JP2018095629A - 新規化合物、並びにそれを有効成分とする心筋細胞増殖誘導剤及び心筋の機能障害を伴う疾患の治療剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】既存心筋細胞の分裂・増殖を増幅させる新規化合物、並びに該化合物を含む心筋細胞増殖誘導剤及び心筋の機能障害を伴う疾患の治療剤を提供することを目的とする。【解決手段】下記式(1)[式中、R1は、アリル基等であり、R2は、フルオロチエニル基等である]により表される化合物又はその塩もしくは溶媒和物。【選択図】なし
Description
本発明は、新規化合物、並びにそれを有効成分とする心筋細胞増殖誘導剤及び心筋の機能障害を伴う疾患の治療剤の技術分野に属する。
心疾患に伴う死亡数は、年間約20万人(平成26年死因別順位、第2位)である。生活習慣病の増加に伴い、冠動脈の動脈硬化によって生じる虚血性心疾患はさらに増えると予想される。血流障害(虚血)が持続すると、心筋細胞は壊死し低心機能状態となる。現在、冠動脈狭窄部位に金属ステントを留置し低酸素状態を解除する方法が普及している。留置される金属ステントは、平滑筋細胞が増殖することによって生じる再狭窄を防ぐために抗がん剤等の薬剤を塗布する等改良されつつあるが、また十分な効果があるとはいえない。さらに、高齢者、透析患者といった冠動脈にびまん性動脈硬化病変を持つ患者や既に低心機能に至ってしまった重症心不全の患者では、ステントを留置し血流障害を解除しても十分な治療効果が期待できない。そのため、安全で効果的な他の治療戦略が必要であり、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた細胞移植治療、筋芽細胞を培養して作製した心筋細胞シートの移植、非心筋細胞の心筋細胞へのダイレクトリプログラミング等の様々な治療が検討されている。
一方で、Bergmannらは、1960年前後に行われていた核実験の影響で、放射性炭素14Cが人体に取り込まれていることを利用し、心筋細胞が低率(25歳で年率1%、75歳で0.45%程度)でターンオーバーしていることを証明した(非特許文献1)。その自己再生過程において、c-Kit陽性心筋幹細胞の関与が示唆された時期もあったが(非特許文献2〜4)、その後の報告から、心筋幹細胞の寄与は極々わずかであり(非特許文献5)、むしろ既存の心筋細胞の分裂が主体であろうと考えられ始めている(非特許文献6〜8)。そのため、既存心筋細胞の分裂・増殖を増幅させるという心筋再生戦略が注目されつつある。
Bergmann, O., Bhardwaj, R. D., Bernard, S., Zdunek, S., Barnabe-Heider, F., Walsh, S., Zupicich, J., Alkass, K., Buchholz, B. a, Druid, H., Jovinge, S. & Frisen, J. Evidence for cardiomyocyte renewal in humans. Science 324, 98-102 (2009).
Beltrami, A. P., Barlucchi, L., Torella, D., Baker, M., Limana, F., Chimenti, S., Kasahara, H., Rota, M., Musso, E., Urbanek, K., Leri, A., Kajstura, J., Nadal-Ginard, B. & Anversa, P. Adult cardiac stem cells are multipotent and support myocardial regeneration. Cell 114, 763-776 (2003).
Ellison, G. M., Vicinanza, C., Smith, A. J., Aquila, I., Leone, A., Waring, C. D., Henning, B. J., Stirparo, G. G., Papait, R., Scarfo, M., Agosti, V., Viglietto, G., Condorelli, G., Indolfi, C., Ottolenghi, S., Torella, D. & Nadal-Ginard, B. Adult c-kitpos cardiac stem cells are necessary and sufficient for functional cardiac regeneration and repair. Cell 154, 827-842 (2013).
Nadal-Ginard, B., Ellison, G. M. & Torella, D. Absence of evidence is not evidence of absence: Pitfalls of cre knock-ins in the c-kit locus. Circ. Res. 115, 415-418 (2014).
van Berlo, J. H., Kanisicak, O., Maillet, M., Vagnozzi, R. J., Karch, J., Lin, S.-C. J., Middleton, R. C., Marban, E. & Molkentin, J. D. C-Kit+ Cells Minimally Contribute Cardiomyocytes To the Heart. Nature 509, 337-41 (2014).
Porrello, E. R., Mahmoud, A. I., Simpson, E., Hill, J. a, Richardson, J. a, Olson, E. N. & Sadek, H. a. Transient regenerative potential of the neonatal mouse heart. Science 331, 1078-1080 (2011).
Senyo, S. E., Steinhauser, M. L., Pizzimenti, C. L., Yang, V. K., Cai, L., Wang, M., Wu, T.-D., Guerquin-Kern, J.-L., Lechene, C. P. & Lee, R. T. Mammalian heart renewal by pre-existing cardiomyocytes. Nature 493, 433-6 (2013).
Ali, S. R., Hippenmeyer, S., Saadat, L. V, Luo, L., Weissman, I. L. & Ardehali, R. Existing cardiomyocytes generate cardiomyocytes at a low rate after birth in mice. Pnas 111, 8850-5 (2014).
そこで本発明は、既存心筋細胞の分裂・増殖を増幅させる新規化合物、並びに該化合物を含む心筋細胞増殖誘導剤及び心筋の機能障害を伴う疾患の治療剤を提供することを目的とする。
心筋細胞分裂に関与する経路としては、ヘッジホッグシグナル経路やPI3K/Aktシグナル経路、Wntシグナル経路等、多くの経路の関与が示唆されている。特に、細胞の増殖能に関与し臓器や器官の適切な大きさを決めるHippo経路は、哺乳類成体心筋細胞の増殖にも関与しており、このHippo経路を標的とした薬剤は、心筋を再生することで重症心不全患者に奏功する可能性がある。
Hippo経路は、1990年代にショウジョウバエにおいて器官サイズを決定するシグナル経路として同定されたが、哺乳類でも保存されている。図1に示すように、哺乳類のHippo経路の活性化状態では、MST1/2、LATS1/2、転写補因子YAP、TAZが順次リン酸化され、リン酸化されたYAP、TAZは14-3-3に捕捉されて核外にとどまる。一方、Hippo経路不活化状態ではYAP、TAZが核内に移行し、転写因子TEAD等と共役することで、細胞周期を回す遺伝子や細胞死を抑制する遺伝子の転写が行われる。Hippo経路は、上皮細胞の特徴である細胞密度が高くなると増殖が止まるという「接触抑制(contact inhibition)」にも関与している。
抗癌剤としてYAP、TAZを抑制する薬剤開発が行われているが、再生医療を目的としたYAP、TAZを活性化する薬剤は存在しない。そこで、本発明者らは、YAP、TAZの活性化を指標に心筋再生医療に応用可能な化合物を探索した。
具体的には、東京医科歯科大学疾患生命科学研究部ケミカルライブラリーセンター所有化合物を対象とし、YAPを活性化する化合物の選択には、ヒト網膜色素上皮細胞(ARPE-19細胞)にYAPとTEAD応答プロモーターの下でH2B mCherryを発現するレポーターを組み込み、内在性のTEADを利用してレポーターを発現させる仕組みを用いて、化合物を72時間作用させた時点でのレポーター活性を指標に、候補化合物を選択した。
TAZを活性化する化合物の選択には、ヒト乳腺上皮細胞(MCF10A細胞)に野生型のTAZを発現させてもスフェアを形成しないが、TAZの89番目のセリンをアラニンに置換することでリン酸化を受けず核内にとどまるTAZ S89A(核内型)を発現させるとスフェアを形成する現象を利用した。MCF10A細胞に野生型のTAZを発現させた細胞株に化合物を投与し、スフェアを形成した化合物を選択した。これらの化合物は、YAPとTEAD結合配列レポーターを発現させたHEK293細胞にも投与し、投与24時間後のレポーター活性を指標に候補化合物を絞り込んだ。
これらの候補化合物を、培養心筋細胞に投与し、まず核合成の指標となるEdUの評価を行い、また核分裂の指標となるpH3の評価を行った。さらに、細胞質分裂の効果を確認するためにAurora Bの評価も行った。なお、5-エチニル-2'-デオキシウリジン(EdU)は、DNAヌクレオシドであるチミジンの類似体であり、DNA合成時に取り込まれる。そのため、EdUを検出することで、核合成を起こした細胞を評価することができる。また、pH3はヒストン3のリン酸化物である。染色体を構成する主要な蛋白であるヒストンの1つヒストンH3は、核分裂時にのみセリン10とセリン28がリン酸化されることが知られている。核分裂を検出する上で、リン酸化したヒストンH3はマーカーとして用いられる。Aurora Bは、Auroraキナーゼファミリーに属し、染色体分配と細胞質分裂に作用する。
評価の結果、本発明者らは、下記式で表される[4-アミノ-2-(プロプ-2-エン-1-イルアミノ)-1,3-チアゾール-5-イル](5-クロロチオフェン-2-イル)メタノン(PubChem CID 1613361;略称TAZ 12)が、EdU、pH3、Aurora B全ての陽性率が上昇した化合物の中で最も細胞質分裂を促進し、また確認した全ての細胞種で毒性のないことを確認し、さらに、このTAZ 12の側鎖を改変した誘導体もTAZ 12と同様に心筋細胞の分裂を促進し得ることを見出し、発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)下記式(1)
[式中、R1は、アリル基、n-プロピル基、
(式中、*は結合位置を表す)からなる群から選択される基であり、
R2は、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、
(式中、Xはハロゲンであり、nは1〜3であり、*は結合位置を表す)からなる群から選択される基であり、
ただし、R1がアリル基であり、且つR2がtert-ブチル基、
(式中、*は結合位置を表す)からなる群から選択される基である場合を除く]
により表される化合物又はその塩もしくは溶媒和物。
(2)下記式(1)
[式中、R1は、アリル基、n-プロピル基、
(式中、*は結合位置を表す)からなる群から選択される基であり、
R2は、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、
(式中、Xはハロゲンであり、nは1〜3であり、*は結合位置を表す)からなる群から選択される基である]
により表される化合物又はその塩もしくは溶媒和物を有効成分とする、心筋細胞増殖誘導剤。
(3)下記式(1)
[式中、R1は、アリル基、n-プロピル基、
(式中、*は結合位置を表す)からなる群から選択される基であり、
R2は、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、
(式中、Xはハロゲンであり、nは1〜3であり、*は結合位置を表す)からなる群から選択される基である]
により表される化合物又はその塩もしくは溶媒和物を有効成分とする、心筋の機能障害を伴う疾患の治療剤。
(4)心筋の機能障害を伴う疾患が、心筋梗塞、狭心症、心筋症からなる群から選択される、上記(3)に記載の治療剤。
(1)下記式(1)
R2は、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、
ただし、R1がアリル基であり、且つR2がtert-ブチル基、
により表される化合物又はその塩もしくは溶媒和物。
(2)下記式(1)
R2は、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、
により表される化合物又はその塩もしくは溶媒和物を有効成分とする、心筋細胞増殖誘導剤。
(3)下記式(1)
R2は、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、
により表される化合物又はその塩もしくは溶媒和物を有効成分とする、心筋の機能障害を伴う疾患の治療剤。
(4)心筋の機能障害を伴う疾患が、心筋梗塞、狭心症、心筋症からなる群から選択される、上記(3)に記載の治療剤。
本発明に係る化合物は、心筋細胞の分裂を促進するため、心筋細胞増殖誘導剤として、あるいは心筋の機能障害を伴う疾患の治療剤として適用可能であり、心筋再生医療に応用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の化合物は、下記式(1)
[式中、R1は、アリル基、n-プロピル基、
(式中、*は結合位置を表す)からなる群から選択される基であり、
R2は、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、
(式中、Xはハロゲンであり、nは1〜3であり、*は結合位置を表す)からなる群から選択される基である]により表される。
本発明の化合物は、下記式(1)
R2は、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、
炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。好ましくはtert-ブチル基である。
また、ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。好ましくはフッ素である。また、nは1〜3であるが、好ましくは1であり、置換位置はチオフェン環又はフラン環の5位であることが好ましい。
本化合物の合成は、既に数多く報告されているTAZ 12の合成法(Schonbrunn, E. et al. Development of highly potent and selective diaminothiazole inhibitors of cyclin-dependent kinases. J. Med. Chem. 56, 3768-3782 (2013))を基本に、それらを改変することで容易に成し遂げられる。具体的には、例えば、下記式に示すように、アルゴン雰囲気下、イソチオシアネートとシアノアミドの混合物をN,N-ジメチルホルムアミド又はテトロヒドロフランに溶解させ、0℃の条件下攪拌しながらカリウムt-ブトキシドを加える。続いて、室温で30分攪拌した後、ブロモメチルメトンのN,N-ジメチルホルムアミド溶液を室温で加えた後、10時間室温で攪拌する。反応終了後、シクロペンチルメチルエーテルで希釈し、水を加え、有機相を水で洗浄し、水相を酢酸エチルで抽出する。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製することにより、目的の式(1)で表される化合物を得ることができる。
本発明は、上記化合物の塩も含む。塩としては、好ましくは医薬として許容される塩が挙げられ、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基との塩;メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン等の有機塩基との塩;リジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸との塩及びアンモニウム塩が挙げられる。また、酸付加塩であっても良く、そのような塩としては、具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機酸;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との酸付加塩が挙げられる。
さらに、本発明は、上記化合物の水和物等の医薬として許容し得る各種溶媒和物や結晶多形等も含む。
本発明は、上記化合物又はその塩もしくは溶媒和物を有効成分とする心筋細胞増殖誘導剤として、あるいは心筋の機能障害を伴う疾患の治療剤を包含する。心筋の機能障害を伴う疾患としては、心筋梗塞、狭心症、心筋症等を挙げることができる。該心筋細胞増殖誘導剤又は治療剤は、2種以上の上記化合物又はその塩もしくは溶媒和物を含んでいても良い。
本発明の心筋細胞増殖誘導剤あるいは心筋の機能障害を伴う疾患の治療剤の投与経路は限定されず、経口投与、皮下投与、皮内投与、静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、経鼻投与、口腔内投与、経粘膜投与等により投与することができる。また、剤形も限定されず、例えば、経口投与のために、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁液、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤等の形態とすることができ、非経口剤としては、例えば、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤等の注射剤;経皮投与又は貼付剤、軟膏又はローション;口腔内投与のための舌下剤、口腔貼付剤;並びに経鼻投与のためのエアゾール剤とすることができる。また、心筋梗塞等でのカテーテル治療時に心筋栄養血管である冠動脈に注入したり、あるいは、心臓バイパス手術時に心筋に徐放性シートとして貼付するといった投与方法を採用することができる。
本発明の心筋細胞増殖誘導剤あるいは心筋の機能障害を伴う疾患の治療剤は、薬学的に許容される、種々の成分を含み得る。例えば、賦形剤、崩壊剤、希釈剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、懸濁化剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、補助剤、防腐剤、緩衝剤、結合剤、安定剤、コーティング剤等が挙げられ、これらの複数を含んでいても良い。
本発明の心筋細胞増殖誘導剤あるいは心筋の機能障害を伴う疾患の治療剤の投与量は、限定されないが、含有される成分の有効性、投与形態、投与経路、疾患の種類、投与する患者の体重、年齢、病状等の特性、あるいは医師の判断等に応じて適宜選択される。例えば、患者の体重1kg当たり約0.01μg〜約100mg、好ましくは約0.1μg〜約1mg程度の範囲である。投与量は1日1回〜数回に分けて投与することができ、数日又は数週間に1回の割合で間欠的に投与しても良い。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1. 化合物の合成
(1) TAZ 12の合成
アルゴン雰囲気下、アリルイソチオシアネート(453 μL, 4.43 mmol)とシアノアミド(188.1 mg, 4.43 mmol)の混合物をテトラヒドロフラン(16 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(1.09 g, 9.71 mmol)を加えた。室温で20分撹拌後、2-ブロモ-1-(5-クロロ-2-チエニル)エタノン(1.01 g, 4.22 mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1 mL)を室温で加えた後、10時間室温で撹拌した。反応終了後、水、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタンを加え、有機相を水で3回洗浄し、水相をジクロロメタンで2回、酢酸エチルで1回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ 12(581 mg, 46%)を得た。なお、TAZ 12は既知物質である(Schonbrunn, E. et al. Development of highly potent and selective diaminothiazole inhibitors of cyclin-dependent kinases. J. Med. Chem. 56, 3768-3782 (2013).)。
1HNMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.02 (brs, 1H), 8.49-8.09 (brs, 1H), 7.31 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 5.89 (ddd, J = 17.1, 10.4, 5.2 Hz, 1H), 5.23 (dd, J = 17.1, 1.2 Hz, 1H), 5.16 (dd, J = 10.4, 1.2 Hz, 1H), 3.96 (brs, 2H) (1 proton is missing.); 13C NMR (125 MHz, DMSO-d6) δ170.5, 167.8, 146.4, 133.7, 133.1, 128.1 (2C), 127.3, 116.4, 89.8, 46.2; IR (ATR) 2362, 2335, 1584, 1543, 1414, 1005 cm-1; mp: 182-186°C; HRMS calcd for C11H10ClN3OS2Na [M+Na+] 321.9846, found 321.9855. Analysis: calcd for C, 44.07; H, 3.36; N, 14.02%; found C, 43.86; H, 3.50; N, 13.76%.
(1) TAZ 12の合成
1HNMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.02 (brs, 1H), 8.49-8.09 (brs, 1H), 7.31 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 7.17 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 5.89 (ddd, J = 17.1, 10.4, 5.2 Hz, 1H), 5.23 (dd, J = 17.1, 1.2 Hz, 1H), 5.16 (dd, J = 10.4, 1.2 Hz, 1H), 3.96 (brs, 2H) (1 proton is missing.); 13C NMR (125 MHz, DMSO-d6) δ170.5, 167.8, 146.4, 133.7, 133.1, 128.1 (2C), 127.3, 116.4, 89.8, 46.2; IR (ATR) 2362, 2335, 1584, 1543, 1414, 1005 cm-1; mp: 182-186°C; HRMS calcd for C11H10ClN3OS2Na [M+Na+] 321.9846, found 321.9855. Analysis: calcd for C, 44.07; H, 3.36; N, 14.02%; found C, 43.86; H, 3.50; N, 13.76%.
(2) TAZ Aの合成
アルゴン雰囲気下、アリルイソチオシアネート(107.4 μL, 1.05 mmol)とシアノアミド(44.6 mg, 1.05 mmol)の混合物をテトラヒドロフラン(2.7 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(258.1 mg, 2.30 mmol)を加えた。室温で20分撹拌後、2-ブロモ-1-フェニルエタノン(199.1 mg, 1.00 mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1 mL)を室温で加えた後、10時間室温で撹拌した。反応終了後、水、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタンを加え、有機相を水で3回洗浄し、水相をジクロロメタンで2回、酢酸エチルで1回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ A(47 mg, 18 %)を得た。なお、TAZ Aは既知物質である(Schonbrunn, E. et al. Development of highly potent and selective diaminothiazole inhibitors of cyclin-dependent kinases. J. Med. Chem. 56, 3768-3782 (2013).)。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.74 (m, 2H), 7.46-7.40 (m, 3H), 5.89 (brs, 1H), 5.89 (ddd, J = 17.1, 10.1, 5.8 Hz, 1H), 5.31 (brd, J = 17.1 Hz, 1H), 5.25 (brd, J = 10.4 Hz, 1H), 3.90 (d, J = 5.2, 2H), 1.59 (brs, 2H).
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.74 (m, 2H), 7.46-7.40 (m, 3H), 5.89 (brs, 1H), 5.89 (ddd, J = 17.1, 10.1, 5.8 Hz, 1H), 5.31 (brd, J = 17.1 Hz, 1H), 5.25 (brd, J = 10.4 Hz, 1H), 3.90 (d, J = 5.2, 2H), 1.59 (brs, 2H).
(3) TAZ Bの合成
アルゴン雰囲気下、アリルイソチオシアネート(125.3 μL, 1.23 mmol)とシアノアミド(52 mg, 1.23 mmol)の混合物をテトラヒドロフラン(4.3 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(302.0 mg, 2.69 mmol)を加えた。室温で20分撹拌後、2-ブロモ-1-(3-ピリジニル)エタノン(335.4 mg, 1.17 mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1 mL)を室温で加えた後、10時間室温で撹拌した。反応終了後、水、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタンを加え、有機相を水で3回洗浄し、水相をジクロロメタンで2回、酢酸エチルで1回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ B(104 mg, 34%)を得た。なお、TAZ Bは既知物質である(Schonbrunn, E. et al. Development of highly potent and selective diaminothiazole inhibitors of cyclin-dependent kinases. J. Med. Chem. 56, 3768-3782 (2013).)。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.90 (br, 1H), 8.78 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.64 (dd, J = 4.6, 1.8 Hz, 1H), 8.43 (brs, 1H) 7.98 (ddd, J = 7.9, 1.5, 1.5 Hz, 1H), 7.48 (ddd, J = 7.6, 4.8, 0.9 Hz, 1H), 5.87 (ddd, J = 17.1, 10.1, 5.8 Hz, 1H), 5.21 (brd, J = 17.1 Hz, 1H), 5.14 (brd, J = 10.4 Hz, 1H), 3.92 (brs, 2H) (1 proton is missing.); HRMS (ESI) calcd for C12H14N4OS [M+H]+ 261.0805, found 261.0803.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.90 (br, 1H), 8.78 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.64 (dd, J = 4.6, 1.8 Hz, 1H), 8.43 (brs, 1H) 7.98 (ddd, J = 7.9, 1.5, 1.5 Hz, 1H), 7.48 (ddd, J = 7.6, 4.8, 0.9 Hz, 1H), 5.87 (ddd, J = 17.1, 10.1, 5.8 Hz, 1H), 5.21 (brd, J = 17.1 Hz, 1H), 5.14 (brd, J = 10.4 Hz, 1H), 3.92 (brs, 2H) (1 proton is missing.); HRMS (ESI) calcd for C12H14N4OS [M+H]+ 261.0805, found 261.0803.
(4) TAZ Cの合成
アルゴン雰囲気下、アリルイソチオシアネート(125.3 μL, 1.23 mmol)とシアノアミド(52 mg, 1.23 mmol)の混合物をテトラヒドロフラン(4.3 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(302.0 mg, 2.69 mmol)を加えた。室温で20分撹拌後、2-ブロモ-1-(2-ピリジニル)エタノン(335.4 mg, 1.17 mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1 mL)を室温で加えた後、10時間室温で撹拌した。反応終了後、水、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタンを加え、有機相を水で3回洗浄し、水相をジクロロメタンで2回、酢酸エチルで1回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ C(33.8 mg, 11 %)を得た。なお、TAZ Cは既知物質である(Schonbrunn, E. et al. Development of highly potent and selective diaminothiazole inhibitors of cyclin-dependent kinases. J. Med. Chem. 56, 3768-3782 (2013).)。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ8.61 (ddd, J = 4.9, 1.5, 0.9 Hz, 1H), 7.88 (ddd, J = 7.6, 7.6, 1.5 Hz, 1H), 7.66 (ddd, J = 7.9, 0.9, 0.9 Hz, 1H), 7.44 (ddd, J = 7.3, 4.9, 1.2 Hz, 1H), 7.11 (brs, 1H), 5.54 (ddd, J = 17.1, 10.4, 6.7 Hz, 1H), 4.88 (brd, J = 10.1 Hz, 1H), 4.81 (brd, J = 17.1 Hz, 1H), 3.84 (d, J = 11.9, 1H), 3.74 (m, 2H), 3.69 (d, J = 11.9, 1H) (1 proton is missing.); HRMS (ESI) calcd for C12H14N4OS [M+H]+ 261.0805, found 261.0804.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ8.61 (ddd, J = 4.9, 1.5, 0.9 Hz, 1H), 7.88 (ddd, J = 7.6, 7.6, 1.5 Hz, 1H), 7.66 (ddd, J = 7.9, 0.9, 0.9 Hz, 1H), 7.44 (ddd, J = 7.3, 4.9, 1.2 Hz, 1H), 7.11 (brs, 1H), 5.54 (ddd, J = 17.1, 10.4, 6.7 Hz, 1H), 4.88 (brd, J = 10.1 Hz, 1H), 4.81 (brd, J = 17.1 Hz, 1H), 3.84 (d, J = 11.9, 1H), 3.74 (m, 2H), 3.69 (d, J = 11.9, 1H) (1 proton is missing.); HRMS (ESI) calcd for C12H14N4OS [M+H]+ 261.0805, found 261.0804.
(5) TAZ Dの合成
アルゴン雰囲気下、フェニルイソチオシアネート(73.0 μL, 610.2 μmol)とシアノアミド(25.7 mg、610.2 μmol)の混合物をテトラヒドロフラン(2.2 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(157.5 mg, 1.40 mmol)を加えた。室温で20分撹拌後、2-ブロモ-1-(2-チエニル)エタノン(120 mg, 585 μmol)のテトラヒドロフラン溶液(1 mL)を室温で加えた後、10時間室温で撹拌した。反応終了後、水、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタンを加え、有機相を水で3回洗浄し、水相をジクロロメタンで2回、酢酸エチルで1回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ D(35.4 mg, 20%)を得た。なお、TAZ Dは既知物質である(Rajasekharan, K. N.; Chithralekha Devi, S. K. Synthesis of 2,4-diamino-5-(fur-2-oyl), (thien-2-oyl), (pyrid-2-oyl)thiazoles. Syn. Commun. 32, 1523-1528 (2002).)。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ8.57 (brs, 1H), 7.62 (dd, J = 4.0, 0.9 Hz, 1H), 7.51 (dd, J = 4.9, 0.9 Hz, 1H), 7.42 (m, 4H), 7.22 (m, 1H), 7.06 (dd, J = 5.2, 3.7 Hz, 1H) (2 protons are missing.) HRMS (ESI) calcd for C14H12N3OS2 [M+H]+ 302.0416, found 302.0417.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ8.57 (brs, 1H), 7.62 (dd, J = 4.0, 0.9 Hz, 1H), 7.51 (dd, J = 4.9, 0.9 Hz, 1H), 7.42 (m, 4H), 7.22 (m, 1H), 7.06 (dd, J = 5.2, 3.7 Hz, 1H) (2 protons are missing.) HRMS (ESI) calcd for C14H12N3OS2 [M+H]+ 302.0416, found 302.0417.
(6) TAZ Eの合成
アルゴン雰囲気下、アリルイソチオシアネート(1.67 mL, 16.3 mmol)とシアノアミド(684.2 mg, 16.3 mmol)の混合物をN,N-ジメチルホルムアミド(55 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(4.0 g, 35.7 mmol)を加えた。室温で20分撹拌後、2-ブロモ-1-(2-チエニル)エタノン(3.18 g, 15.5 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(2 mL)を室温で加えた後、10時間室温で撹拌した。反応終了後、水、シクロペンチルメチルエーテル,ジクロロメタンを加え、有機相を水で3回洗浄し、水相をジクロロメタンで2回、酢酸エチルで1回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ E(1.62 g, 39%)を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.62 (dd, J = 3.7, 0.9 Hz, 1H), 7.51 (dd, J = 4.9, 1.2 Hz, 1H), 7.10 (dd, J = 5.2, 3.7 Hz, 1H), 5.92 (brs, 1H), 5.92 (ddd, J = 17.1, 10.4, 5.5 Hz, 1H), 5.35 (dd, J = 17.1, 2.8, 1.8 Hz, 1H), 5.28 (dd, J = 10.1, 2.4, 1.2 Hz, 1H), 3.97 (dd, J = 5.2, 5.2, 2H), 1.59 (brs, 2H); 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ 175.2, 172.3, 166.2, 146.5, 132.4, 130.6, 128.7, 127.7, 118.4, 92.9, 47.8; IR (ATR) 3146, 2365, 1582, 1521, 1413 cm-1; mp 181-183°C; HRMS (ESI) calcd for C11H11N3OS2Na [M+Na]+ 288.0236, found 288.0239.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.62 (dd, J = 3.7, 0.9 Hz, 1H), 7.51 (dd, J = 4.9, 1.2 Hz, 1H), 7.10 (dd, J = 5.2, 3.7 Hz, 1H), 5.92 (brs, 1H), 5.92 (ddd, J = 17.1, 10.4, 5.5 Hz, 1H), 5.35 (dd, J = 17.1, 2.8, 1.8 Hz, 1H), 5.28 (dd, J = 10.1, 2.4, 1.2 Hz, 1H), 3.97 (dd, J = 5.2, 5.2, 2H), 1.59 (brs, 2H); 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ 175.2, 172.3, 166.2, 146.5, 132.4, 130.6, 128.7, 127.7, 118.4, 92.9, 47.8; IR (ATR) 3146, 2365, 1582, 1521, 1413 cm-1; mp 181-183°C; HRMS (ESI) calcd for C11H11N3OS2Na [M+Na]+ 288.0236, found 288.0239.
(7) TAZ Fの合成
アルゴン雰囲気下、アリルイソチオシアネート(63 μL, 683.3 μmol)とシアノアミド(26 mg, 683.3 μmol)の混合物をN,N-ジメチルホルムアミド(2.1 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(150 mg, 1.68 mmol)を加えた。室温で20分撹拌後、2-ブロモ-1-(2-フラニル)エタノン(123 mg, 650.8 μmol)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(1 mL)を室温で加えた後、10時間室温で撹拌した。反応終了後、水、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタンを加え、有機相を水で3回洗浄し、水相をジクロロメタンで2回、酢酸エチルで1回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ F(51.1 mg, 31%)を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.55 (dd, J = 1.8, 0.6 Hz, 1H), 7.16 (dd, J = 3.7, 0.6 Hz, 1H), 6.53 (dd, J = 3.7, 1.5 Hz, 1H), 5.93 (brs, 1H), 5.93 (ddd, J = 17.1, 10.1, 5.5 Hz, 1H), 5.35 (dd, J = 17.1, 2.8, 1.5 Hz, 1H), 5.28 (dd, J = 10.4, 2.8, 1.2 Hz, 1H), 3.98 (brs, 2H), 1.61 (brs, 2H); 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ 180.2, 170.9, 166.8, 153.5, 144.3, 132.5, 118.2, 114.3, 112.3, 92.5, 47.8; IR (ATR) 3127, 2358, 1533, 1410 cm-1; mp 198°C; HRMS (ESI) calcd for C11H11N3O2SNa [M+Na]+ 250.0645, found 250.0648.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.55 (dd, J = 1.8, 0.6 Hz, 1H), 7.16 (dd, J = 3.7, 0.6 Hz, 1H), 6.53 (dd, J = 3.7, 1.5 Hz, 1H), 5.93 (brs, 1H), 5.93 (ddd, J = 17.1, 10.1, 5.5 Hz, 1H), 5.35 (dd, J = 17.1, 2.8, 1.5 Hz, 1H), 5.28 (dd, J = 10.4, 2.8, 1.2 Hz, 1H), 3.98 (brs, 2H), 1.61 (brs, 2H); 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ 180.2, 170.9, 166.8, 153.5, 144.3, 132.5, 118.2, 114.3, 112.3, 92.5, 47.8; IR (ATR) 3127, 2358, 1533, 1410 cm-1; mp 198°C; HRMS (ESI) calcd for C11H11N3O2SNa [M+Na]+ 250.0645, found 250.0648.
(8) TAZ Gの合成
アルゴン雰囲気下、アリルイソチオシアネート(73.0 μL, 610.2 μmol)とシアノアミド(25.7 mg、610.2 μmol)の混合物をN,N-ジメチルホルムアミド(2.1 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(157.5 mg, 1.40 mmol)を加えた。室温で20分撹拌後、2-ブロモ-1-(t-ブチル)エタノン(82.9 μL, 585 μmol)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(1 mL)を室温で加えた後、10時間室温で撹拌した。反応終了後、水、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタンを加え、有機相を水で3回洗浄し、水相をジクロロメタンで2回、酢酸エチルで1回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ G(53.9 mg, 38%)を得た。なお、TAZ Gは既知物質である(Schonbrunn, E. et al. Development of highly potent and selective diaminothiazole inhibitors of cyclin-dependent kinases. J. Med. Chem. 56, 3768-3782 (2013).)。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ6.35 (brs, 1H), 5.92 (ddd, J = 17.1, 10.4, 5.5 Hz, 1H), 5.33 (ddd, J = 17.1, 2.8, 1.8 Hz, 1H), 5.25 (ddd, J = 10.4, 2.4, 1.2 Hz, 1H), 3.92 (m, 2H), 1.26 (s, 9H) (2 protons are missing.) HRMS (ESI) calcd for C11H17N3OSNa [M+Na]+ 262.0985, found 262.0995.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ6.35 (brs, 1H), 5.92 (ddd, J = 17.1, 10.4, 5.5 Hz, 1H), 5.33 (ddd, J = 17.1, 2.8, 1.8 Hz, 1H), 5.25 (ddd, J = 10.4, 2.4, 1.2 Hz, 1H), 3.92 (m, 2H), 1.26 (s, 9H) (2 protons are missing.) HRMS (ESI) calcd for C11H17N3OSNa [M+Na]+ 262.0985, found 262.0995.
(9) TAZ Hの合成
アルゴン雰囲気下、アリルイソチオシアネート(125.3 μL, 1.23 mmol)とシアノアミド(52 mg, 1.23 mmol)の混合物をテトラヒドロフラン(4.3 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(302 mg, 2.69 mmol)を加えた。室温で20分撹拌後、2-ブロモ-1-(3-ニトロ-1-フェニル)エタノン(285.5 mg, 1.17 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(1 mL)を室温で加えた後、10時間室温で撹拌した。反応終了後、水、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタンを加え、有機相を水で3回洗浄し、水相をジクロロメタンで2回、酢酸エチルで1回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ H(10 mg, 3%)を得た。なお、TAZ Hは既知物質である(Schonbrunn, E. et al. Development of highly potent and selective diaminothiazole inhibitors of cyclin-dependent kinases. J. Med. Chem. 56, 3768-3782 (2013).)。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ8.60 (dd, J = 2.1, 2.1 Hz, 1H), 8.30 (ddd, J = 8.2, 2.1, 1.2 Hz, 1H), 8.07 (ddd, J = 7.6, 1.2, 1.2 Hz, 1H), 7.61 (dd, J = 7.9, 7.9 Hz, 1H), 5.89 (ddd, J = 17.1, 10.4, 5.5 Hz, 1H), 5.33 (ddd, J = 17.1, 4.3, 1.5 Hz, 1H), 5.27 (ddd, J = 10.1, 2.4, 1.2 Hz, 1H), 3.93 (d, J = 5.2 Hz, 2H), (2 protons are missing.) HRMS (ESI) calcd for C13H13N4O3S [M+H]+ 305.0703, found 305.0704.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ8.60 (dd, J = 2.1, 2.1 Hz, 1H), 8.30 (ddd, J = 8.2, 2.1, 1.2 Hz, 1H), 8.07 (ddd, J = 7.6, 1.2, 1.2 Hz, 1H), 7.61 (dd, J = 7.9, 7.9 Hz, 1H), 5.89 (ddd, J = 17.1, 10.4, 5.5 Hz, 1H), 5.33 (ddd, J = 17.1, 4.3, 1.5 Hz, 1H), 5.27 (ddd, J = 10.1, 2.4, 1.2 Hz, 1H), 3.93 (d, J = 5.2 Hz, 2H), (2 protons are missing.) HRMS (ESI) calcd for C13H13N4O3S [M+H]+ 305.0703, found 305.0704.
(10) TAZ Iの合成
アルゴン雰囲気下、アリルイソチオシアネート(107.4 μL, 1.05 mmol)とシアノアミド(44.6 mg, 1.05 mmol)の混合物をテトラヒドロフラン(2.7 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(258.1 mg, 2.30 mmol)を加えた。室温で20分撹拌後、2-ブロモ-1-(2-ニトロ-1-フェニル)エタノン(244 mg, 1.00 mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1 mL)を室温で加えた後、10時間室温で撹拌した。反応終了後、水、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタンを加え、有機相を水で3回洗浄し、水相をジクロロメタンで2回、酢酸エチルで1回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ I(110 mg, 36%)を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.05 (brd, J = 8.2 Hz, 1H), 7.66 (brt, J = 7.3 Hz, 1H), 7.56-7.49 (m, 2H), 6.77 (br, 1H), 5.82 (ddd, J = 17.1, 10.4, 5.5 Hz, 1H), 5.26 (brd, J = 17.1 Hz, 1H), 5.21 (brd, J = 10.1 Hz, 1H), 4.07 (brs, 1H), 3.79 (brd, J = 4.9 Hz, 2H) (1 proton is missing.); 13C-NMR (125 MHz, DMSO-d6) δ 178.1, 166.0, 146.7, 137.3, 133.9, 130.4, 128.4(2C), 124.4(2C), 116.4, 93.1, 59.8; IR (ATR) 2359, 1512, 1412, 1343 cm-1; HRMS (ESI) calcd for C13H12N4O3SNa [M+Na]+ 327.0522, found 327.0522.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.05 (brd, J = 8.2 Hz, 1H), 7.66 (brt, J = 7.3 Hz, 1H), 7.56-7.49 (m, 2H), 6.77 (br, 1H), 5.82 (ddd, J = 17.1, 10.4, 5.5 Hz, 1H), 5.26 (brd, J = 17.1 Hz, 1H), 5.21 (brd, J = 10.1 Hz, 1H), 4.07 (brs, 1H), 3.79 (brd, J = 4.9 Hz, 2H) (1 proton is missing.); 13C-NMR (125 MHz, DMSO-d6) δ 178.1, 166.0, 146.7, 137.3, 133.9, 130.4, 128.4(2C), 124.4(2C), 116.4, 93.1, 59.8; IR (ATR) 2359, 1512, 1412, 1343 cm-1; HRMS (ESI) calcd for C13H12N4O3SNa [M+Na]+ 327.0522, found 327.0522.
(11) TAZ Jの合成
アルゴン雰囲気下、フェニルイソチオシアネート(145.9 μL, 1.23 mmol)とシアノアミド(52 mg, 1.23 mmol)の混合物をN,N-ジメチルホルムアミド(4.3 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(302 mg, 2.69 mmol)を加えた。室温で20分撹拌後、2-ブロモ-1-(5-クロロ-2-チエニル)エタノン(279.3 mg, 1.17 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(1 mL)を室温で加えた後、10時間室温で撹拌した。反応終了後、水、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタンを加え、有機相を水で3回洗浄し、水相をジクロロメタンで2回、酢酸エチルで1回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ J(75 mg, 19%)を得た。なお、TAZ Jは既知物質である(国際公開第2001/56567号)。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ11.0 (brs, 1H), 8.37 (brs, 2H), 7.66 (brd, J = 7.6 Hz, 2H), 7.40 (m, 3H), 7.23 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 7.13 (dd, J = 7.6, 7.6 Hz, 1H), HRMS (ESI) calcd for C14H10N3S2ClNa [M+Na]+ 373.9795, found 373.9600.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ11.0 (brs, 1H), 8.37 (brs, 2H), 7.66 (brd, J = 7.6 Hz, 2H), 7.40 (m, 3H), 7.23 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 7.13 (dd, J = 7.6, 7.6 Hz, 1H), HRMS (ESI) calcd for C14H10N3S2ClNa [M+Na]+ 373.9795, found 373.9600.
(12) TAZ Kの合成
アルゴン雰囲気下、アリルイソチオシアネート(3.58 mL, 36.8 mmol)とシアノアミド(1.55 g, 36.8 mmol)の混合物をN,N-ジメチルホルムアミド(100 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(9.03 g, 80.5 mmol)を加えた。室温で20分撹拌後、2-ブロモ-1-(5-フルオロ-2-チエニル)エタノン(7.82 g, 35.1 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(5 mL)を室温で加えた後、10時間室温で撹拌した。反応終了後、水、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタンを加え、有機相を水で3回洗浄し、水相をジクロロメタンで2回、酢酸エチルで1回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ K(2.15 g, 22%)を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.29 (m, 1H), 6.52 (dd, J = 4.3, 1.5 Hz, 1H), 5.94 (ddd, J = 17.1, 10.1, 5.5 Hz, 1H), 5.75 (brs, 1H), 5.37 (ddd, J = 17.1, 2.8, 1.8 Hz, 1H), 5.31 (brd, J = 10.1, 2.8, 1.2 Hz, 1H), 4.00 (brs, 2H), 1.58 (brs, 2H); 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ 174.4, 172.4, 169.8 (d, JC-F = 295.2 Hz, 1C), 166.3 (d, JC-F = 4.5 Hz, 1C), 135.8, 132.3, 126.1 (d, JC-F = 4.5 Hz, 1C), 118.4, 108.9 (d, JC-F = 11.8 Hz, 1C), 91.9, 47.9; IR (ATR) 2906, 2359, 1541, 1408 cm-1; mp 154-158°C; HRMS (ESI) calcd for C11H10FN3OS2Na [M+Na]+ 306.0142, found 306.0153.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.29 (m, 1H), 6.52 (dd, J = 4.3, 1.5 Hz, 1H), 5.94 (ddd, J = 17.1, 10.1, 5.5 Hz, 1H), 5.75 (brs, 1H), 5.37 (ddd, J = 17.1, 2.8, 1.8 Hz, 1H), 5.31 (brd, J = 10.1, 2.8, 1.2 Hz, 1H), 4.00 (brs, 2H), 1.58 (brs, 2H); 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ 174.4, 172.4, 169.8 (d, JC-F = 295.2 Hz, 1C), 166.3 (d, JC-F = 4.5 Hz, 1C), 135.8, 132.3, 126.1 (d, JC-F = 4.5 Hz, 1C), 118.4, 108.9 (d, JC-F = 11.8 Hz, 1C), 91.9, 47.9; IR (ATR) 2906, 2359, 1541, 1408 cm-1; mp 154-158°C; HRMS (ESI) calcd for C11H10FN3OS2Na [M+Na]+ 306.0142, found 306.0153.
(13) TAZ Lの合成
アルゴン雰囲気下、フェニルイソチオシアネート(145.9 μL, 1.23 mmol)とシアノアミド(52 mg, 1.23 mmol)の混合物をテトラヒドロフラン(4.3 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(302 mg, 2.69 mmol)を加えた。室温で20分撹拌後、2-ブロモ-1-(5-クロロ-2-チエニル)エタノン(279.3 mg, 1.17 mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1 mL)を室温で加えた後、10時間室温で撹拌した。反応終了後、水、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタンを加え、有機相を水で3回洗浄し、水相をジクロロメタンで2回、酢酸エチルで1回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ L(87 mg, 24%)を得た。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.5 (brs, 1H), 8.05 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.36 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 7.30 (dd, J = 8.5, 7.3 Hz, 2H), 7.05 (dd, J = 7.3, 7.3 Hz, 1H), 4.43 (s, 2H); 13C-NMR (125 MHz, DMSO-d6) δ 186.6, 163.4, 141.3, 138.7, 138.1, 134.3, 129.1(2C), 128.9(2C), 123.6, 118.9, 35.7; HRMS (ESI) calcd for C13H10NO2S2ClNa [M+Na]+ 333.9734, found 333.9721; Anal. Calcd for C13H10NO2S2Cl: C, 50.08, H, 3.23, N, 4.49, found C, 49.98, H, 3.47, N, 4.43.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.5 (brs, 1H), 8.05 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.36 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 7.30 (dd, J = 8.5, 7.3 Hz, 2H), 7.05 (dd, J = 7.3, 7.3 Hz, 1H), 4.43 (s, 2H); 13C-NMR (125 MHz, DMSO-d6) δ 186.6, 163.4, 141.3, 138.7, 138.1, 134.3, 129.1(2C), 128.9(2C), 123.6, 118.9, 35.7; HRMS (ESI) calcd for C13H10NO2S2ClNa [M+Na]+ 333.9734, found 333.9721; Anal. Calcd for C13H10NO2S2Cl: C, 50.08, H, 3.23, N, 4.49, found C, 49.98, H, 3.47, N, 4.43.
(14) TAZ Mの合成
アルゴン雰囲気下、4-スルホンアミドイソチオシアネート(261.4 mg, 1.23 mmol)とシアノアミド(52 mg, 1.23 mmol)の混合物をテトラヒドロフラン(4.3 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(302 mg, 2.69 mmol)を加えた。室温で20分撹拌後、2-ブロモ-1-(5-クロロ-2-チエニル)エタノン(279.3 mg, 1.17 mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1 mL)を室温で加えた後、10時間室温で撹拌した。反応終了後、水、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタンを加え、有機相を水で3回洗浄し、水相をジクロロメタンで2回、酢酸エチルで1回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ M(27 mg, 6%)を得た。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.3 (brs, 1H), 8.36 (brs, 2H), 7.83 (brd, J = 8.9 Hz, 1H), 7.80 (brd, J = 8.9 Hz, 1H), 7.44 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 7.29 (s, 2H), 7.23 (d, J = 4.3 Hz, 1H) (2 protons are missing.); 13C-NMR (125 MHz, DMSO-d6) δ 172.2, 166.6, 166.3, 145.7, 142.3, 138.3, 134.1, 128.5(2C), 127.1(2C), 118.5(2C), 90.4; IR (ATR) 3265, 2179, 1594, 1416 cm-1; mp 214°C (decomposed); HRMS (ESI) calcd for C14H12N4O3S3Cl [M+H]+ 414.9755, found 414.9770; Anal. Calcd for C14H11N4O2S3Cl: C, 40.53, H, 2.67, N, 13.50, found C, 41.04, H, 2.69, N, 12.90.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.3 (brs, 1H), 8.36 (brs, 2H), 7.83 (brd, J = 8.9 Hz, 1H), 7.80 (brd, J = 8.9 Hz, 1H), 7.44 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 7.29 (s, 2H), 7.23 (d, J = 4.3 Hz, 1H) (2 protons are missing.); 13C-NMR (125 MHz, DMSO-d6) δ 172.2, 166.6, 166.3, 145.7, 142.3, 138.3, 134.1, 128.5(2C), 127.1(2C), 118.5(2C), 90.4; IR (ATR) 3265, 2179, 1594, 1416 cm-1; mp 214°C (decomposed); HRMS (ESI) calcd for C14H12N4O3S3Cl [M+H]+ 414.9755, found 414.9770; Anal. Calcd for C14H11N4O2S3Cl: C, 40.53, H, 2.67, N, 13.50, found C, 41.04, H, 2.69, N, 12.90.
(15) TAZ Nの合成
アルゴン雰囲気下、アリルイソチオシアネート(125.3 μL. 1.23 mmol)とシアノアミド(52 mg, 1.23 mmol)の混合物をN,N-ジメチルホルムアミド(4 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(302 mg, 2.69 mmol)を加えた。室温で20分撹拌後、2-ブロモ-1-(5-ブロモ-2-チエニル)エタノン(332.2 mg, 1.17 mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(1 mL)を室温で加えた後、10時間室温で撹拌した。反応終了後、水、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタンを加え、有機相を水で3回洗浄し、水相をジクロロメタンで2回、酢酸エチルで1回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ N(147 mg, 36%)を得た。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.02 (brs, 1H), 8.51 (brs, 1H), 8.10 (brs, 1H), 7.28 (s, 2H), 5.90 (ddd, J = 17.1, 10.4, 5.2 Hz, 1H), 5.24 (brd, J = 17.1 Hz, 1H), 5.16 (brd, J = 10.4 Hz, 1H), 3.97 (brs, 2H); 13C-NMR (125 MHz, DMSO-d6) δ 170.5, 167.8, 148.9, 133.7(2C), 131.6, 128.1, 117.0, 116.4, 89.8, 46.1; IR (ATR) 3277, 2343, 1587, 1415 cm-1; mp 173-176°C; HRMS (ESI) calcd for C11H10N3OS2BrNa [M+Na]+ 365.9341, found 363.9345.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.02 (brs, 1H), 8.51 (brs, 1H), 8.10 (brs, 1H), 7.28 (s, 2H), 5.90 (ddd, J = 17.1, 10.4, 5.2 Hz, 1H), 5.24 (brd, J = 17.1 Hz, 1H), 5.16 (brd, J = 10.4 Hz, 1H), 3.97 (brs, 2H); 13C-NMR (125 MHz, DMSO-d6) δ 170.5, 167.8, 148.9, 133.7(2C), 131.6, 128.1, 117.0, 116.4, 89.8, 46.1; IR (ATR) 3277, 2343, 1587, 1415 cm-1; mp 173-176°C; HRMS (ESI) calcd for C11H10N3OS2BrNa [M+Na]+ 365.9341, found 363.9345.
(16) TAZ Oの合成
アルゴン雰囲気下、TAZ E(21.9 mg, 82.5 μmol)のトルエン溶液(330 μL)にLawesson’s 試薬(22 mg, 54.5 μmol)を加え、混合液を85°Cで加熱撹拌した。16時間後加熱撹拌を停止し減圧濃縮を行なった。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、TAZ O(4.1mg, 18%)を黄色固体として得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.43 (dd, J = 5.2, 0.9 Hz, 1H), 7.40 (dd, J = 3.7, 0.9 Hz, 1H), 7.01 (dd, J = 3.7, 5.2 Hz, 1H), 6.30 (brs, 1H), 5.90 (ddt, J = 17.1, 10.4, 5.5 Hz, 1H), 5.33 (d, J = 17.1 Hz, 1H), 5.29 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 3.99 (brs, 2H) (2 protons are missing); IR (ATR) 3200, 3051, 2920, 2359, 2334, 1611, 1572, 1421 cm-1; mp 156-158°C; HRMS calcd for C11H11N3S3Na [M+Na+] 304.0007, found 304.0006.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.43 (dd, J = 5.2, 0.9 Hz, 1H), 7.40 (dd, J = 3.7, 0.9 Hz, 1H), 7.01 (dd, J = 3.7, 5.2 Hz, 1H), 6.30 (brs, 1H), 5.90 (ddt, J = 17.1, 10.4, 5.5 Hz, 1H), 5.33 (d, J = 17.1 Hz, 1H), 5.29 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 3.99 (brs, 2H) (2 protons are missing); IR (ATR) 3200, 3051, 2920, 2359, 2334, 1611, 1572, 1421 cm-1; mp 156-158°C; HRMS calcd for C11H11N3S3Na [M+Na+] 304.0007, found 304.0006.
(17) TAZ Pの合成
アルゴン雰囲気下、フェニルイソチオシアネート(94 μL, 700 μmol)とシアノアミド(29.4 mg, 700 μmol)の混合物をN,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(171.7 mg, 1.51 mmol)を加えた。室温で20分撹拌後、2-ブロモ-1-(5-フルオロ-2-チエニル)エタノン(148.7 mg, 667 μmol)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(0.5 mL)を室温で加えた後、10時間室温で撹拌した。反応終了後、水、シクロペンチルメチルエーテル、ジクロロメタンを加え、有機相を水で3回洗浄し、水相をジクロロメタンで2回、酢酸エチルで1回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ P(8.1 mg, 4%)を得た。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.97 (brs, 1H), 8.31 (brs, 2H), 7.66 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.39 (dd, J = 7.3, 7.3 Hz, 2H), 7.29 (dd, J = 4.3, 3.7 Hz, 1H), 7.12 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 6.84 (dd, J = 4.3, 1.8 Hz, 1H); 13C-NMR (125 MHz, DMSO-d6) 172.3, 169.1, 166.9, 166.8, 139.4, 136.3, 129.2 (2C), 125.9 (d, JC-F = 4.5 Hz), 123.7, 119.2 (2C), 110.1 (d, JC-F = 11.8 Hz), 89.6; 19F-NMR (471 MHz, DMSO-d6) δ -124.6 (s); IR (ATR) 3273, 3084, 2917, 2849, 1702, 1597, 1556, 1422, 1200 cm-1; HRMS calcd for C14H10FN3OS2Na [M+Na+] 342.0142, found 342.0132.
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.97 (brs, 1H), 8.31 (brs, 2H), 7.66 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.39 (dd, J = 7.3, 7.3 Hz, 2H), 7.29 (dd, J = 4.3, 3.7 Hz, 1H), 7.12 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 6.84 (dd, J = 4.3, 1.8 Hz, 1H); 13C-NMR (125 MHz, DMSO-d6) 172.3, 169.1, 166.9, 166.8, 139.4, 136.3, 129.2 (2C), 125.9 (d, JC-F = 4.5 Hz), 123.7, 119.2 (2C), 110.1 (d, JC-F = 11.8 Hz), 89.6; 19F-NMR (471 MHz, DMSO-d6) δ -124.6 (s); IR (ATR) 3273, 3084, 2917, 2849, 1702, 1597, 1556, 1422, 1200 cm-1; HRMS calcd for C14H10FN3OS2Na [M+Na+] 342.0142, found 342.0132.
(18) TAZ Qの合成
TAZ E(30 mg, 113 μmol)のメタノール溶液中(2.3 mL)にパラジウム炭素(炭素上10%、55%水湿潤品、15 mg)を加え、水素雰囲気下室温で40時間撹拌した。反応液をセライト濾過し減圧濃縮した。本操作を二回行うことでTAZ Q(28.7 mg, 95%)を黄色固体で得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.63 (dd, J = 4.0, 0.9 Hz, 1H), 7.51 (dd, J = 4.9, 1.2 Hz, 1H), 7.10 (dd, J = 5.2, 4.0 Hz, 1H), 5.67 (brs, 1H), 3.29 (dt, J = 6.7, 6.7 Hz, 2H), 1.71 (tq, J = 7.3, 7.3 Hz, 2H), 1.02 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ 175.0, 172.7, 166.5, 146.6, 130.5, 128.7, 127.7, 92.8, 47.5, 22.6, 11.5; IR (ATR) 3353, 3153, 2961, 2364, 2338, 1607, 1585, 1417, 1072 cm-1; mp 183-185°C; HRMS calcd for C11H13N3OS2Na [M+Na+] 290.0392, found 290.0401.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.63 (dd, J = 4.0, 0.9 Hz, 1H), 7.51 (dd, J = 4.9, 1.2 Hz, 1H), 7.10 (dd, J = 5.2, 4.0 Hz, 1H), 5.67 (brs, 1H), 3.29 (dt, J = 6.7, 6.7 Hz, 2H), 1.71 (tq, J = 7.3, 7.3 Hz, 2H), 1.02 (t, J = 7.3 Hz, 3H); 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ 175.0, 172.7, 166.5, 146.6, 130.5, 128.7, 127.7, 92.8, 47.5, 22.6, 11.5; IR (ATR) 3353, 3153, 2961, 2364, 2338, 1607, 1585, 1417, 1072 cm-1; mp 183-185°C; HRMS calcd for C11H13N3OS2Na [M+Na+] 290.0392, found 290.0401.
(19) TAZ Rの合成
アルゴン雰囲気下、TAZ E(26.5 mg、100 μmol)をテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド混合溶液(3:1, 400 μL)に溶解させ室温条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(11.2mg, 100 μmol)を加えた。室温で1時間攪拌した後、アリルブロミド(6.8 μL, 80.0 μmol)を加え、室温条件下でさらに2時間撹拌した。反応終了後、水、酢酸エチルを加え、有機相を水で洗浄し、水相を酢酸エチルで抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸ナトリウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、TAZ R(14.3 mg, 47%)を黄色固体として得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.63 (dd, J = 3.7, 0.9 Hz, 1H), 7.50 (dd, J = 4.9, 0.9 Hz, 1H), 7.10 (dd, J = 4.9, 3.7 Hz, 1H), 5.83 (ddt, J = 17.1, 10.1, 5.8 Hz, 2H), 5.28 (d, J = 11.3 Hz, 2H), 5.25 (d, J = 17.1 Hz, 2H), 4.10 (brs, 4H) (2 protons are missing.); 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ 174.8, 172.0, 166.7, 146.9, 131.3 (2C), 130.4, 128.6, 127.7, 118.9 (2C), 93.4, 52.7 (2C); IR (ATR) 3330, 3262, 3157, 2360, 2341, 1605, 1538, 1415 cm-1; mp 99-100°C; HRMS calcd for C14H15N3OS2Na [M+Na+] 328.0549, found 328.0552.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.63 (dd, J = 3.7, 0.9 Hz, 1H), 7.50 (dd, J = 4.9, 0.9 Hz, 1H), 7.10 (dd, J = 4.9, 3.7 Hz, 1H), 5.83 (ddt, J = 17.1, 10.1, 5.8 Hz, 2H), 5.28 (d, J = 11.3 Hz, 2H), 5.25 (d, J = 17.1 Hz, 2H), 4.10 (brs, 4H) (2 protons are missing.); 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ 174.8, 172.0, 166.7, 146.9, 131.3 (2C), 130.4, 128.6, 127.7, 118.9 (2C), 93.4, 52.7 (2C); IR (ATR) 3330, 3262, 3157, 2360, 2341, 1605, 1538, 1415 cm-1; mp 99-100°C; HRMS calcd for C14H15N3OS2Na [M+Na+] 328.0549, found 328.0552.
(20) TAZ Sの合成
アルゴン雰囲気下、ベンジルイソチオシアネート(123.8 mg, 829.7 μmol)とシアノアミド(34.3 mg, 815.9 μmol)の混合物をテトラヒドロフラン(2.0 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらカリウムt-ブトキシド(190.0 mg, 1.69 mmol)を加えた。室温で60分撹拌後、2-ブロモ-1-(5-フルオロ-2-チエニル)エタノン(166.5 mg, 746 μmol)のテトラヒドロフラン溶液(1.0 mL)を0℃で加えた後、21時間室温で撹拌した。反応終了後、ジエチルエーテルで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、水相を酢酸エチルで3回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ S(1.5 mg, 1%)を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.40 (m, 6H), 7.27 (dd, J = 4.3, 3.4 Hz, 1H), 6.50 (dd, J = 4.3, 1.5 Hz, 1H), 6.50 (brs, 1H), 4.56 (brs, 2H); IR (ATR) 3489, 2912, 1584, 1406, 1199 cm-1; mp 193°C; HRMS calcd for C15H13N3OS2F [M+H+] 334.0479, found 334.0495.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.40 (m, 6H), 7.27 (dd, J = 4.3, 3.4 Hz, 1H), 6.50 (dd, J = 4.3, 1.5 Hz, 1H), 6.50 (brs, 1H), 4.56 (brs, 2H); IR (ATR) 3489, 2912, 1584, 1406, 1199 cm-1; mp 193°C; HRMS calcd for C15H13N3OS2F [M+H+] 334.0479, found 334.0495.
(21) TAZ Tの合成
TAZ K(2.9 mg, 10 μmol)を酢酸エチル(0.3 mL)に溶解させ、室温下で水酸化パラジウム(3.2 mg)を加えた。反応容器内に水素を充填した後、48時間室温で撹拌した。反応終了後、セライト濾過により水酸化パラジウムを除去し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ T(0.8 mg, 28%)を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ7.27 (dd, J = 4.3, 3.4 Hz, 1H), 6.49 (dd, J = 4.3, 1.5 Hz, 1H), 5.78 (brs, 1H), 3.29 (dd, J = 7.3, 7.3 Hz, 2H), 1.72 (m, 2H), 1.02 (t, J = 7.6 Hz, 3H); 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ 174.3, 172.6, 169.8 (d, JC-F = 295.2 Hz, 1C), 166.5, 126.0 (d, JC-F = 4.5 Hz, 1C), 108.9 (d, JC-F = 11.8 Hz, 1C), 91.9, 47.5, 22.6, 11.5; IR (ATR) 2363, 1590, 1558, 1456, 1073 cm-1; mp 154-158°C; HRMS (ESI) calcd for C11H10FN3OS2Na [M+Na]+ 306.0142, found 306.0153. HRMS calcd for C12H10N4S2F [M+H+] 293.0325, found 293.0334.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ7.27 (dd, J = 4.3, 3.4 Hz, 1H), 6.49 (dd, J = 4.3, 1.5 Hz, 1H), 5.78 (brs, 1H), 3.29 (dd, J = 7.3, 7.3 Hz, 2H), 1.72 (m, 2H), 1.02 (t, J = 7.6 Hz, 3H); 13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ 174.3, 172.6, 169.8 (d, JC-F = 295.2 Hz, 1C), 166.5, 126.0 (d, JC-F = 4.5 Hz, 1C), 108.9 (d, JC-F = 11.8 Hz, 1C), 91.9, 47.5, 22.6, 11.5; IR (ATR) 2363, 1590, 1558, 1456, 1073 cm-1; mp 154-158°C; HRMS (ESI) calcd for C11H10FN3OS2Na [M+Na]+ 306.0142, found 306.0153. HRMS calcd for C12H10N4S2F [M+H+] 293.0325, found 293.0334.
(22) TAZ Uの合成
TAZ K(4.0 mg, 14.0 μmol)と酢酸アンモニウム(6.4 mg, 70 μmol)、オルトギ酸トリエチル(13.4 mg, 70 μmol)をトルエン(1.0 mL)に溶解させ、Dean-Stark装置を用いて17時間撹拌しながら加熱還流した。反応終了後、室温まで冷やし、反応液を減圧濃縮した。得られた残渣をpTLCで分離精製し、目的化合物TAZ U(1.7 mg, 41%)を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.86 (s, 1H), 7.30 (dd, J = 4.0, 3.7 Hz, 1H), 6.62 (dd, J = 4.3, 1.8 Hz, 1H), 5.99 (ddd, J = 17.1, 10.1, 5.8 Hz, 1H), 5.41 (brd, J = 17.1 Hz, 1H), 5.32 (brd, J = 10.1 Hz, 1H), 4.21 (brd, J = 5.2 Hz, 1H) (1 proton is missing.); IR (ATR) 2871, 1618, 1479, 1383, 767 cm-1; mp 236°C; HRMS calcd for C12H10N4S2F [M+H+] 293.0325, found 293.0334.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.86 (s, 1H), 7.30 (dd, J = 4.0, 3.7 Hz, 1H), 6.62 (dd, J = 4.3, 1.8 Hz, 1H), 5.99 (ddd, J = 17.1, 10.1, 5.8 Hz, 1H), 5.41 (brd, J = 17.1 Hz, 1H), 5.32 (brd, J = 10.1 Hz, 1H), 4.21 (brd, J = 5.2 Hz, 1H) (1 proton is missing.); IR (ATR) 2871, 1618, 1479, 1383, 767 cm-1; mp 236°C; HRMS calcd for C12H10N4S2F [M+H+] 293.0325, found 293.0334.
(23) TAZ Vの合成
アルゴン雰囲気下、p-メトキシベンジルイソチオシアネート(76.7 mg, 427.9 μmol)とシアノアミド(17.9 mg, 425.8 μmol)の混合物をメタノール(1.0 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらナトリウムメトキシド(39.2 mg, 725.7 μmol)のメタノール溶液(1.7 mL)を加えた。室温で3 時間撹拌後、2-ブロモ-1-(5-フルオロ-2-チエニル)エタノン(67.4 mg, 302.2 μmol)を室温で加えた後、3時間50℃で撹拌し、さらに12時間室温で撹拌した。反応終了後、室温まで冷やし、反応液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ V(27.0 mg, 25%)を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.29-7.23 (m, 3H), 6.31 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.48 (dd, J = 4.3, 1.5 Hz, 1H), 5.87 (brs, 1H), 4.45 (brd, J = 4.6 Hz, 1H), 3.82 (s, 3H) (2 protons are missing.); IR (ATR) 2361, 1585, 1408, 1246, 1177 cm-1; mp 174°C; HRMS calcd for C16H15N3O2S2F [M+H+] 364.0584, found 364.0596.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.29-7.23 (m, 3H), 6.31 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 6.48 (dd, J = 4.3, 1.5 Hz, 1H), 5.87 (brs, 1H), 4.45 (brd, J = 4.6 Hz, 1H), 3.82 (s, 3H) (2 protons are missing.); IR (ATR) 2361, 1585, 1408, 1246, 1177 cm-1; mp 174°C; HRMS calcd for C16H15N3O2S2F [M+H+] 364.0584, found 364.0596.
(24) TAZ Wの合成
アルゴン雰囲気下、TAZ K(30.3 mg, 106.9 μmol)とカリウムt-ブトキシド(11.7 mg, 104.3 μmol)をテトラヒドロフラン(0.33 mL)とN,N-ジメチルホルムアミド(0.11 mL)の混合溶媒に溶解させ、臭化アリル(10.7 mg, 88.4 μmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応液を0℃まで冷やし、ジエチルエーテルで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、水相を酢酸エチルで3回抽出した。得られた有機抽出物を一つに合わせた後、飽和食塩水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥させ濾過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ W(13.2 mg, 46%)を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.25 (dd, J = 4.3, 3.4 Hz, 1H), 6.48 (dd, J = 4.3, 1.5 Hz, 1H), 5.82 (ddd, J = 17.1, 10.4, 5.5 Hz, 2H), 5.29-5.23 (m, 4H), 4.09 (brs, 4H) 5.41 (brd, J = 17.1 Hz, 1H), 5.32 (brd, J = 10.1 Hz, 1H), 4.21 (brd, J = 5.2 Hz, 1H) (1 proton is missing.); HRMS calcd for C14H15N4OS2F [M+H+] 324.0635, found 324.0637.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.25 (dd, J = 4.3, 3.4 Hz, 1H), 6.48 (dd, J = 4.3, 1.5 Hz, 1H), 5.82 (ddd, J = 17.1, 10.4, 5.5 Hz, 2H), 5.29-5.23 (m, 4H), 4.09 (brs, 4H) 5.41 (brd, J = 17.1 Hz, 1H), 5.32 (brd, J = 10.1 Hz, 1H), 4.21 (brd, J = 5.2 Hz, 1H) (1 proton is missing.); HRMS calcd for C14H15N4OS2F [M+H+] 324.0635, found 324.0637.
(25) TAZ Xの合成
アルゴン雰囲気下、シクロプロピルイソチオシアネート(42.1 mg, 424.6 μmol)とシアノアミド(18.0 mg, 428.1 μmol)の混合物をメタノール(1.0 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらナトリウムメトキシド(39.8 mg, 736.8 μmol)のメタノール溶液(1.7 mL)を加えた。室温で3時間撹拌後、2-ブロモ-1-(5-フルオロ-2-チエニル)エタノン(59.9 mg, 268.5 μmol)を室温で加えた後、1時間50℃で撹拌した。反応終了後、室温まで冷やし、反応液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ X(35.8 mg, 47%)を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.37 (dd, J = 4.3, 3.4 Hz, 1H), 6.54 (dd, J = 4.3, 1.5 Hz, 1H), 6.46 (brs, 1H), 2.69 (dddd, J = 6.7, 6.7, 3.7, 3.7 Hz, 1H), 0.93 (m, 2H), 0.80 (m, 2H) (2 protons are missing.); HRMS calcd for C11H11N3OS2F [M+H+] 306.0142, found 304.0155.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.37 (dd, J = 4.3, 3.4 Hz, 1H), 6.54 (dd, J = 4.3, 1.5 Hz, 1H), 6.46 (brs, 1H), 2.69 (dddd, J = 6.7, 6.7, 3.7, 3.7 Hz, 1H), 0.93 (m, 2H), 0.80 (m, 2H) (2 protons are missing.); HRMS calcd for C11H11N3OS2F [M+H+] 306.0142, found 304.0155.
(26) TAZ Yの合成
アルゴン雰囲気下、2-フルオロフェニルイソチオシアネート(62.4 mg, 407.4 μmol)とシアノアミド(17.2 mg, 409.1 μmol)の混合物をメタノール(1.0 mL)に溶解させ、0℃の条件下撹拌しながらナトリウムメトキシド(39.2 mg, 725.7 μmol)のメタノール溶液(1.7 mL)を加えた。室温で3 時間撹拌後、2-ブロモ-1-(5-フルオロ-2-チエニル)エタノン(68.2 mg, 305.7 μmol)を室温で加えた後、2時間50℃で撹拌した。反応終了後、室温まで冷やし、反応液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離精製し、目的化合物TAZ Y(34.7 mg, 34%)を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.97 (dd, J = 7.9, 7.9 Hz, 1H), 7.29 (dd, J = 4.3, 3.7 Hz, 1H), 7.25-7.13 (m, 3H), 6.50 (dd, J = 4.3, 1.2 Hz, 1H) (3 protons are missing.); IR (ATR) 3425, 3304, 2956, 1625, 1414, 1258 cm-1; mp 178°C; HRMS calcd for C14H10N3OS2F2 [M+H+] 338.0228, found 338.0237.
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.97 (dd, J = 7.9, 7.9 Hz, 1H), 7.29 (dd, J = 4.3, 3.7 Hz, 1H), 7.25-7.13 (m, 3H), 6.50 (dd, J = 4.3, 1.2 Hz, 1H) (3 protons are missing.); IR (ATR) 3425, 3304, 2956, 1625, 1414, 1258 cm-1; mp 178°C; HRMS calcd for C14H10N3OS2F2 [M+H+] 338.0228, found 338.0237.
2. 初代心筋細胞培養
Wistarラット出生第1日目の新生児20から30匹を安楽死させ、心臓を摘出し、脂肪組織等を分離した後ハサミで細かく刻んだ。刻んだ心臓を37℃のハンクス平衡塩類溶液(SIGMA、H6648)中で緩徐にかき混ぜ、赤血球等の不純物を取り除いた。その後、37℃の0.2%コラゲナーゼタイプ2(Worthington、LS004176)含有ハンクス平衡塩類溶液中で緩徐にかき混ぜることで、心臓組織中の細胞を単離した。1200rpm、5分間の遠心にて細胞成分のみとし、10%ウシ胎仔血清(FCS)と1%ペニシリンG & ストレプトマイシンを添加した高グルコースダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(SIGMA、D5796)を加え、15cmディッシュにまき、37℃、5% CO2で80分間培養した。80分間の培養後、上清を回収し、ディッシュに付着しなかった上清中の細胞を心筋細胞として実験に使用した。なお、線維芽細胞を使用する際はディッシュに付着した細胞を使用した。細胞数はLuna自動細胞計数装置(Laboratry and Medical Supplies)を用いて測定した。免疫組織学染色用に3×104cells/cm2で、10% FCSと1%ペニシリンG & ストレプトマイシンを添加したDMEM培養液を用いて37℃、5% CO2にて培養した。
Wistarラット出生第1日目の新生児20から30匹を安楽死させ、心臓を摘出し、脂肪組織等を分離した後ハサミで細かく刻んだ。刻んだ心臓を37℃のハンクス平衡塩類溶液(SIGMA、H6648)中で緩徐にかき混ぜ、赤血球等の不純物を取り除いた。その後、37℃の0.2%コラゲナーゼタイプ2(Worthington、LS004176)含有ハンクス平衡塩類溶液中で緩徐にかき混ぜることで、心臓組織中の細胞を単離した。1200rpm、5分間の遠心にて細胞成分のみとし、10%ウシ胎仔血清(FCS)と1%ペニシリンG & ストレプトマイシンを添加した高グルコースダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(SIGMA、D5796)を加え、15cmディッシュにまき、37℃、5% CO2で80分間培養した。80分間の培養後、上清を回収し、ディッシュに付着しなかった上清中の細胞を心筋細胞として実験に使用した。なお、線維芽細胞を使用する際はディッシュに付着した細胞を使用した。細胞数はLuna自動細胞計数装置(Laboratry and Medical Supplies)を用いて測定した。免疫組織学染色用に3×104cells/cm2で、10% FCSと1%ペニシリンG & ストレプトマイシンを添加したDMEM培養液を用いて37℃、5% CO2にて培養した。
3. 免疫組織学染色による化合物の評価
培養方法が確立している新生児ラットの初代培養心筋細胞を使用し、各化合物について、核合成、核分裂、細胞質分裂を生じている心筋細胞の割合を評価した。核合成は取り込ませた核酸類似物質EdUを評価することで行い、核分裂や細胞質分裂はpH3、Aurora Bを免疫組織染色することで評価した。
培養方法が確立している新生児ラットの初代培養心筋細胞を使用し、各化合物について、核合成、核分裂、細胞質分裂を生じている心筋細胞の割合を評価した。核合成は取り込ませた核酸類似物質EdUを評価することで行い、核分裂や細胞質分裂はpH3、Aurora Bを免疫組織染色することで評価した。
培養翌日に培養液を0.1% FCSと1%ペニシリンG & ストレプトマイシンを添加したDMEM培養液に交換し、その6時間後に検討化合物を添加、40時間培養した。陽性コントロールサンプルにはFCSを2%の濃度となるように添加した。なお、核合成の指標となるEdU評価サンプルではEdU濃度が5μMとなるように化合物添加時にEdUも加えた。
培養細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)にて洗浄後、4%パラホルムアルデヒド、室温10分間にて細胞を固定、その後0.5% Triton X-100含有PBS、室温20分間にて膜透過性処理を行った。3%ウシ血清アルブミン(BSA)含有PBS、室温1時間にてブロッキングを行った。1次抗体は4℃一晩にて、2次抗体は37℃1時間で反応させ、最後に2000倍希釈したHoechst 33342にて核を染色した。各々の反応の間、サンプルはPBSにて洗浄した。
EdUの染色はブロッキングの前にClick-iT EdU Alexa Fluor 594 Imaging Kit(Thermo Fisher Scientific)で行った。また、1次抗体は抗Troponin T抗体(Thermo Fisher Scientific、MS295P1)200倍希釈、抗pH3抗体(Millipore, 06-570)200倍希釈、抗Aurora B抗体(Cell Signaling Technology, 3094S)200倍希釈を、2次抗体はAlexa Fluor 488 Goat Anti-Mouse IgG (H+L)抗体(Thermo Fisher Scientific、A-11001)200倍希釈、Alexa Fluor 594 Goat Anti-Rabbit IgG (H+L)抗体(Thermo Fisher Scientific, A-11012)200倍希釈を使用した。
EdU、pH3の評価にはイメージングサイトメーターIN Cell Analyzer 1000(GE Healthcare Life Sciences)を用いた。心筋細胞ではTroponin Tが陽性となるため、Troponin Tが陽性である心筋細胞の全核数と、EdUあるいはpH3が陽性である心筋細胞の核数を各々カウントし、EdU、pH3の陽性率を算出した。同時に、Troponin Tが染色されている部分の面積から、心筋細胞の平均細胞面積も測定した。
Aurora Bの評価はボックス型蛍光撮像装置FSX100(Olympus Life Science)にて撮影後、解析ソフトcellSens(Olympus Life Science)にてTroponin T陽性である心筋細胞数をカウントし、その中でAurora Bも陽性となっている細胞をカウントすることで行った。
心筋細胞における核合成に対する25種類の化合物の効果を表1、及び図2に示す(それぞれn=3又は4)。データは、未処理の心筋細胞(0.1% FCS)に対する比として記載している。表1、及び図2の結果から明らかなように、TAZ 12、TAZ A〜C、TAZ E〜H、TAZ K、TAZ M、TAZ N、TAZ Q、TAZ S、TAZ T、及びTAZ Yが高い活性を有していた。また、0.1% FCS条件下、種々の濃度のTAZ Kで処理したときの、40時間後のEdUポジティブ心筋細胞の割合、及び平均心筋細胞面積を測定した結果を図3に示す。TAZ Kは、それぞれの濃度において、核合成を促進する効果を有していた。
さらに、各化合物についての核分裂及び細胞質分裂の評価結果をそれぞれ図4及び図5に示す。図4及び図5の結果から、EdUだけでなくpH3、Aurora Bの陽性率が上昇することが確認された。このことから、本発明の化合物は、心筋での核分裂及び細胞質分裂も促進し得ることが明らかとなった。
次に、非心筋細胞である、ラット心臓線維芽細胞、ラット筋芽細胞(H9C2)及びマウス線維芽細胞(NIH3T3)におけるTAZ 12及びTAZ KのEdU取り込み効果を調べた。ラット心臓線維芽細胞、H9C2細胞及びNIH3T3細胞は、それぞれ24時間、18時間及び18時間の培養を行った。実験の結果を図6〜図8に示す。非心筋細胞における核合成の向上効果はいずれもわずかであり、本発明の化合物は、心筋細胞特異的に核合成を促進することが明らかとなった。
4. MTSアッセイ(細胞毒性試験)
96ウェルプレートに、心筋細胞を1×104cells/wellで10% FCSと1%ペニシリンG & ストレプトマイシンを添加したDMEM培養液を用いて37℃、5% CO2にて培養し、0.1% FCSと1%ペニシリンG & ストレプトマイシンを添加したDMEM培養液に交換、6時間後に化合物(TAZ K)を投与した。コントロールサンプルは、FCSを2%となるように添加したサンプルと過酸化水素(H2O2)を100μMとなるように添加したサンプルを使用した。化合物投与40時間後にCellTiter 96 AQueous One Solution Cell Proliferation Assay(Promega)を用いて評価した。その結果を図9に示す。図9から明らかなように、TAZ Kでは、25μMの濃度でも心筋細胞への毒性は認めなかった。
96ウェルプレートに、心筋細胞を1×104cells/wellで10% FCSと1%ペニシリンG & ストレプトマイシンを添加したDMEM培養液を用いて37℃、5% CO2にて培養し、0.1% FCSと1%ペニシリンG & ストレプトマイシンを添加したDMEM培養液に交換、6時間後に化合物(TAZ K)を投与した。コントロールサンプルは、FCSを2%となるように添加したサンプルと過酸化水素(H2O2)を100μMとなるように添加したサンプルを使用した。化合物投与40時間後にCellTiter 96 AQueous One Solution Cell Proliferation Assay(Promega)を用いて評価した。その結果を図9に示す。図9から明らかなように、TAZ Kでは、25μMの濃度でも心筋細胞への毒性は認めなかった。
5. 心筋梗塞モデルマウスの作成
2,2,2-トリブロモエタノール(Sigma)(250mg/kg体重)の腹腔内注射及び1%イソフルレンの吸入により8週齢のC57BL/6Jマウスを麻酔した。A23ゲージポリエチレンチューブを気管に挿入し、小動物用ベンチレータで酸素を供給した。左第3肋間間隙から胸腔を切開し、左前下行枝(LAD)を8-0ナイロン縫合糸により左心耳の先端下約1.5mmのところで二重に結紮した。閉塞は、左室の前壁の色の変化(青白くなる)により確認した。また、LAD結紮を行わない以外は、同一の手順によりマウスの偽手術を行った。
2,2,2-トリブロモエタノール(Sigma)(250mg/kg体重)の腹腔内注射及び1%イソフルレンの吸入により8週齢のC57BL/6Jマウスを麻酔した。A23ゲージポリエチレンチューブを気管に挿入し、小動物用ベンチレータで酸素を供給した。左第3肋間間隙から胸腔を切開し、左前下行枝(LAD)を8-0ナイロン縫合糸により左心耳の先端下約1.5mmのところで二重に結紮した。閉塞は、左室の前壁の色の変化(青白くなる)により確認した。また、LAD結紮を行わない以外は、同一の手順によりマウスの偽手術を行った。
6. TAZ Kのマウスへの投与
心筋梗塞モデルと比較するため、開胸のみの偽手術を行い、心筋梗塞は作成しないマウスに対しTAZ Kを投与した。具体的には、毎日、TAZ Kを10mg/kg体重で腹腔内投与し、又はビヒクル(2%ジメチルスルホキシド(DMSO))を腹腔内投与した。投与開始後、12週齢までの心機能の変化をエコーにより測定した。その結果、心機能の低下はなく、2群間で有意差はなかった。心臓線維化も両群ほぼなかった(有意差なし)。また、心臓、肝臓、左右腎臓、脾臓、肺の臓器重量についても両群に有意差はみられなかった。なお、死亡例は両群ともなかった。これらの結果から、TAZ Kは生体に対し特に悪影響は与えないことが示された。
心筋梗塞モデルと比較するため、開胸のみの偽手術を行い、心筋梗塞は作成しないマウスに対しTAZ Kを投与した。具体的には、毎日、TAZ Kを10mg/kg体重で腹腔内投与し、又はビヒクル(2%ジメチルスルホキシド(DMSO))を腹腔内投与した。投与開始後、12週齢までの心機能の変化をエコーにより測定した。その結果、心機能の低下はなく、2群間で有意差はなかった。心臓線維化も両群ほぼなかった(有意差なし)。また、心臓、肝臓、左右腎臓、脾臓、肺の臓器重量についても両群に有意差はみられなかった。なお、死亡例は両群ともなかった。これらの結果から、TAZ Kは生体に対し特に悪影響は与えないことが示された。
7. TAZ Kの心臓梗塞モデルマウスへの投与
上記手順により作成した心筋梗塞モデルマウスに対し、毎日、TAZ Kを10mg/kg体重で、又はビヒクル(2%ジメチルスルホキシド(DMSO))を腹腔内投与した。投与開始後、12週齢までの生存率、体重、臓器重量の変化を調べた。その結果、TAZ K投与群とビヒクル投与群との間で有意差は観測されなかった。また、採血による肝・腎臓障害、耐糖能障害の有無について調べたところ、いずれの障害も両群ともなかった。
上記手順により作成した心筋梗塞モデルマウスに対し、毎日、TAZ Kを10mg/kg体重で、又はビヒクル(2%ジメチルスルホキシド(DMSO))を腹腔内投与した。投与開始後、12週齢までの生存率、体重、臓器重量の変化を調べた。その結果、TAZ K投与群とビヒクル投与群との間で有意差は観測されなかった。また、採血による肝・腎臓障害、耐糖能障害の有無について調べたところ、いずれの障害も両群ともなかった。
8. エコー検査
心筋梗塞モデルマウスに対しTAZ K又はビヒクルを投与した群について、2次元(2D)ガイド心エコー検査を、VisualSonics Vevo 2100心エコー図を用いて行った。左室(LV)拡張期前壁壁厚(AWth)、拡張期後壁壁厚(PWth)、左室拡張末期径(LVDd)、左室収縮末期径(LVDs)を測定した。左室短縮率(%FS)を(LVDd-LVDs)/LVDd×100により算出した。LV拡張期末期容量(LVEDV)及びLV収縮期末期容量(LVESV)をTeichholz法により見積もった。そして、駆出率(%EF)を(LVEDV-LVESV)/LVEDV×100により算出した。検査は、投与開始後1、2及び4週目に行った。その結果を図10に示す。心筋梗塞モデルマウスでは、両群とも心臓の収縮能は悪化するが、TAZ Kを投与した群では、ビヒクルを投与した群に比較して収縮能の低下が抑制されることが分かった。
心筋梗塞モデルマウスに対しTAZ K又はビヒクルを投与した群について、2次元(2D)ガイド心エコー検査を、VisualSonics Vevo 2100心エコー図を用いて行った。左室(LV)拡張期前壁壁厚(AWth)、拡張期後壁壁厚(PWth)、左室拡張末期径(LVDd)、左室収縮末期径(LVDs)を測定した。左室短縮率(%FS)を(LVDd-LVDs)/LVDd×100により算出した。LV拡張期末期容量(LVEDV)及びLV収縮期末期容量(LVESV)をTeichholz法により見積もった。そして、駆出率(%EF)を(LVEDV-LVESV)/LVEDV×100により算出した。検査は、投与開始後1、2及び4週目に行った。その結果を図10に示す。心筋梗塞モデルマウスでは、両群とも心臓の収縮能は悪化するが、TAZ Kを投与した群では、ビヒクルを投与した群に比較して収縮能の低下が抑制されることが分かった。
9. 梗塞サイズ及び線維化面積の測定
心臓部分を700μm間隔でデータ収集した。当該部分をPicrosirius Red/Fast Green色素により染色した。染色部分のデジタル画像を取り込み、各サンプルについて5つの部分を評価した。梗塞サイズは、心筋壁の壁厚の50%超として定義される、左室における梗塞を生じた領域のパーセンテージとして算出した。LV線維化面積は、ImageJ software(NIH)を用い、赤及び緑に染色された領域の面積により評価した。梗塞サイズ及び線維化面積の測定結果をそれぞれ図11及び図12に示す。これらの結果から、心筋梗塞モデルマウスへのTAZ Kの投与により、梗塞サイズが小さくなり、心臓線維化が抑制されることが明らかとなった。
心臓部分を700μm間隔でデータ収集した。当該部分をPicrosirius Red/Fast Green色素により染色した。染色部分のデジタル画像を取り込み、各サンプルについて5つの部分を評価した。梗塞サイズは、心筋壁の壁厚の50%超として定義される、左室における梗塞を生じた領域のパーセンテージとして算出した。LV線維化面積は、ImageJ software(NIH)を用い、赤及び緑に染色された領域の面積により評価した。梗塞サイズ及び線維化面積の測定結果をそれぞれ図11及び図12に示す。これらの結果から、心筋梗塞モデルマウスへのTAZ Kの投与により、梗塞サイズが小さくなり、心臓線維化が抑制されることが明らかとなった。
10. 核分裂及び細胞質分裂の評価
pH3及びAurora Bを指標として、心筋梗塞後TAZ Kの投与が心臓修復に及ぼす効果について調べた。心筋梗塞モデルマウス作成後1週間の時点で、TAZ Kの毎日の投与が、pH3及びAurora Bポジティブな心筋細胞の数を顕著に増加させ、虚血ボーダー領域における核分裂及び細胞質分裂を促進することが分かった(図13及び図14)。一方、リモート(非梗塞)領域においては、特に細胞質分裂の顕著な増加は観測されなかった。これらの結果は、TAZ Kが、in vivoで、マウスにおける心筋梗塞後の心臓を修復する効果を有することを示しており、この効果は少なくとも部分的には、心筋梗塞の急性期において内因性の心筋の増殖が活発化することによるものである。
pH3及びAurora Bを指標として、心筋梗塞後TAZ Kの投与が心臓修復に及ぼす効果について調べた。心筋梗塞モデルマウス作成後1週間の時点で、TAZ Kの毎日の投与が、pH3及びAurora Bポジティブな心筋細胞の数を顕著に増加させ、虚血ボーダー領域における核分裂及び細胞質分裂を促進することが分かった(図13及び図14)。一方、リモート(非梗塞)領域においては、特に細胞質分裂の顕著な増加は観測されなかった。これらの結果は、TAZ Kが、in vivoで、マウスにおける心筋梗塞後の心臓を修復する効果を有することを示しており、この効果は少なくとも部分的には、心筋梗塞の急性期において内因性の心筋の増殖が活発化することによるものである。
Claims (4)
- 心筋の機能障害を伴う疾患が、心筋梗塞、狭心症、心筋症からなる群から選択される、請求項3に記載の治療剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016244870A JP2018095629A (ja) | 2016-12-16 | 2016-12-16 | 新規化合物、並びにそれを有効成分とする心筋細胞増殖誘導剤及び心筋の機能障害を伴う疾患の治療剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016244870A JP2018095629A (ja) | 2016-12-16 | 2016-12-16 | 新規化合物、並びにそれを有効成分とする心筋細胞増殖誘導剤及び心筋の機能障害を伴う疾患の治療剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018095629A true JP2018095629A (ja) | 2018-06-21 |
Family
ID=62634553
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016244870A Pending JP2018095629A (ja) | 2016-12-16 | 2016-12-16 | 新規化合物、並びにそれを有効成分とする心筋細胞増殖誘導剤及び心筋の機能障害を伴う疾患の治療剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018095629A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019221084A1 (ja) | 2018-05-17 | 2019-11-21 | Agc株式会社 | フロートガラス製造装置及びフロートガラス製造方法 |
-
2016
- 2016-12-16 JP JP2016244870A patent/JP2018095629A/ja active Pending
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WO2019221084A1 (ja) | 2018-05-17 | 2019-11-21 | Agc株式会社 | フロートガラス製造装置及びフロートガラス製造方法 |
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