JP2018089172A - 粒子線照射システム、粒子線制御情報生成装置、粒子線照射制御装置、粒子線照射装置、および粒子線照射装置の制御方法、プログラム - Google Patents

粒子線照射システム、粒子線制御情報生成装置、粒子線照射制御装置、粒子線照射装置、および粒子線照射装置の制御方法、プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】照射標的に適切なビームを照射し、照射標的外への影響を最小限に抑える粒子線照射システム、粒子線制御情報生成装置、粒子線照射制御装置、粒子線照射装置、および粒子線照射装置の制御方法、プログラムを提供する。【解決手段】本発明の粒子線照射システムSは、照射標的6hの線量を満たすように仮想の粒子線ビームB31、B32の照射を計画する照射計画装置1と、仮想の粒子線ビームの線量になるようにより鋭い複数の粒子線ビームb32、b33、b34に分裂させ、複数の粒子線ビームの情報を出力する照射計画変換装置4と、複数の粒子線ビームb32、b33、b34の照射を行うように出力信号を出力する照射系制御装置C2と、出力信号により、照射標的6hに複数の粒子線ビームb32、b33、b34を照射する照射機器2、3a〜3e、5とを具備する。【選択図】図13

Description

本発明は、粒子線照射システム、粒子線制御情報生成装置、粒子線照射制御装置、粒子線照射装置、および粒子線照射装置の制御方法、プログラムに関する。
従来、粒子線の照射では、正常な重要臓器を避け、照射標的である病巣への線量の集中性を高くしなければならない。近年ではこの要求を満たすため、下記のスキャニング照射法が注目されている。
スキャニング照射法とは、加速器から取り出された細いペンシルビームを走査電磁石により、ビーム進行方向に垂直なビーム側方方向に走査する。
さらに、病巣をビーム進行方向の各層に区分して、レンジシフタの挿入(レンジシフタスキャニング)、あるいは加速器にてエネルギの変更(エネルギスキャニング)(特許文献1)、またはそれらの組み合わせにより(ハイブリッドスキャニング)ビームの照射深さを変更する。こうして、ビームの照射深さの変更と、ビーム側方方向の走査とを繰り返し、三次元照射を可能としている。
スキャニング照射法では、照射時間の短縮や位置誤差を緩和するためにビーム進行方向のビーム幅を拡幅するエネルギ変調装置、つまりリッジフィルタ(リップフィルタとも呼ばれる)を用い(非特許文献1)、細いビームを鈍らせて使用することがある。ビームを拡幅する度合いを変更するためには、形状の異なるリッジフィルタが必要であり、その場合は要求に沿うよう、リッジフィルタを複数種類備えることが必要となる。
リッジフィルタを用いてビームを拡幅した場合、リッジフィルタを挿入しない単一エネルギと比較すると、リッジフィルタ内で生じた多重クーロン散乱、核反応によりビーム側方方向のビームサイズが拡幅される。ビームサイズの拡幅は、治療計画装置においてはスポット配置数の削減につながり、計算時間、装置のメモリ負担の軽減につながる。スポットとは、ビーム側方方向の照射位置の点、及びその周りの照射範囲を意味する。
一方、健常組織へのビーム照射の影響を抑えるためにビームサイズはできる限り小さく、ビーム進行方向にも鋭い形状であることが望まれている。
特許文献2では、照射標的内の同一深さスライスに対し、デバイスを挿入することで、異なるビームサイズでの照射が可能となっている。
特開2008-226740号公報 特開2010-029594号公報
ところで、粒子線治療では、健常な重要臓器を避け、病巣への線量の集中性を高くしなければならないという大きな課題がある
この対策として、下記のスキャニング照射法が注目されている。
スキャニング照射法とは、病巣をビーム進行方向の各層に区分したエネルギ変調を行うとともに、各層に対して、加速器から取り出された細いペンシルビームを電磁石によりビーム進行方向に垂直な方向に走査し、三次元の病巣形状に合わせて照射を行う。但し、より詳細な照射計画が必要となる。
スキャニング照射法は、線量集中性の高い細いビームで自在に照射できるという利点がある。
一方、スキャニング照射法の短所としては、ビームの照射時間が増加する。細いビームで位置誤差に弱く位置誤差に対する影響が大きくなる。細いビームのために計算を行う分解能を高くする必要があり、治療計画での計算量が増大する。そのため、メモリ容量が増加し、照射計画装置の負担が大きい。特に、大きい病巣では、照射時間が増加し、照射計画装置の負担が大となる。
そこで、スキャニング照射法の短所を緩和するためにエネルギ変調装置のリッジフィルタが導入されている。
リッジフィルタでは、ビームの軸方向・側方向の拡がりが増加する。しかし、リッジフィルタにはスキャニング照射の利点が減じ、失われるという欠点がある。さらに、複数のリッジフィルタを準備・交換することも必要になる。また、リッジフィルタは照射標的内の線量分布のキレ(ペナンブラ)を悪化させ、正常組織への線量寄与を引き起こす。
上述したように、単純なリッジフィルタ適用では、線量集中と負担軽減とが両立できないという課題がある。
本発明は上記実状に鑑み創案されたものであり、照射標的に対して適切なビームを照射し、照射標的外への影響を最小限に抑えられた照射を可能とする粒子線照射システム、粒子線制御情報生成装置、粒子線照射制御装置、粒子線照射装置、および粒子線照射装置の制御方法、プログラムの提供を目的とする。
前記課題を解決するため、第1の本発明の粒子線照射システムは、粒子線ビームを照射標的に照射するための粒子線照射システムであって、照射標的に付与すべき線量を満たすように仮想の粒子線ビームを照射する計画を作成する照射計画装置と、前記仮想の粒子線ビームを、当該仮想の粒子線ビームの線量になるように前記仮想の粒子線ビームより鋭い複数の粒子線ビームに分裂させ、前記複数の粒子線ビームの情報を出力する照射計画変換装置と、前記複数の粒子線ビームの情報を基に、前記複数の粒子線ビームの照射を行うように出力信号を出力する照射系制御装置と、前記出力信号により、前記照射標的に前記複数の粒子線ビームを照射する照射機器とを具備している。
第2の本発明の粒子線制御情報生成装置は、粒子線ビームを照射標的に照射するための粒子線制御情報生成装置であって、照射標的に付与すべき線量を満たすように仮想の粒子線ビームを照射する計画を作成する照射計画装置と、前記仮想の粒子線ビームを、当該仮想の粒子線ビームの線量になるように前記仮想の粒子線ビームより鋭い複数の粒子線ビームに分裂させ、前記複数の粒子線ビームの情報を出力する照射計画変換装置とを備えている。
第3の本発明の粒子線照射装置は、粒子線ビームを照射標的に照射するための粒子線照射装置であって、複数の粒子線ビームの情報を基に、前記複数の粒子線ビームの照射を行うように出力信号を出力する照射系制御装置と、前記出力信号により、前記照射標的に前記複数の粒子線ビームを照射する照射機器とを備え、前記複数の粒子線ビームは、照射標的に付与すべき線量を満たすように計画された仮想の粒子線ビームを、当該仮想の粒子線ビームの線量になるように前記仮想の粒子線ビームより鋭い粒子線ビームに分裂させたものである。
第4の本発明の粒子線照射制御装置は、粒子線ビームを照射標的に照射するための粒子線照射制御装置であって、前記照射標的に付与すべき線量を満たすように作成される仮想の粒子線ビームを、当該仮想の粒子線ビームの線量になるように前記仮想の粒子線ビームより鋭い複数の粒子線ビームに分解する仮実情報変換部を備えている。
第5の本発明の粒子線照射制御装置は、粒子線ビームを照射標的に照射するための粒子線照射制御装置であって、
前記照射標的に付与すべき線量を満たすように作成される仮想の粒子線ビームと当該仮想の粒子線ビームの線量になるような前記仮想の粒子線ビームより鋭い複数の粒子線ビームとの対応情報に基づき、照射計画で作成された仮想の粒子線ビームを複数の粒子線ビームに分解する仮実情報変換部と、分解された前記複数の粒子線ビームの情報を出力する出力部とを備えている。
第6の本発明の粒子線照射装置は、第4または第5の本発明の第前記粒子線照射制御装置と、前記仮想の粒子線ビームの粒子線ビームの進行方向に垂直な方向のビームサイズになるように、前記複数の粒子線ビームをそれぞれ走査する走査電磁石を備えている。
第7の本発明の粒子線照射装置の制御方法は、粒子線ビームを照射標的に照射機器から照射するための粒子線照射装置の制御方法であって、前記照射標的に付与すべき線量を満たすように作成される仮想の粒子線ビームと異なるエネルギの複数の粒子線ビームを重ねることで、当該粒子線ビームより鈍い前記仮想の粒子線ビームのビーム幅に広げている。
第8の本発明の粒子線照射装置の制御方法は、粒子線ビームを照射標的に照射機器から照射するための粒子線照射装置の制御方法であって、前記照射標的に付与すべき線量を満たすように作成される仮想の粒子線ビームを、当該仮想の粒子線ビームより鋭い複数の前記粒子線ビームで構成している。
第9の本発明の粒子線照射装置の制御方法は、粒子線ビームを照射標的に照射機器から照射するための粒子線照射装置の制御方法であって、前記照射標的に付与すべき線量を満たすように作成される仮想の粒子線ビームの照射スポットは、当該仮想の粒子線ビームより鋭い複数の粒子線ビームの照射スポットで形成されている。
第10の本発明の粒子線照射装置のプログラムは、第7から第9の何れかの本発明の粒子線照射装置の制御方法を実現するプログラムである。
本発明によれば、照射標的に対して適切なビームを照射し、照射標的外への影響を最小限に抑えた照射を可能とする粒子線照射システム、粒子線制御情報生成装置、粒子線照射制御装置、粒子線照射装置、および粒子線照射装置の制御方法、プログラムを提供することができる。
本発明の実施形態に係る粒子線照射システムの機能ブロック図。 本発明の実施形態に係る照射野形成装置を示す模式図。 (a)は比較例のエネルギで照射を行っている状態を示す図、(b)はこの時のスポットにおける照射ビームのエネルギの照射標的のビーム進行方向に対する図、(c)はこの時のスライスをビームの進行方向から見た図。 (a)は比較例の粒子線照射システムのスライスへのビーム照射を示す概念図、(b)はこの時のスポットにおける照射ビームのエネルギの照射標的のビーム進行方向に対する図。 (a)は実施形態の粒子線照射システムにおける経過時間に対する粒子線ビームのエネルギとビーム照射量を示す図、(b)は実施形態の粒子線照射システムにおけるリッジフィルタを用いないビーム幅の拡幅を示す図。 (a)は実施形態の粒子線照射システムの照射標的のビーム進行方向のビームの照射を示すイメージ図、(b)は(a)の粒子線ビームのブラックカーブを示す図、(c)は、(a)の粒子線ビームの照射標的のビーム側方方向のビーム形状を示す図。 (a)は実施形態の粒子線照射システムのブラックカーブを示す図、(b)はビームの照射状態を示す図、(c)は(a)の粒子線ビームのビーム側方方向の照射量を示す図。 (a)はスポットの分裂を行っていないビームの照射を示す図、(b)は(a)の際の線量を示す図。 (a)はスポットを4つに分裂されてビームの照射を行っている状態を示す図、(b)は4つに分裂されたスポットを線量ビームの進行方向に見た図、(c)は(a)の際の線量を示す図。 (a)はスポットを9つに分裂されてビームの照射を行っている状態を示す図、(b)は9つに分裂されたスポットを線量ビームの進行方向に見た図、(c)は(a)の際の線量を示す図。 (a)は治療計画内の線源データA〜Cのブラックカーブを示す図、(b)は線源データAのビームを照射標的に照射した状態とそのブラックカーブを、ビーム進行方向に見た図、(c)は線源データCのビームを照射標的に照射した状態とそのブラックカーブを、深さ方向に見た図、(d)は線源データA〜Cのビームを照射標的に照射した状態とそのブラックカーブを、深さ方向に見た図。 (a)は比較例の治療計画内の線源データA〜Cのブラックカーブを示す図、(b)は比較例の線源データAのビームを照射標的に照射した状態とそのブラックカーブを、深さ方向に見た図、(c)は比較例の線源データCのビームを照射標的に照射した状態とそのブラックカーブを、深さ方向に見た図であり、(d)は線源データA〜Cのビームを照射標的に照射した状態とそのブラックカーブを、深さ方向に見た図。 (a)は実施例1の粒子線照射システムの照射系制御装置に格納される典型的なビームのブラックカーブを示す図、(b)、(c)、(d)は、(a)の典型的なビームで作成されるビーム形状をビームの側方方向に見た図。 (a)は実施例1の図13(a)に示すビームで照射標的の最深部に照射を行った際に照射標的をビーム側方から見た図、(b)は実施例1のビームの進行方向にビーム照射時のスライスを見た図。 (a)、(b)はそれぞれ実施例2の照射系制御装置に格納される線源データAのビームのブラックカーブを示す図、および線源データAから作成される線源データBの仮想のビームのブラックカーブとこれを構成する線源データAのビームのブラックカーブを示す図、(c)、(d)は、それぞれ照射標的にビームを照射した際の各スライスへのスポットをビーム進行方向に見た図、および各スライスのブラックカーブを見た図。 (a)、(b)は、それぞれ実施例2の線源データA、Bを用いて、図15(c)、(d)と同様なビームの照射が行われた場合を示す図、(c)、(d)はそれぞれこの際のスライスに照射されるビームのブラックカーブを示す図、およびビームの進行方向に見た各スライスの仮想のビームのビーム幅および実際のビームによるビーム幅を示す図、(e)、(f)はそれぞれスライスへのビームの照射軌跡を見た図、およびスライスに行われる実際の照射の照射軌跡を見た図。 (a)、(b)はそれぞれ実施例4のビームを照射するターゲットとスライスに照射されるビームによる各ブラックカーブを示す図、および(a)のブラックカーブとこれを構成するブラックピークGn、jの拡大図、(c)、(d)はそれぞれ実施例4の2つのスライスを8つに分裂させたスライス分裂とスライスにそれぞれ照射されビームブラックカーブ、およびスライス結合におけるビームの結合を示す図。 粒子線照射システムにおけるハードウェアの治療計画から治療照射までの流れを示す図。 治療計画装置の制御フローを示す図。 治療計画照射変換装置の制御フローを示す図。 粒子線照射システムにおけるスキャニング照射フローを示す図。
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る粒子線照射システムSの機能ブロック図である。
実施形態に係る粒子線照射システムSは、治療(照射)計画装置1、加速器3、照射野形成装置3、加速器系制御装置C1、照射系制御装置C2、治療計画照射変換装置4、および電磁石電源5を具備している。
粒子線照射システムSでは、従来のリッジフィルタが構成から削除され、新たに治療計画照射変換装置4が追加されている。なお、治療計画照射変換装置4は、特許請求の範囲の仮実情報変換部、粒子線照射制御装置、出力部、記憶部、ビーム結合制御部等を構成する。
全ての治療照射前には、どのくらい、どこにビームを照射するか(スポット配置)を決定する治療計画がある。スポットとは、ビーム側方方向の照射位置の点である。
粒子線ビームの照射に際しては、照射標的(腫瘍)6hに万遍なくビームを当てることが望まれる。
そこで、粒子線の照射に際して、治療計画装置1において、照射標的6hに対し、どのようにどのくらいビームを照射するかの最適化計算が行われる。治療計画装置1には実際の粒子線ビームの情報のビームデータが登録されており、それを用いて計算が行われる。 加速器2は、陽子、重粒子等の粒子を所定のエネルギの粒子線ビームまで加速する装置である。
図2は、本発明の実施形態に係る照射野形成装置3を示す模式図である。
図2中、上部から下部にビームb0が照射される。ビームb0をスキャンする走査電磁石X・Y(3a、3b)は照射野形成装置3の最上流に設置されている。
照射野形成装置3は、治療台6Cに横たわる照射対象(患者)6の照射標的6hに照射する粒子線ビームの照射野を形成する装置である。
照射野形成装置3は、走査電磁石X(3a)、走査電磁石Y(3b)、正線量モニタ3c、副線量モニタ3d、および位置モニタ3eを有している。
走査電磁石X(3a)は、加速器2から出射される粒子線ビーム(以下、ビームと称する)に磁場をかけることで、ビームの進行方向に垂直なX方向に変位させる。走査電磁石Y(3b)は、加速器1から出射されるビームに磁場をかけることで、加速器1から出射されるビームをその進行方向に垂直なY方向に変位させる。なお、Y方向とX方向とは直交する。
正線量モニタ3c、副線量モニタ3dは、粒子線ビームによる線量をモニタ(監視)する。
位置モニタ3eは、粒子線ビームの位置をモニタ(監視)する。
正線量モニタ3c、副線量モニタ3d、および位置モニタ3eで取得される情報は、照射系制御装置C2にフィードバックされる。
照射野形成装置3で照射野が形成されたビームは、患者6の照射標的6hに照射される。
例えば、スキャニング照射という方法では、加速器2から取り出された細いビームb0を三次元的に走査することで、照射標的6hの形状、例えば腫瘍の形状にビームを整形する。
ビームb0の三次元の走査方法としては、走査電磁石X・Y(3a、3b)でビーム進行方向に垂直なビーム側方方向にビームを走査し、ビーム進行方向は加速器2のエネルギを変更することでビーム進行方向にビームを走査する。深さが同じ照射面内をスライス6h1(図6(a)、(b)参照)という。
これに対して、従来は、リッジフィルタ104等(図3参照)の挿入を併用してビーム側方方向およびビーム進行方向に走査していた。
本粒子線照射システムSは、リッジフィルタレスであることから、ビームはビーム進行方向(ビーム幅)にもビーム側方方向(ビームサイズ)にもシャープになる。なお、ビーム幅とは、ビーム進行方向のブラックピークの厚さをいう。また、ビームサイズとは、ビームのスポットを中心としたビーム側方方向の拡がりである。代表的なガウス分布の場合にはσ等で表わされる。
この細いビームを使用し、ビーム幅を自在に拡幅するため、エネルギは例えば0.5mm毎に変更可能とし、ビームb0の水中での飛程を1mmから300mmとするため、600種類のエネルギをテーブルとして持つ。なお、エネルギは0.5mm毎以下に変更可能としてもよい。例えば、約0.2mm〜約1.5mm毎に変更可能としてもよい。
ビームサイズに関しては、リッジフィルタが無いため、ビームb0は加速器2から照射室に輸送される際の光学系、および照射に必要なモニタ等機器、空中での散乱により決定される。治療計画ではこの600種類のデータを用いて、ビーム幅、ビームサイズを任意に変更して線量計算をする。また、ビームサイズ変更のためのスポット分裂は治療計画で決定したスポット配置を中心に例えば±0.5〜1mm程度ずらした箇所にスポットを分裂させ実現する。この際に治療計画で決められた線量を照射するために、分裂したスポットには重みを付けて照射することになる。なお、スポット分裂は治療計画で決定したスポット配置を中心に、±0.0.2mm〜2mm程度ずらした箇所にスポットを分裂させてもよい。
<比較例の粒子線照射システムS100>
比較例の粒子線照射システムS100について、図3、図4を用いて説明する。
次に、比較例(従来)の粒子線照射システムS100について説明する。
通常、エネルギスキャニング方式では、スポット間隔はビームサイズに依存し、1〜3mm間隔で配置される。スポット間隔とは、ビーム側方方向についてのスポット間の間隔である。
そして、ビームの深さを1〜3mm毎に変更することで、照射標的106hのビーム進行方向をカバーできるように照射を行う。
ビーム進行方向の間隔はビーム100bの進行方向のビーム幅で大方決まり、間隔を広くしたい場合は進行方向に厚いリッジフィルタ104が必要となる。例えば、最大深さを300mm程度、最小深さを1mm以内の場合、300種類程度のエネルギが必要となり、それらをテーブルとして持ち、治療計画装置1、加速器系制御装置C1、照射系制御装置C2に設定する。
さらに、照射(治療)ではリッジフィルタ104が挿入されるため、リッジフィルタ104の種類だけ、治療計画装置内に登録するビームデータが必要となる。ビーム100bの深さ間隔(スライス間隔)を2mm、3mmの2種類とする場合、リッジフィルタ104は2種類となり、治療計画に登録するデータは2種類×300エネルギで600種類となる。スライス間隔とは、ビーム進行方向についてのスライス間の距離である。
このデータを用いて、リッジフィルタが2種類の場合、1つのエネルギに2種類のビームサイズが存在することとなるが、上述したビームデータはエネルギとリッジフィルタ104で紐付いているので、その中にビームサイズの情報が登録される(登録データ数は増えない)。
図3、図4は比較例のエネルギスキャニング方式での照射模式図である。図3は、比較例の粒子線照射システムS100のスライス106aへのビーム照射を示す概念図である。
図3(a)は比較例のエネルギE1で照射を行っている状態を示す図であり、図3(b)は、この時のスポットにおける照射ビームのエネルギを照射標的106hのビーム側方方向から見た進行方向の位置に対する図であり、図3(b)の横軸は照射標的106hのビーム進行方向をとり、図3(b)の縦軸は粒子線ビームの線量をとっている。
一方、図3(c)はこの時のスライスをビームの進行方向から見た図でありスライスにおけるスポットの切替を示す図である。
図4(a)は比較例の粒子線照射システムS100のスライス106bへのビーム照射を示す概念図であり、エネルギE2で照射を行っている状態を示す図であり、図4(b)は、この時のスポットにおける照射ビームのエネルギの照射標的106hのビーム進行方向の位置に対する図である。図4(b)の横軸は照射標的106hのビーム進行方向の位置をとり、図4(b)の縦軸は粒子線ビームのエネルギをとっている。
スポット切替は走査電磁石103a、103bの設定変更で行われ、図3(c)はその模式図である。スライス切替は加速器102のエネルギを変更することで行われ、図4はその模式図である。
図3(a)、(c)に示すように、比較例(従来)の粒子線照射システムS100では、走査電磁石X・Y(103a、103b)と照射標的106hとの間に、リッジフィルタ104を配置していた。
エネルギ変調装置のリッジフィルタ104は、通常、ビーム進行方向に階段状の構造を持ち、ビーム側方方向には周期的に配列された構造となっている。ビームが1ユニットの幾何学的に異なる高さ、幅の構造を通過することで、あらかじめ決められている形状のビーム100bとなる。
ビーム100bはリッジフィルタ104の異なる厚さの吸収体を通過することで、厚さに応じた停止位置が与えられる。リッジフィルタ104は階段状の構造をしており、ビーム進行方向の構造(階段構造の高さ)でブラッグカーブのシフトを、進行方向と直交する面内の構造(階段構造の幅)で重み、すなわち粒子数が制御される。拡幅後のブラッグピークがガウス分布状になるように重みが決められている。
なお、図1に示すように、本実施形態の粒子線照射システムSではリッジフィルタ104は設けない。
比較例の粒子線照射システムS100では、図3(a)に示すように、加速器102でエネルギE1に高められた粒子線のビーム100bは、走査電磁石X・Y(103a、103b)、リッジフィルタ104を通過して、照射標的106hのスライス106aにスポットs101を形成し、照射される。
照射標的106hのスポットs101に到達した粒子線ビームは、図3(b)に示すように、照射標的106hのビーム進行方向の位置(スライス106a)に対するブラックカーブをもつ。
粒子線のビーム100bは、同じエネルギE1で、図3(c)に示すような軌跡をもってビーム100bのスポットs101の切り替えが行われる。スポットs101の中心間距離は、例えば2mmである。
スライス106aへの粒子線ビームの照射が終了すると、図4に示すように、エネルギE2で、次のスライス106bへのビーム100bの照射が行われる。
加速器2でエネルギE2にされた粒子線ビーム100bは、走査電磁石X・Y(103a、103b)、リッジフィルタ104を通過して、照射標的106hのスライス106bにスポットs102を形成して照射される。
照射標的106hのスポットs102に到達したビーム100bは、図4(b)に示すように、照射標的106hのビーム進行方向の位置に対するブラックカーブをもつ。
比較例では、リッジフィルタ104により多重クーロン散乱や核反応を起こし、僅かながらビームの拡がりも増加する。ビームサイズの拡幅は、治療計画装置においてはスポット配置数の削減につながり、計算時間、装置のメモリ負担の軽減につながる。一方、照射標的106h内の線量分布のキレ(ペナンブラ)を悪化させ、正常組織への線量寄与を引き起こす。
また、動的にリッジフィルタ104を入れ替える場合、例えばビームの100bの鋭さを変更するため、リッジフィルタ104を変更する必要がある。そのため動的にリッジフィルタ104を入れ替える場合、比較例(従来)では、照射中に変更するためにリッジフィルタ104を入れ替える駆動機構等が必要であった。
さらに、他の種類のリッジフィルタ104を製作準備する場合、例えばリッジフィルタ104を変更した場合、異なる構造のデバイスが挿入される。そのため、通過した際に生じる散乱等も異なり、治療計画装置に格納するためのデータも再取得しておく必要がある。
<粒子線照射システムSの改善点>
まず、治療計画と副作用を防ぐという治療上のニーズからはビームに関する要件が異なる。すなわち、治療計画の計算負荷を大きくしないためには、ビームは鈍い方が望ましい。一方、副作用を防ぐためには、ビームが鋭い方が望ましい。
・照射標的6hの辺縁部6he(図6(a)参照)は、隣接して正常な組織や重要臓器があるため、辺縁部6heには鋭いビームを使用したい。
・治療計画装置1への負担増大、つまりメモリの増加、演算量の増大を防ぐために、太いビームを使用したい。治療計画、照射のためにはビームを鈍らせたいが、正常組織へのビームのはみ出しは極力小さくしたい。つまり、照射標的6hの辺縁部6heはビーム進行方向、ビーム側方方向に関わらず鋭いビームを使用したい。
図3、図4の比較例に対して、本粒子線照射システムSの改善点は以下の通りである。
・ビームを鈍らせるリッジフィルタ104(図3、図4)を無くす。そこで、本粒子線照射システムSではリッジフィルタ104を用いず、加速器2から出射されるビームのエネルギを細かく変更し、各ビームに適切な重みを与えて組み合わせることで治療計画において要求されたビーム形状にスライス変調することとした。スライス変調とは、ビーム進行方向のビーム幅を鈍らせる方法であって、治療計画において要求されたビーム形状の仮想ビームを、仮想ビームよりもビーム進行方向のビーム幅が薄い複数の実際のビームで構成することである(図17(c)参照)。
・ビーム側方方向に関して、リッジフィルタ104を無くすことで、散乱成分が減り、ビームが細くなる。一方で、細いビームを万遍なく照射するにはスポット数が増え、治療計画への負担が増加する。走査電磁石X・Y(3a、3b)を僅かに動かすことで、ビームサイズを変更する。すなわち、本粒子線照射システムSでは、スポット分裂を行う。スポット分裂とは、ビームサイズを鈍らせるための手法であって、仮想ビームを、当該仮想ビームの線量と同じになるように当該仮想ビームより鋭い複数の実際のビームで構成することである。
粒子線照射システムSでは、リッジフィルタ104を無くし、基準となるビームを所望する形状になるようにエネルギ、照射量を変更してビームを拡幅するため、散乱等に大きな違いはなく、データを再取得する必要がない。
・ビーム進行方向には、エネルギを細かく変更することで、つまり照射標的6h(図6(a)参照)の方向に形成されるスライスを細かく設定し、細いビームを自在に組み合わせた適材適所の太さのビームを使用する。
・治療計画上では、ビーム進行方向、ビーム側方方向の鋭さが自在な仮想ビームを使用する。 仮想ビームを複数の鋭い実際のビームで構成する。仮想ビームとは、当該仮想ビームより鋭い複数の実際のビームで構成される仮想のビームである。複数の実際のビームの線量は仮想ビームの線量と同じになるように形成される。
・実照射では、照射機器、ビームのエネルギ変更の組み合わせで治療計画上の仮想ビームを実現する。つまり、仮想ビームを仮想ビームより鋭い複数の実ビームで構成する。
以上のことから、本粒子線照射システムSでは、リッジフィルタ104を用いず、加速器から出射されるビームb0のエネルギを細かく変更、すなわち、ビーム入射深度であるビーム進行方向の位置を変更し、各ビームb0に適切な重みを与え、組み合わせることで治療計画において要求されたビーム形状(仮想ビーム)にスライス変調する。
そこで、治療計画においては、各種の鈍い仮想ビームを用いて照射標的6に万遍なく照射する治療計画を作成する。同時に、照射標的6の辺縁部6heにはより鋭い仮想ビーム、または、仮想ビームより鋭い実際のビームを用いて辺縁部6heのにじみを減らす(健常組織へのビーム照射の影響を抑える)治療計画が作成される。
このように、治療計画では鈍らせた仮想のビームを使用することが可能であり、実際の細いビームを使用し、最適化計算を行う必要がない。すなわち、本粒子線照射システムSでは、鈍い仮想のビームと、該仮想のビームを構成する複数の鋭い実際のビームとの対応情報をもつので、治療計画装置1では、鈍い仮想のビームを用いて治療計画を作成できる。そのため、治療計画装置1のメモリ等への負担は軽減される。
本粒子線照射システムSでは、エネルギの変更と組み合わせるビームの数、重みの変更で深さ方向の鋭さがスキャン中に変更可能となるため、リッジフィルタ104の駆動機構等が不要になり、照射装置の小型化に寄与できる。
<粒子線照射システムSでの単一エネルギのブラックカーブbc1>
図5(a)は実施形態の粒子線照射システムSにおける経過時間に対する粒子線ビームのエネルギとビーム照射量を示す図であり、図5(b)は、実施形態の粒子線照射システムSにおけるリッジフィルタを用いないビーム幅の拡幅を示す図である。
実施形態の粒子線照射システムSでは、図5(a)に示すように、照射標的6hのスライスに対応して、照射標的6hの最深部のスライスから手前側のスライスに対応して逐一、加速器2でのエネルギをE1、E2、E3、E4、E5、E6、………と段階的に減少させる。つまり、最深部のスライスから手前側の各スライスに対応する粒子線ビームのエネルギには、E1>E2>E3>E4>E5>E6>………の大小関係がある。E1、E2、E3、………にエネルギの切替が行われ、深部線量分布の深さが変更されている。
図5(b)において、bc1は、実施形態の粒子線照射システムSでの単一エネルギのブラックカーブである。
リッジフィルタを用いず、加速器2から取り出されるビームb0のエネルギと照射する量(粒子数)を変更し、ビーム進行方向のビーム幅を拡幅する。
図5(b)中、破線で示したブラッグカーブbc100は、実線で示したエネルギが異なる(水中のビーム進行方向の位置が異なる)ブラッグカーブbc1を重ねわせて形成している。ブラッグピークbp1の高さが異なるのは、ビーム照射量が異なるからである。この照射量がガウス分布形状となっており、すなわち、重みに該当する。
粒子線照射システムSでは、比較例のリッジフィルタ104で拡幅されたブラックカーブbc100と同等の線量分布を、リッジフィルタ104を用いないで、ブラックカーブbc100よりも細い複数の単一エネルギのブラックカーブbc1をもって構成する。各ブラックカーブbc1の照射量は重みにより表される。
図6と図7は各スポットの照射量を制御する機構を説明する図であり、図6の照射を基にスライス変調・スポット分裂して図7の照射が実現される。
図6(a)は、実施形態の粒子線照射システムSの照射標的6hのビーム進行方向のビームb0の照射を示すイメージ図であり、図6(b)は、(a)の粒子線ビームのブラックカーブを示す図であり、図6(c)は、(a)の粒子線ビームの照射標的6hの側方方向のビーム形状を示す図である。
図7(a)は、粒子線照射システムSのブラックカーブを示す図であり、図7(b)はビームb0の照射状態を示しており、図7(c)は、(a)のビーム側方方向の照射量を示す図である。
示す図である。
実際の粒子線照射システムSの照射では、照射標的6hのビーム進行方向には、図6(b)に示す単一エネルギの粒子線ビームを用いて、図6(a)に示すように、照射標的6hのスライス6h1に照射が行われる。照射標的6hにおけるビーム側方方向の線量は、図6(c)に示すような正規分布となる。
照射標的6hのビーム(b0)進行方向に垂直なビーム側方方向には,図7(b)に示すように、走査電磁石X・Y(3a、3b)を高速で動かし、ビームによる1つのスポットP10の線量(図7(a)の破線で示す)を分裂させ、組み合わせてビームサイズを変更して照射を行う。
例えば、図7(b)に示すように、照射標的6hの中央部は一つの仮想のビームb10でビーム側方方向に鈍いビームを打っている(図7(a)の破線)。これは、走査電磁石X・Y(3a、3b)を高速で動かすことでビーム側方方向に1mm毎に鋭いビームb0(図7(a)の実線)を、仮想のビームb10のビームサイズになるように打つ(図7(a)の実線)。一方、照射標的6hのビーム側方方向の辺縁部6heは、鋭い一つのビームb0で照射を行う。
照射標的6hの中央部の照射線量は、図7(c)に示すように、3mm毎の線量s10(図7(c)の破線で示す)を1mm毎の線量s1、s2(図7(c)の実線で示す)のb01、b02で構成する。つまり、3mm毎の線量s10を1mm毎の線量s1、s2に代替する。
照射標的6hの辺縁部6heへの照射線量は、図7(c)に示すように、それぞれ一つの鋭いビームb02で照射を行う。
つまり、 図7(a)に示すように、スポットP10へのビームb10の線量s10を単一エネルギのビームb01、b02の線量s1、s2を組み合わせて構成する。単一エネルギのビームb0を走査電磁石X・Y(3a、3b)を高速で動かすことで3つのピークをもつ照射が連続して行われる。
<スポットP4、P5の分裂>
図8〜図10に、走査電磁石X・Y(3a、3b)を用いたビームサイズの変更の例を示す。
図8(a)はスポットP3の分裂を行っていないビームの照射を示す図であり、図8(b)は(a)の際の線量を示す図である。図8(b)の横軸はビーム側方方向の位置であり、図8(b)の縦軸は線量である。
図9(a)はスポットP4を4つに分裂されてビームの照射を行っている状態を示す図であり、図9(b)は4つに分裂されたスポットを線量ビームの進行方向に見た図であり、図9(c)は(a)の際の線量を示す図である。図9(c)の横軸はビーム側方方向の位置であり、図9(c)の縦軸は線量である。
図10(a)はスポットP5を9つに分裂されてビームの照射を行っている状態を示す図であり、図10(b)は9つに分裂されたスポットを線量ビームの進行方向に見た図であり、図10(c)は図10(a)の際の線量を示す図である。図10(c)の横軸はビーム側方方向の位置であり、図10(c)の縦軸は線量である。
ビームサイズ(ビーム進行方向と垂直な面での大きさ)を走査電磁石X・Y(3a、3b)により変更している。図8(a)は基本のビームサイズである。図9(a)、図10(a)は図8(a)同様に中心位置にビームを照射しているが、ビームサイズが異なる。図9(a)の場合は、本来は1スポットであったビームを4つに分裂(スポット分裂)させて、走査電磁石により僅かに位置をずらして同じ線量になるように照射している。これにより、図9(c)にあるように拡大される。図10(a)の場合は9分裂している。
図8(a)に示すように、スライス6h1に照射するスポットP3を分裂させない場合は、図8(b)に示すように、1×1の正規分布の線量が照射される。
図9(a)に示すように、スライス6h1に照射するスポットP4を4つのスポットp41〜p44に分裂させる場合は、図9(b)に示すように、一つのスポットP4を形成するビームの照射に比べ、走査電磁石X・Y(3a、3b)を、スポットP3のビームサイズになるように高速で動かし、順次4つのスポットp41〜p44が形成される照射が行われる。
図10(a)に示すように、スライス6h1に照射するスポットP5を同じ線量になるように9つのスポットp51〜p59に分裂させる場合は、図10(b)に示すように、走査電磁石X・Y(3a、3b)を、スポットP5のビームサイズになるように高速で動かし、順次9つのスポットp51〜p59が形成される照射が行われる。
<治療計画内の線源データ>
次に、照射系制御装置C2に格納されるビームの治療計画の線源データについて説明する。
図11(a)は治療計画内の線源データA〜Cのブラックカーブを示す図である。図11(b)は線源データAのビームを照射標的6hに照射した状態とそのブラックカーブを、ビーム進行方向に見た図である。図11(c)は線源データCのビームを照射標的6hに照射した状態とそのブラックカーブを、ビーム進行方向に見た図である。図11(d)は線源データA〜Cのビームを照射標的6hに照射した状態とそのブラックカーブをビーム進行方向に見た図である。
図11(a)に示すように、線源データAはピークのビ−ム幅が鋭いブラックカーブである。
線源データBは線源データAが5つから作成される。仮想ビ−ムのブラックカーブ(図11(a)Bの破線)は、線源データA(図11(a)Bの実線)よりピークのビ−ム幅が鈍くなる。
線源データCは線源データAが7つから作成される。仮想ビ−ムのブラックカーブ(図11(c)の一点鎖線)は、線源データB(図11(b)の破線)よりピークのビ−ム幅が鈍くなる。
線源データB、Cの仮想ビ−ムの作成から分るように、仮想ビ−ムは、仮想ビ−ムよりビ−ム幅が鋭い実際のビ−ムを複数用いて作成される。
線源データAのビームのみで照射標的6hを照射した場合、図11(b)に示すように、照射標的6hの各スライス6hi(i=1、2、3、……)へのブラックカーブc11〜c18は下図のようになる。ブラックカーブc11〜c18のピークのビ−ム幅は何れも鋭く、照射標的6hのビ−ム進行方向の位置が浅くなるにつれ、エネルギが低くなる。
線源データCのビームのみで照射標的6hを照射した場合、図11(c)に示すように、照射標的6hの各スライス6hiへのブラックカーブc21〜c23は下図のようになる。ブラックカーブc21〜c23のピークのビ−ム幅は何れも鈍く、照射標的6hのビ−ム進行方向の位置が浅くなるにつれ、エネルギが低くなる。
図11(d)に示すように、線源データA〜Cのビームでそれぞれ照射標的6hのスライス6h1〜6h4を照射した場合、照射標的6hの各スライス6h1〜6h4へのブラックカーブc31〜c34は下図のようになる。ブラックカーブc31〜c34のピークのビ−ム幅は、線源データA〜Cの順に鈍くなり、照射標的6hのスライス6h1〜6h4のビ−ム進行方向の位置が浅くなるにつれ、エネルギが低くなる。
表1は、線源データAのみ、線源データCのみ、線源データA、B、Cを治療計画への負担、線量分布の鋭さ、リッジフィルタ104の有無で比較したものである。
Figure 2018089172
リッジフィルタを用いない、本粒子線照射システムSの治療計画装置1内の計算では、同一の照射標的6hに対し、治療計画装置1に登録された水中での深部線量分布(ブラッグカーブ)を用い、最適化計算を行う。線源データAはリッジフィルタを挿入していない単一エネルギの登録データAを使用する場合である。線源データCは登録データAを基に作成した大きく鈍らせたデータCを用いた場合である。線源データA〜Cは登録データA〜Cを適宜使用した場合である。登録データBに関しても登録データC同様に、登録データAを用いて僅かに鈍らせるようにして作成している。従って、登録データB、Cは登録データAから作成した仮想的なビームとなる。
線源データAのみ、線源データCのみ、線源データA〜Cのそれぞれにおいて、前記したように、リッジフィルタは用いない。
治療計画への負担は、線源データAのみでは、ピークのビ−ム幅が鋭くメモリの容量が大きいため、治療計画への負担が大きい。
線源データCのみは、線源データCは線源データAが7つから作成されるが、線源データCに対応して線源データAが7つ用いることをテーブル等で記憶することで、メモリの容量は削減できる。そのため、治療計画への負担は少ない。
線源データA〜Cでは、線源データBは線源データAが5つから作成され、線源データCは線源データAが7つから作成されるのでこの対応関係をテーブル等に記憶することで、メモリの容量が削減できる。そのため、線源データA〜Cでは、治療計画への負担は少ない。
線量分布の鋭さに関しては、線源データAのみでは鋭い。線源データCのみでは、線源データCは線源データAが7つから作成されるので鈍い。線源データA〜Cでは、線源データAを使用できるので必要な部分を鋭くできる。
<比較例の治療計画内の線源データ>
これに対して、比較例(従来)の照射系制御装置に格納されるビームの治療計画内の線源データについて説明する。
図12(a)は比較例の治療計画内の線源データA〜Cのブラックカーブを示す図である。図12(b)は比較例の線源データAのビームを照射標的6hに照射した状態とそのブラックカーブを、深さ方向(ビームの進行方向)に見た図である。図12(c)は比較例の線源データCのビームを照射標的6hに照射した状態とそのブラックカーブを、深さ方向に見た図である。図12(d)は線源データA〜Cのビームを照射標的6hに照射した状態とそのブラックカーブを、深さ方向に見た図である。
比較例の線源データAは、リッジフィルタ104を使用しないで作成したビームのデータである。線源データBは相対的に薄いリッジフィルタ104Aを用いたビームのデータであり、線源データCは相対的に厚いリッジフィルタ104Bを用いたビームのデータである。
図12(a)に示すように、線源データAはピークのビ−ム幅が鋭いブラックカーブである。
線源データBは薄いリッジフィルタ104Aを通して作成したビームのデータである。線源データBのブラックカーブは、線源データAよりピークのビ−ム幅が鈍くなる。
線源データCは厚いリッジフィルタ104Bを通して作成したビームのデータである。線源データCのブラックカーブは、線源データB、Aよりピークのビ−ム幅が鈍くなる。
図12(b)に示すように、線源データAのみは、リッジフィルタ104A、100Bを用いないので、ピークのビ−ム幅が鋭いブラックカーブである。照射標的106hのビーム進行方向の位置が浅くなるにつれ、ビームのエネルギが低くなる。
図12(c)に示すように、線源データCのみのビームは相対的に厚いリッジフィルタ104Bを通過するのでピークのビ−ム幅が鈍いブラックカーブである。照射標的106hのビーム進行方向の位置が浅くなるにつれ、ビームのエネルギが低くなる。
図12(d)に示すように、線源データA〜Cのビームは、それぞれリッジフィルタ104が無し、または相対的に薄いリッジフィルタ104Aを通過する、または相対的に厚いリッジフィルタ104Bを通過するので、ピークのビ−ム幅が鋭いから鈍いブラックカーブが得られる。照射標的106hのビーム進行方向の位置が浅くなるにつれ、ビームのエネルギが低くなる。比較例では、スライス毎にリッジフィルタ104A、104Bの出し入れを行わねばならず、現実的には治療には使えない。
表2は、比較例(従来)の線源データAのみ、線源データCのみ、線源データA〜Cを治療計画への負担、線量分布の鋭さ、リッジフィルタ104A、100Bの有無で比較したものである。
Figure 2018089172
比較例は、リッジフィルタ104A、104Bを用いた場合の治療計画装置内の計算である。同一の照射標的106hに対し、治療計画装置に登録された水中での深部線量分布(ブラッグカーブ)を用い、最適化計算を行う。線源データAのみはリッジフィルタ104A、104Bを挿入していない登録データAを使用する場合である。線源データCのみはリッジフィルタ104Bを挿入し、大きく鈍らせた線源データCを用いた場合である。線源データA〜Cは登録データA〜Cを適宜使用した場合である。
線源データAのみは、リッジフィルタ104A、100Bを使用しない。線源データCのみは相対的に厚いリッジフィルタ104Bを使用する。線源データA〜Cは、リッジフィルタ104A、104Bを使用しなかったり、または線源データBでリッジフィルタ104Aを用いたり、または線源データCでリッジフィルタ104Bを用いる。
治療計画への負担に関しては、線源データAのみは、リッジフィルタ104A、104Bは用いないので、ピークのビ−ム幅が鋭いブラックカーブであり、データ数が多いのでメモリ容量を多く必要であるため、治療計画への負担が大きい。
線源データCのみは、厚いリッジフィルタ104Bを用いるので、線源データB、Aよりピークのビ−ム幅が鈍くなり、データ数が少ないので、メモリ容量が少なく済み、治療計画への負担は少ない。
線源データA〜Cは、メモリ容量が多い線源データA、薄いリッジフィルタ104Aを用いて線源データAよりピークのビ−ム幅が鈍い線源データB、厚いリッジフィルタ104Bを用いて線源データA、Bよりピークのビ−ム幅が鈍い線源データC全てを記憶するので、メモリ容量が多く、治療計画への負担が大きい。
線量分布の鋭さに関しては、線源データAのみはピークのビ−ム幅が鋭いブラックカーブであり、線量分布は鋭い。線源データCのみは線源データCのブラックカーブのピークは、図12(a)に示すように、鈍いので、線量分布の鋭さは鈍い。線源データA〜Cは、線源データAを有するので、線量分布は鋭い。
なお、比較例(従来)では、リッジフィルタ104A、104Bの出し入れを行わねばならない。ビームを照射中のリッジフィルタ104A、104Bの交換は、ビーム照射時間が延びて患者の負担が増えること、短時間でリッジフィルタ104A、104Bを迅速に交換する機構が必要となる、リッジフィルタ104A、104Bの違いで散乱の違い等があり照射条件に違いがでる等があり、現実的には難しい。なお、ビームの照射時間例えば2分〜10分前後である。
以上の治療計画内の線源データの実施形態(図11(a)〜(d)、表1)と比較例(図12(a)〜(d)、表2)と比較にすると、本実施形態の粒子線照射システムSの表1に示す線源データは、リッジフィルタ104を使用することなく、線源データA〜Cとできる。そのため、治療計画への負担が少なく、線量分布が鋭いビームの照射を行える。
これに対して、比較例(従来)では、線源データA〜Cを格納すると、リッジフィルタ104A、104Bの変更が必要で、リッジフィルタ104A、104Bの出し入れが必要である。また、リッジフィルタ104A、104Bの出し入れするリッジフィルタの駆動機構が必要となる。線源データA〜Cでは、線量分布は鋭いものの、データ量が多く治療計画への負担が大きい。
比較例(従来)のスキャニング照射法にて照射標的106hの深さが等しいスライスを照射する場合、治療計画であらかじめ決められたビーム位置(スポット)に要求された重みでビームを走査していく。
これに対して、本実施形態の粒子線照射システムSでは、ある1つのスポットを分裂させ、予定位置の周りに再配置し、走査電磁石X・Y(3a、3b)により再配置したスポットをスキャンし、ビームサイズを拡大する。
治療計画上では複数のビームサイズを、治療計画照射変換装置4に登録しておき、実照射の際にスポット分裂を行う。
健常組織への影響を小さくするために、照射標的6hの辺縁部6heでは細いビームb0(ビームサイズが小さいビーム)で照射を行い、影響が及ばない位置に関しては治療計画装置1への負担軽減のために太い仮想のビームでの照射を行う。なお、仮想のビームは、実際の照射に際しては、細いビームb0に分裂される。
<実施例1>
次に、実施例1の治療(照射)計画内の線源データの登録について説明する。
図13(a)は、実施例1の粒子線照射システムSの照射系制御装置C2に格納される典型的なビームのブラックカーブを示す図であり、図13(b)、(c)、(d)は、図13(a)の典型的なビームで作成されるビーム形状をビームの側方方向に見た図である。図13(b)、(c)、(d)の横軸は側方方向の位置座標であり、縦軸はエネルギを表す。
治療計画装置1では、照射標的6h内のビーム位置によって、ビーム側方方向のビームサイズを変更する計算を行う。図13(a)の登録データAに関して、複数の、例えば3つのビームサイズが登録されている。3つのビームサイズとは、実際のビームb31(図13(b)参照)、仮想のビームB31(図13(c)参照)、仮想のビームB32(図13(d)参照)である。つまり、治療計画装置1には、実際のビームb31、仮想のビームB31、仮想のビームB32の3つが登録されている。そして、治療計画装置1や治療計画照射変換装置4には、テーブル等の記憶部に、実際のビームb31、および仮想のビームB31を形成する2つの実際のビームb32(図13(c)参照)と仮想のビームB32を形成する3つの実際のビームb33、b34(図13(c)参照)の対応関係が登録されている。
例えば、治療計画装置1では、実際のビームb31、仮想のビームB31、仮想のビームB32の3つのビームを用いて治療計画を作成する。その後、治療計画照射変換装置4にて、上述のテーブル等の記憶部のデータを用いて、仮想のビームB31は、2つの実際のビームb32に変換され、仮想のビームB32は、3つの実際のビームb33、b34に変換される。その後、実際のビームb31、b32、b33、b34を用いて、照射標的6h(図1参照)にビームの照射が行われる。
照射系制御装置C2では、例えば図13(a)に示すブラックカーブの一つのデータに、図13(b)〜(d)に示すビームプロファイルの細〜大のデータを登録する。
例えば、照射系制御装置C2の記憶部には、図13(a)に示すブラックカーブbc3をもつ一つのビームb30が登録される。そして、ビームb30は複数のビームサイズをもって登録される。
一方、照射系制御装置C2の記憶部には、照射対象のCT画像から照射標的6hにビームを照射するためのビームb31、第1・第2の仮想のビームB31、B32が作成される。
そして、ビーム進行方向から見て、図13(b)に示すように、細いピ−クをもつビームには、登録されたビームb31が用いられる。図13(b)は、細いピ−クのビームプロファイルをもつビームb31である。
また、図13(c)に示すように、ビーム進行方向から見て、図13(b)のビームb31より太い仮想のビームB31には、仮想のビームB31より鋭い2つのビームb32で仮想のビームB31の線量になるように実現される。2つのビームb32の全線量は、仮想のビームB31の線量と同等または近くなる。
ビームb32は既登録されたビームb30の一つのビームサイズである。
また、図13(d)に示すように、ビーム進行方向から見て、図13(c)の仮想ビームB31より太い仮想のビームB32には、仮想のビームB32より鋭い3つのビームb33、b34で仮想のビームB32の線量になるように実現される。3つのビームb33、b34の全線量は、仮想のビームB32の線量と同等または近くなる。
ビームb33、b34は既登録されたビームb30のビームサイズである。
次に、図13(a)〜(d)で説明したビームb30〜b34で、照射標的6hに照射を行った場合について説明する。
図14(a)は、実施例1の図13(a)に示すビームb30で照射標的6hの最深部に照射を行った際に照射標的6hをビーム側方から見た図であり、図14(b)は、実施例1のビームの進行方向にビーム照射時のスライス6h1を見た図である。
図14(a)に示すように、照射標的6hの最深部には、ビームb30で照射が行われる。照射標的6hの最深部のブラックカーブbc3は図14(a)下図の通りである。
照射標的6hのあるスライス6h1に行われる照射は、図14(b)に示すようになる。
スライス6h1の上部には、図13(c)に示す仮想のビームB31を用いた照射が5つのスポットs31に行われる。
スライス6h1の真ん中下部には、左から右へ、スポットs32、s33、s34、s35、s36にそれぞれ照射が行われる。スポットs32、s33、s34、s35、s36には、それぞれビームb31、仮想のビームB31、B32、B31、ビームb31にて照射が行われる。
そこで、スポットs32には、図13(b)のビームb31で照射が行われる。
スポットs33には、図13(c)の仮想のビームB31を実現するビームb32で照射が行われる。
スポットs34には、図13(d)の仮想のビームB32を実現するビームb33、b34で照射が行われる。
スポットs35には、図13(c)の仮想のビームB31を実現するビームb32で照射が行われる。
スポットs36には、図13(b)のビームb31で照射が行われる。
<実施例2>
図15(a)、(b)は、それぞれ実施例2の照射系制御装置C2に格納される線源データAのビームb40のブラックカーブbc40を示す図、および線源データAから作成される線源データBの仮想のビームB41のブラックカーブBc41とこれを構成する線源データAのビームb40のブラックカーブbc40を示す図であり、図15(c)、(d)は、それぞれ照射標的6hにビームを照射した際の各スライス6h1〜6h2へのスポットs41〜s44をビーム進行方向に見た図、および各スライス6h1〜6h4のブラックカーブを見た図である。
実施例2は、一つの実際のビームb40と、ビームb40から構成される仮想のビームB41とで照射計画が実現される例である。
実施例2の治療計画装置1には、図15(a)に示す線源データAと、線源データAから作成される線源データB(図15(b)参照)とが格納されている。
線源データAはブラックカーブbc40をもつビームb40である。線源データBは仮想のビームB41であり、仮想のビームB41は複数のビームb40から作成される。
照射標的6hへのビーム照射は、次のように行われる。
照射標的6hの最深部のスライス6h1には、線源データAのビームb40を用いてスポットs41に照射が行われる。
照射標的6hの最深部から2つ目のスライス6h2には、線源データAのビームb40を用いてスポットs42に照射が行われる。
照射標的6hの最深部から3つ目のスライス6h3には、線源データBの仮想のビームB41を用いてスポットs43に照射が行われる。実際には、仮想のビームB41の線量になるように構成された複数のビームb40によってスポットs43に照射が行われる。
照射標的6hの最深部から4つ目のスライス6h4には、線源データBの仮想のビームB41を用いてスポットs44に照射が行われる。実際には、仮想のビームB41の線量になるように構成された構成する複数のビームb40によってスポットs44に照射が行われる。
<実施例3>
実施例3は、ビームの重なりに係る例である。
図16は、実施例3のビームの照射を示す図である。
図16(a)、(b)は、それぞれ実施例2の線源データA、Bを用いて、図15(c)、(d)と同様なビームの照射が行われた場合を示す図であり、それぞれ照射標的6hにビームを照射した際の各スライス6h1〜6h4へのスポットs41〜s44を深さ方向に見た図、および各スライス6h1〜6h4のブラックカーブを見た図である。
図16(c)は、この際のスライス6h3、6h4に照射されるビームb40のブラックカーブbc41を示す図であり、図16(d)はビームの進行方向に見た各スライス6h3、6h4の仮想のビームB41のスポットS43、S44および実際のビームb40によるスポットs43a、s44aを示す図である。
図16(e)はスライス6h3、6h4へのビームの照射軌跡を見た図であり、図16(f)はスライス6h3に行われる実際の照射の照射軌跡を見た図である。
図15(b)の線源データBを用いたスライス6h3、6h4をビームb40で分裂させると、図16(c)のようなブラックカーブbc40となる。
図16(a)、(b)に示すように、スライス6h3、6h4に仮想のビームB41のスポットS43、S44への各照射が行われた場合、図16(c)、(d)にそれぞれ示すように、スライス6h3には6つのビームb40が照射され、スライス6h4には6つのビームb40が照射される。
ここで、ビームの進行方向に見た場合、スライス6h3に照射されるビームb40によるスポットS43aの照射エネルギは軌跡k43(図16(e)参照)となる。一方、スライス6h4に照射されるビームb40によるスポットS44aの照射エネルギは軌跡k44(図16(e))となる。つまり、照射エネルギは、スポットS43aとスポットS44aとで重なることとなる(図16(f)参照)。このようなビームのオーバーラップ部分は、同一スライスとして変換して照射する。例えば、スライス6h3に照射されるビームb40によるスポットS43aへの照射を、軌跡k43a(図16(f)参照)となるように照射する。
<実施例4>
実施例4では、ビームの重なりの解析について説明する。なお、下記の解析は一例であって他の方法を用いてもよい。
図17(a)は、実施例4のビームを照射するターゲット6Hとスライス6H1、6H2に照射されるビームによる各ブラックカーブbc4、bc5を示す図であり、図17(b)は図17(a)のブラックカーブbc(bc4、bc5)とこれを構成するブラックピークGn、jの拡大図である。
図17(c)は、実施例4の2つのスライス6H1、6H2を8つに分裂させたスライス分裂とスライス6H1、6H2にそれぞれ照射されビームのブラックカーブbc40、bc50を示す図であり、図17(d)はスライス結合におけるビームの結合を示す図である。
図17(a)に示すように、ターゲット6Hのスライス6H1、6H2には、それぞれブラックカーブbc4、bc5をもつビームが照射される。ブラックカーブbc4、bc5は、図17(b)に示すブラックカーブbc40(bc50)で形成され、ピークはガウス分布Gn、jで表される。
図17(c)に示すように、各スライス6H1、6H2はそれぞれ4つに分裂され、ブラックカーブbc40、bc50をもつビームにより照射される。ここで、スライス6H1とスライス6H2との境界部では、ブラックカーブbc40、bc50がビーム(X、Y、Wn+1、j)とビーム(X、Y、Wn、j)とで重なる。ここで、X、Yは、ビームの進行方向に垂直なX―Y座標の位置である。
n、jは、Wn、j=Gn、j×WTPS、nと表される。Gn、jは、j番目のスライスのn番目のブラックピークを形成するための重みである。WTPS、nは、照射時間である。
すると、j番目のスライスのn番目のビームは、(X、Y、Wn、j)で表され、j番目のスライスのn+1番目のビームは、(X、Y、Wn+1、j)とで表される。そこで、ビーム(X、Y、Wn、j)とビーム(X、Y、Wn+1、j)は重なるので、ビーム(X、Y、Wn+1、j+Wn、j)と重なりを排除し結合してビームを照射する。
<粒子線照射システムSの制御>
次に、粒子線照射システムSの制御について説明する。
図18は、粒子線照射システムSにおけるハードウェアの治療(照射)計画から照射までの流れを示す図である。
粒子線照射システムSでは、治療計画装置1内に仮想のデータを登録することとなる。その仮想のデータを実ビーム情報に変換する、治療計画照射変換装置4が治療計画から照射系制御装置C2(図1参照)への橋渡しを行う。
粒子線照射システムSによる照射対象6の照射標的6hへのビームの照射では、治療計画装置1、治療計画照射変換装置4、照射制御装置C2、照射機器(3、3a、3b、3c、3d、3e、5)の順に、信号が流れる。
治療計画装置1では、照射対象6の照射標的6hのビームを照射する照射計画を立案(作成)する。
照射標的6hに万遍なく線量を照射できるように治療計画を立てる。治療計画では照射標的6hに対し処方する線量が決定された後に、どの位置にどの程度ビームを照射するかが最適化される。つまり、治療計画では、照射標的6hに対し処方する線量が決定された後に、登録された仮想のビームを用いて、どの位置にどの程度ビームを照射するかが最適化される。この際、治療計画装置1では、鈍らせた仮想のビームを使用することが可能であり、実際の細いビームを使用し、最適化計算を行う必要がない。そのため、治療計画装置1のメモリ等への負担は軽減される
ビームの位置はビーム進行方向、ビーム側方方向、それぞれ決める必要があり、進行方向はスライス6hi、ビーム側方方向はスポットとして管理される。
治療計画装置1から照射計画の情報が治療計画照射変換装置4に送信される。
治療計画照射変換装置4では、照射計画を実際の照射データに変換する。治療計画照射変換装置4から照射制御装置C2に照射データが送信される。
照射制御装置C2は、照射データに基づき、照射機器(3、3a、3b、3c、3d、3e、5)にビームを照射するためのパラメータを設定する。照射機器(3、3a、3b、3c、3d、3e、5)は、パラメータに従って動作し、照射標的6hにビームを照射する。
<治療計画装置1の制御>
図19は、治療計画装置1の制御フローを示す図である。
治療計画装置1の制御は、治療計画装置1に格納されるプログラム等のソフトウェアまたは/および回路等のハードウェアで実現される。
治療計画の作成に際しては、まず、照射対象6のCT画像が治療計画装置1に入力される(図19のステップS11)。
治療計画装置1では、CT画像から照射対象6の照射範囲の照射標的6hを決定する(ステップS12)。
続いて、照射範囲照射標的6hに対する照射方向を決定する(ステップS13)。
続いて、照射範囲の照射標的6hに対する照射野の辺縁部6heを決定する(ステップS14)。
続いて、治療計画装置1は、照射標的6hへの線量または線量近くになるように仮想のビームや実ビームを決定する。具体的には、照射野の辺縁部6he(照射標的6hの辺縁部6he)の線量勾配が鋭くなるように、深さ方向のビーム幅、同一スライス6hi内のビームサイズ、位置、重みの仮想のビームや実ビームを決定する。同時に、照射野中央部の 深さ方向のビーム幅、同一スライス6hi内のビームサイズ、位置、重みの仮想のビームを決定し(ステップS15)、治療計画の作成の作成を完了する。
<治療計画照射変換装置4の制御>
図20は、治療計画照射変換装置4の制御フローを示す図である。
治療計画照射変換装置4の制御は、治療計画照射変換装置4に格納されるプログラム等のソフトウェアまたは/および回路等のハードウェアで実現される。
次に、治療計画照射変換装置4の制御フローについて説明する。治療計画照射変換装置4で、治療計画内の仮想のビームを実際のビーム情報に変換する。
治療計画照射変換装置4には、予め仮想のビームと当該仮想のビームを構成する実際のビームを対応付けした情報がテーブル等の記憶部に格納されている。仮想のビームの情報は、治療計画装置1、治療計画照射変換装置4等で用いる。また、治療計画照射変換装置4は、仮想のビームの情報と実際のビームの情報とを用いる。
治療計画照射変換装置4は、まず、治療計画装置1で作成された治療計画にて拡幅された仮想ビームを重みをかけて実際のビームb0に分解する(図20のステップS21)。
続いて、治療計画にて拡幅されたビームサイズのスポット位置をスポット分裂させる(図9、図10参照)(ステップS22)。
続いて、治療計画照射変換装置4は、同一エネルギのスライスを結合し、エネルギの重なりをなくし(図16、図17参照)(ステップS23)、治療計画―照射変換を完了する。
<スキャニング照射の流れ>
次に、粒子線照射システムSの照射系制御装置C2によるスキャニング照射の流れについて説明する。
照射系制御装置C2の制御は、照射系制御装置C2に格納されるプログラム等のソフトウェアまたは/および回路等のハードウェアで実現される。
図21は、粒子線照射システムSにおけるスキャニング照射フローを示す図である
まず、スライスが選択され、ビームのエネルギが設定される(図21のステップS31)。
続いて、スポットが選択され、走査電磁石Y(3a、3b)が設定され(ステップS32)、ビームが照射される(ステップS33)。
続いて、スライスのスポットの照射が満了したか判定される(ステップS34)。
満了していない場合(ステップS34でNo)、ステップS33に移行する。
満了している場合(ステップS34でYes)、ステップS35で、同一スライスの照射が終了したか判定される(ステップS35)。
同一スライスの照射が終了していない場合(ステップS35でNo)、ステップS32に移行する。
同一スライスの照射が終了した場合(ステップS35でYes)、ビームをオフする(ステップS36)。
続いて、最終のスライスの照射が終了したか否か判定される(ステップS37)。
最終のスライスの照射が終了していない場合(ステップS37でNo)、ステップS31に移行する。
最終のスライスの照射が終了した場合(ステップS37でYes)、終了する。
上記構成によれば、下記の効果を奏する。
1.治療計画では鈍らせた仮想のビームを使用することが可能であり、実際の細いビームを使用して最適化計算を行う必要がないため、治療計画装置のメモリ等への負担は軽減される。
2.組み合わせるビームの数やその重みを変更することでビーム幅を自在に変更できる。これにより、従来のようにリッジフィルタを新たに製作することが解消し、照射中のビーム幅の変更も容易となる。
3.リッジフィルタレスとすることにより、治療計画装置1に格納するデータも基準となるビームデータのみとなり、異なるビーム幅を持つデータの再取得の必要がない。
4.ビーム側方方向のビームサイズに関しても、リッジフィルタの挿入がないため拡幅を抑えることができ、線量集中性をより高いものにできる。
5.しかしながら、照射標的6hによっては小さすぎるビームサイズにより治療計画における線量計算の時間の増大、計算機のメモリ負担を増加させてしまう。そこで、走査電磁石を用いて高速に走査し、治療計画であらかじめ決められたビーム位置を分裂、再配置し、ビームサイズを拡大する方法とした。
6.従来、照射中にビームサイズを変更することは困難であった。また、リッジフィルタを通過していることで既に側方方向のビームサイズが拡幅されており、さらにビームサイズを増幅することは要求されていなかった。リッジフィルタを無くすことにより、ビームサイズが小さいままに照射することが可能になった。
これにより、ビームサイズの大きさを変える自由度を得られる。このビームサイズ変更照射法により、健常組織への影響を小さくするために照射標的6hの辺縁部6heでは細いビームを、影響が及ばない位置に関しては治療計画装置への負担軽減のために太いビームでの照射を行うことが可能となる。
7.リッジフィルタ、その駆動装置を用いずに、照射標的6hに対して適切なビームを照射し、健常組織への影響を最小限に抑えた治療を可能となる。すなわち、正常臓器、重要臓器への影響を抑えつつ、治療計画装置1への負担も軽減した治療を提供することができる。
8.従来ビーム進行方向の鋭さを変更するために用いられたリッジフィルタは、使用ビームのビームサイズや挿入位置により製作するための条件が変わり、製作に困難をきたす場合があった。これに対して、本粒子線照射システムSではリッジフィルタが不要であるのでこの問題点が解消される他、入れ替えのための駆動機構も不要となる。
9.従来、ビームサイズを変更するためには、加速器2から治療室に至るまでのビーム輸送ラインの電磁石電流値の変更が必要であるため、調整に多くの試験時間が必要であった。これに対して、本粒子線照射システムSの走査電磁石X・Y(3a、3b)を用いたビーム位置の再配置により、ビーム輸送ライン調整が不要となり、試験時間も大幅に短縮が可能となる。
10.以上の効果により、粒子線照射装置のさらなる高度化、小型化が促進される。また、調整時間の短縮、より柔軟な照射計画への対応が可能となり、粒子線照射のさらなる普及が期待される。
11.なお、前記実施形態、実施例で説明したものは一例であり、特許請求の範囲で様々な具体的形態、変形形態等が可能である。
本発明は医用工学、加速器科学に適用される。特に、陽子線、重粒子線などの粒子線がん治療装置に利用可能である。
1 治療計画装置(照射計画装置、粒子線制御情報生成装置)
2 加速器(照射機器)
3a 走査電磁石X(照射機器、走査電磁石)
3b 走査電磁石Y(照射機器、走査電磁石)
3c 正線量モニタ(照射機器)
3d 副線量モニタ(照射機器)
3e 位置モニタ(照射機器)
4 治療計画照射変換装置(粒子線照射制御装置、仮実情報変換部、出力部、ビーム結合制御部、照射計画変換装置、粒子線制御情報生成装置)
5 電磁石電源(照射機器)
6h 照射標的
6h3 スライス(一のスライス、一つのスライス)
6h4 スライス(他のスライス)
6he 辺縁部
b30〜b34、b40 ビーム(粒子線ビーム)
B30〜B32 仮想のビーム
b40 ビーム(粒子線ビーム、照射標的の辺縁部側の粒子線ビーム)
B41 仮想のビーム(仮想の粒子線ビーム、照射標的の中央部側の記仮想の粒子線ビーム)
C2 照射系制御装置
P3、p41〜p44、p51〜p59 スポット(実際の照射スポット)
P4、P5、P10 スポット(仮想の照射スポット)
S 粒子線照射システム(粒子線照射システム、粒子線照射装置)
s32、s36、s43a、s44a スポット(実際の照射スポット)
s33、s34、s35、s41〜s44 スポット(仮想の照射スポット)

Claims (21)

  1. 粒子線ビームを照射標的に照射するための粒子線照射システムであって、
    照射標的に付与すべき線量を満たすように仮想の粒子線ビームを照射する計画を作成する照射計画装置と、
    前記仮想の粒子線ビームを、当該仮想の粒子線ビームの線量になるように前記仮想の粒子線ビームより鋭い複数の粒子線ビームに分裂させ、前記複数の粒子線ビームの情報を出力する照射計画変換装置と、
    前記複数の粒子線ビームの情報を基に、前記複数の粒子線ビームの照射を行うように出力信号を出力する照射系制御装置と、
    前記出力信号により、前記照射標的に前記複数の粒子線ビームを照射する照射機器とを
    具備することを特徴とする粒子線照射システム。
  2. 粒子線ビームを照射標的に照射するための粒子線制御情報生成装置であって、
    照射標的に付与すべき線量を満たすように仮想の粒子線ビームを照射する計画を作成する照射計画装置と、
    前記仮想の粒子線ビームを、当該仮想の粒子線ビームの線量になるように前記仮想の粒子線ビームより鋭い複数の粒子線ビームに分裂させ、前記複数の粒子線ビームの情報を出力する照射計画変換装置とを、
    備えることを特徴とする粒子線制御情報生成装置。
  3. 前記照射計画変換装置は、
    前記照射標的に付与すべき線量を満たすように作成される仮想の粒子線ビームと当該仮想の粒子線ビームの線量になるような当該仮想の粒子線ビームより鋭い複数の粒子線ビームとの対応情報に基づき、前記仮想の粒子線ビームを複数の粒子線ビームに分裂させる
    ことを特徴とする請求項2に記載の粒子線制御情報生成装置。
  4. 前記照射計画変換装置は、
    エネルギ変調装置を用いることなく、前記複数の前記粒子線ビームによって、前記仮想の粒子線ビームの進行方向に垂直な側方方向の寸法を拡幅する
    ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の粒子線制御情報生成装置。
  5. 前記照射計画変換装置は、
    一のスライスの前記粒子線ビームのエネルギと、他のスライスの前記粒子線ビームのエネルギとが重なる場合、一つのスライスの粒子線ビームの照射に変更する
    ことを特徴とする請求項2から請求項4のうちの何れか一項に記載の粒子線制御情報生成装置。
  6. 粒子線ビームを照射標的に照射するための粒子線照射装置であって、
    複数の粒子線ビームの情報を基に、前記複数の粒子線ビームの照射を行うように出力信号を出力する照射系制御装置と、
    前記出力信号により、前記照射標的に前記複数の粒子線ビームを照射する照射機器とを備え、
    前記複数の粒子線ビームは、照射標的に付与すべき線量を満たすように計画された仮想の粒子線ビームを、当該仮想の粒子線ビームの線量になるように前記仮想の粒子線ビームより鋭い粒子線ビームに分裂させたものである
    ことを特徴とする粒子線照射装置。
  7. 前記粒子線ビームが0.2mm以上1.5mm以下のスライス間隔およびスポット間隔で照射されるように走査する走査電磁石を備える
    ことを特徴とする請求項6に記載の粒子線照射装置。
  8. 前記照射標的の辺縁部側に照射される粒子線ビームは、前記照射標的の中央部側の前記仮想の粒子線ビームより鋭い
    ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の粒子線照射装置。
  9. 粒子線ビームを照射標的に照射するための粒子線照射制御装置であって、
    前記照射標的に付与すべき線量を満たすように作成される仮想の粒子線ビームを、当該仮想の粒子線ビームの線量になるように前記仮想の粒子線ビームより鋭い複数の粒子線ビームに分裂させる仮実情報変換部を備える
    ことを特徴とする粒子線照射制御装置。
  10. 粒子線ビームを照射標的に照射するための粒子線照射制御装置であって、
    前記照射標的に付与すべき線量を満たすように作成される仮想の粒子線ビームと当該仮想の粒子線ビームの線量になるような前記仮想の粒子線ビームより鋭い複数の粒子線ビームとの対応情報に基づき、照射計画で作成された仮想の粒子線ビームを複数の粒子線ビームに分裂させる仮実情報変換部と、
    分裂された前記複数の粒子線ビームの情報を出力する出力部とを
    備えることを特徴とする粒子線照射制御装置。
  11. 前記仮実情報変換部は、エネルギ変調装置を用いることなく、前記複数の前記粒子線ビームによって、前記仮想の粒子線ビームの前記粒子線ビームの進行方向に垂直な側方方向の寸法を拡幅する
    ことを特徴とする請求項9または請求項10に記載の粒子線照射制御装置。
  12. 一のスライスの前記粒子線ビームのエネルギと、他のスライスの前記粒子線ビームのエネルギとが重なる場合、一つのスライスの粒子線ビームの照射に変更するビーム結合制御部を備える
    ことを特徴とする請求項9から請求項11のうちの何れか一項に記載の粒子線照射制御装置。
  13. 前記照射標的の辺縁部側に照射される粒子線ビームは、前記照射標的の中央部側の前記仮想の粒子線ビームより鋭い
    ことを特徴とする請求項9から請求項12のうちの何れか一項に記載の粒子線照射制御装置。
  14. 請求項9から請求項13のうちの何れか一項に記載の前記粒子線照射制御装置と、
    前記仮想の粒子線ビームにおける粒子線ビームの進行方向に垂直な方向のビームサイズになるように、前記複数の粒子線ビームをそれぞれ走査する走査電磁石とを備える
    ことを特徴とする粒子線照射装置。
  15. 粒子線ビームを照射標的に照射機器から照射するための粒子線照射装置の制御方法であって、
    前記照射標的に付与すべき線量を満たすように作成される仮想の粒子線ビームと異なるエネルギの複数の粒子線ビームを重ねることで、当該粒子線ビームより鈍い前記仮想の粒子線ビームのビーム幅に広げる
    ことを特徴とする粒子線照射装置の制御方法。
  16. 粒子線ビームを照射標的に照射機器から照射するための粒子線照射装置の制御方法であって、
    前記照射標的に付与すべき線量を満たすように作成される仮想の粒子線ビームを、当該仮想の粒子線ビームより鋭い複数の前記粒子線ビームで構成する
    ことを特徴とする粒子線照射装置の制御方法。
  17. 前記複数の前記粒子線ビームの全線量は、前記仮想の粒子線ビームの線量と同等または近い
    ことを特徴とする請求項16に記載の粒子線照射装置の制御方法。
  18. 粒子線ビームを照射標的に照射機器から照射するための粒子線照射装置の制御方法であって、
    前記照射標的に付与すべき線量を満たすように作成される仮想の粒子線ビームの照射スポットは、当該仮想の粒子線ビームより鋭い複数の粒子線ビームの照射スポットで形成される
    ことを特徴とする粒子線照射装置の制御方法。
  19. 前記照射標的の辺縁部側に照射される粒子線ビームは、前記照射標的の中央部側の前記仮想の粒子線ビームより鋭い
    ことを特徴とする請求項15から請求項18のうちの何れか一項に記載の粒子線照射装置の制御方法。
  20. 粒子線ビームを照射標的に照射機器から照射するための粒子線照射装置の制御方法であって、
    一のスライスの前記粒子線ビームのエネルギと、他のスライスの前記粒子線ビームのエネルギとが重なる場合、一つのスライスの粒子線ビームの照射に変更する
    ことを特徴とする請求項15から請求項19のうちの何れか一項に記載の粒子線照射装置の制御方法。
  21. 請求項15から請求項20のうちの何れか一項に記載の粒子線照射装置の制御方法を実行するための粒子線照射装置のプログラム。
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