JP2018096980A - 樹脂成分の定量方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ペーストに含まれる複数の樹脂成分が同程度の分子量や熱分解温度を有する場合であっても、各樹脂成分の含有量を個別に定量する方法を提供する。【解決手段】複数の樹脂成分と無機粉末とを含むペースト中の各樹脂成分の含有量を個別に定量する定量方法であって、ペーストと有機溶媒を混合し、複数の樹脂成分を溶解させる溶解工程と、溶解工程で得られた溶液から無機粉末を分離し、複数の樹脂成分を含む樹脂溶液を形成する分離工程と、樹脂溶液を熱分解ガスクロマトグラフィで測定し、各樹脂成分の熱分解により生じる各樹脂成分に固有の熱分解生成物のピーク面積値をそれぞれ求める測定工程と、各樹脂成分について、含有量と固有の熱分解生成物のピーク面積値との相関を示す検量線に基づき、測定工程で求めたピーク面積値からペースト中の含有量を算出する定量工程、を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂成分の定量方法に関する。
パソコンや携帯電話などでは、例えば積層チップコンデンサやチップ抵抗器をはじめとした様々な電子部品が使用されている。これら電子部品における導電体、抵抗体および絶縁体等は例えば電子部品用のペーストを用いて形成される。電子部品用のペーストは、金属粉末、ガラス粉末および無機酸化物などの無機粉末を有機溶媒に混練・分散させてペースト状としたものであり、例えば、導電物としてAu、Ag、Pd、Ni、Cuなどを含有する導体ペースト、抵抗材料としてRuなどを含む抵抗ペースト、および回路の保護膜などに用いられる絶縁ペースト等がある。
ペーストは、例えばセラミック基板やグリーンシート上に回路などのパターンとしてスクリーン印刷されるため、通常、無機粉末などの添加剤以外に樹脂成分が配合されて構成される。樹脂成分としては、乾燥・硬化後に基板への密着力を確保する目的でバインダ樹脂が、無機粉末をペースト中に分散・担持させる目的でビヒクル樹脂が、それぞれ配合されており、これら複数の樹脂成分はペーストにおいて極めて重要な役割を担っている。そのため、ペーストの品質管理や品質トラブルの原因解析において、樹脂成分を構成する複数の樹脂成分のそれぞれがペーストにどの程度含まれているか、その含有量を定量することが重要となる。
樹脂成分の定量方法として、例えばゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)がある(例えば特許文献1を参照)。GPCは分子サイズの差に基づいて分離を行なう液体クロマトグラフィの一種であり、分子量の高い分子は分子量の低い分子よりも速くカラム中を移動して溶出する。このため、分子量の小さい樹脂成分と分子量の大きい樹脂成分の相互分離が可能となり、得られたクロマトグラムのピーク面積から、樹脂成分を定量することが可能となる。
また別の定量方法として、例えば熱重量測定(TG)がある(例えば特許文献2を参照)。TGは、樹脂成分を加熱して熱分解させたときの重量変化を測定し、各樹脂成分の含有量を算出することができる。
特開2008−63457号公報 特開2013−195391号公報
しかしながら、GPCでは、ペーストに配合される複数の樹脂成分の分子量が同程度である場合、分子量の違いがないため、各樹脂成分を個別に定量することが困難となる。また同様に、TGでは、複数の樹脂成分の熱分解温度が近い場合、熱分解による重量変化に違いがないため、個別に定量することが困難となる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ペーストに含まれる複数の樹脂成分が同程度の分子量や熱分解温度を有する場合であっても、各樹脂成分の含有量を個別に定量する技術を提供することを目的とする。
本発明者は、ペーストに含まれる複数の樹脂成分の含有量を個別に定量できる方法について検討し、熱分解ガスクロマトグラフィに着目した。熱分解ガスクロマトグラフィは、複数の樹脂成分の混合物を熱分解し、得られるクロマトグラムから、各樹脂成分に固有の熱分解生成物のピーク面積値を求めることにより、各樹脂成分の含有量を定量することができる。しかも、複数の樹脂成分の組み合わせも特に限定されず、分子量や熱分解温度が類似する樹脂成分の組み合わせでも、分別して定量することができる。しかし、本発明者の検討によると、無機粉末、特に金属粉末を含む電子部品用ペーストを熱分解ガスクロマトグラフィで測定すると、各樹脂成分を個別に定量できるものの、各定量値を正確に取得できないことが確認された。これは、無機粉末が熱分解の際に触媒反応を示すことで、樹脂成分の熱分解についての反応効率や反応機構が変化し、樹脂成分に固有の熱分解生成物の発生量が大きく変動してしまうためと考えられる。このことから、電子部品用のペースト中の各樹脂成分を定量する場合、ペーストをそのまま熱分解ガスクロマトグラフィで測定するのではなく、予めペーストから無機粉末を取り除くとよいことが見出された。本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、以下のとおりである。
すなわち、本発明の第1の態様は、
複数の樹脂成分と無機粉末とを含むペースト中の各樹脂成分の含有量を個別に定量する定量方法であって、
前記ペーストと有機溶媒を混合し、前記複数の樹脂成分を溶解させる溶解工程と、
前記溶解工程で得られた溶液から前記無機粉末を分離し、前記複数の樹脂成分を含む樹脂溶液を形成する分離工程と、
前記樹脂溶液を熱分解ガスクロマトグラフィで測定し、各樹脂成分の熱分解により生じる各樹脂成分に固有の熱分解生成物のピーク面積値をそれぞれ求める測定工程と、
各樹脂成分について、含有量と固有の熱分解生成物のピーク面積値との相関を示す検量線に基づき、前記測定工程で求めたピーク面積値から前記ペースト中の含有量を算出する定量工程と、を有する樹脂成分の定量方法が提供される。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、
前記分離工程と前記測定工程との間に、前記樹脂溶液を乾燥させて前記有機溶媒を揮発させ、前記複数の樹脂成分を含む乾固物を形成する乾燥工程を有し、
前記測定工程では、前記乾固物を熱分解ガスクロマトグラフィで測定する。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、
前記有機溶媒は、熱分解により、前記測定工程で生じる各樹脂成分に固有の熱分解生成物と同一の熱分解生成物を生じさせないような成分である。
本発明の第4の態様は、第1〜第3の態様において、
前記分離工程では、前記無機粉末と前記樹脂溶液とを遠心分離する。
本発明の第5の態様は、
複数の樹脂成分と無機粉末とを含むペースト中の各樹脂成分の含有量を個別に定量する定量方法であって、
前記ペーストから前記無機粉末を分離し、前記複数の樹脂成分を熱分解ガスクロマトグラフィで測定することで、前記複数の樹脂成分の各含有量を個別に定量する、樹脂成分の定量方法が提供される。
本発明によれば、ペーストに含まれる複数の樹脂成分が同程度の分子量や熱分解温度を有する場合であっても、各樹脂成分の含有量を個別に定量することができる。
図1は、実施例1における樹脂Aについての含有量と固有の熱分解生成物である熱分解生成物Aのピーク面積値との相関を示す検量線である。 図2は、実施例1における樹脂Bについての含有量と固有の熱分解生成物である熱分解生成物Bのピーク面積値との相関を示す検量線である。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態にかかる樹脂成分の定量方法について説明する。本実施形態の樹脂成分の定量方法は、準備工程、溶解工程、分離工程、乾燥工程、測定工程および定量工程を有する。以下、各工程について詳述する。
(準備工程)
まず、複数の樹脂成分と無機粉末を含むペーストを準備する。本実施形態の定量方法に適用できるペーストとしては、複数の樹脂成分と無機粉末を含むものであれば、樹脂成分や無機粉末の種類は特に限定されない。例えば、金ペースト、銀ペースト、パラジウムペースト、銅ペースト、カーボンペースト、酸化ルテニウムペースト、ガラスペースト、はんだペーストなどが挙げられる。
(溶解工程)
続いて、ペーストを有機溶媒に添加し複数の樹脂成分を溶解させる。これにより、後述の分離工程で無機粉末を分離させやすくすることができる。
有機溶媒としては、定量対象である樹脂成分を溶解することができ、かつ、後述の測定工程において熱分解ガスクロマトグラフィで測定するときに、樹脂成分に由来する熱分解生成物と干渉しないものであれば、特に限定されない。つまり、有機溶媒としては、熱分解により、後述の測定工程で生じる各樹脂成分に固有の熱分解生成物と同一の熱分解生成物を生じさせない成分を用いることが好ましい。例えば、テトラヒドロフランやクロロホルムなどを用いることができる。
なお、ペーストにイオン性官能基を有する樹脂成分が含まれる場合、このような樹脂成分が無機粉末(特に金属粉末)の表面とイオン的な相互作用で吸着することがある。そこで、これらの樹脂成分を無機粉末と分離させる目的で、塩酸などの酸を微量添加してもよい。
(分離工程)
続いて、溶解工程にて得られた無機粉末を含む溶液から無機粉末を分離させる。これにより、複数の樹脂成分が有機溶媒に溶解した樹脂溶液を得る。
無機粉末を分離する方法は、特に限定されず、例えば、遠心分離やろ過分離などを用いることができる。遠心分離の場合、樹脂溶液を遠心分離管に移して遠心分離機にかけて、無機粉末を沈殿させることで、無機粉末と樹脂溶液とを分離させる。ろ過分離の場合、無機粉末を含む溶液をろ過機に通して無機粉末をろ過機で捕捉し、樹脂溶液と無機粉末とを分離させる。ろ過分離の場合、樹脂成分の分子量が高いとろ過機で捕捉されてしまうことがあるので、樹脂成分の分子量に応じてろ過方法を変更するとよい。樹脂溶液と無機粉末とを、簡易に、かつより確実に分離する観点からは、遠心分離が好ましい。
(乾燥工程)
続いて、分離工程で得られた樹脂溶液を乾燥させて有機溶媒を揮発させ、複数の樹脂成分を含む乾固物を形成する。有機溶媒を揮発させず樹脂溶液をそのまま、熱分解ガスクロマトグラフィで測定する場合、有機溶媒の種類によっては、熱分解ガスクロマトグラフィにより、定量対象である複数の樹脂成分に由来する固有の熱分解生成物と同一の熱分解生成物を生じさせ、各樹脂成分の定量値を変動させるおそれがあるからである。一方、有機溶媒を揮発させ、乾固物とすることで、有機溶媒によって定量値が変動することを抑制することができる。すなわち、乾燥工程を設けることにより、各樹脂成分をより正確に定量することができる。
なお、乾燥方法は特に限定されず、例えば、樹脂溶液を、有機溶媒の沸点以上、各樹脂成分の熱分解温度以下の温度で加熱するとよい。
(測定工程)
続いて、複数の樹脂成分を含む乾固物を熱分解ガスクロマトグラフィで測定し、ガスクロマトグラムを得る。各樹脂成分は熱分解により1又は複数の熱分解生成物を生じさせるので、複数の樹脂成分を熱分解ガスクロマトグラフィで測定すると、得られるクロマトグラムでは、複数の樹脂成分に由来する複数の熱分解生成物のピークが検出されることになる。例えば、熱分解により熱分解生成物aおよびbを生じさせる樹脂Xと熱分解生成物bおよびcを生じさせる樹脂Yを含む成分を熱分解ガスクロマトグラフィで測定する場合、得られるクロマトグラムでは熱分解生成物a〜cの複数のピークが検出されることになる。
そして、得られるクロマトグラムから、各樹脂成分の熱分解により生じる各樹脂成分に固有の熱分解生成物のピーク面積値を求める。具体的に説明すると、複数の異なる樹脂成分を熱分解する場合、異なる樹脂成分であっても、同一の熱分解生成物を生じさせることがあり、異なる樹脂成分で共通する熱分解生成物のピークからは、異なる複数の樹脂成分を個別に評価することができない。例えば、上述した樹脂Xおよび樹脂Yはともに熱分解生成物bを生じさせるので、熱分解生成物bのピーク面積値からはこれらの樹脂成分を合わせた含有量が定量されることになり、個別に定量することはできない。一方、各樹脂成分に固有の熱分解生成物のピークに着目することで、複数の樹脂成分を個別に定量することができる。例えば、樹脂Xは熱分解生成物aのピークに、樹脂Yは熱分解生成物cのピークに、それぞれ着目することで、これらの面積値から、各樹脂成分を個別に定量することができる。
(定量工程)
続いて、予め作成した検量線を用いて、測定工程で求めた各樹脂成分に固有の熱分解生成物のピーク面積値から、各樹脂成分の含有量を算出する。
検量線は、樹脂成分の含有量と、それに固有の熱分解生成物のピーク面積値との相関を示すものであり、本実施形態では、ペーストに含まれる複数の樹脂成分のそれぞれについて作成する。具体的には、まず、既知含有量の樹脂成分を含む樹脂溶液を標準溶液として準備する。次に、この標準溶液を熱分解ガスクロマトグラフィで測定することにより、その樹脂成分に固有の熱分解生成物のピーク面積値を求める。また、樹脂成分の含有量を段階的に変更し、各含有量での熱分解生成物のピーク面積値を求める。そして、樹脂成分の含有量に対して樹脂成分に固有の熱分解生成物のピーク面積値の変化量をプロットすることにより検量線を作成する。
定量工程では、測定工程で求めた各樹脂成分に固有の熱分解生成物のピーク面積値を、対応する検量線に照らしわせ、各樹脂成分の含有量を算出する。本実施形態では、熱分解生成物のピーク面積値が複数の樹脂成分のそれぞれに固有の値を示すので、各樹脂成分を個別に定量することができる。
なお、熱分解ガスクロマトグラフィで使用する検出器は目的の成分を検出できるものであればいかなるものを用いてもよいが、高分子の熱分解生成物にはさまざまな成分があるため、選択性の高い、質量分析計の使用が望ましい。
また、ペーストに含まれる複数の樹脂成分の種類が不明である場合、溶解工程の前に予め、公知の定性分析方法により、複数の樹脂成分の種類を特定するとよい。
<本実施形態に係る効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
本実施形態では、複数の樹脂成分と無機粉末とを含むペーストを、そのまま熱分解ガスクロマトグラフィで測定するのではなく、ペーストを有機溶媒に溶解させて無機粉末を分離させた後に測定している。これにより、樹脂成分の熱分解の際に無機粉末による触媒反応を抑制し、各樹脂成分に由来する熱分解生成物の発生量の変動を軽減できるので、樹脂成分を正確に定量することができる。しかも、複数の樹脂成分のそれぞれについて、各樹脂成分に固有の熱分解生成物のピーク面積値を求め、検量線を用いて各樹脂成分の含有量を算出することにより、各樹脂成分の含有量を個別に定量することができる。したがって、本実施形態の樹脂成分の定量方法によれば、ペーストに含まれる複数の樹脂成分を正確にかつ個別に定量することができる。
また、GPCやTGでは、複数の樹脂成分の分子量や熱分解温度が同程度であると、個別に定量することができないが、本実施形態では、熱分解ガスクロマトグラフィにより、各樹脂成分を固有の熱分解生成物に基づいて測定しているので、各樹脂成分を個別に定量することができる。
また、本実施形態では、分離工程と測定工程との間に樹脂溶液を乾燥させる乾燥工程を設け、測定工程では樹脂溶液を乾燥させた乾固物を用いて測定することが好ましい。測定工程の前に予め、乾燥により有機溶媒を揮発させることにより、熱分解ガスクロマトグラフィで測定する際に、有機溶媒に由来する熱分解生成物の発生を抑制し、各樹脂成分の含有量をより正確に反映したクロマトグラムが得られ、各樹脂成分をより正確に定量することができる。
また、ペーストを溶解させる有機溶媒としては、熱分解により、ペーストに含まれる複数の樹脂成分に固有の熱分解生成物と同一の熱分解生成物を生じさせないような成分を用いることが好ましい。このような有機溶媒によれば、溶解させたペーストから無機粉末を分離して樹脂溶液を形成したときに、樹脂溶液をそのまま熱分解ガスクロマトグラフィで測定しても、各樹脂成分の含有量を個別に、かつ正確に定量することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。本実施例では、樹脂成分の含有量が既知のペーストを準備し、このペーストについて定量を行い、実際の含有量と測定により得られた含有量とを比較することで、定量の精度を評価した。
本実施例で分析するペーストとして、平均粒径が0.05μm〜5.0μmの範囲内にある金属粉末、平均分子量が50,000〜100,000の範囲内にある樹脂Aおよび樹脂B、並びに有機溶媒を所定の含有量(仕込み量)で含む金属ペーストを準備した。
(実施例1)
金属ペーストを10mLのガラスバイアルに0.2g採取し、そこに有機溶媒としてのテトラヒドロフランを10mL添加し、30分間振とうすることで、金属ペースト中の樹脂Aおよび樹脂Bをテトラヒドロフランに溶解させた。この溶液1.5mLを遠心分離管に採取し、遠心分離機にセットして、10000Gの遠心力で15分間遠心分離を行い、金属粉末を沈殿させた。得られた溶液の上澄みをマイクロシリンジで10uL採取し、樹脂Aおよび樹脂Bが溶解する樹脂溶液を得た。この樹脂溶液を熱分解ガスクロマトグラフ用の試料カップに移入した。その試料カップを70℃で加熱して、テトラヒドロフランを揮発させた後、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析装置にセットし測定を行った。本実施例で用いた熱分解ガスクロマトグラフ質量分析装置の装置構成、および測定条件を下記表1に示す。
得られたクロマトグラムから、樹脂Aに由来する固有の熱分解生成物Aのピーク面積値と樹脂Bに由来する固有の熱分解生成物Bのピーク面積値とをそれぞれ求めた。
そして、図1および図2に示す検量線を用いて、ペーストに含まれる各樹脂成分の含有量を個別に算出した。図1は、実施例1における樹脂Aについての含有量と固有の熱分解生成物Aのピーク面積値との相関を示す検量線であり、横軸は含有量[μg]を、縦軸はピーク面積値(強度)をそれぞれ示す。図2は、実施例1における樹脂Bについての含有量と固有の熱分解生成物Bのピーク面積値との相関を示す検量線であり、横軸は含有量[μg]を、縦軸はピーク面積値(強度)をそれぞれ示す。これらの検量線は、事前に既知濃度の樹脂Aおよび樹脂Bを含むテトラヒドロフラン溶液を用いて上記と同様に熱分解ガスクロマトグラフィで測定を行い、作成した。
検量線を用いて算出された各樹脂成分の含有量は、樹脂Aが本来の含有量の1.06倍であり、樹脂Bが本来の含有量の1.17倍であることが確認された。すなわち、測定により得られた各樹脂の含有量が本来の含有量と近似しており、各樹脂成分の含有量を正確かつ個別に定量できることが確認された。
(比較例1)
比較例1では、金属粉末を遠心分離で沈殿分離させる操作を省略した以外は、実施例1と同様に定量分析を行った。その結果、算出された各樹脂成分の含有量は、樹脂Aが本来の含有量の2.06倍であり、樹脂Bが本来の含有量の1.33倍であることが確認された。すなわち、金属粉末を分離せずに熱分解ガスクロマトグラフィで測定すると、特に樹脂Aの定量値が本来の含有量よりもかなり大きな値となり、正確に定量できないことが確認された。これは、熱分解時に共存する金属粉末の触媒活性によって樹脂成分の熱分解反応の効率や分解反応機構が変化することで、熱分解生成物Aが樹脂A以外から生成されてしまったためと考えられる。
なお、ペーストをGPCで測定する場合、樹脂Aと樹脂Bの平均分子量は50,000〜100,000の範囲内にあるが、平均分子量の差が小さいため、各樹脂成分を個別に定量できないことが確認されている。
以上説明したように、複数の樹脂成分と無機粉末を含むペーストを熱分解ガスクロマトグラフィで測定する前に無機粉末を分離させることにより、各樹脂成分の含有量を個別にかつ正確に定量することができる。

Claims (5)

  1. 複数の樹脂成分と無機粉末とを含むペースト中の各樹脂成分の含有量を個別に定量する定量方法であって、
    前記ペーストと有機溶媒を混合し、前記複数の樹脂成分を溶解させる溶解工程と、
    前記溶解工程で得られた溶液から前記無機粉末を分離し、前記複数の樹脂成分を含む樹脂溶液を形成する分離工程と、
    前記樹脂溶液を熱分解ガスクロマトグラフィで測定し、各樹脂成分の熱分解により生じる各樹脂成分に固有の熱分解生成物のピーク面積値をそれぞれ求める測定工程と、
    各樹脂成分について、含有量と固有の熱分解生成物のピーク面積値との相関を示す検量線に基づき、前記測定工程で求めたピーク面積値から前記ペースト中の含有量を算出する定量工程、を有する樹脂成分の定量方法。
  2. 前記分離工程と前記測定工程との間に、前記樹脂溶液を乾燥させて前記有機溶媒を揮発させ、前記複数の樹脂成分を含む乾固物を形成する乾燥工程を有し、
    前記測定工程では、前記乾固物を熱分解ガスクロマトグラフィで測定する、請求項1に記載の樹脂成分の定量方法。
  3. 前記有機溶媒は、熱分解により、前記測定工程で生じる各樹脂成分に固有の熱分解生成物と同一の熱分解生成物を生じさせないような成分である、請求項1又は2に記載の樹脂成分の定量方法。
  4. 前記分離工程では、前記無機粉末と前記樹脂溶液とを遠心分離する、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂成分の定量方法。
  5. 複数の樹脂成分と無機粉末とを含むペースト中の各樹脂成分の含有量を個別に定量する定量方法であって、
    前記ペーストから前記無機粉末を分離し、前記複数の樹脂成分を熱分解ガスクロマトグラフィで測定することで、前記複数の樹脂成分の各含有量を個別に定量する、樹脂成分の定量方法。
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