第1の発明の食器洗い機は、前面に前面開口部を有する筐体と、筐体内に出し入れ可能に設けられ食器を収容する食器かごと、前面開口部を覆う扉体を含む移動部とを、備える。さらに、食器洗い機は、移動部を、前後に移動可能な状態で筐体に支持する支持機構と、移動部を、少なくとも前方向または後方向に移動させる駆動部を有する駆動装置と、駆動部の駆動を制御する制御部とを備える。駆動装置は、さらに、駆動部で駆動されるローラを有し、ローラの外周面は、移動部または支持機構に設けられた圧接レールに圧接するように構成されるものである。
この構成によれば、食器洗い機は、前面を覆う扉体に操作部がない場合でも、食器を収容できる位置まで、駆動装置により、自動で、移動部を引き出すことができる。これにより、食器洗い機の使い勝手が向上する。さらに、多様化するシステムキッチンのデザインにも容易に適応させることができる。そして、組み立て時において、ラック&ピニオン式のようにギアの噛み合わせを気にする必要がなく、組み立てが容易になる。
第2の発明は、特に第1の発明において、駆動装置は、移動部を150mm/秒〜250mm/秒の移動速度で移動させるように構成されるものである。この構成によれば、食器洗い機は、前面を覆う扉体に操作部がない場合でも、食器を収容できる位置まで、駆動装置により、自動で、移動部を引き出すことができる。これにより、食器洗い機の使い勝手が向上する。また、多様化するシステムキッチンのデザインにも容易に適応できる。されに、使用者に、移動部の移動速度に対する不満を感じさせない、高い満足感を与えることができる。
第3の発明は、特に第1または第2の発明において、駆動装置は、移動部を0.5J以下の運動エネルギーで移動させるように構成されるものである。この構成によれば、万一、移動部が移動中に人などの障害物との当接、あるいは収納時において人の手や指が挟まれても、その衝撃を緩和できる。これにより、食器洗い機の安全性が向上する。
第4の発明は、特に第1〜第3の発明のうちいずれかの発明において、制御部は、駆動部を、2つ以上の階段状の異なる電圧で駆動するように構成されるものである。この構成によれば、停止時などにおいて、収容された食器へ加わるショックを低減できる。これにより、食器同士が触れ合うことによる騒音の発生や食器の破損を、未然に防止できる。また、移動する洗浄槽に溜められた水の跳ね飛びを抑制できる。そのため、洗浄槽からの水の飛び出し、あるいは洗浄後に乾燥された食器の水濡れを防止できる。
第5の発明は、特に第1〜第4の発明のうちいずれかの発明において、制御部は、駆動部が停止しているとき、モータ回路を遮断するように構成されるものである。この構成によれば、使用者が手動で移動部を移動させた場合、モータ回路との遮断により、駆動部の空転により発生する逆起電力による制御部のプリント基板への異常な電圧の印加が防止できる。これにより、手動時における使用者への負荷を軽減できるとともに、信頼性の高い食器洗い機を実現できる。
第6の発明は、特に第1〜第5の発明のうちいずれかの発明において、制御部は、食器かごが上方向に実質的に全開となる位置まで駆動部を駆動するように構成されるものであ
る。この構成によれば、駆動部により、移動部を、自動で、引き出すことができる。そのため、手動による労力をかけずに必要とせず、使用者は食器の出し入れを容易にできる。
第7の発明は、特に第1〜第6の発明のうちいずれかの発明において、操作信号を送信するリモコンを備え、制御部は、リモコンからの所定の操作信号を検知したときに駆動部を駆動させるものである。この構成によれば、使用者は、食器洗い機から離れたところから、食器洗い機を操作することが可能となる。これにより、食器洗い機の利便性が、さらに向上する。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1の食器洗い機について、図1および図2を参照しながら、説明する。
図1および図2は、本発明の実施の形態1における洗浄槽が引き出し式の食器洗い機の側面縦断面を示す図である。図1は、洗浄槽を筐体内に収納した状態を示す。図2は、洗浄槽の上面開口部が筐体内から全開するまで引き出した状態を示す。なお、本実施の形態の食器洗い機は、例えばシステムキッチンKに組み込まれて使用される。
図1に示すように、本実施の形態の食器洗い機は、筐体31、洗浄槽33、扉体40、制御部44、駆動装置51などを含む。
筐体31は、前面全体が開口された前面開口部32を有する。洗浄槽33は、筐体31に対して、前後方向に移動自在で、筐体31の前面開口部32から出し入れ可能に設けられる。
なお、本実施の形態において、図中に示すように、前方向は扉体40および洗浄槽33が引き出される方向、後方向は洗浄槽33が収納され扉体40が閉じられる方向として、説明する。また、食器洗い機の設置側を下方、反対側を上方とし、さらに扉体40の正面に向かって右側を右方、左側を左方として、以降では、説明する。
筐体31は、左右の両側側面の内面側に、略水平方向(水平方向を含む)に架設されるスライドレール31aを備える。洗浄槽33は、左右の両側側面の外面側に、略水平方向(水平方向を含む)に架設されるスライドレール34を備える。洗浄槽33は、スライドレール34を介して、筐体31のスライドレール31aに支持され、スライドレール31aに沿って移動する。洗浄槽33は、上面全体が開口された上面開口部35を有する。そして、被洗浄物である食器36などが、上面開口部35を介して、洗浄槽33内に配置される食器かご47に収容される。
筐体31の上部には、内蓋37と、平行リンク機構38、シール部39などが配設される。内蓋37は、洗浄槽33の上面開口部35を閉塞する。平行リンク機構38は、内蓋37を支持する。平行リンク機構38は、例えば左右一対で前後に二組で構成され、内蓋37を上下方向に駆動する。シール部39は、内蓋37の下面外周に設けられる。シール部39は、内蓋37が降下したときに、洗浄槽33の上面開口部35をシールする。また、平行リンク機構38は、洗浄槽33が筐体31から引き出される際に、内蓋37を持ち上げる。これにより、内蓋37およびシール部39は、洗浄槽33の移動に対して干渉しないように構成される。
洗浄槽33は、前部に、扉体40を備える。扉体40は、洗浄槽33の前面に設けられた操作パネル41、および操作パネル41に取り付けられる化粧板42を含む。化粧板42は、洗浄槽33が筐体31内に収納された時に、筐体31の前面開口部32全体を覆う。化粧板42は、システムキッチンKの引き出しなどの扉である化粧板と、同じ材質、同じ色および同じ意匠で構成される。さらに、化粧板42には、ハンドル43が取り付けられる。ハンドル43は、使用者が洗浄槽33を引き出すときに使用される、手掛け部を構成する。ハンドル43は、システムキッチンKと同じハンドルが取り付けられる。これにより、システムキッチンK全体が統一された意匠で、構成される。
また、システムキッチンKによっては、扉体40の前面にハンドル43を設けず、化粧板42だけで構成される意匠を備えるシステムキッチンKも存在する。この構成の場合、扉体40を含む洗浄槽33は、例えば駆動装置を介して、自動で引き出される。このとき、化粧板42の、例えば上部または側部が手掛け部となり、ハンドルとして機能する。そのため、本実施の形態の食器洗い機は、洗浄槽33の引き出し動作において、手動動作と、自動動作とを区別するものではない。
なお、本実施の形態においては、洗浄槽33およびスライドレール34が、扉体40を前後に移動可能な状態で、筐体31に支持される支持機構として、例示される。
制御部44は、操作パネル41の裏面に配設される。制御部44は、食器洗い機の全ての動作を制御しながら、洗浄運転を実行する。洗浄運転には、洗いステップ、すすぎステップ、および、乾燥ステップなどが含まれる。なお、洗いステップは、洗剤などを用いて、食器36などの汚れを除去するステップである。すすぎステップは、食器36などに付着した洗剤などを除去するステップである。乾燥ステップは、洗浄された食器36などを乾燥させるステップである。
また、制御部44は、加速度センサ45などで例示されるセンサが配設される、プリント基板(図示せず)で構成される。加速度センサ45は、食器洗い機の、X軸、Y軸、Z軸の3軸方向の実質的な加速度の大きさを検知する。なお、食器洗い機において、X軸は前後方向、Y軸は左右方向、Z軸は上下方向が相当する。加速度センサ45は、食器洗い機において発生する、いろいろな加速度の方向と大きさを検知する。具体的には、加速度センサ45は、扉体40および洗浄槽33が前後方向(X軸)に移動する動きによって生じる加速度の方向と大きさを検知する。さらに、加速度センサ45は、扉体40に加えられる振動による加速度の方向と大きさを検知する。そのため、プリント基板は、取り付けの向き、および機械的な強度に不具合が発生しないように、操作パネル41に確実に取り付けることが望ましい。これにより、プリント基板に搭載される加速度センサ45は、食器洗い機に加えられる加速度を、より確実に精度よく検知できる。
つまり、制御部44は、加速度センサ45が検知した加速度の方向と大きさに関する信号と、扉体40および洗浄槽33の状態(例えば、開閉動作など)に基づいて、食器洗い機の動作を制御する。
なお、上記実質的な加速度とは、加速度センサ45が取り付けられるプリント基板が3軸方向に合わせて所定の位置に固定された状態における、取り付け角度誤差、および設置の傾斜角度誤差、程度による変動は、許容されることを意味する。このとき、実質的な加速度には、予め所定の角度をつけて、プリント基板を固定する場合における、所定の角度だけ補正される場合も含む。ただし、垂直方向および水平方向の加速度については、重力とのずれを検知することにより補正することができる。
また、制御部44は、重力とZ軸方向の加速度とのずれを検知できる。そのため、食器
洗い機の設置時において、後述するように、制御部44を水準器として利用できる。
本実施の形態の食器洗い機は、使用者が扉体40および洗浄槽33などに振動を加えることにより、食器洗い機の操作が可能に構成される。
具体的には、振動を加える方法として、以下のような方法がある。
例えば、使用者が、扉体40をノックするように、手でコンコンと叩く、または、扉体40を、指先でタップするように叩いて、振動を加える方法がある。また、扉体40を、使用者が手に持っているもので軽く叩いて、振動を加える方法もある。さらに、使用者の手が濡れている、または何かを持っているために手が使えない場合、扉体40を、使用者が肘または膝などで突いて、振動を加える方法もある。要するに、扉体40などに加えられる所定の振動が、加速度センサ45に伝わり、検知可能な方法であれば、方法は特に限定されない。なお、振動を加える多くの場合、音が発生する方法で扉体40に振動が加えられる。そこで、以降では、扉体40をノックして振動を与えて、食器洗い機を操作する構成を例に、説明する。
また、本実施の形態の食器洗い機は、筐体31の内部に、駆動装置51を備える。駆動装置51は、駆動部を構成する駆動モータ52と、ピニオンギア53およびラックギア54などを含む。駆動装置51は、扉体40および洗浄槽33を、少なくとも前方向または後方向に移動させる。具体的には、制御部44は、上記加速度センサ45などで例示されるセンサ、または操作部46などから、所定の信号を受けたときに、駆動装置51の駆動モータ52を駆動する。なお、センサは、扉体40などに加えられる振動などの変化を検知するセンサであれば、加速度センサ45に限られない。例えば、使用者が扉体40などに触れたことを検知する静電センサなどを、センサとして用いてもよい。これにより、力を必要とせずに簡単な動作で容易に動作指示ができる。
以下に、本実施の形態の食器洗い機の基本的な制御動作について、ノック(叩く)による振動を検知する構成を例に、説明する。
まず、洗浄槽33が筐体31内に収容され、食器洗い機が運転停止状態において、使用者が、扉体40を、例えば正面から、例えば2回叩く。このとき、加速度センサ45は、洗浄槽33の引き出し方向と同じ、前後方向に加えられた振動を検知する。加速度センサ45は、検知した所定の信号を、制御部44に出力する。これにより、制御部44は、使用者によって扉体40が叩かれたと判断する。
そして、制御部44は、駆動装置51の駆動モータ52を駆動するように制御する。これにより、扉体40および洗浄槽33などで構成される移動部が、前方向に移動し、自動的に、筐体31内から引き出される。
なお、移動部は、駆動部で駆動されて移動する部分全体を含むが、食器洗い機の形態により、移動部の構成要素は異なる。詳しくは、実施の形態1から3においては、主に、洗浄槽33および扉体40が、移動部として例示される。しかし、後述する実施の形態4においては、洗浄槽73の洗浄空間75が筐体71内に構成される。そのため、扉体74の内面は、洗浄槽73の前面を構成するが、洗浄空間75自体は移動しない。そこで、実施の形態4の移動部には、洗浄槽73は含まれない。そのため、実施の形態4においては、主に、扉体74、下食器かご77、上食器かご78、および支持機構80が、移動部として例示される。
つまり、実施の形態1から3では、洗浄槽33を主体として、洗浄槽33、または、扉
体40および洗浄槽33が、移動部として記載される。一方、実施の形態4では、扉体74を主体として、移動部が記載される。
また、本実施の形態の食器洗い機は、操作部46が、洗浄槽33の上面開口部35の前側に配設される。操作部46は、例えば扉体40の化粧板42の裏面から筐体31内側に突出する凸部の上面に配置される。これにより、操作部46は、洗浄槽33が筐体31内に収容された時に、筐体31内に隠蔽されるように収容される。
操作部46は、操作ボタン(図示せず)およびLEDなどの表示部(図示せず)を含む。操作ボタンは、使用者により洗浄運転の各ステップの制御が設定される。表示部は、操作ボタンを介して設定された内容を、LEDで表示する。
また、洗浄槽33の内部には、食器かご47、洗浄ノズル48、ヒータ49などが、さらに配設される。一方、洗浄槽33の外側には、洗浄ポンプ50および乾燥装置(図示せず)などが配設される。洗浄ノズル48は、食器かご47の下方で、洗浄槽33内に回転自在に設けられる。ヒータ49は、例えば洗浄槽33内の底部と洗浄ノズル48との間の空間に配置される。ヒータ49は、洗浄動作の洗いステップ、およびすすぎステップにおいて、洗浄槽33内に溜められた洗浄水を加熱する。また、ヒータ49は、洗浄動作の乾燥ステップにおいて、洗浄槽33内の空気を加熱する。これらは、化粧板42を含む扉体40などとともに洗浄槽33の内外に配設され、洗浄槽33と一体的に前後方向に移動する。
洗浄ポンプ50は、洗浄水を循環させる。具体的には、洗浄ポンプ50は、洗浄槽33内に溜められた洗浄水を吸引し、洗浄ノズル48から食器36に向けて洗浄水を噴射する。
つまり、洗浄槽33を含む移動部は、駆動装置51により前後方向に出し入れ可能に構成される。
以下、本実施の形態の駆動装置51について、説明する。
駆動装置51は、上記移動部を前後方向に出し入れ可能な、ラック&ピニオン式の機構で構成される。
なお、駆動装置51は、例えばベルトをプーリーで巻き取る方式、またはベルトコンベア方式などで構成してもよい。また、駆動方向は、前方向だけ、または、後方向だけに駆動する構成としてもよい。この場合、駆動しない方向は、例えば使用者により駆動される。
駆動装置51は、駆動部である駆動モータ52と、駆動モータ52で駆動されるピニオンギア53と、ピニオンギア53と噛み合うラックギア54などを含む。
ラックギア54は、歯車の歯を一直線に配置することにより形成される。ラックギア54は、支持機構を構成する洗浄槽33の、左右側面外側の一方の下部に固定される。ラックギア54は、少なくとも、洗浄槽33が引き出されるストローク以上の長さを有する。ピニオンギア53は、駆動モータ52で駆動されるモータ軸に取り付けられる。駆動モータ52は、減速機構(図示せず)を備える。駆動モータ52は、ピニオンギア53が前面開口部32の近傍の位置で、筐体31の内部に固定される。
なお、図1に示すラックギア54は、歯車の歯を下向きに形成してピニオンギア53と
噛み合う構成で示しているが、これに限られない。例えば、ラックギア54の歯車の歯を上向き、あるいは横向きに形成し、ピニオンギア53と噛み合う構成としてもよい。
上記ラックギア54とピニオンギア53の構成により、駆動モータ52の回転運動が直線運動に変換される。そして、洗浄槽33は、上面開口部35が実質的に全開になる位置まで、直線的に移動される。これにより、洗浄槽33内に収容された食器かご47が、上方向に実質的に全開になる位置まで移動される。洗浄槽33は、前方向に移動するにしたがって、収容された食器36の重みにより前下がりになる。このとき、筐体31の前部の前面開口部32に設けたピニオンギア53の近傍が、前下がりになる洗浄槽33の支点となる。そのため、ラックギア54とピニオンギア53との噛み合わせが外れる可能性は低い。これにより、別途、噛み合わせが外れない構成を設ける場合でも、簡単な機構で構成できる。
なお、噛み合わせが外れない構成としては、洗浄槽33の傾きに合わせて、例えばピニオンギア53を含む駆動モータ52が傾くようにする構成がある。また、洗浄槽33の傾きに合わせて、ピニオンギア53をラックギア54に押し付ける構成などがある。
また、上記駆動モータ52に設けられる減速機構は、使用者が手動で容易に洗浄槽33を出し入れできるようなギア比などで構成される。
なお、減速機構を含め、駆動モータ52からラックギア54までの駆動装置51に、公知のクラッチ機構(図示せず)、または滑り機構(図示せず)を設けてもよい。これにより、使用者が手動で洗浄槽33を出し入れする場合における、駆動モータ52により発生する負荷が軽減される。その結果、使用者は、より小さな力で洗浄槽33を筐体31から出し入れできる。また、引き出し時において、洗浄槽33の扉体40が、人や物体などで例示される障害物と衝突しても、洗浄槽33は、クラッチ機構、滑り機構などにより、容易に停止する。つまり、大きな力が、障害物に対して加わることを抑制できる。そのため、障害物との衝突などによる不具合の発生を、より効果的に低減できる。さらに、駆動モータ52をロック状態に至らす、過大な電流の発生が抑制される。
なお、洗浄槽33を手動で動かす場合、後述するように、駆動モータ52のモータ回路を遮断する構成が好ましい。これにより、駆動モータ52により発生する洗浄槽33を手動で動かす際の抵抗が、低減される。その結果、より小さな力で洗浄槽33の出し入れが可能となる。
また、本実施の形態の制御部44は、洗浄槽33を前方向に移動させる場合、上述したように、洗浄槽33の上面開口部35が実質的に全開の状態になるように、駆動モータ52の駆動を制御する。なお、実質的に全開とは、洗浄槽33が最も引き出されて上面開口部35が最も開放された状態、あるいは上面開口部35が半分以上、開放された状態も含むことを意味する。つまり、実質的に全開とは、食器かご47が上方向に開放され、使用者が食器36を出し入れすることが可能な程度まで引き出された状態を意味する。
そこで、制御部44は、駆動モータ52の駆動時間で、洗浄槽33の移動量を制御する。
具体的には、制御部44は、後述するように、駆動モータ52を、設定された所定時間T1だけ駆動して、停止する。これにより、洗浄槽33の上面開口部35が実質的に全開となる任意の位置で、洗浄槽33を停止させることができる。
この構成によれば、使用者が扉体40をノックした振動を、制御部44は加速度センサ
45で検知する。これにより、制御部44は、駆動モータ52を制御して、洗浄槽33を、自動で、前方に引き出す。そのため、使用者は、洗浄槽33を引き出すための労力が必要でなくなる。
つまり、本実施の形態の食器洗い機は、駆動装置51により、食器36を容易に収容できる位置まで、洗浄槽33を、自動で、引き出すことができる。これにより、食器洗い機の使い勝手が向上する。また、前面を覆う扉体40は、操作部46またはハンドル43の省略が可能な構成にできる。そのため、多様化するシステムキッチンKのデザインにも、より適切に対応できる。
以上のように、本実施の形態の駆動装置51は構成され、動作する。
以下、本実施の形態の制御部44の、上記所定時間T1に基づく制御動作について、説明する。
なお、所定時間T1は、食器洗い機の制御内容に応じて設定される。具体的には、洗浄槽33の移動距離、移動速度、および移動速度に達するまでの駆動モータ52のトルクの大きさなどに応じて、所定時間T1が調整される。
つまり、使用者は、洗浄槽33の全開までの設定時間が長すぎると、移動速度が遅いと感じる。一方、洗浄槽33の全開までの設定時間が短すぎると、洗浄槽33の移動速度が速くなる。そのため、洗浄槽33と障害物とが当接した場合、人などの障害物に対する安全性が低下する虞がある。
そこで、上記の内容を考慮して、本実施の形態の食器洗い機は、洗浄槽33の標準的な移動速度として、150mm/秒〜250mm/秒の速度に設定している。なお、使用者の感覚としては、移動速度を170mm/秒〜230mm/秒に設定することが、より好ましい。上記範囲内に移動速度を設定すれば、使用者は、洗浄槽33の移動速度が遅いと感じることがなく、かつ安全性も担保できる。
ここで、上記標準的な移動速度とは、洗浄槽33の動き始めの加速状態と、停止前の減速状態を除いた、一定速の状態における速度を意味する。しかし、食器洗い機の構成によっては、一定速の移動速度が存在しない(実現できない)場合がある。この場合、移動速度の最高速度を、標準的な移動速度とし、最高速度が上記範囲内の移動速度になるように設定することが好ましい。これにより、上記と同様の効果が得られる。
なお、自動で洗浄槽33を引き出す場合、洗浄槽33の前方にいる人との当接の虞がある。さらに、洗浄槽33の筐体31内への収納時において、人の手や指が挟まれる虞がある。そのため、上記安全性の面に対して、移動速度を考慮する必要もある。この場合、洗浄槽33の重量と移動速度とによる運動エネルギーWを考慮することが、安全性を高める上で有効である。
一般的に、運動エネルギーWは、W=(1/2)mv2で示される。
なお、mは、例えば洗浄槽33の質量、vは移動速度が相当する。
そこで、本実施の形態の食器洗い機においては、運動エネルギーWが0.5J以下となるように設定している。なお、0.5J以下の設定は、洗浄槽33の移動中における扉体40と人との当接、洗浄槽33の収容時における人の手や指の挟み込みが発生しても、衝撃が緩和され、安全性の維持が可能な値として、設定している。これにより、不測の事態
における不具合の発生が未然に防止される。
具体的には、0.5J以下の設定は、食器36などが収容された洗浄槽33の最大重量を16kg、移動速度を250mm/秒を、基準として規定される。そのため、上記最大重量が増加した場合、運動エネルギーWが0.5J以下となるように、移動速度を低下させることが好ましい。
さらに、本実施の形態の食器洗い機においては、洗浄槽33の動き始めの加速期間を含めて、駆動モータ52の約2秒間の駆動で、洗浄槽33の上面開口部35の50%までが、引き出されるように設定している。そして、洗浄槽33の上面開口部35を最も引き出す、駆動モータ52を駆動する所定時間T1として、約3.5秒に設定している。
上記のように、駆動モータ52は、所定時間T1を最大値として、任意の設定時間で駆動可能に構成される。これにより、設定時間に応じて、洗浄槽33を任意の引き出し位置で停止させることができる。つまり、設定時間を、使用者の使用実態に合わせて調整することができる。
例えば、食器洗い機の使用実態として、食器洗い機の正面近くに障害物が存在するような狭いところに、食器洗い機を設置する場合などがある。この場合、洗浄槽33全体を引き出すことができない。そこで、設定時間を調整して、洗浄槽33の引き出し量を設定する。これにより、狭い場所でも、食器洗い機を設置することが可能となる。
また、本実施の形態の食器洗い機において、制御部44は、駆動モータ52を、異なる2つ以上の複数の階段状の電圧で、駆動する構成としてもよい。
例えば、洗浄槽33の動き始める加速期間には標準電圧より高い電圧を印加し、停止直前の減速期間には標準電圧より低い電圧を印加して、駆動モータ52を駆動する。これにより、洗浄槽33の動き始めの加速時において、駆動モータ52で発生するトルクを大きくする。その結果、洗浄槽33の加速期間を短縮できる。なお、上記標準電圧とは、洗浄槽33を一定速度で移動させるときの印加電圧に相当する。
一方、洗浄槽33の動きを停止する直前においては、標準電圧より低い電圧を印加して、駆動モータ52の回転を低下させるように駆動する。これにより、食器かご47内に収容された食器36などに加わるショックが抑制される。その結果、ショックによる食器36同士の接触を抑制して、騒音の発生や破損を防止できる。さらに、ショックによる、洗浄槽33に溜められた水の跳ね飛びを低減できる。これにより、洗浄槽33からの水の飛び出し、または洗浄後の乾燥された食器36の水濡れなどを防止できる。
なお、上記では、洗浄槽33の動き始めと、動きを停止させる2段階で、駆動電圧を制御する場合を例に説明したが、これに限られない。例えば、より短時間で滑らかに移動速度が変化するように、駆動電圧を滑らかに印加して、駆動モータ52を駆動してもよい。つまり、上記2つ以上の複数の階段状の電圧とは、電圧が、線形的、または滑らかに変化する状態も含む。これにより、食器36などに加わるショックを、さらに抑制できる。
また、本実施の形態の食器洗い機において、洗浄槽33の移動時に、物体や人などの障害物との当接により、所定の位置までの洗浄槽33の移動が、途中で止められる場合がある。この場合、制御部44は、上述した所定時間T1の経過後、駆動モータ52への通電を停止し、駆動を停止する。これにより、駆動モータ52の回転が止まるロック状態は、最大で所定時間T1の短時間となる。そのため、長時間に亘って、駆動モータ52のロック状態が維持されることがない。これにより、駆動モータ52を無理に回転させるような
負荷の、長時間に亘る継続が抑制される。その結果、駆動モータ52を長期間に亘って、安全に、安定して使用できる。また、洗浄槽33と障害物または人との当接は、短時間で解消される。そのため、障害物または人に対する不具合や、食器洗い機に対する不具合の発生を、より確実に抑制できる。
さらに、本実施の形態の食器洗い機においては、洗浄槽33が設定される所定の位置に到達するまでの途中で、扉体40などを含む移動部のどこかと障害物との接触、あるいは不測の負荷が掛かる場合などが想定される。この場合、制御部44は、直ちに、駆動モータ52の駆動を停止するように制御することが好ましい。
ここで、障害物、または人との接触を想定する方法としては、例えば加速度センサ45で加速度の変化を検知し、制御部44で制御する方法がある。具体的には、加速度センサ45が、駆動モータ52の駆動中に、扉体40の移動方向の振動を含め、3軸のいずれかの方向において、所定の閾値以上の、加速度または加速度の変化を検知した場合、制御部44は、駆動モータの52の駆動を停止する。この構成の場合、障害物と接触した場合に限られず、使用者による扉体40の意図的なノック、あるいは子供が横方向または上下方向から接触した場合でも、制御部44は、直ちに、駆動モータ52の駆動を停止する。これにより、移動部に接触した障害物または人に対する不具合の発生を未然に防止して、高い安全性を維持できる。
また、何らかの不測の負荷が掛けられたことを検知する方法としては、例えば加速度センサ45で全方向の加速度を監視し、制御部44で制御する方法がある。具体的には、加速度センサ45が、駆動されている扉体40および洗浄槽33の減速、または停止に至るような加速度の変化を検知した場合、制御部44は、駆動モータ52の駆動を停止する。なお、制御部44で、駆動モータ52の駆動中の電流を監視し、駆動モータ52の駆動を停止するように制御する方法もある。具体的には、制御部44は、扉体40および洗浄槽33が減速または停止に至るときの電流の増加を検知した場合、駆動モータ52の駆動を停止する。あるいは、駆動モータ52に所定値以上の電流が、例えば0.5秒以上、流れて、駆動モータ52のロック状態を検知した場合、制御部44は、駆動モータ52の駆動を停止する。
なお、上記方法は、特に限定されることなく実施が可能である。また、上記方法は、組み合わせて実施してもよい。これら方法により、洗浄槽33の移動が阻害されてから、駆動モータ52の駆動が停止されるまでの時間が短縮される。その結果、駆動モータ52の過熱などの不具合に限らず、障害物に対する不具合の影響を、より効果的に防止できる。
つまり、上記加速度または電流の変化を検知することにより、洗浄槽33を確実に停止させることができる。さらに、上述したクラッチ機構または滑り機構を設けることにより、洗浄槽33の動きを直ちに停止させることができる。そのため、上記構成は、扉体40または駆動モータ52に所定値以上の負荷がかかった場合において、洗浄槽33を停止させる方法として、有用である。
さらに、本実施の形態の食器洗い機において、制御部44は、洗浄槽33が所定の位置に達するまでの途中で止められ、駆動モータ52の駆動を停止したとき、上述したように、モータ回路を遮断してもよい。通常、使用者は、洗浄槽33が途中で停止すると、洗浄槽33が停止した位置から、手動で前方向または後方向に、洗浄槽33を動かそうとする。このとき、駆動モータ52が強制的に空転させられ、駆動モータ52に逆起電力が発生する。そこで、洗浄槽33が途中で停止した場合、駆動モータ52のモータ回路を遮断する。これにより、駆動モータ52の逆起電力により制御部44のプリント基板に流れる異常電流などの負荷の発生が、事前に防止できる。また、逆起電力に起因する異常電流が流
れないので、駆動モータ52による発電が生じない。そのため、使用者の手動による操作に対して、駆動モータ52の発電による負荷が大きくならない。その結果、使用者は、例え洗浄槽33が途中で停止しても、小さな力で、容易に洗浄槽33を移動できる。
なお、制御部44は、例えば扉体40が閉じられるなど、所定の信号を検知し、さらに駆動モータ52を駆動させる信号を受けたときに、遮断していたモータ回路を復帰させる。
以上のように、本実施の形態の食器洗い機は、制御部により制御される。
以下、本実施の形態の食器洗い機の動作および作用について、説明する。
使用者は、洗浄槽33内に食器36を収容するために洗浄槽33を引き出す。このとき、使用者は、ハンドル43に手を掛けて、手動で洗浄槽33を引き出すことも可能である。
そこで、以下では、使用者が、扉体40を、例えば2回ノックすることにより駆動モータ52を駆動させて、洗浄槽33を、自動で、移動させる場合を例に説明する。なお、ノックの検知を2回に設定する理由は、後述する。
この場合、使用者が、扉体40を2回ノックすると、扉体40に、叩かれたことによる振動が発生する。振動は、化粧板42から操作パネル41に伝わり、操作パネル41に固定された制御部44に伝わる。そして、制御部44のプリント基板に伝わった振動は、加速度センサ45により、加速度として検知される。
つまり、使用者が扉体40を2回ノックすると、制御部44は、加速度センサ45の出力信号から加速度の方向と大きさを検知する。具体的には、加速度センサ45は、X軸、Y軸、Z軸の3軸方向のそれぞれの加速度の大きさを検知する。
そして、制御部44は、検知された3軸方向の加速度の大きさに対して、例えばX軸の加速度Xが第1の閾値A以上、かつY軸の加速度Yが第2の閾値B以下、かつZ軸の加速度Zが第3の閾値C以下の場合のみ、駆動モータ52を駆動する。つまり、上記条件に合致した場合のみ、制御部44は、使用者の意思で正面から扉体40がノックされたと判断する。その結果、使用者の意思に基づかない、洗浄槽33の開閉時の誤動作が防止される。
そのため、制御部44は、加速度Xが第1の閾値A未満の場合、扉体40の正面からの振動ではないと、判断する。また、加速度Xが第1の閾値A以上でも、加速度Yが第2の閾値B以上または加速度Zが第3の閾値C以上の場合、扉体40の正面からの振動ではないと判断する。
しかしながら、本実施の形態の食器洗い機は、上述したように、システムキッチンKに組み込まれて使用される。システムキッチンKにおいては、通常、調理台などのワークトップを有する。そのため、調理の準備などにおいて、ワークトップを叩く動作が繰り返され、さまざまな加速度を持った振動が、多数、発生する。叩く動作として、例えば、食材を切る動作、すりこ木で食材を砕く動作や、肉を柔らかくするために器具を使って叩く動作などがある。また、ワークトップに食品や食器を置くなどの家事作業がある。このとき、上記のように、加速度センサで検出する3軸方向において、加速度の閾値を設定していても、食器洗い機の制御部44は、3回以上の多数の振動でも、扉体40が2回ノックされた加速度の振動として、誤検知する虞がある。そこで、本実施の形態では、2回のノッ
クが連続して検知された場合のみ、制御部44は、食器洗い機の制御を実行する構成が好ましい。つまり、3回以上の連続するノックに相当する振動を検知した場合、制御部44は、食器洗い機の駆動動作をキャンセルする構成が好ましい。
また、化粧板42からの振動を加えた場合、X方向の信号が強く検知される。しかし、システムキッチンKのワークトップを叩いた振動は、Z方向の信号が強く現れる。したがって、X方向よりZ方向の振動が強い場合、制御部44は、化粧板42からの振動ではないと判断し、食器洗い機の動作を制御することが好ましい。これにより、通常の家事作業での誤検知を防ぐことができ、意図しない食器洗い機の誤動作を、より確実に防止できる。
つぎに、制御部44は、検知された加速度により、使用者が洗浄槽33を引き出すための動作(振動)を加えたと判定すると、例えば0.4秒後にブザーを鳴らす。これにより、使用者に、扉体40および洗浄槽33の移動の開始を報知する。
つぎに、制御部44は、判定後、例えば0.6秒後に、駆動モータ52を所定の方向に駆動する。そして、駆動モータ52は、モータ軸に設けられたピニオンギア53を介して、洗浄槽33の下部に設けられたラックギア54を前方に移動させる。これにより、洗浄槽33のスライドレール34と筐体31のスライドレール31aとが摺動しながら、洗浄槽33が筐体31の前面開口部32から前方向に移動し、引き出される。
なお、本実施の形態では、駆動モータ52が約3.5秒間、駆動されると、洗浄槽33が最も引き出されるように調整している。これにより、洗浄槽33は、上面開口部35が実質的に全開する位置まで、引き出され、停止する。
つぎに、使用者は、上面開口部35が全開した状態で、上面開口部35から食器36を食器かご47に収容する。
つぎに、使用者は、上面開口部35の前側に設けられた電源スイッチ(図示せず)をオンする。そして、使用者は、操作部46を操作して、食器洗い機の洗浄運転を設定する。なお、本実施の形態の場合、制御部44は、電源スイッチのオン・オフに関係なく、常時、通電されるように構成されている。これにより、制御部44は、使用者によるノックを、常時、検知可能な状態で、待機している。
つぎに、操作部46を介して食器36の収容と洗浄運転の設定が完了すると、使用者は、扉体40を、例えば1回だけノックする。このとき、制御部44は、洗浄槽33が引き出された状態で1回のノックを検知すると、まず、例えばブザーを介して、音などで、使用者に報知する。その後、制御部44は、駆動モータ52を駆動し、洗浄槽33を後方向に移動させる。これにより、洗浄槽33は筐体31内に収納され、扉体40は筐体31の前面開口部32を閉じる。このとき、制御部44は、以下に示す検知を用いて、洗浄槽33の収納完了の判断を行う。具体的には、制御部44は、例えば収納までの時間制御、収納位置の検知、洗浄槽33が収納されて停止するときの加速度の検知、駆動モータ52のロック電流の検知など、収納完了の判断を行う。
なお、上記では、洗浄槽33の収納方法として、駆動モータ52を駆動して、自動で、収納する構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、使用者が、扉体40の前面を手動で押しながら、洗浄槽33を筐体31の中へ収納する構成でもよい。
また、例えばスタートスイッチ(図示せず)を設け、使用者が、設定完了後に1回ノックすることに代えて、スタートスイッチを押すことにより、洗浄槽33を収納する構成と
してもよい。スタートスイッチを設ける場合、スタートスイッチの押下を、使用者による運転設定の完了の合図としてもよい。つまり、駆動装置51または手動により洗浄槽33が筐体31内に収納されたときに、スタートスイッチが押されていない場合、洗浄運転を開始しない構成としてもよい。これにより、使用者は、洗浄槽33に、一旦、食器36を収容した後、時間をおいて、再度、食器36を少しずつ追加しながら収容することが可能になる。
つぎに、制御部44は、洗浄槽33の収納を検知すると、設定された洗浄運転を実行する。
所定の洗浄運転が終了すると、使用者は、食器36を取り出すために洗浄槽33を引き出す。具体的には、食器36の収納時と同様に、扉体40を、例えば2回ノックする。このとき、制御部44は、使用者にブザーで、洗浄槽33の引き出し開始を報知する。そして、制御部44は、駆動モータ52を駆動して、洗浄槽33を所定の位置まで引き出す。
つぎに、使用者は、洗浄槽33内の食器かご47から食器36を取り出した後、扉体40を、再度、例えば1回だけノックする。このとき、制御部44は、以下に示す状態の場合、駆動モータ52を後方向に駆動して、洗浄槽33を収納するだけで、洗浄運転は行わない。具体的には、例えば洗浄槽33が引き出された状態で、操作部46による運転設定がない状態、または、スタートスイッチが押されていない状態で1回のノックを検知した場合、洗浄運転は行わない。
以上で、使用者の動作を含む食器洗いの一連の動作は、完了する。
なお、本実施の形態において、食器洗い機の洗浄運転中に、扉体40の化粧板42やハンドル43に、使用者などが意図することなく接触する場合がある。この場合、制御部44が、使用者の意図しない接触を検知して、洗浄槽33が引き出されることは、不都合である。そこで、食器洗い機の運転中において、制御部44は、例えば停止時と同じ2回程度のノックでは、駆動モータ52を駆動しないように構成すればよい。この場合、加速度センサ45が、例えば3回以上のノックを検知した場合、制御部44は洗浄運転を一時停止して、洗浄槽33を引き出す構成が好ましい。つまり、使用者の意図的な動作を、制御部44が検知した場合のみ、洗浄槽33を引き出すように設定することが好ましい。これにより、制御部44は、使用者が意図しない制御の実行を防止できる。さらに、制御部44は、いわゆるチャイルドロックのような機能を備えてもよい。これらの構成により、食器洗い機の安全性が、さらに向上する。
また、本実施の形態において、制御部44は、検知された3軸方向の加速度の大きさに対して、例えばX軸の加速度Xが第1の閾値A以上、かつY軸の加速度Yが第2の閾値B以下、かつZ軸の加速度Zが第3の閾値C以下の場合のみ、駆動モータ52を駆動する構成を例に説明したが、これに限られない。本実施の形態の食器洗い機は、特に、システムキッチンKに組み込まれ、基本的に、引き出しなどのキャビネットの上面、または床面に設置される。そのため、食器洗い機が設置される設置面の強度などにより、加えられた振動の伝達状態が変化する。そこで、食器洗い機の設置状態などに応じて、3軸方向の加速度の大きさに対するそれぞれの閾値の値や組み合わせなどを設定することが好ましい。これにより、汎用性の高い、操作性に優れる食器洗い機を実現できる。
具体的には、食器洗い機をキャビネットの上面に設置する場合、例えば食器洗い機の脚部だけがシステムキッチンKに接触する。つまり、システムキッチンKと食器洗い機の周囲との間に、隙間が形成される。このとき、筐体31の側面および上部の前部にスポンジやゴム板などのシール部材が設けられ、隙間が塞がれる場合がある。この場合、シール部
材は柔軟性を有するため、左右方向や前後方向の振動が吸収され、食器洗い機への伝達が抑制される。そのため、システムキッチンKに加えられる振動は、上下方向に伝播しやすい。つまり、設置面の強度の影響を受けやすい振動の方向は、上下方向となる。そこで、上記状態を考慮して、上下方向に相当するZ軸の設定において、上記の「加速度Zが第3の閾値C以下」、という設定に代えて、例えば「Z軸の加速度Zが第4の閾値D以上」と設定することが好ましい場合もある。
また、食器洗い機をキャビネットの上面に設置する場合、剛性のある部材により、システムキッチンKと食器洗い機とを連結することが好ましい。これにより、食器洗い機の扉体40以外のシステムキッチンKに加えられた振動を、的確に検知できる。例えば、筐体31の前部で、左右および上下方向を強固に連結すれば、左右方向のY軸および上下方向のZ軸の振動を的確に検知できる。このとき、前後方向は、柔軟性を備えて連結することが、さらに好ましい。これにより、前後方向に相当するX軸に加えられる振動は、左右方向のY軸および上下方向のZ軸の振動による影響が低減される。その結果、制御部44は、扉体40に加えられた振動と、それ以外の振動とを、より正確に区別し、食器洗い機の動作を制御できる。
以上のように、本実施の形態の食器洗い機は、洗浄槽33の状態と、使用者によるノックとの組み合わせにより、洗浄槽33の引き出しおよび押し込みなどの制御を割り当てることが可能となる。この場合、制御部44が検知するノックについては、回数だけでなく、強度の検知を組み合わせてもよい。これにより、制御部44が制御する、制御の種類を増やして、さまざまな制御を実現するために有効である。
また、加速度センサ45の検知と制御動作との組み合わせ、および洗浄槽33の停止位置などの設定は、使用者が操作部46などを介して設定できる構成が好ましい。このとき、上記設定状態などを表示部で確認できる構成が、さらに好ましい。具体的には、少なくとも、扉体40に加える振動などに対するセンサの感度を含む、使用者が対応可能な設定に関する閾値の設定、または、駆動モータ52の動作の設定などである。そして、設定された設定値を、使用者が操作部46に設けられた表示部を介して確認できる構成などである。これにより、使用者は、ノックの回数、ノック強度の検知レベルなどを自由に設定できるとともに、その設定内容を容易に確認できる。その結果、食器洗い機の使い勝手が、さらに向上する。
以下、上述した洗浄槽33の状態とノックの回数の組み合わせにより、制御部44が実行する制御の構成の一例について、(a)から(e)に項分けして説明する。
(a)洗浄運転停止時、洗浄槽33が収容された状態で、使用者が扉体40を、2回ノックした場合、制御部44は、次のように制御する。この場合、制御部44は、駆動モータ52を駆動して、洗浄槽33を前方向に移動させる。(運転準備)
(b)洗浄槽33が引き出された状態、および洗浄運転が設定されていない状態で、使用者が扉体40を1回ノックした場合、制御部44は、次のように制御する。この場合、制御部44は、駆動モータ52を駆動して、洗浄槽33を収納するだけで、洗浄運転を開始しない。(運転準備または運転終了)
(c)洗浄槽33が引き出された状態、および洗浄運転が設定された状態で、使用者が扉体40を2回ノックした場合、制御部44は、次のように制御する。この場合、制御部44は、駆動モータ52を駆動して、洗浄槽33を収納するだけで、洗浄運転を開始しない。(運転準備)
(d)洗浄槽33が引き出された状態、および洗浄運転が設定された状態で、使用者が扉体40を1回ノックした場合、制御部44は、次のように制御する。この場合、制御部44は、駆動モータ52を駆動して、洗浄槽33を収納し、設定された洗浄運転を開始す
る。(運転開始)
(e)洗浄運転中、洗浄槽33が収容された状態で、使用者が扉体40を3回ノックした場合、制御部44は、次のように制御する。この場合、制御部44は、洗浄運転を一時停止し、駆動モータ52を駆動して、洗浄槽33を前方向に移動させる。(運転一時停止)
つまり、(b)および(c)のように、洗浄槽33が収納されるだけで、洗浄運転が開始されない場合、使用者は、食器36を収容している途中で、洗浄準備を中断する。これにより、使用者は、食器洗い機から離れることができる。また、(b)のように、使用者が、洗浄運転を開始する(d)の状態であると判断している場合、使用者に、洗浄運転の設定が、未だ実行されていないことを気付かせることができる。
なお、上記実施の形態では、各種制御の割り当てにおいて、ノックの異なる回数で、各種制御を割り当てる構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、必要に応じてスタートスイッチなども利用して、全ての制御動作を、同じ回数のノックで対応可能に構成してもよい。この場合、使用者は、制御動作ごとに、ノックの回数を覚える必要がない。そのため、使用者の操作性などの使い勝手が、向上する。
また、上記実施の形態において、扉体40にハンドル43が設けられている場合、使用者が駆動装置51を利用しない構成を設定してもよい。具体的には、制御部44で、駆動モータ52の駆動をキャンセルするように構成してもよい。これにより、チャイルドロックの代用や、狭い場所のため駆動装置を利用しないなどの選択の余地を拡大できる。
以上のように構成された食器洗い機の作用および効果について、以下に説明する。
本実施の形態の食器洗い器は、少なくとも扉体40に加えられた振動を検知する加速度センサ45を備える。そして、制御部44は、最大値である所定時間T1内で、設定される設定時間だけ駆動モータ52を駆動して、洗浄槽33を前方向に移動させて、筐体31から引き出すように構成している。これにより、食器洗い機の扉体40に操作部46またはハンドル43がない場合でも、洗浄槽33を所定の位置まで、自動で、引き出すことができる。また、扉体40に操作部46またはハンドル43がないため、多様化するシステムキッチンKのデザインに、食器洗い器のデザインを容易に適応させることができる。さらに、設定時間は、使用者の使用実態に合わせて調整できる。これにより、制御部44は、洗浄槽33を任意の位置で停止するように制御できる。
また、本実施の形態の食器洗い器の制御部44は、扉体40に加えられた所定の振動を検知した加速度センサ45からの信号を受けたときに、駆動モータ52を駆動するように構成している。これにより、制御部44は、使用者が扉体40をノックした振動を検知して、洗浄槽33を任意の方向に移動させることができる。具体的には、制御部44は、洗浄運転のタイミングおよび洗浄槽33の状態に応じて、駆動モータ52を駆動して、洗浄槽33を前方向、または後方向に、適切に移動させることができる。
また、本実施の形態の食器洗い器の制御部44は、駆動モータ52を駆動して、洗浄槽33の上面開口部35が実質的に全開となる位置まで、自動で、移動可能に制御する。これにより、使用者は、手動で洗浄槽33を引き出す必要がない。そのため、使用者に過剰な労力などの負担を強いることなく、容易に食器36を出し入れできる。
また、本実施の形態の食器洗い器の制御部44は、洗浄槽33の停止時に発生した加速度を検知した加速度センサ45からの信号を受けた場合、駆動モータ52を停止するように制御する。これにより、扉体40または洗浄槽33などが障害物に衝突して停止した場合でも、障害物に対する不具合の発生が防止される。このとき、図10を用いて後述する
ように、引き出しの所定位置に係止部を設ける構成としてもよい。これにより、制御部44は、所定位置で洗浄槽33を、確実に停止させることができる。
また、本実施の形態の食器洗い器の制御部44は、洗浄槽33が停止している場合、駆動モータ52とモータ回路とを遮断するように制御する。これにより、使用者は、手動で、洗浄槽33を移動させることができる。このとき、洗浄槽33の移動により、駆動モータ52が空転し、逆起電力が発生する。しかし、駆動モータ52とモータ回路とは遮断されている。そのため、発生する逆起電力により、制御部44のプリント基板に異常電流が流れることがない。また、使用者が手動で開閉動作をする際、駆動モータ52の逆起電力による電気的な負荷が発生しないため、開閉動作時において、使用者に余分な負荷がかからない。そのため、使用者は、手動でも、洗浄槽33の出し入れ動作を、少ない労力で、容易に行うことができる。
また、本実施の形態の食器洗い器の駆動装置51は、駆動モータ52と、駆動モータ52で駆動されるピニオンギア53と、ピニオンギア53と噛み合うラックギア54を有する。駆動モータ52は、ピニオンギア53が前面開口部32の近傍に位置するように筐体31の内側に固定される。ラックギア54は、洗浄槽33の外側に固定される。このとき、洗浄槽33が前方向に移動すると、前下がり状態となる。この場合、前部に設けられたピニオンギア53の近傍が支点となる。そのため、ラックギア54とピニオンギア53との噛み合わせが外れる可能性は低い。しかし、噛み合わせの外れを確実に防止するために、別途、新たな構成を設ける場合、簡単な構成の機構で実現できる。
以上で開示したように、本実施の形態の食器洗い器の制御部44は、駆動装置51を制御し、使用者の意思に従って、洗浄槽33を安全に移動させる。そのため、使用者に対して、洗浄槽33を手動で移動させる労力が軽減され、使い勝手が向上する。また、操作部46は、全て筐体31内に隠蔽される。これにより、多様化するシステムキッチンKのデザインに、食器洗い機のデザインを容易に適応させることができる。その結果、システムキッチンKの意匠が統一され、デザイン性が、さらに向上する。
また、制御部44は、洗浄槽33の正面に存在する障害物と当接した場合、当接により発生する振動または加速度の変化などを検知する。そして、制御部44は、直ちに、駆動モータ52の駆動を停止する。これにより、障害物および食器洗い機に大きな不具合の発生を未然に防止できる。その結果、食器洗い機は、高い安全性を維持できる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2の食器洗い機について、図3および図4を参照しながら、説明する。
図3および図4は、本発明の実施の形態2における洗浄槽が引き出し式の食器洗い機の側面縦断面を示す図である。図3は、洗浄槽を筐体内に収納した状態を示す。図4は、洗浄槽の上面開口部が筐体内から全開するまで引き出された状態を示す。
本実施の形態の食器洗い機は、駆動装置の構成が、実施の形態1の駆動装置と異なる。これ以外の構成は、実施の形態1と同様であるため、実施の形態1を援用し、説明を省略する。
つまり、図3および図4に示すように、本実施の形態の駆動装置55は、ローラ圧接式で構成され、洗浄槽33の出し入れを可能にする。
駆動装置55は、駆動モータ56と、駆動モータ56で駆動されるローラ57と、ロー
ラ57が圧接される圧接レール58などを含む。圧接レール58は、洗浄槽33の左右側面の外側の一方の下部に固定される。圧接レール58は、少なくとも、洗浄槽33が引き出されるストローク以上の長さを有する。ローラ57は、駆動モータ56で駆動されるモータ軸に取り付けられ、圧接レール58に圧接される。駆動モータ56は、減速機構(図示せず)を備える。駆動モータ56は、ローラ57が前面開口部32の近傍の位置で、筐体31の内部に固定される。
なお、図3に示すローラ57は、圧接レール58に対して下側から圧接される構成で示しているが、これに限られない。例えば、ローラ57は、圧接レール58に対して、上側から圧接する構成、あるいは横方向から圧接する構成としてもよい。また、圧接レール58は、上記のように、別途設ける構成でなく、洗浄槽33の側面または底面自体を圧接レール58として利用する構成でもよい。
上記ローラ57と圧接レール58の構成により、駆動モータ56の回転運動が直線運動に変換される。これにより、洗浄槽33は、上面開口部35が実質的に全開になる位置まで、直線的に移動される。
このとき、実施の形態1と同様に、駆動モータ56を設定時間で駆動するように構成すると、設定された設定時間に応じて、洗浄槽33は任意の引き出し位置で停止できる。
また、ローラ57と圧接レール58との組み合わせによる構成の場合、実施の形態1のラック&ピニオン式のように、ギアの噛み合わせを配慮せずに、組み立てることができる。
さらに、駆動装置55により、自動で、洗浄槽33を引き出すことができる。そのため、例えば洗浄槽33の引き出し時において、使用者は、洗浄槽33に対して過剰な労力を加える必要がない。
つまり、本実施の形態の食器洗い機は、食器36の収容が容易にできる位置まで、駆動装置55により、洗浄槽33を自動で引き出すことができる。これにより、食器洗い機の使い勝手が向上する。また、多様化するシステムキッチンKのデザインに、本実施の形態の食器洗い機を容易に適応させることができる。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3の食器洗い機について、図5を参照しながら、説明する。
図5は、本発明の実施の形態3における食器洗い機の側面縦断面を示す図である。
本実施の形態の食器洗い機は、扉体に第2の操作部を設ける点で、実施の形態1と異なる。これ以外の構成は、実施の形態1と同様であるため、実施の形態1を援用し、説明を省略する。
つまり、図5に示すように、本実施の形態の扉体40は、化粧板42の上部に第2の操作部46bを備える。第2の操作部46bは、少なくとも洗浄槽33を移動させる駆動部である駆動モータ52の運転スイッチ(図示せず)、あるいはセンサなどが設けられる。運転スイッチは、洗浄槽33を、前後方向のいずれの方向に移動させるかを区別できるように、例えば複数のボタンスイッチなどで構成される。
また、センサは、例えば超音波センサ、赤外線センサ、光センサ、あるいは音(音声)認識センサなどで例示される非接触式のセンサなどで構成される。具体的には、超音波セ
ンサ、赤外線センサ、光センサは、例えば送信部と受信部を備え、所定の距離の範囲内に、手などがかざされた場合、制御部44に検知信号を出力する。一方、音(音声)認識センサは、例えば拍手などの音や、物を叩いた音など、あるいは音声を認識して、制御部44に検知した内容を出力する。これにより、制御部44は、出力された検知信号や検知内容に基づいて、操作内容を判断して、駆動モータ52を駆動し、洗浄槽33を移動させる。なお、赤外線センサは、人体から放射される赤外線を検知する構成でもよい。
この場合、実施の形態1で説明した加速度センサ45による制御と同様に、所定時間内にかざされた手の回数や、音の回数に基づいて、洗浄槽33の制御方法(動作方向など)を判定することが好ましい。なお、音声認識センサの場合、音声による指示内容に基づいて、洗浄槽33の制御方法が判定される。
本実施の形態の制御部44は、洗浄槽33を前方向に移動させる場合、上面開口部35が実質的に全開になるように駆動モータ52を制御する。なお、実質的に全開とは、実施に形態1で説明した意味と同様である。
また、制御部44は、実施の形態1と同様に、駆動モータ52を時間で制御する。つまり、制御部44は、駆動モータ52を設定された所定時間T1だけ駆動して停止する。
この構成により、使用者は、自動で、洗浄槽33の引き出し動作、あるいは収納動作が実行される。そのため、洗浄槽の引き出し、および収納時において、使用者の労力を必要としない。
つまり、本実施の形態の食器洗い機は、食器36の収容が容易にできる位置まで、駆動装置55により、自動で洗浄槽33を引き出すことができる。そのため、食器洗い機の使い勝手が向上する。
また、多様化するシステムキッチンKのデザインに、本実施の形態の食器洗い機を容易に適応できる。
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4の食器洗い機について、図6から図8を参照しながら、説明する。
図6は、本発明の実施の形態4における他の引き出し式の食器洗い機の斜視図である。図7は、同食器洗い機の正面縦断面図である。図8は、図7のスライドレール部分の要部拡大図である。
本実施の形態の食器洗い機は、食器洗い機の洗浄槽の構成と、扉体の支持機構の構成が、実施の形態1と異なる。つまり、実施の形態1の洗浄槽は、引き出し式で筐体から出し入れされる構成である。一方、本実施の形態の洗浄槽は、筐体の内部と扉体の内面とで囲まれる洗浄空間で構成される。そのため、洗浄槽の洗浄空間は、筐体内に固定して構成される。この相違により、扉体を支持する支持機構は、実施の形態1では、扉体が取り付けられる洗浄槽と洗浄槽を移動させるスライドレールとを含んで構成される。一方、本実施の形態の支持機構は、扉体が取り付けられる支持部材とスライドレールとを含んで構成される。これ以外の構成は、実施の形態1と同様であるため、実施の形態1を援用し、説明を省略する。
図6および図7に示すように、本実施の形態の食器洗い機は、筐体71、洗浄槽73、扉体74、洗浄空間75、駆動装置83などを含む。
筐体71は、前面全体が開口された前面開口部72を有する。洗浄槽73は、前面開口部72が設けられた筐体71の内部に形成される。扉体74は、前面開口部72を覆うように配設される。洗浄空間75は、洗浄槽73と扉体74とで形成される。洗浄空間75内には、食器76が載置される下食器かご77、および上食器かご78が、前後に移動可能な状態で配設される。なお、下食器かご77および上食器かご78は、扉体74に係止されている場合、扉体74と一緒に前後に移動する。一方、係止が解除されている場合、下食器かご77および上食器かご78は、扉体74に対して、個別に移動する。つまり、下食器かご77および上食器かご78は、扉体74と一体的に動く形態と、個別に移動する形態とを有する。
扉体74は、上面74aに、操作部79を有する。操作部79は、使用者のボタン操作により、電源の入、切の切り替え、スタート、一時停止、洗浄および乾燥コースの切り替えができる。このとき、操作部79に、扉体74を移動させるために、制御部(図示せず)を操作するスイッチを設けてもよい。制御部は、操作部79の下方に設けられる。
また、扉体74は、支持機構80を介して、前後に移動可能な状態で筐体71に支持される。支持機構80は、上述したように、支持部材81とスライドレール82などを含む。スライドレール82は、洗浄槽73の外側下部で筐体71の左右両側の内側面に取り付けられる。
スライドレール82は、図8に示すように、固定レール82aと、第1の可動レール82bと、第2の可動レール82cなどを含む。第1の可動レール82bは、固定レール82aにスライド自在に装着される。第2の可動レール82cは、第1の可動レール82bにスライド自在に装着される。
支持部材81は、例えばステンレスなどの金属板で形成され、前端部81aが扉体74の内側下部に固定される。支持部材81は、スライドレール82の第2の可動レール82c上で固定される。
そして、支持部材81および第2の可動レール82cは、扉体74が前方に移動するとき、扉体74を略垂直(垂直を含む)に支持しながら、第1の可動レール82bと一体で前方に移動する。これにより、スライドレール82が伸長する。
駆動装置83は、少なくとも、駆動部を構成する駆動モータ84を有し、筐体71内で洗浄槽73の下部に配設される。駆動装置83は、扉体74を、少なくとも前方向または後方向に移動させる。
制御部は、加速度センサ45などで例示されるセンサ、または操作スイッチなどから所定の信号を受け付ける。これにより、制御部は、受け付けた信号に基づいて、駆動部である駆動モータ84を駆動する。
以上のように、本実施の形態の食器洗い機は構成される。
以下、本実施の形態の駆動装置83について説明する。
駆動装置83は、実施の形態1と同様に、ラック&ピニオン式の機構で構成される。
駆動装置83は、駆動モータ84と、駆動モータ84で駆動されるピニオンギア85と、ピニオンギア85と噛み合うラックギア86などを含む。
ラックギア54は、歯車の歯を一直線に配置することにより形成される。ラックギア86は、支持部材81の近傍に固定される。ラックギア86は、少なくとも、扉体74が移動するストローク以上の長さを有する。ピニオンギア85は、駆動モータ84で駆動されるモータ軸に取り付けられる。駆動モータ84は、減速機構(図示せず)を備える。駆動モータ84は、ピニオンギア85が前面開口部72の近傍の位置で、筐体71の内部に固定される。
上記ラックギア86とピニオンギア85の構成により、駆動モータ84の回転運動が直線運動に変換される。これにより、扉体74は、前方向または後方向に移動される。その他の詳細な制御については、実施の形態1と同様であるため、説明は省略する。
本実施の形態によれば、洗浄槽が別体で構成され、付帯装置も移動しないため、移動部は、ドアと、食器かごと、洗浄ノズルなどで構成される。そのため、移動部を軽量に構成できる。これにより、駆動装置も比較的小型で構成できる。
(その他の実施の態様)
以上、4つの実施の形態の構成について開示した。
以下、駆動装置を含めた各種構成の他の実施の態様について、説明する。
まず、洗浄槽33が引き出されるときに所定位置で停止する方法の他の実施の形態の一例について、図9および図10を参照しながら、説明する。
つまり、実施の形態1では、駆動モータ52を時間で制御する方法を例に開示したが、これに限られない。例えば、下記1.から3.で説明する方法により、駆動モータを制御して、洗浄槽33を停止するように構成してもよい。
1.図9に示すように、例えばマイクロスイッチからなる位置検知部59を、筐体31の前面開口部32の近傍に設ける。位置検知部59は、洗浄槽33の所定位置を検知し、検知した信号を制御部44に出力する。制御部44は、洗浄槽33の移動中に、位置検知部59が検知した信号に基づいて、駆動モータの駆動を停止するように制御する構成としてもよい。なお、位置検知部59は、光電スイッチでもよい。光電センサは、洗浄槽33の移動距離を測定して、洗浄槽33の位置を検知する。また、駆動部をステッピングモータで構成してもよい。この場合、ステッピングモータを駆動するパルス数に基づいて、洗浄槽33の移動距離を検知できる。
2.図10に示すように、例えば第1の突起部60aと、第2の突起部60bからなる係止部60を設ける。そして、係止部60により、洗浄槽33を所定位置で停止させるように構成してもよい。係止部60の第1の突起部60aは、例えば、筐体31の前面開口部32の近傍に設けられる。第2の突起部60bは、スライドレール34または洗浄槽33の後部に設けられる。第1の突起部60aと第2の突起部60bとは、洗浄槽33が引き出された所定位置で当接するように配置される。これにより、洗浄槽33は、所定位置で停止する。このとき、制御部44は、係止部60によって洗浄槽33が停止したときに発生する駆動モータ52、56のロック電流を検知する。これにより、制御部44は、駆動モータ52、56の駆動を停止するように構成してもよい。
3.図10に示すように、例えば第1の突起部60aと、第2の突起部60bからなる係止部60を設ける。そして、係止部60により、洗浄槽33を所定位置で停止させるように構成してもよい。係止部60の第1の突起部60aは、例えば、筐体31の前面開口
部32の近傍に設けられる。第2の突起部60bは、スライドレール34または洗浄槽33の後部に設けられる。第1の突起部60aと第2の突起部60bとは、洗浄槽33が引き出された所定位置で当接するように構成される。これにより、洗浄槽33は、所定位置で停止する。このとき、加速度センサ45は、係止部60によって洗浄槽33が停止したときに発生する加速度を検知し、制御部44に検知した信号を出力する。これにより、制御部44は、加速度センサ45の信号に基づいて、駆動モータ52、56を停止するように構成してもよい。
上記1.から3.で説明した構成によれば、実施の形態1で示した設定時間と、洗浄槽33の引き出し量との関係を見極める必要がなく、停止位置を物理的に設定できる。
つまり、1.の位置検知部59または2.および3.の第1の突起部60aを前後にスライドさせて、任意の位置に固定可能な構成とすれば、洗浄槽33を任意の位置に、確実に停止させることができる。
なお、2.の構成の場合、洗浄槽33の停止により発生する駆動モータ52、56のロック電流の検知に基づいて、駆動モータ52、56の駆動を停止する。そのため、駆動モータ52、56に、ロック電流による過剰な負荷がかかる虞がある。しかし、所定の電流値を超えれば直ちに遮断されるため、ロック電流が駆動モータ52、56に流れる時間は、短時間である。そのため、駆動モータ52、56に無理な負荷がかかることはなく、駆動モータ52、56を停止できる。
また、2.および3.の構成の場合、係止部60は、クッション性を有する材料で形成することが好ましい。これにより、係止部60を構成する第1の突起部60aと第2の突起部60bとの当接時のショックが吸収される。そのため、洗浄槽33が滑らかに停止し、収容された食器36へのショックの伝達が緩和される。その結果、食器36同士の接触による騒音や食器36の破損が防止される。また、当接による、洗浄槽33に溜められた水の跳ね飛びを防止できる。そのため、洗浄槽33からの水の飛び出し、および洗浄後の乾燥された食器36の水濡れが防止できる。
また、上記実施の形態1および2では、駆動装置51、55の駆動モータ52、56を筐体31前面開口部32近傍に固定し、ラックギア54、圧接レール58を洗浄槽33の外側に固定する構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、駆動装置51、55の駆動モータ52、56を、洗浄槽33の後部に固定し、ラックギア54、圧接レール58を筐体31の内側に固定する構成としてもよい。
一般的に、家具や冷蔵庫の引き出しに駆動装置を設ける場合、駆動部の電源を筐体側に設けることが構成上、好ましい。
しかしながら、本実施の形態の洗浄槽33が引き出し式の食器洗い機は、洗浄槽33に配置されるヒータ49および洗浄ポンプ50などの電源が必要なため、洗浄槽33側に電源線が配設されている。そのため、上記構成によれば、制御部44から駆動モータ52、56までの信号線および電源線は、筐体31側に引き回すことなく洗浄槽33の側面だけで配設できる。これにより、食器洗い機の設計および組み立てが容易になるとともに、メンテナンス時の作業性が向上する。
また、上記実施の形態1では、駆動装置51のラックギア54の下方に歯を設ける構成を例に説明したが、これに限られない。例えば、駆動装置51のラックギア54の上下の両方に歯を形成し、2つのピニオンギア53で上下方向からラックギア54を挟む構成としてもよい。また、ラックギア54の歯を、上下方向のいずれかに形成し、歯を設けない
側にローラを設けて、ラックギア54を上下方向から挟むように構成してもよい。これらにより、ラックギア54とピニオンギア53とが確実に噛み合い、簡単に外れない構成を実現できる。
また、上記各実施の形態1、2、および4では、障害物との当接により洗浄槽33が途中で停止した場合、使用者が手動で洗浄槽33を引き続き移動させる例で説明したが、これに限られない。例えば、駆動装置51、55を駆動して、洗浄槽33を、自動で移動させる構成としてもよい。この場合、停止位置から、洗浄槽33を引き出すのか、収納するのかを区別する必要がある。そこで、移動方向を区別する方法として、使用者が化粧板42を叩く回数を加速度センサ45で検知し、移動方向を区別するようにしてもよい。また、操作部46に移動方向を明示したスイッチを設け、使用者の操作により、洗浄槽33の移動方向を区別するように構成してもよい。この構成によれば、駆動装置51、55を有効に活用できる。これにより、洗浄槽33を使用者が手動で移動させる労力が、低減される。
つぎに、駆動装置51、55の制御方法の他の実施の態様について、説明する。
上記各実施の形態では、制御部44が、使用者による駆動モータ52、56を駆動させる信号を検知すると、直ちに、駆動モータ52、56を駆動させる例で説明したが、これに限られない。例えば、制御部44は、使用者による駆動モータ52、56を駆動させる信号を検知してから、所定時間T2(例えば、0.4秒〜1秒)後に、駆動モータ52、56の駆動を開始するように制御してもよい。この制御によれば、洗いステップにおいて、洗浄ノズルから洗浄水が噴射されている場合、洗浄ポンプの停止を待って、駆動モータ52、56を駆動させることができる。これにより、洗浄ノズルから噴射される洗浄水の洗浄槽からの飛び出しを、防止できる。また、制御部44が、駆動させる信号を連続して検知し、駆動モータ52、56の駆動を繰り返す場合、所定時間T2を設けることにより、一時的に駆動モータ52、56を停止させる時間を確保できる。これにより、駆動モータ52、56に流れる大きな起動電流が、連続して流れないように制御できる。その結果、連続して流れる大きな起動電流による駆動モータ52、56の過度な温度上昇を防止できる。
このとき、駆動モータ52、56の駆動により扉体40の移動を報知する報知部を設ければ、安全性が向上するため、さらに好ましい。この場合、上記所定時間T2の間で、扉体40が移動を開始する前に、報知を開始する構成が、好ましい。これにより、扉体40の移動による人などの障害物との当接を未然に防止できる。その結果、食器洗い機の安全性が、さらに向上する。
また、上記各実施の形態において、扉体40の閉塞を検知するドア閉検知センサを、さらに設けてもよい。この場合、ドア閉検知センサとして、例えば、図9に示す位置検知部59で代用可能である。このとき、制御部44は、ドア閉検知センサによる扉体40の閉塞信号を検知してから、所定時間T3(例えば、0.5秒)の間、加速度センサ45からの信号を検知しないように制御する。または、制御部44は、加速度センサ45からの信号を検知しても、駆動モータの駆動を保留するように制御することが好ましい。
通常、扉体40が閉じられたとき、扉体40と筐体31との当接によるショックにより、食器36などを含めて筐体31の全体が振動する。そのため、加速度センサ45が、上記振動を、ノックによる操作信号として、誤って検知する虞がある。
しかしながら、上記振動を検知しないように所定時間T3を設けることにより、閉塞時の振動を誤って検知することを防止できる。また、所定時間T3を設けることにより、一
時的に駆動モータ52、56を停止される時間を確保できる。その結果、駆動モータ52、56の過度な温度上昇を防止できる。
このとき、ドア閉検知センサにより扉体40の閉塞信号を検知したときに報知する報知部を設けてもよい。これにより、扉体40の閉塞を使用者に、確実に知らせることができる。また、閉塞信号を検知した所定時間T3の経過後に報知し、使用者に、扉体40を引き出すためのノックの受け付けが可能な状態であることを知らせることができる。この構成によれば、使用者は、扉体40の確実な閉塞、および、それ以降の洗浄運転の正常な実行を、容易に確認できる。
また、上記各実施の形態において、制御部44は、以下に示す異常状態の発生を報知するように制御してもよい。なお、異常状態とは、例えば扉体40を閉じる後方向に駆動モータ52、56を駆動し、駆動モータ52、56の停止を、制御部44が検知したにもかかわらず、ドア閉検知センサからの信号が、制御部44で検知されない場合などである。これにより、使用者に、扉体40が完全に閉じていないことを認識させ、その後の対応を迅速に実行するように促すことができる。
また、上記異常状態の報知により、使用者が扉体40を閉じるように操作しても、報知が所定回数(例えば、5回)繰り返された場合、異常発生の報知とともに、それ以上の駆動モータ52、56の駆動を停止するように制御してもよい。この構成によれば、駆動モータ52、56のロック電流が繰り返し流れないように制御できる。その結果、駆動モータ52、56の過度な温度上昇を防止できる。
さらに、上記異常状態の報知により、異常発生の原因を見極める必要があることを使用者に知らせることができる。異常発生の原因としては、例えば扉体40が障害物で閉じないのか、駆動モータ52、56またはドア閉検知センサが故障したのか、などである。これにより、使用者は、異常発生の原因を見極めて、即座に対応できる。その結果、扉体40が閉じていない状態で、洗浄運転が実行されることを、より確実に防止できる。
また、上記各実施の形態において、制御部44は、以下に示す異常発生を報知するように制御してもよい。なお、異常発生とは、まず、例えばドア閉検知センサによる扉体40が閉じられた信号を検知する。そして、検知した状態で、扉体40を開ける前方向に駆動モータ52、56を駆動する。駆動後、所定時間T4(例えば、2.5秒)の間、制御部44が、ドア閉検知センサの信号を検知し続けている場合などである。この構成によれば、制御部44は、扉体40が動いていないと判断し、使用者に、扉体40の異常を迅速に知らせることができる。
さらに、上記各実施の形態において、制御部44は、以下に示す異常発生の報知が繰り返された場合、それ以上の駆動モータ52、56の駆動を停止するように制御してもよい。具体的には、使用者がノックをしても扉体40が開かずに使用者に報知しても、その後、さらに報知が繰り返され、所定回数(例えば、5回)に達した場合などである。この制御によれば、駆動モータ52、56のロック電流が繰り返し流れないようにできる。これにより、駆動モータ52、56の過度な温度上昇を防止できる。
さらに、上記報知により、異常発生の原因を見極める必要があることを使用者に知らせることができる。異常発生の原因としては、例えば扉体40が障害物などで動かないのか、駆動モータ52、56またはドア閉検知センサが故障したのか、などである。
つぎに、加速度センサ45を制御に応用する他の実施の態様について、説明する。
上記各実施の形態では、加速度センサ45で検知される信号に基づいて、食器洗い機の洗浄槽33の動作を制御する構成を例に説明したが、これに限られない。加速度センサ45を、例えば食器洗い機の設置時における傾きの検知に用いられる水準器として、応用してもよい。
食器洗い機は、水を使用するため、傾いて設置されると、水漏れなどの不具合が発生する虞がある。そのため、設置時において、食器洗い機の水平状態を確認する必要がある。
そこで、制御部44は、加速度センサ45を水準器として用い、重力とZ軸方向の加速度とのずれを検知する。これにより、食器洗い機の傾きを検知するために、別途、水準器を設ける必要がない。その結果、食器洗い機の設置時における作業性が、向上する。
また、食器洗い機が設置される場所の設置面が、経年変化で傾いた場合、制御部44は、加速度センサ45で傾きを検知する。そして、制御部44は、食器洗い機の設置面の傾きの発生を使用者に報知する。さらに、制御部44は、食器洗い機の運転を停止するように制御する。これにより、使用者は、設置面の傾きを調整しながら、食器洗い機を長期間に亘って、不具合を生じることなく使用できる。
また、制御部44は、加速度センサ45で検知した設置面の傾きの状況を判断し、扉体40の移動速度を変更するように、駆動モータ52、56を制御してもよい。具体的には、設置面が、前方または後方に所定値未満(例えば0.5度以上2度未満)で傾いている場合、通常よりも若干、扉体40の移動速度が遅くなるように制御する。
一方、設置面の傾きが大きい場合(例えば、1度以上2度未満)、水漏れの虞や、駆動装置51に想定以上の負荷がかかる虞がある。この場合、制御部44は、例えば報知部を介して、使用者に知らせ、設置面の修理などの対応を促すことができる。これにより、不具合の発生を未然に防止できる。つまり、洗浄運転に支障がない程度に傾いた設置面に食器洗い機が設置されている場合、制御部44は、扉体40の移動速度が遅くなるように、駆動モータ52、56を制御する。これにより、食器洗い機の安全性を、さらに向上させることができる。
さらに、上記各実施の形態において、制御部44は、加速度センサ45で検知した設置面の傾きが、所定値以上(例えば、2度以上)の場合、駆動モータ52、56を駆動できないように制御してもよい。この制御により、水漏れまたは駆動装置への想定以上の負荷がかかるという不具合が発生する前に、食器洗い機の運転を規制できる。これにより、食器洗い機の安全性が向上する。
また、上記各実施の形態において、加速度センサ45は、洗浄運転時に、洗浄水が洗浄槽33の内壁に衝突して発生する振動を検知するように構成してもよい。この構成によれば、制御部44は、加速度センサ45が検知した振動による加速度の方向や大きさから、以下で説明する洗浄槽33内の状況を、容易に判定できる。具体的には、洗浄ポンプ50が正常に動作しているか否か、洗浄ノズル48が正常に回転しているか否か、を判定できる。さらに、複数の洗浄ノズル48のいずれから洗浄水が噴射されているか否か、食器36がどれくらい収容されているか否か、などを判定できる。これにより、運転の不具合の早期に発見、または洗浄ノズルの噴射方法に応用して洗浄効率を向上させることができる。
また、上記各実施の形態において、制御部44は、以下で説明する状況の場合、駆動モータ52、56または加速度センサ45などが故障していると判断し、異常報知してもよい。具体的には、駆動モータ52、56を駆動する信号を出力したときに、加速度センサ
45からの所定の出力が入力されない場合などにおいて、制御部44は、異常報知する。これにより、駆動装置系統の異常を、使用者に容易に知らせ、対応を促すことができる。
また、上記各実施の形態において、制御部44は、例えば誤出力などの加速度センサ45の異常を検知したとき、洗浄槽33を引き出すように制御してもよい。この制御によれば、加速度センサ45が、使用者によるノックを検知できず、洗浄槽33が引き出されなくなる不具合を、回避できる。さらに、制御部44は、報知部などを介して、加速度センサ45の異常を、使用者に知らせることができる。
なお、上述したように、報知部は、例えば操作部46に設けられ、駆動装置51の動作時の開始、異常の発生などを、使用者などに報知をする。報知部は、音声やブザーなどの合成音で聴覚的に報知するように構成される。これにより、食器洗い機の近くに居る使用者に、容易に、食器洗い機の動作状態などを、知らせることができる。
具体的には、音を介して報知部で報知する場合、制御部44は、ノックなどによる振動を加速度センサ45で検知してから、所定時間T5の経過後に、報知を開始することが好ましい。
この場合、所定時間T5は、0.1秒〜0.6秒が望ましい。通常、使用者は、扉体40をノックする場合、ノックする動作に、意識を集中している。このとき、報知部がノックなどに類似した音を発生させると、所定時間T5が0.1秒未満の場合、ノックによる音と、報知音の最初の部分の音とが重なって聞こえる。そのため、使用者は、報知部の音を聞き取り難いので、判定が困難になる。一方、所定時間T5が0.6秒を超える場合、使用者は、報知部の音を、間延びした印象で聞き取るため、正確な判定がしにくい場合が発生する。そこで、ノックなどによる振動を検知してから、所定時間T5の経過後に、報知部による報知音の発生を開始することが好ましい。これにより、使用者は、自分でノックした音に邪魔されることなく、報知音を正確に聞き取って、判定することができる。
また、報知部は、エラーコードの表示などを、LEDなどのランプの点滅または複数のランプの点灯の組み合わせで、使用者に知らせるように構成してもよい。
また、加速度センサ45に限らず、異常の発生時において、洗浄槽33が自動的に引き出されるように構成してもよい。なお、異常の発生とは、例えば水漏れ、水位異常、洗剤泡の多量発生などが想定される。そのため、それぞれの異常状態に応じた検知方法で検知され、洗浄槽33が自動的に引き出される。これにより、使用者に異常の発生を、視覚的に気付かせることができる。例えば実施の形態1および2の食器洗い機のように、操作部46が筐体31内に隠蔽される構成の場合、洗浄槽33を自動で引き出す構成は、特に好ましい。これにより、使用者は、引き出された操作部46に表示されたエラーコードまたはLEDの表示を容易に確認できる。この場合、洗浄槽33の引き出し量としては、操作部46が視認できる程度であれば、特に制限されない。
また、上記各実施の形態において、食器洗い機に操作信号を送信する、例えばリモコン(図示せず)を、別途、備える構成としてもよい。この場合、制御部44は、リモコンから送信される各種操作信号を受信する。そして、受信した操作信号に基づいて、制御部44は、各部の制御を行う。
例えば、洗浄槽33の引き出し、収納する場合、制御部44は、リモコンから送信される所定の信号を検知する。そして、制御部44は、受信した所定の信号に基づいて、駆動モータ52、56を駆動させ、洗浄槽33を移動させる。この構成によれば、食器洗い機の離れた位置から、洗浄したい時間に応じて、使用者は、食器洗い機を自由に操作するこ
とが可能となる。これにより、食器洗い機の利便性が、さらに向上する。
なお、以上で開示した各実施の形態は、それぞれの組み合わせ可能な実施の形態の構成を、特に限定されることなく、組み合わせてもよい。これにより、同様の効果が得られる。