JP2018082991A - 釘付き樹脂シートとその製造方法 - Google Patents

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【課題】釘の保持力を安定化することができ、釘抜けおよび釘打ち部分への局所的な応力集中によるクラック発生を抑制することが可能な釘付き樹脂シートを提供する。【解決手段】本発明の釘付き樹脂シートは、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を50質量%以上含有する樹脂組成物からなり、厚さが5〜20mmであり、厚さ方向に延びる釘打ち用孔が形成された樹脂シートと、釘打ち用孔内に打ち込まれた釘とを有する。平面視にて、釘の中心軸を中心に残留応力が略点対称に分布している。【選択図】図2

Description

本発明は、釘付き樹脂シートとその製造方法に関する。
弾球遊技機では、遊技盤に対してNC(numerical control machining)加工等により形成された複数の孔(通常、貫通孔)内に、遊技球の落下方向を変化させるための釘が打ち込まれる。近年、弾球遊技機のエンターテイメント性を高めるため、遊技盤の素材として透明樹脂シートを用い、さらに液晶表示パネル等の表示パネルおよび/またはLED(発光ダイオード)等の照明装置を組み合わせた構成が検討されている。
透明樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂およびメタクリル系樹脂等が挙げられる。ポリカーボネート系樹脂シートは、表面硬度が比較的低いため、遊技球との摩擦または遊技球の衝突で傷が付きやすい傾向がある。メタクリル系樹脂シートは表面硬度が比較的高いため、遊技球との摩擦または遊技球の衝突でも傷が付きにくい。しかしながら、一般的なメタクリル系樹脂は耐衝撃性が不充分であり、釘打ち時に樹脂割れが生じる恐れがある。そこで、特許文献1、2には、釘打ち時の樹脂割れを抑制するために、メタクリル系樹脂にアクリル系ゴムを添加して、耐衝撃性を改善したメタクリル系樹脂シートが開示されている(特許文献1の請求項1、特許文献2の請求項1)。
特開2006−320705号公報 特開2008−049137号公報
釘付き樹脂シートにおいては、釘が安定的に保持されていることが好ましい。釘の保持力によっては、釘抜けまたは釘打ち部分への局所的な応力集中によるクラック発生の恐れがある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、釘の保持力を安定化することができ、釘抜けおよび釘打ち部分への局所的な応力集中によるクラック発生を抑制することが可能な釘付き樹脂シートを提供することを目的とする。
本発明は、以下の釘付き樹脂シートとその製造方法を提供する。
[1] 少なくとも1種の熱可塑性樹脂を50質量%以上含有する樹脂組成物からなり、厚さが5〜20mmであり、厚さ方向に延びる釘打ち用孔が形成された樹脂シートと、前記釘打ち用孔内に打ち込まれた釘とを有する釘付き樹脂シートであって、
平面視にて、前記釘の中心軸を中心に残留応力が略点対称かつ略線対称に分布している、釘付き樹脂シート。
[2] さらに断面視にて、釘打ち部分の前記樹脂シートの厚さ方向の中心点または当該中心点の近傍点を中心に残留応力が略点対称かつ略線対称に分布している、[1]の釘付き樹脂シート。
[3] 前記熱可塑性樹脂がメタクリル系樹脂(A)および/またはポリカーボネート系樹脂である、[1]または[2]の釘付き樹脂シート。
[4] 前記樹脂組成物はさらにアクリル系ゴム(B)を含む、[3]の釘付き樹脂シート。
[5] 前記アクリル系ゴム(B)は少なくとも1層のゴム層を含む多層構造粒子である、[4]の釘付き樹脂シート。
[6] 前記樹脂組成物中のアクリル系ゴム(B)の含有量が15〜30質量%である、[5]の釘付き樹脂シート。
[7] 前記樹脂シートは、押出成形シート、キャスト成形シート、または射出成形シートである、[1]〜[6]のいずれかの釘付き樹脂シート。
[8] 前記樹脂シートは押出成形シートである、[7]の釘付き樹脂シート。
[9] [8]の釘付き樹脂シートの製造方法であって、前記樹脂シートの製造工程において、
前記樹脂組成物を加熱溶融し、シート状に押出す押出成形手段と、
互いに隣接して配置され、前記押出成形手段により押出された溶融状態のシートを加圧しながら冷却する複数の冷却ロールからなる冷却ロールユニットと、
互いに対向して上下に配置され、製造された前記樹脂シートを引き取る力を発現する一対の引取ロールとを備えた製造装置を用い、
前記冷却ロールユニットの前記複数の冷却ロールのうち最下流の冷却ロールから離れる時点における、前記樹脂シートの全体の温度を120〜160℃の範囲内に調整し、
前記冷却ロールユニットの前記複数の冷却ロールのうち、上流側から2番目に位置する第2の冷却ロールの周速度をV2とし、前記一対の引取ロールの周速度をVXとしたとき、前記第2冷却ロールの周速度V2に対する前記一対の引取ロールの周速度VXの比(VX/V2)を0.98〜1.00の範囲内に調整し、
前記冷却ロールユニットと前記一対の引取ロールとの間において、前記樹脂シートを20〜50℃の範囲内に調温された環境内を通過させて徐冷する、製造方法。
本発明によれば、釘の保持力を安定化することができ、釘抜けおよび釘打ち部分への局所的な応力集中によるクラック発生を抑制することが可能な釘付き樹脂シートを提供することができる。
本発明に係る一実施形態の樹脂シートの製造装置を示す模式図である。 本発明の実施例に係る釘付き樹脂シートの点対称かつ線対称に分布した残留応力を表す光学縞の形状の一例である。 本発明の比較例に係る釘付き樹脂シートの点対称に分布した残留応力を表す光学縞の形状の一例である。
「釘付き樹脂シート」
本発明の釘付き樹脂シートは、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を50質量%以上含有する樹脂組成物からなり、厚さ方向に延びる釘打ち用孔が形成された樹脂シート(以下、単に「シート」と略記する場合がある)と、釘打ち用孔内に打ち込まれた釘とを有する。
本明細書において、「主成分」は50質量%以上の成分と定義する。
本明細書において、「シート」は可撓性を有しない板状物である。
樹脂シートは、厚さtが5〜20mmである。厚さtが5mm未満では、特に40℃以上の温度環境下において、シートに反りが生じやすく、これによって釘抜けまたは釘の位置変化が生じやすい傾向があり、厚さtが20mm超では、シートが重くなり、取扱い性が低下する傾向がある。
樹脂シートの釘打ち用孔に打ち込まれた釘の保持力は主に、釘が樹脂シートから受ける摩擦抵抗と拘束力とからなる。ここで、拘束力は、釘周囲に存在する応力(圧縮応力とまたは引張応力)の影響を受ける。釘打ち用孔の径は釘の外径よりも小さく設計されるため、樹脂シートの釘周囲には釘の打ち込みによる圧縮応力が存在している。その他、樹脂シートの成形方法と成形条件によっては、樹脂シートの成形時に残留応力が発生することがある。残留応力は、樹脂シートの成形方法と成形条件およびシート箇所によって異なり、圧縮応力または引張応力である。
釘の保持安定性の観点から、釘は周囲から均一な圧縮応力で保持されることが好ましい。仮に不均一な圧縮応力で保持されていると、釘の保持力が不安定となり、経時後に釘が抜ける/あるいは釘打ち部分に局所的に応力が集中してシートにクラックが生じる恐れがある。
本発明者らは、歪検査器を用いて光学縞として観察される釘周囲の残留応力の均一性に着目し、平面視において釘周囲の残留応力が略均一であること、好ましくは平面視および断面視の双方において釘周囲の残留応力が略均一であることが、釘の保持安定性に有効であることを見出した。
本発明の釘付き樹脂シートにおいては、平面視にて、釘の中心軸を中心に残留応力が略点対称かつ略線対称に分布している。さらに断面視にて、釘打ち部分の樹脂シートの厚さ方向の中心点または当該中心点の近傍点を中心に残留応力が略点対称かつ略線対称に分布していることが好ましい。
本明細書において、「シートの厚さ方向の中心点の近傍点」とは、中心点から板厚±20%(例えば板厚10mmの場合は±2mm)の範囲の点である。
「ある点を中心に残留応力が略点対称かつ略線対称に分布している」ことは例えば、鋭敏色板型歪計を用いた観察により評価することができる。ある点を中心に残留応力が略点対称かつ略線対称に分布している場合、鋭敏色板型歪計を用いた観察評価では、ある点を中心とする観察像が、ある点を中心に180°回転させてもほとんど変化せず(点対称)、かつ4つの花弁状の長軸に略45°の角度をなす軸に対して反転させてもほとんど変化しない(線対称)。
本発明の一態様において、鋭敏色板型歪計を用いた観察評価では、図2のようにある点を中心に略90°間隔で4方向に同様形状の花弁状の明暗部が観察され、かつ4方向の花弁状の明暗部からなる観察像が、樹脂シートをある点を中心に90°回転させてもほとんど変化しない。一方、好ましくない態様において、点対称であって線対称でない場合は、図3のようにある点を中心に180°間隔で2方向に同様形状の花弁状の明暗部が観察されることから180°回転しての点対象であり、2つの花弁状の長軸に略45°の角度をなす軸に対して反転させても花弁状の明暗部像が重ならないことから線対称ではない。好ましい態様において、上記観察像をなす各明暗部の最大のものと最小のものとの面積比は2未満である。なお、明暗部の面積は、色と応力との相関関係を示す比較図から算出することができる。色と応力との相関関係を示す比較図より残留応力を算出することも可能である。
樹脂シートは、押出成形法、キャスト成形法、および射出成形法等の公知のシート成形方法を用いて製造される。樹脂シートの成形方法および成形条件を工夫することで、平面視および断面視における釘周囲の残留応力の分布を上記規定のように調整することができる。残留応力の分布を調整しやすいことから、押出成形法等が特に好ましい。具体的な好適な製造条件については、後記する。
樹脂シートの主成分を構成する1種以上の熱可塑性樹脂は好ましくは、メタクリル系樹脂(A)およびポリカーボネート系樹脂等である。ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールAポリカーボネート樹脂等が挙げられる。表面硬度が比較的高く、遊技球との摩擦または遊技球の衝突でも傷がつきにくいことから、メタクリル系樹脂(A)が特に好ましい。メタクリル系樹脂(A)の含有量は好ましくは55〜85質量%、より好ましくは70〜85質量%である。
メタクリル系樹脂(A)は、メタクリル酸メチル(MMA)単量体単位、および必要に応じて1種以上の他の単量体単位を含むことができる。他の単量体単位としては、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、および(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。メタクリル系樹脂(A)は、好ましくは直鎖の重合体である。メタクリル系樹脂(A)において、MMA単量体単位の含有量は好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、特に好ましくは90〜100質量%である。
メタクリル系樹脂(A)は、重量平均分子量(Mw)が好ましくは50000〜300000、より好ましくは52000〜250000、特に好ましくは55000〜200000である。メタクリル系樹脂(A)のMwが上記範囲にあると、靭性および耐衝撃性等の力学物性が良好であり、厚さが均一で表面平滑性に優れるシートが得られやすい。
メタクリル系樹脂(A)は、成形加工性の観点から、JIS K 7210に準拠して、230℃、3.8kg荷重の条件において測定されるメルトフローレート(MFR)が、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.1〜30g/10分、特に好ましくは0.5〜20g/10分、最も好ましくは1.0〜10g/10分である。
成形加工性の観点から、メタクリル系樹脂(A)のTgは、好ましくは100℃以上である。メタクリル系樹脂(A)のTgの上限は通常130℃である。Tgは、分子量等を調節することによって制御することができる。本明細書において、「Tg」はガラス転移温度である。
メタクリル系樹脂(A)の製造方法は特に制限されず、懸濁重合法、ラジカル重合法、およびアニオン重合法等の公知重合法を適用することができる。耐熱分解性が高く、異物が少なく、透明性が高いメタクリル系樹脂が得られるという観点からは、無溶剤の連続ラジカル重合およびアニオン重合法等が好ましい。上記の公知重合法において、重合温度、重合時間、連鎖移動剤の種類または量、あるいは、重合開始剤の種類または量等を調整することによって、Mwが所望範囲であるメタクリル系樹脂(A)を製造することができる。
樹脂組成物は、熱可塑性樹脂がメタクリル系樹脂(A)および/またはポリカーボネート系樹脂を含む場合、特に熱可塑性樹脂がメタクリル系樹脂(A)を含む場合、アクリル系ゴム(B)をさらに含むことが好ましい。アクリル系ゴム(B)は、釘付き樹脂シートの耐衝撃性を向上し、釘打ち時の樹脂割れを抑制することができる。アクリル系ゴム(B)としては特に制限されず、少なくとも1層のゴム層を含む多層構造粒子(BX)およびブロック共重合体(BY)等が挙げられる。耐衝撃性の向上効果が効果的に得られることから、アクリル系ゴム(B)は多層構造粒子(BX)であることが好ましい。
少なくとも1層のゴム層を含む多層構造粒子(BX)は、軟質層(ゴム層)と硬質層とを含むいわゆるコアシェル構造を有するアクリル系ゴム粒子である。多層構造粒子(BX)の添加量が過少では、耐衝撃性の向上効果が効果的に得られず、釘打ち時の樹脂割れが生じる恐れがある。多層構造粒子(BX)の添加量が過多では、樹脂シートの透明性および表面硬度が低下する恐れがある。耐衝撃性の向上効果が効果的に得られ、樹脂シートの透明性および表面硬度が良好となることから、樹脂組成物中の多層構造粒子(BX)の含有量は好ましくは15質量%以上、より好ましくは15〜45質量%、さらに好ましくは15〜30質量%、特に好ましくは18〜30質量%、最も好ましくは20〜30質量%である。
本明細書において、特に明記しない限り、多層構造粒子(BX)の含有量は次のようにして測定するものとする。樹脂シートの一片を充分乾燥して水分を除去した後、その質量(W1)を測定する。次に、上記シート片を試験管に入れ、アセトンを加えて溶解し、アセトン可溶部を除去する。その後、真空加熱乾燥機を使用してアセトンを除去し、残留物の質量(W2)を測定する。次式に基づいて、多層構造粒子(BX)の含有量を求める。
[多層構造粒子(BX)の含有量]=(W2/W1)×100(%)
なお、多層構造粒子(BX)の最外層がアセトンに溶解する場合、多層構造粒子(BX)の配合量と上記測定で求められる含有量とは一致しない場合がある。しかしながら、本明細書では、アセトン不溶部が耐衝撃性に寄与するゴム分であるとみなして、多層構造粒子(BX)の含有量を求めるものとする。
シート中の多層構造粒子(BX)の粒子径が過小では、耐衝撃性の向上効果が得られず、釘打ち時の樹脂割れが生じる恐れがある。シート中の多層構造粒子(BX)の粒子径が過大では、特に多層構造粒子(BX)の添加量が多い場合、打ち込まれた釘が抜けやすくなる傾向がある。耐衝撃性の向上効果が効果的に得られ、釘抜けが抑制されることから、シート中の多層構造粒子(BX)の粒子径は、好ましくは0.05〜0.3μmである。
本明細書において、特に明記しない限り、多層構造粒子(BX)を含むラテックス中の多層構造粒子(BX)の平均粒子径は、大塚電子(株)製光散乱光度計DLS−600を用いて測定するものとする。多層構造粒子(BX)のラテックス中の平均粒子径は、重合完了後のラテックスから採取した試料を用いて動的光散乱法により測定し、キュムラント法により解析し、求めるものとする。
本明細書において、特に明記しない限り、シート中の多層構造粒子(BX)の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察により求めるものとする。具体的には、樹脂シートの一部を切り出し、凍結条件下でミクロトームにより厚さ方向に切断し、得られた切片をルテニウム酸で染色した後、染色されたゴム粒子の断面をTEMで観察する。粒子100個の平均値を平均粒子径とする。
多層構造粒子(BX)としては、最外層が、少なくとも1種のメタクリル酸エステル単位40〜100質量%、および必要に応じて共重合可能な他の単量体単位0〜60質量%を含む硬質層であり、少なくとも1つの内層(最外層より内側の層)が、少なくとも1種のアクリル酸エステル単位40〜99.9質量%、必要に応じて共重合可能な他の単量体単位0〜60質量%、および多官能性単量体単位0.1〜5質量%を含む軟質層(ゴム層)であるアクリル系多層構造粒子(BX−1)が好ましい。本明細書において、「多官能性単量体」は、2以上の重合性官能基を含む架橋剤(架橋性単量体)である。
アクリル系多層構造粒子(BX−1)の最外層を構成する硬質層は、耐熱性発現の観点から、該層を単独で形成させたときのTgが25℃以上であることが好ましい。また、少なくとも1つの内層は軟質層(ゴム層)で構成され、耐衝撃性発現の観点から、該軟質層を単独で形成させたときのTgが25℃未満であることが好ましい。
アクリル系多層構造粒子(BX−1)に占める最外層の割合については特に限定されないが、メタクリル系樹脂(A)との溶融混練時における良好な分散性を確保するために、10〜80質量%の範囲内にあることが好ましい。
アクリル系多層構造粒子(BX−1)の硬質層用の単量体は、透明性の点からメタクリル酸メチルを含むことが好ましい。硬質層には必要に応じて、メタクリル酸エステルに合わせて、共重合可能な不飽和単量体および/または架橋剤である多官能性単量体を1種以上用いることができる。共重合可能な不飽和単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、およびアクリル酸ベンジル等のアクリル酸エステルが挙げられる。多官能性単量体としては、(メタ)アクリル酸アリル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ−ト、およびジビニルベンゼン等が挙げられる。
アクリル系多層構造粒子(BX−1)の軟質層(ゴム層)用の単量体としては、耐衝撃性の点から、1種以上のアクリル酸エステル、必要に応じて共重合可能な1種以上の他の単量体、および1種以上の多官能性単量体が用いられる。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、およびアクリル酸ベンジル等が挙げられる。軟質層(ゴム層)に用いられるアクリル酸エステルは、アクリル酸ブチルおよび/またはアクリル酸−2−エチルヘキシルを含むことが好ましい。アクリル酸エステルと共重合可能な他の単量体としては、1,3−ブタジエンおよびイソプレン等のジエン系化合物;スチレン、ビニルトルエン、およびα−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物等が挙げられる。多官能性単量体としては、上記硬質層と同様のものが挙げられる。
アクリル系多層構造粒子(BX−1)の多層構造は、最外層が硬質層であり、少なくとも1つの内層が軟質層であれば任意である。多層構造としては、内側の層から外側の層に向かって、軟質層−硬質層の二層構造、硬質層−軟質層−硬質層の三層構造、軟質層−硬質層−軟質層−硬質層の四層構造、および硬質層−軟質層−軟質層−硬質層の四層構造等が挙げられる。
アクリル系多層構造粒子(BX−1)は公知の乳化重合法により製造することができる。まず、1種以上の原料単量体を乳化重合させて芯粒子をつくった後、他の1種以上の単量体を芯粒子の存在下に乳化重合させて芯粒子の周りに殻を形成させる。次いで必要に応じて、芯と殻からなる粒子の存在下にさらに1種以上の単量体を乳化重合させて別の殻を形成させる。このような重合反応を繰り返すことにより、目的とするアクリル系多層構造粒子(BX−1)を乳化ラテックスとして製造することができる。
乳化重合には、公知の界面活性剤を使用することができる。界面活性剤は、重合系の安定性および製造されるアクリル系多層構造粒子の粒子径等の観点から適宜選択することができ、アニオン系界面活性剤が好ましい。アニオン系界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、およびN−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム等のカルボン酸塩等が挙げられる。
乳化重合に使用される重合開始剤は特に制限されず、過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物等が挙げられる。乳化重合には、必要に応じて連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、n−ドデシルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、およびsec−ブチルメルカプタン等のアルキルメルカプタンが挙げられる。
アクリル系多層構造粒子(BX−1)は、乳化重合によって製造され、公知方法により凝固、脱水、および乾燥等を実施して、粉末状の重合体として回収することができる。
ブロック共重合体(BY)は特に制限されず、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステルを主成分とするメタクリル酸エステル重合体ブロック(b1)とアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステルを主成分とするアクリル酸エステル重合体ブロック(b2)とを含むブロック共重合体(BY−1)が好ましい。ブロック共重合体(BY)中のメタクリル酸エステル重合体ブロック(b1)の数は特に制限されず、単数でも複数でもよい。同様に、ブロック共重合体(BY)中のアクリル酸エステル重合体ブロック(b2)の数は特に制限されず、単数でも複数でもよい。
樹脂組成物は必要に応じて、上記以外の任意成分を含むことができる。
樹脂組成物は、1種以上の他の樹脂を含むことができる。他の樹脂としては、シリコーン系ゴム;SEPS、SEBS、およびSIS等のスチレン系熱可塑性エラストマー;およびIR、EPR、およびEPDM等のオレフィン系ゴム等が挙げられる。樹脂組成物に含有し得る他の樹脂の量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、最も好ましくは0質量%である。
樹脂組成物は、1種以上の各種添加剤を含むことができる。添加剤としては、滑剤、紫外線吸収剤、フィラー、酸化防止剤、熱劣化防止剤、光安定剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、光拡散剤、有機色素、艶消し剤、および蛍光体等が挙げられる。樹脂組成物に含有し得る添加剤の合計量は、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは4質量%以下である。
弾球遊技機等の用途では、樹脂シートに対して、のこぎり等を用いて樹脂シートを所定の形状に切断する切断加工、ドリル等を用いて釘打ち用の孔および各種遊技部材の取付用の孔を開ける孔開け加工、および、ルータ等を用いて形状を整える外形加工等が施される。
滑剤は樹脂シートに潤滑性を付与して、樹脂シートの摩擦係数を低下させる成分であり、この成分を添加することで、樹脂シートの切断あるいは孔開け等の加工において、潤滑効果により樹脂シートと工具との摩擦熱を抑制して、樹脂シートの加工面の外観品質の低下および工具への樹脂融着を抑制することができる。滑剤としては、炭化水素、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、および金属石鹸等が挙げられる。
滑剤として用いられる脂肪酸としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、およびエルカ酸等の炭素数12以上の脂肪酸が好ましい。上記の中でも、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、およびエルカ酸等の炭素数16〜24の脂肪酸がより好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸、およびベヘン酸等の炭素数16〜24の飽和脂肪酸が特に好ましい。滑剤として用いられる脂肪族アルコールとしては、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、およびステアリルアルコール等の炭素数12〜18の飽和脂肪族アルコールがより好ましく、パルミチルアルコール、およびステアリルアルコール等の炭素数16〜18の飽和脂肪族アルコールが特に好ましい。
滑剤として用いられる脂肪酸エステルとしては、上記脂肪酸と上記脂肪族アルコールを含む1価または多価(2価以上)のアルコールとのエステル(部分エステルを含む)が好ましく、炭素数16〜22の脂肪酸とグリセリンとの部分エステルである脂肪酸モノグリセライドがより好ましい。
滑剤として用いられる脂肪酸アミドとしては、上記脂肪酸のアミドおよびビスアミド等が挙げられる。かかる脂肪酸アミドとしては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシルステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスカプリン酸アミド、およびエチレンビスラウリン酸アミド等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する能力を有する化合物である。紫外線吸収剤は、主に光エネルギーを熱エネルギーに変換する機能を有すると言われる化合物である。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、およびホルムアミジン類等が挙げられる。中でも、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、または波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール類は、紫外線被照による着色等の光学特性低下を抑制する効果が高い。ベンゾトリアゾール類としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(BASF社製;商品名TINUVIN329)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(BASF社製;商品名TINUVIN234)、および、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール](ADEKA社製;LA−31)等が好ましい。
波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤は、得られる成形体の黄色味を抑制できる。このような紫外線吸収剤としては、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド(クラリアントジャパン社製;商品名サンデユボアVSU)等が挙げられる。
上記した紫外線吸収剤の中で、紫外線被照による樹脂劣化が抑えられるという観点から、ベンゾトリアゾール類等が好ましく用いられる。
また、波長380nm付近の波長を効率的に吸収したい場合は、トリアジン類の紫外線吸収剤が好ましく用いられる。このような紫外線吸収剤としては、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(ADEKA社製;LA−F70)、およびその類縁体であるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASF社製;TINUVIN477−DやTINUVIN460)等が挙げられる。
酸化防止剤は、酸素存在下においてそれ単体で樹脂の酸化劣化防止に効果を有するものである。例えば、リン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、およびチオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。中でも、着色による光学特性の劣化防止効果の観点から、リン系酸化防止剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤等が好ましく、リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤との併用がより好ましい。
リン系酸化防止剤としては、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト(ADEKA社製;商品名:アデカスタブHP−10)、トリス(2,4−ジt−ブチルフェニル)ホスファイト(BASF社製;商品名:IRGAFOS168)、および3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサー3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(ADEKA社製;商品名:アデカスタブPEP−36)等が好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(BASF社製;商品名IRGANO01010)、およびオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF社製;商品名IRGANO01076)等が好ましい。
熱劣化防止剤は、実質上無酸素の状態下で高熱にさらされたときに生じるポリマーラジカルを捕捉することによって樹脂の熱劣化を防止できるものである。熱劣化防止剤としては、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGM)、および2,4−ジ−t−アミル−6−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGS)等が好ましい。
高分子加工助剤としては、通常、乳化重合法によって製造される、0.05〜0.5μmの粒子径を有する重合体粒子が用いられる。かかる重合体粒子は、単一組成および単一極限粘度の重合体からなる単層粒子であってもよいし、組成または極限粘度の異なる2種以上の重合体からなる多層粒子であってもよい。特に、内層に比較的低い極限粘度を有する重合体層を有し、外層に5dl/g以上の比較的高い極限粘度を有する重合体層を有する2層構造の粒子が好ましい。高分子加工助剤の平均重合度は、好ましくは3,000〜40,000である。
「樹脂シートの製造方法」
樹脂シートとしては、押出成形法、キャスト成形法、および射出成形法等の公知の成形方法により製造される、押出成形シート、キャスト成形シート、および射出成形シート等が挙げられる。残留応力の分布を調整しやすいことから、樹脂シートは押出成形シートであることが好ましい。樹脂シートの製造方法は、樹脂組成物を加熱溶融し、シート状に押出す工程(1)(押出成形工程)を有することが好ましい。
<工程(1)>
図面を参照して、本発明に係る一実施形態の樹脂シートの製造装置の構造およびこれを用いた製造方法について説明する。図1は、製造装置の模式図である。
図1に示すように、樹脂シートの製造装置1は、原料の樹脂組成物210Mを加熱溶融し、シート状に押出す押出成形手段110を備える。
本実施形態において、
押出成形手段110は、
原料の樹脂組成物210Mが投入されるホッパ等の原料投入部111と、
樹脂組成物210Mを加熱溶融し、押出すスクリュー部112と、
加熱溶融された樹脂組成物210Mをシート状に吐出する吐出口113Aを含むTダイ113とを備えたTダイ付き押出機である。
Tダイ113から吐出される樹脂シート210の温度は好ましくは160〜270℃、より好ましくは220〜260℃である。
樹脂シートの製造装置1はまた、樹脂シート210の所望の厚みに対応した離間距離の離間部を空けて互いに隣接して配置され、押出成形手段110により押出された溶融状態のシートを加圧しながら冷却する複数の冷却ロールからなる冷却ロールユニット120を有する。冷却ロールユニット120は、少なくとも、Tダイ113の吐出口113Aの下方に離間部を有する第1の冷却ロール121と第2の冷却ロール122とを含む。
Tダイ113から押出された溶融状態のシートは、第1の冷却ロール121と第2の冷却ロール122との間で挟持され、加圧および冷却されて、樹脂シート210となる。この時点では、樹脂シート210は充分に冷却されておらず、完全には固化していない。
図示する例では、冷却ロールユニット120は、第1の冷却ロール121と第2の冷却ロール122と第3の冷却ロール123と第4の冷却ロール124とを含む。第1の冷却ロール121と第2の冷却ロール122との間で挟持され、加圧および冷却された得られた樹脂シート210は、第1の冷却ロール121から離れて第2の冷却ロール122の面上を通りながら冷却され、第2の冷却ロール122と第3の冷却ロール123との間に供され、加圧される。樹脂シート210はさらに、第2の冷却ロール122から離れて第3の冷却ロール123の面上を通りながら冷却され、第3の冷却ロール123と第4の冷却ロール124との間に供され、加圧される。樹脂シート210はさらに、第3の冷却ロール123から離れて第4の冷却ロール124の面上を通りながら冷却された後、第4の冷却ロール124から離れて、次の工程に向かう。なお、この時点では、樹脂シート210は充分に冷却されておらず、完全には固化していない。
本実施形態において、押出成形手段110のTダイ113および冷却ロールユニット120は、第1の製造室R1内に配置される。第1の製造室R1内の環境温度T1は特に調整されておらず、加熱溶融された樹脂組成物210Mの存在により常温(20〜25℃)より高めの例えば35〜40℃程度である。
本実施形態において、第1の製造室R1に隣接して、第2の製造室R2が設けられている。第2の製造室R2内の環境温度T2は、冷却ロールユニット120により加圧および冷却されて得られた樹脂シート210を徐冷するため、後記温度範囲内に調整される。第2の製造室R2内の環境温度T2は、公知の空調設備等を用いて調整することができる。
樹脂シートの製造装置1はまた、製造された樹脂シート210の表面および裏面に保護フィルム220を貼着する保護フィルム貼着手段130を有する。保護フィルム貼着手段130は、樹脂シート210の表面に保護フィルム220を供給する第1の保護フィルムロール131と、樹脂シート210の裏面に保護フィルム220を供給する第2の保護フィルムロール132とを含む。保護フィルム貼着手段130は、第2の製造室R2の外側に設けられている。第2の製造室R2内で徐冷された後の樹脂シート210は、充分に冷却され、充分に固化しているので、保護フィルム220の貼着工程は、特に環境温度を調温する必要がない。
樹脂シートの製造装置1はまた、製造された樹脂シート210を引き取る力を発現する引取手段140を有する。引取手段140は、樹脂シート210の所望の厚みに対応した離間距離の離間部を空けて互いに対向して上下に配置された一対の引取ロール141、142を含む。樹脂シートの製造装置1はまた、両面に保護フィルム220が貼着された樹脂シート210を板状に切断する公知の切断手段(図示略)を有する。
なお、本実施形態の樹脂シートの製造装置1の構成は一例に過ぎず、適宜設計変更可能である。
本実施形態の樹脂シートの製造装置1を用いて、以下のようにして樹脂シート210が製造される。はじめに、押出成形手段110により原料の樹脂組成物210Mを加熱溶融し、シート状に押出す。次に、冷却ロールユニット120により、押出成形手段110により押出された溶融状態のシートを加圧および冷却して、樹脂シート210が得られる。次に、得られた樹脂シート210を第2の製造室R2内で徐冷する。次に、保護フィルム貼着手段130により、樹脂シート210の両面に保護フィルム220を貼着する。
本発明者らは、上記押出成形法においては、多数ある製造条件の中で、下記3つの製造条件(製造条件1〜3)を好適な範囲内に規定することで、平面視、好ましくは平面視および断面視の双方における釘周囲の残留応力の分布を上記規定のように調整することができることを見出した。
本実施形態では、製造条件1として、冷却ロールユニット120の最下流の冷却ロール(図1に示す例では、第4の冷却ロール124)から離れる時点において、樹脂シート210の全体の温度TSを120〜160℃の範囲内に調整する。温度TSが120℃未満では、残留応力の分布が大きくなる傾向がある。これは、冷却ロールユニット120において樹脂シート210の表面が急激に冷却される傾向が強くなるためと推察される。温度TSが160℃超では、得られる樹脂シートの表面平滑性が低下する傾向がある。
本実施形態では、温度TSが120〜160℃の範囲内となるように、冷却ロールユニット120に用いる冷却ロールの数と各冷却ロールの温度を設定する。冷却ロールの数は、3〜4が好ましい。各冷却ロールの温度は、70〜110℃が好ましい。なお、製造ライン上の樹脂シート210の温度は公知方法にて測定することができ、例えば、樹脂シート210の表面温度を赤外放射温度計等の非接触温度計を用いて測定することができる。
冷却ロールユニット120において、第1の冷却ロール121の周速度をV1とし、第2の冷却ロール122の周速度をV2とし、第3の冷却ロール123の周速度をV3とし、第4の冷却ロール124の周速度をV4とする。一対の引取ロール141、142の周速度をVXとする。樹脂シート210の引取りをスムーズに行うために、通常、VXはV1〜V4に対して同等またはそれ以上に設定される。一対の引取ロール141、142の間を通過中の樹脂シート210の温度は、冷却ロールユニット120を通過中の樹脂シート210の温度より低い。その温度差分の樹脂シート210の熱収縮量を考慮して、VXはV1〜V4に対してわずか低めに設定される場合もある。
本実施形態では、製造条件2として、第2冷却ロール122の周速度V2に対する一対の引取ロール141、142の周速度VXの比(周速度比VR=VX/V2)を0.98〜1.00の範囲内に調整する。本実施形態ではまた、製造条件3として、冷却ロールユニット120と一対の引取ロール141、142との間の第2の製造室R2の環境温度T2を20〜50℃の範囲内に調温する。上記製造条件2、3を充足することで、平面視、好ましくは平面視および断面視の双方における釘周囲の残留応力の分布を上記規定のように調整することができる。
周速度比VR(VX/V2)が1.00を超え、かつ、第2の製造室R2の環境温度T2が20℃未満の場合、流れ方向の残留引張応力が大きくなる傾向がある。これは、以下の理由によると推察される。周速度比VRが1.00超の場合、樹脂シート210に加わる引張応力が大きくなる傾向がある。また、第2の製造室R2内の環境温度T2が20℃未満の場合、第2の製造室R2内を通過する樹脂シート210の温度が環境温度T2と同様に低くなるため、樹脂シート210の熱収縮が大きくなり、流れ方向の引張応力が大きくなる傾向がある。
周速度比VR(VX/V2)が0.98未満の場合、樹脂シート210の表面平滑性が低下する傾向がある。周速度比VRが0.98未満の場合、樹脂シート210が最下流の冷却ロールから剥離する際の位置が変動することによる表面形状ムラが発生する場合がある。なお、この表面形状ムラは一般に、「チャタマーク」と呼ばれる。第2の製造室R2の環境温度T2が50℃超の場合、樹脂シートが効率良く冷却されず、製造効率が良くない傾向がある。
<工程(2)>
樹脂シートの製造方法は、工程(1)(押出成形工程)の後にさらに必要に応じて、得られた樹脂シートに対して、常温(20〜25℃)より高い温度で、かつ、構成樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)未満の温度で加熱する工程(2)を有することができる。工程(2)は例えば、工程(1)(押出成形工程)後に得られた樹脂シート210の両面に保護フィルム220を貼着し、さらに、好ましくは0.5〜5mの長さに切断した後、実施することができる。樹脂シートの切断は、工程(2)の実施後でもよい。工程(2)後の樹脂シートは、低減された残留応力を維持するために、応力の発生しない環境下で冷却(自然冷却を含む)することが好ましい。工程(2)後の樹脂シートは例えば、25〜30℃の環境下で静置状態にて自然冷却することが好ましい。
以上のようにして、板状の樹脂シート210が製造される。
「釘付き樹脂シートの製造方法」
上記製造方法により製造された樹脂シートに対して、のこぎり等を用いて樹脂シートを所定の形状に切断する切断加工、ドリル等を用いて釘打ち用の孔および各種遊技部材の取付用の孔を開ける孔開け加工、および、ルータ等を用いて形状を整える外形加工等が施すことができる。なお、釘打ち用孔は、好ましくは貫通孔である。
以上のようにして、釘付き樹脂シートが製造される。
釘付き樹脂シートは、釘引抜強度の平均値が67kgf以上であることが好ましい。また、釘引抜強度のばらつきが±5kgf以内であることが好ましい。釘引抜強度は、[実施例]の項に記載の方法で、樹脂シートに打ち込まれた釘の3箇所を対象として測定することができる。
以上説明したように、本発明によれば、釘の保持力を安定化することができ、釘抜けおよび釘打ち部分への局所的な応力集中によるクラック発生を抑制することが可能な釘付き樹脂シートを提供することができる。
釘付き樹脂シートの用途としては、弾球遊技機;樹脂サッシおよび目地材等の建材用途等が挙げられる。
本発明に係る実施例および比較例について説明する。
(実施例1)
<アクリル系三層構造粒子(BX−1a)の製造>
還流冷却器付反応器に、イオン交換水145質量部、ステアリン酸ナトリウム(SS)0.45質量部、ラウリルザルコシン酸ナトリウム(LSS)0.08質量部、および炭酸ナトリウム(SC)0.05質量部を投入し、撹拌溶解させた後、メタクリル酸メチル(MMA)32.9質量部、アクリル酸メチル(MA)2.1質量部、および架橋剤としてのメタクリル酸アリル(ALMA)0.07質量部を投入し撹拌しながら80℃に昇温した。次いで2%過硫酸カリウム水溶液1.8質量部を投入し、80℃に昇温し60分間保持することにより、ラテックスを得た。
上記ラテックスの存在下に、2%過硫酸カリウム水溶液2.2質量部を投入し、アクリル酸ブチル(BA)36.99質量部、スチレン(ST)8.01質量部、および架橋剤としてのメタクリル酸アリル(ALMA)0.9質量部からなる単量体混合物を60分かけて連続的に添加し、添加終了後30分間保持した。
次いで上記ラテックス存在下に、2%過硫酸カリウム水溶液1.0質量部を投入し、メタクリル酸メチル(MMA)18.8質量部、アクリル酸メチル(MA)1.2質量部、n−オクチルメルカプタン(n−OM)0.04質量部からなる単量体混合物を30分かけて連続的に添加し、添加終了後60分保持した。
以上のようにして、中心側より、硬質層(第1層)、軟質層(第2層、ゴム層)、および硬質層(第3層)からなり、平均粒子径が0.23μmであるアクリル系三層構造粒子(BX−1a)を40質量%含むラテックスを得た。
得られたアクリル系三層構造粒子(BX−1a)の各層の単量体組成および各層の質量比は、表1に示す通りである。
<原料樹脂組成物の製造>
アクリル系三層構造粒子(BX−1a)の分散用に、90質量部のMMAと10質量部のMAとを乳化重合して得られ、平均粒子径が0.13μmであり、重合度が960である、第1のメタクリル系樹脂(A−1)のラテックスを用意した。
製造例1で得られたアクリル系三層構造粒子(BX−1a)ラテックスと第1のメタクリル系樹脂(A−1)のラテックスとを質量比67:33で混合したラテックスを、公知方法により凝固、ろ過、洗浄、脱水、および乾燥して、第1のメタクリル系樹脂組成物(C−1)を得た。この第1のメタクリル系樹脂組成物(C−1)(耐衝撃性メタクリル系樹脂組成物)のMFR(メルトフローレート)は、1.5g/10分であった。
別途、94質量部のMMAと6質量部のMAとを懸濁重合して得られ、平均粒子径が0.13μmであり、重合度が1550である、粉末状の第2のメタクリル系樹脂(A−2)((株)クラレ社製「パラペット(登録商標) EH」を用意した。この第2のメタクリル系樹脂(A−2)のMFRは、1.3g/10分であった。
(株)クボタ社製のミキサ混合機を用い、上記の第1のメタクリル系樹脂組成物(C−1)と上記の第2のメタクリル系樹脂(A−2)とを質量比43:57で溶融混合して、第2のメタクリル系樹脂組成物(C−2)を得た。この第2のメタクリル系樹脂組成物(C−2)を樹脂シートの原料樹脂組成物として用いた。
第2のメタクリル系樹脂組成物(C−2)中のアクリル系三層構造粒子(BX−1a)の含有量Cは、23質量%であった。
<樹脂シートの製造>
上記で得られた第2のメタクリル系樹脂組成物(C−2)を用い、図1に示したような製造装置を用い、シート厚tが10mmであるメタクリル系樹脂シートを押出成形した。なお、押出成形手段110としては、東芝機械(株)社製の150mmφ一軸押出機を用いた。第2の冷却ロール122および第4の冷却ロール124の温度を調整することで、最下流の冷却ロール(この例では、第4の冷却ロール124)から離れる時点におけるメタクリル系樹脂シートの全体の温度TSを140℃に調整した。第2の製造室R2の環境温度(冷却ロールユニットと一対の引取ロールとの間の環境温度)T2は、25℃とした。第2冷却ロール122の周速度V2に対する一対の引取ロール141、142の周速度VXの比(周速度比VR=VX/V2)は1.00とした。
TEMを用いて、得られた樹脂シートの断面を観察したところ、シート中のアクリル系三層構造粒子(BX−1a)の平均粒子径は0.21μmであった。
主な製造条件を表2に示す。
表2中の各略号は、以下の通りである。
C:原料樹脂組成物中のアクリル系三層構造粒子(BX−1a)の含有量、
t(mm):製造された樹脂シートの厚さ、
TS:最下流の冷却ロールから離れる時点における、樹脂シートの全体の温度、
VR:第2冷却ロール122の周速度V2に対する一対の引取ロール141、142の周速度VXの比(周速度比、VX/V2)、
T2:第2の製造室R2の環境温度(冷却ロールユニットと一対の引取ロールとの間の環境温度)。
<釘付き樹脂シートの製造>
押出成形により得られたメタクリル系樹脂シートを切断し、NCルータを用いて切削加工し、ボール盤を用いて孔開け加工することで、弾球遊技用樹脂シートを得た。孔開け加工の工程では、1.73mmφ径のドリルを用いて、樹脂シートに対して10mm間隔で3個の貫通孔H1〜H3を形成した。得られた弾球遊技用樹脂シートの各貫通孔に対して、(株)島津製作所製「オートグラフAG−2000B」を用い、500mm/minのスピードで、真鍮製ネジリ釘丸先(1.85mmφ径、釘頭を除いた部分の長さ26.5mm、ネジ部の長さ5.5mm)をシート厚の深さ分だけ打ち込んだ。以下、3個の貫通孔H1〜H3にそれぞれ打ち込まれた釘を、符号A〜Cで表記する。
(実施例2)
アクリル系三層構造粒子(BX−1a)30質量部、メタクリル酸メチル(MMA)70質量部、およびアゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を混合して、シラップを得た。このシラップを脱泡し、キャスト成形用の鋳型の内部に注入した。縦1000mm×横1500mm×厚さ12mmの2枚のガラス板が塩化ビニル製ガスケットを挟持して対向配置された鋳型を用いた。シラップを注入した鋳型を60℃のウォーターバスに4時間浸漬させて一次加熱(前重合)した後、120℃にセットされた熱風炉内で2時間二次加熱(後重合)して、縦1000mm×横1500mm×厚さ10mmの板状のメタクリル系樹脂シートを得た。得られたメタクリル系樹脂シートに対して、実施例1と同様の加工を実施して、釘付き樹脂シートを得た。
(実施例3)
特許第5274840号公報(特表第2008−523191号公報)の実施例1に記載の方法に準拠して、アクリル系ゴム(B)としてブロック共重合体を含むキャスト成形用シラップを得た。上記シラップを脱泡し、キャスト成形用の鋳型(実施例2と同じ鋳型)の内部に注入した。シラップを注入した鋳型を60℃のウォーターバスに6時間浸漬させて一次加熱(前重合)した後、120℃にセットされた熱風炉内で2時間二次加熱(後重合)して、縦1000mm×横1500mm×厚さ10mmの板状のメタクリル系樹脂シートを得た。得られたメタクリル系樹脂シートに対して、実施例1と同様の加工を実施して、釘付き樹脂シートを得た。
(実施例1〜3の評価)
実施例1〜3の各例において得られた釘付き樹脂シートについて、以下の評価を実施した。評価結果の概要を表3に示しておく。
<平面視での残留応力分布の観察>
東芝硝子(株)社製「東芝歪検査器SVP−10−II」を用い、鋭敏色板法により釘周囲の応力分布を示す光学縞を、釘の頭が見える方向から観察した。実施例1〜3の釘付き樹脂シートでは、釘A〜Cのいずれについても、釘の中心軸を中心に90°間隔で4方向に同様形状の花弁状の光学縞(明暗部)が観察され、釘の中心軸を中心として180°回転させても観察像がほとんど変化しないことから、釘の中心軸を中心に点対称かつ線対称に応力が分布していることが確認された(図2参照)。また、釘の中心軸を中心として90°回転させても観察像がほとんど変化しなかった。色と応力との相関関係を示す比較図を参照して求めたところ、観察像をなす各明暗部における最大部と最小部の面積比は2未満であった。色と応力との相関関係を示す比較図より残留応力を算出したところ、各釘周囲の残留応力は230〜370kg/cmであった。釘のない部分は均一な赤紫色で光学縞が観察されないことから、シート自体の残留応力が非常に小さいことが確認された。
<断面視での残留応力分布の観察>
東芝硝子(株)社製「東芝歪検査器SVP−10−II」を用い、鋭敏色板法により釘の深さ方向の応力分布を示す光学縞を観察した。実施例1〜3の釘付き樹脂シートでは、釘A〜Cのいずれについても、シートの厚さ方向の中心点を中心に90°間隔で4方向に図2と類似した形状の花弁状の光学縞が観察され、厚さ方向の中心点を中心として180°回転させても観察像がほとんど変化しないことから、厚さ方向の中心点を中心として点対称かつ線対称に応力が分布していることが確認された。また、厚さ方向の中心点を中心として90°回転させても観察像がほとんど変化しなかった。色と応力との相関関係を示す比較図を参照して求めたところ、観察像をなす各明暗部における最大部と最小部の面積比は2未満であった。色と応力との相関関係を示す比較図より残留応力を算出したところ、各釘周囲の残留応力は230〜370kg/cmであった。釘のない部分は均一な赤紫色で光学縞が観察されないことから、シート自体の残留応力が非常に小さいことが確認された。
<釘引抜強度の測定>
(株)島津製作所社製オートグラフ「AG−2000B」を用い、樹脂シートに打ち込まれた釘A〜Cの釘頭をチャックで把持し、毎分25mmの速度で引き抜いた時の最大荷重を測定し、最大荷重の平均値を引抜強度とした。実施例1〜3ではいずれも、釘引抜強度は、平均値が70kgf、ばらつきが±3kgf以内であった。
(実施例4)
ポリメタクリル酸メチルとアクリル系三層構造粒子とを含有するメタクリル系樹脂((株)クラレ社製「パラペットGR00100」)を用い、シリンダ温度250℃、金型温度60℃の条件で射出成形を実施して、板状のメタクリル系樹脂シート(シート厚tが10mm)を得た。得られたメタクリル系樹脂シートに対して、実施例1と同様の加工を実施して、釘付き樹脂シートを得た。
(実施例4の評価)
実施例4で得られた釘付き樹脂シートについて、実施例1〜3と同様の評価を実施した。評価結果の概要を表3に示しておく。
<平面視での残留応力分布の観察>
実施例4においても、平面観察では、実施例1〜3と同様の結果が得られた。釘A〜Cのいずれについても、釘の中心軸を中心に90°間隔で4方向に同様形状の花弁状の光学縞(明暗部)が観察され、釘の中心軸を中心として180°回転させても観察像がほとんど変化しないことから、釘の中心軸を中心に点対称かつ線対称に応力が分布していることが確認された。観察像をなす各明暗部における最大部と最小部の面積比は2未満であった。各釘周囲の残留応力は230〜370kg/cmであった。釘のない部分は均一な赤紫色で光学縞が観察されないことから、シート自体の残留応力が非常に小さいことが確認された。
<断面視での残留応力分布の観察>
実施例4では、いずれの釘の周囲も厚さ方向に対してほぼ平行な光学縞が観察され、実施例1〜3で観察されたような4方向の花弁状の光学縞は明瞭に観察されなかった。いずれの釘の周囲についても、表層部の残留応力は400kg/cm程度と高く、中心部の残留応力は約100kg/cm以下と高く、残留応力の分布が見られた。なお、400kg/cm程度の高い残留応力部分の厚さは、約1mmであった。
<釘引抜強度の測定>
釘引抜強度は、平均値が67kgf、ばらつきが±6kgfであった。
(比較例1)
樹脂シートの製造条件のパラメータC、t、TS、VR、T2を表2に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして、メタクリル系樹脂シートを得た。得られたメタクリル系樹脂シートに対して、実施例1と同様の加工を実施して、釘付き樹脂シートを得た。
(比較例1の評価)
比較例1で得られた釘付き樹脂シートについて、実施例1〜3と同様の評価を実施した。評価結果の概要を表3に示しておく。
<平面視での残留応力分布の観察>
比較例1においては、釘A〜Cのいずれについても、釘の中心軸を中心に90°間隔で4方向に花弁状の光学縞(明暗部)が観察されたが、実施例1〜4と異なり、花弁状の光学縞の形状と大きさは異なるものであった。釘の中心軸を中心として180°回転させても観察像がほとんど変化せず点対称であったが、90°回転させると観察像も変化することが確認された。また、2つの花弁状の長軸に略45°の角度をなす軸に対して反転させても花弁状の明暗部像が重ならないことから線対称に応力が分布していないことが確認された(図3参照)。観察像をなす各明暗部の最大部と最小部との面積比は2以上であった。各釘周囲の残留応力は210〜390kg/cmであった。釘のない部分も極薄い光学縞が観察され、100kg/cm程度の残留応力が確認された。
<断面視での残留応力分布の観察>
比較例1では、釘A〜Cのいずれについても、釘の中心軸を中心に90°間隔で4方向に花弁状の光学縞(明暗部)が観察されたが、実施例1〜4と異なり、花弁状の光学縞の形状と大きさは異なるものであった。シートの厚さ方向の中心点を中心として180°回転させても観察像がほとんど変化せず点対称であったが、90°回転させると観察像も変化することが確認された。また、2つの花弁状の長軸に略45°の角度をなす軸に対して反転させても花弁状の明暗部像が重ならないことから線対称に応力が分布していないことが確認された。観察像をなす各明暗部の最大部と最小部との面積比は2以上であった。各釘周囲の残留応力は210〜390kg/cmであった。釘のない部分も極薄い光学縞が観察され、場所によっては100kg/cm程度の残留応力が確認された。
<釘引抜強度の測定>
釘A〜Cの引抜強度は、平均値が65kgf、ばらつきが±15kgfであった。
Figure 2018082991
Figure 2018082991
Figure 2018082991
本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、適宜設計変更が可能である。
1 製造装置
110 押出成形手段
111 原料投入部
112 スクリュー部
113 Tダイ
113A 吐出口
120 冷却ロールユニット
121 第1の冷却ロール
122 第2の冷却ロール
123 第3の冷却ロール
124 第4の冷却ロール
130 保護フィルム貼着手段
131、132 保護フィルムロール
140 引取手段
141、142 引取ロール
210 樹脂シート
210M 樹脂組成物
220 保護フィルム
R1 第1の製造室
R2 第2の製造室

Claims (9)

  1. 少なくとも1種の熱可塑性樹脂を50質量%以上含有する樹脂組成物からなり、厚さが5〜20mmであり、厚さ方向に延びる釘打ち用孔が形成された樹脂シートと、前記釘打ち用孔内に打ち込まれた釘とを有する釘付き樹脂シートであって、
    平面視にて、前記釘の中心軸を中心に残留応力が略点対称かつ略線対称に分布している、釘付き樹脂シート。
  2. さらに断面視にて、釘打ち箇所の前記樹脂シートの厚さ方向の中心点または当該中心点の近傍点を中心に残留応力が略点対称かつ略線対称に分布している、請求項1に記載の釘付き樹脂シート。
  3. 前記熱可塑性樹脂がメタクリル系樹脂(A)および/またはポリカーボネート系樹脂である、請求項1または2に記載の釘付き樹脂シート。
  4. 前記樹脂組成物はさらにアクリル系ゴム(B)を含む、請求項3に記載の釘付き樹脂シート。
  5. 前記アクリル系ゴム(B)は少なくとも1層のゴム層を含む多層構造粒子である、請求項4に記載の釘付き樹脂シート。
  6. 前記樹脂組成物中のアクリル系ゴム(B)の含有量が15〜30質量%である、請求項5に記載の釘付き樹脂シート。
  7. 前記樹脂シートは、押出成形シート、キャスト成形シート、または射出成形シートである、請求項1〜6のいずれかに記載の釘付き樹脂シート。
  8. 前記樹脂シートは押出成形シートである、請求項7に記載の釘付き樹脂シート。
  9. 請求項8の釘付き樹脂シートの製造方法であって、前記樹脂シートの製造工程において、
    前記樹脂組成物を加熱溶融し、シート状に押出す押出成形手段と、
    互いに隣接して配置され、前記押出成形手段により押出された溶融状態のシートを加圧しながら冷却する複数の冷却ロールからなる冷却ロールユニットと、
    互いに対向して上下に配置され、製造された前記樹脂シートを引き取る力を発現する一対の引取ロールとを備えた製造装置を用い、
    前記冷却ロールユニットの前記複数の冷却ロールのうち最下流の冷却ロールから離れる時点における、前記樹脂シートの全体の温度を120〜160℃の範囲内に調整し、
    前記冷却ロールユニットの前記複数の冷却ロールのうち、上流側から2番目に位置する第2の冷却ロールの周速度をV2とし、前記一対の引取ロールの周速度をVXとしたとき、前記第2冷却ロールの周速度V2に対する前記一対の引取ロールの周速度VXの比(VX/V2)を0.98〜1.00の範囲内に調整し、
    前記冷却ロールユニットと前記一対の引取ロールとの間において、前記樹脂シートを20〜50℃の範囲内に調温された環境内を通過させて徐冷する、製造方法。
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