JP2018087099A - 黒鉛層間化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】グラフェンの化学的な連続性が維持されつつPN接合が容易に形成されることにより、電気伝導性や熱伝導性が良好な黒鉛層間化合物を提供する。【解決手段】本発明の黒鉛層間化合物1は、面内方向に連続した1枚のグラフェンが複数枚積層されてなるグラフェン層と、前記グラフェン間に挿入されたインターカレートからなるインターカレート層と、を備えるシート状の黒鉛層間化合物1であって、前記グラフェン層から電子を受容するP型インターカレート層部分とこのP型インターカレート層部分の積層方向に位置するグラフェン層とで構成されるP型GIC領域40と、前記グラフェン層に電子を供給するN型インターカレート層部分とこのN型インターカレート層部分の積層方向に位置するグラフェン層とで構成されるN型GIC領域50と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、黒鉛層間化合物に関し、詳しくは、熱電変換素子やフォトダイオード素子等への使用に好適な黒鉛層間化合物に関する。
黒鉛層間化合物(Graphite Intercalation Compound:GIC)は、複数のグラフェンの層間に、原子や分子等のインターカレートが侵入した構造を有する。この黒鉛層間化合物は、インターカレートの種類により、ドナー型(N型)又はアクセプタ型(P型)の黒鉛層間化合物となる。例えば、特許文献1に示されるように、インターカレートがアルカリ金属やアルカリ土類金属であると、インターカレートがグラフェン面に電子を与え、ドナー型(N型)の黒鉛層間化合物が得られる。また、特許文献1に示されるように、インターカレートが塩化銅等の金属ハロゲン化物であると、逆にインターカレートがグラフェン面から電子を受容し、アクセプタ型(P型)の黒鉛層間化合物が得られる。
上記P型の黒鉛層間化合物とN型の黒鉛層間化合物とを接合するとPN接合を形成することが可能である。このため、黒鉛層間化合物は、熱電変換素子やフォトダイオード素子への応用が期待されている。
黒鉛層間化合物の製造方法は、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されている。特許文献1には、グラファイト粉末にインターカレート物質を加えた混合粉末を用いてブロック状の黒鉛層間化合物を製造することが開示されている。また、特許文献2には、ベンゼン分子と重金属有機物分子とを900〜1000℃程度に保持し、炭素堆積物の層間に重金属原子が挿入された黒鉛層間化合物を製造することが開示されている。
しかし、特許文献1で得られるブロック状の黒鉛層間化合物は、グラファイト粉末にインターカレート物質を加えた混合粉末から得られるため、隣接するグラファイト粉末間の適切な接合が困難である。例えば、隣接するグラファイト粉末間の接触面が微小であるためグラファイト粉末同士の接合自体が困難である。また、グラファイト粉末同士が接合した場合でもグラファイト粉末のグラフェン面の方向を一致させることが困難であるため黒鉛層間化合物のグラフェンの化学的な連続性が悪く電気的ロスが大きくなる。このため、従来の黒鉛層間化合物はPN接合が不十分になりやすかった。
また、特許文献2で得られる黒鉛層間化合物は、製造時に900〜1000℃程度に加熱するため、一旦グラファイト間に侵入したインターカレートがグラファイト間から漏出するおそれがある。インターカレートが漏出すると、黒鉛層間化合物のP型やN型の半導体としての特性が劣化するため好ましくない。
これに対し、特許文献3には、グラファイトシートと、インターカレートとを用いた黒鉛層間化合物の製造方法が開示されている。特許文献3に開示された方法は、グラファイト粉末でなくグラファイトシートを用いるため、P型又はN型の黒鉛層間化合物を単独で作製する場合は、黒鉛層間化合物のグラフェンの化学的な連続性が保持される。
特開2013−65801号公報 特開昭61−222183号公報 国際公開第2015/163178号
しかしながら、特許文献3に開示された方法で作製したP型の黒鉛層間化合物とN型の黒鉛層間化合物とを用いてPN接合した場合、黒鉛層間化合物のグラフェンの化学的な連続性が悪く電気的ロスが大きくなるという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。本発明は、グラフェンの化学的な連続性が維持されつつPN接合が容易に形成されることにより、電気伝導性や熱伝導性が良好な黒鉛層間化合物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の態様に係る黒鉛層間化合物は、面内方向に連続した1枚のグラフェンが複数枚積層されてなるグラフェン層と、積層方向に隣接する前記グラフェン間に挿入されたインターカレートからなるインターカレート層と、を備えるシート状の黒鉛層間化合物であって、前記インターカレート層の一部を構成し前記インターカレート層に挿入される前記インターカレートが前記グラフェン層から電子を受容するP型インターカレートであるP型インターカレート層部分と、このP型インターカレート層部分の積層方向に位置するグラフェン層と、で構成されるP型GIC領域と、前記インターカレート層の一部を構成し前記インターカレート層に挿入される前記インターカレートが前記グラフェン層に電子を供給するN型インターカレートであるN型インターカレート層部分と、このN型インターカレート層部分の積層方向に位置するグラフェン層と、で構成されるN型GIC領域と、を含むことを特徴とする。
本発明の黒鉛層間化合物によれば、グラフェンの化学的な連続性が維持されつつPN接合が容易に形成されることにより、電気伝導性や熱伝導性が良好な黒鉛層間化合物が得られる。
実施形態に係る黒鉛層間化合物の斜視図である。 図1のA−A線に沿った断面図である。 実施形態に係る黒鉛層間化合物の製造方法を説明する斜視図である。 実施形態に係る黒鉛層間化合物の製造方法を説明する斜視図である。 実施形態に係る黒鉛層間化合物の製造方法を説明する斜視図である。 実施形態に係る黒鉛層間化合物の製造方法を説明する斜視図である。 実施形態に係る黒鉛層間化合物の製造方法を説明する斜視図である。 実施形態に係る黒鉛層間化合物の製造方法を説明する斜視図である。 実施形態に係る黒鉛層間化合物の製造方法を説明する斜視図である。
以下、本実施形態に係る黒鉛層間化合物について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る黒鉛層間化合物の斜視図である。図1に示すように、黒鉛層間化合物1は、P型の黒鉛層間化合物として機能するP型GIC領域40の3個と、N型の黒鉛層間化合物として機能するN型GIC領域50の3個と、が交互に接続された構造を有する。具体的には、黒鉛層間化合物1は、略矩形状のP型GIC領域40の長手方向の端部近傍の側面と、略矩形状のN型GIC領域50の長手方向の端部近傍の側面と、が交互に接続され、全体としてジグザグなシート状になっている。黒鉛層間化合物1は、P型GIC領域40と、N型GIC領域50と、が交互に接続されることにより、PN接合を形成している。
また、黒鉛層間化合物1において、末端のP型GIC領域40と、末端のN型GIC領域50と、には、それぞれ引き出し線70が接続される。このため、黒鉛層間化合物1では、引き出し線70で接続された部分間に、ジグザグなシート状のPN接合が形成されている。
P型GIC領域40及びN型GIC領域50について図2を参照して説明する。図2は、図1のA−A線に沿った断面図である。なお、図2では、P型GIC領域保護膜45、N型GIC領域保護膜55、及び引き出し線70の図示を省略して示している。図2に示すように、黒鉛層間化合物1は、グラフェン11が複数枚積層されてなるグラフェン層10と、積層方向に隣接するグラフェン11間に挿入されたインターカレート21からなるインターカレート層20と、を備える。
(グラフェン層)
グラフェン層10は、面内方向に連続した1枚のグラフェン11が複数枚積層されたものである。なお、インターカレート層20を備えず、グラフェン層10のみからなるものは、グラファイトシート12に相当する。グラフェン層10を構成する各グラフェン11は面内方向に連続している。このため、グラフェン層10は、グラフェン11の接続による損失がなく、電気伝導性や熱伝導性が良好である。
(インターカレート層)
インターカレート層20は、積層方向に隣接するグラフェン11間に挿入されたインターカレート21からなる。黒鉛層間化合物1は、グラフェン11間に挿入されるインターカレート21として、グラフェン層10から電子を受容するP型インターカレート22と、グラフェン層10に電子を供給するN型インターカレート23と、の両方を備える。
<P型インターカレート>
P型インターカレート22とは、グラフェン層10から電子を受容するインターカレートを意味する。P型インターカレート22としては、例えば、塩化銅、塩化鉄、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化金等の金属ハロゲン化物が用いられる。これらの金属ハロゲン化物は、1種で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
<N型インターカレート>
N型インターカレート23とは、グラフェン層10に電子を供給するインターカレートを意味する。N型インターカレート23としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム及びセシウム等のアルカリ金属や、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等のアルカリ土類金属が用いられる。これらのアルカリ金属やアルカリ土類金属は、1種で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(P型GIC領域及びN型GIC領域)
黒鉛層間化合物1において、グラフェン層10は、面内方向に連続した1枚のグラフェン11が複数枚積層されてなる。しかし、黒鉛層間化合物1において、インターカレート層20は、1枚のグラフェン11の長さ方向に沿って、少なくとも、P型インターカレート22の挿入された部分と、N型インターカレート23の挿入された部分とを有する。このため、黒鉛層間化合物1は、面内方向に連続した1枚のグラフェン11の長さ方向に沿って、P型の黒鉛層間化合物として機能する部分と、N型の黒鉛層間化合物として機能する部分と、を有する。
黒鉛層間化合物1において、インターカレート層20のうち、インターカレート層20の一部を構成し、インターカレート層20に挿入されるインターカレート21がP型インターカレート22である部分を、P型インターカレート層部分24という。P型インターカレート22が挿入されたP型GIC領域40は、例えばステージ1からステージ6の構造を有する。
また、黒鉛層間化合物1において、P型GIC領域40とは、P型インターカレート層部分24と、このP型インターカレート層部分24の積層方向に位置するグラフェン層10と、で構成される部分を意味する。P型GIC領域40は、黒鉛層間化合物1のうち、P型の黒鉛層間化合物として機能する部分である。
なお、P型GIC領域40を構成するグラフェン層10には、後述の図3及び4に示すように、P型インターカレート22を挿入するためのP型インターカレート挿入用孔14が複数個設けられる。P型インターカレート挿入用孔14が複数個設けられると、グラフェン層10へのP型インターカレート22の挿入が容易になるため、P型GIC領域40が容易に形成される。
黒鉛層間化合物1において、インターカレート層20のうち、インターカレート層20の一部を構成し、インターカレート層20に挿入されるインターカレート21がN型インターカレート23である部分を、N型インターカレート層部分25という。P型インターカレート22が挿入されたP型GIC領域40は、例えばステージ1からステージ6の構造を有する。
また、黒鉛層間化合物1において、N型GIC領域50とは、N型インターカレート層部分25と、このN型インターカレート層部分25の積層方向に位置するグラフェン層10と、で構成される部分を意味する。N型GIC領域50は、黒鉛層間化合物1のうち、N型の黒鉛層間化合物として機能する部分である。
なお、N型GIC領域50を構成するグラフェン層10には、後述の図6〜9に示すように、N型インターカレート23を挿入するためのN型インターカレート挿入用孔15が複数個設けられる。N型インターカレート挿入用孔15が複数個設けられると、グラフェン層10へのP型インターカレート22の挿入が容易になるため、N型GIC領域50が容易に形成される。
上記のように、黒鉛層間化合物1において、P型GIC領域40及びN型GIC領域50は、3個ずつ存在する。このため、黒鉛層間化合物1において、P型GIC領域40及びN型GIC領域50は、それぞれ2個以上存在する。P型GIC領域40及びN型GIC領域50は、それぞれ2個以上存在することにより、黒鉛層間化合物1は、P型GIC領域40及びN型GIC領域50がそれぞれ1個ずつ存在する場合よりも、発電量を増加させることができる。このため、黒鉛層間化合物1は、熱電変換素子やフォトダイオード素子等への使用に好適である。
黒鉛層間化合物1において、P型GIC領域40のP型インターカレート層部分24と、N型GIC領域50のN型インターカレート層部分25とは、物理的に接触している。このため、P型GIC領域40とN型GIC領域50との間にキャリアの移動の抵抗となる部分がなく、発電効率が高い。
黒鉛層間化合物1において、P型GIC領域40の表面は、P型GIC領域保護膜45で被覆される。ここで、P型GIC領域保護膜45とは、P型インターカレート層部分24に挿入されたP型インターカレート22を黒鉛層間化合物1の外部の雰囲気に接触させず、P型インターカレート22の漏洩、劣化を防止する保護膜である。P型GIC領域保護膜45としては、公知の材料を用いることができる。
また、P型GIC領域40には、後述の図3及び4に示すように、通常、P型インターカレート層部分24を形成するためのP型インターカレート挿入用孔14が設けられる。P型インターカレート挿入用孔14は、複数枚積層されたグラフェン11からなるグラフェン層10を穿設したものであり、孔の内壁面から積層されたグラフェン11間にP型インターカレート22を挿入するための孔である。図1に示すP型GIC領域保護膜45は、主に、このP型インターカレート挿入用孔14を外部から遮断して、P型インターカレート層部分24に挿入されたP型インターカレート22を保護する。
黒鉛層間化合物1において、N型GIC領域50の表面は、N型GIC領域保護膜55で被覆される。ここで、N型GIC領域保護膜55とは、N型インターカレート層部分25に挿入されたN型インターカレート23を黒鉛層間化合物1の外部の雰囲気に接触させず、N型インターカレート23の漏洩、劣化を防止する保護膜である。N型GIC領域保護膜55としては、公知の材料を用いることができる。
また、N型GIC領域50には、後述の図6〜9に示すように、通常、N型インターカレート層部分25を形成するためのN型インターカレート挿入用孔15が設けられる。N型インターカレート挿入用孔15は、複数枚積層されたグラフェン11からなるグラフェン層10を穿設したものであり、孔の内壁面から積層されたグラフェン11間にN型インターカレート23を挿入するための孔である。図1に示すN型GIC領域保護膜55は、主に、このN型インターカレート挿入用孔15を外部から遮断して、N型インターカレート層部分25に挿入されたN型インターカレート23を保護する。
(製造方法)
黒鉛層間化合物1の製造方法について図面を参照して説明する。はじめに、面内方向に連続した1枚のグラフェン11が複数枚積層されてなるグラファイトシート12を用意する。グラファイトシート12は、黒鉛層間化合物1のグラフェン層10に相当するものである。
次に、図3に示すように、グラファイトシート12に、P型インターカレート挿入用孔14を穿設する。これにより、P型インターカレート挿入用孔14の内壁面に、複数枚積層されたグラフェン11の端面を露出させる。なお、P型インターカレート挿入用孔14はP型GIC領域40を形成する領域に1個以上設けられる。グラファイトシート12には、1個のP型GIC領域40を形成するために、6個のP型インターカレート挿入用孔14が直列に設けられる。グラファイトシート12には、略矩形のP型GIC領域40が3個平行に存在するため、6個のP型インターカレート挿入用孔14からなる列が平行に3列設けられる。
次に、図4に示すように、P型インターカレート挿入用孔14の内壁面を介して、複数枚積層されたグラフェン11間にP型インターカレート22を挿入する。例えば、P型インターカレート22としてCuClを用い、グラファイトシート12を、425℃でKClと共溶融したCuClに10時間浸漬処理して、グラフェン11間にCuClを挿入する。なお、P型インターカレート22を挿入する際には、通常、グラファイトシート12の面内方向の4個の側端面からもP型インターカレート22が挿入される。
グラフェン11間にP型インターカレート22が挿入されると、グラファイトシート12の面内方向の一部に、P型インターカレート22からなるP型インターカレート層部分24が形成される。グラファイトシート12には、6個のP型インターカレート挿入用孔14が直列に設けられるため、直列に設けられた6個のP型インターカレート挿入用孔14を含む略矩形状の領域に、P型インターカレート層部分24が形成される。また、グラファイトシート12の面内方向の4個の側端面の近傍にもP型インターカレート層部分24が形成される。グラファイトシート12の側端面の近傍に形成されるP型インターカレート層部分24は、例えば、側端面から50μm程度になるようにする。
これにより、グラファイトシート12の一部に、P型インターカレート層部分24と、このP型インターカレート層部分24の積層方向に位置するグラフェン層10と、で構成されるP型GIC領域40が形成される。1個のP型GIC領域40は略矩形であり、この略矩形のP型GIC領域40が平行に3個形成される。
次に、図5に示すように、P型インターカレート挿入用孔14が形成されたP型GIC領域40の表面をP型GIC領域保護膜45で被覆する。P型GIC領域保護膜45は、P型インターカレート挿入用孔14及びP型GIC領域40の表面を黒鉛層間化合物1の外部の雰囲気から遮断して、P型インターカレート層部分24に挿入されたP型インターカレート22の漏洩、劣化を防止するものである。P型GIC領域保護膜45は、P型インターカレート挿入用孔14が形成されたP型GIC領域40の図示しない裏側の表面にも設けられる。これにより、P型GIC領域40では、P型インターカレート22の漏洩、劣化が抑制される。
なお、P型GIC領域40の表面のP型GIC領域保護膜45での被覆は、後述のC1、C2及びC3に沿った切断及びスリット状の切欠部60の形成、の後に行うこともできる。
さらに、図6に示すように、グラファイトシート12のうちP型GIC領域40が形成されていない部分に、N型インターカレート挿入用孔15を穿設する。これにより、N型インターカレート挿入用孔15の内壁面に、複数枚積層されたグラフェン11の端面を露出させる。なお、N型インターカレート挿入用孔15はN型GIC領域50を形成する領域に1個以上設けられる。グラファイトシート12には、1個のN型GIC領域50を形成するために、6個のN型インターカレート挿入用孔15が直列に設けられる。黒鉛層間化合物1では、略矩形のN型GIC領域50が3個平行に存在するため、6個のN型インターカレート挿入用孔15からなる列が平行に3列設けられる。
次に、図6に示すC1、C2及びC3に沿って、グラファイトシート12を切断する。この切断により、グラファイトシート12の面内方向の3個の側端面の近傍に形成された余分なP型インターカレート層部分24が除去される。
さらに、図7に示すように、略矩形のP型GIC領域40と、N型インターカレート挿入用孔15が穿設された略矩形の領域との境界部の一部分を切断し、スリット状の切欠部60を設ける。これにより、P型GIC領域40と、後にN型GIC領域50が設けられる部分とが、交互に接続されるようになる。
次に、図8に示すように、末端に位置するP型GIC領域40と、末端に位置する後にN型GIC領域50が設けられる部分とに、引き出し線70を接続する。
さらに、図9に示すように、N型インターカレート挿入用孔15の内壁面を介して、複数枚積層されたグラフェン11間にN型インターカレート23を挿入する。例えば、N型インターカレート23としてLiイオン電解質を用い、グラファイトシート12をLiイオン電解質に接触してグラフェン11間にLiイオン電解質を挿入する。Liイオン電解質としては、例えば、Liイオン液体電解質やLiイオン固体電解質が用いられる。Liイオン液体電解質としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO等のリチウム塩と、エチレンカーボネート等の溶媒と、を含むものが用いられる。また、Liイオン固体電解質としては、例えば、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiLaZr12、LiS−SiS、Li10GeP12等が用いられる。上記Liイオン電解質は、1種で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
グラフェン11間にN型インターカレート23が挿入されると、グラファイトシート12の面内方向の一部、かつP型インターカレート層部分24が形成されていない部分に、N型インターカレート23からなるN型インターカレート層部分25が形成される。グラファイトシート12には、6個のN型インターカレート挿入用孔15が直列に設けられるため、直列に設けられたN型インターカレート挿入用孔15を含む略矩形状の領域に、N型インターカレート層部分25が形成される。
これにより、グラファイトシート12の一部に、N型インターカレート層部分25と、このN型インターカレート層部分25の積層方向に位置するグラフェン層10と、で構成されるN型GIC領域50が形成される。1個のN型GIC領域50は略矩形であり、この略矩形のN型GIC領域50が平行に3個形成される。
図9に示すように、N型GIC領域50は、グラファイトシート12のうち、P型GIC領域40が形成されていない部分全体に形成される。すなわち、P型GIC領域40と、N型GIC領域50とは、物理的に接触している。
次に、図1に示すように、N型インターカレート挿入用孔15が形成されたN型GIC領域50の表面をN型GIC領域保護膜55で被覆する。N型GIC領域保護膜55は、N型インターカレート挿入用孔15及びN型GIC領域50の表面を黒鉛層間化合物1の外部の雰囲気から遮断して、N型インターカレート層部分25に挿入されたN型インターカレート23の漏洩、劣化を防止するものである。N型GIC領域保護膜55は、N型インターカレート挿入用孔15が形成されたN型GIC領域50の図示しない裏側の表面にも設けられる。これにより、N型GIC領域50では、N型インターカレート23の漏洩、劣化が抑制される。これにより、図1に示す黒鉛層間化合物1が得られる。
(作用)
黒鉛層間化合物1は、P型GIC領域40とN型GIC領域50と、が交互に接続されることにより、PN接合が形成されている。黒鉛層間化合物1は、PN接合の特性を有する素子として機能する。例えば、黒鉛層間化合物1を、図1の切欠部60の形成方向に沿って温度勾配が生じるように配置すると、黒鉛層間化合物1はゼーベック効果により熱電発電することができる。このように配置された黒鉛層間化合物1はシート状の熱電変換素子として作用する。
(効果)
黒鉛層間化合物1は、P型GIC領域40とN型GIC領域50とが交互に接続されPN接合を形成するため、PN接合の特性を有する素子として機能する。
また、黒鉛層間化合物1を構成するグラフェン層10は、面内方向に連続した1枚のグラフェン11が複数枚積層されたものになっており、グラフェン11の接続部がない。また、黒鉛層間化合物1は、面内方向に接続部がないグラフェン層10の面内方向に沿ってP型GIC領域40とN型GIC領域50とが交互にされている。このため、黒鉛層間化合物1によれば、グラフェン11の化学的な連続性が維持されつつPN接合が容易に形成される。また、黒鉛層間化合物1によれば、グラフェンの化学的な連続性が維持されるため、グラフェン11に沿ったキャリアの移動の抵抗が小さく、電気伝導性や熱伝導性が良好な黒鉛層間化合物1が得られる。
また、黒鉛層間化合物1では、P型インターカレート層部分24とN型インターカレート層部分25とが同一の黒鉛層間化合物1のシート内に形成され、それぞれ接続しているため、P型GIC領域40とN型GIC領域50とが、物理的に接合及び接触している。このため、黒鉛層間化合物1によれば、P型GIC領域40とN型GIC領域50との間にP型やN型以外の電気的に中性な領域が形成されないことから、発電効率が高くなる。
(実施形態の変形例)
<P型GIC領域とN型GIC領域との物理的接触>
上記黒鉛層間化合物1では、P型GIC領域40とN型GIC領域50とが同一の黒鉛層間化合物1のシート内に形成され、それぞれ接続している例を示した。これに対し、黒鉛層間化合物1の変形例として、P型GIC領域40とN型GIC領域50との間に電気的に中性な領域が存在する形態のものとすることもできる。この変形例では、P型GIC領域40とN型GIC領域50との間にP型やN型以外の電気的に中性な領域が存在するため、発電効率が低下する。一方、この変形例は、P型GIC領域40やN型GIC領域50の形成のためのインターカレートの挿入の制御が容易であり、製造コストを低くすることができる。
<P型GIC領域とN型GIC領域との接続形態>
上記黒鉛層間化合物1では、P型GIC領域40とN型GIC領域50とが3個ずつ直列に接続されている例を示した。これに対し、黒鉛層間化合物1の変形例として、P型GIC領域40及びN型GIC領域50の個数を3個以外にしたり、P型GIC領域40とN型GIC領域50とを並列に接続したりすることができる。例えば、P型GIC領域40とN型GIC領域50とがそれぞれ1個以上交互に直列接続された黒鉛層間化合物とすることができる。黒鉛層間化合物のP型GIC領域40とN型GIC領域50との直列接続数が多いと、黒鉛層間化合物の起電力を大きくしやすい。
また、P型GIC領域40とN型GIC領域50とが直列接続されてなるユニットを複数個形成し、これら複数個のユニットが並列接続された黒鉛層間化合物とすることができる。上記複数個のユニットが並列接続された黒鉛層間化合物は、発生する電流を大きくしやすい。
<P型インターカレート挿入用孔及びN型インターカレート挿入用孔の形状、数>
上記黒鉛層間化合物1では、P型GIC領域40に円形のP型インターカレート挿入用孔14が6個直列に配置され、かつN型GIC領域50に円形のN型インターカレート挿入用孔15が6個直列に配置されている例を示した。これに対し、黒鉛層間化合物1の変形例として、P型インターカレート挿入用孔14及びN型インターカレート挿入用孔15の形状、大きさ、個数、配置等を種々変更することが可能である。例えば、P型インターカレート挿入用孔14やN型インターカレート挿入用孔15の形状をP型GIC領域40やN型GIC領域50の相似形にすると、グラフェン層10へのインターカレートの挿入の制御が容易になりやすい。具体的には、矩形のP型GIC領域40やN型GIC領域50の中央部に、矩形のP型インターカレート挿入用孔14やN型インターカレート挿入用孔15を設けると、グラフェン層10へのインターカレートの挿入範囲の制御が容易になる。
<P型GIC領域保護膜及びN型GIC領域保護膜>
上記黒鉛層間化合物1では、P型GIC領域40の表面の全体にP型GIC領域保護膜45が形成され、N型GIC領域50の表面の全体にN型GIC領域保護膜55が形成されている例を示した。これに対し、P型GIC領域保護膜45及びN型GIC領域保護膜55は、少なくとも、それぞれ、P型インターカレート挿入用孔14及びN型インターカレート挿入用孔15を被覆するように形成されていればよい。このため、黒鉛層間化合物1の変形例として、P型インターカレート挿入用孔14及びN型インターカレート挿入用孔15を被覆するに十分な範囲のみにP型GIC領域保護膜45及びN型GIC領域保護膜55が形成された黒鉛層間化合物とすることができる。
1 黒鉛層間化合物
10 グラフェン層
11 グラフェン
12 グラファイトシート
14 P型インターカレート挿入用孔
15 N型インターカレート挿入用孔
20 インターカレート層
21 インターカレート
22 P型インターカレート
23 N型インターカレート
24 P型インターカレート層部分
25 N型インターカレート層部分
40 P型GIC領域
45 P型GIC領域保護膜
50 N型GIC領域
55 N型GIC領域保護膜
60 切欠部
70 引き出し線

Claims (3)

  1. 面内方向に連続した1枚のグラフェンが複数枚積層されてなるグラフェン層と、
    積層方向に隣接する前記グラフェン間に挿入されたインターカレートからなるインターカレート層と、
    を備えるシート状の黒鉛層間化合物であって、
    前記インターカレート層の一部を構成し前記インターカレート層に挿入される前記インターカレートが前記グラフェン層から電子を受容するP型インターカレートであるP型インターカレート層部分と、このP型インターカレート層部分の積層方向に位置するグラフェン層と、で構成されるP型GIC領域と、
    前記インターカレート層の一部を構成し前記インターカレート層に挿入される前記インターカレートが前記グラフェン層に電子を供給するN型インターカレートであるN型インターカレート層部分と、このN型インターカレート層部分の積層方向に位置するグラフェン層と、で構成されるN型GIC領域と、
    を含むことを特徴とする黒鉛層間化合物。
  2. 前記P型GIC領域及び前記N型GIC領域は、それぞれ2個以上存在することを特徴とする請求項1に記載の黒鉛層間化合物。
  3. 前記P型GIC領域と前記N型GIC領域とは、物理的に接触していることを特徴とする請求項1又は2に記載の黒鉛層間化合物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113260241A (zh) * 2021-04-13 2021-08-13 浙江大学 一种耐高温高导电石墨烯材料及其制备方法

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