以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1〜図3を参照して、本実施形態に係る積層コイル部品1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る積層コイル部品を示す斜視図である。図2は、図1におけるII−II線に沿った断面図である。図3は、内部導体の構成を示す斜視図である。本実施形態は、電子部品として積層コイル部品1を例として説明される。
図1に示されるように、積層コイル部品1は、直方体形状の素体2と、一対の端子電極4,5と、を備えている。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状と、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状とが含まれる。積層コイル部品1は、たとえば、ビーズインダクタ又はパワーインダクタに適用できる。
素体2は、直方体形状を呈している。素体2は、その表面として、互いに対向する一対の端面2a,2bと、互いに対向する一対の主面2c,2dと、互いに対向する一対の側面2e,2fと、を有している。端面2a,2bは、一対の主面2c,2dと隣り合うように位置している。端面2a,2bは、一対の側面2e,2fとも隣り合うように位置している。主面2cは、たとえば積層コイル部品1を図示しない電子機器(たとえば、回路基板、又は、他の電子部品)に実装する際に、電子機器と対向する面(実装面)とされる。
本実施形態では、一対の端面2a,2bが対向する方向(第一方向D1)が素体2の長さ方向である。一対の主面2c,2dが対向する方向(第二方向D2)が素体2の高さ方向である。一対の側面2e,2fが対向する方向(第三方向D3)が素体2の幅方向である。第一方向D1と第二方向D2と第三方向D3とは、互いに直交している。
素体2の第一方向D1の長さは、素体2の第二方向D2の長さ及び素体2の第三方向D3の長さよりも長い。素体2の第二方向D2の長さと素体2の第三方向D3の長さとは、同等である。すなわち、本実施形態では、一対の端面2a,2bは正方形状を呈し、一対の主面2c,2dと一対の側面2e,2fとは、長方形状を呈している。素体2の第一方向D1の長さは、素体2の第二方向D2の長さ及び素体2の第三方向D3の長さと同等であってもよい。素体2の第二方向D2の長さと素体2の第三方向D3の長さとは、異なっていてもよい。
同等とは、等しいことに加えて、予め設定した範囲での微差又は製造誤差などを含んだ値を同等としてもよい。たとえば、複数の値が、当該複数の値の平均値の±5%の範囲内に含まれているのであれば、当該複数の値は同等であると規定する。
端面2a,2bは、一対の主面2c,2dを連結するように第二方向D2に延在している。端面2a,2bは、一対の側面2e,2fを連結するように第三方向D3にも延在している。主面2c,2dは、一対の端面2a,2bを連結するように第一方向D1に延在している。主面2c,2dは、一対の側面2e,2fを連結するように第三方向D3にも延在している。側面2e,2fは、一対の主面2c,2dを連結するように第二方向D2に延在している。側面2e,2fは、一対の端面2a,2bを連結するように第一方向D1にも延在している。
素体2は、複数の絶縁体層6(図3参照)が積層されることによって構成されている。各絶縁体層は6、主面2cと主面2dとが対向する方向に積層されている。すなわち、各絶縁体層6の積層方向は、主面2cと主面2dとが対向する方向と一致している。以下、主面2cと主面2dとが対向する方向を「積層方向」ともいう。各絶縁体層6は、略矩形形状を呈している。実際の素体2では、各絶縁体層6は、その層間の境界が視認できない程度に一体化されている。
各絶縁体層6は、フェライト材料(たとえば、Ni−Cu−Zn系フェライト材料、Ni−Cu−Zn−Mg系フェライト材料、又はNi−Cu系フェライト材料)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。すなわち、素体2は、フェライト焼結体からなる。
図2及び図3に示されるように、積層コイル部品1は、内部導体として、複数のコイル導体16a,16b,16c,16d,16e,16fと、一対の接続導体17,18と、複数のスルーホール導体19a,19b,19c,19d,19eと、を更に備えている。複数のコイル導体16a〜16fは、素体2の内部でコイル15を構成している。複数のコイル導体16a〜16fは、導電材(たとえば、Ag又はPd)を含んでいる。複数のコイル導体16a〜16fは、導電性材料(たとえば、Ag粉末又はPd粉末)を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
接続導体17は、コイル導体16aに接続されている。接続導体17は、素体2の端面2b側に配置されている。接続導体17は、端面2bに露出している端部17aを有している。端部17aは、端面2bに直交する方向から見て、端面2bの中央部よりも主面2c寄りの位置に露出している。端部17aは、端子電極5に接続されている。すなわち、コイル導体16aは、接続導体17を通して、端子電極5と電気的に接続されている。本実施形態においては、コイル導体16aの導体パターンと接続導体17の導体パターンとは、一体に連続して形成されている。
接続導体18は、コイル導体16fに接続されている。接続導体18は、素体2の端面2a側に配置されている。接続導体18は、端面2aに露出している端部18aを有している。端部18aは、端面2aに直交する方向から見て、端面2aの中央部よりも主面2d寄りの位置に露出している。端部18aは、端子電極4に接続されている。すなわち、コイル導体16fは、接続導体18を通して、端子電極4と電気的に接続されている。本実施形態においては、コイル導体16fの導体パターンと接続導体18の導体パターンとは、一体に連続して形成される。
複数のコイル導体16a〜16fは、素体2内において絶縁体層6の積層方向に併置されている。複数のコイル導体16a〜16fは、主面2cに近い側からコイル導体16a、コイル導体16b、コイル導体16c、コイル導体16d、コイル導体16e、コイル導体16fの順に並んでいる。
スルーホール導体19a〜19eは、コイル導体16a〜16fの端部同士を接続している。コイル導体16a〜16fは、スルーホール導体19a〜19eにより相互に電気的に接続されている。コイル15は、複数のコイル導体16a〜16fが電気的に接続されて構成されている。各スルーホール導体19a〜19eは、導電材(たとえば、Ag又はPd)を含んでいる。各スルーホール導体19a〜19eは、複数のコイル導体16a〜16fと同様に、導電性材料(たとえば、Ag粉末又はPd粉末)を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
複数のスルーホール導体19a〜19eは、素体2内において絶縁体層6の積層方向に併置されている。複数のスルーホール導体19a〜19eは、主面2cに近い側からスルーホール導体19a、スルーホール導体19b、スルーホール導体19c、スルーホール導体19d、スルーホール導体19eの順に並んでいる。
図1及び図2に示されるように、一対の端子電極4,5は、一対の端面2a,2b側に配置され、第一方向D1で互いに離間している。端子電極4は、素体2における第一方向D1の端面2a側の端部に位置している。端子電極4は、端面2aに位置している電極部分4a、一対の主面2c,2dに位置している一対の電極部分4b、及び一対の側面2e,2fに位置している一対の電極部分4cを有している。すなわち、端子電極4は、五つの面2a,2c,2d,2e,2fに配置されている。
互いに隣り合う電極部分4a,4b,4c同士は、素体2の稜線部において接続されており、電気的に接続されている。電極部分4aと各電極部分4bとは、端面2aと各主面2c,2dとの間の稜線部において、接続されている。電極部分4aと各電極部分4cとは、端面2aと各側面2e,2fとの間の稜線部において、接続されている。
電極部分4aは、端部18aをすべて覆うように配置されており、接続導体18は、端子電極4に直接的に接続される。すなわち、接続導体18は、コイル導体16a(コイル15の一端)と電極部分4aとを接続している。これにより、コイル15は、端子電極4に電気的に接続される。
端子電極5は、素体2における第一方向D1の端面2b側の端部に位置している。端子電極5は、端面2bに位置している電極部分5a、一対の主面2c,2dに位置している一対の電極部分5b、及び一対の側面2e,2fに位置している一対の電極部分5cを有している。すなわち、端子電極5は、五つの面2b,2c,2d,2e,2fに配置されている。
互いに隣り合う電極部分5a,5b,5c同士は、素体2の稜線部において接続されており、電気的に接続されている。電極部分5aと各電極部分5bとは、端面2bと各主面2c,2dとの間の稜線部において、接続されている。電極部分5aと各電極部分5cとは、端面2bと各側面2e,2fとの間の稜線部において、接続されている。
電極部分5aは、端部17aをすべて覆うように配置されており、接続導体17は、端子電極5に直接的に接続される。すなわち、接続導体17は、コイル導体16f(コイル15の他端)と電極部分5aとを接続している。これにより、コイル15は、端子電極5に電気的に接続される。
一対の端子電極4,5のそれぞれは、第一電極層21、第二電極層23、第三電極層25、及び第四電極層27を有している。本実施形態では、電極部分4a,4b,4c及び電極部分5a,5b,5cのそれぞれは、第一電極層21、第二電極層23、第三電極層25、及び第四電極層27を含んでいる。言い換えると、第一電極層21、第二電極層23、第三電極層25、及び第四電極層27のそれぞれは、一対の端面2a,2b、一対の主面2c,2d、及び一対の側面2e,2fに配置されている。第四電極層27は、端子電極4,5の最外層を構成している。
第一電極層21は、たとえば浸漬(ディップ)工法によって導電性ペーストを素体2の表面に付着させた後、所定温度(たとえば700度程度)にて焼き付けることにより形成されている。第一電極層21は、導電性ペーストに含まれる金属成分(金属粉末)が焼結して形成された焼結金属層である。第一電極層21は、第二電極層23を形成するための下地金属層であって、一対の端面2a,2bと主面2cとに少なくとも配置されている。上述のように、本実施形態では、第一電極層21は、一対の端面2a,2b、一対の主面2c,2d、及び一対の側面2e,2fに配置されている。
本実施形態では、第一電極層21は、Agからなる焼結金属層である。第一電極層21は、Pdからなる焼結金属層であってもよい。このように、第一電極層21は、Ag又はPdを含んでいる。導電性ペーストには、Ag又はPdからなる粉末に、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を混合したものが用いられている。
第二電極層23は、主面2cにおける第一電極層21の端縁21aをすべて覆うように配置されている。本実施形態では、第二電極層23は、第一電極層21全体を覆うように配置されている。つまり、第二電極層23は、電極部分4a,4b,4c及び電極部分5a,5b,5cのそれぞれが含む第一電極層21をすべて覆うように配置されている。第二電極層23は、たとえば浸漬工法によって導電性ペーストを第一電極層21及び素体2の表面に付着させた後、導電性樹脂を硬化させることにより形成されている。
第二電極層23は、第一電極層21上に形成された導電性樹脂層である。導電性樹脂には、熱硬化性樹脂に金属粉末及び有機溶媒などを混合したものが用いられる。金属粉末としては、たとえば、Ag粉末が用いられる。熱硬化性樹脂としては、たとえば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂が用いられる。
第三電極層25は、第二電極層23上にめっき法により形成されている。本実施形態では、第三電極層25は、第二電極層23上にNiめっきにより形成されたNiめっき層である。第三電極層25は、Snめっき層、Cuめっき層、又はAuめっき層であってもよい。このように、第三電極層25は、Ni、Sn、Cu、又はAuを含んでいる。
第四電極層27は、第三電極層25上にめっき法により形成されている。本実施形態では、第四電極層27は、第三電極層25上にSnめっきにより形成されたSnめっき層である。第四電極層27は、Cuめっき層又はAuめっき層であってもよい。このように、第四電極層27は、Sn、Cu、又はAuを含んでいる。第三電極層25と第四電極層27とは、第二電極層23に形成されるめっき層を構成している。すなわち、本実施形態では、第二電極層23に形成されるめっき層は、二層構造を有している。
次に、図4を参照して、主面2cにおける第一電極層21及び第二電極層23の形状について詳細に説明する。図4は、積層コイル部品を実装面側から見た平面図である。本実施形態では、一対の端子電極4,5の形状は同等である。このため、一例として端子電極4の第一電極層21及び第二電極層23の形状に基づき、以下の説明を行う。なお、図4では、第三電極層25及び第四電極層27の図示が省略されている。
図4に示されるように、主面2cにおける第一電極層21の端縁21aは、第二方向D2から見て、第三方向D3の中央部で突出するように湾曲している。主面2cにおける第一電極層21の第一方向D1の長さ(すなわち、端面2aから端縁21aまでの第一方向D1の長さ)を第一電極長とすると、第三方向D3の端部における第一電極長は、第三方向D3の中央部における第一電極長よりも短い。第一電極長は、第三方向D3の端部で最も短く、中央部で最も長い。なお、素体2の角部及び稜線部が面取りされている場合、又は角部及び稜線部が丸められている場合は、端面2aを含む仮想的な平面から端縁21aまでの第一方向D1の長さを第一電極長とする。
第一電極長は、主面2cの第三方向D3の端部から中央部に向かって、単調増加している。第一電極長は、たとえば、素体2を導電性ペーストに浸漬した際の導電性ペーストののぼり量によって調整されている。導電性ペーストののぼり量とは、導電性ペーストが素体2の表面を伝って液面から上昇する長さである。なお、単調増加とは減少傾向とならないことを意味し、広義の単調増加を意味する。
主面2cにおける第二電極層23の端縁23aは、第二方向D2(図1参照)から見て、主面2cの第三方向D3の中央部で突出するように湾曲している。主面2cにおける第二電極層23の第一方向D1の長さ(すなわち、端面2aから端縁23aまでの第一方向D1の長さ)を第二電極長とすると、第三方向D3の端部における第二電極長は、第三方向D3の中央部における第二電極長よりも短い。第二電極長は、第三方向D3の端部で最も短く、中央部で最も長い。なお、素体2の角部及び稜線部が面取りされている場合、又は角部及び稜線部が丸められている場合は、端面2aを含む仮想的な平面から端縁23aまでの第一方向D1の長さを第二電極長とする。
第二電極長は、第三方向D3の端部から中央部に向かって、単調増加している。第二電極長は、たとえば、素体2をペースト状の導電性樹脂に浸漬した際の導電性樹脂ののぼり量によって調整されている。導電性樹脂ののぼり量とは、導電性樹脂が第一電極層21及び素体2の表面を伝って液面から上昇する長さである。
端縁23aと端縁21aとの第一方向D1における離間距離は、第二電極長と第一電極長との差に等しい。以下、端縁23aと端縁21aとの第一方向D1における離間距離を単に「離間距離」ともいう。主面2cの第三方向D3の端部における離間距離をL1とし、主面2cの第三方向D3の中央部における離間距離をL2とすると、L1はL2よりも長い。離間距離は、主面2cの第三方向D3の端部から中央部に向って、単調減少している。すなわち、離間距離の最大値はL1であり、最小値はL2である。
本実施形態では、主面2d及び一対の側面2e,2fにおける第一電極層21及び第二電極層23の形状は、上述した主面2cにおける第一電極層21及び第二電極層23の形状と同等である。
次に、コイル導体16a〜16f及び一対の接続導体17,18と第一電極層21との関係について説明する。
主面2cにおける第一電極層21は、第二方向D2(図1参照)から見て、コイル15を構成するコイル導体16a〜16fから離間している。すなわち、主面2cにおける第一電極層21は、第二方向D2から見て、コイル導体16a〜16fと重なっていない。主面2cにおける第一電極層21は、第二方向D2から見て、一対の接続導体17,18と重なっている。
図示を省略するが、主面2dにおける第一電極層21は、第二方向D2から見て、コイル導体16a〜16fから離間している。すなわち、主面2dにおける第一電極層21は、第二方向D2から見て、コイル導体16a〜16fと重なっていない。主面2cにおける第一電極層21は、第二方向D2から見て、一対の接続導体17,18と重なっている。言い換えると、電極部分4b及び電極部分5bが含む第一電極層21は、第二方向D2から見て、コイル導体16a〜16fから離間すると共に、一対の接続導体17,18と重なっている。
同じく図示を省略するが、一対の側面2e,2fにおける第一電極層21は、第三方向D3から見て、コイル導体16a〜16fから離間している。すなわち、一対の側面2e,2fにおける第一電極層21は、第三方向D3から見て、コイル導体16a〜16fと重なっていない。一対の側面2e,2fにおける第一電極層21は、第三方向D3から見て、一対の接続導体17,18と重なっている。言い換えると、電極部分4c及び電極部分5cが含む第一電極層21は、第三方向D3から見て、コイル導体16a〜16fから離間すると共に、一対の接続導体17,18と重なっている。
以上説明したように、積層コイル部品1では、第二電極層23が主面2cにおける第一電極層21の端縁21aをすべて覆うように配置されている。このため、主面2cにおける第一電極層21の端縁21aに対する衝撃が第二電極層23により吸収される。積層コイル部品1が電子機器に実装された場合、電子機器の撓みに起因する応力は、実装面となる主面2cの第三方向D3の端部における第一電極層21の端縁21aに集中する傾向がある。本実施形態では、主面2cにおける第二電極層23の端縁23aと第一電極層21の端縁21aとの第一方向D1における離間距離は、主面2cの第三方向D3の中央部よりも端部で長くなっている(L1>L2)。つまり、主面2cにおいて、第二電極層23が第一電極層21に対して余分に設けられる部分の第一方向D1の長さは、第三方向D3の中央部よりも端部で長くなっている。これにより、素体2におけるクラックの発生を更に抑制可能となる。
積層コイル部品1では、主面2cの第三方向D3の端部における第一電極長は、主面2cの第三方向D3の中央部における第一電極長よりも短い。このため、素体2においてクラックの起点となる主面2cの第三方向D3の端部における第一電極層21の端縁21aを、端面2a,2b側の角部に近づけることができる。端面2a,2b側の角部には、電子機器の撓みに起因する応力が加わり難い。この結果、素体2におけるクラックの発生を一層抑制可能となる。
第一電極層21は、第二電極層23を形成するための下地金属層であって、第一電極層21の面積が大きいほど、第二電極層23の剥離を抑制することができる。積層コイル部品1では、第一電極長が主面2cの第三方向D3の中央部で長い。したがって、第一電極層21の面積が主面2cの第三方向D3の中央部で大きく保たれる。これにより、第二電極層23の剥離を抑制しながら、第二電極層23が第一電極層21に対して余分に設けられる部分の第一方向D1の長さが主面2cの第三方向D3の中央部よりも端部で長くなる構成を容易に実現できる。
主面2cにおける第一電極層21の端縁21aは、第二方向D2から見て、第三方向D3の中央で突出するように湾曲している。主面2cにおける第一電極層21の端縁21aは、湾曲している分、直線状である場合に比べて長くなる。これにより、クラックの原因となる応力を分散させることができる。
積層コイル部品1において、主面2cにおける第二電極層23の端縁23aは、湾曲している。このため、主面2cにおける第二電極層23の端縁23aは、直線状である場合に比べて長くなる。これにより、主面2cにおける第二電極層23の端縁23aに集中する応力が分散されるので、第二電極層23の端縁23aが起点となって、素体2にクラックが発生することを抑制可能となる。
積層コイル部品1は、素体2の内部でコイル15を構成するコイル導体16a〜16fを更に備えている。主面2cにおける第一電極層21は、第二方向D2から見て、コイル導体16a〜16fから離間している。このため、仮に主面2cの第三方向D3の端部における第一電極層21の端縁21aが起点となって素体2にクラックが発生したとしても、当該クラックによる影響がコイル導体16a〜16fに及び難い。したがって、コイル15の電気的特性の劣化が抑制される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
たとえば、主面2cにおける第一電極層21及び第二電極層23の形状は、L1>L2の関係が満たされていればよく、上述の形状に限られない。
図5は、第一変形例に係る積層コイル部品の平面図である。図5に示されるように、第一変形例に係る積層コイル部品1Aは、第二電極層23の形状の点で、積層コイル部品1と相違し、その他の点で積層コイル部品1と一致している。なお、図5では、第三電極層25及び第四電極層27の図示が省略されている。積層コイル部品1Aでは、主面2cにおける第二電極層23の端縁23aは、第二方向D2(図1参照)から見て、湾曲せず直線状を呈している。つまり、第二電極長は、主面2cの第三方向D3の位置によらず一定である。
積層コイル部品1Aにおいても積層コイル部品1と同様に、L1>L2であるため、素体2におけるクラックの発生を更に抑制可能となる。積層コイル部品1Aでは、主面2cにおける第二電極層23の端縁23aは、第二方向D2から見て、直線状を呈し、第二電極長は一定である。このため、積層コイル部品1Aでは、主面2cの第三方向D3の端部における第一電極長が、主面2cの第三方向D3の中央部における第一電極長よりも短い積層コイル部品1と比べて、L1を長くし易い。この結果、積層コイル部品1Aでは、積層コイル部品1と比べて、主面2cの第三方向D3の端部における第一電極層21の端縁21aが第二電極層23によって保護され易く、素体2におけるクラックの発生が更に抑制され易い。
図6は、第二変形例に係る積層コイル部品の平面図である。図6に示されるように、第二変形例に係る積層コイル部品1Bは、第二電極層23の形状の点で、積層コイル部品1と相違し、その他の点で積層コイル部品1と一致している。なお、図6では、第三電極層25及び第四電極層27の図示が省略されている。積層コイル部品1Bでは、主面2cにおける第二電極層23の端縁23aは、第二方向D2から見て、主面2cの第三方向D3の中央部で凹むように湾曲している。第三方向D3の端部における第二電極長は、第三方向D3の中央部における第二電極長よりも長い。第二電極長は、主面2cの第三方向D3の端部で最も長く、中央部で最も短い。第二電極長は、第三方向D3の端部から中央部に向かって、単調減少している。なお、単調減少とは増加傾向とならないことを意味し、広義の単調減少を意味する。
積層コイル部品1Bにおいても積層コイル部品1と同様に、L1>L2であるため、素体2におけるクラックの発生を更に抑制可能となる。積層コイル部品1Bでは、主面2cにおける第二電極層23の端縁23aは、第二方向D2から見て、主面2cの第三方向D3の中央部で凹むように湾曲し、第三方向D3の端部における第二電極長は、第三方向D3の中央部における第二電極長よりも長い。このため、積層コイル部品1Bでは、積層コイル部品1と比べて、L1を長くし易い。積層コイル部品1Bでは、積層コイル部品1Aと比べても、L1を長くし易い。この結果、積層コイル部品1Bでは、積層コイル部品1及び積層コイル部品1Aと比べて、主面2cの第三方向D3の端部における第一電極層21の端縁23aが第二電極層23によって保護され易く、素体2におけるクラックの発生が更に抑制され易い。
図7は、第三変形例に係る積層コイル部品の平面図である。図7に示されるように、第三変形例に係る積層コイル部品1Cは、第一電極層21及び第二電極層23の形状の点で、積層コイル部品1と相違し、その他の点で積層コイル部品1と一致している。なお、図7では、第三電極層25及び第四電極層27の図示が省略されている。積層コイル部品1Cでは、主面2cにおける第一電極層21の端縁21aは、第二方向D2から見て、湾曲せず直線状を呈している。つまり、第一電極長は、主面2cの第三方向D3の位置によらず一定である。また、主面2cにおける第二電極層23の端縁23aは、第二方向D2から見て、主面2cの第三方向D3の中央部で凹むように湾曲している。第三方向D3の端部における第二電極長は、第三方向D3の中央部における第二電極長よりも長い。第二電極長は、主面2cの第三方向D3の端部で最も長く、中央部で最も短い。第二電極長は、第三方向D3の端部から中央部に向かって、単調減少している。
積層コイル部品1Cにおいても積層コイル部品1と同様に、L1>L2であるため、素体2におけるクラックの発生を更に抑制可能となる。積層コイル部品1Cでは、主面2cにおける第二電極層23の端縁23aは、第二方向D2から見て、主面2cの第三方向D3の中央部で凹むように湾曲し、第三方向D3の端部における第二電極長は、第三方向D3の中央部における第二電極長よりも長い。このため、積層コイル部品1Cでは、積層コイル部品1Bと同様に、積層コイル部品1及び積層コイル部品1Aと比べて、L1を長くし易い。この結果、積層コイル部品1Cでは、積層コイル部品1及び積層コイル部品1Aと比べて、主面2cの第三方向D3の端部における第一電極層21の端縁21aが第二電極層23によって保護され易く、素体2におけるクラックの発生が更に抑制され易い。
積層コイル部品1,1A,1B,1Cでは、主面2c,2d及び側面2e,2fにおける第一電極層21及び第二電極層23の形状は同等であるが、これに限られない。これらの形状は、異なっていてもよく、少なくとも主面2cにおいて、L1>L2の関係が満たされていればよい。
一対の端子電極4,5は、めっき層として、第三電極層25及び第四電極層27を有している、すなわち、めっき層が複数層のめっき層により構成されているが、これに限られない。めっき層は、一層のめっき層で構成されていてもよい。また、一対の端子電極4,5は、めっき層を有してしなくてもよい。
端子電極4は、五つの面2a,2c,2d,2e,2fに配置されているが、これに限られない。端子電極4は、端面2aと、実装面となる主面2cとに少なくとも配置されていればよい。端子電極5は、五つの面2b,2c,2d,2e,2fに配置されているが、これに限られない。端子電極5は、端面2bと、実装面となる主面2cとに少なくとも配置されていればよい。第一電極層21は、一対の端面2a,2bと一対の主面2c,2dと一対の側面2e,2fとに配置されているが、これに限られない。第一電極層21は、一対の端面2a,2bと主面2cとに少なくとも配置されていればよい。第二電極層23は、第一電極層21全体を覆うように配置されているが、これに限られない。第二電極層23は、主面2cにおける第一電極層21の端縁21aをすべて覆うように配置されていればよい。
本実施形態では、電子部品として積層コイル部品1を例に説明したが、本発明はこれに限られることなく、積層コンデンサ、積層バリスタ、積層圧電アクチュエータ、積層サーミスタ、もしくは積層複合部品などの積層電子部品、又は、積層電子部品以外の電子部品にも適用できる。