(本開示の基礎となった知見)
例えば、特許文献1には、空調機の設定温度又は室内環境条件(部屋の広さ等)から寝具の保温性能を算出する方法と併せて、寝具の保温性能又は室内環境条件から空調機の設定温度を算出する方法も記載されている。
しかしながら、特許文献1では、寝具とその保温性能との対応があらかじめデータベースに用意されている必要があり、そのようなデータベースに情報が十分揃っていればよいが、多種多様な寝具の保温性能のデータを揃えるには時間及びコストが掛かってしまう。また、寝具の保温性能を得るために、空調機の設定温度又は室内環境条件をシステムに入力する手間も掛かる。そもそも、データベース内の寝具を使わない場合は、実際にどのような寝具で就寝しているのかはわからない。単純にデータベースの中から使用している寝具及び保温性能を選ぶことも考えられるが、様々な寝具のデータの中から使用している寝具を選ぶ操作も手間が掛かる。
また、非特許文献1の試験機では、布団の一部を切り出して試料とし、試験機内の熱源で36℃まで熱し、その後、熱源の温度が35℃まで下がるのに要する所要時間t1を計り、これを、熱源に試料を置かない場合に要した所要時間t0と比較して保温率を算出する。なお、保温率は下記の式(1)で計算され、試料を用いた所要時間t1が長いほど保温率は大きくなる。
保温率(%)=(1−所要時間t0÷所要時間t1)×100・・・(1)
しかしながら、実際に寝室で使用している寝具の保温率を測定しようとすると、保温率試験機を用意した上で、寝具の一部を切り取るといった作業が必要となり、手軽に寝具の保温性能を測定することはできない。
また、就寝中のユーザの体温を計ることも考えられるが、この場合、ユーザは、就寝中に肌から外れないように装着する体温計を煩わしく感じることがあり、体温計を用意するためのコストが掛かってしまう。
上記のように、従来は、寝具の保温性能(放熱性能)の測定には、コスト(寝具のデータベース、保温性能測定器等)及び操作の手間が掛かっており、普段、実際に就寝時に使用している寝具の保温性能を簡単に測定できないという課題があった。また、就寝時の寝具の保温性能がわかれば、寝具の保温性能に応じて、適切に空調を制することが可能となる。
以上の課題を解決するために、本開示の一態様に係る保温性能測定装置は、寝具の保温性能を測定する保温性能測定装置であって、前記保温性能測定装置の温度を測定する温度測定部と、演算処理を実行する演算実行部と、前記演算実行部の演算処理量を増加させることにより前記保温性能測定装置の温度を上昇させるとともに、前記温度測定部によって測定される前記保温性能測定装置の温度が第1の温度になった場合、前記演算処理量を減少させる演算制御部と、前記保温性能測定装置から前記寝具への熱伝導により、前記温度測定部によって測定される前記保温性能測定装置の温度が前記第1の温度から、前記第1の温度よりも低い第2の温度に冷却されるまでの冷却時間を計測する冷却時間計測部と、前記冷却時間計測部によって計測された前記冷却時間に基づいて、前記寝具の保温性能を算出する保温性能算出部と、を備える。
この構成によれば、保温性能測定装置の温度が測定される。演算処理が実行される。演算処理量が増加されることにより保温性能測定装置の温度を上昇させるとともに、測定される保温性能測定装置の温度が第1の温度になった場合、演算処理量が減少される。保温性能測定装置から寝具への熱伝導により、測定される保温性能測定装置の温度が第1の温度から、第1の温度よりも低い第2の温度に冷却されるまでの冷却時間が計測される。計測された冷却時間に基づいて、寝具の保温性能が算出される。
したがって、熱源である保温性能測定装置から寝具への熱伝導により、保温性能測定装置が冷却される冷却時間が計測され、計測された冷却時間に基づいて、寝具の保温性能が算出されるので、寝具と保温性能とを対応付けたデータベース及び専用の測定装置が不要となり、コストを抑えることができるとともに、実際に就寝時に使用している寝具の保温性能を簡単に測定することができる。
また、上記の保温性能測定装置において、前記保温性能測定装置は、携帯端末であってもよい。
この構成によれば、携帯端末が保温性能測定装置として用いられることにより、より簡単に寝具の保温性能を測定することができる。
また、上記の保温性能測定装置において、電力を供給するバッテリーをさらに備え、前記温度測定部は、前記バッテリーの温度を前記保温性能測定装置の温度として測定してもよい。
この構成によれば、バッテリーの温度が保温性能測定装置の温度として測定されるので、演算処理量に応じてバッテリーの温度を変化させることができ、保温性能測定装置の温度を容易に調整することができる。また、バッテリーは、保温性能測定装置の表面に近い位置に配置されるので、バッテリーからの熱をより直接的に寝具に伝えることができ、測定精度を向上させることができる。
また、上記の保温性能測定装置において、就寝又は起床のための機能が使用されたか否かを示す情報を取得する使用状況取得部と、前記機能が使用され、かつ現在の時刻が所定の開始時刻と所定の終了時刻との間の時刻であり、かつ前記保温性能測定装置の温度が前記第1の温度になった場合、前記冷却時間計測部による前記冷却時間の計測を開始すると判定する計測開始判定部と、をさらに備えてもよい。
この構成によれば、就寝又は起床のための機能が使用されたか否かを示す情報が取得される。就寝又は起床のための機能が使用され、かつ現在の時刻が所定の開始時刻と所定の終了時刻との間の時刻であり、かつ保温性能測定装置の温度が第1の温度になった場合、冷却時間の計測が開始される。
したがって、ユーザの就寝時において冷却時間の計測を開始することにより、就寝時の寝具の保温性能をより正確に測定することができる。
また、上記の保温性能測定装置において、前記保温性能測定装置から大気への熱伝導により、前記温度測定部によって測定される前記保温性能測定装置の温度が前記第1の温度から前記第2の温度に冷却されるまでの基準冷却時間を予め記憶する基準時間記憶部をさらに備え、前記保温性能算出部は、前記冷却時間計測部によって計測された前記冷却時間と、前記基準時間記憶部に記憶されている前記基準冷却時間とに基づいて、前記寝具の保温率を前記保温性能として算出してもよい。
この構成によれば、保温性能測定装置から大気への熱伝導により、測定される保温性能測定装置の温度が第1の温度から第2の温度に冷却されるまでの基準冷却時間が基準時間記憶部に予め記憶されている。計測された冷却時間と、基準時間記憶部に記憶されている基準冷却時間とに基づいて、寝具の保温率が保温性能として算出される。
したがって、冷却時間と基準冷却時間とに基づいて算出される保温率により保温性能を表すことができる。
また、上記の保温性能測定装置において、前記寝具は、敷布団であり、前記保温性能測定装置は、前記敷布団の上に載置されてもよい。この構成によれば、敷布団の保温性能を測定することができる。
また、上記の保温性能測定装置において、表示部と、前記寝具の保温性能が最後に測定されてからの経過時間を計測する経過時間計測部と、前記測定時間計測部によって計測された前記経過時間が所定の時間に達した場合、前記寝具の保温性能の測定をユーザに促す画面を前記表示部に表示する表示制御部と、をさらに備えてもよい。
この構成によれば、寝具の保温性能が最後に測定されてからの経過時間が計測される。計測された経過時間が所定の時間に達した場合、寝具の保温性能の測定をユーザに促す画面が表示部に表示される。したがって、ユーザに対して定期的に寝具の保温性能を測定するように促すことができる。
また、上記の保温性能測定装置において、前記寝具が存在する室内に設置された空調機器を運転する際の前記室内の目標温度を、前記寝具の保温性能に対応付けて記憶している目標温度記憶部と、前記保温性能算出部によって算出された前記保温性能に対応付けられている目標温度を前記目標温度記憶部から取得し、取得した前記目標温度を前記空調機器へ送信する目標温度設定部と、をさらに備えてもよい。
この構成によれば、寝具が存在する室内に設置された空調機器を運転する際の室内の目標温度が、寝具の保温性能に対応付けて目標温度記憶部に記憶されている。算出された保温性能に対応付けられている目標温度が前記目標温度記憶部から取得され、取得された目標温度が空調機器へ送信される。
したがって、室温が寝具の保温性能に応じた適切な目標温度となるように空調機器を制御することができ、快適な睡眠環境を実現することができる。
また、上記の保温性能測定装置において、前記寝具が存在する室内に設置された空調機器を運転する際の前記室内の第1の目標温度を、前記寝具の保温性能に対応付けて記憶している目標温度記憶部と、前記寝具において就寝しているユーザの体動の頻度を計測する体動頻度計測部と、前記保温性能算出部によって算出された前記保温性能に対応付けられている前記第1の目標温度を前記目標温度記憶部から取得し、前記体動の頻度に基づいて、前記第1の目標温度を補正した第2の目標温度を算出し、算出した前記第2の目標温度を前記空調機器へ送信する目標温度設定部と、をさらに備えてもよい。
この構成によれば、寝具が存在する室内に設置された空調機器を運転する際の室内の第1の目標温度が、寝具の保温性能に対応付けて目標温度記憶部に記憶されている。寝具において就寝しているユーザの体動の頻度が計測される。算出された保温性能に対応付けられている第1の目標温度が目標温度記憶部から取得され、体動の頻度に基づいて、第1の目標温度を補正した第2の目標温度が算出され、算出された第2の目標温度が空調機器へ送信される。
したがって、寝具の保温性能だけでなく、ユーザの体動の頻度も用いて、空調機器を運転する際の室内の目標温度が算出されるので、より快適な睡眠環境を実現することができる。
また、上記の保温性能測定装置において、前記ユーザの体動により前記ユーザの体から前記寝具へ移った熱移動量を、前記保温性能及び体動の頻度と、熱移動量との対応関係から推定する熱移動量推定部と、前記熱移動量に応じて前記第1の目標温度に加算すべき補正温度を、前記熱移動量に対応付けて記憶している補正温度記憶部と、をさらに備え、前記目標温度設定部は、前記保温性能算出部によって算出された前記保温性能に対応付けられている前記第1の目標温度を前記目標温度記憶部から取得し、前記熱移動量推定部によって推定された前記熱移動量に対応付けられている前記補正温度を前記補正温度記憶部から取得し、前記第1の目標温度に前記補正温度を加算した第2の目標温度を算出し、算出した前記第2の目標温度を前記空調機器へ送信してもよい。
この構成によれば、ユーザの体動によりユーザの体から寝具へ移った熱移動量が、保温性能及び体動の頻度と、熱移動量との対応関係から推定される。熱移動量に応じて第1の目標温度に加算すべき補正温度が、熱移動量に対応付けて補正温度記憶部に記憶されている。算出された保温性能に対応付けられている第1の目標温度が目標温度記憶部から取得される。推定された熱移動量に対応付けられている補正温度が補正温度記憶部から取得される。第1の目標温度に補正温度を加算した第2の目標温度が算出され、算出された第2の目標温度が空調機器へ送信される。
したがって、寝具の保温性能だけでなく、ユーザの体動によりユーザの体から寝具へ移った熱移動量も用いて、空調機器を運転する際の室内の目標温度が算出されるので、より快適な睡眠環境を実現することができる。
本開示の他の態様に係る保温性能測定方法は、寝具の保温性能を測定する保温性能測定装置における保温性能測定方法であって、前記保温性能測定装置の温度を測定し、演算処理を実行し、演算処理量を増加させることにより前記保温性能測定装置の温度を上昇させ、測定される前記保温性能測定装置の温度が第1の温度になった場合、前記演算処理量を減少させ、前記保温性能測定装置から前記寝具への熱伝導により、測定される前記保温性能測定装置の温度が前記第1の温度から、前記第1の温度よりも低い第2の温度に冷却されるまでの冷却時間を計測し、計測された前記冷却時間に基づいて、前記寝具の保温性能を算出する。
この構成によれば、保温性能測定装置の温度が測定される。演算処理が実行される。演算処理量が増加されることにより保温性能測定装置の温度を上昇させるとともに、測定される保温性能測定装置の温度が第1の温度になった場合、演算処理量が減少される。保温性能測定装置から寝具への熱伝導により、測定される保温性能測定装置の温度が第1の温度から、第1の温度よりも低い第2の温度に冷却されるまでの冷却時間が計測される。計測された冷却時間に基づいて、寝具の保温性能が算出される。
したがって、熱源である保温性能測定装置から寝具への熱伝導により、保温性能測定装置が冷却される冷却時間が計測され、計測された冷却時間に基づいて、寝具の保温性能が算出されるので、寝具と保温性能とを対応付けたデータベース及び専用の測定装置が不要となり、コストを抑えることができるとともに、実際に就寝時に使用している寝具の保温性能を簡単に測定することができる。
本開示の他の態様に係る保温性能測定プログラムは、寝具の保温性能を測定する保温性能測定プログラムであって、保温性能測定装置が備えるコンピュータを、前記保温性能測定装置の温度を測定する温度測定部と、演算処理を実行する演算実行部と、前記演算実行部の演算処理量を増加させることにより前記保温性能測定装置の温度を上昇させるとともに、前記温度測定部によって測定される前記保温性能測定装置の温度が第1の温度になった場合、前記演算処理量を減少させる演算制御部と、前記保温性能測定装置から前記寝具への熱伝導により、前記温度測定部によって測定される前記保温性能測定装置の温度が前記第1の温度から、前記第1の温度よりも低い第2の温度に冷却されるまでの冷却時間を計測する冷却時間計測部と、前記冷却時間計測部によって計測された前記冷却時間に基づいて、前記寝具の保温性能を算出する保温性能算出部として機能させる。
この構成によれば、保温性能測定装置の温度が測定される。演算処理が実行される。演算処理量が増加されることにより保温性能測定装置の温度を上昇させるとともに、測定される保温性能測定装置の温度が第1の温度になった場合、演算処理量が減少される。保温性能測定装置から寝具への熱伝導により、温度測定部によって測定される保温性能測定装置の温度が第1の温度から、第1の温度よりも低い第2の温度に冷却されるまでの冷却時間が計測される。計測された冷却時間に基づいて、寝具の保温性能が算出される。
したがって、熱源である保温性能測定装置から寝具への熱伝導により、保温性能測定装置が冷却される冷却時間が計測され、計測された冷却時間に基づいて、寝具の保温性能が算出されるので、寝具と保温性能とを対応付けたデータベース及び専用の測定装置が不要となり、コストを抑えることができるとともに、実際に就寝時に使用している寝具の保温性能を簡単に測定することができる。
本開示の他の態様に係る空調システムは、寝具の保温性能を測定する保温性能測定装置と、前記寝具が存在する室内に設置された空調機器と、前記空調機器を運転する際の前記室内の目標温度を決定するサーバとを備える空調システムであって、前記保温性能測定装置は、前記保温性能測定装置の温度を測定する温度測定部と、演算処理を実行する演算実行部と、前記演算実行部の演算処理量を増加させることにより前記保温性能測定装置の温度を上昇させるとともに、前記温度測定部によって測定される前記保温性能測定装置の温度が第1の温度になった場合、前記演算処理量を減少させる演算制御部と、前記保温性能測定装置から前記寝具への熱伝導により、前記温度測定部によって測定される前記保温性能測定装置の温度が前記第1の温度から、前記第1の温度よりも低い第2の温度に冷却されるまでの冷却時間を計測する冷却時間計測部と、前記冷却時間計測部によって計測された前記冷却時間に基づいて、前記寝具の保温性能を算出する保温性能算出部と、前記保温性能算出部によって算出された前記保温性能を前記サーバへ送信する送信部と、を備え、前記サーバは、前記保温性能測定装置によって送信された前記保温性能を受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記保温性能に基づいて、前記空調機器を運転する際の前記室内の目標温度を決定し、決定した前記目標温度を前記空調機器へ送信する目標温度設定部と、を備え、前記空調機器は、前記サーバによって送信された前記目標温度を受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記目標温度に前記室内の温度が到達するように、前記空調機器の運転を制御する空調制御部と、を備える。
この構成によれば、保温性能測定装置において、保温性能測定装置の温度が測定される。演算処理が実行される。演算処理量が増加されることにより保温性能測定装置の温度を上昇させるとともに、測定される保温性能測定装置の温度が第1の温度になった場合、演算処理量が減少される。保温性能測定装置から寝具への熱伝導により、測定される保温性能測定装置の温度が第1の温度から、第1の温度よりも低い第2の温度に冷却されるまでの冷却時間が計測される。計測された冷却時間に基づいて、寝具の保温性能が算出される。算出された保温性能がサーバへ送信される。サーバにおいて、保温性能測定装置によって送信された保温性能が受信される。受信された保温性能に基づいて、空調機器を運転する際の室内の目標温度が決定され、決定された目標温度が空調機器へ送信される。空調機器において、サーバによって送信された目標温度が受信される。受信された目標温度に室内の温度が到達するように、空調機器の運転が制御される。
したがって、熱源である保温性能測定装置から寝具への熱伝導により、保温性能測定装置が冷却される冷却時間が計測され、計測された冷却時間に基づいて、寝具の保温性能が算出されるので、寝具と保温性能とを対応付けたデータベース及び専用の測定装置が不要となり、コストを抑えることができるとともに、実際に就寝時に使用している寝具の保温性能を簡単に測定することができる。
また、サーバから空調機器へ目標温度が送信されるので、新たな空調機器が追加される場合に、新たな空調機器を目標温度で動作させる制御信号をサーバのみに追加すればよく、保温性能測定装置に制御信号を追加する手間を省くことができる。
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における空調システムの全体構成を示す図である。本実施の形態1における空調システムは、携帯端末1及び空調機器2を備える。携帯端末1は、ユーザ4が就寝するための敷布団3の上に載置される。敷布団3は、寝具の一例である。敷布団3及び空調機器2は、例えば寝室に配置される。携帯端末1は、保温性能測定装置として使用される。携帯端末1は、例えば、空調操作又はインターネット情報の閲覧にも用いられる。携帯端末1は、敷布団3に接触しており、熱源である携帯端末1から敷布団3への排熱を利用し、携帯端末1が備える温度センサによって排熱時の温度変化が計測され、敷布団3の保温性能が測定される。そして、携帯端末1は、敷布団3の保温性能に応じた目標温度を空調機器2へ送信する。空調機器2は、受信した目標温度となるように室温を制御する。
図2は、本実施の形態1における携帯端末の概略構成を示す図である。携帯端末1は、例えば、スマートフォン又はタブレットコンピュータである。携帯端末1は、空調操作又はウェブブラウジング等の様々な機能をアプリケーションとして追加することができる。携帯端末1は、演算部11、バッテリー12及び温度センサ13を内蔵している。演算部11は、例えばCPU(中央演算処理装置)である。
演算部11の演算処理量が増えると、演算部11自体及び/又は演算部11に電力を供給するバッテリー12が発熱する。例えば、ユーザ4が就寝する前に、携帯端末1でインターネット上のニュースを読んだり、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を確認したり、動画を視聴したり、音楽を聞いたりすると、演算部11の演算処理量が増え、内部の熱は携帯端末1の外部へ排熱される。特に、バッテリー12は、一般的に平板形状であるスマートフォンの形状に合わせて、携帯端末1の背面側の面積の大部分を占めることが多く、外部への排熱量が大きい。また、排熱が追いつかずに内部温度が上昇して携帯端末1が故障しないように、携帯端末1は、バッテリー12の温度を測定する温度センサ13を備える。携帯端末1は、バッテリー12の温度上昇を温度センサ13によって監視し、温度が高すぎる場合に一時的に演算部11の演算処理を停止する機能を有している。
なお、本実施の形態では、温度センサ13はバッテリー12の温度を携帯端末1の温度として測定しているが、本開示は特にこれに限定されず、演算部11の温度を携帯端末1の温度として測定してもよい。また、携帯端末1は、演算部11の温度を測定する温度センサと、バッテリー12の温度を測定する温度センサとを備えてもよい。この場合、演算部11の温度とバッテリー12の温度との平均値を携帯端末1の温度としてもよい。また、演算部11の温度とバッテリー12の温度とのうちの高い方の温度を携帯端末1の温度としてもよい。このように、演算部11の温度とバッテリー12の温度とを用いて携帯端末1の温度を算出してもよい。
図3は、本実施の形態1における携帯端末の機能構成を示すブロック図である。携帯端末1は、寝具の保温性能を測定する保温性能測定装置の一例である。図3に示す携帯端末1は、演算部11、バッテリー12、温度センサ13、メモリ14、表示部15及び通信部16を備える。
演算部11は、ウェブブラウジング等の携帯端末1の機能を提供するための演算処理を行う。バッテリー12は、演算部11の演算処理量に応じて必要な電力を演算部11に供給する。これにより、バッテリー12は発熱する。
温度センサ13は、携帯端末1の温度を測定する。温度センサ13は、バッテリー12の温度を携帯端末1の温度として測定する。例えば、演算部11の演算処理量が増えるとバッテリー12の内部温度は上昇する。その後、演算部11の演算処理量が減るとバッテリー12の排熱が進んで内部温度は徐々に低下する。
表示部15は、例えば液晶表示装置又はタッチパネルであり、種々の情報を表示する。
演算部11は、演算実行部110、演算制御部111、使用状況取得部112、計測開始判定部113、タイマー114、保温性能算出部115及び目標温度決定部116を備える。メモリ14は、基準時間記憶部141及び目標温度記憶部142を備える。
演算実行部110は、演算処理を実行する。演算実行部110は、ウェブブラウジング等の携帯端末1の機能を提供するための演算処理を行う。演算制御部111は、演算実行部110の演算処理量を増加させることにより携帯端末1の温度を上昇させるとともに、温度センサ13によって測定される携帯端末1の温度が第1の温度になった場合、演算処理量を減少する。
使用状況取得部112は、就寝又は起床のための機能が使用されたか否かを示す情報を含む携帯端末1の使用状況を取得する。使用状況取得部112は、就寝前であることを示す携帯端末1の使用状況として、就寝の妨げになるような通知が携帯端末1から発せられないように通信を停止するナイトモードに設定されているか否かを示す情報と、現在の時刻とを取得する。就寝前、すなわち、ユーザ4が布団に入っている、布団の近くにいる又は布団にもうすぐ近づくようなタイミングであれば、測定するだけのためにユーザ4が寝室へ行かなくてよいので、敷布団の保温性能を測定しやすい。なお、使用状況取得部112は、就寝前を示す使用状況として、ナイトモード以外に、携帯端末1の通知音量が通常より小さく設定されたことを示す情報、又は翌日の起床用アラームが設定されたことを示す情報を取得してもよい。
タイマー114は、携帯端末1から寝具への熱伝導により、温度センサ13によって測定される携帯端末1の温度が第1の温度から、第1の温度よりも低い第2の温度に冷却されるまでの冷却時間を計測する。
計測開始判定部113は、就寝又は起床のための機能が使用され、かつ現在の時刻が所定の開始時刻と所定の終了時刻との間の時刻であり、かつ携帯端末1の温度が第1の温度になった場合、タイマー114による冷却時間の計測を開始すると判定する。
計測開始判定部113は、温度センサ13で計測した携帯端末1の内部温度が所定範囲内(例えば42±1℃)であり、かつナイトモードに設定されており、かつ現在の時刻が所定の時間範囲内(例えば22時〜25時)である場合に、敷布団の保温性能を測定することをユーザに確認するための確認画面を表示部15に表示する。就寝前の携帯端末1の使用により(携帯端末1でニュースを読んだり、SNSを確認したり、動画・音楽を視聴する等)、携帯端末1の内部温度は上昇する。携帯端末1の内部温度が所定の温度範囲(42±1℃)内より低い場合は、演算制御部111は、演算実行部110に対し、所定の数値計算を繰り返し実行させる。演算実行部110は、所定の数値計算を繰り返し実行することにより、、携帯端末1の内部温度を上昇させる。
計測開始判定部113は、敷布団3の保温性能の測定を開始する前に、敷布団3の保温性能を測定することをユーザ4に確認するための確認画面を表示部15に表示する。
図4は、本実施の形態1において、敷布団の保温性能を測定することをユーザに確認するための確認画面の一例を示す図である。図4に示す確認画面601には、ユーザに携帯端末1を敷布団の上に置くように指示するメッセージが表示される。例えば、確認画面601には、「敷布団の保温性能の測定」、「約10分間スリープして敷布団の保温性能を測定します。」及び「本体の画面を上にして敷布団の上に置いてください。」というメッセージが表示される。また、確認画面601には、保温性能の測定を開始するための開始ボタン602と、保温性能の測定をキャンセルするためのキャンセルボタン603とが表示される。
図4に示す確認画面601によって、ユーザ4が携帯端末1を敷布団3の上に置いたことを確認した上で、携帯端末1の内部での発熱を抑えるため、演算部11は、冷却時間の計測に関わる処理以外の処理を計測終了までの間は停止する。すなわち、演算制御部111は、演算実行部110の演算処理を停止する。これにより、携帯端末1の内部温度が下がり始める。確認画面601に表示される開始ボタン602がタッチされることで、保温性能の測定が開始される。計測開始判定部113は、冷却時間の計測を開始するための第1の温度(例えば40℃)になったら、実際にタイマー114での冷却時間の計測を開始する。また、確認画面601に表示されるキャンセルボタン603がタッチされることで、保温性能の測定がキャンセルされる。
なお、所定の期間(例えば7日間)タイマー114で冷却時間の計測を開始すると判定されなかった場合、ユーザ4に寝具の保温性能の測定を促すための通知画面を表示してもよい。
図5は、本実施の形態1において、寝具の保温性能が所定の期間測定されなかった場合に、ユーザに寝具の保温性能の測定を促すための画面の一例を示す図である。図5に示す画面611には、ユーザに寝具の保温性能の測定を促すメッセージが表示される。例えば、画面611には、「敷布団の保温性能が測定されていません」、「寝具に合わせてエアコンを運転するためには敷布団の保温性能の測定が必要です。」及び「本体の画面を上にして敷布団の上に置いてください。」というメッセージが表示される。また、画面611には、保温性能の測定を開始するための開始ボタン612と、保温性能の測定をキャンセルするためのキャンセルボタン613とが表示される。
タイマー114は、寝具の保温性能が最後に測定されてからの経過時間を計測してもよい。計測開始判定部113は、タイマー114によって計測された経過時間が所定の時間に達した場合、寝具の保温性能の測定をユーザに促す画面611を表示部15に表示してもよい。
画面611に表示される開始ボタン612がタッチされることで、保温性能の測定が開始される。計測開始判定部113は、冷却時間の計測を開始するための第1の温度(例えば40℃)になったら、タイマー114での冷却時間の計測を開始する。また、画面611に表示されるキャンセルボタン613がタッチされることで、保温性能の測定がキャンセルされる。
タイマー114は、携帯端末1の内部温度が第1の温度(例えば、40℃)になり、計測開始判定部113により冷却時間の計測を開始すると判定されてから、敷布団3の上で携帯端末1の内部温度が第2の温度(例えば、30℃)を下回るまでの時間(以下、冷却時間とする)を計測する。保温性能の測定中は、計測開始判定部113は、測定完了までの残り時間をユーザに提示するための画面を表示部15に表示するとともに、演算制御部111は、演算実行部110の演算処理と、携帯端末1の内部での発熱を抑えるために演算部11等で冷却時間の計測に関わらない処理とを停止する。
図6は、本実施の形態1において、寝具の保温性能を測定している間に、測定完了までの残り時間をユーザに提示するための画面の一例を示す図である。図6に示す画面621には、保温性能の測定が完了するまでの残り時間が表示される。例えば、画面621には、「敷布団の保温性能を測定しています」、「推定残り時間約8:40」、「操作をしないでください。」及び「本体の画面を上にしたまま敷布団から動かさないでください。」というメッセージが表示される。また、画面621には、保温性能の測定を中止するための中止ボタン622が表示される。画面621に表示される中止ボタン622がタッチされることで、保温性能の測定が中止される。
基準時間記憶部141は、寝具とは異なる場所で測定され、携帯端末1から大気への熱伝導により、温度センサ13によって測定される携帯端末1の温度が第1の温度から、第1の温度よりも低い第2の温度に冷却されるまでの基準冷却時間を予め記憶する。タイマー114は、机(木製又は金属製等)の上などの安定した場所に置かれた状態で、携帯端末1の内部温度が第1の温度(例えば40℃)に達してから、第2の温度(例えば30℃)を下回るまでの時間を、基準冷却時間として事前に計測する。基準冷却時間の事前計測は、携帯端末1の初回操作時(又は所定定期間ごと、例えば3ヶ月ごと)に、基準冷却時間の測定を促すための画面を表示部15に表示し、ユーザ4に敷布団3の保温性能の測定を促す。
図7は、本実施の形態1において、ユーザに基準冷却時間の計測を促すための画面の一例を示す図である。図7に示す画面631には、ユーザに基準冷却時間の計測を促すメッセージが表示される。例えば、画面631には、「敷布団測定準備のお願い」、「敷布団の保温性能を測定するための準備(事前計測)を行います。」及び「本体の画面を下にして机の上など安定したところに置いてください。」というメッセージが表示される。また、画面631には、基準冷却時間の計測を開始するための開始ボタン632と、基準冷却時間の計測をキャンセルするためのキャンセルボタン633とが表示される。
画面631に表示される開始ボタン632がタッチされることで、基準冷却時間の計測が開始される。計測開始判定部113は、基準冷却時間の計測を開始するための第1の温度(例えば40℃)になったら、実際にタイマー114での基準冷却時間の計測を開始する。また、画面631に表示されるキャンセルボタン633がタッチされることで、基準冷却時間の計測がキャンセルされる。タイマー114は、携帯端末1の内部温度が第1の温度(例えば、40℃)になり、計測開始判定部113により基準冷却時間の計測を開始すると判定されてから、敷布団3の上で携帯端末1の内部温度が第2の温度(例えば、30℃)を下回るまでの冷却時間を計測し、計測した時間を基準冷却時間として基準時間記憶部141に記憶する。
また、上記のように、携帯端末1の画面を下にして机の上などの安定した場所に載置することにより、携帯端末1の背面部分が大気に触れることになり、携帯端末1の背面側に配置されたバッテリーからの排熱が大気中に伝達されることになる。
基準冷却時間は、保温性能を求めるために保温性能算出部115で使用される。基準冷却時間の計測開始時に、携帯端末1の内部温度が所定範囲内(42±1℃)より低い場合は、演算制御部111は、数値計算を繰り返し実行して内部温度を上昇させる。
保温性能算出部115は、タイマー114によって計測された冷却時間に基づいて、寝具の保温性能を算出する。保温性能算出部115は、タイマー114によって計測された冷却時間と、基準時間記憶部141に記憶されている基準冷却時間とに基づいて、寝具の保温性能を算出する。
保温性能算出部115は、タイマー114で計測した携帯端末1が敷布団3の上で第1の温度から第2の温度に冷却されるまでに要した冷却時間と、基準時間記憶部141に記憶されている基準冷却時間とを、下記の式(2)に代入することにより、保温率を算出する。
保温率(%)=(1−基準冷却時間÷冷却時間)×100・・・(2)
冷却時間が長くなると保温率は大きくなる。これは、敷布団3上で冷めるのに要する時間が長くなること、すなわち敷布団3が冷めにくいことを意味する。保温性能算出部115は、保温率を、敷布団3の保温性能として算出する。なお、放熱率は下記の式(3)で表すことができる。
放熱率(%)=基準冷却時間÷冷却時間×100・・・(3)
冷却時間が短くなると放熱率は大きくなる。これは、敷布団3が冷めやすいことを意味する。便宜上、本実施の形態では、保温率が大きいことと放熱率が小さいこととを同義とし、これを「保温性能が高い」又は「放熱性能が低い」とし、保温率が小さいことと放熱率が大きいこととを同義とし、これを「保温性能が低い」又は「放熱性能が高い」とする。
図8は、本実施の形態1において、冷却時間と基準冷却時間との関係を模式的に示すグラフである。図8において、縦軸は温度を示し、横軸は時間を示す。グラフG1は、携帯端末1が机の上で第1の温度(例えば40℃)から第2の温度(例えば30℃)に冷却されるまでに要した基準冷却時間を示し、グラフG2は、携帯端末1が敷布団3の上で第1の温度から第2の温度に冷却されるまでに要した冷却時間を示す。図8では、基準冷却時間が300秒であり、冷却時間が500秒であるので、保温率(保温性能)は、(1−300÷500)×100=40%となる。
なお、本実施の形態1では、保温性能を保温率により表しているが、本開示は特にこれに限定されず、保温性能を他の指標により表してもよい。
目標温度記憶部142は、寝具が存在する室内に設置された空調機器2を運転する際の室内の目標温度を、寝具の保温性能に対応付けて記憶している。目標温度記憶部142は、敷布団の保温率と室内の目標温度とを対応付けたデータテーブルを格納している。このデータテーブルはあらかじめ作成され、目標温度記憶部142に記憶される。
図9は、本実施の形態1において、目標温度記憶部に記憶される第1のデータテーブルの一例を示す図であり、図10は、本実施の形態1において、目標温度記憶部に記憶される第2のデータテーブルの一例を示す図である。目標温度記憶部142は、第1のデータテーブルと、第2のデータテーブルとを含む。第1のデータテーブルは、冬季(11月〜4月)に室内を暖める際に用いられ、第2のデータテーブルは、夏季(5月〜10月)に室内を冷却する際に用いられる。
第1のデータテーブルにおいて、30%未満の保温率には、標準目標温度20℃と同じ目標温度が対応付けられ、30%以上40%未満の保温率には、標準目標温度20℃から1℃減算した目標温度が対応付けられ、40%以上の保温率には、標準目標温度20℃から2℃減算した目標温度が対応付けられている。また、第2のデータテーブルにおいて、20%未満の保温率には、標準目標温度28℃に2℃加算した目標温度が対応付けられ、20%以上30%未満の保温率には、標準目標温度28℃に1℃加算した目標温度が対応付けられ、30%以上の保温率には、標準目標温度28℃と同じ目標温度が対応付けられている。
例えば、夏季に算出された敷布団の保温率が20%であれば、対応する室内の目標温度は27℃となる。なお、第1のデータテーブル及び第2のデータテーブルの数値は一例であり、これらに限定されない。
第1のデータテーブルにおいて、保温率が高くなるにつれて、敷布団の保温性が高くなるため、室内を暖めすぎないように目標温度が下げられる。また、第2のデータテーブルにおいて、保温率が低くなるにつれて、敷布団の放熱性が高くなるため、室内を冷やしすぎないように目標温度が上げられる。
目標温度決定部116は、保温性能算出部115によって算出された保温率に対応する目標温度を、目標温度記憶部142に記憶されているデータテーブルから取得する。目標温度決定部116は、第1のデータテーブルを参照する場合、保温率が30%未満であれば、目標温度を20℃に設定し、保温率が30%以上40%未満であれば、目標温度を19℃に設定し、保温率が40%以上であれば、目標温度を18℃に設定する。また、目標温度決定部116は、第2のデータテーブルを参照する場合、保温率が20%未満であれば、目標温度を30℃に設定し、保温率が20%以上30%未満であれば、目標温度を29℃に設定し、保温率が30%以上であれば、目標温度を28℃に設定する。
通信部16は、目標温度決定部116によって設定された目標温度を空調機器2へ送信する。空調機器2への目標温度の送信に関して、携帯端末1が赤外線発光部を備える場合、通信部16は、目標温度を赤外線信号として空調機器2へ送信する。携帯端末1が赤外線発光部を備えておらず、無線通信機能(2.4GHz周波数帯など)を備える場合、通信部16は、無線通信機能を有する赤外線信号出力装置(いわゆるユニバーサルリモコンなど)へ無線通信で目標温度を送信してもよく、赤外線信号出力装置が目標温度に対応する赤外線信号を空調機器2へ送信してもよい。
また、携帯端末1と空調機器2とが無線通信により互いに通信可能に接続される場合、通信部16は、目標温度を空調機器2へ直接送信してもよい。携帯端末1と空調機器2とがそれぞれネットワークに接続可能である場合、通信部16は、ネットワークを介して目標温度を空調機器2へ送信してもよい。ネットワークは、例えばインターネットである。
なお、本実施の形態1において、温度センサ13が温度測定部の一例に相当し、演算制御部111が演算制御部の一例に相当し、タイマー114が冷却時間計測部及び経過時間計測部の一例に相当し、保温性能算出部115が保温性能算出部の一例に相当し、使用状況取得部112が使用状況取得部の一例に相当し、計測開始判定部113が計測開始判定部及び表示制御部の一例に相当し、目標温度記憶部142が目標温度記憶部の一例に相当し、目標温度決定部116及び通信部16が目標温度設定部の一例に相当する。
図11は、本実施の形態1の携帯端末における保温性能測定処理を説明するための第1のフローチャートを示す図であり、図12は、本実施の形態1の携帯端末における保温性能測定処理を説明するための第2のフローチャートを示す図である。
まず、携帯端末1の動作が開始される場合、すなわち、携帯端末1の電源がオンされた場合又は携帯端末1が待機状態から復帰した場合、使用状況取得部112は、携帯端末1の使用状況を取得する(ステップS1)。使用状況取得部112は、就寝の妨げになるような通知が携帯端末1から発せられないように通信を停止する機能(ナイトモード)が設定されているか否かを示す情報と、現在の時刻とを携帯端末1の使用状況として取得する。
次に、計測開始判定部113は、携帯端末1の使用状況から所定の機能(例えば、ナイトモード)が設定されているか否かを判断する(ステップS2)。ここで、所定の機能が設定されていないと判断された場合(ステップS2でNO)、ステップS1の処理に戻る。
一方、所定の機能が設定されていると判断された場合(ステップS2でYES)、計測開始判定部113は、携帯端末1の使用状況から現在の時刻が所定の時間範囲内であるか否かを判断する(ステップS3)。なお、所定の時間範囲は、例えば22時〜25時(午前1時)である。ここで、現在の時刻が所定の時間範囲内ではないと判断された場合(ステップS3でNO)、ステップS1の処理に戻る。
一方、現在の時刻が所定の時間範囲内であると判断された場合(ステップS3でYES)、計測開始判定部113は、温度センサ13によって計測された携帯端末1の内部温度が所定の温度範囲内であるか否かを判断する(ステップS4)。なお、所定の温度範囲は、例えば42±1℃の範囲(41℃〜43℃の範囲)である。ここで、携帯端末1の内部温度が所定の温度範囲内ではないと判断された場合(ステップS4でNO)、演算制御部111は、所定の数値計算を繰り返し行うことにより、演算実行部110の演算処理量を増加させる(ステップS5)。そして、ステップS1の処理に戻る。
一方、携帯端末1の内部温度が所定の温度範囲内であると判断された場合(ステップS4でYES)、計測開始判定部113は、冷却時間の自動計測を開始する前に確認画面(図4)を表示部15に表示する(ステップS6)。
なお、所定の機能(例えば、ナイトモード)が設定されていない場合、又は現在の時刻が所定の時間範囲(22時〜25時)内ではない場合、又は演算処理量を増加させた場合、ステップS1の処理に戻り、使用状況取得部112は、所定時間(例えば5分)経過後に再度使用状況を取得する。
次に、計測開始判定部113は、確認画面において、保温性能の測定をキャンセルするためのキャンセルボタンがユーザ4によって押下されたか否かを判断する(ステップS7)。ここで、キャンセルボタンが押下された場合(ステップS7でYES)、保温性能測定処理を終了する。
一方、確認画面において、保温性能の測定を開始するための開始ボタンがユーザ4によって押下された場合、又は確認画面が表示されてから所定時間経過した場合(ステップS7でNO)、演算制御部111は、保温性能の測定に不要な演算実行部110の演算処理を停止することにより、演算実行部110の演算処理量を減少させる(ステップS8)。なお、所定時間は、例えば1分である。
次に、計測開始判定部113は、携帯端末1の内部温度が、冷却時間の計測を開始する第1の温度に達したか否かを判断する(ステップS9)。なお、第1の温度は、例えば40℃である。ここで、内部温度が第1の温度に達していないと判断された場合(ステップS9でNO)、ステップS8の処理に戻る。
一方、内部温度が第1の温度に達したと判断された場合(ステップS9でYES)、タイマー114は、携帯端末1の内部温度が第1の温度から第2の温度に冷却されるまでに要する冷却時間の計測を開始する(ステップS10)。なお、第2の温度は、例えば30℃である。
次に、計測開始判定部113は、携帯端末1の内部温度が、冷却時間の計測を終了する第2の温度に達したか否かを判断する(ステップS11)。ここで、内部温度が第2の温度に達していないと判断された場合(ステップS11でNO)、内部温度が第2の温度に達するまで、ステップS11の処理が繰り返し行われる。
一方、内部温度が第2の温度に達したと判断された場合(ステップS11でYES)、タイマー114は、冷却時間の計測を終了する(ステップS12)。
次に、保温性能算出部115は、タイマー114によって計測された冷却時間と、基準時間記憶部141に記憶されている基準冷却時間とに基づいて保温率を算出する(ステップS13)。
次に、目標温度決定部116は、保温性能算出部115によって算出された保温率に対応付けられている目標温度を、目標温度記憶部142に記憶されているデータテーブルから取得することにより、目標温度を決定する(ステップS14)。
次に、通信部16は、目標温度決定部116によって決定された目標温度を空調機器2へ送信する(ステップS15)。
このように、実施の形態1では、寝具と保温性能とを対応付けたデータベース及び寝具専用の保温性能測定器が不要となり、枕元に置いた携帯端末1からの排熱を熱源として使用することで、敷布団を寝室に置いた状態で当該敷布団の保温性能を測定することができる。また、敷布団の保温性能に応じて、空調機器が配置された室内の目標温度が決定されるので、室内を冷やし過ぎたり暖め過ぎたりすることのないように空調を適切に制御することができる。
なお、本実施の形態1では、携帯端末1は敷布団の上に載置され、敷布団の保温性能を測定しているが、本開示は特にこれに限定されず、敷布団と掛布団との間に載置され、敷布団と掛布団とを組合せた布団セットの保温性能を測定してもよく、また、携帯端末1は掛布団の上に載置され、掛布団の保温性能を測定してもよい。
(実施の形態2)
本実施の形態2では、敷布団の保温性能だけではなく、ユーザの体動(寝返り)によってユーザの体から敷布団に移動する熱も考慮して空調機器が制御される。本実施の形態2では、実施の形態1と同様に、敷布団の上に載置され、空調操作又はインターネット情報の閲覧に用いられる携帯端末が保温性能測定装置として使用される。携帯端末1が備える加速度センサによって、就寝中のユーザの体動(寝返り)が計測される。ユーザの体動から直接室内の目標温度が決定されるのではく、ユーザの体動と敷布団の保温性能とを用いてユーザの体から敷布団への熱移動量が推定される点が、本実施の形態2の特徴である。推定した熱移動量に応じた目標温度が、携帯端末から空調機器へ送信される。
図13は、本実施の形態2における携帯端末の機能構成を示すブロック図である。携帯端末201は、寝具の保温性能を測定する保温性能測定装置の一例である。図13に示す携帯端末201は、演算部211、バッテリー12、温度センサ13、表示部15、通信部16、加速度センサ212及びメモリ214を備える。演算部211は、演算実行部110、演算制御部111、使用状況取得部112、計測開始判定部113、タイマー114、保温性能算出部115、熱移動量推定部213及び目標温度決定部216を備える。メモリ14は、基準時間記憶部141、目標温度記憶部143、補正温度記憶部144及び熱移動量記憶部145を備える。
なお、本実施の形態2において、バッテリー12、温度センサ13、表示部15、通信部16、演算実行部110、演算制御部111、使用状況取得部112、計測開始判定部113、タイマー114、保温性能算出部115及び基準時間記憶部141の構成は、実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
演算実行部110は、ウェブブラウジング等の携帯端末201の機能を提供するための演算処理を行う。
加速度センサ212は、寝返り等の就寝中のユーザの体の動きを検出する。加速度センサ212は、寝具において就寝しているユーザの体動の頻度を計測する。ユーザが就寝している間、ユーザの体の動きとともに敷布団が動き、敷布団の上(枕元)に置かれた携帯端末201自体の姿勢又は位置も同時に変化する。加速度センサ212は、携帯端末201の3次元空間内の加速度を体動として検出する。加速度センサ212は、所定の加速度以上の加速度を検出した場合に、就寝中のユーザの体が動いたと検出する。加速度センサ212は、ユーザの体が動いた回数を計数し、1時間あたりの体動の頻度を計測する。
熱移動量推定部213は、保温性能算出部115によって算出された保温率と、加速度センサ212によって検出された体動の頻度とに基づいて、就寝中にユーザの体から敷布団へ移った熱の移動量を推定する。熱移動量推定部213は、ユーザの体動によりユーザの体から寝具へ移った熱移動量を、保温性能及び体動の頻度と、熱移動量との対応関係から推定する。
図14は、本実施の形態2において、ユーザの体動を説明するための模式図である。ユーザ4の寝返り(体動)の頻度が少ないと、敷布団3がユーザ4の体温で温められるので、ユーザ4の体から敷布団3へ移動する熱量は少ない。一方、ユーザ4が寝返りをすると、ユーザ4の体温より冷たい敷布団3にユーザ4の体が触れる。これにより、ユーザ4の体から敷布団3へ熱が移動する。そのため、ユーザ4の寝返り(体動)の頻度が多いと、ユーザ4の体から熱が敷布団3へ移動するので、ユーザ4の体から敷布団3へ移動する熱量は多くなる。寝返りをする前に温められていた敷布団3の部分の熱は、空気中へ移動し、時間が経過するとともに冷える。また、敷布団3の保温性が低い(放熱性が高い)と、ユーザ4の体から敷布団3へ移動する熱量も多くなる。つまり、ユーザ4の寝返り(体動)の頻度が多いほど、又は敷布団3の保温性が低い(放熱性が高い)ほど、ユーザ4の体から敷布団3へ移動する熱量が多くなる。また、ユーザ4の寝返り(体動)の頻度が少ないほど、又は敷布団3の保温性が高い(放熱性が低い)ほど、ユーザ4の体から敷布団3へ移動する熱量が少なくなる。熱移動量推定部213は、このような体動及び保温性の性質に基づいて、熱移動量を推定する。
熱移動量記憶部145は、保温率及び体動頻度の組合せと、熱移動量とを対応付けて記憶する。
図15は、本実施の形態2において、熱移動量記憶部に記憶される熱移動量テーブルの一例を示す図である。図15に示す熱移動量テーブルでは、保温率及び体動頻度の組合せに対して熱移動量が対応付けられている。図15に示す熱移動量テーブルは、夏季(5月〜10月)に室内を冷却する際に用いられる。冬季(11月〜4月)は、体動頻度を目標温度に反映させない。そのため、熱移動量記憶部145は、冬季用の熱移動量テーブルを記憶していない。
図15に示す熱移動量テーブルにおいて、20%以上30%未満の保温率と1時間に5回未満の体動頻度とには、第1の熱移動量(「小」)が対応付けられ、20%以上30%未満の保温率と1時間に5回以上の体動頻度とには、第1の熱移動量よりも高い第2の熱移動量(「中」)が対応付けられ、20%未満の保温率と1時間に5回未満の体動頻度とには、第1の熱移動量(「小」)が対応付けられ、20%未満の保温率と1時間に5回以上の体動頻度とには、第2の熱移動量よりも高い第3の熱移動量(「大」)が対応付けられている。なお、30%以上の保温率には、体動頻度に拘わらず、第1の熱移動量(「小」)が対応付けられている。上記のように、熱移動量は、第1の熱移動量(「小」)、第2の熱移動量(「中」)及び第3の熱移動量(「大」)の3段階に分類される。
熱移動量推定部213は、保温性能算出部115によって算出された保温率と、加速度センサ212によって検出された体動の頻度とに対応する熱移動量を、熱移動量記憶部145に記憶されている熱移動量テーブルから取得することにより、就寝中にユーザの体から敷布団へ移った熱移動量を推定する。
冬季においては、熱移動量推定部213は、熱移動量を推定しない。夏季においては、熱移動量推定部213は、保温率と体動頻度とから熱移動量を推定する。例えば、保温率25%の敷布団で寝ている際の体動頻度が3回/時間であれば、熱移動量推定部213は、熱移動量を「小」と推定する。また、同じ保温率25%の敷布団で寝ている際の体動頻度が5回/時間であれば、熱移動量推定部213は、熱移動量を「中」と推定する。さらに、同じ体動頻度5回/時間であっても、敷布団(放熱性が高い夏季用の冷感敷布団等)の保温率が15%である場合、熱移動量推定部213は、熱移動を「大」と推定する。
目標温度記憶部143は、寝具が存在する室内に設置された空調機器2を運転する際の室内の暫定目標温度(第1の目標温度)を、寝具の保温性能に対応付けて記憶している。目標温度記憶部143は、敷布団の保温率と室内の暫定目標温度とを対応付けたデータテーブルを格納している。このデータテーブルはあらかじめ作成され、目標温度記憶部143に記憶される。
図16は、本実施の形態2において、目標温度記憶部に記憶される第1のデータテーブルの一例を示す図であり、図17は、本実施の形態2において、目標温度記憶部に記憶される第2のデータテーブルの一例を示す図である。目標温度記憶部143は、第1のデータテーブルと、第2のデータテーブルとを含む。第1のデータテーブルは、冬季(11月〜4月)に室内を暖める際に用いられ、第2のデータテーブルは、夏季(5月〜10月)に室内を冷却する際に用いられる。
第1のデータテーブルにおいて、30%未満の保温率には、標準目標温度20℃と同じ暫定目標温度が対応付けられ、30%以上40%未満の保温率には、標準目標温度20℃から1℃減算した暫定目標温度が対応付けられ、40%以上の保温率には、標準目標温度20℃から2℃減算した暫定目標温度が対応付けられている。また、第2のデータテーブルにおいて、20%未満の保温率には、標準目標温度28℃に1℃加算した暫定目標温度が対応付けられ、20%以上30%未満の保温率には、標準目標温度28℃に0.5℃加算した暫定目標温度が対応付けられ、30%以上の保温率には、標準目標温度28℃と同じ暫定目標温度が対応付けられている。なお、第1のデータテーブル及び第2のデータテーブルの数値は一例であり、これらに限定されない。
補正温度記憶部144は、熱移動量に応じて暫定目標温度(第1の目標温度)に加算すべき補正温度を、熱移動量に対応付けて記憶している。補正温度記憶部144は、熱移動量と補正温度とを対応付けたデータテーブルを記憶している。このデータテーブルはあらかじめ作成され、補正温度記憶部144に記憶される。
図18は、本実施の形態2において、補正温度記憶部に記憶されるデータテーブルの一例を示す図である。図18に示すデータテーブルは、夏季(5月〜10月)に室内を冷却する際に用いられる。冬季(11月〜4月)は、体動頻度を目標温度に反映させない。そのため、補正温度記憶部144は、冬季用のデータテーブルを記憶していない。
図18に示すデータテーブルにおいて、第1の熱移動量(「小」)には、補正温度「0℃」が対応付けられ、第2の熱移動量(「中」)には、補正温度「+0.5℃」が対応付けられ、第3の熱移動量(「大」)には、補正温度「1℃」が対応付けられている。なお、データテーブルの数値は一例であり、これらに限定されない。
目標温度決定部216は、保温性能算出部115によって算出された保温性能に対応付けられている暫定目標温度(第1の目標温度)を目標温度記憶部143から取得し、熱移動量推定部213によって推定された熱移動量に対応付けられている補正温度を補正温度記憶部144から取得し、暫定目標温度に補正温度を加算した設定目標温度(第2の目標温度)を算出する。
目標温度決定部216は、保温性能算出部115によって算出された保温率に対応する暫定目標温度を、目標温度記憶部143から取得するとともに、熱移動量推定部213によって推定された熱移動量(例えば図15に示す「大」、「中」又は「小」の3段階)に対応する補正温度を、補正温度記憶部144から取得する。目標温度決定部216は、暫定目標温度に補正温度を加算した設定目標温度を算出する。
なお、目標温度決定部216は、現在の日付が夏季であれば、暫定目標温度に補正温度を加算した設定目標温度を算出するが、現在の日付が冬季であれば、目標温度記憶部143から取得した暫定目標温度を設定目標温度とする。
例えば、7月において、敷布団の保温率が15%であり、体動頻度が5回/時間であれば、目標温度記憶部143(図17)から暫定目標温度は29℃となり、熱移動量記憶部145(図15)から熱移動量は第3の熱移動量(「大」)となり、補正温度記憶部144(図18)から補正温度は+1℃となり、設定目標温度は、29℃+1℃=30℃となる。これにより、敷布団の保温性能と体動の頻度とによる就寝中の体温の低下を防ぐように、標準目標温度28℃より高い設定目標温度30℃が決定される。
通信部16は、目標温度決定部216によって設定された設定目標温度を空調機器2へ送信する。
なお、本実施の形態2において、目標温度記憶部143が目標温度記憶部の一例に相当し、加速度センサ212が体動頻度計測部の一例に相当し、熱移動量推定部213が熱移動量推定部の一例に相当し、補正温度記憶部144が補正温度記憶部の一例に相当し、目標温度決定部216及び通信部16が目標温度設定部の一例に相当する。
図19は、本実施の形態2の携帯端末における保温性能測定処理を説明するための第1のフローチャートを示す図であり、図20は、本実施の形態2の携帯端末における保温性能測定処理を説明するための第2のフローチャートを示す図である。
なお、ステップS21〜S33の処理は、図11及び図12に示すステップS1〜S13の処理と同じであるので、説明を省略する。
次に、加速度センサ212は、体動(寝返り)を検出し、1時間あたりの体動の頻度を計測する(ステップS34)。
次に、熱移動量推定部213は、保温性能算出部115によって算出された敷布団の保温率と加速度センサ212によって取得された体動の頻度とに対応する熱移動量を、熱移動量記憶部145に記憶されている熱移動量テーブルから取得し、ユーザの体から敷布団へ移動した熱移動量を推定する(ステップS35)。
次に、目標温度決定部216は、保温性能算出部115によって算出された敷布団の保温率に対応する暫定目標温度を目標温度記憶部143から取得する(ステップS36)。
次に、目標温度決定部216は、熱移動量推定部213によって推定された熱移動量に対応する補正温度を補正温度記憶部144から取得する(ステップS37)。
次に、目標温度決定部216は、暫定目標温度に補正温度を加算し、設定目標温度を決定する(ステップS38)。
次に、通信部16は、目標温度決定部216によって決定された設定目標温度を空調機器2へ送信する(ステップS39)。なお、通信部16は、例えば赤外線リモコン信号又は無線通信により設定目標温度を送信する。
次に、計測開始判定部113は、ユーザからの終了指示が受け付けられたか否かを判断する(ステップS40)。不図示の入力部は、起床時などのタイミングで、保温性能の測定を終了するための終了指示をユーザから受け付ける。ここで、ユーザからの終了指示が受け付けられたと判断された場合(ステップS40でYES)、保温性能測定処理を終了する。一方、ユーザからの終了指示が受け付けられていないと判断された場合(ステップS40でNO)、ステップS34の処理に戻る。そして、終了指示が受け付けられるまでの間、ステップS34〜ステップS40の処理が繰り返され、就寝中の体動の頻度が変化した場合に、設定目標温度も追従して更新される。
なお、ステップS39の処理では、通信部16は、空調機器2が使用されているか否か(空調機器2の電源がオン及びオフのいずれであるか)に関わらず、空調機器2へ設定目標温度を送信している。しかしながら、空調機器2が使用されていない(空調機器2の電源がオフである)場合でも、空調機器2が運転を開始することができるように、通信部16は、運転開始を指示する運転開始コマンドと、設定目標温度を示す目標温度設定コマンドとを合わせて送信してもよい。また、無線通信等を介して、空調機器2の運転状態(オン又はオフ)を携帯端末201で取得し、空調機器2の電源がオンである場合に、ステップS34〜ステップS40の処理が繰り返されてもよい。
このように、実施の形態2では、寝具の保温性能だけでなく、ユーザの体動(寝返り)の頻度も、寝具上に載置された携帯端末201で計測し、保温性が低い、すなわち放熱性が高い敷布団が使用されるとともに、ユーザの寝返りの頻度が多い場合に、ユーザの体の熱が敷布団に移動してユーザの体温が低下しないように、空調機器の目標温度を上げることができる。
なお、本実施の形態2において、熱移動量記憶部145は、保温率及び体動頻度の組合せと、熱移動量とを対応付けて記憶し、補正温度記憶部144は、熱移動量と補正温度とを対応付けたデータテーブルを記憶しているが、本開示は特にこれに限定されず、補正温度記憶部144は、保温率及び体動頻度の組合せと、補正温度とを対応付けたデータテーブルを記憶してもよい。この場合、熱移動量推定部213及び熱移動量記憶部145が不要となり、目標温度決定部216は、保温性能算出部115によって算出された保温性能に対応付けられている第1の目標温度を目標温度記憶部143から取得し、体動の頻度に基づいて、第1の目標温度を補正した第2の目標温度を算出し、算出した第2の目標温度を空調機器2へ送信してもよい。
(実施の形態3)
本実施の形態3では、携帯端末(保温性能測定装置)と機器制御サーバと空調機器とを備える空調システムについて説明する。
図21は、本実施の形態3における空調システムの全体構成を示す図である。本実施の形態3における空調システムは、携帯端末301、空調機器302及び機器制御サーバ303を備える。
実施の形態1,2と同様に、携帯端末301が保温性能測定装置として使用され、敷布団3の保温性能を測定する。本実施の形態3では、携帯端末301は、測定した保温性能を機器制御サーバ303へ送信する。機器制御サーバ303は、敷布団3の保温性能に応じた目標温度を空調機器302へ送信する。空調機器302は、受信した目標温度となるように室温を制御する。機器制御サーバ303が複数の空調機器302を集中的に制御し、携帯端末301から空調機器302へ制御信号を送信しない点が、本実施の形態3の特徴である。また、空調機器302は、空調機器302に付属のリモートコントローラ304等を使用して、空調機器302の目標温度を変更する手動操作を受け付ける。空調機器302は、目標温度を変更する手動操作の履歴を機器制御サーバ303へ送信する。機器制御サーバ303は、手動操作の履歴に基づいて空調機器302の目標温度を個人ごとに調整する。
図22は、本実施の形態3における携帯端末、空調機器及び機器制御サーバの機能構成を示すブロック図である。携帯端末301は、寝具の保温性能を測定する保温性能測定装置の一例である。図22に示す携帯端末301は、演算部311、バッテリー12、温度センサ13、メモリ314、表示部15及び通信部316を備える。演算部311は、演算実行部110、演算制御部111、使用状況取得部112、計測開始判定部113、タイマー114及び保温性能算出部115を備える。メモリ314は、基準時間記憶部141を備える。
なお、本実施の形態3において、バッテリー12、温度センサ13、表示部15、演算実行部110、演算制御部111、使用状況取得部112、計測開始判定部113、タイマー114、保温性能算出部115及び基準時間記憶部141の構成は、実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
通信部316は、保温性能算出部115によって算出された保温性能(保温率)を、機器制御サーバ303へ送信する。このとき、携帯端末301は、宅内無線通信機能(2.4GHz周波数帯など)を用いることにより、インターネットを介して機器制御サーバ303と通信可能に接続される。携帯端末301は、宅内無線通信機能の代わりに、携帯電話用の公衆電波通信網へ接続する機能を用いることにより、インターネットを介して機器制御サーバ303と通信可能に接続されてもよい。また、携帯端末301は、インターネットとは異なる専用回線を介して機器制御サーバ303と直接通信してもよい。
機器制御サーバ303は、保温性能受信部31、目標温度記憶部32、手動操作履歴受信部33、手動操作履歴記憶部34、機器制御コマンド記憶部35、目標温度決定部36及び目標温度送信部37を備える。実施の形態1及び実施の形態2において携帯端末301が備えていた目標温度記憶部及び目標温度決定部を、機器制御サーバ303が備えている。
保温性能受信部31は、携帯端末301によって送信された保温性能(保温率)を受信する。
目標温度記憶部32は、寝具が存在する室内に設置された空調機器302を運転する際の室内の目標温度を、寝具の保温性能に対応付けて記憶している。目標温度記憶部32は、実施の形態1と同様に、敷布団の保温率と室内の目標温度とを対応付けたデータテーブルを格納している。なお、目標温度記憶部32が記憶するデータテーブルは、図9に示す第1のデータテーブルと、図10に示す第2のデータテーブルとを含む。
手動操作履歴受信部33は、空調機器302がリモートコントローラ304によって操作された際の操作内容の履歴を示す手動操作履歴を空調機器302から受信し、受信した手動操作履歴を手動操作履歴記憶部34に記憶する。機器制御サーバ303は、機器制御サーバ303と携帯端末301との間の通信と同様に、空調機器302の宅内無線通信機能(2.4GHz周波数帯など)を用いることにより、インターネットを介して空調機器302と通信可能に接続される。空調機器302は、宅内無線通信機能の代わりに、携帯電話用の公衆電波通信網へ接続する機能を用いることにより、インターネットを介して機器制御サーバ303と通信可能に接続されてもよい。また、空調機器302は、インターネットとは異なる専用回線を介して機器制御サーバ303と直接通信してもよい。
手動操作履歴記憶部34は、空調機器302がユーザによって手動で操作された操作内容の履歴を示す手動操作履歴を記憶する。
図23は、本実施の形態3において手動操作履歴記憶部に記憶される手動操作履歴の一例を示す図である。図23に示すように、手動操作履歴は、機器製造番号、機種番号、手動操作が行われた操作時刻、空調機器の手動操作により変更される前の目標温度、及び空調機器の手動操作により変更された目標温度を対応付けたデータテーブルを記憶している。空調機器302から受信する操作内容の詳細については後述する。
機器制御コマンド記憶部35は、空調機器302を制御するための制御コマンドを予め記憶している。
図24は、本実施の形態3において機器制御コマンド記憶部に記憶される制御コマンドの一例を示す図である。例えば、図24に示すように、機器制御コマンド記憶部35は、空調機器302の機種ごとに、目標温度を設定するための制御コマンドを記憶している。機器制御コマンド記憶部35は、機種番号、目標温度及び制御コマンドを対応付けたデータテーブルを記憶している。機器制御コマンド記憶部35のデータテーブルは事前に作成される。
目標温度決定部36は、保温性能受信部31によって受信された保温性能(保温率)に基づいて、空調機器302を運転する際の室内の目標温度を決定する。目標温度決定部36は、保温性能受信部31によって受信された保温率と、手動操作履歴記憶部34に記憶されている手動操作履歴とに基づいて、目標温度を決定する。目標温度決定部36は、保温性能受信部31によって受信された保温率に対応する目標温度を、目標温度記憶部32から取得する。そして、目標温度決定部36は、手動操作履歴記憶部34を参照し、目標温度を決定する対象空調機器において、過去の所定期間内(例えば、過去の30日以内)の就寝時間帯(例えば、0時〜6時)に、ユーザの手動操作により目標温度が下げられていた場合には、ユーザが低めの温度を好む傾向にあると判断し、所定の温度(例えば、1℃)だけ目標温度を下げる。反対に、目標温度決定部36は、ユーザの手動操作により目標温度が上げられていた場合には、ユーザが高めの温度を好む傾向にあると判断し、所定の温度(例えば、1℃)だけ目標温度を上げる。
目標温度決定部36は、決定した目標温度に対応する制御コマンドを機器制御コマンド記憶部35から取得し、取得した制御コマンドを目標温度送信部37へ出力する。
目標温度送信部37は、目標温度を空調機器302に設定するための制御コマンドを、前述の通信方法(機器制御サーバ303と空調機器302との間の通信)によって、空調機器302へ送信する。なお、目標温度送信部37は、機器制御サーバ303との通信機能を備えた赤外線信号出力装置(いわゆるユニバーサルリモコンなど)へ制御コマンドを送信し、赤外線信号出力装置が制御コマンドに対応する赤外線リモコン信号を空調機器302へ送信してもよい。この場合は、機器制御コマンド記憶部35は、赤外線信号出力装置が送信する制御コマンド(赤外線リモコン信号)を記憶する。
空調機器302は、手動操作受信部21、手動操作履歴送信部22、目標温度受信部23及び空調制御部24を備える。
手動操作受信部21は、空調機器302を手動で操作するための手動操作信号をリモートコントローラ304から受信する。リモートコントローラ304は、空調機器302の電源をオン又はオフしたり、現在の目標温度を変更したりする操作を受け付け、受け付けた操作内容を示す手動操作信号を空調機器302へ送信する。
手動操作履歴送信部22は、空調機器302に付属するリモートコントローラ304でユーザの手動操作により変更された目標温度を、空調機器302の機器製造番号、機種番号、手動操作が行われた操作時刻、手動操作により変更される前の目標温度とともに、手動操作履歴として機器制御サーバ303へ送信する。
目標温度受信部23は、機器制御サーバ303から送信された、目標温度を設定するための制御コマンドを受信する。目標温度受信部23は、例えば、図24に示す制御コマンドを受信する。
空調制御部24は、制御コマンドによって指示された目標温度に室温が到達するように、空調機器302の運転(冷房運転、暖房運転、除湿運転又は送風運転等)を制御する。
図25は、本実施の形態3の携帯端末における保温性能測定処理を説明するための第1のフローチャートを示す図であり、図26は、本実施の形態3の携帯端末における保温性能測定処理を説明するための第2のフローチャートを示す図である。
なお、ステップS51〜S63の処理は、図11及び図12に示すステップS1〜S13の処理と同じであるので、説明を省略する。
次に、通信部316は、保温性能算出部115によって算出された保温性能(保温率)を機器制御サーバ303へ送信する(ステップS64)。
図27は、本実施の形態3の機器制御サーバにおける空調制御処理を説明するための第1のフローチャートを示す図であり、図28は、本実施の形態3の機器制御サーバにおける空調制御処理を説明するための第2のフローチャートを示す図である。
まず、手動操作履歴受信部33は、空調機器302によって送信された手動操作履歴を受信したか否かを判断する(ステップS71)。ここで、手動操作履歴を受信していないと判断された場合(ステップS71でNO)、ステップS73の処理へ移行する。
一方、手動操作履歴を受信したと判断された場合(ステップS71でYES)、手動操作履歴受信部33は、受信した手動操作履歴を手動操作履歴記憶部34に記憶する(ステップS72)。なお、ステップS71及びステップS72の処理は、機器制御サーバ303の他の処理ステップとは独立して、機器制御サーバ303の稼働中に繰り返し実行されてもよい。
次に、保温性能受信部31は、携帯端末301によって送信された保温率を受信したか否かを判断する(ステップS73)。ここで、保温率を受信していないと判断された場合(ステップS73でNO)、ステップS81の処理へ移行する。
一方、保温率を受信したと判断された場合(ステップS73でYES)、目標温度決定部36は、保温性能受信部31によって受信された保温率に対応する目標温度を目標温度記憶部32から取得する(ステップS74)。
次に、目標温度決定部36は、目標温度を設定する対象となる空調機器302の手動操作履歴を手動操作履歴記憶部34から取得する(ステップS75)。
次に、目標温度決定部36は、過去の所定期間内(例えば、過去30日以内)の就寝時間帯(例えば、0時〜6時)に、手動操作により目標温度が下げられたか否かを判断する(ステップS76)。ここで、手動操作により目標温度が下げられたと判断された場合(ステップS76でYES)、目標温度決定部36は、ユーザが低めの温度を好む傾向にあるため、所定の温度(例えば、1℃)だけ目標温度を下げる(ステップS77)。
一方、手動操作により目標温度が下げられていないと判断された場合(ステップS76でNO)、目標温度決定部36は、手動操作により目標温度が上げられたか否かを判断する(ステップS78)。ここで、手動操作により目標温度が上げられたと判断された場合(ステップS78でYES)、目標温度決定部36は、ユーザが高めの温度を好む傾向にあるため、所定の温度(例えば、1℃)だけ目標温度を上げる(ステップS79)。
一方、手動操作により目標温度が上げられていないと判断された場合(ステップS78でNO)、手動操作により目標温度が変更されていないため、取得した目標温度を替えることなく、ステップS80の処理へ移行する。
次に、目標温度決定部36は、目標温度を設定するための制御コマンドを機器制御コマンド記憶部35から取得する(ステップS80)。目標温度決定部36は、取得した制御コマンドを目標温度送信部37へ出力する。
次に、目標温度送信部37は、制御コマンドを空調機器302へ送信する(ステップS81)。
次に、目標温度決定部36は、機器制御サーバ303を停止させるサーバ停止指示があったか否かを判断する(ステップS82)。なお、サーバ停止指示は、例えば、機器制御サーバ303の管理者により入力部を介して入力される。ここで、サーバ停止指示があった場合(ステップS82でYES)、空調制御処理を終了する。一方、サーバ停止指示がないと判断された場合(ステップS82でNO)、ステップS71の処理に戻る。
図29は、本実施の形態3の空調機器における空調制御処理を説明するためのフローチャートを示す図である。
まず、手動操作受信部21は、空調機器302に付属するリモートコントローラ304によって送信された手動操作信号を受信したか否かを判断する(ステップS91)。手動操作信号は、空調機器302の電源をオンする指示、空調機器302の電源をオフする指示、目標温度を上げる指示、又は目標温度を下げる指示を含む。ここで、手動操作信号を受信していないと判断された場合(ステップS91でNO)、ステップS95の処理へ移行する。
一方、手動操作信号を受信したと判断された場合(ステップS91でYES)、手動操作履歴送信部22は、手動操作信号が目標温度を変更する指示であるか否かを判断する(ステップS92)。ここで、手動操作信号が目標温度を変更する指示ではないと判断された場合(ステップS92でNO)、ステップS95の処理へ移行する。
一方、手動操作信号が目標温度を変更する指示であると判断された場合(ステップS92でYES)、手動操作履歴送信部22は、機器製造番号、機種番号、操作時刻、空調機器302の手動操作により変更される前の目標温度、及び空調機器302の手動操作により変更された目標温度を含む手動操作履歴を機器制御サーバ303へ送信する(ステップS93)。
次に、空調制御部24は、手動操作信号に応じて空調機器302の運転を制御する(ステップS94)。なお、ステップS91〜ステップS94の処理は、空調機器302の他の処理ステップとは独立して、空調機器302の稼働中に繰り返し実行されてもよい。
次に、目標温度受信部23は、機器制御サーバ303によって送信された制御コマンドを受信したか否かを判断する(ステップS95)。ここで、制御コマンドを受信していないと判断された場合(ステップS95でNO)、ステップS97の処理へ移行する。
一方、制御コマンドを受信したと判断された場合(ステップS95でYES)、空調制御部24は、受信した制御コマンドに含まれる目標温度に室温が到達するように、空調機器302の運転を制御する(ステップS96)。
次に、空調制御部24は、手動操作信号が空調機器302の電源をオフする指示であるか否かを判断する(ステップS97)。ここで、手動操作信号が空調機器302の電源をオフする指示であると判断された場合(ステップS97でYES)、空調制御部24は、電源をオフし、空調制御処理を終了する(ステップS98)。
一方、手動操作信号が空調機器302の電源をオフする指示ではないと判断された場合(ステップS97でNO)、ステップS91の処理に戻る。これらステップS91〜ステップS97の処理が、空調機器302の稼働中(電源がオンされている間)に繰り返し行われる。
このように、実施の形態3では、敷布団の保温性能に合わせて制御する空調機器302を、新しく追加する際に、追加機種の制御コマンドを機器制御サーバ303側で更新すればよいので、個々の携帯端末301での更新が不要となり効率がよい。また、空調機器302の手動で操作された履歴を基に、敷布団の保温性能に合わせた目標温度がさらに調整されるので、よりユーザの好みに合わせた室内温度とすることができる。
なお、実施の形態1,2において、携帯端末1,201は、手動操作履歴記憶部34を備えてもよく、通信部16は、空調機器2から手動操作履歴を受信してもよく、目標温度決定部116,216は、手動操作履歴記憶部34から手動操作履歴を取得し、取得した手動操作履歴に応じて目標温度を修正してもよい。
本開示において、ユニット、装置、部材又は部の全部又は一部、又は図に示されるブロック図の機能ブロックの全部又は一部は、半導体装置、半導体集積回路(IC)、又はLSI(Large Scale Integration)を含む一つ又は複数の電子回路によって実行されてもよい。LSI又はICは、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、記憶素子以外の機能ブロックは、一つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSIやICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、Field Programmable Gate Array(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができるReconfigurable Logic Deviceも同じ目的で使うことができる。
さらに、ユニット、装置、部材又は部の全部又は一部の機能又は操作は、ソフトウエア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウエアは一つ又は複数のROM、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウエアが処理装置(Processor)によって実行されたときに、そのソフトウエアで特定された機能が処理装置(Processor)および周辺装置によって実行される。システム又は装置は、ソフトウエアが記録されている一つ又は複数の非一時的記録媒体、処理装置(Processor)、及び必要とされるハードウエアデバイス、例えばインターフェース、を備えていてもよい。