JP2018096708A - 分注ノズルおよび分注ノズルの製造方法 - Google Patents

分注ノズルおよび分注ノズルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ノズル先端部を超撥水化して、高精度に分注が可能な分注ノズルを提供する。【解決手段】液体を吐出する分注ノズル10の先端部のノズル先端面12およびノズル外面11に凹凸構造部を有し、凹凸構造部の表面に、凹凸構造部よりもピッチ幅及び深さの小さいグレーティング状凹凸の周期構造が形成され、撥水処理を施す。【選択図】図1

Description

本発明は、分注ノズルおよび分注ノズルの製造方法に関するものである。
生化学や化学などの分野では、検体(液体試料)の検査のために分注装置が用いられる。分注装置は、一般的に、分注ポンプを動作させることによって、配管内の液体を、吸引又は吐出させて、この配管に接続されている分注ノズルから液体試料を吸引し、この吸引した液体試料を所定位置に所定量だけ吐出して分注するものである。
すなわち、分注ノズル1においては、図19に示す工程で分注する。まず、図19(a)に示すように、液体試料Sに分注ノズル1の先端部2を浸漬して、液体試料Sを分注ノズル1内に吸引して、図19(b)に示すように、分注ノズル1を液体試料Sから離間(上昇)させる。次に、図19(c)に示すように、液滴3を形成した後、図19(d)に示すように、被分注部材4に点着させる。
しかしながら、図19(b)に示すように、分注ノズル1を液体試料Sから離間(上昇)させた場合、ノズル1の先端部2の外面2a及び先端面1aに液体試料Sが付着する。そして、図19(c)に示すように、分注ノズル1の先端部2の外面2aへの液滴の這い上がりが生じて、液滴3が変動し、さらには、図19(d)に示すように、液滴3を被分注部材4へ分注した際に、分注ノズル1の先端面1aに液滴残留付着が生じる。このため、点着量が減少し、分注精度の悪化要因となる。また、分注ノズル1を流水洗浄する場合、分注ノズルに洗浄水が付着すると、液体試料の濃度に影響することになる。
したがって、分注ノズル1の外面2aや先端面1aへの液体試料Sの付着防止が重要となる。従来には、撥水処理剤でコーティングが施されたポリプロピレン基材からなるピペットチップが提案されている(特許文献1)。この場合、液体収容部の外面及び内面に撥水処理を施している。また、撥水処理剤を、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、トリオクチルトリメリテート及びポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)からなる群から選択される少なくとも1つの特定物質を含有するシリコーン樹脂であって、該シリコーン樹脂に対して前記特定物質の総質量が1質量%〜30質量%である。これによって、外壁表面に液体試料が付着しにくく、液回り現象(液体試料の這い上がり現象)を効果的に抑制することができるようにしている。
また、従来には、吐出流路の吐出端外周に、液体の吐出方向に突出する突出部を設けたものがある(特許文献2)。この場合、吐出流路の吐出端外周に前記液体の吐出方向に突出する突出部を設けたので、計量部に保持した微量液体を加圧気体によって吐出する際、突出部によって吐出部周辺への液体の付着を抑制することができるというものである。
特開2009−210562号公報 特開2006−226726号公報
前記特許文献1に記載されているように、撥水剤をコーティングする方法は、接触角に限度があり、接触角が150°を超える超撥水を実現することができない。すなわち、表面エネルギーの小さいフッ素コーティングであっても、平滑面での水の接触角は115°程度であり、撥水剤をコーティングする方法では、ノズル先端部を超撥水化することができない。
また、特許文献2においても、突出部に液体が付着し、このため、重力によって、先端
面に集まった液滴に付着することになる。
本発明は、上記課題に鑑みて、ノズル先端部を超撥水化して、高精度に分注が可能な分注ノズルを提供する。
本発明の分注ノズルは、液体を吐出するノズル先端部のノズル先端面およびノズル外面に凹凸構造部を有し、前記凹凸構造部の表面に、前記凹凸構造部よりもピッチ幅及び深さの小さいグレーティング状凹凸の周期構造が形成され、撥水処理が施されたものである。
本発明の分注ノズルによれば、耐久性に問題が生じやすいノズル先端面およびノズル外面に直接形成された凹凸構造部(プラトー構造)を有し、凹凸構造部の表面に、凹凸構造部よりもピッチ幅及び深さの小さいグレーティング状凹凸の周期構造を形成する。すなわち、ノズル先端部は、大きな粗さである凹凸構造部に、小さな粗さである周期構造を形成することで、異なるオーダーの粗さを複合化して基材の表面積倍率を大きくすることができる。しかも、凹凸構造部も周期構造も、基材そのものを加工して基材に直接形成されたものであり、凹凸構造部と周期構造とは一体化されたものである。これにより、凹凸構造部の凸部の高さを低くしながらも(アスペクト比を小さくしながらも)、表面積倍率を大きくすることができ、超撥水と耐久性とを併せ持つことができる。すなわち、本発明の分注ノズルのノズル先端部は、錐体状突起構造や、酸化膜、水酸化膜等の皮膜からなる微細凹凸構造のように、基材とは異なる構造を別途形成するものと比較して摩耗や損傷が生じにくく、耐久性の高い超撥水面が形成される。
前記周期構造は、凸部頂点が非平坦面となって連続的に高さが変化するものであるのが好ましい。
前記ノズル外面に形成された前記凹凸構造部は、ノズル軸心に対して±45度以内の方向に延びる溝にて構成されることが好ましく、さらには、前記溝が、ノズル軸心に沿った方向に延びることがより好ましい。これにより、ノズル軸方向の動的撥水性が向上し、運動エネルギーを有する洗浄水や跳ねた検体、試薬等の付着を抑制し、分注精度が向上する。また、検体、試薬等に浸漬したノズルを高速で引き上げても、その付着を抑制することができる。
前記ノズル先端面に形成された前記凹凸構造部は、2方向以上の格子溝にて構成されていることが好ましい。これにより、異方性が少なく、ノズル穴の全方向に対して高い接触角が得られることで、ノズル先端部への液滴の接触が抑制される。その結果、滴下分解能の向上、検体や試薬等の這い上がりや分注ノズル先端部への付着・残留を防止することができる。
前記構成において、前記凹凸構造部の凸部の最小幅が100μm以下、かつ、前記周期構造のピッチの2倍以上であることが好ましい。これにより、凸部は、液滴に対して十分小さな構造となり、撥水性を発揮することができる。
前記構成において、前記周期構造内に100nm以下の粗さが内包されていることが好ましい。これにより、ノズル先端部は、損傷が生じにくいアスペクト比の小さな形状で大きな表面積倍率を稼げるため、高い撥水性と耐久性を発揮することができる。
前記構成において、前記凹凸構造部および前記周期構造上に、平滑面における水の接触角が100°以上、かつ、厚さが20nm以下となる撥水剤をコーティングされていることが好ましい。これにより、ノズル先端部の表面積倍率を低下させることなく、大気中由来の有機汚染膜よりも撥水性を向上することができる。
本発明の分注ノズルの製造方法は、液体を吐出するノズル先端部に撥水処理が施された分注ノズルであって、ノズル先端面およびノズル外面に凹凸構造部を形成し、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバーラップさせながら走査して、自己組織的に、前記凹凸構造部よりもピッチ幅及び深さの小さいグレーティング状凹凸の周期構造を形成するものである。
本発明の分注ノズルは、ノズル先端部に、摩耗や損傷が生じにくく、耐久性の高い超撥水面が形成されるため、長期にわたり滴下分解能の向上、検体や試薬等の這い上がりや分注ノズル先端部への付着・残留を防止するとともに、運動エネルギーを有する洗浄水や跳ねた検体、試薬等の付着を抑制し、高精度に分注することができる。また、撥水処理成分の混入を抑制することができる。
本発明の実施形態を示す分注ノズルの断面図である。 前記図1に示す分注ノズルの要部拡大断面図である。 分注ノズルの先端面の写真図である。 分注ノズルの外面の写真図である。 分注ノズルの先端面及び外面の凹凸構造部の表面に形成された周期構造の写真図である。 前記図5に示す周期構造のAFM画像図である。 分注ノズルの先端面及び外面の凹凸構造部を拡大した簡略断面図である。 分注ノズルの先端面及び外面にて液滴が支持された状態を示し、(a)はWenzel state状態の簡略断面図であり、(b)はCassie‐Baxter state状態の簡略断面図である。 周期構造を形成するためのレーザ表面加工装置の簡略図である。 他の実施形態の分注ノズルの先端面及び外面の凹凸構造部を拡大した簡略断面図である。 分注ノズルから純水を吐出させる際のノズル先端部の液滴を示す拡大図であり、(a)は未加工ノズル、(b)は撥水ノズルである。 純水中に浸漬し、純水を吸引した分注ノズルを引き上げた際のノズル先端部を示す拡大図であり、(a)は未加工ノズル、(b)は撥水ノズルである。 水平に配置した分注ノズルに対して純水の流水を当てた際の分注ノズルを示す拡大図であり、(a)は未加工ノズル、(b)は撥水ノズルである。 純水中に浸漬し、純水を全量吐出した分注ノズルを引き上げた際のノズル先端部を示す拡大図であり、(a)は未加工ノズル、(b)は撥水ノズルである。 未加工ノズルで2μlの純水を超撥水基板に点着させた際の液滴の挙動を示す拡大図である。 未加工ノズルで3μlの純水を超撥水基板に点着させた際の液滴の挙動を示す拡大図である。 未加工ノズルで4μlの純水を超撥水基板に点着させた際の液滴の挙動を示す拡大図である。 撥水ノズルで1μlの純水を超撥水基板に点着させた際の液滴の挙動を示す拡大図である。 従来の課題の説明を示し、(a)は浸漬状態の簡略図であり、(b)はチップ濡れ状態の簡略図であり、(c)は這い上がり状態の簡略図であり、(d)は残留付着状態の簡略図である。
以下本発明の実施の形態を図1〜図18に基づいて説明する。
図1と図2に本発明に係る分注ノズル10を示し、この分注ノズル10は分注装置に用いられるものであり、図示省略の分注ポンプに配管等を介して接続される。すなわち、分注装置は、一般的に、分注ポンプを動作させることによって、配管内の液体試料を、吸引又は吐出させて、この配管に接続されている分注ノズル10から液体試料を吸引し、この吸引した液体試料を所定位置に所定量だけ吐出して分注するものである。液体試料としては、例えば、生化学分析装置にて分析する血液や尿等の試料液、この試料液に混合す希釈液、これらの混合液等や水、さらには各種の化学薬品等がある。
この図例の場合の分注ノズル10は、細径のパイプからなるノズル本体10aと、このノズル本体10aの先端に連設される先端テーパ部(ノズル先端部)10bとからなる。このため、内部に液体が吸引される内部空間が設けられている。
分注ノズル10は、ステンレス鋼材にて形成されている。この場合、ノズル先端部10bのノズル先端面12には、図3に示すような凹凸構造部13aが形成されている。凹凸構造部13aは、2方向の溝から形成される2次元格子溝にて構成される。すなわち、相互に直交する溝14、14(例えば、各溝14の溝幅10μm、溝深さ6.4μm、溝ピッチ20μm)が形成されている。このような溝加工には、レーザ表面加工装置(図示省略)を用いて加工することができる。
ノズル先端部10bのノズル外面11には、図4に示すような凹凸構造部13bが形成されている。凹凸構造部13bは、1方向の溝15(例えば、各溝14の溝幅10μm、溝深さ6.4μm、溝ピッチ20μm)にて構成される。溝15は、ノズル軸心に対して±45度以内の方向に延びるものであるのが好ましく、本実施形態では、ノズル軸心に沿った方向に延びている。このような溝加工には、レーザ表面加工装置(図示省略)を用いて加工することができる。
凹凸構造部13a、13bの表面には、図5及び図6に示すように、凸部頂点が非平坦面となって連続的に高さが変化するグレーティング状凹凸の周期構造16が形成されている。すなわち、グレーティング状の周期構造16は、図7に示すように、凹凸構造部13a、13bよりもピッチ幅及び深さが小さい微小の凹部と微小の凸部とが交互に所定ピッチで配設されてなるものである。周期構造16の凹凸ピッチは、例えばピッチ約700nm、深さ約200nmである。本実施形態では周期構造16は、図7に示すように、凹凸構造部13a、13bの表面の全面(つまり、凹凸構造部13a、13bの凸部17の表面と側面、及び凹部18の溝底面)に形成されている。
すなわち、本実施形態のノズル先端部10bは、大きな粗さである凹凸構造部13a、13bに、小さな粗さである周期構造16を形成することで、異なるオーダーの粗さを複合化して基材の表面積倍率を大きくすることができる。液体の濡れ性は、数1に示すようにWenzelの式で表せる。なお、数1において、rは表面積倍率であり、r>1である。θeは平滑面の接触角であり、θwはみかけの接触角である。
数1により、θe>90°ではθw>θeとなり、θe<90°ではθw<θeとなる。すなわち、表面粗さが増加するにつれて、撥水性表面では接触角が増大する。本実施形態のノズル先端部10bは、前記したように、異なるオーダーの粗さを複合化して基材の表面積倍率を大きくしているため、超撥水を実現することができる。これにより、ノズル先端部10bに液滴19が付着すると、図8(a)に示すようなWenzel状態から図8(b)に示すような凹部が空気で満たされたCassie−Baxter(C−B)状態に移行させることができる。
凹凸構造部13a、13bも周期構造16も、基材そのものを加工して基材に直接形成されたものであり、凹凸構造部13a、13bと周期構造16とは一体化されたものである。これにより、凹凸構造部13a、13bの凸部17の高さを低くしながらも(アスペクト比を小さくしながらも)、表面積倍率を大きくすることができ、超撥水と耐久性とを併せ持つことができる。すなわち、ノズル先端部10bは、錐体状突起構造や、酸化膜、水酸化膜等の皮膜からなる微細凹凸構造のように、基材とは異なる構造を別途形成するものと比較して摩耗や損傷が生じにくく、広範囲に活性の高い新生面が形成されることがない。
凹凸構造部13a、13bの凸部17の最小幅W(図7参照)は、図8に示すように、液滴19に対して凸部17が複数対応するものとしている。より具体的には、凸部17の最小幅が100μm以下、かつ、周期構造16のピッチの2倍以上であるのが好ましい。凸部17の最小幅Wとは、図7に示すように、凸部17が突出する方向と直交する方向において、凸部寸法が最も小さくなる部分の長さであり、本実施形態では、凸部17の一の側面から、これに相対面する側面までの長さ寸法となる。
凸部17の最小幅Wを100μm以下とすることにより、凸部17は液滴19に対して小さいものとなる。すなわち、図8に示すように、液滴19が滴下された状態において、液滴19は凸部17の最小幅Wよりも十分大きなものとなり、撥水性を発揮することができる。また、凸部17の最小幅Wが周期構造16のピッチの2倍以上とすることにより、凸部17に周期構造16を形成することができる。
グレーティング状の周期構造内には、100nm以下の粗さが内包されている。すなわち、グレーディング状の周期構造16の凸部や凹部の表面に、それよりも微小な凹凸がさらに形成されており、凹凸構造部13a、13bの粗さと、周期構造16の粗さと、100nm以下の粗さとが複合化されている。これにより、ノズル先端部10bは、損傷が生じにくいアスペクト比の小さな形状で、更に大きな表面積倍率を稼げるため、より一層高い撥水性と耐久性とを発揮することができる。
さらに、凹凸構造部13a、13bおよびグレーティング状の周期構造16上に、平滑面における水の接触角が100°以上、かつ、厚さが20nm以下となる撥水剤をコーティング(フッ素コーティング)している。撥水剤としては、例えばリン酸エステルを吸着基とするものである。これにより、ノズル先端部10bの表面積倍率を低下させることなく、大気中由来の有機汚染膜よりも撥水性を向上させることができる。
本発明の分注ノズルの製造方法は、まず、ノズル先端部10bに対してレーザを照射して、ノズル先端面12に平行な溝を複数形成し、さらに、これと直交する方向に平行な溝を複数形成して、2次元格子溝から構成される凹凸構造部13aを形成する。また、ノズル外面11に、ノズル軸心に沿って平行な溝を複数形成して、凹凸構造部13bを形成する。
その後、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバーラップさせながら走査して、自己組織的に凹凸構造部13a、13bの表面に周期構造16を形成する。具体的には、図9に示すレーザ表面加工装置を使用する。レーザ発生器21で発生したレーザは、ミラー22により加工材料wに向けて折り返され、メカニカルシャッタ23に導かれる。レーザ照射時はメカニカルシャッタ23を開放し、レーザ照射強度は1/2波長板24と偏光ビームスプリッタ26によって調整可能とし、1/2波長板25によって偏光方向を調整し、集光レンズ27によって、XYθステージ29上の加工材料w表面に集光照射する。
すなわち、アブレーション閾値近傍のフルエンスで直線偏光のレーザをワーク(加工材料)wに照射した場合、入射光と加工材料wの表面に沿った散乱光またはプラズマ波の干渉により、波長オーダのピッチと溝深さを持つグレーティング状の周期構造を偏光方向に直交して自己組織的に形成する。このとき、レーザをオーバ−ラップさせながら走査させることで、周期構造16を広範囲に拡張することができる。
前記のように構成されたノズル10を用いれば、例えば、ステンレス製の基板30上に試料液体を点着することができる。この分注ノズル10では、耐久性に問題が生じやすいノズル先端面12およびノズル外面11に直接形成された凹凸構造部13a、13b(プラトー構造)を有し、凹凸構造部13a、13bの表面に、凹凸構造部13a、13bよりもピッチ幅及び深さの小さいグレーティング状凹凸の周期構造16を形成している。これにより、ノズル先端部10bに、摩耗や損傷が生じにくく、耐久性の高い超撥水面が形成されるため、長期にわたり滴下分解能の向上、検体や試薬等の這い上がりや分注ノズル先端部10bへの付着・残留を防止するとともに、運動エネルギーを有する洗浄水や跳ねた検体、試薬等の付着を抑制し、高精度に分注することができる。また、撥水処理成分の混入を抑制することができる。
しかも、ノズル外面11に形成された凹凸構造部13bは、ノズル軸心に沿った方向に延びる溝15にて構成しているので、ノズル軸方向の動的撥水性が向上し、運動エネルギーを有する洗浄水や跳ねた検体、試薬等の付着を抑制し、分注精度が向上する。また、検体、試薬等に浸漬したノズルを高速で引き上げても、その付着を抑制することができる。
さらに、ノズル先端面12に形成された凹凸構造部13aは、2方向の2次元格子溝にて構成されているので、異方性が少なく、ノズル穴の全方向に対して高い接触角が得られることで、ノズル先端部10bへの液滴の接触が抑制される。その結果、滴下分解能の向上、検体や試薬等の這い上がりや分注ノズル先端部10bへの付着・残留を防止することができる。
本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、前記実施形態の分注ノズル10として、細径のパイプからなるノズル本体10aと、このノズル本体10aの先端に連設されるノズル先端部10bとからなるものであり、ノズル先端部10bの軸方向長さが、ノズル本体10aの軸方向長さよりも短いものであったが、逆にノズル先端部10bの軸方向長さが、ノズル本体10aの軸方向長さよりも長いものであっても、ノズル先端部10bの軸方向長さとノズル本体10aの軸方向長さとが同一であってもよい。また、テーパ状のノズル先端部10bを有さないものであっても、細径のパイプからなるノズル本体10aを有さないものであってもよい。このため、前記実施形態では、ノズル10のテーパ部でもって、ノズル先端部と呼んでいたが、これに限るものではなく、テーパ部の軸方向長さが長ければ、このテーパ部の先端部をノズル先端部とし、テーパ部の軸方向長さが短ければ、テーパ部乃至このテーパ部に連設されるノズル本体の一部をノズル先端部とし、さらには、テーパ部を有さない場合、ノズル本体の先端部をもってノズル先端部としてもよい。
ノズル先端面12の外径寸法及び内径寸法は任意に設定できる。すなわち、ノズル先端面12の面積を任意に設定できる。また、分注ノズル10として、前記実施形態では、ステンレス製であったが、樹脂、鉄・アルミニウムなどの金属、またガラス・セラミックなどの窯業製品等にて構成したものであってもよい。
ノズル先端面12に形成される凹凸構造部13aは、2方向以上の格子溝にて構成されるのが好ましいが、1方向の溝であってもよい。また、3方向以上の格子溝にて構成されていてもよい。周期構造16は、凹凸構造部13a、13bの表面のいずれかに形成されていればよい。この場合、表面積倍率を大きくするという点では、実施形態のように凹凸構造部13a、13bの全面に周期構造16を設けるのが好ましいが、図10(a)に示すように、凸部17の表面のみに設けたり、図10(b)に示すように凸部17の表面以外に設けたり、凸部17の表面及び側面のみに設けたりしてもよい。また、周期構造16を設ける位置に規則性を有していなくてもよい。要は、凹凸構造部13a、13bの表面のいずれかの位置に周期構造16が設けられていればよい。
ステンレス製の分注ノズルの先端面(外径:約492μm,内径:約250μm)に2次元格子溝(溝幅10μm、溝深さ6.4μm、溝ピッチ20μm)を形成し、フェムト秒レーザを用いて全面に周期構造(ピッチ約700nm、深さ約200nm)を上書き形成した。また、分注ノズルの外面には、軸方向に複数の溝(溝幅10μm、溝深さ6.4μm、溝ピッチ20μm)を形成し、全面に軸方向に配向した周期構造(ピッチ約700nm、深さ約200nm)を上書き形成した。
加工後にディップコート法によりフッ素コーティングを行った。コーティング剤には、リン酸エステルを吸着基とする平滑面接触角112°(カタログ値)のものを使用した。これによって、図3及び図4に示すように、ノズル先端部のノズル先端面およびノズル外面に凹凸構造部を有し、図5及び図6に示すように、凹凸構造部の表面に、凹凸構造部よりもピッチ幅及び深さの小さいグレーティング状凹凸の周期構造が形成されたサンプルを作成した。
マイクロシリンジにより分注ノズルから純水を吐出させ、液滴の挙動観察および滴下した液滴の質量を電子天秤で計測した。分注ノズルには市販の未加工ノズルと、前記方法により作成した本発明の分注ノズル(以下、撥水ノズルという)を使用した。
未加工ノズルおよび撥水ノズルから滴下する直前の液滴の様子を図11に示す。図11(a)に示すように、未加工ノズルでは液滴がノズル先端面全体に接触しており、液滴のくびれ部の直径は、ノズル外径と同じ492μmであった。また、滴下後の質量計測から最小滴下量は97μlであった。一方、図11(b)に示すように、撥水ノズルでは吐出穴から液滴がぶら下がる状態で形成されており、液滴のくびれ部の直径は、ノズル内径(250μm)とほぼ同等の257μmであった。また、最小滴下量は51μlであった。
液滴の重量がくびれ部に働く表面張力を上回ると液滴が滴下するため、最小液滴量はくびれ部の直径に依存する。未加工ノズルに対する撥水ノズルの最小滴下量の比は51μl/97μl=0.526、くびれ部直径の比は257μm/492μm=0.522となり、最小液滴量とくびれ部の直径の比とはよい一致が見られた。未加工ノズルの滴下分解能を向上するためには、ノズル外径を小さくする必要があり、ノズル強度の観点から大きな改善は困難である。撥水ノズルの場合、くびれ部の直径はノズル内径と同等であるため、内径を小さくするだけで更に滴下分解能を向上することができる。
次に、検体持込み量の実験を行った。具体的には、純水中に浸漬し、純水を吸引した分注ノズルを引き上げた際の付着液滴の画像を取得した。また、付着液滴を球形の一部として近似し、体積を計算した。図12(a)に示すように、未加工ノズルでは液滴がノズル先端面全体に接触しており、66nlの液滴付着が認められた。図12(b)に示すように、撥水ノズルでは、ノズル先端面の液滴付着は認められず、吐出穴から2nlの液ダレが確認された。液ダレはノズル内径を小さくすることで防止できるため、撥水ノズルでは検体持込み量を大幅に低減することができる。
さらに、水平に配置した分注ノズルに対して純水の流水を当てた際の洗浄水付着画像を取得し、付着液滴の体積を計算した。図13(a)に示すように、未加工ノズルでは確実に250nl以上の洗浄水付着が認められた。撥水ノズルでは、ノズル外面に軸方向に配列した溝とグレーティング状の周期構造が形成されていることで、ノズル軸方向の動的撥水性が向上し、ほとんど洗浄水が付着することがなかった。稀に図13(b)に示すように、ノズル衝突後に発生した飛沫の付着が認められたが、洗浄水の持ち込み量も大幅に低減できることが確認された。
次に、検体持出し量の実験を行った。具体的には、純水中に浸漬し、純水を全量吐出した分注ノズルを引き上げた際の付着液滴の画像を取得した。また、付着液滴を球形の一部として近似し、体積を計算した。図14(a)に示すように、未加工ノズルでは、ノズル内に純水が存在する図12(a)と比較すると、ノズル先端面への液滴付着量は低減するものの、28nlの付着が認められた。また、純水に浸漬した未加工ノズルを500mm/s以上で引き上げると、ノズル外面に液滴の付着が認められた。図14(b)に示すように、撥水ノズルでは、純水を全量吐出したことで、図12(b)に見られた液ダレが発生せず、検体持出しが認められなかった。また、純水に浸漬した撥水ノズルを500mm/s以上で引き上げた際にも、ノズル軸方向の動的撥水性が向上したことにより、ノズル外面に液滴の付着は認められなかった。
さらに、分注ノズル先端に形成した液滴を接触角150°の超撥水基板に点着させた際の液滴の挙動を観察し、超撥水基板への点着が可能な最小液滴量の検証を行った。このとき、点着後の分注ノズルに残留した液滴画像を取得し、残留液滴の体積を計算した。未加工ノズルで2μlの純水を超撥水基板に点着させた際の液滴の挙動を図15に示す。液滴を基板に接触した後、基板を下降させると、ノズル側へ液滴の持ち帰りが生じた。図16に示すように、3μlでも同様の結果となった。図17に示すように、基板側への点着可能な最小液滴量は4μlであった。図18に示すように、撥水ノズルでは1μlの液滴でも基板側への点着が可能であった。未加工ノズル先端面には26nlの残留液滴が認められたのに対し、撥水ノズルでは1nlの残留に抑えられており、検体持出し量を極めて小さくできることが確認された。
10 分注ノズル
10b ノズル先端部
11 ノズル外面
12 ノズル先端面
13a、13b 凹凸構造部
14、15 溝
16 周期構造
17 凸部

Claims (9)

  1. 液体を吐出するノズル先端部のノズル先端面およびノズル外面に凹凸構造部を有し、前記凹凸構造部の表面に、前記凹凸構造部よりもピッチ幅及び深さの小さいグレーティング状凹凸の周期構造が形成され、撥水処理が施されたことを特徴とする分注ノズル。
  2. 前記周期構造は、凸部頂点が非平坦面となって連続的に高さが変化するものであることを特徴とする請求項1に記載の分注ノズル。
  3. 前記ノズル外面に形成された前記凹凸構造部は、ノズル軸心に対して±45度以内の方向に延びる溝にて構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の分注ノズル。
  4. 前記溝は、ノズル軸心に沿った方向に延びることを特徴とする請求項3に記載の分注ノズル。
  5. 前記ノズル先端面に形成された前記凹凸構造部は、2方向以上の格子溝にて構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の分注ノズル。
  6. 前記凹凸構造部の凸部の最小幅が100μm以下、かつ、前記周期構造のピッチの2倍以上であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の分注ノズル。
  7. 前記周期構造内に100nm以下の粗さが内包されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の分注ノズル。
  8. 前記凹凸構造部および前記周期構造上に、平滑面における水の接触角が100°以上、かつ、厚さが20nm以下となる撥水剤をコーティングしたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の分注ノズル。
  9. 液体を吐出するノズル先端部に撥水処理が施された分注ノズルであって、ノズル先端面およびノズル外面に凹凸構造部を形成し、加工閾値近傍の照射強度で直線偏光のレーザを照射し、その照射部分をオーバーラップさせながら走査して、自己組織的に、前記凹凸構造部よりもピッチ幅及び深さの小さいグレーティング状凹凸の周期構造を形成することを特徴とする分注ノズルの製造方法。
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