JP2018085316A - リチウムイオン電池の負極材料、リチウムイオン電池及びその動作方法並びにリチウムイオン電池の負極又は負極材料の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン電池の負極材料、リチウムイオン電池及びその動作方法並びにリチウムイオン電池の負極又は負極材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】負極(活物質)材料としてシリコン微細粒子を用いるリチウムイオン電池において、負極(活物質)材料内でのシリコン微細粒子が孤立して破壊するような現象を防ぎ、サイクル特性の改善を図る。【解決手段】表面上の少なくとも一部が炭素によって覆われたシリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物を用いて形成された負極材料及び、前記負極材料を用いて放電容量を制限して動作させるリチウムイオン電池。【選択図】図10

Description

本発明はリチウムイオン電池の負極材料、リチウムイオン電池及びその動作方法並びにリチウムイオン電池の負極又は負極材料の製造方法に関する。
従来から採用されているリチウムイオン電池は、その負極側に、負極活物質(以下、「負極材及び負極材料」ともいう)の黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛等)と負極材とを結着材を用いて混合した合材層を備える負電極を有し、一方、その正極側に、正極活物質(以下「正極材及び正極材料」ともいう)のリチウム(Li)酸化物粉末(LiCoO、LiNO,LiMnO等)と導電性黒鉛(主にカーボンブラック等)とを結着材(PVDF:ポリフッ化ビニリデン等)用いて混合し、塗布形成した合材層を備える正電極を有している。また、リチウムイオン電池のセル容器内には電解液が満たされるとともに、負極材と正極材との間には、セパレータ(主に、ポリオレフィン系多孔質材、または多孔質のポリプロピレン・シート等)が設けられている。
上述のセパレータは、電解液を通過させ、リチウムイオンの移動を生じさせることを可能にして、電気的な短絡が起こらないように電極間を分離するような物質で構成されている。
リチウムイオン電池の充放電は、リチウムイオンが電解液中で負極材と正極材との間を移動することによって行われる。すなわち、充電時においては、リチウムイオンは負極側に移動し、放電時においては、リチウムイオンは正極側に移動する。充電は、外部接続の電源を通じて行われ、放電は、外部接続の抵抗(負荷)を介して行われる。
ところで、リチウムイオン電池の分野で、近年、その負極活物質に、上記の黒鉛に代わる素材として、シリコン粒子を用いる技術が開示されている。例えば、シリコン粒子として、単結晶シリコンを乳鉢で粉砕し、メッシュを用いて分級することによって形成した、直径が約38ミクロン(μm)以下の粉末を、アルゴン雰囲気中30℃/分の昇温速度で150℃(到達温度)にまで加熱されたものがある(特許文献1参照)。また、他の例として、高温高濃度の亜鉛ガス中に液状の四塩化ケイ素(SiCl)を供給し、1050℃以上の高温状態で反応させることによって、四塩化ケイ素を還元して、微細なSi粒子を形成し、該微細なSi粒子を1000℃以下、とくに500〜800℃で結晶成長並びに凝集させたのち、そのSi粒子の粒度を調整し、塩化亜鉛(ZnCL2)水溶液中に集める。この作業により、粒径が1〜100μm程度の高純度シリコン粒子を得て、それを利用することが開示されている(特許文献2参照)。
特開2005−032733号公報 特開2012−101998号公報
しかしながら、従来技術においては、負極材料としてシリコン粒子を用いる場合、その充放電における電気容量を増大させることができるが、一方で、シリコン粒子内にリチウムを吸蔵・放出して、シリコン粒子が体積変動し、又は破壊されることが生ずる。その結果、充放電のサイクル特性が維持できないという問題が存在している。
また、上述の特許文献1、特許文献2の開示されたようなシリコン粒子を製作する場合、高温の合成や採集工程など、負極材料としてのシリコン粒子を得るまでの製造過程が極めて複雑で、生産性の低下、製造コスト高などが避けられない。従って、シリコン粒子を用いたリチウムイオン電池の開発は未だ途上である。
本発明は、従来のシリコン粒子を用いた負極材料が抱えていた充放電のサイクル特性等に関する諸問題の少なくとも一部を解決することにより、高性能のリチウムイオン電池の負極材料、リチウムイオン電池及びその動作方法、リチウムイオン電池の負極又は負極材料の製造方法の提供に大きく貢献し得る。
また、本発明の1つのリチウムイオン電池の負極材料は、シリコン切粉を洗浄・粗粉砕して得られる表面上の少なくとも一部が炭素によって覆われたシリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物を用いて形成され、放電容量を制限して動作させる。
本発明のもう1つのリチウムイオン電池の負極材料は、表面上の少なくとも一部が炭素によって覆われたシリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物を用いて形成され、かつ不定形の少なくともその一部が円弧上の境界を有するシリコン微細粒子の該凝集物又は該集合物を含み、放電容量を制限して動作させる。
上述の各負極材料を採用することと放電容量を制限して動作させることを組み合わせることにより、充放電が繰り返されても充放電容量の変化が少ない、換言すれば充放電のサイクル特性の良いリチウムイオン電池を実現することができる。あるいは、充放電容量の増大を実現し得る。
また、上述の各負極材料となるシリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物は、例えば、シリコンの溶融固化された塊又はインゴットを固定砥粒ワイヤによって削り出された、通常は産業廃棄物として扱われている切粉又は切削屑を出発材として採用することができる点は特筆に価する。加えて、その切粉又は切削屑を、ボールミル機のみによって洗浄・粗粉砕することにより形成されるシリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物は、放電容量を制限して動作させることにより、リチウムイオン電池の充放電のサイクル特性の高レベルでの維持、及び/又はその特性の向上を実現するための好適な一態様である。
また、本発明の1つのリチウムイオン電池は、シリコン切粉を洗浄・粗粉砕して得られる表面上の少なくとも一部が炭素によって覆われたシリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物を用いて形成される負極材料を備え、放電容量を制限して動作させる。
また、本発明のもう1つのリチウムイオン電池は、表面上の少なくとも一部が炭素によって覆われたシリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物を用いて形成され、かつ不定形の少なくともその一部が円弧上の境界を有するシリコン微細粒子の該凝集物又は該集合物を含む、負極材料であり、放電容量を制限して動作させる。
上述のリチウムイオン電池において放電容量を制限して動作させることにより、充放電が繰り返されても充放電容量の劣化を低減することができる。あるいは、充放電のサイクル特性の高レベルでの維持、及び/又はその特性の向上をさせることができるのみならず、充放電容量の増大をも可能にし得る。
また、本発明の1つのリチウムイオン電池の負極材料の製造方法は、結晶性シリコン切粉を洗浄・粗粉砕することにより、そのシリコン微細粒子あるいは該凝集物又は該集合物の表面上の少なくとも一部を覆う炭素を形成する、炭素被覆形成工程と、を含み、放電容量を制限して動作させる。
また、本発明のもう1つのリチウムイオン電池の負極材料の製造方法は、固定砥粒ワイヤによって削り出される切粉又は切削屑である結晶性シリコンを洗浄・粗粉砕することにより、不定形でその少なくとも一部が円弧上の境界を有するシリコン微細粒子あるいは該凝集物又は該集合物の表面上の少なくとも一部を覆う炭素を形成する、炭素被覆形成工程と、を備え、放電容量を制限して動作させる。
上述のリチウムイオン電池の負極材料の製造方法と放電容量を制限して動作させることにより、充放電が繰り返されても充電容量及び/又は放電容量の変化が少ない、換言すれば充放電のサイクル特性の良いリチウムイオン電池を実現し得る、あるいは、充放電容量の増大を実現し得るリチウムイオン電池の製造に貢献し得る。
また、本発明の1つのリチウムイオン電池の負極の製造方法は、結晶性シリコンを洗浄・粗粉砕することにより、そのシリコン微細粒子あるいは該凝集物又は該集合物の表面上の少なくとも一部を覆う炭素を形成する、炭素被覆形成工程と、を含み、放電容量を制限して動作させる。
また、本発明のもう1つのリチウムイオン電池の負極の製造方法は、固定砥粒ワイヤによって削り出される切粉又は切削屑である結晶性シリコンを粉砕することにより、不定形でその少なくとも一部が円弧上の境界を有するシリコン微細粒子あるいは該凝集物又は該集合物の表面上の少なくとも一部を覆う炭素を形成する、炭素被覆形成工程と、を備え、放電容量を制限して動作させる。
上述のリチウムイオン電池の負極の製造方法と放電容量を制限して動作させることにより、充放電容量の増大とともに、充放電が繰り返されても充電容量及び/又は放電容量の変化が少ない、換言すれば充放電のサイクル特性の良いリチウムイオン電池の製造に貢献し得る。
なお、上述の各シリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物の表面上の少なくとも一部を炭素によって覆う手段は特に限定されない。代表的な該手段の例は、アセチレン等に代表される炭化水素等の熱分解によって形成する炭素膜を利用する手段、ファーネス法によって形成された炭素膜を利用する手段、チャネル法によって形成された炭素膜を利用する手段、又はプラズマ処理によって形成される炭素膜を利用する手段である。
なお、上述の各発明における結晶性シリコンには、単結晶シリコンのみならず、多結晶シリコンが含まれる。また、上述の各発明における結晶性シリコンとして金属性のシリコンを選択することもできる。
本発明の1つのリチウムイオン電池の負極材料によれば、充放電が繰り返されても充放電容量の変化が少ない、換言すれば充放電のサイクル特性の良いリチウムイオン電池を実現することができるのみならず、充放電容量の増大を実現し得る。また、本発明の1つのリチウムイオン電池及びその動作方法(放電容量を制限して動作させる)によれば、充放電が繰り返されても充放電容量の変化を低減する、換言すれば充放電のサイクル特性を向上させることができるのみならず、充放電容量の増大を実現し得る。加えて、本発明の1つのリチウムイオン電池の製造方法によれば、充放電が繰り返されても充放電容量の変化が少ない、換言すれば充放電のサイクル特性の良いリチウムイオン電池のみならず、充放電容量の増大を実現し得るリチウムイオン電池の製造に貢献し得る。
第1の実施形態のリチウムイオン電池の負極材料の製造工程を示すフロー図である。 S1工程後のシリコン微細粒子及びその凝集体又は集合物のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を示す図である。 S1工程後のシリコン微細粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)像を示す図である。 S1工程後の他の例のシリコン微細粒子の拡大TEM像を示す図である。 S2工程後の炭素被膜を有するシリコン微細粒子のTEM像である。 第2の実施形態のリチウムイオン電池の概要構成図である。 第2の実施形態のリチウムイオン電池のフル充電・フル放電の動作状態での充電容量の充放電サイクル特性図である。 第2の実施形態のリチウムイオン電池のフル充電・フル放電の動作状態での放電容量の充放電サイクル特性図である。 第2の実施形態のリチウムイオン電池の放電容量を制限して動作させた状態での充電容量の充放電サイクル特性図である。 第2の実施形態のリチウムイオン電池の放電容量を制限して動作させた状態での放電容量の充放電サイクル特性図である。
1 シリコン微細粒子
11 電源
12 負荷
13 負電極
14 負極材及び負極材料
15 電解液
16 セパレータ
17 容器
18 正極材及び正極材料
19 正電極
本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。なお、この説明に際し、図中、各実施形態の要素のそれぞれは、必ずしも互いの縮尺比を保って示されているものでもない。また、各図面を見やすくするために、一部の符号が省略され得る。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態のリチウムイオン電池の負極材料の製造工程を示すフロー図である。
本実施形態のリチウムイオン電池の負極材料、及びその負極材料を備えたリチウムイオン電池及びその動作方法、並びにそれらの製造方法は、例えば太陽電池等の半導体製品に使用されるシリコンウェハの生産過程におけるシリコンの切削加工において通常は廃棄物とされるシリコンの切粉あるいはシリコンの切削屑又は研磨屑(以下、「シリコンの切粉等」又は「切粉等」ともいう)を出発材料の一例とした、各種の工程を備える。また、切粉等には、廃棄対象となったシリコンウェハを公知の粉砕機によって粉砕した微細な屑も含まれる。図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン電池の製造方法は、以下の(1)、(2)、(3)の工程を含む。
(1)洗浄・粗粉砕工程(S1)
(2)炭素被覆形成工程(S2)
(3)負極形成工程(S3)
(1)洗浄・粗粉砕工程(S1)
本実施形態の洗浄・粗粉砕工程(S1)においては、例えば、単結晶又は多結晶のシリコン、すなわち、結晶性シリコンの塊又はインゴット(n型の結晶性シリコンの塊又はインゴット)の切削過程において形成されるシリコンの切粉等が洗浄・粗粉砕される。代表的なシリコンの切粉等は、シリコンのインゴットが公知のワイヤ等(代表的には、固定砥粒ワイヤ)によって削り出される切粉等であり、インゴットの約半分程度の重量である。従って、本実施形態においては、従来、云わば、廃材とされてきたシリコンの切粉等を出発材として、リチウムイオン電池の負極材料を構成するシリコン微細粒子を形成するため、製造コスト及び又は原材料の調達の容易性、及び資源の活用性の観点で優れている。
本実施形態の洗浄・粗粉砕工程(S1)は、主として、上述のシリコンの切粉等の形成過程において付着する有機物、代表的には、切削過程で使用するクーラント剤及び添加剤等の有機物の除去とシリコン切粉の粗粉砕を目的とし、実施は一般的なボールミル機(図示しない)を用いる。本実施形態においては、まず、洗浄・粗粉砕対象となる切粉等を秤量した後、その切粉等と所定の第1液体、並びにボールミル機内用ボールが、有底円筒形のポット内に導入される。ポット内を密閉にした後、洗浄機(洗浄・粗粉砕機)であるボールミル機が有する円柱状の2本の回転体を回転させることによって、ポットを回転させる。その結果、ポット内において、洗浄・粗粉砕対象となる切粉等を第1液体中に分散させることにより切粉等の洗浄と同時に粗粉砕処理が行われる。
ここで、本実施形態のボールミル機は、ポット及び蓋に収められた鋼球、磁性ボール、玉石及びその類似物をボール種(粉砕媒体)とし、ポット及び蓋を回転させることによって物理的な衝撃力を与える洗浄・粗粉砕機である。また、上述の第1液体の好適な例は、アセトンである。また、より具体的な一態様においては、例えば、シリコンの切粉等の100グラム(g)に対してアセトン300ミリリットル(mL)を添加し、ボールミル機(本実施形態においては、MASUDA社製、Universal BALL MILL)の回転体上に乗せられたポット及び蓋内で約1時間撹拌することにより、シリコンの切粉等をアセトン中に分散させた。なお、ボールミル機のボール種は、粒径φ10ミリメートル(mm)のアルミナボールと粒径φ20mmのアルミナボールであった。なお、本実施形態の洗浄・粗粉砕工程(S1)においては、ボールミル機内において、シリコンの切粉等を第1液体中で洗浄・粗粉砕及び撹拌することによって分散処理を行っている。従って、単に第1液体に浸漬させるだけの処理よりも、洗浄効率を格段に高めることになるため、リチウムイオン電池の負極特性の向上、特に充放電サイクル特性の向上の観点で好適なシリコン微細粒子を得ることが可能となる。
洗浄・粗粉砕工程(S1)の後、蓋を開けてシリコン微細粒子を第1液体とともに排出した後、公知の減圧濾過手段により、第1液体は吸引ろ過にて除去されて廃液となる。一方、残ったシリコン微細粒子は、公知の乾燥機内において乾燥され、所定のシリコン微細粒子及びその凝集体又は集合体を得る。なお、洗浄・粗粉砕工程(S1)において採用され得る他の洗浄の例は、脂肪酸ナトリウムによる洗浄法を用いた洗浄、又は水(純水を含む)を用いた洗浄である。図2にS1工程後のシリコン微細粒子のSEM写真を示す。シリコン微細粒子の大きさは約2μ以下のシリコン微細粒子1(以下単にシリコン微細粒子ともいう)及びその凝集体又は集合物からなっている。シリコン微細粒子は平面状のみならず、折り曲がった立体形状も見られる。
また、公知のライカイ機(代表的なライカイ機として、株式会社石川工場社製、型式20D型)を用いて、上述の洗浄・粗粉砕工程(S2)によって得られたシリコン微細粒子及びその凝集体又は集合物をさらに解砕することは、採用し得る他の好適な一態様である。この解砕処理により、リチウムイオン電池の負極を形成する際の分散性が改善されるため、リチウムの吸蔵・放出によって負極が破壊されることが確度高く防止され又は抑制されるという効果が得られる。
(2)炭素被覆形成工程(S2)
本実施形態においては、洗浄・粗粉砕工程経たシリコン微細粒子及びその凝集体または集合物の表面の一部又は全部を炭素の膜によって被覆する炭素被覆形成工程が行われる。従って、本実施形態の炭素被覆形成工程(S2)を経たシリコン微細粒子は、その表面上の少なくとも一部が炭素によって覆われているため、炭素によって覆われていないシリコン微細粒子に比べて厚みが増すことになる。なお、本実施形態の炭素が導電性を備えることによって、導電性を有する負極材料を形成することができる。また、例えば、その膜厚が数nm〜数百nmの炭素によってシリコン微細粒子を覆うことによって、薄い厚みの負極を形成するのみならず、比較的厚い負極の形成が容易になる。なお、図5は1000℃のエチレンガス雰囲気で炭素対シリコン微細粒子の重量比が0.136:1で形成された本実施形態の炭素被覆形成工程(S2)を経た、シリコン微細粒子(一部の拡大図)あるいはその凝集物又は集合物(一部の拡大図)の一例のTEM(透過型電子顕微鏡)像である。図5において示される結晶性シリコンは、主として、結晶の面方位(111)(単に、「Si(111)」又は「(111)」とも表記する。)が観察された。炭素の膜厚は10nm前後である。
加えて、例えば、炭素によってシリコン微細粒子を覆うことによる負極全体としての内部応力の緩和、より微視的には個別のシリコン微細粒子の内部応力の緩和に寄与し得る。その結果、リチウムイオン電池の製造をより容易にすることができるとともに、リチウムイオン電池の性能(例えば、充放電のサイクル特性)の向上にも寄与し得る。
また、表面上の少なくとも一部が炭素によって覆われたシリコン微細粒子を用いてリチウムイオン電池の負極材料を形成することにより、炭素によって覆われていないシリコン微細粒子に比べて充電容量値及び放電容量値を増加させることも可能となる。例えば、本願発明者らの研究によれば、炭素によって覆われていないシリコン微細粒子の場合、例えば、負極材料の厚みが約30μmである場合は、充電容量値及び放電容量値が、500(mAh/g)未満である。しかしながら、表面上の少なくとも一部が炭素によって覆われたシリコン微細粒子を用いることにより、充電容量値及び放電容量値が、2倍以上に増加させることができる。
ところで、本実施形態の炭素被覆形成工程(S2)において、シリコン微細粒子の表面の一部又は全部(換言すれば、その表面上の少なくとも一部)を炭素の膜によって被覆する手段は、特に限定されない。例えば、化学気相成長法の一例である熱CVD法によってシリコン微細粒子2の表面上の少なくとも一部を炭素によって覆う方法を採用することができる。具体的には、シリコン微細粒子2を有機物ガス及び/又はその蒸気を含有する雰囲気において、約600℃以上約1200℃以下で加熱することによって、シリコン微細粒子2の表面上の少なくとも一部を炭素の膜によって被覆することができる。従って、化学気相成長装置の一例である熱CVD装置は、本実施形態の被覆形成工程(S4)において採用し得る被覆形成部60の一態様である。また、熱CVD法において採用され得る材料(又は原料)の例は、メタン、エタン、アセチレン、エチレン、プロパン、ブタン、ブテン、ペンタン、イソブタン、ヘキサンの群から選択される1種又は2種以上の炭化水素、及び/又は、1種又は2種以上の公知の芳香族炭化水素である。なお、銅又は銅合金を触媒として採用することにより、約400℃でもアセチレンを熱分解し得る点は、処理温度の低温化に寄与しうる。
上述のとおり、代表的には、炭化水素ガスを、加熱されたシリコン微細粒子1上又はその近傍において熱分解させて炭素化することにより、シリコン微細粒子1の表面上の少なくとも一部をその炭素の膜によって被覆することが、本実施形態において適切な炭素の膜の一例を実現するとともに、生産性及び工業性に優れた手法であるといえる。なお、化学気相成長法の他の一例である減圧熱CVD法又はプラズマCVD法も、適宜採用され得る。
また、シリコン微細粒子1の表面上の少なくとも一部を炭素の膜によって被覆する方法の他の例は、次のとおりである。まず、公知の(塩素化ポリエチレンエラストマー等)の有機化合物、又は該有機化合物と黒鉛粉末とを混合した混合物を、炭素被覆形成部内において、少なくとも本実施形態の洗浄・粗粉砕工程(S1)によって処理されたシリコン微細粒子に付着又は吸着させる。その後、該有機化合物を熱分解する温度まで加熱し、該有機化合物を炭化させることにより、表面上の少なくとも一部が炭素(代表的には、グラフェン、グラファイト、及び/又は無定形炭素)によって覆われたシリコン微細粒子を形成することができる。なお、一旦形成された該シリコン微細粒子を窒素雰囲気下又は水素雰囲気下で、例えば400℃〜1200℃にて焼成する工程を追加的に、及び/又は事前に実施することも、本実施形態の変形例の一態様である。なお、シリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物の表面上に酸化膜が形成されることを確度高く防止、抑制、又は除去し得る観点から言えば、シリコン微細粒子を水素雰囲気下で加熱(1000℃)することが好ましい。
また、その他の公知の手段を用いて、表面上の少なくとも一部が炭素によって覆われたシリコン微細粒子を形成することも、採用し得る別の一態様である。例えば、公知のカーボンブラックの製造方法(ファーネス法又はチャンネル法)によって形成された炭素膜を利用することも可能である。なお、ファーネス法は、コールタールを蒸留して得られるクレオソート油を乱流拡散させた状態の所定のチャンバー内においてクレオソート油の部分燃焼を行った後、飛沫を水冷する方法である。また、チャンネル法は、例えば天然ガスを燃焼させて形成した炎をチャンネル鋼の冷却面に衝突させることによって、炭素を析出させる方法である。但し、石油由来の硫黄成分が含まれることになるため、そのような不純物成分が混入され難い方法である、上述の熱CVD法を採用することがより好ましい。また、上述の各方法を採用する際に、例えばシリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物に対して、適宜、公知の機械構造を採用して運動エネルギーを与えることによって、シリコン微細粒子2あるいはその凝集物又は集合物の表面上の少なくとも一部を炭素の膜を用いて被覆する方法を採用することは、シリコン微細粒子2あるいはその凝集物又は集合物の表面上に、より均質に(例えば、厚み及び/又は密度において均一性良く)炭素の膜を形成することが可能となるため、好適な一態様である。より具体的には、シリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物を収容するチャンバー又は管を回転させながら、及び/又は、シリコン微細粒子2あるいはその凝集物又は集合物に対して超音波振動を与えながら、シリコン微細粒子2あるいはその凝集物又は集合物の表面上の少なくとも一部を炭素の膜を用いて被覆する方法を採用することは、シリコン微細粒子2あるいはその凝集物又は集合物の表面上に、より均質に炭素の膜を形成することが可能となるため、好適な一態様である。
(3)負極形成工程(S3)
本実施形態のリチウムイオン電池の負極材料及び負極の製造装置(図示しない)は、炭素被覆形成工程(S4)によって処理された負極材料としてのシリコン微細粒子と、負極の一部を構成する部材(例えば、銅箔)とを結着材(例えば、アンモニウムカルボキシルメチルセルロース(CMC)及びスチレンブタジエンゴム(SBR)、あるいは、アンモニウムカルボキシルメチルセルロース(CMC)及びポリビニルアルコール(PVA))を用いて混合する混合部を備えている。この混合部によって形成される合剤層を用いて負電極が形成される。
<その他の工程>
なお、上述の洗浄・粗粉砕工程(S1)、炭素被膜工程(S2)によって、得られたシリコン微細粒子は、例えば、各シリコン微細粒子の結晶子径の個数分布及び/又は体積分布のバラつきを軽減するために分級され得る。
<第1の実施形態において得られたシリコン微細粒子の分析結果>
1.SEM像及びTEM像よるシリコン微細粒子の解析
図2は、第1の実施形態の洗浄・粗粉砕工程(S1)後のシリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物の一例のSEM(走査型電子顕微鏡)像である。また、図3は、第1の実施形態の洗浄・粗粉砕工程(S2)後における、シリコン微細粒子の一例のTEM(透過電子顕微鏡)像を示す図である。また、図4は、第1の実施形態における、シリコン微細粒子の凝集物又は集合物の他の例の一部の拡大TEM図である。
図2に示すように、個別のシリコン微細粒子1のみならず、シリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物が確認された。大変興味深いことに、さらに詳細に分析をすると、図3、並びに図4に示すように、シリコン微細粒子は、いわば薄層状のシリコン微細粒子が不定形の少なくとも一部が円弧上の境界を有している。
また、個別のシリコン微細粒子に着目した図3、4に示すTEM像から、もう一つの興味深い知見が得られた。具体的には、図3,4における白線で囲っている領域が示す個別のシリコン微細粒子は、結晶性、すなわち単結晶シリコンであることが確認できた。加えて、シリコン微細粒子の少なくとも一部は、断面視において約10nm以上の大きさの不定形の少なくともその一部が円弧上の境界を有する結晶子であることが確認できた。なお、図3、4においては、白線で囲っている各領域に、結晶の面方位(111)や(220)が示されている。
従って、図2の結果と図3、図4の各図の結果とを合わせて解析すれば、少なくとも洗浄・粗粉砕工程(S1)後のシリコン微細粒子の凝集物又は集合物は、いわば長径約2μm以下の範囲のいわば折れ曲がった薄層状、平板上及び折れ曲がった立体上のシリコン微細粒子が、重なった状態であるといえる。また、シリコン微細粒子は、図3及び図4から分かるように、主として長径が10nm以上の結晶子から構成されている。
X線回折法による測定を行ったところ、図には示さないが、第1の実施形態の洗浄・粗粉砕工程(S1)後の2θ=28.4°付近のSiの結晶面(111)に帰属する回折ピークの半値幅から、シェラーの式を用いて計算された平均結晶子径は、36nmであった。また、大変興味深いことに、洗浄・租粉砕工程(S1)後の2θ=28.4°付近のSi(111)に帰属する回折ピークの強度は、その他の回折ピークの強度(例えば、Si(220)又はSi(311)のピーク強度)よりも大きいことが明らかとなった。なお、洗浄・粗粉砕工程(S1)後のシリコン微細粒子の結晶格子のSi(111)の配列間隔は、図3、4に示したとおり、0.31nm(3.1Å)である。
上記の各解析結果を踏まえると、本実施形態の洗浄・粗粉砕工程(S1)後のシリコン微細粒子については、主として面方位が(111)である結晶性のシリコン微細粒子が、不定形であり、少なくともその一部が円弧上の境界を有するシリコン微細粒子あるいはその凝集体又は集合物であるといえる。
そうすると、本実施形態の洗浄・粉砕工程(S1)後のシリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物をリチウムイオン電池の負極材料として用いることによって、リチウムイオン電池の正極材料中から電離したリチウムイオン(Li)が負極に到達したときに、リチウムイオン(Li)がシリコン微細粒子の境界面や多重に折重なった状態の凝集物又は集合物の襞部間隙に入り込み易く、また出易いという特有の効果が奏され得る。
<第2の実施形態>
本実施形態のリチウムイオン電池は、第1の実施形態において作製した、表面上の少なくとも一部が炭素によって覆われたシリコン微細粒子を負極材料として用いている。なお、負極材料以外の構成は、従来のCR2032型のコインセル構造リチウムイオン電池の構成と同様である。
図6は、本実施形態のリチウムイオン電池の概要構成図である。本実施形態のリチウムイオン電池は、CR2032型コインセルの容器17内に、負極材及び負極材料14に電気的に接続する負電極13と、正極材及び正極材料18に電気的に接続する正電極19と、負極材及び負極材料14と正極材及び正極材料18とを電子的に絶縁するセパレータ16と、電解液15とを備える。また、本実施形態のリチウムイオン電池図6は、充放電を実現するために、負電極13及び正電極19につながる電源11と負荷(抵抗)12を備えた外部回路を有している。番号を図示していないが、充放電状態として11と12を切り替えるスイッチを有している。
また、本実施形態のリチウムイオン電池の製造方法は、次のとおりである。
負極の製造方法については、まず、第1の実施形態において作製した、表面上の少なくとも一部が炭素によって覆われたシリコン微細粒子約0.3gを、1wt%CMCバインダー水溶液、PVAバインダー水分散液からなる約10mL(ミリリットル)の溶液中に分散させる。
本実施形態においては、乾燥重量比で、炭素被膜のシリコン微細粒子、カーボンブラック、CMCバインダー水溶液、PVAバインダー水分散液の順に、50:25:20:5となるように配合する。
次に、メノウ乳鉢を用いて混合調製したスラリーを、厚さ15μmであって約9cm(縦)×10cm(横)の銅箔の一面上に、乾燥後約30μm〜約200μmの厚みとなるように塗布した後、ホットプレート上にて大気中、80℃、約1時間の乾燥処理を行う。その後、上述の銅箔を乾燥スラリーとともに電池規格CR2032型コインセル対応の直径が11.3mmの大きさの円形に打ち抜くことにより、作用極を形成する。この作用極の重量を測定した後、グローボックス内で、120℃、6時間の真空加熱により再度乾燥処理したものを、銅箔からなる負電極13の内面に張り付けることにより、本実施形態の負極が製造される。この状態の負極での炭素被膜されたシリコン微細粒子の面密度は約0.65mg/cm2であり、厚みは30μ程度である。
次に、正極については、ハーフセル構造のリチウムイオン電池を用いて負極材料の特性を評価するため、リチウム基板を直径13mmの円状に打ち抜いたものを、正電極19として採用した。なお、リチウムイオン電池の正極については、上述の正電極19の代わりに公知の正電極を採用することができる。
また、本実施形態のセパレータ16は、多孔質のポリプロレン・シートである。加えて、本実施形態の電解液15は、エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)を容積比で1/1で混合の溶媒(1L)中に、1モルの六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を溶解した電解液、あるいは、その電解液にフルオロエチレンカーボネート(FEC)を10wt%添加したものであって、CR2032型コインセルの内容積(約1mL)を満たす量以内の量を注入したものである。
上述の正極材及び正極材料18、正電極19、負極材及び負極材料14、負電極13、セパレータ16及び電解液15を、CR2032型コインセルの容器17内へ配置する。その後、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で、該コインセルの外枠の正電極19と負電極13との間を絶縁した状態で、セパレータ15及び電解液15の各構成材を容器17内に密封することにより、CR2032型コインセルのリチウムイオン電池図6を試作した。
なお、本実施形態における電解液15を構成する電解溶媒の例は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)(ポリプロレン・シート)の環状カーボネート、及び、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等の鎖状カーボネート有機溶媒の混合溶媒である。また、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)や四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)などの支持塩を前述の電解溶媒中に溶解させて使用することができる。
<リチウムイオン電池の充放電サイクル特性>
上述の構成を備えるリチウムイオン電池図6を採用することにより、充電容量値及び放電容量値を、表面が炭素によって覆われていないシリコン微細粒子を採用した場合(約500(mAh/g)未満と比較して、2倍以上に増加させることができる。また、充放電サイクル数が100回以上300サイクルやそれ以上に至った場合においても、充電容量値及び放電容量値のいずれも、あまり低下していないという極めて良好な充放電サイクル特性を実現することも可能となる。具体的な比較は以下のとおりである。
図7、図8は、本実施形態のリチウムイオン電池の充電容量、放電容量の充放電サイクル特性を示すグラフである。図7、図8の動作条件として、Xは1〜5サイクルまでは、電流密度180mA/gでフル充電・フル放電を行うことを示し、Yは6〜300サイクルまでは電流密度1800mA/gの状態でフル充電・フル放電を行うことを示し、充電容量、放電容量の充放電サイクル特性を測定した。50サイクル目くらいから、充電容量・放電容量ともに劣化が始まり、300サイクルにおいては、約1000mAh/g程度に劣化が進行している。このため、この動作条件(フル放電・フル充電)では、実用的に使用するのは極めて困難であると考えられる。これらの劣化は充放電による、リチウムの吸蔵・放出に伴うシリコン微細粒子の膨張・収縮によるシリコン微細粒子の破壊によると考えられる。図示しないが、TEMにより、この現象を確認することができた。
本発明者が動作条件に考察を加え、いろいろ変更して、実験したところ、適正な放電容量を制限した状態で動作させた場合に、リチウム電池の容量劣化が起こらないことを見出した。
以下図9、図10にその充電容量と放電容量の充放電サイクル特性依存性を示す。図9、図10の動作条件として、Xは1〜5サイクルまでは電流密度180mA/gでフル充電・フル放電行い、Yは6〜300サイクル間で、電流密度は1800mA/gで、放電容量を(a)1500mAh/g、(b)1200mAh/gで制限して充放電動作させて、測定したものである。(a)は290サイクルまで劣化せずに、290〜300サイクルで容量が1480mA/gと少し減少が発生した。(b)の1200mAh/gの制限条件では、300サイクルまで全く劣化が発生しなかった
更にサイクル数を伸ばして、実験したところ、図で示さないが、400サイクル以上において、(b)の制限条件において劣化は発生しなかった。
従って、上記の放電容量の制限で動作させることにより、リチウムイオン電池のサイクル数の実用性を飛躍的に高めることが可能となる。
一方、充電電流を1500mAh/gに制限した場合は、図示はしないが、100サイクルを超えたサイクル数で、劣化が始まり、300サイクルで大幅に劣化した。
これらの結果から、放電容量を制限した動作条件により、400サイクル以上という実用的なサイクル数までサイクル性能を維持できることが分かった。
放電容量を制限した場合に劣化が発生し難いのは、フル充電により、膨張したシリコン微細粒子から、放電容量を制限した場合には膨張したシリコン微細粒子から徐々に、膨張が小さくなる状態で適正な大きさのシリコン微細粒子に維持されるため、その膨張・収縮に伴う体積変化が小さくてシリコン微細粒子に作用する応力が小さくなり、シリコン微細粒子が破壊されずに、劣化が起こらないと考えられる。図示しないが、TEM解析により、放電容量を制限して動作させた場合は300サイクルで、シリコン微細粒子が破壊していないことが分かった。
充電容量を制限した場合は、体積変化が大きくなり、大きな応力が発生し、シリコン微細粒子が割れやすく、劣化が発生し易くなったと考えられる。
本発明のシリコン微細粒子及びそれを備えたリチウムイオン電池は、放電容量を制限する動作条件の下で、例えば、各種の発電又は蓄電装置(家庭用小型電力貯蔵装置及び大型蓄電システムを含む)、スマートフォン、携帯情報端末、携帯電子機器(携帯電話、携帯用音楽プレイヤー、ノート型パソコン、デジタルカメラ・ビデオ)、電気自動車、ハイブリッド電気自動車(HEV)又はプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、モーターを電力源とする自動二輪車、モーターを電力源とする自動三輪車、その他の輸送機械又は車両等を含む多種のデバイスないし装置に対して適することができる。

Claims (19)

  1. 表面上の少なくとも一部が炭素によって覆われたシリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物を用いて形成され、放電容量を制限して動作させる
    リチウムイオン電池の負極材料。
  2. 表面上の少なくとも一部が炭素によって覆われたシリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物を用いて形成され、かつ不定形でその一部が円弧状の境界を有するシリコン微細粒子の前記凝集物又は前記集合物を含み、放電容量を制限して動作させるリチウムイオン電池の負極材料。
  3. 前記シリコン微細粒子あるいは前記凝集物又は前記集合物のX線回折測定による、2θ=28.4°付近のSi(111)に帰属する回折ピークの強度が、その他の回折ピークの強度よりも大きい、請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン電池の負極材料。
  4. 前記シリコン微細粒子におけるシリコンを1としたときに、前記炭素の重量比が0.05以上0.37未満である、
    請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池の負極材料。
  5. 前記炭素の膜厚が、1nm以上50nm未満である、
    請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池の負極材料。
  6. 表面上の少なくとも一部が炭素によって覆われたシリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物を用いて形成される負極材料を備えて、放電容量を制限して動作させるリチウムイオン電池。
  7. 表面上の少なくとも一部が炭素によって覆われたシリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物を用いて形成され、かつ不定形で少なくともその一部が円弧状の境界を有するシリコン微細粒子の前記凝集物又は前記集合物を含む、負極材料を備え、放電容量を制限して動作させるリチウムイオン電池。
  8. 前記シリコン微細粒子あるいは前記凝集物又は前記集合物のX線回折測定による、2θ=28.4°付近のSi(111)に帰属する回折ピークの強度が、その他の回折ピークの強度よりも大きい、
    請求項6及至請求項7に記載のリチウムイオン電池。
  9. 前記シリコン微細粒子におけるシリコンを1としたときに、前記炭素の重量比が0.05以上0.37未満である、
    請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池。
  10. 前記炭素の膜厚が、1nm以上50nm未満である、
    請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池。
  11. 請求項6乃至請求項10のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池を備える装置。
  12. 結晶性シリコンを洗浄・租粉砕することにより、得られたシリコン微細粒子あるいは前記凝集物又は前記集合物の表面上の少なくとも一部を覆う炭素を形成する、炭素被覆形成工程とを含む、放電容量を制限して動作させるリチウムイオン電池の負極材料の製造方法。
  13. 固定砥粒ワイヤによって削り出される切粉又は切削屑である結晶性シリコンを洗浄・租粉砕することにより得られたシリコン微細粒子あるいは前記凝集物又は前記集合物の表面上の少なくとも一部を覆う炭素を形成する、炭素被覆形成工程と、を備える、放電容量を制限して動作させるリチウムイオン電池の負極材料の製造方法。
  14. 前記洗浄・租粉砕工程において、前記結晶性シリコンをボールミル機により行い、前記シリコン微細粒子あるいは前記凝集物又は前記集合物が形成される、
    請求項12及至請求項13のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池の負極材料の製造方法。
  15. 前記被覆形成工程が、化学気相成長法によって前記炭素を形成する工程である、
    請求項12乃至請求項14のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池の負極材料の製造方法。
  16. 結晶性シリコンを粉砕することにより、負極材料となるシリコン微細粒子あるいはその凝集物又は集合物を形成する粉砕工程と、
    前記シリコン微細粒子あるいは前記凝集物又は前記集合物の表面上の少なくとも一部を覆う炭素を形成する、被覆形成工程と、を含み、放電容量を制限して動作させるリチウムイオン電池の負極の製造方法。
  17. 固定砥粒ワイヤによって削り出される切粉又は切削屑である結晶性シリコンを粉砕することによりシリコン微細粒子の凝集物又は集合物を含むように、負極材料となる前記シリコン微細粒子を形成する粉砕工程と、
    前記シリコン微細粒子あるいは前記凝集物又は前記集合物の表面上の少なくとも一部を覆う炭素を形成する、被覆形成工程と、を備える、放電容量を制限して動作させるリチウムイオン電池の負極の製造方法。
  18. 前記粉砕工程において、前記結晶性シリコンをボールミル機による粉砕の後にビーズミル機によって粉砕することにより、前記シリコン微細粒子あるいは前記凝集物又は前記集合物が形成される、請求項15及至請求項17のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池の負極の製造方法。
  19. 前記炭素被覆形成工程が、化学気相成長法によって前記炭素を形成する工程である、請求項15乃至請求項18のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池の負極の製造方法。
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