JP2018096576A - 加湿装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】噴霧スプレーを有する加湿装置において、低温の空気を加湿する際の加湿効率を向上する。【解決手段】加湿装置(10)には、氷点下の空気が流通可能な空気通路(11)に配置され、水を噴霧する噴霧スプレー(36)と、空気通路(11)における噴霧スプレー(36)の下流側に配置され、熱を放出可能な加熱部(30)とが設けられる。噴霧スプレー(36)は、水を噴霧する噴霧動作を間欠的に行う。【選択図】図5

Description

本発明は、加湿装置に関する。
従来より、室内などの加湿の対象空間の空気を加湿する加湿装置が知られている。
特許文献1には、噴霧スプレー(散水器)から噴霧した水によって空気を加湿する加湿装置が開示されている。この加湿装置には、ケーシングの内部に噴霧スプレーが配置される。この加湿装置では、噴霧スプレーから噴霧される微細な水粒子が空気中へ付与され、該空気が加湿される。
特開2010−243004号公報
噴霧スプレーから水を噴霧して空気を加湿する加湿装置では、例えば0℃以下のような極めて低い温度の空気を対象とする場合、加湿効率が低下してしまう問題があった。この点について以下に詳述する。
氷点下のような極めて温度の低い空気では、その飽和水蒸気量が極めて小さくなる。これに対し、噴霧スプレーから所定の噴霧性状で水を噴霧しようとする場合、必要最低限の水の流量ないし水圧を確保する必要がある。従って、このような空気を対象として噴霧スプレーから加湿をすると、噴霧された水の多くが空気の加湿に寄与せずに、空気通路の下方へ流出してしまう傾向にあった。これにより、噴霧スプレーから噴霧される水量に対する、空気の加湿に寄与する水量の割合(これを加湿効率ともいう)が低下してしまう。この結果、空気通路において過剰な排水(氷塊を含む)が発生したり、水の消費量が増大したりするという問題があった。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、その目的は、噴霧スプレーを有する加湿装置において、低温の空気を加湿する際の加湿効率を向上することである。
第1の発明は、氷点下の空気が流通可能な空気通路(11)に配置され、水を噴霧する噴霧スプレー(36)と、上記空気通路(11)における噴霧スプレー(36)の下流側に配置され、熱を放出可能な加熱部(30)とを備え、上記噴霧スプレー(36)は、水を噴霧する噴霧動作を間欠的に行うことを特徴とする。
第1の発明では、空気通路(11)を氷点下の空気が流れる際、噴霧スプレー(36)によって間欠的に噴霧動作が行われる。噴霧スプレー(36)から水が噴霧されると、この水が空気に付与される。これにより、空気の加湿が行われる。一方、空気通路(11)の空気は氷点下であるため、噴霧された水の多くは空気中に含まれずに、噴霧スプレー(36)の下流側に配置された加熱部(30)に到達する。空気通路(11)では、氷点下の空気が流れるため、加熱部(30)に到達した水は、その表面において凍結する。従って、噴霧スプレー(36)から噴霧された水のうち、空気中で水蒸気にならなかった水は、加熱部(30)の表面に氷(霜も含む)の状態で捕捉されることになる。
次いで、噴霧動作が停止すると、加熱部(30)の表面の氷が加熱部(30)から放出される熱によってゆっくりと融けていく。これにより融解した水が徐々に水蒸気となって空気中へ付与されていく。
第2の発明は、第1の発明において、上記噴霧スプレー(36)は、上記噴霧動作において、上記空気通路(11)の下流側に向かって水を噴霧することを特徴とする。
第2の発明では、噴霧スプレー(36)から加熱部(30)側に向かって水が噴霧される。このため、噴霧スプレー(36)から噴霧した水を確実に加熱部(30)へ到達させることができる。
仮に噴霧スプレー(36)から空気通路(11)の上流側に向かって水を噴霧すると、この水が空気流れにのって下流側へ流れる際、噴霧スプレー(36)のノズルに付着しやすくなる。このため、ノズルに付着した水が凍結することで、該ノズルの目詰まりや破損を招くおそれがある。これに対し、噴霧スプレー(36)から下流側に水を噴霧することで、噴霧した水が噴霧スプレー(36)に付着してしまうことを確実に回避できる。
第3の発明は、第1又は2の発明において、上記噴霧動作の時間Δt1が、該噴霧動作を停止する停止時間Δt2よりも短いことを特徴とする。
第3の発明では、噴霧動作の時間Δt1が、噴霧動作の停止時間Δt2より短いため、連続的に噴霧する場合と比べて、過剰な水の噴霧を抑制できる。また、噴霧動作の停止時間Δt2が、噴霧時間Δt1よりも大きいため、加熱コイル(30)に付着した氷を十分に融かすことができ、氷の融解に伴う空気への加湿量を十分確保できる。

第4の発明は、第1乃至3の発明のいずれか1つにおいて、加湿の対象空間(2)の湿度を示す指標を検出する湿度検出部(15)を備え、上記加熱部(30)は、温熱媒体が流れる加熱コイル(30)で構成され、該加熱コイル(30)では、上記湿度検出部(15)で検出した湿度を示す指標が目標値に近づくように上記温熱媒体の流量が調節されることを特徴とする。
第4の発明では、加湿の対象空間(2)の湿度が目標値に近づくように、加熱コイル(30)を流れる温熱媒体の流量が調節される。これにより、対象空間(2)の湿度に応じて、加熱コイル(30)に付着した氷の融解速度が調節される。
第5の発明は、第1乃至4の発明のいずれか1つにおいて、上記加熱部(30)は、温熱媒体が流れるフィンアンドチューブ式の熱交換器で構成されることを特徴とする。
第5の発明では、加熱部が、多数のフィン(31)を有するフィンアンドチューブ式の熱交換器(30)で構成される。噴霧動作が行われると、噴霧スプレー(36)から噴霧された水は、熱交換器(30)の伝熱管だけでなく、多数のフィンの表面にも付着する。つまり、熱交換器(30)では、多数のフィンにより、水を付着させる表面積が拡大する。フィンの表面に付着した水は、低温の空気によって冷やされて氷となる。噴霧動作が停止すると、温熱媒体の熱が伝熱管及びフィンを介して氷へと伝わり、氷が溶融する。このように、フィンアンドチューブ熱交換器(30)では、フィンにより、水を捕捉する表面積、及び熱が伝導する伝熱面積が増大する。
第1の発明では、従来であれば、空気の加湿に寄与しなかった水を、加熱部(30)に氷として捕捉して最終的に空気の加湿に利用している。これにより、空気の加湿に寄与しない水の量を低減できるため、氷点下の空気を対象とした場合にも、高い加湿効率を得ることができる。
噴霧スプレー(36)からは間欠的に水が噴霧されるため、連続的に水を噴霧する場合と比較して、噴霧水量を低減できる。この結果、過剰な噴霧に起因して加湿効率が低下してしまうことを抑制できる。
噴霧スプレー(36)から間欠的に水を噴霧することで、噴霧動作における水圧をある程度高くすることができる。これにより、噴霧スプレー(36)から所望の粒子径の水を所望の飛散距離で噴霧できる。
特に、第3の発明では、噴霧動作の時間Δt1を短くすることで、加湿効率を更に増大できる。また、噴霧動作における水圧を更に高くすることができる。これにより、噴霧スプレー(36)から所望の粒子径の水を所望の飛散距離で噴霧できる。
第5の発明では、噴霧スプレー(36)から噴霧した水をフィンの表面に捕捉できるとともに、温熱媒体の熱によってフィンの表面の氷を確実に融かすことができる。この結果、加湿効率が更に増大する。
図1は、実施形態に係る加湿装置の概略の全体構成図である。 図2は、実施形態に係る加湿装置の加湿用加熱コイルの概略の斜視図である。 図3は、実施形態に係る加湿装置の概略の全体構成図であり、プルダウン運転を説明するためのものである。 図4は、実施形態に係る加湿装置の概略の全体構成図であり、通常運転の噴霧動作を説明するためのものである。 図5は、実施形態に係る加湿装置の概略の全体構成図であり、通常運転の停止動作を説明するためのものである。 図6は、加湿装置の運転のタイムチャートであり、噴霧動作のON/OFFの状態、及び加熱コイルの温熱媒体の流量の一例を表したものである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本実施形態の加湿装置(10)は、加湿の対象空間(2)の空気を加湿する。加湿装置(10)は、氷点下(0℃以下)の空気を加湿可能に構成される。加湿装置(10)は、対象空間(2)の空気の温度を調節する温調機能も有している。
〈試験設備の全体構成〉
加湿装置(10)は、図1に示す試験設備(1)に適用されている。本実施形態の加湿装置(10)は、試験室(2)を加湿の対象空間としている。試験設備(1)は、空気調和装置用であり、試験室(2)には、空気調和装置(A)の室外機(3)が試験対象(被試験機)として設置される。試験室(2)では、室外機(3)の周囲環境(温度及び湿度環境)が擬似的に再現可能である。本実施形態の試験室(2)では、寒冷地を再現するために0℃〜−15℃までの氷点下の温度雰囲気が再現可能である。
室外機(3)の筐体の内部には、室外熱交換器(4)が収容される。空気調和装置(A)は、圧縮機、室外熱交換器(4)、膨張弁、室内熱交換器が接続される冷媒回路を備え、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うように構成される。
図1に示すように、試験設備(1)は、空気通路(11)と試験室(2)との間を空気が循環するように構成される。具体的に、試験設備(1)は、空気通路(11)と試験室(2)とを仕切る仕切部(5)を有し、空気通路(11)の吹出口(12)及び吸込口(13)が試験室(2)に開口している。
〈加湿装置の構成〉
加湿装置(10)は、空気の温度及び湿度を調節するように構成される。図1に示すように、加湿装置(10)は、空気通路(11)と、該空気通路(11)に配置される空気処理ユニット(20)とを備える。更に、加湿装置(10)は、空気処理ユニット(20)に冷熱媒体や温熱媒体を供給するための熱源ユニット(図示省略)と、空気処理ユニット(20)と熱源ユニットとを繋ぐ熱媒体回路(40)(一部のみを図示)とを備える。
〈空気処理ユニット〉
空気処理ユニット(20)は、空気通路(11)の上流側から下流側に向かって順に、冷却コイルユニット(21)、ファン(25)、加温用加熱コイル(26)、噴霧ユニット(35)、加湿用加熱コイル(30)、及びエリミネータ(27)を備えている。
冷却コイルユニット(21)は、熱媒体が流れる熱交換器で構成される。より具体的には、冷却コイルユニット(21)は、例えばフィンアンドチューブ式の熱交換器で構成される。冷却コイルユニット(21)は、その内部を流れる熱媒体と空気通路(11)を流れる空気とを熱交換させる。また、冷却コイルユニット(21)は、熱媒体が流れる方向と空気流れとが実質的に対向する対向流式である。
冷却コイルユニット(21)は、上流側の第1伝熱部(22)と、下流側の第2伝熱部(23)とを有する。第2伝熱部(23)の空気通過方向の幅は、第1伝熱部(22)の空気通過方向の幅よりも大きい。本実施形態の第1伝熱部(22)には、比較的低温の冷熱媒体と、比較的高温の温熱媒体とが切換可能に供給される。
第1伝熱部(22)は、その下部において第1下部伝熱領域(22a)が形成され、第1下部伝熱領域(22a)以外の残りの部分に第1上部伝熱領域(22b)が形成される。同様に、第2伝熱部(23)は、その下部において第2下部伝熱領域(23a)が形成され、第2下部伝熱領域(23a)以外の残りの部分に第2上部伝熱領域(23b)が形成される。
第1下部伝熱領域(22a)には、熱媒体が流れる第1パス(P1)が、第1上部伝熱領域(22b)には、熱媒体が流れる第2パス(P2)が、第2下部伝熱領域(23a)には、熱媒体が流れる第3パス(P3)が、第2上部伝熱領域(23b)には、熱媒体が流れる第4パス(P4)がそれぞれ形成される。
本実施形態の冷却コイルユニット(21)のフィンは、各パス(P1〜P4)に1つずつ対応するように4つのフィン群に分割されている。しかし、冷却コイルユニット(21)のフィンは、各伝熱領域(22a,22b,23a,23b)に跨がって共用されていてもよい。
ファン(25)は、例えばシロッコファンで構成され、空気通路(11)の空気を搬送する。ファン(25)で搬送された空気は、空気通路(11)と試験室(2)とを交互に流れる。
加温用加熱コイル(26)は、温熱媒体が流れる熱交換器で構成される。加温用加熱コイル(26)は、その内部を流れる温熱媒体と空気通路(11)を流れる空気とを熱交換させる。
噴霧ユニット(35)は、空気通路(11)を流れる空気へ水を噴霧する。本実施形態の噴霧ユニット(35)は、複数(3つ)の噴霧スプレー(36)を有している。噴霧スプレー(36)の数量は、1つであってもよいし、他の数量であってもよい。噴霧スプレー(36)の詳細は後述する。
加湿用加熱コイル(30)(加熱コイル)は、熱を放出可能な加熱部を構成している。本実施形態の加湿用加熱コイル(30)は、温熱媒体が流れる、例えばフィンアンドチューブ式の熱交換器で構成される。つまり、加湿用加熱コイル(30)は、図2に示すように、互いに平行に配置される複数のフィン(31)と、該フィン(31)をその板厚方向に貫通する伝熱管(32)とを有する。各フィン(31)は、縦長の長方形状に形成され、その幅方向が空気流れに沿うように空気通路(11)に配置される。各フィン(31)の間には、空気が通過可能な複数の通風路(33)が形成される。
エリミネータ(27)は、空気中の比較的大きな水滴が試験室(2)へ飛散するのを防止する水滴飛散防止用の部材を構成している。
〈熱媒体回路〉
図1に示すように、熱媒体回路(40)は、熱源ユニットで生成された熱媒体(温熱媒体や冷熱媒体)を空気処理ユニット(20)へ供給するための配管である。熱媒体は、0℃以下であっても凍結しない不凍液である。熱媒体回路(40)は、第1回路(41)、第2回路(61)、及び第3回路(64)を含んでいる。
第1回路(41)は、冷却コイルユニット(21)に対応している。第1回路(41)は、第1温熱流入路(43)、第1温熱流出路(42)、第1冷熱流入路(45)、及び第1冷熱流出路(44)を有する。
第1温熱流入路(43)は、熱源ユニットの温熱媒体を冷却コイルユニット(21)に供給するための配管を構成する。第1温熱流入路(43)には、第1開閉弁(47)が接続される。第1温熱流出路(42)には、冷却コイルユニット(21)を流れた後の温熱媒体を熱源ユニットへ戻すための配管を構成する。第1温熱流出路(42)には、第2開閉弁(46)が接続される。第1冷熱流入路(45)は、熱源ユニットの冷熱媒体を冷却コイルユニット(21)に供給するための配管を構成する。第1冷熱流出路(44)は、冷却コイルユニット(21)を流れた後の冷熱媒体を熱源ユニットへ戻すための配管を構成する。
第1回路(41)は、第1から第8までの分岐管(51〜58)を有している。第1分岐管(51)は、第1温熱流出路(42)と第1パス(P1)の一端とを繋いでいる。第2分岐管(52)は、第1温熱流出路(42)と第2パス(P2)の一端とを繋いでいる。第3分岐管(53)は、第1温熱流入路(43)と第1パス(P1)の他端とを繋いでいる。第4分岐管(54)は、第1温熱流入路(43)と第2パス(P2)の他端とを繋いでいる。第5分岐管(55)は、第1冷熱流入路(45)と第3パス(P3)の一端とを繋いでいる。第6分岐管(56)は、第1冷熱流入路(45)と第4パス(P4)の他端とを繋いでいる。第7分岐管(57)は、第1冷熱流出路(44)と第3パス(P3)の他端とを繋いでいる。第8分岐管(58)は、第1冷熱流出路(44)と第4パス(P4)の他端とを繋いでいる。
第1回路(41)は、第1バイパス管(59)と第2バイパス管(60)とを有している。第1バイパス管(59)は、第1温熱流入路(43)と第1冷熱流入路(45)とを繋いでいる。第1バイパス管(59)には、第3開閉弁(48)が接続される。第2バイパス管(60)は、第1温熱流出路(42)と第1冷熱流出路(44)とを繋いでいる。第2バイパス管(60)には、第4開閉弁(49)が接続される。
第2回路(61)は、加温用加熱コイル(26)に対応している。第2回路(61)は、第2温熱流入路(63)と第2温熱流出路(62)とを有している。第2温熱流入路(63)の流出端は、加温用加熱コイル(26)のパス(伝熱管)の一端に繋がっている。第2温熱流出路(62)の流入端は、加温用加熱コイル(26)のパス(伝熱管)の他端に繋がっている。
第3回路(64)は、加湿用加熱コイル(30)に対応している。第3回路(64)は、第3温熱流入路(66)と第3温熱流出路(65)とを有している。第3温熱流入路(66)の流出端は、加湿用加熱コイル(30)のパス(伝熱管)の一端に繋がっている。第3温熱流出路(65)の流入端は、加湿用加熱コイル(30)のパス(伝熱管)の他端に繋がっている。
第3回路(64)には、第3バイパス管(69)及び三方弁(68)が接続される。第3バイパス管(69)は、第3温熱流入路(66)と第3温熱流出路(65)とを繋いでいる。三方弁(68)は、第3温熱流出路(65)と第3バイパス管(69)とを遮断し、第3温熱流出路(65)と加湿用加熱コイル(30)とを連通させる第1状態と、第3温熱流出路(65)の流出端と加湿用加熱コイル(30)とを遮断し、第3温熱流出路(65)の流出端と第3バイパス管(69)とを連通させる第2状態とに切り換わるように構成される。
第3回路(64)には、加湿用加熱コイル(30)を流れる温熱媒体の流量を調節するための流量調節機構(図示省略)が接続される。この流量調節機構は、例えば第3回路(64)に接続される流量可変式のポンプや、流量調節弁等が挙げられる。なお、三方弁(68)は、上述したように、加湿用加熱コイル(30)を温熱媒体が流れる状態(第1状態)と、加湿用加熱コイル(30)を温熱媒体が流通しない状態(第2状態)とを切り換える。従って、三方弁(68)も広義の流量調節機構といえる。
〈噴霧ユニットの詳細構造〉
図1に示すように、噴霧ユニット(35)は、複数の噴霧スプレー(36)を有している。各噴霧スプレー(36)は、水を噴出するノズル(37)をそれぞれ有している。各ノズル(37)には、水タンクからポンプ等で搬送された水が供給される。
本実施形態では、ノズル(37)の先端が空気通路(11)の下流側、ないし加湿用加熱コイル(30)側を向いている。つまり、本実施形態の噴霧スプレー(36)は、空気通路(11)の下流側に向かって水を噴霧するように構成される。ノズル(37)は、耐久性に優れた金属材料(例えばステンレス材料)であることが好ましい。これにより、仮にノズル(37)の内部や表面の水が凍結したとしても、ノズル(37)が圧壊してしまうことを回避できる。
複数の噴霧スプレー(36)は、各ノズル(37)から噴霧された水が加湿用加熱コイル(30)の上流側の表面に付着するように、水の飛散距離や噴霧角度が設定される。また、複数のノズル(37)は、互いに等間隔を置いて上下方向に配列される。これにより、加湿用加熱コイル(30)の表面には、比較的均一に水が付着する。
噴霧スプレー(36)は、詳細は後述する通常運転において、間欠的に水を噴霧するように構成される。より具体的には、噴霧スプレー(36)は、噴霧した水が加湿用加熱コイル(30)に到達するように水を噴霧する噴霧動作と、この噴霧動作を所定時間に亘って停止する動作(停止動作)とを交互に繰り返すように構成される。ここで、通常運転では、噴霧動作の時間Δt1が、前後の噴霧動作の間の停止時間Δt2(即ち、停止動作の時間)よりも短く設定される。例えば時間Δt1は数秒(約2秒)に設定され、時間ΔT2は数十秒(約30秒)に設定される。また、これらの時間Δt1及びt2は、噴霧スプレー(36)のノズル(37)内で水が凍結しない程度の長さに設定される。
〈センサ〉
加湿装置(10)は、試験室(2)の空気の温度を検出する温度検出部と、試験室(2)の空気の湿度を検出する湿度検出部とを備えている。本実施形態の加湿装置(10)では、例えば温度検出部及び湿度検出部が露点温度センサ(15)により兼用されている。つまり、露点温度センサ(15)は、試験室(2)の温度Trと、試験室(2)の湿度(本例では相対湿度)を示す指標となる露点温度Tdとを検出可能に構成される。
なお、温度検出部と湿度検出部とをそれぞれ別部材のセンサで構成してもよい。また、湿度検出部は、露点温度センサ以外の他の方式であってもよい。
〈制御器〉
制御器(70)は、CPU(中央演算処理装置)及びメモリ等の記憶部を有する制御基板を含んでいる。制御器(70)は、露点温度センサ(15)で検出した温度Tr及び露点温度Td等のセンサの検出信号が入力される入力部(71)を有している。
制御器(70)は、加湿装置(10)の各機器(ファン(25)、各開閉弁(46,47,48,49)、噴霧ユニット(35)等をそれぞれ制御する。具体的に、制御器(70)は、その機能的な要素として、噴霧制御部(72)と流量制御部(73)とを有している。噴霧制御部(72)は、通常運転において、噴霧スプレー(36)の噴霧動作と停止動作とが交互に繰り返されるように、噴霧スプレー(36)のON/OFF状態を切り換える。流量制御部(73)は、通常運転において、露点温度センサ(15)で検出した露点温度Tdが、設定された目標値に近づくように、第3回路(64)の流量調節機構を制御する。これらの動作の詳細は後述する。
−運転動作−
加湿装置(10)は、プルダウン運転と通常運転とを行う。プルダウン運転は、試験開始時において、試験室(2)の温度(乾球温度)Trを所定の目標温度Tsまで低下させる運転である。通常運転は、プルダウン運転の後、試験室(2)の温度Trを目標温度Tsに維持するとともに、試験室(2)の湿度(露点温度Td)を目標値に近づける運転である。従って、通常運転では、原則として、空気を加湿する加湿動作が行われる。また、試験室(2)の目標温度Tsは0℃より低い所定温度(即ち、氷点下)に設定される。
〈プルダウン運転〉
図3に示すプルダウン運転では、ファン(25)が運転される。第1回路(41)では、第1開閉弁(47)及び第2開閉弁(46)が閉状態となり、第3開閉弁(48)及び第4開閉弁(49)が開状態となる。第1回路(41)では、熱源ユニットから冷熱媒体が供給される一方、温熱媒体は供給されない。第2回路(61)及び第3回路(64)にも、温熱媒体は供給されない。従って、プルダウン運転では、冷却コイルユニット(21)が作動し、加温用加熱コイル(26)及び加湿用加熱コイル(30)は作動しない。また、プルダウン運転では、噴霧ユニット(35)も停止状態となる。
プルダウン運転時の冷却コイルユニット(21)では、第1伝熱部(22)及び第2伝熱部(23)に冷熱媒体が供給される。即ち、第1冷熱流入路(45)を流れる冷熱媒体は、図3に示すように、4つのパス(P1〜P4)にそれぞれ分岐した後、最終的に第1冷熱流出路(44)で合流し、熱源ユニットへ送られる。このように、プルダウン運転では、冷却コイルユニット(21)の全てのパス(P1〜P4)を冷熱媒体が流れる。このため、冷却コイルユニット(21)を流れる空気は、全ての伝熱領域(22a,22b,23a,23b)において冷熱媒体によって冷却される。
冷却コイルユニット(21)で冷却された空気は、加温用加熱コイル(26)、噴霧ユニット(35)、加湿用加熱コイル(30)、及びエリミネータ(27)をそのまま通過し、試験室(2)へ供給される。このプルダウン運転が継続されることで、試験室(2)の温度Trが、0℃より小さい目標温度Tsへ収束していく。
例えばプルダウン運転が終了すると、被試験機である空気調和装置(A)で暖房運転が実行される。これにより、空気調和装置(A)の冷媒回路では、室内熱交換器が凝縮器ないし放熱器となり、室外熱交換器(4)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。従って、室外熱交換器(4)を流れる冷媒は、試験室(2)の空気から吸熱して蒸発する。これにより、プルダウン運転の後には、試験室(2)の空気が室外熱交換器(4)によって冷却されることになる。
なお、空気調和装置(A)は、例えばプルダウン運転の開始時又は途中から暖房運転を開始してもよい。これにより、空気調和装置(A)の立ち上がりの時間を短縮でき、その後の試験時間を短縮できる。
〈通常運転〉
図4及び図5に示す通常運転は、試験室(2)の温度Trが0℃より低い目標温度Tsに至り、プルダウン運転が終了すると実行される。
通常運転では、ファン(25)が運転される。通常運転では、試験室(2)の温度Trに応じて、冷却コイルユニット(21)及び加温用加熱コイル(26)の熱媒体の流れが切り換えられる。
具体的には、試験室(2)の温度Trが目標温度Tsよりも所定温度低くなると、加温用加熱コイル(26)に温熱媒体が供給される。また、冷却コイルユニット(21)には、熱媒体が供給されない。これにより、加温用加熱コイル(26)の温熱媒体により空気を加熱でき、試験室(2)の温度Trを目標温度Tsに近づけることができる。
また、試験室(2)の温度Trが目標温度Tsよりも大きく、これらの温度差(Tr−Ts)が所定値αより大きくなると、第1〜第4開閉弁(46,47,48,49)が閉状態となる(図4を参照)。これにより、冷却コイルユニット(21)の第2伝熱部(23)に冷熱媒体が供給され、第1伝熱部(22)には熱媒体が供給されない。また、加温用加熱コイル(26)には、温熱媒体が供給されない。これにより、冷却コイルユニット(21)では、第2伝熱部(23)で空気を冷却でき、試験室(2)の温度Trを目標温度Tsに近づけることができる。
また、試験室(2)の温度Trが目標温度Tsよりも大きく、これらの温度差(Tr−Ts)が所定値β(ここで、βはαよりも大きい)より大きくなると、プルダウン運転と同様にして、冷却コイルユニット(21)の第1伝熱部(22)及び第2伝熱部(23)に冷熱媒体が供給される。また、加温用加熱コイル(26)には、温熱媒体が供給されない。これにより、冷却コイルユニット(21)では、第1伝熱部(22)及び第2伝熱部(23)で空気を冷却でき、試験室(2)の温度Trを目標温度Tsに速やかに近づけることができる。
同時に通常運転では、試験室(2)の露点温度Tdを目標値に近づける加湿動作が行われる。ただし、試験室(2)の温度Trと目標温度Tsとの差が所定値よりも大きい条件下で加湿動作を行うと、露点温度Tdの収束性が損なわれる。このため、温度Trと目標温度Tsとの差が所定値γより大きい条件下では、加湿動作が禁止され、この差がγ以下であるときに加湿動作が行われる。
図6に示すように、プルダウン運転から通常運転(加湿動作)へ移行すると、各噴霧スプレー(36)から水を噴霧する動作(噴霧動作)が開始される。同時に、第3回路(64)では、三方弁(68)が第1状態になるとともに、温熱媒体が第3温熱流入路(66)に供給される。この結果、加湿用加熱コイル(30)を温熱媒体が流れる。
噴霧スプレー(36)から水が噴霧されると、この水は空気通路(11)を流れる空気へ付与される。空気通路(11)を流れる空気は氷点下であるため、噴霧スプレー(36)から噴霧された水の一部のみが空気中で水蒸気となり、残りの水は空気通路(11)の下流側へ飛散する。この結果、噴霧された水は、加湿用加熱コイル(30)の上流側部分における伝熱管(32)やフィン(31)の表面に付着する。
空気通路(11)を流れる空気は氷点下であるため、加湿用加熱コイル(30)に付着した水が凍結する。このため、噴霧スプレー(36)から噴霧された水は、氷の状態で加湿用加熱コイル(30)の表面に捕捉される(図5を参照)。
噴霧動作が開始した後、時間Δt1(例えば2秒)が経過すると、噴霧動作を停止する停止動作が時間Δt2(例えば30秒)の間実行される。このように噴霧動作の実行時間は比較的短いため、過剰な水の噴霧を抑制できる。また、噴霧動作時における単位時間あたりの噴霧量が比較的大きくなるため、ノズル(37)の水圧を十分に確保でき、ひいては所望の飛散距離及び噴霧性状で水を噴霧できる。更に、停止動作の時間Δt2を比較的長くすることで、加熱コイル(30)の表面の氷を融かすための時間を十分に確保できる。これにより、氷の融解に伴う空気の加湿量を十分に確保できる。
停止動作が開始されると、加湿用加熱コイル(30)の表面の氷が、伝熱管(32)を流れる温熱媒体から吸熱し、徐々に融解していく。この結果、融解した水が最終的に水蒸気となり、空気へ付与されていく。従って、通常運転では、停止動作においても空気を徐々に加湿できる。
図6に示すように、通常運転では、噴霧動作及び停止動作の双方において、加湿用加熱コイル(30)の温熱媒体の流量が調節される。具体的には、試験室(2)の露点温度Tdが目標値に近づくように、該流量が調節される。このため、加湿用加熱コイル(30)の氷が融解する速度を細かく調節でき、試験室(2)の湿度を確実に目標値へ収束させることができる。本実施形態では、試験室(2)の露点温度Tdが目標値に至ると、三方弁(68)が第2状態となり、加湿用加熱コイル(30)を流れる温熱媒体の流量がゼロになる。
なお、通常運転において、試験室(2)の湿度を示す指標が目標値に近づくように、熱源ユニットにより、加湿用加熱コイル(30)を流れる温熱媒体の温度を調節してもよい。
このように、通常運転では、噴霧スプレー(36)から噴霧した水を加湿用加熱コイル(30)の表面で氷とする動作(氷生成動作)と、この氷を温熱媒体により融解させ空気を加湿する動作(氷融解動作)とが行われる。これにより、噴霧スプレー(36)から噴霧した水を空気へ確実に付与でき、加湿効率の向上を図ることができる。
−実施形態の効果−
上記実施形態では、従来であれば、空気の加湿に寄与しなかった水を、加湿用加熱コイル(30)に氷として捕捉して最終的に空気の加湿に利用している。これにより、空気の加湿に寄与しない水の量を低減できるため、氷点下の空気を対象とした場合にも、高い加湿効率を得ることができる。
図6に示すように、噴霧スプレー(36)からは間欠的に水が噴霧されるため、連続的に水を噴霧する場合と比較して、単位時間あたりの噴霧水量を低減できる。この結果、過剰な噴霧に起因して加湿効率が低下してしまうことを抑制できる。
また、噴霧スプレー(36)から間欠的に水を噴霧することで、噴霧動作におけるノズル(37)の水圧をある程度高くすることができる。これにより、噴霧スプレー(36)から所望の粒子径の水を所望の飛散距離で噴霧できる。特に、噴霧動作の時間Δt1を停止動作の時間Δt2短くすることで、このような効果が顕著となる。
噴霧スプレー(36)は、空気通路(11)の下流側の加湿用加熱コイル(30)に向かって水を噴霧する。このため、噴霧スプレー(36)から噴霧した水を加湿用加熱コイル(30)へ確実に到達させることができる。
仮に噴霧スプレー(36)から空気通路(11)の上流側に向かって水を噴霧すると、この水が再び下流側へ流れる際、噴霧スプレー(36)のノズル(37)に付着しやすくなる。このため、ノズル(37)に付着した水が凍結することで、該ノズル(37)の目詰まりや破損を招くおそれがある。これに対し、噴霧スプレー(36)から下流側に水を噴霧することで、噴霧した水が噴霧スプレー(36)に付着してしまうことを確実に回避できる。
加湿用加熱コイル(30)は、フィンアンドチューブ式に構成される。このため、噴霧動作が行われると、噴霧スプレー(36)から噴霧された水は、熱交換器(30)の伝熱管(32)だけでなく、多数のフィン(31)の表面にも付着する。つまり、熱交換器(30)では、多数のフィン(31)により、水を付着させる表面積が拡大する。フィン(31)の表面に付着した水は、低温の空気によって冷やされて氷となる。噴霧動作が停止すると、温熱媒体の熱が伝熱管(32)及びフィン(31)を介して氷へと伝わり、氷が溶融する。このように、加湿用加熱コイル(30)では、フィン(31)により、水を捕捉する表面積、及び熱が伝導する伝熱面積が増大する。これにより、噴霧スプレー(36)から噴霧した水をフィン(31)の表面に捕捉できるとともに、温熱媒体の熱によってフィン(31)の表面の氷を確実に融かすことができる。この結果、加湿効率が更に増大する。
本実施形態では、加湿用加熱コイル(30)の下流側にエリミネータ(27)を設けている。このため、細かい氷が加湿用加熱コイル(30)から剥がれ落ちたとしても、このような氷をエリミネータ(27)により捕捉できる。
《その他の実施形態》
上記実施形態の加熱部は、フィンアンドチューブ式の加熱コイル(熱交換器)である。しかし、加熱部は、噴霧スプレー(36)から噴霧される水が付着するとともに、凍結した氷を融解させるものであれば、如何なる構成であってもよい。具体的には、例えば加熱部は、ヒータを有する伝熱プレートであってもよい。
上記実施形態の噴霧スプレー(36)は、空気通路(11)の下流側に水を噴霧するように構成される。しかし、噴霧スプレー(36)は、空気通路(11)の上流側や他の方向に水を噴霧するものであってもよい。この場合にも、噴霧された水は、空気の流れに沿って下流側へと流れ、最終的に加湿用加熱コイル(30)に付着する。
上記実施形態の加湿装置(10)は、空気調和装置(A)の試験室(2)を対象空間としている。しかし、例えば加湿装置(10)は、0℃より低い温度の空気を対象とするものであれば、他の用途に用いられてもよい。具体的には、例えば加湿装置(10)は、冷凍機の庫内を加湿の対象空間とするものであってもよい。
上記実施形態の冷却コイルユニット(21)は、上流側の第1伝熱部(22)と、下流側の第2伝熱部(23)を有し、第1伝熱部(22)に前列パス(P1,P2)が形成され、第2伝熱部(23)に後列パス(P3,P4)が形成されている。しかし、冷却コイルユニット(21)は、1つの伝熱部を有し、この伝熱部に熱媒体のパスが形成されるものであってもよい。この場合、伝熱部のパスの熱媒体の流量や熱媒体の種類を三方弁や他の弁で適宜調節することができる。
以上説明したように、本発明は、加湿装置について有用である。
2 対象空間
10 加湿装置
11 空気通路
15 露点温度センサ(湿度検出部)
30 加湿用加熱コイル(加熱部)
36 噴霧スプレー

Claims (5)

  1. 氷点下の空気が流通可能な空気通路(11)に配置され、水を噴霧する噴霧スプレー(36)と、
    上記空気通路(11)における上記噴霧スプレー(36)の下流側に配置され、熱を放出可能な加熱部(30)とを備え、
    上記噴霧スプレー(36)は、水を噴霧する噴霧動作を間欠的に行うことを特徴とする加湿装置。
  2. 請求項1において、
    上記噴霧スプレー(36)は、上記噴霧動作において、上記空気通路(11)の下流側に向かって水を噴霧することを特徴とする加湿装置。
  3. 請求項1又は2において、
    上記噴霧動作の時間Δt1が、該噴霧動作を停止する停止時間Δt2よりも短いことを特徴とする加湿装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
    加湿の対象空間(2)の湿度を示す指標を検出する湿度検出部(15)を備え、
    上記加熱部(30)は、温熱媒体が流れる加熱コイルで構成され、
    上記加熱コイル(30)では、上記湿度検出部(15)で検出した湿度を示す指標が目標値に近づくように上記温熱媒体の流量が調節されることを特徴とする加湿装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、
    上記加熱部(30)は、温熱媒体が流れるフィンアンドチューブ式の熱交換器で構成されることを特徴とする加湿装置。
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