JP2018083866A - 再生可能原料による吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(2)炭素数2以下の化合物を含み、硫黄、リン及び窒素を含まない排出ガスを希釈ガスとして用いる希釈工程
(3)空気中の酸素濃縮工程
(4)廃ガス燃焼工程
すなわち、上記課題を解決するために、本発明の吸水性樹脂の製造方法は、非化石原料から得られるバイオプロパンを下記(1)又は(2)の少なくとも一つを含む脱水素反応によりバイオプロピレンに変換する工程、
(1)バイオプロパン中の硫黄、リン及び窒素を含む化合物を除去する工程
(2)炭素数2以下の化合物を含み、硫黄、リン及び窒素を含まない排出ガスを希釈ガスとして用いる工程、
上記工程を経て得られたバイオプロピレンの接触気相酸化において、下記(3)又は(4)の少なくとも一つを含む酸化反応によりバイオアクリル酸に変換する工程、
(3)空気中の酸素濃縮工程
(4)廃ガス燃焼工程、
上記工程を経て得られるバイオアクリル酸を含む、アクリル酸による単量体水溶液の調整工程、上記単量体水溶液の重合工程、重合後の乾燥工程、
を含む、吸水性樹脂の製造方法である。
〔1−1〕「吸水性樹脂」
本発明における「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を指し、以下の物性を満たすものをいう。即ち、「水膨潤性」として、ERT441.2−02で規定されるCRCが5g/g以上、かつ、「水不溶性」として、ERT470.2−02で規定されるExtが50質量%以下の物性を満たす高分子ゲル化剤を指す。
本発明における「ポリアクリル酸(塩)」とは、ポリアクリル酸及び/又はその塩を指し、主成分として、アクリル酸及び/又はその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を繰り返し単位として含み、任意成分としてグラフト成分を含む重合体を指す。
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)の吸水性樹脂の測定法(EDANA Recommended Test Methods)の略称である。本発明では、特に断りのない限り、ERT原本(2002年改定/公知文献)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離保持容量)の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率(「吸水倍率」と称する場合もある)を意味する。
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、吸水性樹脂の加圧下吸水倍率を意味する。
「PSD」は、Particle Size Distributionの略称であり、篩分級により測定される、吸水性樹脂の粒度分布を意味する。
「Ext」は、Extractablesの略称であり、吸水性樹脂の水可溶分(水可溶成分量)を意味する。
「Moisture Content」は、吸水性樹脂の含水率を意味する。
「Residual Monomers」は、吸水性樹脂中に残存する単量体(モノマー)量(以下、「残存モノマー」と称する)を意味する。
「FSC」は、Free Swell Capacityの略称であり、吸水性樹脂の無加圧下吊り下げ吸水倍率を意味する。
「pH」(ERT400.2−02):吸水性樹脂のpHを意味する。
「Flow Rate」(ERT450.2−02):吸水性樹脂の流下速度を意味する。
「Density」(ERT460.2−02):吸水性樹脂の嵩比重を意味する。
「Respirable Particles」(ERT480.2−02):吸水性樹脂の呼吸域粉塵を意味する。
「Dust」(ERT490.2−02):吸水性樹脂中に含まれる粉塵を意味する。
本発明における吸水性樹脂の「通液性」とは、荷重下又は無荷重下での膨潤ゲルの粒子間を通過する液の流れ性のことをいい、代表的な測定方法として、SFC(Saline Flow Conductivity/生理食塩水流れ誘導性)やGBP(Gel Bed Permeability/ゲル床透過性)がある。
本発明における吸水性樹脂の「吸水速度」とは、「FSR」又は「Vortex」(単位:秒)により測定される吸水速度を意味する。なお、「FSR」とは、Free Swell Rateの略称である。具体的な測定方法については、後述の実施例において説明する。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上、Y以下」を意味する。また、特に注釈のない限り、質量の単位である「t(トン)」は「Metric ton(メトリック トン)」を意味し、「ppm」は「質量ppm」又は「重量ppm」を意味する。更に、「質量」と「重量」、「質量部」と「重量部」、「質量%」と「重量%」はそれぞれ同義語として扱う。また、「〜酸(塩)」は「〜酸及び/又はその塩」、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」をそれぞれ意味する。
本発明は、アクリル酸の原料としてバイオプロパン又はバイオプロピレンを使用することを特徴とする。バイオプロパン又はバイオプロピレンを使用することで従来既存のアクリル酸製造設備がそのまま使用でき、さらに、得られるアクリル酸中の不純物にも大きな相違点がないため、高物性の吸水性樹脂を安価に製造できる。
本工程は、公知の方法によって実施することが出来る。
本工程は、公知の方法によって実施することが出来る。
本発明は、非化石原料から得られるバイオプロパンを下記(1)又は(2)の少なくとも一つを含む脱水素反応によりバイオプロピレンに変換する工程、
(1)バイオプロパン中の硫黄、リン及び窒素を含む化合物を除去する工程
(2)炭素数2以下の化合物を含み、硫黄、リン及び窒素を含まない排出ガスを希釈ガスとして用いる工程、
上記工程を経て得られるバイオプロピレンの接触気相酸化において、下記(3)又は(4)の少なくとも一つを含む酸化反応によりバイオアクリル酸に変換する工程、
(3)空気中の酸素濃縮工程
(4)廃ガス燃焼工程、
を含む工程で得られるバイオアクリル酸を原料とする、吸水性樹脂の製造方法である。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、上記特許文献1〜10に開示のない工程として、好ましくは、更に好ましくは必須に、バイオプロパンから硫黄、リン、窒素を含む化合物を除去する工程(1)を含むことを特徴とする。かかる工程(1)を含むことで、得られる吸水性樹脂の重合性や物性が向上する。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、上記特許文献1〜10に開示のない工程として、好ましくは、更に好ましくは必須に、炭素数2以下の化合物を含み、硫黄、リン及び窒素を含まない排出ガスを希釈ガスとして用いる工程(2)を含むことを特徴とする。かかる工程(2)を含むことで、得られる吸水性樹脂の重合性や物性が向上する。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、上記特許文献1〜10に開示のない工程として、好ましくは、バイオプロパンの酸化のために空気中の酸素濃縮工程(3)を含むことを特徴とする。かかる工程(3)を含むことで、得られる吸水性樹脂の重合性や物性が向上する。
本工程は、上記の工程を経て得られるバイオプロピレンの酸化反応によるアクロレイン(以下「バイオアクロレイン」という場合がある)を得る工程である。
本発明では、上述したようにバイオプロピレンを酸化してアクロレイン及びアクリル酸を得ているが、バイオプロピレンのみを使用することに限定されず、バイオプロパン(バイオプロピレン)の供給可能性や不純物、更には、プロピレンの酸化設備のスケールに合わせて、適宜、従来の化石原料由来のプロパンやプロピレンと混合することもできる。
本工程は、上記〔3−4〕で得られたアクロレイン(バイオアクロレイン)の酸化反応によってアクリル酸(以下「バイオアクリル酸」という場合がある)を得る工程である。
本工程は、上記〔3−6〕でアクロレイン(バイオアクロレイン)の酸化反応によって得られたバイオアクリル酸を捕集する工程であり、化石原料由来のプロピレンの酸化プロセスで知られている公知の捕集方法によって実施することが出来る。
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、上記特許文献1〜10に開示のない工程として、好ましくは、更に好ましくは必須に、上記〔3−4〕及び/又は上記〔3−6〕での廃ガスに対して、廃ガス燃焼工程(4)を含むことを特徴する。かかる工程(4)で発生した熱を回収することで、吸水性樹脂の製造に必要なコストを低減することができる。廃ガスの燃焼工程(4)は、化石原料由来のプロピレンの酸化で公知の方法によって実施することが出来る。
上記〔3−8〕で得られた排出ガスは必要により、排出ガス利用工程を含む。本工程は、化石原料由来のプロピレンからのアクリル酸の製造方法で公知の方法によって実施することが出来る。
本工程は、化石原料由来のプロピレンからのアクリル酸の製造方法で公知の方法によって実施することが出来る。
以下に、本発明に係る吸水性樹脂の製造工程〔4−1〕〜〔4−9〕について示す。
本工程は、アクリル酸(塩)を主成分として含む水溶液(以下、「単量体水溶液」と称する)を調製する工程である。なお、得られる吸水性樹脂の吸水性能が低下しない範囲で、単量体のスラリー液を使用することもできるが、本項では便宜上、単量体水溶液について説明を行う。
本発明では、得られる吸水性樹脂の物性及び生産性の観点から、単量体としてバイオアクリル酸及び/又はその塩(以下「アクリル酸(塩)」と称する)を含む、アクリル酸が用いられる。
本発明において、「塩基性組成物」とは、塩基性化合物を含有する組成物を指し、例えば、市販の水酸化ナトリウム水溶液等が該当する。
本発明における中和として、アクリル酸に対する中和(重合前)又はアクリル酸を架橋重合して得られる含水ゲル状架橋重合体に対する中和(重合後)(以下、「後中和」と称する)の何れかを選択又は併用することができる。また、これらの中和は、連続式でもバッチ式でもよいが、生産効率等の観点から連続式が好ましい。
本発明において、「他の単量体」とは、上記アクリル酸(塩)以外の単量体を指し、アクリル酸(塩)と併用して吸水性樹脂を製造することができる。
本発明で使用される内部架橋剤として、米国特許第6241928号に記載された化合物が本発明にも適用される。これらの中から反応性を考慮して1種又は2種以上の化合物が選択される。
本発明において、得られる吸水性樹脂の物性向上の観点から、下記の物質を単量体水溶液の調製時に添加することもできる。
本工程において、単量体水溶液を調製する際に、上記の各物質が添加される。該単量体水溶液中の単量体成分の濃度は、吸水性樹脂の物性の観点から、好ましくは10質量%〜80質量%、より好ましくは20質量%〜75質量%、更に好ましくは30質量%〜70質量%である。
〔4−2〕重合工程
本工程は、上記単量体水溶液の調製工程で得られたアクリル酸(塩)系単量体水溶液を重合させて、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)を得る工程である。
本発明で使用される重合開始剤は、重合形態等によって適宜選択され、熱分解型重合開始剤、光分解型重合開始剤、又はこれらの重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用したレドックス系重合開始剤等が挙げられる。具体的には、米国特許第7265190号に開示された重合開始剤のうち、1種又は2種以上が用いられる。なお、重合開始剤の取扱性や吸水性樹脂の物性の観点から、好ましくは過酸化物又はアゾ化合物、より好ましくは過酸化物、更に好ましくは過硫酸塩が使用される。
本発明に適用される重合形態は、吸水特性や重合制御の容易性等の観点から、好ましくは噴霧液滴重合、水溶液重合、逆相懸濁重合、より好ましくは水溶液重合、逆相懸濁重合、更に好ましくは水溶液重合が挙げられる。中でも、連続水溶液重合が特に好ましく、連続ベルト重合、連続ニーダー重合の何れでも適用される。
ただし、単量体水溶液の固形分濃度とは下記式(3)で求められる値であり、重合系内の成分とは、単量体水溶液とグラフト成分、吸水性樹脂、その他固形物(例えば水不溶性微粒子等)であり、逆相懸濁重合における疎水性溶媒は含めない。
〔4−3〕ゲル粉砕工程
本工程は、上記重合工程で得られた含水ゲルを、例えば、ニーダー、ミートチョッパー等のスクリュー押出し機、カッターミル等のゲル粉砕機でゲル粉砕し、粒子状の含水ゲル(以下、「粒子状含水ゲル」と称する)を得る工程である。なお、上記重合工程がニーダー重合の場合、重合工程とゲル粉砕工程が同時に実施されている。また、気相重合や逆相懸濁重合等、粒子状含水ゲルが重合過程で直接得られる場合には、該ゲル粉砕工程が実施されないこともある。
本工程は、上記重合工程及び/又はゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲルを所望する樹脂固形分まで乾燥させて乾燥重合体を得る工程である。該樹脂固形分は、乾燥減量(吸水性樹脂1gを180℃で3時間加熱した際の質量変化)から求められ、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%〜99質量%、更に好ましくは90質量%〜98質量%、特に好ましくは92質量%〜97質量%である。
本工程は、上記乾燥工程で得られた乾燥重合体を粉砕(粉砕工程)し、所定範囲の粒度に調整(分級工程)して、吸水性樹脂粉末(表面架橋を施す前の、粉末状の吸水性樹脂を便宜上「吸水性樹脂粉末」と称する)を得る工程である。
本工程は、上述した工程を経て得られる吸水性樹脂粉末の表面層(吸水性樹脂粉末の表面から数10μmの部分)に、更に架橋密度の高い部分を設ける工程であり、混合工程、加熱処理工程及び冷却工程(任意)から構成される。
本発明で使用される表面架橋剤は、有機又は無機の表面架橋剤が挙げられる。中でも、吸水性樹脂の物性や表面架橋剤の取扱性の観点から、カルボキシル基と反応する有機表面架橋剤が好ましい。例えば、米国特許7183456号に開示される1種又は2種以上の表面架橋剤が挙げられる。より具体的には、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、ハロエポキシ化合物、多価アミン化合物又はそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、オキサゾリジノン化合物、多価金属塩、アルキレンカーボネート化合物、環状尿素化合物等が挙げられる。
本工程は、吸水性樹脂粉末と上記表面架橋剤を混合する工程である。上記表面架橋剤の混合方法は、予め表面架橋剤溶液を作成しておき、該液を吸水性樹脂粉末に対して、好ましくは噴霧又は滴下して、より好ましくは噴霧して混合する方法が挙げられる。
本工程は、上記混合工程から排出された混合物に熱を加えて、吸水性樹脂粉末の表面上で架橋反応を起させる工程である。
上記該架橋反応を行う装置は、好ましくはパドルドライヤーが挙げられる。上記架橋反応での反応温度は、使用される表面架橋剤の種類に応じて適宜設定されるが、好ましくは50℃〜300℃、より好ましくは100℃〜200℃である。
本工程は、上記加熱処理工程後に必要に応じて設置される任意の工程である。
上記該冷却を行う装置は、好ましくは加熱処理工程で使用される装置と同一仕様の装置であり、より好ましくはパドルドライヤーである。熱媒を冷媒に変更することで、冷却装置として使用できるためである。なお、上記加熱処理工程で得られた吸水性樹脂粒子は、該冷却工程において、好ましくは40℃〜80℃、より好ましくは50℃〜70℃に、必要に応じて強制冷却される。
本工程は、上記表面架橋工程で得られた吸水性樹脂粒子に、下記の多価金属塩化合物、カチオン性ポリマー、キレート剤、無機還元剤、α−ヒドロキシカルボン酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する工程である。
本発明において、得られる吸水性樹脂の吸水速度、通液性、吸湿流動性等の向上の観点から、多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマーを添加することが好ましい。
本発明において、得られる吸水性樹脂の色調(着色防止)、劣化防止等の観点から、キレート剤を添加することが好ましい。
本発明において、得られる吸水性樹脂の色調(着色防止)、劣化防止、残存モノマー低減等の観点から、無機還元剤を添加することが好ましい。
本発明において、得られる吸水性樹脂の色調(着色防止)等の観点から、α−ヒドロキシカルボン酸を添加することが好ましい。なお、「α−ヒドロキシカルボン酸化合物」とは、分子内にヒドロキシル基を有するカルボン酸又はその塩のことで、α位にヒドロキシル基を有するヒドロキシカルボン酸である。
本発明においては、上述した添加剤以外の添加剤(以下「その他の添加剤」という)を、吸水性樹脂に種々の機能を付加させるため、添加することもできる。その他の添加剤として、具体的には、界面活性剤、リン原子を有する化合物、酸化剤、有機還元剤、水不溶性無機微粒子、金属石鹸等の有機粉末、消臭剤、抗菌剤、パルプや熱可塑性繊維等が挙げられる。なお、上記界面活性剤は、国際公開第2005/075070号に開示された化合物が、また、上記水不溶性無機微粒子は、国際公開第2011/040530号の「〔5〕水不溶性無機微粒子」に開示された化合物が、それぞれ本発明に適用される。
本発明においては、上述した工程以外に、造粒工程、整粒工程、微粉除去工程、微粉の再利用工程等を必要に応じて設けることができる。また、輸送工程、貯蔵工程、梱包工程、保管工程等の1種又は2種以上の工程を更に含んでもよい。なお、「整粒工程」は、表面架橋工程以降の微粉除去工程や吸水性樹脂が凝集し、所望の大きさを超えた場合に分級、粉砕を行う工程を含む。また、「微粉の再利用工程」は、本発明のように微粉をそのまま添加する形態の他、大きな含水ゲルにして、吸水性樹脂の製造工程の何れかの工程に添加する工程を含む。
本発明に係る製造方法で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、該吸水性樹脂を吸収性物品、特に紙オムツに使用する場合には、下記の〔5−1〕〜〔5−10〕に掲げた物性のうち、少なくとも1つ以上、好ましくはAAPを含めた2つ以上、より好ましくはAAPを含めた3つ以上、最も好ましくは全ての物性を、所望する範囲に制御することが望まれる。これらの物性が下記の範囲を満たさない場合、本発明の効果が十分に得られず、高濃度紙オムツにおいて十分な性能を発揮しない虞がある。
本発明の吸水性樹脂のCRC(遠心分離機保持容量)は、通常5g/g以上であり、好ましくは15g/g以上、より好ましくは25g/g以上である。上限値は高値ほど好ましいが、他の物性とのバランスの観点から、好ましくは70g/g以下、より好ましくは50g/g以下、更に好ましくは40g/g以下である。
本発明の吸水性樹脂のAAP(加圧下吸水倍率)は、好ましくは20g/g以上、より好ましくは22g/g以上、更に好ましくは23g/g以上、特に好ましくは24g/g以上、最も好ましくは25g/g以上である。上限値は高値ほど好ましいが、他の物性とのバランスの観点から、好ましくは30g/g以下である。
本発明の吸水性樹脂の粒度(粒度分布、質量平均粒子径(D50)、粒度分布の対数標準偏差(σζ))は、表面架橋を施す前の吸水性樹脂粉末の粒度と同じになるように、制御される。
本発明の吸水性樹脂のExt(水可溶分)は、通常50質量%以下であり、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。下限値は、好ましくは0質量%、より好ましくは0.1質量%程度である。
本発明の吸水性樹脂の含水率は、好ましくは0質量%を超えて15質量%以下、より好ましくは1質量%〜13質量%、更に好ましくは2質量%〜10質量%、特に好ましくは2質量%〜9質量%である。
本発明の吸水性樹脂に含有する残存モノマーは、安全性の観点から、好ましくは500ppm以下、より好ましくは400ppm以下、更に好ましくは300ppm以下である。下限値は、好ましくは0ppm、より好ましくは10ppm程度である。
本発明の吸水性樹脂のSFC(生理食塩水流れ誘導性)は、好ましくは50以上、より好ましくは60以上、更に好ましくは70以上、特に好ましくは80以上である。上限値は、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下である。
本発明の吸水性樹脂のFSR(吸水速度)は、好ましくは0.10g/g/s以上、より好ましくは0.15g/g/s以上、更に好ましくは0.20g/g/s以上、特に好ましくは0.25g/g/s以上である。上限値は、好ましくは5.0g/g/s以下、より好ましくは3.0g/g/s以下である。
本発明の吸水性樹脂の初期色調は、ハンターLab表色系において、L値が好ましくは88以上、より好ましくは89以上、更に好ましくは90以上である。上限値は100であるが、少なくとも88を示せば色調による問題は発生しない。また、a値は好ましくは−3〜3、より好ましくは−2〜2、更に好ましくは−1〜1である。更に、b値は好ましくは0〜12、より好ましくは0〜10、更に好ましくは0〜9である。なお、上記L値は100に近づくほど白色度が増し、a値及びb値は0に近づくほど低着色で実質的に白色となる。
本発明の吸水性樹脂の経時色調は、ハンターLab表色系において、L値が好ましくは80以上、より好ましくは81以上、更に好ましくは82以上、特に好ましくは83以上である。上限値は100であるが、少なくとも80を示せば色調による問題は発生しない。また、a値は好ましくは−3〜3、より好ましくは−2〜2、更に好ましくは−1〜1である。更に、b値は好ましくは0〜15、より好ましくは0〜12、更に好ましくは0〜10である。なお、上記L値は100に近づくほど白色度が増し、a値及びb値は0に近づくほど低着色で実質的に白色となる。
本発明の吸水性樹脂の用途は、好ましくは紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品の吸収体用途が挙げられる。特に、原料由来の臭気、着色等が問題となっていた高濃度紙オムツ(紙オムツ1枚あたりの吸水性樹脂の使用量が多いもの)の吸収体として使用することができる。更に、上記吸収体の上層部に使用される場合に、顕著な効果が期待できる。
(a)CRC(遠心分離機保持容量)
本発明の吸水性樹脂のCRC(遠心分離機保持容量)は、EDANA法(ERT441.2−02)に準拠して測定した。
本発明の吸水性樹脂のAAP(加圧下吸水倍率)は、EDANA法(ERT442.2−02)に準拠して測定した。なお、荷重条件を4.83kPa(0.7psi)に変更した。
本発明の吸水性樹脂の粒度(粒度分布、質量平均粒子径(D50)、粒度分布の対数標準偏差(σζ))は、米国特許第7638570号のカラム27、28に記載された「(3) Mass−Average Particle Diameter (D50) and Logarithmic Standard Deviation (σζ) of Particle Diameter Distribution」に準拠して測定した。
本発明の吸水性樹脂のExt(水可溶分)は、EDANA法(ERT470.2−02)に準拠して測定した。
本発明の吸水性樹脂の含水率は、EDANA法(ERT430.2−02)に準拠して測定した。なお、本発明においては、試料量を1.0g、乾燥温度を180℃にそれぞれ変更して測定した。
本発明の吸水性樹脂の残存モノマーは、EDANA法(ERT410.2−02)に準拠して測定した。
本発明の吸水性樹脂のSFC(生理食塩水流れ誘導性)は、米国特許第5669894号に開示された測定方法に準拠して測定した。
本発明の吸水性樹脂のFSR(吸水速度)は、国際公開第2009/016055号に開示された測定方法に準拠して測定した。
Claims (4)
- 非化石原料から得られるバイオプロパンを下記(1)又は(2)の少なくとも一つを含む脱水素反応によりバイオプロピレンに変換する工程、
(1)バイオプロパン中の硫黄、リン及び窒素を含む化合物を除去する工程
(2)炭素数2以下の化合物を含み、硫黄、リン及び窒素を含まない排出ガスを希釈ガスとして用いる工程、
上記工程を経て得られるバイオプロピレンの接触気相酸化において、下記(3)又は(4)の少なくとも一つを含む酸化反応によりバイオアクリル酸に変換する工程、
(3)空気中の酸素濃縮工程
(4)廃ガス燃焼工程、
上記工程を経て得られるバイオアクリル酸を含む、アクリル酸による単量体水溶液の調整工程、上記単量体水溶液の重合工程、重合後の乾燥工程、
を含む、吸水性樹脂の製造方法。 - 非化石原料由来のプロパン及び化石原料由来のプロパンとの混合物からアクリル酸を得る、請求項1に記載の製造方法。
- アクリル酸の生産量が1000t/y以上である、請求項2に記載の製造方法。
- バイオプロパンが天然物グリセリド由来である、請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
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