JP2018081184A - 光走査装置における駆動電圧情報の決定方法 - Google Patents

光走査装置における駆動電圧情報の決定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ミラー部の往復回動の基本周波数成分を弱めることなく、高調波を抑制する駆動電圧情報を決定する。
【解決手段】決定方法は、共振周波数と同一周波数の基準正弦波電圧に対して、所定の位相差でかつ所定の振幅比率である付加正弦波電圧に係る付加正弦波情報を生成する工程(STEP13〜20)を有する。該工程は、目標電圧に付加正弦波電圧を重畳した試験電圧を外側圧電アクチュエータ7に供給するサブ工程(STEP13〜17)と、ミラー部2の共振の大きさが閾値以上であれば、付加正弦波電圧の位相差及び振幅比率の変更により試験電圧を変更するサブ工程(STEP18,20)と、共振の大きさが閾値未満になった時の試験電圧に基づいて駆動電圧情報を決定するサブ工程(STEP19)とを備える。
【選択図】図6

Description

本発明は、光偏向器を備える光走査装置における駆動電圧情報の決定方法に関する。
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の光偏向器を備える光走査装置が知られている。該光走査装置は、光偏向器の他に、ドライバ及び制御信号生成部とを備えている。
MEMSの光偏向器は、入射光を反射して走査光として出射するミラー部と、供給された駆動電圧に基づいてミラー部を所定の軸線の周りに往復回動させる圧電アクチュエータとを備える。
そして、例えばマイコンから成る制御信号生成部は、記憶装置(例:ROM)内の駆動電圧情報に基づいて制御信号を生成し、該制御信号に基づいてドライバを制御して、ドライバに、圧電アクチュエータに供給する駆動電圧を生成させている。
光偏向器において、圧電アクチュエータの周期駆動電圧としてのこぎり波形の電圧を使用することがある。その場合、ミラー部が、軸線の周りにのこぎり波形の電圧の周波数とは別の周波数で共振を起こすことがある。
共振対策として、特許文献1は、同一波形の2つののこぎり波形状の電圧信号を所定の位相差だけ位相をずらした状態で合成した電圧信号を駆動電圧とすることを開示する。
共振対策として、特許文献2は、同一波形のこぎり波形状の駆動波形信号を互いに高調波成分が相殺されるように、位相をずらせて合成して、駆動電圧を生成することを開示する。特許文献2は、また、軸線周りのミラー部の往復回動に、周波数の異なる複数の共振が生じているときは、各共振周波数ごとに、合成信号を生成してから、さらに、それらの合成信号を合成して駆動電圧を生成することも開示する。なお、特許文献2において駆動電圧を供給されるアクチュエータは、圧電型ではなく、電磁コイル型である。
特開2012−198415号公報 特開2013−171226号公報
特許文献1,2の開示する共振対策は、いずれも、同一波形の2つの電圧を位相をずらして合成(重畳)して、不要な高調波成分を相互に相殺するものである。したがって、各波形の基本周波数成分も、相殺されて、弱まる可能性がある。
また、光走査装置を画像表示装置として使用し、高画質の画像を生成する場合には、共振の他に、駆動電圧に対するミラー部の往復回動の線形応答性が問題になってくる。
特許文献1,2は、共振対策を開示するのみであり、駆動電圧に対するミラー部の往復回動の線形応答性の改善についてはなんら開示していない。
本発明の目的は、駆動電圧内の基本周波数成分を弱めることなく、ミラー部の共振を抑制することができる光走査装置における駆動電圧情報の決定方法を提供することである。
本発明の駆動電圧情報の決定方法は、
入射光を反射するミラー部と、供給された駆動電圧に応じて前記ミラー部を所定の軸線の周りに往復回動させる圧電アクチュエータとを備える光偏向器と、
前記駆動電圧を生成するための駆動電圧情報を記憶する記憶装置と、
前記記憶装置の前記駆動電圧情報を参照して前記駆動電圧情報に応じた制御信号を生成する制御信号生成部と、
前記制御信号生成部から供給された前記制御信号に基づいて前記駆動電圧を生成し、生成した該駆動電圧を前記光偏向器の前記圧電アクチュエータに供給するドライバとを備える光走査装置における駆動電圧情報の決定方法であって、
前記軸線の周りの前記ミラー部の往復回動についての目標パターンを規定する目標電圧を前記圧電アクチュエータに供給したときに前記軸線の周りの前記ミラー部の共振が生じる周波数である共振周波数を検出する第1工程と、
前記第1工程で検出した前記共振周波数と同一周波数の基準正弦波電圧に対して所定の位相差を有しかつ前記基準正弦波電圧に対して所定の振幅比率である付加正弦波電圧を前記目標電圧に重畳させた試験電圧を前記駆動電圧として前記圧電アクチュエータに供給する第2工程と、
前記試験電圧を前記圧電アクチュエータに供給している期間の前記共振の振幅に基づいて前記駆動電圧情報を決定する第3工程とを備え、
前記第3工程は、
前記第2工程において前記試験電圧を供給している期間の前記共振の振幅が所定の閾値以上であるか又は未満であるかを判定する第1サブ工程と、
該第1サブ工程において、前記共振の振幅が前記閾値以上であれば、前記共振の振幅が減少するように、基準正弦波電圧に対する前記付加正弦波電圧の前記位相差及び前記振幅比率の少なくとも一方を変更する第2サブ工程と、
該第2サブ工程において変更した後の付加正弦波電圧により前記第2工程を再実施する第3サブ工程と、
前記共振の振幅が前記閾値未満になるまで、前記第1サブ工程から前記第3サブ工程までの工程を繰り返し、前記共振の振幅が前記閾値未満になった時の前記試験電圧を生成するための情報を前記駆動電圧情報として決定する第4サブ工程とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、軸線周りのミラー部の共振の振幅が閾値未満である時の試験電圧を生成するための情報を駆動電圧情報として決定する。したがって、該駆動電圧情報が用いられた光走査装置におけるミラー部の共振を抑制することができる。
本発明によれば、同一波形の2つの電圧を、位相をずらして、重畳することにより、不要な高調波成分を相互に相殺するものでないので、基本周波数成分同士が相殺されることはない。したがって、駆動電圧内の基本周波数成分を弱めることを回避することができる。
本発明の駆動電圧情報の決定方法において、前記共振周波数には一次共振周波数と二次共振周波数とを含み、前記駆動電圧情報は、一次共振周波数に対する付加正弦波電圧の情報と二次共振周波数に対する付加正弦波電圧の情報とを有することが好ましい。
この構成によれば、軸線の周りのミラー部の往復回動に現れる共振のうち特に顕著な一次共振及び二次共振を抑制することができる。
本発明の駆動電圧情報の決定方法において、
前記目標電圧を単独で前記圧電アクチュエータに供給している時の前記軸線の周りの前記ミラー部の往復回動について、前記目標電圧をフーリエ級数展開したときの1次からm次までの各フーリエ級数展開成分の周波数に等しい周波数におけるゲインG1〜Gm及び位相θ1〜θmを測定する第4工程と、
前記第4工程で測定したゲインG1〜Gmに基づいて、1からmまでの各nについて、Kn=G1/Gnを算出する第5工程と、
前記第4工程で測定した位相θ1〜θmに基づいて、1からmまでの各nについて、φn=θ1−θnを算出する第6工程と、
1からmまでの各nについて、前記目標電圧のn次のフーリエ級数展開成分のゲインをKn倍し、n次のフーリエ級数展開成分の位相を差分φn遅らせてから、加算した非線形応答補正関数を生成する第7工程と、
前記第1工程及び前記第2工程の前記目標電圧を前記非線形応答補正関数に置き換えて、前記第1工程、前記第2工程及び前記第3工程を実施する第8工程とを備えることが好ましい。
この構成によれば、元の目標電圧のフーリエ級数展開成分から1次からm次までのフーリエ級数展開成分が抽出され、抽出されたフーリエ級数展開成分に対し、ゲインをKn倍し、位相をφn遅らせたフーリエ級数展開成分(ただし、n=1,2,・・・,m)に基づいて生成した非線形応答補正関数に目標電圧を置き換えている。これにより、ミラー部の往復回動の線形応答性を改善することができる。
本発明の駆動電圧情報の決定方法において、前記目標パターンは、のこぎり波形又は三角波形であることが好ましい。
この構成によれば、のこぎり波形又は三角波形の駆動電圧でミラー部を所定の軸線の周りに往復回動させる光偏向器において、所定の軸線の周りのミラー部の共振や、非線形応答を適切に抑制することができる。
光偏向器の構造図。 光走査装置のブロック図 光走査装置の問題点の説明図であり、図3Aは走査光のラスタースキャンを示す図、図3Bは縦方向駆動電圧と第2軸周りのミラー部の応答回動との関係についての説明図、図3Cは応答回動の周波数特性を調べた図。 光走査装置の問題点を検証した各種グラフであり、図4Aは縦方向駆動電圧と応答回動との関係を示すグラフ、図4B及び図4Cはそれぞれ図4Aの縦方向駆動電圧及び応答回動のフーリエ変換図。 低画質用駆動電圧情報の決定方法が適用される駆動電圧情報決定装置のブロック図。 低画質用駆動電圧情報の決定方法のフローチャート。 図6のフローチャートの関連説明として、のこぎり波形情報だけによる駆動電圧を外側圧電アクチュエータに供給したときの第2軸周りのミラー部の動作状態を示す図。 図6のフローチャートの関連説明として、のこぎり波形情報と共振キャンセル正弦波情報との加算に基づく駆動電圧を外側圧電アクチュエータに供給したときの第2軸周りのミラー部の動作状態を示す図。 高画質用駆動電圧情報の決定方法が適用される駆動電圧情報決定装置のブロック図。 高画質用駆動電圧情報の決定方法のフローチャート。 光走査装置を高画質用の画像表示装置として使用するときの問題点についての説明図であり、図10Aは外側圧電アクチュエータののこぎり波形の縦方向駆動電圧と応答回動との関係を示すグラフ、図10Bは応答回動のフーリエ変換図。 のこぎり波形の縦方向駆動電圧とそのフーリエ級数展開における各次数までの周波数成分の合成波形との関係を示すグラフ。 図9のフローチャートに関連して非線形応答補正関数としての補正のこぎり波形に共振キャンセル正弦波を付加する前のミラー部の動作状態の説明図であり、図12Aは縦方向駆動電圧及び応答回動の時間変化を示すグラフ、図12Bは応答回動のフーリエ変換図。 図9のフローチャートに関連して非線形応答補正関数としての補正のこぎり波形に共振キャンセル正弦波を付加した後のミラー部の動作状態の説明図であり、図13Aは縦方向駆動電圧及び応答回動の時間変化を示すグラフ、図13Bは応答回動のフーリエ変換図。 非線形応答補正関数に用いられる各パラメータ値の決め方に関し、図14Aは測定者が各次数のゲイン及び位相について測定した測定結果のグラフ、図14Bは図14Aの測定結果に基づいて算出した係数及び位相遅れのグラフ。
(第1実施形態)
図1は、光偏向器1の構造図である。光偏向器1は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)である。光偏向器1の詳細は、例えば特開2012−203186号公報、特開2013−8480号公報及び特開2013−84530号公報等に記載されているので、ここでは、光偏向器1を概略的に説明する。
光偏向器1は、主要要素としてミラー部2、ミラー部2を包囲する可動枠3、及び可動枠3を包囲する固定枠4を備えている。説明の便宜上、図1において3軸直交座標を定義する。X軸は矩形の固定枠4の長辺に対して平行であり、Y軸は矩形の固定枠4の短辺に対して平行であり、Z軸は固定枠4の厚み方向に平行となっている。光偏向器1は、ミラー部2等の可動要素を含んでいて、これら可動要素は位置が固定されていない。このため、さらに、説明の便宜上、ミラー部2の前面(ミラー面)の法線がZ軸に対して平行になった時の位置で光偏向器1の構造を説明することにする。
1対のトーションバー5は、ミラー部2からY軸方向に突出し、可動枠3の内周に結合している。計4つの内側圧電アクチュエータ6の各々は、X軸方向に延在し、両端部においてそれぞれ可動枠3の内周とトーションバー5の中間部とに結合している。
1対の外側圧電アクチュエータ7は、X軸方向に可動枠3の両側に配設され、両端部において可動枠3と固定枠4とに結合している。各外側圧電アクチュエータ7は、ミアンダ配列で結合された複数の圧電カンチレバーの結合から成り、各圧電カンチレバーは、長手方向をY軸に平行な方向に揃えている。
固定枠4の各短辺部には、複数の電極パッド8が設けられている。各電極パッド8は、配線(図示せず)を介して内側圧電アクチュエータ6及び外側圧電アクチュエータ7の圧電カンチレバーに形成されている圧電膜の電極に接続されている。
光偏向器1の作用を概略的に説明する。
ミラー部2は、内側圧電アクチュエータ6により第1軸(トーションバー5の軸線)周りに往復回動させられる。この第1軸周りの往復回動の周波数は、第1軸周りのミラー部2の共振周波数(例:30kHz)に合わせられる。
一方、ミラー部2は、第1軸と交差する第2軸の周りに外側圧電アクチュエータ7の作用により往復回動する。この例では、第2軸は、第1軸と共に、ミラー部2のミラー面上に定義され、第1軸との交差角はほぼ直角に設定されている。第2軸周りの往復回動の周波数は、第2軸周りのミラー部2の共振周波数とは無関係で、かつ第1軸周りのミラー部2の共振周波数より十分に低い非共振周波数(例:60Hz)に設定される。
外側圧電アクチュエータ7の複数の圧電カンチレバーについて、X軸方向に固定枠4から可動枠3の方に順番に、すなわち基端側から先端側に順番に1番〜4番の番号を付ける。外側圧電アクチュエータ7の作動時では、奇数番号の圧電カンチレバーと偶数番号の圧電カンチレバーとは、逆位相の駆動電圧を圧電膜に印加されることにより、Z軸方向の屈曲量の増減が逆関係になる。この結果、可動枠3は、X軸周りに往復回動する。
ミラー部2は,可動枠3と一体にX軸周りに往復回動することにより、第2軸周りに往復回動する。ミラー部2は、第1軸周りに前述の共振周波数で往復回動するので、第2軸とX軸とは一致しない。ミラー部2のミラー面の法線がZ軸に平行になった時のみ、第2軸はX軸に一致する。
光源(図示せず)からミラー部2のミラー面の中心に入射する入射光は、ミラー部2の第1軸周り及び第2軸周りの回動角に関係する方向に反射する。反射光は、走査光として光偏向器1から出射され、照射領域をラスタースキャンする。
図2は光走査装置13のブロック図である。光走査装置13は、光偏向器1、ドライバ14及びマイコン15を備える。マイコン15は、各種のプログラムを実行する周知の汎用構造として、CPU、RAM,ROM、不揮発性メモリ、及びデータバスを備える。プログラムはROMに書込まれている。
マイコン15は、さらに、制御信号生成部19及び駆動電圧情報記憶部20を備える。駆動電圧情報記憶部20は、記憶装置としてのROMに含まれる。制御信号生成部19は、CPUがROM内のプログラムを実行するのに伴い、生成される機能要素である。
制御信号生成部19は、駆動電圧情報記憶部20に記憶されて駆動電圧情報に基づいてドライバ14を制御する制御信号Ctを生成する。
なお、目標パターン(目標波形)ののこぎり波形の電圧は、後述の(式1)のフーリエ級数展開式から分かるように、基本周波数(例:60Hz)の成分と高調波の成分との重畳から成る。
ドライバ14は、制御信号生成部19からの制御信号に基づいて光偏向器1の内側圧電アクチュエータ6及び外側圧電アクチュエータ7に供給する駆動電圧を生成して、光偏向器1に供給する。
図3は光走査装置13の問題点の説明図であり、図3Aは走査光のラスタースキャン29を示す図、図3Bは縦方向駆動電圧26と第2軸周りのミラー部2の応答回動30との関係についての説明図、図3Cは応答回動30の周波数特性を調べた図である。
図3Aにおいて、横方向駆動電圧25及び縦方向駆動電圧26はそれぞれドライバ14から光偏向器1の内側圧電アクチュエータ6及び外側圧電アクチュエータ7に供給される駆動電圧である。なお、ここで、横方向駆動電圧25及び縦方向駆動電圧26のように、駆動電圧に「横方向」及び「縦方向」を付けているのは、あくまでも便宜上、付けているだけである。スクリーン27において、横方向駆動電圧25は、走査光の横方向走査に関係し、縦方向駆動電圧26は走査光の縦方向走査に関係しているからである。逆に、スクリーン27において、横方向駆動電圧25で走査光を縦方向に走査し、縦方向駆動電圧26で走査光の横方向に走査してもよい。
第1軸周りのミラー部2の回転は第1軸周りのミラー部2の共振を利用するので、横方向駆動電圧25は正弦波になっている。これに対し、縦方向駆動電圧26は、周期波形の目標パターンとしてののこぎり波形となっている。
スクリーン27は、光偏向器1からの走査光の照射領域として設置されている。ミラー部2は、内側圧電アクチュエータ6により第1軸周りに往復回動しつつ、外側圧電アクチュエータ7により第2軸周りを往復回動する。この結果、走査光は、スクリーン27上を縦方向の1回の往復当たり、横方向に十分に大きい回数、往復し、ラスタースキャン29が生成される。
図3Bにおいて、応答回動30は、縦方向駆動電圧26が単独で外側圧電アクチュエータ7が供給されて、ミラー部2を第2軸周りに往復回動させたとき、第2軸周りのミラー部2の回動角の変化の波形となっている。応答回動30は、縦方向駆動電圧26の線形応答を反映した波形としてのこぎり波形になることが理想であるが、現実の波形としての図3Bの応答回動30は、のこぎり波形に不要な振動成分を多く含んだ波形になっている。
図3Cの応答回動30の周波数特性は、縦方向駆動電圧26の基本周波数と高調波の各周波数とについて、応答回動30のゲインGを1つずつ測定したものである。応答回動30は、一次共振と二次共振を含んでいることが分かる。
図4は光走査装置13の問題点を検証した各種グラフである。図4Aは縦方向駆動電圧26(破線)と応答回動30(実線)との関係を示すグラフである。なお、図4Aでは、破線と実線とが重なって見え難くなるのを回避するために、応答回動30の実線は、上下逆転して、図示している。
また、図4A、並びに後述の図7A、図7B、図10A、図12A及び図13Aにおいて、縦軸方向駆動電圧は、縦方向駆動電圧26そのものではなく、検証の目的(例:共振の確認)に応じて、縦方向駆動電圧26を多少変更したものになっている。具体的には、のこぎり波形の縦方向駆動電圧26をフーリエ級数展開して、1次から所定の次数m(ただし、mは2以上の有限な整数)までの周波数成分を合成(重畳)したものが、図4A等の縦方向駆動電圧になっている。図4Aでは、m=12である。図7A及び図7Bでは、mは図4Aのmより小さい整数である。図10A、図12A及び図13Aでは、mは12より大きい整数である。
図4B及び図4Cはそれぞれ図4Aの縦方向駆動電圧26及び応答回動30のフーリエ変換図である。図4Bと図4Cとの対比から、応答回動30には一次共振と二次共振とが生じていることが分かる。図4Cでは、一次共振周波数は850Hz付近、また、二次共振周波数は1.1kHz付近となっている。
図5は、低画質用駆動電圧情報の決定方法(図6)が適用される駆動電圧情報決定装置35aのブロック図である。実施形態では、低画質とは画素数換算で例えば640×480であり、高画質とは、画素数換算で例えば1029×768以上の画質である。光走査装置13を高画質用の画像表示装置として使用する場合は、駆動電圧情報決定装置35aに代えて、後述の図8の駆動電圧情報決定装置35bにより各種のパラメータ値が決定される。
図2のマイコン15は、図5(及び図8)には図示されていない。駆動電圧情報の決定方法では、駆動電圧情報決定装置35a(及び図8の駆動電圧情報決定装置35b)がマイコン15の機能を果たす。
駆動電圧情報決定装置35aは、情報処理装置36aと、情報処理装置36aに外付けされる外付け装置37とを備える。外付け装置37は、入射光式の振れ角センサ40と、作業員が情報処理装置36aに指示を与えたり、データを入力したりする入力操作器41と、作業員に各種情報を表示する表示器42とを備えている。
情報処理装置36aは、のこぎり波形生成部46、パラメータ値調整部47、一次共振キャンセル正弦波情報生成部48、二次共振キャンセル正弦波情報生成部49及び波形データ取込み部50を備えている。情報処理装置36aは、さらに、フーリエ変換部56、正規化部57、フーリエ変換部58、正規化部59及び重畳部60,61を備えている。
図6は、光走査装置13を低画質用の画像表示装置として使用するときの駆動電圧情報の決定方法のフローチャートである。なお、実施形態による改善は、縦方向駆動電圧26のみの改善であるので、図6以降の説明において、単に「駆動電圧」というときは、特に断らない限り、外側圧電アクチュエータ7の縦方向駆動電圧26を指すものとする。
STEP11では、フーリエ変換部58及び正規化部59は、のこぎり波形生成部46が生成したのこぎり波形のフーリエ変換及びその正規化を行う。のこぎり波形のフーリエ変換は、フーリエ変換部58により行われる。フーリエ変換の正規化は正規化部59により行われる。正規化部59の出力をFaで表わす。
STEP12では、一次共振キャンセル正弦波情報生成部48及び二次共振キャンセル正弦波情報生成部49は、共振キャンセル正弦波のゲイン及び位相遅れに初期値を代入する。ゲイン及び位相遅れに初期値に設定されている共振キャンセル正弦波のことを「基準正弦波電圧」と名付ける。基準正弦波電圧の周波数及び位相は、図4Cの共振の周波数及び位相と同一に設定される。
なお、STEP12〜STEP20は、共振が1つであるときの処理になっているが、応答回動30における共振は、通常、複数存在する。したがって、すべての共振を相殺するためには、各共振ごとにSTEP12〜STEP20が実行される。
実施形態では、図4Cで示されているように、一次共振と二次共振が顕著に生じているので、STEP12〜STEP20の処理は、少なくとも、一次共振と二次共振とについて行われる。また、共振について、「キャンセル」又は「相殺」は、共振を完全に消滅する意味合いになるが、実施形態の共振対策では、共振を完全に消滅させない抑制も含むものとする。
ゲインの初期値は、例えばゲインについて予想される最終値より十分に低い値に設定される。位相遅れの初期値は例えば0に設定される。そして、後述のSTEP20において、少しずつ(例:所定量ずつ)、増大していくように変更されるようにする。
STEP13では、一次共振キャンセル正弦波情報生成部48及び二次共振キャンセル正弦波情報生成部49は、共振キャンセル正弦波情報を生成する。共振キャンセル正弦波情報には、一次共振キャンセル正弦波情報と二次共振キャンセル正弦波情報とが重畳されている(一次共振キャンセル正弦波情報+二次共振キャンセル正弦波情報)。一次共振キャンセル正弦波情報は一次共振キャンセル正弦波情報生成部48により生成される。二次共振キャンセル正弦波情報は二次共振キャンセル正弦波情報生成部49により生成される。
パラメータ値調整部47は、一次共振キャンセル正弦波情報に含まれるパラメータとしてのゲイン及び位相遅れと、二次共振キャンセル正弦波情報に含まれるパラメータとしてのゲイン及び位相遅れとを別々に指示する。したがって、STEP13では、一次共振キャンセル正弦波情報は、一次共振用のゲイン及び位相遅れを使って生成される。また、二次共振キャンセル正弦波情報は、二次共振用のゲイン及び位相遅れを使って生成される。
なお、共振キャンセル正弦波情報のゲイン及び位相遅れは、具体的には次のように定義される。目標パターンののこぎり波形の電圧を生成する目標波形情報(図5ののこぎり波形生成部46から重畳部61に出力されるのこぎり波形情報Cnに相当)と、共振キャンセル正弦波を生成する共振キャンセル正弦波情報とを重畳した駆動電圧情報(図5の重畳部61から出力される制御信号Ctに相当)を生成する。そして、ドライバ14が該駆動電圧情報を使って駆動電圧を生成するときに、前述の基準正弦波電圧に対する共振キャンセル正弦波電圧の比率を「ゲイン」と定義し、また、基準正弦波電圧の位相に対する共振キャンセル正弦波電圧の位相の遅れを「位相遅れ」と定義する。
STEP14では、重畳部61は、駆動電圧の情報を算出する。駆動電圧とは、外側圧電アクチュエータ7に供給する駆動電圧であるが、STEP19で駆動電圧情報記憶部20(ROM)に正式に書込まれる前の段階では、「試験電圧」に相当する。
具体的には、重畳部61は、のこぎり波形生成部46からののこぎり波形情報Cnと、一次共振キャンセル正弦波情報生成部48からの一次共振キャンセル正弦波情報と、二次共振キャンセル正弦波情報生成部49からの二次共振キャンセル正弦波情報とに基づいて駆動電圧情報として生成する。実施形態では、該駆動電圧情報は、のこぎり波形情報Cnと一次共振キャンセル正弦波情報と二次共振キャンセル正弦波情報との単純な和になっている。そして、ドライバ14は、駆動電圧情報に係る制御信号により制御されて、駆動電圧情報に対して線形関係を有する駆動電圧を出力するようになっている。
STEP15では、重畳部61は、駆動電圧情報に対応する制御信号Ctをドライバ14に出力する。
ドライバ14は、重畳部61からの制御信号Ct、すなわち駆動電圧情報に基づいて駆動電圧を生成し、光偏向器1の外側圧電アクチュエータ7に供給する。なお、この時、ドライバ14が外側圧電アクチュエータ7に供給する駆動電圧は、本発明において、付加正弦波電圧を目標電圧に重畳させた「試験電圧」に相当する。一次共振キャンセル正弦波情報に係る電圧と二次共振キャンセル正弦波情報に係る電圧との重畳電圧は、本発明において、「付加正弦波電圧」に相当する。
外側圧電アクチュエータ7は、ドライバ14からの駆動電圧に応じてミラー部2を第2軸の周りに往復させる。なお、実際の使用時の光偏向器1は、内側圧電アクチュエータ6の横方向駆動電圧もドライバ14から供給されるが、図6の一連の処理では、内側圧電アクチュエータ6に横方向駆動電圧は供給せずに、ミラー部2を第2軸の周りのみに往復回動させている。この点で、光偏向器1から出射される走査光は、ラスタースキャン29を行うことなく、すなわち横方向に走査されることなく、縦方向のみ走査して、振れ角センサ40に入射する。
振れ角センサ40は、光偏向器1に十分に接近して配置され、光偏向器1から縦方向のみの走査で出射されて来る走査光を入射され、各時点の縦方向入射位置を検出する。該縦方向入射位置は、第2軸周りのミラー部2の回動角(振れ角)に対応する。
STEP16では、振れ角センサ40は、第2軸周りのミラー部2の回動としての応答回動30を検出する。
STEP17では、フーリエ変換部56及び正規化部57は、振れ角センサ40が検出した第2軸周りのミラー部2の応答回動30のフーリエ変換及びその正規化を行う。正規化部57の出力をFbで表わす。
なお、正規化部57,59を設けている理由は、次のSTEP18における対比対象のディメンジョンを揃えるためである。すなわち、のこぎり波形のディメンジョンは電圧であるのに対し、第2軸周りのミラー部2の回動(回動角の変化で表わされる)のディメンジョンは角度である。したがって、両者を直接対比するのは困難である。正規化部59,57は、それぞれFa,Fbを重畳部60に出力する。そして、重畳部60は、Fa,Fbの差分(Fa−Fb)を算出して、パラメータ値調整部47に出力する。
STEP18では、パラメータ値調整部47は、のこぎり波形についてのフーリエ変換の正規化値としてのFaと、第2軸周りのミラー部2の回動についてフーリエ変換の正規化値としてのFbとの差分と閾値δaとを対比する。なお、この対比は、あらかじめ調べておいた共振周波数(この実施形態では、第1及び第2共振周波数)ごとに行われる。そして、パラメータ値調整部47が、差分(=Fa−Fb)<δa、すなわち差分が所定の閾値δa未満であると判定したならば、処理をSTEP19に進め、差分≧δaと判定したならば、処理をSTEP20に進める。
STEP20では、パラメータ値調整部47は、ゲインを所定量、増大した値に変更するか、位相遅れを所定量増大するかして、ゲイン及び位相遅れのいずれか又は両方を変更する。パラメータ値調整部47は、その後、処理をSTEP13に戻す。
処理がSTEP13に戻されたときは、ゲイン及び位相遅れの少なくとも一方が変更された共振キャンセル正弦波に基づいて、STEP14〜STEP18が繰り返される。
図7A及び図7Bは、図6の関連説明図である。図7Aは、図6の処理を行うことなく、のこぎり波形情報Cnだけの駆動電圧情報に基づいて生成した縦方向駆動電圧26を外側圧電アクチュエータ7に供給したときの説明図である。図7Bは、図6の処理を経て、のこぎり波形情報Cnと共に一次共振キャンセル正弦波情報及び二次共振キャンセル正弦波情報を含む駆動電圧情報に基づいて生成した縦方向駆動電圧26を外側圧電アクチュエータ7に供給したときの説明図である。
図7A及び図7Bにおいて、上側の図では、外側圧電アクチュエータ7の縦方向駆動電圧26(破線)と応答回動30(実線)との関係が示され、下側の図は上側の図の応答回動30のフーリエ変換を示している。なお、応答回動30の値は振れ角センサ40の出力電圧に対応する。また、図7A及び図7Bの上側の図において、破線と実線とが重なって見え難くなるのを回避するために、実線は、上下逆転して、図示している。さらに、図7A及び図7Bの上側の図の縦方向駆動電圧26は、共に、のこぎり波形をフーリエ級数展開したときの1次から∞の次数までの全次数の周波数成分を含むものではなく、全次数の周波数成分のうちの1次からm次までの周波数成分のみの合成となっている。ただし、mは、1<m≦7の範囲の整数、例えばm=7にしている。縦方向駆動電圧26に共振周波数成分が含まれていなくても、図7Aの下側の応答回動の図に示されるように、共振振動が誘発されることがある。
図7Aと図7bとの対比から、図6の決定処理に従って決定した一次共振キャンセル正弦波と、二次共振キャンセル正弦波との電圧成分を含む駆動電圧を外側圧電アクチュエータ7に供給すれば、第2軸周りのミラー部2共振を抑制することが理解できる。
STEP19では、波形データ取込み部50は、重畳部61がドライバ14に出力している制御信号Ctを取り込んで、再現可能にデータ化し、そのデータ化したデータを記憶データとする駆動電圧情報記憶部20(ROM)を製造する。
制御信号Ctのデータが書き込まれる駆動電圧情報記憶部20は、制御信号Ct以外にも、光走査装置13のプログラム等やその関連データ等を書き込まれるものであり、書込み予定のすべてのデータが揃ってから、それらのデータが一気に書き込まれて、駆動電圧情報記憶部20が完成する。完成した駆動電圧情報記憶部20(ROMでもある)は、光走査装置13のマイコン15(図2)内に組み込まれる。
(第2実施形態)
図8は、高画質用駆動電圧情報の決定方法(図9)が適用される駆動電圧情報決定装置のブロック図である。駆動電圧情報決定装置35bは、光走査装置13を高画質用の画像表示装置として使用するときに、その駆動電圧情報を決定する装置である。
駆動電圧情報決定装置35bは、情報処理装置36bと、外付け装置37とを備える。情報処理装置36bは、情報処理装置36aに対して、非線形応答補正部63及び非線形応答補正関数の決定部64が追加されている。
図9は、光走査装置13を高画質用の画像表示装置として使用するときの駆動電圧情報の決定方法のフローチャートである。図6の低画質対応用決定処理のフローチャートとの相違点は、図9のフローチャートでは、STEP31,32がSTEP11とSTEP12との間に挿入された点と、STEP34が図6のSTEP14に置き換えられている点である。
図10は、光走査装置13を高画質用の画像表示装置として使用するときの問題点についての説明図である。なお、光走査装置13を高画質用の画像表示装置として使用するときは、横方向に走査する走査線の本数が増大し、それに応じて、横方向駆動電圧の共振用正弦波の周波数は、低画質用の画像表示装置における横方向駆動電圧の共振用正弦波の周波数に比して増大されている。
図10Aは外側圧電アクチュエータ7ののこぎり波形の縦方向駆動電圧26(破線)と応答回動30(実線)との関係を示している。なお、図10Aでは、破線と実線とが重なって見え難くなるのを回避するために、実線は、上下逆転して、図示している。
図10Bは応答回動30のフーリエ変換のグラフである。高画質の画像表示では、縦方向の走査線の間隔が短くなるので、高周波数成分が必要になる。すなわち、後述の図11等で説明するmを高くする必要がある。しかし、高周波数成分を含む駆動電圧を利用すると、駆動電圧に対する応答回動30の非線形性が画質に与える影響が強まる。したがって、画像の高画質を確保するためには、第2軸周りのミラー部2の線形応答性を改善する必要がある。
図9のフローチャートにおいて、図6のフローチャートとの相違点について説明する。STEP31では、非線形応答補正関数の決定部64が非線形応答補正関数(補正のこぎり波)を決定し、STEP32では、非線形応答補正部63が補正のこぎり波を生成する。
次の(式1)〜(式6)は、STEP31,32の処理で使用する式である。
図11はのこぎり波形の縦方向駆動電圧26(実線)とそのフーリエ級数展開における各次数mまでの周波数成分の合成波形(重畳波形でもある/非実線)との関係を示している。すなわち、図11において、例えば、m=5の波形は、フーリエ級数展開における1次から5次までの周波数成分の合成波形を意味し、m=10の波形は、フーリエ級数展開における1次から10次までの周波数成分の合成波形を意味する。図11は、(式2)における立ち上がり時間αについての説明も兼ねる。
図11において、のこぎり波形の周期Tは、T=Ta/2+Tb+Ta/2で表せられる。立ち上がり時間(立ち上がり比率)αは、α=Ta/(Ta+Tb)と定義する。すなわち、のこぎり波形の1周期Tに対する上昇区間Taの比率が立ち上がり時間αである。
(式1)は、ピーク値(最大振幅)=1でオフセット(遅れ位相)=0ののこぎり波形のフーリエ級数展開式としてのy(t)である。なお、(式1)、並びに次の(式3)及び(式4)は、のこぎり波形を∞までの全次数でフーリエ級数展開したものではなく、のこぎり波形の基本周波数のm(ただしmは2以上の整数)倍の高調波周波の次数まで、示したものになっている。(式3)は、ピーク値とオフセットを調整できるようにしたのこぎり波形のフーリエ級数展開式であり、(式1)に対して係数A,Bが追加されている。
第2軸周りのミラー部2の応答回動30は、周波数に依存しないことが理想である。しかしながら、現実のミラー部2は、縦方向駆動電圧26に対して線形応答にならず、周波数によって応答回動30が相違する。また、この応答回動30の相違は光偏向器1ごとにばらつきがある。非線形応答補正部63が、STEP32で生成する補正のこぎり波形は、周波数によって相違する応答回動30及び該応答回動30の光偏向器1ごとのばらつきを排除するものとなっている。
(式4)は、本発明の非線形応答補正関数に相当するものである。(式4)は、(式3)とは、次数を同一にするとともに、共通の係数を含んでいる。(式3)に対する(式4)の相違点は、係数Kn及び位相遅れφnが追加されている点である。なお、nは1から整数mまでの各整数を表すものとする。
係数Kn及び位相遅れφnの具体的な決め方について説明する。測定者は、1からm(この実施形態では、m=25)までの各nについて、縦方向駆動電圧26のn次周波数(基本波の周波数を60Hzとして、n次周波数=n×60Hz)の正弦波の駆動電圧を1つずつ外側圧電アクチュエータ7に供給して、その時の応答回動30のゲインGn及び位相θnを1つずつ測定する。詳細に述べると、測定者は、縦方向駆動電圧26の1次周波数(=60Hz)、2次周波数(=120Hz)、3次周波数(=180Hz)、・・・、25次周波数(=1500Hz)の正弦波の駆動電圧を1つずつ順番に外側圧電アクチュエータ7に供給して、各n次の応答回動30のゲインGn及び位相θnを1つずつ測定した。
図14Aのグラフは、この時の測定結果を示している。図14Aにおいて、上のグラフでは横軸が次数n、縦軸がゲインGとなっており、下のグラフでは、横軸が次数n、縦軸が位相θとなっている。測定者による各次数のゲインGn及び位相θnの測定は、本発明の「第4工程」に相当する。
次に、(式5)を用いて、1からmまでの各nについて、係数Kn=G1/Gnを算出する(この処理内容は本発明の「第5工程」に相当)。なお、1次の係数K1は、G1/G1であるので、K1=1となる,
次に、(式6)を用いて、1からmまでの各nについて、位相φnについて、φn=θ1−θnを算出する(この処理内容は本発明の「第6工程」に相当)。なお、1次の位相遅れφ1は、θ1−θ1であるので、φ1=0となる,
図14Bは、こうして算出された係数Kn及び位相遅れφnのグラフである。図14Bでは、横軸が次数n、縦軸が係数Kn(図14Bの上のグラフ)及びφn(図14Bの下のグラフ)となっている。
次に、目標電圧のフーリエ級数展開式における1次からm次までの成分を抽出したものとしての(式3)の各成分に対し、n次の成分のゲインをKn倍し、n次の成分の位相を差分φn遅らせてから、加算した非線形応答補正関数としての(式4)を完成させる(この処理内容は本発明の「第7工程」に相当)。
前述のSTEP31において、非線形応答補正関数の決定部64が非線形応答補正関数を決定するとは、具体的には、非線形応答補正関数の決定部64が(式5)のKnと(式6)のφnとを決定することである。前述のSTEP32において、非線形応答補正部63が補正のこぎり波形を生成するとは、具体的には、非線形応答補正部63が、(式4)を用いて非線形応答補正関数(補正のこぎり波形)を生成することである。STEP32の終了後、処理はSTEP12に進む。
STEP34では、STEP14と同様に、重畳部61が駆動電圧の情報(駆動電圧情報)を算出する。ただし、STEP34では、STEP14とは異なり、駆動電圧情報は、補正のこぎり波形の制御信号Chと、共振キャンセル正弦波(=一次共振キャンセル正弦波+二次共振キャンセル正弦波)の制御信号とを重畳した制御信号Ctに対応している。
図12は、重畳部61には、一次共振キャンセル正弦波情報生成部48及び二次共振キャンセル正弦波情報生成部49の出力としての共振キャンセル正弦波を供給せずに、非線形応答補正部63の出力としての非線形応答補正関数としての補正のこぎり波形のみを供給している時の説明図である。図12Aは、ドライバ14が出力する縦方向駆動電圧及び第2軸周りのミラー部2の応答回動30の時間変化のグラフであり、図12Bは応答回動30のフーリエ変換図である。図12Aでは、破線と実線とが重なって見え難くなるのを回避するために、実線は、上下逆転して、図示している。
これに対して、図13は、一次共振キャンセル正弦波情報生成部48及び二次共振キャンセル正弦波情報生成部49の出力としての共振キャンセル正弦波を適切に設定して、重畳部61には、該共振キャンセル正弦波と非線形応答補正部63の出力としての非線形応答補正関数としての補正のこぎり波形との両方を供給している時の説明図である。図13Aはドライバ14が出力する縦方向駆動電圧及び第2軸周りのミラー部2の応答回動30の時間変化のグラフであり、図13Bは応答回動30のフーリエ変換図である。
図12Bから分かるように、のこぎり波形生成部46が出力するのこぎり波形情報Cnを、非線形応答補正部63が出力する補正のこぎり波形の制御信号Chに代えただけでは、二次共振を抑制することができないことが分かる。したがって、図8の駆動電圧情報決定装置35bの場合も、図5の駆動電圧情報決定装置35aの場合と同様に、一次共振キャンセル正弦波情報生成部48及び二次共振キャンセル正弦波情報生成部49による一次共振キャンセル正弦波及び二次共振キャンセル正弦波が必要となる。
このため、駆動電圧情報決定装置35bにおいて、一次共振キャンセル正弦波情報生成部48及び二次共振キャンセル正弦波情報生成部49は、応答回動30に含まれる一次共振及び二次共振の両方を抑制する一次共振キャンセル正弦波及び二次共振キャンセル正弦波の情報を生成し、重畳部61に出力する。この結果、図13Bに示されるように、第2軸周りのミラー部2の一次共振及び二次共振が除去されたことが分かる。
STEP19では、波形データ取込み部50は、重畳部61がドライバ14に出力している制御信号Ctを取り込んで、制御信号Ctを再現可能にデータ化し、そのデータ化したデータを、その時点で追加書込み自在でとなっている駆動電圧情報記憶部20(ROM)に書き込む。
(変形例)
図6のSTEP20及び図9のSTEP20では、パラメータ値調整部47がゲイン及び位相遅れを例えば所定量ずつ増大させる試行錯誤形式で変更するようにしている。しかしながら、作業員が、表示器42に表示されるグラフや数値を見て、経験に照らして、入力操作器41からの手入力でゲイン及び位相遅れを変更や指示を行うこともできる。
STEP11,12は本発明の第1工程に相当する。STEP13〜15は本発明の第2工程に相当する。STEP16〜20は本発明の第3工程に相当する。実施形態では、縦方向駆動電圧26に関する駆動電圧情報を決定している。しかしながら、横方向駆動電圧25の基本周波数が非共振周波数である場合には、本発明は横方向駆動電圧25に関する駆動電圧情報にも適用可能である。
STEP18は本発明の第1サブ工程に相当する。STEP20は本発明の第2サブ工程に相当する。STEP13〜17は本発明の第3サブ工程に相当する。STEP19は本発明の第4サブ工程に相当する。
実施形態のSTEP18では、のこぎり波形についてのフーリエ変換の正規化値としてのFaと、第2軸周りのミラー部2の回動についてフーリエ変換の正規化値としてのFbとの差分(=Fa−Fb)が閾値δa以上か未満かを判定している。これは、ミラー部2の共振の振幅が閾値以上であるか又は未満であるかを判定する一例である。本発明では、Fbが閾値以上か未満かを判定して、閾値以上であれば、共振(一次共振及び二次共振)の振幅が減少するように、共振周波数と同一周波数の基準正弦波電圧に対する付加正弦波電圧の位相差及び振幅比率の少なくとも一方を変更することもできる。
STEP31は、本発明の第4工程、第5工程及び第6工程に相当する。STEP32は、第7工程及び第8工程に相当する。STEP31,32は、縦方向駆動電圧26に関する非線形応答補正に関する。しかしながら、本発明の第4工程〜第8工程は、横方向駆動電圧25の基本周波数が非共振周波数である場合には、横方向駆動電圧25に関する非線形応答補正にも適用可能である。
実施形態の図5及び図8では、入射光式の振れ角センサ40が光偏向器1に外付けされている。第2軸周りのミラー部2の応答回動30を検出するセンサは、光偏向器1に内蔵されるセンサであってもよい。光偏向器1に内蔵されるセンサとは、圧電アクチュエータの圧電カンチレバーの一部の圧電膜を利用したセンサである。圧電カンチレバーには、アクチュエータ用の圧電膜が形成されているが、その一部を電気的に分離して、圧電カンチレバーの屈曲変形の歪みを圧電膜の歪みとして検出するセンサとして使用することができる。
1・・・光偏向器、2・・・ミラー部、7・・・外側圧電アクチュエータ(圧電アクチュエータ)、13・・・光走査装置、14・・・ドライバ、19・・・制御信号生成部、20・・・駆動電圧情報記憶部、26・・・縦方向駆動電圧、30・・・応答回動、35a,35b・・・駆動電圧情報決定装置、40・・・振れ角センサ、41・・・入力操作器、42・・・表示器、46・・・のこぎり波形生成部、47・・・パラメータ値調整部、48・・・一次共振キャンセル正弦波情報生成部、49・・・二次共振キャンセル正弦波情報生成部、50・・・波形データ取込み部、60・・・重畳部、63・・・非線形応答補正部。

Claims (4)

  1. 入射光を反射するミラー部と、供給された駆動電圧に応じて前記ミラー部を所定の軸線の周りに往復回動させる圧電アクチュエータとを備える光偏向器と、
    前記駆動電圧を生成するための駆動電圧情報を記憶する記憶装置と、
    前記記憶装置の前記駆動電圧情報を参照して前記駆動電圧情報に応じた制御信号を生成する制御信号生成部と、
    前記制御信号生成部から供給された前記制御信号に基づいて前記駆動電圧を生成し、生成した該駆動電圧を前記光偏向器の前記圧電アクチュエータに供給するドライバとを備える光走査装置における駆動電圧情報の決定方法であって、
    前記軸線の周りの前記ミラー部の往復回動についての目標パターンを規定する目標電圧を前記圧電アクチュエータに供給したときに前記軸線の周りの前記ミラー部の共振が生じる周波数である共振周波数を検出する第1工程と、
    前記第1工程で検出した前記共振周波数と同一周波数の基準正弦波電圧に対して所定の位相差を有しかつ前記基準正弦波電圧に対して所定の振幅比率である付加正弦波電圧を前記目標電圧に重畳させた試験電圧を前記駆動電圧として前記圧電アクチュエータに供給する第2工程と、
    前記試験電圧を前記圧電アクチュエータに供給している期間の前記共振の振幅に基づいて前記駆動電圧情報を決定する第3工程とを備え、
    前記第3工程は、
    前記第2工程において前記試験電圧を供給している期間の前記共振の振幅が所定の閾値以上であるか又は未満であるかを判定する第1サブ工程と、
    該第1サブ工程において、前記共振の振幅が前記閾値以上であれば、前記共振の振幅が減少するように、基準正弦波電圧に対する前記付加正弦波電圧の前記位相差及び前記振幅比率の少なくとも一方を変更する第2サブ工程と、
    該第2サブ工程において変更した後の付加正弦波電圧により前記第2工程を再実施する第3サブ工程と、
    前記共振の振幅が前記閾値未満になるまで、前記第1サブ工程から前記第3サブ工程までの工程を繰り返し、前記共振の振幅が前記閾値未満になった時の前記試験電圧を生成するための情報を前記駆動電圧情報として決定する第4サブ工程とを備えることを特徴とする駆動電圧情報の決定方法。
  2. 請求項1記載の駆動電圧情報の決定方法において、
    前記共振周波数には一次共振周波数と二次共振周波数とを含み、
    前記駆動電圧情報は、一次共振周波数に対する付加正弦波電圧の情報と二次共振周波数に対する付加正弦波電圧の情報とを有することを特徴とする駆動電圧情報の決定方法。
  3. 請求項1又は2記載の駆動電圧情報の決定方法において、
    前記目標電圧を単独で前記圧電アクチュエータに供給している時の前記軸線の周りの前記ミラー部の往復回動について、前記目標電圧をフーリエ級数展開したときの1次からm次までの各フーリエ級数展開成分の周波数に等しい周波数におけるゲインG1〜Gm及び位相θ1〜θmを測定する第4工程と、
    前記第4工程で測定したゲインG1〜Gmに基づいて、1からmまでの各nについて、Kn=G1/Gnを算出する第5工程と、
    前記第4工程で測定した位相θ1〜θmに基づいて、1からmまでの各nについて、φn=θ1−θnを算出する第6工程と、
    1からmまでの各nについて、前記目標電圧のn次のフーリエ級数展開成分のゲインをKn倍し、n次のフーリエ級数展開成分の位相を差分φn遅らせてから、加算した非線形応答補正関数を生成する第7工程と、
    前記第1工程及び前記第2工程の前記目標電圧を前記非線形応答補正関数に置き換えて、前記第1工程、前記第2工程及び前記第3工程を実施する第8工程とを備えることを特徴とする駆動電圧情報の決定方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の駆動電圧情報の決定方法において、
    前記目標パターンは、のこぎり波形又は三角波形であることを特徴とする駆動電圧情報の決定方法。
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