JP2018087356A - 鍍金設備および鍍金方法 - Google Patents

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Koji Iwata
好司 岩田
一晃 原
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Abstract

【課題】順次搬送される金属ストリップの鍍金品質を向上できること。【解決手段】対象とする鍍金金属を溶融した溶融金属を、搬送ロールによって下方側から上方側へ順次搬送される金属ストリップの鍍金対象面に噴射して付着させ、少なくとも金属ストリップの幅方向に対して傾斜する部分を含み且つ鍍金対象面に向かって上昇傾斜するガス噴射口から、この金属ストリップの鍍金対象面にガスを噴射する。噴射された溶融金属のうち、溶融金属の噴射位置よりも下方の搬送ロールに向かって流下する溶融金属を、このガス噴射によって除去する。鍍金対象面に付着させた状態の溶融金属を加熱処理して、鍍金対象面に鍍金金属を鍍金する。【選択図】図1

Description

本発明は、鋼帯等の金属ストリップに対して鍍金処理を行う鍍金設備および鍍金方法に関するものである。
従来、金属ストリップに対して鍍金処理を行う方法としては、電気鍍金や溶融鍍金が公知である。電気鍍金は、鍍金溶液の中に金属ストリップを進入させ、この鍍金溶液中の金属ストリップと電極との間に高電流を与えることにより、金属ストリップ面に鍍金金属を析出させて鍍金する方法である。一方、溶融鍍金は、鍍金金属を溶解した溶融金属の中に金属ストリップを進入させ、この金属ストリップに溶融金属を付着させる等して、金属ストリップ面に鍍金金属を鍍金する方法である。
このような溶融鍍金の従来技術として、例えば、鋼板面に付着させた溶融金属の付着量を気体絞り法によって制御する溶融金属鍍金方法がある(特許文献1参照)。特許文献1に開示される溶融金属鍍金方法では、溶融金属で満たされた溶融金属浴槽の中に鋼板が一旦搬送された後、この溶融金属浴槽の中に配置のシンクロールによって鋼板の搬送が方向転換されて、この溶融金属浴槽の中から鋼板が上方に引き上げられる。この引き上げられた鋼板は、その面(鋼板面)に溶融金属を付着させた状態にある。その後、この鋼板面上における溶融金属の付着量は、溶融金属浴槽の上方に配置のワイピングノズルからの噴射ガスにより、所要の鍍金厚みとなるように制御される。
なお、上述したように溶融金属中に鋼板を浸漬させるための溶融金属浴槽が用いられる溶融鍍金では、ボトムドロス(Fe−Zn系等)やトップドロス(Fe−Al系、ZnO等)に例示される不純物が溶融金属浴槽内に存在し、この溶融金属浴槽の中に進入させた鋼板に不純物が付着するというトラブルが発生している。このことは、鋼板製品の生産性を低下させるという問題を招来する。また、上述した気体絞り法では、ワイピングノズルからの噴射ガスによって鋼板面上の溶融金属の付着量を制御する際、鋼板の振動等の影響を受けて上記付着量が不均一になってしまい、この結果、溶融鍍金後の鋼板に外観不良が発生する虞がある。
上記の問題を解消するための従来技術として、例えば、溶融金属浴槽を用いることなく、金属ストリップの表面に溶融金属を付着させて鍍金するスプレー式の溶融金属鍍金方法(溶融亜鉛スプレー式めっき方法)が公知である(特許文献2参照)。特許文献2に開示されるスプレー式の溶融金属鍍金方法では、めっき前処理設備から搬出された金属ストリップの搬送方向がデフレクターロールによって上方に変更された後、この金属ストリップの表面に対して、溶融金属が、スプレーノズルから吹き付けられる。その後、この金属ストリップの表面から、溶融金属の余剰分が、ガスワイパー等によって払拭される。
特開平8−127853号公報 特開昭53−99047号公報
しかしながら、上述した従来のスプレー方式の溶融金属鍍金方法では、上述した「溶融金属浴槽内の不純物に起因する鋼板製品の生産性の低下」や「気体絞り法での溶融金属の不均一な付着量に起因する鋼板製品の外観不良の発生」といった問題は解消されるものの、スプレーノズルから金属ストリップの表面に噴射した溶融金属が当該金属ストリップの表面に沿って流下してしまい、この結果、デフレクターロール等の下方に配置の搬送ロールのロール面に、この流下した溶融金属が付着する虞がある。これに起因して、搬送中の金属ストリップは、上述したように流下後の溶融金属(特に固化した状態のもの)をロール面に付着させた状態の搬送ロールに巻きかかり、この流下後の溶融金属が、これらの金属ストリップと搬送ロールとの間に噛み込まれることとなる。この結果、搬送中の金属ストリップに押疵等のトラブルが発生することから、当該金属ストリップの鍍金品質が低下してしまう。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、順次搬送される金属ストリップの鍍金品質を向上させることができる鍍金設備および鍍金方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る鍍金設備は、対象とする鍍金金属を溶融した溶融金属を、搬送ロールによって下方側から上方側へ順次搬送される金属ストリップの鍍金対象面に噴射して付着させる溶融金属噴射部と、前記鍍金対象面に付着させた状態の前記溶融金属を加熱処理して、前記鍍金対象面に前記鍍金金属を鍍金する加熱処理部と、少なくとも前記金属ストリップの幅方向に対して傾斜する部分を含み且つ前記鍍金対象面に向かって上昇傾斜するガス噴射口を有し、前記溶融金属噴射部によって噴射された前記溶融金属のうち、前記溶融金属の噴射位置よりも下方の前記搬送ロールに向かって流下する溶融金属を、前記ガス噴射口から前記鍍金対象面にガスを噴射することによって除去する除去部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る鍍金設備は、上記の発明において、前記除去部は、前記ガス噴射口として、前記金属ストリップの幅方向の中央部側から一端部側に向かって下降するように前記金属ストリップの幅方向に対して傾斜し且つ前記鍍金対象面に向かって上昇傾斜する第1のガス噴射口と、前記金属ストリップの幅方向の中央部側から他端部側に向かって下降するように前記金属ストリップの幅方向に対して傾斜し且つ前記鍍金対象面に向かって上昇傾斜する第2のガス噴射口と、前記第1のガス噴射口と前記第2のガス噴射口との間に位置して前記金属ストリップの幅方向に平行であり且つ前記鍍金対象面に向かって上昇傾斜する第3のガス噴射口と、を備え、前記第1のガス噴射口と前記第2のガス噴射口と前記第3のガス噴射口とから前記鍍金対象面に対し、前記金属ストリップの幅方向の全域に亘って連続し且つ前記金属ストリップの搬送方向に向かって放射状に流れるように前記ガスを噴射することを特徴とする。
また、本発明に係る鍍金設備は、上記の発明において、前記金属ストリップの搬送速度の増減変化に応じて、前記ガスの噴射圧力を増減するように前記除去部を制御する制御部をさらに備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る鍍金方法は、対象とする鍍金金属を溶融した溶融金属を、搬送ロールによって下方側から上方側へ順次搬送される金属ストリップの鍍金対象面に噴射して付着させる溶融金属噴射ステップと、少なくとも前記金属ストリップの幅方向に対して傾斜する部分を含み且つ前記鍍金対象面に向かって上昇傾斜するガス噴射口から、前記鍍金対象面にガスを噴射し、前記溶融金属噴射ステップによって噴射された前記溶融金属のうち、前記溶融金属の噴射位置よりも下方の前記搬送ロールに向かって流下する溶融金属を、前記ガスの噴射によって除去するガス噴射ステップと、前記鍍金対象面に付着させた状態の前記溶融金属を加熱処理して、前記鍍金対象面に前記鍍金金属を鍍金する鍍金処理ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る鍍金方法は、上記の発明において、前記ガス噴射ステップは、前記ガス噴射口としての、前記金属ストリップの幅方向の中央部側から一端部側に向かって下降するように前記金属ストリップの幅方向に対して傾斜し且つ前記鍍金対象面に向かって上昇傾斜する第1のガス噴射口と、前記金属ストリップの幅方向の中央部側から他端部側に向かって下降するように前記金属ストリップの幅方向に対して傾斜し且つ前記鍍金対象面に向かって上昇傾斜する第2のガス噴射口と、前記第1のガス噴射口と前記第2のガス噴射口との間に位置して前記金属ストリップの幅方向に平行であり且つ前記鍍金対象面に向かって上昇傾斜する第3のガス噴射口と、から前記鍍金対象面に対し、前記金属ストリップの幅方向の全域に亘って連続し且つ前記金属ストリップの搬送方向に向かって放射状に流れるように前記ガスを噴射することを特徴とする。
また、本発明に係る鍍金方法は、上記の発明において、前記ガス噴射ステップは、前記金属ストリップの搬送速度の増減変化に応じて、前記ガスの噴射圧力を増減させることを特徴とする。
本発明によれば、順次搬送される金属ストリップの鍍金品質を向上させることができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態に係る鍍金設備の一構成例を示す図である。 図2は、図1に示す鍍金設備の鋼帯近傍の一構成例を示す図である。 図3は、本発明の実施の形態における除去部のガス噴射構成の一例を鋼帯の幅方向の視点で示す図である。 図4は、本発明の実施の形態における除去部のガス噴射構成の一例を鋼帯の厚さ方向の視点で示す図である。 図5は、本発明の実施の形態に係る鍍金方法の一例を示すフローチャートである。 図6は、本発明の実施の形態における除去部のガス噴射による流下溶融金属の除去を説明する図である。 図7は、本発明の実施の形態におけるガス噴射口の一変形例を示す図である。
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る鍍金設備および鍍金方法の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態により、本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各図面において、同一構成部分には同一符号が付されている。
(鍍金設備の構成)
まず、本発明の実施の形態に係る鍍金設備の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る鍍金設備の一構成例を示す図である。図1には、本発明の実施の形態に係る鍍金設備1を鋼帯15の側方から見たものが模式的に図示されている。また、図1に示す鍍金設備1のうち、受止部9は、除去部7の表側除去部7aおよび裏側除去部7bの構成を説明し易くするために、破線で図示されている。図2は、図1に示す鍍金設備の鋼帯近傍の一構成例を示す図である。図2には、この鍍金設備1における溶融金属噴射部4の表側噴射部4aと加熱処理部5と除去部7の表側除去部7aと受止部9とを鋼帯15の表側から見たものが模式的に図示されている。
なお、本実施の形態において、長手方向D1は、搬送ロール12によって搬送方向が変更された後の鋼帯15の長手の方向である。この長手方向D1において、正側は上方であり、負側は下方である。厚さ方向D2は、この搬送方向を変更後の鋼帯15の厚さの方向である。この厚さ方向D2において、鋼帯15の表側から裏側へ向かう方向は正の方向であり、その逆の方向は負の方向である。幅方向D3は、この搬送方向を変更後の鋼帯15の幅の方向である。この幅方向D3において、図2の紙面に向かい左側から右側へ向かう方向は正の方向であり、その逆の方向は負の方向である。これらの長手方向D1、厚さ方向D2および幅方向D3は、互いに直交する方向である。これらのことは、鍍金設備1の各構成部についても同様である。また、これらのことは、本実施の形態を説明する上で便宜上定義したものであり、本発明を限定するものではない。
本実施の形態に係る鍍金設備1は、鍍金対象の鋼帯15に対して鍍金処理(金属めっき処理)を行う設備であり、図1、2に示すように、鍍金金属を溶融した溶融金属18を生成する鍍金金属溶融部2と、生成された溶融金属18を保持する溶融金属保持部3と、この溶融金属18を鋼帯15の鍍金対象面に噴射する溶融金属噴射部4と、を備える。また、鍍金設備1は、鋼帯15の鍍金対象面に付着させた溶融金属18を加熱処理する加熱処理部5と、鋼帯15における加熱処理後の鍍金面の温度を測定する温度測定部6と、この溶融金属18のうち下方の搬送ロール12に向かって流下する溶融金属を除去する除去部7と、この除去された溶融金属を受け止める受止部9と、鍍金設備1の各構成部を制御する制御部10と、を備える。
鍍金金属溶融部2は、鍍金金属の溶融物(すなわち溶融金属18)を生成するものである。本実施の形態において、鍍金金属溶融部2は、加熱装置等を用いて構成され、溶融金属保持部3と配管接続される。鍍金金属溶融部2は、対象とする鍍金金属の粉砕物や粉末等の必要な物質を受け入れ、受け入れた物質を加熱処理する。これにより、鍍金金属溶融部2は、この鍍金金属を溶融した溶融金属18を生成する。その都度、鍍金金属溶融部2は、生成した溶融金属18を、配管等を通じて溶融金属保持部3に送出する。
溶融金属保持部3は、生成された溶融金属18を保持するものである。本実施の形態において、溶融金属保持部3は、保温機能を備えた密閉型タンク等を用いて構成される。溶融金属保持部3は、鍍金処理に必要な量以上の溶融金属18を鍍金金属溶融部2から配管等を通じて受け入れ、受け入れた溶融金属18の温度を、その凝固点以上の温度に保温する。これにより、溶融金属保持部3は、この溶融金属18の溶融した状態を保持する。また、溶融金属保持部3の内部空間には、不活性ガス等の酸化防止ガスが導入される。溶融金属保持部3は、導入された酸化防止ガスによる酸化防止雰囲気内に、保温した状態の溶融金属18を保管する。これにより、溶融金属保持部3は、この溶融金属18を、溶融した状態に保持しながら酸化等の変質を防止して、鍍金処理に好適な状態に保持する。なお、図1では、溶融金属保持部3による溶融金属18の保持状態(保管状態)は特に図示しない。
また、溶融金属保持部3は、溶融金属噴射部4(具体的には、表側噴射部4a、裏側噴射部4b、および圧送部4c)と配管接続される。溶融金属保持部3は、上述したように保持した状態の溶融金属18を、制御部10の制御に基づき、鍍金処理に必要な量分、配管を通じて溶融金属噴射部4に供給する。この際、溶融金属保持部3は、例えば、配管を通じて圧送部4cに溶融金属18を供給し、圧送部4c等を通じて表側噴射部4aおよび裏側噴射部4bに溶融金属18を供給する。
溶融金属18は、対象とする鍍金金属を溶融したものである。本実施の形態において、対象とする鍍金金属としては、例えば、銀、亜鉛等の金属が挙げられるが、金属ストリップ製品の鍍金膜として要望される金属であれば特に限定されない。
溶融金属噴射部4は、対象とする鍍金金属を溶融した溶融金属18を、搬送ロール12によって下方側から上方側へ順次搬送される鋼帯15の鍍金対象面に噴射して付着させるものである。本実施の形態において、溶融金属噴射部4は、図1に示すように、表側噴射部4a、裏側噴射部4b、および圧送部4cを備える。また、特に図示しないが、溶融金属噴射部4は、表側噴射部4aおよび裏側噴射部4bと圧送部4cとを連通する配管、並びに、圧送部4cと上述の溶融金属保持部3とを連通する配管を備える。
表側噴射部4aおよび裏側噴射部4bは、各々、スプレーノズル等を用いて構成され、図1に示すように、鋼帯15の厚さ方向D2に対向するように配置される。また、図2に示すように、鋼帯15の長手方向D1について、表側噴射部4aは、加熱処理部5の配置の位置P1よりも鋼帯15の搬送方向(図1、2中の太線矢印参照)における上流側(本実施の形態では下方側)の位置P2に配置される。本実施の形態において、位置P2は、表側噴射部4aの噴射口の位置、すなわち、表側噴射部4aによる溶融金属18の噴射位置に相当する。図2には図示しないが、この位置P2は、鋼帯15の長手方向D1について、裏側噴射部4bによる溶融金属18の噴射位置(裏側噴射部4bの噴射口の位置)にも相当する。これらの位置P1、P2間の距離は、例えば、上述したように搬送ロール12によって順次搬送される鋼帯15の鍍金対象面における溶融金属18の付着性、並びに、この鋼帯15の鍍金対象面に付着後の溶融金属18を加熱処理するまでに要する時間等を考慮して、設定される。
表側噴射部4aは、その噴射口を鋼帯15の表側の鍍金対象面に向けた状態にある。表側噴射部4aは、配管等を通じて溶融金属保持部3側から圧送された溶融金属18を、上述したように搬送ロール12によって順次搬送される鋼帯15の表側の鍍金対象面に噴射(例えば粒状に噴射)する。これにより、表側噴射部4aは、この鋼帯15の表側の鍍金対象面に、その幅方向D3の全域に亘って溶融金属18を付着させる。一方、裏側噴射部4bは、その噴射口を鋼帯15の裏側の鍍金対象面に向けた状態にある。裏側噴射部4bは、配管等を通じて溶融金属保持部3側から圧送された溶融金属18を、上述したように搬送ロール12によって順次搬送される鋼帯15の裏側の鍍金対象面に噴射(例えば粒状に噴射)する。これにより、裏側噴射部4bは、この鋼帯15の裏側の鍍金対象面に、その幅方向D3の全域に亘って溶融金属18を付着させる。
圧送部4cは、ポンプ等を用いて構成され、上述した溶融金属保持部3と表側噴射部4aおよび裏側噴射部4bとを連通する配管(図示せず)に設けられる。圧送部4cは、溶融金属保持部3による保持状態の溶融金属18を、配管を通じて溶融金属保持部3から表側噴射部4aおよび裏側噴射部4bの各々に向けて圧送する。このように圧送部4cによって圧送された溶融金属18は、例えば図1に示すように、表側噴射部4aおよび裏側噴射部4bから鋼帯15の表裏両側の鍍金対象面に対して、各々、粒状に噴射される。
加熱処理部5は、鋼帯15の鍍金対象面に付着させた状態の溶融金属18を加熱処理して、この鋼帯15に対する鍍金処理を行うものである。本実施の形態において、加熱処理部5は、例えば誘導加熱装置またはバーナー等の加熱設備を用いて構成される。なお、加熱処理部5に用いる加熱設備としては、加熱処理の出力制御が比較的容易な誘導加熱装置が好ましい。図1、2に示すように、加熱処理部5は、溶融金属噴射部4の表側噴射部4aおよび裏側噴射部4bよりも鋼帯15の搬送方向の下流側(本実施の形態では上方側)の位置P1(図2参照)に配置される。加熱処理部5は、上述したように搬送ロール12によって順次搬送される鋼帯15の表裏両側の鍍金対象面に付着させた状態の溶融金属18を加熱処理する。これにより、加熱処理部5は、この鋼帯15の表裏両側の鍍金対象面に対する溶融金属18の付着性を高めるとともに溶融金属18の膜厚を所望の膜厚に調整して、これら表裏両側の鍍金対象面に、対象とする鍍金金属を鍍金する。
温度測定部6は、鍍金処理後の鋼帯15の鍍金面の温度を測定するものである。本実施の形態において、温度測定部6は、例えば放射温度計等の非接触型の測温設備を用いて構成され、図1に示すように、加熱処理部5よりも鋼帯15の搬送方向の下流側の位置に配置される。温度測定部6は、加熱処理部5による加熱処理後(すなわち鍍金処理後)の鋼帯15における鍍金面の温度を測定する。ここで、鍍金面は、鋼帯15のうちの鍍金膜19が形成された鋼帯部分の面である。鍍金膜19は、上述した加熱処理部5によって溶融金属18を加熱処理することにより、鋼帯15の鍍金対象面(本実施の形態では表裏両側の鍍金対象面)に形成される鍍金金属の膜である。温度測定部6は、順次搬送される鋼帯15の鍍金面の温度を測定する都度、得られた温度の測定結果を制御部10に送信する。
除去部7は、溶融金属噴射部4によって噴射された溶融金属18のうち、溶融金属18の噴射位置よりも下方の搬送ロール12に向かって流下する溶融金属(以下、流下溶融金属と適宜いう)を、ガス噴射によって除去するものである。本実施の形態において、除去部7は、図1に示すように、表側除去部7a、裏側除去部7b、およびガス供給部7cを備える。また、特に図示しないが、除去部7は、表側除去部7aおよび裏側除去部7bとガス供給部7cとを連通する配管を備える。
表側除去部7aおよび裏側除去部7bは、各々、所定の形状のガス噴射口を有する噴射ノズル等の噴射手段である。図1に示すように、表側除去部7aおよび裏側除去部7bは、各々、搬送ロール12によって下方側から上方側へ順次搬送される鋼帯15に向かって少なくとも上昇傾斜する態様となるよう、鋼帯15の搬送経路を挟んで対称的に配置される。また、表側除去部7aおよび裏側除去部7bは、各々、溶融金属噴射部4による溶融金属18の噴射位置(図2に示す位置P2)と搬送ロール12の配置の位置(図2に示す搬送ロール12のロール面上端の位置P4)との間に配置される。詳細には、図2に示すように、表側除去部7aの配置の位置P3は、溶融金属噴射部4の表側噴射部4aによる溶融金属18の噴射位置(位置P2)よりも下方の位置であるとともに、搬送ロール12のロール面上端の位置P4よりも上方の位置である。図2には図示しないが、位置P3は、鋼帯15の長手方向D1について、裏側除去部7bの配置の位置と同じである。本実施の形態において、この位置P3は、表側除去部7aおよび裏側除去部7bの各ガス噴射口の位置に相当する。これらの位置P3と位置P4との間の距離Hは、例えば、鋼帯15の搬送速度、鋼帯15の鍍金対象面上における溶融金属18の付着性や粘度等を考慮して、設定される。
表側除去部7aは、そのガス噴射口を、鋼帯15の表側の鍍金対象面に対して少なくとも上昇傾斜する態様で向けた状態にある。すなわち、表側除去部7aが有するガス噴射口は、少なくとも鋼帯15の幅方向D3に対して傾斜する部分を含み且つ鋼帯15の表側の鍍金対象面に向かって上昇傾斜する態様のものである。本実施の形態において、表側除去部7aは、配管等を通じて圧送されたガスを、上述した態様のガス噴射口から、搬送ロール12によって下方側から上方側へ順次搬送される鋼帯15の表側の鍍金対象面に噴射する。これにより、表側除去部7aは、図1に示すように、鋼帯15の表側の鍍金対象面における、溶融金属18の噴射位置と搬送ロール12との間(図2に示す位置P2と位置P4との間)の位置に、噴射したガスによるガス壁8aを生成する。このガス壁8aでは、表側除去部7aのガス噴射口から噴射されたガスの流れ(ガス流)が連続的に生じている。表側除去部7aは、溶融金属噴射部4の表側噴射部4aから噴射された溶融金属18のうちの流下溶融金属を、このガス壁8aの連続的なガス流によって鋼帯15の表側の鍍金対象面上から搬送ロール12の外部へ吹き飛ばして除去する。
裏側除去部7bは、そのガス噴射口を、鋼帯15の裏側の鍍金対象面に対して少なくとも上昇傾斜する態様で向けた状態にある。すなわち、裏側除去部7bが有するガス噴射口は、少なくとも鋼帯15の幅方向D3に対して傾斜する部分を含み且つ鋼帯15の裏側の鍍金対象面に向かって上昇傾斜する態様のものである。本実施の形態において、裏側除去部7bは、配管等を通じて圧送されたガスを、上述した態様のガス噴射口から、搬送ロール12によって下方側から上方側へ順次搬送される鋼帯15の裏側の鍍金対象面に噴射する。これにより、裏側除去部7bは、図1に示すように、鋼帯15の裏側の鍍金対象面における、溶融金属18の噴射位置と搬送ロール12との間(図2に示す位置P2と位置P4との間)の位置に、噴射したガスによるガス壁8bを生成する。このガス壁8bでは、裏側除去部7bのガス噴射口から噴射されたガスの流れ(ガス流)が連続的に生じている。裏側除去部7bは、溶融金属噴射部4の裏側噴射部4bから噴射された溶融金属18のうちの流下溶融金属を、このガス壁8bの連続的なガス流によって鋼帯15の裏側の鍍金対象面上から搬送ロール12の外部へ吹き飛ばして除去する。
本実施の形態において、上述した流下溶融金属は、溶融金属噴射部4の表側噴射部4aおよび裏側噴射部4bによって各々噴射された溶融金属18のうち、溶融金属18の噴射位置よりも下方の搬送ロール12に向かって流下する溶融金属である。すなわち、表側除去部7aからのガス噴射によるガス壁8aは、鋼帯15の表側の鍍金対象面に沿って下方の搬送ロール12に向かう流下溶融金属を除去する。裏側除去部7bからのガス噴射によるガス壁8bは、鋼帯15の裏側の鍍金対象面に沿って下方の搬送ロール12に向かう流下溶融金属を除去する。
なお、本実施の形態における流下溶融金属には、例えば、鋼帯15の表裏両側の鍍金対象面のいずれかに付着した状態で溶融金属18の噴射位置側から当該表裏両側の鍍金対象面のいずれかに沿って流下する付着状態の流下溶融金属、表側噴射部4aおよび裏側噴射部4bの各々から噴射後に鋼帯15の表裏両側の鍍金対象面のいずれにも付着せず浮遊した状態で溶融金属18の噴射位置側から当該表裏両側の鍍金対象面のいずれかに沿って流下する浮遊状態の流下溶融金属等が含まれる。
ガス供給部7cは、ガスボンベまたはポンプ等を用いて構成され、上述した表側除去部7aおよび裏側除去部7bと配管接続される。ガス供給部7cは、空気または窒素等のガスを、配管を通じて表側除去部7aおよび裏側除去部7bの各々に所望の圧力で供給(圧送)する。このようにガス供給部7cによって圧送されたガスは、例えば図1に示すように、表側除去部7aおよび裏側除去部7bから鋼帯15の表裏両側の鍍金対象面に各々噴射されて、ガス壁8a、8bを生じさせる。このようなガスの温度は、鋼帯15の過度な温度低下を防止するという観点から、常温以上であることが好ましく、鋼帯15の温度以上であることが、より好ましい。この場合、ガス供給部7cは、例えば、加熱設備または保温設備等を備え、供給対象のガスを適宜加熱および保温して、供給対象のガスの温度を常温以上(より好ましくは鋼帯15の温度以上)に保持してもよい。
受止部9は、除去部7によって除去された流下溶融金属を受け止めるものである。本実施の形態において、受止部9は、例えば、コの字形状または箱形状のカバー部材等を用いて構成され、図1、2に示すように、溶融金属18の噴射位置(位置P2)の下部近傍とガス噴射口の位置(位置P3)の下部近傍との間の所定領域を囲むような位置に配置される。
具体的には、受止部9は、鋼帯15の幅より大きい離間距離をあけて鋼帯15の幅方向D3に対向する一対の側壁と、この一対の側壁を鋼帯15の長手方向D1に立設させる底板とを備える。図1、2には図示しないが、この受止部9の底板には、鋼帯15を通過させることが可能な開口部が形成されている。受止部9は、この一対の側壁によって、鋼帯15の幅方向D3の正負両側(図2の紙面に向かって左右両側)から、上述した所定領域を囲む。この一対の側壁の間には、上述した所定領域の鋼帯15と、表側除去部7aおよび裏側除去部7bと、鋼帯15の表裏両側のガス壁8a、8bとが含まれる。また、受止部9は、この底板によって、上述した所定領域とその下方の搬送ロール12との間を、鋼帯15の長手方向D1に遮る。
受止部9は、表側除去部7aからのガス壁8aによって鋼帯15の表側から吹き飛ばされて除去された流下溶融金属と、裏側除去部7bからのガス壁8bによって鋼帯15の裏側から吹き飛ばされて除去された流下溶融金属とを、これら一対の側壁および底板によって受け止める。これにより、受止部9は、除去された流下溶融金属が鍍金設備1の外部へ過度に飛散する事態(例えば、鍍金設備1の周囲の床や設備あるいは作業者等に向かって飛散する事態)を防止することができる。
制御部10は、鍍金設備1の各構成部を制御するものである。具体的には、制御部10は、例えばプログラムを実行するCPUおよび各種情報を記憶するメモリ等を用いて構成される。制御部10は、溶融金属保持部3、溶融金属噴射部4、加熱処理部5、および除去部7の各動作タイミング、並びに、加熱処理部5の加熱出力および除去部7のガスの噴射圧力等を制御する。
本実施の形態において、制御部10は、鍍金金属溶融部2によって生成された溶融金属18の好適な溶融状態を保持するように溶融金属保持部3を制御する。且つ、制御部10は、鋼帯15の鍍金対象面に溶融金属18を噴射する直前のタイミングに、保持状態の溶融金属18を溶融金属噴射部4の圧送部4cに供給するよう溶融金属保持部3を制御する。また、制御部10は、圧送部4cの動作タイミングを制御することにより、溶融金属噴射部4の表側噴射部4aおよび裏側噴射部4bから鋼帯15の表裏両側の鍍金対象面に溶融金属18を噴射するタイミングを制御する。さらに、制御部10は、鋼帯15の鍍金条件をもとに圧送部4cの出力を制御し、これにより、表側噴射部4aおよび裏側噴射部4bから鋼帯15の表裏両側の鍍金対象面への溶融金属18の噴射量、すなわち、これら表裏両側の鍍金対象面に付着させる溶融金属18の膜厚を制御する。
また、制御部10は、温度測定部6によって測定された鋼帯15の鍍金面の温度をもとに、加熱処理部5による溶融金属18の加熱処理の出力を制御する。さらに、制御部10は、鋼帯15の搬送速度の増減変化に応じて、ガスの噴射圧力を増減するように除去部7を制御する。本実施の形態では、制御部10は、鋼帯15の搬送速度の増減変化に応じて、表側除去部7aおよび裏側除去部7bに圧送するガスの圧力(供給圧力)を増減するようにガス供給部7cを制御し、この制御を通じて、表側除去部7aおよび裏側除去部7bからのガスの噴射圧力(すなわちガス壁8a、8bのガス流の圧力)の増減を制御する。
なお、上述した鋼帯15の鍍金条件として、例えば、鋼帯15を構成する鋼板の幅および厚さ、鋼帯15に形成する鍍金膜19の膜厚(めっき厚)等が挙げられる。本実施の形態において、鋼帯15の鍍金条件および搬送速度は、鍍金設備1が適用される製造ラインの操業を管理するプロセスコンピュータ(図示せず)等から制御部10に入力される。
一方、搬送ロール12は、鍍金設備1に向けて鋼帯15を順次搬送する設備である。本実施の形態において、搬送ロール12は、図1に示すように、鍍金設備1よりも下方の位置、詳細には、除去部7の表側除去部7aおよび裏側除去部7bよりも下方の位置に配置される。搬送ロール12は、鍍金設備1が適用される製造ラインにおいて、鍍金設備1の前段に設置された設備(例えばめっき前処理設備等)から送出された鋼帯15を、その搬送方向を鍍金設備1に向かう方向(本実施の形態では上方)に方向転換する。そして、搬送ロール12は、この鋼帯15を、例えば鉛直方向の下方側から上方側へ順次搬送する。このような搬送ロール12は、鍍金設備1の一構成部として設置されてもよいし、鍍金設備1以外の設備として製造ラインに設置されてもよい。
鋼帯15は、鍍金設備1によって鍍金処理する鍍金対象の金属ストリップの一例である。本実施の形態において、鋼帯15は、その表裏両面を鍍金対象面としている。すなわち、鋼帯15の表面が「表側の鍍金対象面」であり、鋼帯15の裏面が「裏側の鍍金対象面」である。また、鋼帯15の温度は、鍍金設備1による鍍金処理が可能な範囲内の温度であれば特に限定されないが、鋼帯15に噴射された溶融金属18の鍍金対象面における付着性を向上させるという観点から、この溶融金属18の鍍金金属(対象とする鍍金金属)の凝固点以上であることが好ましい。鋼帯15の温度の上限は、対象とする鍍金金属について設定される所定の上限温度(発火温度等)以下であることが好ましい。例えば、対象とする鍍金金属が亜鉛である場合、鋼帯15の温度は、亜鉛の凝固点以上(420℃以上)、所定の上限温度以下(460℃以下)であることが好ましい。このような鋼帯15は、帯状に形成された単一の鋼板であってもよいし、複数の鋼板の各先尾端同士を接合してなる帯状の鋼板であってもよい。
(除去部のガス噴射構成)
つぎに、上述したように流下溶融金属を除去する除去部7のガス噴射構成について説明する。図3は、本発明の実施の形態における除去部のガス噴射構成の一例を鋼帯の幅方向の視点で示す図である。図3には、上述した除去部7(図1参照)の表側除去部7aおよび裏側除去部7bを鋼帯15の幅方向D3から見たものが図示されている。図4は、本発明の実施の形態における除去部のガス噴射構成の一例を鋼帯の厚さ方向の視点で示す図である。図4には、図3に示す表側除去部7aのガス噴射構成を鋼帯15の厚さ方向D2から見たものが図示されている。以下、図3、4を参照しつつ、図1に示した除去部7のガス噴射構成として、表側除去部7aおよび裏側除去部7bのガス噴射口の構成と、ガス噴射によるガス壁8a、8bの構成とを説明する。
図3に示すように、表側除去部7aは、ガス噴射口71aを有し、鋼帯15の表側の鍍金対象面(表側鍍金対象面15a)に対して上昇傾斜する態様で、ガス噴射口71aを表側鍍金対象面15aに向けた状態にある。すなわち、ガス噴射口71aは、表側鍍金対象面15aに向かって上昇傾斜する態様のものである。表側除去部7aは、このような態様のガス噴射口71aから表側鍍金対象面15aに向けてガスを噴射する。ガス噴射口71aから噴射されたガスは、図3の破線矢印に示されるように、表側鍍金対象面15aに向かって上昇傾斜しながら流れて表側鍍金対象面15aに到達する。その後、このガスは、表側鍍金対象面15aに沿って、鋼帯15の搬送方向すなわち上方側(鋼帯15の長手方向D1の正側)に向かい流れる。このようなガス流によって、表側鍍金対象面15a上には、ガス噴射口71aから表側鍍金対象面15aに延在するガス壁8aが生じる。
ガス壁8aは、図3に示すように、表側鍍金対象面15aに向かって上昇傾斜した態様のものであり、表側鍍金対象面15aとの間で上昇傾斜角度α1をなす。上昇傾斜角度α1は、表側除去部7aのガス噴射方向(すなわちガス噴射口71aを通る中心軸の方向)と表側鍍金対象面15aとのなす角度である。本実施の形態において、上昇傾斜角度α1は、表側鍍金対象面15aに沿って流下する流下溶融金属をガス噴射(ガス壁8a)によって確実に除去するという観点から、5度以上、90度未満であることが好ましい。
裏側除去部7bは、図3に示すように、ガス噴射口71bを有し、鋼帯15の裏側の鍍金対象面(裏側鍍金対象面15b)に対して上昇傾斜する態様で、ガス噴射口71bを裏側鍍金対象面15bに向けた状態にある。すなわち、ガス噴射口71bは、裏側鍍金対象面15bに向かって上昇傾斜する態様のものである。裏側除去部7bは、このような態様のガス噴射口71bから裏側鍍金対象面15bに向けてガスを噴射する。ガス噴射口71bから噴射されたガスは、図3の破線矢印に示されるように、裏側鍍金対象面15bに向かって上昇傾斜しながら流れて裏側鍍金対象面15bに到達する。その後、このガスは、裏側鍍金対象面15bに沿って、鋼帯15の搬送方向すなわち上方側に向かい流れる。このようなガス流によって、裏側鍍金対象面15b上には、ガス噴射口71bから裏側鍍金対象面15bに延在するガス壁8bが生じる。
ガス壁8bは、図3に示すように、裏側鍍金対象面15bに向かって上昇傾斜した態様のものであり、裏側鍍金対象面15bとの間で上昇傾斜角度α2をなす。上昇傾斜角度α2は、裏側除去部7bのガス噴射方向(すなわちガス噴射口71bを通る中心軸の方向)と裏側鍍金対象面15bとのなす角度である。本実施の形態において、上昇傾斜角度α2の好適な範囲は、上述した表側の上昇傾斜角度α1と同様である。
一方、図4に示すように、表側除去部7aのガス噴射口71aは、上述したように表側鍍金対象面15aに向かって上昇傾斜する構成(図3参照)に加え、少なくとも鋼帯15の幅方向D3に対して傾斜する部分を含む。具体的には、本実施の形態において、表側除去部7aは、図4に示すように、ガス噴射口71aとして、鋼帯15の幅方向D3に対して傾斜する部分である端側ガス噴射口72a、73aと、鋼帯15の幅方向D3に対して平行な部分である中央側ガス噴射口74aとを備える。
端側ガス噴射口72aは、図4に示すように、鋼帯15の幅方向D3の中央部側から一端部(例えば一方の幅方向端部15c)側に向かって下降するように鋼帯15の幅方向D3に対して傾斜する態様のものである。且つ、端側ガス噴射口72aは、図3に示したガス噴射口71aのように、鋼帯15の表側鍍金対象面15aに向かって上昇傾斜する態様になっている。このような端側ガス噴射口72aは、例えば図4に示すように、中央側ガス噴射口74aの一端部に連続して、当該一端部から鋼帯15の幅方向端部15cに対する厚さ方向D2の対向位置に延在し、且つ、鋼帯15の幅方向D3との間で幅方向傾斜角度θ1をなす。幅方向傾斜角度θ1は、端側ガス噴射口72aの延在方向と鋼帯15の幅方向D3とのなす角度である。
端側ガス噴射口73aは、図4に示すように、鋼帯15の幅方向D3の中央部側から他端部(例えば他方の幅方向端部15d)側に向かって下降するように鋼帯15の幅方向D3に対して傾斜する態様のものである。且つ、端側ガス噴射口73aは、図3に示したガス噴射口71aのように、鋼帯15の表側鍍金対象面15aに向かって上昇傾斜する態様になっている。このような端側ガス噴射口73aは、例えば図4に示すように、中央側ガス噴射口74aの他端部に連続して、当該他端部から鋼帯15の幅方向端部15dに対する厚さ方向D2の対向位置に延在し、且つ、鋼帯15の幅方向D3との間で幅方向傾斜角度θ2をなす。幅方向傾斜角度θ2は、端側ガス噴射口73aの延在方向と鋼帯15の幅方向D3とのなす角度である。
中央側ガス噴射口74aは、図4に示すように、一方の端側ガス噴射口72aと他方の端側ガス噴射口73aとの間に位置して、これら双方の端側ガス噴射口72a、73aに連続するように設けられる。中央側ガス噴射口74aは、鋼帯15の幅方向D3に平行であり、且つ、図3に示したガス噴射口71aのように、鋼帯15の表側鍍金対象面15aに向かって上昇傾斜する態様のものである。このような中央側ガス噴射口74aは、例えば図4に示すように、鋼帯15の幅方向D3の中央部に対する厚さ方向D2の対向位置で幅方向D3に対して平行に延在する。本実施の形態において、中央側ガス噴射口74aの延在方向の長さLは、表側鍍金対象面15aに対して粒状に噴射される溶融金属18の噴射滴(溶融金属滴)の粒径に応じて設定される。このような中央側ガス噴射口74aの長さLと鋼帯15の幅Wとの比(L/W)は、例えば、0.1程度である。
図4に示すように、表側除去部7aは、上述した態様のガス噴射口71aを構成する端側ガス噴射口72a,73aおよび中央側ガス噴射口74aから、鋼帯15の表側鍍金対象面15aに対し、鋼帯15の幅方向D3の全域に亘って連続し且つ鋼帯15の搬送方向に向かって放射状に流れるようにガスを噴射する。すなわち、端側ガス噴射口72a,73aおよび中央側ガス噴射口74aから噴射されたガスは、図3に示したように表側鍍金対象面15aに向かって上昇傾斜しながら、図4の破線矢印に示されるように、鋼帯15の搬送方向(長手方向D1の正側)に向かって放射状に流れて、表側鍍金対象面15aに到達する。その後、このガスは、表側鍍金対象面15aに沿って上方側へ放射状に流れる。このようなガス流によって、図3に示したガス壁8aが、図4に示すように、鋼帯15の幅方向D3の全域に亘って連続する態様で生じる。
このようなガス壁8aは、図4に示すように、鋼帯15の幅方向D3の全域に亘って連続する一方の端側ガス壁81aと中央側ガス壁83aと他方の端側ガス壁82aとによって構成される。一方の端側ガス壁81aは、一方の端側ガス噴射口72aから噴射されたガスの流れによって生成される。この端側ガス壁81aのガス流は、表側鍍金対象面15aに沿って流下する流下溶融金属を、下支えしながら鋼帯15の一方の幅方向端部15cから外部へ吹き飛ばすように作用する。他方の端側ガス壁82aは、他方の端側ガス噴射口73aから噴射されたガスの流れによって生成される。この端側ガス壁82aのガス流は、表側鍍金対象面15aに沿って流下する流下溶融金属を、下支えしながら鋼帯15の他方の幅方向端部15dから外部へ吹き飛ばすように作用する。中央側ガス壁83aは、中央側ガス噴射口74aから噴射されたガスの流れによって生成される。この中央側ガス壁83aのガス流は、表側鍍金対象面15aに沿って流下する流下溶融金属を、下支えしながら双方の端側ガス壁81a、82aの少なくとも一方へ導くように作用する。
ここで、上述した端側ガス噴射口72a,73aの幅方向傾斜角度θ1、θ2(図4参照)は、0度超、90度未満であればよいが、流下溶融金属をガス噴射(ガス壁8aのガス流)によって確実に除去するという観点から、鋼帯15の搬送速度に応じて設定されることが好ましい。例えば、鋼帯15の搬送速度が0[mpm]以上、50[mpm]未満である場合、幅方向傾斜角度θ1、θ2は、0度超、5度未満の範囲内に設定される。鋼帯15の搬送速度が50[mpm]以上、100[mpm]未満である場合、幅方向傾斜角度θ1、θ2は、5度以上、10度未満の範囲内に設定される。鋼帯15の搬送速度が100[mpm]以上である場合、幅方向傾斜角度θ1、θ2は、10度以上、90度未満の範囲内に設定される。
なお、図4には図示しないが、裏側除去部7bのガス噴射口71bおよびガス壁8b(図3参照)の構成は、ガス噴射の対象が鋼帯15の裏側鍍金対象面15bであること以外、図4に示した表側除去部7aと同様である。
(鍍金方法)
つぎに、本発明の実施の形態に係る鍍金方法について説明する。図5は、本発明の実施の形態に係る鍍金方法の一例を示すフローチャートである。本実施の形態に係る鍍金方法では、搬送ロール12によって下方側から上方側へ順次搬送される鋼帯15の表側鍍金対象面15aおよび裏側鍍金対象面15bに対し、上述した鍍金設備1(図1参照)を用いて、対象とする鍍金金属を鍍金する。
詳細には、図5に示すように、まず、鍍金設備1は、対象とする鍍金金属の溶融金属18を準備する(ステップS101)。ステップS101において、鍍金金属溶融部2は、対象とする鍍金金属を溶融した溶融金属18を生成する。溶融金属保持部3は、この生成された溶融金属18を鍍金金属溶融部2から受け入れ、受け入れた溶融金属18を、その凝固点以上の温度(例えば鍍金金属が亜鉛であれば420℃以上、460℃以下の温度)に保温するとともに酸化等の変質を防止した状態で保管する。このようにして、溶融金属保持部3は、鍍金処理に必要な量以上の溶融金属18を、鍍金処理に好適な溶融状態に保持して準備する。
ステップS101の実行後、鍍金設備1は、鍍金対象の鋼帯15に溶融金属18を噴射する(ステップS102)。ステップS102において、制御部10は、上述したように保持された状態の溶融金属18を溶融金属噴射部4に供給するように、溶融金属保持部3を制御する。溶融金属保持部3は、この制御部10の制御に基づき、弁を開ける等して、この溶融金属18を溶融金属噴射部4の圧送部4cに供給する。ついで、制御部10は、溶融金属保持部3からの溶融金属18を、溶融金属噴射部4の表側噴射部4aおよび裏側噴射部4bの各側に向けて圧送するように、圧送部4cを制御する。この際、制御部10は、プロセスコンピュータ等から取得した鋼帯15の鍍金条件をもとに圧送部4cの出力を制御し、この制御を通じて、溶融金属18の噴射量を鍍金処理に必要な量に制御する。
ステップS102において、表側噴射部4aおよび裏側噴射部4bは、上述した制御部10の制御に基づき、圧送された溶融金属18(すなわち対象とする鍍金金属を溶融したもの)を、搬送ロール12によって下方側から上方側へ順次搬送される鋼帯15の鍍金対象面に噴射する。この際、表側噴射部4aは、鋼帯15の表側鍍金対象面15aに、制御部10の制御に基づく噴射量の溶融金属18を噴射して付着させる。これに並行して、裏側噴射部4bは、鋼帯15の裏側鍍金対象面15bに、制御部10の制御に基づく噴射量の溶融金属18を噴射して付着させる。
ステップS102の実行後、鍍金設備1は、噴射した溶融金属18のうちの流下溶融金属を除去するガスを噴射する(ステップS103)。ステップS103において、除去部7の表側除去部7aおよび裏側除去部7bは、図3に示したようにガス噴射口71a、71bから、鋼帯15の表側鍍金対象面15aおよび裏側鍍金対象面15bにガスを各々噴射する。上述したように、ガス噴射口71a、71bは、各々、少なくとも鋼帯15の幅方向D3に対して傾斜する部分を含み、且つ、表側鍍金対象面15aまたは裏側鍍金対象面15bに向かって上昇傾斜する態様のものである。表側除去部7aおよび裏側除去部7bは、上述したステップS102によって噴射された溶融金属18のうち、溶融金属18の噴射位置(図2に示した位置P2)よりも下方の搬送ロール12に向かって流下する流下溶融金属を、ガス噴射口71a、71bからのガスの噴射によって除去する。
詳細には、ステップS103において、制御部10は、プロセスコンピュータ等から鋼帯15の搬送速度を取得し、取得した鋼帯15の搬送速度の増減変化に応じて、ガス噴射口71a、71bからのガスの噴射圧力を増減させる。本実施の形態において、制御部10は、鋼帯15の搬送速度が増大変化した場合、この搬送速度の増大量に応じて、表側除去部7aおよび裏側除去部7bに対するガスの供給圧力を増大させるようにガス供給部7cを制御する。制御部10は、この制御を通じて、表側除去部7aのガス噴射口71aからのガスの噴射圧力と、裏側除去部7bのガス噴射口71bからのガスの噴射圧力と、をともに増大させる。一方、制御部10は、鋼帯15の搬送速度が減少変化した場合、この搬送速度の減少量に応じて、表側除去部7aおよび裏側除去部7bに対するガスの供給圧力を減少させるようにガス供給部7cを制御する。制御部10は、この制御を通じて、上述したガス噴射口71a、71bからのガスの噴射圧力をともに減少させる。
ステップS103において、表側除去部7aは、上述したように制御部10によって制御された噴射圧力のガスを、ガス噴射口71aから鋼帯15の表側鍍金対象面15aに噴射する。詳細には、図3、4に示したように、表側除去部7aは、ガス噴射口71aとしての一方の端側ガス噴射口72aと他方の端側ガス噴射口73aと中央側ガス噴射口74aとから、表側鍍金対象面15aに対し、鋼帯15の幅方向D3の全域に亘って連続し且つ鋼帯15の搬送方向に向かって放射状に流れるように上記噴射圧力のガスを噴射する。
本実施の形態において、一方の端側ガス噴射口72aは、鋼帯15の幅方向D3の中央部側から一端部(一方の幅方向端部15c)側に向かって下降するように鋼帯15の幅方向D3に対して傾斜し、且つ、表側鍍金対象面15aに向かって上昇傾斜する態様のものである。他方の端側ガス噴射口73aは、鋼帯15の幅方向D3の中央部側から他端部(他方の幅方向端部15d)側に向かって下降するように鋼帯15の幅方向D3に対して傾斜し、且つ、表側鍍金対象面15aに向かって上昇傾斜する態様のものである。中央側ガス噴射口74aは、これらの端側ガス噴射口72a、73a間に連続的に位置して、鋼帯15の幅方向D3に平行であり、且つ、表側鍍金対象面15aに向かって上昇傾斜する態様のものである。
このような表側除去部7aのガス噴射口71aから上記噴射圧力で噴射されたガスの流れによって、図3、4に示した態様のガス壁8aが、表側鍍金対象面15a上に生じる。このガス壁8aにおけるガス流の圧力は、ガス噴射口71aから噴射されるガスの噴射圧力の増減に伴って増減する。
図6は、本発明の実施の形態における除去部のガス噴射による流下溶融金属の除去を説明する図である。図6には、図1に示した除去部7の一例として、鋼帯15の厚さ方向D2から見た表側除去部7aが図示されている。図6に示すように、表側除去部7aは、ガス噴射口71aから、上述した制御部10の制御に基づく噴射圧力のガスを、表側鍍金対象面15aに対して上昇傾斜(図3参照)しながら鋼帯15の搬送方向(長手方向D1の正側)に向かって放射状に拡がるように、鋼帯15の表側鍍金対象面15aに噴射する。このような噴射圧力のガスの流れにより、上述した態様のガス壁8aが、図6に示すように、鋼帯15の幅方向D3の全域に亘って上方の表側噴射部4aと下方の搬送ロール12との間を遮断するように生じる。
このようなガス壁8aは、図6中の実線矢印に示されるように、上方の表側噴射部4a側から下方の搬送ロール12側に向かって流下する流下溶融金属18aを、鋼帯15の幅方向端部15c、15dの少なくとも一方へ受け流して、これら幅方向端部15c、15dの少なくとも一方から外部(例えば搬送ロール12よりも外側の領域)へ吹き飛ばす。このようにして、表側除去部7aは、表側鍍金対象面15aに沿って下方の搬送ロール12に向かう流下溶融金属18aを除去する。
特に図6には図示しないが、裏側除去部7bは、ガス噴射の対象が鋼帯15の裏側鍍金対象面15b(図3参照)であること以外、上述した表側除去部7aと同様に作用する。すなわち、裏側除去部7bは、ガス噴射口71bから上記噴射圧力で裏側鍍金対象面15bにガスを噴射することにより、上述した表側のガス壁8aと同様のガス流を裏側鍍金対象面15bについて実現するガス壁8b(図3参照)を、上方の裏側噴射部4bと下方の搬送ロール12との間を遮断するように生成する。このようなガス壁8bの作用(ガス流の作用)により、裏側除去部7bは、上方の裏側噴射部4b側から下方の搬送ロール12側に向かう流下溶融金属を、鋼帯15の幅方向端部15c、15dの少なくとも一方から外部へ吹き飛ばして除去する。
また、本実施の形態において、上述したように表側除去部7aまたは裏側除去部7bによって除去された流下溶融金属は、図1、2に示した受止部9によって受け止められる。この受止部9によって受け止められた流下溶融金属は、回収されて、上述した溶融金属18等に再利用されてもよい。
上述したステップS103の実行後、鍍金設備1は、鋼帯15における鍍金対象面上の溶融金属18の加熱処理を制御する(ステップS104)。ステップS104において、温度測定部6は、加熱処理部5による加熱処理後の鋼帯15の鍍金面の温度を測定する。制御部10は、温度測定部6が測定した鋼帯15の鍍金面の温度をもとに、加熱処理部5による鍍金対象面(本実施の形態では表側鍍金対象面15aおよび裏側鍍金対象面15b)上の溶融金属18の加熱処理を制御する。この際、制御部10は、プロセスコンピュータ等から取得した鋼帯15の鍍金条件をもとに、この鋼帯15の加熱処理の出力を設定し、設定した出力を、温度測定部6による鍍金面の温度の測定値をもとにフィードバック制御する。制御部10は、このようにフィードバック制御して得た出力の加熱処理を行うように、加熱処理部5を制御する。
ステップS104の実行後、鍍金設備1は、鋼帯15の鍍金対象面上の溶融金属18を加熱処理して鋼帯15の鍍金対象面を鍍金処理する(ステップS105)。ステップS105において、鍍金設備1は、順次搬送される鋼帯15の鍍金対象面(本実施の形態では表側鍍金対象面15aおよび裏側鍍金対象面15b)に付着させた状態の溶融金属18を、上述したステップS104による制御に基づき、加熱処理部5によって加熱処理する。これにより、鍍金設備1は、鋼帯15の鍍金対象面に、対象とする鍍金金属を鍍金する。
具体的には、ステップS105において、加熱処理部5は、制御部10から加熱処理の出力の指令信号を受信し、受信した指令信号に基づく出力の加熱処理を、鋼帯15の表側鍍金対象面15aおよび裏側鍍金対象面15bの各面上の溶融金属18に対して行う。この際、加熱処理部5は、この指令信号によって指令された出力の交番磁界を、順次搬送される鋼帯15をその厚さ方向D2に貫くように発生させる。これにより、加熱処理部5は、この指令された出力に応じた渦電流を鋼帯15の表側鍍金対象面15aおよび裏側鍍金対象面15bに誘導し、この誘導した渦電流に由来するジュール熱によって、これらの表側鍍金対象面15aおよび裏側鍍金対象面15bを誘導加熱する。加熱処理部5は、このように誘導加熱した鋼帯15の表側鍍金対象面15aおよび裏側鍍金対象面15bから付着状態の溶融金属18に上記ジュール熱を各々加える。このようにして、加熱処理部5は、制御部10からの指令に基づく出力で溶融金属18を加熱処理し、この結果、鋼帯15の表側鍍金対象面15aおよび裏側鍍金対象面15bに、対象とする鍍金金属を鍍金して鍍金膜19を形成する。
本実施の形態に係る鍍金方法において、鍍金設備1は、鍍金対象の鋼帯15が搬送(搬入)される都度、上述したステップS101〜S105の各処理ステップを適宜繰り返して行う。これにより、鍍金設備1は、溶融金属18の噴射位置(図2に示した位置P2)から下方の搬送ロール12に向かう流下溶融金属をステップS103以降の継続的なガス噴射によって除去しながら、鋼帯15の長手方向D1および幅方向D3の全域に亘り、対象とする鍍金金属を鍍金して、目的とする膜厚の鍍金膜19を形成する。
ここで、鍍金設備1は、上述したステップS101〜S105の各処理ステップを所定の期間繰り返し行い、具体的に120[mpm]という搬送速度で搬送ロール12によって下方側から上方側へ順次搬送される鋼帯15の鍍金対象面を鍍金処理した。この具体例において、鍍金対象面は、鋼帯15の表裏両面(表側鍍金対象面15aおよび裏側鍍金対象面15b)とした。また、除去部7の表側除去部7aおよび裏側除去部7bでは、上昇傾斜角度α1、α2(図3参照)は5度、10度、15度の場合に分けて各々設定変更し、幅方向傾斜角度θ1、θ2(図4参照)は10度に設定した。ガス噴射口71a、71bのうち幅方向D3に平行な部分(例えば図4に示した中央側ガス噴射口74a)の長さLと鋼帯15の幅Wとの比(L/W)は、0.1に設定した。さらに、これらの表側除去部7aおよび裏側除去部7bから噴射されるガスの噴射圧力は、100[kPa]に制御した。
この具体例では、上記のように設定した条件のいずれの組み合わせにおいても、鍍金設備1は、溶融金属18の噴射位置から下方の搬送ロール12に向かう流下溶融金属をガス噴射によって除去して、搬送ロール12への流下溶融金属の付着を完全に防止しながら、鋼帯15の表側鍍金対象面15aおよび裏側鍍金対象面15bに鍍金金属を良好に鍍金することができた。一方、幅方向傾斜角度θ1、θ2を0度に設定した場合、すなわち、表側除去部7aおよび裏側除去部7bの各ガス噴射口71a、71bの全体を鋼帯15の幅方向D3に平行な態様にした場合、上述した流下溶融金属をガス噴射では除去しきれず、この結果、搬送ロール12への流下溶融金属の付着を防止することはできなかった。
以上、説明したように、本発明の実施の形態では、対象とする鍍金金属を溶融した溶融金属を、搬送ロールによって下方側から上方側へ順次搬送される鋼帯の鍍金対象面に噴射して付着させ、少なくともこの鋼帯の幅方向に対して傾斜する部分を含み且つこの鋼帯の鍍金対象面に向かって上昇傾斜するガス噴射口から、この鋼帯の鍍金対象面にガスを噴射し、この鋼帯の鍍金対象面に向けて噴射した溶融金属のうち、この溶融金属の噴射位置よりも下方の搬送ロールに向かって流下する流下溶融金属を、このガスの噴射によって除去し、これに並行して、この鋼帯の鍍金対象面に付着させた状態の溶融金属を加熱処理して、この鋼帯の鍍金対象面に鍍金金属を鍍金する。
これにより、上述したように順次搬送される鋼帯の鍍金対象面に対する鍍金処理を安定して進めながら、溶融金属の噴射位置側から下方の搬送ロールに向かう流下溶融金属の流れを、上述した態様のガス噴射口からのガス流(ガス壁)によって遮断して、この流下溶融金属を、下方の搬送ロールに届かないように除去することができる。このため、鋼帯の鍍金条件(例えば、鋼帯を構成する鋼板の幅、厚さ、鍍金対象面上の鍍金膜の厚さ等)が一定の場合は勿論、搬送に伴い変更される場合であっても、鍍金対象面に対する溶融金属の噴射量または付着量の変化(特に増加)等に起因して流下し易さが増す傾向にある流下溶融金属の、下方の搬送ロールのロール表面への付着を防止することができる。この結果、鍍金対象面に付着した状態で流下する付着状態の流下溶融金属のみならず、鍍金対象面に沿って浮遊した状態で流下する浮遊状態の流下溶融金属についても、下方の搬送ロールと鋼帯との間への流下溶融金属の介在に起因する鋼帯の押疵等の品質低下を防止できることから、上述したように順次搬送される鋼帯の鍍金品質を向上させることができる。
また、本発明の実施の形態では、上述したガス噴射口において、鋼帯の幅方向の中央部側から端部側に向かって下降するようにこの鋼帯の幅方向に対して傾斜し且つこの鋼帯の鍍金対象面に向かって上昇傾斜する一対の端側ガス噴射口の間に、この鋼帯の幅方向に平行であり且つこの鋼帯の鍍金対象面に向かって上昇傾斜する中央側ガス噴射口を設け、これら一対の端側ガス噴射口および中央側ガス噴射口から、この鋼帯の鍍金対象面に対し、上述した流下溶融金属を除去するガスを、この鋼帯の幅方向の全域に亘って連続し且つこの鋼帯の搬送方向に向かって放射状に流れるように噴射する。
このため、鋼帯の幅方向の両端部側に比べて流下溶融金属の流下量が多い中央部側での、ガス流による流下溶融金属の流下抑止力(例えば、受け止めて幅方向の端側へ流す作用力)を強化することができる。これにより、鋼帯の幅方向の少なくとも一方の端部から外部へ流下溶融金属をガス流によって吹き飛ばして除去し易くなり、この結果、下方の搬送ロールのロール表面への流下溶融金属の付着をより確実に防止できることから、上述したように順次搬送される鋼帯の鍍金品質のさらなる向上を図ることができる。
また、本発明の実施の形態では、上述した流下溶融金属を除去するガスの噴射圧力を、鋼帯の搬送速度の増減変化に応じて増減させる。このため、鋼帯の搬送速度によらず、上述した流下溶融金属を除去し得る圧力のガス流を鋼帯の鍍金対象面上に安定して生成することができる。これにより、流下溶融金属をガス流によって安定して除去することができ、この結果、下方の搬送ロールのロール表面への流下溶融金属の付着を安定して防止できることから、上述したように順次搬送される鋼帯の鍍金品質のさらなる向上を図ることができる。
なお、上述した実施の形態では、除去部7のガス噴射口71a、71bとして、鋼帯15の幅方向D3に対してその中央部側から端部側に向かって下降傾斜し且つ鋼帯15の鍍金対象面に向かって上昇傾斜する一対の端側ガス噴射口の間に、鋼帯15の幅方向D3に平行であり且つ鋼帯15の鍍金対象面に向かって上昇傾斜する中央側ガス噴射口が位置している態様のもの(例えば図3、4参照)を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、ガス噴射口71a、71bは、鋼帯15の幅方向D3に平行な部分を含んでいなくてもよく、例えば、鋼帯15の幅方向D3の一端部から他端部に向かって下降するように鋼帯15の幅方向D3に対して傾斜し且つ鋼帯15の鍍金対象面に向かって上昇傾斜する態様のものであってもよい。
図7は、本発明の実施の形態におけるガス噴射口の一変形例を示す図である。例えば、図7に示すように、ガス噴射口71aは、鋼帯15における一方の幅方向端部15dから他方の幅方向端部15cに向かって下降するように鋼帯15の幅方向D3に対して傾斜し且つ鋼帯15の表側鍍金対象面15aに向かって上昇傾斜(図3参照)する態様のものであってもよい。この場合、ガス噴射口71aから噴射されるガスの流れは、鋼帯15の搬送方向に向かって放射状に拡がる流れでなくてもよく、このガスの流れによって、上記態様のガス壁8aが、鋼帯15の幅方向D3の全域に亘り連続して表側鍍金対象面15a上に生成されてもよい。そして、表側鍍金対象面15aに沿って流下する流下溶融金属18aは、このガス壁8aのガス流により、一方の幅方向端部15d側から他方の幅方向端部15c側に向かい流されながら吹き飛ばされて、外部へ除去されてもよい。このことは、他方のガス噴射口71bについても同様としてもよい。
また、上述した実施の形態では、ガス噴射口71a、71bが一連のスリット状の開口部によって各々一体的に形成された場合を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、ガス噴射口71a、71bは、円形または矩形等の所定形状の開口部を複数並べて形成されてもよい。
さらに、上述した実施の形態では、除去部7のガス噴射によって吹き飛ばされた流下溶融金属を受止部9によって受け止める場合を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、除去部7は、ガス噴射(例えばガス壁8a、8bのガス流)により、下方の搬送ロール12の外部、すなわち、この搬送ロール12に届かない外側の領域へ流下溶融金属を吹き飛ばして除去してもよい。この場合、鍍金設備1は、受止部9を備えていなくてもよい。
また、上述した実施の形態では、鍍金対象面として鋼帯15の表側鍍金対象面15aおよび裏側鍍金対象面15bを例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、鍍金対象面は、鋼帯15等の金属ストリップの表面(表側の鍍金対象面)または裏面(裏側の鍍金対象面)のいずれか一方であってもよい。
さらに、上述した実施の形態では、加熱処理部5が誘導加熱装置である場合を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、加熱処理部5は、バーナー等、誘導加熱装置以外の加熱装置であってもよい。しかし、鋼帯15等の金属ストリップの鍍金対象面に対する鍍金金属の付着し易さの観点から、加熱処理部5は、鍍金対象面側から溶融金属18を加熱処理する誘導加熱装置であることが好ましい。
また、上述した実施の形態では、鍍金対象の金属ストリップの一例として鋼帯15を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、鍍金対象の金属ストリップは、鋼帯15に限らず、鋼以外の鉄合金の金属ストリップであってもよいし、銅またはアルミニウム等の鉄合金以外の金属ストリップであってもよい。すなわち、本発明において、鍍金対象の金属ストリップの種類(例えば硬さ、組成、成分等)は、特に問われない。
また、上述した実施の形態により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 鍍金設備
2 鍍金金属溶融部
3 溶融金属保持部
4 溶融金属噴射部
4a 表側噴射部
4b 裏側噴射部
4c 圧送部
5 加熱処理部
6 温度測定部
7 除去部
7a 表側除去部
7b 裏側除去部
7c ガス供給部
8a、8b ガス壁
9 受止部
10 制御部
12 搬送ロール
15 鋼帯
15a 表側鍍金対象面
15b 裏側鍍金対象面
15c、15d 幅方向端部
18 溶融金属
18a 流下溶融金属
19 鍍金膜
71a、71b ガス噴射口
72a、73a 端側ガス噴射口
74a 中央側ガス噴射口
81a、82a 端側ガス壁
83a 中央側ガス壁
D1 長手方向
D2 厚さ方向
D3 幅方向
P1、P2、P3、P4 位置

Claims (6)

  1. 対象とする鍍金金属を溶融した溶融金属を、搬送ロールによって下方側から上方側へ順次搬送される金属ストリップの鍍金対象面に噴射して付着させる溶融金属噴射部と、
    前記鍍金対象面に付着させた状態の前記溶融金属を加熱処理して、前記鍍金対象面に前記鍍金金属を鍍金する加熱処理部と、
    少なくとも前記金属ストリップの幅方向に対して傾斜する部分を含み且つ前記鍍金対象面に向かって上昇傾斜するガス噴射口を有し、前記溶融金属噴射部によって噴射された前記溶融金属のうち、前記溶融金属の噴射位置よりも下方の前記搬送ロールに向かって流下する溶融金属を、前記ガス噴射口から前記鍍金対象面にガスを噴射することによって除去する除去部と、
    を備えたことを特徴とする鍍金設備。
  2. 前記除去部は、前記ガス噴射口として、
    前記金属ストリップの幅方向の中央部側から一端部側に向かって下降するように前記金属ストリップの幅方向に対して傾斜し且つ前記鍍金対象面に向かって上昇傾斜する第1のガス噴射口と、
    前記金属ストリップの幅方向の中央部側から他端部側に向かって下降するように前記金属ストリップの幅方向に対して傾斜し且つ前記鍍金対象面に向かって上昇傾斜する第2のガス噴射口と、
    前記第1のガス噴射口と前記第2のガス噴射口との間に位置して前記金属ストリップの幅方向に平行であり且つ前記鍍金対象面に向かって上昇傾斜する第3のガス噴射口と、
    を備え、前記第1のガス噴射口と前記第2のガス噴射口と前記第3のガス噴射口とから前記鍍金対象面に対し、前記金属ストリップの幅方向の全域に亘って連続し且つ前記金属ストリップの搬送方向に向かって放射状に流れるように前記ガスを噴射することを特徴とする請求項1に記載の鍍金設備。
  3. 前記金属ストリップの搬送速度の増減変化に応じて、前記ガスの噴射圧力を増減するように前記除去部を制御する制御部をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の鍍金設備。
  4. 対象とする鍍金金属を溶融した溶融金属を、搬送ロールによって下方側から上方側へ順次搬送される金属ストリップの鍍金対象面に噴射して付着させる溶融金属噴射ステップと、
    少なくとも前記金属ストリップの幅方向に対して傾斜する部分を含み且つ前記鍍金対象面に向かって上昇傾斜するガス噴射口から、前記鍍金対象面にガスを噴射し、前記溶融金属噴射ステップによって噴射された前記溶融金属のうち、前記溶融金属の噴射位置よりも下方の前記搬送ロールに向かって流下する溶融金属を、前記ガスの噴射によって除去するガス噴射ステップと、
    前記鍍金対象面に付着させた状態の前記溶融金属を加熱処理して、前記鍍金対象面に前記鍍金金属を鍍金する鍍金処理ステップと、
    を含むことを特徴とする鍍金方法。
  5. 前記ガス噴射ステップは、前記ガス噴射口としての、前記金属ストリップの幅方向の中央部側から一端部側に向かって下降するように前記金属ストリップの幅方向に対して傾斜し且つ前記鍍金対象面に向かって上昇傾斜する第1のガス噴射口と、前記金属ストリップの幅方向の中央部側から他端部側に向かって下降するように前記金属ストリップの幅方向に対して傾斜し且つ前記鍍金対象面に向かって上昇傾斜する第2のガス噴射口と、前記第1のガス噴射口と前記第2のガス噴射口との間に位置して前記金属ストリップの幅方向に平行であり且つ前記鍍金対象面に向かって上昇傾斜する第3のガス噴射口と、から前記鍍金対象面に対し、前記金属ストリップの幅方向の全域に亘って連続し且つ前記金属ストリップの搬送方向に向かって放射状に流れるように前記ガスを噴射することを特徴とする請求項4に記載の鍍金方法。
  6. 前記ガス噴射ステップは、前記金属ストリップの搬送速度の増減変化に応じて、前記ガスの噴射圧力を増減させることを特徴とする請求項4または5に記載の鍍金方法。
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