JP2018090171A - 状態監視装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸箱周りの部品の状態監視を、より簡易な構成で効率よく行うことが可能な状態監視装置を提供する。
【解決手段】鉄道車両2の台車1に取り付けられた軸箱周りの部品の状態を監視する状態監視装置60である。この状態監視装置60は、軌道3に配置される振動励起部材61と、台車枠10の端部に設けられた検出センサ62と、を備えて構成される。振動励起部材61によって振動する台車1の応答波形を検出センサ62によって検出し、検出値に基づいて、軸箱周りの部品の状態監視を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、軸箱支持装置の状態監視装置に関するものである。
鉄道用車両の下部に設けられた台車では、台車枠に取り付けられた輪軸が、軸箱に設けられた軸受けに軸支されている。この軸箱は、軸ばねや軸ダンパ等を有する軸箱支持装置によって台車枠に取り付けられている。軸ばねは、ばね帽によって覆われており、台車枠に対する軸箱の上下方向の衝撃を緩衝する。軸ダンパは軸箱支持装置の上下方向の振動を減衰させる。また、軸箱と台車枠とは、軸箱支持装置のリンクや軸はりによって前後方向に連結され、高速走行時の蛇行等を抑制する直進安定性と、曲線走行時の転向性(輪軸の鉛直軸回りの回転性能)とのバランスを保つことが可能な前後方向の剛性が保持されている。
ところで、鉄道車両は、保全のため数年ごとに大規模に分解する検査の他、営業終了後毎、月毎、或いは年毎等に、定期的に目視検査等が行われている。
極稀に、台車部品は、まだ十分に安全性が確保されている場合でも、摩耗等により異音等が生じ、営業線上で状態確認のため、乗務員が列車を停止させて検査することがあり、このために列車運行に遅延が発生することがある。このような事態を避けたいが、ばね帽に覆われた軸ばね、軸ダンパ、前後方向の剛性に関わる部品等は、目視での状態や機能の把握に限界がある。また、大手の鉄道事業者にとっては、保有する数千両の車両を対象にしなければならないという問題もある。
そこで、分解や部品の取り外しを行うことなく、台車に備えられた部品の状態を監視する状態監視装置が開発されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1には、台車枠に加速度センサを取付け、この加速度センサで測定した加速度に基づいて、軸ダンパ、軸ばね等の状態を監視することが開示されている。特許文献2には、ボルト等の監視対象の正常時の音と異常時の音を比較することで、状態監視を行うことが開示されている。このように、鉄道事業者等では、車両の分解等を行わなくても部品の状態監視を簡単かつ確実に行うことができる技術の開発が切望されている。
特開2014−210507号公報 特開2016−90461号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、軸箱周りの部品の状態監視を、より簡易な構成で効率よく行うことが可能な状態監視装置を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の状態監視装置は、車両の台車に取り付けられた軸箱周りの部品の状態を監視する状態監視装置であって、軌道に形成される振動励起部材と、台車枠の端部に設けられた検出部と、を備え、前記振動励起部材によって振動する前記台車の応答波形を前記検出部によって検出し、検出値に基づいて、前記軸箱周りの部品の状態監視を行うことを特徴とする。また、本発明の状態監視装置は、車両の台車に取り付けられた軸箱周りの部品の状態を監視する状態監視装置であって、軌道に形成される振動励起部材と、前記台車からの応答波形を検出する検出部と、を備え、前記検出部は、前記軌道側又は軌道脇に配置されており、前記検出部による検出値に基づいて、前記軸箱周りの部品の状態監視を行うことを特徴とする。
ここで、前記検出部によって検出された前記応答波形を、前記台車の正常時の応答波形と比較することで、前記軸箱周りの部品の状態監視を行う構成とすることができる。また、前記検出部は、変位、角度、速度、角速度、加速度、角加速度、荷重、ひずみから選択される少なくとも何れかの応答波形を検出することが好ましい。また、前記検出部が、前記台車枠に対して着脱自在であることが好ましい。さらには、前記振動励起部材が、前記軌道に配置される板材、突起物、継ぎ目、又は波形ブロックから選択される振動励起ブロックであることが好ましい。
このように構成された本発明の状態監視装置は、振動励起部材によって車両に振動を与えることで、検出部によって台車の応答波形を検出する。検出された応答波形に基づいて、軸箱周りの部品の状態監視を行うことができ、部品の取り外しや分解等の手間や時間を省くことができる。このため、軸箱周りの部品の状態監視を、より簡易な構成で効率よく行うことが可能になる。
また、検出部によって検出された応答波形を、台車の正常時の応答波形と比較することで、軸箱周りの部品の状態監視を行う構成であれば、軸箱周りの部品が正常であるか否か、さらにはいずれの部品に不具合を生じたか等を判定することができる。また、検出部が、変位、角度、速度、角速度、加速度、角加速度、荷重、ひずみから選択される少なくとも何れかの応答波形を検出する構成であれば、より正確に状態監視を行うことができる。また、検出部が、台車枠に対して着脱自在な構成であれば、車両ごとに検出部を付替えて、1つの検出部で複数の車両の状態監視を行うことができる。
さらには、振動励起部材が、軌道に配置される板材、突起物、継ぎ目、又は波形ブロックから選択される振動励起ブロックであれば、より明確な応答波形を検出することが可能な振動を車両に与えることができ、高精度な状態監視が可能となる。
本実施形態の状態監視装置を備えた軸箱支持装置を有する台車の側面図である。 軸箱の上下振動の加速度とばね帽の上下振動の加速度に基づく応答倍率のシミュレーション実験結果のグラフを示す ばね帽の上下振動の加速度を時刻歴で表したシミュレーション実験結果のグラフを示す。 図3のグラフにおける各波間の対数減衰率を表したグラフである。 振動励起部材の変形例の説明図であり、軌道上に振動励起部材として突起物を設置した状態を示す。 振動励起部材の変形例の説明図であり、軌道の継ぎ目を振動励起部材とした状態を示す。 振動励起部材の変形例の説明図であり、軌道上に振動励起部材として波形ブロックを設置した状態を示す。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態の状態監視装置を備えた軸箱支持装置を有する台車の側面図である。
この図1に示すように、台車1は、鉄道車両2の車体の下部に設けられるものであり、台車枠10、空気ばね20等を有する車体支持装置、輪軸30、軸箱40等を有する軸箱支持装置50、モータ等を有する駆動装置、ブレーキ等を備えている。
台車枠10は、台車1を構成する構造部材であって、左右の側ばり、側ばりを中央でつなぐ横ばり等で構成されている。台車枠10は空気ばね20、牽引装置等の車体支持装置を介して車体に装着されている。
空気ばね20は、台車枠10と車体との間に設けられている。空気ばね20は、台車1の左右に例えば1対が設けられ、台車枠10の左右の側ばりの上部にそれぞれ固定されている。輪軸30は、2枚の車輪31を車軸32に圧入して組み立てられている。
軸箱40は、輪軸30の車軸32の両端部に設けられ、車軸32を回転可能に支持する軸受、軸受を収容する軸箱体、潤滑装置等を備えて構成されている。
軸箱支持装置50は、軸箱40を台車枠10に対して位置決めし、弾性的に支持する装置である。本実施形態の軸箱支持装置50は、モノリンク式のものであって、軸箱40の他に、軸ばね51、軸ダンパ52、モノリンク53等を備えている。しかし、軸箱支持装置50がモノリンク式に限定されることはなく、軸はり式のもの等、従来公知のものを用いることができる。
軸ばね51は、台車枠10の側端部に設けられたばね帽54内に収容されている。軸ばね51は、ばね帽54の上端部に設けられたばね受55と、軸箱40の上方に設けられたばね座56との間に配置されている。軸ばね51は、台車枠10に対する軸箱40の上下方向(垂直方向)の衝撃を緩衝し、車体などの荷重バランスを調整するとともに、台車枠10に対する軸箱40の鉄道車両2の進行方向における左右方向の衝撃も緩衝する。
軸ダンパ52は、軸箱40の側部と台車枠10との間に設けられている。この軸ダンパ52は、台車枠10に対する軸箱支持装置50の上下方向(垂直方向)の振動を減衰させる。したがって、車体の荷重バランスを調整して鉄道車両2の円滑な走行を可能とするためには、軸ばね51や軸ダンパ52等の一次ばね系の状態を監視することは重要である。
モノリンク53は、一方の端部が台車枠10の接続部11に連結され、他方の端部が軸箱40の接続部41に連結されている。モノリンク53によって台車枠10と軸箱40とを前後方向で連結している。各接続部11,41には、支軸12,42が設けられ、各支軸12,42がゴム等のリング状の弾性体13,43内に嵌合されている。このように、台車枠10と軸箱40とが、前後方向でモノリンク53を介して連結されることで、台車枠10に対する軸箱40の前後方向への剛性を調整して、高速走行時の蛇行等を抑制する直進安定性と、曲線走行時の転向性とのバランスが保持されている。したがって、高速走行や曲線走行を、蛇行や脱線等を生じることなく円滑に行うためには、前後方向の剛性に関わる部品の状態を監視することは重要である。
上述のような構成の台車1の軸箱周りの部品の状態監視を行うため、状態監視装置60が設けられている。軸箱周りの部品としては、例えば、前述の軸ばね51、軸ダンパ52等の一次ばね系が挙げられる。また、モノリンク53、軸はり等の連結部材、連結部材周りの接続部11,41、支軸12,42、弾性体13,43(前後方向を支持するゴム、軸はりのゴム等)といった軸箱支持装置50の各部品等、前後方向の剛性を調整する部材等が挙げられる。また、軸バネ51等がゴムである場合もあり、この場合は軸ばね51等は、上下方向の剛性を調整する部材である。
これらの軸箱周りの部品は、正常(健全)な状態であるか、劣化等によって状態が変化したかを、目視で監視するのは困難である。本実施形態の状態監視装置60では、軸箱周りの部品を取り外したり、分解したりすることなく(在姿状態及び非分解で)、軸箱周りの部品の状態監視を簡易かつ効率よく行うことができるようになっている。
図1に示すように、本実施形態の状態監視装置60は、軌道3に配置される振動励起部材61と、台車枠10の端部に設けられ、振動励起部材61によって振動する台車1の応答波形を検出する検出部としての検出センサ62と、を備えている。また、本実施形態の状態監視装置60は、検出センサ62の検出値を検出信号として有線又は無線で受信し、検出値に基づいて各種演算処理を行って結果のグラフを作成したり、検出値を解析して状態を判定したりする制御部63を備えている。
振動励起部材61は、台車1に振動を生じさせることができるものであれば、特に限定されることはない。例えば、板材、突起物、継ぎ目、又は波形ブロック等の振動励起ブロックを用いることができる。本実施形態では、図1に示すように、振動励起部材61として鉄板を用いている。
このような振動励起部材61を軌道3上に配置し、鉄道車両2を図1の矢印方向(進行方向)に低速走行させると、車輪31が振動励起部材61に乗り上げ、該車輪31が軌道3に着地する際の力により、台車1が振動(応答)する。
検出センサ62は、このような台車1の振動による応答波形を検出する。検出センサ62は、台車1のいずれの位置に設けてもよいが、振動によって台車1がピッチング方向や上下並進方向等に揺動することを鑑みて、台車枠10の端部に設けることが望ましく、応答波形の検出感度を向上させることができる。
台車1からの応答は、変位、角度、速度、角速度、加速度、角加速度、力(荷重)、ひずみ等の物理量として表れる。そのため、その応答波形を検出することができれば、検出センサ62として、いずれのものを用いてもよい。
例えば、台車1の加速度を応答波形として検出する加速度センサ、台車1等の速度の応答波形を検出する速度センサ、台車1の変位の応答波形を検出する変位センサ(例えば、レーザ距離測定センサ等のレーザ変位センサ)等が挙げられる。変位センサは、台車1側に設けてもよいし、軌道3側や軌道脇に設けて、台車1に向けてレーザ等を照射して変位を検出するものであってもよい。検出センサ62では、台車1又は軌道3のいずれの位置又は部品の応答波形を検出してもよい。例えば、一次ばね系の振動の応答波形を検出してもよいし、上下方向又は前後方向の剛性に関わる部品の応答波形を検出してもよいし、軌道3の応答波形を検出してもよい。
また、検出センサ62として、台車1や軌道3に作用する荷重の応答波形を検出する荷重センサ、台車1や軌道3のひずみに対する応答波形を検出するひずみセンサ、台車1や軸箱周りの部品の等の角度、角速度、角加速度等を検出するジャイロセンサ等も挙げられる。荷重センサは、車体に作用する荷重を検出するセンサでもよい。または、車体の振動によって軌道3に作用する荷重を検出するセンサを用い、間接的に台車1の応答波形を検出してもよい。ひずみセンサとしては、例えば、モノリンク53等の連結部材や軌道3のねじれやひずみを応答波形として検出するセンサを用いることができる。また、ジャイロセンサとしては、例えば、台車1のピッチング角、ピッチング角速度、ピッチング角加速度等を応答波形として検出するセンサを用いることができる。
本実施形態では、検出センサ62として、2つの加速度センサ62a,62bを用いている。一方の加速度センサ62a(入力側)は、軸箱40の上面に取り付けられ、軸箱40の上下振動の加速度を検出可能となっている。他方の加速度センサ62b(出力側)は、ばね帽54の上面に取り付けられ、ばね帽54の上下振動の加速度を検出可能となっている。なお、後述の実験例(2)のように加速度を時刻歴で表して状態監視を行う場合等、状態監視の目的に応じて加速度センサ62a,62bのいずれか一つのみを設けるものであってもよい。
また、検出センサ62は、台車枠10に固定された構成とすることができる。この構成により、作業者が検出センサ62を用意したり取り付けたりする手間を省き、振動励起部材61を軌道3に設置して車両を走行させるだけで状態監視が可能となる。
または、検出センサ62は、マグネットや他の取付部材によって、台車枠10に対して着脱自在に構成することもできる。この構成により、1つの検出センサ62で何両もの鉄道車両2の状態監視を行うことができ、可搬性に優れるとともに、低コストの状態監視装置60とすることができる。
制御部63は、CPU、RAM、ROM、ICメモリやハードディスクなどにより実現される記憶装置、外部装置との信号の入出力を制御する通信インターフェース等を備えたコンピュータ(PC)等から構成することができる。制御部63は、ROM等に予め記憶されているプログラムに従って、RAMをワークメモリとして用いて状態監視処理を実行する。
制御部63は、鉄道車両2の車体に設けられ、検出センサ62からの検出値に基づいて、軸箱周りの部品の状態監視を行う。本実施形態では、制御部63は検出値に基づいて各種演算処理を実行し、状態監視結果を数値やグラフとしてPCの画面やプリンタ等に出力する。なお、制御部63は必ずしも車体に設ける必要はなく、他の異なる例として、地上側に設置したPC等であってもよいし、検査を行う作業者が持つノートパソコンやタブレットその他の携帯端末等であってもよい。また、現場で検出センサ62によるデータの取得から制御部63による状態監視まで一貫して行ってもよいし、データ取得を現場で行い、データを会社(事務所)等に転送等した後、グラフ化や状態監視を事務所で行ってもよい。
この状態監視結果のグラフ等を確認することで、作業者等は軸箱周りの部品の状態が正常であるか、または劣化等によって異常が生じているか等を判定することができる。
この正常か否かの判定は、例えば、正常値を示すグラフや数値等の基準データを予め記憶部等に記憶しておき、この基準データと今回検出した検出データとを比較して行うことができる。基準データと、検出データとを並べて画面等に表示することにより、状態の変化を明確に把握することができ、作業者等が一目で正常か否かを容易に判定することが可能となる。
また、制御部63において、基準データと検出データとを比較して正常か否かを自動で判定して結果を出力するように構成してもよい。制御部63により、軸箱周りの部品の状態をより高速かつ、より客観的に判定することが可能となる。また、様々な条件での状態監視データや鉄道車両2に関するデータをデータベースに記憶しておき、これらの情報(さらにはビッグデータ)に基づいて、軸箱周りのいずれの部品に劣化等が生じているかまで判定するように構成することもできる。
図5A〜図5Cに、振動励起部材(振動励起ブロック)の変形例を列挙する。図5Aは、鉄板等の板材に代えて、進行方向に向かって高くなるくさび形の突起物からなる振動励起部材61aを軌道3に設置した例である。なお、突起物がくさび形に限定されることはなく、軌道3上に突出して鉄道車両2に振動を付与できれば、他のいずれの形状であってもよい。図5Bは、軌道3の継ぎ目を振動励起部材61bとした例である。図5Cは、波形ブロックからなる振動励起部材61cを軌道3に設置した例である。
このような振動励起部材61a,61b,61c上を鉄道車両2が通過することで、台車1に振動を生じさせることができ、状態監視装置60を用いた軸箱周りの部品の状態監視を、高精度に行うことができる。また、以上のような本実施形態又は変形例の振動励起部材61,61a,61b,61cでは、鉄道車両2や軸箱周りの部品の耐久性等に影響を与えることなく、精度よく状態監視が可能な適度な振動を与えることができる。
以上、本実施形態によれば、軌道3に配置される振動励起部材61上を、鉄道車両2が走行することで、車輪31が振動励起部材61に乗り上げ、該車輪31が軌道3に着地するときの力により、台車1が振動(応答)する。このときの応答波形を検出センサ62が検出することで、軸箱周りの部品の状態が正常か否か等、状態監視を行うことができる。したがって、軸箱周りの部品の状態監視を、より簡易な構成で効率よく行うことが可能な状態監視装置60を提供することができる。
このように部品の取り外しや分解を行うことなく、状態監視ができるため、定期検査をより簡易に行うことができる。例えば、営業終了後毎に、車庫へ帰還する鉄道車両2の状態監視を簡易に行うことができるため、不具合が見つかった際に、部品交換や台車1交換等を、再出庫するまでに行うことができる。また、日々の劣化度合いを確認することができるので、大規模なメンテナンス時期の決定や、部品手配を計画的に行うことができる。そのため、鉄道車両2のメンテナンス性が向上するとともに、日々の円滑な営業が可能となる。
(状態監視実験)
以下、本実施の形態の鉄道車両2を用いて、状態監視装置60による状態監視のシミュレーション実験を試みた。以下、その実験について詳細に説明する。
<実験方法>
図1に示すように、振動励起部材61として、鉄板(長さ195mm、幅70mm、厚さ22mm)を軌道3上に設置した。今回は、第7位車輪31の状態監視を行うため、第7位車輪31側の軸箱40の上部に加速度センサ62aを取り付け、ばね帽54の上面に62bを取り付けた。そして、鉄道車両2を約5km/hで低速走行させた。振動励起部材61を車輪31が乗り上げるときと、振動励起部材61から軌道3に車輪31が落下するときの軸箱40とばね帽54の上下振動加速度を、それぞれ加速度センサ62a,62bで検出した。
ここでは、以下の3つの条件下で実験を行った。
(1)第1条件:軸箱周りの部品に不具合がない正常(健全)条件
(2)第2条件:前後方向の剛性に不具合を生じた条件
(3)第3条件:一次ばね系に不具合を生じた条件
上記(2)第2条件の前後方向の剛性に不具合を生じた条件を作り出すため、軸箱40とモノリンク53との間に2mm程度の隙間ができるように、軸箱40の接続部41とモノリンク53とを接続する軸箱締結ボルトを緩めた。また、(3)第3条件の一次ばね系に不具合を生じた条件の具体例として、軸ダンパ52の減衰不足を生じた状態を作り出すべく、第7位車輪31の軸ダンパ52を取り外した。
上記第1〜第3条件下で、それぞれ5回鉄道車両2を走行させて、合計15回の状態監視実験を行った。それぞれの実験において加速度センサ62a,62bで検出した検出値に基づいて、下記のように応答倍率、時刻歴波形によって、状態を評価(不具合の識別)した。
<実験結果及び不具合の識別>
(1)応答倍率による不具合の識別
図2に、軸箱40の上下振動の加速度(入力側加速度)とばね帽54の上下振動の加速度(出力側加速度)に基づく応答倍率(出力側加速度/入力側加速度)のシミュレーション実験結果のグラフを示す。なお、図2には、各条件での5回の実験のうち、最も加速度が高かった結果と最も低かった結果の2回をそれぞれの条件で示している。図2では、第1条件の応答倍率を太実線及び細実線で示し、第2条件の応答倍率を太破線及び細波線で示し、第3条件の応答倍率を太一点鎖線及び細一点鎖線で示した。図2のグラフの横軸は周波数(Frequency)であり、縦軸は応答倍率(Transfer function estimate)である。
この図2からわかるように、軸箱締結ボルトを緩めた第2条件(前後方向の剛性に不具合を生じた条件)での実験では、他の第1、第3条件と異なり、11Hz付近にピークができる。従って、この11Hz付近のピークの有無により、軸箱締結ボルトの緩み等、前後方向の剛性に関わる部品に不具合を生じたことを識別することが可能である。
一方、16Hz付近を観察すると、軸ダンパ52の減衰不足が生じたる第3条件(第1ばね系に不具合を生じた条件)は、第1条件の健全条件よりも応答倍率が低い傾向にある。さらに、双方の周波数を観察すると、第3条件のグラフが、第1条件のグラフよりも1Hz程低い所にピークがある。このような結果が得られたときは、軸ダンパ52の減衰不足等、一次ばね系に不具合を生じたことを識別することが可能である。
(2)時刻歴波形による不具合の識別
図3に、車輪31が振動励起部材61から軌道3に着地する際のばね帽54の上下振動の加速度(加速度センサ62bで検出した加速度)を取得時刻歴で表したシミュレーション実験結果のグラフを示す。図3の各グラフにおいて、横軸は時間(Time)であり、縦軸は振動加速度/最大振動加速度(Acc./Max.Acc.)である。
鉄道車両2が振動励起部材61に乗り上げて、軌道3上に着地する際の衝撃の大きさは、鉄道車両2の走行速度などの実験条件のばらつきにより異なる。そこで本実験では、最大加速度(着地時の第1波の振動加速度の振幅)で加速度データを無次元化することで、実験条件のばらつきの影響を抑えた。また、図3では、台車1の並進運動やピッチング運動が分かり易くなるよう、振動加速度波形にフィルタをかけた。
上記第1〜第3条件で、それぞれ5回の試験を行ったが、同じ実験条件では同様の傾向を示したので、図3では、5回の実験のうち、1実験での結果のみを示した。
図3上段のグラフに示すように、健全条件である第1条件では、波形が自然に減衰していく。これに対して、図3中段のグラフに示すように、軸箱締結ボルトを緩めた第2条件では、5波目(図3中段のグラフに矢印で示した部分)で振幅が非常に低くなり、6波目で再び振幅が高くなる。その後、3波目と同程度の高さの振幅がある波形が現れた後、振幅は減衰する。
これは、軸箱締結ボルトが緩んでいるため、軸箱40と台車枠10が前後方向に相対運動をし、互いの運動を打ち消しあう時刻があるためと考えられる。したがって、このような状態監視結果が得られたときは、前後方向の剛性に関わる部品に不具合を生じたことを識別することができる。
また、図3下段のグラフに示すように、軸ダンパ52の減衰不足を生じた第3条件では、4、5、6波目(図3下段のグラフに矢印で示した部分)で振幅がほぼ等しく減衰しない状態が続き、その後急激に振幅が減衰する。第1条件である健全条件に比べ、6波目の振幅が大きく、振動がより長く続いている。これは軸ダンパ52の減衰が不足しているために、台車1の運動が健全時より長く継続するためと考えられる。したがって、このような状態監視結果が得られたときは、一次ばね系に不具合を生じたことを識別することができる。
次に、各波間の対数減衰率のグラフを図4に示す。図4のグラフの横軸は加速度の減衰番号(Number of acceleration decrement)であり、縦軸は対数減衰率(Logarithmic decrement ratio)である。図4では、第1条件の対数減衰率を実線で示し、第2条件の対数減衰率を破線で示し、第3条件の対数減衰率を一点鎖線で示した。健全条件である第1条件では、波形が自然に減衰して小さくなっていくため、グラフの値はすべてプラスになる。これに対して、軸箱締結ボルトを緩めた第2条件では、5波目の振幅が小さく6波目の振幅が大きくなるので(図3参照)、この2波間の対数減衰率(図4の横軸5)はマイナスになる。軸ダンパ52の減衰不足を生じた第3条件では、4、5、6波目の各波間の対数減衰率(図4中の横軸3、4、5)は連続的に小さくなり、6波目から7波目の対数減衰率(図4中の横軸6)が他の条件よりも大きくなる。
これらの性質を利用すれば、健全であるか、締結ボルトの緩み等の前後方向の剛性に関わる部品に不具合を生じたのか、軸ダンパ52の減衰不足等の一次ばね系に不具合を生じたのかを識別することが可能である。特に、図3の波形のグラフに比べて、図4のグラフは、応答波形の変化を定量的に把握できるので、コンピュータ(制御部63)が各データを比較して、正常か否かを評価したり、不具合を生じた部品を特定したりするとき等に用いるのに有効なデータである。なお、図3のグラフは、表示部等に表示することで、作業者等が目視によって容易に状態監視をすることができるので、人間が正常か否か等の判定をするときに用いるのに有効なデータである。
以上の実験結果より、本実施形態の状態監視装置60では、一次ばね系や前後方向の剛性に関わる部品の不具合を識別することができ、軸箱周りの部品の状態監視を、簡易な構成で効率よく行えることがわかった。
1 台車
2 鉄道車両(車両)
3 軌道
10 台車枠
40 軸箱
50 軸箱支持装置
60 状態監視装置
61,61a,61b,61c 振動励起部材
62 検出センサ(検出部)
62a,62b 加速度センサ(検出部)

Claims (6)

  1. 車両の台車に取り付けられた軸箱周りの部品の状態を監視する状態監視装置であって、
    軌道に形成される振動励起部材と、
    台車枠の端部に設けられた検出部と、を備え、
    前記振動励起部材によって振動する前記台車の応答波形を前記検出部によって検出し、検出値に基づいて、前記軸箱周りの部品の状態監視を行うことを特徴とする状態監視装置。
  2. 車両の台車に取り付けられた軸箱周りの部品の状態を監視する状態監視装置であって、
    軌道に形成される振動励起部材と、
    前記台車からの応答波形を検出する検出部と、を備え、
    前記検出部は、前記軌道側又は軌道脇に配置されており、
    前記検出部による検出値に基づいて、前記軸箱周りの部品の状態監視を行うことを特徴とする状態監視装置。
  3. 前記検出部によって検出された前記応答波形を、前記台車の正常時の応答波形と比較することで、前記軸箱周りの部品の状態監視を行う構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の状態監視装置。
  4. 前記検出部は、変位、角度、速度、角速度、加速度、角加速度、荷重、ひずみから選択される少なくとも何れかの応答波形を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の状態監視装置。
  5. 前記検出部が、前記台車枠に対して着脱自在であることを特徴とする請求項1、3又は4のいずれか一項に記載の状態監視装置。
  6. 前記振動励起部材が、前記軌道に配置される板材、突起物、継ぎ目、又は波形ブロックから選択される振動励起ブロックであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の状態監視装置。
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