JP2018095517A - 黒鉛材料、黒鉛材料の製造方法及び二次電池 - Google Patents

黒鉛材料、黒鉛材料の製造方法及び二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高容量、高クーロン効率、高サイクル特性、高エネルギー密度、低直流抵抗であり、高温保存可能な二次電池を得る。【解決手段】X線光電子分光法(XPS)による測定で124〜144eVに観察されるP2pのピークから定量されるリン量が、XPSで測定される炭素量に対して1000ppm〜6000ppmであり、全溶解後の誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)で評価されるリン量が炭素量に対して10ppm以下である黒鉛材料を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、大電流負荷特性、直流抵抗特性、高温保存特性に優れた二次電池を提供するために好適な黒鉛材料に関する。
リチウムイオン二次電池は、一般に、正極活物質にコバルト酸リチウムなどのリチウム塩が使用され、負極活物質に黒鉛などの炭素質材料が使用されている。黒鉛には、天然黒鉛と人造黒鉛とがある。
これらのうち天然黒鉛は安価に入手できるという利点がある。しかし、天然黒鉛の表面がアクティブであるために初回充電時にガスが多量に発生し、初期効率が低く、さらに、サイクル特性も良くなかった。これらを解決するため、特許文献1では、球状に加工した天然黒鉛の表面に、人造カーボンをコーティングする方法が開示されている。
一方、人造黒鉛については、特許文献2にメソカーボン小球体の黒鉛化品が開示されている。
石油ピッチ、石炭ピッチ、石油コークス、石炭コークスの黒鉛化品に代表される人造黒鉛も比較的安価に入手できる。しかし、結晶性のよい針状コークスは鱗片状になり配向しやすい。この問題を解決するため、特許文献3では、複数の扁平状黒鉛粒子を、配向面が非平行となるように集合又は結合させた黒鉛材料が開示されている。
また、特許文献4には、いわゆるハードカーボンや、非結晶質カーボンを用いた負極材料が開示されている。
特許文献5には、リン酸トリメチルを電解液の溶媒として、リン元素が黒鉛負極表面に沈積した電極が開示されている。
特許文献6には、リンを含むポリマーから製造したハードカーボンを電極材料として使用することが開示されている。
特許第3534391号公報 特開平4−190555号公報 特許第3361510号公報 特開平7−320740号公報 特許第4318472号公報 特開2000−306580号公報
特許文献1〜特許文献4に記載の方法で製造された材料は、モバイル用途で電池を使用する場合の低電流密度での電気容量や中期サイクル特性については対応可能であるが、大型電池用途で使用する場合の大電流密度での電気容量や、長期サイクル特性に対応することは非常に難しい。
特許文献5では、高濃度のリン酸トリメチルの溶媒が必要なので、通常のリチウムイオン電池の電解液の溶媒より高い毒性となり、価額面の競争力も低い。
特許文献6では,初期電池効率が80%以下であるので、実用性に乏しい。
本発明では、大電流密度での電池特性や、長期サイクル特性を向上させることを課題とする。
本発明は下記の各実施態様を含む。
(1)X線光電子分光法(XPS)による測定で124〜144eVに観察されるP2pのピークから定量されるリン量が、XPSで測定される炭素量に対して1000ppm〜6000ppmであり、全溶解後の誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)で評価されるリン量が炭素量に対して10ppm以下である黒鉛材料。
(2)X線回折法で測定される(002)面の平均面間隔d002が0.3356nm以上0.3370nm未満である(1)に記載の黒鉛材料。
(3)BET比表面積が1m/g以上8m/g以下である(1)または(2)に記載の黒鉛材料。
(4)体積基準の粒度分布におけるD50が2μm〜55μmである(1)乃至3のいずれか1項に記載の黒鉛材料。
(5)リンを含む化合物と黒鉛粒子とを混合し、400℃以上1100℃以下の温度で焼成する工程を含む黒鉛材料の製造方法であって、前記リンを含む化合物と前記黒鉛粒子との混合モル比が1:1000〜1:100である黒鉛材料の製造方法。
(6)前記リンを含む化合物のリンの価数が5価である(5)に記載の黒鉛材料の製造方法。
(7)前記リンを含む化合物が、リン元素を含む無機水溶性塩またはリン元素を含む酸またはそれらの混合物である(5)または(6)に記載の黒鉛材料の製造方法。
(8)(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の黒鉛材料を含む電池電極用炭素材料。
(9)(8)に記載の電池電極用炭素材料を含む二次電池。
高容量、高クーロン効率、高サイクル特性、高エネルギー密度、低直流抵抗であり、高温保存可能な二次電池を得ることができる。
また、経済性、量産性に優れ、安全性の高い方法により製造可能である。
実施例1、比較例1の黒鉛材料を用いて、ラミネートセルで評価した充電レート特性である。 実施例1、比較例1の黒鉛材料を用いて、ラミネートセルで評価した初期サイクル、100サイクル、300サイクルの充電直流抵抗である。 実施例1、比較例1の黒鉛材料を用いて、ラミネートセルで評価した60℃における容量維持率と回復後の容量維持率である。
本発明の一実施態様に係る黒鉛材料は、X線光電子分光法(XPS)による測定で124〜144eVに観察されるP2pのピークから定量されるリン量が、XPSによる測定で282eV〜294eVに観察される炭素のピークから定量される炭素量に対して、原子濃度で、1000ppm〜6000ppmであることが好ましい。より好ましくは1500ppm〜6000ppmまたは1500ppm〜4500ppmまたは1500ppm〜3500ppmである。さらに好ましくは2000ppm〜6000ppmまたは2000ppm〜4500ppmまたは2000ppm〜3500ppmである。このような濃度でリン元素が黒鉛材料表面に存在すると、リチウムイオン伝導が速くなり、高温下でも安定なSEI膜の形成を助けることが可能になる。
リン元素の化学状態は+5価であることが、安定性の観点から好ましい。
本発明の一実施態様に係る黒鉛材料は、全溶解法によって測定される黒鉛材料全体のリン元素の濃度が10ppm以下であることが好ましく、0ppmより多く10ppm以下であることが好ましい。より好ましくは0ppmより多く10ppm未満であり、さらに好ましくは0ppmより多く5ppm以下である。
XPSで測定される黒鉛材料表面のリン量が黒鉛材料全体のリン量より多いことにより、高電気容量であるとともに、リチウムイオン伝導が速くなり、高温下でも安定なSEI膜の形成を助けることが可能になる。
黒鉛材料は表面コーティング層や表面被膜を含まないことが好ましい。
本明細書における表面コーティング層とは、d002が0.3370nm以上の低結晶度の炭素層、炭素以外の金属・非金属化合物層であって、厚さが2nm以上のものを意味する。このような表面コーティング層がない場合、黒鉛材料の体積エネルギー密度がより高いというメリットがある。
また、本明細書における表面被膜とは、電気化学反応により黒鉛材料表面に付着する無機化合物や有機化合物を含むリン以外の層であって、電子伝導性とリチウムイオン伝導性があり、厚さが数nmのものを意味する。表面被膜がない場合、製造工程の簡略化というメリットがある。
本発明の好ましい実施態様における黒鉛材料は、レーザー回折型粒度分布測定装置を用いて溶媒中で測定した体積基準の粒度分布における累積50%粒径(D50)が2μm〜55μmであることが好ましい。より好ましくは3μm〜28μmであり、さらにましくは5μm〜17μmである。このような範囲とすることで、黒鉛材料表面における副反応が少なくなるとともに電極密度を高くすることができる。
レーザー回折式粒度分布測定装置としては、例えばマルバーン製マスターサイザー(登録商標)が利用できる。
また、本発明の好ましい実施態様における黒鉛材料には、粒径が0.5μm未満の粒子を実質的に含まないことが好ましい。0.5μm未満の粒子は、表面の活性ポイントが大きく、電池の初期効率を低下させる。ここで実質的に含まないとは、粒径が0.5μm未満の粒子が0.1質量%以下であることを意味する。0.5μm未満の粒子の含有量は前記のようなレーザー回折式粒度分布測定装置により測定できる。また、D0を測定することにより実質的な最小粒径を求めることもできる。
BET比表面積(SBET)については、単位質量あたりのガスの吸着脱離量の計測という一般的な手法によって測定する。測定装置としては、例えばNOVA−1200を用いることができる。BET比表面積(SBET)が、1m/g〜8m/gが好ましく、1.2m/g〜4.5m/gがより好ましい。さらに好ましくは2.1m/g〜3.8m/gである。SBETがこの範囲にあることにより、結着剤を過剰に使用することなく、かつ、電解液と接触する面積を大きく確保し、リチウムがスムーズに挿入脱離され、電池の反応抵抗を小さくすることができる。
黒鉛材料は、X線回折法による(002)面の平均面間隔d002が0.3356nm以上0.3370nm未満であることが好ましい。結晶のC軸方向の厚さLcは30nm〜1000nmであることが好ましく、100nm以下がさらに好ましく、50nm〜100nmが特に好ましい。また、a軸方向の結晶子の厚さLaは、100nm以上が好ましい。このような範囲とすることで活物質がドープされるサイトが十分に得られ、かつ結晶子のエッジ部が多すぎないので、電解液の分解がさらに抑制される。d002、LaおよびLcは、既知の方法により粉末X線回折(XRD)法を用いて測定することができる(野田稲吉、稲垣道夫,日本学術振興会,第117委員会資料,117−71−A−1(1963)、稲垣道夫他,日本学術振興会,第117委員会資料,117−121−C−5(1972)、稲垣道夫,「炭素」,1963,No.36,25−34頁参照)。
平均面間隔d002が0.3356nm以上0.3370nm未満にあることにより黒鉛の結晶性が高く、リチウムイオンがインターカレーション可能な空間が増す。
黒鉛材料の製造方法は特に限定されないが、リンを含む化合物と黒鉛粒子とを混合し、400℃以上1100℃以下の温度で焼成する工程を含む製造方法が好ましい。
リンを含む化合物としては、リン元素を含む無機水溶性塩またはリン元素を含む酸またはそれらの混合物であることが好ましい。
リンを含む化合物の価数は5価であることが好ましい。5価リンを含む化合物としては、例えばリン酸(HPO)、リン酸二水素ナトリウム(NaHPO)、カリウム二水素リン酸塩(KHPO)、アンモニウム二水素リン酸塩(NHPO)、リン酸ナトリウム水素(NaHPO)、リン酸カリウム水素(KHPO)、リン酸アンモニウム水素「(NHHPO」、リン酸ナトリウム(NaPO)、リン酸カリウム(KPO)、リン酸アンモニウム「(NHPO4」、それら化合物の誘導体などが挙げられる。
まず、黒鉛粒子を、リンを含む化合物とよく混合する。混合の比率は、リンを含む化合物と黒鉛のモル比が、1:1000〜1:100とすることが好ましい。より好ましくは1:500〜1:100である。さらに好ましくは1:300〜1:100である。
混合プロセスは、乾式混合であっても湿式混合であっても構わない。例えば、乾式混合としてはロッキングミキサーが採用可能である。湿式混合を行う場合、例えば、連続式混錬機で混合を行い、乾燥すればよい。
混合物は不活性雰囲気で熱処理することが好ましい。熱処理温度は、400℃〜1100℃の温度域から選択することが好ましい。さらに好ましくは、500℃〜900℃である。より好ましくは、500℃〜700℃である。この温度域で熱処理することで、リンを含む化合物が黒鉛粒子表面にしっかりと付着する。熱処理時間は、特に限定されないが、0.5時間〜5時間が好ましい。より好ましくは1時間〜4時間である。さらに好ましくは、1.5時間〜3時間である。
[電池電極用炭素材料]
本発明の好ましい実施態様における電池電極用炭素材料は、上記黒鉛材料を含んでなる。上記黒鉛材料を電池電極用炭素材料として用いると、高容量、高クーロン効率、高サイクル特性を維持したまま、充放電レートの向上、直流抵抗の低減及び高温保存特性が改善された電池用電極を得ることができる。電池電極用炭素材料としては、例えば、リチウムイオン二次電池の負極活物質や負極導電付与材として用いることができる。
本発明の好ましい実施態様における電池電極用炭素材料は、他の黒鉛材料と上記黒鉛材料とを混合して用いてもよいし、上記黒鉛材料のみを使用してもよい。
[電極用ペースト]
本発明の好ましい実施態様における電極用ペーストは、前記電池電極用炭素材料とバインダーとを含んでなる。この電極用ペーストは、前記電池電極用炭素材料とバインダーとを混練することによって得られる。混錬には、リボンミキサー、スクリュー型ニーダー、スパルタンリューザー、レディゲミキサー、プラネタリーミキサー、万能ミキサー等公知の装置が使用できる。電極用ペーストは、シート状、ペレット状等の形状に成形することができる。
電極用ペーストに用いるバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー、SBR(スチレンブタジエンラバー)等のゴム系ポリマー等公知のバインダーが挙げられる。
バインダーの使用量は、電池電極用炭素材料100質量部に対して1〜30質量部が適当であるが、特に3〜20質量部程度が好ましい。
混練する際に溶媒を用いることができる。溶媒としては、各々のバインダーに適した公知のもの、例えばフッ素系ポリマーの場合はトルエン、N−メチルピロリドン等;SBRの場合は水等;その他にジメチルホルムアミド、イソプロパノール等が挙げられる。溶媒として水を使用するバインダーの場合は、増粘剤を併用することが好ましい。溶媒の量は集電体に塗布しやすい粘度となるように調整される。
[電極]
本発明の好ましい実施態様における電極は前記電極用ペーストの成形体からなるものである。電極は例えば前記電極用ペーストを集電体上に塗布し、乾燥し、加圧成形することによって得られる。
集電体としては、例えばアルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス等の箔、メッシュなどが挙げられる。ペーストの塗布厚は、通常50〜200μmである。塗布厚が大きくなりすぎると、規格化された電池容器に負極を収容できなくなることがある。ペーストの塗布方法は特に制限されず、例えばドクターブレードやバーコーターなどで塗布後、ロールプレス等で成形する方法等が挙げられる。
加圧成形法としては、ロール加圧、プレス加圧等の成形法を挙げることができる。加圧成形するときの圧力は1〜3t/cm2程度が好ましい。電極の電極密度が高くなるほど体積あたりの電池容量が通常大きくなる。しかし電極密度を高くしすぎるとサイクル特性が通常低下する。本発明の好ましい実施態様における電極用ペーストを用いると電極密度を高くしてもサイクル特性の低下が小さいので、高い電極密度の電極を得ることができる。この電極用ペーストを用いて得られる電極の電極密度の最大値は、通常1.7〜1.9g/cmである。このようにして得られた電極は、電池の負極、特に二次電池の負極に好適である。
[電池、二次電池]
前記電極を構成要素(好ましくは負極)として、電池または二次電池とすることができる。
リチウムイオン二次電池を具体例に挙げて本発明の好ましい実施態様における電池または二次電池を説明する。リチウムイオン二次電池は、正極と負極とが電解液または電解質の中に浸漬された構造をしたものである。負極には本発明の好ましい実施態様における電極が用いられる。
リチウムイオン二次電池の正極には、公知の正極活物質が採用可能である。たとえば、リチウム含有遷移金属酸化物が採用可能であり、好ましくはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo及びWから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムと遷移金属元素のモル比が0.3〜2.2の化合物が採用可能である。
リチウムイオン二次電池では正極と負極との間にセパレーターを設けることがある。セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微孔フィルムまたはそれらを組み合わせたものなどを挙げることができる。
電解液及び電解質としては公知の有機電解液、無機固体電解質、高分子固体電解質が使用可能である。
以下に本発明について代表的な例を示し、さらに具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明はこれらに何等制限されるものではない。
(1)X線光電子分光法(XPS)測定
QuanteraII(登録商標)(アルバック・ファイ社製)を使って行うことができる。測定条件は、X線源:Alモノクロ(25W、15kV)、分析面積:100μm(Spot)、電子・イオン中和銃:ON、光電子取出し角:45度である。結合エネルギーのスキャン範囲は、0−1100eVであった。ピークがP2に由来するものであることは124−144eVで観察されるピークによって判断する。元素の原子濃度はアルバック・ファイ社製のMultiPakというソフトを用い、積分ピーク面積比から相対濃度を算出した。
(2)黒鉛材料全体のリン濃度の測定
0.5gの黒鉛粉を、NaCO5g、HBO1g、(NH2gと混合して700℃〜1000℃で灰化した後に冷却し、50vol%硝酸水溶液20mlと精製水40mlによって溶解し、100mlフラスコで定量した後、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)で評価を行った。
(3)D50
レーザー回折式粒度分布測定装置として、マルバーン製マスターサイザー(登録商標)を用いて、体積基準の50%粒度であるD50を求める。
(4)BET比表面積(SBET)
BET比表面積(SBET)は、比表面積測定装置NOVA−1200(ユアサアイオニクス(株)製)を使用し、窒素ガスの吸着脱離量から算出した。
(5)コインセルによる電池評価
a)ペースト作製:
黒鉛材料1質量部にJSR社製SBRを2質量%含有した水溶液0.1質量部を加え、プラネタリーミキサーにて混練し、主剤原液とする。
b)電極作製:
主剤原液に水を加え、粘度を調整した後、これを高純度銅箔上にドクターブレードを用いて150μm厚に塗布する。これを70℃で1時間真空乾燥し、16mmφに打ち抜く。打ち抜いた電極を超鋼製プレス板で挟み、プレス圧が電極に対して約1×10〜3×10N/mm(1×10〜3×10kg/cm)となるようにプレスする。その後、真空乾燥器で120℃、12時間乾燥して、評価用電極とする。
c)電池作製:
下記のようにしてコインセルを作製する。なお以下の操作は露点−80℃以下の乾燥アルゴン雰囲気下で実施する。
ポリプロピレン製のねじ込み式フタ付きのセル(内径約18mm)内において、上記(b)で作製した銅箔付き炭素電極と金属リチウム箔をセパレーター(ポリプロピレン製マイクロポーラスフィルム(セルガード2400))で挟み込んで積層する。これに電解液を加えて試験用セルとする。
d)電解液:
EC(エチレンカーボネート)8質量部及びDEC(ジエチルカーボネート)12質量部の混合液に、電解質としてLiPF6を1モル/リットル溶解する。
e)充電容量およびレート特性の測定試験:
充電(炭素へのリチウムの挿入)はレストポテンシャルから0.002Vまで0.2mA(0.05C)でCC(コンスタントカレント:定電流)充電を行う。次に0.002VでCV(コンスタントボルト:定電圧)充電に切り替え、電流値が25.4μAに低下した時点で停止させる。0.2mA(0.05C)で定電流放電試験を行う。試験は25℃に設定した恒温槽内で行う。
初回充放電サイクルから放電容量と充電容量を測定し、放電容量/充電容量の比から、初期効率を算出した。
充電容量は、0.2mA(0.05C)での充電電気量を、活物質量で除して算出した。
レート特性は、2.0 mA(0.5C)、4.0mA(1.0C)での充電容量を測定し、0.2mA(0.05C)での充電容量で除して、0.5Cでの充電容量(%)および1.0Cでの充電容量(%)を評価した。
(6)ラミネートセルによる電池評価
(a)負極のプレス
(5)と同様の手順で作製した負極極板を、プレスを行って約18時間後の電極密度が1.70g/cmになるように、一軸プレス機によるプレスを実施して負極を作製した。プレス後の負極は真空中70℃で1時間再乾燥を行った。電極密度が上がりにくい場合は圧力を増加させてプレスを行ったが、圧力を最大300MPaまで上げて10秒間加圧してもプレス直後の電極密度が1.70g/cmに到達しない場合については、実質的に電極密度が1.70g/cmに到達不可能であるとみなした。
(b)正極の作製
正極活物質としてコバルト酸リチウム(平均粒径5μm)97.5質量部と、気相法炭素繊維(昭和電工製、VGCF(登録商標)−H)0.5質量部、カーボンブラック(イメリス・ジーシー・ジャパン製、C45)2.0質量部、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.0質量部をN−メチルピロリドンに分散し、塗布量が19.2mg/cmとなるようにアルミニウム箔上に塗工して正極極板を作製した。その後正極極板は真空中70℃で1時間乾燥を行った。次に、作製した正極極板をロールプレス機でプレスすることにより、電極密度を3.55g/cmに高め、正極を得た。
(c)電池の作製
作製した負極、正極と、セパレーターにポリプロピレン製セパレーターを用い、単層ラミネートセルを作製した。電解液には炭酸エチル、炭酸エチルメチル、炭酸ビニレンを30:70:1の体積比率で混合した溶媒にLiPFを1mol/L溶解したものを使用した。負極には(5)で作製したものを使用した。
(d)充電レート特性
0.2C、0.5C、1.0C、2.0C、3.0C、5.0C、10.0Cでの充電容量を測定し、0.2Cでの充電容量で除して、充電レート特性(%)を測定した。
(e)直流抵抗値の測定
ラミネート電池は50%充電状態において、異なる電流値の電流を流し、その電圧変化をオームの法則にプロットし計算することにより、直流抵抗値を算出した。初期の直流抵抗値、100サイクル後の直流抵抗値、300サイクル後の直流抵抗値を評価した。
(f)高温保存・回復の測定
ラミネート電池を60℃で4週間を保存した後、電気容量を測定し、初期の電気容量で除することにより、高温保存の容量維持率(%)を算出した。高温保存の電気容量を測定した後、その電池を25℃に保持すると、電気容量の一部が回復する。この回復した電気容量を高温回復の電気容量とし、初期の電気容量で除することにより、高温回復の容量維持率(%)を算出した。
(実施例1)
人造黒鉛Aとリン酸水溶液をモル比が200:1となるように混合し、空気中で70℃、7時間乾燥した。混合物を、窒素雰囲気下で500℃、3時間熱処理した。熱処理された混合物を0.1Mの塩酸水溶液と蒸留水で洗浄した後、70℃で乾燥し、物性値測定および電池評価を行った。
(実施例2)
混合物を、窒素雰囲気下で800℃、3時間熱処理した以外は実施例1と同様に処理し、物性値測定および電池評価を行った。
(実施例3)
人造黒鉛Aとリン酸水溶液をモル比が1000:1となるように混合した以外は実施例2と同様に処理し、物性値測定および電池評価を行った。
(実施例4)
人造黒鉛Aとリン酸水溶液をモル比が100:1となるように混合した以外は実施例1と同様に処理し、物性値測定および電池評価を行った。
(実施例5)
人造黒鉛Bとリン酸水溶液をモル比が100:1となるように混合した以外は実施例1と同様に処理し、物性値測定および電池評価を行った。
(比較例1)
未処理の人造黒鉛Aを用いて電池評価を行った。
(比較例2)
未処理の人造黒鉛Bを用いて電池評価を行った。
(比較例3)
混合物を、窒素雰囲気下で1200℃、3時間熱処理した以外は実施例1と同様に処理し、物性値測定および電池評価を行った。
(比較例4)
混合物を、窒素雰囲気下で300℃、3時間熱処理した以外は実施例1と同様に処理し、物性値測定および電池評価を行った。
(比較例5)
人造黒鉛Aとリン酸水溶液をモル比が2000:1となるように混合した以外は実施例1と同様に処理し、物性値測定および電池評価を行った。
(比較例6)
人造黒鉛Aとリン酸水溶液をモル比が50:1となるように混合した以外は実施例1と同様に処理し、物性値測定および電池評価を行った。
(比較例7)
リン酸トリメチルを電解液の溶媒として、リン元素が黒鉛負極表面に沈積した電極を下記手順で作成し、本願発明の効果と比較した。
リン酸トリメチル(TMP)及びγ−ブチロラクトン(GBL)の体積比(TMP:GBL)50:50の混合溶媒に、溶質としての四フッ化ホウ酸リチウムを1.2モル/リットルの割合となるように溶解させた。この非水電解液100質量部に対して、5質量部のビニレンカーボネート(VC)及び5質量部のリン酸トリオクチル(TOP)を添加し、非水電解液を調製した。調整された電解液を用いて、人造黒鉛Aの電池特性を評価した。初期充電は0.067Cの電流密度で行い、終止電圧を0.0Vとした。その後、0.0Vの定電圧充電を行い、終止電流密度を0.02Cとした。次に、電流密度0.067Cの定電流で1.0Vまで放電し、電極表面にリンを導入した。
初期効率、容量ともに、本願発明の実施例よりも低かった。
(比較例8)
比較例7の放電後のセルをアルゴンガスを封入したグローブボックス中で解体し、黒鉛が塗工された電極をDECで軽くすすぎ、乾燥した後、黒鉛サンプルを少量剥離させ、X線光電子分光法(XPS)測定を行ってリン元素濃度を測定した。多量のリンが検出された。
本発明の黒鉛材料を電極活物質に用いたリチウムイオン二次電池は、小型軽量であり高い放電容量および優れたサイクル特性をもつため、携帯電話から電動工具、またハイブリッド自動車まで多岐にわたる範囲において好適に用いることができる。


Claims (9)

  1. X線光電子分光法(XPS)による測定で124〜144eVに観察されるP2pのピークから定量されるリン量が、XPSで測定される炭素量に対して1000ppm〜6000ppmであり、全溶解後の誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES)で評価されるリン量が炭素量に対して10ppm以下である黒鉛材料。
  2. X線回折法で測定される(002)面の平均面間隔d002が0.3356nm以上0.3370nm未満である請求項1に記載の黒鉛材料。
  3. BET比表面積が1m/g以上8m/g以下である請求項1または請求項2に記載の黒鉛材料。
  4. 体積基準の粒度分布におけるD50が2μm〜55μmである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の黒鉛材料。
  5. リンを含む化合物と黒鉛粒子とを混合し、400℃以上1100℃以下の温度で焼成する工程を含む黒鉛材料の製造方法であって、前記リンを含む化合物と前記黒鉛粒子との混合モル比が1:1000〜1:100である黒鉛材料の製造方法。
  6. 前記リンを含む化合物のリンの価数が5価である請求項5に記載の黒鉛材料の製造方法。
  7. 前記リンを含む化合物が、リン元素を含む無機水溶性塩またはリン元素を含む酸またはそれらの混合物である請求項5または請求項6に記載の黒鉛材料の製造方法。
  8. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の黒鉛材料を含む電池電極用炭素材料。
  9. 請求項8に記載の電池電極用炭素材料を含む二次電池。

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