JP2018092960A - 洗浄用組成物および洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】配線基板上の金属酸化膜や有機残渣を効率的に除去することができる洗浄用組成物及びそれを用いた洗浄方法を提供する。【解決手段】式(1)及び式(2)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種類以上の化合物と、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基よりなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する水溶性高分子を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、洗浄用組成物およびそれを用いた洗浄方法に関する。
CMP(Chemical Mechanical Polishing)は、半導体装置の製造における平坦化技術などで急速な普及を見せてきた。このCMPは、被研磨体を研磨パッドに圧着し、研磨パッド上に化学機械研磨用水系分散体を供給しながら被研磨体と研磨パッドとを相互に摺動させて、被研磨体を化学的かつ機械的に研磨する技術である。
近年、半導体装置の著しい高集積化に伴い、極微量の不純物による汚染であっても装置の性能、ひいては製品の歩留まりに大きく影響するようになってきた。例えばCMPを終えた未洗浄の8インチウエハの表面上では、0.2μm以上のパーティクル数は1万個以上を数えるが、洗浄によりパーティクルを数個から数十個まで除去することが要求されている。また、金属不純物の表面濃度(1平方センチメートル当たりの不純物原子の数)は1011から1012以上であるが、洗浄により1×1010以下まで除去することが要求されている。このため、CMPを半導体装置の製造へ導入することにおいて、CMP後の洗浄は避けて通れない必須の工程となっている。
一方、半導体装置における配線基板には、配線材料と、該配線材料の無機材料膜への拡散を防止するためのバリアメタル材料と、が含まれている。配線材料としては銅やタングステンが、バリアメタル材料としては窒化タンタルや窒化チタンが主に使用されてきた。例えば、銅と窒化タンタル、窒化チタンが表面に共存する配線基板では、配線材料およびバリアメタル材料の両方を腐食することなく、配線基板表面の銅酸化膜や有機残渣を取り除く必要があった。そのため、バリアメタル材料の腐食を抑制できる酸性洗浄剤が使用されることが多く、この酸性洗浄剤が主流となっていた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、20nmのような先端ノードの半導体基板においては、銅配線が微細化され、これまでに大きな問題とはならなかった酸性溶液によるpitの発生がYieldに大きな影響を及ぼすようになった。そこで最近では、中性からアルカリ性の洗浄剤が使用され始めている(例えば、特許文献2参照)。
また、特許文献3には、複素環化合物により銅表面を保護する洗浄剤が開示されている。
また、特許文献4には、アミノ酸(A)、脂肪族アミン(B)および水を必須成分とすることを特徴とする洗浄剤が開示されている。
また、特許文献5には、アミンと水溶性高分子を必須成分とすることを特徴とする洗浄剤が開示されている。
特開2010−258014号公報 特開2009−055020号公報 特表2010−527405号公報 特開2013−157516号公報 特許3891768号公報
しかしながら、従来の洗浄剤では、異物の除去や金属配線の溶出防止に対しては十分ではなく、大きな問題となっていた。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上記課題の少なくとも一部を解決することで、配線基板に用いられる配線材料およびバリアメタル材料の腐食や欠陥の発生を同時に抑制すると共に、配線基板上の金属酸化膜や有機残渣を効率的に除去することができる洗浄用組成物、およびそれを用いた洗浄方法を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る配線基板の洗浄用組成物の一態様は、
(A)下記式(1)および式(2)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種類以上の化合物と、
(B)カルボキシル基、スルホ基、アミノ基よりなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する水溶性高分子、
とを含有することを特徴とする。
(式(1)中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基およびヘテロ原子を有する炭素数1〜20の有機基からなる群から選択されるいずれかの官能基を示す。)
(式(2)中、Rは、炭素数1〜20の有機基を示す。)
[適用例2]
適用例1の洗浄用組成物において、
さらに(C)アミン化合物を含有することができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2の洗浄剤組成物において、
pHが9以上であることができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例の洗浄剤組成物において、
前記(A)成分が、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、アルギニン、リシン、2−アミノ‐3−アミノプロパン酸、およびヒドロキシフェニル乳酸よりなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか一例の洗浄剤組成物において、
前記(B)成分が、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、およびスチレンスルホン酸、またはこれらの誘導体を繰り返し単位として含む水溶性高分子よりなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
[適用例6]
適用例2ないし適用例5のいずれか一例の洗浄剤組成物において、
前記(C)成分が、アルカノールアミンであることができる。
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか一例の洗浄剤組成物において、
前記配線基板は、銅またはタングステンからなる配線材料と、タンタル、チタン、コバルト、ルテニウム、マンガン、およびこれらの化合物よりなる群から選択される少なくとも1種からなるバリアメタル材料と、を被洗浄面に含むことができる。
[適用例8]
適用例7の洗浄剤組成物において、
前記被洗浄面は、前記配線材料と前記バリアメタル材料とが接触する部分を含むことができる。
[適用例9]
本発明に係る洗浄方法の一態様は、
配線材料が銅またはタングステンからなり、バリアメタル材料がタンタル、チタン、コバルト、ルテニウム、マンガン、およびこれらの化合物よりなる群から選択される少なくとも1種からなる配線基板を、適用例1ないし適用例8のいずれか一例に記載の洗浄用組成物を用いて洗浄する工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る洗浄用組成物によれば、配線基板に用いられる配線材料およびバリアメタル材料の腐食や欠陥の発生を同時に抑制すると共に、配線基板上の金属酸化膜や有機残渣を効率的に除去することができる。
本実施形態に係る洗浄方法に用いられる配線基板の作製プロセスを模式的に示す断面図である。 本実施形態に係る洗浄方法に用いられる装置を模式的に示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.洗浄用組成物
本発明の一実施形態に係る洗浄用組成物は、(A)下記式(1)および式(2)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種類以上の化合物(以下「A成分」ともいう)、(B)カルボキシル基、スルホ基、アミノ基よりなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する水溶性高分子(以下「B成分」ともいう)を含むことを特徴とする。
(式(1)中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基およびヘテロ原子を有する炭素数1〜20の有機基からなる群から選択されるいずれかの官能基を示す。)
(式(2)中、Rは、炭素数6〜20の有機基を示す。)
本実施形態に係る洗浄用組成物は、主にCMP終了後の配線材料およびバリアメタル材料の表面に存在するパーティクルや金属不純物を除去するための洗浄剤として使用することができる。本実施形態に係る洗浄用組成物を使用することで、配線材料およびバリアメタル材料の腐食や欠陥の発生を同時に抑制すると共に、配線基板上の酸化膜や有機残渣を効率的に除去することができる。本実施形態に係る洗浄用組成物は、配線材料として銅、バリアメタル材料としてコバルトおよび/または窒化タンタルが共存する配線基板について洗浄処理を行った際に、特に優れた効果を発揮する。以下、本実施形態に係る洗浄用組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
1.1.(A)成分
本実施形態に係る洗浄用組成物は、(A)成分を含有する。(A)成分は、銅表面と錯体を形成する能力を有する。(A)成分を添加することにより銅表面に銅錯体層が形成され、さらにその(A)成分と後述する(B)成分と相互作用することにより(B)成分の銅表面への吸着を促進する。
(A)成分は、下記式(1)および式(2)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種類以上の化合物である。また、式(1)および式(2)で表される化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いても良い。
(式(1)中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基およびヘテロ原子を有する炭素数1〜20の有機基からなる群から選択されるいずれかの官能基を示す。)
(式(2)中、Rは、炭素数1〜20の有機基を示す。)
上記式(1)中のRにおける炭素数1〜10の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数1〜10の環状飽和炭化水素基等を挙げることができ、この中でも炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。
上記式(1)中のRにおけるヘテロ原子を有する炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばカルボキシ基を有する炭素数1〜20の炭化水素基、ヒドロキシル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基、アミノ基を有する炭素数1〜20の炭化水素基、複素環基を有する炭素数1〜20の有機基等を挙げることができ、このいずれも好適に用いることができる。
上記式(1)で表される化合物としては、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、アルギニン、リシン、2−アミノ−3−アミノプロパン酸等を挙げることができ、これらのうちセリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、アルギニン、リシン、2−アミノ−3−アミノプロパン酸であることが好ましい。上記例示した化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いても良い。
上記式(2)中のRにおける炭素数1〜20の有機基としては、例えば炭素数6〜20の飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の不飽和脂肪族炭化水素基、環状飽和炭化水素基を有する炭素数6〜20の有機基、不飽和環状炭化水素基を有する炭素数6〜20の有機基、カルボキシ基を有する炭素数1〜20の炭化水素基、ヒドロキシル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基、アミノ基を有する炭素数1〜20の炭化水素基、複素環基を有する炭素数1〜20の有機基等を挙げることができ、この中でも不飽和環状炭化水素基を有する炭素数6〜20の有機基またはカルボキシ基を有する炭素数1〜20の炭化水素基が好ましく、アリール基を有する炭素数6〜20の有機基またはカルボキシメチル基が特に好ましい。ただし、式(2)で表される化合物は、上記式(1)で表される化合物を除くものである。
上記式(2)で表される化合物としては、ヒドロキシフェニル乳酸、ヒドロキシマロン酸等を挙げることができ、これらのうちヒドロキシフェニル乳酸であることが好ましい。上記例示した化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いても良い。
(A)成分の含有割合は、洗浄用組成物の全質量に対して、好ましくは0.0001質量%以上1質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以上0.5質量%以下、特に好ましくは0.001質量%以上0.1質量%以下である。(A)成分の含有割合が前記範囲である場合には、配線材料表面に付着した不純物を除去すると共に、銅表面と十分に錯体を形成することができる。また、過度のエッチングが進行することなく、良好な銅表面を得ることが出来る。
1.2.(B)成分
本実施形態に係る洗浄用組成物は、(B)成分を含有する。(B)成分は、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基よりなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する水溶性高分子である。(B)成分は、被研磨面の表面に吸着して腐食を低減させる機能を有している。そのため、洗浄用組成物に(B)成分を添加すると、被研磨面の腐食を低減させることができる。
なお、本発明において「水溶性」とは、20℃の水100gに溶解する質量が0.1g以上であることをいう。
(B)成分としては、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基よりなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する水溶性高分子であれば特に限定されない。(B)成分で使用される重合体は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、スチレンスルホン酸、またはこれらの誘導体を繰り返し単位として含む共重合体等が挙げられる。これらの繰り返し単位は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(B)成分の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは2000以上150万以下、より好ましくは3000以上120万以下であることが好ましい。なお、本明細書中における「重量平均分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定されたポリエチレングリコール換算の重量平均分子量のことを指す。
(B)成分の含有量は、洗浄用組成物の常温における粘度が2mPa・s以下となるように調整するとよい。洗浄用組成物の常温における粘度が2mPa・sを超えると、粘度が高くなりすぎることで研磨布上に安定して供給で平均分子量や含有量によりほぼ決定されるので、それらのバランスを考慮しながら調整するとよい。
(B)成分の含有割合は、洗浄用組成物の全質量に対して、好ましくは0.0001質量%以上1質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以上0.5質量%以下、特に好ましくは0.001質量%以上0.1質量%以下である。(B)成分の含有割合が前範囲にあると、腐食の抑制とCMPスラリー中に含まれていたパーティクルや金属不純物を配線基板上から除去する効果の両立が可能となり、より良好な被洗浄面が得られやすい。
より詳細には、(A)成分が被処理面に錯体を形成し、さらに(B)成分と水素結合することによって(B)成分の銅表面への吸着を促進する。この結果、化学機械研磨用水系分散体を用いて銅等の被処理面を化学機械研磨する際に、エッチング剤であるアミン化合物等により、被処理面が必要以上に腐食されることを抑制する。
このような発現機構により、本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体では、(A)成分および(B)成分をそれぞれ単独で腐食抑制剤として用いる場合と比較して、飛躍的に被処理面の腐食抑制効果が大きくなる。このように、本発明の実施形態による化学機械研磨用水系分散体では、錯形成剤である(A)成分および水溶性重合体である(B)成分の共存により、被処理面の腐食抑制が実現される。
1.3.(C)アミン化合物
本実施形態に係る洗浄用組成物は、(C)アミン化合物をさらに含有していてもよい。(C)成分は、いわゆるエッチング剤としての機能を有する。(C)成分を添加することにより、CMP終了後における洗浄工程において、配線基板上の金属酸化膜(例えば、CuO、CuO及びCu(OH)層)や有機残渣(例えばBTA層)をエッチングして除去することができる。
(C)成分としては、例えば、アルカノールアミン、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン等が挙げられる。ただし、(C)成分は、上記(A)成分および(B)成分を除くものである。
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。第一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、1,3−プロパンジアミン等が挙げられる。第二級アミンとしては、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。第三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。これらの(C)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
これらの(C)成分の中でも、配線基板上の金属酸化膜や有機残渣をエッチングする効果が高い点で、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンが好ましい。
(C)成分の含有割合は、洗浄用組成物の全質量に対して、好ましくは0.0001質量%以上1質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以上0.5質量%以下、特に好ましくは0.001質量%以上0.1質量%以下である。(C)成分の含有割合が前記範囲である場合には、CMP終了後における洗浄工程において、被洗浄面の腐食を抑制し良好な被洗浄面を得つつ、配線基板上の金属酸化膜や有機残渣を効果的にエッチングして除去することができる。
1.4.pH調整剤
本実施形態に係る洗浄用組成物は、pHが9以上であることが好ましく、10以上14以下であることがより好ましく、11以上13以下であることがさらに好ましい。pHが9以上である場合には、配線基板表面で上記(A)成分および(B)成分のような保護剤やエッチング剤が機能しやすい状態となるため、良好な被洗浄面が得られやすくなる。pHが9未満である場合には、銅配線およびバリアメタル材料が過剰にエッチングされる傾向がある。そのため、配線基板上の銅配線が腐食して、良好な被洗浄面が得にくくなる。
上述のように、本実施形態に係る洗浄用組成物はpHが9以上であることが好ましいことから、pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機アンモニウム塩、アンモニア等の塩基性化合物を用いることが好ましい。これらのpH調整剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
これらのpH調整剤の中でも、一般的なアルカリ性洗浄剤で使用されている有機アンモニウム塩は人体への健康被害が懸念されることから、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化カリウムがより好ましい。
1.5.水系媒体
本実施形態に係る洗浄用組成物に含まれる水系媒体は、水を主成分とした溶媒としての役割を果たすことができるものであれば特に制限されない。このような水系媒体としては、水、水およびアルコールの混合媒体、水および水との相溶性を有する有機溶媒を含む混合媒体等が挙げられる。これらの中でも、水、水およびアルコールの混合媒体を用いることが好ましく、水を用いることがより好ましい。
このような水としては、例えば超純水、純水、イオン交換水、蒸留水等を挙げることができるが、超純水、純水、イオン交換水が好ましく、超純水がより好ましい。なお、超純水および純水は、水道水を活性炭に通し、イオン交換処理した後、さらに蒸留したものを、必要に応じて所定の紫外線殺菌灯を照射またはフィルターを通すことにより得られる。
1.6.その他の成分
本実施形態に係る洗浄用組成物には、さらにノニオン性界面活性剤を添加してもよい。ノニオン性界面活性剤を添加することにより、CMPスラリー中に含まれていたパーティクルや金属不純物を配線基板上から除去する効果が高まり、より良好な被洗浄面が得られる場合がある。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。上記例示したノニオン性界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
ノニオン性界面活性剤の含有割合は、洗浄用組成物の全質量に対して、好ましくは0.001質量%以上1.0質量%以下、より好ましくは0.002質量%以上0.5質量%以下、特に好ましくは0.003質量%以上0.1質量%以下である。ノニオン性界面活性剤の含有割合が前範囲にあると、CMPスラリー中に含まれていたパーティクルや金属不純物を配線基板上から除去する効果が高まり、より良好な被洗浄面が得られる場合がある。
1.7.用途
本実施形態に係る洗浄用組成物は、CMP終了後の配線基板を洗浄する際に好適に用いることができる。洗浄の対象となる配線基板の被洗浄面には、銅またはタングステンからなる配線材料と、タンタル、チタン、コバルト、ルテニウム、マンガン、およびこれらの化合物よりなる群から選択される少なくとも1種からなるバリアメタル材料と、を含むことが好ましい。このような配線基板を洗浄する場合に、配線材料およびバリアメタル材料の腐食や欠陥の発生を同時に抑制すると共に、配線基板上の酸化膜や有機残渣を効率的に除去することができるという本願発明の効果がよく現れる。
1.8.洗浄用組成物の調製方法
本実施形態に係る洗浄用組成物の調製方法は、特に制限されないが、例えば(A)成分、(B)成分、必要に応じて(C)成分、pH調整剤等を、水系媒体に添加して撹拌・混合することにより各成分を水系媒体に溶解させ、次にpH調整剤を添加して所定のpHに調整する方法が挙げられる。pH調整剤以外の各成分の混合順序や混合方法については特に制限されず、均一に溶解または分散できればどのような方法を適用してもよい。
また、本実施形態に係る洗浄用組成物は、濃縮タイプの原液として調製し、使用時に水系媒体で希釈して使用することもできる。
2.洗浄方法
本実施形態に係る洗浄方法は、配線材料が銅またはタングステンからなり、バリアメタル材料がタンタル、チタン、コバルト、ルテニウム、マンガン、およびこれらの化合物よりなる群から選択される少なくとも1種からなる配線基板を、上述の洗浄用組成物を用いて洗浄する工程を含むことを特徴とする。以下、本実施形態に係る洗浄方法の一具体例について、図面を用いながら詳細に説明する。
2.1.配線基板の作製
図1は、本実施の形態に係る化学機械研磨方法の使用に適した被処理体を模式的に示した断面図である。被処理体100は、以下の工程(1)ないし(4)を経ることにより形成される。
(1)まず、シリコン基板10を用意する。シリコン基板10には、(図示しない)トランジスタ等の機能デバイスが形成されていてもよい。
(2)次に、シリコン基板10の上に、CVD法または熱酸化法を用いてシリコン酸化膜12を形成する。
(3)次に、シリコン酸化膜12をパターニングする。それをマスクとして、例えばエッチング法を適用して酸化シリコン膜12に配線用凹部20を形成する。
(4)次に、配線用凹部20を充填するように、タングステン膜14をスパッタ法により堆積させると、被処理体100が得られる。
絶縁膜12としては、例えば、真空プロセスで形成された酸化シリコン膜(例えば、PETEOS膜(Plasma Enhanced−TEOS膜)、HDP膜(High Density Plasma Enhanced−TEOS膜)、熱化学気相蒸着法により得られる酸化シリコン膜等)、FSG(Fluorine−doped silicate glass)と呼ばれる絶縁膜、ホウ素リンシリケート膜(BPSG膜)、SiON(Silicon oxynitride)と呼ばれる絶縁膜、Siliconnitride等が挙げられる。
バリアメタル膜14としては、例えば、タンタル、チタン、コバルト、ルテニウム、マンガン、およびこれらの化合物等が挙げられる。バリアメタル膜14は、これらの1種から形成されることが多いが、タンタルと窒化タンタルなど2種以上を併用することもできる。
2.2.化学機械研磨装置
上述の研磨工程には、例えば図2に示すような化学機械研磨装置200を用いることができる。図2は、化学機械研磨装置200を模式的に示した斜視図である。上述の研磨工程は、スラリー供給ノズル42からスラリー(化学機械研磨用水系分散体)44を供給し、かつ、研磨布46が貼付されたターンテーブル48を回転させながら、半導体基板50を保持したキャリアーヘッド52を当接させることにより行う。なお、図2には、水供給ノズル54およびドレッサー56も併せて示してある。
キャリアーヘッド52の押し付け圧は、10〜1,000hPaの範囲内で選択することができ、好ましくは30〜500hPaである。また、ターンテーブル48およびキャリアーヘッド52の回転数は10〜400rpmの範囲内で適宜選択することができ、好ましくは30〜150rpmである。スラリー供給ノズル42から供給されるスラリー(化学機械研磨用水系分散体)44の流量は、10〜1,000mL/分の範囲内で選択することができ、好ましくは50〜400mL/分である。
市販の研磨装置として、例えば、株式会社荏原製作所製、形式「EPO−112」、「EPO−222」;ラップマスターSFT社製、型式「LGP−510」、「LGP−552」;アプライドマテリアル社製、型式「Mirra」、「Reflexion」等が挙げられる。
2.3.洗浄工程
次いで、被処理体100の表面(被洗浄面)を上述の洗浄用組成物を用いて洗浄する。本実施形態に係る洗浄方法によれば、CMP終了後の配線材料およびバリアメタル材料が表面に共存する配線基板を洗浄する際に、配線材料およびバリアメタル材料の腐食を抑制すると共に、配線基板上の酸化膜や有機残渣を効率的に除去することができる。本実施形態に係る洗浄方法は、銅/コバルトおよび銅/窒化タンタルの腐食電位差を小さくできる洗浄用組成物を用いているので、配線材料として銅、バリアメタル材料としてコバルトおよび/または窒化タンタルが共存する配線基板について洗浄処理を行った際に、特に優れた効果を発揮する。
洗浄方法としては、特に制限されないが、被処理体100に上述の洗浄用組成物を直接接触させる方法により行われる。洗浄用組成物を被処理体100に直接接触させる方法としては、洗浄槽に洗浄用組成物を満たして配線基板を浸漬させるディップ式;ノズルから配線基板上に洗浄用組成物を流下しながら配線基板を高速回転させるスピン式;配線基板に洗浄用組成物を噴霧して洗浄するスプレー式等の方法が挙げられる。また、このような方法を行うための装置としては、カセットに収容された複数枚の配線基板を同時に洗浄するバッチ式洗浄装置、1枚の配線基板をホルダーに装着して洗浄する枚葉式洗浄装置等が挙げられる。
本実施形態に係る洗浄方法において、洗浄用組成物の温度は、通常室温とされるが、性能を損なわない範囲で加温してもよく、例えば40〜70℃程度に加温することができる。
また、上述の洗浄用組成物を被処理体100に直接接触させる方法に加えて、物理力による洗浄方法を併用することも好ましい。これにより、被処理体100に付着したパーティクルによる汚染の除去性が向上し、洗浄時間を短縮することができる。物理力による洗浄方法としては、洗浄ブラシを使用したスクラブ洗浄や超音波洗浄が挙げられる。
さらに、本実施形態に係る洗浄方法による洗浄の前および/または後に、超純水または純水による洗浄を行ってもよい。
3.実施例
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、本実施例における「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
3.1.洗浄用組成物の調製
ポリエチレン製容器に、洗浄用組成物として表1および表2に示す濃度となるように各成分を添加し、イオン交換水を適量入れ、15分間撹拌した。この混合物に、全構成成分の合計量が100質量部となるようにイオン交換水を加え、水酸化カリウムを用いてpH11.6となるように調整した後、孔径5μmのフィルターで濾過して、表1に示す各洗浄用組成物を得た。pHは、株式会社堀場製作所製のpHメーター「F52」を用いて測定した。
3.2.配線基板の洗浄試験
3.2.1.化学機械研磨
銅配線のパターン付き基板(シリコン基板上にPETEOS膜を厚さ5000Å積層させた後、「SEMATECH 854」マスクにてパターン加工し、その上に厚さ250Åのコバルト膜、厚さ1000Åの銅シード膜および厚さ10000Åの銅メッキ膜を順次積層させたテスト用の基板)(以下「SEMATECH 854」とも記す。)を、化学機械研磨装置「EPO112」(株式会社荏原製作所製)を用いて、下記の条件で二段階化学機械研磨を実施した。
<第一段目の化学機械研磨>
・化学機械研磨用水系分散体種:JSR(株)製、「CMS7501/CMS7552」
・研磨パッド:ロデール・ニッタ(株)製、「IC1000/SUBA400」
・定盤回転数:70rpm
・ヘッド回転数:70rpm
・ヘッド荷重:50g/cm
・化学機械研磨用水系分散体供給速度:200mL/分
・研磨時間:150秒
<第二段目の化学機械研磨>
・化学機械研磨用水系分散体種:JSR(株)製、「CMS8501/CMS8552」
・研磨パッド:ロデール・ニッタ(株)製、「IC1000/SUBA400」
・定盤回転数:70rpm
・ヘッド回転数:70rpm
・ヘッド荷重:250g/cm
・研磨用水系分散体供給速度:200mL/分
・研磨時間:60秒
3.3.2.洗浄
上記化学機械研磨に続いて、研磨後の基板表面を、下記の条件で定盤上洗浄し、さらにブラシスクラブ洗浄した。
<定盤上洗浄>
・洗浄剤:上記で調製した洗浄用組成物
・ヘッド回転数:70rpm
・ヘッド荷重:100g/cm
・定盤回転数:70rpm
・洗浄剤供給速度:300mL/分
・洗浄時間:30秒
<ブラシスクラブ洗浄>
・洗浄剤:上記で調製した洗浄用組成物
・上部ブラシ回転数:100rpm
・下部ブラシ回転数:100rpm
・基板回転数:100rpm
・洗浄剤供給量:300mL/分
・洗浄時間:30秒
3.3.銅の腐食の評価
上記エッチングレートの評価を行った後の銅を製膜したシリコンウエハについて、銅膜の表面を光学顕微鏡で観察することにより腐食の評価を行った。評価基準は下記の通りである。その結果を表1および表2に併せて示す。
・基板表面(直径8インチ)全体におけるdot数が20個以下であり、かつ、目視で曇りがない場合には「○」
・基板表面(直径8インチ)全体におけるdot数が20個を超え50個以下であり、かつ、目視で曇りが無い場合には「△」
・基板表面(直径8インチ)全体におけるdot数が50個を超える、または、目視で曇りが観察されるの、何れかに相当する場合には「×」
3.4.欠陥評価(洗浄評価)
上記で得られた洗浄後の基板をパターンなしウエハ欠陥検査装置(ケーエルエー・テンコール社製、KLA2351)を用いて、被研磨面全面の欠陥数を計測した。欠陥数が500個以下なら、良好である。
3.5.評価結果
表1および表2に、洗浄用組成物の組成および評価結果を示す。
上表1における下記の成分について補足する。
・ポリアクリル酸(東亜合成社製、商品名ジュリマーAC−10H、Mw=700,000)
・ポリアクリル酸(東亜合成社製、商品名ジュリマーAC−10L、Mw=55,000)
・ポリアクリル酸(東亜合成社製、商品名アロンA−10SL、Mw=6,000)
・ポリマレイン酸(日油社製、商品名ノンポールPWA−50W、Mw=2,000)
・ポリアリルアミン(ニットーボーメディカル社製、商品名PAA−15,Mw=15,000)
・ポリアリルアミン(ニットーボーメディカル社製、商品名PAA−25、Mw=25,000)
・ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名PVA405、Mw=26,000)
・ポリエチレンイミン(純正化学社製、商品名ポリエチレンイミン30%水溶液、Mw=70,000)
・ポリスチレンスルホン酸(東ソー有機化学社製、商品名PS−5H、Mw=50,000)
上表1から明らかなように、実施例1〜16に係る洗浄用組成物を用いた場合には、いずれも基板表面の腐食状態が良好であり、かつ欠陥数も少なく、被洗浄面の良好な洗浄性を実現することができた。一方、比較例1〜12に係る洗浄用組成物を用いた場合には、良好な結果は得られなかった。よって、(A)成分と(B)成分の間に協働効果が働くことによって、良好な腐食抑制能と洗浄効果を発現することが示された。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…基体、12…絶縁膜、14…バリアメタル膜、16…金属膜、20…配線用凹部、100…被処理体、200…配線基板

Claims (9)

  1. (A)下記式(1)および式(2)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種類以上の化合物と、
    (B)カルボキシル基、スルホ基、アミノ基よりなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する水溶性高分子、
    とを含有する、配線基板の洗浄用組成物。

    (式(1)中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基およびヘテロ原子を有する炭素数1〜20の有機基からなる群から選択されるいずれかの官能基を示す。)

    (式(2)中、Rは、炭素数1〜20の有機基を示す。)
  2. さらに(C)アミン化合物を含有する、請求項1に記載の洗浄用組成物。
  3. pHが9以上である、請求項1または請求項2に記載の洗浄用組成物。
  4. 前記(A)成分が、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、アルギニン、リシン、2−アミノ‐3−アミノプロパン酸、およびヒドロキシフェニル乳酸よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載の洗浄用組成物。
  5. 前記(B)成分が、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、およびスチレンスルホン酸、またはこれらの誘導体を繰り返し単位として含む水溶性高分子よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか一項に記載の洗浄用組成物。
  6. 前記(C)成分が、アルカノールアミンである、請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載の洗浄用組成物。
  7. 前記配線基板は、銅またはタングステンからなる配線材料と、タンタル、チタン、コバルト、ルテニウム、マンガン、およびこれらの化合物よりなる群から選択される少なくとも1種からなるバリアメタル材料と、を被洗浄面に含む、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の洗浄用組成物。
  8. 前記被洗浄面は、前記配線材料と前記バリアメタル材料とが接触する部分とを含む、請求項7に記載の洗浄用組成物。
  9. 配線材料が銅またはタングステンからなり、バリアメタル材料がタンタル、チタン、コバルト、ルテニウム、マンガン、およびこれらの化合物よりなる群から選択される少なくとも1種からなる配線基板を、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の配線基板の洗浄用組成物を用いて洗浄する工程を含む、洗浄方法。
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