以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.GPSシステム
1−1.概要
図1は、マイクロ波による通信システムであるGPSシステムの概要について説明するための図である。
GPS衛星10は、地球の上空の所定の軌道上を周回しており、1.57542GHzのマイクロ波(L1波)に航法メッセージを重畳させて地上に送信している。ここで、GPS衛星10は本発明における位置情報衛星の一例であり、航法メッセージが重畳された1.57542GHzのマイクロ波(以下、「衛星信号」という)は本発明における衛星信号の一例である。
現在、約30個のGPS衛星10が存在しており、衛星信号がどのGPS衛星10から送信されたかを識別するために、各GPS衛星10はC/Aコード(Coarse/AcquisitionCode)と呼ばれる1023chip(1ms周期)の固有のパターンを衛星信号に重畳す
る。C/Aコードは、各chipが+1又は−1のいずれかでありランダムパターンのように見える。従って、衛星信号と各C/Aコードのパターンの相関をとることにより、衛星信号に重畳されているC/Aコードを検出することができる。
GPS衛星10は原子時計を搭載しており、衛星信号には原子時計で計時された極めて正確な時刻情報(以下、「GPS時刻情報」という)が含まれている。また、地上のコントロールセグメントにより各GPS衛星10に搭載されている原子時計のわずかな時刻誤差が測定されており、衛星信号にはその時刻誤差を補正するための時刻補正パラメータも含まれている。そのため、GPS受信機1は、1つのGPS衛星10から送信された衛星信号を受信し、その中に含まれるGPS時刻情報と時刻補正パラメータを使用して内部時刻を正確な時刻に修正することができる。
衛星信号にはGPS衛星10の軌道上の位置を示す軌道情報も含まれている。GPS受信機1は、GPS時刻情報と軌道情報を使用して測位計算を行うことができる。測位計算は、GPS受信機1の内部時刻にある程度の誤差が含まれていることを前提として行われる。すなわち、GPS受信機1の3次元の位置を特定するためのx,y,zパラメータに加えて時刻誤差も未知数になる。そのため、GPS受信機1は、一般的には4つ以上のGPS衛星からそれぞれ送信された衛星信号を受信し、その中に含まれるGPS時刻情報と軌道情報を使用して測位計算を行う。
1−2.航法メッセージ
図2(A)〜図2(C)は、航法メッセージの構成について説明するための図である。
図2(A)に示すように、航法メッセージは、全ビット数1500ビットのメインフレームを1単位とするデータとして構成される。メインフレームは、それぞれ300ビットの5つのサブフレーム1〜5に分割されている。1つのサブフレームのデータは、各GPS衛星10から6秒で送信される。従って、1つのメインフレームのデータは、各GPS衛星10から30秒で送信される。
サブフレーム1には、週番号データ等の衛星補正データが含まれている。週番号データは、現在のGPS時刻情報が含まれる週を表す情報である。GPS時刻情報の起点は、UTC(協定世界時)における1980年1月6日00:00:00であり、この日に始まる週は週番号0となっている。週番号データは、1週間単位で更新される。
サブフレーム2、3には、エフェメリスパラメータ(各GPS衛星10の詳細な軌道情報)が含まれる。また、サブフレーム4、5には、アルマナックパラメータ(全GPS衛星10の概略軌道情報)が含まれている。
さらに、サブフレーム1〜5には、先頭から、30ビットのTLM(Telemetry word)データが格納されたTLM(Telemetry)ワードと30ビットのHOW(hand over word)データが格納されたHOWワードが含まれている。
従って、TLMワードやHOWワードは、GPS衛星10から6秒間隔で送信されるのに対し、週番号データ等の衛星補正データ、エフェメリスパラメータ、アルマナックパラメータは30秒間隔で送信される。
図2(B)に示すように、TLMワードには、プリアンブルデータ、TLMメッセージ、Reservedビット、パリティデータが含まれている。
図2(C)に示すように、HOWワードには、TOW(Time of Week、「Zカウント」
ともいう)というGPS時刻情報が含まれている。Zカウントデータは毎週日曜日の0時からの経過時間が秒で表示され、翌週の日曜日の0時に0に戻るようになっている。つまり、Zカウントデータは、週の初めから一週間毎に示される秒単位の情報である。このZカウントデータは、次のサブフレームデータの先頭ビットが送信されるGPS時刻情報を示す。例えば、サブフレーム1のZカウントデータは、サブフレーム2の先頭ビットが送信されるGPS時刻情報を示す。また、HOWワードには、サブフレームのIDを示す3ビットのデータ(IDコード)も含まれている。すなわち、図2(A)に示すサブフレーム1〜5のHOWワードには、それぞれ「001」、「010」、「011」、「100」、「101」のIDコードが含まれている。
GPS受信機1は、サブフレーム1に含まれる週番号データとサブフレーム1〜5に含まれるHOWワード(Zカウントデータ)を取得することで、GPS時刻情報を取得することができる。ただし、GPS受信機1は、以前に週番号データを取得し、週番号データを取得した時期からの経過時間を内部でカウントしている場合は、週番号データを取得しなくてもGPS衛星の現在の週番号データを得ることができる。従って、GPS受信機1は、Zカウントデータを取得すれば、日付以外の現在時刻が分かるようになっている。このため、GPS受信機1は、通常、現在時刻としてZカウントデータのみを取得する。
なお、TLMワード、HOWワード(Zカウントデータ)、衛星補正データ、エフェメリスパラメータ、アルマナックパラメータ等は、本発明における衛星情報の一例である。
GPS受信機1として、例えば、GPS装置付き腕時計(以下、「GPS付き腕時計」という)を考えることができる。GPS付き腕時計は本発明に係る電子時計の一例であり、以下では本実施形態のGPS付き腕時計について説明する。
2.GPS付き腕時計
2−1.第1実施形態
[GPS付き腕時計の回路構成]
図3は、第1実施形態のGPS付き腕時計3の回路構成について説明するための図である。
GPS付き腕時計3は、少なくとも1つのGPS衛星10からの衛星信号を受信してGPS時刻情報に基づいて内部時刻情報の修正を行うモード(測時モード)と複数のGPS衛星10からの衛星信号を受信して測位計算を行い現在地を求めて、現在地から特定される時差及びGPS時刻情報に基づいて内部時刻情報の修正を行うモード(測位モード)のいずれかに設定される。すなわち、GPS付き腕時計3は、測時モードによる時刻修正処理と測位モードによる時刻修正処理(時差修正処理)のいずれかの処理を行う。
GPS付き腕時計3は、受信モジュール30、GPSアンテナ27、時刻表示装置80及び電源供給装置90を含んで構成されている。
[受信モジュールの構成]
受信モジュール30は、GPSアンテナ27が接続される。GPSアンテナ27は、複数のGPS衛星10からの衛星信号を受信するアンテナである。
また、受信モジュール30は、SAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルタ31とRF(Radio Frequency:無線周波数)部50とベースバンド部60を含んで構成されている。SAWフィルタ31は、GPSアンテナ27が受信した信号から衛星信号を抽出する処理を行う。すなわち、SAWフィルタ31は、1.5GHz帯の信号を通過させるバンドパスフィルタとして構成される。
以下に説明するように、RF部50とベースバンド部60は、SAWフィルタ31が抽出した1.5GHz帯の衛星信号から航法メッセージに含まれる軌道情報やGPS時刻情報等の衛星情報を取得する処理を行う。
RF部50は、LNA(Low Noise Amplifier)51、ミキサ52、VCO(Voltage Controlled Oscillator)53、PLL(Phase Locked Loop)回路54、IFアンプ55、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)フィルタ56、ADC(A/D変換器)57等を含んで構成されている。
SAWフィルタ31が抽出した衛星信号は、LNA51で増幅される。LNA51で増幅された衛星信号は、ミキサ52でVCO53が出力するクロック信号とミキシングされて中間周波数帯の信号にダウンコンバートされる。PLL回路54は、VCO53の出力クロック信号を分周したクロック信号と基準クロック信号を位相比較してVCO53の出力クロック信号を基準クロック信号に同期させる。その結果、VCO53は基準クロック信号の周波数精度の安定したクロック信号を出力することができる。なお、中間周波数として、例えば、数MHzを選択することができる。
ミキサ52でミキシングされた信号は、IFアンプ55で増幅される。ここで、ミキサ52でのミキシングにより、中間周波数帯の信号とともに数GHzの高周波信号も生成される。そのため、IFアンプ55は、中間周波数帯の信号とともに数GHzの高周波信号も増幅する。IFフィルタ56は、中間周波数帯の信号を通過させるとともに、この数GHzの高周波信号を除去する(正確には、所定のレベル以下に減衰させる)。IFフィルタ56を通過した中間周波数帯の信号はADC(A/D変換器)57でデジタル信号に変換される。
ベースバンド部60は、DSP(Digital Signal Processor)61、CPU(Central Processing Unit)62、SRAM(Static Random Access Memory)63、RTC(リアルタイムクロック)64を含んで構成されている。また、ベースバンド部60には、温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)65やフラッシュメモリ66等が接続されている。
温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)65は、温度に関係なくほぼ一定の周波数の基準クロック信号を生成する。
フラッシュメモリ66には時差情報が記憶されている。時差情報は、地理情報が分割された複数の領域の各々の時差が定義された情報である。
ベースバンド部60は、測時モード又は測位モードに設定されると、RF部50のADC57が変換したデジタル信号(中間周波数帯の信号)からベースバンド信号を復調する処理を行う。
また、ベースバンド部60は、測時モード又は測位モードに設定されると、後述する衛星検索工程において、各C/Aコードと同一のパターンのローカルコードを発生し、ベースバンド信号に含まれる各C/Aコードとローカルコードの相関をとる処理を行う。そして、ベースバンド部60は、各ローカルコードに対する相関値がピークになるようにローカルコードの発生タイミングを調整し、相関値が閾値以上となる場合にはそのローカルコードのGPS衛星10に同期(すなわち、GPS衛星10を捕捉)したものと判断する。ここで、GPSシステムでは、すべてのGPS衛星10が異なるC/Aコードを用いて同一周波数の衛星信号を送信するCDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用
している。従って、受信した衛星信号に含まれるC/Aコードを判別することで、捕捉可能なGPS衛星10を検索することができる。
さらに、ベースバンド部60は、捕捉したGPS衛星10のC/Aコードと同一のパターンのローカルコードとベースバンド信号をミキシングして航法メッセージを復調し、航法メッセージに含まれる軌道情報やGPS時刻情報等の衛星情報を取得してSRAM63に記憶する。
航法メッセージに含まれる軌道情報やGPS時刻情報は、本発明における時刻修正情報の一例であり、受信モジュール30は、本発明における時刻修正情報生成部として機能する。
なお、ベースバンド部60の動作は、温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)65が出力する基準クロック信号に同期する。RTC64は、衛星信号を処理するためのタイミングを生成するものである。このRTC64は、温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)65から出力される基準クロック信号でカウントアップされる。
[時刻表示装置の構成]
時刻表示装置80は、制御部(CPU)40及び水晶振動子43を含んで構成されている。
制御部(CPU)40は、記憶部41、発振回路42、駆動回路44を備え、各種制御を行う。
制御部(CPU)40は、受信モジュール30を制御する。すなわち、制御部(CPU)40は、制御信号を受信モジュール30に送り、受信モジュール30の受信動作を制御する。
また、制御部(CPU)40内の駆動回路44を介して指針12の駆動を制御する。
記憶部41には内部時刻情報が記憶されている。内部時刻情報は、GPS付き腕時計3の内部で計時される時刻の情報である。内部時刻情報は、水晶振動子43および発振回路42によって生成される基準クロック信号によって更新される。従って、受信モジュール30への電力供給が停止されていても、内部時刻情報を更新して指針12の運針を継続することができるようになっている。
制御部(CPU)40は、測時モードに設定されると、受信モジュール30の動作を制御し、GPS時刻情報に基づいて内部時刻情報を修正して記憶部41に記憶する。より具体的には、内部時刻情報は、取得したGPS時刻情報にUTCパラメータ(GPS時刻とUTCとの差である累積うるう秒で現在は−14秒)を加算することで求められるUTC(協定世界時)に修正される。また、制御部(CPU)40は、測位モードに設定されると、受信モジュール30の動作を制御し、GPS時刻情報とUTCパラメータ及び現在地から求められる時差データに基づいて、内部時刻情報を修正して記憶部41に記憶する。すなわち、制御部(CPU)40は、本発明における時刻情報修正部として機能する。
[電源供給装置の構成]
電源供給装置90は、充電制御回路28、二次電池24、レギュレータ29及び時刻表示装置80に組み込まれているソーラーセル22を含んで構成されている。
二次電池24は、レギュレータ29を介して、受信モジュール30及び時刻表示装置8
0等に駆動電力を供給する。ソーラーセル22の光発電により発生した電流が、充電制御回路28を通じて二次電池24に供給され、二次電池24が充電される。
充電制御回路28は、ソーラーセル22の電極と二次電池24の電極の間に接続され、制御信号40Aに基づいて、ソーラーセル22の電極と二次電池24の電極の間を電気的に接続又は切断する。
以下、第1実施形態のGPS付き腕時計3における時刻修正処理(測時モード)及び時差修正処理(測位モード)の手順について説明する。制御部(CPU)40は、専用回路により実現してこれらの処理の各種制御を行うようにすることもできるが、記憶部41に記憶された制御プログラムを実行することによりこれらの処理の各種制御を行うようにすることもできる。すなわち、図4に示すように、制御プログラムにより、制御部(CPU)40は受信制御手段40−1、時刻情報修正手段40−2及び駆動制御手段40−3として機能し、時刻修正処理(測時モード)及び時差修正処理(測位モード)が実行される。
[時刻修正処理(測時モード)]
図5は、第1実施形態のGPS付き腕時計3の時刻修正処理(測時モード)手順の一例を示すフローチャートである。
GPS付き腕時計3は、測時モードに設定された場合、図5に示す時刻修正処理(測時モード)を実行する。
時刻修正処理(測時モード)が開始されると、GPS付き腕時計3は、まず、受信制御手段40−1によって受信モジュール30を制御し、受信処理を行う。すなわち、受信制御手段40−1が受信モジュール30を起動し、受信モジュール30はGPS衛星10から送信される衛星信号の受信を開始する(ステップS10)。
次に、受信制御手段40−1は、衛星検索工程(衛星サーチ工程)を開始する(ステップS12)。衛星検索工程において、受信モジュール30は、捕捉可能なGPS衛星10を検索する処理を行う。
具体的には、ベースバンド部60において、例えば30個のGPS衛星10が存在する場合、まず、衛星番号SVを1から30まで順次変更しながら衛星番号SVのC/Aコードと同一のパターンのローカルコードを発生させる。次に、ベースバンド部60は、ベースバンド信号に含まれるC/Aコードとローカルコードの相関値を計算する。ベースバンド信号に含まれるC/Aコードとローカルコードが同じコードであれば相関値は所定のタイミングでピークを持つが、異なるコードであれば相関値はピークをもたず常にほぼゼロとなる。
ベースバンド部60は、ベースバンド信号に含まれるC/Aコードとローカルコードの相関値が最大になるようにローカルコードの発生タイミングを調整し、相関値が所定の閾値以上の場合には衛星番号SVのGPS衛星10を捕捉したものと判断する。そして、ベースバンド部60は、捕捉した各GPS衛星10の情報(例えば衛星番号)をSRAM63に記憶する。
なお、ローカルコードのコード長は1msであり、ローカルコードの発生タイミングを調整しながら約30個のGPS衛星10のサーチ処理を行った場合でも、約2秒ですべてのGPS衛星10のサーチを完了することができる。
次に、受信制御手段40−1は、衛星検索工程を開始してからの経過時間が予め設定した所定時間(例えば6秒)を越えたか否かでタイムアウトであるか否かを判断する(ステップS14)。
受信制御手段40−1は、衛星検索工程がタイムアウトした場合(ステップS14でYesの場合)、受信モジュール30の受信動作を強制的に終了させる(ステップS32)。GPS付き腕時計3が、受信できない環境である場合、例えば、屋内であるような場合には、すべてのGPS衛星10の衛星検索工程を行っても、捕捉できるGPS衛星10が存在しない。GPS付き腕時計3は、所定時間が経過しても捕捉可能なGPS衛星10を検出できない場合、GPS衛星10の衛星検索工程を強制的に終了することにより無駄に電力が消費されることを低減することができる。
一方、タイムアウトする前に衛星検索工程を終了した場合(ステップS16でYesの場合)、受信制御手段40−1は、GPS衛星10を捕捉することができたか否かを判定する(ステップS18)。
GPS衛星10を捕捉することができなかった場合(ステップS18でNoの場合)、受信制御手段40−1は衛星検索工程を再び開始する(ステップS12)。
一方、GPS衛星10を捕捉することができた場合(ステップS18でYesの場合)、受信制御手段40−1は捕捉したGPS衛星10の衛星情報(特にGPS時刻情報)の取得を開始する(ステップS20)。具体的には、ベースバンド部60は、捕捉した各GPS衛星10からの航法メッセージをそれぞれ復調して3サブフレーム分のZカウントデータを取得する処理を行う。そして、ベースバンド部60は、取得したGPS時刻情報をSRAM63に記憶する。受信制御手段40−1は、取得した3サブフレーム分のZカウントデータがすべて正しい場合は、衛星情報の取得を終了する。
受信制御手段40−1は、1つ以上のGPS衛星10の衛星情報の取得を終了する前にタイムアウトした場合(ステップS22でYesの場合)、衛星検索工程を再び開始する(ステップS12)。例えば、GPS衛星10からの衛星信号の受信レベルが低いために、1つ以上のGPS衛星10の衛星情報を正しく復調することができないままタイムアウトすることが考えられる。
一方、タイムアウトする前に1つ以上のGPS衛星10の衛星情報の取得を終了することができた場合(ステップS24でYesの場合)、受信制御手段40−1は、少なくとも1つのGPS衛星10の衛星情報(GPS時刻情報)をSRAM63から読み出して受信モジュール30の受信動作を終了させる(ステップS26)。
そして、時刻情報修正手段40−2は、受信モジュール30から取得したGPS時刻情報に基づいて記憶部41に記憶されている内部時刻情報を修正する(ステップS28)。
最後に、駆動制御手段40−3は、修正した内部時刻情報に基づいて駆動回路44を制御し、時刻表示が修正される(ステップS30)。
[時差修正処理(測位モード)]
図6は、第1実施形態のGPS付き腕時計3の時差修正処理(測位モード)手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明において、時刻修正処理(測時モード)手順と同じ処理については、その説明を省略又は簡略する。
GPS付き腕時計3は、測位モードに設定された場合、図6に示す時差修正処理(測位
モード)を実行する。
時差修正処理(測位モード)が開始されると、GPS付き腕時計3は、まず、受信制御手段40−1によって受信モジュール30を制御し、受信処理を行う。すなわち、受信制御手段40−1が受信モジュール30を起動し、受信モジュール30はGPS衛星10から送信される衛星信号の受信を開始する(ステップS100)。
次に、受信制御手段40−1は、衛星検索工程(衛星サーチ工程)を開始する(ステップS102)。
次に、受信制御手段40−1は、衛星検索工程を開始してからの経過時間が予め設定した所定時間(例えば6秒)を越えたか否かでタイムアウトあるか否かを判断する(ステップS104)。
受信制御手段40−1は、衛星検索工程がタイムアウトした場合(ステップS104でYesの場合)、受信モジュール30の受信動作を強制的に終了させる(ステップS128)。
一方、タイムアウトする前に衛星検索工程を終了した場合(ステップS106でYesの場合)、受信制御手段40−1は、所定数(N個)以上のGPS衛星10を捕捉することができたか否かを判定する(ステップS108)。ここで、GPS付き腕時計3の3次元の位置(x,y,z)を特定するためにはx,y,zが3つの未知数となる。そのため、GPS付き腕時計3の3次元の位置(x,y,z)を計算するためには、3個以上のGPS衛星10のGPS時刻情報及び軌道情報が必要である。さらに、測位精度を高めるためにGPS付き腕時計3の内部時刻情報とGPS時刻情報の時刻誤差も未知数と考えると、4個以上のGPS衛星10のGPS時刻情報及び軌道情報が必要である。
N個(例えば4個)以上のGPS衛星10を捕捉することができなかった場合(ステップS108でNoの場合)、受信制御手段40−1は衛星検索工程を再び開始する(ステップS102)。
一方、N個(例えば4個)以上のGPS衛星10を捕捉することができた場合(ステップS108でYesの場合)、受信制御手段40−1は捕捉したGPS衛星10の衛星情報(特にGPS時刻情報及び軌道情報)の取得を開始する(ステップS110)。具体的には、ベースバンド部60は、捕捉した各GPS衛星からの航法メッセージをそれぞれ復調してZカウントデータとエフェメリスパラメータを取得する処理を行う。そして、ベースバンド部60は、取得したGPS時刻情報及び軌道情報をSRAM63に記憶する。
受信制御手段40−1は、N個(例えば4個)以上のGPS衛星10の衛星情報を取得する前にタイムアウトした場合(ステップS112でYesの場合)、衛星検索工程を再び開始する(ステップS102)。例えば、GPS衛星10からの衛星信号の受信レベルが低いために、N個(例えば4個)以上のGPS衛星10の衛星情報を正しく復調することができないままタイムアウトすることが考えられる。
一方、タイムアウトする前にN個(例えば4個)以上のGPS衛星10の衛星情報の取得を終了することができた場合(ステップS114でYesの場合)、ベースバンド部60は、捕捉したGPS衛星10からN個(例えば4個)のGPS衛星10の組を選択して測位計算を開始する(ステップS116)。
具体的には、ベースバンド部60は、選択したN個(例えば4個)のGPS衛星10の
衛星情報(GPS時刻情報及び軌道情報)をSRAM63から読み出して測位計算を行い、位置情報(GPS付き腕時計3が位置する場所の緯度及び経度)を生成する。
そして、ベースバンド部60は、フラッシュメモリ66に記憶されている時差情報を参照し、位置情報及び測位誤差に基づいてGPS付き腕時計3が位置する場所の時差データを取得する。そして、ベースバンド部60は、時差データを取得することができれば測位計算を終了する。
受信制御手段40−1は、測位計算を終了する前にタイムアウトした場合(ステップS118でYesの場合)、衛星検索工程を再び開始する(ステップS102)。
一方、タイムアウトする前に測位計算を終了することができた場合(ステップS120でYesの場合)、受信制御手段40−1は、時差データとともに少なくとも1つのGPS衛星10のGPS時刻情報をSRAM63から読み出し、受信モジュール30の受信動作を終了させる(ステップS122)。
そして、時刻情報修正手段40−2は、受信モジュール30から取得したGPS時刻情報と時差データに基づいて記憶部41に記憶されている内部時刻情報を修正する(ステップS124)。
最後に、駆動制御手段40−3は、修正した内部時刻情報に基づいて駆動回路44を制御し、時刻表示(時差)が修正される(ステップS126)。
[GPS付き腕時計の構造]
図7(A)及び図7(B)は、第1実施形態のGPS付き腕時計3の構造について説明するための図である。図7(A)はGPS付き腕時計3の概略平面図であり、図7(B)は図7(A)のGPS付き腕時計3の概略断面図である。
図7(A)に示すように、GPS付き腕時計3は、文字板11及び指針12を備えている。指針12は、秒針、分針、時針等により構成されており、歯車を介してステップモータで駆動される。
GPS付き腕時計3は、リューズ14やボタン15(Aボタン)、ボタン16(Bボタン)を手動操作することにより、測時モードと測位モードに設定できるように構成されている。
例えば、ボタン15(Aボタン)が数秒(例えば3秒)以上押されると、GPS付き腕時計3は測時モードによる時刻修正処理を行う。また、ボタン16(Bボタン)が数秒(例えば3秒)以上押されると、GPS付き腕時計3は測位モードによる時刻修正処理(時差修正処理)を行う。
一方、ボタン15(Aボタン)が短い時間押されると、GPS付き腕時計3は文字板11及び指針12により直前の測時モードにおける受信結果を表示する。また、ボタン16(Bボタン)が短い時間押されると、GPS付き腕時計3は文字板11及び指針12により直前の測位モードにおける受信結果を表示する。例えば、受信成功の場合には、秒針が「Y」の位置(10秒位置)に移動し、受信失敗の場合には秒針が「N」の位置(20秒位置)に移動する。
なお、GPS付き腕時計3は、測時モードや測位モードを定期的に(自動的に)実行することもできる。
図7(B)に示すように、GPS付き腕時計3は、ステンレス鋼(SUS)、チタン等の金属で構成された外装ケース17を備えている。
外装ケース17は、略円筒状に形成され、表面側の開口にはベゼル18を介して表面ガラス19が取り付けられている。ベゼル18は、衛星信号の受信性能を向上させるためにセラミック等の非金属材料で構成される。外装ケース17の裏面側の開口には裏蓋26が取り付けられている。
外装ケース17の内部には、ムーブメント13、ソーラーセル22、GPSアンテナ27、二次電池24等が配置されている。
ムーブメント13は、ステップモータや輪列21を含んで構成されている。ステップモータは、モータコイル20、ステータ、ロータ等で構成されており、輪列21を介して指針12を駆動する。
ムーブメント13の裏蓋側には回路基板25が配置され、回路基板25は、コネクタ32を介してアンテナ基板23及び二次電池24と接続されている。
回路基板25には、GPSアンテナ27で受信した衛星信号を処理する受信回路を含む受信モジュール30、ステップモータの駆動制御等を行う制御部(CPU)40等が取り付けられている。受信モジュール30や制御部(CPU)40は、シールド板33に覆われており、二次電池24から供給される電力で駆動される。
二次電池24はリチウムイオン電池等の充電可能な二次電池であり、ソーラーセル22が発電した電力を蓄えられるようになっている。すなわち、ソーラーセル22の電極と二次電池24の電極の間を電気的に接続することにより、ソーラーセル22が光発電を行い、二次電池24が充電される。なお、本実施形態では、二次電池24としてリチウムイオン電池等の二次電池を用いているが、二次電池24は蓄電体であればよく、例えば、コンデンサ等であってもよい。
ソーラーセル22は、受光面22a(図7(B)では上面)が文字板11の裏面11b(表面(時刻表示面)11aの反対側の面)の一部と対向するように配置され、表面ガラス19及び文字板11を通過した光を受光して光発電を行う。
文字板11は、外部から視認できるため、透過率の低い材料を用いて出来るだけ光を透過させつつ見栄えをよくすることが望ましい。そのため、文字板11は、光を透過させるプラスチックやガラス等の非金属の材料で構成されている。
アンテナ基板23に実装されたGPSアンテナ27は、複数のGPS衛星10からの衛星信号を受信するアンテナであり、パッチアンテナ、ヘリカルアンテナ、チップアンテナ、逆Fアンテナ等により実現される。なお、GPS衛星10から送信される1.57542GHzのマイクロ波は円偏波であるので、GPSアンテナ27は円偏波を受信可能なパッチアンテナにより実現することは、好ましい。
本実施形態では、GPS付き腕時計3の装飾性や装着性を向上させるために、GPSアンテナ27は文字板11の裏面11bの側に配置される。そのため、文字板11は、1.5GHz帯のマイクロ波を通す材料、例えば導電率及び透磁率の低い材料であるプラスチックやガラス等の非金属で構成されているのが好ましい。
GPSアンテナ27は、上面や側面を含む表面全体からマイクロ波(衛星信号)を受信する。そのため、ソーラーセル22内の金属性部材がマイクロ波をシールドしないように、本実施形態では、文字板11の裏面11bとGPSアンテナ27の受信面27a(図7(B)では上面)の間には、ソーラーセル22が配置されていない。しかし、GPSアンテナ27とソーラーセル22の距離が近いほどGPSアンテナ27とソーラーセル22内の金属性部材が電気的に結合してロスが発生する。また、GPSアンテナ27とソーラーセル22の距離が近いほどGPSアンテナ27の放射パターンがソーラーセル22に遮られてGPSアンテナ27の放射パターンが小さくなってしまう。そして、GPSアンテナ27の構成要素である透明電極221及び金属電極225が金属性の部材で構成されているので、導電率が大きい、ソーラーセル内の透明電極221及び金属電極225が受信性能を劣化させる大きな要因になっている。そのため、受信性能が劣化しないように、本実施形態では、GPSアンテナ27とソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225との距離M1が所定値以上になるように配置されている。
また、GPSアンテナ27は、ソーラーセル22以外の金属部材により電気的に結合してロスが発生しないようにすることと、GPSアンテナ27の放射パターンが金属部材に遮られてGPSアンテナ27の放射パターンが小さくなり、GPSアンテナ27の受信性能が劣化しないように、金属部材との距離が所定値以上になるように配置されている。例えば、外装ケース17やムーブメント13が金属部材で構成されている場合、GPSアンテナ27は、外装ケース17との距離M2及びムーブメント13との距離M3がともに所定値以上になるように配置される。
なお、後述するように、パッチアンテナの場合は、GPSアンテナ27とソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225や金属部材の距離が受信面27aに対して直交する方向の厚みL以上あればGPSアンテナ27と電気的に結合せずにロスが発生しないので、アンテナの受信性能がほとんど劣化しない。このため、距離M1、M2及びM3は、GPSアンテナ27の、受信面27aに対して直交する方向の厚みL以上であることが好ましい。
GPSアンテナ27と外装ケース17やムーブメント13の間に空間が出来るが、その空間に各部品を固定するスペーサーが存在しても良い。スペーサーは受信性能に影響しない非金属材料で構成される。
図8(A)及び図8(B)は、第1実施形態のGPS付き腕時計3におけるソーラーセル22の構造について説明するための図である。図8(A)は、光が入射する方向(図7(B)において上方向)からソーラーセル22を見た図である。また、図8(B)は、図8(A)に示すソーラーセル22のII−II線断面図である。なお、図8(B)において、便宜上、横方向の拡大率よりも縦方向の拡大率を大きくして図示されているが、実際のソーラーセル22の厚みPは数μm程度であり、GPSアンテナ27の厚みLやGPSアンテナ27とソーラーセル22の金属電極225の距離M1は数mm程度である。
図8(A)及び図8(B)に示すように、ソーラーセル22は、指針12を通すための開口部22cを有する。なお、例えば、GPS付き腕時計3がデジタル時刻表示型の腕時計である場合には指針12が存在しないため、開口部22cは無くてもよいが、ソーラーセル22の裏面にデジタル表示部が配置されるため、外部から視認できるように、別途開口部が、必要となる。
また、図8(A)及び図8(B)に示すように、ソーラーセル22は、プラスチックフィルム基板226に形成されたアモルファスシリコン228が保護フィルム220及び227によりカバーされた構造を有する。アモルファスシリコン228は、p型半導体22
2及びn型半導体224がi型半導体223を挟むように形成されており、アモルファスシリコン228の表面228a(図7(B)において文字板11の裏面11bに対向する面)及び裏面228b(図7(B)においてムーブメント13等に対向する面)には、それぞれ透明電極221及び金属電極225が形成されている。
また、プラスチックフィルム基板226は、金属性の材料で構成されていてもよい。プラスチックフィルム基板226が、金属性の材料で構成されている場合は、GPSアンテナ27との距離が所定値以上になるように配置される。
保護フィルム220及び透明電極221を通過した光がアモルファスシリコン228の表面228aに入射すると、光のエネルギーによりi型半導体223に電子と正孔が発生する。発生した電子と正孔は、それぞれp型半導体222とn型半導体224の方向に移動する。その結果、透明電極221及び金属電極225に接続された外部回路に電流が流れる。このようにして、ソーラーセル22は光発電を行う。
前述したように、ソーラーセル22は、金属性の材料で構成される透明電極221及び金属電極225を含むため、マイクロ波をシールドする効果が高いので、マイクロ波が遮られないようにするため、本実施形態では、文字板11の裏面11bとGPSアンテナ27の受信面27a(図8(B)では上面)の間にはソーラーセル22が配置されていない。
さらに、マイクロ波の受信性能を向上させるために、つまり、GPSアンテナ27とソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225および外装ケース17が電気的に結合してロスの発生を抑えることと、GPSアンテナ27の放射パターンがソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225および外装ケース17に遮られてGPSアンテナ27の放射パターンが小さくなり、GPSアンテナ27の受信性能が劣化しないように、GPSアンテナ27は、ソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225との距離M1及び外装ケース17との距離M2が所定値以上になるように配置されている。
なお、ソーラーセル22の表面の色や質感が外部から視認できると、GPS付き腕時計3の装飾性は十分ではない。そのため、図7(B)に示すように、ソーラーセル22は、文字板11の裏面11bの側に配置され、外部から視認されにくいようになっている。
図9は、第1実施形態のGPS付き腕時計3におけるGPSアンテナ27の放射パターンの一例を示す図である。
GPSアンテナ27の放射パターンは、ソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225や外装ケース17により遮られる。そのため、GPSアンテナ27とソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225の距離M1やGPSアンテナ27と外装ケース17の距離M2が短くなるほどGPSアンテナ27の放射パターンが小さくなり、GPSアンテナ27の受信性能が劣化する。そこで、第1実施形態のGPS付き腕時計3では、受信性能の劣化を低減するために、GPSアンテナ27は、ソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225との距離M1や外装ケース17との距離M2が所定値以上になるように配置される。測定データに基づきGPSアンテナ27の受信性能が確保できるようにM1及びM2を決定するのが好ましい。
図10(A)及び図10(B)は、GPSアンテナ27に使用されるパッチアンテナの受信能力に関する測定データを示す図である。このパッチアンテナの、受信面に対して直交する方向の厚みL(図7(B)及び図8(B)に示したGPSアンテナ27の厚みL)は3mmである。
図10(A)の測定データは、パッチアンテナと金属部材乃至はそれに準じた筐体の距離Mと1.57542GHzのマイクロ波(GPSのL1波)の受信感度の関係を示している。なお、図10(A)において、横軸はパッチアンテナと金属部材乃至はそれに準じた筐体の距離Mであり、縦軸は距離Mが無限大の時の受信感度に対する相対感度である。図10(A)の測定データによれば、パッチアンテナと金属部材乃至はそれに準じた筐体の距離Mがパッチアンテナの厚みL(3mm)(パッチアンテナの上面の放射電極とパッチアンテナ下面のアンテナ基板間の距離)より短くなると、本来、パッチアンテナの上面の放射電極とパッチアンテナ下面の基板間に流れるべき電流が、アンテナの上面の放射電極と金属部材が電気的に結合してロスが発生して、流れるべき電流量が減少してしまいパッチアンテナの受信感度が急激に劣化する。逆に、パッチアンテナと金属部材の距離Mがパッチアンテナの厚みL(3mm)以上であれば、パッチアンテナの受信感度はほとんど劣化しない。
パッチアンテナに限らず、他の種類のアンテナにおいても、アンテナ近くに金属部材乃至はそれに準じた筐体が存在すると、その金属部材乃至はそれに準じた筐体と電気的に結合してしまうので、一定以上の距離を取ることで受信感度を劣化させることなく、受信感度を確保できる。
図10(B)の測定データは、パッチアンテナと金属部材乃至はそれに準じた筐体の距離Mと最大受信感度を示す周波数と1.57542GHz(GPSのL1波の周波数)の差(同調周波数の変動)の関係を示している。なお、図10(B)において、横軸はパッチアンテナと金属部材乃至はそれに準じた筐体の距離Mであり、縦軸は同調周波数の変動である。図10(B)の測定データによれば、パッチアンテナと金属部材の距離Mがパッチアンテナの厚みL(3mm)(パッチアンテナの上面の放射電極とパッチアンテナ下面のアンテナ基板間の距離)より短くなると、金属部材乃至はそれに準じた筐体を配置することにより、アンテナのインピーダンスとして誘導又は容量成分が変動し、その結果同調周波数の変動が急激に増大する。逆に、パッチアンテナと金属部材乃至はそれに準じた筐体の距離Mがパッチアンテナの厚みL(3mm)以上であれば、周波数変動が小さい。
図10(A)及び図10(B)の測定データから、図7(B)、図8(A)及び図8(B)に示したGPSアンテナ27とソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225の距離M1はL以下であれば、受信感度の劣化及び周波数変動が非常に小さい。すなわち、衛星信号を確実に受信するためには、GPSアンテナ27とソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225の距離M1はL以下であることが好ましい。同様に、図10(A)及び図10(B)の測定データから、図7(B)に示したGPSアンテナ27と外装ケース17の距離M2及びGPSアンテナ27とムーブメント13の距離M3はともにL以上であることが好ましい。
図11(A)及び図11(B)は、第1実施形態のGPS付き腕時計3におけるGPSアンテナ27の配置の一例について説明するための図である。
第1実施形態のGPS付き腕時計3は、指針12によるアナログ時刻表示型の腕時計であり、図7(B)に示したように、指針12は文字板11の中心に配置される。そして、ムーブメント13が腕時計内部の中心付近に配置されて指針12を駆動するため、GPSアンテナ27は、文字板11の裏面11bの側の外装ケース17に近い周縁部(図11(A)において斜線で示される領域)の少なくとも一部に配置される。そのため、図9に示したように、GPSアンテナ27の放射パターンは、外装ケース17に遮られて内側を向く。
そこで、図11(B)に示すように、GPSアンテナ27は、文字板11の表面(時刻表示面)11aの12時から6時の位置(12時、3時、6時の位置を含む略右半分の領域)に対応する裏面11bの側の周縁部(図11(B)において斜線で示される領域)の少なくとも一部に配置されるのが好ましい。GPSアンテナ27をこのように配置すると、ユーザーがGPS付き腕時計3を左手首に装着した状態で歩行時や走行時など日常生活においてGPSアンテナ27の放射パターンがGPS衛星10が存在する上空に向きやすい。従って、マイクロ波を受信し易くすることができので利便性が向上する。
[第1実施形態の効果]
ある材質に入射した電磁界が1/eに減衰する距離を表皮深さ(skin depth)といい、表皮深さが小さい材質ほど電波を通しにくい。周波数fの電波に対する、透磁率μ、導電率σの導体の表皮深さdは、以下の式で与えられる。
式(1)によれば、電波の周波数fが大きいほど表皮深さdが小さくなる。すなわち、周波数fが大きいほど電波を通しにくい。周波数の高いマイクロ波に対しては、特に表皮深さへの影響が大きい。つまり、特に金属性の材料などは、導電率σが大きいので、表皮深さが大きくなる。表皮深さが大きいと、マイクロ波に対するシールド効果が、大きく作用する事になる。ソーラーセル22の構成に含まれる透明電極221、金属電極225は、金属性の材料が含まれるため、そのシールド効果によりマイクロ波が減衰する大きな要因になる。
第1実施形態のGPS付き腕時計3では、図7(B)に示したように、文字板11の裏面11bとGPSアンテナ27の受信面27aの間にはソーラーセル22が存在しないので、GPS衛星10からのマイクロ波がソーラーセル22により遮られずに、出来る限りソーラーセル22を通過させる事で確実な受信を確保することができる。そのため、文字板11の裏面11bの側の腕時計内部にGPSアンテナ27を配置しても、確実な受信を維持することができる。従って、第1実施形態のGPS付き腕時計3によれば、アンテナ配置の制約を緩和することができるので、装飾性や装着性を向上させることができる。
また、第1実施形態のGPS付き腕時計3では、図7(B)に示したように、GPSアンテナ27が、ソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225との距離M1、外装ケース17との距離M2及びムーブメント13との距離M3がともに所定値以上になるように配置される。GPSアンテナ27と金属部材との距離が近いほど、GPSアンテナ27の放射パターンが小さくなるため受信しにくくなるが、第1実施形態のGPS付き腕時計3では、GPSアンテナ27と金属部材が所定値以上の距離だけ離れているので、受信性能の劣化を低減することができる。さらに、第1実施形態のGPS付き腕時計3において、GPSアンテナ27と金属部材の距離がGPSアンテナ27の厚みL以上となるようにGPSアンテナ27を配置すれば、受信性能の劣化をより低減させることができる。
また、第1実施形態のGPS付き腕時計3では、図11(A)に示したように、GPSアンテナ27は外装ケース17に近い周縁部に配置される。さらに、図11(B)に示したように、GPSアンテナ27を文字板11の表面11aの12時から6時の位置に対応する裏面11bの側の周縁部の少なくとも一部に配置することにより、ユーザーがGPS付き腕時計3を左手首に装着した状態で歩行時や走行時など日常生活においてGPSアンテナ27の放射パターンがGPS衛星10が存在する上空に向きやすい。従って、マイク
ロ波を受信し易くすることができるので利便性が向上する。
以上の通り、第1実施形態によれば、文字板11の裏面11bの側の腕時計内部にGPSアンテナ27を配置しても確実な受信を維持することができるので、装飾性及び装着性の良いGPS付き腕時計を提供することができる。
[変形例]
図12は、第1実施形態の変形例の概略断面図である。なお、図12において、図7(B)と同じ構成には同じ符号を付している。
第1実施形態の変形例では、ソーラーセル22の受光面22aとアンテナ27の受信面27aが略同一平面上に配置されている。
GPSアンテナ27は、受信性能が大きく劣化しないように、ソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225との距離M1が所定値以上になるように配置されている。さらに、GPSアンテナ27は、外装ケース17との距離M2及びムーブメント13との距離M3がともに所定値以上になるように配置されている。
なお、変形例のその他の構造は、図7(B)の構造と同様であるため説明を省略する。
本変形例では、図7(B)の構造と比較してGPSアンテナ27が表面ガラス19により近い位置に配置されている。そのため、GPSアンテナ27の放射パターンは、外装ケース17やソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225によって遮られにくくなる。従って、本変形例によれば、図7(B)のGPS付き腕時計3よりもGPSアンテナ27の受信性能を向上させることができる。
また、本変形例では、GPSアンテナ27が文字板11の裏面11bに近接して配置されている。そのため、図7(B)の構造と比較して腕時計内部における他の時計部品の配置の自由度を高めることができる。例えば、各時計部品の間にできるだけ隙間ができないように配置すれば外装ケース17をより薄くして軽量化を図ることが可能となる。
2−2.第2実施形態
図13は、第2実施形態のGPS付き腕時計3の概略断面図である。なお、図13において、図7(B)と同じ構成には同じ符号を付している。
第2実施形態のGPS付き腕時計3では、ソーラーセル22は、受光面22a(図13では上面)が文字板11の裏面11bの略全部と対向するように配置され、表面ガラス19及び文字板11を通過した光を受光して光発電を行う。また、GPS付き腕時計3の装飾性や装着性を向上させるために、GPSアンテナ27は文字板11の裏面11bの側にソーラーセル22を挟んで配置される。すなわち、GPSアンテナ27は、受信面27a(図12では上面)の少なくとも一部がソーラーセル22の裏面22b(受光面22aの反対側の面)の少なくとも一部と対向するように配置される。その結果、GPSアンテナ27は、表面ガラス19、文字板11及びソーラーセル22を通過した衛星信号を受信することになる。
ソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225はマイクロ波をシールドする効果が高い。そのため、GPSアンテナ27は、ソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225を通過したマイクロ波(衛星信号)を受信しづらい。そこで、本実施形態では、ソーラーセル22は、少なくとも、文字板11の裏面11bとGPSアンテナ27の受信面27aの間に挟まれる部分には透明電極221及び金属電極225が形成されてい
ない。さらに、GPSアンテナ27は、受信性能が大きく劣化しないように、ソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225との距離M1が所定値以上になるように配置されている。
また、プラスチックフィルム基板226は、金属性の材料で構成されていてもよい。プラスチックフィルム基板226が、金属性の材料で構成されている場合は、GPSアンテナ27との距離が所定値以上になるように配置される。
さらに、本実施形態では、第1実施形態と同様に、GPSアンテナ27は、金属部材との距離が所定値以上になるように配置されている。すなわち、GPSアンテナ27は、外装ケース17との距離M2及びムーブメント13との距離M3がともに所定値以上になるように配置される。なお、前述したように、GPSアンテナ27がパッチアンテナである場合は、距離M1、M2及びM3は、GPSアンテナ27の厚みL以上であることが好ましい。
第2実施形態のGPS付き腕時計3のその他の構造は、第1実施形態のGPS付き腕時計3と同様であるため説明を省略する。
図14(A)及び図14(B)は、第2実施形態のGPS付き腕時計3におけるソーラーセル22の構造について説明するための図である。図14(A)は、光が入射する方向(図13において上方向)からソーラーセル22を見た図である。また、図14(B)は、図14(A)に示すソーラーセル22のII−II線断面図である。なお、図14(B)において、便宜上、横方向の拡大率よりも縦方向の拡大率を大きくして図示されているが、実際のソーラーセル22の厚みPは数μm程度であり、GPSアンテナ27の厚みLやGPSアンテナ27とソーラーセル22の金属電極225の距離M1は数mm程度である。図14(A)及び図14(B)において、それぞれ図8(A)及び図8(B)と同じ構成には同じ符号を付しており、その説明を省略又は簡略する。
図14(A)及び図14(B)に示すように、本実施形態のソーラーセル22は、指針12を通すための開口部22cを有する。なお、例えば、GPS付き腕時計3がデジタル時刻表示型の腕時計である場合には指針12が存在しないため、開口部22cは無くてもよいが、ソーラーセル22の裏面にデジタル表示部が配置されるため、外部から視認できるように、別途開口部が、必要となる。
ソーラーセル22の発電効率を高めるためには、アモルファスシリコン228の表面228aに入射する光量をできるだけ多くする必要がある。そのため、アモルファスシリコン228の表面積をなるべく大きくすることが望ましい。しかし、前述したように、ソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225はマイクロ波をシールドする効果が高いため、本実施形態では、文字板11の裏面11bとGPSアンテナ27の受信面27a(図14(B)では上面)の間に挟まれる部分には透明電極221及び金属電極225が形成されていない。
さらに、マイクロ波の受信性能を向上させるために、GPSアンテナ27は、ソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225との距離M1及び外装ケース17との距離M2が所定値以上になるように配置されている。
なお、第2実施形態のGPS付き腕時計3の回路構成は、図3に示した第1実施形態のGPS付き腕時計3の回路構成と同様であってもよいため、その説明を省略する。また、第2実施形態のGPS付き腕時計3の時刻修正処理(測時モード)手順及び時差修正処理(測位モード)手順は、図5及び図6にそれぞれ示した第1実施形態のGPS付き腕時計
3の時刻修正処理(測時モード)手順及び時差修正処理(測位モード)手順と同様であってもよいため、その説明を省略する。また、第2実施形態のGPS付き腕時計3におけるGPSアンテナ27の配置は、図11(A)及び図11(B)に示した第1実施形態のGPS付き腕時計3におけるGPSアンテナ27の配置と同様であってもよいため、その説明を省略する。
[第2実施形態の効果]
第2実施形態のGPS付き腕時計3によれば、以下のような効果が得られる。
第2実施形態のGPS付き腕時計3では、図13に示したように、ソーラーセル22は、文字板11の裏面11bとGPSアンテナ27の受信面27aの間に挟まれる部分には透明電極221及び金属電極225が形成されていない。ソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225が形成されていない部分はマイクロ波のシールド効果が弱いので、GPS衛星10からのマイクロ波がソーラーセル22により遮られずに、出来る限りソーラーセル22を通過させる事で確実な受信を確保することができる。そのため、ソーラーセル22の裏面側の腕時計内部にGPSアンテナ27を配置しても、確実な受信を維持することができる。従って、第2実施形態のGPS付き腕時計3によれば、アンテナ配置の制約を緩和することができるので、装飾性や装着性を向上させることができる。
また、第2実施形態のGPS付き腕時計3では、図13に示したように、ソーラーセル22の受光面22aの全体が文字板11の裏面11bの全体と対向するようにソーラーセル22が配置される。従って、文字板11全体にわたってソーラーセル22の色合いが外部から視認されるので、装飾性を良くすることができる。また、ソーラーセル22の受光面22aをより広くすることができるので、ソーラーセル22の発電効率をより高くすることができる。
また、第2実施形態のGPS付き腕時計3では、図13に示したように、GPSアンテナ27が、ソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225との距離M1、外装ケース17との距離M2及びムーブメント13との距離M3がともに所定値以上になるように配置される。すなわち、第2実施形態のGPS付き腕時計3では、GPSアンテナ27と金属部材が所定値以上の距離だけ離れているので、受信性能の劣化を低減することができる。さらに、第2実施形態のGPS付き腕時計3において、GPSアンテナ27がパッチアンテナである場合には、GPSアンテナ27と金属部材の距離がGPSアンテナ27の厚みL以上となるようにGPSアンテナ27を配置すれば、受信性能の劣化をより低減させることができる。
また、第2実施形態のGPS付き腕時計3では、図13に示したように、GPSアンテナ27は外装ケース17に近い周縁部に配置される。第1実施形態と同様に、GPSアンテナ27を文字板11の表面11aの12時から6時の位置に対応する裏面11bの側の周縁部の少なくとも一部に配置することにより、ユーザーがGPS付き腕時計3を左手首に装着した状態で歩行時や走行時など日常生活においてGPSアンテナ27の放射パターンがGPS衛星10が存在する上空に向きやすい。従って、マイクロ波を受信し易くすることができるので利便性が向上する。
以上の通り、第2実施形態によれば、文字板11の裏面11bの側の腕時計内部にGPSアンテナ27を配置しても確実な受信を維持することができるので、装飾性及び装着性の良いGPS付き腕時計を提供することができる。
2−3.第3実施形態
図15は、第3実施形態のGPS付き腕時計3の概略断面図である。なお、図15にお
いて、図7(B)と同じ構成には同じ符号を付している。
第3実施形態のGPS付き腕時計3では、ソーラーセル22は、受光面22a(図15では上面)が文字板11の裏面11bの略全部と対向するように配置され、表面ガラス19及び文字板11を通過した光を受光して光発電を行う。また、GPS付き腕時計3の装飾性や装着性を向上させるために、GPSアンテナ27は文字板11の裏面11bの側にソーラーセル22を挟んで配置される。
本実施形態では、ソーラーセル22は、文字板11の裏面11bとGPSアンテナ27の受信面27a(図15では上面)の間に挟まれる部分を含むGPSアンテナ27の受信面27aの近傍部分の透明電極221及び金属電極225がメッシュ状に形成されている。
また、本実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、GPSアンテナ27は、金属部材との距離が所定値以上になるように配置されている。すなわち、GPSアンテナ27は、外装ケース17との距離M2及びムーブメント13との距離M3がともに所定値以上になるように配置される。なお、前述したように、GPSアンテナ27がパッチアンテナである場合には、距離M1、M2及びM3は、GPSアンテナ27の厚みL以上であることが好ましい。
第3実施形態のGPS付き腕時計3のその他の構造は、第1実施形態のGPS付き腕時計3と同様であるため説明を省略する。
図16(A)及び図16(B)は、第3実施形態のGPS付き腕時計3におけるソーラーセル22の構造について説明するための図である。図16(A)は、光が入射する方向(図15において上方向)からソーラーセル22を見た図である。また、図16(B)は、図16(A)に示すソーラーセル22のII−II線断面図である。なお、図16(B)において、便宜上、横方向の拡大率よりも縦方向の拡大率を大きくして図示されているが、実際のソーラーセル22の厚みPは数μm程度であり、GPSアンテナ27の厚みLやGPSアンテナ27とソーラーセル22の金属電極225の距離M1は数mm程度である。図16(A)及び図16(B)において、それぞれ図8(A)及び図8(B)と同じ構成には同じ符号を付しており、その説明を省略又は簡略する。
図16(A)及び図16(B)に示すように、本実施形態のソーラーセル22は、指針12を通すための開口部22cを有する。なお、例えば、GPS付き腕時計3がデジタル時刻表示型の腕時計である場合には指針12が存在しないため、開口部22cは無くてもよいが、ソーラーセル22の裏面にデジタル表示部が配置されるため、外部から視認できるように、別途開口部が、必要となる。
ソーラーセル22の発電効率を高めるためには、アモルファスシリコン228の表面228aに入射する光量をできるだけ多くする必要がある。そのため、アモルファスシリコン228の表面積をなるべく大きくすることが望ましい。そこで、本実施形態では、文字板11の裏面11bとGPSアンテナ27の受信面27aの間にもソーラーセル22が配置されている。しかし、前述したように、ソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225はマイクロ波をシールドする効果が高いため、本実施形態では、GPSアンテナ27の受信面27a(図16(B)では上面)の近傍部分の透明電極221及び金属電極225がメッシュ状に形成されている。
なお、第3実施形態のGPS付き腕時計3の回路構成は、図3に示した第1実施形態のGPS付き腕時計3の回路構成と同様であってもよいため、その説明を省略する。また、
第3実施形態のGPS付き腕時計3の時刻修正処理(測時モード)手順及び時差修正処理(測位モード)手順は、図5及び図6にそれぞれ示した第1実施形態のGPS付き腕時計3の時刻修正処理(測時モード)手順及び時差修正処理(測位モード)手順と同様であってもよいため、その説明を省略する。また、第3実施形態のGPS付き腕時計3におけるGPSアンテナ27の配置は、図11(A)及び図11(B)に示した第1実施形態のGPS付き腕時計3におけるGPSアンテナ27の配置と同様であってもよいため、その説明を省略する。
[第3実施形態の効果]
第3実施形態のGPS付き腕時計3によれば、以下のような効果が得られる。
第3実施形態のGPS付き腕時計3では、図15に示したように、ソーラーセル22は、文字板11の裏面11bとGPSアンテナ27の受信面27aの間に挟まれる部分を含むGPSアンテナ27の受信面27aの近傍部分の透明電極221及び金属電極225がメッシュ状に形成されているので、その面積を減らすことが出来る。つまり、GPS衛星10からのマイクロ波がソーラーセル22による減衰を緩和することが出来るので、出来る限りソーラーセル22を通過させる事で確実な受信を確保することができる。また、ソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225が電気的に結合して発生するロスを緩和することが出来る。そのため、ソーラーセル22の裏面22bの側の腕時計内部にGPSアンテナ27を配置しても、確実な受信を維持することができる。従って、第3実施形態のGPS付き腕時計3によれば、アンテナ配置の制約を緩和することができるので、装飾性や装着性を向上させることができる。
また、第3実施形態のGPS付き腕時計3では、第1実施形態及び第2実施形態のGPS付き腕時計3と比較して、ソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225の表面積が大きい。そのため、ソーラーセル22による光発電効率をより高くすることができる。
また、第3実施形態のGPS付き腕時計3では、図15に示したように、GPSアンテナ27が、外装ケース17との距離M2及びムーブメント13との距離M3がともに所定値以上になるように配置される。すなわち、第3実施形態のGPS付き腕時計3では、GPSアンテナ27と金属部材が所定値以上の距離だけ離れているので、受信性能の劣化を低減することができる。さらに、第3実施形態のGPS付き腕時計3において、GPSアンテナ27がパッチアンテナである場合には、GPSアンテナ27と金属部材の距離がGPSアンテナ27の厚みL以上となるようにGPSアンテナ27を配置すれば、受信性能の劣化をより低減させることができる。
また、第3実施形態のGPS付き腕時計3では、図15に示したように、GPSアンテナ27は外装ケース17に近い周縁部に配置される。第1実施形態及び第2実施形態と同様に、GPSアンテナ27を文字板11の表面11aの12時から6時の位置に対応する裏面側の周縁部の少なくとも一部に配置することにより、ユーザーがGPS付き腕時計3を左手首に装着した状態で歩行時や走行時など日常生活においてGPSアンテナ27の放射パターンがGPS衛星10が存在する上空に向きやすい。従って、マイクロ波を受信し易くすることができるので利便性が向上する。
以上の通り、第3実施形態によれば、文字板11の裏面11bの側の腕時計内部にGPSアンテナ27を配置しても確実な受信を維持することができるので、装飾性及び装着性の良いGPS付き腕時計を提供することができる。
2−4.GPS付き腕時計の外観
図17(A)及び図17(B)は、第1〜第3実施形態のGPS付き腕時計3の外観の一例を示す図である。例えば、図17(A)に示すように、GPS付き腕時計3は、文字板11の裏面とGPSアンテナ27の受信面の間に挟まれる空間にはソーラーセル22が配置されていないようにしてもよい(第1実施形態)。また、例えば、図17(B)に示すように、GPS付き腕時計3は、文字板11の裏面とGPSアンテナ27の受信面の間に挟まれる部分は、ソーラーセル22の電極が形成されていないようにしてもよいし(第2実施形態)、ソーラーセル22は文字板11の裏面とGPSアンテナ27の受信面の間に挟まれる部分の電極がメッシュ状に形成されているようにしてもよい(第3実施形態)。
図17(A)及び図17(B)に示すように、第1〜第3実施形態のGPS付き腕時計3は、GPSアンテナ27が文字板11の裏面側に配置されているため、装飾性や装着性が良い。さらに、GPSアンテナ27は、図17(A)では文字板11の12時の位置の裏面側に配置され、図17(A)では文字板11の6時の位置の裏面側に配置されている。従って、図11(B)で説明したように、GPS付き腕時計3は、ユーザーの歩行時や走行時など日常生活においてGPSアンテナ27の放射パターンがGPS衛星10が存在する上空に向きやすい。従って、マイクロ波を受信し易くすることができるので利便性が向上する。
なお、本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、第3実施形態において、ソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225がGPSアンテナ27の受信面27aの近傍のみメッシュ状に形成されている場合を例にとり説明したが、ソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225の全体がともにメッシュ状に形成されていてもよい。
また、第1実施形態および第2実施形態のソーラーセル22は、プラスチックフィルム基板226を使っているが、プラスチックフィルム基板226が金属基板であっても良い。金属基板の場合には、マイクロ波を遮るシールド効果およびGPSアンテナ27と電気的に結合してロスが発生してしまうので、GPSアンテナ27とは、所定値以上離れて配置されることが望ましい。
同様に第3実施形態においてもソーラーセル22は、プラスチックフィルム基板226を使っているが、プラスチックフィルム基板226が金属基板であっても良い。金属基板の場合には、金属基板のソーラーセル22の透明電極221及び金属電極225がメッシュ状になっている部分と重なる部分が、メッシュ状あるいは、空間であることが望ましい。
また、例えば、前述の各実施形態は文字板11と指針12により時刻表示を行うアナログ時刻表示型の腕時計を例に挙げて説明したが、本発明の電子時計はアナログ時刻表示型の腕時計に限らず、指針12を有さず文字板11に時刻情報をデジタル表示するデジタル時刻表示型の腕時計であってもよい。
また、例えば、前述の各実施形態はGPS付き腕時計を例に挙げて説明したが、本発明の電子時計はGPS付き腕時計に限らず、他の種類の電子時計であってもよい。他の種類の電子時計としては、例えば、ブルートゥース(Bluetooth)やCDMA方式等で携帯電話や基地局等と通信を行う腕時計が考えられる。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び
結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。