前核候補を前核とみなす。
次に、画像解析装置3は、1つの受精卵について生成された全ての撮影画像の処理が終了したか否かを判定する(ステップS16)。全ての撮影画像の処理が終了していない場合には(ステップS16:No)、画像解析装置3は、ステップS11へ戻って次の撮影画像について上記のステップS11〜S15の処理を行う。そして、全ての撮影画像の処理が終了した場合(ステップS16:Yes)、画像解析装置3はステップS17へ進む。
なお、複数の撮影画像についてステップS11〜S15の処理を行う際、ある撮影画像についてステップS13で前核候補領域が1つも検出できなかった場合には、ステップS14、S15の処理は行わない。即ち、前核候補領域が検出できなかった撮影画像については、前核領域は決定されない。また、ステップS11でウェル領域を検出できない撮影画像やステップS12で受精卵領域を検出できない撮影画像は、処理の対象から除外する。
ステップS17では、画像解析装置3は、各撮影画像について、ステップS15で決定された前核領域内の前核数の経時変化に基づいて、解析の対象となっている受精卵(以下、「対象受精卵」とも呼ぶ。)の最終的な前核数を判定する(ステップS17)。図4(B)は、各撮影画像における前核領域内の前核数の経時変化を示す。横軸の時刻t1〜t8は、各撮影画像の撮影時刻を示す。即ち、この例では、時刻t1に撮影された撮影画像から時刻t8に撮影された撮影画像までの8枚の撮影画像について、それぞれの前核領域内の前核数が示されている。前核数の経時変化を考えた場合、正常な受精卵であれば、前核数は時間の経過とともに、0個→1個→2個→0個と推移することが知られている。よって、画像解析装置3は、各撮影画像の前核領域内の前核数がこのように推移した場合には、前核数は2個であると判定する。前核数が2個である受精卵は、正常な受精卵であると判定される。
なお、前核数の推移は理論上は上記のようになるが、画像解析装置3は所定時間間隔で撮影した画像に基づいて解析を行うので、例えば前核数が1個である期間において撮影画像が存在しないような場合には、前核数の推移は、0個→2個→0個となることも考えられる。よって、このような場合でも前核数は2個であると判定してよい。但し、いずれの撮影画像においても前核数が2個に達しないような場合には、前核数を2個と判定することはない。
こうして、最終的に対象受精卵の前核数が決定されると、画像解析装置3は解析結果を出力する(ステップS18)。例えば、画像解析装置3は、図示しない表示部などに解析結果を表示する。解析結果は、少なくともステップS17で判定された、対象受精卵の前核数を含む。また、必要に応じて、各撮影画像における前核候補領域の数、前核候補の撮影画像内における位置、前核の撮影画像内における位置、どの前核候補領域が前核領域と判定されたか、どの前核候補が前核と判定されたかなどの情報を解析結果に含めても良い。
(第2実施形態)
第1実施形態では、基本的に撮影画像毎に1つの前核領域を決定し、その前核領域内の前核数の経時変化を解析して対象受精卵の前核数を決定している。これに対し、第2実施形態では、前核候補領域毎に、複数の撮影画像にわたる前核候補数の経時変化を解析して前核数を決定し、その結果に基づいていずれかの前核候補領域を前核領域と決定し、決定された前核領域における前核数を対象受精卵の前核数と決定する。
図5は、第2実施形態に係る前核状態解析処理のフローチャートである。この処理は、撮影装置2から同一の受精卵について複数の撮影画像を受信した画像解析装置3により実行される。ここで、ステップS21〜S24は、図3に示す第1実施形態のステップS11〜S14と同一であるので、説明を省略する。
次に、画像解析装置3は、1つの受精卵について生成された全ての撮影画像の処理が終了したか否かを判定する(ステップS25)。全ての撮影画像の処理が終了していない場合には(ステップS25:No)、画像解析装置3は、ステップS21へ戻って次の撮影画像について上記のステップS21〜S24の処理を行う。そして、全ての撮影画像の処理が終了した場合(ステップS25:Yes)、画像解析装置3はステップS26へ進む。
ステップS26では、画像解析装置3は、複数の撮影画像にわたって、前核候補領域毎に前核候補数の経時変化を解析して前核数を決定する。具体的には、画像解析装置3は、各前核候補領域内で検出された前核候補数、及び、少なくともその前後の前核候補数についての尤度を算出し、最も高い尤度を有する前核候補数をその前核候補領域における前核数と決定する。例えば、ある前核候補領域で1個の前核候補領域が検出された場合、画像解析装置3は、その前核候補領域の画像の特徴などに基づいて、その前核候補領域における前核数が1個である場合の尤度に加えて、前核数が0個である場合の尤度、及び、前核数が2個である場合の尤度を算出する。そして、それらのうち最も高い尤度を有する前核数を、その前核候補領域における前核数と決定する。
このとき、画像解析装置3は、必要に応じて、前核候補数の経時変化に基づいて前核数を決定する。具体的には、画像解析装置3は、時間的に前後する撮影画像における前核候補数を考慮して前核数を決定する。例えば、ある連続する5枚の撮影画像において同一の前核候補領域で検出された前核数が、
0個→1個→1個→2個→1個→2個→2個
と変化した場合、前後の前核数を考慮すると、5番目の撮影画像の前核数は1個ではなく、2個であると判断することもできる。なお、その場合には、5番目の撮影画像における前核数が1個である場合の尤度と、2個である場合の尤度とを比較し、それらの差が所定値より小さい場合に5番目の画像における前核数を1個から2個へと修正するようにしてもよい。
図6は、上記のようにして、複数の撮影画像にわたり前核候補領域毎に決定された前核数の例を示す。なお、この例は、図2に示す撮影画像20とは異なる撮影画像の例であるものであり、図2に示す撮影画像20に図示した前核候補数とは一致しない。
図6の例において、前核候補領域32aについては、時刻t13の撮影画像から前核候補領域32aが現れ、時刻t21の画像以降は前核候補領域32aが消えている。また、時刻t13〜t15の撮影画像では前核候補領域32a内に前核は検出されず、時刻t16の撮影画像では前核候補領域32a内に1個の前核が検出され、時刻t17〜t19の撮影画像では前核候補領域32a内に2個の前核が検出され、時刻t20の撮影画像では前核候補領域32a内に前核は検出されなくなっている。
前核候補領域32bについては、時刻t12の撮影画像から前核候補領域32bが現れ、時刻t23以降は前核候補領域32bが消えている。また、時刻t12〜t22の撮影画像において前核候補領域32b内に1個の前核が検出されている。
前核候補領域32cについては、時刻t11の撮影画像から前核候補領域32cが現れ、時刻t17以降は前核候補領域32cが消えている。また、時刻t11〜t12の撮影画像においては前核候補領域32c内に前核は検出されず、時刻t13〜t14の撮影画像においては前核候補領域32c内に1個の前核が検出され、時刻t15〜t16の撮影画像においては前核候補領域32c内に前核が検出されなくなっている。
前核候補領域32dについては、時刻t19の撮影画像から前核候補領域32dが現れ、時刻t24以降は前核候補領域32dが消えている。また、時刻t19〜21の撮影画像においては前核候補領域32c内に前核は検出されず、時刻t22〜t23の撮影画像においては前核候補領域32d内に1つの前核が検出されている。
次に、画像解析装置3は、各前核候補領域における前核数の経時変化から、前核領域を判定して前核数を決定する(ステップS27)。具体的には、画像解析装置3は、図6に例示した各前核候補領域における前核数の推移に基づいて、複数の前核候補領域のうちの1つの前核候補領域を前核領域と決定する。前述のように、正常な受精卵であれば、前核数は時間の経過とともに、0個→1個→2個→0個と推移することが知られている。よって、画像解析装置3は、複数の前核候補領域のうち、このような正常な推移に近い経時変化を示している前核候補領域を前核領域であると判定する。図6の例においては、画像解析装置3は、前核候補領域32aを前核領域と判定し、対象受精卵の前核数を2個と決定する。
こうして前核領域が判定され、対象受精卵の前核数が決定されると、画像解析装置3は解析結果を出力する(ステップS28)。なお、解析結果の出力方法は、基本的に第1実施形態のステップS18と同様であるので、説明を省略する。
以上のように、本実施形態によれば、受精卵の時系列的な撮影画像を解析することにより前核の数を判定することができ、これにより正常な受精卵を効率的に確認することができる。
[変形例]
上記の実施形態では、受精卵を時系列に撮影した複数の撮影画像から前核の候補領域を検出して前核候補数を検出する処理と、前核候補数の経時変化に基づいて前核の数を判定する処理を同一の画像解析システムにより実施しているが、これらの処理を別々の装置を用いて実施するようにしてもよい。即ち、第1の装置により、受精卵を時系列に撮影した複数の撮影画像から前核の候補領域を検出して前核候補数を検出する処理を実施する。そして、その結果を第2の装置に供給し、第2の装置により、前核候補数の経時変化に基づいて前核の数を判定する処理を実施すればよい。
2 撮影装置
3 画像解析装置
10 培養容器
12 ウェル
20 撮影画像
30 受精卵
32 前核候補領域

Claims (11)

  1. 受精卵を時系列に撮影した複数の撮影画像から、前核の候補領域を検出する第1検出手段と、
    前記候補領域内に存在する前核候補の数である前核候補数を検出する第2検出手段と、
    前記前核候補数の経時変化に基づいて、前記受精卵における前核の数を判定する判定手段と、
    を備えることを特徴とする画像解析装置。
  2. 前記判定手段は、
    前記複数の撮影画像毎に前記候補領域のうちの1つを前核領域と判定する第1判定手段と、
    当該前核領域内に存在する前核候補数の経時変化に基づいて前記前核の数を判定する第2判定手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像解析装置。
  3. 前記第1判定手段は、前記候補領域のうち、経時変化において前核候補数が2つになった期間を有する候補領域を前記前核領域と判定することを特徴とする請求項2に記載の画像解析装置。
  4. 前記判定手段は、
    各候補領域内に存在する前核候補数の経時変化に基づいて、前記候補領域のうちの1つを前核領域と判定する第1判定手段と、
    当該前核領域内における前核候補数の経時変化に基づいて前記前核の数を判定する第2判定手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像解析装置。
  5. 前記第1判定手段は、経時変化において前記前核候補領域内における前核候補数が2つになった期間を有する場合、当該前核候補領域を前記前核領域と判定することを特徴とする請求項4に記載の画像解析装置。
  6. 前記第1判定手段は、各候補領域において、異なる前核候補数毎の尤度を算出し、尤度が最も高い前核候補数を当該候補領域の前核候補数とすることを特徴とする請求項4に記載の画像解析装置。
  7. 画像解析装置により実行される画像解析方法であって、
    受精卵を時系列に撮影した複数の撮影画像から、前核の候補領域を検出する第1検出工程と、
    前記候補領域内に存在する前核候補の数である前核候補数を検出する第2検出工程と、
    前記前核候補数の経時変化に基づいて、前記受精卵における前核の数を判定する判定工程と、
    を備えることを特徴とする受精卵の画像解析方法。
  8. コンピュータを備える画像解析装置により実行されるプログラムであって、
    受精卵を時系列に撮影した複数の撮影画像から、前核の候補領域を検出する第1検出工程、
    前記候補領域内に存在する前核候補の数である前核候補数を検出する第2検出工程、
    前記前核候補数の経時変化に基づいて、前記受精卵における前核の数を判定する判定工程、
    を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  9. 受精卵を時系列に撮影した複数の撮影画像から検出された前核の候補領域内に存在する前核候補の数である前核候補数を取得する取得手段と、
    前記前核候補数の経時変化に基づいて、前記受精卵における前核の数を判定する判定手段と、
    を備えることを特徴とする画像解析装置。
  10. 画像解析装置により実行される画像解析方法であって、
    受精卵を時系列に撮影した複数の撮影画像から検出された前核の候補領域内に存在する前核候補の数である前核候補数を取得する取得工程と、
    前記前核候補数の経時変化に基づいて、前記受精卵における前核の数を判定する判定工程と、
    を備えることを特徴とする受精卵の画像解析方法。
  11. コンピュータを備える画像解析装置により実行されるプログラムであって、
    受精卵を時系列に撮影した複数の撮影画像から検出された前核の候補領域内に存在する前核候補の数である前核候補数を取得する取得工程、
    前記前核候補数の経時変化に基づいて、前記受精卵における前核の数を判定する判定工程、
    を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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