JP2018093813A - 廃糖蜜を原料とする発酵産生物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】廃糖蜜を発酵原料として使用する発酵産生物を製造する方法であって、一般的な質量流量計を使用しつつ、発酵槽へと供給される廃糖蜜量を正確に測定し得る方法を提供すること。
【解決手段】貯留槽から抜き出された廃糖蜜と水とを配管内で撹拌装置によって混合して廃糖蜜を希釈する。撹拌装置と発酵槽との間の配管に第一質量流量計を設け、撹拌装置の上流側配管に供給される水の配管に第二質量流量計又は体積流量計を設ける。第一質量流量計によって希釈廃糖蜜の質量流量及び密度を連続的に測定することにより、発酵槽へと供給される希釈廃糖蜜の質量Pを算出し、第二質量流量計又は体積流量計によって水の質量流量及び密度を連続的に測定することにより、発酵槽へと供給される水の質量Qを算出する。(式)R=P−Qから発酵槽へと供給される廃糖蜜の質量Rを積算することにより、発酵槽に供給された廃糖蜜の合計質量を算出し得る。
【選択図】図3
【解決手段】貯留槽から抜き出された廃糖蜜と水とを配管内で撹拌装置によって混合して廃糖蜜を希釈する。撹拌装置と発酵槽との間の配管に第一質量流量計を設け、撹拌装置の上流側配管に供給される水の配管に第二質量流量計又は体積流量計を設ける。第一質量流量計によって希釈廃糖蜜の質量流量及び密度を連続的に測定することにより、発酵槽へと供給される希釈廃糖蜜の質量Pを算出し、第二質量流量計又は体積流量計によって水の質量流量及び密度を連続的に測定することにより、発酵槽へと供給される水の質量Qを算出する。(式)R=P−Qから発酵槽へと供給される廃糖蜜の質量Rを積算することにより、発酵槽に供給された廃糖蜜の合計質量を算出し得る。
【選択図】図3
Description
本発明は、廃糖蜜を水で希釈した後、発酵槽内で糖を発酵させ、エタノール、乳酸又はアミノ酸のような発酵産生物(バイオマテリアル)を製造する方法に関する。
廃糖蜜(モラセス、英語:molasses)は、砂糖を原料(例えば、サトウキビ又はテンサイ)から精製する際に発生する、糖類以外の成分も含有した粘性で黒褐色の液体である。廃糖蜜は、食品廃材の一種ではあるが、アミノ酸、工業用アルコール、焼酎甲類のような製品の原料として需要がある。また、パン酵母の生産にも使用される。
粘性が30cP(センチポアズ)以下の低粘性液体では、配管流速を2〜3m/sとしても圧力損失は小さいが、廃糖蜜の原液は、常温では粘度が約2万cPと高く、ポンプによって移送する場合には圧力損失及びポンプ動力が大きい。圧力損失及びポンプ動力を抑制するためには、配管流速は0.5m/s程度以下にする必要があり、それに伴い配管の口径を大きくする必要がある。非特許文献1は、製糖工場において廃糖蜜生産量をコリオリ流量計によって測定することを提案している。
P. W. Rein, D. J. Muzzell and N. Dolan, "THE USE OF A CORIOLIS FLOW METER FOR MEASURING MOLASSES PRODUCTION IN A SUGAR MILL", Journal American Society Sugar Cane Technologists, Vol.25, 2005, p129-142
発酵槽へと供給される廃糖蜜量を質量流量計によって正確に測定することにより、原料及び生産物の物質収支を正確に把握することが可能である。廃糖蜜を発酵原料として使用する従来のプラントにおいては、廃糖蜜を貯留槽に貯留する際、又は廃糖蜜を発酵槽に供給する際に、ロードセルを使用して廃糖蜜の質量を測定することが一般的であった。しかし、ロードセルを使用して質量を測定する場合には、貯留槽手前にロードセルを備えた測定タンクを別途設けたり、発酵槽を架台上に設置したりする必要があった。また、ロードセルは、定期的(一般的には1ヶ月に1回程度)に校正する必要もある。
廃糖蜜の原液を17t/h程度の流量で、配管及びポンプを用いて移送する場合、配管口径は200A〜300A程度としなければ、高い圧力損失のために移送することができない。ところが、市販されている質量流量計は、配管口径が最大でも150A(ミリメートル径/インチ径では6B)程度までしか対応しておらず、100A(ミリメートル径/インチ径では4B)を超える市販品は一般的には高額である。このため、配管口径200A(ミリメートル径/インチ径では8B)〜300A(ミリメートル径/インチ径では12B)程度に対応した質量流量計は、特注品として作製せざるを得ず、非常に高額な測定器となってしまう。
その一方、市販品の質量流量計を使用しようとすれば、質量流量計を取り付ける配管口径を100A以下にしなければならない。しかし、質量流量計に合わせて配管口径を小さくすると、廃糖蜜は粘度が高いために、圧力損失が大きくなってしまう。また、質量流量計は、検出部の流路が狭いために、装置内部の圧力損失も大きい。さらに、廃糖蜜の送液ポンプには、一般的にリューベポンプ(lube pump)又はギアポンプ等が使用されるが、吐出圧力は1MPa程度が上限であり、圧力損失が大きい場合は、送液するポンプが特殊品となり高額となる。従って、非特許文献1のように、質量流量計を使用して廃糖蜜の質量を測定する場合には、測定器とポンプの価格が高額になることと、圧力損失が大きいという問題があり、大規模な生産プラントには応用し難いのが実情であった。
上述したように、廃糖蜜は、砂糖を原料(例えば、サトウキビ又はテンサイ)から精製する際に発生する副産物であり、糖蜜に含まれる糖濃度は一定ではなく、変動することが知られている。糖濃度の変動によって、発酵槽へ供給される糖濃度がそれぞれの発酵に適した濃度にならない場合がある。例えば、糖濃度が高すぎる場合には、生成物濃度が高くなり、発酵微生物の活性が生成物によって低下することがあり得る。逆に、糖濃度が低すぎる場合には、発酵以降の精製工程で生産ロスが増加する等の悪影響が生じ得る。
本発明は、廃糖蜜を発酵原料として使用する発酵産生物を製造する方法であって、一般的な質量流量計を使用しつつ、発酵槽へと供給される廃糖蜜量を正確に測定し、かつ供給希釈糖蜜の糖濃度の変動を抑制し得る方法の提供を目的とする。
本発明者等は、大規模な生産プラントにおいても、発酵槽へと供給される廃糖蜜量を質量流量計によって正確に測定するための手段について、鋭意検討を続けた。その結果、本発明者等は、廃糖蜜貯留槽から廃糖蜜を取り出す配管に希釈水の配管を接続し、その後、撹拌機を用いて撹拌することによって廃糖蜜を希釈し、撹拌機の下流側配管に質量流量計を設ける構成とすれば、質量流量計を設ける配管を100A以下として、一般的な質量流量計によって希釈廃糖蜜の質量を測定し得ることを見出した。また、本発明者等は、質量流量計の下流側に屈折率計を設けることにより、希釈廃糖蜜の糖濃度の変動を抑制し得ることも見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的に、本発明は、
廃糖蜜を発酵させることによって発酵産生物を製造する方法であって、
前記方法は、
貯留槽に貯留された廃糖蜜を水で希釈した後、配管を通じて発酵槽内へと供給する工程Aと、
発酵槽内の希釈廃糖蜜を発酵させてバイオマテリアルを産生する工程Bとを有し、
前記工程Aにおいては、
貯留槽から抜き出された廃糖蜜と水とを配管内で撹拌装置によって混合して廃糖蜜を希釈し、
前記撹拌装置と前記発酵槽との間の配管に第一質量流量計を設け、
前記撹拌装置の上流側配管に供給される水の配管に第二質量流量計又は体積流量計と水温計を設け、
前記第一質量流量計によって希釈廃糖蜜の質量流量及び密度を連続的に測定することにより、前記発酵槽へと供給される希釈廃糖蜜の質量Pを算出し、
前記第二質量流量計又は体積流量計と水温計によって水の質量流量及び密度を連続的に測定することにより、前記発酵槽へと供給される水の質量Qを算出し、
(式)R=P−Qから前記発酵槽へと供給される廃糖蜜の質量Rを積算することにより、前記発酵槽内に供給された廃糖蜜の合計質量を算出する、ことを特徴とする方法に関する。
廃糖蜜を発酵させることによって発酵産生物を製造する方法であって、
前記方法は、
貯留槽に貯留された廃糖蜜を水で希釈した後、配管を通じて発酵槽内へと供給する工程Aと、
発酵槽内の希釈廃糖蜜を発酵させてバイオマテリアルを産生する工程Bとを有し、
前記工程Aにおいては、
貯留槽から抜き出された廃糖蜜と水とを配管内で撹拌装置によって混合して廃糖蜜を希釈し、
前記撹拌装置と前記発酵槽との間の配管に第一質量流量計を設け、
前記撹拌装置の上流側配管に供給される水の配管に第二質量流量計又は体積流量計と水温計を設け、
前記第一質量流量計によって希釈廃糖蜜の質量流量及び密度を連続的に測定することにより、前記発酵槽へと供給される希釈廃糖蜜の質量Pを算出し、
前記第二質量流量計又は体積流量計と水温計によって水の質量流量及び密度を連続的に測定することにより、前記発酵槽へと供給される水の質量Qを算出し、
(式)R=P−Qから前記発酵槽へと供給される廃糖蜜の質量Rを積算することにより、前記発酵槽内に供給された廃糖蜜の合計質量を算出する、ことを特徴とする方法に関する。
非特許文献1に開示されている方法では、廃糖蜜貯留槽から廃糖蜜を取り出して発酵槽へと供給する配管に質量流量計を設ける構成となっている。この構成では、質量流量計によって廃糖蜜原液の質量を測定することになるため、配管口径を100A以下とすれば、廃糖蜜の供給量を少なくせざるを得ない。しかし、廃糖蜜及び希釈水の配管を接続し、その下流側に撹拌機を設けて希釈廃糖蜜とした後、撹拌機下流側配管に質量流量計(第一質量流量計)を設ける構成とすることにより、配管内を流れる液体の粘度が低下しているため、第一質量流量計を設ける配管を口径100A以下としても圧力損失は小さくて済む。また、第一質量流量計内部の圧力損失も小さく、発酵槽へと供給される希釈廃糖蜜の質量Pを連続的に測定し得る。
希釈水を供給する配管には第二質量流量計又は体積流量計を設け、発酵槽へと供給される水の質量Qを連続的に測定する。(質量P−質量Q)から発酵槽へと供給された廃糖蜜原液の質量Rを連続的に算出する。R値を積算することにより、発酵槽内の廃糖蜜原液の実際の質量を正確に把握することが可能となる。
希釈水を供給する配管においては、水温を測定していれば体積流量から容易に質量を算出できるため、質量流量計に変えて体積流量計を設けてもよい。
前記撹拌装置は、スタティックミキサー又はインライン撹拌機であることが好ましい。
配管内で廃糖蜜原液と希釈水とを撹拌して2.0〜3.0倍程度に希釈された希釈廃糖蜜を調製するためには、スタティックミキサー又はインライン撹拌機が好適である。
前記質量Rの値に基づいて、前記撹拌装置の上流側配管に供給される水量を調整し、前記撹拌装置から前記発酵槽へと供給される廃糖蜜の希釈倍率を一定に調整することが好ましい。
前記第一質量流量計と前記発酵槽の間の配管に屈折率計を設け、
前記質量Rの値及び希釈廃糖蜜の屈折率に基づいて、前記撹拌装置の上流側配管に供給される水量を調整し、前記撹拌装置から前記発酵槽へと供給される廃糖蜜の屈折率を一定に調整することも好ましい。
前記質量Rの値及び希釈廃糖蜜の屈折率に基づいて、前記撹拌装置の上流側配管に供給される水量を調整し、前記撹拌装置から前記発酵槽へと供給される廃糖蜜の屈折率を一定に調整することも好ましい。
糖濃度と屈折率は、ある程度の相関性を有するため、供給希釈糖蜜の糖濃度の変動を小さくするために、質量R及び希釈廃糖蜜の屈折率に基づいて、撹拌装置の上流側配管に供給される水量を調整し、撹拌装置から発酵槽へと供給される廃糖蜜原液の屈折率を一定に調整することが好ましい。
本発明によれば、発酵槽へと供給される希釈廃糖蜜の質量を正確に把握できる。また、本発明によれば、発酵槽へと供給される希釈廃糖蜜の密度も連続的に測定可能であるため、発酵槽の差圧式レベル計の測定値を連続的に補正し、希釈廃糖蜜の液レベルを正確に把握することもできる。
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の記載に限定されない。
<従来例1>
図1は、従来の発酵産生物製造方法における概略装置構成図の一例を示す。発酵原料である廃糖蜜原液は、廃糖蜜貯留槽1に一旦貯留されている。貯留槽1内の廃糖蜜は、貯留槽1下部に接続されている配管2から取り出され、ポンプP1によって発酵槽3へと供給される。発酵槽3には、廃糖蜜を希釈するための希釈水を供給する配管4も接続されており、発酵槽3内で廃糖蜜が希釈される。発酵槽3は、架台6上に設置されており、ロードセル5も設けられている。
図1は、従来の発酵産生物製造方法における概略装置構成図の一例を示す。発酵原料である廃糖蜜原液は、廃糖蜜貯留槽1に一旦貯留されている。貯留槽1内の廃糖蜜は、貯留槽1下部に接続されている配管2から取り出され、ポンプP1によって発酵槽3へと供給される。発酵槽3には、廃糖蜜を希釈するための希釈水を供給する配管4も接続されており、発酵槽3内で廃糖蜜が希釈される。発酵槽3は、架台6上に設置されており、ロードセル5も設けられている。
配管2を通じて発酵槽3へと供給された廃糖蜜の質量は、ロードセル5によって測定される。すなわち、廃糖蜜供給後の測定値から廃糖蜜供給前の測定値を減算することにより、発酵槽3内に供給された廃糖蜜質量を算出することが可能である。
配管4を通じて発酵槽3へと供給された希釈水の質量は、希釈水供給後のロードセル5の測定値から廃糖蜜供給後のロードセル5の測定値を減算することにより算出することが可能である。
図1に示される装置構成では、発酵槽3にロードセル5を設けるために、発酵槽3を架台6上に設置しなければならず、大型の発酵槽3を使用する場合には、設置コストが高くなる。また、ロードセル5を定期的に校正する必要もある。さらに、発酵槽3内には廃糖蜜原液と希釈水を同時に供給すると、廃糖蜜原液だけの質量を正確に把握することができないという欠点もある。
<従来例2>
図2は、従来の発酵産生物製造方法における概略装置構成図の別例を示す。図2においては、廃糖蜜は貯留槽11に貯留される。貯留槽11内の廃糖蜜は、貯留槽11下部に接続されている配管12から取り出され、ポンプP2によって撹拌機13へと供給される。ポンプP2の下流側配管には、質量流量計14及び逆止弁19が設けられており、配管12内を移送される廃糖蜜原液の質量を連続的に測定する。撹拌機13は、スタティックミキサー又はインライン撹拌機である。
図2は、従来の発酵産生物製造方法における概略装置構成図の別例を示す。図2においては、廃糖蜜は貯留槽11に貯留される。貯留槽11内の廃糖蜜は、貯留槽11下部に接続されている配管12から取り出され、ポンプP2によって撹拌機13へと供給される。ポンプP2の下流側配管には、質量流量計14及び逆止弁19が設けられており、配管12内を移送される廃糖蜜原液の質量を連続的に測定する。撹拌機13は、スタティックミキサー又はインライン撹拌機である。
配管12には、撹拌機13の上流側に希釈水の供給配管15が接続されている。配管15には、水温計16、体積流量計17及び逆止弁18が設けられている。配管15を経て撹拌機13へと供給される希釈水の質量は、体積流量計17の測定値及び水温計16の測定値に基づいて算出される。撹拌機13へと供給される廃糖蜜は、ポンプP2の回転数を制御することによって調整可能である。撹拌機13へと供給される希釈水は、流量調整弁23の開閉を制御することによって調整可能である。撹拌機13によって廃糖蜜原液と希釈水とが混合され、希釈廃糖蜜は、撹拌機13下流側の配管20を経て発酵槽21へと供給される。発酵槽21内に供給された希釈廃糖蜜の液量は、差圧式レベル計22によって測定される。
体積流量計17に変えて質量流量計を使用してもよい。その場合、水温計16は不要となる。
図2に示される装置構成では、配管12内を移送される廃糖蜜原液の流量を質量流量計14によって測定するが、市販の質量流量計を使用するならば配管12の口径を100A以下にする必要を生じ、配管12における圧力損失が大きい。一方、圧力損失を抑制するために配管12の口径を200A以上とすれば、質量流量計を特別に作製しなければならず、その価格が高騰する。
<本発明の実施形態>
図3は、本発明の発酵産生物製造方法における概略装置構成図の一例を示す。ここでは、図2に示される構成図との相違点について説明する。貯留槽31内の廃糖蜜は、貯留槽31下部に接続されている配管32から取り出され、ポンプP3によって撹拌機33へと供給される。配管32には、撹拌機33の上流側に希釈水の供給配管34が接続されている。
図3は、本発明の発酵産生物製造方法における概略装置構成図の一例を示す。ここでは、図2に示される構成図との相違点について説明する。貯留槽31内の廃糖蜜は、貯留槽31下部に接続されている配管32から取り出され、ポンプP3によって撹拌機33へと供給される。配管32には、撹拌機33の上流側に希釈水の供給配管34が接続されている。
撹拌装置33の下流側には質量流量計41(第一質量流量計)が設けられており、撹拌機によって調製された希釈廃糖蜜は、配管39b→配管40a→質量流量計41→配管40b→配管43を経て、発酵槽44へと供給される。配管40a及び40bは、他の配管よりも口径が小さく、150A以下であってもよく、好ましくは100A以下であってもよい。配管39bと配管40a、配管40bと配管43とは、それぞれ継手42a及び42bによって接続されている。
図3に示される装置構成では、質量流量計41は、粘度が低下した希釈廃糖蜜の質量を測定するため、質量流量計41前後の配管40a及び40bを口径100A以下にしても、配管内の圧力損失は小さい。そのため、配管40a及び40bのみ口径100A以下として、質量流量計41として安価な市販品を使用し得る。すなわち、配管40a及び40bを口径100A以下とし、それ以外の配管は口径をより大きくすることで、配管内の圧力損失を抑制し得る。特に、廃糖蜜原液を移送する配管口径を200A〜300A以上とすることで、廃糖蜜原液移送時の圧力損失を大幅に抑制し、流量の拡大が図れる。質量流量計は一般的に前後に直管長が不要であるため、配管40a及び40bの長さは、圧力損失を抑えるために最小限の長さとしてよい。
撹拌機33へと供給される廃糖蜜原液と希釈水は、質量基準で廃糖蜜原液が2.0倍〜3.0倍程度に希釈されるように調整されることが好ましい。その場合、希釈廃糖蜜の粘度は15cP〜30cP程度にまで低下するため、配管流速を2〜3m/s程度とすることが可能となる。
質量流量計41によって希釈廃糖蜜の質量流量及び密度を連続的に測定することにより、発酵槽44へと供給される廃糖蜜の質量Pを算出し得る。体積流量計36及び水温計35によって水の質量流量及び密度を連続的に算出することにより、発酵槽44へと供給される水の質量Qを算出し得る。そして、R=P−Q式から発酵槽44へと供給された廃糖蜜原液の質量Rを積算することにより、発酵槽44内に供給された廃糖蜜原液の合計質量を算出することが可能であり、発酵槽44における発酵工程に関し、原料及び産生物の物質収支を正確に把握することが可能となる。水温計35及び体積流量計36を設ける代わりに、質量流量計(第二質量流量計)を設けてもよい。
発酵槽44の液レベル(液面高さ)を把握するために、発酵槽44が大型である場合には、差圧式レベル計45を設置して、液レベルを測定するのが一般的である。差圧式レベル計は、予め計器に入力された密度と流体の密度が異なる場合、液レベルに誤差が生じることが知られているため、液レベルを補正するためには、流体の密度を測定する必要がある。
発酵槽44の差圧式レベル計45は、発酵槽44内の流体(希釈廃糖蜜)の密度が設定値と異なると、液レベルに誤差を生じる。廃糖蜜原液は、同じ製糖工場等においても日時が異なれば成分が変動し、密度も変化する。発酵槽44内の希釈廃糖蜜レベルを正確に測定するためには、発酵槽44に密度計を設けるか、定期的に発酵槽44内の希釈廃糖蜜を採取して密度を測定する必要がある。しかし、本発明では、希釈廃糖蜜の密度を質量流量計41によって連続的に測定できるため、密度計を新たに設けることなく、差圧式レベル計45の測定値を連続的に補正することが可能である。
図3に示される装置構成では、貯留槽31及び発酵槽44にロードセルを設ける必要がないため、槽(タンク)の設備費用が安く、大型の槽を使用することも容易である。また、質量流量計41の点検及び清掃も容易であり、質量流量計41も安価な市販品で足りる。
図3においては、質量流量計41と発酵槽44との間の配管43に屈折率計46が設けられている。屈折率計46は、本発明の実施形態としては任意の構成である。糖濃度と屈折率は、ある程度の相関性を有するため、希釈糖蜜の糖濃度の変動を小さくするためには、質量R及び希釈廃糖蜜の屈折率に基づいて、撹拌装置の上流側配管に供給される水量を調整し、撹拌装置から発酵槽へと供給される廃糖蜜原液の屈折率を一定に調整することが好ましい。
希釈率が一定の範囲内となるように、流量調整弁49の開度を制御して、希釈水量を調整する。屈折率計46を設けている場合、屈折率が一定の範囲から逸脱した場合は、廃糖蜜のロットが異なる等の理由から、廃糖蜜の糖濃度が変化している可能性がある。そのような場合には、警報を発報して、廃糖蜜の発酵槽44への供給を一時停止し、廃糖蜜の糖濃度を再分析して希釈率を再決定する等の対応を取ることが好ましい。
屈折率計46の測定値(屈折率)が一定の範囲内となるように、流量調整弁49の開度を制御して、希釈水量を調整してもよい。希釈率が一定の範囲から逸脱した場合も、警報を発報して、廃糖蜜の発酵槽44への供給を一時停止し、廃糖蜜の糖濃度を再分析して屈折率を再決定する等の対応を取ることが好ましい。
図4は、本発明の発酵産生物製造方法における概略装置構成図の別の一例を示す。図4に示される装置構成は、屈折率計46の設置場所が異なる以外、図3に示される装置構成と同じであるため、ここでは相違点についてのみ説明する。
図4においては、質量流量計41の下流側配管43にバイパス配管47が接続されており、バイパス配管47に屈折率計46が設けられている。屈折率計46は、質量流量計41と同様、配管口径が小さな配管に取り付け可能な小型の汎用機種は、価格が安く入手も容易である。屈折率計46を安価な機種にするためには、配管43よりも配管口径が小さなバイパス配管47に設けることが好ましい。継手48a及び48bの間の配管だけ、配管43よりも配管口径が小さな配管としてもよい。
本発明の発酵産生物を製造する方法は、廃糖蜜を原料とするバイオマテリアル製造分野において有用である。
1,11,31:貯留槽(廃糖蜜原液貯留槽)
2,12,32:配管
3,21,44:発酵槽
4,15,34:配管(希釈水供給配管)
16,35:水温計
17,36:体積流量計
5:ロードセル
6:架台
13,33:撹拌機
14,41:質量流量計
18,19,37,38:逆止弁
20,43:配管
39a,39b,40a,40b:配管
42a,42b,48a,48b:継手
22,45:差圧式レベル計
46:屈折率計
47:バイパス配管
23,49:流量調整弁
2,12,32:配管
3,21,44:発酵槽
4,15,34:配管(希釈水供給配管)
16,35:水温計
17,36:体積流量計
5:ロードセル
6:架台
13,33:撹拌機
14,41:質量流量計
18,19,37,38:逆止弁
20,43:配管
39a,39b,40a,40b:配管
42a,42b,48a,48b:継手
22,45:差圧式レベル計
46:屈折率計
47:バイパス配管
23,49:流量調整弁
Claims (4)
- 廃糖蜜を発酵させることによって発酵産生物を製造する方法であって、
前記方法は、
貯留槽に貯留された廃糖蜜を水で希釈した後、配管を通じて発酵槽内へと供給する工程Aと、
発酵槽内の希釈廃糖蜜を発酵させてバイオマテリアルを産生する工程Bとを有し、
前記工程Aにおいては、
貯留槽から抜き出された廃糖蜜と水とを配管内で撹拌装置によって混合して廃糖蜜を希釈し、
前記撹拌装置と前記発酵槽との間の配管に第一質量流量計を設け、
前記撹拌装置の上流側配管に供給される水の配管に第二質量流量計又は体積流量計と水温計を設け、
前記第一質量流量計によって希釈廃糖蜜の質量流量及び密度を連続的に測定することにより、前記発酵槽へと供給される希釈廃糖蜜の質量Pを算出し、
前記第二質量流量計又は体積流量計と水温計によって水の質量流量及び密度を連続的に測定することにより、前記発酵槽へと供給される水の質量Qを算出し、
(式)R=P−Qから前記発酵槽へと供給される廃糖蜜の質量Rを積算することにより、前記発酵槽内に供給された廃糖蜜の合計質量を算出する、ことを特徴とする、方法。 - 前記撹拌装置がスタティックミキサー又はインライン撹拌機である、請求項1に記載の方法。
- 前記質量Rの値に基づいて、前記撹拌装置の上流側配管に供給される水量を調整し、前記撹拌装置から前記発酵槽へと供給される廃糖蜜の希釈倍率を一定に調整する、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記第一質量流量計と前記発酵槽の間の配管に屈折率計を設け、
前記質量Rの値及び希釈廃糖蜜の屈折率に基づいて、前記撹拌装置の上流側配管に供給される水量を調整し、前記撹拌装置から前記発酵槽へと供給される廃糖蜜の屈折率を一定に調整する、請求項1又は2に記載の方法。
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JP2016243105A JP2018093813A (ja) | 2016-12-15 | 2016-12-15 | 廃糖蜜を原料とする発酵産生物の製造方法 |
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Cited By (2)
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CN109628650A (zh) * | 2019-01-23 | 2019-04-16 | 钦州中誉仪器有限公司 | 糖蜜稀释自动控制系统及方法 |
CN114294902A (zh) * | 2021-12-10 | 2022-04-08 | 扬中市威柯特生物工程设备有限公司 | 用于发酵设备的贮冷系统 |
-
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- 2016-12-15 JP JP2016243105A patent/JP2018093813A/ja active Pending
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