JP2018095991A - 繊維構造体 - Google Patents

繊維構造体 Download PDF

Info

Publication number
JP2018095991A
JP2018095991A JP2016240968A JP2016240968A JP2018095991A JP 2018095991 A JP2018095991 A JP 2018095991A JP 2016240968 A JP2016240968 A JP 2016240968A JP 2016240968 A JP2016240968 A JP 2016240968A JP 2018095991 A JP2018095991 A JP 2018095991A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
fluororesin
porous sheet
raw material
material liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016240968A
Other languages
English (en)
Inventor
本村 耕治
Koji Motomura
耕治 本村
住田 寛人
Hiroto Sumita
寛人 住田
崇彦 村田
Takahiko Murata
崇彦 村田
隆敏 光嶋
Takatoshi Mitsushima
隆敏 光嶋
啓二 藤原
Keiji Fujiwara
啓二 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority to JP2016240968A priority Critical patent/JP2018095991A/ja
Publication of JP2018095991A publication Critical patent/JP2018095991A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

【課題】フッ素樹脂を含む良質な繊維を備える繊維構造体を提供する。
【解決手段】第1繊維を含み、第1主面とその反対側の第2主面とを有する繊維層を備える、繊維構造体であって、前記第1繊維の平均繊維径D1が、50nm以上、500nm以下であり、前記第1繊維がフッ素樹脂を含んでおり、前記フッ素樹脂が、主鎖に結合するフッ素原子と、前記主鎖の一部を構成する炭素間二重結合と、を備える、繊維構造体である。前記フッ素樹脂がポリフッ化ビニリデンの誘導体である場合、前記フッ素樹脂におけるフッ素原子と炭素原子との原子比:F/Cが、0.8以上、1未満であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、繊維構造体に関し、詳細には、フッ素樹脂を含む繊維を備える繊維構造体に関する。
電界紡糸法は、繊維径が1μm以下の、一般にナノファイバと呼ばれる繊維を、比較的容易に製造できる方法である。電界紡糸法では、例えば、繊維の原料である樹脂(原料樹脂)を溶媒に溶解させた原料液に高電圧を印加して電荷を付与し、この帯電した原料液を、放出体に設けられた放出口からターゲットに向けて放出する。放出された原料液は、放出口とターゲットとの間の空間(生成空間)を移動中に静電爆発を起こし、原料樹脂は繊維状に成形される。このとき、溶媒はほぼ揮発し、ターゲットには、原料樹脂からなる繊維が不織布状に堆積される。原料樹脂として、特許文献1〜3には、フッ素樹脂が例示されている。フッ素樹脂は撥水性を備えるため、水分と接触するような用途において耐久性を発揮する。そのため、フッ素樹脂を含む繊維径の小さな繊維は、濾材等の用途に用いられる材料として期待されている。
国際公開第2009/119638号パンフレット 特開2008−243420号公報 特開2013−139661号公報
電界紡糸法では、上記のとおり、原料液に高電圧が印加される。そのため、体積抵抗率の小さい樹脂ほど、電界紡糸法に適している。この点、フッ素樹脂は、一般的に体積抵抗率が大きい。そのため、フッ素樹脂を原料樹脂として含む原料液を用いて電界紡糸を行うと、得られる不織布状の繊維構造体には、図5に示すようなビーズ状の樹脂の塊(白く見える塊)や、図6に示すような薄膜状の樹脂(白で縁取られた略円形の部分)が付着し易い。つまり、一般的に、フッ素樹脂の電界紡糸における曳糸性は低い。この傾向は、複数の放出口が、同一平面上に近接して配置された放出体を用いて電界紡糸を行う場合に、より顕著である。
本発明の一局面は、第1繊維を含み、第1主面とその反対側の第2主面とを有する繊維層を備える繊維構造体であって、前記第1繊維の平均繊維径D1が、50nm以上、500nm以下であり、前記第1繊維がフッ素樹脂を含んでおり、前記フッ素樹脂が、主鎖に結合するフッ素原子と、前記主鎖の一部を構成する炭素間二重結合と、を備える、繊維構造体に関する。
本発明によれば、フッ素樹脂を含む良質な繊維を備える繊維構造体が得られる。
本発明の一実施形態に係る繊維構造体を模式的に示す断面図である。 本実施形態の繊維構造体を第2主面の法線方向から撮影したSEM画像(倍率1000倍)である。 本発明の一実施形態に係る繊維構造体の製造に用いられる製造システムの構成例を示す図である。 電界紡糸に使用される放出体の長手方向に沿った断面図(a)、および、B−B線に沿った断面図(b)である。 従来の繊維構造体を主面の法線方向から撮影したSEM画像(倍率1000倍)である。 従来の他の繊維構造体を主面の法線方向から撮影したSEM画像(倍率1000倍)である。 電界紡糸に使用される他の放出体の一部を模式的に示す斜視図である。
電界紡糸法において、帯電された原料液が放出口から噴射される際、放出口の先端に位置する原料液の表面に電荷が集まる。この先端表面の電荷が互いに反発して、反発力が表面張力を超えると、原料液は、細い糸状体となって生成空間に放出される。生成空間において、この電荷の反発力により糸状体は引き伸ばされて、表面積が急速に大きくなる。これにより、溶媒が揮発して、繊維が生成される。
ところが、図7に示すように、複数の放出口233が同一平面上(先端平面部231)に近接して配置されていると、帯電された原料液が放出口233から噴射される際、各放出口233の周りに液溜まり221(いわゆるテーラーコーン)が発生する。液溜まり221は、原料液の粘性により発生すると考えられ、放出口233よりも大きな円形の底面を備える円錐形状となる。液溜まり221は互いに帯電しているため、電界の干渉が生じる。そのため、各液溜まり221の表面の電荷が少なくなって、十分な反発力が得られない。よって、原料液の一部は、液滴のままターゲットに落下して、乾燥後に樹脂の薄膜となる。また、原料液が放出口233から噴射され難いため、電界紡糸を連続的に行うことが困難となる。原料液が糸状体222となって放出されても、糸状体222は十分に引き伸ばされないため、一部はビーズ状の塊になって、ターゲットに堆積する。
上記のような電界干渉が生じると、体積抵抗率の大きいフッ素樹脂を原料樹脂とする電界紡糸法によって得られる繊維構造体には、上記のような樹脂の薄膜やビーズ状の塊が、ますます形成され易くなる。本発明は、主鎖の一部に炭素間二重結合を備えるフッ素樹脂が曳糸性に優れており、電界紡糸法により紡糸する場合、さらには、複数の放出口が同一平面上に近接して配置された放出体を用いて電界紡糸を行う場合にも、良質な繊維を形成することを見出し、なされたものである。
[繊維構造体]
以下、繊維構造体10について、図1を参照しながら、空気清浄機の濾材に適する形態として具体的に説明するが、繊維構造体10の用途はこれに限定されるものではない。図1は、繊維層1と、繊維層1の第1主面1Xに積層される第1多孔質シート2と、繊維層1の第1主面1Xとは反対側の第2主面1Yに積層される第2多孔質シート3と、を備える繊維構造体10を模式的に示す断面図である。
(繊維層)
繊維層1は、第1主面1Xとその反対側の第2主面1Yとを有するとともに、フッ素樹脂を含む第1繊維により構成されており、ダストを捕捉する機能を備える。
フッ素樹脂は、主鎖の一部を構成する炭素間二重結合を備える。この炭素間二重結合により、フッ素樹脂には電気が流れやすくなって、体積抵抗率が小さくなる。よって、電界紡糸の際、第2のフッ素樹脂には、電荷同士の十分な反発が生じて、曳糸性が向上する。
フッ素樹脂は、主鎖に結合するフッ素原子と、主鎖の一部を構成する炭素間二重結合とを含んでいる限り、特に限定されない。主鎖に結合するフッ素原子(すなわち、C−F結合)および主鎖の一部を構成する炭素間二重結合(すなわち、C=C結合)は、例えば、X線光電子分光分析法(XPS)、フーリエ変換赤外分光分析法(FT−IR)あるいは核磁気共鳴分光法(NMR)等を用いて確認できる。
このようなフッ素樹脂は、例えば、主鎖に結合するフッ素原子を有するが、主鎖に炭素間二重結合を有しないフッ素樹脂(以下、第1のフッ素樹脂と称す。)から、当該フッ素原子の一部を脱離させることにより得られる。この場合、第1繊維に含まれるフッ素樹脂(以下、第2のフッ素樹脂と称す)は、第1のフッ素樹脂の原料モノマー由来のユニット(以下、オリジナルユニットと称す。)の主鎖に結合するフッ素原子が脱離することにより生じた、二重結合を備えるユニット(以下、脱離ユニットと称す。)を含む。第2のフッ素樹脂は、オリジナルユニットを含んでいてもよい。脱離ユニットおよびオリジナルユニットの構造は、XPS、FT−IRあるいはNMR等により、推定することができる。
第2のフッ素樹脂における主鎖を構成する二重結合の数は、特に限定されない。例えば、上記のように、第2のフッ素樹脂が第1のフッ素樹脂由来である場合、第1のフッ素樹脂におけるフッ素原子と炭素原子との原子比(F/C)(以下、原子比CR1と称す。)に対する、第2のフッ素樹脂におけるフッ素原子と炭素原子との原子比(F/C)(以下、原子比CR2と称す。)の割合:CR2/CR1が、0.8以上、1未満となるように、脱離ユニットが含まれていればよい。原子比の割合:CR2/CR1は、0.8以上、0.999以下であることがより好ましく、0.85以上、0.998以下であることがさらに好ましく、0.9以上、0.995以下であることが特に好ましい。また、脱離ユニットが7個以上連続して配置されている部分を含む第2のフッ素樹脂は、曳糸性が向上し、良質な第1繊維を生成し易い。
第1のフッ素樹脂における原子比CR1は、第2のフッ素樹脂の分析により推定されたオリジナルユニットから算出することができる。第1のフッ素樹脂が入手可能な場合、第1のフッ素樹脂をXPSあるいはFT−IRにより元素分析して、原子比CR1を求めてもよい。第1のフッ素樹脂が溶媒に溶解している場合、当該溶液(以下、第1の原料液と称す。)から液体クロマトグラフィにより第1のフッ素樹脂を分離した後、NMR等により分析して、原子比CR1を求めてもよい。一方、原子比CR2は、例えば、生成した第1繊維を、XPS、FT−IRあるいは燃焼法を用いて元素分析することにより求めることができる。また、溶媒に溶解した第2のフッ素樹脂が入手可能な場合、原子比CR2は、当該溶液(以下、第2の原料液と称す。)から、液体クロマトグラフィにより第2のフッ素樹脂を分離した後、NMR等により分析して求めることができる。
第1のフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等の含フッ素モノマー(オリジナルユニット)の単独重合体あるいは共重合体などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、体積抵抗率が小さく、曳糸性が向上し易い点、および、得られる第1繊維の平均繊維径D1が細くなり易い点で、第1のフッ素樹脂はPVDFを含むことが好ましい。この場合、第1繊維には、第2のフッ素樹脂として、PVDFからフッ素原子の一部が脱離したPVDFの誘導体が含まれる。
以下に、第1のフッ素樹脂としてPVDFを用いた場合の、フッ素原子の脱離反応を示す。式中、lは、第1のフッ素樹脂に含まれるオリジナルユニット数を示す1以上の整数であり、mは、第2のフッ素樹脂に含まれる脱離ユニット数を示す1以上の整数であり、nは第2のフッ素樹脂に含まれるオリジナルユニット数を示す0以上の整数であり、m+n=lである。第2のフッ素樹脂は、m=7以上の部分を含むことが好ましい。
例えば、上記式のように、第1のフッ素樹脂がPVDFであって、第1のフッ素樹脂に含まれるオリジナルユニットのすべてが脱離ユニットに転換した場合(l=m)、第2のフッ素樹脂におけるフッ素原子と炭素原子との原子比CR2は、0.5である。一方、第1のフッ素樹脂におけるフッ素原子と炭素原子との原子比CR1は、1である。すなわち、第1のフッ素樹脂がPVDFである場合、原子比CR2は、0.5以上、1未満になり得る。なかでも、曳糸性およびフッ素樹脂としての特性が維持できる点で、第1のフッ素樹脂がPVDFである場合、原子比CR2は、0.8以上、1未満であることが好ましく、0.8以上、0.999以下であることがより好ましく、0.85以上、0.998以下であることがさらに好ましく、0.9以上、0.995以下であることが特に好ましい。
第2のフッ素樹脂のような、主鎖に結合するフッ素原子と、主鎖の一部を構成する炭素間二重結合と、を備えるフッ素樹脂を用いると、電界紡糸法における曳糸性が向上する。よって、得られる第1繊維は、図2に示すように、フッ素樹脂の特性を備えるとともに極めて良質であり、繊維層1における樹脂の薄膜やビーズ状の塊等の非繊維部分は少なくなる。
例えば、繊維層1を第2主面1Y側から見たとき、100μm×100μmの正方形の領域Rにおいて、非繊維部分(例えば、樹脂の薄膜やビーズ状の塊)は10個以下であり、3個以下であることが好ましい。非繊維部分の数は、繊維層1の領域Rと同じ面積の計10箇所の領域における平均値として算出できる。このとき、第2主面1Yの法線方向から見て、外縁が明確であって、第1繊維の平均繊維径D1の5倍以上の最大径を有する非繊維部分を、カウントの対象とする。なお、非繊維部分とは、繊維状ではない閉じられた領域であって、第2主面1Yの法線方向から見て、当該閉じられた領域を囲む最少の矩形を想定したとき、当該矩形の任意の一辺とこの一辺と頂点を共有して直交する一辺との長さの比が2以下である部分をいう。
また、繊維層1を第2主面1Y側から見たとき、例えば、領域Rにおける非繊維部分の総面積は、領域Rにおける第1繊維の総面積の10%以下であり、7%以下であることがより好ましい。非繊維部分の面積割合もまた、繊維層1の領域Rと同じ面積の計10箇所の領域における平均値として算出できる。各総面積は、例えば、領域Rの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像処理して算出すればよい。このように、繊維層1は、樹脂の薄膜やビーズ状の塊等の非繊維部分をほとんど含まず、大部分が良質な第1繊維により形成されている。そのため、繊維層1としての性能(例えば、ダストの捕捉機能)が向上する。
第1繊維の平均繊維径D1は、50nm以上、500nm以下である。これにより、繊維層1の表面積が大きくなるため、集塵効率が高まる。平均繊維径D1は、100nm以上であることが好ましく、200nm以下であることが好ましい。主鎖の一部に炭素間二重結合を備えるフッ素樹脂を用いることにより、このように平均繊維径の小さな極細繊維を、効率よく形成することができる。
平均繊維径D1とは、第1繊維の直径の平均値である。第1繊維の直径とは、第1繊維の長さ方向に対して垂直な断面の直径である。そのような断面が円形でない場合には、最大径を直径と見なしてよい。また、繊維層1を一方の主面の法線方向から見たときの、第1繊維の長さ方向に対して垂直な方向の幅を、第1繊維の直径と見なしてもよい。平均繊維径D1は、例えば、繊維層1に含まれる任意の10本の第1繊維の任意の箇所の直径の平均値である。後述する平均繊維径D2およびD3についても同じである。
繊維層1の単位面積当たりの平均の質量は、0.05g/m以上、5g/m以下であることが好ましく、0.08g/m以上、2g/m以下であることがより好ましい。繊維層1の上記質量がこの範囲であると、圧力損失を抑制しながら、高い集塵効率が発揮され易い。
繊維層1の厚みT1は、圧力損失の観点から、0.5μm以上、10μm以下であることが好ましく、1μm以上、5μm以下であることがより好ましい。繊維層1が不織布状である場合、繊維層1の厚みT1とは、例えば、不織布の任意の10箇所の厚みの平均値である。厚みとは、不織布の2つの主面の間の距離である。不織布である繊維層1の厚みT1は、不織布の断面を写真に取り、不織布の一方の主面上にある任意の1地点から他方の主面まで、最も距離の短くなる線を引いたとき、この線上にある繊維のうち、最も離れた位置にある2本の繊維の外側(外法)の距離として求められる。他の任意の複数地点(例えば、9地点)についても同様にして不織布の厚みを算出し、これらを平均化した数値を、不織布の厚みとする。上記厚みの算出に際しては、二値化処理された画像を用いてもよい。後述する厚みT2およびT3についても同じである。
(第1多孔質シート)
第1多孔質シート2は、繊維層1の第1主面1Xに積層され、繊維構造体10の形状を保持する基材である。
第1多孔質シート2の形態および材質は特に限定されず、用途に応じて適宜選択すればよい。第1多孔質シート2としては、具体的には、織物、編物、不織布等が例示できる。なかでも、圧力損失の観点から、第1多孔質シート2は不織布であることが好ましい。第1多孔質シート2が不織布である場合、第1多孔質シート2を構成する第2繊維の材質は特に限定されず、例えば、ガラス繊維、セルロース、アクリル樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリアミド(PA)、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、基材として適する点で、第2繊維の材質は、PETまたはセルロースが好ましい。特に、第1多孔質シート2は、PETおよび/またはセルロースを80質量%以上の割合で含むことが好ましい。第1多孔質シート2が不織布である場合、その製造方法も特に限定されず、例えば、スパンボンド法、乾式法(例えば、エアレイド法)、湿式法、メルトブロー法、ニードルパンチ法等が挙げられる。特に、第1多孔質シート2は、湿式法により製造された不織布であることが好ましい。
第2繊維の平均繊維径D2は、D2>D1の関係を満たす限り特に限定されない。なかでも、D2>10×D1の関係を満たすことが好ましい。具体的には、平均繊維径D2は、1μm以上、40μm以下であることが好ましく、5μm以上、20μm以下であることがより好ましい。第1多孔質シート2の厚みT2は、特に限定されず、例えば、50μm以上、500μm以下であってもよく、150μm以上、400μm以下であってもよい。
第1多孔質シート2の単位面積当たりの質量も特に限定されず、例えば、10g/m以上、80g/m以下であってもよく、35g/m以上、60g/m以下であってもよい。第1多孔質シート2の圧力損失は特に限定されない。なかでも、第1多孔質シート2の初期の圧力損失は、JISB9908形式1の規格に準拠した測定機を用いて測定した場合、1Pa以上、10Pa以下程度であることが好ましい。第1多孔質シート2の初期の圧力損失がこの範囲であれば、繊維構造体10全体の圧力損失も抑制される。第1多孔質シート2の空隙率は特に限定されないが、圧力損失の観点から、65体積%以上、98体積%以下であることが好ましい。空隙率(体積%)は、例えば、(1−第1多孔質シート2の見かけの単位体積当たりの質量/第2繊維の比重)×100、で表わされる。
(第2多孔質シート)
第2多孔質シート3は、繊維層1の第1多孔質シート2側とは反対側(すなわち、第2主面1Y)に積層され、種々の外部負荷から繊維層1を保護する保護材であるとともに、繊維層1とともにダストを捕捉する集塵体であり得る。
第2多孔質シート3の形態および材質は特に限定されず、用途に応じて適宜選択すればよい。第2多孔質シート3としては、第1多孔質シート2と同様のものが例示できる。なかでも、圧力損失の観点から、第2多孔質シート3は不織布であることが好ましい。第2多孔質シート3が不織布である場合、第2多孔質シート3を構成する第3繊維の材質は特に限定されず、第2繊維と同じ材質が挙げられる。後述するように、第2多孔質シート3を帯電させる場合、帯電し易く、また、帯電性が維持され易い点で、第3繊維の材質はPPが好ましい。不織布である第2多孔質シート3の製造方法も特に限定されない。なかでも、濾材として適する繊維径の細い不織布が形成され易い点で、第2多孔質シート3は、メルトブロー法により製造されることが好ましい。
第2多孔質シート3は、帯電(永久帯電)していてもよい。すなわち、第2多孔質シート3は、外部電界が存在しない状態において半永久的に電気分極を保持し、周囲に対して電界を形成していてもよい。これにより、ダストの捕捉性能が高まる。この場合、第2多孔質シート3の表面電位(帯電していない第2多孔質シート3と帯電している第2多孔質シート3との電位差)は特に限定されず、例えば、5kV以上、100kV以下であってもよい。
第3繊維の平均繊維径D3は、平均繊維径D1よりも大きいことが好ましい。平均繊維径D3は、例えば、0.5μm以上、20μm以下であり、5μm以上、20μm以下であることが好ましい。第2多孔質シート3の厚みT3は、圧力損失の観点から、100μm以上、500μm以下であることが好ましく、150μm以上、400μm以下であることがより好ましい。
第2多孔質シート3の圧力損失は、特に限定されない。なかでも、第2多孔質シート3の初期の圧力損失は、JISB9908形式1の規格に準拠した測定機を用いて測定した場合、1〜10Pa程度であることが好ましい。第2多孔質シート3の初期の圧力損失がこの範囲であれば、繊維構造体10全体の圧力損失も抑制される。
第2多孔質シート3の単位面積当たりの質量は、圧力損失の観点から、10g/m以上、50g/m以下であることが好ましく、10g/m以上、30g/m以下であることがより好ましい。第2多孔質シート3の空隙率は特に限定されないが、圧力損失の観点から、60体積%以上、95体積%以下であることが好ましく、70体積%以上、90体積%以下であることがより好ましい。
繊維構造体10は、例えば、蛇腹状にプリーツ加工されて、濾材として空気清浄機に配置される。この場合、集塵効率の点で、繊維構造体10は、第2多孔質シート3が大気の吸気口側に位置するように、吸気口と排気口との間に配置されることが好ましい。大きなダストを先に第2多孔質シート3に捕捉させ、次いで、より細かなダストを繊維層1に捕捉させることにより、集塵効率が高まる。
[繊維構造体の製造方法]
繊維構造体10は、例えば、主鎖に結合するフッ素原子を有する第1のフッ素樹脂を含む第1の原料液を準備する準備工程と、第1のフッ素樹脂から上記フッ素原子の少なくとも一部を脱離させて、第1のフッ素樹脂よりもフッ素含有量の少ない第2のフッ素樹脂を生成させ、第2のフッ素樹脂を含む第2の原料液を調製する脱離工程と、電界紡糸法により、第2の原料液から第2のフッ素樹脂を含む第1繊維を生成させ、生成した第1繊維をターゲットに堆積させて、繊維層を形成する堆積工程と、を具備する方法により製造される。
以下、繊維構造体10の製造方法およびこれを行う製造システムについて、図3を参照しながら具体的に説明するが、以下の製造方法および製造システムは本発明を限定するものではない。図3は、繊維構造体10の製造システム200の一例の構成を概略的に示す図である。製造システム200は、繊維構造体10を製造するための製造ラインを構成しており、堆積工程以降の工程を実施する。
繊維構造体10は、例えば製造システム200のように、工程順に設備を並べたインライン方式で製造することができる。製造システム200は、ラインの上流から下流に、ターゲットである第1多孔質シート2を搬送し、搬送される第1多孔質シート2の主面に繊維層1(図1参照)を形成した後、続けて、保護層としての第2多孔質シート3を積層する製造システムである。
製造システム200は、(1)第1多孔質シート2を搬送ベルトに供給する第1多孔質シート供給ユニット201と、(2)第2のフッ素樹脂を含む第2の原料液22から第1繊維1Fを生成させ、搬送中の第1多孔質シート2に堆積させる電界紡糸機構を有する電界紡糸ユニット202と、(3)電界紡糸ユニット202から送り出される第1多孔質シート2と繊維層1との複合体の繊維層1側から、第2多孔質シート3を積層する第2多孔質シート積層ユニット203と、(4)得られた繊維構造体10を回収する回収ユニット204と、を具備する。
(準備工程)
本工程では、主鎖に結合するフッ素原子を有する第1のフッ素樹脂を含む第1の原料液を調製する。第1の原料液において、第1のフッ素樹脂は、溶媒(以下、第1溶媒と称す。)に溶解されている。第1の原料液における第1のフッ素樹脂の濃度は、特に限定されない。なかでも、第1のフッ素樹脂の濃度は、電界紡糸に適する点で、5〜40質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
第1溶媒としては、第1のフッ素樹脂の溶解性やフッ素原子の脱離のし易さに応じて、適切なものを選択すればよい。第1溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。なかでも、脱離工程においてフッ素原子が脱離し易くなる点で、THF、NMP、DMF、DMAcおよびDMSO等の極性の高い溶媒が好ましい。特に、フッ素樹脂を溶解し易い点で、DMAcが好ましい。
第1の原料液は、界面活性剤を含むことが好ましい。これにより、フッ素樹脂の曳糸性がさらに向上する。界面活性剤は、分子内に親水性基および疎水性基を有する。疎水性基は特に限定されず、例えば、炭素数が8〜20、好ましくは8〜16の長鎖脂肪族炭化水素基、または芳香族炭化水素基を含む。長鎖脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基などの飽和または不飽和鎖状炭化水素基などが例示できる。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基などのC6−12アリール基;トリル基、オクチルフェニル基などの直鎖C1−10アルキルC6−12アリール基などが例示できる。
界面活性剤の親水性基の種類も特に限定されず、界面活性剤は、アニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤、ノニオン型界面活性剤および両性界面活性剤のいずれであってもよい。これら界面活性剤は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。なかでも、アニオン型界面活性剤が好ましい。界面活性剤の配合量も特に限定されず、例えば、第1の原料液に0.05〜1質量%含まれていればよい。第1溶媒としてDMAcのような親水性の溶媒を用いる場合、第1の原料液は、微量(例えば、0.05〜1質量%)の水分を含んでいてもよい。第1の原料液に界面活性剤が含まれる場合、不可避的に微量の水分が含まれる場合がある。
(脱離工程)
本工程では、第1の原料液に含まれている第1のフッ素樹脂から、主鎖に結合しているフッ素原子の一部を脱離させて、第2のフッ素樹脂を生成させる。そのため、第2の原料液は、第1のフッ素樹脂よりもフッ素含有量の少ない第2のフッ素樹脂を含む。第2のフッ素樹脂もまた、第1溶媒に溶解している。すなわち、脱離工程では、第1溶媒と、第1溶媒に溶解する第2のフッ素樹脂と、を含む第2の原料液が調製される。第2の原料液には、第1の原料液に含まれている成分(例えば、界面活性剤、水等)が含まれ得る。
第1のフッ素樹脂の主鎖に結合するフッ素原子の一部が脱離すると、主鎖には二重結合が形成される。フッ素原子の部分的な脱離は、例えば、第1の原料液を加熱することにより行われる。加熱の条件は、第1のフッ素樹脂の主鎖に結合するフッ素原子の一部が脱離できる限り、特に限定されない。なかでも、得られる第2の原料液における第2のフッ素樹脂の濃度が高くなり過ぎないように、第1溶媒の沸点より低い温度で加熱することが好ましい。特には、50〜90℃で加熱することが好ましい。この温度範囲であれば、フッ素原子の過度な脱離も抑制される。フッ素原子が過度に脱離すると、フッ素樹脂の特性の維持が困難になり、さらには、主鎖が切断してしまう場合がある。
脱離工程は、第1のフッ素樹脂から脱離したフッ素原子の量を評価しながら行うことが好ましい。脱離させるフッ素原子の量を制御するためである。脱離したフッ素原子の量は、例えば、上記原子比CR2を用いて評価することができる。脱離したフッ素原子の量が多いほど、第1のフッ素樹脂における原子比CR1と比較して、原子比CR2は小さくなる。
脱離したフッ素原子の量は、第2の原料液の光の吸収スペクトルにおけるピーク波長により評価してもよい。上記のとおり、第1のフッ素樹脂の主鎖に結合するフッ素原子の一部を脱離させると、得られる第2の原料液の光の吸収スペクトルにおけるピーク波長は、高波長側にシフトする。これは、第1溶媒中のフッ素イオン濃度が高まることにより、可視光が吸収され易くなるためであると考えられる。例えば、第2の原料液のピーク波長が、第1の原料液のピーク波長よりも20〜100nm分、高波長側にシフトした時点で、所望の第2のフッ素樹脂が生成されていると評価して、脱離作業(具体的には、例えば、第1の原料液の加熱)を終了する。
また、脱離したフッ素原子の量は、第2の原料液の色により評価してもよい。上記のとおり、通常、第2の原料液は、第1の原料液よりも可視光を吸収し易いため、色が濃くなる。脱離したフッ素原子の量が多いほど、第2の原料液は濃く呈色する傾向にある。例えば、第1のフッ素樹脂がPVDFである場合、第1の原料液は透明な薄い黄色(ピーク波長420nm)であり、フッ素原子の脱離の進行に従って、透明な薄い茶色から濃い茶色(ピーク波長450〜500nm)にまで変化する。
この第2の原料液の色の変化を利用する評価法としては、例えば、予め所望の第2の原料液の色に対応した色見本を作成しておく方法が挙げられる。この色見本を参照しながら、フッ素原子の脱離作業を行う。第1の原料液が色見本の色に呈色した時点で、所望の第2のフッ素樹脂が生成されていると評価して、脱離作業を終了する。あるいは、予め、所望の第2の原料液に対する特定の光の透過率を測定しておいてもよい。フッ素原子の脱離作業を行いながら、所定の間隔で第1の原料液の上記透過率を測定し、第1の原料液の透過率が所定の透過率になった時点で、所望の第2のフッ素樹脂が生成されていると評価して、脱離作業を終了する。例えば、第2の原料液に対する波長480nmの光の透過率が10〜30%である場合、第2の原料液に対する波長480nmの光の透過率が50〜80%になるまで、脱離作業を行う。
上記のように、生成する第2の原料液の色により脱離したフッ素原子の量を評価する方法は、フッ素原子の脱離作業を行いながら、リアルタイムに、脱離したフッ素原子の量を制御することができる点で好ましい。なお、第1の原料液が、所望の第2の原料液の色あるいは透過率になるまでの脱離作業の条件(例えば、加熱温度や加熱時間)を予め決定しておき、この条件に基づいて、脱離工程を行ってもよい。
(堆積工程)
第1多孔質シート2を準備する。第1多孔質シート2は、繊維構造体10の形状を保持する基材であるとともに、第1繊維1Fを堆積させるターゲットである。製造システム200では、第1多孔質シート2は、製造ラインの上流から下流に搬送される。製造システム200の最上流には、ローラ状に捲回された第1多孔質シート2を内部に収容した第1多孔質シート供給ユニット201が設けられている。第1多孔質シート供給ユニット201は、モータ13により第1供給リール12を回転させて、第1供給リール12に捲回された第1多孔質シート2を搬送ローラ11に供給する。
第1多孔質シート2は、搬送ローラ11により、電界紡糸ユニット202に搬送される。電界紡糸ユニット202が具備する電界紡糸機構は、ユニット内の上方に設置された第1繊維1Fの原料液(第2の原料液22)を放出するための放出体23と、放出された第2の原料液22をプラスに帯電させる帯電手段(後述参照)と、放出体23と対向するように配置された第1多孔質シート2を上流側から下流側に搬送する搬送コンベア21と、を備えている。搬送コンベア21は、第1多孔質シート2とともに第1繊維1Fを収集するコレクタ部として機能する。なお、電界紡糸ユニット202の台数は、特に限定されるものではなく、1台でも2台以上でもよい。
電界紡糸ユニット202および/または放出体23が複数ある場合、電界紡糸ユニット202ごと、あるいは、放出体23ごとに、形成される第1繊維1Fの平均繊維径D1を変化させてもよい。第1繊維1Fの平均繊維径D1は、第2の原料液22の吐出圧力、印加電圧、第2の原料液22における第2のフッ素樹脂の濃度、放出体23と第1多孔質シート2との距離、温度、湿度などを調整することにより、変化させることができる。
放出体23の一例を図4(a)および(b)に示す。図4(a)は、放出体23の長手方向に沿った断面図であり、図4(b)は、放出体23の図4(a)に示すB−B線に沿った断面図である。放出体23は、図4(b)に示すように、その長手方向に垂直な断面(横断面)の形状が、放出口233に向かって次第に小さくなる形状を有する(以下、V型ノズルと称す。)。
V型ノズルは、長尺の形状を有しており、その内部には、第2の原料液22を収容する中空円筒状の収容部234が形成されている。V型ノズルの上部には、原料液タンク29に接続する導管235が配置されている。第2の原料液22は、収容部234と連通するポンプ28の圧力により、原料液タンク29から導管235を通って、収容部234に供給される。そして、第2の原料液22は、ポンプ28の圧力により、第1多孔質シート2の主面に向かって放出される。
V型ノズルの第1多孔質シート2の主面と対向する側には、第2の原料液22を放出する放出口233が複数箇所、近接して設けられている。複数の放出口233は、好ましくは一定の間隔で、規則的な配列で設けられている。放出口233は、放出体23の先端平面部231に配置されている。V型ノズルは、先端平面部231に向かって横断面の幅が徐々に小さくなるように傾斜した、二つの斜面(第1斜面232aおよび第2斜面232b)を備える。このように、横断面の幅が放出口233に向かって徐々に小さくなることにより、電荷が適度に集中し、放出口233から放出される第2の原料液22に効率よく電荷を供給することができる。先端平面部231は、細長い矩形の平面であり、その幅は、放出口233の径よりも大きくなるように設定されている。隣接する放出口233の中心同士の距離(ピッチ)は、例えば、5〜30mmである。
このように、先端平面部231に複数の放出口233が配置される放出体23を用いると、上記のように、各放出口233の周りにはテーラーコーンが発生するため、電界干渉が生じ易い。しかし、第2の原料液22に含まれる第2のフッ素樹脂は、主鎖に二重結合を備えるため体積抵抗率が小さく、放出口233のピッチが上記範囲であっても、第2の原料液22は電界干渉の影響を受け難く、優れた曳糸性を示す。
放出口233と第1多孔質シート2との距離は、電界紡糸ユニット202の規模や所望の繊維径にもよるが、例えば、100〜600mmであればよい。放出体23は、電界紡糸ユニット202の上方に設置された、第1多孔質シート2の搬送方向と平行な第1支持体24から下方に延びる第2支持体25により、自身の長手方向が第1多孔質シート2の主面と平行になるように支持されている。第1支持体24は、放出体23を第1多孔質シート2の搬送方向とは垂直な方向に揺動させるように、可動であってもよい。
帯電手段は、放出体23に電圧を印加する電圧印加装置26と、搬送コンベア21と平行に設置された対電極27とで構成されている。対電極27は接地(グランド)されている。これにより、放出体23と対電極27との間には、電圧印加装置26により印加される電圧に応じた電位差(例えば20〜200kV)を設けることができる。なお、帯電手段の構成は、特に限定されない。例えば、対電極27はマイナスに帯電されていてもよい。また、対電極27を設ける代わりに、搬送コンベア21のベルト部分を導体から構成してもよい。
放出口233から放出された第2の原料液22は、帯電した状態で放出体23と第1多孔質シート2との間の空間(生成空間)を移動中に静電爆発を起し、第2のフッ素樹脂は繊維状(第1繊維1F)に成形される。第1繊維1Fは、第1多孔質シート2上に堆積し、繊維層1を形成する。第2のフッ素樹脂は、主鎖に二重結合を有しているため、体積抵抗率が小さく、優れた曳糸性を有する。つまり、放出された第2の原料液22から、効率よく第1繊維1Fが生成される。さらに、連続的に第2の原料液22を放出できる。よって、生産性が向上する。
第1繊維1Fの堆積量は、第2の原料液22の吐出圧力、印加電圧、第2の原料液22における第2のフッ素樹脂の濃度、第1多孔質シート2の搬送速度などを調整することにより、制御される。繊維層1と第1多孔質シート2とは、接着剤等を用いて接着させることなく接合されて、複合体が形成される。
第1繊維1Fを形成する電界紡糸機構は、上記の構成に限定されない。所定の生成空間において、第2の原料液22から第1繊維1Fを生成させ、第1多孔質シート2の主面に堆積させることができる機構であれば、特に限定なく用いることができる。例えば、放出体23には、放出口233が1つだけ設けられていてもよい。
放出口233の周辺は、フッ素樹脂を含む材料で表面処理されていることが好ましい。これにより、第2の原料液22が放出され易くなるため、長期間にわたって優れた曳糸性を維持し易くなる。上記表面処理の方法は特に限定されず、例えば、カニフロン(登録商標)めっき処理や、市販されている防水スプレーを塗布すればよい。
繊維層1が形成された後、複合体に第2多孔質シート3が積層される前に、複合体を加熱して、第1繊維1Fに残存する第1溶媒の除去を行ってもよい。加熱機器は特に限定されず、公知のものを適宜選択すればよい。加熱温度は、第1溶媒の沸点に応じて適宜設定すればよく、例えば、第1多孔質シート2の表面が100〜200℃程度になるように、加熱すればよい。
繊維層1が形成された後、第2多孔質シート3を接着するための接着剤を、複合体の繊維層1側にライン状に塗布してもよい。ライン状の接着剤は、圧力損失、吸着性能および集塵性能の観点から、所定の間隔をあけて複数本、配置されることが好ましい。あるいは、粒子状の接着剤を、複合体の繊維層1側に散布してもよい。この場合、粒子状の接着剤は、繊維層1の内部および/または表面に付着する。
接着剤の種類は特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂を主成分とするホットメルト接着剤等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリウレタン(PU)、PET等のポリエステル、ウレタン変性共重合ポリエステル等の共重合ポリエステル、PA、ポリオレフィン(例えば、PP、PE)等が例示できる。ホットメルト接着剤は、例えば、加熱により溶融されながら、例えば繊維層1上にライン状に塗布される。あるいは、粒子状のホットメルト接着剤を複合体の繊維層1に付着させた後、加熱して、溶融させてもよい。
接着剤の塗布量は特に限定されないが、接合強度および圧力損失の観点から、0.5g/m以上、15g/m以下であることが好ましく、1g/m以上、10g/m以下であることがより好ましく、2g/m以上、6g/m以下であることが特に好ましい。
(積層工程)
次いで、複合体は、第2多孔質シート積層ユニット203に搬送される。第2多孔質シート積層ユニット203では、複合体の繊維層1側から、第2多孔質シート3が供給され、複合体に積層される。第2多孔質シート3の材質等については後述する。第2多孔質シート3が長尺である場合、第1多孔質シート2と同様に、第2多孔質シート3は第2供給リール32に巻き取られていてもよい。この場合、第2多孔質シート3は、第2供給リール32から捲き出されながら、複合体に積層される。
第2多孔質シート3を積層した後、繊維構造体10を挟んで上下に配置された一対の加圧ローラ33(33aおよび33b)により圧力を加えながら、繊維構造体10を加圧して、上記複合体と第2多孔質シート3とをさらに密着させてもよい。
最後に、第2多孔質シート積層ユニット203から繊維構造体10を搬出し、ローラ41を経由して、より下流側に配置されている回収ユニット204に搬送する。回収ユニット204は、例えば、搬送されてくる繊維構造体10を捲き取る回収リール42を内蔵している。回収リール42はモータ43により回転駆動される。
なお、準備工程および脱離工程に替えて、主鎖に結合するフッ素原子と、主鎖の一部を構成する炭素間二重結合と、を備える第3のフッ素樹脂を含む第3の原料液を準備してもよい。第3のフッ素樹脂は、第1のフッ素樹脂から、主鎖に結合するフッ素原子を脱離させることにより生成される第2のフッ素樹脂であってもよいが、その由来は特に限定されない。例えば、第3のフッ素樹脂は、主鎖に結合するフッ素原子と、主鎖の一部を構成する炭素間二重結合と、を備えるように設計し、重合されて得られたものであってもよい。第3の原料液において、第3のフッ素樹脂は溶媒に溶解している。溶媒としては、第1溶媒と同じ溶媒が例示できる。第3の原料液は、第1の原料液で例示した界面活性剤、水等を含んでいてもよい。
本発明の繊維構造体は、良質な繊維により構成される繊維層を備えるため、空気清浄機の濾材、住宅換気用、ビル空調用あるいはクリーンルーム用等の各種空調機の濾材、電池用の分離シート、燃料電池用のメンブレン、妊娠検査シート等の体外検査シート、細胞培養用等の医療用シート、防塵マスク等の防塵布や防塵服、化粧用シート、塵を拭き取る拭取シート等として、好適である。
10:繊維構造体
1:繊維層
1X:第1主面
1Y:第2主面
1F:第1繊維
2:第1多孔質シート
3:第2多孔質シート
200:製造システム
201:第1多孔質シート供給ユニット
11:搬送ローラ
12:第1供給リール
13:モータ
202:電界紡糸ユニット
21:搬送コンベア
22:第2の原料液
221:液溜まり
222:糸状体
23:放出体
231:先端平面部
232a:第1斜面
232b:第2斜面
233:放出口
234:収容部
235:導管
24:第1支持体
25:第2支持体
26:電圧印加装置
27:対電極
28:ポンプ
29:原料液タンク
203:第2多孔質シート積層ユニット
31:搬送ローラ
32:第2供給リール
33、33a、33b:加圧ローラ
204:回収ユニット
41:ローラ
42:回収リール
43:モータ

Claims (4)

  1. 第1繊維を含み、第1主面とその反対側の第2主面とを有する繊維層を備える、繊維構造体であって、
    前記第1繊維の平均繊維径D1が、50nm以上、500nm以下であり、
    前記第1繊維がフッ素樹脂を含んでおり、
    前記フッ素樹脂が、主鎖に結合するフッ素原子と、前記主鎖の一部を構成する炭素間二重結合と、を備える、繊維構造体。
  2. 前記フッ素樹脂がポリフッ化ビニリデンの誘導体であり、
    前記フッ素樹脂におけるフッ素原子と炭素原子との原子比:F/Cが、0.8以上、1未満である、請求項1に記載の繊維構造体。
  3. さらに、第2繊維を含み、前記繊維層の前記第1主面に配置される第1多孔質シートを備え、
    前記平均繊維径D1および前記第2繊維の平均繊維径D2が、D2>D1の関係を満たす、請求項1または2に記載の繊維構造体。
  4. 前記繊維層の前記第2主面に配置される第2多孔質シートを備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維構造体。


JP2016240968A 2016-12-13 2016-12-13 繊維構造体 Pending JP2018095991A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016240968A JP2018095991A (ja) 2016-12-13 2016-12-13 繊維構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016240968A JP2018095991A (ja) 2016-12-13 2016-12-13 繊維構造体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018095991A true JP2018095991A (ja) 2018-06-21

Family

ID=62632686

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016240968A Pending JP2018095991A (ja) 2016-12-13 2016-12-13 繊維構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018095991A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5037034B2 (ja) フィルタ濾材とその製造方法および使用方法ならびにフィルタユニット
JP6569982B2 (ja) 積層不織布
KR20080017324A (ko) 필터 여과재, 그의 제조 방법 및 사용 방법, 및 필터 유닛
JP6569983B2 (ja) 積層不織布および積層不織布の製造方法
JP2017101344A (ja) 積層不織布の製造方法および製造装置
US10232293B2 (en) Fiber laminate and manufacturing method thereof
CN106808743B (zh) 层叠无纺布及其制造方法
JP2017197872A (ja) 積層体、その製造方法および製造装置
CN107012586B (zh) 无纺布、以及具备它的集尘过滤器、微生物或生物组织的培养基、以及化妆用品
CN106400303B (zh) 层叠无纺布及空气净化机
US10220340B2 (en) Laminated nonwoven fabric and air purifier
JP2018095991A (ja) 繊維構造体
JP6508630B2 (ja) 積層不織布の製造装置
JP2018095990A (ja) 繊維構造体の製造方法および電界紡糸用原料液
JP6551798B2 (ja) 積層体
JP6455788B2 (ja) 積層不織布および空気清浄機、ならびに積層不織布の製造方法
JP2017197874A (ja) 積層体、その製造方法および製造装置
JP2018199227A (ja) 積層体、エアフィルタおよび空気清浄機
CN114423894A (zh) 无纺布、无纺布制造方法及过滤器
JP2018059225A (ja) 繊維構造体の製造方法
JP7440650B2 (ja) 不織布、不織布製造方法、液体用フィルタ
JP2018204124A (ja) 不織布、エアフィルタおよび空気清浄機、ならびに不織布の製造方法
JP6624586B2 (ja) 積層体の製造方法および製造装置
JP6464486B2 (ja) 積層体の製造方法および製造装置
JP2018051548A (ja) フィルタ

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20180709