JP2018090162A - 車両用シート装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】より効果的なストレッチ運動を行うことのできる車両用シート装置を提供すること。
【解決手段】シート装置20は、シートバック3の背もたれ面3sを形成するクッション部材10を備えた第1のシートバック部材11と、この第1のシートバック部材11を後方から支える第2のシートバック部材12と、を備える。また、第2のシートバック部材12は、第1のシートバック部材11から離間して後方に傾倒可能に構成される。そして、シート装置20は、この第2のシートバック部材12の傾倒により第1のシートバック部材11の上方に開放空間FSを形成して、シート1の乗員Hが、この第1のシートバック部材11を用いたストレッチ運動を行うことができるように構成される。
【選択図】図6

Description

本発明は、車両用シート装置に関するものである。
従来、例えば、特許文献1に示すように、シート表皮の内側に設けられた空気袋が拡縮することにより、その利用者にマッサージ効果を付与するマッサージ機能付きのシートや、例えば、特許文献2に示すように、シートバックを変形させることにより、その利用者がストレッチ運動を行うことのできるシートがある。そして、車両のシートについてもまた、例えば、特許文献3に示すように、乗員のマッサージ機能を備えたものや、特許文献4に示すように、乗員がストレッチ運動を行うことができるように、そのシートバックを変形可能なものがある。
特開平7−124215号公報 実用新案登録第3006072号公報 特表2006−514560号公報 特開2010−104450号公報
しかしながら、車両のシートには、安定した着座状態及び衝突安全性を確保するために、頭部を含む乗員の上体を、その後方から全体的に支持することが求められる。そして、衝突荷重に耐えうる高い強度を確保するためには、上記特許文献2に記載の座椅子のような構成の採用、即ち背凭れの下部に形成された開口部の内側で当該背凭れとは独立に傾倒動作する補助板を設け、この補助板のみを起立させた状態で乗員が背筋を伸ばすようなストレッチ運動を行うことができるようにすることも難しい。このため、従来、車両のシートにおいては、上記特許文献4に記載のように、シートバック側方の一部分を前方に引き起こして支持アームを形成することにより、その乗員が脇腹を伸ばす程度の軽いストレッチ運動を行うことのできるような簡易的な構成に留まっているのが実情であり、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、より効果的なストレッチ運動を行うことのできる車両用シート装置を提供することにある。
上記課題を解決する車両用シート装置は、シートバックの背もたれ面を形成するクッション部材を備えた第1のシートバック部材と、前記第1のシートバック部材を後方から支える第2のシートバック部材と、を備え、前記第2のシートバック部材は、前記第1のシートバック部材から離間して後方に傾倒可能であるとともに、該第2のシートバック部材の傾倒により前記第1のシートバック部材の上方に開放空間を形成して、該第1のシートバック部材を用いたストレッチ運動を行うことができるように構成されることが好ましい。
上記構成によれば、例えば、車両走行時等、乗員が通常の着座姿勢でシートを利用する場合には、そのシートの前後方向に配置された第1及び第2のシートバック部材が一体化された状態でシートバックを形成することにより、衝突荷重に耐えうる高い強度を確保することができる。また、第2のシートバック部材を第1のシートバック部材から離間して後方に傾倒させることにより、その起立状態にある第1のシートバック部材に対して乗員がもたれ掛かる態様で、背筋を伸ばすようなストレッチ運動を行うことができる。そして、これにより、その上体背部の筋肉や靭帯に生じた緊張を緩和し、及び上体前部の収縮した筋肉を伸ばすとともに、血流やリンパの循環を改善する等、より高いストレッチ効果を得ることができる。
また、第1のシートバック部材に設けられたクッション部材がシートバックの背もたれ面を形成し、その背もたれ面に印加されたシート荷重を後方から第2のシートバック部材が支える構成とすることで、より柔軟な素材をクッション部材に用いることができるようになる。即ち、第1及び第2のシートバック部材が一体化された通常使用時には、シートバックの撓みを抑えて、安定的に、その背もたれ面に印加されたシート荷重を支えることができる。更に、乗員がストレッチ運動を行う際、第1のシートバック部材が大きく撓むようにすることで、その乗員の上体を柔軟に支えることができる。そして、これにより、その良好な触感と併せて、より優れたストレッチ効果を得ることができる。
上記課題を解決する車両用シート装置は、前記第1のシートバック部材は、該第1のシートバック部材が起立した状態の高さを調節可能な高さ調節機能を備えることが好ましい。
上記構成によれば、ストレッチ運動に用いる第1のシートバック部材の高さを乗員の体格に合わせて最適化することができる。そして、これにより、より優れたストレッチ効果を得ることができる。
上記課題を解決する車両用シート装置は、前記第1のシートバック部材は、前記シートバックの高さ方向に沿って着脱可能に連結される複数の前記クッション部材を備えることが好ましい。
上記構成によれば、クッション部材の連結個数を変えることで、容易に、その第1のシートバック部材の高さを調節することができる。
上記課題を解決する車両用シート装置は、前記第1のシートバック部材は、前記クッション部材として、係合突部を有したクッションブロックと、前記係合突部に対して係合可能な係合凹部を前記シートバックの高さ方向上側に有して前記クッションブロックが連結されるベースクッションと、を備えることが好ましい。
上記構成によれば、ベースクッションに対してクッションブロックを着脱することにより、容易に、その第1のシートバック部材の高さを調節することができる。そして、ベースクッションに対するクッションブロックの連結作業についてもまた、その係合凹部に対して係合突部を係合させることにより、容易に行うことができる。
上記課題を解決する車両用シート装置は、前記第1のシートバック部材は、前記係合突部と相反する方向に臨む位置に該係合突部に対して係合可能な係合凹部を有して互いが連結可能に構成された複数の前記クッションブロックを備えることが好ましい。
上記構成によれば、ベースクッションに対して一つのクッションブロックを連結した後、このクッションブロックに対して他のクッションブロックを連結することにより、段階的に、その第1のシートバック部材を高くすることができる。そして、これらの各クッションブロックを順次取り外すことにより、段階的に、その第1のシートバック部材を低くすることができる。
上記課題を解決する車両用シート装置は、前記クッションブロックは、軸状の前記係合突部を有するものであって、前記第1のシートバック部材は、シート幅方向の両端部において前記係合突部が前記シートバックの高さ方向に延びるように構成されることが好ましい。
上記構成によれば、そのシートバックの高さ方向に延びる各係合突部が、第1のシートバック部材をシート幅方向の両側で支える一対の支持軸として機能する。そして、これにより、ストレッチ運動の際、シート幅方向の中央部分において第1のシートバック部材が大きく撓むことができる状態で、安定的に、その第1のシートバック部材にもたれ掛かった乗員の上体を支えることができる。
上記課題を解決する車両用シート装置は、前記第2のシートバック部材には、前記第1のシートバック部材から取り外された前記クッション部材を保持するクッション保持部が設けられることが好ましい。
上記構成によれば、乗員がストレッチ運動を行っている間、その第1のシートバック部材から取り外されたクッションブロックの置き場所を確保する手間を省くことができる。そして、これにより、利便性の向上を図ることができる。
上記課題を解決する車両用シート装置は、前記第2のシートバック部材は、前記第1のシートバック部材を後方から支える状態において、前記クッション保持部に保持された前記クッション部材が、前記第1のシートバック部材の上方で前記シートバックの背もたれ面を形成するように構成されることが好ましい。
上記構成によれば、ストレッチ運動を行った後、その第2のシートバック部材を前方に引き起こすことで、第1及び第2のシートバック部材が一体的にシートバックを形成する状態に復帰させることができる。そして、これにより、利便性の向上を図ることができる。
上記課題を解決する車両用シート装置は、前記第1のシートバック部材は、前記クッション部材として、係合突部を有したクッションブロックと、前記シートバックの高さ方向上側に臨む位置に前記係合突部に対して係合可能な係合凹部を有して前記クッションブロックが連結されるベースクッションと、を備え、前記第2のシートバック部材は、前記シートバックの高さ方向下側に臨む位置に前記係合突部に対して係合可能な係合凹部を有して前記第1のシートバック部材から取り外された前記クッションブロックが連結されるクッション保持部を備えるとともに、前記第2のシートバック部材が前記第1のシートバック部材を後方から支える状態において、前記クッション保持部に保持された前記クッションブロックが、前記第1のシートバック部材の上方において前記シートバックの背もたれ面を形成するように構成されることが好ましい。
上記構成によれば、第1のシートバック部材から取り外されたクッションブロックをクッション保持部の下側に連結するかたちで、第2のシートバック部材に保持させることができる。そして、このクッション保持部に対するクッションブロックの連結作業についてもまた、その係合凹部に対して係合突部を係合させることにより、容易に行うことができる。
また、ストレッチ運動を行った後、その第2のシートバック部材を前方に引き起こすことで、第1及び第2のシートバック部材が一体的にシートバックを形成する状態に復帰させることができる。更に、第1のシートバック部材は、その上端部分に上記各係合凹部が開口するとともに、第2のシートバック部材も同様に、その下端部分に上記各係合凹部が開口する状態となる。そして、これにより、第1及び第2のシートバック部材が互いに干渉することなく、その第2のシートバック部材が第1のシートバック部材から離間して後方に傾倒し、及びこの第2のシートバック部材を前方に引き起こして第1のシートバック部材と一体化させることができる。
上記課題を解決する車両用シート装置は、前記第1のシートバック部材は、シート幅方向の両端部に該第1のシートバック部材の高さ方向に延びる支持軸を備えることが好ましい。
上記構成によれば、ストレッチ運動の際、シート幅方向の中央部分において第1のシートバック部材が大きく撓むことができる状態で、安定的に、その第1のシートバック部材にもたれ掛かった乗員の上体を支えることができる。
本発明によれば、より効果的なストレッチ運動を行うことができる。
シートの斜視図(通常使用時)。 シートの側面図(通常使用時)。 シートの側面図(ストレッチ運動時)。 (a)(b)は、シート及び乗員の平面図(a:通常使用時、b:ストレッチ運動時)。 (a)〜(c)は、シートの斜視図(ストレッチ運動時、高・中・低)。 第1のシート部材を用いたストレッチ運動の説明図。 シートの分解斜視図。 シートバックの断面図(図2におけるVIII−VIII断面図)。 クッション保持部に対してクッション部材の着脱する際の動作説明図。 クッション保持部に保持されたクッション部材の断面図(図6におけるX−X断面)。 別例の係合突部及び係合凹部を示す説明図。 別例のクッション部材の連結構造を示す説明図。
以下、車両用シート装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1及び図2に示すように、車両用のシート1は、シートクッション2と、このシートクッション2の後端部に設けられたシートバック3と、を備えている。また、シートバック3の上端には、ヘッドレスト4が設けられている。そして、シートクッション2とシートバック3との間には、シートクッション2に対するシートバック3の傾倒角度を変更可能なシートリクライニング装置5が介在されている。
図3及び図4に示すように、本実施形態のシートバック3は、その背もたれ面3sを形成するクッション部材10を備えた第1のシートバック部材11と、この第1のシートバック部材11の後方に配置された第2のシートバック部材12と、を備えている。尚、本実施形態のヘッドレスト4は、その第2のシートバック部材12の上端部分に支持されている。そして、本実施形態のシートリクライニング装置5は、これら第1及び第2のシートバック部材11,12を、それぞれ、独立に傾倒動作させることが可能になっている。
即ち、図1、図2、及び図4(a)に示すように、本実施形態のシート1は、第1及び第2のシートバック部材11,12が一つのシートバック3として一体化された状態にある場合には、その第1のシートバック部材11を第2のシートバック部材12が後方から支える構成になっている。そして、本実施形態のシートバック3は、これにより、衝突荷重に耐えうる高い強度を有するものとなっている。
また、図3及び図4(b)に示すように、このシート1は、第1のシートバック部材11を起立した状態に維持したまま、第2のシートバック部材12を後方に傾倒させることで、当該第2のシートバック部材12を第1のシートバック部材11から離間させることが可能になっている。そして、本実施形態では、これにより、第1のシートバック部材11の上方に開放空間FSを形成して当該第1のシートバック部材11を用いてストレッチ運動を行うことができるように、そのシート1を変形可能なシート装置20が形成されている。
詳述すると、図5(a)〜(c)に示すように、本実施形態のシート1において、第1のシートバック部材11は、この第1のシートバック部材11が起立した状態の高さ(図5中、上下方向)を調節可能な高さ調節機能を備えている。具体的には、この第1のシートバック部材11は、その高さを三段階(高・中・低)に調節することが可能になっている。そして、シート1の乗員は、これにより、そのストレッチ運動に用いる第1のシートバック部材11を最適な高さに設定する構成になっている。
具体的には、図6に示すように、シート1の乗員Hは、第2のシートバック部材12を後方に傾倒させた状態で、その起立状態にある第1のシートバック部材11にもたれ掛かる態様でストレッチ運動を行う。即ち、このとき、乗員Hの上体は、大きく仰け反るかたちで、その背中よりも上側の部分が第1のシートバック部材11の上方に配置される。そして、本実施形態のシート1は、これにより、その乗員Hの背筋を伸ばすようなストレッチ運動を行うことが可能になっている。
尚、このようなストレッチ運動の際、乗員Hの上体は、肩甲骨の下角(かかく)までの低い位置が、その後方に位置する第1のシートバック部材11に支えられた状態となることが望ましい。これにより、より効果的に、その上体背部の筋肉や靭帯に生じた緊張を緩和することができる。また、このとき、両手を上方に延ばした姿勢をとるとよい。これにより、より大きく胸を開いて上体前部の収縮した筋肉を伸ばすことができる。そして、本実施形態のシート装置20は、その高さ調節機能によって、ストレッチ運動に用いる第1のシートバック部材11の高さを乗員Hの体格に合わせることで、より優れたストレッチ効果が得られるように構成されている。
図7及び図8に示すように、本実施形態のシート1において、第1のシートバック部材11は、シートバック3の高さ方向(各図中、上下方向)に複数のクッション部材10を着脱可能に連結することにより形成されている。
具体的には、第1のシートバック部材11は、そのクッション部材10として、軸状の係合突部21を有した複数(本実施形態では、2つ)のクッションブロック22(22α,22β)と、このクッションブロック22に設けられた係合突部21に対して係合可能な穴状の係合凹部23(23a)を有するベースクッション24と、を備えている。
本実施形態の各クッションブロック22は、それぞれ、そのシート幅方向の両端部、即ち、これらの各クッションブロック22が形成する背もたれ面3s(図1参照)の幅方向両端部分に設けられた一対の上記係合突部21を有している。本実施形態のクッションブロック22において、これらの各係合突部21は、例えば、金属のような剛性の高い素材を用いて形成された軸状部材25を、その一部が外部に突出する状態で各クッションブロック22に埋設することにより形成されている。また、本実施形態のベースクッション24は、上記シートリクライニング装置5(図2参照)を介してシートクッション2の後端部分に連結されている。そして、このベースクッション24は、そのシートバック3の高さ方向上側(図7中、上側)に臨む上端部24aにおいて、シート幅方向の両端部に設けられた一対の係合凹部23(23a)を有している。
更に、本実施形態の各クッションブロック22は、それぞれ、上記ベースクッション24と同様、その係合突部21に対して係合可能な穴状の係合凹部23(23b)を備えている。具体的には、各クッションブロック22は、そのシート幅方向の両端部に、各係合突部21と相反する方向(図7中、上側)に臨む一対の係合凹部23を備えている。そして、本実施形態の各クッションブロック22は、これにより、その一方側の係合凹部23に対して他方側の各係合突部21を挿入する形で互いが連結可能となっている。
即ち、本実施形態のシート1において、第1のシートバック部材11は、ベースクッション24の上端部24aに設けられた各係合凹部23(23a)に対し、その各係合突部21を挿入する態様で第1のクッションブロック22αが連結される構成になっている。更に、これによりベースクッション24の上端部24aに連結された第1のクッションブロック22αもまた、そのシートバック3の高さ方向上側に臨む位置に一対の係合凹部23(23b)を有した状態となる。そして、第1のシートバック部材11は、これらの各係合凹部23(23b)に対し、第2のクッションブロック22βに設けられた各係合突部21を挿入する態様で、当該第2のクッションブロック22βが第1のクッションブロック22αに連結される構成になっている。
このように、第1のシートバック部材11は、その下端部分を構成するベースクッション24の上方に連結するクッションブロック22(22α,22β)の数(n=0,1,2)を変更することにより、その起立状態の高さを調節することが可能になっている。そして、第2のシートバック部材12には、この第1のシートバック部材11から取り外されたクッションブロック22を保持するクッション保持部30が設けられている。
詳述すると、図1及び図2に示すように、本実施形態のシート1において、第2のシートバック部材12は、第1及び第2のシートバック部材11,12がシートバック3として一体化された状態にある場合に、その第1のシートバック部材11を構成する各クッション部材10に対して後方側から当接する支持部材31を備えている。具体的には、本実施形態の支持部材31は、各クッション部材10よりも剛性の高い素材を用いて板状に形成されている。そして、これにより、そのシート1の前方に臨む表面31sが各クッション部材10に当接する状態で、可撓性を有した弾性素材(スポンジ等)により形成された第1のシートバック部材11の各クッション部材10を後方から支える構成になっている。
また、図3に示すように、本実施形態のシート1は、この第2のシートバック部材12を構成する支持部材31に対してヘッドレスト4が固定される構成となっている。更に、支持部材31には、その表面31sにおける上端部分に、上記各クッションブロック22及びベースクッション24と同様、クッション部材10としての構成を有するアッパクッション32が固定されている。そして、図5に示すように、本実施形態のクッション保持部30は、このアッパクッション32の下側に第1のシートバック部材11から取り外されたクッションブロック22を連結するかたちで、そのクッションブロック22を第2のシートバック部材12に保持する構成になっている。
具体的には、図8〜図10に示すように、本実施形態のアッパクッション32は、シートバック3の高さ方向(各図中、上下方向)、下側に臨む位置に、上記ベースクッション24と同様、クッションブロック22に設けられた各係合突部21に対して係合可能な係合凹部23(23c)を有している。具体的には、この係合凹部23は、ベースクッション24におけるシート幅方向の両端部に、一つずつ、設けられている。そして、第2のシートバック部材12は、このアッパクッション32に設けられた各係合凹部23に対し、その各係合突部21を挿入することにより、第1のシートバック部材11から取り外された第2のクッションブロック22βが、その上下方向を入れ替えるかたちで連結される構成になっている。
更に、これによりアッパクッション32の下側に連結された第2のクッションブロック22βもまた、そのシートバック3の高さ方向、下側に臨む位置に各係合凹部23(23b)が配置された状態となる。そして、第2のシートバック部材12は、この第2のクッションブロック22βに設けられた各係合凹部23に対し、その各係合突部21を挿入することにより、第1のシートバック部材11から取り外された第1のクッションブロック22αが、同じく上下方向を入れ替えるかたちで連結される構成になっている。
また、本実施形態のシート1において、第1のシートバック部材11は、ベースクッション24の上方に連結するクッションブロック22の数(n=0,1,2)に依らず、その上端部分に上記各係合凹部23(23a,23b)が開口する構成になっている。更に、第2のシートバック部材12も同様に、アッパクッション32の下方に連結するクッションブロック22の数(n=0,1,2)に依らず、その下端部分に上記各係合凹部23(23b,23c)が開口する構成になっている。そして、本実施形態のシート1は、これにより、その第1及び第2のシートバック部材11,12が互いに干渉することなく、その第2のシートバック部材12が第1のシートバック部材11から離間して後方に傾倒し、及び当該第2のシートバック部材12を前方に引き起こして第1のシートバック部材11と一体化させることが可能になっている。
即ち、図1及び図2に示すように、本実施形態のシート1は、第1及び第2のシートバック部材11,12がシートバック3として一体化された状態にある場合、その第1のシートバック部材11を構成する各クッション部材10、即ちベースクッション24と、その上側に連結されたクッションブロック22とが背もたれ面3sの下側部分を形成する。そして、その第2のシートバック部材12に保持されたクッション部材10、即ち支持部材31の上端部分に設けられたアッパクッション32と、その下側に連結されたクッションブロック22とが背もたれ面3sの上側部分を形成する。
また、図5及び図6に示すように、シート1の乗員Hがストレッチ運動を行う場合には、シートバック3の背もたれ面3sを上下に分割する態様で、その第2のシートバック部材12が傾倒する。そして、ストレッチ運動を行った後、この第2のシートバック部材12を前方に引き起こすことで、これら第1及び第2のシートバック部材11,12が一体的にシートバック3を形成する状態に復帰させることが可能となっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)シート装置20は、シートバック3の背もたれ面3sを形成するクッション部材10を備えた第1のシートバック部材11と、この第1のシートバック部材11を後方から支える第2のシートバック部材12と、を備える。また、第2のシートバック部材12は、第1のシートバック部材11から離間して後方に傾倒可能に構成される。そして、シート装置20は、この第2のシートバック部材12の傾倒により第1のシートバック部材11の上方に開放空間FSを形成して、シート1の乗員が、この第1のシートバック部材11を用いたストレッチ運動を行うことができるように構成される。
上記構成によれば、例えば、車両走行時等、乗員Hが通常の着座姿勢でシート1を利用する場合には、そのシート1の前後方向に配置された第1及び第2のシートバック部材11,12が一体化された状態でシートバック3を形成することにより、衝突荷重に耐えうる高い強度を確保することができる。また、第2のシートバック部材12を第1のシートバック部材11して後方に傾倒させることにより、その起立状態にある第1のシートバック部材11に対して乗員Hがもたれ掛かる態様で、背筋を伸ばすようなストレッチ運動を行うことができる。そして、これにより、その上体背部の筋肉や靭帯に生じた緊張を緩和し、及び上体前部の収縮した筋肉を伸ばすとともに、血流やリンパの循環を改善する等、より高いストレッチ効果を得ることができる。
また、第1のシートバック部材11に設けられたクッション部材10がシートバック3の背もたれ面3sを形成し、その背もたれ面3sに印加されたシート荷重を後方から第2のシートバック部材12が支える構成とすることで、より柔軟な素材をクッション部材10に用いることができるようになる。即ち、第1及び第2のシートバック部材11,12が一体化された通常使用時には、シートバック3の撓みを抑えて、安定的に、その背もたれ面3sに印加されたシート荷重を支えることができる(図4(a)参照)。更に、乗員Hがストレッチ運動を行う際には、第1のシートバック部材11が大きく撓むようにすることで、その乗員Hの上体を柔軟に支えることができる(図4(b)参照)。そして、これにより、その良好な触感と併せて、より優れたストレッチ効果を得ることができる。
(2)第1のシートバック部材11は、この第1のシートバック部材11が起立した状態の高さを調節可能な高さ調節機能を備える。
上記構成によれば、ストレッチ運動に用いる第1のシートバック部材11の高さを乗員Hの体格に合わせて最適化することができる。そして、これにより、より優れたストレッチ効果を得ることができる。
(3)第1のシートバック部材11は、シートバック3の高さ方向に複数のクッション部材10を着脱可能に連結することにより形成される。これにより、クッション部材10の連結個数を変えることで、容易に、その第1のシートバック部材11の高さを調節することができる。
(4)第1のシートバック部材11は、そのクッション部材10として、係合突部21を有したクッションブロック22と、そのシートバック3の高さ方向上側に臨む位置に係合突部21に対して係合可能な係合凹部23(23a)を有してクッションブロック22が連結されるベースクッション24と、を備える。
上記構成によれば、ベースクッション24に対してクッションブロック22を着脱することにより、容易に、その第1のシートバック部材11の高さを調節することができる。そして、ベースクッション24に対するクッションブロック22の連結作業についてもまた、その係合凹部23に対して係合突部21を係合させることにより、容易に行うことができる。
(5)第1のシートバック部材11は、係合突部21と相反する方向に臨む位置に当該係合突部21に対して係合可能な係合凹部23(23b)を有して互いが連結可能に構成された複数のクッションブロック22(22α,22β)を備える。
上記構成によれば、ベースクッション24に対して第1のクッションブロック22αを連結した後、この第1のクッションブロック22αに対して第2のクッションブロック22βを連結することにより、段階的に、その第1のシートバック部材11を高くすることができる。そして、これらの各クッションブロック22を順次取り外すことにより、段階的に、その第1のシートバック部材11を低くすることができる。
(6)クッションブロック22の係合突部21は、軸形状を有する。そして、第1のシートバック部材11は、シート幅方向の両端部において、そのクッションブロック22の各係合突部21がシートバック3の高さ方向に延びるように構成される。
上記構成によれば、そのシートバック3の高さ方向に延びる各係合突部21が、第1のシートバック部材11をシート幅方向の両側で支える一対の支持軸として機能する。そして、これにより、ストレッチ運動の際、シート幅方向の中央部分において第1のシートバック部材11が大きく撓むことができる状態で、安定的に、その第1のシートバック部材11にもたれ掛かった乗員Hの上体を支えることができる。
(7)第2のシートバック部材12には、第1のシートバック部材11から取り外されたクッションブロック22を保持するクッション保持部30が設けられる。
上記構成によれば、乗員Hがストレッチ運動を行っている間、その第1のシートバック部材11から取り外されたクッションブロック22の置き場所を確保する手間を省くことができる。そして、これにより、利便性の向上を図ることができる。
(8)第2のシートバック部材12は、第1のシートバック部材11を構成する各クッション部材10に対して後方側から当接する支持部材31を備える。また、シート1の前方に臨む支持部材31の表面31sには、その上端部分にクッション部材10としてのアッパクッション32が固定される。そして、このアッパクッション32は、そのシートバック3の高さ方向下側に臨む位置に上記クッションブロック22の係合突部21に対して係合可能な係合凹部23(23c)を備える。
上記構成によれば、第1のシートバック部材11から取り外されたクッションブロック22をアッパクッション32の下側に連結するかたちで、第2のシートバック部材12に保持させることができる。そして、このアッパクッション32(及びアッパクッション32に連結されたクッションブロック22)に対するクッションブロック22の連結作業についてもまた、その係合凹部23(23c,23b)に対して係合突部21を係合させることにより、容易に行うことができる。
(9)第2のシートバック部材12は、第1のシートバック部材11を後方から支える状態において、そのクッション保持部30を構成するアッパクッション32及び当該アッパクッション32に連結されたクッションブロック22が、第1のシートバック部材11の上方においてシートバック3の背もたれ面3sを形成するように構成される。
上記構成によれば、ストレッチ運動を行った後、その第2のシートバック部材12を前方に引き起こすことで、第1及び第2のシートバック部材11,12が一体的にシートバック3を形成する状態に復帰させることができる。また、第1のシートバック部材11は、そのベースクッション24の上方に連結するクッションブロック22の数に依らず、その上端部分に上記各係合凹部23(23a,23b)が開口する。更に、第2のシートバック部材12も同様に、アッパクッション32の下方に連結するクッションブロック22の数に依らず、その下端部分に上記各係合凹部23(23b,23c)が開口する。そして、これにより、その第1及び第2のシートバック部材11,12が互いに干渉することなく、その第2のシートバック部材12が第1のシートバック部材11から離間して後方に傾倒し、及びその第2のシートバック部材12を前方に引き起こして第1のシートバック部材11と一体化させることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、第1のシートバック部材11は、そのクッション部材10として、第1及び第2のクッションブロック22α,22βと、ベースクッション24と、を備える。そして、シートクッション2の後端部分に設けられたベースクッション24の上側に、第1及び第2のクッションブロック22α,22βを着脱可能に連結してなることとした。
しかし、これに限らず、クッションブロック22の数は、一つでも3つ以上であってもよい。更に、その形や大きさ等、第1のシートバック部材11を構成するクッション部材10の種類、及びその数についてもまた、任意に変更してもよい。また、上記実施形態におけるベースクッション24のような最も下側のクッション部材10を含め、全てのクッション部材10を着脱可能な構成であってもよい。そして、これらの各クッション部材10が支持部材を介して連結される構成であってもよい。尚、この場合における支持部材は、そのシート幅方向の中央部分において第1のシートバック部材11が大きく撓むことを許容する構造或いは材質を有していることが好ましい。
・上記実施形態では、クッションブロック22は、軸状の係合突部21を有する。更に、クッションブロック22は、係合突部21と相反する方向に臨む位置に当該係合突部21に対して係合可能な穴状の係合凹部23(23b)を有する。また、ベースクッション24は、そのシートバック3の高さ方向上側に臨む位置に係合突部21に対して係合可能な係合凹部23(23a)を有する。更に、第2のシートバック部材12に設けられたアッパクッション32もまた、そのシートバック3の高さ方向下側に臨む位置に係合突部21に対して係合可能な係合凹部23(23c)を有する。そして、クッションブロック22は、その係合突部21を上記各係合凹部23(23a〜23c)に挿入するかたちで、これらのベースクッション24及びアッパクッション32、並びに他のクッションブロック22に対して着脱可能に連結されることとした。
しかし、これに限らず、例えば、図11に示すように、これら係合突部21及び係合凹部23の形状は任意に変更してもよい。この例において、クッションブロック22Bは、先端側に広がる逆楔形の断面形状を有してシート幅方向(図11中、紙面に直交する方向)に延びる突条部41を有する。また、クッションブロック22Bは、その突条部41と相反する方向に臨む位置に、この突条部41に対して係合可能な溝部42を有する。更に、ベースクッション24は、そのシートバック3の高さ方向上側に臨む位置に同様の溝部42を有し、アッパクッション32もまた、そのシートバック3の高さ方向下側に臨む位置に同様の溝部42を有する。そして、これらの突条部41及び溝部42を、それぞれ、その係合突部21B及び係合凹部23Bとする構成であってもよい。
即ち、この例において、各クッション部材10B(22B,24B,32B)は、シート幅方向にクッションブロック22Bを相対移動させることにより、その係合突部21Bを構成する突条部41と係合凹部23Bを構成する溝部42とが係合する。そして、このような構成を採用しても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
・更に、各クッション部材10の連結構造についてもまた、任意に変更してもよい。
例えば、図12に示すように、各クッション部材10C(22C,24C)は、それぞれ、そのシート幅方向両端部に貫通孔44を有する。そして、これらの各貫通孔44に対してシートバック3の高さ方向に延びる左右一対の支持軸45が挿入される態様で、各クッション部材10Cが連結される構成としてもよい。このような構成を採用しても、ストレッチ運動の際、シート幅方向の中央部分において第1のシートバック部材11が大きく撓むことができる状態で、安定的に、その第1のシートバック部材11にもたれ掛かった乗員Hの上体を支えることができる。
・上記実施形態では、第2のシートバック部材12の上端部分に設けられたアッパクッション32がクッション保持部30として機能することとした。しかし、これに限らず、クッション保持部30の構成は、任意に変更してもよい。例えば、クッションブロック22と同様に、アッパクッション32もまた、そのクッション部材10として着脱可能に保持される構成としてもよい。また、クッション保持部30は、必ずしもアッパクッション32のようなクッション部材10でなくともよい。そして、そのクッション保持部30が、第2のシートバック部材12の上端部分以外の場所に設けられる構成であってもよい。
・上記実施形態では、ベースクッション24の上側に連結するクッション部材10の個数を変えることで、その第1のシートバック部材11の高さを調節することとした。しかし、これに限らず、例えば、シートバック3の高さ方向に第1のシートバック部材11が伸縮する構成であってもよい。そして、その第1のシートバック部材11を構成する各クッション部材10が、それぞれ、その高さ調節機能を備える構成であってもよい。
1…シート、2…シートクッション、3…シートバック、3s…背もたれ面、4…ヘッドレスト、5…シートリクライニング装置、10,10C…クッション部材、11…第1のシートバック部材、12…第2のシートバック部材、20…シート装置、21,21B…係合突部、22(22α,22β),22B,22C…クッションブロック、23(23a〜23c),23B…係合凹部、24,24C…ベースクッション、24a…上端部、25…軸状部材、30…クッション保持部、31…支持部材、31s…表面、32…アッパクッション、41…突条部、42…溝部、44…貫通孔、45…支持軸、H…乗員、FS…開放空間。

Claims (10)

  1. シートバックの背もたれ面を形成するクッション部材を備えた第1のシートバック部材と、
    前記第1のシートバック部材を後方から支える第2のシートバック部材と、を備え、
    前記第2のシートバック部材は、前記第1のシートバック部材から離間して後方に傾倒可能であるとともに、該第2のシートバック部材の傾倒により前記第1のシートバック部材の上方に開放空間を形成して、該第1のシートバック部材を用いたストレッチ運動を行うことができるように構成された車両用シート装置。
  2. 請求項1に記載の車両用シート装置において、
    前記第1のシートバック部材は、該第1のシートバック部材が起立した状態の高さを調節可能な高さ調節機能を備えること、を特徴とする車両用シート装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の車両用シート装置において、
    前記第1のシートバック部材は、前記シートバックの高さ方向に沿って着脱可能に連結される複数の前記クッション部材を備えること、を特徴とする車両用シート装置。
  4. 請求項3に記載の車両用シート装置において、
    前記第1のシートバック部材は、前記クッション部材として、
    係合突部を有したクッションブロックと、
    前記係合突部に対して係合可能な係合凹部を前記シートバックの高さ方向上側に有して前記クッションブロックが連結されるベースクッションと、を備えること、
    を特徴とする車両用シート装置。
  5. 請求項4に記載の車両用シート装置において、
    前記第1のシートバック部材は、前記係合突部と相反する方向に臨む位置に前記係合突部に対して係合可能な係合凹部を有して互いが連結可能に構成された複数の前記クッションブロックを備えること、を特徴とする車両用シート装置。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の車両用シート装置において、
    前記クッションブロックは、軸状の前記係合突部を有するものであって、
    前記第1のシートバック部材は、シート幅方向の両端部において前記係合突部が前記シートバックの高さ方向に延びるように構成されること、
    を特徴とする車両用シート装置。
  7. 請求項3〜請求項6の何れか一項に記載の車両用シート装置において、
    前記第2のシートバック部材には、前記第1のシートバック部材から取り外された前記クッション部材を保持するクッション保持部が設けられること、
    を特徴とする車両用シート装置。
  8. 請求項7に記載の車両用シート装置において、
    前記第2のシートバック部材は、前記第1のシートバック部材を後方から支える状態において、前記クッション保持部に保持された前記クッション部材が、前記第1のシートバック部材の上方で前記シートバックの背もたれ面を形成するように構成されること、
    を特徴とする車両用シート装置。
  9. 請求項3又は請求項4に記載の車両用シート装置において、
    前記第1のシートバック部材は、前記クッション部材として、
    係合突部を有したクッションブロックと、
    前記シートバックの高さ方向上側に臨む位置に前記係合突部に対して係合可能な係合凹部を有して前記クッションブロックが連結されるベースクッションと、を備え、
    前記第2のシートバック部材は、前記シートバックの高さ方向下側に臨む位置に前記係合突部に対して係合可能な係合凹部を有して前記第1のシートバック部材から取り外された前記クッションブロックが連結されるクッション保持部を備えるとともに、
    前記第2のシートバック部材が前記第1のシートバック部材を後方から支える状態において、前記クッション保持部に保持された前記クッションブロックが、前記第1のシートバック部材の上方において前記シートバックの背もたれ面を形成するように構成されること、を特徴とする車両用シート装置。
  10. 請求項1〜請求項9の何れか一項に記載の車両用シート装置において、
    前記第1のシートバック部材は、シート幅方向の両端部に該第1のシートバック部材の高さ方向に延びる支持軸を備えること、を特徴とする車両用シート装置。
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