JP2018090889A - ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出による湿式製錬法において、該鉱石に含まれる亜鉛を除去する脱亜鉛工程におけるニッケル回収率を向上させる。【解決手段】 ニッケル酸化鉱石を高圧下で酸浸出して浸出液を得る浸出工程S1と、該浸出液に中和剤を添加して生成した中和澱物を除去して中和後液を得る中和工程S3と、該中和後液に硫化水素ガスを吹き込んで生成した亜鉛澱物を除去して脱亜鉛後液を得る脱亜鉛工程S4と、該脱亜鉛後液に硫化剤を添加してニッケルを硫化物として回収するニッケル回収工程S5とからなる湿式製錬方法であって、上記吹き込みでは、直列に接続された複数の反応槽内に該中和後液を順次流しながら、全反応槽への硫化水素ガスの全吹込み量に対して先頭から2番目以降の反応槽への硫化水素ガスの吹込み量を50%以上90%以下に調整する。【選択図】 図1

Description

本発明は、ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出による湿式製錬方法に関し、特にニッケル回収率を高めることが可能な湿式製錬方法に関する。
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬法の一つとして、硫酸を用いた高圧酸浸出(High Pressure Acid Leach:HPAL)プロセスが知られている。このプロセスは、従来の一般的なニッケル酸化鉱の製錬方法である乾式製錬プロセスと異なり、高温下での酸化鉱の還元や乾燥工程がなく、一貫して湿式工程で処理するのでエネルギー的及びコスト的に有利である。また、ニッケル品位が50〜60質量%程度にまで濃縮されたニッケルとコバルトを含む硫化物(以下、ニッケルコバルト混合硫化物とも称する)を得ることができ、高純度なニッケルを精製しやすい特徴がある。
原料のニッケル酸化鉱石を高圧酸浸出してニッケルを製品として回収する場合は、一般的に下記の(a)〜(d)に示す工程に沿って処理を行う場合が多い。
(a)粉砕したニッケル酸化鉱石に水を加えてスラリーにした後、このスラリーに硫酸を添加してからオートクレーブ等の反応容器に装入し、高圧下で240〜280℃程度の温度に保持することでニッケル酸化鉱石に含まれるニッケルやコバルトなどの有価物を浸出させ、浸出後はスラリーを反応容器から取り出して沈降槽によってニッケルやコバルトを含む浸出液と浸出残渣とに固液分離する浸出及び固液分離工程。
(b)上記浸出液に中和剤を添加して所定のpHに調整した状態で鉄などの不純物を析出させ、得られた不純物の中和澱物を含む中和スラリーに凝結剤を添加して該中和澱物を固液分離することでニッケルやコバルトを含む中和後液(中和終液とも称する)を得る中和工程。
(c)上記中和後液に含まれる有価物のニッケルやコバルトを硫化させずに亜鉛及び銅のみを硫化物として除去すべく、上記中和後液に硫化剤をその添加量を適正範囲に制御しながら添加し、得られた硫化澱物(亜鉛澱物とも称する)を固液分離して脱亜鉛後液(脱亜鉛終液とも称する)を得る脱亜鉛工程。
(d)上記脱亜鉛後液に硫化剤を添加してニッケルコバルト混合硫化物を生成した後、この混合硫化物を分離して回収するニッケル回収工程。
例えば特許文献1には上記した高圧酸浸出法による湿式製錬法が開示されており、この湿式製錬法はニッケル酸化鉱石を硫酸で浸出してから固液分離する浸出工程と、得られた浸出液に中和剤を添加して不純物を含む中和澱物を生成し、これを除去して中和後液を得る中和工程と、該中和後液に硫化水素ガスを添加して亜鉛硫化物を生成し、これを除去してニッケル回収母液を得る脱亜鉛工程と、該母液に硫化水素ガスを添加してニッケル及びコバルトを混合硫化物として回収するニッケル回収工程とからなる。
この特許文献1の方法は、中和工程において浸出液中に適宜浸出残渣を添加すると共に中和終液のpHを3.0〜3.5に調整し、更に脱亜鉛工程において該中和終液の濁度が100〜400NTU(Nephelometric Turbidity Unit)になるように該中和終液中に中和澱物及び浸出残渣からなる懸濁物を残留させた状態で硫化反応を行い、これにより得た硫化澱物を含むスラリーを脱亜鉛工程内のろ過工程で固液分離することで該硫化澱物とニッケル及びコバルトを含む終液とを得ている。
特開2010−37626号公報
上記したようなニッケル酸化鉱石を原料とするHPALプロセスでは、その脱亜鉛工程においてニッケルの硫化澱物を生成する条件と亜鉛の硫化澱物を生成する条件とが互いに近似しており、しばしば亜鉛澱物中にニッケルが共沈してロスになる場合があった。ニッケルの回収率はプロセスの経済性に大きく影響するため、ニッケルのロスをできるだけ低減することが望まれている。
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出による湿式製錬法において、該ニッケル酸化鉱石に含まれる亜鉛の除去を行う際、亜鉛や銅などの不純物と共沈するニッケルの量を減少させてニッケル回収率を高めることが可能な湿式製錬方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは、ニッケル酸化鉱石を高圧酸浸出させて得た浸出液の中和処理後の中和後液に硫化剤を添加して硫化により脱亜鉛反応(硫化反応)を行う際、該脱亜鉛反応用の反応槽を2槽以上設けてそれらを直列に接続すると共にそれら反応槽に吹き込む硫化水素ガスの分配比率を調整することで、ニッケル回収率を高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法は、ニッケル酸化鉱石を高圧下で酸浸出した後に浸出残渣を除去して浸出液を得る浸出工程と、該浸出液に中和剤を添加して生成した中和澱物を除去して中和後液を得る中和工程と、該中和後液に硫化水素ガスを吹き込んで生成した亜鉛澱物を除去して脱亜鉛後液を得る脱亜鉛工程と、該脱亜鉛後液に硫化剤を添加してニッケルを硫化物として回収するニッケル回収工程とで構成されるニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法であって、前記脱亜鉛工程における前記硫化水素ガスの吹き込みは、直列に接続された2槽以上の反応槽内に前記中和後液を順次流しながら、全ての反応槽への硫化水素ガスの全吹込み量に対して先頭から2番目以降の反応槽への硫化水素ガスの吹込み量を50%以上90%以下に調整することを特徴としている。
本発明によれば、ニッケル酸化鉱石に含まれる亜鉛の除去を行う際、亜鉛や銅などの不純物と共沈するニッケルの量を減少させてニッケル回収率を高めることができる。
本発明の一具体例のニッケル酸化鉱の湿式製錬方法を示すプロセスフロー図である。 実施例で得た各試料の亜鉛硫化物の粒径とその生成時の硫化水素ガスの吹込み比との関係をプロットしたグラフである。 実施例で得た各試料の亜鉛硫化物のNi品位とその生成時の硫化水素ガスの吹込み比との関係をプロットしたグラフである。 実施例で得た各試料の亜鉛硫化物のNi品位と粒径との関係をプロットしたグラフである。
以下、本発明の一具体例のニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法について説明する。この湿式製錬方法は図1に示すように、先ず浸出工程S1において、原料のニッケル酸化鉱石をクラッシャーなどの粉砕手段によって粒状に細かくしてから水を添加してスラリー化し、このスラリーに硫酸を添加した後、オートクレーブ等の加圧容器に装入して例えば240~280℃の高温高圧下で硫酸浸出処理を行い、有価物であるニッケル及びコバルトを浸出させる。
次に固液分離工程S2において、上記硫酸浸出で得たスラリーを多段階で洗浄した後、固液分離により該スラリーから浸出残渣を除去することでニッケル及びコバルト並びに不純物元素を含む浸出液を得る。次に中和工程S3において、該浸出液に中和剤として消石灰や炭酸カルシウムなどのアルカリを添加して該浸出液のpHを調整することで上記不純物元素を中和澱物として析出させた後、この中和澱物を含むスラリーに凝集剤(凝結剤)を添加してから固液分離することで該中和澱物を除去し、ニッケル及びコバルトを含む中和終液を得る。尚、中和工程S3で得た中和澱物を必要に応じて固液分離行程S2に繰り返してもよい。また、図1の点線に示すように、上記固液分離工程S2で得た浸出残渣の少なくとも一部を中和工程S3において浸出液に添加してもよい。
次に脱亜鉛工程S4において、上記の該中和終液に硫化剤として硫化水素ガスを吹き込むことにより亜鉛を含む硫化澱物(亜鉛硫化物)を生成し、この硫化澱物を含むスラリーを固液分離することで亜鉛硫化物を除去して脱亜鉛後液を得る。最後にニッケル回収工程S5において、該脱亜鉛後液に硫化水素ガスなどの硫化剤を添加することによりニッケル及びコバルトを含むニッケルコバルト混合硫化物を生成し、該ニッケルコバルト混合硫化物を含むスラリーを固液分離することで該ニッケルコバルト混合硫化物を回収すると共に硫化後液(貧液)を得る。この貧液は、必要に応じて図1に示すように固液分離工程S2に繰り返してもよい。
本発明の湿式製錬方法の一具体例においては、上記の脱亜鉛工程S4において亜鉛を選択的に硫化物として析出及び沈降させてニッケル及びコバルトから分離する。その際、中和終液に硫化水素ガスを吹き込んで硫化反応を行う反応槽を2槽以上設け、これら複数の反応槽を直列に接続して中和工程で得た中和終液が順に流れるようにする。更に、これら全ての反応槽に吹き込む硫化水素ガスの量に対して、上記直列に接続した反応槽群のうち先頭から2槽目以降の反応槽に吹き込む硫化水素ガスの量の割合(以下「吹込み比」とも称する)を適切な範囲に調整する。これにより亜鉛や銅などの不純物と共沈するニッケルの量を減らすことができ、ニッケル回収率を高めることができる。
具体的には、上記脱亜鉛工程S4において、脱亜鉛反応を行う反応槽を中和終液が流れる順に先頭からNo.1反応槽、No.2反応槽、No.3反応槽、・・・No.n反応槽のn個の反応槽で構成する場合、No.1反応槽からNo.n反応槽までの全ての反応槽への硫化水素ガスの全吹込み量に対するNo.2反応槽以降の(n−1)個の反応槽への硫化水素ガスの吹込み量(即ち吹込み比)を、50%〜90%の範囲内に調整する。これにより、亜鉛や銅などの不純物と共沈するニッケルの量を減らすことができる。
更に、上記のように吹込み比を高めに設定することで、硫化澱物の粒径を大きく成長させることができる。その結果、脱亜鉛工程における固液分離性を高めることも可能になる。即ち、脱亜鉛工程では微細な粒子からなる硫化澱物が生成されやすく、これを含むスラリーをフィルタープレス等のろ過装置で固液分離すると、ろ布がすぐに目詰まりして通液量が低下するため、その回復のためにろ布の頻繁な逆洗や交換作業が必要になり、生産効率が低下することがあった。これに対して、上記の通り吹込み比を高めに設定することで硫化澱物の粒径が大きくなるのでろ過性が向上する。
上記のように、ニッケル回収率の向上に加えて固液分離性を高める場合は、上記吹込み比を60〜90%の範囲内に調整するのが好ましく、60〜85%の範囲内に調整するのがより好ましい。これにより、最終的に生成される亜鉛硫化物(「脱亜鉛澱物」とも称する)の粒径を大きくすることができ、後段のフィルタープレスなどのろ過装置におけるろ布の目詰まりを抑制することができる。その結果、当該ろ過装置の通液能力が向上するので生産性を高めることができる。このように吹込み比を増加することにより脱亜鉛澱物の粒径が大きく成長する理由は、吹込み比が増加すると、No.1反応槽において硫化反応の初期に発生する亜鉛を含む不純物の硫化物からなる微細粒子の数が減少し、その結果、No.2反応槽以降ではこれら少数の微粒子を核(「タネ」とも称する)として硫化物が成長するからである。
上記の吹込み比が60%未満の場合、No.1反応槽に吹き込まれる硫化水素ガスの割合が相対的に多くなり、その結果No.1反応槽において核となる微細な亜鉛硫化物の粒子が過剰に生成されるので、No.2反応槽以降ではこれら多数の微細粒子を核として硫化物が成長していくので粒径の大きな亜鉛硫化物を得ることが難しくなる。逆に吹込み比が90%を超えた場合、No.1反応槽において核となる微細な亜鉛硫化物の生成が抑えられるのでタネの数が不足し、その結果No.2反応槽以降では粒子成長が不十分になるおそれがある。つまりNo.1反応槽には反応槽全体に供給する硫化水素ガスのうちの10%を超え且つ40%未満の量を吹き込むことでタネを安定的に生成することができる。具体的な吹込み比は、後段のろ過処理の際にろ布が容易に目詰まりしない程度にまで上記粒子が成長するように適宜調整すればよい。
尚、反応槽を直列に3槽以上設ける場合は、末尾に位置する反応槽には硫化水素ガスをあまり吹き込まずにバッファ槽としての役割を担わせてもよい。このように末尾に位置する反応槽をバッファ槽にすることで、それよりも上流側に位置する反応槽において処理液のショートパスが生じても当該バッファ槽において反応時間を確保することができるので、全体的な反応効率の低下を抑制できる。ただし、硫化反応が実質的に行われない反応槽が多いと、設備コストやエネルギーコストの無駄が多くなる上、これら余剰の反応槽に滞留したスラリーが、巻き込まれた空気により酸化されて脱亜鉛澱物が再溶解する等の問題を生じうるため、脱亜鉛反応を行う反応槽の数は3槽以下が好ましい。また、別途用意した亜鉛硫化物や固液分離により回収した亜鉛硫化物をタネとしてNo.1反応槽に供給してもよく、これにより、より粗大な亜鉛硫化物を生成させることができる。
上記の脱亜鉛工程S4では、pH2.5以上3.5以下の範囲で脱亜鉛反応を行うのが好ましい。このpHが2.5未満の場合、一度硫化物となった亜鉛が再溶解して亜鉛の分離が不十分となることがある。逆にpHが3.5を超えた場合、鉄やニッケルなどの除去対象でない元素までも沈澱し得るので後工程のろ過処理の際にろ布やろ過器への澱物負荷が増加し、特に鉄などの場合は微細な澱物を多く発生させるのでろ布の閉塞が促進されるので十分な通液速度を確保するために頻繁にろ布を逆洗する必要が生じ、生産効率が低下するおそれがある。
尚、上記脱亜鉛反応は、下記式1に示すように反応後に酸が生成するため、上記範囲に対して余裕を持たせる観点からpHを2.7以上3.0以下の範囲に維持しながら行うことがより好ましい。
[式1]
ZnSO+HS→ZnS+HSO
図1に示すプロセスフローに沿ってニッケル酸化鉱石を高温高圧浸出で湿式製錬し、ニッケルを硫化物の形態で回収した。具体的には、ラテライト鉱、サプロライト鉱、及びリモナイト鉱からなるニッケル酸化鉱石を硫酸と共に加圧容器としてのオートクレーブに入れ、蒸気ヒーターで240〜260℃の温度に加熱して高圧加圧浸出を行った後、得られた浸出スラリーから浸出残渣を固液分離して浸出液を得た。この浸出液に中和剤として消石灰を添加してpHを3.0〜3.5の範囲に調整することで中和澱物を生成した後、アニオン系の凝集剤を添加して該中和澱物を固液分離により除去して中和終液を得た。
次に、各々直径7.7m×高さ12m(容量460m)の略円筒形状を有し且つ直列に接続された3つの反応槽(No.1反応槽、No.2反応槽、及びNo.3反応槽)を用意し、上記中和後液を1200〜1450m/hrの流量で連続的に先頭のNo.1反応槽に供給し、No.1反応槽、No.2反応槽、及びNo.3反応槽の順に流した。更にこれら3つの反応槽の各々に硫化水素ガスを吹き込んで中和終液に含まれる亜鉛を硫化して亜鉛硫化物を生成した。その際、3つ全ての反応槽への硫化水素ガスの吹込み量に対して、No.2反応槽及びNo.3反応槽への硫化水素ガスの吹込み量の割合、即ち吹込み比を5.1%から86.3%までの範囲内で少しずつ変化させた。
そして、末尾のNo.3反応槽から抜き出した硫化後液を多数のろ過孔が設けられた直径60cmのろ過盤上にろ布を敷いた構造のブフナー漏斗に供給し、ろ液側を真空に吸引することで固液分離した。このようにして吹込み比の異なる条件で生成した試料1〜46の亜鉛硫化物(脱亜鉛澱物)を得た。尚、No.2反応槽及びNo.3反応槽への硫化水素ガスの吹き込みは、大部分をNo.2反応槽に吹き込むようにし、No.2反応槽で成長した亜鉛硫化物を溶存状態の硫化水素ガスの残留分と反応させて成長の仕上げを行う場所としてNo.3反応槽を利用した。具体的には、サンプリングした亜鉛硫化物の粒子径の成長状態に応じて吹込み比を変えない範囲でNo.3反応槽への吹込み量を適宜増減することで調整した。
上記の試料1〜46の亜鉛硫化物の生成の際の吹込み比と、それらの条件でそれぞれ生成した亜鉛硫化物の粒径を下記表1に示す。また、これら吹込み比と亜鉛硫化物の粒径との関係をプロットしたグラフを図2に示す。亜鉛硫化物の粒径は、定常運転時に回収したサンプルを顕微鏡で観察すると共にマイクロトラックを用いて測定した。尚、これら試料1〜46の亜鉛硫化物の生成の際、反応槽内のスラリーのpHを2.7〜2.9、液温を60〜67℃の範囲内に維持した。また、この中和終液の組成は、ニッケル濃度が3.5〜4.0g/L、鉄濃度が0.7〜1.4g/L、亜鉛濃度が60〜140mg/Lの範囲内であった。そして、脱亜鉛後液の亜鉛濃度は5〜12mg/L程度まで低減した。
Figure 2018090889
上記表1及び図2の結果から分かるように、No.2反応槽以降での硫化水素ガスの吹込み比を60%以上90%以下に調整した試料24〜46の亜鉛硫化物では、粒径が概ね10μm以上の粗大な亜鉛硫化物が得られた。これら試料24〜46の亜鉛硫化物の作成では、各々の吹込み比の条件で少なくとも24時間かけて数日間に亘って製錬を継続したが、No.3反応槽から抜き出したスラリーが供給されるろ過器において目詰まりは生じなかった。これに対して吹込み比を60%未満に調整した試料1〜23では、亜鉛硫化物の粒径が全て10μm未満で微細であった。これら試料1〜23の亜鉛硫化物の作成では、各々の吹込み比の条件で連続して製錬を継続したところ、24時間経過する前にろ過器に目詰まりが生じた。
次に、上記の試料1〜46の亜鉛硫化物のうち、任意に選択した37種類の亜鉛硫化物の試料に対して、各々そのニッケル品位をICPにより測定した。得られた亜鉛硫化物中のニッケル品位を吹込み比と共に下記表2に示す。また、これらニッケル品位と吹込み比との関係をプロットしたグラフを図3に示す。更に、亜鉛硫化物の粒径とニッケル品位との関係をプロットしたグラフを図4に示す。
Figure 2018090889
上記表2及び図3から、吹込み比を50%以上にすることで亜鉛硫化物中のニッケル品位を1%以下に低減できることが分かる。また、図4から、ニッケル品位を1%以下にするためには亜鉛硫化物の粒径を概ね10μm以上にすればよく、これは上記表1及び図2から硫化水素ガスの吹込み比を概ね60%以上とすればよいことが分かる。このように亜鉛硫化物の粒径を10μm以上にする場合は、ニッケル回収率の向上の効果に加えてろ過性の向上の効果も得られる。


Claims (2)

  1. ニッケル酸化鉱石を高圧下で酸浸出した後に浸出残渣を除去して浸出液を得る浸出工程と、該浸出液に中和剤を添加して生成した中和澱物を除去して中和後液を得る中和工程と、該中和後液に硫化水素ガスを吹き込んで生成した亜鉛澱物を除去して脱亜鉛後液を得る脱亜鉛工程と、該脱亜鉛後液に硫化剤を添加してニッケルを硫化物として回収するニッケル回収工程とで構成されるニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法であって、
    前記脱亜鉛工程における前記硫化水素ガスの吹き込みは、直列に接続された2槽以上の反応槽内に前記中和後液を順次流しながら、全ての反応槽への硫化水素ガスの全吹込み量に対して先頭から2番目以降の反応槽への硫化水素ガスの吹込み量を50%以上90%以下に調整することを特徴とするニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法。
  2. 前記脱亜鉛工程では、pH2.5以上3.5以下の範囲内で前記硫化反応を行うことを特徴とする、請求項1に記載のニッケル酸化鉱処理の湿式製錬方法。


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