JP2018085997A - フィチン酸によるフィターゼの安定性の改良、並びにフィターゼ及びフィチン酸を含む組成物 - Google Patents

フィチン酸によるフィターゼの安定性の改良、並びにフィターゼ及びフィチン酸を含む組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】組成物中でフィターゼの安定性を向上させる方法の提供。【解決手段】フィターゼの安定性を向上させる方法であって、少なくとも10ミリモルのフィチン酸を前記組成物に導入する工程を含み、前記フィターゼ及び前記フィチン酸は機能上近接していて、安定化させたフィターゼと少なくとも1種の食品又は動物用飼料原料とを混合する工程と、得られた混合物を蒸気処理によりペレット化する工程を含む。前記フィターゼ活性が、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化させていない対照フィターゼのフィターゼ活性と比較して少なくとも15%高い。【選択図】図3

Description

(優先権)
本出願は、米国仮出願特許第61/595,923号(2012年2月7日出願)に対する優先権を請求するものであり、該特許文献は参照により本明細書に組み込まれる。
(発明の分野)
本教示は、フィチン酸によりフィターゼを安定化する方法に関する。本教示は、フィターゼ及びフィチン酸を含む組成物、顆粒剤、ペレット、及び酵素溶液にも関する。更に、本教示は、フィターゼ及びフィチン酸を含む組成物、フィターゼの熱安定性を含む安定性の改良方法、フィターゼ活性の回収性の改良方法、並びに加熱処理食品又は動物用飼料ペレットの製造方法にも関する。本教示は、本教示の組成物、顆粒剤、ペレット、ペレット改良組成物、及び酵素溶液を使用する、加熱処理食品又は動物用飼料ペレットの製造方法にも関する。
酵素などの活性剤は、食品及び動物用飼料に一般的に使用されている。酵素は、食品又は動物用飼料の消化性を改良し、食品及び動物用飼料中の抗栄養因子を減少させ、動物の生産性を改良することが知られている。
乾燥混合飼料と比較して、飼料ペレットは、飼料品質が改良される、病原体が低減する、製造時の粉塵量が少ない、取り扱い性が良好である、並びにより原料が均一に投与されるなどの産業上望ましい特性を有する。
酵素は、食品及び飼料の製造加工(ペレット化など)中に、例えば、加熱処理、高圧、剪断応力、及び化学処理(pH、界面活性剤、及び溶媒など)などにより不活性化され得る。不活性化は、加工後に、例えば、蒸気処理及びペレット化後の冷却により酵素が再活性化される場合には、少なくとも部分的に可逆的なものであり、加工後に、例えば、蒸気処理及びペレット化後の冷却により触媒活性が回収しない場合には不可逆的なものである。酵素の不可逆的不活性化及び活性低下は、一般的に、ペレット化などの加工において望ましくない。
好ましい産業的なペレット加工法は、調湿として知られる工程において蒸気注入を利用するものであり、この調湿時に湿分添加及び温度上昇が行われた後、蒸気により加熱した飼料原料又は調湿したマッシュにダイを通過させて、ペレット加工を行う。ペレットの加工温度は約70℃〜95℃、又は更に高温であり得る。
ペレット加工には蒸気、温度、圧縮力、及び化学物質が使用されることから、酵素の活性又は効力は、多くの場合、加工中及び続く貯蔵中に著しく低下する。この問題は、多くの場合において、飼料用酵素は安定化させた液体生成物として製造現場に提供されており、ペレット化工程後に、この液体生成物を飼料ペレットに噴霧することにより酵素の不活性化が回避されているという事実からも示される。ペレット化後に、例えば、ペレット上に酵素を噴霧することにより酵素を適用する場合、均質に添加することは難しく、並びにペレット化後の酵素添加に使用される装置の価格は高額である。あるいは、ペレット化工程前に、液体酵素製剤、又は乾燥混合酵素製剤をミキサーに加えることもできる。ある例では、ペレット化中の損失分を補填する目的で、必要とされるよりも多量の酵素が加えられる場合もある。
食品及び飼料産業では、蒸気処理によりペレット加工した製剤に、酵素活性を相当量損失させることなく成分として送達するために、安定的で、耐久性のある酵素顆粒剤が必要とされている。
製造工程において酵素を不可逆的に不活性化する、又は酵素活性を低下させる問題を回避するための試みとしては、新しい酵素資源を特定すること(例えば、超好熱菌微生物において既知の酵素を特定すること)、又は既知の酵素を安定化させるための手法を特定すること、が挙げられる。
Klibanov(熱不活性化に対する酵素安定化(Stabilization of Enzymes against Thermal Inactivation)、Advances in Applied Microbiology、1983年、第29巻、第1〜28頁)では、酵素を安定化させるための3つの基本的な手法、すなわち:(1)固定化、(2)化学修飾及び(3)添加剤の包含が開示されている。しかしながら、Klibanov(1983年)は更に、これらの手法のうちのいずれかのものでは、安定化又は不安定化がもたらされ、又は全く効果を有さないことを開示している。
Pace及びGrath(J Biol Chem 255:3862,1980年)は、基質、補酵素、又は特異的に結合する任意の小分子は、未変性状態の酵素に特異的に結合して、折り畳み構造を解く平衡状態へとシフトし、折り畳まれていない状態の酵素濃度を減少させることから、基質、補酵素、又は特異的に結合する任意の小分子の存在下では酵素の安定性が増加すると記載している。
欧州特許第0969089号は、アミノ酸置換によりフィターゼの安定性に生じ得る作用を開示しており、一部の置換は安定化作用を有し、その他のものは不安定化作用を有し、並びに一部のアミノ酸置換は全く作用を有さないことが開示されている。
フィチン酸(又は塩形態のフィチン酸塩)は、植物組織において、特にふすま、種子類、及び穀類において発見されている。豚、家禽、魚、及び人間などの単胃動物では、これらの動物の腸内において消化酵素フィターゼが欠損しているか、あるいは低濃度であることから、フィチン酸リンの消化性が乏しい。
欧州特許第0619369号及び米国特許第5554399号は、フィターゼ及び酸性ホスファターゼを含む酵素組成物、並びに食品、ペレット化飼料及び飼い葉における酵素組成物の使用を開示している。
国際公開第2004071218号は、食品中ミネラル量を増加させることを開示している。国際公開第2004071218号は、活性フィターゼ、フィチン酸塩、及び必須カチオンを含む剤を開示している。国際公開第2004071218号は、人による消費を目的とした任意の食品又は飲料品に、あるいはカレー粉などの香辛料に添加することのできる剤を開示している。
欧州特許第0420428号は、フィチン酸、フィチン酸塩、又はフィチン酸若しくはフィチン酸塩の異性体若しくは加水分解産物(イノシトールなど)の混合物と、脱リン酸酵素とを組み合わせて使用することによる、リウマチ様関節炎の治療法を開示している。
フィチン酸又はフィチン酸塩は、投与用の固体基材に吸着させることもできる。経口投与に際し、組成物は、フィターゼなどの脱リン酸酵素を更に含む。
米国特許第4952396号は、フィチン酸、フィチン酸塩、フィチン酸若しくはフィチン酸塩の異性体若しくは加水分解産物(イノシトールなど)、あるいはこれらの任意の組み合わせの混合物からなる群から選択される化合物を投与することにより、腫瘍の増殖を阻害する方法を開示する。フィチン酸又はフィチン酸塩は、投与用の固体基材に吸着させることもできる。経口投与に際し、組成物は、フィターゼなどの脱リン酸酵素を更に含む。
米国特許第5112814号は、フィチン酸、フィチン酸塩、フィチン酸若しくはフィチン酸塩の異性体若しくは加水分解産物(イノシトールなど)、あるいはこれらの任意の組み合わせの混合物からなる群から選択される化合物を投与することにより、パーキンソン病を治療する方法を開示する。フィチン酸又はフィチン酸塩は、投与用の固体基材に吸着させることもできる。経口投与に際し、組成物は、リン酸基を加水分解するフィターゼなどの酵素と同時投与することができる。
米国特許第4758430号は、フィチン酸、フィチン酸塩、フィチン酸(イノシトールなど)又はフィチン酸塩の異性体若しくは加水分解産物、あるいはこれらの任意の組み合わせの混合物からなる群から選択される化合物を投与することにより、アルツハイマー病を治療する方法を開示する。フィチン酸又はフィチン酸塩は、投与用の固体基材に吸着させることもできる。経口投与に際し、組成物は、フィターゼなどの脱リン酸酵素を更に含む。
欧州特許第0969089号は、フィターゼ、並びにC糖、600〜4000Daの分子量を有するポリエチレングリコール、マロン酸、グルタル酸、及びコハク酸の二ナトリウム塩、カルボキシメチルセルロース、及びアルギン酸塩からなる群から選択される1つ以上の安定化剤を含む、酵素製剤の安定化を開示している。代替法としては、欧州特許第0969089号は、グルタルアルデヒドを用いる架橋により、又は過ヨウ素酸ナトリウムを用いる酸化及びアジピン酸ジヒドラジドとの反応により安定化することのできるフィターゼを開示する。
国際公開第9316175号は、尿素、並びに/又はソルビトール及びグリセロールなどのポリオールの添加により安定化させ、ペレット飼料に添加した液体フィターゼ製剤を開示する。国際公開第9316175号の安定化させた液体製剤は、熱による酵素不活性化に対する耐性が高く、並びに長期間保存された場合にもフィターゼ活性を良好に保持し得る。
Singh及びSatyanarayana(Bioresource Technology,2009;100:2046〜2051)は、好熱性のカビであるスポロトリクム・サーモフィレ(Sporotrichum thermophile)由来のヒスチジン酸性ホスファターゼ(HAP)フィターゼの精製及び特性評価を開示している。Singh及びSatyanarayana(2009年)は、60℃及び80℃下で、pH 3.0、5.0、及び7.0の緩衝液にて酵素をインキュベートすることにより、フィターゼの熱安定性を測定している。Singh及びSatyanarayana(2009)は、80℃下で、グリセロール、トレハロース、ソルビトール及びフィチン酸が、酵素活性に対し安定剤として作用することを突き止めている。
本教示は、これらの課題の一部を克服すべく努めるものである。例えば、本教示は、食品及び動物用飼料の製造加工によりフィターゼに生じる作用に関連付けられ得る問題に対処し得る。
参照のしやすさのため、我々は、以降の1つ以上の見出しのもと、本教示の要素について記載している。各見出し下の教示は、他の見出し下の教示にも適用されることには留意されたい。例えば、本教示の使用を対象とし記載される各実施形態及び態様は、本教示の方法又は本教示の組成物を対象とする実施形態又は態様と等価である。同様に、本教示の方法又は使用を対象とし記載される各実施形態及び態様は、本教示の組成物を対象とする実施形態又は態様と等価である。
一部の実施形態では、本教示は、組成物中でフィターゼの安定性を向上させる方法、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸を前記組成物に導入することを含む方法、を提供し、フィターゼ及びフィチン酸は、機能上近接している。
一部の実施形態では、本教示は、フィチン酸及びフィターゼを含む顆粒剤組成物を提供し、フィターゼ及びフィチン酸は機能上近接している。
一部の実施形態では、本教示は、前記フィターゼを少なくとも1種の食品又は動物用飼料原料と混合し、得られた混合物を蒸気処理によりペレット化した後の、固体状のフィターゼの活性回収率を向上させる方法であって、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸をフィターゼに提供する工程と、前記フィターゼを少なくとも1種の食品又は動物用飼料原料と混合する工程と、得られた混合物を蒸気処理によりペレット化する工程と、を含み、フィターゼの活性回収率が、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化させていない対照フィターゼと比較して少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも23%、少なくとも25%、少なくとも27%、又は少なくとも30%高い、方法を提供する。
一部の実施形態では、本教示は、顆粒を含むペレット組成物を提供し、顆粒は、機能上近接しているフィチン酸及びフィターゼを含み、フィチン酸の濃度は少なくとも10ミリモル濃度である。
一部の実施形態では、本教示は、請求項17〜30及び32〜36のいずれか一項に記載の組成物を、少なくとも1種の食品又は動物用飼料原料と混合する工程、並びに得られた混合物を蒸気を用いペレット化する工程を含む、加熱処理食品又は動物用飼料ペレットの製造方法を提供する。
一部の実施形態では、本教示は、試料成分を、コア及びコーティングを含む顆粒と混合する工程、前記組成物を蒸気処理する工程、並びに前記組成物をペレット化する工程を含む、飼料組成物の製造方法を提供し、コアは、機能上近接しているフィターゼ及びフィチン酸を含む。
本教示は、以降の図を参照として記載される:
90℃又は95℃下でのペレット加工後に得られるフィターゼ活性回収率を、ペレット加工前のマッシュのフィターゼ活性と比較して示す。 15ミリモル濃度フィチン酸と組み合わせた場合、及び組み合わせなかった場合の、0.5mg/mLフィターゼのDSC Tmの、示差走査熱量測定プロットを示す。 15ミリモル濃度イノシトールと組み合わせた場合、及び組み合わせなかった場合の、0.5mg/mLフィターゼのDSC Tmの、示差走査熱量測定プロットを示す。 DSC Tm対フィチン酸濃度のプロットを示す。(0.5mg/mLフィターゼ)。 BP17 EDTと、DSMから市販のフィターゼであるRonozyme P−(CT)とを比較して、DSC Tm対フィチン酸濃度のプロットを示す。
配列
配列番号1は、ブチアウキセラ(Buttiauxella sp.)のフィターゼ変異体BP17のものであり、この変異体は、野生型(配列番号4)と比較して12箇所にアミノ酸置換を含み、シグナル配列(配列番号12)は欠損している。
配列番号2は、ブチアウキセラ(Buttiauxella sp.)のフィターゼ変異体BP11のものであり、この変異体は、野生型(配列番号4)と比較して11箇所にアミノ酸置換を含み、シグナル配列(配列番号12)は欠損している。
配列番号3は、ブチアウキセラ(Buttiauxella sp.)のフィターゼ変異体BP111のものであり、この変異体は、野生型(配列番号4)と比較して21箇所にアミノ酸置換を含み、シグナル配列(配列番号12)は欠損している。
配列番号4は、受託番号NCIMB 41248下で寄託されているブチアウキセラ(Buttiauxella sp.)のP 1〜29株によりコードされている野生型フィターゼのものであり、シグナル配列(配列番号12)を欠損している。
配列番号5は、追加のアミノ酸置換E121Tを有するBP17である。
配列番号6は、追加のアミノ酸置換P394Nを有するBP17である。
配列番号7は、追加のアミノ酸置換D386Nを有するBP17である。
配列番号8は、追加のアミノ酸置換K202N及びN204Tを有するBP17である。
配列番号9は、追加のアミノ酸置換Q151N及びP153Sを有するBP17である。
配列番号10は、追加のアミノ酸置換P373Tを有するBP17である。
配列番号11は、追加のアミノ酸置換Q76Nを有するBP17である。
配列番号12は、野生型シグナル配列である(配列番号4)。
本教示の実施においては、特に断りのない限り、当業者の技能の範囲内に含まれる従来の分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、並びに動物用飼料のペレット化の技術を用いる。このような技術は、例えば、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)第2版」(Sambrook et al.,1989年);「オリゴヌクレオチド合成法(Oligonucleotide Synthesis)」(M.J.Gait,ed.,1984年);「分子生物学標準プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」(F.M.Ausubel et al.,eds.,1994年);「PCR:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR: The Polymerase Chain Reaction)」(Mullis et al.,eds.,1994年);「遺伝子導入及び発現:実験室マニュアル(Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual)」(Kriegler,1990年)、並びにFairfield,D.1994年、第10章、Pelleting Cost Center、「飼料製造法(In Feed Manufacturing Technology)IV.」(McEllhiney,editor),American Feed Industry Association,Arlington,Va.,pp.110〜139などの文献において詳しく説明されている。
本明細書において別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は、本教示の属する当業者により一般に理解される意味と同様の意味を持つ。本発明に使用される多くの用語についての一般的な辞書として、Singleton et al.、微生物学及び分子生物学辞典(Dictionary of Microbiology and Molecular Biology)第2版、John Wiley and Sons,New York(1994)、並びにHale & Markham,ハーパー・コリンズ生物学辞典(The Harper Collins Dictionary of Biology),Harper Perennial,NY(1991)を提供する。本明細書に記載のものと同様の、又は本明細書に記載のものと等価な任意の方法及び材料を、本開示を実施又は試験するために使用できる。
本明細書に提供する数値範囲は、範囲を定義する数字を含む。
別途記載のない限り、核酸は左から右に向かって5’から3’配向になるよう、アミノ酸配列は、左から右に向かってアミノ基からカルボキシ基という配向になるようにそれぞれ記載される。
用語の定義
本明細書で使用するとき、用語「フィチン酸」は、イノシトール六リン酸(IP6)を指すが、一般的に、IP6は純粋な形態では存在しておらず、この用語は、IP6の分解産物である、イノシトール五リン酸(IP5)、イノシトール四リン酸(IP4)、イノシトール三リン酸(IP3)、イノシトール二リン酸(IP2)、及びイノシトール一リン酸(IP1)、これらの塩類、並びにこれらの混合物などを含むイノシトールリン酸も包含する。用語「フィチン酸」は、イノシトールを指すものではなく、完全に加水分解された生成物であるフィチン酸(IP0)を指す。したがって、用語「フィチン酸」は、分解産物、加水分解産物、塩類及び類似体(例えば、エステル類及び塩類)を包含する。本明細書で使用するとき、用語IP6、IP5、IP4、IP3、IP2、IP1、及びこれらの塩類は、特定のイノシトールリン酸の任意の異性体を指す。
塩形態のIP6、IP5、IP4、IP3、IP2、及びIP1は典型的には「フィチン酸塩」として呼ばれるものの、本明細書で使用するとき、用語「フィチン酸」はこのようなフィチン酸塩も包含する。フィチン酸塩の対イオンは典型的にはナトリウム(フィチン酸ナトリウム)である。しかしながら、対イオンは、例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、又は亜鉛であってもよい。
したがって、本明細書で使用するとき、用語「フィチン酸」は、フィチン酸の酸形態及び塩形態を指して包含する。特定の実施形態では、フィチン酸は、酸形態又は酸形態の組み合わせである。特定の実施形態では、フィチン酸は、塩形態又は塩形態の組み合わせである。特定の実施形態では、フィチン酸は酸形態の組み合わせ(又は酸形態の組み合わせ)及び塩形態(又は塩形態の組み合わせ)である。
本明細書で使用するとき、用語「ミリモル濃度」は液体及び固体の両方に関し使用される。
本明細書で使用するとき、溶液(液体)に関し、用語「ミリモル濃度」は、科学文献に定義される通りに使用される−すなわち、溶液のモル濃度は、成分(本明細書ではフィチン酸)のモル量を溶媒の質量(kg)(本明細書では、溶液中のフィチン酸以外のあらゆる成分)により除したものとして定義される。したがって、1,000ミリモル濃度は1モル当量と等価である。
存在する文脈において、固体に関し、用語「ミリモル濃度」は、フィチン酸の量(ミリモル)を、固体媒質(例えば、顆粒の酵素層)の質量により分割したものとして定義され、媒質は、非フィチン酸固形分(フィターゼ及びフィチン酸を含む顆粒の酵素層中に存在するものなど)として定義される。
「飼料」及び「食品」は、それぞれ人間以外の動物及び人間による、食事、摂取、消化を意図される、又は食事、摂取、消化に好適であるそれぞれ任意の天然又は人工の食物、粉末状の食物若しくは同様物又はこのような粉末状の食物の成分を意味する。
本明細書で使用するとき、用語「食品」は、広範な意味で使用され、人間用の食品及び生産物、並びに非人間動物用の食品(すなわち、飼料)を網羅する。
用語「飼料」は、家畜の育成時に動物に給餌される製品を参照する際に使用される。用語「飼料」及び「動物用飼料」は互換的に使用される。好ましい実施形態では、食品又は飼料は、非反芻動物及び反芻動物による消費のためのものである。反芻動物の例としては、牛、羊、山羊及び馬が挙げられる。非反芻動物の例としては、豚、家禽(鶏及び七面鳥など)、魚(鮭など)、犬、猫及び人間などの単胃動物が挙げられる。
食品又は飼料は、使用及び/又は適用態様及び/又は投与態様に応じ、液体又は固体形態であり得る。一部の実施形態では、本明細書において言及される酵素は、食品又は飼料として、あるいは食品又は飼料の調製又は製造時に使用することができる。
本明細書で使用するとき、用語「食品又は飼料成分」は、食品若しくは食料品である又は食品若しくは食料品に添加することのできる製剤を包含し、かつ広範な製品に低濃度で使用することができる製剤を包含する。食品成分は、使用及び/又は適用態様及び/又は投与態様に応じ、液体又は固体形態であり得る。本明細書に記載の酵素は、食品又は飼料成分として使用することができ、すなわち調製又は製造時に使用することもできる。酵素は食品添加物であってよく、又は食品添加物に添加することもできる。
単胃動物用の飼料組成物は、典型的には、フィチン酸塩を含有する植物生成物を含む組成物を含有する。このような組成物としては、コーンミール、大豆ミール、菜種ミール、綿実ミール、トウモロコシ、小麦、大麦、及びサトウモロコシ系飼料が挙げられる。本明細書に記載の酵素は、食品又は飼料、及び食品又は飼料組成物であってよく、あるいは食品又は飼料、及び食品又は飼料組成物に加えることもできる。
本教示は、食品又は飼料原料又はサプリメントの製造方法も提供し、方法は、本発明のプロセスにより製造された酵素、又は記載の改変酵素、又は本発明の記載に従う酵素を含む組成物をその他の食品原料と混合又は添加することを含む。飼料又は食品原料の製造方法も本開示の別の実施形態である。このような方法はペレット化を包含し得る。食品又は飼料原料の製造方法に関しては、記載の酵素は、固体形態、プレミックスなどの製剤形態、又は液体形態で添加することができる。
本明細書で使用するとき、用語「アミノ酸配列」は、用語「ポリペプチド」、「タンパク質」、及び「ペプチド」に関して同義のものであり、互換的に使用される。このようなアミノ酸配列は「酵素」として参照することのできる活性を示す。アミノ酸残基には一般的な1文字又は3文字表記を使用し、アミノ酸配列は、標準的な、アミノ末端からカルボキシ末端へと向かう配向(すなわち、N→C)で表される。
用語「核酸」は、DNA、RNA、ヘテロ2本鎖、並びにポリペプチドをコードすることが可能な合成分子を包含する。核酸は1本鎖又は2本鎖であってよく、化学修飾されてもよい。「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、互換可能に用いられる。遺伝子コードは縮重するため、特定のアミノ酸をコードするのに複数のコドンが用いられ場合があり、本発明の組成物及び方法には、特定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列が含まれる。特に断らないかぎり、核酸配列は5’から3’末端に向けて示される。
「相同体」により、対象とするアミノ酸配列及び対象とするヌクレオチド配列と特定の度合いで同一性を有する配列を意味し得る。相同配列は、一般的な配列アラインメントツールであるClustal Vをデフォルトパラメータで使用し、対象とする配列に対し少なくとも75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は更には99%同一であるアミノ酸配列を包含するものと解釈される。典型的には、相同体は、対象とするアミノ酸配列として、同一の活性部位残基を含有するものの、保存的なアミノ酸置換を任意の数で含有し得る。保存的なアミノ酸置換例を以降の表「保存的なアミノ酸置換」に掲載する。
Figure 2018085997
本明細書で使用するとき、用語「フィターゼ」は、フィチン酸塩/フィチン酸などのリン酸エステルの加水分解を触媒して無機リン酸を放出させることのできる、タンパク質又はポリペプチドを意味する。代表的なフィターゼは、本教示を通して議論されかつ参照され、大腸菌(E. Coli)フィターゼ(米国特許第6,110,719号)、並びに子嚢菌(Ascomycetes)、アワモリコウジカビ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、サーモマイセス(Thermomyces)、ヒュミコラ(Humicola)、担子菌(Basidiomycetes)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、及びシュワンニオマイセス・オクシデンタリス(Schwannniomyces occidentalis)などの多様な資源から得ることのできるものが包含される。一部のフィターゼは、フィチン酸塩の他に、中程度にリン酸化されているイノシトールリン酸の少なくとも一部を加水分解することもできる。一実施形態では、本教示に置いて製造又は改質される活性型酵素は6−フィターゼである。6−フィターゼは、「4−フィターゼ」又は「フィチン酸6リン酸塩(phytate 6-phosphatase)」とも呼ばれる。その他のフィターゼとしては、原核生物(例えば、大腸菌(Escherichia coli)appAフィターゼ)並びに真核生物(アスペルギルス(Aspergillus sp.)由来のphyA及びB、酵母及び植物由来のHAPフィターゼ)間で見られるフィターゼを含むヒスチジン酸フィターゼ(HAP)群が挙げられる。HAPフィターゼは、DNA配列のN端末には、一般的な活性部位モチーフであるRHGXRXPを共有し、C末端にはHDモチーフを共有する。
本フィターゼは、「前駆体」、「未熟」、又は「完全長」であってもよく、このような場合、フィターゼはシグナル配列を含有し、あるいは「成熟型」である場合にはシグナル配列を欠損している。一般的には、成熟形態のポリペプチドが最も有用である。別途記載のない限り、本明細書で使用されるアミノ酸残基付番は、各フィターゼポリペプチドの成熟形態を指す。本アミラーゼポリペプチドは、得られるポリペプチドがフィターゼ活性を保持している限りは、切断してN又はC末端を除去してもよい。
ポリペプチドに関し、「野生型」、「親の」、又は「参照」なる用語は、1以上のアミノ酸位置において人工的な置換、挿入、又は欠失を有さない、天然型ポリペプチドのことを指す。同様に、ポリヌクレオチドに関し、「野生型」、「親の」、又は「参照」なる用語は、人工的なヌクレオシドの変化を有さない、天然型ポリヌクレオチドのことを指す。
しかしながら、野生型、親の又は参照ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは天然型ポリヌクレオチドに限定されるわけではなく、野生型、親の又は参照ポリペプチドをコードするあらゆるポリヌクレオチドが含まれる。
ポリペプチドに関し、用語「変異体」は、特定の野生型、親、又は参照ポリペプチドとは異なるポリペプチドを指し、このポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸位置に人為的な置換、挿入、又は欠失を含有する。同様にして、ポリヌクレオチドに関し、用語「変異体」は、特定の野生型、親、又は参照ポリヌクレオチド由来のヌクレオチド配列とは異なるポリヌクレオチドを指す。野生型、親、又は参照ポリペプチド又はポリヌクレオチドの識別は、文脈をもとに明白になされる。
「ベクター」は、核酸を1つ以上の細胞型に導入するよう設計されたポリヌクレオチド配列を指す。ベクターとしては、クローニングベクター、発現ベクター、シャトルベクター、プラスミド、ファージ粒子、カセット、及び同様のものなどが挙げられる。
「発現ベクター」は、対象とするポリペプチドをコードしているDNA配列を含むDNAコンストラクトを指し、発現ベクターのコード配列は、適切な宿主においてDNAの発現に作用し得る、適切な調節配列に調節可能なように連結される。このような制御配列には、転写に作用するプロモーター、転写を調節するための任意選択的なオペレータ配列、mRNA上の適切なリボソーム結合部位をコードしている配列、エンハンサー、並びに転写及び翻訳の終結を調節する配列が包含され得る。
本明細書で使用するとき、用語「発現」は、核酸配列に基づいてポリペプチドが産生される過程を指す。プロセスには転写及び翻訳の両方を包含する。
「プロモーター」は、RNAポリメラーゼの結合に関与して遺伝子の転写を開始する制御配列を指す。プロモーターは、誘導型プロモーター又は常時発現型プロモーターであってよい。使用することのできる誘導型プロモーターの非限定例には、誘導型プロモーターのトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)cbh1がある。
用語「調節可能に連結された」は、特定の要素が、意図した様式で特定の要素を機能させるような関係(限定するものではないが、並立など)にあることを意味する。例えば、コード配列の発現が制御配列の調節下にある場合、制御配列は、調節可能なようにコード配列に連結される。
「宿主株」又は「宿主細胞」は、発現ベクター、ファージ、ウィルス、あるいは対象とするポリペプチド(例えば、フィターゼ)をコードしているポリヌクレオチドなどその他のDNAコンストラクトを導入された生物である。宿主株の例にはトリコデルマ(Trichoderma sp.)がある。用語「宿主細胞」は、細胞から生成されたプロトプラストを包含する。
目的とする細胞、核酸、タンパク質又はベクターに関し使用する場合、用語「組換え型」は、目的とする細胞、核酸、タンパク質又はベクターが異種核酸若しくはタンパク質の導入、又は天然の核酸若しくはタンパク質の変異により改変されていること、あるいは、細胞がそのように修飾された細胞から誘導されたこと、を意味する。したがって、例えば、組換え細胞は、細胞から天然では見られない(組み換え型)形態の遺伝子を発現し、あるいは天然で見られるのとは異なる程度に又は異なる条件下で天然の遺伝子を発現する。
「シグナル配列」(「前駆配列」、「シグナルペプチド」、「リーダー配列」、又は「リーダーペプチド」)は、タンパク質のN末端部分に結合しており、細胞から成熟型のタンパク質(例えば、配列番号12)が分泌されるのを促進するアミノ酸配列を指す。シグナル配列は、分泌経路に関係し、小胞体膜に移動した後に新しいポリペプチドから切断されるポリペプチドを標的とする。成熟型の細胞外タンパク質(例えば、配列番号1)には、分泌プロセス時に除去されるシグナル配列は含まない。
「選択マーカー(selective marker又はselectable marker)」は、宿主にて発現させることができ、遺伝子を保有している宿主細部の選別を容易にする、遺伝子を指す。選択マーカーの例としては、限定するものではないが、抗菌剤(例えば、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、又はクロラムフェニコール)、及び/又は代謝優位性を付与する遺伝子、例えば宿主細胞に対する栄養上の優位性を付与する遺伝子が挙げられる。用語「に由来する」は、用語「由来する(originated from)」、「得られる(obtained from)」、「得ることができる(obtainable from)」、「単離される(isolated from」、及び「作製される(created from)」を包含する。
「糸状菌」は、真菌類(Eumycotina)及び卵菌(Oomycota)の亜門に関係するすべての糸状菌の形態のものを指す(Alexopoulos,C.J.(1962),Introductory Mycology,Wiley,New Yorkを参照されたい)。これらの真菌は、キチン、セルロース、及びその他の複合多糖からなる細胞壁を有する栄養菌糸を示すことを特徴とする。本教示の糸状菌は、形態学的に、生理学的に、及び遺伝学的に、酵母とは区別される。糸状菌による栄養増殖は菌糸の伸長によるものであり、炭素の異化は絶対好気性である。本教示では、糸状真菌の親細胞は、例えば、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)(これまでにトリコデルマ・ロンギブラキアタム(T. Iongibrachiatum)として分類され、現在ではヒポクレア・ジェコリナ(Hypocrea jecorina)としても知られる)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、トリコデルマ・コニンギ(Trichoderma koningii)、又はトリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)などのトリコデルマ(Trichoderma)種の細胞であり得る。その他の糸状菌としては、アスペルギルス(Aspergillus)、フザリウム(Fusarium)、クリソスポリウム(Chrysosporium)、ペニシリウム(Penicillium)、ヒュミコラ(Humicola)、ニューロスポラ(Neurospora)、マイセリオフソラ(Myceliophthora)、あるいはエメリセラ(Emericella)、ヒポクレア(Hypocrea)などのこれらの有性型が挙げられる。
用語「培養すること」は、液体又は固体培地で、増殖させるのに好適な条件下で、微生物の細胞集団を増殖させることを指す。
ポリヌクレオチド又はタンパク質に関して用いられる「異種」なる用語は、宿主細胞中に天然に存在しないポリヌクレオチド又はタンパク質のことを言う。
ポリヌクレオチド又はタンパク質に関して用いられる「内在性」なる用語は、宿主細胞中に天然に存在するポリヌクレオチド又はタンパク質のことを言う。
本明細書で使用するとき、細胞に関し使用される用語「形質転換」、「安定的に形質転換」及び「遺伝子組み換え」は、細胞が、ゲノムに組み込まれた又は複数世代を通して維持されるエピソームとして保有される非天然(例えば、異種)の核酸配列を含有することを意味する。
核酸配列を細胞に挿入する文脈において、用語「導入された」は、当該技術分野において知られるとおり、「形質移入」、「形質転換」又は「形質導入」を意味する。
用語「単離された」及び「分離された」は、化合物、タンパク質(ポリペプチド)、細胞、核酸、アミノ酸、又はその他の特定の物質若しくは化合物が、それらが天然に見られる環境において天然に関連付けられる少なくとも1つの他の物質又は成分から取り出されていることを指す。
本明細書で使用するとき、用語「精製された」は、物質(例えば、単離されたポリペプチド又はポリヌクレオチド)が、比較的純粋な状態であること、例えば、少なくとも約90%純粋、少なくとも約95%純粋、少なくとも約98%純粋、又は更には少なくとも約99%純粋であることを指す。
本明細書で使用するとき、用語「改質」及び「変更」は、互換的に使用され、変化させること又は異なっていることを意味する。ポリペプチドの改質又は調整に関する文脈において、これらの用語は、アミノ酸配列を、直接的に、又はコードしている核酸を変更することによる、あるいは酵素のグリコシル化などを用いポリペプチドの構造を変更することによる変更を意味し得る。
本明細書で使用するとき、用語「グリコシル化」は、分子、例えば、タンパク質へのグリカンの付加を指す。グリコシル化は酵素反応であり得る。この付加は共有結合によりなされ得る。語句「高度にグリコシル化された」は、例えば、N結合型グリコシル化部位などの、利用可能なグリコシル化部位のすべて、又はほとんどすべてがグリコシル化されている酵素などの分子を指す。
本明細書で使用するとき、用語「グリカン」は、多糖類又はオリゴ糖、あるいは糖タンパク質などの複合多糖類の糖領域を指す。グリカンは単糖類残基のホモ又はヘテロポリマーであり得る。これらは直線状又は分岐状分子であってよい。
本明細書で使用するとき、用語「固体支持体」は、フィターゼ及びフィチン酸が噴霧される不活性な固体物質を指す。任意選択的なその他の物質−酵素、水溶性剤、分散剤、及び顆粒剤に好適なその他の成分−なども固体支持体に噴霧することができる。固体支持体の例としては、限定するものではないが、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、粒状スクロース、デンプン−スクロースノンパレイル(ASNP)、及びマルトデキストリンが挙げられる。
本明細書で使用するとき、用語「顆粒」は、コーティング層を有し得る、又はコーティング層を有し得ないコアを指す。
本明細書で使用するとき、用語「多層化顆粒剤」は、コア及び少なくとも1つのコーティング層を含む組成物を指す。
本明細書で使用するとき、用語「コア」は、用語「種」と互換可能である。
本明細書で使用するとき、用語「コーティング層」及び「層」は互換可能である。コーティング層は、一般的に、実質的に連続的な層を形成して、コア表面の有する未コーティング領域を少なく抑える目的で又は全く有さないようにする目的で、コアを被包する。顆粒及び/又は多層化顆粒において使用される物質(例えば、本明細書において詳述される剤、化合物、及び酵素)は、食品及び/又は動物用飼料への使用に好適なものである。物質は食品グレード又は飼料グレードであってよい。
本明細書で使用するとき、用語「外側コーティング層」は、多層化顆粒のコーティング層のうち、コアから最も離れている層(すなわち最後に適用されたコーティング層)を指す。
本明細書で使用するとき、用語「機能上近接している」は、フィチン酸及びフィターゼの近接が、フィチン酸によりフィターゼを安定化させることができるようなものであることを意味する。例えば、フィチン酸及びフィターゼは、いずれも顆粒の同じ層中に存在し、例えば、フィチン酸及びフィターゼは、いずれもコア中に存在し、及び/又はフィチン酸及びフィターゼはいずれも同一のコーティング層中に存在する。別の例では、フィチン酸及びフィターゼは、顆粒の隣接するコーティング層中に存在する。更なる例では、フィターゼはコア中に存在し、フィチン酸は隣接するコーティング層中に存在する。
本明細書で使用するとき、用語「酵素コーティング層」は、少なくとも1種の酵素を含む酵素層を指す。一部の実施例では、酵素層は少なくとも2種の酵素を含む。一部の実施形態では、酵素層は少なくとも3種の酵素を含む。
「NCIMB」は、アバディーン(スコットランド)に所在地を置く生物保管機関「国立産業食品及び海洋菌保存機関(The National Collection of Industrial, food, and Marine Bacteria)」の名称である。
本明細書で使用するとき、用語「ペレット」及び「ペレット化」は、固体状の、丸みを帯びた、球形の及び円筒形の錠剤又はペレットを指し、並びにこのような固体形状、特に飼料ペレット及び固体の押出成形された動物飼料を形成する加工法を指す。既知である食品及び動物飼料のペレット製造プロセスは、一般的に、食品又は飼料原料を室温にて約1〜約5分間一緒に混合する工程、得られた混合物をサージビンに移動させる工程、混合物を蒸気調湿機に送り込む工程、所望により、蒸気調湿した混合物を膨張機に移動させる工程、混合物をペレットミル又は押出機に移動させる工程、並びに最終的にペレットをペレット冷却器に移動させる工程を包含する。Fairfield,D.1994年.第10章,Pelleting Cost Center.「飼料製造法(Feed Manufacturing Technology)第4巻」(McEllhiney,editor),American Feed Industry Association,Arlington,Va.,pp.110〜139。
本明細書で使用するとき、用語「加熱処理食品又は動物用飼料ペレット」は、ペレット化されておらず、加熱処理をなされる(例えば、蒸気による調湿を、典型的には少なくとも90℃の温度で少なくとも30秒(例えば、90℃で30秒及び/又は95℃で30秒など)混合物を指す。次に、この混合物を押出し成形して動物用飼料ペレットを形成することができる。
本明細書で使用するとき、用語「安定性」は、フィターゼ酵素の酵素活性又はその他の機能特性を有利に維持する又は改良する多様な任意の作用を指す。フィターゼは、「活性の回収」、「熱安定性」及び/又は「可逆的な不活性」の何らかの改良を示すことにより安定性を示し得る。
本明細書で使用するとき、用語「活性の回収」は、(i)次のストレス:加熱、加圧、高pH、低pH、貯蔵、乾燥、界面活性剤への暴露、溶媒への暴露、並びに機械的ストレス)のうちの1つ以上に関与する処理後のフィターゼ活性対、(ii)処理前のフィターゼ活性の比を指す。活性の回収は割合として表現することもできる。
活性回収率は次のとおりに算出される:
Figure 2018085997
ペレット化実験に関する文脈において、「処理前活性」は、未処理のマッシュ中に存在するフィターゼ活性を、処理を施したフィターゼのものと対応させて測定することにより近似することができる。例えば、未処理のマッシュ中に存在するフィターゼを、処理したマッシュ中のフィターゼと同様の時間及び同様の条件下で取り扱い及び貯蔵して、記載の処理以外にそれ自体から生じ得る相互作用又はその他の作用を調節する。
本明細書で使用するとき、フィターゼと組み合わせて、用語「対照フィターゼ」は、安定化剤が含まれていないことを除き、安定化剤が加えられている(例えば、フィチン酸が存在している)フィターゼ分子(例えば、BP17フィターゼ)と同一種であるものを指す。例えば、一例では、フィターゼBP17はフィチン酸により安定化されており、比較対照となるフィターゼサンプルは、フィターゼBP17がフィチン酸により安定化されていないという点でのみ異なっており、このような比較対照となるフィターゼを「対照フィターゼ」とする。
本明細書で使用するとき、「フィターゼ活性単位」は、1分あたりに1μモルのリン酸を放出することのできる酵素量である。フィターゼ活性は、「酵素比色法による飼料中のフィターゼ活性の測定:研究室間共同試験(Determination of phytase activity in feed by a colorimetric enzymatic method: collaborative interlaboratory study)」Engelen A J,van der Heeft F C,Randsdorp P H,Somers W A,Schaefer J,van der Vat B J.J AOAC Int.2001 May−June;84(3):629〜33に記載の通りの、AOAC(公認分析化学者協会)の公定法2000.12により測定することができる。簡潔に述べると、すり潰したサンプルを220ミリモル濃度酢酸ナトリウム三水和物、68.4ミリモル濃度無水塩化カルシウム、0.01% Tween 20、(pH 5.5)に抽出する。次に上清を分析する。この分析では、pH 5.5下、37℃にて60分にわたり米フィターゼからの無機リン酸塩の放出が測定される。この分析は、酸性のモリブデン酸塩/バナジン酸塩試薬により停止され、リン酸塩は、黄色味を帯びたバナドモリブデン酸リン酸複合体の強度をもとに定量される。
本明細書で使用するとき、酵素の変性温度(Tm)は、当該技術分野において既知の手法により測定することができる。好適な技術は、示差走査熱量測定(DSC)である。変性温度を測定するのに好適な他の技術としては、光散乱法、円偏光二色性分光分析、及び酵素学的実験が挙げられる。DSCは熱分析学的な手法である。DSCは、任意の一点の温度から始まる温度範囲にわたって、サンプルの温度を維持するのに必要とされるエネルギー量を測定する際に使用される。試験温度を上昇させることで、サンプルは最終的に変性温度に達することになる。変性温度Tmは、DSCグラフにおいて吸熱的ピークとして観察される。本明細書で使用するとき、用語「DSC Tm」は、読み取り速度90℃/分、溶液pH 5.5にてDSCにより測定した場合の酵素の変性温度を指す。
本教示に関係する用語の更なる例示及び説明のため、以降に、その他の仮定上の実験を提供する。ここで、表中の単位は、ペレット化前のフィターゼ活性を任意単位100として開始し、便宜上表されるものである。第1に、フィチン酸不含BP17などの所与のフィターゼ組成物に関しデータの最上段を参照すると、ペレット化処理後の「活性回収率(%)」は50%である。第2に、フィチン酸含有BP17などの所与のフィターゼ組成物に関しデータの最下段を参照すると、ペレット化処理後の「活性回収率(%)」は80%である。第3に、一番右側の列を参照すると、フィチン酸含有BPフィターゼは、「対照フィターゼ」と比較して60%超(80−50=30;30/50=.6=60%)のフィターゼ活性を有し、すなわち、フィターゼはフィチン酸により安定化されていない。一部の実施形態では、これらの改良は、熱安定性を向上することにより、例えば、DSC Tmにより測定した場合のTmを改良することにより実施することができる。一部の実施形態では、これらの改良は、不活性可逆能(すなわち、失われた活性をある程度の時間経過後に回収させる能力)を改良することにより実施することができる。
Figure 2018085997
例示的な実施形態
本教示は、モル過剰量の基質又は可能性のある基質類似体とのプレインキュベート後にフィターゼ酵素を熱安定化することにより、乾燥又は液体形態のいずれの酵素においても安定性が生じるという驚くべき観察結果を提供する。より詳細には、本教示は、フィターゼの安定性は、フィターゼと機能上近接しているフィチン酸を含有させることにより向上することができるということを提供する。更に、本教示は、過剰量のフィチン酸により食品及び動物用飼料の加工中のフィターゼの安定性を向上することができ、かつ向上されたフィターゼ活性を有する加熱処理食品及び動物用飼料ペレットを得ることができるということを提供する。
フィチン酸
一部の実施形態では、フィチン酸は、非加水分解性のイノシトールリン酸であるIP6を含む。典型的には、市販のフィチン酸は純粋なIP6ではない。一部の実施形態では、フィチン酸は部分的に加水分解されたイノシトールリン酸(例えば、IP6、IP5、IP4、IP3、IP2、及びIP1)の混合物である。したがって、有用な種類のフィチン酸はフィチン酸分解産物、加水分解産物、塩類、及び類似体(例えば、エステル及び塩類)である。本教示において使用するためのフィチン酸源にはイノシトール(フィチン酸の完全加水分解産物−IP0)も存在し得るものの、我々は、同一の条件下ではイノシトールはフィターゼを安定化しないことを見出している。したがって、本教示に従うと、飼料又は食品組成物におけるフィターゼの安定化にはイノシトールリン酸が有用である。
本教示において使用するためのフィチン酸は化学的に合成することができる。これに加え、あるいは代替的に、本教示において使用するためのフィチン酸は、食品、動物用飼料、又はこれらの原料中に存在する場合があり、あるいはこれらに由来する場合がある。フィチン酸は、殻果類、種子類、及び穀類の外皮に見られる。フィチン酸資源としては、限定するものではないが、亜麻仁、ゴマ種子、アーモンド、ブラジル・ナッツ、ココナッツ、ピーナッツ、ウォルナッツ、トウモロコシ(コーン)、オート麦、オートミール、米、小麦、豆、ひよこ豆、大豆、豆腐、及びジャガイモが挙げられる。典型的には、フィチン酸は穀類(コーン、小麦又は米など)から得られ、水に抽出される。
フィターゼを安定化するために使用されるフィチン酸は、フィターゼ(多層化顆粒剤の形態など)が混合される食品又は動物用飼料の原料中に、ペレット化前に内在し得るフィチン酸量に追加される。換言すれば、フィチン酸は外来性フィターゼを安定化するために使用され、食品又は動物用飼料の原料中に存在するフィチン酸は内在性フィチン酸である。したがって、本教示により提供される、算出された10ミリモル濃度超のフィチン酸、並びに本教示によりフィターゼの安定化に関し記載されるその他のミリモル濃度には、微量の内在性フィチン酸は含有されない。任意の手段を使用してフィチン酸をフィターゼに提供することができる。例えば、フィチン酸を含む液体を、フィターゼを含む液体と混合することができる。更なる実施例では、フィターゼ及びフィチン酸は顆粒剤であり、例えば、多層化顆粒剤である。
一実施形態では、フィチン酸は溶液である。他の実施形態では、フィチン酸は固体状である。更なる実施形態では、フィチン酸は固体基材に対し噴霧乾燥される。
フィターゼ
本明細書で使用するとき、用語「フィターゼ」は、フィチン酸塩及びフィチン酸を含有するリン酸エステルの加水分解を触媒し、無機リン酸塩を放出することのできるタンパク質又はポリペプチドを意味する。一部のフィターゼは、フィチン酸塩の他に、中程度にリン酸化されている少なくとも一部のイノシトールリン酸塩を加水分解することができる。
用語「フィターゼ」は、文脈上明示されない限り1種のフィターゼであってよく、又は複数のフィターゼの組み合わせであってもよい。
例えば、ブチアウキセラ(Buttiauxella sp.)由来の6−フィターゼBP17などのフィターゼ酵素を食品及び動物用飼料に加えて、リン酸利用効率を向上させ、ひいては製品の栄養価を増加させる。食品又は動物用飼料の加工、例えば、加熱及び高圧下での加工により、フィターゼは変性し、活性が低下する恐れがある。
本教示において使用されるフィターゼは、食品又は動物用飼料における使用に好適な任意のフィターゼであってよい。
一実施形態では、本開示において産生され又は改質された活性型酵素はフィターゼであり、より具体的には6−フィターゼである。
6−フィターゼは「4−フィターゼ」又は「フィターゼ6ホスファターゼ(phytate 6-phosphatase)」とも呼ばれる。その他のフィターゼとしては、ヒスチジン酸フィターゼ(HAP)が挙げられ、このフィターゼは、原核生物(例えば、大腸菌(Escherichia coli)由来のappAフィターゼ)及び真核生物(アスペルギルス(Aspergillus sp.)由来のphyA及びB、酵母及び植物由来のHAPフィターゼ)で見いだされるフィターゼを含む一群のものである。HAPフィターゼは、DNA配列中のN端末に、共通の活性部位モチーフRHGXRXPを保有しており、C末端にはHDモチーフを保有している。この構造により、2段階機序によるリン酸一エステルの加水分解が可能となる。アスペルギルス・ニガー(A. niger)由来のphyA及びphyB並びに大腸菌(E. coli)由来のappAは、最も特性決定されている代表例である。
一実施形態では、フィターゼは6−フィターゼ、大腸菌(E. coli)フィターゼ、アスペルギルス(Aspergillus)フィターゼ、又はRonozyme(商標)フィターゼ(DSM Corporation)である。
非常に好ましい実施形態では、製造される又は改質される活性型酵素はBP17である。BP17は、ブチアウキセラ(Buttiauxella sp.)フィターゼの変異体酵素であるアミノ酸位置の付番参照用に使用されるBP17配列(シグナルペプチドは除く)を配列番号1として示す。
別の実施形態では、活性型酵素はBP11として製造され又は改質される。BP11はブチアウキセラ(Buttiauxella sp.)フィターゼの変異体酵素である。BP11(シグナルペプチドは除く)配列を配列番号2として示す。
別の実施形態では、製造される又は改質される活性型酵素はBP111である。BP111はブチアウキセラ(Buttiauxella sp.)フィターゼの変異体酵素であるBP111(シグナルペプチドは除く)配列を配列番号3として示す。
これらのフィターゼのすべては、受託番号NCIMB 41248として寄託されており配列番号4として示す配列を有するブチアウキセラ(Buttiauxella sp.)株P 1〜29に由来するものなどの野生型配列の変異体である。
上記に詳述したフィターゼ酵素は、シグナル配列を含まない成熟型タンパク質である。
受託番号NCIMB 41248として寄託されているブチアウキセラ(Buttiauxella sp.)株P 1〜29由来の適切なシグナル配列を配列番号12に示す。
一実施形態では、フィターゼはトリコデルマ(Trichoderma)宿主細胞において製造される。一部の実施形態では、フィターゼは、エンド−N−アセチルグルコサミニダーゼ遺伝子を欠失しているトリコデルマ(Trichoderma)宿主細胞において産生される。エンド−N−アセチルグルコサミニダーゼ遺伝子は、フィターゼなどの他のタンパク質からN−結合型グリコシル化基を除去する酵素エンド−N−アセチルグルコサミニダーゼをコードしている。一部の実施形態では、フィターゼは、エンド−N−アセチルグルコサミニダーゼ遺伝子を欠失しているトリコデルマ(Trichoderma)宿主細胞において産生されるフィターゼBP17である。代表的な株は、例えば、国際公開第09/114380号において教示されており、例えば、実施例5を参照されたい。
食品又は動物用飼料に添加されるフィターゼ単位の量は、食品又は飼料それ自体の組成に応じ変更される。利用可能なリン濃度が低濃度である食品及び飼料では、一般的に、より強力なフィターゼ活性が必要とされる。必要とされるフィターゼの量は、当業者により決定することができる。
一実施形態では、食品又は動物用飼料に組み込まれるフィターゼの量は、食品又は動物用飼料1gあたりフィターゼ活性0.1〜20単位分である。典型的には、フィターゼの量は、食品又は動物用飼料1トン(1,000kg)あたり約50g(12,000U/gフィターゼ粒剤)であり、これは食品又は動物用飼料1gあたりフィターゼ0.6単位分に相当する。
一実施形態では、フィターゼは溶液である。
他の実施形態では、フィターゼは固体状である。更なる実施形態では、フィターゼは固体支持体上に噴霧乾燥される。別の実施形態では、フィターゼは、多層化顆粒剤などの顆粒剤に組み込まれる。一部の実施形態では、フィターゼは食品又は動物用飼料である。
フィターゼ及びフィチン酸
一実施形態では、フィターゼ及び/又はフィチン酸は溶液である。
代替的な実施形態においては、フィターゼ及び/又はフィチン酸は固体状(顆粒剤状、例えば、多層化顆粒剤状など)である。
一部の実施形態では、フィターゼ及び/又はフィチン酸は固体支持体上に噴霧乾燥される。固体支持体の例としては、限定するものではないが、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、粒状スクロース、デンプン−スクロースノンパレイル(ASNP)及びマルトデキストリンが挙げられる。
一実施形態では、フィターゼ及びフィチン酸は多層化顆粒剤に組み込まれる。一部の実施形態では、フィターゼ及びフィチン酸は多層化顆粒剤の同一の層に組み込まれる。
本発明の一実施形態では、フィターゼ1モルにつき少なくとも3モルのフィチン酸が存在する。
安定化フィターゼ
フィターゼの安定性は、液体状態及び/又は固体状において、フィチン酸の使用により安定化されていない対照フィターゼと比較して向上させることができる。
一実施形態では、フィターゼは、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化される。一部の実施形態では、フィターゼは少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100ミリモル濃度、又は少なくとも150ミリモル濃度のフィチン酸により安定化される。
別の実施形態では、フィターゼは、10ミリモル濃度〜150ミリモル濃度の範囲のフィチン酸により安定化される。他の実施形態では、フィターゼは、10ミリモル濃度〜100ミリモル濃度の範囲のフィチン酸により安定化される。一部の実施形態では、フィターゼは、20ミリモル濃度〜150ミリモル濃度の範囲のフィチン酸により安定化される。他の実施形態では、フィターゼは、20ミリモル濃度〜100ミリモル濃度の範囲のフィチン酸により安定化される。一部の実施形態では、フィターゼは、50ミリモル濃度〜150ミリモル濃度の範囲のフィチン酸により安定化される。他の実施形態では、フィターゼは、50ミリモル濃度〜100ミリモル濃度の範囲のフィチン酸により安定化される。一部の実施形態では、フィターゼは、100ミリモル濃度〜150ミリモル濃度の範囲のフィチン酸により安定化される。
一部の実施形態では、フィチン酸は、5%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%、0.005%、0.001% w/w未満で存在する(フィチン酸は、存在する場合にはフィチン酸を含まない層を包含するフィチン酸が存在する顆粒剤全体の重量に対するフィチン酸の重量として表される)。
更なる実施形態では、機能上近接しているフィチン酸及びフィターゼのモル比は、1:1、2:1、3:1、5:1、10:1、20:1、25:1、又は50:1である。
一実施形態では、処理後(例えば、加熱、加圧、高pH、低pH、貯蔵、乾燥、界面活性剤への曝露、溶媒への曝露、及び/又は機械ストレスによる処理後)、安定化させたフィターゼは、フィチン酸の使用により安定化させていない対照フィターゼと比較して少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%高いフィターゼ活性を有する。一実施形態では、処理後(例えば、加熱、加圧、高pH、低pH、貯蔵、乾燥、界面活性剤への曝露、溶媒への曝露、及び/又は機械ストレスによる処理後)、安定化させたフィターゼは、フィチン酸の使用により安定化させていない対照フィターゼと比較して10%〜60%高いフィターゼ活性を有する。
一実施形態では、処理後(例えば、加熱、加圧、高pH、低pH、貯蔵、乾燥、界面活性剤への曝露、溶媒への曝露、及び/又は機械ストレスによる処理後)の安定化フィターゼの酵素活性は、処理前の安定化フィターゼの、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。
一実施形態では、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のフィターゼ活性が回収する。
一実施形態では、食品又は動物用飼料のペレット化中に、固体状において、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のフィターゼ活性が回収する。
一実施形態では、処理後(例えば、加熱、加圧、高pH、低pH、貯蔵、界面活性剤への曝露、溶媒への曝露、及び/又は機械ストレスによる処理後)に、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のフィターゼ活性が回収する。例えば、処理後に少なくとも80%のフィターゼ活性が回収する。
一実施形態では、食品又は動物用飼料のペレット化後に、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のフィターゼ活性が回収する。例えば、食品又は動物用飼料のペレット化後に、少なくとも80%のフィターゼ活性が回収する。
一部の実施例では、食品又は動物用飼料のペレット化後に、固体状において、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%のフィターゼ活性が回収する。例えば、食品又は動物用飼料のペレット化後の固体状において、少なくとも80%のフィターゼ活性が回収する。
一実施形態では、フィチン酸により安定化させたフィターゼにおいて回収される活性は、フィチン酸により安定化させていない対照フィターゼと比較して少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも23%、少なくとも25%、少なくとも27%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも42%、又は少なくとも45%向上する。例えば、フィチン酸により安定化させていない対照フィターゼと比較して、フィチン酸により安定化させたフィターゼにおいて回収される活性は少なくとも23%向上する。
一実施形態では、固体状(多層化顆粒剤など)において、フィチン酸により安定化させたフィターゼにおいて回収される活性は、同条件下で、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化させていない対照フィターゼと比較して少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも23%、少なくとも25%、少なくとも27%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも42%、又は少なくとも45%向上する。例えば、固体状(多層化顆粒剤など)において、フィチン酸により安定化させたフィターゼにおいて回収される活性は、同条件下で、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化させていない対照フィターゼと比較して、少なくとも32%向上する。
一実施形態では、固体状(多層化顆粒剤など)において、フィチン酸により安定化させたフィターゼにおいて回収される活性は、10ミリモル濃度〜150ミリモル濃度の範囲のフィチン酸により安定化させていない対照フィターゼと比較して少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも23%、少なくとも25%、少なくとも27%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも42%、又は少なくとも45%向上する。
一実施形態では、前記安定化させたフィターゼを少なくとも1つの食品又は動物用飼料原料と混合し、得られた混合物を、例えば、加熱(蒸気など)、高圧、高pH、低pH、貯蔵、界面活性剤への曝露、溶媒への曝露、及び/又は機械的ストレスにより処理した後、安定化させたフィターゼにおいて回収される活性は、同条件下で、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化させていない対照フィターゼで回収される活性と比較して少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも23%、少なくとも25%、少なくとも27%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも42%、又は少なくとも45%向上する。例えば、前記安定化させたフィターゼを少なくとも1つの食品又は動物用飼料原料と混合し、得られた混合物を、例えば、加熱(蒸気など)、高圧、高pH、低pH、貯蔵、界面活性剤への曝露、溶媒への曝露、及び/又は機械的ストレスにより処理した後、安定化させたフィターゼにおいて回収される活性は、同条件下で、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化させていない対照フィターゼで回収される活性と比較して少なくとも32%向上する。
他の実施形態では、前記安定化させたフィターゼを少なくとも1つの食品又は動物用飼料原料と混合し、得られた混合物を、例えば、加熱(蒸気など)、高圧、高pH、低pH、貯蔵、界面活性剤への曝露、溶媒への曝露、及び/又は機械的ストレスで処理した後、安定化させたフィターゼにおいて回収される活性は、同条件下で、10ミリモル濃度〜150ミリモル濃度の範囲のフィチン酸により安定化させていない対照フィターゼで回収される活性と比較して少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも23%、少なくとも25%、少なくとも27%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも35%、少なくとも40%、又は少なくとも42%、少なくとも45%向上する。
一実施形態では、食品又は飼料ペレット中のフィターゼを安定化するのに少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸が使用され、食品又は飼料ペレット中のフィターゼは、次の:加熱、高圧、高pH、低pH、貯蔵、界面活性剤への曝露、溶媒への曝露、及び機械的ストレスによる処理のうちの1つ以上に曝露され、又は曝露されている。
変性温度(Tm)
酵素の熱安定性を測定するための方法の1つには、酵素の変性温度(Tm)を測定するというものがある。
酵素の変性温度(Tm)は、当該技術分野において既知の手法により測定することができる。好適の手法の1つには示差走査熱量測定がある。変性温度を測定するのに好適なその他の手法としては、光散乱、円偏光二色性分光分析及び酵素学的実験が挙げられる。
一実施形態では、フィターゼのTm(DSC Tmなど)(少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化)は、対照フィターゼと比較して少なくとも1℃、少なくとも1.3℃、少なくとも1.4℃、少なくとも1.5℃、少なくとも2℃、少なくとも4℃、少なくとも6℃、少なくとも7℃、少なくとも7.5℃、少なくとも7.6℃、又は少なくとも8℃増加する。
一実施形態では、少なくとも15ミリモル濃度のフィチン酸により安定化したフィターゼのTm(DSC Tmなど)は、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化していない対照フィターゼと比較して少なくとも1℃、少なくとも1.3℃、又は少なくとも1.4℃増加する。例えば、少なくとも15ミリモル濃度のフィチン酸により安定化したフィターゼのTm(DSC Tmなど)は、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化していない対照フィターゼと比較して少なくとも1.4℃増加する。
一実施形態では、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化したフィターゼのTm(DSC Tmなど)は、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化していない対照フィターゼと比較して少なくとも4℃、少なくとも6℃、少なくとも7℃、少なくとも7.5℃、少なくとも7.6℃、又は少なくとも8℃増加する。例えば、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化したフィターゼのTm(DSC Tmなど)は、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化していない対照フィターゼと比較して少なくとも7.6℃増加する。
一実施形態では、フィターゼ(10ミリモル濃度〜150ミリモル濃度の範囲のフィチン酸により安定化したフィターゼ)のT(DSC Tmなど)は、10ミリモル濃度〜150ミリモル濃度の範囲のフィチン酸により安定化されていない対照ぎフィターゼと比較して少なくとも1℃、少なくとも1.3℃、少なくとも1.4℃、少なくとも1.5℃、少なくとも2℃、少なくとも4℃、少なくとも6℃、少なくとも7℃、少なくとも7.5℃、少なくとも7.6℃、又は少なくとも8℃増加する。
組成物
一実施形態では、組成物は液体飼料などの液体である。
代替的な実施形態においては、組成物は顆粒剤又は粉末などの固体である。
一実施形態では、組成物は多層化顆粒剤などの顆粒剤である。
別の実施形態では、組成物は食品又は動物用飼料ペレットなどの食品又は動物用飼料である。例えば、組成物は、次の、加熱、高圧、高pH、低pH、貯蔵、界面活性剤への曝露、溶媒への曝露、及び機械的ストレスによる処理のうちの1つ以上に曝露されている食品又は動物用飼料ペレットである。例えば、組成物は、少なくとも90℃の温度で30秒間加熱された(95℃で30秒間など)加熱処理食品又は動物用飼料ペレットである。
更なる実施形態では、組成物はマッシュなどの食品又は動物用飼料原料である。
一実施形態では、組成物はペレット改良組成物である。一実施形態では、ペレット改良組成物は液体試料などの液体である。別の実施形態では、ペレット改良組成物は固体である。一実施形態では、ペレット改良組成物は、フィターゼと、任意選択的にフィチン酸、例えば、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸を含む、顆粒剤(多層化顆粒剤など)を含む。別の実施形態では、ペレット改良組成物は、フィターゼ及びフィチン酸又は少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸を含む顆粒剤(多層化顆粒剤など)を含み、又はこのような顆粒剤からなる。更なる実施形態では、ペレット改良組成物は、少なくとも1つの食品又は動物用飼料原料を更に含む。ペレット改良組成物は、食品又は動物用飼料のペレット化後に、例えば、少なくとも65%のフィターゼ活性を回収させる。他の例では、ペレット改良組成物中のフィターゼのDSC Tmは、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により対照フィターゼが安定化されていない対照組成物と比較して少なくとも1℃増加する。更なる実施例では、前記ペレット改良組成物を少なくとも1つの食品又は動物用飼料原料と混合し、得られた混合物を90℃で30秒間及び/又は95℃で30秒間蒸気処理によりペレット化した後、ペレット改良組成物において回収されるフィターゼ活性は、同条件下で、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化させていない対照フィターゼで回収される活性と比較して少なくとも15%向上する。
一実施形態では、組成物は、イノシトール六リン酸、イノシトール五リン酸、イノシトール四リン酸、イノシトール三リン酸、イノシトール二リン酸、イノシトール一リン酸、並びに前記フィターゼによる前記フィチン酸の加水分解により生じるこれらの混合物などの、リン酸化度の低いイノシトールリン酸塩(lower inositol phosphates)を含む。
顆粒剤及び多層化顆粒剤
コア、顆粒剤、及び多層化顆粒剤は、回転噴霧、湿式造粒、乾式造粒、噴霧乾燥、ディスクペレッター式造粒、押出成型、パンコーティング、球状化、ドラム式造粒、流動層式凝集、高せん断下造粒、流動層噴霧コーティング、結晶化、沈殿、エマルションゲル、スピニングディスク式噴霧、並びにその他の流延成形法、及び顆粒加工などの各種製造法により製造することができる。このような加工法は当該技術分野において知られており、米国特許第4689297号及び同第5324649号(流動層加工法)、欧州特許第656058(B1)号並びに米国特許第454332号(押出加工法)、米国特許第6248706号(高せん断式造粒法)、並びに欧州特許第804532(B1)号及び米国特許第6534466号(流動層コア及びミキサーコーティングを利用する加工法の組み合わせ)に記載されている。
コアは多層化顆粒剤の内部核(inner nucleus)であり、あるいは顆粒剤である。コアに使用される材料は、食品及び/又は動物用飼料に使用するのに好適なものであり得る。
コアに好適な材料は、米国特許第20100124586号、国際公開第9932595号、及び米国特許第5324649号に詳述されている。
一実施形態では、コアは1つ以上の水溶性又は水分散性剤を含む。好適な水溶性剤としては、限定するものではないが、無機塩類(例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、及び硫酸アンモニウム)、クエン酸、糖類(例えば、スクロース、ラクトース、グルコース、粒状スクロース、マルトデキストリン、及びフルクトース)、可塑剤(例えば、ポリオール、尿素、ジブチルフタレート、及びフタル酸ジメチル)、繊維材料(例えば、セルロース、並びにヒドロキシル−プロピル−メチルセルロース、カルボキシ−メチルセルロース、及びヒドロキシル−エチルセルロースなどのセルロース誘導体)、フィチン酸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適な分散剤としては、限定するものではないが、クレイ、ノンパレイル(糖及びデンプンの組み合わせ、例えば、デンプン−スクロースノンパレイル−ASNP)、タルク、ケイ酸塩、カルボキシメチルセルロース、デンプン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
一実施形態では、コアは硫酸ナトリウムを含む。別の実施形態では、コアは硫酸ナトリウムからなる。一部の実施形態では、コアはフィターゼ及び/又はフィチン酸を含み得る。一部の実施形態では、コアはフィターゼを含まない。
一部の実施例では、コアは少なくとも1層のコーティング層により被覆される。一実施形態では、コアは少なくとも2層のコーティング層により被覆される。別の実施形態では、コアは少なくとも3層のコーティング層により被覆される。更なる実施形態では、コアは少なくとも4層のコーティング層により被覆される。
コーティング層に使用される材料は、食品及び/又は動物用飼料に使用するのに好適なものであり得る。コーティング層に好適な材料は、米国特許第20100124586号、国際公開第9932595号、及び米国特許第5324649号に詳述されている。
一部の実施形態では、流動化させることによる、並びに噴霧を中断せずに洗浄する目的でライン及びスプレーノズルに水を簡単にフラッシングさせて一層を次の層の表面上に連続的に噴霧することによる従来式の流動層造粒加工法が採用される。一部の実施形態では、顆粒剤は、各中間体噴霧後しばらくの時間(例えば、5分間)乾燥(噴霧せずに流動化)させる(例えば、70℃にて)ことにより製造することができ、並びに所望により、最終的な噴霧後にしばらくの時間乾燥を実施することができる(例えば、70℃で20分間)。
一部の実施形態では、中間工程の終了後しばらくの間とは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、15、20、又は25分間に該当する。一部の実施例では、中間体の噴霧後しばらくの間とは、2〜8、3〜7、又は4〜6分間に該当する。一部の実施形態では、中間工程の終了後しばらくの間の温度は、少なくとも50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、又は80℃である。一部の実施形態では、中間工程の終了後しばらくの間の温度は、60℃〜80℃又は65℃〜75℃である。
一部の実施形態では、中間体の噴霧後、乾燥する工程は、65〜75℃にて4〜6分間実施される。
一部の実施形態では、最終的な噴霧後の所望による乾燥は、少なくとも5、10、15、20、25、又は30分間行うことができる。一部の実施形態では、最終的な噴霧後の所望による乾燥は、5〜30分間、又は10〜25分間行われる。一部の実施形態では、最終的な噴霧後の所望による乾燥温度は、少なくとも50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、又は80℃である。一部の実施形態では、最終的な噴霧後の所望による乾燥温度は、少なくとも60℃〜80℃、又は65℃〜75℃である。一部の実施形態では、最終的な噴霧後の所望による乾燥温度は、65℃〜75℃にて15〜25分間行われる。
一実施形態では、コーティング層は、次の材料、無機塩(例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、及び硫酸アンモニウム)、クエン酸、糖(例えば、スクロース、乳糖、グルコース、及びフルクトース)、可塑剤(例えば、ポリオール、尿素、ジブチルフタレート、及びフタル酸ジメチル)、繊維材料(例えば、セルロース及びセルロース誘導体、例えば、ヒドロキシル−プロピル−メチルセルロース、カルボキシ−メチルセルロース、及びヒドロキシル−エチルセルロース)、クレイ、ノンパレイル(糖及びデンプンの組み合わせ)、ケイ酸塩、カルボキシメチルセルロース、フィチン酸、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン)、油脂(例えば、菜種油、及び灯油)、脂質、ビニルポリマー、ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、可塑剤(例えば、ポリオール、尿素、ジブチルフタレート、フタル酸ジメチル、及び水)、抗凝集剤(例えば、タルク、クレイ、非晶質シリカ、及び二酸化チタン)、消泡剤(例えば、Foamblast 882(登録商標)及びErol 6000K(登録商標)など)、及びタルクのうちの1種以上を含む。コーティング層に好適な成分は、米国特許第20100124586号、国際公開第9932595号、並びに米国特許第5324649号に詳述されている。
一実施形態では、コーティング層はスクロースなどの糖を含む。
一実施形態では、コーティング層はポリビニルアルコール(PVA)などのポリマーを含む。
多層化顆粒剤のコーティング層に組み込むのに好適なPVAとしては、部分的に加水分解され、完全に加水分解され、及び中程度加水分解され、低〜高粘度を有するものが挙げられる。
別の実施形態では、コーティング層は、硫酸ナトリウムなどの無機塩類を含む。
一実施形態では、少なくとも1層のコーティング層は酵素コーティング層である。一部の実施例では、コアは少なくとも2層の酵素層により被覆される。別の実施形態では、コアは少なくとも3層の酵素層により被覆される。
一部の実施形態では、本教示の顆粒剤は、酵素コーティング層を含む。一部の実施形態では、酵素層は少なくとも1つの酵素を含む。一部の実施例では、酵素層は少なくとも2つの酵素を含む。一部の実施形態では、酵素層は、少なくとも3層の酵素を含む。一部の実施形態では、酵素は、フィターゼ、キシラナーゼ、ホスファターゼ、アミラーゼ、エステラーゼ、酸化還元酵素、リパーゼ、トランスフェラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、β−グルカナーゼ、オキシダーゼ(例えば、ヘキソース酸化酵素及びマルトース酸化還元酵素)、プロテアーゼ、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一般的に、少なくとも1つの酵素コーティング層は、少なくとも1つのフィターゼ及びフィチン酸を含む。
一実施形態では、酵素コーティング層は、少なくとも1つのフィターゼ並びにフィターゼ、キシラナーゼ、ホスファターゼ、アミラーゼ、エステラーゼ、酸化還元酵素、リパーゼ、トランスフェラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、β−グルカナーゼ、オキシダーゼ(例えば、ヘキソース酸化酵素及びマルトース酸化還元酵素)、及びプロテアーゼからなる群から選択される少なくとも1つのその他の酵素を含む。
上記に列挙される酵素は単に一例であり、限定を意味するものではない。本明細書に記載の顆粒剤には、細菌、真菌、酵母、植物、昆虫及び動物資源の野生型、組み換え型及び変異型酵素、並びに酸性、中性又はアルカリ性酵素などの任意の酵素を使用することができる。
一部の実施形態では、酵素コーティング層には、フィチン酸、糖類(例えば、スクロース)、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン)、油脂(例えば、菜種油、及び灯油)、脂質、ビニルポリマー、ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、可塑剤(例えば、ポリオール、尿素、フタル酸ジブチル、ジメチルフタレート、及び水)、抗凝集剤(例えば、タルク、クレイ、非晶質シリカ、及び二酸化チタン)、消泡剤(Ouvrie PMC(Lesquin,フランス)から入手可能Foamblast 882(登録商標)及びErol 6000K(登録商標)など)、並びにタルクからなる群から選択される1つ以上の追加材料を更に含ませることができる。顆粒剤に好適な成分については、米国特許第20100124586号、国際公開第9932595号、及び米国特許第324649号に詳述されている。Foamblast 882(登録商標)はEmerald Foam Control,LLCから入手可能である。Foamblast 882(登録商標)は食品グレードの原料で製造されている消泡剤である。
一実施形態では、酵素コーティング層は、フィチン酸及び少なくとも1つのフィターゼを含む。換言すれば、フィターゼ及びフィチン酸は、多層化顆粒剤の同一の層に組み込まれる。
一実施形態では、多層化顆粒剤は、フィターゼを含む酵素コーティング層、及びフィチン酸を含み酵素層と機能的に隣接しているコーティング層を含む。
一実施形態では、コーティング層はフィチン酸を含み、このコーティング層は、フィターゼを含むコア及び/又はフィターゼを含む酵素コーティング層と機能的に隣接している。
一実施形態では、多層化顆粒剤の外側コーティング層は、次のコーティング材料、すなわち、ポリマー(例えば、ビニルポリマー、ポリビニルアルコール、及びビニルコポリマー)、ガム、ワックス、油脂、脂質、レシチン、顔料、潤滑剤、ノンパレイル、無機塩類(例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、及び硫酸アンモニウム)、タルク、及び可塑剤(例えば、糖類、糖アルコール類、及びポリエチレングリコール)のうちの1つ以上を含む。
一実施形態では、多層化顆粒剤の外側コーティング層は、無機塩(例えば、硫酸ナトリウム)、ポリビニルアルコール(PVA)、タルク、又はこれらの組み合わせを含む。一実施形態では、コーティング層の外側は、ポリビニルアルコール(PVA)及び/又はタルクを含む。
一実施形態では、コーティング層の外側は、水、湿分、又は蒸気が酵素層に進入するのを予防し、あるいは進入する速度又は程度を低減させる。
本明細書に記載の多層化顆粒剤は、流動層噴霧コーティング、パンコーティング、及び初期コア材料(シードの)表面上に連続的に層を足していくことにより多層化顆粒を製造するためのその他の技術などの多様な手法により製造することができる。例えば、米国特許第5324649号、及び同第20100124586号を参照されたい。一実施形態では、多層化顆粒剤は、流動層スプレーコーティング加工法を使用して製造される。
一実施形態では、多層化顆粒剤は、硫酸ナトリウムを含むコア、フィターゼ、スクロース、デンプン、フィチン酸及び菜種油を含む又は含んでなる第1コーティング層、硫酸ナトリウムを含む又は含んでなる第2コーティング層、並びにタルク及びPVAを含む又は含んでなる第2コーティング層を含む又は含んでなる。第1コーティング層がコアに対し適用され、次に第2コーティング層が第1コーティング層に対し適用され、次に第3コーティング層が第2コーティング層に対し適用される。
別の実施形態では、多層化顆粒剤は、硫酸ナトリウムを含むコア、フィターゼ、スクロース、デンプン、フィチン酸及び消泡剤(Foamblast 882(登録商標)など)を含む又は含んでなる第1コーティング層、硫酸ナトリウムを含む又は含んでなる第2コーティング層、並びにタルク及びPVAを含む又は含んでなる第3コーティング層を含む又は含んでなる。第1コーティング層がコアに対し適用され、次に第2コーティング層が第1コーティング層に対し適用され、次に第3コーティング層が第2コーティング層に対し適用される。
ペレット及びペレット加工
ペレットには、各種既知の何らかのペレット加工法に従い、例えば、以降に更に記載される加工法に従い、本明細書に記載の顆粒剤及び/又は多層化顆粒剤を含有させることができる。
一実施形態では、ペレットは、フィチン酸、フィターゼ、及び少なくとも1種の食品又は飼料原料を含み、フィチン酸の濃度は少なくとも10ミリモル濃度である。一実施形態では、ペレットは少なくとも1種の食品又は飼料原料とフィチン酸及びフィターゼを含む顆粒剤とを含み、顆粒剤中のフィチン酸の濃度は少なくとも10ミリモル濃度である。
本教示のペレットは、殺菌目的で飼料混合物の温度を高温に上昇させる方法により製造することができる。多くの場合、温度は、調湿として既知の工程であるペレット化前の蒸気処理により上昇される。続いて、調湿した飼料混合物にダイを通過させ、特定の大きさのペレットを製造する。飼料混合物は、本明細書に記載の顆粒剤及び/又は多層化顆粒剤を本明細書に記載の食品又は動物用飼料と混合することにより調製することができる。
一般的に、蒸気調湿機は、約85℃〜約95℃下で約20〜約90秒間、及び最大で数分間、混合物を処理する。蒸気量は、食品又は動物用飼料混合物の湿分量及び初期温度をもとに変更することができる。ペレット化工程において報告したとおり、約4%〜約6%の蒸気が添加され、この量は、ペレット化前のマッシュ中の湿分が約18%未満になるように、又は押し出しを意図されるマッシュ中の湿分が最大で約28%になるように選択される。
任意選択的な押し出し工程は、約100℃〜約140℃の範囲の温度にて約4〜約10秒間にわたって行うことができる。製造工程の内、ペレットミル区画は、典型的には約85℃〜約95℃の温度にて約3〜約5秒間にわたって操作される。
ペレット化前に、未ペレット化混合物(いわゆるプレミックス又は前駆体、ベースミックス、マッシュ、及びペレット用希釈剤)は、典型的にはビタミン類及び微量ミネラルを含有する。ベースミックスは、典型的には、リン酸ニカルシウム、石灰岩、塩及びビタミン、並びにミネラルプレミックスなどの食品及び動物飼料原料を含有するものの、穀類及びタンパク質原料は含有しない。希釈剤としては、限定するものではないが、穀類(例えば、小麦ミドリング粉及びコメヌカ)、並びにフィロケイ酸塩(ケイ酸マグネシウム海泡石、ベントナイト、カオリン、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、アタパルジャイト、及びステベンス石)などのクレイが挙げられる。クレイは、食品及び動物飼料プレミックスの基材及び流動化剤、又は希釈剤としても機能する。マッシュは、典型的には動物用の完全な飼料を含む。例えば、マッシュはコーン、大豆ミール、大豆油、塩、DLメチオニン、石灰岩、リン酸ニカルシウム、並びにビタミン類及びミネラル類を含み又は含んでなる。一例では、マッシュは、61.10%のコーン、31.43%の大豆ミール、48,4%の大豆油、0.40%の塩、0.20%のDLメチオニン、1.16%の石灰岩、1.46%のリン酸ニカルシウム、並びに0.25%のビタミン類及びミネラル類からなる。
一実施形態では、食品又は動物用飼料は、少なくとも1種の食品又は飼料原料(マッシュなど)を、フィターゼ及びフィチン酸溶液と混合し、得られた混合物を蒸気により調湿し、次に混合物をペレット化することにより製造される。
一実施形態では、食品又は動物用飼料は、少なくとも1種の食品又は動物用飼料原料(マッシュなど)を固体状のフィターゼ及びフィチン酸(多層化顆粒剤などの顆粒状)とともに混合し、得られた混合物を蒸気により調湿し、次に混合物をペレット化することにより製造される。
例えば、コーンミール及び大豆ミール(60%コーンミール及び40%大豆ミール)の未ペレット化混合物を、フィターゼ及びフィチン酸を含む多層化顆粒剤と混合し、次に90℃にて30秒間蒸気調湿することができる。次に、この混合物を押出し成形して、動物用飼料ペレットを形成する。
一部の実施形態では、本教示の組成物は、加熱処理食品又は動物用飼料ペレットに属し得るものである。このような加熱処理食品又は動物用飼料ペレットには、少なくとも90℃の温度で少なくとも30秒間(90℃で30秒間及び/又は95℃で30秒間)の加熱処理(蒸気調湿など)をなすことができる。次に、この混合物を押出し成形して、動物用飼料ペレットを形成することができる。
食品及び動物飼料
一実施形態では、食品又は動物用飼料は液体飼料などの液体である。別の実施形態では、食品又は動物用飼料は固体である。本明細書で使用するとき、用語「動物」には、すべての動物、例えば、非反芻動物及び反芻動物(牛、羊、山羊及び馬など)が挙げられる。
非反芻動物の例としては、豚、家禽(鶏及び七面鳥など)、魚(鮭など)、犬、猫及び人間などの単胃動物が挙げられる。一実施形態では、動物用飼料は鶏用飼料(鶏用飼料)である。一実施形態では、動物用飼料は豚(複数)(豚(単数))用飼料である。
食品又は動物用飼料には、植物性タンパク質を含有させることができる。植物性タンパク質は、豆類、油糧種子、殻果類、及び穀類に由来するものであってよい。植物性タンパク質の資源例としては、マメ類(マメ科)、イネ科、アブラナ科(Cruciferaceae)、及びアカザ科由来の植物が挙げられる。
好適な植物性タンパク質資源は、大豆、大豆ミール、シリアル(例えば、トウモロコシ(コーン)、小麦、オーツ麦、大麦、ライ麦、及びサトウモロコシ)、シリアルミール(例えば、コーンミール、小麦ミール、オートミール、大麦ミール、ライ麦ミール、サトウモロコシミール、及びキャノーラミール)、ふすま(例えば、小麦ふすま(what bran)、及びオーツ麦ふすま)、油糧種子(例えば、菜種及びヒマワリ種子)、油糧種子ミール(例えば、菜種ミール)、綿実ミール、キャベツ、ビート及び砂糖大根である。これらの植物性タンパク質は、食品原料及び動物用飼料原料の例である。
食品又は動物用飼料には、動物性タンパク質を含有させることができる。好適な動物性タンパク質としては、魚肉及び乳清が挙げられる。食品又は動物用飼料には添加物を含有させることもできる。好適な添加物としては、酵素阻害剤、ビタミン類、微量ミネラル、多量ミネラル、着色剤、芳香化合物、抗菌性ペプチド(ロイコシンA(Leucocin A)、タナチン、及びトリトルプチチン(Tritrpticin))、及び酵素が挙げられる。
食品又は動物用飼料あるいはこれらの原料は液体であってもよい。食品又は動物用飼料あるいはこれらの原料は固体であってもよい。例としては、コーン、小麦又は大豆ミールが挙げられる。
酵素改質の実施形態
本教示は、各種改質、例えば、グリコシル化を有する、フィターゼを提供する。詳細には、本開示はフィターゼのグリコシル化に関する。一部の実施形態では、本開示は、酵素を改質し又は変更を加え、グリコシル化部位を導入すること又はグリコシル化部位数を増加させることに関する。この改質は、ポリペプチドになすことができ、又はコードしている核酸になすことができる。一部の実施例では、改質酵素はフィターゼであり、一部の実施例では、酵素はフィターゼBP17である。フィターゼBP17のアミノ酸配列(配列番号1)は、NetNGlyc 1.0予測アルゴリズム(http://www.cbs.dtu.dk/services/NetNGlyc/)による解析に従うと、3箇所の潜在的なN結合型グリコシル化部位を含有する。グリコシル化されることが予想されるアスパラギン残基は、成熟型フィターゼBP17配列(シグナル配列を含まない)の残基N169、N173及びN285(下記の配列番号1においてボールド体で表記しかつ下線を付して示す)である。
配列番号1
Figure 2018085997
記載の一実施形態は、高度にグリコシル化されたフィターゼ、例えば、高度にグリコシル化されたBP17、又はその相同体、変異体又は誘導体の、製造及び使用に関する。一部の実施形態では、製造される及び/又は使用される酵素は、BP17に対し75%超、例えば、80%超、例えば、90%超、並びに更には例えば95%超、96%超、97%超、98%超、又は99%超の同一性を有する。
記載の一部の実施形態は、BP17に更にグリコシル化部位を導入することを包含する。特に、グリコシル化部位を導入する目的で、次の置換、すなわち、E121T、P394N、D386N、K202N、N204T、Q151N、及びP153S、P373T、並びにQ76Nのうちの1つ以上またはすべてをBP17に導入することができる(シグナル配列を含まない配列番号1の位置付番を参照のこと)。
詳細には、記載の配列は、同一の配列中にK202N及びN204Tを含み得る。記載の更なる実施形態では、記載の配列は、同一の配列中にQ151N及びP153Sを含み得る。
配列番号5〜11は、本教示に使用することができる変異体配列を表し(いずれの場合にも、BP17と比較してアミノ酸が変化している部位をボールド体で表記し下線を付す)、変異体配列では、グリコシル化部位の数を増加させるためにBP17(配列番号1)にアミノ酸置換が導入されている。
酵素のグリコシル化の程度は、改質酵素の安定性を増加させ得る。したがって、記載の実施形態の一部のものは、より熱安定性である酵素を提供し、例えば、酵素は、野生型酵素又は異なる方法を用い製造された酵素と比較してより熱安定性である。
本開示は、配列番号1のポリペプチド及び相同体、変異体又はこれらの誘導体をコードしている核酸、並びにこれらをコードすることのできる核酸も提供する。
本開示は、配列番号1の酵素、又は親タンパク質のアミノ酸配列中の1つ又は複数個のアミノ酸、例えば2、3、4、5、6、7、8、9個のアミノ酸、又はそれ以上のアミノ酸、例えば10個、又は10個以上のアミノ酸の置換、欠失又は付加により親酵素から由来しかつ親タンパク質の活性を有するポリペプチドにも関連し得る。一部の実施例では酵素はグリコシル化され、一部の実施例ではこのような酵素は増加した安定性を有する。
本開示の更なる実施形態は、記載の酵素の製造方法を提供し、例えば、酵素のグリコシル化は増加されており、又は酵素は高度にグリコシル化されている。方法は、酵素のアミノ酸配列を変更し、又は酵素をコードする核酸を変更し、グリコシル化部位の数を増加させることを包含する。一部の実施例では、この変更は、N結合型グリコシル化部位の数を増加させることを包含する。一部の実施例では、これには、Asn−Xaa−Ser/Thrモチーフを酵素に導入すること、あるいはこの領域をコードしている配列を核酸に導入することを包含する。一部の実施例では、1、又は2、又は3以上のグリコシル化部位が酵素に導入される。
一部の実施例では、記載の方法はフィターゼ、例えば、BP17(配列番号1)に対し実施される。一部の実施例では、記載の方法は、フィターゼにおけるグリコシル化部位の数を増加させるため次のアミノ酸変異、E121T、P394N、D386N、K202N、N204T、Q151N、P153S、P373T、及びQ76Nのうち1つ以上を導入する(配列番号1の位置付番を参照のこと)。
製造方法
更なる実施形態では、本開示は、製造工程中に酵素のグリコシル化度を増加させることにも関する。一部の実施例では、糸状菌宿主での発現が製造方法として使用され、例えば、トリコデルマ(Trichoderma)種の真菌、及び特に、例えばトリコデルマ・リーゼイ(T. reesei)における発現が使用される。
本開示は、変更を施された宿主における酵素の発現にも関し、ここで、変更とは1つ以上の遺伝子の機能が欠失されていることを指し、及び一部の実施例では、内在性エンドグルコサミニダーゼ遺伝子の機能が欠失されていることを指す。
特定の実施形態では、本開示は、酵素、例えば、フィターゼ、及び一部の実施例ではフィターゼBP17の、発現及び産生に関し、酵素は、トリコデルマ(Trichoderma)種真菌、例えば、トリコデルマ・リーゼイ(T. reesei)において改変されていてもいなくてもよく、これらのトリコデルマ(Trichoderma)種真菌において、内在性エンドグルコサミニダーゼ遺伝子は欠失されている。
一部の実施形態では、本開示は、グリコシル化を増加させたフィターゼなどの酵素の製造及び/又は使用に関する。更なる実施形態では、グリコシル化の増加は、endoT遺伝子を欠失させた宿主を使用することにより促進される。一部の実施例では、産生される酵素は、異なる手法、特に内在性エンドグルコサミニダーゼ遺伝子が欠失されていない異なる宿主種及び/又は宿主を使用する方法を使用し産生された酵素と比較して増加している安定性を有する。
内在性エンドグルコサミニダーゼは、フィターゼなどの他のタンパク質からN結合型グリコシル化部位を除去する分泌酵素である。endoTを欠失させた宿主において産生させた場合、酵素などのタンパク質のグリコシル化度は大きくなる。記載に準じ、endoT遺伝子は、除去、破壊、干渉、あるいは宿主においてEndoTの発現及び産生を予防又は低減させる任意の方法により欠失させることができる。代表的な株は、例えば、国際公開第09/114380号において教示されており、例えば、実施例5を参照されたい。
一部の実施例では、本開示は、endoTを欠失させた宿主におけるフィターゼの発現及び産生に関する。更なる実施形態では、フィターゼは、BP17又は相同体、変異体又はこれらの誘導体であり、例えば、BP17(配列番号1)に対して75%超、例えば、80%超、例えば、90%超、及び更には95%超、96%超、97%超、98%超、又は99%超同一性を有する。一部の実施例では、宿主は糸状菌宿主であり、例えば、トリコデルマ(Trichoderma)種真菌であり、更には例えばトリコデルマ・リーゼイ(T. reesei)である。一部の実施例では、フィターゼは増加した安定性を有し、例えば、熱安定性は、その他の産生法により産生されたフィターゼ又はグリコシル化されていない若しくは高度にグリコシル化されていないフィターゼと比較して増加している。グリコシル化度は質量分析法により求めることもできる。
一部の実施形態では、本開示の産生方法は、より熱安定性であり、したがって加工後の飼料中に存在するフィターゼ活性が増加する、フィターゼを提供する。一部の実施例では、試料の加工はペレットの形成を包含する。更なる実施形態では、本発明に記載のフィターゼを含むペレットは、加工後のフィターゼ活性が増加している。更に他の実施形態では、本発明に記載のフィターゼは、より良好にペレット加工に耐えることができ、かつ加工後にフィターゼ活性を保持する。
実施形態の組み合わせ
更なる実施形態では、記載の様相を組み合わせることができる。換言すれば、グリコシル化部位の数が増加するようアミノ酸配列を変更することにより改質されている記載の酵素は、改変宿主、例えば、endoT遺伝子を欠失している宿主において産生させることができる。これは酵素のグリコシル化度を最大化させる。一部の実施例では、宿主はトリコデルマ(Trichoderma)種の真菌であり、例えば、トリコデルマ・リーゼイ(T. reesei)である。
一部の実施形態では、改変宿主で発現される酵素はフィターゼ、例えば、BP17(配列番号1)又はRonozyme P−(CT)、あるいは例えば、それぞれ75%超、例えば、80%超、例えば、90%超、及び更に例えば95%超、96%超、97%超、98%超、又は99%超でBP17(配列番号1)又は市販のRonozyme P−(CT)と同一性を有する、これらの相同体、変異体、若しくは誘導体である。
しかしながら、一部の実施形態では、製造されるフィターゼは又はフィターゼに関係する何らかの配列は、フィチン酸と機能上近接した位置にあり、ここで、フィターゼ及びフィチン酸は、本明細書に記載の任意の組成物中に存在する。
以降の実施例は、本教示の一部の実施形態を例示することを意図するものである。実施例1及び実施例2において使用されるフィターゼは、EDT−トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)宿主において作製された、配列番号1に示す通りのアミノ酸配列を有するフィターゼBP17である。実施例3において使用されるフィターゼは、DSM由来の市販のフィターゼRonozyme P−(CT)である。活性回収率、フィターゼ活性、及びDSCの算出は、定義において記載したとおりに実施した。
実施例1−流動層造粒及びペレット化試験
フィターゼを含む多層化顆粒剤にフィチン酸(Sigma)を組み込み、続く蒸気処理に向けフィターゼの保護を行った。次にこれらのフィターゼ含有顆粒剤を動物用飼料と混合し、蒸気処理が組み込まれている動物用飼料ペレット製造装置を通過させる。
流動層造粒
酵素顆粒剤は、米国特許第5324649号に記載の流動層噴霧加工を使用し製造することができる。本明細書では、Vector FL−1流動層噴霧塗装機を使用した。フィターゼは12,000単位/g(総乾燥顆粒剤重量に基づく)で加えた。総顆粒剤の0.10重量%〜0.40重量%、又は酵素層中濃度15〜60ミリモル濃度でフィチン酸を加えた。硫酸ナトリウムシード(コアとも呼ばれる)を流動層チャンバに装填した。スクロース、トウモロコシデンプン、フィチン酸及び灯油又は菜種油又は消泡剤Foamblast 882(登録商標)限外ろ過フィターゼ濃縮物(UFC)に溶解させ、又は分散させて「噴霧液1」を調製した。固形分の総濃度を約40%に維持する目的で、この混合物に追加の水を加えた。トウモロコシデンプン及び灯油又は菜種油又は消泡剤の酵素UFCへの良好な分散を維持させるためには持続的に撹拌する必要があった。
流動層造粒機に既に装填してある硫酸ナトリウムコアに、天井式噴霧加工を用い噴霧液1を噴霧した。噴霧速度を初期噴霧速度6.3g/分から最終噴霧速度11g/分へと漸増し、30分にわたって噴霧液1を噴霧した。噴霧空気圧は241.3〜275.8kPa(35〜40psi)に維持し、層温度は43〜45℃に維持した。
以降の噴霧液(噴霧液2、噴霧液3など)は、この噴霧液のすべての成分を水に溶解及び/又は分散させ、固形分約18〜40%を含有する溶液を形成することにより調製された。非水溶性の油、消泡剤又はトウモロコシデンプンを含有している噴霧液は、これらの材料の良好な分散を維持するために持続的に撹拌する必要がある。噴霧液2は23.9g/分の一定の噴霧速度で適用した。噴霧空気圧は234.4〜248.2kPa(34〜36psi)に維持し、層温度は45〜47℃に維持した。噴霧速度を初期噴霧速度7.2g/分から最終噴霧速度9.2g/分へと漸増し、15分にわたって噴霧液3を適用した。噴霧空気圧は275.8kPa(40psi)とし、層温度は49℃〜50℃に維持した。
最終噴霧後、多層化顆粒剤を回収し、上記のフィターゼアッセイを使用しフィターゼ活性を測定した。
ペレット化
次に、顆粒剤60gに対しトウモロコシ−大豆ミール120kgの割合で、多層化顆粒剤を60%コーンミール及び40%大豆ミールの混合物(すなわち、マッシュ)と加え合わせ混合した。ペレット化前の混合物における最終的なフィターゼ活性は、約5単位/gであった。
次に、この混合物を動物用飼料のペレット造粒機によりペレット化した。顆粒剤及びコーン−大豆ミールを、水平式リボンミキサにおいて約15分間混合した。直径3mmのペレットホールを有する内径17.3cmのダイを取り付けた1ロール式のSimon Heesenをペレットミルとした。ダイ速度は500rpmとし、7.5kWのモータで駆動した。標準試料供給速度は1時間あたり300kgとした。調湿機内の温度は、調湿機から排出される試料を測定し+/−0.1℃で維持した。調湿機はカスケード型の混合システムを有した。2種類の調湿温度、90℃及び95℃を使用した。蒸気取り込み口の圧力202.7kPa(2atm)、及び調湿機内温度は蒸気の供給を制御する3つのバルブを手動で調整することにより調節した。調湿機内滞留時間は約30秒間とした。設定温度に達した時点でこのシステムを約5〜10分間稼働させ、その後サンプル採取を行った。サンプルは1〜1.5分間隔で回収した後(ペレット化飼料5〜7.5kgに相当)、直ちに、底部にミシン目があり空気流量が1500m/時間の冷却ボックスに入れた。15分間冷却した後、サンプル分割器を使用してサンプルを2回分割し、実験室で試験を行うため1kgを回収した。
ペレット化及び冷却後、このペレットを挽き砕き、フィターゼ活性について解析した。
コーン−大豆ミール及びフィターゼ顆粒剤のペレット化されていない混合物を「マッシュ」対照と名付け、これについてもフィターゼ活性を解析した。定義に記載したとおり、マッシュ対照の活性に対する、90℃又は95℃のいずれかでペレット化した酵素顆粒剤における活性回収の割合を、活性回収率とする。
化学量論
下表1.1中の計算は、0.1% w/wフィチン酸を装填した顆粒剤に関し見ることができるものであり、酵素層中のフィチン酸濃度は、酵素層固形分1kgあたり10.19ミリモルであり、すなわち10.19ミリモル濃度である。表3において示されるとおり、フィチン酸を0.1% w/w〜1.0% w/w(10.19〜101.9ミリモル濃度)で顆粒剤に使用した場合に、ペレット化性能の向上が観察された。
したがって、0.10% w/wフィチン酸では、酵素層中のフィチン酸濃度は10.19ミリモル濃度であり、0.20% w/wフィチン酸では、酵素層中のフィチン酸濃度は20.38ミリモル濃度であり、0.4% w/wフィチン酸では、酵素層中のフィチン酸濃度は40.76ミリモル濃度であり、0.19% w/wフィチン酸では、酵素層中のフィチン酸濃度は19.361ミリモル濃度であり、0.37% w/wフィチン酸では、酵素層中のフィチン酸濃度は37.703ミリモル濃度であり、1% w/wフィチン酸では、酵素層中のフィチン酸濃度は101.9ミリモル濃度であり、フィチン酸はSigmaから入手し、及びHPLCにより測定した場合の使用前組成はIP6が70%であり、残部はIP5、IP4、IP3、IP2、及びIP1であった。(この表1.1において、L10263は下表1.2に記載のL−10−263であり、SP1は噴霧液1を指し、SP2は噴霧液2を指し、SP3は噴霧液3を指す)。各「噴霧液」は、流動層コーター内でコア上に噴霧される特定の固形成分を含有している水性溶液又は懸濁液である)。
Figure 2018085997
顆粒剤処方例
表1.2ペレット化試験において作製及び試験した顆粒剤処方例を要約する。
Figure 2018085997
Figure 2018085997
図1は、これらの表1.2の処方をペレット化した後に得られる活性回収率を示す。ペレット化は90℃及び95℃の両方で実施した。図1からは、顆粒剤の酵素層中に0.1〜0.4%のフィチン酸が存在する場合、酵素層にフィチン酸を含有させずに製造した対照顆粒剤、すなわち対照フィターゼと比較して、90℃では回収活性率の19〜27%の向上が観察され、95℃では回収活性率の17〜42%の向上が観察されることを見ることができる。V−10−153及びV−11−144はフィチン酸を含有しない対照サンプルである。その他のすべてのサンプル(L−10−263、V−10−264、L−10−231、L−10−265、及びL−11−095)は0.10%〜0.40%のフィチン酸を含有しており、90℃では回収活性率の19〜27%の向上を示し、95℃では回収率の17〜42%の向上を示す。(向上のばらつきに、これらのサンプルに使用したフィチン酸濃度との相関は見られなかったのは、0.10%濃度の時点で過剰量であるためである可能性がある)。
表1.3は、顆粒剤に噴霧する前にフィチン酸とフィターゼUFCとをインキュベートする時間が、90℃及び95℃のいずれかでペレット化した後のフィターゼ活性に対し及ぼす効果を示す。L−11−087、V−11−090、V−11−088及びL−11−088の処方は全て同一の組成を有し、表1.2に示すL−11−095と同一であることをここに注記する。これらの処方間の違いは、顆粒剤に対し噴霧する前にインキュベートした時間だけである。30分間〜6時間のインキュベート時間では、ペレット化後のフィターゼ活性に変わりはなかったことを見ることができる。24時間以上インキュベートを行った場合、ペレット化後のフィターゼ活性は、90℃及び95℃のいずれにおいても著しく低下することが観察されたものの、この時間枠は一般的ではない長さであり、これらの酵素顆粒剤を商業的環境で製造する場合に一般的に実施されるものではない。
Figure 2018085997
実施例2−BP17フィターゼの示差走査熱量測定
DSCは、1時間あたり90℃のスキャン速度を用い、20ミリモル濃度塩化カルシウムを加えた0.25M酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.5)中、0.5mg/mL(0.01ミリモル濃度)のBP17フィターゼ濃度に対し、MicroCal VP−DSCで実施した。すべてのフィチン酸サンプルのpHは、酢酸緩衝液及びフィターゼに対し添加する前に水酸化ナトリウムにより5.5に調整し、すべてのサンプルが確実に同一のpH(5.5)を有するようにした。すべてのサンプルに関し、DSCの参照セル中で酢酸緩衝液を測定した。
図2は、0.5mg/mL(0.01ミリモル濃度)BP17フィターゼに15ミリモル濃度フィチン酸基質を添加した場合及び添加しなかった場合のDSCプロットを示す。
各サンプルに関し変性温度(Tm)を示す。15ミリモル濃度フィチン酸を添加した場合には、Tmが、未変性のフィターゼの安定性を示す72.4℃から73.8℃(1.4℃上昇)に上昇したことを見ることができる。
図3は、15ミリモル濃度イノシトール(フィチン酸をフィターゼを反応させることにより完全に加水分解された生成物)及びフィターゼのDSCプロットを、イノシトールを添加していないフィターゼ単独の場合と比較して示す。イノシトールではフィターゼのTmは上昇しないことを見ることができる。これにより、安定化作用をもつ物質は、フィターゼによりフィチン酸を完全に加水分解した生成物ではなく、例えば、イノシトール六リン酸、イノシトール五リン酸、イノシトール四リン酸、イノシトール三リン酸、イノシトール二リン酸、及びイノシトール一リン酸などの部分的に加水分解されたフィチン酸であるという仮説が支持される。(曲線のわずかな上昇は、おそらくは、熱変性に耐えた総酵素量に関係するものである。この上昇はサンプル調製中の実験誤差に起因して変動し得る。)
HPLCに基づく分析法を使用し、表1.2に従って製造した顆粒剤サンプルを、イノシトールリン酸残基(IP6、IP5、IP4、など)に関し分析した。HPLC法は、Dionex HPLCシステムにCarboPac 100カラムを使用する、イオン交換法に基づくものである。水及び1N HClによる勾配を使用してHPLCを実施し、溶離液は、カラム通過後、色素試薬、0.1% Fe(NO3)3、9H2Oにより誘導体化し、UV 290nmで検出可能なInsP−Fe複合体を形成させる。この方法では、IP6から、共に溶媒ピークを伴って溶出されるIP2とIP1及びIP0への分解のみを定量することができる。下表2.1に示すとおり、いずれのサンプルにおいても何らフィターゼ(IP6)を検出することはできなかった。0.1%フィチン酸及び0.5mg/mLフィターゼ顆粒剤サンプルに関しては、少量のIP3が存在した。液体サンプルでは、「溶媒先端」から離れた場所には何らピークは生じなかった。この部分のピークは最も濃縮したサンプルに関しては非常に大きかったことから、すべてIP1、IP0及び無機リン酸塩へと分解されてしまっていたことが示唆される。
表2.1は、顆粒剤中で、フィチン酸がIP3、IP2、IP1、及びIP0へと分解されてIP6が存在していなかったことを示す。これにより、これにより、安定化作用をもつ物質は、IP3、IP2、IP1であるという仮説が支持される(IP0はDSCデータを元に排除された。DSCを使用し、IP0(イノシトール)をフィターゼとともに試験した場合に、図3に示す通りTmの上昇は観察されなかったことから、IP0が安定化作用をもつ物質である見込みはない)。
酵素層は12,000U/gフィターゼを含有する。タブレットにおける単位はHPLCのピーク面積である。ダッシュ(−)は、値が求められなかったことを意味する。
Figure 2018085997
図4は、0〜150ミリモル濃度のフィチン酸の存在下で、フィターゼに関し測定されたDSC Tmプロットを示す。150ミリモル濃度フィチン酸ではフィターゼのTmが72.4℃から80℃に上昇し、フィチン酸を添加していないフィターゼのTmと比較して7.6℃も上昇を示したことを見ることができる。この上昇は、フィチン酸由来の非常に強力な安定化効果の指標となる。フィチン酸が150ミリモル濃度を上回る濃度である場合、この濃度ではフィチン酸がフィターゼのDSC測定と干渉することからフィターゼのTmを測定することはできない。
実施例3−Ronozyme P−CTの示差走査熱量測定
その他のフィターゼに対するフィチン酸の安定化に関し一般化の可能性を探索するため、DSMの顆粒剤製品Rononzyme P−(CT)から抽出されたフィターゼ抽出物を使用しDSC実験を実施した。
顆粒剤を、緩衝液100gにつき顆粒剤固形分10gの濃度で酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.5)に溶解させ、1時間にわたって顆粒剤からフィターゼ酵素を抽出した。次にこの材料を0.20μフィルタにより濾過した後、酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.5)及び10K分子量カットオフCentricon(登録商標)チューブを使用して緩衝液を5回交換した。Lowry式の分析法を用い、Konelab(登録商標)自動化化学分析器において総タンパク質濃度を測定した。
図5では、フィチン酸の存在下では、これまでにBP17により観察されたものと類似する種類の安定化(Tm上昇)が見られる。
これまでの実施例のBP17とは酵素配列が異なることから、このフィターゼのTmは高くなるようである。Tmに対するフィチン酸の効果はBP17フィターゼと類似しており、スロープの外見が類似している。
前述の教示は、分かりやすさのため、図及び実施例を、例示目的で一部詳細に記述したものの、本教示の趣旨及び範囲から逸脱することなく実施できるある種の変更及び修正については当業者には明白であろう。したがって、本記載は、添付の特許請求の範囲により詳述される本教示の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
本明細書に引用されたすべての公刊物、特許及び特許明細書は、これによって、あらゆる目的のためにこれらの全体が参照により組み込まれ、各個別の公刊物、特許又は特許明細書が特定的に及び個々に示されている場合には参照により同程度そのように組み込まれる。参照により本明細書に組み込まれる文書は、本出願の「先行技術」であるとして承認されるものとして解釈すべきではない。
配列表
配列番号1
NDTPASGYQVEKVVILSRHGVRAPTKMTQTMRDVTPNTWPEWPVKLGYITPRGEHLISLMGGFYRQKFQQQGILSQGSCPTPNSI
YVWTDVAQRTLKTGEAFLAGLAPQCGLTIHHQQNLEKADPLFHPVKAGICSMDKTQVQQAVEKEAQTPIDNLNQHYIPSLALMNT
TLNFSKSPWCQKHSADKSCDLGLSMPSKLSIKDNGNEVSLDGAIGLSSTLAEIFLLEYAQGMPQAAWGNIHSEQEWALLLKLHNV
YFDLMERTPYIARHKGTPLLQAISNALNPNATESKLPDISPDNKILFIAGHDTNIANIAGMLNMRWTLPGQPDNTPPGGALVFER
LADKSGKQYVSVSMVYQTLEQLRSQTPLSLNQPAGSVQLKIPGCNDQTAEGYCPLSTFTRVVSQSVEPGCQLQ
配列番号2
NDTPASGYQVEKVVILSRHGVRAPTKMTQTMRDVTPNTWPEWPVKLGYITPRGEHLISLMGGFYRQKFQQQGILSQGSCPTPNSI
YVWTDVDQRTLKTGEAFLAGLAPQCGLTIHHQQNLEKADPLFHPVKAGICSMDKTQVQQAVEKEAQTPIDNLNQHYIPSLALMNT
TLNFSKSPWCQKHSADKSCDLGLSMPSKLSIKDNGNEVSLDGAIGLSSTLAEIFLLEYAQGMPQAAWGNIHSEQEWALLLKLHNV
YFDLMERTPYIARHKGTPLLQAISNALNPNATESKLPDISPDNKILFIAGHDTNIANIAGMLNMRWTLPGQPDNTPPGGALVFER
LADKSGKQYVSVSMVYQTLEQLRSQTPLSLNQPAGSVQLKIPGCNDQTAEGYCPLSTFTRVVSQSVEPGCQLQ
配列番号3
NDTPASGYQVEKVVILSRHGVRAPTKMTQTMRDVTPYTWPEWPVKLGYITPRGEHLISLMGGFYRQKFQQQGILPRGSCPTPNSI
YVWTDVAQRTLKTGEAFLAGLAPQCGLTIHHQQNLEKADPLFHPVKAGICSMDKTQVQQAVEKEAQTPIDNLNQRYIPELALMNT
ILNFSKSPWCQKHSADKPCDLALSMPSKLSIKDNGNEVSLDGAIGLSSTLAEIFLLEYAQGMPQVAWGNIHSEQEWALLLKLHNV
YFDLMERTPYIARHKGTPLLQAISNALNPNATESKLPDISPDNKILFIAGHDTNIANIAGMLNMRWTLPGQPDNTPPGGALVFER
LADKSGKQYVSVSMVYQTLEQLRSQTPLSLNQPPGSVQLKIPGCNDQTAEGYCPLSTFTRVVSQSVEPGCQLQ
配列番号4
NDTPASGYQVEKVVILSRHGVRAPTKMTQTMRDVTPNTWPEWPVKLGYITPRGEHLISLMGGFYRQKFQQQGILSQGSCPTPNSI
YVWADVDQRTLKTGEAFLAGLAPQCGLTIHHQQNLEKADPLFHPVKAGTCSMDKTQVQQAVEKEAQTPIDNLNQHYIPFLALMNT
TLNFSTSAWCQKHSADKSCDLGLSMPSKLSIKDNGNKVALDGAIGLSSTLAEIFLLEYAQGMPQAAWGNIHSEQEWASLLKLHNV
QFDLMARTPYIARHNGTPLLQAISNALNPNATESKLPDISPDNKILFIAGHDTNIANIAGMLNMRWTLPGQPDNTPPGGALVFER
LADKSGKQYVSVSMVYQTLEQLRSQTPLSLNQPAGSVQLKIPGCNDQTAEGYCPLSTFTRVVSQSVEPGCQLQ
配列番号5(E121T)
NDTPASGYQVEKVVILSRHGVRAPTKMTQTMRDVTPNTWPEWPVKLGYITPRGEHLISLMGGFYRQKFQQQGILSQGSCPTPNSIYVWTDVAQRTLKTGEAFLAGLAPQCGLTIHHQQNLTKADPLFHPVKAGICSMDKTQVQQAVEKEAQTPIDNLNQHYIPSLALMNTTLNFSKSPWCQKHSADKSCDLGLSMPSKLSIKDNGNEVSLDGAIGLSSTLAEIFLLEYAQGMPQAAWGNIHSEQEWALLLKLHNVYFDLMERTPYIARHKGTPLLQAISNALNPNATESKLPDISPDNKILFIAGHDTNIANIAGMLNMRWTLPGQPDNTPPGGALVFERLADKSGKQYVSVSMVYQTLEQLRSQTPLSLNQPAGSVQLKIPGCNDQTAEGYCPLSTFTRVVSQSVEPGCQLQ
配列番号6(P394N)
Figure 2018085997
配列番号7(D386N)
Figure 2018085997
配列番号8(K202N及びN204T)
Figure 2018085997
配列番号9(Q151N及びP153S)
Figure 2018085997
配列番号10(P373T)
Figure 2018085997
配列番号11(Q76N)
Figure 2018085997
配列番号12
MTISAFNRKKLTLHPGLFVALSAIFSLGSTAYA

Claims (44)

  1. 組成物におけるフィターゼの安定性を向上させる方法であって、少なくとも10ミリモルのフィチン酸を前記組成物に導入することを含み、前記フィターゼ及び前記フィチン酸は機能上近接している、方法。
  2. 前記フィターゼ及び前記フィチン酸が、溶液である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記フィターゼ及び前記フィチン酸が、固体状である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記フィターゼ及び前記フィチン酸が、固体基材に対し噴霧乾燥される、請求項1又は3に記載の方法。
  5. 前記フィターゼ及び前記フィチン酸が、顆粒剤に組み込まれる、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 前記顆粒剤が多層化顆粒剤である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記フィターゼ及び前記フィチン酸が、多層化顆粒剤の同一の層に組み込まれる、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記顆粒剤が、食品又は動物用飼料に含有され、食品又は動物用飼料ペレットのペレット化後の活性回収率が、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記フィターゼのDSC Tmが、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化させていない対照フィターゼと比較して、少なくとも1℃、少なくとも1.3℃、少なくとも1.4℃、又は少なくとも1.5℃上昇している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記フィターゼのDSC Tmが、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化させていない対照フィターゼと比較して、少なくとも2℃、少なくとも4℃、少なくとも6℃、少なくとも7℃、少なくとも7.5℃、少なくとも7.6℃、少なくとも8℃上昇している、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記安定化させたフィターゼと少なくとも1種の食品又は動物用飼料原料とを混合し、得られた混合物を蒸気処理によりペレット化した後の前記フィターゼ活性が、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化させていない対照フィターゼのフィターゼ活性と比較して少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも23%、少なくとも25%、少なくとも27%、又は少なくとも30%高い、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記安定化させたフィターゼと少なくとも1種の食品又は動物用飼料原料とを混合し、前記得られた混合物を蒸気処理によりペレット化した後、前記フィターゼ活性が、少なくとも10ミリモル濃度〜150ミリモル濃度の濃度範囲の対照フィターゼのフィターゼ活性と比較して少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも23%、少なくとも25%、少なくとも27%、又は少なくとも30%高い、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記食品又は前記動物用飼料が液体である、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 前記フィターゼがフィターゼBP17である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記フィターゼがRonozyme P−(CT)である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記フィターゼが、エンドN−アセチルグルコサミニダーゼ遺伝子の欠失を含むトリコデルマ(Trichoderma)宿主細胞において産生されたフィターゼBP17である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  17. フィチン酸及びフィターゼを含む顆粒剤組成物であって、前記フィターゼ及び前記フィチン酸が機能上近接している、組成物。
  18. 前記フィチン酸が少なくとも10ミリモル濃度、少なくとも20ミリモル濃度、少なくとも30ミリモル濃度、少なくとも50ミリモル濃度、少なくとも80ミリモル濃度、又は少なくとも100ミリモル濃度であり、前記フィターゼが500ミリモル濃度未満、400ミリモル濃度未満、300ミリモル濃度未満、200ミリモル濃度未満、150ミリモル濃度未満、又は100ミリモル濃度未満である、請求項17に記載の組成物。
  19. 前記フィチン酸が10〜100ミリモル濃度、20〜90ミリモル濃度、30〜80ミリモル濃度、又は40〜70ミリモル濃度である、請求項18に記載の組成物。
  20. 前記フィターゼが、対照フィターゼと比較して安定的である、請求項17〜19のいずれか一項に記載の組成物。
  21. 前記フィターゼ及び前記フィチン酸が、固体基材に対し噴霧乾燥される、請求項17〜20のいずれか一項に記載の組成物。
  22. 前記フィターゼ及び前記フィチン酸が、多層化顆粒剤に組み込まれる、請求項17〜21のいずれか一項に記載の組成物。
  23. 前記フィターゼ及び前記フィチン酸が、前記多層化顆粒剤の同一層に組み込まれる、請求項22に記載の組成物。
  24. 前記安定度がDSC Tmの上昇を含む、請求項20に記載の組成物。
  25. 前記フィターゼのDSC Tmが、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化させていない対照フィターゼと比較して少なくとも1℃、少なくとも1.3℃、少なくとも1.4℃、又は少なくとも1.5℃だけ上昇している、請求項24に記載の組成物。
  26. 前記フィターゼのDSC Tmが、少なくとも10ミリモル濃度の濃度範囲のフィチン酸により安定化させていない対照フィターゼと比較して少なくとも2℃、少なくとも4℃、少なくとも6℃、少なくとも7℃、少なくとも7.5℃、少なくとも7.6℃、少なくとも8℃上昇している、請求項20に記載の組成物。
  27. 前記フィターゼと少なくとも1種の食品又は動物用飼料原料とを混合し、前記得られた混合物を蒸気処理によりペレット化した後の前記フィターゼの活性回収率が、フィチン酸により安定化させていない対照フィターゼと比較して少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも23%、少なくとも25%、少なくとも27%、又は少なくとも30%高い、請求項17〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記安定化させたフィターゼと少なくとも1種の食品又は動物用飼料原料とを混合し、前記得られた混合物を蒸気処理によりペレット化した後の前記フィターゼの活性回復率が、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化させていない対照フィターゼの活性回復率と比較して少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも23%、少なくとも25%、少なくとも27%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも42%、又は少なくとも45%高い、請求項17〜26のいずれか一項に記載の方法。
  29. イノシトール六リン酸、イノシトール五リン酸、イノシトール四リン酸、イノシトール三リン酸、イノシトール二リン酸、イノシトール一リン酸、並びに前記フィターゼによる前記フィチン酸の加水分解により生じるこれらの混合物などのリン酸化度の低いイノシトールリン酸塩を含む、請求項17〜28のいずれか一項に記載の組成物。
  30. 前記フィターゼが、フィターゼBP17又はRononzyme P−(CT)である、請求項17〜29のいずれか一項に記載の組成物。
  31. 前記フィターゼが、前記エンドN−アセチルグルコサミニダーゼ遺伝子の欠失を含むトリコデルマ(Trichoderma)宿主細胞において産生されたフィターゼBP17である、請求項17〜30のいずれか一項に記載の組成物。
  32. 前記フィターゼと少なくとも1種の食品又は動物用飼料原料とを混合し、得られた混合物を蒸気処理によりペレット化した後の、固体状のフィターゼの活性回収率を向上させる方法であって、
    少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸を前記フィターゼに対し提供する工程と、
    前記フィターゼと少なくとも1種の食品又は動物用飼料原料とを混合する工程と、
    前記得られた混合物を蒸気処理によりペレット化する工程と、を含み、
    前記フィターゼの活性回収率が、少なくとも10ミリモル濃度のフィチン酸により安定化させていない対照フィターゼと比較して少なくとも15%、少なくとも17%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも23%、少なくとも25%、少なくとも27%、又は少なくとも30%高い、方法。
  33. 顆粒剤を含むペレット組成物であって、前記顆粒剤がフィチン酸及びフィターゼを機能上近接させて含み、前記フィチン酸の濃度が少なくとも10ミリモル濃度である、ペレット組成物。
  34. 前記顆粒剤が多層化顆粒剤である、請求項33に記載の組成物。
  35. 前記フィターゼ及びフィチン酸が、前記多層化顆粒剤の同一層に組み込まれる、請求項34に記載の組成物。
  36. 前記顆粒剤が、硫酸ナトリウムコアを更に含み、前記フィチン酸及びフィターゼが前記硫酸ナトリウムコアを取り囲む層に含有され、前記フィチン酸及びフィターゼ層がデンプン、スクロース、及び菜種油を含み、前記組成物が、硫酸ナトリウムを含む第1の外側コーティング、並びにPVA及びタルクを含む第2の外側コーティングを更に含む、請求項1〜16及び32のいずれか一項に従って製造された請求項17〜31及び33〜35のいずれか一項に記載の組成物。
  37. 前記顆粒剤が、硫酸ナトリウムコアを更に含み、前記フィチン酸及びフィターゼが前記硫酸ナトリウムコアを取り囲む層に含有され、前記フィチン酸及びフィターゼ層がデンプン、スクロース、及び菜種油を含み、前記組成物が、PVA及びタルクを含む第1の外側コーティング、スクロース及びデンプンを含む第2の外側コーティング、並びにPVA及びタルクを含む第3の外側コーティングを更に含む、請求項1〜16及び32のいずれか一項に従って製造された請求項17〜31及び33〜35のいずれか一項に記載の組成物。
  38. 加熱処理食品又は動物用飼料ペレットの製造方法であって、
    請求項17〜30及び32〜36のいずれか一項に記載の組成物を、少なくとも1種の食品又は動物用飼料原料と混合する工程と、
    得られた前記混合物を蒸気によりペレット化する工程と、を含む、製造方法。
  39. 飼料組成物の製造方法であって、
    試料成分を、コア及びコーティングを含む顆粒剤と混合する工程であって、前記コアが、フィターゼ及びフィチン酸を機能上近接させて含む、混合する工程と、
    前記組成物を蒸気処理する工程と、
    前記組成物をペレット化する工程と、を含む、製造方法。
  40. 前記コーティングが塩を含む、請求項39に記載の方法。
  41. 前記塩が、クエン酸ナトリウム、NaCl、NaCO、NaNO、NaHPO、NHCl、(NHHPO、NHPO、(NHSO、KCl、KHPO、KHPO、KNO、NaSO、KSO、KHSO、MgSO、ZnSO、及びCuSOからなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
  42. 前記フィチン酸の濃度が、少なくとも10ミリモル濃度である、請求項39〜41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記フィターゼがBP17である、請求項39〜42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記フィターゼがRonozyme P−(CT)である、請求項39〜43のいずれか一項に記載の方法。
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