JP2009096812A - 吸水性樹脂および製造方法 - Google Patents

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Yoshio Arita
佳生 有田
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Abstract

【課題】
高物性を示す吸水性樹脂の表面架橋ないし被覆方法を提供する。また、別途、非化石原料由来の吸水性樹脂およびその表面架橋方法を提供する。
【解決手段】
グリセリンおよびプロパンジオールを含むポリオール混合物で、水膨潤性架橋重合体を表面架橋ないし表面被覆する吸水性樹脂の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、吸水性樹脂およびその製造方法に関する。さらに、詳しくは、吸水性樹脂のポリオールで改質、特に表面架橋ないし表面被覆された吸水性樹脂およびその製造方法に関する。
吸水性樹脂は架橋構造を有する水膨潤性架橋重合体であり、通常、粒子状で使用されるが、通液性や加圧下吸水倍率を向上させるため、粒子の表面がさらに架橋ないし被覆されることが多い。そして、表面架橋剤ないし被覆剤として種々の化合物が提案されている。
例えば、表面架橋剤として、アルキレンカーボネート化合物(特許文献1)、オキサゾリジノン化合物(特許文献2〜4)、オキサゾリニウムイオン(特許文献5)、ヒドロキシアクリルアミド化合物(特許文献6),モルホリン−ジオン化合物(特許文献7)、アミドアセタール化合物(特許文献8)、オキセタン化合物(特許文献9)、ポリアミド−ポリアミン化合物(特許文献10,11),多価金属化合物(特許文献12),オキサゾリン化合物(特許文献13),ポリグリシジル化合物(特許文献14)、多価アルコールのエステル化物(特許文献15)、ポリオール化合物(特許文献16,17)、シランカップリング剤(特許文献18)などが知られている。また、多価金属と有機表面架橋剤を併用する技術(特許文献19〜22)も知られている。さらに、表面架橋に乳酸など、特定の無機または有機の助剤を使用する技術(特許文献23〜27)も知られている。
さらに、従来、大量に消費および廃棄される吸水性樹脂において、単量体や架橋剤など原料を化石原料(石油や石炭)に求めることは、CO2排出、環境への負荷や持続可能性(Sustainability)等の観点からは、好ましいとは言えない。
また、複雑な有機合成を経て得られた架橋剤は、コスト面でも不利であり、製法によっては不純物を含む可能性がある。そのため、所望の吸収特性が得られない場合があった。
従来、天然物を架橋剤として使用する場合、必ずしも求める物性(例えば、加圧下吸収倍率)を得ることができななかった。例えば、加圧下吸収倍率や荷重による吸水倍率の低下、すなわち、その差(CRC−AAP)またはその比(AAP/CRC)が大きい吸水性樹脂しか得られない。そのため、個人差による荷重量や、荷重のかかる位置の影響を受け、紙おむつの実際の使用時に所望の吸収量が得られない場合がある。
米国特許5409771号 米国特許6503979号 米国特許6559239号 米国特許6657015号 米国特許6376618号 米国特許6803107号 米国特許7183360号 米国特許2006−11828号 米国特許6809158号 米国特許4755562号 米国特許4824901号 米国特許4043592号 米国特許6297319号 米国特許4666983号 米国特許5389722号 米国特許4734478号 米国特許5164459号 米国特許4755560号 米国特許6863978号 米国特許6605673号 米国特許6620889号 米国特許6831142号 米国特許6297319号 米国特許4587308号 特許文献5610208号 米国特許2004−106745号 米国特許5322896号
高物性を示す吸水性樹脂の表面架橋ないし被覆方法を提供する。さらに、非化石原料由来の吸水性樹脂およびその表面架橋方法を提供する。
上記課題を解決するために本発明は、グリセリンおよびプロパンジオールを含むポリオール混合物で、水膨潤性架橋重合体を表面架橋ないし表面被覆する吸水性樹脂の製造方法を提供する。
また、上記課題を解決するために本発明は、グリセリン還元物のプロパンジオールまたは乳酸、好ましくはプロパンジオールを用いた吸水性樹脂を提供する。
また、上記課題を解決するために本発明は、グリセリン還元物のプロパンジオールまたは乳酸、好ましくはプロパンジオールの吸水性樹脂での使用、好ましくは表面架橋ないし表面被覆での使用を提供する。
表面架橋した吸水性樹脂の吸収物性(加圧下吸収倍率等)が向上する。また、グリセリン還元物のプロパンジオールを用いる場合、非化石原料の原料で、高物性の吸水性樹脂を提供する。
(1)吸水性樹脂
本発明における表面架橋処理の対象である吸水性樹脂粉末は、特に限定されることなく、公知の吸水性樹脂粉末であり、例えば、生理食塩水中において、無加圧下吸収倍率(CRC/明細書で規定)で、自重の5g/g以上、好ましくは、10〜200g/gという多量の水を吸収し、アニオン性、ノニオン性、またはカチオン性の水不溶性ヒドロゲルを形成する架橋重合体を挙げることができる。
吸水性樹脂粉末は、一般に、水溶性不飽和単量体成分(好ましくは酸基、特に、カルボキシル基含有不飽和単量体)を重合して得られる架橋構造を有する吸水性樹脂を主成分とする樹脂粉末であって、単量体溶液の状態で重合され、必要に応じて該重合体を乾燥し、乾燥の前および/または後で通常粉砕して得られるものである。
尚、吸水性樹脂は、水膨潤性かつ水不溶性であることが要求され、このため、吸水性樹脂中の水可溶性成分(Extractables;ERT470.1−99(Feb99))の含有量は、好ましくは0〜50質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更により好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
これらの吸水性樹脂は、1種または混合物でも用いられるが、中でも酸基含有の吸水性樹脂、さらには、カルボン酸またはその塩であるカルボキシル基含有の吸水性樹脂の1種またはその混合物が好ましく、典型的にはアクリル酸及び/又はその塩(中和物)を主成分とする単量体を重合・架橋することにより得られる重合体、すなわち、必要によりグラフト成分を含むポリアクリル酸(塩)架橋重合体を主成分とするものである。
かかるポリアクリル酸(塩)架橋重合体は、アクリル酸および/その塩の合計mol%が全単量体中で必須に30mol%以上100mol%以下を指し、本発明で好ましくは50mol%、より好ましくは70mol%以上、さらに好ましくは90mol%以上、特に好ましくは実質100mol%のものが用いられる。用いられるアクリル酸塩としては、物性面から好ましくは、一価塩、特にアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩からなるアクリル酸の一価塩、さらに好ましくはアクリル酸アルカリ金属塩、よりこの好ましくは、ナトリウム塩,リチウム塩、カリウム塩から選ばれるアクリル酸アルカリ金属塩が用いられる。吸水性樹脂としては重合体の酸基の20〜99mol%、好ましくは50〜95mol%、より好ましくは60〜90mol%が中和されている。この中和は、重合前のアクリル酸系単量体で行っても良いし、重合中や重合後にポリアクリル酸系重合体に対して行っても良いし、併用してもよい。
上記のように単量体としてアクリル酸および/またはその塩を上記のように主成分とするが、その他の単量体を併用してもよい。併用される単量体としては、メタクリル酸、(無水)マレイン酸(塩)、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、(メタ)アクリロキシアルカンスルホン酸(塩)、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メトキシ)ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソブチレン、ラウリル(メタ)アクリレート等の水溶性または疎水性不飽和単量体等である。
また、物性改良に、親水性ポリマーとして、澱粉、PVA,PEG,PEO、ポリアクリル酸(塩)やその架橋体などを重合時の単量体に0〜30重量%程度併用してもよい。別途、キレート剤や連鎖移動剤、発泡剤などを0〜5重量%程度併用してもよい。
本発明で用いられる架橋方法としては特に制限ないが、予め所定量の内部架橋剤を不飽和単量体に添加して重合を行い、重合と同時または重合後に架橋反応させることが好ましい。かかる手法で用いられる内部架橋剤としては、例えば、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリオキシエチレン)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(ポリオキシエチレン)トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(β−アクリロイルオキシプロピオネート)、トリメチロールプロパントリ(β−アクリロイルオキシプロピオネート)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の内部架橋剤の1種または2種以上が用いられる。
なお、1種以上の内部架橋剤を使用する場合には、得られる吸水性樹脂の吸収特性等を考慮して、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を重合時に必須に用いることが好ましい。内部架橋剤の使用量としては、前記単量体に対して、0.005〜2mol%とするのが好ましく、より好ましくは0.01〜1mol%、さらに好ましくは0.05〜0.2mol%である。
物性面から好ましくは、重合の単量体濃度や温度としては、20〜80重量%、さらには30〜70重量%、特に40〜60重量%の範囲の水溶液ないし水分散液とすればよい。重合温度は20〜沸点、さらには30〜110度、特に40〜110℃の範囲である。
本発明で用いられる重合法としては、物性面から好ましくは、水溶液重合または逆相懸濁重合、特に水溶液重合、さらにはベルト重合(例えば、米国特許4857610号、同4893999号、同6174978号、同6911499号 同2005−0215734号、同2006−0167198号)ないしニーダー重合(例えば、米国特許6710141号、同6987151号、同5124416号)からなる水溶液重合、特に連続水溶液重合が適用され、重合温度や濃度の好適な例は、米国特許6906159号、同7091253号に例示される。
逆相懸濁重合とは、単量体水溶液を疎水性有機溶媒に、平均で2〜0.01mm程度の粒子状で懸濁させる重合法であり、重合と同時に製品粒径のゲル粒子が得られる利点があり、例えば、米国特許4093776号、同4367323号、同4446261号、同4683274号、同4880886号、同5180798号、同5210159号、同5202400号、同5244735号、同5397845号、同5408006号、同54120237号、同5563218号、同5807916号、同5885462号、同5998553号、同2007−015887号などの米国特許に記載されている。
水溶液重合は単量体水溶液を懸濁させずにそのままゲル重合する重合法であり、例えば米国特許4625001号,同4985514号,同5124416号,同5250640号,5149750号,同4769427号,同4873299号、同6455600号、同6602950号、同 6710141号に例示されている。
これら上記特許の種々の記載も本発明に組み込まれる。また、乾燥方法は特に限定されるものではないが、例えば、共沸脱水や熱風乾燥など公知の手法で、例えば、70〜300℃の範囲内、より好ましくは150〜250℃の範囲内で0.01〜5時間程度とすればよい。
吸水性樹脂が粉末の場合、その質量平均粒子径としては物性面から好ましくは100〜1000μm、さらに好ましくは200〜600μm、特に300〜500μmの範囲であり、さらに850μm以上の粗粒子および150μm以下の微粉末の含有量は少ないほど、具体的には各々全粒子の0から10質量%以下、さらには5質量%以下、さらには1質量%以下が好ましい。その乾燥減量(粉末1gを180℃で3時間加熱)から求められる樹脂固形分が80質量%以上、好ましくは85〜99質量%、さらに好ましくは90〜98質量%、特に好ましくは92〜97質量%の範囲に調整される。さらに、嵩比重(ERT460.1−99(Feb99))は0.5〜0.9g/ml、さらには0.6〜0.8g/ml、より好ましくは0.65〜0.75g/mlとされる。
(2)グリセリン酸化物であるアクリル酸
本発明で重合に使用されるアクリル酸はプロピレンやプロパンの酸化反応で合成されるが、原料の持続可能性(Sustainability)やCO2排出の点から、天然物由来、例えば、グリセリン由来のアクリル酸も好ましく使用できる。かかるアクリル酸はグリセリンからアクロレインを経由して、米国特許2007−0129570号、WO2006−092272号、WO2006−136336号などの手法で好適に合成できる。
(3)グリセリン還元物である1,2−(または1,3)−プロパンジオール
本発明のグリセリン還元物であるプロパンジオールについて、実施形態に基づき以下に説明する。なお、本発明でプロパンジオールとは、1,2−プロパンジオール(別称プロピレングリコール)または1,3−プロパンジオールを総称する。
使用されるグリセリンは天然物、合成物、半合成物のいずれでもよいが、原料のSustainabilityやCO2排出の点から、天然物由来、例えば、油脂の鹸化物が好ましい。CO2排出規制の面からも、バイオディーゼルの使用が盛んであるが、その副生物であるグリセリンの使用は好適な一例である。油脂からグリセリンを得る手法は、特に限定されず、例えば、米国特許2007−0167642号、WO2007−029851号、WO2006−088254号などに例示されている。
本発明ではグリセリン還元物、好ましくは、天然物のグリセリンをプロパンジオールに還元して吸水性樹脂を製造する。かかる架橋剤によって、大量に消費および廃棄される吸水性樹脂において、環境への負荷や持続可能性(Sustainability)の面から好ましい。さらに、従来の複雑な有機合成を経て得られた架橋剤に比べて、コスト面や安全性にも優れ、さらに、後述の物性(例えば、加圧下吸収倍率)も向上する。
本発明のプロパンジオールの製造方法は特に問わないが、グリセリンから、1,3−プロパンジオールの製造方法は、米国特許2007−0148749号などで得ることができる。グリセリンから、1,2−プロパンジオールの製造方法は、米国特許5276181号、米国特許2005−0244312号などで得ることができる。
以下、グリセリンから、1,2−プロパンジオールの製造方法の一例を下記に示す。
(グリセリン還元触媒)
グリセリン還元において、本実施形態の触媒は、一例として、貴金属と塩基性金属酸化物を有する触媒である。この触媒は、グリセリンを原料にして1,2−プロパンジオールを得る際に、ジグリセリンや1,3−プロパンジオールの副生を抑制することが可能である。かかる手法は後述の実施例において、製造例1−4で示す。
触媒の構成となる貴金属は、パラジウム類に分類されるルテニウム、ロジウム、およびパラジウム;白金類に分類されるオスミウム、イリジウム、および白金;銀、並びに金から選ばれた一種または二種以上をいい、これらが単元素金属であるか合金化した多元素金属であるかは問われない。貴金属としては、Ru、または、RuとRu以外の一種または二種以上の貴金属が好適である。このとき、Ruを必須の貴金属としている限り、合金化した貴金属であっても良い。
なお、上記貴金属は、グリセリン還元反応において、塩基性金属酸化物と併用されていれば良く、担体に担持されているか担持されていないかが問われるものではない。貴金属が担体に担持されている場合には、活性炭や塩基性金属酸化物が担体に選択されていると良い。また、貴金属が担体に担持されている場合、この担持は、300℃以下の温度で焼成して行われていることが好ましい。300℃を超える焼成温度の場合、貴金属粒子の表面積が低下して、触媒活性が低下する恐れがある。
また、本実施形態の触媒は、塩基性金属酸化物を構成としているので、1,3−プロパンジオールやジグリセリンの副生を抑制できる。この塩基性金属酸化物を一種または二種以上選択して使用することが可能であり、選択される塩基性金属酸化物は、一種または二種以上の単一の塩基性金属酸化物および複数種の金属酸化物が複合化したものでも良い。単一の塩基性金属酸化物を例示すれば、BeO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al、Y、La、CeO、ThO、TiO、ZrO、SnO、NaO、およびKOである。複数種の金属酸化物が複合化したものを例示すれば、粘土鉱物の一種であるハイドロタルサイト、ヒドロキシアパタイトを挙げることができる。
塩基性金属酸化物は、乳酸の副生を抑制する観点から、水に難溶または不溶であると好適である。塩基性金属酸化物が水に対して難溶である場合、水100gに対する溶解度が150mg以下であると良く、好ましくは0.8mg以下である。水に難溶または不溶の塩基性金属酸化物のうち、1,2−プロパンジオールを高収率で得るためには、ZrO、MgO、ハイドロタルサイト、およびヒドロキシアパタイトから選択される一種または二種以上が好適である。乳酸の副生の観点から更に好適には、水に不溶の塩基性金属酸化物を選択することであり、ZrOを選択することが極めて高い収率で1,2−プロパンジオールを得ることができるので最適である。なお、ハイドロタルサイトやヒドロキシタルサイト等、加熱により水やCOを放出する塩基性金属酸化物は、グリセリン還元反応に先立ってこの反応温度以上で前処理すると、触媒活性が安定化するので好適である。
塩基性金属酸化物は、その表面積を広げて触媒活性を高めるため、シリカやSiC等のグリセリン還元反応に不活性な担体に担持されていても良い。この場合、単一の塩基性金属酸化物としては安定に存在することができないNaO等を安定化することができる。
(グリセリン還元による1,2−プロパンジオール)
次に、一例として、1,2−プロパンジオールの製造方法について説明する。本実施形態おいて、1,2−プロパンジオールは、本実施形態の触媒、グリセリン、および水素の共存下でグリセリンを接触還元することにより製造される。1,2−プロパンジオールの製造形式は、回分形式、半回分形式、連続流通形式等を任意に選択することができる。
反応条件は、任意に選択した上記製造形式によって適宜設定されるものであるが、例えば回分形式の場合、使用するグリセリン量、触媒量、反応温度、および圧力は、次の範囲であると良い。
使用するグリセリンは、グリセリン単独で使用しても良く、また、任意量の溶媒と混合して使用しても良い。使用する溶媒は、特に限定されないが、1,2−プロパンジオールとの分離が容易で、安価な溶媒を選択すると良い。この分離容易で安価な溶媒としては、水を例示することができる。溶媒を使用する場合、グリセリン濃度は、5〜85質量%であると良く、好ましくは10〜75質量%、更に好ましくは15〜60質量%である。グリセリン濃度が85質量%を超える場合、グリセリンが分子間脱水してジグリセリンが副生し易くなり、一方、グリセリン濃度が5質量%に満たない場合、反応生成物から溶媒を除去するために多量のエネルギーが必要となる。
触媒を構成する貴金属の使用量は、仕込みのグリセリンの量に対して0.002〜20mol%であると良く、好ましくは0.005〜15mol%、更に好ましくは0.01〜12mol%である。貴金属の使用量が20mol%を超える場合、貴金属使用量に応じて1,2−プロパンジオール収率が高まるものではなく、更に、副生成物の生成量が高まる傾向がある。一方、貴金属の使用量が0.002mol%に満たない場合、1,2−プロパンジオールの収率が不十分である。
触媒の他構成である塩基性金属酸化物の使用量は、グリセリンに対して0.1〜95mol%であると良く、好ましくは0.5〜80mol%、更に好ましくは1〜60mol%である。塩基性金属酸化物の使用量が95mol%を超える場合、使用量に応じた1,2−プロパンジオールの収率が得られない上に、反応後の塩基性金属酸化物の分離が煩雑となる。一方、0.1mol%に満たない使用量である場合、1,2−プロパンジオールの収率が不十分である。
反応温度は、80〜320℃であると良く、好ましくは100〜280℃、更に好ましくは120〜250℃である。反応温度が80〜320℃の範囲から外れる場合、副生成物の生成量が増加する傾向あるので、1,2−プロパンジオールの収率が低下する。また、反応温度が320℃を超える場合、昇温に多くのエネルギーが必要であるので、経済的に望ましくない。一方、反応温度が80℃未満である場合、グリセリンの転化率が低くなる結果、1,2−プロパンジオールの収率が低くなる。
反応圧力は、2〜28MPaであると良く、好ましくは3〜22MPa、より好ましくは5〜15MPaである。反応圧力が28MPaを超える場合、高圧条件に耐えうる反応装置が高価となって経済的に望ましくない。一方、反応圧力が2MPa未満である場合、グリセリンの転化率が低く、1,2−プロパンジオールの収率が低くなる。
以上の方法を一例として、後述の製造例1−4などで、グリセリンから1,2−プロパンジオールを製造することが可能である。
製造された1,2−プロパンジオールは、水、グリセリンやその他の副生物(乳酸、エチレングリコール)との混合物である場合、蒸留などで適宜精製してもよい。また、グリセリンと1,2−プロパンジオールの混合物、特にグリセリンと1,2−プロパンジオールの混合物水溶液であるため、そのまま、ないし、グリセリンや1,2−プロパンジオールやその化合物を適宜混合して、表面架橋剤ないし被覆剤で吸水性樹脂に使用することも好ましい。かかるグリセリンと1,2−プロパンジオールの混合物は、その混合比や、還元条件により含まれる副生物(乳酸、エチレングリコールなど)によって、さらに吸水性樹脂の諸物性を向上できる。
また、吸水性樹脂に使用する乳酸を本発明の方法で得てもよい。
以下、表面架橋ないし表面被覆について説明する。
(4)表面架橋
本発明では水膨潤性架橋重合体を表面架橋ないし表面被覆する吸水性樹脂の製造方法において、グリセリンおよびプロパンジオールを含むポリオール混合物を使用することを特徴とする。プロパンジオールとして、1,2−プロパンジオール(別称プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオールのいずれでもよく、また、それらの混合物でもよい。
吸水性樹脂粉末と表面架橋剤との混合は、各種混合機において、吸水性樹脂粉末100質量部に対して表面架橋剤を一般的に0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜3質量部の割合で行う。本発明でグリセリンおよびプロパンジオールの混合比(重量比)としては、良好な物性(例えば加圧下吸水倍率)を達成するうえで、好ましくは1:20〜20:1、さらに好ましくは1:15〜15:1、さらに好ましくは1:10〜10:1、特に好ましくは1:5〜5:1の範囲である。
また、本発明ではさらに少量のエチレングリコールないし乳酸を含むことも好ましい。かかるエチレングリコールや乳酸の使用量は、グリセリンおよびプロパンジオールの合計量(100重量部)に対して0〜10重量部、さらには0〜5重量部であり、下限は好ましくは0.1以上である。また、吸水性樹脂に対して0〜1重量部、さらには0〜0.5重量部であり、下限は好ましくは0.01以上である。
これら架橋剤ないし被覆剤は別々に混合してもよいが、好ましくは、水溶液として吸水性樹脂、特にその表面に混合される。水の量は吸水性樹脂粉末100質量部に対して0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜3質量部の割合で行であり、水溶液濃度は1〜60重量%、さらには10〜50重量%、特に20〜40重量%である。特許文献16に例示のメタノールなどの親水性有機溶媒を併用してもよいが、好ましくは、溶媒の使用量は水に対して0〜50%、さらには0〜20%の範囲である。
本発明では、Sustainailityの点から、好ましくは、原料のプロパンジオールは天然物由来、特にグリセリンの還元物である。かかるグリセリンは好適には油脂の鹸化物やバイオディーゼルの副生物で得られる。また、Sustainailityの点から、好ましくは、吸水性樹脂も上記アクリル酸、すなわち、ポリアクリル酸塩架橋重合体を構成するアクリル酸がグリセリンの酸化物である。
(他の表面架橋剤)
上記表面架橋剤において、さらに、特許文献1〜27に例示された他の架橋剤や助剤を併用してもよい。グリセリンおよびプロパンジオールを含むポリオール混合物は、架橋剤として使用してもよく、また、他の表面架橋剤の混合助剤しても使用してもよい。架橋剤であるか、助剤であるかは、反応温度や時間などの条件で任意に決定できるか、通常、後述の高温反応では吸水性樹脂の架橋剤として作用しうる。
具体的には、吸水性樹脂がカルボキシル基を含有する場合、多価アルコールなどのヒドロキシル基含有の架橋剤、多価アミンなどのアミノ基含有の架橋剤、さらには、アルキレンカーボネートやモノ、ジまたはポリのオキサゾリジノン化合物;3−メチル−3−オキセタンメタノール等のオキセタン化合物などの環状架橋剤であって、その環状架橋剤の開環反応に伴ってヒドロキシル基やアミノ基を生成した該ヒドロキシル基やアミノ基が架橋反応を行う環状架橋剤、などが脱水反応性を示す架橋剤として例示される。脱水反応性架橋剤の1種または2種以上が用いられるが、さらに、非脱水反応性の架橋剤、例えば、グリシジル化合物などのエポキシ架橋剤や多価金属なども併用してもよい。
これらの脱水反応性架橋剤の中でも、本発明の効果を最大限に発揮するものとして、吸水性樹脂中のカルボキシル基とエステル反応で架橋するエステル反応性架橋剤、具体的には、多価アルコール、アルキレンカーボネート、オキサゾリジノン化合物、(多価)オキセタン化合物から選ばれた1種以上が好ましく、少なくとも多価アルコールを用いることが特に好ましい。
本発明において併用できる架橋剤、好ましくは、脱水反応性架橋剤として下記が例示できるが、これらに限定されない。
特許文献16,17などに例示のポリオール、例えば、(モノ、ジ、トリ、テトラ、ポリなどの)エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど。
特許文献1などに例示のアルキレンカーボネート化合物、例えば、1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オンなど。
特許文献2〜4などに例示のモノ、ジまたはポリのオキサゾリジノン化合物。
特許文献8に例示の、3−メチル−3−オキセタンメタノール等のオキセタン化合物。
特許文献14などに例示のグリジシル化合物、例えば、(モノ、ジないしポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(モノ、ジないしポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、(モノ、ジないしポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなど
特許文献12、19−22などに例示の多価金属、例えば、アルミニウム、ジルコニウムの塩(硫酸塩)や水酸化物ないし錯体。
(加熱処理工程)
本発明の吸水性樹脂粉末の表面架橋処理方法においては、まず、上記吸水性樹脂粉末に対して、表面架橋剤を加えて加熱処理を行う。なお、下記の表面架橋処理は一度に限らず、二度以上行ってもよい。
混合は吸水性樹脂粉末を不活性溶媒に分散させて行ってもよいが、好ましくは、吸水性樹脂粉末に直接、表面架橋剤やその溶液ないし分散液を滴下ないし噴霧混合、好ましくは噴霧混合する。噴霧には水噴霧装置が使用でき、噴霧する場合の液滴の大きさも1000μm以下など、適宜設定される。
混合機としては、高速パドルミキサー、気流型混合機、回転円盤型混合機、ロールミキサー、円筒型混合機、スクリュー型混合機、タービュライザー、レディゲミキサー、ナウタ型混合機、V型混合機、リボン型混合機、双腕型ニーダー、万能混合機、流動式混合機などが連続またはバッチ方式、好ましくは連続で使用されるが、好ましくは、攪拌翼が50rpm以上、更には100〜10000rpmの高速攪拌混合機が適用される。
表面架橋のための加熱温度は、表面架橋剤の種類にもよるが、好ましくは材料温度ないしは熱媒温度、好ましくは材料温度が100℃以上、より好ましくは110〜230℃、さらに好ましくは160〜220℃であり、加熱時間は適宜決定されるが、好ましくは1〜120分、より好ましくは5〜60分の範囲である。また、加熱に用いられる加熱機は、連続式が好ましく、溝型混合乾燥機、ロータリー乾燥機、ディスク乾燥機、流動床乾燥機、気流型乾燥機、赤外線乾燥機、パドル型乾燥機、振動流動乾燥機等が挙げれる。
本発明の表面架橋処理方法は、架橋反応が脱水エステル化反応による場合に好ましく適用され、その反応が完結していない場合により好適に適用される。即ち、脱水エステル化では架橋剤やその分解物(多価アルコールやアルキレンカーボネート、オキサゾリジノンらの架橋剤、ないしアルキレンカーボネート分解由来の多価アルコール、オキサゾリジノン分解由来のアルカノールアミン)が残存する時点で加熱架橋工程を終了させ、冷却工程において冷却を行い、架橋反応を停止させることが好ましい。かかる停止によって、所定量のグリセリンやプロパンジオ−ルを含む、後述の吸水性樹脂が得られる。
(6)その他の添加剤
本発明の吸水性樹脂は、重合時の単量体に対して、重合後のゲルまたは乾燥物に対して、表面架橋前、表面架橋時または表面架橋後に、各種添加剤を使用して、耐久性、耐尿性、着色、通液性などの諸物性を改善してもよい。使用できる添加剤として、界面活性剤、水不溶性無機また有機粉末、キレート剤、還元剤、酸化剤、水溶性ポリマー、水などで適宜選択できる。その使用量は吸水性樹脂100重量部に対して0〜10重量部、さらには0.001〜5重量部、特に0.01から重量部で選択できる。
(7)吸水性樹脂
上記して得られた吸水性樹脂は、グリセリン還元物のプロパンジオールを含む吸水性樹脂を提供する。天然物由来のプロパンジオールを用いることで、環境負荷を低減できる。
好ましくは、グリセリンが油脂の鹸化物であり、吸水性樹脂はポリアクリル酸架橋体である。プロパンジオールの含有量は吸水性樹脂100重量部に対して0を超えて10重量部、さらには0.001〜5重量部、特に0.01から3重量部、で選択でき、さらにプロパンジオールに対して上記範囲のグリセリン範囲を含む。なお、本発明で含むとは一部または全部が吸水性樹脂と反応してよいが、親水性などの面から好ましくは表面に残存する。
なお、プロパンジオール中で、従来のプロパンジオール(化石原料由来)を用いてもよいが、グリセリン還元物のプロパンジオール(天然物由来)の割合は好ましくは50から100重量%、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上、特に100%である。
本発明で得られる吸水性樹脂は、無加圧下吸水倍率(CRC)や可溶分は上記冒頭の範囲であり、また、加圧下吸水倍率AAPが好ましくは17g/g以上、より20g/g以上、より好ましくは23g/g以上を示す高物性の吸水性樹脂を、本発明の方法では容易且つ安定的に製造することができる。なお、CRCやAAPの上限は特に問わないが、他の物性とのバランスから50g/g、さらには45g/g程度で充分である。
さらに、本発明では荷重による吸水倍率の低下の少ない吸水性樹脂を提供する。すなわち、その差(CRC−AAP)が好ましくは15g/g以下、より好ましくは12g/g以下、さらに好ましくは10g/g以下、また、特に好ましくは8g/g以下を示す。すなわち、その比(AAP/CRC)が好ましくは0.60以上(上限は1)、より好ましくは0.65以上、さらに好ましくは0.70以上、特に好ましくは0.75以上を示す。
また、加圧下通液量(SFC)は10×10−7以上、好ましくは20×10−7以上、さらに好ましくは50×10−7〔cm・s・g−1〕以上である。また、好適な粒子径、嵩比重や含水率は前記の範囲である。
(8)用途
本発明の方法によれば、無加圧下の吸収倍率、加圧下の吸収倍率、可溶分のバランスに優れた良好な吸収特性を備えた吸水性樹脂を簡便に製造することができ、農園芸保水剤、工業用保水剤、吸湿剤、除湿剤、建材、などで広く用いられるが、本願の吸水性樹脂は、紙おむつ、失禁パット、母乳パット、生理用ナプキンなどの衛生材料に特に好適に用いられる。
さらに、本発明の吸水性樹脂は上記3つの物性にバランスよく優れるため、衛生材料、(特に紙おむつ)は、吸水性樹脂の濃度(吸水性樹脂および繊維基材の合計に対する吸水性樹脂の質量比)が高濃度、具体的には、30〜100質量%、好ましくは40〜100質量%の範囲、さらに好ましくは50〜95質量%で使用可能である。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。吸水性樹脂粒子または吸水剤の諸性能は、気温25℃、湿度50RH%で、以下の方法で測定した。
なお、以下の測定法でERTは、(European Disposables and Nonwovens Associations(略称 EDANA)Recommended TEST)の略号であり、欧州で標準化された吸水性樹脂の物性測定法であり、その詳細は英文原本を参照する。
(1)遠心分離機保持容量(0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(食塩水)に対する無加圧下で30分の吸収倍率/CRC)
遠心分離機保持容量(CRC)は0.90質量%食塩水に対する無加圧下で30分の吸収倍率を示す。なお、CRCは、無加圧下吸収倍率と称されることもある。
吸水性樹脂粒子0.200gを不織布製(南国パルプ工業(株)製、商品名:ヒートロンペーパー、型式:GSP−22)の袋(85mm×60mm)に均一に入れてヒートシールした後、室温で大過剰(通常500ml程度)の0.90質量%食塩水(塩化ナトリウム水溶液)中に浸漬した。30分後に袋を引き上げ、遠心分離機(株式会社コクサン社製、遠心機:型式H−122)を用いてERT441.1−99(Feb99)に記載の遠心力(250G)で3分間水切りを行った後、袋の質量W1(g)を測定した。また、同様の操作を吸水性樹脂粒子を用いずに行い、その時の質量W0(g)を測定した。そして、これらW1、W0から、次式に従って遠心分離機保持容量(CRC)(g/g)を算出した。
遠心分離機保持容量(CRC)(g/g)=(W1(g)−W0(g))/(吸水性樹脂の質量(g))−1
(2)圧力に対する吸収力(0.90質量%食塩水に対する4.83kPaで60分の加圧下吸収倍率/AAP)
圧力に対する吸収力(AAP)は0.90質量%食塩水に対する4.83kPaで60分の吸収倍率を示す。なお、AAPは、4.83kPaでの加圧下吸収倍率と称されることもある。
図1に示す装置を用い、内径60mmのプラスチック製支持円筒100の底に、ステンレス製400メッシュの金網101(目の大きさ38μm)を融着させ、室温(20〜25℃)、湿度50RH%の条件下で、該網上に吸水性樹脂粒子0.900gを均一に散布し、その上に、吸水性樹脂粒子に対して4.83kPa(0.7psi)の荷重を均一に加えることができるよう調整された、外径が60mmよりわずかに小さく支持円筒との隙間が生じず、かつ上下の動きが妨げられないピストン103と荷重104とをこの順に載置し、この測定装置一式の質量Wa(g)を測定した。
直径150mmのペトリ皿105の内側に直径90mmのガラスフィルター106(株式会社相互理化学硝子製作所社製、細孔直径:100〜120μm)を置き、0.90質量%食塩水108(20〜25℃)をガラスフィルターの上面と同じレベルになるように加えた。その上に、直径90mmの濾紙107(ADVANTEC東洋株式会社、品名:(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を1枚載せ、表面が全て濡れるようにし、かつ過剰の液を除いた。
上記測定装置一式を前記湿った濾紙上に載せ、液を荷重下で吸収させた。1時間後、測定装置一式を持ち上げ、その質量Wb(g)を測定した。そして、Wa、Wbから、下記の式に従って圧力に対する吸収力(AAP)(g/g)を算出した。
圧力に対する吸収力(AAP)=(Wb(g)−Wa(g))/(吸水性樹脂粒子の質量(0.900g))
(3)粒度および質量平均粒子径(D50)
JIS標準ふるい(Z8801−1(2000))を用いて、米国特許2007−123658号に準じて測定した。
(4)水可溶性分
ERT470.1−99(Feb99)に準じて、200mlの0.9%食塩水中で1.000gの吸水性樹脂を3cmのスターラーで16時間500rpm攪拌したのち、濾液中の抽出物である水溶性ポリマー(Extractables)をpH滴定した。
(5)0.69質量%の塩化ナトリウム水溶液流れ誘導性(SFC)
0.69質量%の塩化ナトリウム水溶液流れ誘導性(SFC)は吸水性樹脂粒子の膨潤時の液透過性を示す値である。SFCの値が大きいほど高い液透過性を有することを示している。本試験については、米国特許第5669894号明細書記載のSFC試験に準じて行った。
(プロパンジオールの製造例)
以下、グリセリンは天然物由来(油脂の鹸化物)を用い、グリセリン還元による1,2−プロパンジオールないし乳酸の製造例を示す。
下記に製造例は一例であり、本発明ではいかなる経路のプロパンジオールや乳酸を用いて、本発明の吸水性樹脂とすることに制限はなく、目的とする架橋剤混合物を得るためにその条件は適宜選択すればよい。
収率的に好ましい製造法として、上述のグリセリン還元触媒「貴金属および塩基性金属酸化物」を用いる製造例1〜4を示す。
別途、収率は低いが、その他の触媒を使用する製造例5−8も示す(比較例製造例1−4)。
(製造例1)
塩基性炭酸マグネシウム(石津化学社製)を500℃、3時間、空気流通下の条件で焼成しMgOを調製した。調製した0.10gのMgOと、0.05gのRu/C(デグッサ社製「H1002 P/W」Ru濃度5質量%、水含有量55質量%)をグリセリン還元用触媒として、内容積が15mlのオートクレーブに投入した。4.2gの20質量%グリセリン水溶液をオートクレーブ内に更に投入した後、オートクレーブ内の空気をNガスに置換した。次に、オートクレーブ内を180℃に昇温させた後、圧力が8MPaになるまでHガスを導入し、180℃、10時間の条件で回分形式によるグリセリンの還元反応を行った。反応終了後、FID検出器付きガスクロマトグラフィで反応液の定性・定量分析を行った。
(製造例2)
水酸化ジルコニウム(第一希元素化学社製)を400℃、3時間、空気流通下の条件で焼成して得られた0.10gのZrOをMgOに変えて使用した以外は、製造例1と同様にして行った。
(製造例3)
ハイドロタルサイト(和光純薬工業社製)をNガス流通下、220℃で20時間焼成した。0.12gのハイドロタルサイト焼成物をMgOに変えて使用した以外は、製造例1と同様にして行った。
(製造例4)
製造例1と同様にして調製した6.0gのMgO、7.6gの3.938質量%硝酸ルテニウム水溶液(田中貴金属社製、ルテニウム含有量:3.938質量%)、および37gの水を約10分間混合した後、90℃の湯浴上でスラリー状になるまで濃縮した。この濃縮スラリー状物を乾燥機内で、空気流通下の条件で110℃、10時間乾燥した後、N流通下の条件で220℃、20時間焼成することにより、MgOにRuが担持されたRu/MgO触媒(Ru濃度:5質量%)を得た。得られたRu/MgO触媒を0.05g使用し、製造例1と同様にしてグリセリンの還元反応を行った。
(製造例5(比較製造例1))
MgOを使用しなかった以外は、製造例1と同様にして行った。
(製造例6(比較製造例2))
Ru/Cを使用しなかった以外は、製造例2と同様にして行った。
(製造例7(比較製造例3))
0.15gの水酸化マグネシウム(和光純薬工業社製)をMgOに変えて使用した以外は、製造例1と同様にして行った。
(製造例8(比較製造例4))乳酸の製造例
0.22gの水酸化ナトリウム(和協化学工業社製)をMgOに変えて使用した以外は、製造例1と同様にして行った。なお、水酸化ナトリウムは、グリセリン還元反応に使用した4.2gの20質量%グリセリン水溶液に完全に溶解した。
製造例よび比較製造例のガスクロマトグラフィ結果に基づき、転化率および収率を算出した。ここで、転化率は、(1−(未反応グリセリンのモル数)/(反応前のグリセリンのモル数))×100、で算出される値である。また収率は、検出された1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、乳酸、ジグリセリン、またはエチレングリコールの収率であり、((収率計算対象化合物のモル数)/(反応前のグリセリンのモル数))×100、で算出される値である。
次表1に、グリセリンの転化率およびプロパンジオール並びに乳酸の収率の算出結果を示す。
Figure 2009096812
上記の製造例2に準じて得られた「グリセリン、プロピレングリコールの混合物水溶液」について、適宜、組成調整することで、吸水性樹脂の表面架橋剤水溶液とし、後述実施例1,2の表面架橋を行った。
(参考例1)吸水性樹脂の重合
シグマ型羽根を2本有する内容積10リットルのジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、アクリル酸473.6g、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液4517.2g、純水463.4g、内部架橋剤ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量523)6.86gを溶解させて反応液とした。次にこの反応液を窒素ガス雰囲気下で、20分間脱気した。
続いて、反応液に20質量%過硫酸ナトリウム水溶液14.61gおよび0.1質量%L−アスコルビン酸水溶液24.34gを攪拌しながら添加したところ、およそ20秒後に重合が開始した。そして、生成したゲルを粉砕しながら、25℃以上90℃以下で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体を取り出した。このとき、重合が開始してから最高温度に達するまでの時間は15分以内であった。得られた含水ゲル状架橋重合体は、その径が約5mm以下に細分化されていた。
この細分化された含水ゲル状架橋重合体を目開き300μmの金網上に広げ、185℃で45分間熱風乾燥を行い、乾燥物をロールミルで粉砕した後、目開き850μmおよび150μmのJIS標準篩によって分級することで、質量平均粒子径(D50)約450μmの不定形破砕状の吸水性樹脂(A)を得た。吸水性樹脂(A)の遠心分離機保持容量(CRC)は36.3(g/g)、水可溶分は約11質量%であった。
(実施例1)
参考例1で得られた吸水性樹脂(A)100質量部にグリセリン23.5wt%、プロパンジオール2wt%、エチレングリコール0.4wt%、純水74wt%の水溶液からなる表面架橋剤3.3質量部を均一に混合した後、混合物を190℃で50分間加熱処理した。その後、得られた粒子を目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。こうして、表面架橋された吸水性樹脂粒子(1)を得た。
(実施例2)
参考例1で得られた吸水性樹脂(A)100質量部にグリセリン5.4wt%、プロパンジオール9wt%、エチレングリコール1.0wt%、純水84.6wt%の水溶液からなる表面架橋剤3.3質量部を均一に混合した後、実施例1と同様に、190℃で50分間加熱処理した。その後、同様に、850μmのJIS標準篩を通過させることで、表面架橋された吸水性樹脂粒子(2)を得た。
(比較例1)
参考例1で得られた吸水性樹脂(A)100質量部にグリセリン9wt%、純水91wt%の水溶液からなる表面架橋剤3.3質量部を均一に混合した後、実施例1,2と同様に、190℃で50分間加熱処理した。その後、同様に、850μmのJIS標準篩を通過させて、表面架橋された比較吸水性樹脂粒子(1)を得た。
(比較例2)
参考例1で得られた吸水性樹脂(A)100質量部にプロパンジオール9wt%、純水91wt%の水溶液からなる表面架橋剤3.3質量部を均一に混合した後、実施例1,2と同様に、190℃で50分間加熱処理した。その後、同様に850μmのJIS標準篩を通過させて、表面が架橋された比較吸水性樹脂粒子(2)を得た。
(まとめ)
上記製造例、実施例および比較例で得られた吸水性樹脂の諸物性を下記表2に示す。
Figure 2009096812
表2で示すように、本発明で得られる吸水性樹脂は、加圧下吸水倍率AAPが高く、かつ荷重による吸水倍率の低下、すなわち、その差(CRC−AAP)またはその比(AAP/CRC)の小さい吸水性樹脂を提供する。よって、かかる吸水性樹脂は、おむつ中で、場所や個人差による荷重の影響を受けにくく、安定的に高物性を示す。また、グリセリン還元物のプロピレングリコールを使用することで、Sutainaibityを有する。
100 プラスチック製支持円筒
101 ステンレス製400メッシュの金網
102 膨潤ゲル
103 ピストン
104 荷重(おもり)
105 ペトリ皿
106 ガラスフィルター
107 濾紙
108 0.90質量%食塩水

Claims (9)

  1. グリセリンおよびプロパンジオールを含むポリオール混合物で、水膨潤性架橋重合体を表面架橋ないし表面被覆する吸水性樹脂の製造方法。
  2. ポリオール混合物がさらにエチレングリコールないし乳酸を含む請求項1に記載の製造方法。
  3. プロパンジオールがグリセリンの還元物である請求項1または2記載の製造方法。
  4. グリセリンが油脂の鹸化物である請求項1〜3の何れかに記載の製造方法。
  5. 水膨潤性架橋重合体がポリアクリル酸塩架橋重合体である請求項1〜4の何れかに記載の製造方法。
  6. ポリアクリル酸塩架橋重合体を構成するアクリル酸がグリセリンの酸化物である請求項1〜5の何れかに記載の製造方法。
  7. グリセリン還元物のプロパンジオールないし乳酸を含む吸水性樹脂。
  8. グリセリンが油脂の鹸化物である請求項7記載の吸水性樹脂。
  9. グリセリン還元物であるプロパンジオールないし乳酸の吸水性樹脂での使用。
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