JP2018091422A - Tapered roller bearing - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、円すいころ軸受に関する。 The present invention relates to a tapered roller bearing.
円すいころ軸受は、負荷容量が高く様々な分野で広く用いられている。図5に示すように、円すいころ軸受90は、内輪91、外輪92、これら内輪91と外輪92との間に介在している複数の円すいころ93、及びこれら円すいころ93を保持する保持器94を備えている。例えば、軸99に対してその径方向外側の筒状部材98を回転可能として支持するための円すいころ軸受90では、内輪91が、軸99に外嵌して取り付けられており、外輪92が、回転する筒状部材98の内周面97に取り付けられている。
Tapered roller bearings have a high load capacity and are widely used in various fields. As shown in FIG. 5, the tapered roller bearing 90 includes an
外輪92が回転する円すいころ軸受受90では、外輪92と筒状部材98とが「締まり嵌め」の状態で組み付けられるのに対して、内輪91と軸99とは「すきま嵌め」の状態で組み付けられることがある。このため、筒状部材98が外輪92と共に回転している使用状態で、内輪91と軸99との間においてクリープ(軸99に対する内輪91の周方向の滑り)が発生することがある。円すいころ軸受90に大きな荷重が作用してクリープが発生すると、軸99の外周面に傷が付き、軸99を交換するメンテナンスが必要となり、その費用が高くなってしまう。
In the tapered roller bearing
そこで、特許文献1に示すように、内輪91の内周面95に(図5において二点鎖線で示す)凹溝96が形成された円すいころ軸受90が提案されおり、この凹溝96によってクリープを抑制しようとしている。
Therefore, as shown in Patent Document 1, a tapered roller bearing 90 in which a concave groove 96 (indicated by a two-dot chain line in FIG. 5) is formed on the inner
前記特許文献1に記載の円すいころ軸受90では、内輪91の軌道面位置に対応する領域に凹溝96が形成されている。つまり、軌道面91aは内輪91の外周面において軸方向の中央に形成されていることから、凹溝96は内輪91の内周面において軸方向の中央に設けられている。特許文献1には、円すいころ軸受90が回転している状態で内輪91が波状に変形しても、その変形による影響が軸99に及び難くなる、と記載されている。
In the tapered roller bearing 90 described in Patent Document 1, a
しかし、円すいころ軸受90の場合、(例えば、引用文献1の図13,図15に示す深溝玉軸受と比較すると)内輪91の軸方向の中央では肉厚が充分に大きいため、凹溝96を形成しなくても、内輪91における波状の変形による影響は軸99に及び難い。つまり、内輪91の軸方向の中央に凹溝96を形成しても、クリープ抑制の効果は薄いと考えられる。ただし、特許文献1に記載の円すいころ軸受90の場合、内輪91と軸99との接触を中央の凹溝96の両側の範囲のみに制限することで接触面積を減らし、相互間の接触面圧を高めて摩擦抵抗を大きくし、これにより、クリープを防止できるかもしれない。
However, in the case of the tapered roller bearing 90, the thickness of the
そこで、本発明の目的は、従来とは異なる技術的手段によって円すいころ軸受の固定輪に発生することのあるクリープを抑制することにある。 Accordingly, an object of the present invention is to suppress creep that may occur in the fixed ring of the tapered roller bearing by technical means different from the conventional one.
円すいころ軸受の場合、固定輪の軸方向一方側又は他方側は薄肉となり、円すいころから大きな荷重が作用すると薄肉部側において歪みやすく、これによりクリープが発生しやすくなると考えられることから、本発明は(固定輪を径方向に厚くしなくても)固定輪の薄肉部側における実効肉厚を大きくすることで相手部材側に生じる固定輪の歪みを低減させることに着目したものであり、これによりクリープの発生を抑制する。 In the case of a tapered roller bearing, one side or the other side of the fixed ring in the axial direction is thin, and when a large load is applied from the tapered roller, it is likely to be distorted on the thin portion side, which is likely to cause creep. Is intended to reduce the distortion of the fixed ring that occurs on the mating member side by increasing the effective thickness on the thin part side of the fixed ring (even if the fixed ring is not thickened in the radial direction). Suppresses the generation of creep.
つまり、本発明は、軸方向一方側から他方側に向かって拡径する円すい状の軌道面を外周側に有し軸方向一方側が薄肉となる内輪と、軸方向一方側から他方側に向かって拡径する円すい状の軌道面を内周側に有し軸方向他方側が薄肉となる外輪と、前記内輪と前記外輪との間に介在している複数の円すいころと、前記複数の円すいころを保持する保持器と、を備え、前記内輪と前記外輪との内の一方が回転輪であり他方が固定輪である円すいころ軸受であって、前記固定輪が取り付けられる相手部材との嵌め合い面は、当該相手部材と接触する接触面部と、当該相手部材と非接触となる非接触面部と、を有しており、前記非接触面部は、前記固定輪の薄肉側に偏って設けられている。 That is, the present invention provides an inner ring having a conical raceway surface whose diameter increases from one side in the axial direction toward the other side on the outer peripheral side, and a thin wall on one side in the axial direction, and from one side in the axial direction toward the other side. An outer ring having a conical raceway surface having an enlarged diameter on the inner peripheral side and a thin wall on the other side in the axial direction, a plurality of tapered rollers interposed between the inner ring and the outer ring, and the plurality of tapered rollers A tapered roller bearing in which one of the inner ring and the outer ring is a rotating ring and the other is a fixed ring, and a mating surface with a mating member to which the fixed ring is attached Has a contact surface portion that comes into contact with the counterpart member and a non-contact surface portion that makes no contact with the counterpart member, and the non-contact surface portion is provided to be biased toward the thin side of the fixed ring. .
この円すいころ軸受によれば、固定輪の薄肉側において軌道面から相手部材までの実効肉厚を大きくすることができる。このため、固定輪の薄肉部で生じる歪みが相手部材に伝わり難くなり、クリープの発生を抑制することが可能となる。 According to this tapered roller bearing, the effective thickness from the raceway surface to the mating member can be increased on the thin side of the fixed ring. For this reason, the distortion generated in the thin portion of the fixed ring is not easily transmitted to the counterpart member, and the occurrence of creep can be suppressed.
また、前記非接触面部は、前記円すいころと前記固定輪の前記軌道面との接触範囲のうちの最も薄肉側の接触端部を含む最薄肉部の前記相手部材側に形成されているのが好ましく、これにより、固定輪の薄肉側における実効肉厚を有効に大きくすることができる。 The non-contact surface portion is formed on the counterpart member side of the thinnest portion including the thinnest contact end portion in the contact range between the tapered roller and the raceway surface of the fixed ring. Preferably, this makes it possible to effectively increase the effective thickness on the thin side of the fixed ring.
また、前記嵌め合い面のうち下記に定義する仮想面との交差部は、前記非接触面部に含まれているのが好ましい。
仮想面:前記円すいころと前記固定輪の前記軌道面との接触範囲のうち、最も薄肉側の接触端部を通過しかつ当該軌道面に直交する面
この構成によれば、前記接触端部から、クリープの原因となる固定輪に生じる歪みが相手部材に伝わる位置までの距離(つまり、前記接触端部における実効肉厚)を大きくすることができる。
Moreover, it is preferable that the intersection part with the virtual surface defined below among the said fitting surfaces is contained in the said non-contact surface part.
Virtual surface: a surface that passes through the contact end portion on the thinnest side in the contact range between the tapered roller and the raceway surface of the fixed ring and is orthogonal to the raceway surface. The distance to the position at which the strain generated in the stationary ring causing creep is transmitted to the mating member (that is, the effective thickness at the contact end) can be increased.
また、前記非接触面部は、前記固定輪の薄肉側の軸方向端面から軸方向中央側へ向かって径方向寸法が変化していることによって構成された面であるのが好ましく、この構成によれば、固定輪の軸方向一方側又は他方側の周面を軸方向端部から削る(研磨する)等すれば、非接触面部を構成することができ、嵌め合い面の形成が容易となる。 Further, the non-contact surface portion is preferably a surface formed by a change in the radial dimension from the axial end surface on the thin-walled side of the fixed ring toward the axial center side. For example, if the peripheral surface on one side or the other side in the axial direction of the fixed ring is scraped (polished) from the axial end portion, a non-contact surface portion can be formed, and the fitting surface can be easily formed.
また、前記非接触面部はテーパ面により構成されているのが好ましく、これにより、非接触面部の形成がより一層容易となる。 Moreover, it is preferable that the non-contact surface portion is constituted by a tapered surface, which makes it easier to form the non-contact surface portion.
本発明の円すいころ軸受によれば、固定輪の薄肉側における実効肉厚が大きくなることで、固定輪の薄肉部で生じる歪みが相手部材に伝わり難くなり、クリープの発生を抑制することが可能となる。 According to the tapered roller bearing of the present invention, the effective thickness on the thin side of the fixed ring is increased, so that the distortion generated in the thin part of the fixed ring is not easily transmitted to the mating member, and the occurrence of creep can be suppressed. It becomes.
〔円すいころ軸受の構成について〕
図1は、本発明の円すいころ軸受の一例を示す断面図である。この円すいころ軸受10は、軸2及びその径方向外側の筒状部材3を有している回転装置に設けられており、軸2に対して筒状部材3を回転自在として支持している。円すいころ軸受10は、軸2に外嵌して取り付けられている内輪11と、筒状部材3に取り付けられている外輪12と、これら内輪11と外輪12との間に介在している複数の円すいころ13と、これら円すいころ13を保持する環状の保持器14とを備えている。図1に示す円すいころ軸受10では、外輪12が筒状部材3と共に回転する回転輪であり、内輪11が軸2と共に静止状態にある固定輪となる。図1に示す断面は、円すいころ軸受10の中心線Cを含む断面である。
[Configuration of tapered roller bearing]
FIG. 1 is a cross-sectional view showing an example of a tapered roller bearing of the present invention. The tapered roller bearing 10 is provided in a rotating device having a
本実施形態では、外輪12と筒状部材3とは「締まり嵌め」の状態で組み付けられており、外輪12は筒状部材3に密着して嵌合し筒状部材3と一体回転可能である。これに対して、内輪11は、固定状態にある軸2に取り付けられているが、軸2の外周面4に「すきま嵌め」の状態で組み付けられている。このため、筒状部材3が外輪12と共に回転している使用状態で、内輪11と軸2との間においてクリープ(軸2に対する内輪11の周方向の滑り)が発生することがある。なお、クリープについては、後に説明する。
In the present embodiment, the
内輪11は、外周側に、軸方向一方側(図1では左側)から軸方向他方側(図1では右側)に向かって拡径する円すい状の軌道面21(以下、内輪軌道面21という。)を有している。内輪11は、内輪軌道面21の軸方向一方側において径方向外側に突出している小鍔部22を有しており、また、内輪軌道面21の軸方向他方側において径方向外側に突出している大鍔部23を有している。小鍔部22は大鍔部23よりも径方向について小さい。内輪11の内周面(軸2との嵌め合い面40)は、後述する非接触面部42を除いて、軸受中心線Cを中心とする円筒面により構成されている。以上より、内輪11は、軸方向他方側と比較して軸方向一方側が薄肉となっている。つまり、内輪11は、小鍔部22を除いて、軸方向一方側において厚さが薄い。
The
内輪軌道面21の軸方向両側には、円すいころ13と非接触となる凹状の逃げ部29a,29bが形成されている。このため、内輪軌道面21における円すいころ13の外周面との接触範囲は、前記逃げ部29a,29bを除く範囲となり、図1では、この接触範囲を矢印Bの範囲としている。
On both sides in the axial direction of the inner
外輪12は、内周側に、軸方向一方側から軸方向他方側に向かって拡径する円すい状の軌道面31(以下、外輪軌道面31という。)を有している。外輪12の外周面(筒状部材3との嵌め合い面49)は、軸受中心線Cを中心とする円筒面により構成されている。外輪12は、軸方向一方側と比較して軸方向他方側が薄肉となっている。つまり、外輪12は、軸方向他方側において厚さが薄い。
The
円すいころ13は、内輪11と外輪12との間に介在しており、円すいころ軸受10(外輪12)が回転すると、内輪軌道面21及び外輪軌道面31を転がり接触する。円すいころ13は、軸方向一方側に直径の小さい小端面35を有し、軸方向他方側に直径の大きい大端面36を有している。円すいころ軸受10は軸方向に与圧が付与された状態にあり、大端面36は、内輪11の大鍔部23が有する鍔面(側面)24と接触する。円すいころ軸受10が回転すると、大端面36と鍔面24とは滑り接触する。
The tapered
保持器14は、軸方向一方側の環状部32と、軸方向他方側の環状部33と、これら環状部32,33を連結している複数の柱部34とを有している。軸方向両側の環状部32,33の間であって周方向で隣り合う柱部34,34の間が、円すいころ13を収容するポケットになる。
The
図1に示す円すいころ軸受10では、固定輪である内輪11が軸2(相手部材)に取り付けられており、内輪11の内周面が、軸2の外周面4との嵌め合い面40となっている。この嵌め合い面40は、軸2の外周面4に対して接触する接触面部41と、軸2の外周面4に対して非接触となる非接触面部42とを有している。接触面部41は、軸受中心線Cを中心とする円筒面からなる。非接触面部42は、内輪11の軸方向一方側の内周部が削り落とされることで構成されており、非接触面部42は、内輪11の軸方向一方側である薄肉側に偏って設けられている。嵌め合い面40の形状は、周方向に沿って変化しておらず同じである。
In the tapered
図2は、非接触面部42及びその周囲を示す拡大断面図であり、図1に示す軸受中心線Cを含む断面図である。内輪11の軸方向一方側の内周を端部から削る(研磨する)ことで非接触面部42は形成されており、非接触面部42は、内輪11の薄肉側の軸方向端面44から軸方向中央側(図2では右側)へ向かって径方向寸法が徐々に変化している面(内径が徐々に小さくなっている面)となっている。特に本実施形態の非接触面部42は、軸受中心線Cを中心とするテーパ面により構成されている。非接触面部42をテーパ形状とすることで、その形成が容易となる。
FIG. 2 is an enlarged cross-sectional view showing the
非接触面部42は、接触面部41に対して傾斜角度Q1を有しており、非接触面部42と軸2の外周面4との間には、環状の微小空間Gが形成されている。なお、非接触面部42を示す図1及び図2等では、嵌め合い面40の形状の説明を容易とするために、傾斜角度Q1(微小空間G)を大きく記載しているが、実際の非接触面部42を構成するための傾斜角度Q1は小さい。非接触面部42の軸方向一方側の端部43と、円筒状である接触面部41との半径の差、つまり、微小空間Gの最大径方向寸法は、例えば1mm未満である。なお、図示しないが、非接触面部42は凹溝によって構成されていてもよく、この場合においても、非接触面部42(凹溝)は、内輪11の薄肉側に偏って設けられる。非接触面部42は、後に説明するが、軸2に対する内輪11の周方向の滑り、つまり、クリープを抑制するために設けられている。
The
〔クリープについて〕
軸2と内輪(固定輪)11との間で生じるクリープについて図1により説明する。ここでは、嵌め合い面40に非接触面部42が形成されていないものとして説明する。円すいころ軸受10において発生する可能性のあるクリープとして、次の三つが考えられる。なお、下記の軸受回転方向とは、本実施形態の場合、回転輪である外輪12の回転方向である。
・第一のクリープ:軸受回転方向と同方向へゆっくりと内輪11が滑るクリープ
・第二のクリープ:軸受回転方向と同方向へ速く内輪11が滑るクリープ
・第三のクリープ:軸受回転方向と逆方向に内輪11が滑るクリープ
[About creep]
The creep that occurs between the
-First creep: creep in which the
第一のクリープは、円すいころ軸受10に大きな荷重(特に大きな径方向の荷重成分)が作用している場合に発生しやすく、下記のメカニズムによって発生すると考えられる。すなわち、回転する円すいころ軸受10に大きな荷重が作用している場合、円すいころ13は高負荷で内輪軌道面21と接触することから、内輪11は弾性変形する。円すいころ13と内輪軌道面21とは線接触状態となり、両者にはおおよそ等分布荷重が作用する。円すいころ軸受10が回転すると、大きな荷重が作用した状態で円すいころ13は内輪軌道面21に沿って転がり接触することから、内輪11は脈動変形(脈動変位)する。円すいころ軸受10の場合、内輪11は軸方向一方側が薄肉となっているため、薄肉部25側において歪みが大きくなる傾向にあり、薄肉部25ではその内周側においても脈動変形が生じる。このように薄肉部25の内周側に脈動変形が生じていると、これに起因して軸2との間で相対滑りが発生し、この相対滑りにより第一のクリープが発生すると考えられる。なお、内輪11の軸方向中央及び軸方向他方側(これらを厚肉部26という)は充分な肉厚を有しているため、厚肉部26では前記脈動変形による歪みが内輪11の内周側にまで及ばず、軸2との相対滑りは発生しない。つまり、厚肉部26は、第一のクリープ抑制に有効となる大きな肉厚(実効肉厚)を有している。以上より、円すいころ軸受10の場合、軸方向一方側の薄肉部25における脈動変形が、第一のクリープの原因になると考えられる。
The first creep is likely to occur when a large load (particularly a large radial load component) is applied to the tapered
第二のクリープは、第一のクリープと内輪11の移動方向(滑り方向)は同じであるが、円すいころ軸受10が無負荷である状態で発生しやすい。つまり、無負荷である場合、外輪12の回転によって内輪11を連れ回りさせ、これにより第二のクリープが発生すると考えられる。
The second creep is the same in the moving direction (sliding direction) of the first creep and the
第三のクリープは、内輪11の移動方向(滑り方向)が第一及び第二のクリープと反対であり、これは、例えば円すいころ軸受10に偏荷重が作用することで内輪11が軸2の外周面4に沿って振れ回りすることで発生すると考えられる。
In the third creep, the moving direction (sliding direction) of the
〔第一のクリープを抑制するための構成について〕
内輪11の厚肉部26と同様に、薄肉部25においても、第一のクリープ抑制に有効となる肉厚(実効肉厚Te)を大きくすればよい。そのために、本実施形態では、内輪11自体を厚くするのではなく、非接触面部42が内輪11の薄肉側に偏って設けられており、この非接触面部42と接触面部41との境界Nが所定の位置に設定されている。これにより、図2に示す断面において、円すいころ13と内輪軌道面21との接触範囲Bのうち、最も薄肉側の端部(以下、接触端部という。)を符号「M」とすると、この接触端部Mと前記境界Nとの間の距離が、薄肉部25における(最小の)実効肉厚Teとなる。境界Nの位置を厚肉側に寄せることにより、薄肉部25における実効肉厚Teを、内輪11の軸方向の中央部27における肉厚Tcと同等レベルにすることも可能である。中央部27における肉厚Tcの場合、内輪11が脈動変形しても、この中央部27における内周側にまで歪が及ばず、軸2との相対滑りは発生しない。このように、非接触面部42が内輪11の薄肉側に偏って設けられており、これらの境界Nが所定の位置に設定されることで、薄肉部25においてクリープ抑制に有効となる実効肉厚Teを大きくすることができる。
[Configuration for suppressing first creep]
Similarly to the
ここで、図5に示す従来例の場合、内輪91が薄肉部91bにおいて脈動変形することで生じる歪みは、円すいころ93と内輪軌道面91aとの接触範囲Bのうち、最も薄肉側の接触端部Mから径方向内側に直線的に向かう位置Pに対して影響を及ぼす。このため、前記接触端部Mからその直下の点Pまでの距離が、従来例における薄肉部91bの肉厚(実効肉厚Ta)となる。図1及び図2に示す本実施形態の内輪11と、図5に示す従来例の内輪91(凹溝96無し)とを比較すると、非接触面部42の有無を除いて同じ形状であるが、本実施形態の実効肉厚Teは、従来例の実効肉厚Taよりも大きくなっている。以上より、本実施形態によれば、内輪11の(接触範囲Bにおける)最小肉厚tを大きくしなくても、実効肉厚Teを大きくすることができる。
Here, in the case of the conventional example shown in FIG. 5, the distortion caused by the pulsating deformation of the
本実施形態では(図1参照)、前記のような点P(図5参照)を含む領域に非接触面部42が形成されている。つまり、第一のクリープの原因となり得る前記脈動変形による歪みが内輪11の内周側にまで及ばない領域(厚肉部26の内周領域)が、軸2に接触する接触面部41とされており、前記脈動変形による歪みが内周側においても生じる可能性のある薄肉部25の領域が、軸2に非接触となる非接触面部42とされている。
In the present embodiment (see FIG. 1), the
実効肉厚Teを大きくするためには、図2において二点鎖線で示す仮想面Kと軸2の外周面4との交線X2よりも、厚肉側に、接触面部41と非接触面部42との境界Nを位置させるように、非接触面部42の範囲(軸方向範囲)を設定すればよい。前記仮想面Kは、円すいころ13と内輪軌道面21との接触範囲Bのうち、最も薄肉側の接触端部Mを通過し、かつ、この内輪軌道面21に直交する面である。つまり、実効肉厚Teを従来例よりも大きくするためには、前記境界Nを前記交線X2よりも厚肉側に位置させればよく、これにより、嵌め合い面40のうち前記仮想面Kとの交差部(交線)X1は、非接触面部42に含まれる構成となる。
In order to increase the effective thickness Te, the
このように本実施形態では、内輪11の軸2に対する嵌め合い面40のうち、軸2に非接触である非接触面部42が、内輪11の薄肉側に偏って設けられている。しかも、非接触面部42は、内輪11が最も薄肉となっている最薄肉部25aの内周側(軸2側)に形成されている。最薄肉部25aは、前記薄肉部25に含まれる部分である。具体的に説明すると、最薄肉部25aは、前記接触端部Mを含む部分であり、より詳しく説明すると、前記接触端部Mを通過し軸受中心線Cに直交する仮想面上の部分である。
Thus, in this embodiment, the
なお、円すいころ軸受10に大きな荷重が作用している場合、内輪11の薄肉部25の内周側の領域は更に径方向内側に弾性変形(縮径)するが、その領域が非接触面部42となっていることにより、この弾性変形(縮径)が非接触面部42の範囲で生じる。このため、内輪11の薄肉部25における弾性変形は、軸2に(ほとんど)伝わらず、内輪11と軸2との間における第一のクリープの発生が抑制される。
When a large load is applied to the tapered
以上のように、円すいころ軸受10の場合、固定輪となる内輪11の軸方向一方側は薄肉となり、円すいころ13から内輪11に大きな荷重が作用すると、薄肉部25側において歪みやすいが、本実施形態の前記構成によれば、内輪11を径方向に厚くすることなく(接触範囲Bにおける最小肉厚tを大きくすることなく)、内輪11の薄肉部25側における実効肉厚Teを大きくすることができる。これにより、軸2側に生じる内輪11の歪みが軸2に伝わり難くなり、第一のクリープの発生を抑制することができる。この結果、内輪11が軸2に対して滑ることによる摩耗を防ぐことが可能となる。
As described above, in the case of the tapered
〔他の形態の円すいころ軸受について〕
前記実施形態では、内輪11が固定輪であり、外輪12が回転輪である場合について説明したが、前記のような嵌め合い面40に非接触面部42を含ませる構成は、内輪11と外輪12との内の一方が回転輪であり他方が固定輪である円すいころ軸受に適用可能である。つまり、図3は、円すいころ軸受10の他の例を示す断面図である。この円すいころ軸受10では、内輪11が回転輪であり、外輪12が固定輪である。この場合、内輪11と軸2とは「締まり嵌め」の状態で組み付けられており、内輪11は軸2と一体回転可能である。これに対して、外輪12は、固定状態にある筒状部材3に取り付けられているが、筒状部材3の内周面5に「すきま嵌め」の状態で組み付けられている。このため、軸2が内輪11と共に回転している使用状態で、外輪12と筒状部材3との間においてクリープ(筒状部材3に対する外輪12の周方向の滑り)が発生することがある。
[Other types of tapered roller bearings]
In the above-described embodiment, the case where the
このクリープは、前記第一のクリープと同種であり、外輪12の軸方向他方側の薄肉部55における脈動変形により発生する。なお、外輪12の軸方向中央及び軸方向他方側(これらを厚肉部56という)は充分な肉厚を有しているため、外輪12の脈動変形による歪みが、厚肉部56では外輪12の外周側にまで及ばない。つまり、厚肉部56では、第一のクリープ抑制に有効となる肉厚(実効肉厚)が大きい。
This creep is the same type as the first creep, and is generated by pulsation deformation in the
図3に示す円すいころ軸受10は、第一のクリープを抑制するために、前記形態(図1参照)と同様の構成を備えている。すなわち、外輪12の外周面が、筒状部材3の内周面5との嵌め合い面49となっており、この嵌め合い面49は、筒状部材3と接触する接触面部61と、筒状部材3と非接触となる非接触面部62とを有している。非接触面部62は、前記形態と同様に、テーパ面により構成されている。非接触面部62は、接触面部61に対して傾斜角度Q2を有しており、非接触面部62と筒状部材3の内周面5との間には、環状の微小空間Gが形成されている。
The tapered
外輪12の軸方向他方側の薄肉部55において、第一のクリープ抑制に有効となる肉厚(実効肉厚Te)を大きくするために、非接触面部62は、外輪12の薄肉側に偏って設けられており、非接触面部62と接触面部61との境界Nが所定の位置に設定されている。つまり、図4に示す断面において、円すいころ13と外輪軌道面31との接触範囲Bのうち、最も薄肉側の端部(接触端部)を符号「M」とすると、この接触端部Mと前記境界Nとの間の距離が、薄肉部55における(最小の)実効肉厚Teとなる。境界Nが所定の位置に設定されることで、薄肉部55においてクリープ抑制に有効となる実効肉厚Teを大きくすることができる。
In the
実効肉厚Teを大きくするためには、図4において二点鎖線で示す仮想面Kと筒状部材3の内周面5との交線X2よりも、厚肉側に、接触面部61と非接触面部62との境界Nを位置させるように、非接触面部62の範囲(軸方向範囲)を設定すればよい。前記仮想面Kは、円すいころ13と外輪軌道面31との接触範囲Bのうち、最も薄肉側の接触端部Mを通過し、かつ、この内輪軌道面21に直交する面である。つまり、実効肉厚Teを大きくするためには、前記境界Nを前記交線X2よりも厚肉側に位置させればよく、これにより、嵌め合い面49のうち前記仮想面Kとの交差部(交線)X1は、非接触面部62に含まれる構成となる。
In order to increase the effective wall thickness Te, the
このように図3及び図4に示す形態では、外輪12の筒状部材3に対する嵌め合い面49のうち、軸2に非接触である非接触面部62が、外輪12の薄肉側に偏って設けられている。しかも、非接触面部62は、前記接触端部Mを含む最薄肉部55aの外周側(筒状部材3側)に形成されている。最薄肉部55aは、前記薄肉部55に含まれる部分である。具体的に説明すると、最薄肉部55aは、前記接触端部Mを含む部分であり、より詳しく説明すると、前記接触端部Mを通過し軸受中心線Cに直交する仮想面上の部分である。
As described above, in the embodiment shown in FIGS. 3 and 4, the
以上のように、図3に示す円すいころ軸受10の場合、固定輪となる外輪12の軸方向他方側は薄肉となり、円すいころ13から外輪12に大きな荷重が作用すると、薄肉部55側において歪みやすいが、前記構成によれば、外輪12を径方向に厚くすることなく、外輪12の薄肉部55側における実効肉厚Teを大きくすることができる。これにより、筒状部材3側に生じる外輪12の歪みが筒状部材3に伝わり難くなり、第一のクリープの発生を抑制することができる。この結果、外輪12が筒状部材3に対して滑ることによる摩耗を防ぐことが可能となる。
As described above, in the case of the tapered
〔その他〕
以上のとおり開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。つまり、本発明の円すいころ軸受は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。例えば保持器14の形状は別であってもよい。また、前記実施形態では、非接触面部42(62)は、軸方向端面44(64)から軸方向中央側へ向かって徐々に径方向寸法が変化する形状(テーパ形状)である場合について説明したが、(図示しないが)段階的に径方向寸法が変化する形状であってもよい。
[Others]
The embodiments disclosed above are illustrative in all respects and not restrictive. That is, the tapered roller bearing of the present invention is not limited to the illustrated form, but may be of another form within the scope of the present invention. For example, the shape of the
2:軸(相手部材) 3:筒状部材(相手部材) 10:円すいころ軸受
11:内輪 12:外輪 13:円すいころ
14:保持器 21:内輪軌道面 25:薄肉部
25a:最薄肉部 31:外輪軌道面 40:嵌め合い面
41:接触面部 42:非接触面部 44:軸方向端面
49:嵌め合い面 55:薄肉部 55a:最薄肉部
61:接触面部 62:非接触面部 64:軸方向端面
B:接触範囲 K:仮想面 M:接触端部
Te:実効肉厚 X1:交差部
2: Shaft (mating member) 3: Cylindrical member (mating member) 10: Tapered roller bearing 11: Inner ring 12: Outer ring 13: Tapered roller 14: Cage 21: Inner ring raceway surface 25:
Claims (5)
軸方向一方側から他方側に向かって拡径する円すい状の軌道面を内周側に有し軸方向他方側が薄肉となる外輪と、
前記内輪と前記外輪との間に介在している複数の円すいころと、
前記複数の円すいころを保持する保持器と、を備え、
前記内輪と前記外輪との内の一方が回転輪であり他方が固定輪である円すいころ軸受であって、
前記固定輪が取り付けられる相手部材との嵌め合い面は、当該相手部材と接触する接触面部と、当該相手部材と非接触となる非接触面部と、を有しており、
前記非接触面部は、前記固定輪の薄肉側に偏って設けられている、円すいころ軸受。 An inner ring having a conical raceway surface that expands from one side in the axial direction toward the other side on the outer peripheral side, and one side in the axial direction is thin;
An outer ring having a conical raceway surface that expands from one side in the axial direction toward the other side on the inner peripheral side, and the other side in the axial direction is thin;
A plurality of tapered rollers interposed between the inner ring and the outer ring;
A cage for holding the plurality of tapered rollers,
A tapered roller bearing in which one of the inner ring and the outer ring is a rotating ring and the other is a fixed ring,
The mating surface with the mating member to which the fixed ring is attached has a contact surface portion that comes into contact with the mating member, and a non-contact surface portion that is in non-contact with the mating member,
The non-contact surface portion is a tapered roller bearing provided so as to be biased toward the thin side of the fixed ring.
仮想面:前記円すいころと前記固定輪の前記軌道面との接触範囲のうち、最も薄肉側の接触端部を通過しかつ当該軌道面に直交する面 The tapered roller bearing according to claim 1, wherein an intersecting portion of the fitting surface with a virtual surface defined below is included in the non-contact surface portion.
Virtual plane: a plane that passes through the contact end on the thinnest side and is orthogonal to the raceway surface in the contact range between the tapered roller and the raceway surface of the fixed ring
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JP2016235909A JP2018091422A (en) | 2016-12-05 | 2016-12-05 | Tapered roller bearing |
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2016
- 2016-12-05 JP JP2016235909A patent/JP2018091422A/en active Pending
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