JP2018083866A - 再生可能原料による吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents

再生可能原料による吸水性樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】再生可能原料による高物性で低コストの吸水性樹脂の製造方法を提供する。【解決手段】非化石原料から得られるバイオプロパンを下記(1)又は(2)の少なくとも一つを含む脱水素反応によりバイオプロピレンに変換する工程、(1)バイオプロパン中の硫黄、リン及び窒素を含む化合物を除去する工程(2)炭素数2以下の化合物を含み、硫黄、リン及び窒素を含まない排出ガスを希釈ガスとして用いる工程、上記工程を経て得られたバイオプロピレンの接触気相酸化において、下記(3)又は(4)の少なくとも一つを含む酸化反応によりバイオアクリル酸に変換する工程、(3)空気中の酸素濃縮工程(4)廃ガス燃焼工程、上記工程を経て得られるバイオアクリル酸を含む、アクリル酸による単量体水溶液の調整工程、上記単量体水溶液の重合工程、重合後の乾燥工程、を含む、吸水性樹脂の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、吸水性樹脂の製造方法に関する。更に詳しくは、再生可能原料による高物性で低コストの吸水性樹脂の製造方法に関するものである。
吸水性樹脂(SAP/Super Absorbent Polymer)は水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤であり、紙オムツ、生理用ナプキン等の吸収性物品、更には、農園芸用保水剤、工業用止水材等として、主に使い捨て用途に多用されている(非特許文献1)。
このような吸水性樹脂としては、原料として多くの単量体や親水性高分子が提案されているが、アクリル酸を主成分としたポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂が主流であり、全世界で製造される吸水性樹脂の殆どはポリアクリル酸ナトリウム塩の架橋重合体であり、特許文献1〜8等のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂が提案されている。これら重合に用いられるアクリル酸は、一般に石油(化石原料)由来のプロピレンを気相酸化することで得られる。
アクリル酸等の吸水性樹脂の原料として、石油等の化石原料を由来とするものが多く使用されるが、吸水性樹脂は紙オムツ等の使い捨て材料となるため、有限な化石原料に依存せず、天然物由来の再生可能原料から吸水性樹脂を生産することが近年要求されている。
天然物由来の吸水性樹脂として、澱粉やセルロース等の天然高分子の変性物や架橋体(特許文献1)、天然高分子へのポリアクリル酸等のグラフト重合体(特許文献2)、アミノ酸の架橋重合体であるポリアミノ酸架橋体(特許文献3)等が提案されているが、これらの吸水性樹脂は、従来のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂に比べて物性が低い。
そこで、吸水性樹脂の主原料であるアクリル酸を従来の化石原料(ナフサ等)に代えて、原料の単量体(特にアクリル酸)を再生可能原料から製造した吸水性樹脂が提案されている(特許文献4〜9)。乳酸やβ−ヒドロキシプロピオン酸を脱水したアクリル酸による吸水性樹脂(特許文献4〜6)、グリセリン由来のアクリル酸を用いた吸水性樹脂(特許文献7〜9)が提案されている。しかし、乳酸/β−ヒドロキシプロピオン酸/グリセリン等を原料とするアクリル酸は製造工程が複雑なうえに、従来のアクリル酸の製造プラントが使用できないため膨大な新規設備投資を必要とする。更に、従来の化石原料由来のアクリル酸とは不純物の種類や量が異なることがあり、同じアクリル酸を単量体とする吸水性樹脂であっても、不純物に由来して物性が低下することがあった。
そこで、再生原料由来のアクリル酸の原料として乳酸/β−ヒドロキシプロピオン酸/グリセリン等に替えて、天然物由来のプロパンやプロピレンを用いたアクリル酸に由来する吸水性樹脂の製造方法(特許文献10)も提案されている。かかる天然物由来のプロパンやプロピレン(以下、バイオプロパン、バイオプロピレン)を用いたアクリル酸では従来のプロパンやプロピレンを用いたアクリル酸の製造設備がそのまま転用できるため、設備投資が少なく低コストの吸水性樹脂となる可能性を秘めている。しかし、かかるバイオプロパンやバイオプロピレンに由来する再生可能原料による吸水性樹脂の製造方法であっても、いまだ不十分であった。
動植物油等天然物由来グリセリドから製造されるバイオディーゼルは、化石燃料に代わる持続可能な燃料としてだけではなく、二酸化炭素の排出量が少ない点でも注目され世界中で導入が進められている。
バイオディーゼルには、グリセリドとメタノールのエステル交換により得られるメチルエステル類からなる第一世代バイオディーゼルと、グリセリドを水素化脱酸素あるいは脱炭酸することにより得られるアルカン類からなる第二世代バイオディーゼルがあり、ディーゼル燃料の品質としては第二世代バイオディーゼルが優れているとされており、今後の普及が期待されている。第一世代バイオディーゼルでは副生成物としてグリセリンが得られ、アクリル酸をはじめとした有用化学物質への転換が検討されている。第二世代バイオディーゼルでは副生物としてプロパンが得られるが、従来活用が進んでいなかった。
特許文献10では、天然油及び/又は脂肪に基づくバイオナフサを、水蒸気の存在下で熱分解して得られるプロパン及びプロペンを含有する混合物から、プロペン及び少なくとも一部のプロパンを分離し、分離後のプロペン/プロパン混合物を気相酸化によってアクリル酸にした後、得られたアクリル酸を重合して吸水性ポリマー粒子にする吸水性ポリマー粒子の製造方法が開示されている。
国際公開WO2005/123781号 米国特許第4076663号 米国特許第6346569号 国際公開WO2006/092272号 国際公開WO2008/023039号 国際公開WO2013/155296号 国際公開WO2010/066513号 国際公開WO2006/136336号 国際公開WO2008/023040号 国際公開WO2014/079785号
アクリル酸等の吸水性樹脂の原料は石油等の化石原料が多く使用されるが、吸水性樹脂が紙オムツ等の使い捨て材料であるため、有限な化石原料に依存せず、天然物由来の再生可能原料からの吸水性樹脂の生産が求められている。しかし、上記特許文献1〜10に記載の方法では高コストであったり、原料アクリル酸の不純物が異なるため、従来の化石原料由来のアクリル酸に最適化した吸水性樹脂の製造プロセスでは十分な性能が安定的に発揮できないという問題を有していた。
また上記特許文献1〜10に記載の方法では化石資源に代えて再生可能な資源であるバイオマスを原料として、アクリル酸を製造する技術は種々検討されている。
例えば、上記特許文献7〜9等、第一世代バイオディーゼルの副生物であるグリセリンからアクリル酸を製造する方法は、グリセリンを気相で2分子脱水してアクロレインを得、これを気相酸化してアクリル酸を得ている。
また、上記特許文献4〜6等の糖を原料に発酵法で得られる3−ヒドロキシプロピオン酸や乳酸を気相脱水して直接アクリル酸を得る方法も検討されているが、いずれの方法も酸素を多量に含む原料から脱水反応によって製造することから、大量の排水が発生するとともに、消費する原料の質量に対して得られるアクリル酸の質量が少なく、装置が大型化する等の問題があった。またこれらの原料の沸点が高く気化させにくい事や、ヒドロキシアルカン酸類は腐食性が強く、装置材質も高価になる等の問題もあった。
更に、特許文献10の方法では十分な性能が発揮できず、かかる原因を探求した結果、天然物由来の資源には部分酸化触媒の触媒毒となる、硫黄やリンや窒素等のヘテロ元素が含まれているため、工業的な実施において重大な問題となることが見出された。
その他、特許文献10の方法では十分な性能が発揮できず、かかる原因を探求した結果、プロピレンに含まれるプロパンも工業的な実施に際して問題となる。例えば、プロピレンの酸化反応によるアクリル酸の製造には、プロピレンの1.5モル倍以上の酸素が必要である。通常はプロピレンと空気と希釈ガスを混合して原料ガスを調製している。しかし、プロパンの含有量が多くなると空気だけでは必要な酸素量を確保できない場合がある。また、上記希釈ガスとして、通常は反応生成ガスからアクリル酸を取り除いた廃ガスの一部をリサイクルすることが行われている。しかし、プロパンはプロピレンよりも反応性が乏しいため、上記廃ガス中のプロパン濃度が徐々に増加し、その結果、原料ガスの組成が変化する場合がある。また、プロパンの一部はプロピオン酸になるため、アクリル酸とプロピオン酸の分離コストがかかる場合がある。さらに、上記廃ガス中のプロパンをプロパン脱水素反応の原料として利用することも考えられるが、廃ガス全量をプロパン脱水素反応に供給した場合には希釈ガスを新たに準備する必要があり、廃ガスからプロパンを抽出する工程を設けた場合には、更なるコストがかかることになる。
本発明の課題は、再生可能原料による高物性で低コストの吸水性樹脂の製造方法を提供することである。さらには、再生可能な資源である天然物由来のグリセリドを原料とするアクリル酸系吸水性樹脂の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、上記特許文献1〜10に対して、従来、化学原料して殆ど使用されていなかったバイオプロパン(天然物から得られるプロパン)に着目し、バイオプロパンからアクリル酸(バイオアクリル酸)を得て吸水性樹脂とする再生可能性原料由来の吸水性樹脂の製造方法に着目し、その新規な製造方法によって上記課題を解決した。
具体的には、本発明は下記(1)〜(4)のうち少なくとも1以上の工程を含み、更には複数を設けた天然物由来の原料から得られるプロパンを脱水素工程によりプロピレンに変換し、該プロピレンの接触気相酸化により得られたアクリル酸を原料とする吸水性樹脂の製造方法である。
(1)硫黄、リン及び窒素を含む化合物を除去する工程
(2)炭素数2以下の化合物を含み、硫黄、リン及び窒素を含まない排出ガスを希釈ガスとして用いる希釈工程
(3)空気中の酸素濃縮工程
(4)廃ガス燃焼工程
すなわち、上記課題を解決するために、本発明の吸水性樹脂の製造方法は、非化石原料から得られるバイオプロパンを下記(1)又は(2)の少なくとも一つを含む脱水素反応によりバイオプロピレンに変換する工程、
(1)バイオプロパン中の硫黄、リン及び窒素を含む化合物を除去する工程
(2)炭素数2以下の化合物を含み、硫黄、リン及び窒素を含まない排出ガスを希釈ガスとして用いる工程、
上記工程を経て得られたバイオプロピレンの接触気相酸化において、下記(3)又は(4)の少なくとも一つを含む酸化反応によりバイオアクリル酸に変換する工程、
(3)空気中の酸素濃縮工程
(4)廃ガス燃焼工程、
上記工程を経て得られるバイオアクリル酸を含む、アクリル酸による単量体水溶液の調整工程、上記単量体水溶液の重合工程、重合後の乾燥工程、
を含む、吸水性樹脂の製造方法である。
工業的規模で、天然物由来の原料から吸水性樹脂が得られる。すなわち、天然物由来の吸水性樹脂の製造方法において、従来のアクリル酸や吸水性樹脂の製造装置や製造方法がそのまま適用できるため新規の大型設備投資やプロセス変更が不要であり、さらに、アクリル酸由来の吸水性樹脂の高物性を維持した天然物由来の吸水性樹脂の製造方法を提供できる。
〔1〕用語の定義
〔1−1〕「吸水性樹脂」
本発明における「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を指し、以下の物性を満たすものをいう。即ち、「水膨潤性」として、ERT441.2−02で規定されるCRCが5g/g以上、かつ、「水不溶性」として、ERT470.2−02で規定されるExtが50質量%以下の物性を満たす高分子ゲル化剤を指す。
上記吸水性樹脂は、その用途に応じて適宜、設計が可能であり、カルボキシル基を有する不飽和単量体を架橋重合させた親水性架橋重合体であることが好ましい。また、全量(100質量%)が重合体である形態に限定されず、上記物性(CRC、Ext)を満足する範囲内で、添加剤等を含んだ吸水性樹脂組成物であってもよい。
更に、本発明における吸水性樹脂は、最終製品に限らず、吸水性樹脂の製造工程における中間体(例えば、重合後の含水ゲル状架橋重合体や乾燥後の乾燥重合体、表面架橋前の吸水性樹脂粉末等)を指す場合もあり、上記吸水性樹脂組成物と合わせて、これら全てを包括して「吸水性樹脂」と総称する。なお、吸水性樹脂の形状として、シート状、繊維状、フィルム状、粒子状、ゲル状等が挙げられるが、本発明では粒子状の吸水性樹脂が好ましい。
〔1−2〕「ポリアクリル酸(塩)」
本発明における「ポリアクリル酸(塩)」とは、ポリアクリル酸及び/又はその塩を指し、主成分として、アクリル酸及び/又はその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を繰り返し単位として含み、任意成分としてグラフト成分を含む重合体を指す。
なお、上記「主成分」とは、アクリル酸(塩)の使用量(含有量)が、重合に用いられる単量体(内部架橋剤を除く)全体に対して、通常50モル%〜100モル%、好ましくは70モル%〜100モル%、より好ましくは90モル%〜100モル%、更に好ましくは実質100モル%であることをいう。
〔1−3〕「EDANA」及び「ERT」
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)の吸水性樹脂の測定法(EDANA Recommended Test Methods)の略称である。本発明では、特に断りのない限り、ERT原本(2002年改定/公知文献)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
〔1−3−1〕「CRC」(ERT441.2−02)
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離保持容量)の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率(「吸水倍率」と称する場合もある)を意味する。
具体的には、吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋に入れた後、大過剰の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して自由膨潤させ、その後、遠心分離機(250G)で水切りした後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。
〔1−3−2〕「AAP」(ERT442.2−02)
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、吸水性樹脂の加圧下吸水倍率を意味する。
具体的には、吸水性樹脂0.9gを大過剰の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液に対して、1時間、2.06kPa(21g/cm、0.3psi)荷重下で膨潤させた後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。なお、荷重条件を4.83kPa(49g/cm、0.7psi)に変更して測定する場合もある。
また、ERT442.2−02には、Absorption Under Pressureと表記されているが、実質的に同一内容である。
〔1−3−3〕「PSD」(ERT420.2−02)
「PSD」は、Particle Size Distributionの略称であり、篩分級により測定される、吸水性樹脂の粒度分布を意味する。
なお、質量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、米国特許第7638570号に記載された「(3) Mass−Average Particle Diameter (D50) and Logarithmic Standard Deviation (σζ) of Particle Diameter Distribution」と同様の方法で測定する。
〔1−3−4〕「Ext」(ERT470.2−02)
「Ext」は、Extractablesの略称であり、吸水性樹脂の水可溶分(水可溶成分量)を意味する。
具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9質量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで16時間攪拌した後の溶解ポリマー量(単位;質量%)のことをいう。溶解ポリマー量の測定は、pH滴定を用いて行う。
〔1−3−5〕「Moisture Content」(ERT430.2−02)
「Moisture Content」は、吸水性樹脂の含水率を意味する。
具体的には、吸水性樹脂4.0gを105℃で3時間乾燥した際の乾燥減量から算出した値(単位;質量%)のことをいう。なお、吸水性樹脂を1.0g、乾燥温度を180℃にそれぞれ変更して測定する場合もある。
〔1−3−6〕「Residual Monomers」(ERT410.2−02)
「Residual Monomers」は、吸水性樹脂中に残存する単量体(モノマー)量(以下、「残存モノマー」と称する)を意味する。
具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9質量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで1時間攪拌した後の溶解残存モノマー量(単位;ppm)のことをいう。溶解残存モノマー量の測定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行う。
〔1−3−7〕「FSC」(ERT440.2−02)
「FSC」は、Free Swell Capacityの略称であり、吸水性樹脂の無加圧下吊り下げ吸水倍率を意味する。
具体的には、吸水性樹脂0.200gを不織布製の袋に入れた後、大過剰の0.9質量%塩化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して自由膨潤させ、その後、10分間吊り下げて水切りした後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。上記CRCとは異なり、吸水性樹脂の粒子間(隙間)に保持する液量を評価することができる。
〔1−3−8〕その他、EDANAで規定される吸水性樹脂の物性
「pH」(ERT400.2−02):吸水性樹脂のpHを意味する。
「Flow Rate」(ERT450.2−02):吸水性樹脂の流下速度を意味する。
「Density」(ERT460.2−02):吸水性樹脂の嵩比重を意味する。
「Respirable Particles」(ERT480.2−02):吸水性樹脂の呼吸域粉塵を意味する。
「Dust」(ERT490.2−02):吸水性樹脂中に含まれる粉塵を意味する。
〔1−4〕「通液性」
本発明における吸水性樹脂の「通液性」とは、荷重下又は無荷重下での膨潤ゲルの粒子間を通過する液の流れ性のことをいい、代表的な測定方法として、SFC(Saline Flow Conductivity/生理食塩水流れ誘導性)やGBP(Gel Bed Permeability/ゲル床透過性)がある。
「SFC」は、2.07kPa荷重下での吸水性樹脂に対する0.69質量%塩化ナトリウム水溶液の通液性をいい、米国特許第5669894号に開示されるSFC試験方法に準拠して測定される。
「GBP」は、荷重下又は自由膨潤での吸水性樹脂に対する0.9質量%塩化ナトリウム水溶液の通液性をいい、国際公開第2005/016393号に開示されるGBP試験方法に準拠して測定される。
〔1−5〕「吸水速度」
本発明における吸水性樹脂の「吸水速度」とは、「FSR」又は「Vortex」(単位:秒)により測定される吸水速度を意味する。なお、「FSR」とは、Free Swell Rateの略称である。具体的な測定方法については、後述の実施例において説明する。
〔1−6〕その他
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上、Y以下」を意味する。また、特に注釈のない限り、質量の単位である「t(トン)」は「Metric ton(メトリック トン)」を意味し、「ppm」は「質量ppm」又は「重量ppm」を意味する。更に、「質量」と「重量」、「質量部」と「重量部」、「質量%」と「重量%」はそれぞれ同義語として扱う。また、「〜酸(塩)」は「〜酸及び/又はその塩」、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」をそれぞれ意味する。
〔2〕バイオプロパンの製造工程
本発明は、アクリル酸の原料としてバイオプロパン又はバイオプロピレンを使用することを特徴とする。バイオプロパン又はバイオプロピレンを使用することで従来既存のアクリル酸製造設備がそのまま使用でき、さらに、得られるアクリル酸中の不純物にも大きな相違点がないため、高物性の吸水性樹脂を安価に製造できる。
バイオプロパン又はバイオプロピレンは全体の100%であってもよく、設備のスケール(時間あたりの生産量)や原料の供給能力やコストにあわせて従来の化石原料由来のプロパン又はプロピレン(例えば、ナフサのクラッキングで得られたプロパン又はプロピレン)との混合物としてもよい。
すなわち、アクリル酸の製造に使用されるプロパン又はプロピレン中の1%以上、さらには10%以上、30%以上、50%以上、70%以上、90%以上の順で好ましく使用される(上限は100%)。
バイオプロパンの製造方法として、発酵法で得られたアルコールの脱水や還元やメタセシス等が挙げられるが、好ましくは、グリセリン長鎖脂肪酸エステル等のグリセリドの分解が挙げられる。
以下、プロパン(バイオプロパン)の製造方法の一例としてグリセリド由来の製造方法を下記に示す。
〔2−1〕グリセリドの分解によるプロパン製造工程
本工程は、公知の方法によって実施することが出来る。
具体的には、グリセリンのエステルであるグリセリドは水素下で、脱酸素及び/又は脱カルボニル化を行うことにより、グリセリン部分からはプロパン、脂肪酸部分からはアルカンが生成することは知られており、アルカン部分はディーゼル燃料として利用されている。
用いられるグリセリドとしては、パーム油等の植物油や食肉加工工程等で発生する動物油、魚油等を用いることができる。実用化されている代表的な技術としてはNested Oil社の技術がある。このプロセスは、水素化脱酸素の触媒としてはアルミナ及び/又はシリカの担体に、Pd,Pt,Ni,Ni−Mo,Co−Moから選ばれる任意の成分を担持したものが用いられる。原料となるグリセリド類は必要に応じて脱ガム、リン酸処理、アルカリ処理等の予備精製を行った後、予備水素化を行い、水素化脱酸素工程に送られる。また水素化脱酸素は水素とグリセリド類を触媒上で向流で接触させるのが好ましい。
水素化脱酸素後の、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、リン化合物、硫黄化合物、プロパン等軽質炭化水素を含むガス成分は冷却され、精製された水素は再利用される。液成分は、水及び水溶性不純物を除いたのち再度水素化脱酸素を行うか、ディーゼルオイルとして好適な成分とするため、ゼオライト触媒を用いた異性化工程に送られる。
プロピレンを含むガス成分には、硫黄化合物やリン化合物、窒素化合物が含まれているが、通常の石油精製及び油脂精製で用いる方法で除去が可能である。硫黄種は水素化脱酸素工程で還元脱硫されほぼ硫化水素の形態で含まれるので、エタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルカリ性溶液で一旦吸収した後、アミン液を再加熱して高濃度の硫化水素ガスを発生させ、酸化してSOとし、生じたSOを残りの硫化水素と反応させて、硫黄と水にする。水素化脱酸素工程での還元脱硫が不十分な場合は、追加で再度還元脱硫を行ってもよい。還元脱硫には一般にアルミナ担体にモリブデンとコバルトやニッケルの硫化物を使った触媒が好適に用いられる。窒素化合物も水素化脱酸素工程でアンモニアに分解されるので、硫酸等酸性の水溶液に通じて除去できる。
〔2−2〕プロパンの脱水素によるプロピレン製造工程
本工程は、公知の方法によって実施することが出来る。
具体的には、プロパンを触媒に接触させることによりプロピレンを得ることができる。この反応は吸熱反応であるため、熱の供給が必要である。また触媒がコーキングにより劣化するため定期的な再生処理が必要である。また、高温低圧がプロピレン生成物に有利となる平衡反応であるが高温では生成したプロピレンのクラッキングが起こり選択性が低下するため、例えば500℃〜700℃と言った条件で実施されることが多い。また、プロパン分圧を下げるために、反応は減圧化や水蒸気等の希釈剤を入れて行われる。さらに、このような条件下でもワンパス転化率が低いため原料プロパンは水素やプロピレンと分離されたのちリサイクルされる。
実用化されているプロセスとしては、UOP社のoleflexプロセス、Lummus社のCATOFINプロセス、Krupp UhdeのSTARプロセスがあり、その他にも、Snamprogetti/YarsintezのFBDプロセスやLinde−BASFのプロセスもある。
UOP社のoleflexプロセスは、触媒としてはPt/Al系を用い、複数のラジアルフロー型断熱反応器が加熱炉を挟んで直列に連結された移動床式の反応装置を用いる。触媒は、反応器から連続的に加熱炉に送られ加熱されて、次の反応器に送られるという工程を繰り返され、最終的に触媒再生装置で再生された後、最初の反応器に戻される。反応に必要な熱の供給はこの加熱炉で触媒を過熱することにより行う。
反応装置出口ガスは冷却、圧縮、した後、乾燥装置で微量の水分の除去と硫化水素を除去され、深冷分離装置に送られ、水素90%以上でメタン、エタンを含むガス成分とオレフィン、パラフィンからなる液成分に分離される。
液成分は、プロパン、プロピレン、エタン等C2以下の形質分、微量のメチルアセチレン、プロパジエンを含んでいる。メチルアセチレン、プロパジエンは選択還元プロセスによりプロピレンに転化して回収され、プロピレン中のこれら不純物の含有量は5ppm以下に減じられる。
液成分に含まれるエタン等軽質分は軽質分分離等で分離され、ボトムをプロピレン−プロパン分離装置で分離して、プロピレンを得る。得られるプロピレンは99.5質量%〜99.8質量%になる。
プロパンは分離装置のボトムに得られ、新たなプロパン含有原料と混合し、さらに触媒劣化抑制を目的として深冷分離で得られた水素含有量の高いガス成分と混合して、C4留分以上を前処理で除去したのち反応系にリサイクルされる。この前処理工程により低純度のプロパン原料も用いることができる。
Oleflexプロセスではワンパス転化率40%、選択率90%以上でプロピレンを得ることができる。
Lummus社のCATOFINプロセスは、触媒としてはCr/Al系を用い、並列に設置された複数の断熱型脱水素反応器を用いる。これら複数の反応器は反応状態、触媒再生状態、パージの状態に別れ、時間をずらして反応−パージ−触媒再生−パージのサイクルを繰り返す事により全体としては連続的に生産を行う。反応サイクルは15分〜20分で触媒再生はスチームと過熱エアーによって行われ、反応に必要な熱の供給はこの際に触媒に蓄熱させて反応時にこれを消費する。また原料を高温に予熱してから導入する事でも熱の供給を行っている。平衡を有利にするため反応は減圧下で行われる。反応装置出口ガスは冷却、圧縮、乾燥したのち深冷分離される。深冷分離装置及び、冷却圧縮乾燥段階で生じた液成分は脱エタン装置に送られて、エタンや残存するメタン、水素を除去し、ボトムをプロピレン−プロパン分離装置で分離して、プロピレンを得る。分離回収されたプロパン留分は重質分を除去したのち、新たなプロピレンと混合されて反応に供される。
ThyssenKrupp UhdeのSTARプロセスは、触媒としてはZn−Ca−Aluminate担体にPt等を担持したものが用いられる。反応器は多管式反応器が用いられ、上記2方式と異なりバーナー型の外部過熱により等温条件で反応が行われる。反応ガスには炭化水素の2倍〜10倍モルの水蒸気が加えられ、炭化水素分圧を低下させることより平衡を有利にしている。水蒸気の投入は反応に必要な熱の供給とコーキングの抑制の役割もある。スチームによるコーキング抑制の効果は大きく7時間の運転に対して1時間の再生時間で運転が可能である。また、オプションとして脱水素反応器の後に酸化反応器を設けて、脱水素反応で生成した水素を燃焼させて熱供給を行うことも出来る。酸素含有ガスは脱水素反応器の後ろに供給する。
Snamprogetti−YarsintezのFDB(fluidized bed dehydrogenation)プロセスは、ブタン脱水素用に開発されており、イソブテン製造で実用化されているが、プロパン脱水素も可能とされている。
流動床式の反応器と再生器を用い反応器の触媒が徐々に抜き出されて再生器で再生されたのち反応器に戻され連続的に反応を継続することができる。反応に必要な熱の供給は再生時に触媒に蓄熱させることで行う。アルミナ担体に酸化クロム−酸化錫を担持したものや、アルミナ担体に白金及び錫等を担持した触媒が用いられる。
LindeのPDHプロセスの商業化実績はまだ無いが、ハイドロタルサイトに白金−錫を担持した触媒を用い、複数の管型固定床反応器を用い時間をずらして反応と触媒再生を行う事で連続的に生産することを可能としている。原料ガスはコーキング抑制のため水素と水蒸気で希釈して用いられる。
〔3〕バイオプロピレンの製造工程
本発明は、非化石原料から得られるバイオプロパンを下記(1)又は(2)の少なくとも一つを含む脱水素反応によりバイオプロピレンに変換する工程、
(1)バイオプロパン中の硫黄、リン及び窒素を含む化合物を除去する工程
(2)炭素数2以下の化合物を含み、硫黄、リン及び窒素を含まない排出ガスを希釈ガスとして用いる工程、
上記工程を経て得られるバイオプロピレンの接触気相酸化において、下記(3)又は(4)の少なくとも一つを含む酸化反応によりバイオアクリル酸に変換する工程、
(3)空気中の酸素濃縮工程
(4)廃ガス燃焼工程、
を含む工程で得られるバイオアクリル酸を原料とする、吸水性樹脂の製造方法である。
好ましくは、(1)及び(2)を必須に含み、又は、(3)及び(4)を必須に含むことで(1)〜(4)の3つ以上を含み、さらに、(1)〜(4)の4つを必須に含む。
〔3−1〕バイオプロパン中の硫黄、リン、窒素を含む化合物を除去する工程(1)
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、上記特許文献1〜10に開示のない工程として、好ましくは、更に好ましくは必須に、バイオプロパンから硫黄、リン、窒素を含む化合物を除去する工程(1)を含むことを特徴とする。かかる工程(1)を含むことで、得られる吸水性樹脂の重合性や物性が向上する。
ここで、硫黄、リン、窒素を含む化合物としては、硫化水素、ホスフィン、アンモニア等が挙げられる。除去後の硫黄、リン、窒素を含む化合物量は、それぞれ、通常100ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下、より好ましくは10ppm以下、特に好ましくは5ppm以下とされる。
具体的には、バイオプロパンの水素化脱酸素によって得られたプロパン含有ガスには硫黄分や窒素分が含まれているが、硫黄化合物は水素化脱酸素工程で還元脱硫されほぼ硫化水素の形態で含まれるので、エタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルカリ性溶液で一旦吸収した後、アミン液を再加熱して高濃度の硫化水素ガスを発生させ、酸化してSOとし、生じたSOを残りの硫化水素と反応させて、硫黄と水にする。水素化脱酸素工程での還元脱硫が不十分な場合は、追加で再度還元脱硫を行ってもよい。還元脱硫には一般にアルミナ担体にモリブデンとコバルトやニッケルの硫化物を使った触媒が好適に用いられる。窒素化合物も水素化脱酸素工程でアンモニアに分解されるので、硫酸等酸性の水溶液に通じて除去できる。また、ハロゲン化物はハロゲン化水素に分解されるので、硫化水素と同時に除去される。
〔3−2〕炭素数2以下の化合物を含み、硫黄、リン及び窒素を含まない排出ガスを希釈ガスとして用いる工程(2)
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、上記特許文献1〜10に開示のない工程として、好ましくは、更に好ましくは必須に、炭素数2以下の化合物を含み、硫黄、リン及び窒素を含まない排出ガスを希釈ガスとして用いる工程(2)を含むことを特徴とする。かかる工程(2)を含むことで、得られる吸水性樹脂の重合性や物性が向上する。
ここで、「硫黄、リン及び窒素を含まない排出ガス」とは、硫黄、リン及び窒素の含有量が10ppm以下、さらには0ppm(検出限界)であるガスを指し、「排出ガス」とは少量の二酸化炭素、メタン、エタン、エチレン等を含むガスを指す。
〔3−3〕空気中の酸素濃縮工程(3)
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、上記特許文献1〜10に開示のない工程として、好ましくは、バイオプロパンの酸化のために空気中の酸素濃縮工程(3)を含むことを特徴とする。かかる工程(3)を含むことで、得られる吸水性樹脂の重合性や物性が向上する。
本工程(3)で得られる酸素の濃度は通常50容量%以上、好ましくは80容量%以上、より好ましくは90容量%、更に好ましくは実質的に微量のアルゴンを含む酸素とされる。すなわち、本発明に係る製造方法は、バイオプロパンの酸化のために空気中の酸素濃縮工程が設けられる。
具体的には、ゼオライト等の吸着剤を用いる方法、ペロブスカイト型酸化物等を用いた酸素分離膜を用いる方法、低温で液化させて分離する方法、圧力スイング法により分離する方法等が挙げられる。これらの中から、目的とする酸素濃度に合わせて適宜選択すればよく、これらを組み合わせることもできる。
〔3−4〕バイオプロピレンの酸化反応によるアクロレイン製造工程
本工程は、上記の工程を経て得られるバイオプロピレンの酸化反応によるアクロレイン(以下「バイオアクロレイン」という場合がある)を得る工程である。
具体的には、モリブデン、ビスマス、鉄等を含む複合酸化物触媒を用いた接触気相酸化法が挙げられる。反応形式としては、粒状の触媒を用いた多管式反応器を用いる方法や、プレート式反応器を用いる方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。また、上記の酸化反応は、化石原料由来のプロピレンに対しても適用することができる。
〔3−5〕バイオプロピレンの混合物
本発明では、上述したようにバイオプロピレンを酸化してアクロレイン及びアクリル酸を得ているが、バイオプロピレンのみを使用することに限定されず、バイオプロパン(バイオプロピレン)の供給可能性や不純物、更には、プロピレンの酸化設備のスケールに合わせて、適宜、従来の化石原料由来のプロパンやプロピレンと混合することもできる。
すなわち、本発明は、非化石原料のプロパンと化石原料由来のプロパンとの混合物からアクリル酸を得ることもできる。例えば、従来のアクリル酸の生産量が1000t/y以上である大型設備では、従来のバイオプロパン(バイオプロピレン)の供給可能性(原料ソース)に起因する問題が発生することもあり、かような場合は化石原料由来のプロパンとの混合物を使用することになる。
上記混合物を用いる場合、その混合比としては、非化石原料のプロパン:化石原料由来のプロパンの質量比として、好ましくは1〜100:99〜0の範囲、さらには10〜90:90〜10の範囲、特に20〜80:80〜20の範囲とされる。
また、本発明はアクリル酸の生産量が1000t/y、5000t/y以上、1万t/y以上に好ましく適用される。かかる従来の大型アクリル酸の製造設備において、従来の化石原料由来のプロパンに替えて、非化石原料のプロパン(更には、非化石原料のプロパンと化石原料由来のプロパンとの混合物)を使用してアクリル酸を製造し、更に吸水性樹脂とすることで、天然物由来の吸水性樹脂の製造方法において、従来のアクリル酸や吸水性樹脂の製造装置や製造方法がそのまま適用できるため新規の大型設備投資やプロセス変更が不要であり、更に、アクリル酸由来の吸水性樹脂の高物性を維持した天然物由来の吸水性樹脂の製造方法を提供できる。
〔3−6〕アクロレインの酸化によるアクリル酸製造工程
本工程は、上記〔3−4〕で得られたアクロレイン(バイオアクロレイン)の酸化反応によってアクリル酸(以下「バイオアクリル酸」という場合がある)を得る工程である。
具体的には、モリブデン、バナジウム等を含む複合酸化物触媒を用いた接触気相酸化法が挙げられる。反応形式としては、粒状の触媒を用いた多管式反応器を用いる方法や、プレート式反応器を用いる方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。また、上記の酸化反応は、化石原料由来のプロピレンに対しても適用することができる。なお、本工程では、上記〔3−4〕の工程で得られたアクロレイン含有ガスからアクロレインを分離せずに用いてもよく、分離しても良い。
〔3−7〕アクリル酸の捕集工程
本工程は、上記〔3−6〕でアクロレイン(バイオアクロレイン)の酸化反応によって得られたバイオアクリル酸を捕集する工程であり、化石原料由来のプロピレンの酸化プロセスで知られている公知の捕集方法によって実施することが出来る。
具体的には、上記工程〔3−6〕で得られたアクリル酸含有ガスを水や高沸点有機(ジフェニルエーテル及びジフェニル等)と接触させて捕集する工程であり、アクリル酸水溶液(やアクリル酸有機溶媒)を得て、さらに捕集液から必要によりトルエン等の溶媒による抽出後に、下記〔3−10〕で後述する蒸留や晶析で精製を行うことで本発明のバイオアクリル酸を得ることができる。
〔3−8〕廃ガス燃焼工程(4)
本発明に係る吸水性樹脂の製造方法は、上記特許文献1〜10に開示のない工程として、好ましくは、更に好ましくは必須に、上記〔3−4〕及び/又は上記〔3−6〕での廃ガスに対して、廃ガス燃焼工程(4)を含むことを特徴する。かかる工程(4)で発生した熱を回収することで、吸水性樹脂の製造に必要なコストを低減することができる。廃ガスの燃焼工程(4)は、化石原料由来のプロピレンの酸化で公知の方法によって実施することが出来る。
具体的には、貴金属担持触媒を用いた酸化方法、バーナー等を具備する燃焼装置を用いる方法等が挙げられる。
〔3−9〕排出ガス利用工程
上記〔3−8〕で得られた排出ガスは必要により、排出ガス利用工程を含む。本工程は、化石原料由来のプロピレンからのアクリル酸の製造方法で公知の方法によって実施することが出来る。
具体的には、上記工程〔3−8〕で排出される、窒素又は水蒸気を主成分とし、上記工程〔3−8〕における原料及び目的生成物が微量、または全く含まれないガスの少なくとも一部を、目的とする工程に送出すればよい。
〔3−10〕バイオアクリル酸精製工程
本工程は、化石原料由来のプロピレンからのアクリル酸の製造方法で公知の方法によって実施することが出来る。
具体的には、蒸留、晶析、これらの組合せ等、公知の方法から後述の工程〔4〕において必要とされる純度になるよう適宜選択して実施すればよい。
〔4〕吸水性樹脂の製造工程
以下に、本発明に係る吸水性樹脂の製造工程〔4−1〕〜〔4−9〕について示す。
〔4−1〕単量体水溶液の調製工程
本工程は、アクリル酸(塩)を主成分として含む水溶液(以下、「単量体水溶液」と称する)を調製する工程である。なお、得られる吸水性樹脂の吸水性能が低下しない範囲で、単量体のスラリー液を使用することもできるが、本項では便宜上、単量体水溶液について説明を行う。
また、上記「主成分」とは、アクリル酸(塩)の使用量(含有量)が、吸水性樹脂の重合反応に供される単量体(内部架橋剤は除く)全体に対して、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上(上限は100モル%)であることをいう。
(アクリル酸)
本発明では、得られる吸水性樹脂の物性及び生産性の観点から、単量体としてバイオアクリル酸及び/又はその塩(以下「アクリル酸(塩)」と称する)を含む、アクリル酸が用いられる。
上記「アクリル酸」は、重合禁止剤として好ましくはメトキシフェノール類、より好ましくはp−メトキシフェノールを、アクリル酸の重合性や吸水性樹脂の色調の観点から、好ましくは200ppm以下、より好ましくは10ppm〜160ppm、更に好ましくは20ppm〜100ppmを含んでいればよい。また、アクリル酸中の不純物については、米国特許出願公開第2008/0161512号に記載された化合物が本発明にも適用される。
また、上記「アクリル酸塩」は、上記アクリル酸を下記塩基性組成物で中和したものであるが、該アクリル酸塩として、市販のアクリル酸塩(例えば、アクリル酸ナトリウム)でもよいし、吸水性樹脂の製造プラント内で中和して得られたものでもよい。
(塩基性組成物)
本発明において、「塩基性組成物」とは、塩基性化合物を含有する組成物を指し、例えば、市販の水酸化ナトリウム水溶液等が該当する。
上記塩基性化合物として、具体的には、アルカリ金属の炭酸塩や炭酸水素塩、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、有機アミン等が挙げられる。これらの中でも、得られる吸水性樹脂の物性の観点から、強塩基性であることが望まれる。即ち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
(中和)
本発明における中和として、アクリル酸に対する中和(重合前)又はアクリル酸を架橋重合して得られる含水ゲル状架橋重合体に対する中和(重合後)(以下、「後中和」と称する)の何れかを選択又は併用することができる。また、これらの中和は、連続式でもバッチ式でもよいが、生産効率等の観点から連続式が好ましい。
なお、中和を行う装置、中和温度、滞留時間等の条件については、国際公開第2009/123197号や米国特許出願公開第2008/0194863号に記載された条件が本発明にも適用される。
本発明における中和率は、単量体の酸基に対して、好ましくは10モル%〜90モル%、より好ましくは40モル%〜85モル%、更に好ましくは50モル%〜80モル%、特に好ましくは60モル%〜75モル%である。上記中和率が10モル%未満の場合、吸水倍率が著しく低下することがある。一方、上記中和率が90モル%を超える場合、加圧下吸水倍率の高い吸水性樹脂が得られないことがある。
上記中和率は、後中和の場合でも同様である。また、最終製品としての吸水性樹脂の中和率についても、上記中和率が適用される。
(他の単量体)
本発明において、「他の単量体」とは、上記アクリル酸(塩)以外の単量体を指し、アクリル酸(塩)と併用して吸水性樹脂を製造することができる。
上記他の単量体として、水溶性又は疎水性の不飽和単量体が挙げられる。具体的には、米国特許出願公開第2005/0215734に記載された化合物(但し、アクリル酸は除く)が本発明にも適用される。
(内部架橋剤)
本発明で使用される内部架橋剤として、米国特許第6241928号に記載された化合物が本発明にも適用される。これらの中から反応性を考慮して1種又は2種以上の化合物が選択される。
また、得られる吸水性樹脂の吸水性能等の観点から、好ましくは重合性不飽和基を2個以上有する化合物、より好ましくは下記乾燥温度で熱分解性を有する化合物、更に好ましくは(ポリ)アルキレングリコール構造単位を有する重合性不飽和基を2個以上する化合物が、内部架橋剤として用いられる。
上記重合性不飽和基として、好ましくはアリル基、(メタ)アクリレート基、より好ましくは(メタ)アクリレート基が挙げられる。また、上記(ポリ)アルキレングリコール構造単位としてポリエチレングリコールが好ましく、n数として好ましくは1〜100、より好ましくは6〜50である。
上記内部架橋剤の使用量は、単量体全体に対して、好ましくは0.0001モル%〜10モル%、より好ましくは0.001モル%〜1モル%である。上記使用量を上記範囲内とすることで所望する吸水性樹脂が得られる。なお、上記使用量が少なすぎる場合、ゲル強度が低下し水可溶分が増加する傾向にあり、上記使用量が多すぎる場合、吸水倍率が低下する傾向にあるため、好ましくない。
本発明では、所定量の内部架橋剤を予め単量体水溶液に添加しておき、重合と同時に架橋反応する方法が好ましく適用される。一方、該手法以外に、重合中や重合後に内部架橋剤を添加して後架橋する方法や、ラジカル重合開始剤を用いてラジカル架橋する方法、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いた放射線架橋する方法等を採用することもできる。また、これらの方法を併用することもできる。
(その他、単量体水溶液に添加される物質)
本発明において、得られる吸水性樹脂の物性向上の観点から、下記の物質を単量体水溶液の調製時に添加することもできる。
具体的には、澱粉、澱粉誘導体、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子を、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下(下限は0質量%)で添加したり、炭酸塩、アゾ化合物、気泡等の発泡剤、界面活性剤、キレート剤、連鎖移動剤等を、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下(下限は0質量%)で添加したりすることができる。
また、上記物質は、単量体水溶液に添加される形態のみならず、重合途中で添加される形態でもよいし、これらの形態を併用することもできる。
なお、親水性高分子として水溶性樹脂又は吸水性樹脂を使用する場合には、グラフト重合体又は吸水性樹脂組成物(例えば、澱粉−アクリル酸重合体、PVA−アクリル酸重合体等)が得られる。これらの重合体、吸水性樹脂組成物も本発明の範疇である。
(単量体成分の濃度)
本工程において、単量体水溶液を調製する際に、上記の各物質が添加される。該単量体水溶液中の単量体成分の濃度は、吸水性樹脂の物性の観点から、好ましくは10質量%〜80質量%、より好ましくは20質量%〜75質量%、更に好ましくは30質量%〜70質量%である。
また、水溶液重合又は逆相懸濁重合を採用する場合、水以外の溶媒を必要に応じて併用することもできる。この場合、溶媒の種類は特に限定されない。
なお、上記「単量体成分の濃度」とは、下記式(1)で求められる値であり、単量体水溶液の質量には、グラフト成分や吸水性樹脂、逆相懸濁重合における疎水性溶媒の質量は含めない。
(単量体成分の濃度(質量%))=(単量体成分の質量)/(単量体水溶液の質量)×100 ・・・ 式(1)
〔4−2〕重合工程
本工程は、上記単量体水溶液の調製工程で得られたアクリル酸(塩)系単量体水溶液を重合させて、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)を得る工程である。
(重合開始剤)
本発明で使用される重合開始剤は、重合形態等によって適宜選択され、熱分解型重合開始剤、光分解型重合開始剤、又はこれらの重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用したレドックス系重合開始剤等が挙げられる。具体的には、米国特許第7265190号に開示された重合開始剤のうち、1種又は2種以上が用いられる。なお、重合開始剤の取扱性や吸水性樹脂の物性の観点から、好ましくは過酸化物又はアゾ化合物、より好ましくは過酸化物、更に好ましくは過硫酸塩が使用される。
該重合開始剤の使用量は、単量体に対して、好ましくは0.001モル%〜1モル%、より好ましくは0.001モル%〜0.5モル%である。また、上記還元剤の使用量は、単量体に対して、好ましくは0.0001モル%〜0.02モル%である。
なお、上記重合開始剤に代えて、放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射して重合反応を実施してもよく、これらの活性エネルギー線と重合開始剤を併用してもよい。
(重合形態)
本発明に適用される重合形態は、吸水特性や重合制御の容易性等の観点から、好ましくは噴霧液滴重合、水溶液重合、逆相懸濁重合、より好ましくは水溶液重合、逆相懸濁重合、更に好ましくは水溶液重合が挙げられる。中でも、連続水溶液重合が特に好ましく、連続ベルト重合、連続ニーダー重合の何れでも適用される。
具体的な重合形態として、連続ベルト重合は米国特許第4893999号、同第6241928号、米国特許出願公開第2005/215734号等に、連続ニーダー重合は米国特許第6987151号、同第6710141号等に、それぞれ開示されている。これらの連続水溶液重合を採用することで、吸水性樹脂の生産効率が向上する。
また、上記連続水溶液重合の好ましい形態として、「高温開始重合」や「高濃度重合」が挙げられる。「高温開始重合」とは、単量体水溶液の温度を好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、更に好ましくは40℃以上、特に好ましくは50℃以上(上限は沸点)の温度で重合を開始する形態をいい、「高濃度重合」とは、単量体濃度を好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、特に好ましくは45質量%以上(上限は飽和濃度)で重合を行う形態をいう。これらの重合形態を併用することもできる。
また、本発明においては、空気雰囲気下で重合を行うこともできるが、得られる吸水性樹脂の色調の観点から、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で重合を行うことが好ましい。この場合、例えば、酸素濃度を1容積%以下に制御することが好ましい。なお、単量体水溶液中の溶存酸素についても、不活性ガスで置換(例えば、溶存酸素;1mg/l未満)しておくことが好ましい。
また、本発明では、単量体水溶液に気泡(特に上記不活性ガス等)を分散させて重合を行う発泡重合とすることもできる。
また、本発明においては、重合中に固形分濃度を上昇させてもよい。このような固形分濃度の上昇の指標として固形分上昇度は下記式(2)により定義される。なお、上記固形分濃度の上昇度としては、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。
(固形分上昇度(質量%))=(重合後の含水ゲルの固形分濃度(質量%))−(単量体水溶液の固形分濃度(質量%)) ・・・ 式(2)
ただし、単量体水溶液の固形分濃度とは下記式(3)で求められる値であり、重合系内の成分とは、単量体水溶液とグラフト成分、吸水性樹脂、その他固形物(例えば水不溶性微粒子等)であり、逆相懸濁重合における疎水性溶媒は含めない。
(単量体水溶液の固形分(質量%))=((単量体成分+グラフト成分+吸水性樹脂+その他固形物)の質量)/(重合系内の成分の質量)×100 ・・・ 式(3)
〔4−3〕ゲル粉砕工程
本工程は、上記重合工程で得られた含水ゲルを、例えば、ニーダー、ミートチョッパー等のスクリュー押出し機、カッターミル等のゲル粉砕機でゲル粉砕し、粒子状の含水ゲル(以下、「粒子状含水ゲル」と称する)を得る工程である。なお、上記重合工程がニーダー重合の場合、重合工程とゲル粉砕工程が同時に実施されている。また、気相重合や逆相懸濁重合等、粒子状含水ゲルが重合過程で直接得られる場合には、該ゲル粉砕工程が実施されないこともある。
上記以外のゲル粉砕条件や形態については、国際公開第2011/126079号に開示される内容が、本発明に好ましく適用される。
〔4−4〕乾燥工程
本工程は、上記重合工程及び/又はゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲルを所望する樹脂固形分まで乾燥させて乾燥重合体を得る工程である。該樹脂固形分は、乾燥減量(吸水性樹脂1gを180℃で3時間加熱した際の質量変化)から求められ、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%〜99質量%、更に好ましくは90質量%〜98質量%、特に好ましくは92質量%〜97質量%である。
上記粒子状含水ゲルの乾燥方法は、例えば、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、流動層乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー乾燥、疎水性有機溶媒との共沸脱水による乾燥、高温の水蒸気を利用した高湿乾燥等が挙げられる。中でも乾燥効率の観点から、熱風乾燥が好ましく、通気ベルト上で熱風乾燥を行うバンド乾燥がより好ましい。
上記熱風乾燥における乾燥温度(熱風の温度)としては、吸水性樹脂の色調や乾燥効率の観点から、好ましくは120℃〜250℃、より好ましくは150℃〜200℃である。なお、熱風の風速や乾燥時間等、上記乾燥温度以外の乾燥条件については、乾燥に供する粒子状含水ゲルの含水率や総質量及び目的とする樹脂固形分に応じて、適宜設定すればよく、バンド乾燥を行う際には、国際公開第2006/100300号、同第2011/025012号、同第2011/025013号、同第2011/111657号等に記載される諸条件が適宜適用される。
上述した乾燥温度や乾燥時間を上記範囲とすることで、得られる吸水性樹脂のCRC(吸水倍率)やExt(水可溶分)、色調を所望する範囲(下記〔5〕を参照)とすることができる。
〔4−5〕粉砕工程、分級工程
本工程は、上記乾燥工程で得られた乾燥重合体を粉砕(粉砕工程)し、所定範囲の粒度に調整(分級工程)して、吸水性樹脂粉末(表面架橋を施す前の、粉末状の吸水性樹脂を便宜上「吸水性樹脂粉末」と称する)を得る工程である。
本発明の粉砕工程で使用される機器としては、例えば、ロールミル、ハンマーミル、スクリューミル、ピンミル等の高速回転式粉砕機、振動ミル、ナックルタイプ粉砕機、円筒型ミキサー等が挙げられ、必要により併用される。
また、本発明の分級工程での粒度調整方法は、例えば、JIS標準篩(JIS Z8801−1(2000))を用いた篩分級や気流分級等が挙げられる。なお、吸水性樹脂の粒度調整は、上記粉砕工程、分級工程に限定されず、重合工程(特に逆相懸濁重合や噴霧液滴重合)、その他の工程(例えば、造粒工程、微粉回収工程)で適宜実施できる。
本発明で得られる吸水性樹脂粉末は、質量平均粒子径(D50)として、好ましくは200μm〜600μm、より好ましくは200μm〜550μm、更に好ましくは250μm〜500μm、特に好ましくは350μm〜450μmである。また、粒子径150μm未満の粒子の割合は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下であり、粒子径850μm以上の粒子の割合は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。なお、これらの粒子の割合の下限値としては、何れの場合も少ないほど好ましく、0質量%が望まれるが、0.1質量%程度でもよい。更に、粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、好ましくは0.20〜0.50、より好ましくは0.25〜0.40、更に好ましくは0.27〜0.35である。なお、これらの粒度は、米国特許第7638570号やEDANA ERT420.2−02に開示されている測定方法に準じて、標準篩を用いて測定される。
上述した粒度は、表面架橋後の吸水性樹脂(以下、便宜上「吸水性樹脂粒子」と称する場合がある)のみならず、最終製品としての吸水性樹脂についても適用される。そのため、吸水性樹脂粒子において、上記範囲の粒度を維持するように、表面架橋処理(表面架橋工程)されることが好ましく、表面架橋工程以降に整粒工程を設けて粒度調整されることがより好ましい。
〔4−6〕表面架橋工程
本工程は、上述した工程を経て得られる吸水性樹脂粉末の表面層(吸水性樹脂粉末の表面から数10μmの部分)に、更に架橋密度の高い部分を設ける工程であり、混合工程、加熱処理工程及び冷却工程(任意)から構成される。
該表面架橋工程において、吸水性樹脂粉末表面でのラジカル架橋や表面重合、表面架橋剤との架橋反応等により表面架橋された吸水性樹脂(吸水性樹脂粒子)が得られる。
(表面架橋剤)
本発明で使用される表面架橋剤は、有機又は無機の表面架橋剤が挙げられる。中でも、吸水性樹脂の物性や表面架橋剤の取扱性の観点から、カルボキシル基と反応する有機表面架橋剤が好ましい。例えば、米国特許7183456号に開示される1種又は2種以上の表面架橋剤が挙げられる。より具体的には、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、ハロエポキシ化合物、多価アミン化合物又はそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、オキサゾリジノン化合物、多価金属塩、アルキレンカーボネート化合物、環状尿素化合物等が挙げられる。
上記表面架橋剤の使用量(複数使用の場合は合計使用量)は、吸水性樹脂粉末100質量部に対して、好ましくは0.01質量部〜10質量部、より好ましくは0.01質量部〜5質量部である。また、上記表面架橋剤は水溶液として添加することが好ましく、この場合、水の使用量は、吸水性樹脂粉末100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜20質量部、より好ましくは0.5質量部〜10質量部である。更に必要に応じて、親水性有機溶媒を使用する場合、その使用量は、吸水性樹脂粉末100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
また、後述の「再加湿工程」で添加される各添加剤をそれぞれ5質量部以下の範囲内で上記表面架橋剤(水溶液)に混合して添加したり、別途本混合工程で添加したりすることもできる。
(混合工程)
本工程は、吸水性樹脂粉末と上記表面架橋剤を混合する工程である。上記表面架橋剤の混合方法は、予め表面架橋剤溶液を作成しておき、該液を吸水性樹脂粉末に対して、好ましくは噴霧又は滴下して、より好ましくは噴霧して混合する方法が挙げられる。
上記混合を行う装置は、好ましくは高速撹拌型混合機、より好ましくは高速撹拌型連続混合機が挙げられる。
(加熱処理工程)
本工程は、上記混合工程から排出された混合物に熱を加えて、吸水性樹脂粉末の表面上で架橋反応を起させる工程である。
上記該架橋反応を行う装置は、好ましくはパドルドライヤーが挙げられる。上記架橋反応での反応温度は、使用される表面架橋剤の種類に応じて適宜設定されるが、好ましくは50℃〜300℃、より好ましくは100℃〜200℃である。
(冷却工程)
本工程は、上記加熱処理工程後に必要に応じて設置される任意の工程である。
上記該冷却を行う装置は、好ましくは加熱処理工程で使用される装置と同一仕様の装置であり、より好ましくはパドルドライヤーである。熱媒を冷媒に変更することで、冷却装置として使用できるためである。なお、上記加熱処理工程で得られた吸水性樹脂粒子は、該冷却工程において、好ましくは40℃〜80℃、より好ましくは50℃〜70℃に、必要に応じて強制冷却される。
〔4−7〕再加湿工程
本工程は、上記表面架橋工程で得られた吸水性樹脂粒子に、下記の多価金属塩化合物、カチオン性ポリマー、キレート剤、無機還元剤、α−ヒドロキシカルボン酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する工程である。
なお、上記添加剤は水溶液又はスラリー液で添加されるため、吸水性樹脂粒子は再度、水膨潤する。このため、本工程を「再加湿工程」と称する。また、上述したように、上記添加剤は上記表面架橋剤(水溶液)と同時に、吸水性樹脂粉末と混合することもできる。
(多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマー)
本発明において、得られる吸水性樹脂の吸水速度、通液性、吸湿流動性等の向上の観点から、多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマーを添加することが好ましい。
上記多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマーとして、具体的には、国際公開第2011/040530号の「〔7〕多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマー」に開示された化合物及びその使用量が、本発明に適用される。
(キレート剤)
本発明において、得られる吸水性樹脂の色調(着色防止)、劣化防止等の観点から、キレート剤を添加することが好ましい。
上記キレート剤として、具体的には、国際公開第2011/040530号の「〔2〕キレート剤」に開示された化合物及びその使用量が、本発明に適用される。
(無機還元剤)
本発明において、得られる吸水性樹脂の色調(着色防止)、劣化防止、残存モノマー低減等の観点から、無機還元剤を添加することが好ましい。
上記無機還元剤として、具体的には、国際公開第2011/040530号の「〔3〕無機還元剤」に開示された化合物及びその使用量が、本発明に適用される。
(α−ヒドロキシカルボン酸化合物)
本発明において、得られる吸水性樹脂の色調(着色防止)等の観点から、α−ヒドロキシカルボン酸を添加することが好ましい。なお、「α−ヒドロキシカルボン酸化合物」とは、分子内にヒドロキシル基を有するカルボン酸又はその塩のことで、α位にヒドロキシル基を有するヒドロキシカルボン酸である。
上記α−ヒドロキシカルボン酸化合物として、具体的には、国際公開第2011/040530号の「〔6〕α−ヒドロキシカルボン酸化合物」に開示された化合物及びその使用量が、本発明に適用される。
〔4−8〕その他の添加剤添加工程
本発明においては、上述した添加剤以外の添加剤(以下「その他の添加剤」という)を、吸水性樹脂に種々の機能を付加させるため、添加することもできる。その他の添加剤として、具体的には、界面活性剤、リン原子を有する化合物、酸化剤、有機還元剤、水不溶性無機微粒子、金属石鹸等の有機粉末、消臭剤、抗菌剤、パルプや熱可塑性繊維等が挙げられる。なお、上記界面活性剤は、国際公開第2005/075070号に開示された化合物が、また、上記水不溶性無機微粒子は、国際公開第2011/040530号の「〔5〕水不溶性無機微粒子」に開示された化合物が、それぞれ本発明に適用される。
上記その他の添加剤の使用量(添加量)は、その用途に応じて適宜決定されるが、吸水性樹脂粉末100質量部に対して、好ましくは3質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。また、その他の添加剤は、上記工程とは別の工程で添加することもできる。
〔4−9〕その他の工程
本発明においては、上述した工程以外に、造粒工程、整粒工程、微粉除去工程、微粉の再利用工程等を必要に応じて設けることができる。また、輸送工程、貯蔵工程、梱包工程、保管工程等の1種又は2種以上の工程を更に含んでもよい。なお、「整粒工程」は、表面架橋工程以降の微粉除去工程や吸水性樹脂が凝集し、所望の大きさを超えた場合に分級、粉砕を行う工程を含む。また、「微粉の再利用工程」は、本発明のように微粉をそのまま添加する形態の他、大きな含水ゲルにして、吸水性樹脂の製造工程の何れかの工程に添加する工程を含む。
〔5〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の物性
本発明に係る製造方法で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、該吸水性樹脂を吸収性物品、特に紙オムツに使用する場合には、下記の〔5−1〕〜〔5−10〕に掲げた物性のうち、少なくとも1つ以上、好ましくはAAPを含めた2つ以上、より好ましくはAAPを含めた3つ以上、最も好ましくは全ての物性を、所望する範囲に制御することが望まれる。これらの物性が下記の範囲を満たさない場合、本発明の効果が十分に得られず、高濃度紙オムツにおいて十分な性能を発揮しない虞がある。
また、本発明に係る製造方法で得られる吸水性樹脂は、形状が粒子状であることが好ましい。本項においては、好ましい態様である粒子状の吸水性樹脂について、その物性を説明する。なお、下記の物性は、特に断りのない限り、EDANA法に準拠して測定した。
〔5−1〕CRC(遠心分離機保持容量)
本発明の吸水性樹脂のCRC(遠心分離機保持容量)は、通常5g/g以上であり、好ましくは15g/g以上、より好ましくは25g/g以上である。上限値は高値ほど好ましいが、他の物性とのバランスの観点から、好ましくは70g/g以下、より好ましくは50g/g以下、更に好ましくは40g/g以下である。
上記CRCが5g/g未満の場合、吸収量が少なく、紙オムツ等の吸収性物品の吸収体として適さない。また、上記CRCが70g/gを超える場合、尿や血液等の体液等を吸収する速度が低下するため、高吸水速度タイプの紙オムツ等への使用に適さない。なお、CRCは、内部架橋剤や表面架橋剤等で制御することができる。
〔5−2〕AAP(加圧下吸水倍率)
本発明の吸水性樹脂のAAP(加圧下吸水倍率)は、好ましくは20g/g以上、より好ましくは22g/g以上、更に好ましくは23g/g以上、特に好ましくは24g/g以上、最も好ましくは25g/g以上である。上限値は高値ほど好ましいが、他の物性とのバランスの観点から、好ましくは30g/g以下である。
上記AAPが20g/g未満の場合、吸収体に圧力が加わった際の液の戻り量(通常、「Re−Wet(リウェット)」という)が多くなり、紙オムツ等の吸収性物品の吸収体として適さない。なお、AAPは、粒度や表面架橋剤等で制御することができる。
〔5−3〕粒度(粒度分布、質量平均粒子径(D50)、粒度分布の対数標準偏差(σζ))
本発明の吸水性樹脂の粒度(粒度分布、質量平均粒子径(D50)、粒度分布の対数標準偏差(σζ))は、表面架橋を施す前の吸水性樹脂粉末の粒度と同じになるように、制御される。
〔5−4〕Ext(水可溶分)
本発明の吸水性樹脂のExt(水可溶分)は、通常50質量%以下であり、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。下限値は、好ましくは0質量%、より好ましくは0.1質量%程度である。
上記Extが50質量%を超える場合、ゲル強度が弱く、液透過性に劣った吸水性樹脂となる虞がある。更に、リウェットが多くなるため、紙オムツ等の吸収性物品の吸収体として適さない。なお、Extは、内部架橋剤等で制御することができる。
〔5−5〕含水率
本発明の吸水性樹脂の含水率は、好ましくは0質量%を超えて15質量%以下、より好ましくは1質量%〜13質量%、更に好ましくは2質量%〜10質量%、特に好ましくは2質量%〜9質量%である。
上記含水率を上記範囲内とすることで、粉体特性(例えば、流動性、搬送性、耐ダメージ性等)に優れた吸水性樹脂が得られる。
〔5−6〕残存モノマー
本発明の吸水性樹脂に含有する残存モノマーは、安全性の観点から、好ましくは500ppm以下、より好ましくは400ppm以下、更に好ましくは300ppm以下である。下限値は、好ましくは0ppm、より好ましくは10ppm程度である。
上記残存モノマーの含有量を上記範囲内とすることで、人体の皮膚等への刺激が軽減される吸水性樹脂が得られる。
〔5−7〕SFC(生理食塩水流れ誘導性)
本発明の吸水性樹脂のSFC(生理食塩水流れ誘導性)は、好ましくは50以上、より好ましくは60以上、更に好ましくは70以上、特に好ましくは80以上である。上限値は、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下である。
上記SFCが50未満の場合、尿や血液等の体液等の液透過性が低いため、紙オムツ等の吸収性物品の吸収体として適さない。また、上記SFCが3000を超える場合、尿や血液等の体液等が十分に吸収されずに液漏れが発生する虞があるため、紙オムツ等の吸収性物品の吸収体として適さない。なお、SFCは、粒度や表面架橋剤、多価金属塩、カチオン性ポリマー等で制御することができる。また、SFCの単位は(×10−7・cm・s・g−1)である。
〔5−8〕FSR(吸水速度)
本発明の吸水性樹脂のFSR(吸水速度)は、好ましくは0.10g/g/s以上、より好ましくは0.15g/g/s以上、更に好ましくは0.20g/g/s以上、特に好ましくは0.25g/g/s以上である。上限値は、好ましくは5.0g/g/s以下、より好ましくは3.0g/g/s以下である。
上記FSRが0.10g/g/s未満の場合、尿や血液等の体液等が十分に吸収されずに液漏れが発生する虞があるため、紙オムツ等の吸収性物品の吸収体として適さない。なお、FSRは、発泡重合や粒度等で制御することができる。
〔5−9〕初期色調
本発明の吸水性樹脂の初期色調は、ハンターLab表色系において、L値が好ましくは88以上、より好ましくは89以上、更に好ましくは90以上である。上限値は100であるが、少なくとも88を示せば色調による問題は発生しない。また、a値は好ましくは−3〜3、より好ましくは−2〜2、更に好ましくは−1〜1である。更に、b値は好ましくは0〜12、より好ましくは0〜10、更に好ましくは0〜9である。なお、上記L値は100に近づくほど白色度が増し、a値及びb値は0に近づくほど低着色で実質的に白色となる。
〔5−10〕経時色調
本発明の吸水性樹脂の経時色調は、ハンターLab表色系において、L値が好ましくは80以上、より好ましくは81以上、更に好ましくは82以上、特に好ましくは83以上である。上限値は100であるが、少なくとも80を示せば色調による問題は発生しない。また、a値は好ましくは−3〜3、より好ましくは−2〜2、更に好ましくは−1〜1である。更に、b値は好ましくは0〜15、より好ましくは0〜12、更に好ましくは0〜10である。なお、上記L値は100に近づくほど白色度が増し、a値及びb値は0に近づくほど低着色で実質的に白色となる。
〔6〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の用途
本発明の吸水性樹脂の用途は、好ましくは紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品の吸収体用途が挙げられる。特に、原料由来の臭気、着色等が問題となっていた高濃度紙オムツ(紙オムツ1枚あたりの吸水性樹脂の使用量が多いもの)の吸収体として使用することができる。更に、上記吸収体の上層部に使用される場合に、顕著な効果が期待できる。
また、上記吸収体として、吸水性樹脂以外にパルプ繊維等の吸収性材料を使用することもできる。この場合、吸収体中の吸水性樹脂の含有量(コア濃度)としては、好ましくは30質量%〜100質量%、より好ましくは40質量%〜100質量%、更に好ましくは50質量%〜100質量%、更により好ましくは60質量%〜100質量%、特に好ましくは70質量%〜100質量%、最も好ましくは75質量%〜95質量%である。
上記コア濃度を上記範囲とすることで、上記吸収体を吸収性物品の上層部に使用した場合、吸収性物品が清浄感のある白色状態を保つことができる。更に、尿や血液等の体液等の拡散性に優れるため、効率的な液分配によって吸収量の向上が見込める。
以下の実施例・比較例に従って本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定解釈されるものではなく、各実施例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例も、本発明の範囲に含まれるものとする。
なお、実施例及び比較例で使用する電気機器(吸水性樹脂の物性測定も含む)は、特に注釈のない限り、200V又は100Vの電源を使用した。また、本発明の吸水性樹脂の諸物性は、特に注釈のない限り、室温(20℃〜25℃)、相対湿度50%RHの条件下で測定した。
また、「リットル」を「l」又は「L」、「質量%」を「wt%」と便宜上、表記する場合がある。更に微量成分の測定において、検出限界以下を「N.D」(Non Detected)と表記する。
[吸水性樹脂の物性測定]
(a)CRC(遠心分離機保持容量)
本発明の吸水性樹脂のCRC(遠心分離機保持容量)は、EDANA法(ERT441.2−02)に準拠して測定した。
(b)AAP(加圧下吸水倍率)
本発明の吸水性樹脂のAAP(加圧下吸水倍率)は、EDANA法(ERT442.2−02)に準拠して測定した。なお、荷重条件を4.83kPa(0.7psi)に変更した。
(c)粒度(粒度分布、質量平均粒子径(D50)、粒度分布の対数標準偏差(σζ))
本発明の吸水性樹脂の粒度(粒度分布、質量平均粒子径(D50)、粒度分布の対数標準偏差(σζ))は、米国特許第7638570号のカラム27、28に記載された「(3) Mass−Average Particle Diameter (D50) and Logarithmic Standard Deviation (σζ) of Particle Diameter Distribution」に準拠して測定した。
(d)Ext(水可溶分)
本発明の吸水性樹脂のExt(水可溶分)は、EDANA法(ERT470.2−02)に準拠して測定した。
(e)含水率、樹脂固形分
本発明の吸水性樹脂の含水率は、EDANA法(ERT430.2−02)に準拠して測定した。なお、本発明においては、試料量を1.0g、乾燥温度を180℃にそれぞれ変更して測定した。
なお、樹脂固形分(質量%)は、(100−含水率)(質量%)で規定した。
(f)残存モノマー
本発明の吸水性樹脂の残存モノマーは、EDANA法(ERT410.2−02)に準拠して測定した。
(g)SFC(生理食塩水流れ誘導性)
本発明の吸水性樹脂のSFC(生理食塩水流れ誘導性)は、米国特許第5669894号に開示された測定方法に準拠して測定した。
(h)FSR(吸水速度)
本発明の吸水性樹脂のFSR(吸水速度)は、国際公開第2009/016055号に開示された測定方法に準拠して測定した。
天然物由来の吸水性樹脂の製造方法において、従来のアクリル酸や吸水性樹脂の製造装置や製造方法がそのまま適用できるため新規の大型設備投資やプロセス変更が不要であり、さらに、アクリル酸由来の吸水性樹脂の高物性を維持した天然物由来の吸水性樹脂の製造方法を提供できる。
よって、高物性の天然物由来の吸水性樹脂として、従来の化石原料由来のアクリル酸系吸水性樹脂の適用分野に代わって、広く使用できる。

Claims (4)

  1. 非化石原料から得られるバイオプロパンを下記(1)又は(2)の少なくとも一つを含む脱水素反応によりバイオプロピレンに変換する工程、
    (1)バイオプロパン中の硫黄、リン及び窒素を含む化合物を除去する工程
    (2)炭素数2以下の化合物を含み、硫黄、リン及び窒素を含まない排出ガスを希釈ガスとして用いる工程、
    上記工程を経て得られるバイオプロピレンの接触気相酸化において、下記(3)又は(4)の少なくとも一つを含む酸化反応によりバイオアクリル酸に変換する工程、
    (3)空気中の酸素濃縮工程
    (4)廃ガス燃焼工程、
    上記工程を経て得られるバイオアクリル酸を含む、アクリル酸による単量体水溶液の調整工程、上記単量体水溶液の重合工程、重合後の乾燥工程、
    を含む、吸水性樹脂の製造方法。
  2. 非化石原料由来のプロパン及び化石原料由来のプロパンとの混合物からアクリル酸を得る、請求項1に記載の製造方法。
  3. アクリル酸の生産量が1000t/y以上である、請求項2に記載の製造方法。
  4. バイオプロパンが天然物グリセリド由来である、請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
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